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安倍内閣の問題閣僚等(その9)(忖度道路めぐり安倍首相の直接指示を証明する新事実が! 面会した議員が「総理から早期建設を とのお言葉」、相次ぐ大臣辞任 筑波大教授が解説する失言メカニズムとは・・・筑波大学人間系心理学域の原田隆之教授、内部文書を入手! 副大臣が東レ社長に「借入金取り立て」疑惑の背景 大臣・副大臣の更迭が続く中で…) [国内政治]

安倍内閣の問題閣僚等については、4月7日に取上げた。今日は、(その9)(忖度道路めぐり安倍首相の直接指示を証明する新事実が! 面会した議員が「総理から早期建設を とのお言葉」、相次ぐ大臣辞任 筑波大教授が解説する失言メカニズムとは・・・筑波大学人間系心理学域の原田隆之教授、内部文書を入手! 副大臣が東レ社長に「借入金取り立て」疑惑の背景 大臣・副大臣の更迭が続く中で…)である。

先ずは、4月12日付けLITERA「忖度道路めぐり安倍首相の直接指示を証明する新事実が! 面会した議員が「総理から早期建設を、とのお言葉」」を紹介しよう。
https://lite-ra.com/2019/04/post-4656.html
・『「私が忖度した」と安倍首相と麻生太郎財務相の地元への利益誘導を認めた塚田一郎国交副大臣につづき、「復興以上に大事なのは議員」と発言した桜田義孝五輪相と、安倍政権の「辞任ドミノ」が起きている。 あまりにも当たり前すぎるだろう。桜田五輪相については大臣就任以前から「(慰安婦は)職業としての娼婦、ビジネスだ」などと堂々発言した人物であり、大臣としての資質などまるでゼロのネトウヨ議員でしかない。それを総裁選で安倍首相のバックアップに回った二階派への論功行賞人事で大臣に抜擢したのだ。安倍首相は「さまざまな批判があることも真摯に受け止めなければならない」などと耳タコフレーズを口にしているが、反省などまったくしていないのは明らかだ。きっといつものごとく、適当にいなしておけば、そのうち話題が消え去ってしまうだろうとタカをくくっているのだろう。 しかし、もうひとつの問題、「安倍案件」として浮上した忖度道路問題に関しては、そのまま収束なんていうことは絶対にありえない。ここにきて、安倍首相自身が直接指示していた、という証言者までが出てきたからだ。 それは、吉田博美・自民党参院幹事長が塚田国交副大臣に対して「塚田、わかってる? これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ」「俺が何で来たかわかるか」と迫って忖度を引き出した際、その場に同席していた福岡県選出の大家敏志・参院議員だ。 大家議員は昨年10月25日、やはり吉田自民参院幹事長とともに安倍首相と首相官邸で面会。いま「忖度道路」と呼ばれている「下関北九州道路」について陳情をおこなったことを自身のFacebookおよびブログに、こう記述していた。〈山口県下関市のご出身である安倍総理からは「早期建設に向けた活動をしっかりと取り組むように」とお言葉を頂きました。〉 この安倍首相の発言は、当時の西日本新聞朝刊にも記載されており、本サイトはそのことをいち早く指摘していたが、当事者である大家議員が自分のメディアで当時、そのことを開陳していたのだ。 これは、安倍首相が陳情どころか「直接指示」していたという事実が確定的になったということだろう。 しかも、大家議員は昨年12月9日にも、重大発言をしていることが判明した。北九州市でおこなわれた講演のなかで「総理と副総理の地元なので、2人がやるとぐちゃぐちゃ言われるから、参議院の吉田博美幹事長を引っ張り出した」と明言していたのだ。実際、この発言の約10日後の12月20日に大家・吉田両氏は塚田国交副大臣と面会していたわけで、これは、表立って動けない安倍・麻生の名代として吉田氏が圧力をかけていたことを認める発言と言っていいだろう。 いや、安倍首相の指示は、今回、これらの事実が明らかになる以前からはっきりしている。4日の参院決算委員会で指摘されたように、安倍首相は下関や北九州にゆかりのある自民・公明党の国会議員有志によって結成された「関門会」のメンバーとして、2016年3月31日付けの石井啓一国交相に「下関北九州道路の早期実現に向けての要望書」を提出しているのだ。要望書の提出者欄にしっかりと〈安倍晋三〉と名前が記載されていた。 さらに、この要望書には〈去る二月二十四日、安倍総理を囲み懇談会を開催させていただいたところ、その際、「第二関門橋」の早期建設促進の件が話題となり、「関門会」の総意として要請活動を行うこととなった〉と、安倍首相を囲んだ会で、要請活動が決まったことが明記されていたのだ』、ここまで安倍首相の明確な指示が明らかになった割に、騒ぎは尻すぼみなのは解せない。
・『直接指示の証拠がこれだけ出揃っても、本格追及できないマスコミ(こんなあからさまな「総理案件」の要望書が提出されて、石井国交相が無視したとは考えられるはずがない。 事実、塚田国交副大臣の発言どおり、実際に国直轄の調査計画に引き上げられ、先月29日には今年度から調査費は国が全額負担することが公表され、4000万円を計上。そして、国直轄で調査をおこなう道路の候補は全国で108路線もありながら、今年度に事業として予算を認められたのは下関北九州道路のみだったことも、池田豊人・国交省道路局長の答弁によってあきらかになっている。 そこに加えて、今回の大家議員のブログやFacebookと発言である。もはや言い逃れできるような状況ではないはずだが、安倍首相は相変わらず「知らぬ存ぜぬ」をつらぬき、きょうおこなわれた参院本会議でも、「そもそも内閣総理大臣は要望や陳情をおこなう立場にはなく、また、石井国土交通大臣も『総理から指示があったとはまったく思っていない』と答弁しており、私が国交省の判断に影響を与えるようなことはなかったと承知しております。そのため私の指示で新たな調査をおこなうことは考えておりません」と強弁している。 身内の「石井国交相が指示はなかったと言っている」などと言ってもなんの証拠にもならないのに、たったそれだけで「新たな調査はしない」と決定してしまう──。森友・加計問題をはじめとする「忖度」案件と同様、こうして疑惑の目を潰してしまおうとしているのだ。 しかも、信じられないのが、これだけの証拠がそろいながら、まだ本格追及の姿勢を見せないマスコミだ。いったいどこまで、この政権の腐敗と不正を放置するつもりなのか。これでは、不正をやりたい放題の独裁国家と変わりがないだろう』、マスコミの安倍首相への忖度には目に余る。野党の追及もどうなっているのだろう。

次に、4月28日付け日刊ゲンダイ「相次ぐ大臣辞任 筑波大教授が解説する失言メカニズムとは・・・筑波大学人間系心理学域の原田隆之教授」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/252895
・『白血病になった競泳選手に「がっかりだ」と言い放ち、その舌の根も乾かぬうちに仲間の議員を「復興以上に大事」と持ち上げた桜田前五輪大臣しかり、「私が忖度した」と発言した塚田前国交副大臣しかり。閣僚の失言が相次いでいる。よくもまあ、マズイことをぺらっと口にするものだ。脳と心の専門家に失言のメカニズムを聞いた。 「私たちが他人を傷つけるような言動を慎むのは、言ってはいけないと思う“理性的な関所”と、言ったら叱られるんじゃないかと不安になる“感情的な関所”の2つのチェック機能が脳の中で働いているから。失言を繰り返す人は、何らかの理由でそれらが正常に働いていない可能性があります」 こう言うのは、筑波大学人間系心理学域の原田隆之教授。「サイコパスの真実」(ちくま新書)の著書があるなど、犯罪者の心理にも詳しい』、「私たちが他人を傷つけるような言動を慎むのは」、「“理性的な関所”と」、「“感情的な関所”の2つのチェック機能が脳の中で働いているから」というのは、なるほどと納得させられた。
・『「理性的な関所は専門用語で〈認知的共感性〉といいます。これは相手の気持ちを頭で理解できる能力のこと。相手の考えをおもんぱかって先回りする“忖度”も実は同じタイプの共感性です。一方、感情的な関所は〈情緒的共感性〉といい、相手の気持ちを頭で理解するだけでなく、相手の立場に立って同じように感じられる能力です。ドラマを見て涙するのは、これによります。大事なのはそれぞれのバランス。認知的共感性ばかり優れていても、忖度だけ上手で国民の気持ちに寄り添えない官僚のような人間になってしまいます」 認知的共感性は、脳の前頭前野と呼ばれる部分がつかさどる。親のしつけや教育、仲間との交流などを通して学習を重ねるという。 情緒的共感性をつかさどるのは、前頭前野の下部にある眼窩部と、大脳辺縁系に位置する扁桃体。いずれも良心や感情に関連していて、「親や教師から強く叱責されると動悸が高まり、不安や恐怖を感じます。それを繰り返すことで、心のブレーキを身に付けるのです」と原田教授。 どちらの共感性も、しつけや教育、経験などで後天的に鍛えることができるが、失言大臣たちはよほど放埓な環境で育ったのか。あるいは叱られても意に介さない鉄のメンタルの持ち主か。 「脳自体に先天的な異常があっても、2つの共感性は正常に働きません。特に情感をつかさどる部位に異常があると、頭ではわかっているのに同じことを繰り返してしまいます。犯罪者によく見られるケースです」』、「認知的共感性」、「情緒的共感性」とも本来、政治家には必須の能力の筈だが、例外もあるようだ。
・『安倍首相は回りくどい言い回しで…  脳の機能は正常でも、極度に緊張したり、逆にリラックスしすぎたりしても、うまく働かなくなるし、とっさの時や疲れている時、アルコールが入っている時も失言のリスクは高まるそうだ。 「絶対に失言しないためには、冷静な時に原稿を書いて、誰かにチェックしてもらい、それを読むのが一番、確実です。あるいは一言ずつかみしめてしゃべること。安倍首相はよく『~でありますから』と回りくどい言い方をしますが、恐らくその間に自分の発言をチェックしているのでしょう」 安倍首相は一枚上手というわけだが、純文学を読むのも共感性を鍛えるのに役立つという。国会議員は、毎日の読書を義務づけたらどうか』、「安倍首相はよく『~でありますから』と回りくどい言い方をしますが、恐らくその間に自分の発言をチェックしているのでしょう」、というのも納得である。今後は、そう思って我慢して聞くことにしよう。

第三に、ジャーナリストの時任 兼作氏が5月17日付け現代ビジネスに寄稿した「内部文書を入手! 副大臣が東レ社長に「借入金取り立て」疑惑の背景 大臣・副大臣の更迭が続く中で…」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64560
・『「日覺社長への電話」までの経緯  安倍晋三首相のおひざ元で、ある疑惑が浮上している――。 先月、内閣府副大臣兼環境副大臣の秋元司議員に「弁護士法違反」の疑いがあることを週刊文春が報じた(2019年4月25日号)。 「どうやら経団連会長も輩出した名門企業・東レが、間接的とはいえ、正規に貸金業の登録をしていない業者と取り引きした件に絡んで、秋元氏が業者側の要請を受けて貸金の『取り立て』をしたようなんです」 さる政府筋はそう明かした。いったい何事なのか。 事の発端は、2016年7月に遡るという。東レがバングラディシュで受注した水処理装置の販売が、同国内で発生したイスラム過激派によるテロ事件を機に、治安が悪化したことなどの影響で頓挫してしまったのである。 だが、すでに装置は製造段階に入っていた。そのため処理に窮した東レは販売代理店3社に装置を引き取ってもらった上、さらにその後の引き受け先も探した。これが2017年6月のことだ。 引き受け先として白羽の矢が立てられたのは、中国や東南アジア向け事業のコンサルを行うO社だった。東レ水処理事業部の営業部長であったF氏は、 「うちの関連会社が在庫として抱えている水処理装置を買い取ってくれないか。資金調達ではうちが連帯保証するし、転売にも全面的に協力する。売れ残ったものは、高値で引き取る」 と好条件でかき口説いた。 そこで応諾したO社だったが、蓋を開けてみると、東レの連帯保証があろうとも資金調達は容易でなかった。それでも、最終的に数社から資金を借り受け、東レ側の要求を満たした。 だが、問題がすぐに発生した。関係者が語る。 「慌てて資金調達に走ったO社は足元を見られたんでしょう。昨年4月に飛び込み営業をかけてきたL社から2億4000万円の融資を受けたのですが、このL社、本業は広告や経営コンサル。つまりは、貸金業者ではないのです。 しかも、融資は2ヵ月という短期で、高金利。月利8%にもおよぶ法外なものでした。そのため、O社は金利の支払いにも苦慮してしまい、借入期間を延長。8月に完済するまでに7000万円もの金利を払わされてしまったのです」 この最中、秋元議員が登場したのだ、という。現在、貸金業法違反の容疑でこの融資について捜査を開始した警視庁の捜査幹部が語る。 「8月の完済日直前に秋元議員が東レの日覺(昭廣)社長に電話を入れていた。L社の実質的なオーナーが知人を介して秋元議員に依頼したからだが、議員は日覺社長に対して『O社が返せないなら、連帯保証人となっている東レが資金を返済するべきではないか』との旨を口にしたという」』、前経団連会長会社が受注した水処理装置のキャンセルを表面化させないためとはいえ、「コンサルを行うO社」に泣きを入れて好条件で引き取ってもらい、資金はヤミ金融で手当てしたとはみっともない。しかも、以下のように返済でトラブったということは、O社による装置の売却も上手くいかなかったのだろう。
・『内部文書に書かれていたこと  この電話の件はすぐにF氏にも伝えられ、F氏はO社に至急返済するよう迫った。その結果、O社はほかから借り入れた資金をL社への返済に充てることにし、翌日に振り込みを行ったという。 「しかし、L社から秋元議員への報告がなかったのか、議員はその1週間ほど後に再度、社長宛に返済要請の電話を入れている。まあ、よほど強力な依頼だったのだろう」 と、捜査幹部は付言した。 秋元議員は、こうした一連の疑惑を報じた週刊文春の取材に対して、電話を入れたことも、L社のことについても「知らない」と繰り返している。完全否定したわけである。また週刊文春発売当日には、事務所を通じて「そうした(=ヤミ金融の借金を取り立てた)事実は全くない」とのコメントも出した。 だがその際、「知らない」との前言を撤回するような説明も自身のFacebook上で行っていた。 「知人から相談があり、東レに債務の連帯保証をしているか確認するため電話したところ、社長から『そのような事実はない』と回答があった」「借金の支払いを求めたという記事は、事実に反する」との見解を示したのだ。「知らない」という発言と食い違っている。 しかも、この「修正版」の見解も腑に落ちない。それというのも、こんな書面があるからだ。《秋元 司様 前略 平素は大変お世話になり誠にありがとうございます。 扨て、弊社が平成30年4月18日付けにて株式会社L社〈書面では実名。以下同〉様より2億4千万円をお借入した案件では、平成30年8月6日(その後8月10日に繰り戻し〈原文のママ〉振込み)までに借入金全額のご返済は完了致しております。(中略) 東レ株式会社 水処理システム事業部 営業部長 F》 この書面は、差出人のO社が、返済を迫る金主たちに事情説明のために渡した資料の一部で、同社が控えとして保有していたものだ。 書面には、はれ物に触るかのように、「金利について今後、L社らに疑義を唱えることや提訴するような動きは一切しない」と確約する記述まで盛り込まれていた。 もし秋元議員が支払いを求めていないと言うなら、なぜこんな書面が存在するのだろうか。(リンク先には書面のコピー(上記よりやや詳しい)』、議員にとっては口利きはメシの種だろうが、やっていいことと、悪いことの区別もつかないのでは、議員失格だ。
・『警察も関心を示している  弁護士資格のない者が借金の返済などを当事者に代わって求める行為は、俗に「非弁行為」と言われ、違法とされる。弁護士法72条の規定に基づくもので、条文ではこう記されている。《弁護士でない者は報酬を得る目的で法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない》 要するに、もし秋元議員がL社から報酬に相当するものを得て、債務返済という法律事務を代理したとすれば、違法になるということだ。 貸金業法違反事件の捜査を続ける警視庁は、この点にも注目しているという。 「そもそも、L社と秋元議員がいかなる関係なのかも気になる。L社への資金提供者には株価操作事件での逮捕歴があるし、また実質的なオーナーにも、経済事件への関与を指摘する声が多い。そうした企業と国会議員がなぜつながるのか。 ひょっとすると、相手の素性を知らずに交際を始め、気づいた時には関係を断てない状況に陥っていたのかもしれない。こうした交際は政治家にとって弱みになる。今回の件も、その弱みの延長線上にあった可能性がある」 前出の捜査幹部は、そう語り、今後の捜査の広がりをにおわせた。 それにしても、秋元議員の言う「知人」とは、どんな人物なのか。また、「取り立て」はあったのか否か。改めて秋元議員に尋ねると、下記のような回答があった。「(知人について)メディア関係者であり、個人的な知り合いです。(「取り立て」について)既に返済が終わっていた件であり、ご質問、ご指摘のような会話はした覚えはありません」 4月はじめには、道路整備をめぐって安倍首相や麻生太郎副総理を「忖度した」と発言した塚田一郎国交副大臣、さらに不適切発言を繰り返した桜田義孝五輪担当相を次々と更迭した安倍官邸だが、この問題については沈黙を守っている。このままで済むとは考えにくいのだが……』、秋元議員の行為は明確な弁護士法違反だろうが、東レも絡んでいるだけに、司法当局がまたも忖度するとすれば、問題だ。野党も追及して欲しいものだ。
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働き方改革(その20)(同期の上司から受けたいじめと 無言で抗う役職定年社員、新入社員は短期間で劣化する 日本人の「仕事への熱意」は世界最低レベル、「長時間労働がない」ドイツと日本の致命的な差 「仕事は原則8時間以下」が彼らのモットーだ) [経済政策]

働き方改革については、1月5日に取上げた。今日は、(その20)(同期の上司から受けたいじめと 無言で抗う役職定年社員、新入社員は短期間で劣化する 日本人の「仕事への熱意」は世界最低レベル、「長時間労働がない」ドイツと日本の致命的な差 「仕事は原則8時間以下」が彼らのモットーだ)である。

先ずは、健康社会学者(PhD)の河合 薫氏が3月12日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「同期の上司から受けたいじめと、無言で抗う役職定年社員」を紹介しよう』。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00013/?P=1
・『「相手にしてもらえないのが、こんなにも辛いことなのかと。自分がいつまで持つのか、自信がなくなってしまいました」役職定年になった会社員は、うつむいたままこう話した。 男性の会社では55歳になると、大まかには次の3つのキャリアプランから選択を強いられるという。 (1)役職を外れ、同じ職場に残る (2)人材派遣会社を1年間利用し、転職を検討する (3)関連会社に転籍する 彼は「会社に貢献したい」との思いから、同じ職場に残ることを選択した。ところが、そこで待っていたのは「集団いじめ」だったのである。 というわけで今回は「役職定年のリアル」を取り上げる。まずは男性の「今」をお聞きください。「青臭いこと言うようですが、私は会社に恩義を感じているんです。いろいろな現場を経験させてもらったし、上司にも恵まれました。なので、自分の経験を生かして後輩のサポーターになれればと考えていたんですが、周りは私を歓迎していませんでした。 ある程度、予想はしていましたが、『自分が前向きにやれば問題ない』と考えていたんです。 ところが、与えられるのは1人で切り盛りする仕事ばかりで、周りとの接触は一切なし。終わらなければ家に持ち帰らなくてはなりません。仕事の内容もあまり意味のあるようなものではなく、データを打ち込むだけの仕事だったり、関連会社との会合をセッティングする仕事だったり。 それで『若手を1人つけてほしい』と上にお願いしました。でも、無視されました。本当に無視です。無言で『あんた何言ってんだ?』というような蔑んだ目で見返されただけでした。 しかも、そういう上司の態度を若手も見てるでしょ。すると同じように無視するようになる。そこに「私」がいるのに、まるでいないように扱われる。今まで一緒にやってきた同僚や部下が、役職がなくなった途端、まるで小学生の“いじめ”のように無視するんです」』、大いにあり得そうな話だが、「『若手を1人つけてほしい』と上にお願いしました」、と要求した本人にも問題がありそうだ。
・『「あれは彼らのせめても抵抗だったんじゃないか」  彼はこう続けた。 「私は役職定年者が、役職から離れられず、偉そうに口を出したり、年下上司をあからさまに批判したりするのを見て、『ああはなりたくない』ってずっと思っていました。でも、今、自分が役職定年になり、あれは彼らのせめても抵抗だったんじゃないかと思うようになった。自分の居場所を確保するために抗っていたんじゃないかって。 シニア社員は、モチベーションが低いってよく言いますよね? でも、それはモチベーションを保てないような扱いを受けるからなんじゃないでしょうか。 私も『腐りたくはない』という思いと、相手にしてもらえないことへの屈辱感が、日々交錯してます。周りとの接点を意図的に断絶させられる苦痛は、想像以上です。自分がいつまで持つのか、自信がない。何よりもショックだったのは……最初に無視した“上”が、同期ってことなんです」 ……ふむ。 ここまで読んで、「この男性の性格に問題があるのでは?」だの、「役職定年する前の態度に問題があったのでは?」だの、「仕事があるだけいいじゃん」だの、男性側にも大きな原因があるのでは……と考えた人もいるかもしれない。 だが、そうやって「個人の問題」としたままでいいのか? というのが今回の私の問いかけである。 確かに、男性からの一方的な意見しか聞いていないので、ひょっとしたら「鶏と卵」のようなもので、男性に何がしかの問題があった可能性はある。 それでもやはり、「みなで無視」とは大人のすることか、と解せない。仮に「無視」が少々大げさな表現だったとしても、彼が「周りに軽んじられている」「モチベーションを保てない」と感じていたことは間違いないし、私が知る限り、同様に感じているシニア社員は決して少なくない。 そもそも会社という組織は「人」の集合体であり、さまざまな「感情」がうごめく場所だ。どんなにやる気があっても、自分に向けられる「感情」次第で、やる気がなえることは往々にしてある。 ただでさえ、役職定年者は「自分も、『働かない、お荷物社員』と思われているんじゃないか」という、ステレオタイプ脅威(Stereotype Threat)のプレッシャーを受けるだけに、他人の“まなざし”に過敏になる。 ステレオタイプ脅威は、「自分と関連した集団や属性が、世間からネガティブなステレオタイプを持たれているときに、個人が直面するプレッシャー」と定義され、その脅威にさらされた人は、不安を感じ、やる気が失せ、パフォーマンスが低下しがちだ。 例えば、「女性は数学が不得意」というステレオタイプが存在した場合、その“世間のまなざし”を意識した女性は、本当に数字が不得意になったり、「老人は物忘れがひどい」というステレオタイプは、本当に老人の記憶力を低下させる。「ウチの部下は使えない」と上司が、あっちこっちで言い続けていると、ホントに部下は使えなくなってしまうのだ』、相談者は既に「役職定年者」のケースを見て知っている筈の割には、自分がそれらと違うのかどうかを認識しているのだろうか、いささか頼りない印象を受ける。「ステレオタイプ脅威、・・・脅威にさらされた人は、不安を感じ、やる気が失せ、パフォーマンスが低下しがちだ」、初耳だが、納得できる話だ。
・『「下」だけではなく、「横」も「上」も“加害者”  人間とは自分を自分だけで定義できない。他人のまなざしに拘束され、自分を規定する。 であるからして、私はこれまで何度も、役職定年の是非について問い、「役職定年=働かないおじさん=無駄な人」と批判する若い社員の考え方に警鐘を鳴らす一方で、「心の定年」を勝手に迎えて会社にしがみつく働かないオジさんの“ケツを叩く”コラムを何本も書いた(「現実、企業は50歳以上を“使う”しかないのだ」「「50代社員は無駄」若手にそう思わせる会社の罪」ほか)。 ただ、今回の紹介したエピソードの“主犯”は、若手でも本人でもない。同期。自分と同年代で「自分の気持ち」を一番わかってくれてもいいはずの同期が、普通だったら「パワハラ」になりかねない行為を平然と繰り返し、それが若手に伝染し、「役職定年の孤立」を生じさせた。 「下」だけではなく、「横」も「上」も“加害者”……。役職定年者にとっては、あまりに過酷な環境と言わざるを得ない。 で、今回、私が彼のインタビューを取り上げた理由は、もう1つある。 最近、役職定年になったいわゆる“シニアスタッフ”と接する機会がとても増えたのだが、彼らに対する経営幹部たちの態度に、何とも言葉にし難いトゲトゲしさを感じていたのである。 例えば、講演会。以前は、お世話をしてくれるのは、課長よりちょっと下くらいの40歳前後の社員が中心だった。ところが最近は、年配のいわゆるシニアスタッフが控え室に案内してくれるパターンが増えた。 控え室に入るとほどなくして、経営幹部の方たちが挨拶に来る。大抵、2、3名。社長さんの時もあれば、部長さんの時もある。でもって、そういうお偉い方たちとお話をする時間は、私にとって会社の空気を察するとても貴重な時間だ。ご本人たちが考える以上に「その人の人間性と、周囲との関係性」が露呈する“人間ウォッチング”の場が、控え室といっても過言ではない。 例えば、お世話役のスタッフが一目置かれる存在だったり、幹部との関係性が近かったりする場合、控え室全体の空気がいい。「輪」ができるというかなんというか。誰1人として、そこにいる「人」が疎外されることのない「包まれた空気」を感じとることができる。 逆に、会社の人間関係が悪いと、幹部が入ってきた途端、空気が凍る。それまで笑顔で接していたお世話係の顔がこわばり、異様な緊張感が漂うようになる』、その通りだろう。
・『「やむにやまれず追い出し部屋を作った」  もちろんこれは私の“肌メーター”による、極めて主観的なものでしかない。 しかしながら、自分で言うのもなんだが、肌メーターの感度はかなり優秀。そのときの空気感はまんま講演会会場の空気であり、講演会後の懇親会にまで続き、そこで聞こえる“声”に「ああ、やっぱりそうなんだぁ〜」と納得することがほとんどなのだ。 で、話を控え室に戻すと……、シニアスタッフがアテンドしてくれた場合、経営幹部が入ってきてもシニアスタッフの態度が変わることはない。しかしながら、肌メーターが「極寒」を感じる会社の場合、幹部の方たちの視界にシニアスタッフが全く入っていない。 そうなのだ。そこに「いる」のに、まるで「いない」かのように振る舞う幹部が確実に存在し、とりわけ、同年代の、「あなただってやがて同じ立場になるかもしれないのよ!」と言いたくなるような人たちの冷淡な態度に、ちょっとばかり驚かれされるのである どこの会社でも、「女性活躍」とセットで「シニア活用」が掲げられているが、会社組織全体の意識改革を促すような取り組みなしにシニア活用問題は解決しないのではないか。「シニア社員のモチベーションをいかにして上げるか」という議論の大前提は、彼らは“やる気がない”というもの。だが、その前提そのものが間違っているとしか思えないのである。 例えば、終身雇用や年功序列が一般的ではない欧米では、基本的に年齢を基準にした処遇は行わない。管理職として生きる人材は、年齢に関係なく、限られたポストをめぐり厳しい競争に耐えねばならず、処遇に満足できなければ転職するかの二者択一を迫られることもある。その代わり、役職定年はない。 以前、グローバル展開を図るある日本企業が、グローバル基準に合わせ役職定年を廃止した。だが、人材の新陳代謝の阻害と人件費の高騰という二重の問題が重くのしかかり、「やむにやまれず追い出し部屋を作った」と、上級幹部社員が明かしてくれたことがあった。 なんとも皮肉な話ではあるが、このエピソードから分かるのは、そもそもの問題は「役職定年」という制度そのものではないってこと。言葉を変えれば、企業が「人」をどう育てるか? どう評価するか? どう処遇するか? という大きな視点での検討が必要なのだ』、正論で、その通りだ。
・『ごく一部を除き、誰もがそうなる  役職定年はそもそも、低成長期における中高年社員の増加を背景に、人件費コントロールの目的で広がった側面が大きい。極論すれば、役職定年となった社員は「やめてもらっても構わない」という考え方だ。当然、役職定年社員の活用という視点はもともと希薄なのだ。 一方、シニア活用がうまくいっている企業の方に話を聞くと、「定年まで働き続ける人を増やす」策を講じているケースが多い。つまり、「やめてもらう」が前提ではなく、「定年まで勤め上げてもらう=会社を去るまで貴重な戦力」を前提にさまざまな制度を導入し、社員教育を行い、役職定年になった社員の役割を明確にし、雇用の安定と福利厚生の整備を徹底しているのだ。「社員の経験は会社の宝物。長年企業を支えてきた土台を引き継ぐことが企業の成長には欠かせない」という経営哲学の下、長い年月をかけてひとつひとつ問題を解決しつつ、「誰もが年齢に縛られずに働き、パフォーマンスを発揮できる仕組み」の試行を積み重ねている。 例えば大和ハウス工業は、2003年にいち早く60歳定年後の「嘱託再雇用制度」を導入。その後、11年にはモチベーションの向上を目的に定年後も部門長処遇が可能になる「理事制度」を採用した。驚くべきなのは、60歳定年後に再雇用を希望する人が以前は50%だったのが、12年には70%にまで増加しているという事実である。13年には「65歳定年制」、15年には、定年以降も働き続けられる「アクティブ・エイジング制度」をスタート。60歳で役職定年になり、65歳で定年を迎えるが、その後も1年更新の嘱託社員として勤務することができる。嘱託社員は原則週休3日となるが、ボーナスも支給され、寮や社宅も利用可能だ。 もちろんある企業での成功事例が、他の企業でもそのまま使えるわけではないかもしれない。「50歳以上って、個人差がすごいあるでしょ」といったシニア雇用に関する難問も、すべてが解決できるわけではないだろう。 しかしながら、人手が足りない、役職定年社員は使えない、と嘆く前に、目の前にいる社員を、「会社に貢献したい」と考えている社員を、フルに生かす仕組みや組織風土を作る手間を惜しまないことが必要なんじゃないだろうか。 「まずは呼び名から!」と、「シニアスタッフじゃなく、シニアプロ」「シニアスタッフじゃなく、エルダースタッフ」「シニアスタッフじゃなく、メンタープロ」などとネーミングに工夫を凝らす例も増えつつあるようだが、ラインから外れた社員が「敗者」とならないような複線的なキャリアプランであったり、意欲が向上するようなちょっとした成果報酬であったり、それ以外にもできることはいろいろとあるはずだ。 「課長になれるのは7人に1人」と言われる時代。早い時期にラインを外れた社員、役職定年を迎えた社員――彼らは少数派ではないし、決して“敗者”ではない。ごく一部を除き、誰もがそうなる。そして、目を凝らせば、そこには貴重な経験やスキルが多く埋まっている。人手の確保がますます難しくなるこれからの時代、彼らがいなければ、会社組織は回らない。 そのことを胸に留めれば、もっと優しい気持ちで、相手を大切に感じられるのでは。きれいごとかもしれないけど、互いに尊重し合う組織風土なくして、未来はないと思う』、原則的にはその通りだが、役職定年者の経験やスキルの活用は、既存の指揮命令系統との関係など現実には難題が山積している。

次に、4月8日付けAERAdot.「新入社員は短期間で劣化する 日本人の「仕事への熱意」は世界最低レベル」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2019040500080.html?page=1
・『新しい年度がスタートし、新入社員の初々しい姿が街にあふれるこの季節、桜の花色に誘われるように初心を思い出し、新たな目標を立てた人も多いだろう。 だが、その志が続く人は少ないようだ。これまで、日本人は「勤勉」で「仕事熱心」だと世界中から思われてきた。いや、日本人自身もそう思ってきたはずだ。ところが、近年の調査では、そのようなイメージをくつがえすような結果が次々と出ている。 米国の調査会社ギャラップによると、日本人で「仕事に主体的に取り組む人」は全体のわずか6%。世界139カ国中で132位で、仕事への熱意は世界最低レベルだ。やる気のない社員は71%にのぼり、周囲に不平不満をまき散らしている社員も23%いた』、これは初耳で、驚くべき結果だ。
・『元号が「平成」に変わる前年の1988年、日本では栄養ドリンク「リゲイン」が発売されて「24時間、戦えますか」のフレーズが一世風靡した。仕事に全人生をかける会社員は、もはや遠い昔の話だ。 もちろん、モーレツサラリーマンに代表される昭和的価値観だけが人生なわけではない。IT技術が発達した21世紀の社会で、朝から晩まで会社で働き詰めるなど、時代遅れでしかない。得たい情報があれば手軽に入手でき、会いたい人がいればSNSで気軽につながることもできる。同僚や上司と“ノミニケーション”をしながら仕事の極意を教えてもらわなくても、学ぶ機会はあふれている。だが、今の日本人が情報化社会を十分に活用できているかというと、心もとない。 リクルートワークス研究所が全国の15歳以上の約5万人を対象に実施した調査によると、2017年の1年間で仕事に関わる自己学習をした人は、全回答者のうち33.1%しかいなかった。設問でたずねた「自己学習」とは、「本を読む」「詳しい人に話を聞く」といった手軽なものも含まれていたが、3分の2の人が「何もしていない」ことになる。同研究所の萩原牧子主任研究員は、こう話す。 「年齢別では、20代前半の約4割が自己学習をしていますが、年齢を重ねるとともに徐々に下がり、40代で約3割になります。学ばない理由について『転職や独立を予定していない』(17.2%)や『仕事や育児で忙しい』(15.0%)を大きく引き離して、51.2%の人が『あてはまるものはない』と回答しています。日本人の多くは、そもそも聞かれても特段の理由はないくらい、学ばないことを普通だと感じているのかもしれません」 ちなみに、学ぶ習慣について2回の退職経験がある人と比べると、一度も退職経験がない人は確率として4%低く、退職経験が3回以上ある人は4.3%高かった。日本企業の終身雇用と年功序列の雇用形態は、社員の学ぶ意欲を削いでいる可能性もある。 調査結果に異論もあるだろう。真っ先に思い浮かぶのが、「日本人は仕事が忙しすぎて、学ぶ時間が作れない」というものだ。残念ながら、これも事実ではない。同調査では、週労働時間が35時間未満の人が最も勉強しておらず(25.1%)、45~60時間未満の人が最も勉強している(34.6%)。さすがに、週60時間以上の「過労死ライン」を超えると割合が下がるが、それでも30.6%が何らかの学びをしている』、「週労働時間が35時間未満の人が最も勉強しておらず」というのは、ヒマだと問題意識も低いためなのだろうか。
・『希望を持って企業に入社した新入社員にとっては、これらはショックな結果かもしれない。就職や転職は人生の大きな転機だが、同僚や先輩たちのほとんどはスキルアップに興味がない。日々の仕事をただこなしているだけ。それが今の日本人サラリーマンの“平均的な姿”なのだ。 人口減少、少子高齢化、国際社会における地位低下……。日本は今、社会的にも経済的にも安定しているように見えて、近い将来、確実に大きな変化が訪れる。そのなかで、学ぶ習慣がなければ激しく変化する時代に追いつくことは容易ではない。 では、学ばない日本人は、どうすれば学ぶようになるのか。電通若者研究部プランナーで『仕事と人生がうまく回り出す アンテナ力』(三笠書房)の著書がある吉田将英氏は、こう話す。「多くの会社では人口構成がいびつで、上司の人数が多い。商品開発も高齢者向けが多く、若者の感性は尊重されにくい。そんな時代だからこそ、会社にこだわらなくてもいい。SNS時代だからいろんな人とつながることができるし、会社以外の組織で活動することも学びにつながるはずです。それが最終的に、意外な形で会社の仕事に良い影響を与えることもあります」  日本人が学ばなくなったのは個人の責任だけではない。厚生労働省の調査によると、社員一人あたりの教育訓練費は月額1112円(16年)で、1991年の1670円と比べると33%も減少している。企業が提供する学びの機会も減少している今、やはり自ら学習する姿勢が不可欠だ。前出の萩原氏は言う。 「『学び』と聞くと、多くの人が学生時代の試験対策や受験勉強など『負荷がかかるもの』を想像してしまう。しかし、情報化社会が進めば、詰め込み型の暗記学習の価値は低下していきます。一方、変化が激しい社会において、求められている学び行動は、答えがないもの、日常で感じた疑問に向き合う行動です。ふと感じた『なぜ』を解き明かす過程は本来はもっとワクワクする、楽しいもの。私たちは、『学び』の概念を改める必要があります」 前出の吉田氏も、こう話す。「たとえAI(人工知能)による効率化が進んで残業時間が減っても、学ばない人は学ばない。そもそも仕事に対する動機づけをあげるのは会社や上司の仕事ではありません。自分の好奇心を守り、育てること。身近なところに学ぶための“ラッキー”が転がっているので、まずはそれを知ることがスタートラインになるのではないでしょうか」 ギリシャ時代の哲学者アリストテレスは、自著『形而上学』の冒頭で「人は、生まれながらにして知ることを欲している」と書いた。かくいう記者も、日常に忙殺されて学ぶことから遠ざかり気味だ。あらためて新入社員が職場にやってくるこの季節に、学ぶこと、学び続けることの大切さを再認識したい。自戒を込めて』、「同僚や先輩たちのほとんどはスキルアップに興味がない。日々の仕事をただこなしているだけ。それが今の日本人サラリーマンの“平均的な姿”なのだ」というのは危機的だ。人事考課の項目に自己研鑽がある企業もあると思うが、こうした細かなことの積み重ねが重要なのではなかろうか。

第三に、在独ジャーナリストの熊谷 徹氏が5月8日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「長時間労働がない」ドイツと日本の致命的な差 「仕事は原則8時間以下」が彼らのモットーだ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/273436
・『日本よりも労働時間が圧倒的に短いドイツ。にもかかわらず、名目GDP(2017年度)は世界4位にいます。ドイツ人にとって、「長時間労働がありえない理由」を在独ジャーナリストの熊谷徹氏が解説します。 日本とドイツはどちらも物づくりに強い経済大国だ。しかしその働き方には天と地ほどの違いがある。 まず、ドイツ人の労働時間は日本に比べて圧倒的に短い。OECDによると、ドイツの労働者1人あたりの2017年の年間労働時間は、1356時間で、日本(1710時間)よりも約21%短い。彼らが働く時間は、日本人よりも毎年354時間短いことになる。EU平均と比べても、約17%短い。ドイツ人の労働時間は、OECD加盟国の中で最も短い』、確かに年間労働時間の格差は顕著だ。
・『勤労者を守る「厳しい法律」  なぜドイツの労働時間は大幅に短いのだろうか。1つの理由は、法律だ。ドイツ政府は、勤労者の健康を守るために、労働時間についての法律による縛りを日本よりもはるかに厳しくしている。 ドイツの労働時間法によると、1日の労働時間は原則として8時間を超えてはならない。1日あたりの労働時間は10時間まで延長できるが、ほかの日の労働時間を短くすることによって、6カ月間の平均労働時間を、1日あたり8時間以下にしなくてはならない。 1日につき10時間を超える労働は、禁止されている。この上限については例外はありえず、「繁忙期だから」とか、「客からの注文が急に増えたから」という言い訳は通用しない。 経営者は、業務が増えそうだと思ったら、社員1人あたりの1日の労働時間が10時間を超えないように、社員の数を増やさなければならない。 さらに、監督官庁による労働時間の監視が日本よりも厳しい。事業所監督局という役所が時折抜き打ちで、企業の社員の労働時間の記録を検査する。その結果、企業が社員を組織的に毎日10時間を超えて働かせていることが判明した場合、事業所監督局は、企業に対して最高1万5000ユーロ(約195万円)の罰金を科すことができる。社員が労働条件の改善を要求しても経営者が対応しない場合には、社員が事業所監督局に通報することもある。 事業所監督局は、とくに悪質なケースについて、経営者を検察庁に刑事告発することもある。例えば企業経営者が一度長時間労働について摘発された後も、同じ違反を何度も繰り返したり、社員の健康や安全に危険を及ぼすような長時間労働を強制したりした場合である。 裁判所から有罪判決を受けた場合、企業経営者は最長1年間の禁錮刑に処せられる可能性がある。長時間労働を社員に強いるブラック企業の経営者には、罰金ばかりでなく刑務所も待っているのだ。つまり、労働時間の規制を守らない経営者は、「前科者」になるリスクを抱えている。 企業の中には、罰金を科された場合、長時間労働をさせていた部長、課長など管理職にポケットマネーで罰金を払わせることがある。さらに長時間労働を部下に強いていた管理職の社内の勤務評定は非常に悪くなる。このため、ドイツの管理職たちは繁忙期でも社員たちに対し口を酸っぱくして、1日10時間を超えて働かないように命じるのだ』、「ドイツの労働時間法」や「監督官庁による労働時間の監視」は大いに学ぶべきだ。日本は経営側に余りに優し過ぎる。
・『10時間を超える労働には警告  会社によっては、1日の労働時間が10時間近くなると、社員のPC画面に「このまま勤務を続けると労働時間が10時間を超えます。10時間を超える労働は法律違反です。ただちに退社してください」という警告が出るケースもある。 また、管理職のPCの画面に、部下の1日の労働時間が10時間を超えると警告が出るようにしている企業もある。このようにしてドイツの管理職たちは、売上高や収益を増やすだけではなく、部下たちの労働時間の管理にも心を砕かなくてはならないのだ。 日本の働き方改革は残業時間に上限を設けるものだが、ドイツでは1日あたりの労働時間に上限を設けている。これは大きな違いである。 ドイツの企業では、自宅のPCから企業のサーバーにログインして働く「ホーム・オフィス」制度も急速に広がっている。とくに金融サービス業界では、書類の大半が電子化されているので、自宅からの労働が可能になる。会議には電話で参加する。自宅で働いた時間は、会社に自分で申告する。 幼い子どもを抱える社員の間では、ホーム・オフィスは好評である。「毎週金曜日は、ホーム・オフィス」と決めている社員も少なくない。1990年代までドイツでは、社員に対して「午前9時から午後3時までは、オフィスにいる義務」を課す企業が多かったが、最近では「オフィスにいなくても、成果が上がればよい」と考えるのが当たり前になっている。 ドイツ政府と産業界が一体となって進めている製造業のデジタル化プロジェクト「インダストリー4.0」が普及すれば、銀行や保険会社だけではなくメーカーでも自宅からの作業が可能になる』、「10時間を超える労働には警告」にはここまでやるのか、と驚かされた。「ホーム・オフィス」制度も大いに見習うべきだろう。
・『有給休暇は「30日」が基本  もう1つ、日独の働き方の大きな違いは、有給休暇である。1963年、つまり今から半世紀以上前に施行された「連邦休暇法」によって、企業経営者は社員に毎年最低24日間の有給休暇を与えなくてはならない。 だが実際には、ドイツの大半の企業が社員に毎年30日間の有給休暇を与えている(有給休暇の日数が33日の企業もある)。これに加えて、残業時間を1年間に10日間まで代休によって振り替えることを許している企業も多い。つまり、多くの企業では約40日間の有給休暇が与えられていることになる。 さらに土日と祝日も合わせると、ドイツ人のサラリーマンは毎年約150日休んでいることになる。1年のうち41%は働かないのに会社が回っており、ドイツが世界第4位の経済大国としての地位を保っていられるのは、驚きである。 OECDが2016年12月に発表した統計は、各国の法律で定められた最低有給休暇の日数、法定ではないが大半の企業が認めている有給休暇の日数と、祝日の数を比較している。ドイツの大半の企業が認めている有給休暇(30日)と祝日(9~13日間=州によって異なる)を足すと、39~43日間となり世界で最も多い。日本では法律が定める最低有給休暇(10日)と祝日(16日)を足すと、26日間であり、ドイツに大きく水をあけられている。 日本の特徴は、法律が定める有給休暇の最低日数が10日と非常に少ないことだ。これはドイツ(24日)の半分以下である。しかも、ドイツでは大半の企業が、法定最低日数(24日)ではなく、30日という気前のいい日数の有給休暇を与えている。 日本では、継続勤務年数によって有給休暇の日数が増えていく。例えば、半年働くと10日間の有給休暇が与えられ、3年半以上働いた人の有給休暇日数は14日、勤続年数が6年半を超えると、20日間の有給休暇を取れる。 これに対し、ドイツの大半の企業では、6カ月間の試用期間を無事にパスすれば、最初から30日間の有給休暇が与えられる。この面でも、日本のサラリーマンはドイツの勤労者に比べて不利な立場に置かれている。 さらに、日独の大きな違いを浮き彫りにするのが、有給休暇の取得率である。旅行会社エクスペディア・ジャパンが2018年12月に発表した調査結果によると、同年の日本の有給休暇取得率は50%。これは、同社が調査した19カ国の中で最低である』、日本の有給休暇については、「法律が定める有給休暇の最低日数が10日と非常に少ない」だけでなく、「取得率は50%」と「9カ国の中で最低」(私が考えていたより高いとはいえ)というのは、やはり問題だ。
・『「有給取得率100%」が常識  ドイツは、エクスペディアの統計に含まれていない。しかし、私がこの国に29年住んでさまざまな企業を観察した結果から言うと、ドイツ企業では管理職を除く平社員は、30日間の有給休暇を100%消化するのが常識だ。 有給休暇をすべて取らないと、上司から「なぜ全部消化しないのだ」と問いただされる会社もある。管理職は、組合から「なぜあなたの課には、有給休暇を100%消化しない社員がいるのか。あなたの人事管理のやり方が悪いので、休みを取りにくくなっているのではないか」と追及されるかもしれない。したがって、管理職は上司や組合から白い目で見られたくないので、部下に対して、有給休暇を100%取ることを事実上義務付けている。 つまり、ドイツの平社員は、30日間の有給休暇を完全に消化しなくてはならない。日本人のわれわれの目から見ると、「休暇を取らなくてはならない」というのは、なんと幸せなことだろうか。しかも毎年30日、つまり6週間である。 さらに、エクスペディアの調査によると日本では、「有給休暇を取る際に罪悪感を感じる」と答えた人の比率が58%と非常に高かった。フランスでは、この比率はわずか25%だ』、日本では有給休暇を病気に備えてとっておく傾向が強いが、ドイツやフランスでは病欠でも不利にならない制度的手当てがあるのかも知れない。いずれにしても、日本のサラリーマンは、低いと言われている生産性を上げて、有給休暇をもっと取れるようにメリハリのある働き方が求められているのだろう。
タグ:東洋経済オンライン ギャラップ 日経ビジネスオンライン 役職定年 河合 薫 働き方改革 熊谷 徹 AERAdot. リクルートワークス研究所 (その20)(同期の上司から受けたいじめと 無言で抗う役職定年社員、新入社員は短期間で劣化する 日本人の「仕事への熱意」は世界最低レベル、「長時間労働がない」ドイツと日本の致命的な差 「仕事は原則8時間以下」が彼らのモットーだ) 「同期の上司から受けたいじめと、無言で抗う役職定年社員」 今まで一緒にやってきた同僚や部下が、役職がなくなった途端、まるで小学生の“いじめ”のように無視するんです ステレオタイプ脅威 その脅威にさらされた人は、不安を感じ、やる気が失せ、パフォーマンスが低下しがち 「下」だけではなく、「横」も「上」も“加害者” 「やむにやまれず追い出し部屋を作った」 「女性活躍」とセットで「シニア活用」が掲げられているが、会社組織全体の意識改革を促すような取り組みなしにシニア活用問題は解決しないのではないか そもそもの問題は「役職定年」という制度そのものではないってこと。言葉を変えれば、企業が「人」をどう育てるか? どう評価するか? どう処遇するか? という大きな視点での検討が必要なのだ 互いに尊重し合う組織風土なくして、未来はないと思う 「新入社員は短期間で劣化する 日本人の「仕事への熱意」は世界最低レベル」 日本人で「仕事に主体的に取り組む人」は全体のわずか6%。世界139カ国中で132位で、仕事への熱意は世界最低レベルだ 全国の15歳以上の約5万人を対象に実施した調査によると、2017年の1年間で仕事に関わる自己学習をした人は、全回答者のうち33.1%しかいなかった 週労働時間が35時間未満の人が最も勉強しておらず(25.1%)、45~60時間未満の人が最も勉強している(34.6%) 同僚や先輩たちのほとんどはスキルアップに興味がない。日々の仕事をただこなしているだけ。それが今の日本人サラリーマンの“平均的な姿” 社員一人あたりの教育訓練費は月額1112円(16年)で、1991年の1670円と比べると33%も減少 「「長時間労働がない」ドイツと日本の致命的な差 「仕事は原則8時間以下」が彼らのモットーだ」 ドイツの労働者1人あたりの2017年の年間労働時間は、1356時間で、日本(1710時間)よりも約21%短い。彼らが働く時間は、日本人よりも毎年354時間短いことになる。EU平均と比べても、約17%短い ドイツ人の労働時間は、OECD加盟国の中で最も短い ドイツ政府は、勤労者の健康を守るために、労働時間についての法律による縛りを日本よりもはるかに厳しくしている 日につき10時間を超える労働は、禁止 監督官庁による労働時間の監視が日本よりも厳しい 10時間を超える労働には警告 「ホーム・オフィス」制度も急速に広がっている 有給休暇は「30日」が基本 連邦休暇法 毎年最低24日間の有給休暇を与えなくてはならない 実際には、ドイツの大半の企業が社員に毎年30日間の有給休暇を与えている 土日と祝日も合わせると、ドイツ人のサラリーマンは毎年約150日休んでいることにな ドイツの大半の企業が認めている有給休暇(30日)と祝日(9~13日間=州によって異なる)を足すと、39~43日間となり世界で最も多い 日本では法律が定める最低有給休暇(10日)と祝日(16日)を足すと、26日間 ドイツの大半の企業では、6カ月間の試用期間を無事にパスすれば、最初から30日間の有給休暇が与えられる 日本の有給休暇取得率は50% 9カ国の中で最低 「有給取得率100%」が常識 日本では、「有給休暇を取る際に罪悪感を感じる」と答えた人の比率が58%と非常に高かった フランスでは、この比率はわずか25%
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ソフトバンクの経営(その10)(ソフトバンク・ビジョン・ファンド 出資のサウジなどが不満、ソフトバンク いまごろヤフーを連結子会社化するワケ、顧客離れに苦しむ米スプリント ソフトバンクに暗雲、ソフトバンク 「ジャンク級」でも貸したい銀行の事情) [企業経営]

ソフトバンクの経営については、2月17日に取上げた。今日は、(その10)(ソフトバンク・ビジョン・ファンド 出資のサウジなどが不満、ソフトバンク いまごろヤフーを連結子会社化するワケ、顧客離れに苦しむ米スプリント ソフトバンクに暗雲、ソフトバンク 「ジャンク級」でも貸したい銀行の事情)である。

先ずは、2月20日付けダイヤモンド・オンラインが米紙WSJ記事を転載した「ソフトバンク・ビジョン・ファンド、出資のサウジなどが不満」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/194594
・『ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が率いる「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」。10兆円規模のこのハイテク投資ファンドに対して、二大出資者であるサウジアラビアとアブダビの政府系ファンドが、ビジョン・ファンドの運用を担うソフトバンクへの不満を募らせている。火種となっているのは投資先の評価額の高さや、投資判断に対する孫正義社長の影響力の大きさだ。 サウジのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)とアブダビのムバダラ・インベストメントは、ビジョンファンドの資本のうち約3分の2を拠出している。両ファンドを満足させられなければ、孫氏が追加資金を確保したり、新ファンドを立ち上げたりすることは難しくなる。 複数の関係者によると、PIFとムバダラは非公式の場で、ビジョン・ファンドが一部投資先に支払った金額についての不満をあらわにした。また関係者の1人は、まずソフトバンクが投資してからその株式をより高い金額でビジョン・ファンドに移管するという手法について、PIFが懸念していると話した。 一部の投資家はPIFに対し、孫氏がファンド幹部の投資判断を却下することがあり、ファンドの意思決定のプロセスが混沌(こんとん)としていることから、土壇場で判断が覆ることも多いと不満を漏らした』、「約3分の2を拠出している」両ファンドが不満というのは穏やかならざる事態だ。
・『2017年半ばの立ち上げ以来、ビジョン・ファンドが明らかにした投資などは総額約600億ドル(6兆6600億円)に上る。投資先には配車サービスの米ウーバー・テクノロジーズや、共有オフィス賃貸の米ウィーワークも名を連ねる。関係者によると、全体の4分の3程度の出資先は決定済みで、ファンド幹部はさらに数十億ドルの調達を検討している。 ビジョン・ファンド、PIF、ムバダラはいずれも関係は良好だとし、PIFとムバダラはビジョン・ファンドの戦略、ガバナンスへの支持を表明している。 複数の関係者によると、両者の緊張の一因は、過去の出資や出資待ち案件の評価額の高さにある。ウィーワークのほか、顔認識技術を開発する香港のセンスタイムなどがやり玉に挙げられている。 ソフトバンクはウィーワークに最大160億ドル出資予定だったが、PIFやムバダラの反対を受け、1月には20億ドルに減らすことを決めた。 ビジョン・ファンドへの投資家は、ソフトバンクがまず自ら投資して、後にビジョン・ファンドに株式を移管するという手法にも不満を抱いている。 PIFとムバダラに近いある人物は、ソフトバンクが両ファンドを犠牲にして、テクノロジー企業の高い評価額に乗じて利益を得ている可能性があることに対し、懸念を表明した。届け出によれば、ソフトバンクがビジョン・ファンドに移管・売却したか、あるいは今後売却予定の株式の価値は少なくとも263億ドルに上る。これら株式の取得に費やしたのは合計249億ドルほどだ』、「ソフトバンクがまず自ら投資して、後にビジョン・ファンドに株式を移管するという手法」は結果的には利益相反行為に相当するが、大いにあり得ることだ。ただ、「今後売却予定の株式の価値は少なくとも263億ドル」、「これら株式の取得に費やしたのは合計249億ドル」ということであれば、移管による益出しの余地は小さくなったようだ。
・『移管済みまたは移管予定の株式には、中国の配車サービス大手の滴滴出行(ディディチューシン)株も含まれる。ソフトバンクは滴滴出行を59億ドルで取得し、ビジョン・ファンドに68億ドルで売却することで合意している。また昨年、インドの宿泊予約サイト運営会社OYO(オヨ)の株を移管した際には、2015年の取得額1億ドルの2倍の額を手にした。 問題になっているのは、ソフトバンクが投資にかかった手数料を上乗せしていることではなく、市場価値が上がっているときに株式を移管することが多いため、ビジョン・ファンドが損失を被る可能性があるという点だ。 時にはソフトバンクが自ら投資先の資金調達ラウンドを主導して、評価額の引き上げを招いたこともある。関係者の話では、最近の資金調達でOYOの評価額は50億ドル近くに達したが、これはソフトバンクが初出資した2015年当時の13倍にあたる。 ソフトバンクは今月、投資家向け説明会で、ビジョン・ファンドの投資は2018年末時点で第三者による評価を受けたとしたほか、評価額は主要投資家が選定した独立コンサルタントによる確認作業や監査など、いくつもの段階をへて決まると述べた。 評価額に対する懸念は、投資プロセス、特に孫氏の権限についての懸念と強く結びついている。複数の関係者によると、孫氏は最近、協力先の反対を振り切って、中国で中古車のネット売買プラットフォームを運営する車好多集団への投資を決めた。投資額は最大15億ドルだという。車好多は最近、あるライバル企業から不正行為を指摘されていた。 車好多は不正行為を否定している。孫氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、ソフトバンクは独自のデューデリジェンス(資産査定)を行い、競合の訴えは事実無根だったことが判明したと述べた。 関係者によれば、この投資額に基づく車好多全体の評価額は85億ドルとなる。同社と競合する中国企業で、米ナスダック市場に上場するユウシン(Uxin)の時価総額は11億8000万ドル、香港上場のイーシン(Yixin)・グループの時価総額は17億5000万ドルだ』、車好多の「評価額は85億ドル」というのは、ユウシンやイーシンに比べ法外に高過ぎるような気もするが、「投資額は最大15億ドル」であれば、大したことはない、といえるのかも知れない。

次に、5月9日付け日経ビジネスオンライン「ソフトバンク、いまごろヤフーを連結子会社化するワケ」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/050800325/
・『ソフトバンクグループの国内通信子会社ソフトバンクは2019年5月8日、兄弟会社であるネット大手のヤフーを第三者割当増資を通じて連結子会社化すると発表した。6月までに4565億円を投じてヤフーが新規発行する15億1147万8050株を取得する。 両社はもともとサービスの連携を強めて相互送客を図ってきた。例えばヤフーが17年2月から始めた「ポイント10倍キャンペーン」。ヤフーショッピングの利用で与えられるポイントは、通常100円の買い物につき1ポイント。それに対して、ソフトバンクのスマホ利用者には10倍の10ポイントをつけた。これもあって17年4~9月期のヤフーショッピングの取扱高は前年比39%増の1407億円と大きく伸びた。 こうした取り組みを加速させるのがヤフー子会社化の主な目的だ。ソフトバンクの宮内謙社長は同日開催した決算会見で「非通信の分野をより強化するため」とヤフー子会社化の狙いを説明。背景にはソフトバンクが主戦場としてきた国内通信市場は成熟が進んでいることがある。ポータルサイトで高いシェアを持ちEC(電子商取引)でも幅広いユーザーを持つヤフーとの連携強化で成長を維持したい考えだ』、ソフトバンクにとっては、予想される業績伸び悩みをヤフーでなんとかカバーしたいのだろうか。
・『一方で、ヤフーの経営がこれまでもソフトバンクグループの意向に左右されてきた面がある。2009年にソフトバンクがデータセンター子会社を約450億円でヤフーに売却。14年に勃発したヤフーによるイー・アクセス買収中止騒動も記憶に新しい。当時、ヤフーは国内携帯電話4位だったイー・アクセスをソフトバンクから買収すると発表。ヤフーの検索サービスなどを手軽に利用できるスマホの開発などの成長戦略を打ち出したが、この買収でソフトバンクに約4500億円を支払うことが判明した。ヤフーの株主が「親会社の資金繰りを助けるためか」と反発する中、計画は発表から2カ月で白紙に戻った。こうした経緯はありながらも、兄弟関係から親子関係に変わるソフトバンクとヤフー。資金の融通にとどまらず、通信とネットを融合させた魅力的なサービスの創出など真の相乗効果につなげられるか』、「兄弟関係から親子関係に変わる」ことが「魅力的なサービスの創出」にどうつながるのか、具体的に指摘して欲しかった。

第三に、5月10日付けロイター「アングル:顧客離れに苦しむ米スプリント、ソフトバンクに暗雲」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/sprint-softbank-analysis-idJPKCN1SG04M
・『米携帯電話会社スプリントの業績が失速したことで、8割超を出資するソフトバンクグループの米通信事業に暗雲が立ち込めている。 ソフトバンクGはスプリントをTモバイルUSと合併させて非子会社化する計画だが、規制当局の承認が得られず、4月29日の合併手続き完了期限を3カ月延長した。孫正義社長は9日の会見で「事業は苦しいながらも一応、順調に行っている」と語ったが、不透明感は増すばかりだ。スプリントの2019年1─3月期の純損益は、21億7400万ドルの赤字に転落した。前年同期は6900万ドルの黒字だった。20億ドル(2220億円)の減損損失を計上したことに加え、携帯電話契約数が予想以上に減少したことが足を引っ張ったが、市場では値引きをしても顧客を引きとめられない状況に存続を危ぶむ声が広がっている。 ニュー・ストリート・リサーチのアナリスト、ジョナサン・チャップリン氏は「スプリントは現在の資本構造では単体で存続しないだろう」との見方を示した。 ソフトバンクは起死回生策として、スプリントをTモバイルUSと合併させる計画を1年前に打ち出したが、合併を審査する米規制当局の動きは鈍い。寡占化により競争が後退することを懸念しているためだ。 孫社長は「Tモバイルにとっても、スプリントにとっても、アメリカの消費者にとっても、国家戦略として第5世代(5G)ネットワークを強化する観点からも、合併が実行されるのがベストだと信じている」と合併に理解を求めた。 だが、審査する米司法省は現在の形での合併に難色を示しており、合併を実現するには「身を切る新たな計画」が必要だ。 スプリントとTモバイルUSは4月、米連邦通信委員会(FCC)に対して、合併しなければデータ需要に対応し続ける能力がなくなり、値上げをせざるを得なくなると窮状を訴えた。これにより、もはや単独では生き残れないという厳しい現実が、世間に知れ渡った。 窮状を訴えれば訴えるほど、不安から契約をためらう消費者が出てくることは容易に想像できる。しかし、そこまでしてでも承認アピールをしなければならないところに、同社が置かれている厳しい状況が垣間見える。 ソフトバンクグループが9日発表した2019年3月期の営業利益は、前年比1.8倍の2兆3539億円だった。ビジョンファンドとデルタファンドからの利益は1兆2566億円(前期は3029億円)となり、利益の過半を稼ぎ出した。 ただ、その大半は未実現の評価益(含み益)であり、2000年代初期に起こったインターネットバブルの崩壊と同じようなことが起きれば、逆回転しかねない。 利払いなど6000億円を超える財務費用が重くのしかかる中で、4兆円超の負債を抱えるスプリントの連結外しに失敗すれば、信用力にネガティブな影響が出るのは必至だ。 野村証券・アナリストの増野大作氏は、8日付のリポートで「ソフトバンクグループのスプリントに対する回収可能額は連結簿価とほぼ同じ水準にとなり、今後の米国携帯電話市場の動向やスプリントの収益状況に従来以上に注意を払う必要がある」と警鐘を鳴らしている』、孫社長はトランプ大統領には当選直後に面談しており、認可は簡単にいくと思わせたが、「審査する米司法省は現在の形での合併に難色を示しており」、と難航しているようだ。孫社長には次の一手があるのだろうか。

第四に、5月16日付けダイヤモンド・オンラインがWSJ記事を転載した「ソフトバンク、「ジャンク級」でも貸したい銀行の事情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/202501
・『15兆円を超える負債を抱え、信用格付けがジャンク(投資不適格)級のソフトバンクグループ(SBG)は、これ以上借り入れの余地があるように見えないかもしれない。だが銀行関係者は依然、世界最大のテクノロジー投資家である同社への融資機会を狙っていると話す。 理由の1つは、SBGとの関係がもたらす巨額の手数料だ。融資に伴う利息のみならず、孫正義会長兼社長が次々と手掛ける取引により、投資銀行業務の手数料が発生するからだ。 もう1つの理由はここ数年の戦略転換にある。極めつけは昨年行った組織改正により、銀行も信用格付け機関も、同社を携帯電話事業者ではなく、投資持株会社とみなすことが可能になったことだ。SBGは今も米通信大手スプリントおよび日本の通信事業者ソフトバンクの親会社ではあるが、金融機関は今や、孫氏がかねて主張している通り、仮にスプリントが債務の支払いに困っても、SBGが肩代わりする必要はないとの見方に傾きつつある。 孫氏は先週、親会社のSBGは独立採算の子会社に対する債務保証をしておらず、むしろ「代理弁済をしてはならない」と語った。「SBGの株主からすると、弁済義務がないのに代理して払うのは株主価値を毀損(きそん)することになる」 スプリントは最近、米規制当局に対して「持続可能な競争の道筋を描けない」と述べた上で、同業のTモバイルUSとの合併を当局に阻止されれば、連邦破産法11条の適用申請を検討せざるを得なくなるというアナリストの見解を引用した』、スプリントが「合併を当局に阻止されれば、連邦破産法11条の適用申請を検討せざるを得なくなるというアナリストの見解を引用」とはいえ、自ら破綻の淵にあることを事実上認めた瀬戸際作戦に打って出たのはよほどのことだ。これによりスプリントの新規顧客獲得は一段と困難にならざるを得ない筈だ。
・『数年前までSBGは日本の通信事業部門を100%所有し、アナリストや信用格付け担当者は(特に日本では)同社を主に通信企業とみなしていた。同社の負債総額15兆7000億円のうち、通信事業の負債が大部分を占めており、クレジットアナリストは法的な義務はどうあれ、SBGが通信事業の債務返済を免れるのは難しいと考えていた。 その後SBGは2017年、サウジアラビアの政府系ファンドの出資を受けて、10兆円規模の投資ファンド「ビジョン・ファンド」を立ち上げ、米配車大手ウーバー・テクノロジーズなど世界中の有望な新興企業に資金を投じ始めた。18年12月には日本の通信子会社を株式上場した。 上場後、信用格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスやS&Pグローバル・レーティングは、いずれもSBGを投資会社という分類に変更。その後S&Pは同社の格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げた。ムーディーズは継続的に投資収益を生むなら、格上げを検討する可能性があると述べた。SBGの社債格付けは両社とも投資不適格としている。 SBGに対する融資は、最終的に中国電子商取引大手アリババグループの株式といった価値ある資産が担保する形となる。一方、ビジョン・ファンドの借入金はウーバーやシェアオフィス運営大手ウィーワークのような企業への出資が担保している。SBGは、保有資産には2450億ドルの価値があるとしている。 ビジョン・ファンドの資産の不都合な点は、その多くがキャッシュフローを生んでいないことだ。ウーバーのような創業年数の浅い企業はまだ赤字を出し続けている。 「株主価値はすぐには債務返済につながらない」。東京の銀行関係者はこう話す。銀行は手元資金の多さや土地などの実物資産をより好ましく思うということだ。それでもこの人物によると、現在の債券投資家は、SBGは償還期限が来れば保有株式を裏付けに新たな債券を発行し、償還資金を確保できると確信している。 もう1つの問題は、SBGやビジョン・ファンドの保有株式の価値が変動するという点だ。SBGは先週、ビジョン・ファンドのウーバーへの16.3%の出資を巡り、38億ドルの評価益を計上した。ウーバー株は10日に上場してから18%下落し、SBGが同社株を取得した18年1月時点の株価に近づいている。 こうした現実をつきつけられてSBG株も急落した。14日には5.4%下落し、3カ月ぶり安値で取引を終えた。10日からの3営業日の値下がり率は13%を超えている。 だがビジョン・ファンドは、がん検査の開発を手掛ける米ガーダント・ヘルスや、インドの宿泊予約サイト運営会社OYO(オヨ)への出資では利益が出ているとしている。こうした利益は未実現利益であっても債券投資家への心理的効果があったと、野村証券のチーフ・クレジット・ストラテジスト、魚本敏宏氏は指摘する。ソフトバンクの5年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッド――ソフトバンクの債務不履行(デフォルト)に対する保証コスト――は約180ベーシスポイント(bp)まで縮小し、年初から100bp以上低下している』、昨年12月ソフトバンクを上場させたのは、「SBGを投資会社という分類に変更」させる狙いだったようだ。ウーバー株が「SBGが同社株を取得した18年1月時点の株価に近づいている」というのでは、「38億ドルの評価益を計上」は次期には評価損要因になる。それでも、CDSスプレッドが低下したのは、米格付会社が「SBGを投資会社という分類に変更」した効果が債券投資家には利いたようだ。
・『孫氏は9日、10兆円規模のビジョン・ファンド第2号を立ち上げる考えだと述べた。実現すれば、新たに巨大な投資基盤が生まれ、銀行にとっては手数料の増加を意味する。 リフィニティブのデータによると、SBGが昨年支払った投資銀行手数料は8億9400万ドルと世界1位で、2位の独製薬・化学大手バイエルの2倍以上だった。アストリス・アドバイザリー・ジャパンのチーフ・インベストメント・アドバイザー、デービッド・ギブソン氏は「誰も取り残されたくないと思っている」と話す。 SBGは10日、ビジョン・ファンドがみずほフィナンシャルグループやゴールドマン・サックス・グループを中心とする10行から4年・31億ドルの信用枠を確保したとアナリストに説明した。 事情に詳しい関係者によると、ビジョン・ファンドは昨年、パートナーから資金提供を受けるのを待つ間も投資ペースを維持するため、ゴールドマン・サックスやドイツ銀行、野村ホールディングスなどから約70億ドルの融資を受けた。SBGが昨年12月に携帯電話子会社を上場し、235億ドルを調達した際には、この3社を主幹事に起用した。3社はコメントを控えた。 ある東京の銀行関係者によると、SBGは100を超える銀行と取引している。その多くは財務状況を疑っているような印象を与えてチャンスを逃してしまうことを恐れているという。 「リスク分析はもはや関係ない」とこの人物は話す。各銀行の融資判断は他の銀行の動きをどのように予想するかで決まる「ゲーム理論のようなものだ」という。 SBGは日本の個人投資家からも積極的に資金を募っている。4月には個人向け社債を5000億円発行した。日本国内で発行される同種の社債では異例の規模だ。9日には1対2の株式分割を実施すると発表。個人投資家による取得を容易にする動きとみられる』、ビジョン・ファンドについては、大口出資者に不満があるとのことだったのに、「第2号を立ち上げる」というのは、大口出資者が了解したのか、或は、大手銀行に投資銀行手数料のアメを与えるためなのだろうか。いずれにしろ、「各銀行の融資判断は他の銀行の動きをどのように予想するかで決まる「ゲーム理論のようなものだ」」というのでは、銀行も巻き込んでかなりバブリーな様相を呈してきたようだ。SBGに関する不都合な情報(第2の記事を除く)がロイターやWSJなど海外メディアからしか流れてこず、国内系は沈黙したままというのも困ったことだ。  
タグ:ロイター スプリント WSJ 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 利益相反行為 ソフトバンクの経営 (その10)(ソフトバンク・ビジョン・ファンド 出資のサウジなどが不満、ソフトバンク いまごろヤフーを連結子会社化するワケ、顧客離れに苦しむ米スプリント ソフトバンクに暗雲、ソフトバンク 「ジャンク級」でも貸したい銀行の事情) 米紙WSJ ソフトバンク・ビジョン・ファンド、出資のサウジなどが不満」 火種となっているのは投資先の評価額の高さや、投資判断に対する孫正義社長の影響力の大きさだ ビジョンファンドの資本のうち約3分の2を拠出 ソフトバンクがまず自ら投資して、後にビジョン・ファンドに株式を移管するという手法にも不満 市場価値が上がっているときに株式を移管することが多いため、ビジョン・ファンドが損失を被る可能性がある 時にはソフトバンクが自ら投資先の資金調達ラウンドを主導して、評価額の引き上げを招いたこともある 第三者による評価 評価額は主要投資家が選定した独立コンサルタントによる確認作業や監査など、いくつもの段階をへて決まると述べた 車好多全体の評価額は85億ドル ユウシン(Uxin)の時価総額は11億8000万ドル、香港上場のイーシン(Yixin)・グループの時価総額は17億5000万ドル 「ソフトバンク、いまごろヤフーを連結子会社化するワケ」 兄弟会社であるネット大手のヤフーを第三者割当増資を通じて連結子会社化 両社はもともとサービスの連携を強めて相互送客 ポータルサイトで高いシェアを持ちEC(電子商取引)でも幅広いユーザーを持つヤフーとの連携強化で成長を維持したい考え ヤフーの経営がこれまでもソフトバンクグループの意向に左右されてきた面 ソフトバンクがデータセンター子会社を約450億円でヤフーに売却 4年に勃発したヤフーによるイー・アクセス買収中止騒動 「アングル:顧客離れに苦しむ米スプリント、ソフトバンクに暗雲」 スプリントの2019年1─3月期の純損益は、21億7400万ドルの赤字に転落 合併を審査する米規制当局の動きは鈍い。寡占化により競争が後退することを懸念しているためだ スプリントの連結外しに失敗すれば、信用力にネガティブな影響が出るのは必至 トランプ大統領には当選直後に面談 「ソフトバンク、「ジャンク級」でも貸したい銀行の事情」 信用格付けがジャンク(投資不適格)級のソフトバンクグループ 同業のTモバイルUSとの合併を当局に阻止されれば、連邦破産法11条の適用申請を検討せざるを得なくなるというアナリストの見解を引用した 信用格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスやS&Pグローバル・レーティングは、いずれもSBGを投資会社という分類に変更 CDS)のスプレッド――ソフトバンクの債務不履行(デフォルト)に対する保証コスト――は約180ベーシスポイント(bp)まで縮小し、年初から100bp以上低下 0兆円規模のビジョン・ファンド第2号を立ち上げる考え 「リスク分析はもはや関係ない」とこの人物は話す。各銀行の融資判断は他の銀行の動きをどのように予想するかで決まる「ゲーム理論のようなものだ」
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米中経済戦争(その7)(トランプ 対中関税を25%に 経済界は「支払うのは米国の国民と企業」と批判、米国激怒! 習近平が突然「喧嘩腰」になったワケ 改めて宣戦布告した中国 エスカレート必至の貿易戦争の行方、米国が「報復関税&ファーウェイ」で中国を“総攻撃”) [世界情勢]

米中経済戦争については、昨年12月24日に取上げた。今日は、(その7)(トランプ 対中関税を25%に 経済界は「支払うのは米国の国民と企業」と批判、米国激怒! 習近平が突然「喧嘩腰」になったワケ 改めて宣戦布告した中国 エスカレート必至の貿易戦争の行方、米国が「報復関税&ファーウェイ」で中国を“総攻撃”)である。なお、タイトルから「対立」をカットした。

先ずは、5月10日付けNewsweek日本版「トランプ、対中関税を25%に 経済界は「支払うのは米国の国民と企業」と批判」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/05/25-18.php
・『米政府は10日、中国からの2000億ドル相当の輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げた。 新たな関税は米東部時間10日午前0時1分(日本時間同午後1時1分)以降の輸出品に適用される。 対象となるのは5700品目以上。 米税関・国境取締局(CBP)によると、米東部時間10日午前0時01分までに中国を出発した貨物は10%の関税を適用する。 こうした猶予期間は、昨年の過去3回の関税引き上げには適用されていなかった。ただ、これまでの制裁関税は少なくとも3週間前に実施が通知されていた。今回は表明から約5日間での発動となった。 関税引き上げの対象分野で最も規模が大きいのは、インターネットモデム、ルーターなどのデータ伝送機器で約200億ドル。次にプリント基板(PCB)の約120億ドルが続く。 家具、照明、自動車部品、掃除機、建築資材なども対象になる』、小休止状態にあった米中経済戦争が再び再燃したようだ。
・『全米民生技術協会(CTA)のゲーリー・シャピロ最高経営責任者(CEO)は、関税を支払うのは、トランプ大統領が主張する中国ではなく米国の消費者と企業だと指摘。「われわれの業界は米国で1800万人以上の雇用を支えているが、関税引き上げは壊滅的だ」とし、「米国のテクノロジー部門では、昨年10月以降、すでに発動されている関税で毎月約10億ドルのコストが発生している。これは追加のコストを吸収できない小規模事業者、スタートアップ企業には死活問題になり得る」と述べた。 エコノミストや業界コンサルタントによると、米国の消費者が関税引き上げの影響を感じるには3─4カ月かかる可能性がある。小売り業者は輸入コストの増加を受けて、値上げを迫られるとみられている』、関税引上げは、中国の輸出企業のみならず、米国企業や消費者にとっても大きな痛手になる筈だが、その効果が現れるまでには「3─4カ月かかる可能性」とかなりのタイムラグがあるようだ。

次に、ジャーナリストの福島 香織氏が5月16日付けJBPressに寄稿した「米国激怒! 習近平が突然「喧嘩腰」になったワケ 改めて宣戦布告した中国、エスカレート必至の貿易戦争の行方」を紹介しよう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56398
・『米中貿易戦争はやはり激化せざるをえない、ということが今さらながらに分かった。双方とも合意を求めるつもりはないのかもしれない。 劉鶴副首相率いる中国側の交渉チームは5月にワシントンに赴いたが、物別れに終わり、米国は追加関税、そして中国も報復関税を発表。協議後の記者会見で劉鶴は異様に語気強く中国の立場を主張した。だが、交渉は継続するという。 4月ごろまでは、5月の11回目のハイレベル協議で米中間の貿易問題は一応の妥結に至り、6月の米中首脳会談で合意文書を発表、とりあえず米中貿易戦争はいったん収束というシナリオが流れていた。それが5月にはいって「ちゃぶ台返し」になったのは、サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道が正しければ、習近平の決断らしい。習近平はこの決断のすべての「責任」を引き受ける覚悟という。 では習近平はなぜそこまで覚悟を決めて、態度を急に反転させたのだろうか』、習近平による「ちゃぶ台返し」の背景を知りたいとことだ。
・『改めて宣戦布告した習近平  第11回目の米中通商協議ハイレベル協議に劉鶴が出発する直前の5月5日、トランプはツイッターで「米国は2000億ドル分の中国製輸入品に対して今週金曜(10日)から、関税を現行の10%から25%に引き上げる」と宣言。さらに「現在無関税の3250億ドル分の輸入品についても間もなく、25%の関税をかける」と発信した。この発言に、一時、予定されていた劉鶴チームの訪米がキャンセルされるのではないか、という憶測も流れた。結局、劉鶴らは9~10日の日程で訪米したのだが、ほとんど話し合いもせず、トランプとも会わず、物別れのまま帰国の途についた。 サウスチャイナ・モーニング・ポストなどは、トランプがこうした態度に出たのは、中国側の譲歩が足りないことに忍耐が切れたからであり、譲歩を拒んだのは習近平自身にすべて責任があると報じた。匿名の消息筋の話として「交渉チーム(劉鶴ら)は、次のハイレベル協議で、(妥結のために)習近平により多くの譲歩をするよう承諾を求めたが、習近平はこうした提案を拒否した」「責任は全部私(習近平)が負う」とまで言ったという。この習近平の断固とした姿勢を受けて、中国側交渉チームは、ワシントンに提案するつもりだった「最後の妥結案」を直前になって強硬なものに変更した。これにトランプのみならず、穏健派のムニューシンまで激怒し、今回の関税引きにつながった、という話だ。ならば、習近平に貿易戦争を終結させる意志はないということだろうか。 ではなぜ、劉鶴をあえてワシントンに送ったのか。 ホワイトハウスの発表によれば、トランプは習近平から「美しい手紙」を受け取ったそうだ。その中には習近平の「対話継続」の要望がしたためられていたという。手紙には、依然、協議が妥結することを望むとあり、「我々はともに努力し、これらのことを完成させましょう」とあったそうである。 トランプはこれに対し、次のように発言している。 「中国側は、交渉を最初からやり直したい、といい、すでに妥結に至っていた“知財権窃盗”の問題など多くの内容について撤回を要求してきた。こんなことはあり得ない」「中国側が交渉のテーブルに戻りたいなら、何ができるのか見せてもらおう」「関税引き上げは我々の非常にいい代替案だ」 これに対する中国側の立場だが、劉鶴がワシントンを離れる前の記者会見でこんな発言をしている。新華社の報道をそのまま引用しよう。「重大な原則の問題において中国側は決して譲歩しない」「目下、双方は多くの面で重要な共通認識に至っているが、中国側の3つの核心的な関心事は必ず解決されなければならない。1つ目は、全ての追加関税の撤廃だ。関税は双方の貿易紛争の起点であり、協議が合意に達するためには、追加関税を全て撤廃しなければならない。 2つ目は、貿易調達のデータが実際の状況に合致しなければならないことで、双方はアルゼンチンで既に貿易調達の数字について共通認識を形成しており、恣意的に変更すべきではない。 3つ目は協議文書のバランスを改善させること。どの国にも自らの尊厳があり、協議文書のバランスを必ず図らなければならない。今なお議論すべき肝心な問題がいくつか存在する。昨年(2018年)以降、双方の交渉が何度か繰り返され、多少の曲折があったが、これはいずれも正常なものだった。双方の交渉が進行する過程で、恣意的に“後退した”と非難するのは無責任だ」「中国国内市場の需要は巨大で、供給側構造改革の推進が製品と企業の競争力の全面的な向上をもたらし、財政と金融政策の余地はまだ十分あり、中国経済の見通しは非常に楽観的だ。大国が発展する過程で曲折が生じるのは良いことで、われわれの能力を検証することができる」 このような自信に満ちた強気の発言は、劉鶴にしては珍しく、明らかに“習近平節”だ。 つまり、習近平は、米国との貿易戦争、受け立とうじゃないか、と改めて宣戦布告した、といえる。これは、3月の全人代までの空気感と全く違う。3月までは米中対立をこれ以上エスカレートさせるのは得策ではない、という共通認識があったと思われる。だが、習近平の全人代での不満そうな様子をみれば、習近平自身は納得していなかっただろう。貿易戦争における中国側の妥協方針は李克強主導だとみられている。 劉鶴をワシントンにとりあえず派遣したのは、中国としては米国との話し合いを継続させる姿勢はとりあえず見せて、協議が妥結にこぎつけなかったのは米国側の無体な要求のせい、ということを対外的にアピールするためだったのだろう』、習近平が「改めて宣戦布告した」背景には、何があるのだろう。
・『「台湾のため」に米国には屈しない  では貿易戦争妥結寸前、という段階で習近平が「俺が責任をもつ」といってちゃぶ台返しを行ったその背景に何があるのか。李克強派が習近平の強気に押し切られたとしたら、その要因は何か。 1つは台湾総統選との関係性だ。米中新冷戦構造という枠組みにおいて、米中の“戦争”は貿易戦争以外にいくつかある。華為(ファーウェイ)問題を中心とする“通信覇権戦争”、それと関連しての「一帯一路」「中国製造2025」戦略の阻止、そして最も中国が神経をとがらせているのが“台湾問題”だ。 台湾統一は足元が不安定な習近平政権にとって個人独裁政権を確立させるための最強カード。その実現が、郭台銘の国民党からの出馬表明によって視野に入ってきた。もちろん国民党内では抵抗感が強く、実際に郭台銘が総統候補となるかはまだわからないが、仮に総統候補になれば、勝つ可能性が強く、そうなれば、中台統一はもはや時間の問題だ。郭台銘は「中華民国」を代表して中国と和平協議を行う姿勢を打ち出している。だが、その「中華民国」とは、今の中国共産党が支配する地域を含むフィクションの国。双方が「中国は1つ」の原則に基づき、統一に向けた協議を行えば、フィクションの国が現実の国に飲み込まれるのは当然だろう。そもそも郭台銘に国家意識はない。大中華主義のビジネスマンであり、しかも共産党との関係も深い。彼は共産党と自分の利益のために台湾を売り渡す可能性がある。つまり今、台湾問題に関して、中国はかなり楽観的なシナリオを持ち始めている。 貿易戦争で中国側が全面的妥協を検討していたのは、そのバーターとして米国に台湾との関係を変えないでもらおうという狙いがあったからだ。だが中国に平和統一に向けたシナリオが具体的に見え出した今、米国にはそんなバーターに応じる余裕はない。台湾旅行法、国防授権法2019、アジア再保証イニシアチブ法に続き、台湾への武官赴任を認める「2019年台湾保障法」を議会で可決した。となると、中国にすれば、台湾のために貿易交渉で米国に屈辱的な妥協にこれ以上甘んじる必要性はない。妥協しても米国は台湾に関しては接近をやめないのだから』、台湾問題、しかも鴻海創業者の「郭台銘の国民党からの出馬表明」、までが絡んでいるとは初めて知り、驚かされた。シャープや鴻海にしてみれば、米中関係悪化で経営をしっかり舵取りしてもらわなければならない時期に、郭台銘が経営をおっぽり出して、政治に熱を上げるというのは最悪の事態だろう。願わくば、「総統候補」になれずに経営に復帰してほしいといったところだろう。
・『「バイデン大統領」を待ち望む中国  もう1つの可能性は、劉鶴の発言からも見て取れるように、貿易戦争が関税引き上げ合戦になった場合、「中国経済の見通しの方が楽観的」と考えて、突っ張れば米国の方が折れてくるとの自信を持っている可能性だ。 中国経済に関していえば、第1四半期の数字は予想していたよりも良かった。私は、これは李克強主導の市場開放サインや減税策に海外投資家が好感したせいだと思っているので、李克強の対米融和路線を反転させれば、また中国経済は失速すると思うのだが、どうだろう。 さらに、もう1つの背景として、大統領選挙の民主党候補にジョー・バイデンがなりそうだ、ということもあるかもしれない。バイデンは中国が長らく時間をかけて利権づけにしたパンダハガー(「パンダを抱く人」=親中派)政治家であり、実際彼は「中国は我々のランチを食べ尽くすことができるのか?」と語り、中国脅威論に与しない姿勢を示している。来年の秋にバイデンが大統領になるなら、習近平は妥協の必要がない。中国は今しばらく忍耐すればいいだけだ。むしろ、トランプを挑発して、その対中姿勢を不合理なほど過激なものにさせた方が、企業や一般家庭の受ける経済上のマイナス影響が大きくなり、トランプの支持率が落ちるかもしれない。次の大統領選で民主党政権への転換の可能性はより大きくなるかもしれない。 トランプがファーウェイ問題や一帯一路対策で、企業や周辺国に“踏み絵を踏ます”かのような圧力をかけるやり方は、一部では不満を引き起こしている。アンチ中国派のマレーシアのマハティール首相ですら、米中貿易戦争でどちらかを選べ、と迫られたら、「富裕な中国を選ぶ」(サウスチャイナ・モーニング・ポスト、3月8日付)と答えている。強硬な姿勢をとっているのはトランプの方だ、というふうに国際世論を誘導しようと中国側も懸命に動いている』、親中派をパンダハガーと呼ぶというのは、初めて知ったが、上手い表現だ。仮にバイデンが大統領になるのであれば、それを待つというのも手ではあるが、その可能性が低いとすればリスクが余りに大きいだろう。もっとも、「国際世論を誘導」する作戦は上手くいっているようだ。
・『2人の政治家の命運はいかに?  さて、私はこういった背景に加えて、若干の党内の権力闘争の要素も感じてしまうのだ。 というのも、サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道ぶりが、いかにも今回の貿易戦争の決裂は全部習近平の一存で決まった、とわざわざその責任に言及しているからだ。サウスチャイナ・モーニング・ポストは香港で発行されている日刊英字新聞である。アリババに買収されて以来、中国寄りの報道になっているが、厳密に言えば、曽慶紅や江沢民に近い。米中通商協議が決裂し、そのツケがマイナス影響として国内の経済、社会の表層に表れた場合は、習近平退陣世論を引き起こそう、などという曽慶紅ら、長老らの狙いを含んだ報道じゃないか、という気がしてしまった。 いずれにしろ、習近平が「責任は全部、俺がかぶるから」と言って、交渉のちゃぶ台返しを行ったのだとしたら、今後の中国の経済の悪化次第では、習近平責任論は出てくるだろう。あるいは、その前にトランプに対する米国内の風当たりが強くなるのか。 つまり貿易戦争の勝敗は、トランプと習近平のそれぞれの政治家としての命運もかかっている。その勝敗の行方を決める次のステージが大阪で行われるG20の場だとしたら、ホストの日本もなかなか責任重大だ』、習近平もかなりのリスクを取っているようだ。G20が見物だ。

第三に、元・経済産業省米州課長で中部大学特任教授の細川昌彦氏が5月17日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「米国が「報復関税&ファーウェイ」で中国を“総攻撃”」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00133/00007/?P=1
・『米中摩擦の“主旋律”と“通奏低音”が一挙に音量を増してクライマックスの展開になってきた。米国の対中戦略については、トランプ米大統領による報復関税合戦の“主旋律”と米国議会、政権幹部、情報機関など“オール・アメリカ”による冷戦モードの“通奏低音”に分けて見るべきだが、いよいよ両者が合体・共鳴してきた。 トランプ大統領による派手な報復関税合戦は表面的には非常に目立ち、耳目を集めている。これが私の言う“主旋律”だ。直前まで合意寸前と見られていた米中貿易交渉が一転、暗礁に乗り上げた。米国は2000億ドル分の中国製品に課す第3弾の制裁関税を10%から25%に引き上げ、さらに第4弾として制裁関税の対象を中国からの全輸入品に広げることを表明した。合意に向けて楽観論が市場を含めてまん延していただけに、衝撃を与えている。 今後、仮に急転直下合意があったとしても、それは“小休止”にすぎず、2020年の大統領選挙までは一山も二山も“主旋律”の見せ場を作って支持者にアピールするだろう。 他方、5月15日、米国は中国の通信大手、華為技術(ファーウェイ)に対する事実上の禁輸措置を発表した。米国の対中戦略の“通奏低音”とは、トランプ政権以前から高まる対中警戒感を背景とした根深い問題を指すが、今回の措置はその象徴的な動きで、「切り札」だ。 これは拙稿「米国は中国ファーウェイのサプライチェーン途絶に動く」(2019年2月5日)で予想した通りの展開だ。ファーウェイに対して、これまでの政府機関だけでなく、民間企業にも「買わない」「使わない」という規制を広げた。さらに、「買わない」「使わない」から「売らない」「作らせない」の段階にいよいよ突入したのだ。まさにトップギアに入った。 本丸ファーウェイに対してサプライチェーン(供給網)を封じる強力な手段で迫るものだ。グローバルなサプライチェーンを分断する影響も出てくるだろう。詳しくは前述の拙稿を参照されたい。 私がこの展開を予想した今年2月の段階で、既に米国政権はこの「切り札」の準備を進めていた。あとはカードを切るベストのタイミングを見計らっていたのだ。それが対中貿易交渉が暗礁に乗り上げた今だ。 1年前、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対して同様の措置を発動した際には、ZTEは経営危機に陥り、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席がトランプ大統領に制裁解除を頼み込んだ経緯がある。その効果を確信したトランプ大統領が習近平主席との交渉の「切り札」を切ったのだ。同時に、関税交渉と違って、米国議会が大きく関わり、トランプ大統領も安易な妥協はできないことには注意を要する。 さらに”通奏低音”はファーウェイ問題にとどまらない。この後には、中国への技術流出を阻止すべく、新型の対中COCOM(ココム=対共産圏輸出統制委員会)とも言うべき新技術の輸出管理を今年中にも導入すべく準備が進められている。着々と通奏低音は演奏する楽器の厚みを増しているのだ。 表面的な関税合戦ばかりに目を奪われず、こうした本質的な動きも進行していることを忘れてはならない』、「派手な報復関税合戦」が「“主旋律”」で、ファーウェイ問題などが「“通奏低音”」とは上手い表現だ。それらが「一挙に音量を増してクライマックスの展開になってきた」、「着々と通奏低音は演奏する楽器の厚みを増している」、などというのはその通りだろう。「新技術の輸出管理を今年中にも導入すべく準備が進められている」、というのもやっかいな問題だ。
・『日本企業も他人事ではない  ファーウェイ問題の日本企業との関わりは極めて重要なので、ここで再度警鐘を鳴らしたい。 現状でも日本の部材メーカーのファーウェイへの売り上げは年間7000億円程度にも上る。さらに、今後成長すると見込んでファーウェイへの売り込みを強化しようとしている日本企業も多い。 米国にとって意味ある規制にするためには、部材の供給能力のある日本による対中国の輸出管理の運用に関心が向いて当然だ。米国が「懸念顧客リスト」に載せて原則輸出不許可の運用をすると、日本政府による輸出管理の運用は独自の判断ではあるが、それを“参考にする”のが通例である。 しかしどのように“参考にする”のかは明確ではない。あくまで“機微度”に応じたケース・バイ・ケースの判断だが、日本企業も白黒がはっきりしない難しい判断を迫られることになる。要するに日本企業の経営者にとって、不慣れな「リスク・マネジメント」が重要になるのだ。 他方、ファーウェイも早くから米国政府の動きを察知して、危機感を持って米国以外からの部材の調達先の確保に奔走していた。日本の部材メーカーにとっても重要顧客であるだけに難しい対応を迫られることになる。少なくとも「『漁夫の利』を得ようとした」と米国から見られることのないよう、慎重さが必要になっている。 また日本で生産された製品の中に、米国から調達した部品が25%以上含まれていると、米国の規制対象になる(再輸出規制)ことも日本企業にとっては要注意だ。不注意で米国の規制違反になることがあってはならない』、「日本の部材メーカーのファーウェイへの売り上げは年間7000億円程度にも上る」というのでは一大事だ。
・『米中ともに「合意はしたいが、妥協はできない」関税合戦  次に“主旋律”である米中の関税合戦を見てみよう。 トランプ大統領も中国の習近平主席も「合意はしたいが、妥協はできない」のだ。その背景については、既にさまざま論じられているが、米中の駆け引きを見る上での基本的視点は、大きく2点ある。 米中双方における国内の「政治力学」と「経済状況」だ。 まず、米国の政治力学と経済状況はどうか。 トランプ大統領の頭の中は2020年の大統領再選が支配しており、判断のモノサシは分かりやすい。米国における通商問題のカギを握るのは米国議会だ。その議会は今や共和党、民主党問わず、対中強硬一色である(例外は、民主党の大統領候補の有力な一人であるバイデン元副大統領で、対中融和で知られ、対中強硬論に与しない姿勢を示している)。ここで安易に妥協すれば、批判の的になり、大統領選挙キャンペーンに大きなマイナスだ。 それをうまく活用しているのが、対中交渉の責任者であるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表だ。一時2月ごろは、中国の知的財産権など構造問題にこだわる交渉姿勢を、早く合意したいトランプ大統領から批判されて、不仲説までささやかれた。しかし米国議会での公聴会などであえて議会の強硬圧力を受けることで、トランプ大統領の風圧をしのいできた。まさに長年ワシントンで生き延びてきた「ワシントン・サバイバー」の真骨頂だ。 これはかつて米朝協議において、ポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官が諜報機関の情報を駆使して、安易な妥協は国内で批判を受けることをトランプ大統領に悟らせ、踏みとどまらせたことと軌を一にする。 トランプ大統領の前では無力な政権幹部は、米国議会や諜報機関といったワシントンの政策コミュニティーと連携することによって、何とかトランプ大統領の暴走を最小限にしているのだ。 米国政権内のパワーバランスも大きく変化した。中国が一旦合意したことを撤回して、約束を反故(ほご)にしたことが今回、トランプ大統領が強硬姿勢に転じたきっかけである。だが、このことが「中国は信頼できない」と主張してきた対中強硬派の論客、ナバロ大統領補佐官の信任を高めることになった。今や、穏健派のムニューシン財務長官の影は薄く、ナバロ補佐官、ライトハイザーUSTR代表といった対中強硬派が政権内を支配している』、「トランプ大統領の前では無力な政権幹部は、米国議会や諜報機関といったワシントンの政策コミュニティーと連携することによって、何とかトランプ大統領の暴走を最小限にしているのだ」という指摘は説得力がある。トランプはどうも相対交渉では、相手に引きずられ、甘くなりかちなのを、彼らが軌道修正しているようだ。
・『強気の背景は米国経済の好調さ  米国の好調な経済もトランプ大統領を強気にさせている要因だ。トランプ大統領の関心事は選挙戦に大きく影響する株価の動向である。 昨年11月、12月の株価の乱高下は米中の関税合戦による株価急落の懸念をもたらした。その後、米中協議が順調な進展を見て、マーケットは合意を織り込んでいた。大統領選に向けて重視する株価に激震を走らせる追加関税の引き上げはないだろうと、中国側も高をくくっていた節がある。 今回、5月5日のトランプ大統領のツイッターで追加関税を課すことが突然明らかにされ、激震が走ったが、一時下がった株価も半分戻すなど、マーケットのパニックはなさそうだ。トランプ大統領もこの株価の動きに大いに自信を持ったようだ。 実体経済も失業率は3.6%という1969年以来の低失業率で、インフレ率も低い。多少、関税引き上げで物価が上がっても許容範囲と見たようだ。 むしろ関税合戦が経済の足を引っ張るようだと、米連邦準備理事会(FRB)に利下げをさせる、いい口実になると考えた。これは来年の大統領再選に向けて、経済の好環境を作ることにもなる。早速5月14日、トランプ大統領はツイッターで、中国が経済を下支えするために利下げすると予想して、FRBに同じ措置をとるよう要求した。 FRBも協力させられれば、米国経済の体力は中国を圧倒して、余裕を持った戦いができるとの見立てだ』、こんな法外な要求にFRBが従うようであれば、市場は将来のインフレ懸念から長期金利はむしろ上昇する可能性もある。
・『中国党内権力は常在戦場  他方、中国はどうか。 中国の国内政治は常在戦場だ。常に政権の基盤を揺るがす隙を狙っている。 焦点は米国が重視している、国有企業への巨額補助金や知的財産権問題という中国の構造問題だ。共産党保守派の長老たちから見れば、国内の構造問題に米国が一方的に手を突っ込んでくるのは内政干渉と受け止める。アヘン戦争終結時の南京条約も思い起こさせる屈辱として、批判噴出したのだ。しかも国有企業による補助金は根深い利権、既得権を揺さぶりかねない。 今回、中国の交渉者である劉鶴副首相が一旦合意した150ページあった合意文書案は北京に持ち帰った際に、激しく批判され、習主席も認めなかったという。その結果、中国の本質的な構造問題に関する部分が大きく削除されて、105ページになって返されたとの報道もある。 今回の「ちゃぶ台返し」の方針は習主席の決断で、すべての「責任」を引き受ける覚悟だと、一部の報道で流れている。事の真偽は定かではないが、こうした報道が流されること自体、共産党内の揺さぶりの要素も垣間見ることができる。 下手をすれば、劉鶴副首相という、エリートの経済学者の顧問を抜てきして対米交渉の責任者に据えた習主席の責任にも及びかねない。 今年10月1日に建国70周年の一大イベントを控え、習主席にとって内政、外交を安定させることは最重要課題だ。弱腰外交の批判が共産党内だけでなく、世論にまで及び、ナショナリズムがコントロール困難になることのないよう細心の報道統制をしている。 こうした政治状況では習主席も首脳会談で譲歩しづらい。 ここで注目すべきは王岐山副主席の動向だ。 昨年3月の全人代(全国人民代表大会)人事で王岐山が副主席になった時には、今後の対米外交のカギを握ると見られて、注目されていた。しかし、その後の存在感は全くない。彼の人事を巡る権力闘争もあって、さまざまな臆測が飛び交っている。この難局に至っても王副主席が動かないかは注目点だ。 中国の経済状況も微妙だ。 今年初めの頃は景気の減速が深刻な時期であったが、そのため習主席は劉副首相に対米交渉を早期にまとめるよう指示をし、妥協カードを繰り出した。ところが4月にはこの夏にも景気が底を打つとの見方も広がり、やや余裕ができたため、対米交渉も強気に転じたのだ。 ところが5月15日発表の経済統計では、小売りも生産も投資も振るわず、景気の先行き懸念は再び広がっている。特に追加関税が中国の雇用に打撃を与える恐れもあって、今後、大幅な景気対策を打ち出して、必死にしのごうとするだろう。 「妥協はできないが、合意はしたい」。習主席が大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議の場で、どういうカードを切ってくるか。ボールは中国側にある。 こうした米中双方の「政治力学」と「経済状況」は、現時点での“スクリーン・ショット”にすぎない。これまでの半年でも変化したように、今後も時間の経過とともに大きく変化するものだ。それに応じて、米中のドラマがどう展開していくかに注目すべきだろう。 そしてこれはあくまでも米中関係の表面的な部分で、これだけに振り回されてはいけない。米中が奏でる“通奏低音”の部分も含めて、米中関係の全体像の中で相対化して見ることも必要だ』、さすが元経済産業省米州課長として対米交渉の最前線に立った筆者だけあって、読みは広範で深く、大いに参考になった。やはり大阪でのG20が当面の注目点のようだ。
タグ:日経ビジネスオンライン JBPRESS Newsweek日本版 福島 香織 細川昌彦 米中経済戦争 (その7)(トランプ 対中関税を25%に 経済界は「支払うのは米国の国民と企業」と批判、米国激怒! 習近平が突然「喧嘩腰」になったワケ 改めて宣戦布告した中国 エスカレート必至の貿易戦争の行方、米国が「報復関税&ファーウェイ」で中国を“総攻撃”) 「トランプ、対中関税を25%に 経済界は「支払うのは米国の国民と企業」と批判」 中国からの2000億ドル相当の輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げた 関税を支払うのは、トランプ大統領が主張する中国ではなく米国の消費者と企業だと指摘 米国のテクノロジー部門では、昨年10月以降、すでに発動されている関税で毎月約10億ドルのコストが発生 追加のコストを吸収できない小規模事業者、スタートアップ企業には死活問題になり得る 米国の消費者が関税引き上げの影響を感じるには3─4カ月かかる可能性 「米国激怒! 習近平が突然「喧嘩腰」になったワケ 改めて宣戦布告した中国、エスカレート必至の貿易戦争の行方」 4月ごろまでは とりあえず米中貿易戦争はいったん収束というシナリオが流れていた 5月にはいって「ちゃぶ台返し」になったのは 習近平の決断 改めて宣戦布告した習近平 習近平の断固とした姿勢を受けて、中国側交渉チームは、ワシントンに提案するつもりだった「最後の妥結案」を直前になって強硬なものに変更した 中国側の3つの核心的な関心事は必ず解決されなければならない 1つ目は、全ての追加関税の撤廃だ 2つ目は、貿易調達のデータが実際の状況に合致しなければならないこと 3つ目は協議文書のバランスを改善させること 習近平は、米国との貿易戦争、受け立とうじゃないか、と改めて宣戦布告した 「台湾のため」に米国には屈しない 台湾総統選との関係性 台湾統一 郭台銘の国民党からの出馬表明によって視野に入ってきた 郭台銘に国家意識はない。大中華主義のビジネスマンであり、しかも共産党との関係も深い 台湾旅行法、国防授権法2019、アジア再保証イニシアチブ法に続き、台湾への武官赴任を認める「2019年台湾保障法」を議会で可決 台湾のために貿易交渉で米国に屈辱的な妥協にこれ以上甘んじる必要性はない 「バイデン大統領」を待ち望む中国 バイデンは中国が長らく時間をかけて利権づけにしたパンダハガー 来年の秋にバイデンが大統領になるなら、習近平は妥協の必要がない 強硬な姿勢をとっているのはトランプの方だ、というふうに国際世論を誘導しようと中国側も懸命に動いている 2人の政治家の命運はいかに? 今後の中国の経済の悪化次第では、習近平責任論は出てくるだろう。あるいは、その前にトランプに対する米国内の風当たりが強くなるのか 貿易戦争の勝敗は、トランプと習近平のそれぞれの政治家としての命運もかかっている 次のステージが大阪で行われるG20の場 「米国が「報復関税&ファーウェイ」で中国を“総攻撃”」 米中摩擦の“主旋律”と“通奏低音”が一挙に音量を増してクライマックスの展開になってきた 派手な報復関税合戦 “主旋律” 今後、仮に急転直下合意があったとしても、それは“小休止”にすぎず、2020年の大統領選挙までは一山も二山も“主旋律”の見せ場を作って支持者にアピールするだろう ファーウェイ)に対する事実上の禁輸措置 “通奏低音” トランプ政権以前から高まる対中警戒感を背景とした根深い問題 「買わない」「使わない」から「売らない」「作らせない」の段階にいよいよ突入した 今年2月の段階で、既に米国政権はこの「切り札」の準備を進めていた あとはカードを切るベストのタイミングを見計らっていたのだ。それが対中貿易交渉が暗礁に乗り上げた今だ ZTE)に対して同様の措置を発動した際には、ZTEは経営危機 習近平(シー・ジンピン)国家主席がトランプ大統領に制裁解除を頼み込んだ経緯 米国議会が大きく関わり、トランプ大統領も安易な妥協はできないことには注意を要する 新型の対中COCOM(ココム=対共産圏輸出統制委員会)とも言うべき新技術の輸出管理を今年中にも導入すべく準備 日本企業も他人事ではない 日本の部材メーカーのファーウェイへの売り上げは年間7000億円程度にも上る 日本で生産された製品の中に、米国から調達した部品が25%以上含まれていると、米国の規制対象になる(再輸出規制)ことも日本企業にとっては要注意 米中ともに「合意はしたいが、妥協はできない」関税合戦 米国の政治力学と経済状況 議会は今や共和党、民主党問わず、対中強硬一色 それをうまく活用しているのが、対中交渉の責任者であるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表 かつて米朝協議において、ポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官が諜報機関の情報を駆使して、安易な妥協は国内で批判を受けることをトランプ大統領に悟らせ、踏みとどまらせたことと軌を一にする トランプ大統領の前では無力な政権幹部は、米国議会や諜報機関といったワシントンの政策コミュニティーと連携することによって、何とかトランプ大統領の暴走を最小限にしているのだ 米国政権内のパワーバランスも大きく変化 ナバロ補佐官、ライトハイザーUSTR代表といった対中強硬派が政権内を支配 強気の背景は米国経済の好調さ 一時下がった株価も半分戻す 関税合戦が経済の足を引っ張るようだと、米連邦準備理事会(FRB)に利下げをさせる、いい口実になると考えた トランプ大統領はツイッターで、中国が経済を下支えするために利下げすると予想して、FRBに同じ措置をとるよう要求 中国党内権力は常在戦場 国有企業への巨額補助金や知的財産権問題という中国の構造問題だ。共産党保守派の長老たちから見れば、国内の構造問題に米国が一方的に手を突っ込んでくるのは内政干渉と受け止める アヘン戦争終結時の南京条約も思い起こさせる屈辱として、批判噴出 回の「ちゃぶ台返し」の方針は習主席の決断で、すべての「責任」を引き受ける覚悟 今年10月1日に建国70周年の一大イベントを控え、習主席にとって内政、外交を安定させることは最重要課題だ 弱腰外交の批判が共産党内だけでなく、世論にまで及び、ナショナリズムがコントロール困難になることのないよう細心の報道統制 習主席も首脳会談で譲歩しづらい 注目すべきは王岐山副主席の動向 習主席が大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議の場で、どういうカードを切ってくるか 米中が奏でる“通奏低音”の部分も含めて、米中関係の全体像の中で相対化して見ることも必要だ
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年金制度(その2)(年金の検証、またも安倍内閣の鬼門になるか 今こそ給付減 負担増の心地よくない政策を、半減案も浮上、「専業主婦の年金問題」の核心 適用拡大と公的年金等控除縮小で解決に、政府の思うツボ 70歳繰り下げ支給で「受給額1.5倍」はウソ) [国内政治]

年金制度については、2017年2月21日に取上げた。2年以上経った今日は、(その2)(年金の検証、またも安倍内閣の鬼門になるか 今こそ給付減 負担増の心地よくない政策を、半減案も浮上、「専業主婦の年金問題」の核心 適用拡大と公的年金等控除縮小で解決に、政府の思うツボ 70歳繰り下げ支給で「受給額1.5倍」はウソ)である。

先ずは、慶應義塾大学 経済学部教授の土居 丈朗氏が1月7日付け東洋経済オンラインに寄稿した「年金の検証、またも安倍内閣の鬼門になるか 今こそ給付減、負担増の心地よくない政策を」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/258460
・『2019年は、公的年金の財政検証が5年に1度行われる年にあたる。第1次安倍晋三内閣では、年金記録問題に翻弄され、2007年の参議院選挙での与党敗北の遠因の1つになった。それだけに、安倍内閣として年金問題は、避けて通りたいイシューかもしれない。しかし、年金の財政検証は、5年に1度行わなければならないものだから、逃げることはできない。 年金の財政検証は、わが国の公的年金のおおむね100年間にわたる収支見通しを作成し、年金財政の健全性を検証するものである。要するに、わが国の公的年金が「100年安心」かどうかを検証することである。 今夏には、参議院選挙がある。財政検証を参議院選挙の後にすれば、年金は選挙時の争点にならずに済ませられるかもしれない。ところが、過去の財政検証は、夏までには結果を公表していたのだ。今の仕組みが定着して最初の財政検証は、2009年2月23日に結果を公表。5年前の2014年の財政検証の結果は、2014年6月3日に公表されている。今年の参議院選挙が予定されている7月よりも前である。もし、現政権が、都合が悪いとして検証結果の公表を参議院選挙の後にすれば、国民や野党から「安倍政権は年金問題から逃げている」と批判の声が上がるだろうし、わざわざ公表を遅らせれば、「年金の財政検証は、政権にとって不都合なほどよくない結果になっている」と疑心暗鬼が広がるかもしれない』、今回も財政検証の議論には入ったようだ。
・『「100年安心」を示せれば安心できるが・・・  相当な納得がいく理由でもない限り、今年の財政検証の結果は、参議院選挙の前に出さないと、むしろ政権与党にとって評判を悪くすることになろう。 では、逆にみて、年金の財政検証の結果は国民を安心させられる内容となって、参議院選挙の前に堂々と公表して、与党が選挙を有利に進めるという可能性はあるだろうか。どうやら、さまざまな客観的情報を合わせると、参議院選挙の前に堂々と公表して政権与党が有利になるような財政検証の結果は、出せなさそうな状況である。 それはなぜか。その根拠を一つ一つ示していこう。 まず、国民を安心させられる検証結果とは、どのようなものか。年金の財政検証の結果、俗にいう「100年安心」であることが示せれば、確かに安心させられる。「100年安心」という言葉に当てはまる状況とは、専門的に考えれば、将来にわたって安定して所得代替率が50%を維持できるような給付が出せて、かつ100年後でも年金積立金は枯渇しない状況といえよう。所得代替率とは、受給開始時の年金額がその時点の現役世代の所得に対してどの程度の割合かを示すもので、わが国での計算では夫が40年間平均賃金で働き、妻が無収入の専業主婦である夫婦が2人で受け取る年金額を前提としている(この定義の是非については不問とする)。 所得代替率が50%を割るか割らないかは、時の政権の評判を左右する。現行の法律では、所得代替率が50%を割るという財政検証の結果が出れば、制度改正を行うことを念頭に給付と負担のあり方を見直さなければならないとされているからである。 50%を割るという結果が出ると、まず今の年金の仕組みのままだと「100年安心」でないことが判明してしまう。かつ、時の政権はそれをどう制度改正することによって「100年安心」を取り戻すのかを示せないと、国民の年金不信や政権の年金政策批判を助長する。もしそんな結果を発表した直後に、選挙など行おうものなら、与党は勝てないかもしれない。 実は、2009年の財政検証では、そんな思惑が見え隠れしていた。時は、麻生太郎政権。2007年の参議院選挙以降、衆参ねじれ状態となっていた。当時の衆議院議員の任期満了が2009年9月10日に迫る中、5年に1度の年金の財政検証を行わなければならなかった。 結局、麻生内閣は、どんな対応をしたか。結論から言うと、検証での経済前提を楽観的なものにしたうえで、所得代替率が50%を維持できるような給付が出せて、かつ100年後でも年金積立金は枯渇しないから、問題なし。以上、終了。というような形で、財政検証の話題に注目が集まらないように公表したのだ。 もちろん、衆参ねじれ状態だったから、制度改正するために必要な法律の改正をしたくとも国会で成立しないし、ましてや今の年金の仕組みのままだと「100年安心」でないことが判明してしまうような検証結果を出そうものなら、麻生内閣は野党から年金問題で猛攻撃を受けることが容易に想像できた』、麻生政権は巧みに逃げたようだ。
・『政権転落前の楽観的すぎたシナリオ  そんな背景もあって、結局2009年2月に公表された財政検証の結果は、50%を割るような結果など出せるはずもなく、メインシナリオである「基本ケース」で、将来的な所得代替率は50.1%となるという結果を公表して終わった。みごとにぎりぎり50%を割らないといわんばかりの値だった。その結果を導出した経済前提では、当時リーマン・ショックに端を発した世界金融危機の痛手から立ち直っていない状況の中で、世界経済が早期に回復するという見通しの下に、公的年金積立金の中長期的な予想運用利回りを、2004年の推計で想定した3.2%から4.1%に上方修正するなど、専門家から楽観的と評される前提を置いた。 その後、年金の財政検証に基づいた制度改正に着手することなく、民主党に政権交代した。 時は流れて、第2次安倍内閣になって迎えた2014年。5年に1度財政検証をして、必要に応じて制度改正を行うべきところを、2009年に事実上「1回休み」していたから、制度改正していない10年分のツケが2014年の財政検証の結果に表れた。2004年に導入されたマクロ経済スライドの仕組みも、1度も発動されずに2014年を迎えていた。 2012年12月の衆議院選挙、2013年7月の参議院選挙を経て、衆参両院ともに安定多数を握る与党に支えられた安倍内閣の下、当面、国政選挙がない状況で、2014年の財政検証を行うことになった。さすがに、何も取り繕う必要がないと思われた。厚生労働省の審議会でも、入念な準備をして財政検証に臨んだ。 しかし、本連載の拙稿「年金は、本当に『100年安心』なのか」に記したとおり、2014年でも、財政検証の結果を導出する経済前提を楽観的にせざるをえなかった。その様相を大まかに一言でいえば、「アベノミクス」で経済成長率を高めようとしているさなか、それを否定するような経済前提を検証で用いるのは都合が悪い、という感じである。アベノミクスの成果で高まると期待される経済成長率のトレンドが日本経済で今後も続くような経済前提にして、アベノミクスを間接的に肯定するよう「忖度」した結果、専門家から前提が楽観的と評されたともいえる。 この楽観的な経済前提をメインシナリオとして、2014年の財政検証は、将来的に所得代替率が50.6~51.0%で安定しつつ、100年後でも年金積立金は枯渇しないことが確認される結果となった。 ただ、厚生労働省の官僚の良心というべきか、保守的な経済前提での検証結果も同時に公表した。保守的な経済前提の下では、2050年代に年金積立金が枯渇して、完全賦課方式の年金になり、所得代替率が35~37%になるという結果を示した。 ここで注意したいのは、年金積立金が枯渇しても、年金財政が破綻するわけではないということだ。積立金を取り崩して給付を増やすということができず、その年に得た年金保険料収入を、直ちにその年の年金給付に充てるという完全賦課方式年金に、姿を変えるだけである。ただ、年金積立金を取り崩して給付するということができない分、給付水準は下がる。しかも、所得代替率が50%を下回るという結果が、2014年には示されているのだ。目立たないように公表していたが、厚生労働省が隠したわけではない。ただ、これはメインシナリオではないから、給付と負担のあり方を見直して所定の措置を講じるということにまでは至らなかった。 それから5年たった今年。2019年の財政検証では、楽観的な経済前提を置いて、所得代替率が50%を維持できるような給付が出せて、かつ100年後でも年金積立金は枯渇しないという結果を公表しても、それでお茶を濁せはしない。過去2回の検証の経験を知っているだけに、楽観的な経済前提で「100年安心」といわれても、問題の先送りをしていると批判されるだけである』、安倍政権になった2014年も、楽観的シナリオで逃げ切ったが、今回は楽観的シナリオでお化粧をする余地がいよいよ狭まってきている筈だ。同時に公表された「保守的な経済前提での検証結果」の方はそれほど議論にはならなかったというのは不可解だ。
・『マクロ経済スライドの発動は過去1回のみ  2014年の財政検証の後、年金財政をめぐり、どんな出来事があったかを確認しておこう。2018年6月に公表された社会保障審議会年金数理部会「公的年金財政状況報告(平成28年度)」によると、2014~2016年の3年間で、物価上昇率も名目賃金上昇率も、2014年検証の想定より大きく下回ったが、実質賃金上昇率は楽観的な経済前提と保守的な経済前提の中間だった。その結果、年金給付は想定よりあまり増えず、年金財政の改善要因となった。ただし、マクロ経済スライドは、2015年の1度しか発動されなかったため、その分、給付は抑制できず、年金財政の悪化要因となった。 これらを上回って最大の影響を与えたのは、年金積立金の運用益である。名目運用利回りが想定より大きく上回った結果、年金積立金が想定より増えた。確かに、第2次安倍内閣以降の株価上昇が追い風となった。 ただ、年金給付の財源は、その年の保険料収入と税財源で9割程度が賄われており、年金積立金から得られる財源は1割程度である。だから、年金積立金の運用益ばかりに依存していては、年金給付水準を維持できない。物価や賃金の動向をより的確に見通しながら、年金財政を持続可能にしていかなければならない。 さらにいえば、我々の老後の安心を担保するには、年金財政を物価や賃金などの景気頼みで維持するわけにはいかない。必要な制度改正を行って、年金の給付と負担のバランスをいかにうまく調整するかが重要である。年金財政の持続可能性を制度的に担保できれば、多少景況が悪化しようが、年金財政に重大な支障をきたすことはなく、年金不信を払拭できる。 年金財政の持続可能性を制度的に担保するための制度改正とは、(相対的に)過剰に給付している高齢者には給付を適切に抑制することや、年金保険料や税財源を負担できる人には適度に負担してもらうことが含まれている。受益と負担の世代間格差を是正するためには避けて通れない。給付減や負担増という聞き心地のよくない方策を、政治家は国民にしっかりと説得しないといけない。 具体策としては、本連載の拙稿「働く人が減れば生産性は向上、賃金も上がる」で詳述したように、保守的な経済前提の下でも年金積立金が2050年代に枯渇することを避けるために、賃金上昇率が低い年でもマクロ経済スライドが毎年発動(フル発動)されるようにして、給付を抑制することなどがある。 具体的な改革策の必要性を覆い隠すような財政検証の結果を示しても、国民のためにならない。2019年の財政検証こそ、年金不信を払拭するものにしなければならない』、その通りだが、現実には今回も楽観的シナリオで逃げ切る懸念もあり、注視すべきだろう。

次に、この続きである5月13日付け東洋経済オンライン「半減案も浮上、「専業主婦の年金問題」の核心 適用拡大と公的年金等控除縮小で解決に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/280883
・『元号が令和に変わる頃、専業主婦の年金給付半減案がネットをにぎわした。今の仕組みでは、夫が会社員や公務員である専業主婦は、年金保険料を払わずに基礎年金を受け取ることができる。専業主婦が老後に受け取る年金給付を半減する案が、今年行われる年金改革の議論の選択肢にあるかのように報じられた。 これに触発され、ネット上では「働いている女性は年金保険料を払っているのに、年金保険料を払わずに年金給付が受け取れるのは不公平だ」「専業主婦も無給で大事な家事をしている」「そもそも年金問題を働く女性と専業主婦の対立をあおる形で議論するのはおかしい」といった声が出た』、こんな筋違いの論議がクローズアップされた背景には、財政検証から目を逸らせるためではと疑いたくなる。
・『専業主婦の年金は今に始まった問題ではない  ただ、「専業主婦の年金給付半減案」なる案は議論の俎上に載ってもいないだけに、乱暴なだけでなく、非生産的な話題だったと言わざるをえない。 専業主婦の年金問題は、今に始まったものではない。今の年金制度では、会社員や公務員である被保険者の無業の配偶者は、年金保険料を払わずに基礎年金を受け取ることができる。その立場を「第3号被保険者」という。冒頭の報道は第3号被保険者の年金の話であり、それは専業主婦(女性)だけではなく、専業主夫(男性)にも当てはまるから、女性を差別した話ではない。 ちなみに、会社員や公務員で所得があって自ら年金保険料を払って厚生年金に加入している被保険者を「第2号被保険者」、農家や自営業者、非正規雇用者など厚生年金に加入していない(代わりに国民年金に加入している)被保険者を「第1号被保険者」という。 無業の配偶者でも、第1号被保険者の配偶者(例えば、自営業者や非正規雇用者の配偶者)は第3号被保険者にはなれず、収入が少なくても自分の分の年金保険料を払わなければならない。つまり、第3号被保険者は第2号被保険者の無業の配偶者に限られている。以下では、第3号被保険者は女性が多いことから「専業主婦」と呼ぶこととする。 わが国の公的年金制度においては、1986年から専業主婦にも年金受給権を与えることになった。これは、専業主婦が若いときに自分の収入がないことから年金保険料を払わなかったために、老後に夫に先立たれた後、自分の年金給付がないことで生活が成り立たないようなことにならないよう配慮したものだった。 実は、専業主婦に年金受給権を与えている国は、そう多くない。とくに、基礎年金の受給権を100%与えている主要国は日本ぐらいである。スウェーデンやフランス、ドイツは、そもそも無業の専業主婦は保険料の支払い義務もないが年金も受給できない。アメリカでは、専業主婦本人は保険料を払わなくてよいが、夫の年金額の50%しか受給できない。 カナダは、基礎年金に相当する年金の財源がすべて税で賄われているため、年金保険料の支払いという概念はなく、10年以上居住する国民なら誰でも年金が受給できる。 したがって、「年金保険料を払っていないのに年金給付を受けられる」という専業主婦の年金問題は、主要国の中では日本ならではの問題といえる。確かに、働く女性からすれば、年金保険料を払っていないのに年金給付を受けられるのは不公平だという意見は出てこよう』、ただ、働く女性が受取る年金額に比べれば、専業主婦の年金額は少ないのではなかろうか。
・『専業主婦の年金問題、解決策は何か  では、専業主婦の年金問題をどう解決すればよいか。諸外国のように、専業主婦には年金受給権を与えない、というのも1つの考え方かもしれない。しかし、1986年以降に専業主婦の年金受給権を認めたわが国において、今さら取りえない選択肢である。 仮に専業主婦の年金受給権を認めないことにすれば、専業主婦だった期間のある人が、老後に配偶者を失うと、年金給付が大きく減ることになり、老後の所得保障がままならなくなる。老後の所得が少なすぎると、生活保護に頼らざるをえず、その給付財源はすべて税で賄われる。 専業主婦の年金受給権を認めず、保険料を払わなくてよい代わりに年金も出さないとしても、老後の生活を生活保護給付で賄うとなれば、本人以外の人が払った税で財源を賄うことになる。それでは、問題の解決になっていない。 専業主婦の保険料を収入のある夫に払ってもらえばよい、という考え方もあろう。それは、比較的所得の高い夫ならよいが、低所得の夫なら保険料負担に耐えられない。保険料負担に耐えられないほど低所得なら、保険料の減免措置を講じればよいかもしれないが、減免措置を与えれば、それは今の仕組み(専業主婦は保険料を払わない)とほとんど同じになる。 カナダのように、保険料でなく税で年金給付の財源をすべて賄えば、誰が保険料を払ったかは不問となるから、第3号被保険者問題は解消する。その代わり、年金給付の財源を税で賄うだけの増税が必要になる。 結局、政府の今の方針は、厚生年金の適用拡大を通じて第3号被保険者問題を解消することにしている。決して、専業主婦の年金給付を半減するという話ではない。 無業の専業主婦といっても収入が皆無という人は少ない。かつては年収130万円未満なら第3号被保険者になったが、今は適用拡大が行われ、大企業に勤める人は年収106万円未満でないと第3号被保険者にならない。 現在はそれを中小企業にも拡大しようとしていて、106万円以上収入を得ていれば、第2号被保険者になって少しでも年金保険料を払ってもらい、基礎年金だけでなく所得比例年金も受け取れるように誘導している。基礎年金しか受け取れない第3号被保険者と比べると、年金給付額は増えることになる。 つまり、第3号被保険者だった人でも、少しでも所得を得ていれば第2号被保険者になって年金保険料を払ってもらい、その代わり年金給付も多くもらえるようにする。これが、問題の解決策として目下取り組んでいることである』、「政府の今の方針は、厚生年金の適用拡大を通じて第3号被保険者問題を解消することにしている」というのは現実的な解決策だ。にも拘わらず、「専業主婦の年金給付半減案」なるピント外れの議論が出てきたのは、厚労省が争点隠しのため、マスコミを誘導した可能性があるのではなかろうか。
・『夫が高所得の主婦をどうするか  とはいえ、夫が高所得を得ている無業の専業主婦もいて、わざわざ所得を少しでも稼ごうという動機がない人もいるかもしれない。そうした専業主婦は、名実ともに「無業」の専業主婦として、引き続き第3号被保険者として残り続けるかもしれない。その場合、厚生年金の適用拡大というやり方では問題を解決できない。 しかし別の手がある。それは、高所得高齢者に対する公的年金等控除の縮小である。所得税制において、年金受給額はそっくりそのまま税金がかかるわけではない。年金受給額から概算で設けられた公的年金等控除が差し引かれたのちに、所得税と住民税が課される。公的年金等控除が多いほど、課税対象となる所得は少なくなり、所得税・住民税の負担は軽くなる。 公的年金等控除は、年間1000万円までは年金給付額が増えるほど控除額が多くなる仕組み(2020年以降)だ。今なお手厚く設けられており、その分、所得税負担が軽くなっている。そこで、高所得高齢者に限定して、給付が増えても公的年金等控除が増えない形で控除を縮小するとどうだろう。 現役時代に高所得を得ている夫は、所得比例で払う厚生年金保険料を多く払っている分、厚生年金の給付も多く受け取れる。加えて、その妻が第3号被保険者なら、保険料を払わずに基礎年金が受けられる。そこで、厚生年金を多くもらう夫により多く所得税を払ってもらうことで、妻が保険料を払わなかった分の負担を、形を変えて負ってもらうことができる。 第3号被保険者問題は、こうした合わせ技で働く女性と専業主婦との間の無用な対立を避けつつ、解消する方向に導くことができるだろう』、妥当な見方だ。本物の財政検証はいつ出てくるのだろう。

第三に、5月8日付け日刊ゲンダイ「政府の思うツボ 70歳繰り下げ支給で「受給額1.5倍」はウソ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/253342
・『おいおい、ちょっと待て。そう思った人もいるだろう。厚生年金の加入は70歳未満だが、安倍政権は、その加入期間を延長しようとしている。支給開始年齢も75歳まで段階的に引き上げる考えだ。政権は否定するが、大手メディアの報道が相次ぐことからみて、間違いないだろう。政府は加入期間を延ばし、受給年齢を繰り下げたら、受給額が増えるとアピールする。数学的には当たり前だが、繰り下げ受給は本当に得なのか――。 一般に年金は、65歳から受給する。サラリーマンなら、国民年金をベースとした老齢基礎年金と厚生年金部分の老齢厚生年金で、これらの支給を65歳より早めるのが繰り上げ、65歳より遅らせるのが繰り下げだ。 高齢者雇用安定法で希望すれば65歳まで働くことができ、社員の定年や再雇用での退職時期を遅らせる企業も相次ぐ。65歳を越えても働くのがこれからの流れで、十分な収入が見込める人は繰り下げを考えるだろう。十分でなくても、受給額を少しでも増やしたいと思って繰り下げる人もいるはずだ。 では、繰り下げで増える金額は、どの程度か。65歳を基準に受給を1カ月遅らせるごとに、年金額が0・7%上乗せされ、1年で8・4%。現状の加入上限の70歳まで繰り下げると、42%増。65歳との比較で、ほぼ1・5倍だ。 たとえば、昨年度の老齢基礎年金で考えると、満額は77万9300円。それを70歳まで繰り下げると、110万6606円にハネ上がる。月額6万円チョイだったのが、10万円近くに。健康で長生きに自信がある人なら、「はい、喜んで」と繰り下げを考えるかもしれない。それだと、政府の思うツボだ』、「70歳繰り下げ支給」も論点を増やすことに加え、年金払込額の増加、支給額の先送りで、年金財政が大丈夫との「お化粧」の手段を増やす作戦なのかも知れない。
・『独協大経済学部教授の森永卓郎氏が言う。「年金の繰り下げで話題になる割増額は、額面価格です。税金や社会保険料を差し引くと、手取り額は減る。受給額が増えるほど、税金は高くなるため、繰り下げ受給で額面金額が上がった人ほど、税額アップの影響を受けやすいのです」 65歳以上には、「公的年金等控除」として120万円が控除される。70歳まで繰り下げたら、基礎年金と厚生年金を合わせると、控除の枠からあふれる可能性が高い。そのため、実際の手取り額は、額面の9割、場合によっては8割に落ちることもある。 その点に着目すると、ヒントが見えてくる。たとえば夫がサラリーマンで、妻がパートなどの主婦の場合、夫の老齢厚生年金を65歳で丸ごと受給し、妻の老齢基礎年金を繰り下げるプラン。基礎年金の繰り下げなら、控除の枠からはみ出るリスクは少ない』、「割増額は・・・税金や社会保険料を差し引くと、手取り額は減る」というのでは、確かにおいそれと繰り下げを選択する人はそれほどいないかも知れない。
・『特別支給のもらい損ねを防ぐ  もうひとつ、現在60歳前後の人は、老齢厚生年金の特別支給を受けられるオイシイ世代(1961年4月1日以前生まれ=58歳以上)。厚生年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことに伴う時限措置で、定額部分と報酬比例部分からなる厚生年金のうち報酬比例部分についてのみ、60から65歳まで受給できる仕組みだが……。 「特別支給の老齢厚生年金は、65歳から受給できる“本来の老齢厚生年金”とは別物。ところが、その通知ハガキを見た人は、『65歳より早く受給すると、本来の年金を繰り上げることになり、特別支給をもらうと、年金が目減りするのではないか』と誤解して、請求しない人がいるのです。特別支給分は、本来の老齢厚生年金の繰り上げとは全く関係がありません。両者を混同して、特別支給分をもらわないことを繰り下げと勘違いすると、損です」 特別支給の老齢厚生年金は、“働きながらもらえる年金”といわれる。しかし、働き過ぎると、目減りする。 「65歳までは、年金額と給料の合計が28万円を超えると、超えた分の半額が減額されるのです。たとえば、仕事の月給が20万円で特別支給分が10万円だと、超過分2万円の半額の1万円が減額され、特別支給は9万円になります」 特別支給分を受給できている人も、多くは働いていて、それなりの減額を受け入れているはず。繰り下げもダメで、働き過ぎも損となると……。実は、雇用延長しない方がいいのだ』、雇用延長には生きがいがより持てるようになる一方で、現在の仕組みでは、「雇用延長しない方がいい」ようだ。雇用延長に合わせて仕組みも変えてゆく必要があるのだろう。なお、最後の「退職金 大企業は中小の2倍」の部分は省略。いずれにしろ、本番の財政検証はどうなるのか注目したい。
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人工知能(AI)(その8)(「機械に大半の仕事を奪われる」説の大きな誤解 日本人が「デジタル失業」しにくい5つの理由、「中国発AI」で、通訳も速記も もう必要ない ファーウェイやBATを超える ものすごい企業、AIが生み出す「不条理な没落」にどう対峙すべきか、養老孟司氏:AIと日本人) [技術革新]

人工知能(AI)については、昨年12月20日に取上げた。今日は、(その8)(「機械に大半の仕事を奪われる」説の大きな誤解 日本人が「デジタル失業」しにくい5つの理由、「中国発AI」で、通訳も速記も もう必要ない ファーウェイやBATを超える ものすごい企業、AIが生み出す「不条理な没落」にどう対峙すべきか、養老孟司氏:AIと日本人)である。

先ずは、4月8日付け東洋経済オンライン「「機械に大半の仕事を奪われる」説の大きな誤解 日本人が「デジタル失業」しにくい5つの理由」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/275351
・『95.4%――。これは野村総合研究所が2015年に発表した、「日本におけるコンピューター化と仕事の未来」というイギリス・オックスフォード大学との共同研究における、「タクシー運転手」の今後10~20年後の「機械による代替可能性」である。同研究では、職業がAI(人工知能)やロボティクスなどの機械によってどれだけ代替されるかを検証した。 本当に95.4%という高確率でタクシー運転手という職業が機械に代替されるのか。確かに、自動運転が実用化されたら、無人タクシーは普及する可能性が高い。すでにタクシー大手の大和自動車交通は、昨年から公道や住宅地で自動運転の実証実験を開始。「限定区域内での自動運転タクシーの実現は近い」と同社の前島忻治社長は語る。 ただ、「安全・安心を今以上に担保するために、しばらくは乗務員が同乗することになる」と、前島社長は釘を刺す。公道ではどんな危険が待ち受けているかわからない。しばらくは非常時のトラブル対応が乗務員の仕事になるという。さらに、高齢者が多く利用する過疎地では、「(乗客との)コミュニケーション力が必要になる。運転スキルより、心理学や接客の心得がある人材が必要になる」(前島社長)。 加えて無人化が実現すると、タクシー会社には車内や周囲の状況を、カメラを通じて監視する仕事が生まれると予想される。その場合、一定数の運転手は、そうした新たな職業にシフトする可能性がある。それも考慮すると、タクシー運転手という職業の95.4%が機械に代替されるという予測は、現実とはギャップがあることがわかる』、確かに「AI(人工知能)やロボティクスなどの機械によってどれだけ代替されるか」というのは難しい問題のようだ。
・『「AIに仕事を奪われる」説が横行  『週刊東洋経済』は4月8日発売号で「AI時代に食える仕事食えない仕事」を特集。そこでは多くの人にとって身近な18職種の自動化の影響を、取材に基づき検証している。 野村総研の予測値は、専門家が設定した特定の職業における自動化の傾向をAIに学習させ、他の職業に当てはめることで導き出した。これは2013年、英オックスフォード大のカール・B・フレイ博士とマイケル・A・オズボーン准教授が発表した「雇用の未来」という研究論文と同様の手法を用いている。 同論文では、「アメリカでは10~20年以内に労働人口の47%が機械に代替されるリスクが高い」と発表。その反響は大きく、当時「47%」という数値と併せ、「AIに仕事を奪われる」といったセンセーショナルな報道が繰り返され、「AIによる職業消滅論」の関連書籍の発刊も相次いだ。 ただその後、専門家の間では同リポートの問題点を指摘する声が次々と上がった。経済産業研究所の岩本晃一上席研究員は、「47%という数値は特殊な前提での予測。雇用の未来の研究では、その後に研究結果を発表した独ZEW研究所のメラニー・アーンツ氏らの貢献のほうが大きい」と指摘する。 アーンツ氏らの研究結果の特徴は、オズボーン氏らのリポートが考慮していなかった「タスクベース」の変化を踏まえたもの。本来、仕事はさまざまな業務(タスク)の積み重ねである。いくら自動化が進んでも、実際には職業そのものが機械に置き換わるわけではない。その一部のタスクが置き換わっていくのだ。 OECD(経済協力開発機構)は、アーンツ氏らのそうした現実を踏まえた研究結果を基に2016年にリポートを発表。そこでは、自動化の可能性が7割を超える職業はOECD21カ国平均で「9%」という予測値が掲載された』、どんな方法論でやるか如何で、試算の数字は大きく異なるようだ。
・『「未来の仕事のデータは存在しない」  しかし、アーンツ氏らの研究結果にも加味されていない要素がある。その1つは「現実社会では新しい仕事が生まれる」ことである。前述のタクシー運転手の「カメラを通じて監視する仕事」がこれに当たる。 野村総研リポートを担当した上田恵陶奈上級コンサルタントも、「未来の仕事のデータは存在しないため、調査においては、現状の仕事が未来永劫変わらないとの前提を置いた。しかし、時代とともに仕事は変わる。定量的予測にはどうしても限界がある」と話す。それでも調査を実施した狙いについて、「将来の労働力不足を踏まえ、自動化による仕事の代替の可能性を検証しようとした」(上田氏)と振り返る。 では実際、職業の自動化による影響はどのように表れるのか――。現実社会を見据えると、上記の①「職業はタスクベースで変化する」、②「新しい仕事が生まれる」という要素以外にも、これまでの定量予測には含まれていない3つの要素がある。それは③「技術進化&コストの影響」、④「人材需給の影響」、そして⑤「社会制度や慣習の影響」である。 これまでの「AIによる職業消滅論」の多くでは、AIやロボット技術が、想定されるかぎり進化することを前提に、職業への影響を予測している。しかし、技術進化は一足飛びには進みにくい。その実現のスピードに加え、コストとの見合いで導入するメリットがあるかが、普及のカギを握る。それが③「技術進化&コストの影響」である。 ④「人材需給の影響」はどうか。今でも現実社会で、デジタル化やそれにAI技術を組み合わせた自動化は普及し始めている。だが、その中心はサービス業や建設業をはじめとする人材不足が深刻な業界。いくら自動化の技術開発が進んでも、余剰人員を抱える業界や企業ほど「まずは人にやってもらう」という動機が働きやすい。よほど低コスト化が進まない限り、自動化が進みにくい分野があるのが現実だ。 最後に⑤「社会制度や慣習の影響」も現実社会では避けて通れない。役所や金融機関のサービス、企業間契約などでは、人と対面し、捺印した書類で手続きするといったアナログなルール、慣習が多く残る。デジタル化に一気に舵を切ろうにも、デジタルデバイド(情報格差)の影響を危惧する声などが上がり、一足飛びに進めにくい分野がある』、確かに現実にはこうした定性的要素を考慮する必要がありそうだ。
・『身の回りの環境変化への想像が不可欠  専門家の間では、「こうした現実をすべて踏まえた定量的予測は不可能」というのが常識。現実社会は複雑だからこそ、ある特定の条件下に絞った形で、定量予測が行われてきた経緯がある。 すでに単純な定型業務におけるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入など、人の仕事の機械への代替は進んでいる。そうした変化によって雇用に影響が及ぶ人も広がるだろう。デジタル失業が発生しない、というわけではない。 ただ実際に起こるのは、職業そのものの消滅というより、タスクベースでの増減という変化が大半だろう。変化の様相は職業によって異なる。だからこそ職業の未来は個別に、かつタスクベースで、さらに社会変化も含めて見通すことが重要になる。 現実にどんな事態が発生するのか――。各個人が身の回りの環境変化に想像をめぐらせることが不可欠といえる』、「こうした現実をすべて踏まえた定量的予測は不可能」なので、「各個人が身の回りの環境変化に想像をめぐらせることが不可欠」という結論では、「なあーんだ」と言いたくもなるが、これが正直な見方なのだろう。

次に、5月2日付け東洋経済オンライン「「中国発AI」で、通訳も速記も、もう必要ない ファーウェイやBATを超える、ものすごい企業」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/278801
・『会議で議事録を取る必要はなし。外国企業との商談も通訳いらず――。 そんな夢のような世界を、中国屈指の音声認識AI(人工知能)企業である、アイフライテックがすでに実現している。 同社が開発した「智能会議系統(スマート会議システム)」は、会議中の発言をAIで認識し、自動で文字に変換してスクリーンに映し出す。音声認識の正確性は中国語で97%、英語で95%と、プロの速記者をも上回る高さだ。声紋を分析して話者を識別できるのはもちろんのこと、中国語と英語だけでなく日本語や韓国語にも対応し、リアルタイムでスクリーンに対訳を表示する機能を併せ持つ。中国語では、会議の要点を短くまとめた要約すら、自動で作成可能だという。 人間のような声を人工的に生み出す音声合成の技術も発達している。その名も「AIカスタマーサービスロボット」。中国火鍋チェーン大手で日本にも店舗を持つ、海底撈(ハイディラオ)などの外食企業で活用されている。予約を取るため店舗に電話してきた客と、まるで人間同然のスムーズさでやりとりができる。研究部門のトップを務める李世鵬・アイフライテック副社長は、「電話の相手が人間かロボットかを判別するのは難しい(くらいの自然さ)」と豪語する』、アイフライテックの「スマート会議システム」や「AIカスタマーサービスロボット」は、確かに凄い性能のようだ。
・『アマゾンやグーグルに次ぐ、中国トップの破壊力  元々アイフライテックは1999年設立の学生ベンチャーだった。 そのミッションは「コンピュータに聞き、話し、理解し、考えさせる」「AIでよりよい世界をつくる」ことである。音声認識と音声合成技術の高さを武器に、AI大国を目指す中国政府からの支援も受けながら急成長し、2008年に上場。2017年版の『MITテクノロジーレビュー』によると、革新的な技術と効果的なビジネスモデルを組み合わせた「スマート・カンパニー50」で、アメリカのアマゾンや、グーグルの親会社アルファベットに次ぐ、世界第6位に選ばれた。中国勢としては巨大IT企業であるBAT(バイドゥ、アリババグループ、テンセント)を抑えてトップだ。 今や1万人以上の従業員を抱えており、時価総額も1兆円を超える大企業となった。4月19日に発表された2018年度の業績は、売上高約1300億円(前期比45%増)、純利益約90億円(同24%増)ときわめて好調だ。 こうした最先端の企業を含め、『会社四季報 業界地図』(東洋経済新報社)では、自動車・商社・ITなど166業界を網羅。主要な業界プレーヤーやその関係性を図解している。トップページを飾るのはAI業界で、中国企業ではBATの3社を掲載中だ。今後はアイフライテックのような新興企業にも注目していく。 そのアイフライテックが手がけるのは、企業向けサービスだけではない。今年1月、アメリカのラスベガスで開かれた世界最大の電子機器見本市CESで発表した「AIノート」は、有望な製品の1つだ。 A5サイズで厚さは7.5mm、重さは360gと軽く、アマゾンの電子書籍リーダー「Kindle(キンドル)」を彷彿とさせる。電子書籍を読む機能もあるが、それだけではない。スマート会議システムと同様、音声を自動かつほぼ同時に文字変換し、画面上に表示できるのだ。まるでノートが速記者の代わりをしてくれるようである』、アイフライテックは、「スマート・カンパニー50」で「世界第6位」、「中国勢」トップになるだけの実力を備えているようだ。
・『専門分野のデータが次々と蓄積される  中国AIの動きには、日本の電子機器メーカーも後押しする。ワコムが供給する付属のデジタルペンで通常のノートのようにメモを取ると、自動変換されたテキストの該当部分が網掛けでハイライトされる。記録した内容は簡単にキーワード検索でき、どのメモに何を記録したか、思い出しながら探す手間を省くことが可能。持ち運びもしやすいため、活用シーンは会議だけでなく、学校の授業や取材など多様だ。中国語と英語の同時翻訳機能もリリース予定である。 「将来、オフィスで働く人は、AIノートさえ持てばよいことになる」(李副社長)。価格は約8万円で、現在は中国でのみ展開しているが、販売台数はすでに30万台を突破。海外版の発売も検討中だという。 AIノートに先駆けて市販化されたアイフライテックのポータブル音声翻訳機は、日本のアマゾンのサイトでも約6.5万円で販売されている。50種類もの言語を認識、中国語に同時吹き替えできるだけでなく、逆に中国語を外国語に吹き替えすることも可能で、英語・日本語・韓国語・ロシア語はオフラインでも中国語から変換できる。レストランのメニューや駅の標識などの文字情報を、”画像認識”して翻訳する機能も備えるという。同社は今後、医療や金融、ITなど産業翻訳の分野で蓄積したビッグデータを武器に、専門用語の翻訳機能を強化し続ける方針だ。 人間の目、耳、そして脳までも置き換えるAIの進化。産業界で浸透するアイフライテックなど中国企業の躍進を見る限り、通訳、速記者の仕事がAIに奪われる日は、近い。(リンク先には米国勢、中国勢の図あり)』、英語版や日本語版などが出てくれば、市場を席捲し、通訳、速記者の仕事は明らかに代替されるだろう。日本企業が部品供給だけに留まっているのは、残念だ。

第三に、5月15日付け日経ビジネスオンラインが掲載した山本龍彦=慶応義塾大学法科大学院教授へのインタビュー「AIが生み出す「不条理な没落」にどう対峙すべきか」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/051400009/?P=1
・『あらゆる分野でAI(人工知能)の活用が広がっている。特にFinTech(金融と技術の融合)分野では、与信領域で活用が進みつつある。中国では個人の与信を点数化して表示するスコアリングサービスが広がっており、日本でもこうした動きが少しずつ広がりつつある。だが、そこに落とし穴はないのだろうか。AIから受ける恩恵の側面だけに光を当てていないだろうか。憲法学を専門とする慶應義塾大学法科大学院の山本龍彦教授に聞いた』、法的側面からの見解は貴重だ。
・『憲法はプライバシーの権利を保障している。一方、AI(人工知能)やビッグデータの世界では情報を集めることが重要になる。プライバシーの考え方とデータがけん引する社会の間には、そもそも一定の矛盾が存在している。大学院の修士課程で研究していた「遺伝情報の保護」を例に取ろう。 遺伝情報は生まれつきのものだ。疾病は本来、遺伝情報と環境要因が影響しあって発現するものだが、遺伝情報から読み取れるリスクだけでその後の人生が決定されるような風潮がある。 遺伝情報の解析とAIは確率的な予測をするという点で非常に相性がいいが、遺伝情報は本人の努力によって変えられるものではない。AIの予測精度を高めるためにこうした情報を広く集め始めると、「生まれによる差別」が間違った形で復活する可能性も出てきてしまう。 例えば、FinTech業界で起きている変化を見てみよう。中国のアリババグループが運営する「芝麻信用」は個人の信用をスコア付けする仕組みだ。スコアの高い人は恩恵を受け、スコアの低い人は制限を受ける。 本来、FinTechが「Financial Inclusion(金融包摂)」を目的として生まれたものであれば、このスコアリングの仕組みは貨幣ではない価値がけん引するという点で、従来はチャンスを与えられなかった人に恩恵をもたらす側面がある。伝統的な信用情報を持ち得ていない人でも、「線」でその人の行動を捉えることによって包摂されていくためだ』、「プライバシーの考え方とデータがけん引する社会の間には、そもそも一定の矛盾が存在している」というのは、鋭い指摘だ。
・『オーウェルからカフカの世界へ  だが、問題もある。一つは監視という問題だ。「線」で捉えるというのは、極端に言えば「ずっと見ている」ということを意味する。従来は社会的な評価の対象にならなかった領域、例えば私的な領域が評価対象になる可能性もある。 極めてプライベートな空間である自宅でごろごろ寝ている行為ですら、センシング技術や手に持ったスマートフォンで把握される恐れがある。そうなると、リラックスできる安息地がこの世界から無くなってしまうかもしれない。 スコアの高い人も低い人も、常に緊張にさらされる問題もある。仮に公的な機関がスコアを管理すると、多くの人が現状の政権を批判するような活動を控えるようになるだろう。行動に萎縮が生まれ、「自由」の意味が変わってしまう。 法治国家は事前に罰せられるルールを明確化している。予測可能性が立つことで自由が生まれる。これが法による支配のメリットでもある。 ところがアルゴリズムの世界では事前に不利益を予知しにくい。そのため予測可能性が立たず、自身のどのような行動がマイナス要因になるのかが分からず、萎縮効果が生まれる。こうした支配状況はアルゴリズムとデモクラシーを掛け合わせた「algocracy(アルゴクラシー)」とも呼ばれる。 アルゴリズムによって規律される社会では、ブラックボックスが生まれてしまう。個人にとっての自由の意味が変わり、社会的に見れば民主主義にも影響を与えることになる』、「アルゴクラシー」とは恐ろしいような話だ。
・『さらに私が「バーチャルスラム」と呼ぶ問題が出てくる。スコアが社会的なインフラと結びつくと、スコアの低い人が排除される社会になる。社会生活で不利益を被ることになり、差別を受け始めるのだ。なぜスコアが低くなったのかが分かれば改善の余地もあるが、ブラックボックスであれば手の施しようがない。 英国のSF作家、ジョージ・オーウェルは小説『1984』で監視社会の暴走を描いた。一方、チェコの作家、フランツ・カフカは小説『審判』で、理由も分からず逮捕され、理由も述べられないまま裁判にかけられ処刑される主人公の不条理を描いた。 D.ソロブという情報法学者は、データ社会がブラックボックスを放置したまま発展を続けていくと、「オーウェルの世界」から「カフカの世界」へと移行すると指摘する。不条理な没落によってスコアが低い人が二度とはい上がれず、権力主体が誰なのかは分からない。こうした人たちがバーチャル空間のなかで吹きだまりを作り、バーチャルスラムを形成してしまう。 政府や民間企業は当然、こうした問題を把握している。例えば内閣府がまとめている「人間中心のAI社会原則(案)」では、「公平性、説明責任及び透明性の原則」を掲げている。EU(欧州連合)のGDPR(一般データ保護規則)でも「Automated individual decision ­making(個人に関する自動化された意思決定)」を行う場合の説明義務に触れている。 民間でも「Explainable AI(説明可能なAI)」に取り組み始めた企業が出ている。ロジックを残し、説明可能にしておくことで、AIをホワイトボックス化する取り組みだ』、「AIをホワイトボックス化する取り組み」は大いに推進してほしいところだ。
・『「主義」や「憲法」による差異  共産主義は基本的な考え方として私有財産制度を否定している。これに対し、資本主義は財を囲い込む。データを財として見れば分かりやすいが、共産主義国家は財を私有せずに皆で共有するのに対し、資本主義国家は横串にさせない。このように国家としての「主義」の違いは、データの取り扱いという点に深く影響を及ぼす。 憲法文化も大きな差異を生む。「自由(liberty)」をベースにプライバシーを考える米国では「表現の自由」が強い。マーケティングにおいても、データ収集・プロファイリング・データの販売は表現の自由として憲法上、保護されている。そのためにGAFAのような巨大企業が育っていく。 一方、「尊厳(dignity)」をベースにプライバシーを考えるEUは、人をツール化(道具化)することに対して否定的だ。そのため、スコアリングやターゲティングといった人をモノとして見る行為を良しとせず、国民のデータベースを作ることにも抵抗感がある。 だが、米国では選挙コンサルティング会社のケンブリッジ・アナリティカによる米Facebookのデータ不正収集事件で潮目が変わりつつある。米GoogleやFacebookと異なり、広告収入に依存しない米Microsoftや米Appleが盛んにプライバシーの尊重をうたい始めていることからも、その変化は見て取れる。誇りに思っていた表現の自由がデータの乱用によって侵されたという事態に国民が憤りを感じているためだ。 では、どのような対処が望ましいのだろうか。 一つは、スコアなどの情報を金融の世界だけにとどめておくことだ。利用範囲を限定し、社会生活のインフラと結び付けないようにすれば、差別を生まない環境を作れる。もう一つはスコアを多元化しておくことだ。複数の事業者が手掛ける形にすれば一元化を避けられ、国民に選択肢を与えることができる。 政府が厳しい規制をかける段階にはまだ来ていない。民間企業が今後どのような動きを見せるのかは分からない。自由な活動を政府が規制するタイミングではないだろう』、米国でも「米Microsoftや米Appleが盛んにプライバシーの尊重をうたい始めている」というのは好ましい変化だ。「スコアなどの情報を金融の世界だけにとどめておく」、「スコアを多元化しておく」という提言には大賛成である。

第四に、解剖学者の養老孟司氏が文芸春秋3月号に寄稿した「AIと日本人~AIが人間を情報化する新たな「脳化社会」を生き抜く処方箋とは」のポイントを紹介しよう。
・『チンパンジーとの違い  人間とは「意識=理性」によって「同じ」という概念を獲得した生き物。「等価交換」が出来るようになったり、言葉やお金、民主主義を生み出した』、「「同じ」という概念を獲得した」ことは、確かに大きな進歩をもたらしたようだ。
・『本人がノイズに  現代は脳の時代で「脳化社会」と定義。あらゆる人工物は、脳機能の表出。30年間のデジタル化により、社会の「脳化」はますます鮮明に。世界が究極的な理性主義になっている。「理性」を突き詰めたのがコンピュータ、その先にあるAI。現代社会における「本人」は「ノイズ」でしかない(例えば本人確認では書類の方が大事)。「相模原障害者施設の19人殺し」の背景には、帰納的に使えるか否かのイチかゼロかの発想で、全てのものには意味がなければならないという心理がある。さらにその意味が「自分にわかる筈だ」という暗黙の了解もある。後段が問題で、「私にはそういうものの存在意義がわからないから、意味がないと勝手に決めてしまっている』、「現代社会における「本人」は「ノイズ」でしかない」というのは面白い比喩だ。「相模原障害者施設の19人殺し」の背景の分析も興味深い。
・『人間の悪いクセ  アメリカで人間の能力を上げるヒューマン・エンハンスメントを真面目に考えている。この問題が孕む優生思想の危険性』、「ヒューマン・エンハンスメント」が「優生思想の危険性」を孕んでいるというのも、言われてみればその通りなのだろう。
・『「わかる」ことの落とし穴  東大などの国公立大学に進学する生徒は読解力があるが、その帰結として、空気を読み「忖度する」官僚のような負の側面。世の中には理屈のないもの、感覚的なものが存在するのだから、子供たちの”差異”を大切にする感覚を日常生活において持ち続けることが、非常に大事。テクロノジーやAIの発展を止めることは出来ない。戦前の軍隊と同じように、一度、お金と労力を投資してシステム化してしまうと、慣性が大きくなってしまい、後戻り出来ないからです。だからこそ、世界には「同一性」と「差異」が併存。それが、AIが生み出す新たな脳化社会への処方箋になるかもしれません』、「子供たちの”差異”を大切にする感覚を日常生活において持ち続けることが、非常に大事」というのは、その通りだ。そうすることで、企業でも、性別や人種の違いに限らず、年齢、性格、学歴、価値観などの多様性を受け入れ、広く人材を活用することで生産性を高めようとするダイバーシティを広く認めることにもつながっていくだろう。  
タグ:養老孟司 人工知能 東洋経済オンライン AI ジョージ・オーウェル 日経ビジネスオンライン RPA FinTech (その8)(「機械に大半の仕事を奪われる」説の大きな誤解 日本人が「デジタル失業」しにくい5つの理由、「中国発AI」で、通訳も速記も もう必要ない ファーウェイやBATを超える ものすごい企業、AIが生み出す「不条理な没落」にどう対峙すべきか、養老孟司氏:AIと日本人) 「「機械に大半の仕事を奪われる」説の大きな誤解 日本人が「デジタル失業」しにくい5つの理由」 「タクシー運転手」の今後10~20年後の「機械による代替可能性」 95.4% 「AIに仕事を奪われる」説が横行 カール・B・フレイ博士とマイケル・A・オズボーン准教授が発表した「雇用の未来」という研究論文と同様の手法 「アメリカでは10~20年以内に労働人口の47%が機械に代替されるリスクが高い」 専門家の間では同リポートの問題点を指摘する声が次々と上がった 独ZEW研究所のメラニー・アーンツ氏らの貢献 「タスクベース」の変化 OECD(経済協力開発機構)は、アーンツ氏らのそうした現実を踏まえた研究結果を基に2016年にリポートを発表。そこでは、自動化の可能性が7割を超える職業はOECD21カ国平均で「9%」という予測値が掲載 「未来の仕事のデータは存在しない」 時代とともに仕事は変わる。定量的予測にはどうしても限界がある」 ①「職業はタスクベースで変化する」 ②「新しい仕事が生まれる」 ③「技術進化&コストの影響」 ④「人材需給の影響」 ⑤「社会制度や慣習の影響」 身の回りの環境変化への想像が不可欠 「こうした現実をすべて踏まえた定量的予測は不可能」 人の仕事の機械への代替は進んでいる 各個人が身の回りの環境変化に想像をめぐらせることが不可欠といえる 「「中国発AI」で、通訳も速記も、もう必要ない ファーウェイやBATを超える、ものすごい企業」 アイフライテック スマート会議システム 会議中の発言をAIで認識し、自動で文字に変換してスクリーンに映し出す。音声認識の正確性は中国語で97%、英語で95%と、プロの速記者をも上回る高さだ 中国語では、会議の要点を短くまとめた要約すら、自動で作成可能 AIカスタマーサービスロボット アマゾンやグーグルに次ぐ、中国トップの破壊力 スマート・カンパニー50 世界第6位に選ばれた。中国勢としては巨大IT企業であるBAT(バイドゥ、アリババグループ、テンセント)を抑えてトップ AIノート 電子書籍を読む機能もあるが、それだけではない。スマート会議システムと同様、音声を自動かつほぼ同時に文字変換し、画面上に表示できる 専門分野のデータが次々と蓄積される 山本龍彦=慶応義塾大学法科大学院教授 「AIが生み出す「不条理な没落」にどう対峙すべきか」 プライバシーの考え方とデータがけん引する社会の間には、そもそも一定の矛盾が存在 伝情報は本人の努力によって変えられるものではない。AIの予測精度を高めるためにこうした情報を広く集め始めると、「生まれによる差別」が間違った形で復活する可能性も出てきてしまう Financial Inclusion オーウェルからカフカの世界へ 一つは監視という問題 私的な領域が評価対象になる可能性も リラックスできる安息地がこの世界から無くなってしまうかもしれない 公的な機関がスコアを管理すると、多くの人が現状の政権を批判するような活動を控えるようになるだろう 法治国家は事前に罰せられるルールを明確化している。予測可能性が立つことで自由が生まれる。これが法による支配のメリットでもある アルゴリズムの世界では事前に不利益を予知しにくい。そのため予測可能性が立たず、自身のどのような行動がマイナス要因になるのかが分からず、萎縮効果が生まれる algocracy(アルゴクラシー) アルゴリズムによって規律される社会では、ブラックボックスが生まれてしまう。個人にとっての自由の意味が変わり、社会的に見れば民主主義にも影響を与えることになる 私が「バーチャルスラム」と呼ぶ問題が出てくる スコアが社会的なインフラと結びつくと、スコアの低い人が排除される社会になる。社会生活で不利益を被ることになり、差別を受け始めるのだ 『1984』で監視社会の暴走を描いた フランツ・カフカは小説『審判』で、理由も分からず逮捕され、理由も述べられないまま裁判にかけられ処刑される主人公の不条理を描いた D.ソロブという情報法学者は、データ社会がブラックボックスを放置したまま発展を続けていくと、「オーウェルの世界」から「カフカの世界」へと移行すると指摘 不条理な没落によってスコアが低い人が二度とはい上がれず、権力主体が誰なのかは分からない。こうした人たちがバーチャル空間のなかで吹きだまりを作り、バーチャルスラムを形成してしまう ロジックを残し、説明可能にしておくことで、AIをホワイトボックス化する取り組みだ 「主義」や「憲法」による差異 「自由(liberty)」をベースにプライバシーを考える米国では「表現の自由」が強い 「尊厳(dignity)」をベースにプライバシーを考えるEUは、人をツール化(道具化)することに対して否定的 米国では選挙コンサルティング会社のケンブリッジ・アナリティカによる米Facebookのデータ不正収集事件で潮目が変わりつつある Microsoftや米Appleが盛んにプライバシーの尊重をうたい始めている スコアなどの情報を金融の世界だけにとどめておくこと もう一つはスコアを多元化しておくこと 文芸春秋3月号 「AIと日本人~AIが人間を情報化する新たな「脳化社会」を生き抜く処方箋とは」 チンパンジーとの違い 「同じ」という概念を獲得 「等価交換」が出来るようになったり、言葉やお金、民主主義を生み出した 本人がノイズに 本人確認では書類の方が大事 「相模原障害者施設の19人殺し」の背景 「私にはそういうものの存在意義がわからないから、意味がないと勝手に決めてしまっている アメリカで人間の能力を上げるヒューマン・エンハンスメントを真面目に考えている。この問題が孕む優生思想の危険性 「わかる」ことの落とし穴 世の中には理屈のないもの、感覚的なものが存在する 子供たちの”差異”を大切にする感覚を日常生活において持ち続けることが、非常に大事 世界には「同一性」と「差異」が併存。それが、AIが生み出す新たな脳化社会への処方箋になるかもしれません
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小売業(コンビニ)(その3)(24時間営業問題)(セブン「ドタバタ社長交代」に透ける王者の焦り コンビニオーナーは「新社長には期待せず」、セブン経営陣 24時間営業を死守する「撤退できぬ病」の重症度、コンビニ「24時間営業問題」 セブンとローソンは明暗を分ける…?) [産業動向]

今日まで更新を休むつもりだったが、更新することにした。小売業(コンビニ)については、昨年10月12日に取上げた。今日は、(その3)(24時間営業問題)(セブン「ドタバタ社長交代」に透ける王者の焦り コンビニオーナーは「新社長には期待せず」、セブン経営陣 24時間営業を死守する「撤退できぬ病」の重症度、コンビニ「24時間営業問題」 セブンとローソンは明暗を分ける…?)である。

先ずは、4月8日付け東洋経済オンライン「セブン「ドタバタ社長交代」に透ける王者の焦り コンビニオーナーは「新社長には期待せず」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/275506
・『突然のトップ交代人事は「吉」と出るのだろうか。 セブン&アイ・ホールディングスは4月4日、コンビニエンスストア最大手である傘下のセブン‐イレブン・ジャパンの社長交代を発表した。4月8日付けで永松文彦副社長(62)が社長に昇格。鈴木敏文名誉顧問(86)の愛弟子・古屋一樹社長(69)は代表権のない会長に就く。 「柔軟なあり方を模索したい」。4日に行われた記者会見の席上、セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長(61)は「柔軟」という言葉を6回も繰り返した』、唐突感がある社長交代には驚かされた。多分、東大阪市の加盟店オーナーによる時間短縮営業に対し、本部が違約金をかざして対応したことで、問題が大きくなった責任を取らされたのだろう。
・『「コミュニケーションの目詰まり」でトップ交代  ブン‐イレブンは、1974年に国内1号店を東京都内に出店して以降、チェーンストア・オペレーションを基にした統一された運営を徹底することで事業を拡大してきた。だが、ここにきて全国一律で同じシステムを適用する硬直的な運営では、社会の変化に対応し切れないケースが増加。人手不足で苦しむフランチャイズ店からは「年中無休、24時間営業」の見直しの声が強まっていた。 セブン‐イレブンは経営体制の刷新により、変化に対応できる柔軟な体制の構築を目指す。 今回、トップ交代に踏み切った背景について、井阪社長は会見で「組織的な問題として、コミュニケーションの目詰まりがあった」と語った。セブン‐イレブンの店舗網が全国で2万店を超える中、現場の情報が上がりにくくなっていた。 たとえば、2018年2月に福井県が豪雪に見舞われた際に、本部側が営業時間の短縮を認めなかった。アルバイトなどが出勤できない状況で、加盟店のオーナーが不眠不休で対応せざるをえなかった。井阪社長はこの事実を社内からあがってきた情報で知ったのではなく、報道を受けて知ったという。 こういった加盟店の意見や情報が本部に届きながら、トップまであがらないことに対し、セブン‐イレブンの新社長に就く永松氏は「過去の延長線ではなく、新しい発想で経営を推進したい」と、変革への強い決意を述べた』、「店舗網が全国で2万店を超える」とはいえ、福井県の豪雪災害時にも、「本部側が営業時間の短縮を認めなかった」、しかもそうした情報が持株会社の社長には上がっていなかったというのは、組織の硬直化が酷いようだ。
・『1カ月で昇格のドタバタ社長人事  それにしても今回の人事はドタバタだった。永松氏は今年3月1日付けで人事本部管掌の取締役から副社長に昇格。店舗開発と既存店運営の両方を管掌する営業本部長に就任した。そのわずか3日後に、営業本部長と、既存店運営を統括するオペレーション本部長を兼務する3月18日付けの人事が公表された。そして、それから1カ月で社長昇格の人事である。 セブン&アイの井阪社長は永松氏を選んだ理由について、「事業構造改革のみならず、人事や労務管理、教育に精通している。今の加盟店オーナーの悩みに応えられるとともに、現場の声を適切に吸い上げられる最適な資質を有している」と語った。 永松氏はこれまで、加盟店の経営指導や人事を担当。また、セブン&アイグループの通販大手・ニッセンホールディングスの副社長として同社の再建に携わった経験を持つ。幅広い分野での豊富な経験を活かし、加盟店との連携強化に乗り出す。まず、今年から全役員が全地区を訪問し加盟店と直接話し合い、経営課題を共有する。 加盟店の一部から不満の声があがっている24時間営業問題に対しても、一部見直す可能性を示唆する。「今後は、立地や商圏など1店舗1店舗の状況を見極めたうえで、柔軟に対応していく」(井阪社長)。 ただ、24時間営業を一気に縮小するわけではない。「加盟店の収益が落ちるのは大きな問題なので、シミュレーションしながら話し合うのが基本のスタンス」(永松氏)とする。2019年3月から、直営・FC合わせて12店で営業時間短縮の実証実験を進めている。営業時間を短縮すれば「売り上げは当然下がる」(永松氏)が、その結果を加盟店に説明し、そのうえで営業時間短縮を希望する加盟店と話し合いを進める方針だ。 拡大路線をひた走ってきた戦略の見直しにも着手する。出店数を大幅に縮小する一方で、既存店の強化を打ち出す。2019年度の国内出店数は、2018年度に比べて539店減となる850店を予定。これにより、2018年度616店純増から2019年度は100店純増に大幅に抑制する計画だ』、新社長は、「加盟店の経営指導や人事を担当」してきたのであれば、適任なのかも知れないが、営業時間短縮には慎重なようだ。
・『新店より既存店投資に資金を投下  他方、既存店への設備投資は積極化する。2018年度は年間の総投資額1100億円のうち62%を新店関連費用として投じたが、2019年度は総投資額1450億円のうち6割以上を既存店に投資する計画だ。セルフレジの全店導入などを進める。 変革路線を明確にしたセブン‐イレブンだが、関東地方の加盟店オーナーは「管理部門が長かった永松氏に、現場の苦しみが理解できるのか。その手腕には、まったく期待していない」と冷ややかだ。関西圏の加盟店オーナーも「40年近くオーナーの声を聞く姿勢がなかったのに、その体質を急に変えることができるのか疑問」と話す。 「現場の疲労感は溜まりに溜まっている」と、関西圏の加盟店オーナー。2020年2月期を最終年度とする3年間の中期経営計画では、当初は国内コンビニ事業で190億円の増益を計画していたが、既存店売り上げや粗利率が鈍化し、増益幅は80億円に縮小する見通しだ。 国内コンビニ事業の成長鈍化が目立っている中、画一的システムの限界を迎えつつあるセブン‐イレブンの問題を根本的に解決するには、まずは本部と加盟店との認識のズレを是正する徹底した姿勢が求められる』、加盟店オーナーとの深い溝を埋めていくには並大抵ではないだろう。

次に、ノンフィクションライターの窪田順生氏が4月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「セブン経営陣、24時間営業を死守する「撤退できぬ病」の重症度」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/200203
・『ローソンやファミリーマートに「24時間営業見直し」のムードが広まっている中、頑なに24時間営業継続の道を進んでいるセブン-イレブン経営陣。日本企業、ひいては旧日本軍にも蔓延していた「撤退できぬ病」に冒されているのではないだろうか』、「撤退できぬ病」とは言い得て妙だ。
・『24時間営業にこだわらないセイコーマートとセブンの違いとは  「24時間営業見直し」のムードが高まっている。 ローソンの竹増貞信社長は、もともとコンビニは24時間営業だったわけではなく、時代の求めに応じて始まったルールなので、社会のニーズが変われば店舗ごとに対応してもいい、という柔軟な考えを示しており、実際ローソンではこの5月、「時短営業」の店舗は計43になるという。ファミリーマートも、この6月に24時間営業見直しを視野に入れた実験を行う。約270のFCオーナー店を対象に参加を募っているという。 また、規模を抑えた「持続性重視」の経営にも注目が集まっている。 1971年、日本初のコンビニを開店させて、北海道と関東で1190店舗(2019年3月末現在)を展開するセイコーマートでは、24時間営業店舗は全体でわずか2割しかない。 大手コンビニは、オーナー店からの「チャージ」の収入が柱となるフランチャイズビジネスなので、店舗を開ければ開けるほど儲かるが、セイコーマートはほぼ直営店。商品や輸送も内製化しており、会社全体で収益を上げるビジネスモデルなので、人手不足に対応して、そこまで売上げの立たない店舗は早終いできる、というわけだ。 「24時間営業をやめたらコンビニというインフラは持続できません」と訴えるセブン-イレブンが、その名と似た響きであるにも関わらず、一向に出店しない最北端の礼文島や、奥尻島、利尻島などの離島にもセイコーマートは出店しており、今や島民になくてはならない存在となっている。 「コンビニは地域インフラ」という話と、「ドミナント戦略」や「24時間営業」は、その地域インフラ維持に実は大して関係ないということを体現するセコマから、セブンも学ぶべき点は多いのではという声も少なくないのだ』、セイコーマートが「日本初のコンビニを開店」させ、未だに「直営店」方式でやっているとは初めて知った。
・『セブン経営陣が陥っているのは「撤退できぬ病」  では、このムーブメントの「火付け役」ともいうべき、当のセブンはどうかというと、「24時間営業死守」の構えを崩していない。 4月5日の『セブン、「24時間営業死守」の本音を見せつけた新社長の就任会見』で詳しく解説されているが、なんやかんやと理由をつけて、どうにかして「24時間営業継続」の道を模索しているのだ。 つい最近、話題になった「時短営業の実証実験」も実はその一環で、これまでも24時間営業をやめると売上げがかなり厳しくなるというデータがあり、「それを明確にするためにテストをやっている」と、永松文彦新社長も述べている。 データ主義といえば聞こえはいいが、バイトが確保できず、個人に過重労働がのしかかる「ブラック職場」になっている中でも具体的な問題解決策を示さず、ただ現行の計画を進めます、という姿勢は、現実から頑なに目を背けているようにも見える。 なぜセブンほどの立派な大企業を舵取りする頭脳明晰なリーダーたちが、こんな理解に苦しむ対応をするのか。 「単に収益が減るのが嫌なだけでしょ」「いや、売り上げが落ちればコンビニの質の高いサービスが維持できない!日本のためを考えての苦渋の決断だ!」などなど、皆さんもこの件には様々な意見があることだろう。 だが、筆者の見方はちょっと違う。日本型組織の代表的な病の一つである「撤退できぬ病」に、セブン-イレブンの幹部の皆さんが蝕まれつつあるのではないか、と心配しているのだ。 筆者は報道対策アドバイザーという仕事柄、「問題アリ」の組織を間近に見る機会がわりと多い。そこで気づいたのは、組織外の人間から見れば明らかに無謀に見える計画なのに、変更したり見直すことを頑なに拒むリーダーが、思いのほか多いということだ。この現象を個人的に「撤退できぬ病」と呼んでいる』、確かに、普通の企業にもありそうな話だ。
・『頭では無謀だとわかっているけれど…なぜか撤退だけは頑なに拒む  例えば、組織外からも、中からも「無理じゃないですか」という声が上がるような無謀な話でも、聞く耳を持たずに進めようとする。 「ここまでやってきたのに、そう簡単にやめられるか」「これまではこのやり方でうまくやってきた。無責任な外野に何を言われようとも、これを変えるつもりはない」「先人たちが成長をさせてきたこの事業を、そういう無責任さでやめられない」 なんて感じで、断崖絶壁へと続く一本道でアクセルを深く踏み込んで、残念な結末を迎えてしまうのだ。 頑固だから、独裁者だから、ということとは、ちょっと違う。組織内ではむしろ、現場からの声にもよく耳を傾けるし、調整型リーダーだったりする。しかも頭では、これがいかに無謀な話なのか薄々勘付いている。しかし、なぜか「撤退」という決断だけは、頑なに拒むのだ。 そんな「撤退できぬ病」が、暴走する組織ではちょいちょい見られる。最近では、入居者数を増やすための杜撰な効率化や納期短縮という「創業者の無謀な計画」から撤退できなかったレオパレスが典型例だ。 と言うと、「確かにそういう組織もあるが、日本型組織みたいにひとくくりにするな!」というお叱りを受けるかもしれないが、とにかく数字さえ合えば問題ナシという「員数主義」や、「指導」と言えば、「上」は「下」にどんな理不尽な仕打ちをしてもいいという「新兵いじめ」などなど、日本型組織のベースをつくった旧日本軍も、「撤退できぬ病」で破滅の道をつき進んでいる。 わかりやすいのが、「インパール作戦」である。 およそ3万人が命を落とし、世界中の戦史家から、「太平洋戦争で最も無謀」とボロカスに酷評されるこの作戦は、世間一般的には、軍国主義に取り憑かれた大本営がゴリゴリ押して進められた、というようなイメージが強いが、実態はそうではない。 大本営というエリート集団が総じて「撤退できぬ病」に蝕まれていたため、腹の中ではこれはもう無理だと思いながらも、誰一人として「撤退」を強く主張しなかった。そして、なんとなくうやむやのまま、作戦が進められてしまったのだ』、「インパール作戦」は確かに「撤退できぬ病」の典型なのかも知れない。
・『強すぎる責任感が撤退できぬ病の根幹  そのあたりは、歴史学者・戸部良一氏の「戦争指導者としての東條英機」(防衛省 戦争史研究国際フォーラム報告書)に詳しい。 現地軍の苦境を知った大本営は、当時のビルマへ秦彦三郎参謀次長を派遣した。彼が帰国後、「作戦の前途は極めて困難である」と報告をしたところ、東條英機は「戦は最後までやってみなければわからぬ。そんな弱気でどうするか」と強気の態度を示したというが、実はこれは心の底からそう思ったわけでもなければ、確固たる信念から口に出たことでもなかった。 《この報告の場には、参謀本部・陸軍省の課長以上の幹部が同席していたので、東條としては陸軍中央が敗北主義に陥ることを憂慮したのであろう。このあと別室で2人の参謀次長だけとの協議になったとき、東條は「困ったことになった」と頭を抱えるようにして困惑していたという》(「戦争指導者としての東條英機」より) 東條英機も撤退しなくてはいけないことは頭ではわかっていたのだ。が、わかっちゃいるけどやめられなかった。重度の「撤退できぬ病」にかかっていたことがうかがえる。 では、なぜこうなってしまうのか。病の根幹は「セクショナリズム」と「強すぎる責任感」である。 秦彦三郎によると、《インパール作戦は現地軍の要求によって始まった作戦であるので、作戦中止も現地軍から申請するのが筋である》(同上)という考えが大本営にあった。一方、大本営にいた佐藤賢了は、東條英機を「独裁者でなく、その素質も備えていない」として、こう評している。 「特に責任観念が強過ぎたので、常に自己の責任におびえているような面があった」(佐藤賢了の証言 芙蓉書房)』、「責任観念が強過ぎたので、常に自己の責任におびえているような面があった」というのにはやや違和感がある。責任感があれば、セクショナリズムを超えて作戦中止を命令してもよかった筈ではなかろうか。
・『曖昧な意思決定をしている間に現場のダメージは広がっていく  想像してほしい。誰だって、自分ではない人たちが覚悟を持って始めたことを、簡単に「やめろ」とは言いづらいだろう。それがどんなに無謀で、どんなに悲惨な結果に終わるのかが目に見えていても、「俺らがやりたくてやるんだ、外野が口出しするな」と文句を言われたら黙るしかない。 責任感のある人間であればあるほど、無責任な発言はできないだろう。頭では、無謀な計画だということは重々承知しているものの、計画立案者や、それを遂行する現場への「遠慮」があるので、「もうやめない?」の一言が出ない。信念やビジョンからではなく、「責任のある立場」から関係各位の事情を考慮して、現状維持へ流されていくのだ。 これが「撤退できぬ病」が生まれるメカニズムだ。 全国規模の超巨大組織の「作戦」を決める、という意味では、セブン-イレブン本部は、旧日本軍の大本営とよく似ている。ならば、セブンの幹部も、大本営同様の「病」にかかってしまう恐れはないか。 FCオーナーという現場を知る者から「24時間営業という作戦の前途は、極めて困難である」という報告を受けているにもかかわらず、「そんな弱気でどうする」と檄をとばす。そこに確固たる自信や戦略があるわけではない。「24時間営業」を進めて戦果を上げてきた前任者や、組織内の24時間営業を死守すべきという勢力への「遠慮」からだ。内心、困ったことになったと頭を抱えているが、とにかく「撤退」は言い出せない。みな東條英機のように、責任感の強いリーダーだからだ。 だが、ビルマの戦局同様に、そのような曖昧な意思決定をしている間に、現場のダメージは着々と広がっている。後に歴史を振り返ってみた時に、「24時間営業死守は令和のインパール作戦だった」なんて酷評されるかもしれないのだ。セブンのリーダーたちは大本営の過ちから学び、是非「勇気ある撤退」を決断していただきたい』、その通りだろう。

第三に、経済ジャーナリストの松崎 隆司氏が5月8日付け現代ビジネスに寄稿した「コンビニ「24時間営業問題」、セブンとローソンは明暗を分ける…?」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64263
・『24時間営業問題で「セブン社長交代」の大激震  セブン&アイ・ホールディングスは4月4日、都内で会見を開き、傘下のコンビニエンスストア、セブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹社長が退任、後任には永松文彦副社長が就任することを発表した。 きっかけとなったのは24時間営業問題。 大阪府東大阪市の加盟店オーナーが人手不足を理由に営業時間を19時間に短縮したところ、フランチャイズ契約に反し、1700万円の違約金が発生すると本部が指摘したことから両者の間に対立が起こった。 問題はそれにとどまらなかった。 他の加盟店からも火の手が上がり、世論を喚起。こうした加盟店との軋轢が深まる中で、コンビニ業界のガリバーといわれるセブン-イレブンも本部と加盟店の関係を再構築し、ビジネスモデルの抜本的な見直しが求められることから、長い間加盟店と接点を持ち人事労務に強い永松副社長を抜擢したとみられている。 井阪隆一セブン&アイ・ホールディングス社長は、記者会見でセブン-イレブン・ジャパン社長交代の理由について次のように語っている。 「24時間問題に対応できなかったというよりは、コミュニケーションのパイプの根詰まりが組織的な問題としてあった。それは2万店という巨大なチェーンにおいて、一人の社長が情報を吸い上げて対応しなければいけない。とても負荷がかかる。永松が入ることで、社内の情報をしっかりと吸い上げて、コミュニケーションを密にし、素早い戦略立案、課題解決を実行する」 セブン-イレブンの前身は「ヨークセブン」で1973年に創立され、コンビニエンスストアのビジネスモデルを作り上げてきた。 セブン-イレブンが誕生した1973年は、高度経済成長の最後の時期。工業化社会へと突入し、大量生産、大量販売による空前の消費ブームを巻き起こしていた。 こうした大企業の猛攻の中で、中小小売業の経営は厳しさを増していた。 「中小小売業は依然として家族的な労働を中心に営まれており、労働生産性が上がらなかったこと、また新たな人材を確保しようにも、需要も大きく労働条件が整備されてきた製造業に人材が吸引されていたこと、さらに高度成長を経て消費市場自体が『商品をつくって店頭に並べれば売れた売り手市場』から『お客さまが価値を認めた商品だけを買っていく買い手市場』へと変化し始めていたことなどが、その背景にありました」(同社ホームページ「セブン-イレブンの歴史」より) 政府もまた中小小売商業振興法や大規模小売店舗法(大店法)を公布し、中小企業の活性化に乗り出した。 鈴木敏文名誉顧問、(当時イトーヨーカドー取締役)は当時、イトーヨーカ堂出店を進めて行くために地元の商店街などに「共存共栄」を説明して回った。鈴木氏は当時を振り返ってこう語っている。「当時、中小小売店の不振の原因は、生産性の問題であり、大型店との競争の結果ではないと考えて、規模の大小にかかわらず生産性を上げて人手を確保し、きめ細かくニーズに対応していけば必ず成長の道が拓かれ、大型店と中小小売店の共存共栄は可能だと説得し続けていました。しかし、いくら言葉で言っても生産性の上がる中小小売店経営の実例がどこにもないので、商店街の方々の納得を得るのは困難でした」(「セブン-イレブンの歴史」より)』、スーパーと「地元の商店街」との「共存共栄」は、確かに難しい問題だが、全く不可能ではない筈だ。
・『マニュアル経営の光と影  イトーヨーカ堂などの大型店が発展する一方で、セブン-イレブン本部がフランチャイズ・ビジネスを徹底的に追求し、それをマニュアル化して店舗にそれを徹底させるビジネスが生まれてきたわけだ。 鈴木氏は米国のセブン-イレブンの親会社、サウスランドと提携、1973年には「ヨークセブン」を設立。74年には東京江東区に1号店の豊洲店を出店、1975年には福島県郡山の虎丸店で24時間営業をスタートした。 1978年には「セブン-イレブン・ジャパン」に改名。その後1980年には1000店を突破する。1981年には東証一部に上場。1982年にはPOS(販売時点情報管理)システム、EOB(電子発注台帳)による発注を開始、システムを次々に刷新し最新のものを導入した。一方でこれまで小売業が扱うことができなかった商品をいち早く導入、規制緩和の旗手としてその存在感をアピールする。 ドミナント出店によるブランド強化と合理性を追求した物流システムを構築。日販でもファミリーマート、ローソンなど大手3社の中で圧倒的な数字を挙げてきた。こうした成果を上げることができたのもの、いち早くマニュアル化を進めて加盟店を徹底的に管理してきたからだ。 「最初の3カ月は本部の人間が入り、徹底的に指導する」(コンビニ関係者) そして、2018年には2万店を突破した。 しかし、加盟店が増えれば増えるほどマニュアルによる画一化されたビジネスに違和感を持つ店舗も増加していった。 そうした中で浮上したのが、ロスチャージの問題だ。ロスチャージとは、賞味期限切れで廃棄された商品に対して、売り上げがあったものとして粗利を算出し、この粗利に基づいて加盟店がロイヤリティを支払う取り決めのことだ。 これが詐欺に当たる不当な請求だとして、岡山の加盟店オーナーがセブン-イレブン本部を提訴。2005年には東京高裁で加盟店側が勝訴したが、2007年の最高裁判決では逆転敗訴となっている。 その後セブン-イレブン本部が加盟店に制限していた見切り販売が問題となり、独占禁止法違反であると、公正取引委員会がセブン-イレブン本部に対して排除措置命令を勧告。セブン-イレブン本部は廃棄損失の15%分を負担すると発表したが、契約解除をちらつかせて値引きを制限する本部に対して、加盟店オーナーたちからは損害賠償訴訟が続いた』、コンビニ本部が加盟店に対し、優越的地位を振りかざして強要するケースには、公正取引委員会ももっと積極的に排除に踏み出してほしいものだ。
・『「コンビニ加盟店ユニオン」の副委員長が語る  こうした流れの中で 2009年8月にはセブン-イレブンの店主が中心となって「コンビニ加盟店ユニオン」を設立、本部に対して団体交渉を求めたが、本部はこれを拒否。岡山県労働委員会に救済を求めると、「加盟店主は労働組合法上の労働者」と初めて認定された。 こうした動きは、ファミリーマートなどにも波及する。コンビニ業界にとってセブン-イレブンが確立したビジネスモデルがディフェクトスタンダードになっているからだ。セブンーイレブンの真似をすることで“柳の下の二匹目のどじょう”狙うというのが、長い間コンビニ業界を支配してきた構図だったからだ。 ファミリーマートの加盟店オーナーの一部は、「コンビニ加盟店ユニオン」に合流。さらに「ファミリーマート加盟店ユニオン」も誕生し、東京都労働委員会に救済を求めて加盟店オーナーが労働者である認定を受ける。 ところが、その後中央労働委員会が岡山や東京の認定を覆し、加盟店オーナーは労働組合法上の労働者には当たらず、団体交渉の申し入れに応じないことは団体交渉拒否には当たらないと判断したことから、コンビニ本部と加盟店オーナーとの間の溝はさらに深くなっている。 こうした中で急浮上したのが、今回の24時間営業の問題だった。人口減少などによる人手不足で人件費は高騰。店舗運営が難しくなり、セブン-イレブンの大阪の店舗から24時間営業を止めたいという声が上がり、現在は96店の店舗でそうした声があがっているという。 さらに3月には、「コンビニ加盟店ユニオン」がセブン-イレブンに対して24時間営業問題の解決を求める申し入れ書を提出した。 「24時間営業をやめるのは、それによって生活基盤を得ている方がたくさんいるので、リスクを及ぼす可能性があるし、長年培ってきたブランドに対してもリスクがある」(井阪隆一セブン&アイ・ホールディングス社長) セブン-イレブンは当面、実証実験を行いながら一方で経営陣が全国のオーナーの元を回り、関係改善を図っていくという。しかし、問題は構造的な人手不足と人件費の高騰。そのために店舗の収益が圧迫されていることをどう解消するかだ。 セブン-イレブンは「19年度は出店を850店。前年より500店以上抑制」(井阪社長)し、新店開発での投資を抑える一方で、既存店の設備投資を強化。今年度中にはセルフレジを全店舗に導入するという。こうしたセブン-イレブンの取り組みに対して「コンビニ加盟店ユニオン」の副委員長、吉村英二氏は次のように語る。 「社長は変わりましたが、実情は全く変わらないと思います。役員が加盟店オーナーを回って説得するといっていますが、2万店以上の加盟店を回れば、10年かかってしまうのではないですか。説得力がない。コンビニ本部と加盟店との間には24時間問題以外にも廃棄ロスの問題やチャージの問題などまだまだたくさんの問題があるのですが、これまで団体交渉ができなかった。暗雲が立ち込めているとっても過言ではありません。新しい社長には変化に対応してもらいたい」』、吉村英二氏の言い分はもっともだ。
・『ローソンは加盟店オーナーと協調路線  一方で、ローソン本部と加盟店オーナーとの関係はセブン-イレブンをはじめとした他のコンビニとは大きく違っている。 セブン-イレブンが記者会見を開く前日の3日、ローソンの「オーナー福祉会 理事会(前身は加盟店共済会・以下オーナー福祉会)」の理事会が沖縄のホテルで開かれていた。「オーナー福祉会」は全国の各エリアから選出された加盟店の代表であるオーナー理事で構成される組織で、3年の任期で年2回行われる理事会は、オーナー理事と本部との意見交換会だ。 今回は退任する10期12名、新任された11期13名の25人とその家族(計40人程度)、本部4人が出席した。今年は24時間問題、人手不足など課題は山積している。オーナー理事とともに座っていた竹増貞信社長が口を開いた。 「オーナー福祉会の懇談会というよりは、これからはみなさん方がローソン全体のアドバイザリーボードの委員を引き受けてもらいたいと思っています。ですから、この会自体を『ローソン加盟店アドバイザリー委員会』にさせていただきたいと思います。みなさんにはいろいろな意見を出していただきたいと思います。年に2回の理事会に加えて問題が起きたときには力を貸してください。今回を第一回目にしましょう。会議は時間無制限、言いたいことを言ってくださいね」 これに対して加盟店オーナーからも次々に意見が上がる。24時間営業問題も例外ではない。 「時短営業については、人手不足の中でメリット、デメリットがあります。それを踏まえて本部としても対応を考えていただきたい」「銀行のATMコーナーの様に必要以外の売り場をシャッターで閉鎖して、一部売り場だけでの営業といった事は考えられないでしょうか。また、無記名のアンケートでもよいので、全国のオーナーの提案を受け付けてもらえないでしょうか」 このほかにも、「防犯カメラの遠隔管理」「トイレの清掃」「覆面調査の問題」などさまざまな疑問や意見、提案が行われ、中には本部にとっては耳が痛い意見などもあった。 それでも竹増社長は一人ひとり丁寧に答え、さらに「このような場は本部にとっては宝です。みなさんからいただいた意見に対しては必ず回答する会にしていきたいのです。皆さんの意見、エリアで集約した意見をぶつけてください」と質問を誘った』、ローソンが他のコンビニと協調路線をとっている背景は何なのだろう。
・『「腹を割って話そうじゃないか」  ローソンに「オーナー福祉会」が誕生したのは1987年、その後1992年に全加盟店が参加するようになったという。 「ローソンは当初、ダイエーの中内功会長が、ダイエーを退職する社員たちの受け皿のために作られました。だから本部とオーナーは近い関係にありました。当初の3000人のうち1000人はダイエーのOBです。だからチャージ率も他のコンビニよりも安かったし、弁当の値引きなども早くから認めてきた。 オーナー福祉会の前身『加盟店共済会』もまた、加盟店オーナーたちが発足して10年経ったころに健保組合のようなものが必要だと中内さんに直談判。オーナーと本部の折半出資で設立され、その後1992年にオーナー福祉会に移行してからは福利厚生を加え、全加盟店のオーナーと家族、そして店舗のクルー・スタッフを対象にした組織になりました」(ローソン幹部) しかし当時はまだ、他のコンビニ同様、本部と加盟店オーナーの間には埋めきれない溝のようなものがあり、意思疎通は必ずしもうまくいっていたとは言えなかった。 それだけではない。それまでは加盟店オーナーを集めて商品説明会をおこなっていたが、そうした加盟店オーナーの集まるような場所には社長は参加しなかった。加盟店オーナーから本部の社長にクレームがつくというのはよくないという判断からだ。 しかも当時の本部は、加盟店オーナーを『オーナー様』と慇懃無礼に呼びながら、軽視していた。 「はっきり言って当時のローソンは、他のコンビニの本部と加盟店オーナーとの関係に大差はなかったと思います」(ローソン幹部) そのような中で、こうした企業風土を変えたのが2002年に経営再建のために三菱商事から乗り込んできた社長の新浪剛史氏だった。 新浪は自ら「オーナー福祉会」に出席すると、本部の役員たちをたしなめるようにオーナーたちの前で、「『オーナー様』じゃないだろう。一対一だろう。本部も加盟店も同じ立場なんだ、『様』じゃなくて『さん』だろう』。腹を割って話そうじゃないか」と訴えかけたという』、新浪氏は現在はサントリー社長になっているが、ローソン時代に「本部と加盟店オーナーとの関係」を改革したとは、さすがだ。
・『怒鳴りあいの喧嘩で本音をぶつけあった  ここから両者は本気で話し合うようになり、時には大声で喧嘩になったこともあったという。それ以降は「オーナー福祉会」には社長は必ず出席するという不文律が出来上がり、今でも竹増が出席している。さらに、オーナー会議の元理事を集め「OB理事会」を結成。年一回意見を聞いている。 「すでに何百人になるのですが、これまで頑張ってこられた方たちなので、参考になります」(ローソン幹部) さらに、竹増氏が副社長時代の2014年に女子部を設置。竹増氏がトップを務め、女性オーナーたちの意見を集めるようにした。 このほかにも、ローソンは自発的に全国で生まれた近隣エリアでの加盟店オーナーたちの情報交換会をエリアごとにまとめて「エリア会」を2012年に結成。加盟店オーナーや店長と本部の支店長、支店長補佐、スーパーバイザーなどとの意見交換会を結成した。2018年には計3045回開催されたという。 さまざまな形でオーナーと本部との意見交換会をやってきた成果はあったのか。 「人手不足の問題はかなり早い段階から情報として入ってきました。ローソンスタッフという加盟店への人材派遣の会社も加盟店オーナーからの提案です。40店舗を運営する新潟MO(複数店のオーナー)でフュージョンズという会社社長の佐藤洋彰さんが『オーナー福祉会』会議の中で問題提起し、本部も出資し、うちが49%、佐藤さんが51%を出資してこの会社ができました。2014年のことです」(ローソン幹部) このほか、「オーナー福祉会」がきっかけとなって店舗のクレームを引き受けるための「コールセンター」を設置。本部で一括して引き受けるようになった。 さらにローソンは2016年から「1000日全員実行プロジェクト」として加盟店支援に乗り出し、省力化での人件費削減を実施。廃棄ロス削減では2018年度対比で約2割削減。 24時間問題対応としては、41店舗(5月には2店舗が追加)で時短営業を実施。7月からはデジタル技術を使った無人営業の実験を進める』、ローソンは着実に関係改善に務めているようだ。
・『世耕弘成経済産業相は4月5日、大手コンビニ8社のトップを集めて意見交換会を行い、人手不足など加盟店が抱える問題を是正するよう行動計画の策定を要請。コンビニ各社は4月25日、行動計画を発表した。 セブン-イレブンは「出店基準の厳格化と既存店サポートの強化」「ゼロベースでビジネスモデルを再点検する」「加盟店の皆様と共に」という3つの改革の柱を掲げ、①加盟店様への支援策②オーナー様とのコミュニケーション強化③営業時間短縮の検討④加盟店様の売上・利益の拡大ーーを掲げた。 ファミリーマートは、店舗での実証実験などを踏まえ①省人化・省力化への新規設備投資②協力派遣会社からの店舗スタッフ派遣③24時間奨励金の増額④廃棄ロス削減⑤加盟店と本部の対話充実ーーを掲げている。 ローソンは、これまでの施策をさらに強化し「省力化にチャレンジする」という。 労使協調路線を進めるローソンも24時間問題を簡単には解決できないという。 「(24時間営業の廃止というのは)現時点ではありません。24時間営業の背景には弁当工場から物流センターまでそれを前提に非常に大きな仕組みが動いている。基本は24時間で個別にいろいろな事情に対応しているというのが実態です。現状はこの方針をしっかりと堅持したいと思っています。しかし将来的には変化に対応して、変えていく必要があると思っています」(竹増社長) ちなみに、加盟店オーナーとの関係でいえば、「コンビニ加盟店ユニオン」の約8割はセブン-イレブン、2割がファミリーマートという。ローソンは現在業界3位に甘んじているものの、ローソンが協調路線であるのは、間違いない。 協調路線のローソンは、24時間問題でセブン-イレブンとファミリーマートと一線を画せるのか。「オーナー福祉会」との話し合いの今後に注目したい』、24時間問題での対応では、確かに、セブン-イレブンやファミリーマートもさることながら、ローソンには特に注目する価値がありそうだ。
タグ:コンビニ 東洋経済オンライン 小売業 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生 現代ビジネス (その3)(24時間営業問題)(セブン「ドタバタ社長交代」に透ける王者の焦り コンビニオーナーは「新社長には期待せず」、セブン経営陣 24時間営業を死守する「撤退できぬ病」の重症度、コンビニ「24時間営業問題」 セブンとローソンは明暗を分ける…?) 「セブン「ドタバタ社長交代」に透ける王者の焦り コンビニオーナーは「新社長には期待せず」」 突然のトップ交代人事 コミュニケーションの目詰まり」でトップ交代 福井県が豪雪に見舞われた際に、本部側が営業時間の短縮を認めなかった 加盟店のオーナーが不眠不休で対応せざるをえなかった 井阪社長はこの事実を社内からあがってきた情報で知ったのではなく、報道を受けて知ったという 1カ月で昇格のドタバタ社長人事 24時間営業問題に対しても、一部見直す可能性を示唆 出店数を大幅に縮小する一方で、既存店の強化を打ち出す 新店より既存店投資に資金を投下 「セブン経営陣、24時間営業を死守する「撤退できぬ病」の重症度」 ローソンやファミリーマートに「24時間営業見直し」のムードが広まっている中 頑なに24時間営業継続の道を進んでいるセブン-イレブン経営陣 日本企業、ひいては旧日本軍にも蔓延していた「撤退できぬ病」に冒されているのではないだろうか 24時間営業にこだわらないセイコーマートとセブンの違いとは セイコーマートでは、24時間営業店舗は全体でわずか2割しかない ほぼ直営店 セブン経営陣が陥っているのは「撤退できぬ病」 どうにかして「24時間営業継続」の道を模索 頭では無謀だとわかっているけれど…なぜか撤退だけは頑なに拒む 頭では、これがいかに無謀な話なのか薄々勘付いている。しかし、なぜか「撤退」という決断だけは、頑なに拒むのだ 「撤退できぬ病」が、暴走する組織ではちょいちょい見られる 「インパール作戦」 世界中の戦史家から、「太平洋戦争で最も無謀」とボロカスに酷評 強すぎる責任感が撤退できぬ病の根幹 曖昧な意思決定をしている間に現場のダメージは広がっていく 松崎 隆司 「コンビニ「24時間営業問題」、セブンとローソンは明暗を分ける…?」 24時間営業問題で「セブン社長交代」の大激震 東大阪市の加盟店オーナーが人手不足を理由に営業時間を19時間に短縮したところ、フランチャイズ契約に反し、1700万円の違約金が発生すると本部が指摘したことから両者の間に対立が起こった マニュアル経営の光と影 加盟店が増えれば増えるほどマニュアルによる画一化されたビジネスに違和感を持つ店舗も増加していった ロスチャージの問題 岡山の加盟店オーナーがセブン-イレブン本部を提訴 見切り販売が問題 独占禁止法違反であると、公正取引委員会がセブン-イレブン本部に対して排除措置命令を勧告 「コンビニ加盟店ユニオン」の副委員長が語る ローソンは加盟店オーナーと協調路線 オーナー福祉会 理事会 「腹を割って話そうじゃないか」 企業風土を変えたのが2002年に経営再建のために三菱商事から乗り込んできた社長の新浪剛史氏 怒鳴りあいの喧嘩で本音をぶつけあった 世耕弘成経済産業相は4月5日、大手コンビニ8社のトップを集めて意見交換会を行い、人手不足など加盟店が抱える問題を是正するよう行動計画の策定を要請
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本日12日から15日まで更新を休むので、16日にご期待を!

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漁業(その4)(ウナギは推計で3分の2が密漁・密流通 暴力団が深く関与する実態、WTO判決「必死の韓国」に敗北した 日本の絶望的な外交力 外務省は「絶対勝てる」と言っていた、国際感覚から乖離した日本の官僚 大丈夫か?【橘玲の日々刻々】) [外交]

漁業については、昨年1月23日に取上げた。久しぶりの今日は、(その4)(ウナギは推計で3分の2が密漁・密流通 暴力団が深く関与する実態、WTO判決「必死の韓国」に敗北した 日本の絶望的な外交力 外務省は「絶対勝てる」と言っていた、国際感覚から乖離した日本の官僚 大丈夫か?【橘玲の日々刻々】)である。

先ずは、昨年10月19日付けダイヤモンド・オンライン「ウナギは推計で3分の2が密漁・密流通、暴力団が深く関与する実態 『サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う 』」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/182710
・『裏社会のノンフィクションはこれまで何冊も読んできたが、最も面白みを感じるのは無秩序のように思える裏社会が、表社会とシンメトリーな構造を描いていることに気付かされた時だ。 しかしここ数年は暴対法による排除が進み、ヤクザの困窮ぶりを伝える内容のものばかり。相似形どころか、このまま絶滅へ向かっていくのかとばかりに思っていた。だから彼らがこんなにも身近なところで、表社会とがっちりスクラムを組んでいるとは思いもよらなかったのである。 本書『サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う 』は、これまでに数々の裏社会ノンフィクションを描いてきた鈴木智彦氏が、サカナとヤクザの切っても切れない関係を、足掛け5年に及ぶ現場取材によって描き出した一冊だ。 これまでなぜか語られることのなかった食品業界最大のタブーを真正面から取り上げながら、一ミリの正義感も感じさせないのが、著者の真骨頂である。そして、もはやヤクザの世界に精通していなければ読み解けないほど、サカナの世界では表社会と裏社会が複雑に絡まりあっていた。 まず驚くのは、私達が普段手にする海産物のうち、密漁によって入手されたものの割合がいかに多いかということである。いずれも推計ではあるが、たとえばアワビは日本で取引されるうちの45%、ナマコは北海道の漁獲量の50%、ウナギに至っては絶滅危惧種に指定された今でも、その2/3ほどが密漁・密流通であるという。ニッポンの食卓は、まさに魑魅魍魎の世界によって支えられているのだ』、アワビ、ナマコ、ウナギの密漁・密流通の比重の大きさには、度肝を抜かれた。まさに「サカナの世界では表社会と裏社会が複雑に絡まりあっていた」姿には、恐怖すら感じる。
・『著者が最初に赴くのは、アワビの名産地として知られる三陸海岸。東日本大震災の影響によって監視船や監視カメラが破壊されてしまったこの地区では、密漁団にとって好都合としか言いようのない状況が出来上がっていたのだ。 密漁団と直に接触することで見えてきたのは、実際に密漁を行う人たちは巨悪の一部分に過ぎないという事実だ。当たり前のことだが、買い手がいるから売り手がおり、売り捌くことが出来るからこそ密漁は蔓延る。 欲に目がくらんだ漁業協同組合関係者、漁獲制限を守らない漁師、チームを組んで夜の海に潜る密漁者、元締めとなる暴力団…。まさに表と裏が入り乱れた驚愕のエコシステムが、そこにはあったのだ。 一般的に、密漁アワビは闇ルートで近隣の料理屋や寿司屋にも卸されるが、それだけでは大きな商いにならないため、表の業者の販路に乗せ、近場の市場にも流されていく。むろん移転を間近に控える築地市場だって例外ではない。 密漁品と知りながら正規品のように売りさばく、この行為こそが黒から白へとロンダリングされる決定的瞬間なのだ。ならば著者が次に取る行動は、ただ一つと言えるだろう。築地市場のインサイダーとなることで仲間意識を共有しながら、決定的な証拠を掴む――すなわち築地市場への潜入取材だ』、「三陸海岸。東日本大震災の影響によって監視船や監視カメラが破壊されてしまったこの地区では、密漁団にとって好都合としか言いようのない状況が出来上がっていたのだ」、言われてみれば、その通りだろう。
・『著者が築地で働き始めてすぐに実感したのは、魚河岸がはみ出し者の受け皿になっているという昭和的な世界観であった。意外に思えるかもしれないが、市場とヤクザは歴史的に双子のような存在であったという。いつの時代にも漁業関連業者の生活圏には、近くにヤクザという人種が蠢めいていたし、かつては港町そのものが暴力団に牛耳られていたような事例も本書で紹介されている。 ほどなくして著者は、密漁アワビが堂々と陳列されている姿を目のあたりにする。きっかけは、バッタリ遭遇した知り合いのヤクザからの紹介だ。そこでは、静岡県産のアワビが、「千葉県産」に偽装されていたという。一つの不正は、次の不正を生み出す。密漁品であることは、産地偽装の問題と隣り合わせでもあったのだ』、「市場とヤクザは歴史的に双子のような存在であった」、というのにも驚かされた。
・『そして本書の一番の見どころは、絶滅危惧種に指定されたウナギを取り上げた最終章にある。著者自身、ここまで黒いとは予想外であったと困惑しながらも、知られざる国際密輸シンジケートの正体へと迫っていく。ウナギ業界の病巣は、稚魚であるシラスの漁獲量が減少して価格が高騰したため、密漁と密流通が日常化していることなのだ。 特に悪質なのが密流通の方であるわけだが、輸入国の中で突出している香港にカラクリがある。そもそも香港は土地も狭く、シラスが遡上するような大きな河川もない。要は、シラス輸出が禁じられている台湾から香港を経由し、国内へ輸入されてくるのだ。 ウナギの国際密輸シンジケートを司る要のポジションに「立て場」と呼ばれる存在があるのだが、著者はそこへも赴き、「黒い」シラスが「白く」なる瞬間を目撃する。ウナギとヤクザ――2つの絶滅危惧種の共生関係は、どちらかが絶滅するまで終わらないのだろうか。 この他にも本書では、ナマコの密漁バブルや、東西冷戦をめぐるカニの戦後史といった興味深いテーマが次々に登場する。海を起点に考えると、地図上に別のレイヤーが浮かび上がってくることはよくあるが、海産物を取り巻く日本地図もまた、どちらが主役だか分からぬほど裏社会が大きな存在感を放っていた』、ここまで「裏社会が大きな存在感を放っていた」というのでは、警察など手も足も出ないだろう。
・『多くの人にとって、サカナとは健康的なものであるはずだ。しかしその健康的なものが入手されるまでの経緯はどこまでも不健全なのである。さらに季節のものを旬の時期に食べるという自然な行為の裏側は、どこまでも人工的なのだ。 サカナとヤクザを取り巻く、あまりにも不都合な真実。はたして需要を生み出している私達の欲望や食文化に罪はないのか? そんなモヤモヤした気持ちばかりが残る。だが本書では、この著者でしか書けないテーマが、この著者でしかできない手法で見事にまとまっていた。ある意味ノンフィクションとしての完成度の高さだけが、救いであったと言えるだろう』、「サカナとは健康的なものであるはずだ。しかしその健康的なものが入手されるまでの経緯はどこまでも不健全なのである」、壮大なアイロニーだが、警察はともかく、水産庁などは一体、何をしているのだろう。しかし、次の記事では、水産庁も全く役立たずのようだ。

次に、ジャーナリストの松岡 久蔵氏が4月26日付け現代ビジネスに寄稿した「WTO判決「必死の韓国」に敗北した、日本の絶望的な外交力 外務省は「絶対勝てる」と言っていた」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64330
・『福島第一原発事故後、韓国政府が日本の水産物に対して禁輸措置をとっていることを不当だとして日本政府が世界貿易機関(WTO)に提訴した問題で、WTOの最終審に当たる上級委員会は今月11日、一審での韓国への是正勧告を取り消した。これにより、日本は事実上敗訴した。 「通常、一審の判断が覆ることはありえない」(自民議員)だけに、日本政府にとっては青天の霹靂。事故後8年が経過しても続くアジア諸国などの禁輸措置を解除し、被災地の水産物の輸出を拡大する構想は頓挫した。 背景には日韓ワールドカップ共催や、捕鯨問題とも共通する日本外交の「押しの弱さ」がある』、ここまでくると、「押しの弱さ」というより「お粗末さ」の方が適切だろう。
・『「キツネにつままれたような…」  韓国は2011年3月の原発事故発生以降、福島など8県の水産物を一部禁輸し、さらに事故から2年半後の13年9月、禁輸対象を8県の全ての水産物に拡大して放射性物質検査を強化した。 対する日本は、科学的な安全性と、事故後に時間が経過した後で禁輸措置を強化するのは不当だとして、15年5月にWTOに提訴した。 WTOは紛争処理小委員会を設置し、18年2月、韓国の禁輸措置に対して「恣意的または不当な差別」「必要以上に貿易制限的」と判断し、韓国に是正を勧告した。しかし韓国はこの判断を不服とし、最終審の上級委員会に上訴。その結果、日本が敗訴したというのが今回の経緯となる。 上級委員会の判決文に当たる報告書によると、一審は禁輸が「不当な差別」に当たるかを判断する時、食品自体の放射線量のみを判断基準としたが、将来的に汚染に影響する可能性のある日本周辺の海洋環境などの地理的条件を考慮していなかった。この点で落ち度があるため、一審が下した「韓国の禁輸措置は不当」とする判断は誤りである、との指摘が記されている。 なお、日本食品に含まれる放射線量の水準などの分析は今回の訴訟の対象ではなく、見解を示さない旨も書かれている。 今回の結果について、自民党の水産族議員は「要するに、一審の判断基準が不十分だったので、(判断を)取り消しますということ。その根拠として、実際に韓国に輸出される食品それ自体の安全性に言及するのではなく、外部環境の話を持ち出してきた。キツネにつままれたような気分でした」と話す。 上級委員会の審理は差し戻しが不可能で、今後韓国は禁輸を是正する必要はない。日本が韓国に対して関税引き上げなどの対抗措置をとることもできなくなった』、信じられないようなブザマな失態だ。経緯をもう少し見ていこう。
・『悪しき先例ができた  今回のWTOの判断でまず困るのは、東北の被災県だ。 福島県の内堀雅雄知事は12日、「非常に残念。引き続き、科学的根拠に基づいた正確な情報発信を強化し、輸入規制解除に取り組む」とするコメントを発表した。宮城、岩手の両県知事も同日、判断結果を「残念」と発言している。 宮城県は名産のホヤの8割が韓国向けに輸出されていただけに、今年捕れた分は販路を失い大部分が焼却処分される。全国漁業協同組合連合会(全漁連)みやぎの丹野一雄会長は「ホヤがシーズンを迎える矢先のことなので、非常に落胆している。輸入再開を目指して頑張ってきたので、裏切られた思い」と失望を隠さなかった。 原発事故後、一時は世界で54もの国・地域が日本産食品に対し、禁輸や検査強化などの措置を実施したが、その後、安全性を裏付けるデータが蓄積されたことで規制撤廃の流れができた。ただ、いまだに現在でも23の国・地域が規制を設けている。 そのうち、韓国など8カ国・地域は禁輸を続けている。中国は福島など10都県の食品について輸入を認めていない。台湾は5県からの輸入を停止しており、昨年に行われた住民投票でも、禁輸の継続が支持された。 政府は韓国を「はじめの一歩」として禁輸解除に弾みをつけるはずだったが、「悪い先例を作ってしまった」(自民議員)との声もあがる』、「韓国を「はじめの一歩」として禁輸解除に弾みをつけるはず」というほど、重要な問題であったのに、日本側の取り組みは以下にみるようにおよそ能天気だったようだ。
・『「絶対勝てる」と言ってたのに  今回の上級委の判断は、前評判では日本が勝訴するとみられていたため、日韓両政府にとってサプライズ判決だった。 実際、判断前の8日には、菅義偉官房長官が記者会見で禁輸措置の撤廃について期待感を表明する一方、韓国の文成赫(ムン・ソンヒョク)海洋水産部長官は、就任前に行われた国会の人事聴聞会で「敗訴したとしても最長15カ月間の履行期間がある。この期間を最大限活用し、国民の安全と健康を最優先に、対策を講じる」と敗訴を前提に話している。 日本時間の12日未明に発表された上級委の判断は、予想を裏切る内容だっただけに、日本国内の報道機関を慌てさせた。全国紙記者は「水産庁加工流通課の担当者に取材しても、『普通に勝てるでしょ』という雰囲気でしたから、敗訴で予定稿を準備した社はどこもありませんでした。蜂の巣をつついたような騒ぎでしたよ」と振り返る。 判決に激怒したのが、自民党の水産族議員である。 WTOの判断公表後の17日、自民党は党本部で会合を開いたが、出席した議員からは外務省や水産庁に対する不満が噴出した。被災地・宮城県選出の小野寺五典前防衛相が「完全に外交の敗北だ」と吐き捨てるなど、怒号が飛び交う有様となったのだ。 外務省の山上信吾経済局長は「被災地の関係者の期待に応えられなかったことは遺憾で申し訳ない」と謝罪する一方、「日本産食品は韓国の安全基準を満たしている」との第一審の認定が維持されたことを強調した。 ただ、水産総合調査会長の浜田靖一元防衛相は「この戦いは、負けてはならない戦いであったはず。結果を出せずに言い訳を聞いても意味がない。責任をうやむやにする気はない」と政府に対し、説明と今後の対応の方針を出すよう要求した。 先の水産族の自民議員は内幕をこう明かす。 「今回は、外務省と水産庁から『絶対に勝てますから安心してください』と、山上局長、長谷成人水産庁長官ら両省幹部が直接説明に来ていたので、こちらも安心しきっていました。ですから、余計に期待を裏切られた感が高まっているのです。 しかも、今回は被災地が絡んでいる。外務省の山上局長は、捕鯨問題では二階俊博幹事長からプレッシャーをかけられていたものの、昨年末の国際捕鯨委員会(IWC)脱退を外務省サイドから仕切って首の皮をつなぎました。 しかし、今回の件で進退問題に発展する可能性がある。経済局は国民に身近な食料問題の交渉を仕切るところですから、こういうリスクは常につきまとう。ツイてなかったとしか言いようがありません」』、「IWC脱退を外務省サイドから仕切って首の皮をつなぎました」というのもおかしな話だ。脱退という最後の手段に追い込まれたこと自体が、敗北なのに、「手柄」顔をさせているとは、官邸も甘過ぎる。今回の件は責任を明確化すべきだ。
・『「ファクトがあれば大丈夫」は甘い  IWC脱退といえば、南極海での日本の調査捕鯨が2014年に国際司法裁判所(ICJ)で敗訴している。自民党捕鯨議連幹部は、今回の敗訴と捕鯨問題との類似点をこう指摘する。 「あの時も議連サイドでは『訴えて、本当に勝てるのか』という疑問があったのに対して、当時の外務省幹部が『絶対に勝てます』といって提訴した。それで負けて帰ってきたもんだから、『何やってんだ』という話になった。 外務省の連中が『こちらは科学的データはきちんとしてますから、ご安心を』と言っていたのもあの時と同じ。『お白洲の上に出れば、ファクトに基づいた公正な判断が無条件で下される』と思ってる。ナンセンスですよ。 国際社会というのは、その『公正な判断』を下す人間をいかに抱き込むかが勝負なんですから。何も進歩していない」』、「こちらは科学的データはきちんとしてますから、ご安心を」、水産庁の技官が作ったデータなど「外務省の連中」に理解できる筈はないので、「きちんとしてます」も眉ツバだろう。
・『どこで差がついてしまったのか  別の捕鯨議連幹部は、今回の上級委で判断を下す委員が本来7人いるべきところ、3人しかおらず十分が議論が行われたのか疑われることを指摘した上で、今回の敗訴についてこう分析する。 「そういう条件もあったとはいえ、韓国のロビイングに負けたということでしょう。日本は完全に勝てると油断していましたから、そりゃ負けても仕方ない。 韓国は、2002年のサッカーW杯を強引に日韓共催に持ち込んで『アジア初』の栄誉を勝ち取りました。どうもその辺りから、潘基文(パン・ギムン)国連総長の輩出、米国での慰安婦像の問題など、国際的な人脈作りやロビイングを重視するようになった。ここの違いですね」 韓国の「中央日報」日本語版は4月15日付の記事で、今回のWTOでの韓国勝訴に最も貢献したと評価される、チョン・ハヌル産業通商資源部通商紛争対応課長が「一審の敗訴を覆すために昨年末、ジュネーブのホテルにウォールーム(War Room)を設置し、3週間にわたり約20人がほとんど一日中シミュレーションをしながら対応した」と話したことを報じている。 記事によると、チョン氏は米国通商専門弁護士出身で、韓国屈指のローファームに所属していたが、昨年4月に政府に特別採用された。米ニューヨーク州立大哲学・政治学科を経てイリノイ大で法学を勉強し、法学専門修士(JD)を取得。その後、ワシントンで通商専門弁護士の資格も取得したとされる。 韓国産業部はチョン氏について「専門弁護士を外部から特別採用して今回の訴訟に専門的に対応し、我々の専門的な能力は大きく伸張した」と伝えた。 経済産業省所管の独立行政法人「経済産業研究所」は、日本の敗訴を受けて川瀬剛志・上智大学教授によるレポートを17日に公開している。 川瀬教授は「今回の敗訴が経済分野でのルール外交における日本の敗北だとすれば、中長期では広く貿易・投資の国際ルール、つまり国際経済法に関するリテラシーを底上げする必要がある」と指摘。 「概して韓国の方が通商ルールに関心が高」く、「韓国の方が(加えて言えば、中国、台湾、シンガポールも)通商分野で国際的に活躍する研究者、実務家は多く、また米国のロー・スクール(特にアメリカ人が入る正規のJDコース)に進学する学生も多いように思う」との認識を示した上で、日本の大学でこの分野の教員ポストが法学部の中で削減傾向にあり、人材を育成する体制が整っていないと言及している』、確かに韓国の外交攻勢はすさまじいが、日本側には危機感がないのも問題だ。「チョン・ハヌル通商紛争対応課長が「一審の敗訴を覆すために昨年末、ジュネーブのホテルにウォールーム(War Room)を設置し、3週間にわたり約20人がほとんど一日中シミュレーションをしながら対応」というのは、大変なことなのに、日本側は事前には掴んでいなかったのだろう。川瀬教授によるレポートは、いささか手前味噌の感も受けるが、外務省などが専門家を軽視していることも背景にあるような気もする。
・『国際社会の「野蛮さ」を認識しないと…  アジア経済を専門にする、国内証券アナリストは韓国のロビイング能力の高さについてこう分析する。 「一つの国内でマーケットを完結させるには、最低でも人口が1億人必要です。日本はその基準を超えていますが、韓国はそうではないので、海外に市場を求めざるをえません。東南アジアなどでの韓国企業の躍進も、背景にはこの事情があります。 文在寅政権になってからのナショナリズムの高まりと相まって、今回の勝利をてこに、今後韓国が国際社会での日本叩きを強めてくる可能性は否定できません」 平成のあいだ「アジアナンバーワン」の地位を享受してきた日本は、今回のWTOでの「敗訴」により、外交におけるロビイングの重要性に対する認識の甘さを露わにした。 先に引用した「中央日報」の記事にはこういう記述がある。〈チョン課長は裁判対応過程で目の中に腫瘍ができ、帰国して除去手術を受けなければいけないほど精神的ストレスが激しかったという。特に食の安全に対する韓国国民の大きな関心も負担になっていたと打ち明けた〉 この「必死さ」が、韓国の勝利につながったことに疑いの余地はないだろう。 もちろん、ここまで交渉担当者を追い込むことの是非はある。しかし、「正しいことをしている側が勝てる」「エビデンスがあれば勝てる」という甘い考えは通用しない「野蛮な世界」が国際社会の基本であることを認識して、通商ルールに通暁する専門家や国際機関の人脈・事情に通じた人材の育成を進めるなど、現実を見据えた対策を急ぐべきだ。 高齢化で日本も人口減少が進み、国力の「節目」となる1億人を切る日も遠くはない。敗北を糧として、なりふり構わぬ韓国の戦略に学ぶしたたかさが日本に求められている』、チョン課長が「目の中に腫瘍ができ、帰国して除去手術を受けなければいけないほど精神的ストレスが激しかった」、「この「必死さ」が、韓国の勝利につながったことに疑いの余地はない」というのは、危機感が欠如した日本の官僚も「爪の垢」でも煎じて飲んでほしいくらいだ。説得力の溢れた主張には、大賛成である。

第三に、作家の橘玲氏が5月7日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「国際感覚から乖離した日本の官僚、大丈夫か?【橘玲の日々刻々】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/201616
・『福島原発事故の被災地などからの水産物を韓国が全面禁輸していることについて、世界貿易機関(WTO)上級委員会が日本の逆転敗訴の判決を出しました。韓国に是正を求めた第一審は破棄され、輸入規制の継続が認められたことになります。 この報道を見て、調査捕鯨の是非をめぐってオーストラリアが国際司法裁判所(ICJ)に日本を提訴した裁判を思い出したひとも多いでしょう。「科学的根拠」を盾に日本側は強気で、首相官邸にも楽観的な予想が伝えられていたにもかかわらず、ふたを開けてみれば全面敗訴ともいうべき屈辱的な判決だったため、安倍首相が外務省の担当官を厳しく叱責したと報じられました。今回のWTO上級委員会の審査でも、日本側は第一審の勝訴で安心しきっており、予想外の結果に大きな衝撃を受けたようです。 この二つの失態で誰もが最初に考えるのは、「日本の官僚は大丈夫か?」でしょう。韓国は一審で敗訴したあと、通商の専門家を含む各省庁横断的な紛争対応チームを設置し、「こうした韓国政府の努力が反映された結果だ」とコメントしています。だとしたら日本政府は、「被災地の復興支援」のためにどんな努力をしたのでしょうか』、これは官僚だけでなく、「政治主導で頑張っているふり」をしている首相官邸の政治家も含めた問題だと思う。
・『厚労省の「統計不正」問題で暴露されたように、専門性に関係なく新卒を採用し、さまざまな部署を異動させてゼネラリストを養成するという官庁の人事システムはかんぜんに世界の潮流から取り残されています。 法学部や経済学部卒の「学士」の官僚が国際会議に出ると、そこにいるのは欧米の一流大学で博士号を取得したその分野のスペシャリストばかりです。これでは、アマチュアのスポーツチームがプロを相手に試合するようなもので、最初から勝負は決まっています。 もうひとつの懸念は、日本の政治家・官僚の感覚が国際社会の価値観から大きくずれているのではないかということです。 欧米では狩猟はかつて「紳士のスポーツ」として人気でしたが、いまでは「アフリカに象を撃ちに行く」などといおうものなら、殺人犯のような(あるいはそれ以上の)白い目で見られます。「科学的根拠」があろうがなかろうが、大型動物を殺すことはもはや許容されなくなりました。調査捕鯨を容認する判決を出したときの国際社会からの強烈なバッシングを考えれば、ICJの判断は最初から決まっていたと考えるべきでしょう。 原発被災地の水産物については、日本が生産者の立場、韓国が消費者の立場で互いの主張をたたかわせました。WTOは日本の食品の安全性を認めたとされますが、それでも韓国の禁輸を容認したのは、政府には国民=消費者の不安に対処する裁量権があるとしたためでしょう。いわば「消費者主権」の考え方で、これも世界の趨勢です。 二つの判決は、国際社会の価値観の変化を前提とすれば、じゅうぶん予想されたものでした。だとしたら問題は、そのことにまったく気づかず、唯我独尊のような態度で裁判に臨んだ側にあります。 元徴用工らの訴えに対する韓国大法院の判決に対し、与党内にはICJに訴えるべきだとの強硬論もあるといいます。裁判で決着をつけるのは自由ですが、ますますリベラル化する国際世論を考えれば、けっして楽観できないことを肝に銘じるべきでしょう・・・追記:2019年4月23日朝日新聞は、「政府説明、WTO判断と乖離」として、日本政府が根拠にしている「日本産食品の科学的安全性が認められた」との記載がWTO第一審の判決文にあたる報告書に存在しないことを報じました。国際法の専門家などからの批判を受け、外務省と農水省の担当者は「『日本産食品が国際機関より厳しい基準で出荷されている』との認定をわかりやすく言い換えた」と釈明、外務省経済局長は自民党の会合で政府の公式見解を一部修正したとのことです。ますます、「日本の官僚、大丈夫か?」という気がしてきます』、「政府説明、WTO判断と乖離」というのも驚くべき「捏造」だ。今回の問題はどこに原因があったのかを、自民党や野党は徹底追及すべきだろう。

明日12日から15日まで更新を休むので、16日にご期待を!
タグ:橘玲 経済産業研究所 三陸海岸 漁業 ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス 鈴木智彦氏 (その3)(ウナギは推計で3分の2が密漁・密流通 暴力団が深く関与する実態、WTO判決「必死の韓国」に敗北した 日本の絶望的な外交力 外務省は「絶対勝てる」と言っていた、国際感覚から乖離した日本の官僚 大丈夫か?【橘玲の日々刻々】) 「ウナギは推計で3分の2が密漁・密流通、暴力団が深く関与する実態 『サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う 』」 『サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う 』 サカナとヤクザの切っても切れない関係を、足掛け5年に及ぶ現場取材によって描き出した一冊だ サカナの世界では表社会と裏社会が複雑に絡まりあっていた アワビは日本で取引されるうちの45%、ナマコは北海道の漁獲量の50%、ウナギに至っては絶滅危惧種に指定された今でも、その2/3ほどが密漁・密流通 東日本大震災の影響によって監視船や監視カメラが破壊されてしまったこの地区では、密漁団にとって好都合としか言いようのない状況が出来上がっていた 欲に目がくらんだ漁業協同組合関係者、漁獲制限を守らない漁師、チームを組んで夜の海に潜る密漁者、元締めとなる暴力団 密漁品と知りながら正規品のように売りさばく、この行為こそが黒から白へとロンダリングされる決定的瞬間 築地市場への潜入取材 市場とヤクザは歴史的に双子のような存在 ウナギ業界の病巣は、稚魚であるシラスの漁獲量が減少して価格が高騰したため、密漁と密流通が日常化している シラス輸出が禁じられている台湾から香港を経由し、国内へ輸入されてくる サカナとは健康的なものであるはずだ。しかしその健康的なものが入手されるまでの経緯はどこまでも不健全なのである 松岡 久蔵 「WTO判決「必死の韓国」に敗北した、日本の絶望的な外交力 外務省は「絶対勝てる」と言っていた」 韓国政府が日本の水産物に対して禁輸措置 日本政府が世界貿易機関(WTO)に提訴した問題で、WTOの最終審に当たる上級委員会は今月11日、一審での韓国への是正勧告を取り消した 「キツネにつままれたような…」 一審は禁輸が「不当な差別」に当たるかを判断する時、食品自体の放射線量のみを判断基準としたが、将来的に汚染に影響する可能性のある日本周辺の海洋環境などの地理的条件を考慮していなかった。この点で落ち度があるため、一審が下した「韓国の禁輸措置は不当」とする判断は誤りである、との指摘 悪しき先例ができた いまだに現在でも23の国・地域が規制を設けている。 そのうち、韓国など8カ国・地域は禁輸を続けている 「絶対勝てる」と言ってたのに 今回は、外務省と水産庁から『絶対に勝てますから安心してください』と、山上局長、長谷成人水産庁長官ら両省幹部が直接説明に来ていたので、こちらも安心しきっていました。ですから、余計に期待を裏切られた感が高まっているのです 外務省の山上局長 昨年末の国際捕鯨委員会(IWC)脱退を外務省サイドから仕切って首の皮をつなぎました 「ファクトがあれば大丈夫」は甘い 調査捕鯨が2014年に国際司法裁判所(ICJ)で敗訴 国際社会というのは、その『公正な判断』を下す人間をいかに抱き込むかが勝負なんですから。何も進歩していない どこで差がついてしまったのか 韓国は、2002年のサッカーW杯を強引に日韓共催に持ち込んで『アジア初』の栄誉を勝ち取りました。どうもその辺りから、潘基文(パン・ギムン)国連総長の輩出、米国での慰安婦像の問題など、国際的な人脈作りやロビイングを重視するようになった。ここの違いですね チョン・ハヌル産業通商資源部通商紛争対応課長が「一審の敗訴を覆すために昨年末、ジュネーブのホテルにウォールーム(War Room)を設置し、3週間にわたり約20人がほとんど一日中シミュレーションをしながら対応した」 川瀬剛志・上智大学教授によるレポート 今回の敗訴が経済分野でのルール外交における日本の敗北だとすれば、中長期では広く貿易・投資の国際ルール、つまり国際経済法に関するリテラシーを底上げする必要 日本の大学でこの分野の教員ポストが法学部の中で削減傾向にあり、人材を育成する体制が整っていない 国際社会の「野蛮さ」を認識しないと… チョン課長は裁判対応過程で目の中に腫瘍ができ、帰国して除去手術を受けなければいけないほど精神的ストレスが激しかった 「国際感覚から乖離した日本の官僚、大丈夫か?【橘玲の日々刻々】」 「日本の官僚は大丈夫か?」 専門性に関係なく新卒を採用し、さまざまな部署を異動させてゼネラリストを養成するという官庁の人事システムはかんぜんに世界の潮流から取り残されています 法学部や経済学部卒の「学士」の官僚が国際会議に出ると そこにいるのは欧米の一流大学で博士号を取得したその分野のスペシャリストばかりです 日本の政治家・官僚の感覚が国際社会の価値観から大きくずれている 問題は、そのことにまったく気づかず、唯我独尊のような態度で裁判に臨んだ側にあります 「政府説明、WTO判断と乖離」 日本政府が根拠にしている「日本産食品の科学的安全性が認められた」との記載がWTO第一審の判決文にあたる報告書に存在しない
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商社(デサントVS伊藤忠)(デサントを巡る買収劇 「最終決着」の舞台裏 会長最側近を送り込み 全責任を負う伊藤忠、デサント<上>独立目指すも失敗 伊藤忠商事に城を明け渡す、デサント<下>“恫喝テープ”まで飛び出した伊藤忠との戦い) [企業経営]

今日は、商社(デサントVS伊藤忠)(デサントを巡る買収劇 「最終決着」の舞台裏 会長最側近を送り込み 全責任を負う伊藤忠、デサント<上>独立目指すも失敗 伊藤忠商事に城を明け渡す、デサント<下>“恫喝テープ”まで飛び出した伊藤忠との戦い)を取上げよう。

先ずは、3月28日付け東洋経済オンライン「デサントを巡る買収劇、「最終決着」の舞台裏 会長最側近を送り込み、全責任を負う伊藤忠」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/273502
・『大企業同士がお互いの対話を欠いたままで自社の言い分を世間に主張しあう、前代未聞の「劇場型TOB(株式公開買い付け)」は、あっけない幕切れを迎えた。 スポーツウェア大手のデサントは3月25日、石本雅敏社長が6月開催予定の株主総会をもって退任し、代わって伊藤忠商事の繊維カンパニーでトップを務めていた小関秀一氏が新社長に就任すると発表した。伊藤忠の岡藤正広会長の最側近として知られる人物だ。一方のデサントでは、石本氏以外も生え抜きの取締役は総退陣する。 デサント出身の取締役として残るのは金勲道氏と小川典利大氏。いずれも中途入社組である。金氏は2000年に韓国デサントに入社し、デサントの韓国事業を大きく成長させた功労者だ。もう一人の小川氏はアディダスジャパン副社長などを経て2016年にデサントに入社した。経営手腕への評価は高く、石本氏退任後の社長候補としても名が挙がった』、「デサントでは、石本氏以外も生え抜きの取締役は総退陣」とは、TOB合戦の結果とはいえ思い切った人事だ。
・『鮮明になった“伊藤忠色”  6月からの新体制では現在10人の取締役を6人に減らし、デサント出身2人、伊藤忠出身2人、社外2人とする。人数の印象以上に強まるのが“伊藤忠色”だ。伊藤忠からは小関氏のほか、同社執行役員で監査部長を務めていた土橋晃氏が取締役となる。土橋氏はCFO(最高財務責任者)に就任する予定だ。社外取締役には佐山展生・スカイマーク会長、高岡浩三・ネスレ社長を据えた。いずれも伊藤忠とゆかりのある著名経営者だ。 取締役以外のキーパーソンにも要注目だ。デサントの専務執行役員として伊藤忠から派遣される久保洋三氏である。現在は伊藤忠商事の常務執行役員で食料カンパニープレジデントを務めるが、本籍は繊維部門。伊藤忠が完全子会社化したジーンズ大手のエドウィンで会長を務めた経験もある。食料部門出身の伊藤忠元役員は「彼は岡藤会長に見込まれてエドウィンの再建に当たった。現場を見る目が確かで、繊維出身ながら食料ビジネスでも存在感を発揮してきた」と、久保氏の力量に太鼓判を押す。 実は久保氏は、十数年前には伊藤忠でデサントとの窓口役を務めていた。まだ両社の関係が円満な時期で、デサント社内にも知己は多い。そのため、久保氏は新体制で営業面の統括役になることが確実視されている。エース級の人材を投入して社長に加え営業トップとCFOを押さえたことで、今後は伊藤忠がデサントの経営一切を仕切ることになるだろう』、確かに伊藤忠は、「エース級の人材を投入」したことから、本腰が入っているようだ。
・『伊藤忠がデサントへの敵対的TOBに踏み切ったのは今年1月末のことだ。買い付け期限は3月14日までで、デサントの直近株価に約50%ものプレミアムをつけてデサント株の最大40%を買い付けることとした。当時の伊藤忠の出資比率は30.44%で、これが33.4%を超えることで株主総会における特別決議での拒否権を、すなわち事実上の経営支配権を持つことになる。2月7日にデサントはこのTOBへの反対意見を表明。「劇場型」の構図がいよいよ鮮明になったが、実は両社はその直後から水面下の話し合いを始めた。伊藤忠の代表は小関氏。デサント側は石本氏自身が2月中旬に4回にわたって面談に臨んだ。交渉のポイントは新体制での取締役数で、伊藤忠は「デサントから2人、伊藤忠2人、社外2人」を主張。デサントは「デサント1人、社外4人」を求めた。 伊藤忠の影響力縮小にこだわるデサントに、いったんは伊藤忠が譲歩し、取締役会を「デサントから2人、伊藤忠1人、社外2人」とする案がまとまった。2月27日にデサントが取締役会を開いて和解案を議決し、翌28日に公表する段取りまで決まっていたが、合意の直後に石本氏が翻意。これを受けて伊藤忠は2月22日に交渉打ち切りを決め、その後は「資本の論理」でデサントの現経営陣を排除する方針を貫徹した。 石本氏は早くから自らの退任は覚悟していたようだが、土俵際に追い詰められて、なお絶望的な戦いを挑んだ真意は不明だ。それほどまでに、同氏とデサント社員の伊藤忠への反感が強かったということだろうか。この段階で、伊藤忠からさらに譲歩を引き出せるだけの材料があったとは思えない』、一旦は両社で和解案で合意したのに、「合意の直後に石本氏が翻意」というのでは、伊藤忠は異例の敵対的TOBに踏み切ったのも理解できる。
・『デサントの未来に責任を負う伊藤忠  TOBの直接的なきっかけは、昨年6月に決算報告のため伊藤忠本社を石本氏が訪れた際、伊藤忠の岡藤会長との話し合いが決裂したことだ。デサントは1984年と1998年に2回、経営危機に陥ったが伊藤忠の支援で再生した経緯がある。1994年以降は社長も伊藤忠から派遣されてきた。だが、デサントによれば、2011年ごろから伊藤忠は自社との取引拡大を強要するようになった。 それに不満を高めたデサント生え抜きによるクーデターによって、2013年に就任したのが創業家の3代目である石本氏だ。石本氏は就任早々に「取引強要」の経緯をまとめた報告書を伊藤忠側に渡して改善を迫った。しかし、伊藤忠側が動かなかったことでデサント側には伊藤忠への根深い不信が生まれた。石本氏たちにとって、今回のTOBを通じて伊藤忠に対する不満を世の中に発信できたことは1つの成果ではあるだろう。 伊藤忠がかつての取引強要問題を自ら検証するかは疑問だが、もう同じことはできない。さらに同社はデサントの未来に対して大きな責任を背負うことになる。伊藤忠は現在のデサントの収益構造が韓国事業に依存していると指摘し、国内の立て直しや中国事業を拡大する必要性を強調してきた。今後は2020年の東京五輪や2022年の北京五輪といったスポーツイベントを控える中でデサントがどのように成長するのかを示す必要がある。 伊藤忠は今回のTOBに200億円を投じ、かつ経営に全面的にコミットする。伊藤忠によるTOBにはデサントの労組やOB会まで反対の意向を表明しており、社員からの信頼獲得が何よりの課題だ。それには伊藤忠のグローバルな調達網や資金力を活かして、デサントを大きく成長させるビジョンを描き出すことが欠かせない。それができなければ、劇場型TOBはシナリオがないまま経営者同士が感情的対立をつのらせた「激情型」でしかなかったことになる。こんなに不毛なことはない』、「伊藤忠によるTOBにはデサントの労組やOB会まで反対の意向を表明」、ということであれば、確かに「社員からの信頼獲得が何よりの課題」のようだ。伊藤忠は2015年に中国中信集団(CITIC)へ6000億円を投じ10%出資し資本・業務提携をした。昨秋には、先方の株価下落で1400億円を減損処理したが、これまでの提携の成果は乏しいといわれるだけに、デサントの中国ビジネス拡大を狙っているのだろう。

次に、ジャーナリストの有森隆氏が5月8日付け日刊ゲンダイに寄稿した「デサント<上>独立目指すも失敗 伊藤忠商事に城を明け渡す」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/253340
・『「売り手よし 買い手よし で、未来よし!」 4月1日付の全国紙に伊藤忠商事の全面広告が載った。伊藤忠の創業者の伊藤忠兵衛が信奉していたのが近江商人の経営哲学である「三方よし」(売り手よし 買い手よし 世間よし)。 今年の伊藤忠の合言葉は「未来よし!」。 デサントにとって、「売り手よし」となるのか。「伊藤忠が優越的な地位を誇示しているだけではないのか」(デサントの幹部社員)との冷ややかな反応が返ってきた。 経営方針をめぐり対立していたスポーツ用品大手デサントと伊藤忠のガチンコ勝負は、伊藤忠の「圧勝」で終わった。 デサントは3月25日、創業家の石本雅敏社長(56)が退任し、後任に筆頭株主の伊藤忠の小関秀一専務執行役員(63)が就任する人事を発表した。10人いた取締役を6人に減らした上で、デサント側2、伊藤忠側2、独立した社外取締役2の構成とする伊藤忠の案を丸のみするかたちで、デサントは全面降伏した。 デサント株式の約30%を保有していた伊藤忠は、デサントに経営方針の是正を再三求めたが、石本社長が受け入れなかったため、1月31日から3月14日までTOB(株式公開買い付け)を実施した。デサントの経営陣や労働組合、OB会は反対を表明したが、伊藤忠は敵対的TOBに突き進み、持ち株比率を40%に引き上げることに成功した。買い付けに要した資金は200億円』、今回のTOB合戦の裏面をもっと知りたいところだ。
・『6月の定時株主総会とその後の取締役会を経て新しい経営陣(ボード)が正式に発足する。伊藤忠の鈴木善久社長は4月26日、経営への関与を強めたデサントについて「うまくスタートできた」と述べた。 伊藤忠からの独立を目指した創業家の石本社長は、資本の理論の前に白旗を掲げ、デサント城は、あえなく落城した。 2018年夏に表面化した対立で、デサントは半年余り時間を空費した。デサント社内に大きな爪痕が残る。 「伊藤忠から数々の批判を受けて、現場のモチベーションは下がっている」(前出の幹部社員) 当初は蜜月だった両社が激しく敵対し、日本では異例な敵対的TOBにまで発展したのはなぜか? デサントの会社の沿革を簡潔に記す。1935年、石本社長の祖父、他家男氏が大阪で石本商店を創業。戦後、野球用のグラブ、ミットの製造販売を始め、のちにスポーツウエアに進出した。日本初のニット製の野球用ユニホームを作り、多くのプロ野球の球団で採用された。 61年、ブランド名のデサントに商号を変更。社名はフランス語の「Descente=滑降」に由来する。ロゴの「3本の下向きの矢」は、スキーの基本滑降である「直滑降、斜滑降、横滑り」を表している。 伊藤忠との関係は古い。64年、デサントは伊藤忠と組んでワンポイントロゴを入れるきっかけとなったゴルフウエア「マンシングウェア」の共同販売を始めた。デサントは、これを皮切りに「アディダス」などスポーツブランドの日本での総代理店となる。 その後、デサントは2度の経営危機に直面する。84年のマンシングウェアの過剰在庫。98年には売上高の4割を占めていた独アディダスのライセンスの解消だ。 デサントの創業家2代目の石本恵一氏の要請を受け、伊藤忠が2度とも支援し、経営を立て直した。 94年から飯田洋三氏、田尻邦夫氏、中西悦朗氏と3人続けて伊藤忠出身者が社長の椅子に座った。この間、伊藤忠はデサント株式の25・0%を取得。持ち分法適用会社に組み入れた。 両社で海外のブランドの商標権を取得したり、伊藤忠がデサントの海外展開を物流面で支援したりするなど、“蜜月関係”は続いているようにみえた。ところが、デサントの業績が回復するにつれて両社の亀裂があらわになる』、この続きの<下>を見てみよう。

第三に、上記の続き、5月9日付け「デサント<下>“恫喝テープ”まで飛び出した伊藤忠との戦い」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/253407
・『2013年2月26日、デサントは創業家の石本雅敏常務の社長昇格を発表した。 雅敏氏は慶応義塾大学商学部卒。電通勤務などを経て1996年にデサントに入社。創業家出身の社長は19年ぶりのことで、話題性は十分だった。 しかし、A4判の資料2枚のみで開示され、記者会見はなし。伊藤忠商事出身の中西悦朗社長の処遇は「退任」とのみ書かれていた。 今回の騒動で、あの時の交代劇の真相が明らかになる。デサントによると、11年ごろから伊藤忠は自社との取引を150億円に拡大するよう強要した。それにデサントの生え抜きの役員たちは不満を募らせていった。 伊藤忠とのパイプ役だった創業家2代目の石本恵一氏が死去して2カ月半後の13年2月、クーデターが決行された。 伊藤忠から派遣された取締役に事前の連絡のないまま、中西社長の退任と石本常務の社長就任を取締役会で決議した。デサント版の「二・二六事件」だ。 デサントと伊藤忠の不仲ぶりが、産業界に知れ渡った』、2013年のクーデターで石本雅敏社長が登場したとは、溝が深まってから最終的に決着するまで、かなりの年月が経っていたようだ。
・『トップに就いた石本社長は伊藤忠から距離を置き、対立を招いていった。自社商品がファッションブランドとしても注目されていた韓国に直営店網を広げ、韓国事業を経営の柱に据えた。 石本氏が社長就任する直前の13年3月期と18年3月期を比較すると、売上高は1・5倍の1411億円、営業利益は1・8倍の95億円。上乗せ分の大半は韓国事業で、全体の売り上げの5割超を占めた。一方、百貨店などに商品を卸していた国内事業は低迷した。 伊藤忠の岡藤正広会長兼CEOは、1つの人気ブランドに頼って失敗した2度の教訓が経営に生かされていないと考えていた。韓国への過度の依存は同じ轍を踏むことになる。 20年の夏季・東京、22年の冬季・北京とアジアで五輪が続くことから、中国事業の拡大など戦略の転換を強く迫った。 18年、両社の不信を決定的にする“事件”が起きた。6月25日、決算報告に訪れたデサントの石本社長を伊藤忠の岡藤氏が面罵するテープが流出。「週刊文春」(18年11月1日号)は〈伊藤忠のドン岡藤会長の“恫喝テープ”デサント社長に「商売なくなるで」〉と報じた。〈「ここまでナメられたら、やってられへん。俺のことをバカにしとるのか」。任侠映画さながらのセリフが飛び交ったのは一流総合商社の応接室だった。カリスマ経営者と、全く反論できないメーカー社長。約40分間の“恫喝テープ”にはどんな会話が残されていたのか〉と伝えた』、石本氏もいくら若いとはいえ、「全く反論できない」上に、「ここまでナメられたら、やってられへん。俺のことをバカにしとるのか」と啖呵を切るだけとは情けない。
・『石本氏のかたくなな姿勢に、伊藤忠は実力行使を決断。デサントへの出資比率は25%だったが、7月4日以降、デサント株を順次、買い増し、資本の論理でデサントを抑え込む。 すると8月末、デサントはワコールホールディングスと包括業務提携を結んだ。取締役会に緊急動議を提出して機関決定したもので、伊藤忠出身の取締役に事前の根回しはなかった。 伊藤忠は19年1月31日、デサント株のTOBを発表した。買い取り価格は前日の終値の株価に5割のプレミアムをつけた。出資比率を経営の重要事項への拒否権を持てる4割に引き上げる計画だ。伊藤忠に対抗してくれるホワイトナイトをデサントが見つけるのは事実上、困難。これで勝負がついた』、デサントにさんざんソデにされた伊藤忠としては、「5割のプレミアム」で並々ならぬ決意を示したのだろう。。
・『伊藤忠の「デサントの企業価値を高める」戦いが始まるのはこれからだ。200億円を投じてデサントを実質的に手に入れたが、これを上回るリターンを得られなければ、伊藤忠の株主は納得しない。 伊藤忠は22年の北京冬季五輪を見据え、デサントの中国事業を強化する青写真を描く。中国事業のパートナーはスポーツ用品大手、安踏体育用品(ANTA)。丁世忠会長兼CEOは親族を含めてデサント株を7%弱保有。伊藤忠のデサント改革を支持した。 伊藤忠とデサントの対立の爪痕は大きくて深い。国内従業員の9割がTOB反対に署名した事実は重い。社内融和を進めることが急務だ。伊藤忠から送り込まれた小関秀一新社長は“岡藤王国”と呼ばれる繊維の出身。中国通として知られるが、上場企業のトップの器であるかどうかが試されることになる』、デサント社内が落ち着きを取り戻すか、中国事業が強化できるか、などが当面の注目点だろう。
タグ:商社 東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ デサントVS伊藤忠 (デサントを巡る買収劇 「最終決着」の舞台裏 会長最側近を送り込み 全責任を負う伊藤忠、デサント<上>独立目指すも失敗 伊藤忠商事に城を明け渡す、デサント<下>“恫喝テープ”まで飛び出した伊藤忠との戦い) 「デサントを巡る買収劇、「最終決着」の舞台裏 会長最側近を送り込み、全責任を負う伊藤忠」 前代未聞の「劇場型TOB 石本雅敏社長が6月開催予定の株主総会をもって退任し、代わって伊藤忠商事の繊維カンパニーでトップを務めていた小関秀一氏が新社長に就任 石本氏以外も生え抜きの取締役は総退陣 鮮明になった“伊藤忠色” 専務執行役員として伊藤忠から派遣される久保洋三氏 久保氏は、十数年前には伊藤忠でデサントとの窓口役を務めていた エース級の人材を投入 約50%ものプレミアム 33.4%を超えることで株主総会における特別決議での拒否権を、すなわち事実上の経営支配権を持つことに デサントはこのTOBへの反対意見を表明 その直後から水面下の話し合いを始めた 2月27日にデサントが取締役会を開いて和解案を議決し、翌28日に公表する段取りまで決まっていたが、合意の直後に石本氏が翻意 その後は「資本の論理」でデサントの現経営陣を排除する方針を貫徹 デサントの未来に責任を負う伊藤忠 昨年6月に決算報告のため伊藤忠本社を石本氏が訪れた際、伊藤忠の岡藤会長との話し合いが決裂 デサントは1984年と1998年に2回、経営危機に陥ったが伊藤忠の支援で再生した経緯 デサント生え抜きによるクーデターによって、2013年に就任したのが創業家の3代目である石本氏だ 「取引強要」 伊藤忠は現在のデサントの収益構造が韓国事業に依存していると指摘し、国内の立て直しや中国事業を拡大する必要性を強調 伊藤忠は今回のTOBに200億円を投じ、かつ経営に全面的にコミットする 伊藤忠によるTOBにはデサントの労組やOB会まで反対の意向を表明 有森隆 「デサント<上>独立目指すも失敗 伊藤忠商事に城を明け渡す」 10人いた取締役を6人に減らした上で、デサント側2、伊藤忠側2、独立した社外取締役2の構成とする伊藤忠の案を丸のみするかたちで、デサントは全面降伏 伊藤忠から数々の批判を受けて、現場のモチベーションは下がっている デサントは2度の経営危機に直面する。84年のマンシングウェアの過剰在庫。98年には売上高の4割を占めていた独アディダスのライセンスの解消だ。 デサントの創業家2代目の石本恵一氏の要請を受け、伊藤忠が2度とも支援し、経営を立て直した デサントの業績が回復するにつれて両社の亀裂があらわになる 「デサント<下>“恫喝テープ”まで飛び出した伊藤忠との戦い」 11年ごろから伊藤忠は自社との取引を150億円に拡大するよう強要 それにデサントの生え抜きの役員たちは不満 クーデターが決行 上乗せ分の大半は韓国事業で、全体の売り上げの5割超を占めた 決算報告に訪れたデサントの石本社長を伊藤忠の岡藤氏が面罵するテープが流出 「ここまでナメられたら、やってられへん。俺のことをバカにしとるのか」 全く反論できないメーカー社長 石本氏のかたくなな姿勢に、伊藤忠は実力行使を決断 ワコールホールディングスと包括業務提携 伊藤忠出身の取締役に事前の根回しはなかった 北京冬季五輪を見据え、デサントの中国事業を強化する青写真
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