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介護(その2)(留学生奨学金250万円の「汗」と 「白い嘘」事業の功罪、中国から日本の介護施設に見学者が殺到している理由) [社会]

介護については、昨年7月10日に取上げた。久しぶりの今日は、(その2)(留学生奨学金250万円の「汗」と 「白い嘘」事業の功罪、中国から日本の介護施設に見学者が殺到している理由)である。

先ずは、健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏が2月26日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「留学生奨学金250万円の「汗」と、「白い嘘」事業の功罪」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00011/
・『今回は「白い嘘」について、考えてみようと思う。 北海道の自治体などが、「介護福祉士」を目指す外国人留学生に、年間250万円の奨学金を支給する制度を今春からスタートすることになった。 昨年11月に東川町を含む3つの町と、東川町にある北工学園旭川福祉専門学校、8つの介護施設が外国人介護福祉人材育成支援協議会を設立。日本語学校などで日本語を学んだ留学生に、東川町内にある旭川福祉専門学校で2年間、資格取得を目指して学んでもらう。 学費のうち8割を国が特別交付金の形で自治体に交付する制度でまかない、学費の残りの2割と生活費として年250万円程度の奨学金を協議会で負担。卒業後3~5年、協議会加盟施設で働けば返済は免除されるといい、現在、就学を希望している学生が約40人いるそうだ(関連記事「東川町、介護留学生に奨学金創設協議 20市町から参加」)。 私はこれまでさまざまなメディアで「外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案」の問題点を指摘し、“現時点”での施行に反対してきた(「外国人は弱者? 「奴隷制度」を続ける企業の愚行」 「「日本が嫌い」になる外国人を増やす、穴だらけ改正入管法の欺瞞」 )。 その気持ちに今も変わりはない。だが、今回の北海道の取り組みには、えらく感動している。すごい、ホントにすごい、と。 メディアは「250万円」という高額な奨学金にスポットを当てているけれど、東川町では独自に10年も前から、地道に、取り組みを進めてきた。 2009年から、介護人材育成などを目的に外国人留学生の受け入れをスタートし、14年からは町内の旭川福祉専門学校に日本語学科や留学生向け介護学科を開設。さらに、15年10月には全国初の公立日本語学校である「東川町立東川日本語学校」も開校した。 そして、今回設立された協議会のモデルとなるべく、留学生が東川町の指定する介護施設で5年間働く場合、奨学金(2年間の学費を含め、1人につきかかる費用は約500万円)の返済は、同町が全額負担したのである。 毎日新聞の取材に、東川町の松岡市郎町長が「コミュニケーション能力の高い介護人材を“育成したい”」と答えているが、「育成したい」という言葉は、手間と時間とお金と汗をかいてきたからこその言葉。「250万円」という数字の裏には、10年もの歳月をかけ、東川町全体が真剣に高齢化社会とそれに伴う介護人材不足に向き合ってきた誠実さがある』、国による助成が始まる10年前から東川町独自に取り組んできたとは、確かにすごい。
・『「変な働き方をさせて問題でも起きたら、終わりだから」  これは企業においても同じだが、例えば「残業削減に成功した企業」や「女性活躍に成功した企業」といった具合に、「一つの成功例」に世間の関心が集まり、ある種ブーム化することがあるが、そういった企業の幹部社員などに話を聞くと、「なんでこんなに騒がれるのかわからない」と驚かれることが多い。 そういった企業では、「社員1人ひとりの力を引き出す」ための様々な取り組みを長い年月をかけて積み重ねてきていて、話題となった成功事例も、従来からのプロセス上にある“通過点”に過ぎない場合がほとんどなのだ。 であるからして、今回の東川町を中心とした北海道の「本気の熱」は、奨学金制度による就学希望者40人に必ずや伝わるに違いない。北海道で“育った外国人留学生”の笑顔が、おじいちゃんおばあちゃんたちの笑顔につながればいいなぁ、と心から期待している。 で、ついでながら書いておくと、18年12月に「改正入管難民法」が成立以降、地方での経営者を対象にした講演会では、もっぱら「外国人労働者(この言葉はあまり好きではないのですが代案も浮かばないのでこのまま使います)」が話題になる。 「改正法の成立」を喜ぶ一方、「賃金も日本人と同等以上とするよう、受け入れ先企業に義務づける」とした改正法の内容に対し、「そんなこと前からやってます!」と、少々憮然とした声も少なからず聞かれたのである。 例えば、ある社長さんは、「日本人以上に払わないとダメですよ。どんなにサポート体制を整えたつもりでも、ワシらが気づかない大変なこともあるからね。それにね、日本に来てくれる外国人はみなとても優秀ですよ」と話し、創業120年企業の社長さんは、「地方で会社をやってて一番怖いのは何だと思う? 世間だよ、世間。株主なんかよりよっぽど怖いよ……って言っても上場してないけどね(笑)。リストラなんてやったら非難轟々で、この町で生きていけない。外国人だってね、変な働き方をさせて問題でも起きたら、終わりだから……」とニコニコしながら話した。 中には介護施設を運営している若手経営者もいて、「うちにはもう何年も前から、外国人の介護士さんがいます。最初は心配していたスタッフも、外国人の同僚がいることで、あうんの呼吸に頼るのではなくちゃんとコミュニケーションをとるようになって良かったって喜んでますよ。入居者の方たちも、『サンキュー』とか、『ハロー』とか英語を使って、笑う機会が増えましたしね」と、外国人がもたらすプラス面を教えてくれた。 もちろん私が話を聞いたのは、ごく一部の人たちでしかない。しかしながら、外国人労働者や介護現場の「問題」は様々な要因が重層的に絡み合っており、劣悪な労働環境がメディアで報じられる機会も少なくない。それだけに、地方で頑張っている企業のリアルは、「ニッポンの社長さん、さすがです!!すごい!!」という、ちょっとした安堵感をもたらしてくれたのである。 ところが……』、ここで紹介された地方企業の取り組みは、確かに「安堵感をもたらして」くれる。
・『繰り返される“ピンボケ広報”  つい先日、厚生労働省が、人手不足が深刻な介護職のイメージアップのため、デザイナーや美容師、ラーメン店の店主、畜産農家など異業界の人たちからアイデアを募る介護職のイメージ刷新等による人材確保対策強化事業を始めたとの報道があった。 運営は厚労省の公募で選ばれたスタジオエル。これまでに「遊ぶうちに介護の仕事の魅力がわかるカードゲーム」「観光案内所を併設したデイサービスで、高齢者が道案内する」「施設内で使われる家具をもっとおしゃれなデザインにする」といったアイデアや、「職員用の休憩室がない施設でも、落ち着いて一人の時間を持てる仕組み」の導入を求める声が出ていて、厚労省福祉基盤課は「これまでと違うアプローチで、若い世代に介護の仕事をアピールしたい」と話しているという(関連記事「デザイナー、美容師、農家…介護職イメージアップに異業種の知恵、厚労省が募集」)。 ……ううむ。な、なんなんだろう。この違和感。 厚労省のプロジェクトの事業イメージを見ると、このイベントから、都道府県の「職場研修」や「入門研修」につながることになっているので、一瞬納得するのだが、報道のされ方が悪いのか、私の理解力が乏しいのか。 正直、この手の「イメージアップ大作戦」にあきあきしているのである。 これまでも国は、少子化対策の婚活支援事業だの、イクメンプロジェクトだの、おとう飯キャンペーンだの、プレミアムフライデーだの、イベントやらロゴマークづくりに金をかけ、費用対効果が疑わしい“ピンボケ広報”を繰り返してきた。 今回のイメージアップ大作戦は、2025年時点で不足すると推計される介護士「34万人」という数字を、「リアルな現場」に落とし込んだうえでの取り組みなのか? 申し訳ないけど、全くリアリティがないというか、高みの見物というか。全くもって私は腑に落ちないのである。 そもそも介護の現場は実際にキツイ。ホントにキツイ。慢性的な人員不足に加え、介護現場は究極の「感情労働」なので、肉体的にも精神的にもキツく、このキツさは「イメージ」ではなく、現場のリアルである。 特に夜勤は、休む間もなく立ちっぱなしで動き回ることを余儀なくされる。ときには、コミュニケーションが難しい高齢者と意思疎通ができず、苛立つことだってある。「なんでわかってくれないのだ」と、怒りの感情に悩まされたり、ネガティブな感情を力づくで抑え込むのに苦労したり……。 介護施設は「365日24時間の仕事」なので、まとまった休暇も取りにくい。給与面でも恵まれていないので、遊んでリフレッシュしたり視野を広げたりする機会も得にくく、「施設の中だけの人間関係に終始しがちだから、ストレスがたまりやすい」といった声を何度も聞いた。 もちろんやりがいや介護の現場でしか経験できないプラス面もあるだろう。でも、だからといって「キツさ」が帳消しになるわけではなく、つまるところ、イメージアップ大作戦は、「白い嘘」に加担することになりかねないのである』、実効性に乏しい「イメージアップ大作戦」なるものは、電通などの広告代理店の入れ知恵なのかも知れない。
・『離職者の6割強が、勤続3年未満  「黒い嘘」が文字通り偽りを語ることであるのに対し、「白い嘘」とは、大切なことを故意に語らないことを意味する造語だ。例えば、会社が新卒採用をする際に、それまでのリストラの実態や縮小を予定している事業など「本来であれば応募者に伝えるべき大切な内容」にあえて触れず、いいことばかり、いい面ばかりを伝えるといった態度である。 人材の確保に「白い嘘」はタブーだ。いい面しか聞いていない新入社員は、リアリティショック(理想と現実のギャップ)の大きさに耐えられず、やる気を失ったり、組織に適応するために必要な心のエネルギーが著しく低下し、メンタルヘルスやモチベーション、さらには離職率にまで、ことごとくネガティブな影響を及ぼすことになってしまうのである。 介護職員の1年間の離職率は、正社員14.3%、非正規20.6%。離職した人の勤続年数は「1年未満」が 38.8%と4割近くを占める。「1 年以上 3 年未満の者」( 26.4%)と合わせると、6割強( 65.2%)もの人が3年未満で辞めていることになる(関連資料「平成29年度 「介護労働実態調査」の結果」)。 また、介護福祉士として登録しながらも、その半数は、実際には介護職として働いていない「潜在介護士」だという現状がある。 いったいなぜ、多くの職員が短期間で辞めてしまうのか? いったいなぜ、介護福祉士の資格を持ちながら、その半数は介護の現場で働いていないのか? 白い嘘で「介護士になりたい!」という若者を増やす以前に、まずは「今」、この時間も人手不足の現場でがんばっている介護現場の負担を少しでも減らす策を徹底し、並行して、即戦力となる潜在介護士の方の力をさまざまな形で活かすことを優先すべきではないか』、「白い嘘」とは初めて知ったが、確かに「介護現場の負担を少しでも減らす策を徹底し、並行して、即戦力となる潜在介護士の方の力をさまざまな形で活かすことを優先すべき」、というのはその通りだ。
・『介護が「わがこと」になるような取り組みを  例えば、究極の感情労働である介護職の人たちが「感情をコントロールする高度なスキル」を習得するために、国が金を出して現場に専門家を派遣し、研修を行う。「研修制度スタートしました〜、来てくださ〜い」ではなく、現場に「人」が出向く。そういった取り組みは、入居者にもプラスになるし、バーンアウト離職を防ぐうえでも効果をもたらすはずだ。また、「脱おむつ」に取り組む施設向けに、専門家による自立支援研修を実施するといったアイデアもあり得るだろう。 また、長年介護スタッフとして働いてきた人が、面白いことを言っていたことがある。「施設の介護労働を分解すると、直接的な身体介護だけではなく、掃除などの生活支援、移動・移送、事務仕事などの関連業務も少なからずあるし、見守りや適度な声かけも業務の中に含まれます。そういう業務の支援を、ちょっとしてもらうだけでも、仕事の負担はずいぶんと減る」と。 介護を介護現場だけの問題にせず、例えば「出社前に2時間介護施設でバイト」とか、「親が入居している子供が、その施設の訪問時に声かけをちょっと手伝う」とか、「学生が昼ごはんを施設で一緒に食べられるようにして、配膳を手伝う」とか。会社、個人、学校など、地域の人・組織が、あちこちから手を貸せるようなネットワークを蜘蛛の巣のように張り巡らすための取り組みが進めば、現場の負担軽減だけでなく介護への理解も進み、高齢者に関わることで得られる喜びや学びが、社会に熟成されていくのではないか。 「白い嘘」につながりかねない施策より、こうしたネットワークが醸成されるための後方支援など、今頑張っている現場の人に、すぐ喜んでもらえるような施策を期待したいのである』、説得力溢れた提言で、大賛成だ。

次に、日中福祉プランニング代表の王 青氏が4月10日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「中国から日本の介護施設に見学者が殺到している理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/199094
・『「日本の介護」を学ぼうと、中国から日本の介護施設への見学者が絶えない。中国は、日本の介護に、何を学ぼうとしているのだろうか』、インバウンド・ブームにこんな一面があったとは驚きだ。
・『中国から日本の介護施設に見学が殺到  近年、中国全土から日本の介護施設への見学者が殺到している。そのあまりの多さに、これまで喜んで見学を受け入れていた介護事業者でも対応できなくなりつつある。見学を断ったり、見学料を徴収したりする日本の介護事業者が続出している。その一方で、今なお、一貫してきちんとした体制で見学を受け入れ、「日本の介護」を丁寧に伝える施設も少なくない。 なぜ、中国人はわざわざ日本にやってくるのか、彼らは、何を見て、何を感じるのか。 その理由は明白。中国でも少子高齢化が急速に進んでいるからだ。 現在、中国は60歳以上の高齢者人口が2.4億を突破し、人口の17%を占めている』、日本では60歳以上の高齢者が人口に占める割合は33.0%と遥かに高い(2018年、日本の将来推計人口より)。
・『一人っ子政策の影響で、今後も少子高齢化が進み、速いスピードで高齢者人口が増えていく。しかし、現在では、社会保障制度が整備されておらず、高齢者が要介護となった場合、全額自己負担でサービスを受け入れなければならない。 昨年から上海、青島など一部の地域で独自に介護保険を実験的に始めているが、中身はまだまだ限定的である。政府は高齢社会に積極的に対応すべく、さまざまな優遇政策を打ち出し、民間や外資の参入を促している。 急速に発展してきた経済も一段落してきたところで、政府の後押しもある。その上、介護サービス産業は今後、市場の拡大が予想される。実際、中国では、朝日が昇っていくような勢いのある「朝陽産業」と形容されている。 そうしたことが背景で、国有企業、大手上場企業、デベロッパー、保険会社から業態転換を狙う会社まで、さまざまな企業が出遅れるのを恐れるかのように、こぞって介護ビジネスに参入し始めている。 これらの企業の多くは介護に関して全くの素人であり、どのように事業を展開していったらよいのか、わからない。ゆえに、20年前に高齢社会になり、介護保険のような社会保障制度もある日本で学ぼうと考えているのだ。いわば介護の世界では、日本は中国の「先輩」のような存在だ。あわよくば、日本で事業のパートナーを探そうとの考え方もある』、「介護の世界では、日本は中国の「先輩」のような存在」というのは確かだ。
・『中国からの見学希望に変化の兆し 最近はサービス面にも注目  筆者は仕事柄、中国からの見学者を日本の介護施設に案内する機会が多い。 これまで中国からの見学の希望先といえば、いわゆる富裕層向けの施設が中心で、「高級なほどいい」と言われることが多かった。すなわち、ソフト面よりもハード面ばかりが重視された。 例えば、玄関は豪華かどうか、建材はどんなものを使っているのか、部屋は広いのか、家具はどれほど高級品なのか…など。つまり、富裕層が好みそうな部分ばかりに目が行き、「介護の本質」や「理念」などサービスやソフトの面にはあまり興味がなく、説明されてもあまりピンとこない様子だった。 その顕著な例は、東銀座にある日本屈指の超高級高齢者マンションだ。銀座の繁華街の喧騒から一歩離れて、静かな脇道に佇む気品溢れるビル。施設は300以上の戸数を有し、自立できる高齢者を対象にしている。施設の中は天井が高く、吹き抜けや、高級ホテル並みのレストラン、日本の普通の介護施設と桁違いの高級感が漂う。当然入居されている方々も経営者や元外交官、芸能人など富裕層の皆さんだ。 一時入居金は1億円超でも現在は満室、入居希望の待機者もたくさんいる。このような都会のど真ん中にあり、富裕層が入居し、しかも成功している施設は、中国で高級ホームを標榜したい介護事業の経営者たちにとっては、なんとしても見学したい場所だ。もっとも、あまりにも中国からの見学者が多いので、この施設は悲鳴をあげ、ついに門戸を閉じてしまったほどであった。 ところが最近、中国からの見学希望先については、少し変化の「兆し」が見え始めた。 実はハードに関しては、中国は機能性や合理性は別にして、「見た目の豪華さ」という点では、日本を完全に追い越している。中国各地で誕生している「CCRC」と称される高齢者タウンが代表的だが、多くは不動産投機が目的でもあるからだ。もっとも、住宅権利は売れているが、住人はいない。 ゆえに、これらも含めて、実際、中国のトータルの介護施設の空室率は50%にも上る。一方、料金がリーズナブルで信頼のできる公立の施設は圧倒的に数が少なく、「入居するのに120年かかる」といわれるほどの絶望的状況だ。 また、中間層向けの高齢者施設は民間経営で料金や立地などもさまざまで、競争が激しい。一方、要介護や認知症の高齢者が門前払いされるケースも非常に多い。 需給バランスが非常に悪いのは明らかだ』、「高齢者タウン」の「多くは不動産投機が目的でもあるからだ。もっとも、住宅権利は売れているが、住人はいない」、「中国のトータルの介護施設の空室率は50%にも上る」というのはいかにもバブリーな中国らしい。
・『認知症ケアやリハビリ 介護食に注目  このような背景もあり、最近は「ハードよりも、中身のサービスについて勉強したい」という中国の介護事業者が増えてきたのだ。 特に、日本の介護の「個人の意思尊重」という考え方に基づいた「認知症ケア」「リハビリ」「介護食」などが注目されている。 日本では介護施設といえども、なるべく「自宅の延長」であるべきという考えが根底にある。このため入居の際は、ある程度の制限はあるものの、自宅にあった家具や使いなれた日常用品を施設に持ち込むことができる。 一方、中国は個室よりも多床室がまだまだ一般的であり、施設側が決める家具を使い、物の置き場所も決められている。廊下などには物を置いてはいけない。これは政府や消防関係の基準だという(日本でもこうした基準はあるが、中国の方がより厳しい)。 はたから見れば整理整頓が行き届いているように見えるが、まるで生活感がない。起床や就寝時間、食事、入浴などの生活リズムはすべて施設側が決めた時間内に行わなければならない。特に食事は、夕食は午後4時半から始まる施設が多い。夜7時半になると、部屋の電気は消されて真っ暗になる。 まるで軍隊のような生活を強いられる。つまり「自由」がほとんどないのだ。巷では、施設に入ると、「三等公民」になると揶揄(やゆ)される。「等」とは、中国語では「待つ」の意味で、つまり入居者の1日は「食事を待つ、寝るのを待つ、最後は死を待つ」というのだ』、「まるで軍隊のような生活を強いられる」、金持ちの老人までそうであるとすれば、驚きだ。「三等公民」には思わず笑ってしまった。
・『そして、飲み込みが困難な状態である嚥下(えんげ)障害となったら、食べ物を砕いて糊状にするか、安易に経管栄養にする。中国の介護施設には、経管栄養の高齢者が非常に多い。管に栄養剤を注射器で注入する場面を筆者は見てしまう機会が多々あり、そのたびに目をそらしたくなる。また、認知症は「病気」「厄介」「面倒」な存在という目で見られるのが現状であり、何もない部屋に入れられて、その中に閉じ込められてしまうようなケースが多い。 そもそも日本の介護では「自立支援」という考え方がある。 これは、介護が必要な人でも身体機能を衰えさせないように、できる範囲のことは自分でやってもらい、介護者はそれをサポートするというものだ。このような考え方をベースに行われる介護の取り組みは、今の中国にはない。このため、中国の見学者の目には、日本の介護がとても新鮮に映り、感動する場面がたくさんあるのだ。 例えば、日本の施設では、できる限り最後まで口で食べてもらうため、歯科医師との連携で口腔ケアを行う。食事は、入居者の健康状態に合わせて、何通りもある食事を作る。栄養だけにとどまらず、固さや柔らかさ、色、形などの見た目も工夫して、味も重視されている。ゆえに中国の見学者がこれらを試食したら、「見た目は普通の食事と同じだが、口に入れるとすぐ溶けちゃう!どうやって?」「盛り付けがとてもきれい、食欲をそそる、素晴らしい!」と感動する。 そこで、嚥下困難な高齢者向けの「なめらか食」や「ソフト食」などを紹介したレシピ本をわざわざ買って帰る人もいる』、中国はまだまだ介護の過渡期にあるようだ。
・『「個人の尊厳」重視のケアに共感「介護の本質」は万国共通  認知症ケアに関しては、日本は「個別ケア」を提唱し、一人ひとりの高齢者のこれまでの人生の歩みや、性格、嗜好などを把握する。介護というよりは「その人の生活を支える」という姿勢である。なので、本人にはある程度の「選択の自由」もある。 認知症高齢者向けの小規模施設であるグループホームでは、入居者とスタッフが共同で食事を作ったり、洗濯や掃除をしたりして、自宅にいるのとあまり変わらない生活を送る。 また日本の介護施設では、各部屋に鍵をかけないのは当たり前のことになっている。これが中国の見学者にとっては衝撃的なようだ。 実際、中国からの見学者からは「鍵をかけないと、危なくないですか?」「もし勝手に施設を出ていって、行方不明になったらどうなるの?」というような質問が絶えない。 ある特別養護老人ホームを見学した時の出来事である。 スタッフが「おむつを交換するから」と言って、おむつをバッグに入れた状態で部屋に入った。「なぜ、わざわざバッグに入れるのですか?」と聞いたら、「これは入居者さんへの配慮だ」との答えだった。つまり、排泄行為も個人の思いや尊厳が重視されるのだ。見学者一同は「なるほど!」とうなずいて、共感した。 一方、見学者を受け入れることは、日本の介護施設で働く職員らにとっても刺激になるようである。 日頃何となく、「当たり前」に思っていた業務であっても、外国からの見学により、「他国の人の目には、こう映るのか」「これは日本の良さなのか」などと、再認識する場となっている。 現在でも引き続き、中国からの見学者を受け入れている日本の介護施設があるのも、現場で働く職員らが「介護の本質」を再認識してサービスが向上できるからだろう。 昨年、日本でも介護業界では大きな話題となった認知症ケアをテーマにした映画「ケアニン ~あなたでよかった~」は、中国でも数回上映された。筆者はその上映会場にいたが、映画を通じて笑い、泣くシーンは日本の劇場と全く同じだ。 突き詰めれば、「思い」は皆同じであり、介護(ケア)の本質について「国境はない」のは確かである』、日本の介護もまだまだ多くの問題を抱えているが、介護途上国の中国にとっては見学する価値があるようだ。
タグ:介護 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 河合 薫 (その2)(留学生奨学金250万円の「汗」と 「白い嘘」事業の功罪、中国から日本の介護施設に見学者が殺到している理由) 「留学生奨学金250万円の「汗」と、「白い嘘」事業の功罪」 東川町を含む3つの町と、東川町にある北工学園旭川福祉専門学校、8つの介護施設が外国人介護福祉人材育成支援協議会を設立 日本語学校などで日本語を学んだ留学生に、東川町内にある旭川福祉専門学校で2年間、資格取得を目指して学んでもらう。 学費のうち8割を国が特別交付金の形で自治体に交付する制度でまかない、学費の残りの2割と生活費として年250万円程度の奨学金を協議会で負担。卒業後3~5年、協議会加盟施設で働けば返済は免除 今回の北海道の取り組みには、えらく感動している 東川町では独自に10年も前から、地道に、取り組みを進めてきた 2009年から、介護人材育成などを目的に外国人留学生の受け入れをスタートし、14年からは町内の旭川福祉専門学校に日本語学科や留学生向け介護学科を開設。さらに、15年10月には全国初の公立日本語学校である「東川町立東川日本語学校」も開校 コミュニケーション能力の高い介護人材を“育成したい” 「変な働き方をさせて問題でも起きたら、終わりだから」 地方で会社をやってて一番怖いのは何だと思う? 世間だよ、世間 リストラなんてやったら非難轟々で、この町で生きていけない。外国人だってね、変な働き方をさせて問題でも起きたら、終わりだから…… 繰り返される“ピンボケ広報” 厚生労働省が、人手不足が深刻な介護職のイメージアップのため、デザイナーや美容師、ラーメン店の店主、畜産農家など異業界の人たちからアイデアを募る介護職のイメージ刷新等による人材確保対策強化事業を始めた 「これまでと違うアプローチで、若い世代に介護の仕事をアピールしたい」 介護現場は究極の「感情労働」なので、肉体的にも精神的にもキツく、このキツさは「イメージ」ではなく、現場のリアルである イメージアップ大作戦は、「白い嘘」に加担することになりかねないのである イメージアップ大作戦は、「白い嘘」に加担することになりかねない 人材の確保に「白い嘘」はタブーだ いい面しか聞いていない新入社員は、リアリティショック(理想と現実のギャップ)の大きさに耐えられず、やる気を失ったり、組織に適応するために必要な心のエネルギーが著しく低下し、メンタルヘルスやモチベーション、さらには離職率にまで、ことごとくネガティブな影響を及ぼすことになってしまうのである 介護職員の1年間の離職率は、正社員14.3%、非正規20.6%。離職した人の勤続年数は「1年未満」が 38.8%と4割近く 介護福祉士として登録しながらも、その半数は、実際には介護職として働いていない「潜在介護士」だという現状 まずは「今」、この時間も人手不足の現場でがんばっている介護現場の負担を少しでも減らす策を徹底し、並行して、即戦力となる潜在介護士の方の力をさまざまな形で活かすことを優先すべきではないか 介護が「わがこと」になるような取り組みを ネットワークが醸成されるための後方支援など、今頑張っている現場の人に、すぐ喜んでもらえるような施策を期待 王 青 「中国から日本の介護施設に見学者が殺到している理由」 中国から日本の介護施設への見学者が絶えない 中国でも少子高齢化が急速に進んでいる 現在では、社会保障制度が整備されておらず、高齢者が要介護となった場合、全額自己負担でサービスを受け入れなければならない 政府は高齢社会に積極的に対応すべく、さまざまな優遇政策を打ち出し、民間や外資の参入を促している さまざまな企業が出遅れるのを恐れるかのように、こぞって介護ビジネスに参入し始めている。 これらの企業の多くは介護に関して全くの素人であり 介護の世界では、日本は中国の「先輩」のような存在 中国からの見学希望に変化の兆し 最近はサービス面にも注目 見学の希望先といえば、いわゆる富裕層向けの施設が中心で、「高級なほどいい」と言われることが多かった 東銀座にある日本屈指の超高級高齢者マンション この施設は悲鳴をあげ、ついに門戸を閉じてしまった 高齢者タウンが代表的だが、多くは不動産投機が目的でもあるからだ。もっとも、住宅権利は売れているが、住人はいない 中国のトータルの介護施設の空室率は50%にも上る 認知症ケアやリハビリ 介護食に注目 中国は個室よりも多床室がまだまだ一般的 まるで軍隊のような生活を強いられる。つまり「自由」がほとんどないのだ 「三等公民」 中国の介護施設には、経管栄養の高齢者が非常に多い 日本の介護では「自立支援」 「個人の尊厳」重視のケアに共感「介護の本質」は万国共通 見学者を受け入れることは、日本の介護施設で働く職員らにとっても刺激になる 現場で働く職員らが「介護の本質」を再認識してサービスが向上できる
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