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日韓関係(その8)(両国に不利益な日韓の軍備競争が起こる形勢、橋下徹「韓国に分捕られた分をこう取り返せ」、日韓が陥る「記憶の政治」の愚、日韓対立の底流にある「2つのリベラリズムの対立」) [外交]

一昨日、昨日に続いて、日韓関係(その8)(両国に不利益な日韓の軍備競争が起こる形勢、橋下徹「韓国に分捕られた分をこう取り返せ」、日韓が陥る「記憶の政治」の愚、日韓対立の底流にある「2つのリベラリズムの対立」)を取上げよう。「またか」とウンザリする向きもあろうかとは思うが、この問題の重要性を考慮すれば、異例の3日連続もアリだと考えた次第だ。

先ずは、軍事評論家、ジャーナリストの田岡俊次氏が9月10日付け日刊ゲンダイに掲載した「【寄稿】両国に不利益な日韓の軍備競争が起こる形勢」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/261887
・『日韓の対立は昨年10月30日、韓国大法院が徴用工への補償を命じたのが発端と言われがちだが、実はそれ以前、10月10日から済州島で行われた国際観艦式に参加予定の日本の護衛艦は艦旗(旭日旗)を掲揚しないよう韓国側が求め亀裂が生じた。 旭日旗は中国が1895年の下関条約で韓国独立を認めた日清戦争でも翻り、今日の海上自衛隊旗章規則も掲揚を定める。「艦旗を掲げるな」と言うのは世界の海軍の礼儀に反し、海上自衛隊は参加を取り消した。 12月20日には韓国の駆逐艦が海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射する事件も発生、今年10月14日の相模湾での観艦式に中国は招くが、韓国海軍は招待されない。今後、韓国が詫びたり、日本の態度が変わることは考えにくく“日韓海軍冷戦”の状態は続くだろう。 これは文在寅大統領の思想傾向だけが原因ではない。韓国海軍は盧武鉉政権下の2005年に進水した1万9000トン級の揚陸艦(ヘリ空母)を「独島」(竹島)と命名、李明博政権下の2008年に進水した1800トン級の潜水艦は「安重根」(伊藤博文の暗殺犯)と名付けるなど、露骨な対決姿勢を示してきた。北朝鮮海・空軍は弱体だから、韓国海・空軍は予算拡大を狙うため、日本を仮想敵視するが、「日本と戦う」と言えば予算がつくのが問題だ。 日本では冷戦的世界観が残り「韓国は味方」と思いがちで、韓国の軍拡に関する報道はまれだが、海軍はヘリ空母1隻、1300~1800トン級の潜水艦16隻、巡洋艦3隻、駆逐艦・フリゲート23隻、1200トン級哨戒艦18隻を持ち、日本のヘリ空母4隻、巡洋艦2隻、その他の護衛艦41隻に数的には迫っている』、日本のヘリ空母に対抗して、ヘリ空母を建造、「潜水艦は「安重根」と名付けるなど、露骨な対決姿勢」、「「日本と戦う」と言えば予算がつく」、「日本では冷戦的世界観が残り「韓国は味方」と思いがち」、韓国が日本を仮想敵国として着々と軍拡にいそしんでいるとは不気味だ。しかも、「文在寅大統領の思想傾向だけが原因ではない」、日本の安全保障の考え方そのものを抜本的に見直す必要があるのかも知れない。
・『「日本と戦う」で予算がつく  2隻目のヘリ空母や3700トン級潜水艦などが続々と進水し、来年度から5年間の中期国防計画では日本の「いずも」級(満載2万6000トン)を上回る3万トン級空母を建造、F35B戦闘機十数機を搭載する。 韓国は弾道ミサイル「玄武2C」(射程800キロ、名古屋に届く)、巡航ミサイル「玄武3C」(同1500キロ、日本全土に届く)の量産を進め、弾道・巡航ミサイルの総数は2000基に近い。核弾頭の代わりに弾道ミサイルは子爆弾約900発を放出し、広い地域の制圧を狙う。潜水艦、水上艦もそれを搭載、ミサイル128発を積む「合同火力艦」も中期防に入れている』、どうも北朝鮮ではなく、日本を仮想敵国と想定した装備のようだ。 空軍は、実質的には爆撃機であるF15K(戦闘行動半径1250キロ)59機など戦闘機500機を超え、航空自衛隊の330機をしのぐ。空中給油機もエアバス330の改装型4機を発注した。 北朝鮮は奥行き約500キロ、北京へも約900キロだから、射程1500キロの巡航ミサイルや空中給油機は何のためか。毎年2回演習をする「独島防衛」に必要とも考え難い。韓国陸軍は米陸軍の47万人より多い49万人だが、11万8000人を削減する。防衛費を増大する一方で北朝鮮に対抗する陸軍を減らし、海・空軍の増強をはかる。 韓国の今年度の国防予算は円換算で約4兆円、日本の8割だが、韓国は5年間に年平均7・5%ずつ増額する計画で日本と並ぶ。韓国のGDPは昨年1・66兆ドルでロシアの1・58兆ドルを上回る。日韓軍備競争は双方に不利益だが、それが起こりつつある形勢だ』、「戦闘機500機を超え、航空自衛隊の330機をしのぐ」、「空中給油機もエアバス330の改装型4機を発注」、「防衛費を増大する一方で北朝鮮に対抗する陸軍を減らし、海・空軍の増強をはかる」、韓国に対抗した軍拡競争に乗るべきではなく、あくまで軍事面を中心とした対話を強化すべきだろう。

次に、9月11日付けPresident Online「橋下徹「韓国に分捕られた分をこう取り返せ」」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/29859
・『今回の日韓関係悪化の大元は、韓国大法院(最高裁)による徴用工判決だ。これに対して日本側は、輸出管理手続きの厳格化といった実質的な利益のない対抗手段ではなく、やられた分だけやり返すための法的な理屈を考えるべき。その手段とは? プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(9月10日配信)から抜粋記事をお届けします』、辣腕弁護士としての提案とは興味深そうだ。
・『韓国側の主張を分析したうえで日本の主張を徹底的に構築せよ  今回の韓国大法院の徴用工判決には、それなりの法的理屈があることを本メルマガで詳論してきた。1965年の日韓基本条約・請求権協定があるからハイ終わり、と簡単に言えるものではない。お互いに解釈の余地が生まれ得る問題だ。ゆえに、その点を踏まえて、日本は日本の立場の法的主張を準備しておくべきだ。 相手の主張を吟味することなく、自分の主張が絶対的に正しいものと信じ込んで法的論戦に臨むと、足元をすくわれる。韓国側の主張もそれなりに成立することを認識した上で、日本側の法的主張を徹底的に構築すべきだ。(略)さらに国際司法裁判所や仲裁委員会での判断を仰ぐ前に、国家の実力行使で解決するやり方もある。もちろん武力行使によらない実力行使だ。現在の日韓双方は、その報復合戦に突入している。ただし、実力行使を行うのであれば、その根拠を法的に構築すると同時に、これまでも散々論じてきたが、実害が最小限にとどまるような方法を採らなければならない』、日本政府は「日韓基本条約・請求権協定があるからハイ終わり」といった余りに単純化した主張から脱するべきだ。「報復合戦」も「実害が最小限にとどまるような方法を採らなければならない」、その通りだ。
・『李承晩ライン拿捕事件を韓国政府に賠償請求できるか  この点、日本の政治家やインテリの一部には、次のような歴史的事実を基に、「韓国政府」への実力行使を叫ぶ者がいる。 1952年発効のサンフランシスコ講和条約によって日本が主権を回復する直前に、当時の李承晩韓国大統領が、日本海に李承晩ラインなるものを一方的に引いて、竹島を実効支配した。今の中国が南シナ海でやっているのと同じようなことをやったのである。日本は当時、主権が回復していなかったのでなす術がなかった。その後、サンフランシスコ講和条約によって日本の主権が回復し、本来であれば日本の漁船が漁業をできる地域においても、韓国は李承晩ラインを盾に、日本漁船を拿捕し、多くの日本人漁師が韓国側に拘束された。拘束時に死亡者まで出ている。 この点について、日本側は韓国に補償請求しようとした。ところが1965年の日韓基本条約・日韓請求権協定時に、日韓の紛争は全て終結させる趣旨から、李承晩ラインに基づく日本漁船拿捕事件の補償は、全て日本政府が日本人漁師に行うことで決着した。自国民への補償は自国政府が行うという原則論である。そして実際、日本政府は日本人漁師に補償を行った。 そこで、日本の政治家やインテリの一部は、この点を蒸し返し、再度「韓国政府」に直接請求すればいいと主張する。 しかし、これは国際法上の「主権免除」という法的理屈を知らない主張だ。国際社会のルールにおいては、自国の裁判所において外国「政府」を直接訴えることはできない。すなわち日本の裁判所において「韓国政府」を直接訴えることはできないのである。「韓国政府」を直接訴えたいなら、「韓国の裁判所」で訴えるほかないのであるが、しかし、李承晩ラインを巡る補償について「韓国の裁判所」に「韓国政府」を訴えたところで、日本側が勝てる見込みはないだろう。韓国の裁判所では韓国側の法的理屈が採用されてしまうだろうから。 この点、韓国の元徴用工側は、うまくやっている。今回の韓国大法院が下した徴用工判決を見て欲しい。これは元徴用工の韓国国民が「韓国の裁判所」において韓国国内の「日本企業」を訴えている。「韓国の裁判所」において「日本政府」を訴えることはできないが、韓国国内の「日本企業」を訴えることはできるのである。 韓国国民が、徴用工問題で、「日本の裁判所」において、「日本政府」や「日本国内の日本企業」を訴えても負ける。先に述べたとおり、日本の裁判所は、元徴用工の個人補償について裁判所に訴えることはできないという立場だからだ。だから元徴用工たちは、自分たちの味方になってくれるだろう「韓国の裁判所」において韓国国内の「日本企業」を訴えて、勝訴判決を得たのである』、「李承晩ライン拿捕事件」はかろうじて思い出したが、「「韓国政府」に直接請求」することは、「国際法上の「主権免除」」で出来ないというのは、残念だがやむを得ない。「元徴用工たちは・・・「韓国の裁判所」において韓国国内の「日本企業」を訴えて、勝訴判決を得た」というのは鮮やかなやり方だ。
・これこそが日本の政治家の役割  日本側にもこのような緻密な戦術が必要である。韓国政府を訴えろ! では完敗する。だからこそ、日本側も、「日本の裁判所」で「日本国内の」「韓国企業」を訴えることはできないか。もっといえば、日本政府が「日本国内の」「韓国企業」の財産を差し押さえることができないか、を徹底的に考えるべきで、それが日本の政治家の役割だ。 李承晩ラインに基づく日本漁船拿捕事件や、その他のもので日本人や日本企業、さらには日本政府が「日本国内の」「韓国企業」を訴えることができるものはないか。最近、日本の外務省は、徴用工判決に基づく差押えやその現金化によって韓国内の日本企業に損害が出れば、日本政府は国際法に基づいて韓国側に損害賠償請求ができる、という見解を発出している。 加えて、韓国側が、徴用工判決とそれに基づく日本企業への差押え・現金化という日韓基本条約・日韓請求権協定に反する行動を貫くというのであれば、それこそ日韓基本条約・日韓請求権協定の破棄ということも視野に入れるべきである。それらを破棄すると日本側が韓国側に提供した5億ドルの資金を韓国側から戻してもらうことになる。ここを精査して、「日本の裁判所」に「韓国政府」を訴えるのではなく、「日本の裁判所」に「日本国内の」「韓国企業」を訴えたり、その財産を差し押さえたりすることができるように知恵を絞るのが日本の政治家の腕の見せどころだ。 (略) 政治家やインテリたちは、日韓関係の悪化で損をすることがないし、むしろそのことで仕事が増えるインテリも多いので、強硬策だけを叫んでいればいい。しかし、損をする民間人にとってはたまったものじゃない。加えて韓国が、日本の要求する輸出管理手続きをきちんと踏んでくれば、日本側は輸出許可を出さざるを得ず、そうなると韓国には何のプレッシャーにもならずに、徴用工判決の問題は何ら解決しない。 徴用工判決問題を解決するというなら、日本側の意図を明確にして、相手を動かす方策を実行すべきである。輸出管理手続きを厳格化し、「それは安全保障の問題だ!」などとごまかすべきではない。 「分捕られたなら、それを分捕り返す」。これが、日本側が採るべき本来の方策だ。(略)』、総論的にはその通りだが、実際には「「日本の裁判所」に「日本国内の」「韓国企業」を訴え」るための不当行為など、いくら頭をひねっても出てこないのではなかろうか。威勢がいい啖呵を切ることにかけては橋下氏は天才的だが、中味が乏しいこともあるようだ。

第三に、キャロル・グラック氏(コロンビア大学教授〔歴史学〕)が9月18日付けNewsweek日本版に掲載した「日韓が陥る「記憶の政治」の愚 どちらの何が正しく、何が間違いか」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/09/post-13004.php
・『<過去を政治の道具にする「記憶の政治」とは何か。泥沼の関係に陥りつつある日韓が仏独から学べること。本誌最新号「日本と韓国:悪いのはどちらか」特集より> またしても、日本と韓国の間で緊張が高まっている。そして、またも双方が、敵意が膨れ上がる主な原因は「歴史問題」だと言い出している。 韓国人は、日本人が戦時中と植民地時代の行いを十分に認識してないと非難する。日本人は、自国で語られる歴史に欠けている部分を蒸し返されることにうんざりしている。過去を武器にして現在に損失をもたらしているという意味では、どちらの国も同罪だ。 日本人も韓国人もこれは「歴史」論争だと言っているが、実際に話しているのは「記憶」についてだ。 歴史と記憶は同じものではない。歴史とは過去に起きたことであり、記憶とは、そのストーリーをどのように語るかということだ。国家が自らのストーリーを語るときは特に、記憶は選択的、政治的、感情的になりがちだ。 国民の歴史という概念は目新しいものではない。全ての国が、時には英雄として、時には犠牲者として自分に都合よくストーリーを語るが、それらは常にアイデンティティーと国家の誇りに関わっている。 一方で、何が新しいかと言えば、いま私たちは「記憶の政治(メモリー・ポリティクス)」の時代を生きているということだ。記憶の政治では、歴史が国境を超えた問題になる。過去を利用して国内でアイデンティティーを築くだけでなく、国際関係でも過去を政治の道具にするのだ。 国境を超える記憶の政治は、1945年からの数十年間で変化してきた。ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)など戦時中の不正義を事実として認め語ろうという努力を機に、「世界的な記憶の文化」が徐々に生まれてきた。 国の過去の中でより暗い部分とどう向き合うかについての基準には、公に認めること、正式な謝罪、被害者への賠償が含まれるようになった。こうした記憶の基準は、奴隷制や先住民族への暴力など自国民に対してだけでなく、戦争や内戦で対峙した昔の敵や、帝国主義時代の旧植民地にも適用される。 日本と韓国は今まさに、国家の歴史と国際的な記憶の政治の複雑な網にからめ捕られている』、「日本人も韓国人もこれは「歴史」論争だと言っているが、実際に話しているのは「記憶」についてだ。 歴史と記憶は同じものではない。歴史とは過去に起きたことであり、記憶とは、そのストーリーをどのように語るかということだ。国家が自らのストーリーを語るときは特に、記憶は選択的、政治的、感情的になりがちだ」、これが海外からの冷静な見方なのだろう。「日本と韓国は今まさに、国家の歴史と国際的な記憶の政治の複雑な網にからめ捕られている」、というのは言い得て妙だ。
・『日韓双方が正しく間違っている  韓国でリベラルな文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「われわれは二度と日本に負けない」と宣言するとき、彼は国家の経済への脅威について訴えている。親日派(「親日反民族行為者」)をやり玉に挙げるとき、彼は韓国の独立を、1948年に南北朝鮮がそれぞれ独立した冷戦下の反共産主義というより1919年の反日独立運動(三・一独立運動)に結び付けようとしている。このようにして、最終的に南北統一を目指す韓国の国民のストーリーに、北朝鮮が取り込まれていく。 こうしたレトリックは、国内的な目的のために日本に対する敵意を振りかざすものだ。) 一方、日本で保守派の安倍晋三首相が従軍慰安婦問題に関する新たな謝罪を拒み、強制連行という解釈を認めないとき、彼は国家のプライドと国内の政治基盤に語り掛けている。日本政府が韓国やアメリカなどに設置された「平和の少女像」の撤去を求めるのは、国際社会で日本の名誉が傷つけられると考えているからだろう。 そこでは記憶についての世界的な基準より、国力に関する愛国主義的な物語のほうが優先されている。これはどちらの国も正しくて、どちらの国も間違っていると言える。 韓国は、日本の戦争と植民地支配の過去は適切に認識されなければならず、将来にわたって日本の歴史の良い面も悪い面も教育しなければならないと主張する。これはそのとおりだ。また、韓国の裁判所が昨年、元徴用工問題で日本企業に賠償を命じる判決を出したことも、ドイツの戦時中の強制労働に関する判例をある程度なぞっていた。 日本は慰安婦問題で、不完全な部分はあるにせよ既に公式に謝罪と賠償をしたにもかかわらず、韓国が受け入れないことに戸惑っている。慰安婦をはじめとする戦争被害者のために市民社会の日本人が尽力していることも、韓国は認めようとしない。これについては日本の言うとおりだ。 一方、韓国は元徴用工への賠償金のために日本企業の資産を差し押さえて売却すると脅しているが、これは間違っている。こういう脅しは記憶についての世界的な基準からは外れている。 そして、日本は記憶をめぐる傷を貿易政策と安全保障政策にすり替えているが、これも間違っている。韓国が「日本の経済侵略対策特別委員会」を設置するなど、同じような報復をするのも間違っている』、日韓双方の主張をともに「間違っている」と切り捨てているが、その通りだろう。
・『仏独のようにはなれなかった  どちらの国も、過去の間違いを現在の間違いにすり替えているだけだ。75年近い年月の間に何も変わっていないかのように。だが実際は、多くのことが変わっている。「歴史問題」に関してもさまざまな変化が起きているのだ。 今から21年前の1998年に、金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相は日韓共同宣言に署名。日本による植民地支配が韓国に多大な損害と苦痛を与えたことを認めた上で、未来志向の両国関係を目指すと約束した。 その後、韓国で日本の映画や音楽、マンガなどが解禁され、J-POPとK-POPが人気を集めた。2002年にはサッカー・ワールドカップを共同開催。日本で韓流ブームが起きて、互いに観光客が増えた。日韓関係は新しい段階を迎えたと思われた。 私はその頃、日本と韓国が、60年代前半の仏独のような和解に向かっているかもしれないと書いた。しかし、私は間違っていた。それでも、長く敵対していたフランスとドイツが第二次大戦後に関係を修復できた理由を検証することは、役に立つのではないか』、「フランスとドイツ」とは事情が相当違いそうだが、まずはみてみよう。
・『【参考記事】韓国に対して、宗主国の日本がなすべきこと) フランスとドイツの関係を変えた要素は3つある。双方の市民社会団体と草の根の運動(初めはドイツのほうが積極的だった)、シャルル・ドゴール仏大統領とコンラート・アデナウアー西独首相という2人の力強い指導者の政治的な意思、冷戦とソ連の脅威という文脈におけるそれぞれの国益だ。 両国は1963年にエリゼ条約(仏独協力条約)を結んで敵対関係に終止符を打った。しかし、その関係を強固にしたのはその後の教育の変化と、若い世代を中心に社会のあらゆるレベルで交流が深まったこと、そして、EUを通じて地域的な力が強まったことだ。 こうした順応はもちろん個人の記憶を消し去りはしなかったが、それでも両国の関係を変え、両国とほかの西欧諸国との関係を変えた。 時代や歴史的背景は異なるが、フランスとドイツの相互理解を深めた要素は今日の日本と韓国にも通じるだろう。 今年6月初めの世論調査では日本人と韓国人の約半数が相手国に良くない印象を抱いているが、その傾向は変化してきており、今後も変わるだろう。両国とも、若者のほうが年長者より互いへの好感度が高い。観光や大衆文化が草の根レベルで影響を与えていると思われる。 金大中が未来志向の日韓関係を宣言したときのように、指導者の姿勢も変化を起こし得る。文大統領は今年8月15日に、日本の植民地支配からの解放を記念する式典で「日本が対話と協力の道に進むなら、われわれは喜んで手をつなぐ」と語った。日本政府もむき出しの敵意にばかり反応せず、こうした前向きの発言を積極的に受け止めることもできるだろう』、「文大統領は今年8月15日に」融和的演説をしたのに、頭に血が上っていた日本政府がこれを無視したのは、確かに外交的には失策だろう。。
・『「帝国の慰安婦」としての記憶  変化の背景には地域的な文脈もあった。仏独は、欧州というコミュニティーに共に参加することに共通の利益を見いだした。現在、日本と韓国の国益も東アジアの域内関係に同じくらい密接に結び付いているのではないか。 ただし、過去の敵が未来の友になるというシナリオには、もう1つ課題がある。フランスとドイツは戦争の敵国同士だったため、仏独の記憶の政治は戦争が軸になっていた。それに対し、韓国は日本の植民地だったため、韓国は慰安婦や徴用工の問題を、戦争というより植民地時代の抑圧として考える。 日本では少なくとも90年代前半以降、戦争の記憶を積極的に呼び起こす動きが広まっているが、帝国主義時代の過去にはあまり向き合ってこなかった。日本人は南京虐殺や七三一部隊、従軍慰安婦を知ってはいるが、例えば慰安婦については帝国主義ではなく戦争の産物と見なす人が多いだろう』、「日本では・・・帝国主義時代の過去にはあまり向き合ってこなかった」、というのは確かに大いに反省すべき材料だ。
・『帝国主義の歴史を持つ多くの国と同じように、日本は長い間、自らの帝政の悲惨な行為について公には沈黙を守ってきた。イギリス、オランダ、ベルギー、ドイツ、フランスでも、今なお帝国主義時代の記憶が問題化している。 確かに帝国主義の過去を乗り越えて和解を目指そうという決然たる努力に、大きな壁が立ちはだかることも多い。例えばフランスと旧植民地のアルジェリアは2003~07年に友好条約の締結を模索したが、かなわなかった。1962年にアルジェリアが独立を果たしてから数十年がたっても、1世紀以上に及んだ植民地支配とアルジェリア戦争の残忍な記憶は重く、「歴史の傷」を癒やすことはできなかった。 日韓の関係はフランスとアルジェリアより近く、より友好的だが、日本の植民地支配に対する韓国の記憶はほかの旧植民地と同じくらい強烈なものも少なくない。日本と韓国が歴史の溝を埋めようとするなら、植民地時代の知識を学んで歴史的事実を認めることがおそらく出発点になるだろう。 記憶の政治の時代を生きる困難について、解決策が分かっているとは言わない。それでも明白なことが2つある。 まず、ナショナリズムは現代の惨劇だ。世界のナショナリズムは、国内外のほぼあらゆる場所で不確実性に対する反応として生まれている。日本と韓国のナショナリズムは、海峡の両側で同じように人々の目を塞ぎ自分たちの国益さえ見失わせている。 そして、過去を政治の武器として利用することは、前向きではなく後ろ向きに生きるということだ。過ぎ去った過去が、これから訪れる未来を危機にさらす──そうした事態を許すということだ。(筆者の専門は日本近現代史。近著に『戦争の記憶 コロンビア大学特別講義──学生との対話──』〔講談社現代新書〕) <本誌2019年9月24日号掲載「日本と韓国:悪いのはどちらか」特集より>・・・』、「日本と韓国が歴史の溝を埋めようとするなら、植民地時代の知識を学んで歴史的事実を認めることがおそらく出発点になるだろう」、というのは正論ではあるが、現在の日本には無理なのではなかろうか。

第四に、作家の橘玲氏が9月17日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「日韓対立の底流にある「2つのリベラリズムの対立」【橘玲の日々刻々】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/215024
・『10日ほど海外を旅行して、帰国してみると日韓対立がさらにヒートアップしていました。慰安婦財団解散、徴用工判決から「ホワイト国」除外、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄へと至る過程はいまさら繰り返すまでもないでしょう。 この問題が難しいのは、日韓両国のアイデンティティに直結していることです。そのため、相手国を擁護するかのような主張をするとたちまち「炎上」し、バッシングの標的にされてしまいます。こうして、まともなひとほどこの問題から距離を置こうとし、残るのは「ポピュリスト」ばかりということになります(事情は韓国も同じでしょう)。 そこでちょっと冷静になって、この問題を「2つのリベラリズムの対立」として読み解いてみましょう。ポイントは、「世界はますますリベラル化している」です。 日本の保守派は、「現在の法律を過去に遡って適用することはできない」といいます。これは一般論としてはそのとおりですが、「歴史問題」にそのまま当てはめることはできません。黒人を奴隷にしたり、新大陸(アメリカ)の土地を原住民から奪ったり、アフリカやアジアを植民地にすることは、西欧の当時の法律ではすべて「合法」だったのですから。現在の「リベラル」な人権概念を過去に適用することによって、はじめて奴隷制度や植民地主義を批判できるのです。 こうした「リベラリズム」の拡張はやっかいな問題を引き起こすため、欧米諸国の圧力でこれまで抑制されてきましたが、新興国の台頭によって「パンドラの箱」が開きかけています。インドではヒンドゥー原理主義者がイギリスの植民地統治を全否定し、「民族の歴史」を新たにつくりなおそうとしています。韓国の「歴史の見直し」は、こうした潮流の最先端として理解できるでしょう。そこでは、現在のリベラルな価値観を時空を超えて拡張し、過去を断罪することができるのです』、「こうした「リベラリズム」の拡張はやっかいな問題を引き起こすため、欧米諸国の圧力でこれまで抑制されてきましたが、新興国の台頭によって「パンドラの箱」が開きかけています・・・韓国の「歴史の見直し」は、こうした潮流の最先端として理解できるでしょう」、なるほど説得力がある説明だ。
・『それに対してもうひとつの「リベラリズム」は個人主義化です。ここでは自由と自己責任の論理が徹底され、自分が自由意思で行なったことにのみ全面的に責任をとることになります。逆にいえば、自分がやっていないことには責任をとる必要はないし、勝手に責任をとってはならないのです。 第二次世界大戦の終結から70年以上がたち、日本でも戦場を経験したひとはごくわずかになりました。とりわけ孫やひ孫の世代にあたる若者は、なぜ自分が生まれるはるか昔の出来事で隣国から執拗に批判されるのか理解できないでしょう。「反韓」ではなく「嫌韓」という言葉は、こうした気分をよく表わしています。 問題なのは、どちらの側にも「リベラルな正義」があることです。お互いが自分たちを「善」、相手を「悪」と思っている以上、そこに妥協の余地はありませんが、その一方で、どれほど批判しても相手の「正義」が揺らぐことはありません。こうして、罵詈雑言をぶつけ合いながら、アメリカや「国際社会」を味方に引き入れようとしてますます袋小路にはまりこんでいくのでしょう。 解決策としては、それぞれの国民が「いつまでもこんなバカバカしいことはやってられない」と気づくことでしょうが、それにはまだ長い時間がかかりそうです』、輸出環境の悪化は、日韓両国経済に打撃を与えるが、相対的に韓国の方がダメージが大きい筈だ。「バカバカ」しさに早目に気づいてもらいたいものだ。日本も早目に気づいてもらいたい点では同様だ。
タグ:橘玲 日韓関係 日刊ゲンダイ ダイヤモンド・オンライン PRESIDENT ONLINE 田岡俊次 Newsweek日本版 (その8)(両国に不利益な日韓の軍備競争が起こる形勢、橋下徹「韓国に分捕られた分をこう取り返せ」、日韓が陥る「記憶の政治」の愚、日韓対立の底流にある「2つのリベラリズムの対立」) 「【寄稿】両国に不利益な日韓の軍備競争が起こる形勢」 国際観艦式に参加予定の日本の護衛艦は艦旗(旭日旗)を掲揚しないよう韓国側が求め亀裂が生じた “日韓海軍冷戦” これは文在寅大統領の思想傾向だけが原因ではない 2008年に進水した1800トン級の潜水艦は「安重根」(伊藤博文の暗殺犯)と名付けるなど、露骨な対決姿勢 「日本と戦う」と言えば予算がつく 日本では冷戦的世界観が残り「韓国は味方」と思いがちで、韓国の軍拡に関する報道はまれ 「日本と戦う」で予算がつく 戦闘機500機を超え、航空自衛隊の330機をしのぐ 空中給油機もエアバス330の改装型4機を発注 防衛費を増大する一方で北朝鮮に対抗する陸軍を減らし、海・空軍の増強をはかる 橋下徹「韓国に分捕られた分をこう取り返せ」」 韓国側の主張を分析したうえで日本の主張を徹底的に構築せよ 韓国側の主張もそれなりに成立することを認識した上で、日本側の法的主張を徹底的に構築すべき 報復合戦 実力行使を行うのであれば、その根拠を法的に構築すると同時に、これまでも散々論じてきたが、実害が最小限にとどまるような方法を採らなければならない 李承晩ライン拿捕事件を韓国政府に賠償請求できるか 国際法上の「主権免除」 日本の裁判所において「韓国政府」を直接訴えることはできない 元徴用工の韓国国民が「韓国の裁判所」において韓国国内の「日本企業」を訴えている。 これこそが日本の政治家の役割 日本政府が「日本国内の」「韓国企業」の財産を差し押さえることができないか、を徹底的に考えるべきで、それが日本の政治家の役割だ 「分捕られたなら、それを分捕り返す」。これが、日本側が採るべき本来の方策だ キャロル・グラック 「日韓が陥る「記憶の政治」の愚 どちらの何が正しく、何が間違いか」 過去を武器にして現在に損失をもたらしているという意味では、どちらの国も同罪だ 日本人も韓国人もこれは「歴史」論争だと言っているが、実際に話しているのは「記憶」についてだ。 歴史と記憶は同じものではない。歴史とは過去に起きたことであり、記憶とは、そのストーリーをどのように語るかということだ いま私たちは「記憶の政治(メモリー・ポリティクス)」の時代を生きている 日韓双方が正しく間違っている 韓国は、日本の戦争と植民地支配の過去は適切に認識されなければならず、将来にわたって日本の歴史の良い面も悪い面も教育しなければならないと主張する。これはそのとおりだ 元徴用工問題で日本企業に賠償を命じる判決を出したことも、ドイツの戦時中の強制労働に関する判例をある程度なぞっていた 仏独のようにはなれなかった 韓国に対して、宗主国の日本がなすべきこと 「帝国の慰安婦」としての記憶 日本と韓国が歴史の溝を埋めようとするなら、植民地時代の知識を学んで歴史的事実を認めることがおそらく出発点になるだろう 日本と韓国のナショナリズムは、海峡の両側で同じように人々の目を塞ぎ自分たちの国益さえ見失わせている。 そして、過去を政治の武器として利用することは、前向きではなく後ろ向きに生きるということだ。過ぎ去った過去が、これから訪れる未来を危機にさらす──そうした事態を許すということだ 「日韓対立の底流にある「2つのリベラリズムの対立」【橘玲の日々刻々】」 日本の保守派は、「現在の法律を過去に遡って適用することはできない」といいます。これは一般論としてはそのとおりですが、「歴史問題」にそのまま当てはめることはできません 現在の「リベラル」な人権概念を過去に適用することによって、はじめて奴隷制度や植民地主義を批判できるのです こうした「リベラリズム」の拡張はやっかいな問題を引き起こすため、欧米諸国の圧力でこれまで抑制されてきましたが、新興国の台頭によって「パンドラの箱」が開きかけています 韓国の「歴史の見直し」は、こうした潮流の最先端として理解できるでしょう もうひとつの「リベラリズム」は個人主義化 自分がやっていないことには責任をとる必要はないし、勝手に責任をとってはならないのです 解決策としては、それぞれの国民が「いつまでもこんなバカバカしいことはやってられない」と気づくことでしょうが、それにはまだ長い時間がかかりそうです
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日韓関係(その7)(対韓輸出規制は 歴史問題の政争に貿易を巻き込んだ「愚策」だ、小田嶋氏:「旗」をめぐる最終的な悪夢) [外交]

昨日に続いて、日韓関係(その7)(対韓輸出規制は 歴史問題の政争に貿易を巻き込んだ「愚策」だ、小田嶋氏:「旗」をめぐる最終的な悪夢)を取上げよう。

先ずは、立教大学大学院特任教授・慶應義塾大学名誉教授の金子 勝氏が8月29日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「対韓輸出規制は、歴史問題の政争に貿易を巻き込んだ「愚策」だ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/213106
・『韓国政府が22日、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定し、徴用工判決や慰安婦問題を機にした日韓対立は、通商分野に続いて安全保障上の協力にも波及した。 日韓関係が泥沼化しているのは、双方ともに国内の支持率を意識して対外強硬姿勢を続ける政権の思惑が色濃く、現実的な解決策を探ることができなくなっていることがある。 安倍晋三政権の対韓輸出規制も、政治の思惑を色濃く反映している』、金子氏の鋭い安倍政権批判を具体的にみてみよう。
・『変質した通商政策 経済的利益失う恐れ  戦後の自民党政権は、積極的か消極的かにかかわらず、長く憲法9条による平和主義と自由貿易主義を前提とした通商政策をとってきた。少なくとも政治と経済は分離する姿勢を保っていた。 だが、「対韓輸出規制」を境に通商政策は変質したといわざるをえない。 安倍政権は公然と経済的利益を無視しても、歴史修正主義という政治的イデオロギーとナショナリズムを最優先している。これまでの日本の通商政策とは異質のものだ。 一見すると、中国への制裁関税や中国通信大手ファーウェイ排除といったトランプ政権の通商政策をまねているかのように見える。だが、深いところで大きく違っている。 トランプ政権の対中政策は、「安全保障」上の理由を掲げ、実際、中国との覇権争いの性格を帯びてはいるが、中国に市場開放を求めて対中輸出の増加を目指す一方で、輸入製品の流入に歯止めをかけるなど「自国第一主義」の経済利益の追求に重きを置いている。 これに対して、安倍政権の対韓輸出規制は、徴用工判決や慰安婦問題の“報復手段”として、半導体素材の韓国への供給をおさえることで、文在寅政権をけん制する意図が見え隠れする。 すでに日韓の間で半導体分野では、サムスンなどの韓国メーカーに日本企業が素材や部品、製造装置を供給する水平分業や連携が進んでいる。だが政治の思惑や利害が優先されることで、経済的利益を一挙に失う恐れがある』、かつての日本の通商政策は、中国との国交回復以前から「政経分離政策」を一貫して採ってきた。「「対韓輸出規制」を境に通商政策は変質したといわざるをえない。 安倍政権は公然と経済的利益を無視しても、歴史修正主義という政治的イデオロギーとナショナリズムを最優先している」、その通りだ。
・『与党や外交ルートで議論なく官邸主導の「政治判断」  しかもこの間、危うい通商政策に対して与党内はおろか、外務省でさえまともな議論が行われた跡はない。「官邸主導」という名の首相の政治判断だけで物事が進んでいる状況だ。 日韓の対立の直接のきっかけは、2018年10月に、韓国の最高裁にあたる大法院が新日本製鉄(現日本製鉄)に対して、第2次世界大戦中の徴用工の補償について損害賠償を命じたことだった。 日本政府は、1965年、当時の朴政権と結んだ日韓基本協定に基づいて韓国政府が請求権放棄をいったん認めた以上、問題は「解決済み」としてきた。朴政権以降も、個人の請求権問題は国内措置として韓国政府が対処するという合意があったとする。 これに対して、韓国大法院は個人の請求権は消滅していないという判断を下し、文政権はこの問題には介入しない姿勢だ。企業に対する民事補償の請求については裁判所が判断すべきで、政府が介入すべきではないという立場である。 文政権の姿勢にはそれなりに根拠がないわけではない。 例えば、中国人強制連行・強制労働問題では、72年の日中共同声明による中国政府の戦争賠償の放棄後も、中国人元労働者が謝罪や賠償を求めて提訴した。 そして最終的には、2000年に花岡訴訟で鹿島建設が和解に応じたのをはじめ、その後、西松建設(09年)、三菱マテリアル(16年)が和解し、個人賠償は支払われた。 その際、日本政府は、民間同士のことだからとして、一切口を挟まなかった。 同様に、アメリカの裁判所でナチスの元強制労働者に対する賠償決定の判決が出たケースでは、フォルクスワーゲンやダイムラー、シーメンス、イーゲーファルベンら独大手12社が、「記憶・責任および未来」基金(00年7月)を設立して個人補償を支払った。 いずれも法廷内外で当事者が時間をかけて粘り強い折衝をすすめ、最終的には双方が現実的な判断をするという「知恵」を働かせ、問題を解決してきたのである。 だが徴用工判決問題で安倍政権は、外交ルートなどを通じて文政権と時間をかけてでも問題解決のために話し合うという姿勢はみせないまま。とったのは、フッ化水素、EUV用レジスト、フッ化ポリイミドの3品目を対象とする輸出規制という強硬策だった』、「与党や外交ルートで議論なく官邸主導の「政治判断」」というのは政治主導のマイナス面が出たようだ。「中国人元労働者が謝罪や賠償を求めて提訴」した件では、「鹿島建設・・・西松建設、三菱マテリアルが和解し、個人賠償は支払われた。 その際、日本政府は、民間同士のことだからとして、一切口を挟まなかった」、というのは、徴用工問題で日本政府が取っている立場とは真逆だ。「アメリカの裁判所でナチスの元強制労働者に対する賠償決定の判決が出たケースでは、フォルクスワーゲンやダイムラー・・・ら独大手12社が、「記憶・責任および未来」基金(00年7月)を設立して個人補償を支払った」、「だが徴用工判決問題で安倍政権は、外交ルートなどを通じて文政権と時間をかけてでも問題解決のために話し合うという姿勢はみせないまま」、というのは鋭い指摘だ。
・『一貫しない政府説明 曖昧な「安保上の管理」  参議院選挙前の時期を狙って、右翼的なポピュリズムをあおり、支持を得るために強硬姿勢をとることが得策との判断をしたのだと考えられるが、対韓輸出規制は、明らかに「二枚舌」であり説得力に欠けている。 世耕経産相は規制実施の方針を表明した当初から、「友好協力関係に反する韓国側の否定的な動きが相次いで、残念ながらG20(大阪サミット)までに満足する解決策が全く示されなかった」として、徴用工判決に対する不満を隠さなかった。 その後、安倍首相も「(韓国側が)日韓請求権協定に違反する行為を一方的に行っている」と繰り返し批判した。 しかし、徴用工判決問題を対韓輸出規制に絡めると、WTOルール違反の疑いが強いことに気付いたようだ。その後は、大量破壊兵器等の拡散防止、軍事転用防止とする「安全保障上の輸出管理策の一環」という説明に変えている。 だが、韓国政府の徴用工判決に関する姿勢を批判する中で、打ち出した対韓輸出規制を、「安全保障上の輸出管理」策とするのは明らかに無理がある。 さらに問題なのは、軍事転用や北朝鮮などへの横流しといった3品目に関する輸出規制の根拠が示せていないことだ。 小野寺五典・元防衛相は出演したTV番組で、フッ化水素はVX・サリン・ウラン濃縮過程に使われる素材だと述べたが、こうした化学兵器の製造には市販品で十分だ。 入手が難しい半導体製造に使う超高純度のものを使う必要はないし、韓国の業者がわざわざ北朝鮮に密輸するというのも不自然で根拠が見当たらない。) EUVレジストは、北朝鮮のレーダーに転用される恐れがあると説明されたが、実際にはオランダのASML社が製造した高性能露光機が、半導体の回路を焼き付ける際に使われる素材だ。 台湾のTSMCとサムソンがEUV露光技術の開発競争をしているが、露光機は1台ずつ納入先が追跡できるようになっている。実際、北朝鮮へ出荷すれば、すぐにわかってしまう代物だ。 こうした3品目の「横流し」への疑問が指摘される中で、結局、小野寺元防衛相が輸出規制の「根拠」として持ち出したのは、半導体素材3品目とは別の156件の「不適切な事案があった」ということだった。 しかしそれらの事案は、韓国の産業通商資源省がこの4年間に摘発した156件の事例の話だ。 このほかに、日本側が安全保障貿易管理の「違反の実例」として開示したものは、この4年で11社計約20件ある。 それらの中には、韓国経由で中国に送られたり、中国や香港経由で北朝鮮に輸出されようとしたものもあるが、それらは対韓輸出規制の対象になった3品目とは違うものだ。 こうして日本は対韓輸出規制の具体的な事例や根拠を示せないまま、韓国を「ホワイト国」から除外するという措置に行き着いたのである。 結局、「安全保障上の管理」とは表向きだけで、個別企業の輸出認可を「外交」交渉の手段として利用しているのが実態だと考えざるを得ない』、「対韓輸出規制は、明らかに「二枚舌」」、「徴用工判決問題を対韓輸出規制に絡めると、WTOルール違反の疑いが強いことに気付いたようだ」、「対韓輸出規制の具体的な事例や根拠を示せないまま」、など官邸の対応は拙速でお粗末過ぎる。
・『背景に産業政策の失敗 半導体やディスプレイで韓国に敗退  一連の対韓輸出規制を進めた経産省は、本来なら自由貿易を守り、企業や産業の利益を考えるべき立場だ。なぜ本末転倒の政策にのめりこんでいるのか。 それは、安倍側近の世耕経産相の下にあるからだけではないようにも思われる。背景には、産業政策の失敗を覆い隠す思惑が色濃くにじんでいる。 産業政策の失敗は目を覆いたくなるばかりだが、その象徴が「日の丸半導体」として世界を席巻した半導体産業だった。 日米半導体協定以降、“価格カルテル”(ダンピング禁止と外国製輸入割当)のもとで、日本企業が高収益を謳歌したが、積極的な技術開発や生産投資を進めたサムスンに代表される韓国や台湾メーカーにシェアを奪われた。液晶や有機ELなどのディスプレイも、同じようにサムスン、LGなどにやられた。 その後も、経産省は産業革新機構を通じて半導体のルネサス エレクトロニクスやディスプレイのジャパンディスプレイ(JDI)の事業再生を試みてきたが、うまくいかないまま2社は債務超過や赤字に陥っている。今や日本国内に国際競争力のある先端電子デバイスメーカーがなくなってきた。 次世代産業の育成もうまくいっていない。原発輸出の「原発ルネサンス路線」は東芝を経営危機に陥らせることになり、いまや日立製作所や三菱重工の経営の足を引っ張る。世界は、再生可能エネルギーへの転換を成長の起爆剤にと取り組んでいるなかで日本は大幅遅れだ。 情報通信産業やバイオ医薬産業でも遅れはひどいうえ、ニューライフサイエンスでの「加計問題」やスーパーコンピューターのペジー・コンピューティングの補助金詐欺など、不透明な支援の問題が後を絶たない。 こうした失敗をごまかし、産業競争力で負けてきた“うっぷん晴らし”をするかのように、官邸主導のあまりにレベルの低い外交に同調しているように見える』、「背景に産業政策の失敗 半導体やディスプレイで韓国に敗退」との指摘は、鋭く本質を突いているようだ。
・『日本企業の水平分業に支障 技術開発立ち遅れる恐れ  だが通商政策の変質は、より大きな禍根を残すことになるだろう。 確かに対韓輸出規制によって韓国の半導体企業は一時的には苦境に立たされるが、いずれ代替メーカーを見つけるか、取引先を多様化するに違いない。そして電子素材などの自主開発を加速させるだろう。 日本が将来、輸出規制を取り下げても、韓国企業がいったん覚えた不信感は消えることはない。97年のアジア経済危機の際に、露光機を独占的に供給していたニコンがサムソンらに現金払いを要求した。 それを機にサムソンはオランダのASML社の露光機に替えて、ニコンは切られていった。 今回の規制は、世界の成長の中心はアジアに移っているなか、韓国企業との連携や水平分業で生き残りを目指そうとしている日本の化学産業などの足を引っ張ることにもなりかねない。 対韓輸出規制3品目の1つであるフッ化ポリイミドは有機EL(液晶ガラスの代わりになる樹脂製フィルム)の素材で、日本の住友化学などがサムソン・ディスプレイやLGディスプレイに供給している。 JSRや富士フイルムや三菱マテリアルなども、台湾や韓国のメーカーから信頼を得て、高純度のフッ化水素やレジストなどを開発してきた。 日進月歩の技術進歩のもとで日本企業の素材開発は、韓国や中国メーカーの製造現場の経験やノウハウを踏まえた要求、情報をもとに進められてきた面がある。 だが韓国企業が日本の素材メーカーに情報を出さなくなったとたん、日本のメーカーの開発力も弱くなる』、「ニコンがサムソンらに現金払いを要求・・・それを機にサムソンはオランダのASML社の露光機に替えて、ニコンは切られていった」、というのは初めて知った。「韓国企業が日本の素材メーカーに情報を出さなくなったとたん、日本のメーカーの開発力も弱くなる」、というのも予想外のマイナス効果だ。
・『そして開発競争力の低下は、やがて貿易黒字の減少につながる。このまま日本の産業衰退が進めば、輸出できるものが徐々になくなっていく。 実際に、2018年の日本の貿易収支を見ると、1.2兆円の貿易赤字を記録し、2019年上半期(1~6月期)にも8888億円の貿易赤字に陥っている。7月の速報でも2495億円の貿易赤字となった。全体の輸出額は前年同月比で1.6%減少し、中国は9.3%、韓国は6.9%も減った。 韓国は、日本の貿易相手として中国・アメリカに次いで3位であり、日本は年2~3兆円に及ぶ対韓貿易黒字を得ている。米中貿易戦争の影響だけでなく、自ら仕掛けた“対韓経済戦争” が極めて愚かしい結果を導かない保証はない。 経産省は何があっても日本企業の利益を守らなければならなかったのに、それを突然、「歴史問題」の政争に巻き込み、逆に日本企業の利益を損なう危険性を引き起こした。このままでは日本の産業は滅びていくしかない』、非常に説得力に溢れた分析で、大いに参考になった。

次に、コラムニストの小田嶋 隆氏が9月13日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「「旗」をめぐる最終的な悪夢」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00036/?P=1
・『いささか古い話、というよりも、この話題は、いまのところまだ決着していない、交渉過程の途上にあると思っているからこそ、あえて俎上に載せる気持ちになったわけなのだが、その「話題」というのは、「旭日旗」と五輪の観客席をめぐるお話だ。 発端は、韓国国会の文化体育観光委員会が、8月29日、国際オリンピック委員会(IOC)や東京五輪・パラリンピック組織委員会などに五輪会場内への旭日旗の持ち込み禁止を求める決議を採択したことだった。決議では旭日旗をあしらった道具の持ち込みや応援は「帝国主義に侵略された国家の苦痛の記憶を刺激する」と指摘し、五輪の理念に合わないと訴えた。 この記事中にある、韓国側からの旭日旗持ち込み禁止の申し入れと決議に対して、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は3日、「旭日旗は日本国内で広く使用されており、旗の掲示そのものが政治的宣伝とはならないと考えており、持ち込み禁止品とすることは想定していない」との方針を明らかにしている。 この産経新聞の記事が配信されると、ツイッター上の一部クラスタでは、ちょっとした騒動が起こった。 もっとも、ここでいう「ちょっとした騒動」というのは、本当のところ、たいした騒ぎではない。 この2ケ月ほど際立って神経質な展開で推移している日韓関係に、神経を高ぶらせている人々の間で、炎上が起こったというだけのことではある。 おそらく、大多数の日本人は、たいして気にもとめていない。それは韓国側でも同じことだ。 とはいえ、この旭日旗の問題は、この先に勃発するかもしれないより大きな問題の火種になる可能性を秘めている。 そんなわけなので、当欄としては、この問題をこれ以上こじれた話にしないためにも、現段階で論点を整理しておきたいと決意した次第だ。 9月8日の午後9時すぎに、私は以下のようなツイートを発信した。《旭日旗が論外な理由。過去:大日本帝国の軍旗として、侵略と暴虐の記憶を刻んでいるから。現在:排外主義者による街宣活動の象徴として在日コリアンを威圧するいやがらせのツールになっているから。未来:五輪での旭日旗の林立を夢見ているのが、いずれも歴史修正主義の旧軍賛美者ばかりだから。》 このツイートは、当稿執筆の時点で、2624件のRTと5239件の「いいね」を獲得しており、このほか、賛否あわせて109件の返信が寄せられている。いま、「賛否合わせて」と書いたが、正直なところを明かせば、「否」の方がずっと多い。ざっと見たところでは、賛否の比率は1対4くらいではなかろうかと思う。 もっとも、昨今のツイッター上のコミュニケーションでは、話題が何であれ、賛意を示す意味のリプライは、そもそもあまり投稿されないことになっている。このソーシャルメディアに集まる人々は、何かに反発を覚えたり、誰かの言いっぷりに腹を立てたりした時に限って返事を書く仕様になっている。だから、私は賛否の比率はあまり気にしていない。「いいね」の数も、本気で受け止めてはいない。いずれにせよ、ツイッターは議論の場ではない。どちらかといえば、中学生の雪合戦に近い。手にとった雪玉を手近な誰かに投げつけるという動作そのものが目的になっている。雪玉の性質や重さや投げ方の作法は、この際問題にならない。ただただ生身の人間に向かって質量のある物質を投げつけることの爽快感が、このゲームに参加する人間たちが共有している唯一のプロトコルということになる。 さて、私が当該ツイートの中で申し述べた見解は、自分では、現段階の当面のまとめとして、おおむね当を得たものだと思っている。 ただ、補足せねばならない部分もあるといえばある。 私が、今回、当欄で原稿を書き起こす気持ちになったのは、その「補足」のためだと申し上げてもよ い。 それほどに、この問題は、「補足」しなければならないノイズを多量に含んでいる』、「旭日旗が論外な理由」との小田嶋氏のツイートはその通りだ。
・『ツイート内で指摘した「旭日旗をスタジアムに持ち込むことの是非」の部分とは別に、今回のやりとりの中で重要なのは、「そもそもこの問題の発端はどこにあったのか」というお話だったりする。 これは、なかなか厄介な話で、「発端」に当たる事実は、細かい事実を拾っていけば、どこまでもさかのぼることができる。 であるから、「そもそも」という接頭辞の後に、より古い発掘話を提示してみせることで、少なくとも、その場の論争における形式上の勝利はゲットできてしまう。 と、この論争には結末がないことになる。つまり、「論争が続いている」(←言い換えれば「いまだに決着していない」)状態を引き延ばすことで利益を得る側が、論争を断念しない限り、この種の論争は永遠に続くわけだ。なんと不毛な活動だろうか。 思えば、「関東大震災における朝鮮人虐殺の有無」などは、この手法(つまり、出典の怪しい「そもそも」の資料を次々と持ち出すことによって「論争」を引き延ばす手法)によって、朝鮮人虐殺という「史実」を、「論争継続中の事案」すなわち「両論併記で処理すべき虚実不明の事件」に持っていくことに半ば成功してる。かように、不毛な論争に付き合うことは、それだけで極論家に有利なポジションを与えることになる。このことに注意せねばならない。 さて、ごく短いタイムスパンでの話をすれば、五輪組織委が、「旭日旗の競技会場への持ち込みを禁止しない」という昨今の国際常識から考えて異例な決断を公表するに至った理由は、そもそも五輪組織委に「旭日旗の競技場への持ち込み禁止」の申し入れを持ち出してきたのが、韓国国会の文化体育観光委員会だったからだと思われる。しかも韓国側は、同時にIOCにも同じ働きかけをしている。 この数ヶ月間の日韓関係を鑑みるに、日本側が、韓国側から一方的に求められた要求に対して、素直に従うことは考えにくい。仮に韓国側からの申し入れが、真っ当なものであったのだとしても、こちら側としては、「現今の日韓関係において、相手側の言い分をあっさり承諾することは、外交上の失点になる」という感じの判断が先行してしまうからだ。 実際のところ、五輪組織委のメンバーの中にも、今回の韓国側の申し入れが、穏当で常識的な要求であることを承知している人間はたくさんいるはずだ。なにしろ、スタジアムでの政治宣伝は、昨今、国際的なスポーツ団体が等しく悩まされている問題だ。民族融和と国際交流の場であり、世界平和を推進するための重要な機会として語られることの多い競技スポーツの観客席は、その一方、世界各地で、政治宣伝や民族差別感情を煽るための拠点として活発に利用されている。宗教対立や階級間の反発をスタジアムに持ち込む人々が、それぞれに自分たちの立場をシンボライズした旗やプラカードを持ち込む例も後をたたない。 であるから、近年、FIFAをはじめとする競技団体は、その種の政治宣伝に用いられる旗やシンボルを厳しく規制する方向で足並みを揃えている。 わかりやすい一例として、2017年4月25日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ、水原三星(スウォン・サムスン、韓国)対川崎フロンターレの一戦で、川崎フロンターレのサポーターが応援の旭日旗を出した行為に対して、AFCが科した処分の内容とその背景について解説した記事にリンクを張っておく。 本来、旭日旗のスタジアム持ち込みについての様々な議論は、この時点で決着がついている。 細かい点でいまなおくすぶっている論点がいくつかあるといえばあるものの、大筋の結論は、この騒動の際に「カタがついて」いる。 してみると、その、すっかりカタがついていたはずの話をいまさらのように蒸し返して持ち出してきた韓国側の今回のやり方は、あれは「いやがらせ」ではないのかと言えば、そういう見方も成り立つ。むしろ、彼らがこの話を持ち出してきたタイミングからして、「いやがらせ」の成分を含んでいなかったということは考えにくいと言ってもよい。 とはいえ、日韓両国の関係が正常であれば、日本の五輪組織委とて、この程度の神経戦は、軽くスルーして、「おっしゃる通りですね。わかりました。旭日旗の持ち込みは禁止します」と、すんなり韓国側の申し入れを容認していたはずだ。 ところが、現在の日韓関係は、明らかにどうかしている。 てなことになると、五輪組織委としても、「ここですんなり韓国側の言いなりになったら、どれほど非難されるかわかったものじゃない」「匿名電話だの脅迫メールだのは、なんとか処理できるかもしれないけど、昨今の状況だと、官邸やら国交省やら外務省が圧力をかけてくるかもしれない」「というよりも、JOC(日本オリンピック委員会)の上の方の人たちが黙っていてくれないんじゃないかなあ」てな調子の「空気を読んだ」「忖度至上主義的な」判断に傾かざるを得ない。 現実問題として、仮に旭日旗のヤバさを認識していたのだとしても、政権の意向を無視して自分たちだけが「いい子」になることはできない。よって、「断固として」「毅然として」韓国側からの「いやがらせの」申し入れを拒絶して、旭日旗の正当性を容認するという方向で対応することになる。もちろん、これは、むしろ韓国側の思うつぼなのだが、それもこれも、当面の「空気」にはかなわない』、「水原三星対川崎フロンターレの一戦で、川崎フロンターレのサポーターが応援の旭日旗を出した行為」については、サポーターの馬鹿な行為に腹が立ったのをよく覚えている。今回、JOCが「「空気を読んだ」「忖度至上主義的な」判断」をしたのは、明らかに間違いで、国内からどんなに非難を浴びようとも、持ち込みを禁止すべきだったと思う。
・『ただ、組織委ならびに政府の中の人たちも、いくらなんでもこのまま旭日旗OKの方針を貫いて、五輪本番を迎えるつもりではないはずだ。彼らとしては、妥当なタイミングを見計らって、IOCなりほかの欧米諸国の誰かなりの「勧告」なり「助言」なりを受容する形で、旭日旗の持ち込みを「自粛」する(←周辺諸国の国民感情に「配慮」するとかなんとか言いながら、半ば恩に着せつつ)形で軟着陸するシナリオを想定しているはずだ。 つまり、「韓国からのイチャモンは断固として拒絶するが、IOCだとか欧米諸国だとかが示してくる遺憾の意とか憂慮の念には敏感に反応する用意があるよ」ということだ。 私自身も、ことここに至った以上、そのシナリオ(IOCに叱られて静かに尻尾を巻くソリューション)が一番望ましい展開だと思っている。 ただ、このシナリオにはちょっとした穴がある。というのも、IOCがそれはそれで腐った(デカい魚はアタマから腐る。そして、アタマの腐った魚は正常な判断ができない)組織だからだ。 IOCはこの問題を放置するかもしれない。というよりも、彼らが、現場の問題に適正に関与できるだけの能力と責任感を持っていると考える方がむしろどうかしている。彼らは、私の目には、うちの国の五輪組織委以上に無能で無責任で、ただただカネだけを欲しがっているだけの団体に見える。ちなみに、この見方は広く世界中で共有されている。IOCは単に無能なのではない。あれは腐った組織だ。 IOCがこの問題を放置する理由の第一は、単に面倒くさいからだ。当然だ。彼らは、利権につながらない仕事には興味を持たない。旭日旗のような、面倒くさいだけで誰ももうからない話にはハナもひっかけないだろう。 もう一つIOCがこの問題に興味を持たない理由は、日韓両国間の炎上案件に手を突っ込んで火傷をするリスクを取りに行くだけの根性を持っていないからだ。これも大いに考えられる。カネには転んでも状況は読めない。あそこはそういう組織だ。 ということになると、最悪なシナリオが浮上する。つまり、このまま「旭日旗OK」の判断を押し通して、引っ込みがつかないまま五輪本番を迎えてしまうということだ。と、サッカーであれバレーボールであれ、日韓戦の枠組みで処理される競技のスタジアムには、大量の愛国業者の皆さんが群れ集まってこれまた大量の旭日旗を持ち込むことになる。でもって、競技が始まると、観客席には旭日旗が林立乱舞し、その穏やかならぬ絵面(えづら)が、国際映像として世界中に配信される。 これこそが、最終的な悪夢だと思う。 最後に、これも炎上の種にしかならないとは思うのだが、メモ書きとして作ってしまったものなので、乗りかかったタイタニックというのか、歩き始めたインパール作戦の心持ちで書き起こしておくことにする。担当の編集者さんには気の毒な展開だが、私には、現在かかえている病気の症状を除けば、特段に恐れるべきものがない。 冒頭の部分でリンクを張った私のツイートに対して寄せられた返信をざっと読み返してみるに、このたびの五輪組織委による旭日旗容認の判断を擁護している人々の主張は、いくつかに分類できる。 本来なら、この種のクソリプまがいにいちいち反論するのは、ネット上の論争にかかわる人間として、適切な態度ではない。というのも、ここで議論が始まってしまうと、この話題が「議論の余地のある」「論争的な」「対立する二つの陣営の双方がそれなりの論拠を持っているはずの」「どっちもどっちの」「普通の人間は踏み込まない方がよい物騒な」話題であることを認めてしまうことにつながるからだ。実態は違う。本件は論争的な話題ではない』、「競技が始まると、観客席には旭日旗が林立乱舞し、その穏やかならぬ絵面(えづら)が、国際映像として世界中に配信される」、というのは本当に悪夢以外の何物でもない。JOCも他力本願ではなく、自ら持ち込み禁止に切り替えてほしいものだ。
・『旭日旗問題は、「ほとんどまったく議論の余地のない」「責任あるメディアが両論併記でお茶を濁してよいはずのない」「ほぼ100%、旭日旗持ち込み禁止を支持する側だけに正当性が宿っている」「ゼロ対100ないしは1対100の、論争に値しない」 論題だ。 私があえて、こういう場所で愛国業者の皆さんのクソリプに付き合ってさしあげているのは、彼らの偏狭かつ異様な見解に、ほんの少しでも影響を受けてしまう人々の心に、真っ当な反論を届けておくことも、ある種の文化的雪かきとして必要な作業なんではなかろうかと考えたからだ。 賢明な言論人の多くは「旭日旗容認派の主張に反論することは、無駄な炎上に通じることで、かえって彼らのアクロバティックな主張に支持者を増やすことになる。というのも、そもそも彼らの主張は、一部の営業右派メディアが商売として展開しているメディアの中で喧伝されているだけの、一般人の耳には到底届かない極論だからだ。マトモな言論人が彼らの相手をすることは、かえって、一般人の耳目を彼らの主張に集中させる機会をつくることになる。これは望ましくない」 という感じの主張を展開している。もっともだと思う。 ただ、時々はクソリプに一矢報いておかないと、気がついた時には、この国全体がクソリプをそのまま世論として共有するどうしようもない社会になってしまっているかもしれない。なので、以下、箇条書きで、クソリプへの返事を並べておく。 あらかじめ申し上げておくが、クソリプへの反論の反論に返事をするつもりはない。 最後通告として受け止めてほしい。 冒頭に引用した私のツイートへの反論は、おおよそ以下に示す5つの論点に分類することができる。 1.旭日旗に反対しているのは韓国だけで、その理由も多分にわが国へのいやがらせのカードにすぎない。 2.そもそも韓国側がスタジアムへの旭日旗の持ち込みを問題視し始めたのは、2011年1月25日、AFCアジアカップ2011準決勝「日本対韓国戦」において、キ・ソンヨン選手が前半にPKで得点した後、ゴールパフォーマンスで「猿」の物真似を行ったことが発端で、キ・ソンヨン選手が、その際に、メディアからの攻撃に対して、「スタジアムに掲げられていた旭日旗についカッとしてしまった」という趣旨の弁解をしたことに始まる。 3.朝日新聞の社旗だって旭日旗だぞ。 4.旭日旗は、公式に認められた日本の防衛組織である自衛隊の公式の旗であり、どこに出しても恥ずかしくないもので、実際自衛隊が国際的な交流の場所に参加する際には堂々と掲揚されている。 5.かつて軍による侵略の象徴として用いられた旭日旗がダメだというのなら、同じ理由でユニオンジャックや星条旗もNGだろうし、フランスの三色旗も論外だろう。また、「旧軍による侵略の象徴だったから持ち込めない」という文脈からすれば、日章旗だって同罪ということになるのでは?) 以上の5つの返信への私の当面の返信は以下の通りだ。マジメに読んでほしい。 1.韓国が自国民の旭日旗への反発感情や被害者意識を「外交カード」として利用しているのはその通りだと思う。ただ、旭日旗に反発しているのが「韓国だけ」だというのは、歴史を知らない人間の見方だ。正確には、「旭日旗への反発を表立った外交の場で外交カードとして持ち出している国が、いまのところ韓国以外に見当たらない」ということにすぎない。反発感情は、アジア、オセアニアはもとより、日本軍の捕虜となった軍人を数多くかかえるオランダや英国の国民の中にも底流している。 2.キ・ソンヨンの「猿真似パフォーマンス」に関しては、彼の行為の非をまず認定すべきだろう。ただ、それはそれとして、キ・ソンヨン選手が持ち出した「弁解」を発端として、韓国国内での旭日旗への反発が正当化されたと断言するのは、極論の類だと思う。旭日旗への反発感情は、韓国国内でずっと底流していたものだ。それを表立った抗議行動に「表面化」させる結果をもたらしたのが、キ・ソンヨン選手の「弁解」だったと見るのが穏当なところだ。 それまで、表立って語られることのなかった旭日旗への反発がいきなり浮上したように見えるのも、少なくともその時点までは、日韓戦のスタジアムで旭日旗を振るようなファンが登場していなかったから(もっとも、この時に本当に旭日旗が掲げられていたのかどうかについては、いまだに確たる結論が出ていないのだが)ということにすぎない。いずれにせよ、背景には2002年の日韓共催W杯におけるゴタゴタから、両国のサッカーファンの間に過剰な反発感情が醸成されていたことがある。旭日旗の持ち込みも、それに対する反発も、これらの背景を踏まえたものだ。 3.五輪の観客席で朝日新聞の社旗を振るような「まぎらわしい」ないしは「挑発的な」行為は、自粛した方がよい。実際、朝日の社旗を振る必然性はまったくないわけだし。 4.海上自衛隊の艦船が、彼らの公式の旗として旭日旗を掲げるのは当然の所作だ。国際舞台であっても、各国の軍隊の集まりという枠組みの中で、それぞれの国の軍隊が自国の礼法に則った旗を揚げている限りにおいて、何の問題もない。ただ、その海上自衛隊の旗を、わざわざ五輪のスタジアムに持ち込むことについては、なんらの理由も必然性も正当性もない。悪質な政治宣伝であり卑劣な挑発行為だ。 5.「そっちこそどうなんだ主義(Whataboutism)」に基づいた議論には乗らない。あまりにもばかげている。  長い原稿になってしまった。 最後にこんなことを書くのはなさけなくもくだらないのだが、一言だけ言っておく。 寄せられるコメントの中に「オダジマは原稿料欲しさに、やたらと長い原稿を書いている。見苦しい」という感じの批判が時々みかけられる。が、当欄の規定では、私の受け取るギャランティーは、原稿の文字量とは関係していない。2000文字程度であっさり仕上げようが、20000文字の長大なテキストをアップしようが、私が受け取る金額は同じだ。そこのところをわかってほしい。 なお、当欄に寄せられたコメントには返信はしない。その答えは、友達よ、風に吹かれている』、「私のツイートへの反論」もよく整理されており、その通りだと思う。いずれにしろ、JOCの再考を願って止まない。
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日韓関係(その6)(姜尚中「日韓の『求愛ゲーム』のバカバカしさに気づくべき」、「大韓民国は生まれてはいけない国だった」文在寅大統領の“頭の中身”、日韓関係「今は日本の大勝利」でも「長期的には、かなりマズい」ワケ 北朝鮮と「国交正常化」後に待つのは…) [外交]

日韓関係については、8月28日に取上げた。今日は、(その6)(姜尚中「日韓の『求愛ゲーム』のバカバカしさに気づくべき」、「大韓民国は生まれてはいけない国だった」文在寅大統領の“頭の中身”、日韓関係「今は日本の大勝利」でも「長期的には、かなりマズい」ワケ 北朝鮮と「国交正常化」後に待つのは…)である。

先ずは、東大名誉教授の姜尚中が8月28日付けAERA.Dotに掲載した「「日韓の『求愛ゲーム』のバカバカしさに気づくべき」」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/aera/2019082700039.html?page=1
・『政治学者の姜尚中さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、政治学的視点からアプローチします』、姜氏の見解とは興味深そうだ。
・『日韓関係は底が抜けたように悪化の一途を辿りつつあります。韓国大統領府は8月22日、関係閣僚らが出席する国家安全保障会議(NSC)を開いて日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長の可否を議論し、協定を延長せず終了させることを決めました。これまで私はGSOMIAの破棄には反対の意を示してきたつもりですし、今も変わりはありません。 日韓が鍔迫(つばぜ)り合いを演じる間隙を縫うように、北朝鮮は立て続けに新型の短距離ミサイル開発に邁進し、貴重な実戦配備のためのデータを獲得しています。北朝鮮によるこの無謀な挑発をトランプ大統領は事実上、黙認しています。 金正恩(キムジョンウン)委員長と「ブロマンス」(「ブラザー」と「ロマンス」の掛け合わせ)の関係にあるらしいトランプ大統領が、米国本土を脅威に晒す大陸間弾道ミサイル(ICBM)以外のミサイルはどうでもいいと高を括っていて、これまで開発された核兵器のフリーズだけを条件に北朝鮮との交渉を進めようとしているのだとしたら、北朝鮮の核とミサイルという「ダモクレスの剣」のもとに常在、危機にさらされる日韓はたまったものではありません』、「ダモクレスの剣」とは、常に身に迫る一触即発の危険な状態をいう(コトバンク)。韓国はそれを危機と捉えてないような気もするが・・・。
・『しかも、トランプ大統領は、在日、在韓ともに駐留米軍経費の大幅な積み上げを要求し、経済的なコストの面から在日、在韓米軍の見直し検討を公言しています。そんなトランプ大統領に日韓が個別的な愛顧関係のさや当てを演じて、一体何の意味があるのでしょう。もはや同盟国に対する米国の寛容な外交・安保政策を期待することはできなくなっています。「ギブ・アンド・テイク」のビジネスライクな同盟関係へと移行せざるをえなくなっているのですから、米国をめぐる日韓の「求愛ゲーム」のバカバカしさに気づくべきでしょう。 たとえ日韓の間に親密な友好関係を築くことが難しいとしても、ビジネスライクな関係を結ぶことは可能ですし、その立場から安全保障上の脅威の削減に向けて協力し合うことはできるはずです。狭量なナショナリズムによる「パトリオット・ゲーム」にうつつを抜かしている余裕などないのです』、「米国をめぐる日韓の「求愛ゲーム」」とは言い得て妙だ。日韓とも冷静になってほしいものだ。

次に、8月30日付け文春オンライン「「大韓民国は生まれてはいけない国だった」文在寅大統領の“頭の中身”」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/13658
・『この夏、韓国の「反日」が止まらない。 これまでの徴用工、慰安婦などの歴史問題を飛び越えて、日本製品の不買運動など経済分野、さらには、GSOMIA破棄という安全保障分野にまで対日強硬策が拡大している。連日のように“暴挙”ともいうべき政策を繰り出す文在寅大統領、そして彼を支持する韓国社会は、いったい何を思っているのか――。 そんな「反日」に埋め尽くされた韓国で一人気を吐くのが、落星台経済研究所の李宇衍(イ・ウヨン)研究委員だ』、韓国“良識派”の見解とは興味深そうだ。
・『韓国“良識派”がクリアに分析  李氏は歴史学者で、いわゆる「徴用工」ら戦時中の朝鮮半島出身の労働者の労働状況などを研究。今年7月にはジュネーブの国連欧州本部で開かれたシンポジウムで、「賃金に民族差別はなかった」と発表したことでも話題となった。 この夏には共著で、韓国社会の反日主義を強く批判した『反日種族主義』(共著)を刊行し、韓国国内で異例のベストセラーとなっている。 韓国の“良識派”は、韓国という国をどのように見つめているのだろうか――。「週刊文春デジタル」では、李氏に単独インタビューを行った。 李氏はインタビューの中で、現在の文在寅政権について、「過去もっとも反日的な政権である上に、自分の政治的利益のために反日的な情緒や認識を利用しようとしている」と指摘。文大統領や周辺の歴史観を次のように説明した』、説明を見てみよう。
・『日本人が疑問に抱かずにはいられない「52の質問」  「もっとも重要な特徴が『大韓民国は生まれてはいけない国だった』と考えていることです。つまり、本来は社会主義の人と手を握って、『統一祖国』を建国しなければいけなかったのに、親日派と手を握ってしまったがために、南と北に国が分かれてしまったという考えです。ですから、その分断の責任がある『親日派』は清算しなくてはいけないという訳です」 そのほか、文在寅大統領の“頭の中身”、北朝鮮にミサイルを撃たれ続ける韓国人の気持ち、朝日新聞などメディアの影響、ベストセラーで訴えた「反日種族主義」とは何か……など、日本人が疑問に抱かずにはいられない「52の質問」について、わかりやすく答えてくれた。約1万4000字にわたる全回答は「週刊文春デジタル」で公開している。 以下に、主な回答を紹介したい』、「『大韓民国は生まれてはいけない国だった』と考えている」、言われてみれば、なるほどと納得した。
・『こじれた理由は、過去もっとも反日的な政権だから(【Q】は質問、【A】は回答)  【Q】日韓関係が緊迫しています。2018年10月に大法院(韓国の最高裁判所)が元徴用工に対しての賠償を命じる判決を下したことなどが契機となり、日本は韓国を「ホワイト国」リストから除外するなど輸出管理規制の強化を打ち出し、それに対抗して韓国が軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄する事態にまで発展しました。これまでも日韓関係が悪化することがありましたが、今回はなぜここまでこじれたのでしょうか。 【A】今回の事態は、これまでと違うと思います。文在寅政権が過去もっとも反日的な政権である上に、自分の政治的利益のために反日的な情緒や認識を利用しようとしている政権です。一方の日本では、安倍政権が「韓国の勝手な言動はこれ以上許さない」という強い立場をとっている。この両極端に位置する政権同士が向かい合っているので、ここまでこじれたのだと思います』、「両極端に位置する政権同士が向かい合っているので、ここまでこじれた」、というのはその通りだろう。
・『「統一祖国」建国のために「親日派」は清算する  【Q】文大統領は、なぜ日本に対して厳しい態度を取り続けるのか。どういう人物だと考えていますか。 【A】彼はまさに「左派の歴史観」を持った人物だと考えています。左派の歴史観において、もっとも重要な特徴が「大韓民国は生まれてはいけない国だった」と考えていることです。 つまり、本来は社会主義の人と手を握って、「統一祖国」を建国しなければいけなかったのに、親日派と手を握ってしまったがために、南と北に国が分かれてしまったという考えです。ですから、その分断の責任がある「親日派」は清算しなくてはいけないという訳です』、従来は「左派」といっても、そこまで極端ではなかったような気もするので、「極左」といえるのかも知れない。
・『文大統領は“永遠の学生運動家”  【Q】文大統領の周辺には「革命家」「左派」が多いというのは本当ですか。 【A】本当です。文政権には、「転向していない革命家」や「左派」が、たくさんいることは常識だと思います。 私は、86学番(1986年に大学入学。反米・親北の学生運動が激しかった世代)の学生ですが、同世代でも国会議員や、青瓦台(韓国大統領府)に近い仕事をしている人がたくさんいます。中でも、文政権の周辺にいるのは、「(学生時代に北朝鮮の主体思想などを信奉して、資本主義に)まだ転向していない学生運動家」ですね』、「“永遠の学生運動家”」とは上手い表現だ。
・『日本は「絶対悪」、韓国は「絶対善」  【Q】李先生らが書いた『反日種族主義』が韓国でベストセラーになっています。現在の韓国社会を支配している「反日」主義を、李先生は「反日種族主義」と定義していますが、どういったものですか。 【A】私は、以前まで韓国社会を覆う「反日」主義を「反日民族主義」と呼んでいました。しかし、今では近代的な性格を持つ「民族主義」ではなく、前近代的な「種族主義」だと位置づけました。 前近代的というのには、3つの理由があります。 1つ目は「観念的な性格」です。いまの韓国社会は、客観的な現実に基づかず、思い込みのレベルで「日本は絶対悪」という一つの総体を作っています。つまり、日本政府や個人、または日本社会が倫理的もしくは政治的に悪い点があるという具体的な話ではなく、観念的に「ただ一つの絶対悪」として日本が存在している。一方で韓国は「絶対善」です。絶対善の韓国は、絶対悪の日本に何をしても良くて、いつまでもその問題を提起して良いと思っているのです。 2つ目の理由は「非科学的な性格」。いまの韓国社会が客観的な事実でないことを主張し、受け入れていることです。例えば、韓国の慰安婦問題の支援者らが言うような、20万人の少女を連行して慰安婦としたというような一連の主張です。合理的、理性的な思考ができず、極めて感情的になっています。 3つ目は「歪んで偏った現実認識」です。韓国社会は、日本については“下”と考える一方、中国や米国に対しては迎合する。その極めて事大主義的な態度によって、国としてバランス感覚を喪失している点です。 これら前近代的な考え方のもとに、実体のない「悪魔としての日本」がイメージとして膨れ上がっている。そのイメージが、反日政策を進める原動力になっています』、「観念的に「ただ一つの絶対悪」として日本が存在している。一方で韓国は「絶対善」です。絶対善の韓国は、絶対悪の日本に何をしても良くて、いつまでもその問題を提起して良いと思っている」、最近の韓国の姿勢から見て、その通りなのだろう。
・『「同じ民族はミサイルを撃ってこないという根拠のない自信を持っています」  【Q】北朝鮮にミサイルを撃たれ続けている韓国人の気持ちはどういうものですか。 【A】「反日種族主義」の中にある韓国社会は、同じ民族である北朝鮮は我々をミサイルや核で攻撃しないだろうという、根拠のない自信を持っています。ですから、近年、北朝鮮がどんなにミサイルを撃っていても、国民の関心は反日活動に向けられます。ですから、北朝鮮がミサイルを東海(日本海)に10発撃つよりも、芸能人がアサヒビールを買って飲んでいる姿が新聞に出る方が、より大きな社会的反発を起こすでしょう』、「根拠のない自信」を一般の国民までが持っているとは信じ難い。
・『約束を破っても「罪悪感は持ちません」  【Q】韓国国民には、1965年の請求権協定という「約束」を守らないことに対する罪悪感や、「何かおかしい」という疑問の気持ちは出てこないのでしょうか。 【A】そんな疑問や罪悪感は持ちません。なぜならば繰り返しになりますが、「反日種族主義」の中では、日本に対しては何をしてもいいのです。「日本には、じゃんけんも勝たなければならない」とまで言います(笑)。日本との条約という約束を覆すことに罪悪感は当然なく、疑問を持つこともないのです』、こんなことでは、話し合いなど無駄なようだ。
・『朝日新聞は韓国に「多分に温情主義的」  【Q】慰安婦、徴用工などの歴史認識問題は、これまでの日本のマスメディアの報じ方に問題があるという指摘もあります。 【A】いわゆる“良識的”知識人らの問題と全く同じだと思います。朝日新聞をはじめ日本のメディアは、韓国に多分に温情主義的です。「そんなこと必要ない」と申し上げたいです・・・』、「日本のメディアは、韓国に多分に温情主義的です。「そんなこと必要ない」と申し上げたいです」、これには違和感がある。全てのメディアが韓国に厳しいい報道をすれば、日本国民の反韓国感情を煽ることになり、長期的な両国関係にはマイナスになるだけだと思う。

第三に、元外務省職員で作家の佐藤 優氏がラジオ番組で対談した内容を9月8日付け現代ビジネスが転載した「日韓関係「今は日本の大勝利」でも「長期的には、かなりマズい」ワケ 北朝鮮と「国交正常化」後に待つのは…」」を紹介しよう。※本記事は『佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」』に収録している文化放送「くにまるジャパン極」の放送内容(2019年8月30日)の一部抜粋です。野村邦丸氏は番組パーソナリティです』、佐藤氏の鋭い切り口が楽しみだ。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67024
・『文在寅政権の間は、難しい  邦丸:日米韓で軍事の機密情報を共有しましょう、というGSOMIAの枠組みから、韓国は「一抜けた」ということになって、日本はもちろん、アメリカ政府高官が「非常に失望した」とか「無責任だ」とずいぶん非難している。それに今度は韓国側が非難の応酬をしている。 佐藤:韓国は自分から、どんどん袋小路に入っているわけですよね。ただ、ここで重要なのは、ちょっと想定外のことが韓国国内で出てきた。文在寅(ムンジェイン)大統領の側近の不正入試疑惑です。 邦丸:はいはい。 佐藤:日本においても不正入試は深刻ですが、韓国は桁違い。不正入試と兵役拒否は、韓国世論を刺激するんです。極端な形だと、これからデモとか起きてきて、対処方針をうまくとらないと文在寅政権が倒れるかもしれない。 邦丸:ふむ。 佐藤:内政的にそれぐらいの緊張をはらんでいます。ということは、文在寅政権はGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の問題で少しナショナリズムを煽って政権基盤を固めようとしていたわけですが、効果がなくなっているんですよ。すると、もう譲歩できない。 大統領がこういう状態だと外務大臣以下、外交当局はなんの妥協もできないので、機械的に自分たちのスタンスを繰り返すだけ……と、こういうふうになっていますよね。 ですから「文在寅政権の間は、日韓関係の改善はない」と日本は腹を括って、とにかく軍事的な衝突だけは起きないようにする。経済的にも関係がそうとう悪くなってきています。特に観光客は極端に減っていますよね。日本の地方経済をかなり疲弊させることになるけれども、韓国との付き合いにはそういうリスクがあるんだ、と思って付き合うしかないですね』、「日本においても不正入試は深刻ですが、韓国は桁違い。不正入試と兵役拒否は、韓国世論を刺激するんです」、これからの捜査の進展が楽しみだ。
・『邦丸:そこでもう一つ、佐藤さんが指摘されているのが、韓国がこのGSOMIAを破棄することを決めたのが8月22日。日本政府に韓国政府が通告したのが翌23日。そしてさらに翌24日の朝、北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射しました。まあ、北朝鮮はよく実験というか、テストをやっているし、アメリカとしても「ああ、あれは大陸間弾道ミサイルじゃないから大丈夫だよ」というふうにトランプさんが言っている。 佐藤:ただ、これは単なる弾道ミサイルじゃなくて誘導装置が付いているので、弾道計算ができない、けっこう面倒くさいやつかもしれません。 ミサイル発射のスケジュール自体は、北朝鮮は前々から決めていて、22日に韓国が決定したから24日にあわてて、ということじゃないと思います。 ただし、あのときに韓国の軍が発射を発表するよりも、日本が発表するほうが確か26分早かった。韓国は今まで、中長距離ミサイルに関しては日本のイージス艦の能力が高いから頼るけども、短距離ミサイルなら韓国が絶対に強い。最近は北朝鮮も短距離しか撃たないから、GSOMIAを破棄したら日本が困るんだ……と、こういうふうに思っていたわけですね。でも、その思惑が外れた。 邦丸:ふむ。 佐藤:26分の時間差というのは、たとえば学力でいうと、小学校高学年と大学生の差ですよ。日本と韓国のミサイルを察知する能力というのは、これは大人と子どもの差だということがはっきりしちゃったんです。 邦丸:どっちが大人なんですか。 佐藤:もちろん、日本です。 邦丸:日本のほうがミサイルを探知する技術においては大学生並み、韓国はまだ小学生並み。 佐藤:そう。それぐらいです』、「日本と韓国のミサイルを察知する能力というのは、これは大人と子どもの差」、事実であれば頼もしい話だ。
・『韓国に国力で追いつかれると…  邦丸:ただ、こういうことをなるべく内緒にしておこうね、というのが今までだったんじゃないですか。 佐藤:もう信頼関係が崩れちゃっているから、この条約自体がもう機能していなかったんです。となると、どっちが先に撃つか──こういうゲームになっていたんですね。 日本はそこのところで韓国に撃たせる方向で、アメリカに向けてアピールしたわけですよ。韓国や日本の国内向けではなくて。アメリカもそれに乘ってきて、「韓国けしからん」となった。だから今回は日本外交の勝利というか、大勝利で、短期的にはうまくいき過ぎているぐらいなんですね。 ただ中長期的には、やはりまずいんですよ。 というのは、1965年の日韓基本条約の締結時点で、韓国の1人当たりGDPは100ドル強ぐらいだったんです。日本はその7倍。2018年時点で韓国が3万1000ドル、日本が3万9000ドル。近づいてきている。 つまり韓国の要求は──徴用工問題も、韓国に国力がついてきたから、今の国力に合わせた形でもう一回仕切り直しをしろ、ということなんですね。しかも、日本はそれに応じざるを得なくなるんです。 邦丸:なぜ? 佐藤:日朝国交正常化がいずれ起きる。これはトランプさんが北朝鮮との関係を調整するでしょ。米朝が国交正常化したら、日朝も国交正常化する。そうなると、日韓基本条約の改定問題が出てくるんです。 邦丸:順番からすると、来年のトランプさん再選というのが条件になると思うんですけど、トランプ政権が続いた場合、大統領選挙が終わった後ぐらいに米朝交渉が進んで、そこで国交樹立ということになる。 佐藤:朝鮮戦争が終わる。 邦丸:休戦状態から終戦になる。 佐藤:はい。それで、38度線の脅威がなくなる。アメリカと北朝鮮が外交関係を持つ。そうした条件が整うと、日本も北朝鮮と外交関係を持つということになってくるわけですよね。 邦丸:東京に北朝鮮の大使館ができる可能性もある。 佐藤:たぶん、朝鮮総連の本部が看板を掛け換えて「朝鮮民主主義人民共和国大使館」になると思います。 邦丸:はあ~』、「1人当たりGDP」が「2018年時点で韓国が3万1000ドル、日本が3万9000ドル」、ここまで近づいているとは改めて驚かされた。「米朝が国交正常化したら、日朝も国交正常化する。そうなると、日韓基本条約の改定問題が出てくるんです」、「文在寅政権」との交渉は出来れば避けたいものだ。
・『北朝鮮からの「莫大な賠償請求」  佐藤:そうなった場合、日韓基本条約の改定問題が出てくるんです。どうしてかというと、日韓基本条約で「大韓民国は朝鮮半島における唯一の合法政府である」という規定があるんです。もし、北朝鮮と日本が外交関係を樹立したら、韓国だけが唯一の合法政府とは言えないですよね。 邦丸:二つになるわけですね。 佐藤:そうです。だから、条約の根幹部分が変わっちゃう。改定しなきゃならないんですよ。 邦丸:あともう一つ言われるのが、もし日朝が国交樹立したときには当然、北朝鮮側としては第二次大戦のころの韓国が要求したのと同じような賠償請求をしてくる。 佐藤:第二次世界大戦だけじゃなくて、日韓併合以降の全体の賠償請求を当然してきます。ただ、賠償という形ではなく「経済協力」と言ってくるでしょうね。 邦丸:莫大なカネが北朝鮮にいく……。 佐藤:兆単位になる可能性もあります。でも、それはほとんど「タイド」になると思う。ひも付き、です。 邦丸:ひも付き。 佐藤:アンタイドで一般競争入札をするんじゃなくて、プロジェクトを決めて日本の企業をつけていく、こういう感じになるんじゃないかと思う。そうするとある意味、これは国内の産業振興政策とあまり変わらないですよね。 邦丸:なるほどね。 佐藤:だから、大きなおカネをつくっても、日本企業は儲かるし、日本から技術指導ができますから雇用の創出にもなる。今、そういった大義名分をかざす形で公共事業におカネを出せないですからね。対北朝鮮公共事業という大きい公共事業ができると思うんです。 邦丸:なるほど』、「日韓基本条約で「大韓民国は朝鮮半島における唯一の合法政府である」という規定があるんです」、というのでは、北朝鮮と日本が外交関係を樹立するには、改定の必要があるというのは初めて知った。北朝鮮側の賠償請求が、「兆単位」で「ひも付き」になるとすれば、新に大きな利権が発生することになりそうだ。、
・『日韓関係は「仕切り直し」になる  佐藤:しかし、そうすると韓国としては「オレたち、ちょっと安い値段で日本と話つけちゃったんじゃないの?」と、こういう感じになる。そうすると、全体を包括したところで、もう本当に最終的に不可逆的な合意を、新日韓基本条約に書き込んじゃえばいいわけですよね。そこで日韓関係を全部仕切り直すことになる。 邦丸:一回リセットしましょうと。 佐藤:しかし、そのときのリセットにおいて、日本はかなり譲歩することになりますよ。理由は簡単。外交の世界というのは、力と力の均衡なんです。 かつて1人当たりのGDPで韓国が日本の7分の1だったときは、人口を考えると十数倍離れているわけです。それが今は2・5倍くらいまで追いついてきている(注:GDP総額で)。そういう状況で、やはり昔のままにはできないですよね。だから日本は、中長期的には韓国に対して譲歩しなければならない、こういう状況に置かれちゃっているんですよ。 邦丸:ということは徴用工問題も、それから慰安婦問題にしても、もう一度歴史的な見直しを一緒にやらないか、ということになっていくんですか。 佐藤:そういう方向に追い込まれる可能性は十分あります。国際的な圧力もかかってきますから。特に、米朝関係が改善することによって、中国が韓国の後ろ盾になって中国・北朝鮮・韓国の三ヵ国連合になってきますからね。 邦丸:でも、そこはアメリカとしてもなんとかクサビを打ちたいところですよね。 佐藤:クサビを打ちたいと思っても、中国の国力が大きくなっているでしょ。アメリカは、貿易とかアメリカ自身のやっている問題で中国と対峙するのが精いっぱい。日韓の歴史認識問題なんて関与する余裕がないし、しかも第二次世界大戦の歴史認識ということになると、アメリカと中国と韓国と北朝鮮は同じ陣営ですから、日本にとってぜんぜん調子よくない。 邦丸:うーむ』、「新日韓基本条約」では、「中国が韓国の後ろ盾になって中国・北朝鮮・韓国の三ヵ国連合になってきます」、日本にとってはかつてないほどの窮地に追い込まれそうだ。
・『エリート教育が日本の急務  佐藤:だから今、日本は短期では大勝利なんですね。でも中長期的には、かなりの試練が待っていて、われわれは譲歩を迫られる。こういう二重の構造ですね。これは新聞を読んでいてもなかなか見えないですが、重要なところです。 邦丸:見誤らないように。 佐藤:そういうことです。それからあともう一つ重要なのは、韓国がこれだけ国力をつけてきたでしょ。韓国にはさまざまな問題があるんですが、それはやはり「教育」ですよ。 金惠京(キムヘギョン)さんの話を聞いても、彼女の『涙と花札』を読んでもわかるように、日本の子どもたちも一生懸命勉強しますけども、韓国の子どもたちはその比じゃないですよね。企業に入ってから、官庁に入ってからの競争も比べ物にならない。 経済もそうですよね。財閥を伸ばす。それでパイを広げていく。格差が広がっても構わないんだ、というやり方だと伸びるんですよ。このままだと、一人当たりのGDPで韓国に日本は抜かれる可能性すらある。向こうは人口が半分ですからね。 そういうことを考えると、韓国との関係でも中国との関係でも、これからわれわれが軽く見られないようにするためには、教育の強化なんですよ。基礎体力を強化して、今の若い人たちに頑張ってもらって、20年後ぐらいに再び中国や韓国を引き離すことができる基礎体力をどれだけ作れるか。だから私は、中長期的な戦略がすごく重要になってくると思います。 邦丸:昨日(政治アナリストの)伊藤惇夫さんも、これからの日本の将来を見据えたときに、いわゆるエリート層を養成するような学校とか組織とか体制が必要になってくるんじゃないか、と言っていました。 佐藤:金持ちを引きずりおろしても、みんなが金持ちになるわけではない。でも、エリート層が北方領土に行って酔っ払って暴れているようじゃ困るわけです。 成績がいいだけのエリートではなくて、ノブレスオブリージュ、すなわちノーブルな者、高貴な者、社会的な責任をまっとうするエリートを育てる。自分がおカネを稼いだら、そのおカネは社会に還元する。自分の能力をきちんと社会と国家のために還元する、そういう人をつくるエリート教育です。 日本は、学力のエリート教育は十分できています。むしろ問題は、ものの見方や考え方、価値観のエリート教育がないところですよね』、将来の打開策に「エリート教育」を上げるのは余りに安易で、違和感がある。今回の問題にも間に合わない。この部分は無視して、それまでの危機的状況だけを参考にしたい。 
タグ:姜尚中 日韓関係 佐藤 優 現代ビジネス 文春オンライン AERA.dot (その6)(姜尚中「日韓の『求愛ゲーム』のバカバカしさに気づくべき」、「大韓民国は生まれてはいけない国だった」文在寅大統領の“頭の中身”、日韓関係「今は日本の大勝利」でも「長期的には、かなりマズい」ワケ 北朝鮮と「国交正常化」後に待つのは…) 「「日韓の『求愛ゲーム』のバカバカしさに気づくべき」」 「ギブ・アンド・テイク」のビジネスライクな同盟関係へと移行せざるをえなくなっているのですから、米国をめぐる日韓の「求愛ゲーム」のバカバカしさに気づくべきでしょう 「「大韓民国は生まれてはいけない国だった」文在寅大統領の“頭の中身”」 この夏、韓国の「反日」が止まらない 落星台経済研究所の李宇衍(イ・ウヨン)研究委員 韓国“良識派”がクリアに分析 現在の文在寅政権について、「過去もっとも反日的な政権である上に、自分の政治的利益のために反日的な情緒や認識を利用しようとしている」 日本人が疑問に抱かずにはいられない「52の質問」 もっとも重要な特徴が『大韓民国は生まれてはいけない国だった』と考えていることです。つまり、本来は社会主義の人と手を握って、『統一祖国』を建国しなければいけなかったのに、親日派と手を握ってしまったがために、南と北に国が分かれてしまったという考えです こじれた理由は、過去もっとも反日的な政権だから 「左派の歴史観」 本来は社会主義の人と手を握って、「統一祖国」を建国しなければいけなかったのに、親日派と手を握ってしまったがために、南と北に国が分かれてしまったという考えです 文大統領は“永遠の学生運動家” 日本は「絶対悪」、韓国は「絶対善」 いまの韓国社会が客観的な事実でないことを主張し、受け入れている 「歪んで偏った現実認識」 同じ民族はミサイルを撃ってこないという根拠のない自信を持っています 約束を破っても「罪悪感は持ちません」 「日韓関係「今は日本の大勝利」でも「長期的には、かなりマズい」ワケ 北朝鮮と「国交正常化」後に待つのは…」」 「くにまるジャパン極」の放送内容 文在寅政権の間は、難しい 日本においても不正入試は深刻ですが、韓国は桁違い。不正入試と兵役拒否は、韓国世論を刺激するんです 「文在寅政権の間は、日韓関係の改善はない」と日本は腹を括って、とにかく軍事的な衝突だけは起きないようにする 日本と韓国のミサイルを察知する能力というのは、これは大人と子どもの差だということがはっきりしちゃった 韓国に国力で追いつかれると… 1人当たりGDP 1965年の日韓基本条約の締結時点で、韓国の1人当たりGDPは100ドル強ぐらいだったんです。日本はその7倍。2018年時点で韓国が3万1000ドル、日本が3万9000ドル。近づいてきている 韓国の要求は──徴用工問題も、韓国に国力がついてきたから、今の国力に合わせた形でもう一回仕切り直しをしろ トランプ政権が続いた場合、大統領選挙が終わった後ぐらいに米朝交渉が進んで、そこで国交樹立ということになる 北朝鮮からの「莫大な賠償請求」 日韓基本条約で「大韓民国は朝鮮半島における唯一の合法政府である」という規定があるんです。もし、北朝鮮と日本が外交関係を樹立したら、韓国だけが唯一の合法政府とは言えないですよね 賠償という形ではなく「経済協力」と言ってくる 兆単位になる可能性も それはほとんど「タイド」になる 対北朝鮮公共事業という大きい公共事業ができると思うんです 日韓関係は「仕切り直し」になる 中国が韓国の後ろ盾になって中国・北朝鮮・韓国の三ヵ国連合になってきます 第二次世界大戦の歴史認識ということになると、アメリカと中国と韓国と北朝鮮は同じ陣営ですから、日本にとってぜんぜん調子よくない
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安倍外交(その6)(安倍首相の外交無力を隠すフェイクニュースに騙されるな、「機能しなかった安倍外交」示すホルムズ湾タンカー攻撃、中東でまったく通用しなかった日本の「架け橋外交」 「新参者」安倍首相のイラン訪問に米国で厳しい評価、日本完敗で達成された 安倍晋三の「戦後外交の総決算」) [外交]

安倍外交については、2月24日に取上げた。今日は、(その6)(安倍首相の外交無力を隠すフェイクニュースに騙されるな、「機能しなかった安倍外交」示すホルムズ湾タンカー攻撃、中東でまったく通用しなかった日本の「架け橋外交」 「新参者」安倍首相のイラン訪問に米国で厳しい評価、日本完敗で達成された 安倍晋三の「戦後外交の総決算」)である。

先ずは、慶応義塾大学経済学部教授の金子勝氏が5月29日付け日刊ゲンダイに掲載した「安倍首相の外交無力を隠すフェイクニュースに騙されるな」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/254848
・『北朝鮮問題を巡り、“蚊帳の外”の安倍首相が焦って日朝首脳会談の「無条件実施」を表明したが、米朝会談の物別れを受けて安倍が“橋渡し役”を果たすとするNHKの岩田明子解説委員の“フェイク解説”には驚いた。 そもそも、Jアラートを鳴らしまくり、断交を叫んでおいて、前提条件なしで会うと言ったところで会談できるはずがない。しかも、「前提条件なし」は北方領土返還交渉を巡る対ロ外交の失敗で実証済みだ。日本のメディアは2島返還が実現するかのように煽ってきたが、全くのウソだった。 米中貿易バトルと日米通商協議を巡る報道もフェイクだらけ。ファーウェイを干上がらせれば米国の完全勝利で、日本は米国の尻馬に乗っていれば万事うまくいくかのように報じられている。コンピューターの先端分野のクラウド事業ではアマゾン、グーグル、マイクロソフトなどの米事業者が強いが、中国ではアリババが強い』、「NHKの岩田明子解説委員」は安倍首相の「お気に入り」なので、平然と“フェイク解説”が出来るのだろう。
・『次世代通信規格の5Gで最も特許を取得しているのはファーウェイなど中国企業で、スウェーデンのエリクソンとフィンランドのノキアを合わせると全体の半数超え。アジアやアフリカでは次々に通信網が敷かれ、中国の政治的、経済的影響力は圧倒的だ。 こうした状況に慌てたトランプ政権は大統領令まで発してファーウェイ排除に動いているが、国家レベルで同調しているのは日本と豪州くらい。このままでは、世界が米国圏と中国圏に分断されかねない。一方のファーウェイは、傘下のハイシリコンから半導体供給を増やし、自前調達で対抗する戦略だ。 このような状況では、米国追従で漁夫の利が得られることはない。日本経済は半導体や電子部品などの対中輸出で支えられてきたが、米中バトルの影響で大きく減少に転じ、先端技術の開発もできずに青息吐息。他方で、北米への自動車輸出でしのぐが、トランプの格好の標的とされている』、「ファーウェイ排除」では、確かに「米国追従で漁夫の利が得られることはない」、というのはその通りだろう。
・『トランプを「令和初の国賓」として招いたが、参院選前までに日米FTA交渉のひどい内容がばれるのは避けたい。そこでゴルフだ、相撲観戦だと、ご機嫌取りの接待漬けにする。しかし、こんな「おもてなし」が通用するわけもなく、間もなく馬脚を現すだろう。 安倍の外交無力によって、日本は輸出先まで失いつつある。現実をしっかり注視しないと、メディアに騙される』、本当は「外交無力」なのに、「外交の安倍」とゴマを擦る一部マスコミの姿勢も問題だ。

次に、6月14日付け日経ビジネスオンラインが掲載した元駐イラン大使孫崎享氏へのインタビュー「「機能しなかった安倍外交」示すホルムズ湾タンカー攻撃」を紹介しよう(Qは聞き手の質問)。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/061400059/
・『イラン沖のホルムズ海峡で6月13日、日本企業が運航するタンカーが攻撃を受けた。日本企業が絡むこともさることながら、安倍首相がハメネイ師と会談するタイミングをとらえて起きた出来事に衝撃が走った。この事態から浮かび上がるメッセージは何か。駐イラン大使を務めた経験を持つ孫崎享氏に聞いた。 Q:孫崎さんは今回の件をどう見ていますか。 孫崎:安倍晋三首相による仲介外交が機能しなかったことを示していると思います。 今回のタンカーへの攻撃が本当にイランによるものかどうかは分かりません。しかし、同様の事態が頻発している事態を見ると、イランにつながる勢力による可能性が高いと思います。現在のイランは穏健派よりも保守強硬派が力を持っている。強硬派が米国に譲歩しない意思を示すために実行したと見ることができます。 安倍首相がイランを訪問し、ロウハニ大統領や最高指導者のハメネイ師と会談しても、強硬派の動きをとどめることはできなかったわけです。 安倍首相が仲介役を果たすつもりなら、トランプ大統領が訪日し、会談した際に、イラン核合意に復帰するよう説得すべきでした。緊張が高まった発端は、米国が2018年5月に同合意から離脱したことですから。しかし、安倍首相とトランプ大統領がイラン核合意復帰をテーマに話し合ったとの報道はありませんでした。 安倍首相と会談した後、ハメネイ師は想像以上に強硬な発言をしました。「トランプ氏を、メッセージを交換するに値する人物とみなしていない」と語り、米国との対話を拒否しました。この発言からも安倍首相のイラン訪問が成果を上げなかったことが分かるでしょう』、イラン側は安倍・トランプ会談に期待していたのに、裏切られたので、「ハメネイ師は想像以上に強硬な発言をしました」となったのかも知れない。
・『Q:今回の攻撃が、イランにつながる勢力だったとして、安倍首相がイランを訪問しているタイミングで、日本企業が運航するタンカーを狙ったことは何を示すでしょう。比較的良好な日本との関係を壊すことになれば、イラン強硬派にとっても好ましい話ではないのでは。 孫崎:私は、日本企業が運航する船であったのは「たまたま」だと見ています。攻撃された船はパナマ籍で、日の丸を掲げていたわけではないでしょう』、イラン側もタンカーが便宜置籍船であることは百も承知で、実質的な所有主の国籍も調べ上げている可能性もあるのではなかろうか。
・『偽装工作の可能性は低い  Q:米国のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)ら対イラン強硬派が、事態をかく乱するため偽装工作を行った、という陰謀論的な見方があります。 孫崎:私はその可能性は低いと思います。ホルムズ海峡を航行する船舶が5月に最初に攻撃されたとき、私も陰謀論が頭に浮かびました。しかし、同様の事態が頻発しているのを考え合わせると、陰謀論は難しいと思います。暴露する可能性が高くなるようなことをするのは考えづらいですから。 Q:米国ではなく、サウジアラビアなどの反イラン勢力が偽装に手を染めるケースは考えられますか。 孫崎:そちらもないでしょう。理由は米国のケースと同様です。 Q:2015年に成立した安保法制が議論されていた際、ホルムズ海峡が封鎖されるケースが議論の俎上に乗りました。今後、そうした事態が起こる可能性はあるでしょうか。 孫崎:イランが1カ月に1回、一時的に封鎖する、といったことはあるかもしれません。しかし、継続的に行うことはないと思います。イランが取る行動は、警告的なものにとどまると考えています』、米国は「ホルムズ海峡を航行する船舶」護衛のため、有志連合の結成を呼び掛けたが、参加を表明したのはオーストラリアや英国程度で、日本は逡巡しているようだ。

第三に、産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授の古森 義久氏が6月19日付けJBPress:に掲載した「中東でまったく通用しなかった日本の「架け橋外交」 「新参者」安倍首相のイラン訪問に米国で厳しい評価」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56758
・『「中東和平への新参者が苦痛の教訓を得た」──米国の大手紙ウォール・ストリート・ジャーナルが安倍晋三首相の6月中旬のイラン訪問をこのように厳しく批判した。 安倍首相はイランを訪問し、米国・イランの紛争の調停を試みた。米国ではトランプ政権からの否定的な反応こそないが、メディアや専門家からは、安倍首相の調停工作が何も事態を改善せず、かえって日本企業が運航するタンカーが攻撃を受けたことへの冷ややかな評価が出ている。日本の戦後外交の特徴だった「架け橋外交」の限界が期せずして露呈したともいえそうである』、「中東和平への新参者が苦痛の教訓を得た」との米紙の批判は言い得て妙だ。
・『安倍首相の訪問中にタンカー攻撃  安倍首相は6月12日から14日までイランを訪問し、ロウハニ大統領や国家最高指導者のハメネイ師と会談した。イランと米国の険しい対立を緩和し、両国の歩み寄りを促す、という趣旨のイラン訪問だった。だが、こうした目的は現状ではなにも果たされなかったようにみえる。 イラン側は米国との話し合いを拒み、むしろトランプ政権への非難を強めた。そしてなによりも、安倍首相の訪問中に日本企業が運航するタンカーが攻撃を受け、炎上した。 米国政府はイギリス政府とともに、攻撃を行ったのはイランの革命防衛隊だとして、その証拠となるビデオ数点を公表した。一方、イラン側は攻撃の責任を全面的に否定する。だがこの種の見解の対立では過去の事例を見る限り米国や英国の政府の主張のほうが正しい場合が多い。 トランプ政権のポンペオ国務長官は、このタンカー攻撃を疑いなくイラン側の犯行だと断定して、「日本の安倍首相が来訪中にあえて日本のタンカーを攻撃することは、安倍首相や日本への侮辱だ」とまで述べた』、「ポンペオ国務長官」もイラン側が「日本のタンカー」と認識して攻撃したとの立場のようだ。
・『「中東和平への新参者」が得た教訓  こうした動きのなか、6月14日にウォール・ストリート・ジャーナルは以下のような趣旨の記事を掲載した。
 ・安倍首相はイランへの旅の後、米国・イラン紛争が旅の前よりもさらに激しくなるという事態に直面した。イランは米国に対する姿勢をさらに硬化させ、しかも安倍首相の訪問期間中に日本籍のタンカーが攻撃され、大打撃をこうむったからだ。
 ・安倍首相はトランプ大統領の同意を得て、日本の歴代政治指導者が避けてきた中東紛争の緊張緩和工作という領域に足を踏み入れた。安倍氏の動きには、外交面での成果をあげて、来るべき国内の議会選挙で有利な結果を生もうという意図も伺えた
 ・ポンペオ国務長官は「イランは安倍首相の外交努力を完全に拒み、さらに日本籍のタンカーを攻撃することで、安倍首相を侮辱した」と今回の安倍首相のイラン訪問を総括した。
 ・安倍首相はあくまで中立の調停者として振舞ったが、イラン側のメディアは、安倍首相とトランプ大統領の親密な関係や日本の米国との軍事同盟について詳しく報道し、安倍首相は結局米国側に立っているのだという構図を強調した。
 安倍首相のイラン訪問は日本の現職首相として41年ぶりだったが、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事は以上のように述べ、イラン訪問が何の成果も生み出さなかった現実を伝えた。記事には「中東和平への新参者が苦痛な教訓を得た」という見出しがつけられていた』、日本のマスコミの安倍首相に「忖度」した報道とは対照的に鋭く、批判的だ。
・『日本の「架け橋外交」の決定的な弱み  ニューヨーク・タイムズも6月12日の記事で安倍首相のイラン訪問を詳しく報じたが、米国・イランの調停の試みへの評価はやはり厳しい。同記事は、日本の政治や外交に詳しい米国人学者、トビアス・ハリス氏の「軍事という要因にまったく無力な日本はこの種の紛争解決には効果を発揮しえない」という見解を紹介していた。 ハリス氏は次のようにも述べる。「日本にとっては、米国とイランの間の緊張を緩和するという控えめな目標さえも、達成は難しいだろう。日本は確かに米国およびイランの両国と良好な関係にあるが、両国の対決を左右できるテコは持っていない。なぜなら日本には軍事パワーがまったくないからだ」。 米国とイランの対立も、中東紛争全体も、情勢を左右するのは軍事力である、という現実の指摘だろう。それは同時に、日本の「架け橋外交」の決定的な弱みを浮かび上がらせたといってもよい』、「両国の対決を左右できるテコ」が「軍事力である」とのトビアス・ハリス氏の見解には同意しかねる。「架け橋外交」を実効性あるものにするには、欧州諸国の同意を取った上で、トランプにイランとの交渉のテーブル戻らせるよう説得するが本道だが、安倍首相には到底無理だろう。

第四に、作家の適菜収氏が9月14日付け日刊ゲンダイに掲載した「日本完敗で達成された 安倍晋三の「戦後外交の総決算」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/261802
・『プーチンに全力恭順  ロシア政府がウラジオストクで開いた「東方経済フォーラム」全体会合で安倍晋三が演説。プーチンに向かって、「ウラジーミル。君と僕は、同じ未来を見ている。行きましょう、プーチン大統領」「ゴールまで、ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか」と発言。ネットでは「気色悪いポエム」「青年の主張」などと揶揄されていたが、恋をしているのかもしれない。これまでもプーチンに会えば、体をくねくねと動かし、瞳を潤ませ、全力で恭順の意を示してきた。 一方、プーチンは安倍を「金づる」「ぱしり」くらいにしか思っていない。安倍がウラジオストクに到着した日には、色丹島に建設された水産加工場の稼働式典にテレビ中継で祝辞を述べ、実効支配をアピール。会合翌日には「(北方領土は)スターリンが全てを手に入れた。議論は終わりだ」と切り捨てた。要するに最初から1島たりとも返す気はない』、「気色悪いポエム」だけでなく、「これまでもプーチンに会えば、体をくねくねと動かし、瞳を潤ませ、全力で恭順の意を示してきた」、というには本当に気色悪い感じだ。
・『安倍は演説でロシアの四行詩を紹介。 「ロシアは、頭ではわからない。並の尺度では測れない。何しろいろいろ、特別ゆえ。ただ信じる。それがロシアとの付き合い方だ」 安倍がやっていることはこれだ。ホストに大金を貢ぐおばさんと同じ。プーチンが安倍と27回も会ったのはなぜか。「同じ未来を見ている」からではない。ボンクラが日本の総理をやっているうちに、むしり取れるものはむしり取るためだ。狡猾なプーチンが千載一遇のチャンスを見逃すわけがない。 2018年9月12日、プーチンは、平和条約締結後に2島の引き渡しを明記した日ソ共同宣言に言及した上で、「前提条件をつけずに年内に平和条約を締結し、すべての問題の議論を続けよう」と発言。これは日本とロシアが積み重ねてきた交渉のすべてを反故にするものだが、安倍は拒絶するどころか謎の満面の笑み。この態度が問題になると、「プーチンに対し直接反論した」と嘘までついている。ある意味で安倍の言う「戦後外交の総決算」は達成された。日本の完敗という形で。実際、政府は「北方四島は日本に帰属する」という記述を外交青書から削除している。この期に及んで安倍政権を支持する日本人がいるのだから、戦後の平和ボケもここに極まったと言うべきだろう』、「ボンクラが日本の総理をやっているうちに、むしり取れるものはむしり取るためだ。狡猾なプーチンが千載一遇のチャンスを見逃すわけがない」、ヤレヤレという他ない。「ある意味で安倍の言う「戦後外交の総決算」は達成された。日本の完敗という形で」、最大限の皮肉だ。「この期に及んで安倍政権を支持する日本人がいるのだから、戦後の平和ボケもここに極まったと言うべきだろう」、これには日本のマスコミの姿勢も大いに影響している筈だ。「忖度」は止めて、正々堂々と真実を報道してもらいたい。
タグ:金子勝 日刊ゲンダイ ウォール・ストリート・ジャーナル 日経ビジネスオンライン JBPRESS ホルムズ海峡 孫崎享 適菜収 安倍外交 古森 義久 「東方経済フォーラム」 (その6)(安倍首相の外交無力を隠すフェイクニュースに騙されるな、「機能しなかった安倍外交」示すホルムズ湾タンカー攻撃、中東でまったく通用しなかった日本の「架け橋外交」 「新参者」安倍首相のイラン訪問に米国で厳しい評価、日本完敗で達成された 安倍晋三の「戦後外交の総決算」) 「安倍首相の外交無力を隠すフェイクニュースに騙されるな」 米朝会談の物別れを受けて安倍が“橋渡し役”を果たすとするNHKの岩田明子解説委員の“フェイク解説” Jアラートを鳴らしまくり、断交を叫んでおいて、前提条件なしで会うと言ったところで会談できるはずがない 米中貿易バトルと日米通商協議を巡る報道もフェイクだらけ 次世代通信規格の5Gで最も特許を取得しているのはファーウェイなど中国企業で、スウェーデンのエリクソンとフィンランドのノキアを合わせると全体の半数超え トランプ政権は大統領令まで発してファーウェイ排除に動いているが、国家レベルで同調しているのは日本と豪州くらい 米国追従で漁夫の利が得られることはない。日本経済は半導体や電子部品などの対中輸出で支えられてきたが、米中バトルの影響で大きく減少に転じ、先端技術の開発もできずに青息吐息 安倍の外交無力によって、日本は輸出先まで失いつつある。現実をしっかり注視しないと、メディアに騙される 「「機能しなかった安倍外交」示すホルムズ湾タンカー攻撃」 日本企業が運航するタンカーが攻撃を受けた 安倍首相がハメネイ師と会談するタイミングをとらえて起きた出来事に衝撃 安倍晋三首相による仲介外交が機能しなかったことを示している 強硬派が米国に譲歩しない意思を示すために実行したと見ることができます 仲介役を果たすつもりなら、トランプ大統領が訪日し、会談した際に、イラン核合意に復帰するよう説得すべき 偽装工作の可能性は低い 「中東でまったく通用しなかった日本の「架け橋外交」 「新参者」安倍首相のイラン訪問に米国で厳しい評価」 中東和平への新参者が苦痛の教訓を得た ポンペオ国務長官 「日本の安倍首相が来訪中にあえて日本のタンカーを攻撃することは、安倍首相や日本への侮辱だ」 日本の「架け橋外交」の決定的な弱み 両国の対決を左右できるテコは持っていない。なぜなら日本には軍事パワーがまったくないからだ 「日本完敗で達成された 安倍晋三の「戦後外交の総決算」」 「ウラジーミル。君と僕は、同じ未来を見ている。行きましょう、プーチン大統領」 気色悪いポエム これまでもプーチンに会えば、体をくねくねと動かし、瞳を潤ませ、全力で恭順の意を示してきた プーチンは安倍を「金づる」「ぱしり」くらいにしか思っていない 安倍は演説でロシアの四行詩を紹介 安倍がやっていることはこれだ。ホストに大金を貢ぐおばさんと同じ ボンクラが日本の総理をやっているうちに、むしり取れるものはむしり取るためだ。狡猾なプーチンが千載一遇のチャンスを見逃すわけがない
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エプスタイン事件(その2)(少女との乱交 不審な自殺とMITメディアラボ エプスタイン・マネーと伊藤穣一氏突然の辞任の背景、なぜ米国はMITメディアラボ・伊藤穣一氏だけ責めるのか) [世界情勢]

昨日に続いて、エプスタイン事件(その2)(少女との乱交 不審な自殺とMITメディアラボ エプスタイン・マネーと伊藤穣一氏突然の辞任の背景、なぜ米国はMITメディアラボ・伊藤穣一氏だけ責めるのか)を取上げよう。

先ずは、作曲家=指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督で東大准教授の伊東 乾氏が9月11日付けJBPressに寄稿した「少女との乱交、不審な自殺とMITメディアラボ エプスタイン・マネーと伊藤穣一氏突然の辞任の背景」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57592
・『9月7日、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディア・ラボ所長を務めていた一人の日本人が、その職を辞しました。 同時にニューヨーク・タイムズ取締役などの職も退いたことが国際的に伝えられています。 彼の名は伊藤穣一。知る人は知る、影響力の大きな人物が失脚した形になっています。なぜ彼はMITを去らねばならなかったのか? すでに伝えられているように、伊藤氏は未成年者への性的搾取を目的とした人身取引の罪で有罪とされていた富豪、ジェフリー・エプスタイン(1953年1月20日~2019年8月10日)から長年にわたって多額の資金援助を受け続け、かつそれを隠蔽し続けていたことが発覚しました。 メディア・ラボ内部からも矢のような批判を受け、ついに辞任となったものでした。 この事件については、いまだ日本国内では広く報道されていませんが、大学や研究機関の本質を考えるうえでも重要な点がいくつも含まれており、丁寧に検討してみたいと思います』、慎重な姿勢はいかにも筆者らしい。
・『異例ずくめだった伊藤穣一メディア・ラボ所長人事  MITメディア・ラボは1985年に設立され、ネット時代の「情報」と「アート」を牽引する組織として内外に知られる存在となりました。(MITメディアラボ所長就任時のインタビュー記事:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/13174) 私自身が所属する東京大学大学院情報学環が1999年に設立される折にも、メディア・ラボが一つの手本とされましたし、現在副所長を務める石井裕さんなど、日本人のリサーチャーも長年コミットメントがあります。 今回辞任することになった伊藤穣一氏は1966年京都で生まれたのち、幼児期をカナダや米国で過ごし、インターネットやパソコン通信の一般化以前からマシンを自作するなど独学で草分け世代のネットワーク・エンジニアとなった人物です。 高校時代は日本で過ごしたのち再び渡米、タフツ大学やシカゴ大学で学びますがいずれも中退、起業家として頭角を現し、ベンチャー投資家/エンジェル投資家として、またネットワーク時代の知識人として、全世界にその名を知られるようになりました』、筆者が所属する「大学院情報学環」が「メディア・ラボが一つの手本」とされたというのは初めて知った。米国で2つの大学を「いずれも中退」とは、馬鹿らしい勉強よりも「起業」を目指すという日本人には珍しい存在だったようだ。
・『私は一度だけ、2005年頃と思いますが、黒川清さんの主催する昼食で伊藤穣一氏と同席したことがあります。流暢な日本語と英語を駆使してアグレッシブにビジネスを進める人だな、という印象を持ちました。 2011年の秋、当時の日本国内は東日本大震災と福島第一原子力発電所事故直後で、いまだ騒然とした世情だったのを記憶していますが、MITメディア・ラボの所長に就任したというニュースが報じられ、全世界にちょっとした衝撃が走りました。 彼は普通の意味で大学を卒業していません。いくつかのコースを修了していますが、バチェラーつまり学士を持っていない。 もちろん修士もなければ博士でもない。マサチューセッツ工科大学の普通の教授に迎えられることが、そもそも考えにくい。 ところがいきなり「所長」として無学位の日本人が迎え入れられるという報道でしたから、全世界は驚いたわけです。でも、私は「なるほどな」と思いました。 学位がある、ない、以前に、伊藤氏は「メディア・ラボ」のいかなる専門でも仕事をしていません。 しかし「クリエイティブ・コモンズ」などコピーライトに関わる問題にはコミットしており、かつ巨大な資産家で投資家としても知られていました。 私が第一に理解したことは、経営の立て直しだろう、ということです。 2008年秋に発生したリーマンショックでMITが莫大な含み損を生み出したことは伝えられていましたが、メディア・ラボ単体で何が起きていたかは知りませんでした。 ここで学位取得はもとより研究とも教育とも縁遠く、ファイナンスで活躍してきた彼をトップに迎え入れるというのは「経営トップ」として以外には考えられません』、「無学位」で「「メディア・ラボ」のいかなる専門でも仕事をしてい」ない伊藤氏が所長になれたのは、「経営の立て直しだろう」との推測は、ありそうな話だ。
・『メディア・ラボもいろいろ資金繰りに苦労しているのであろうことが、全くの貧乏所帯ですが私も大学研究室を主宰する一人ではありますので、はっきりと察せられました。 そして実際、比較的早い時期から、伊藤メディア・ラボ所長はエプスタイン・マネーと関わりがあったこと、かつそれを意図的に隠蔽し、大学当局にも嘘をついていたことが、今回、「The New Yorker」に暴露されたことで、あらゆる職を辞することになった。 後者は報じられていますが、前者すなわち彼のMIT着任の経緯は今回の報道で触れられているのをまだ見ていません。 ここには「大学経営」を巡る難しい問題が存在しますが、それに踏み込む以前に「エプスタイン事件」に簡単に触れておきましょう』、「エプスタイン事件」については、昨日のブログで冷泉氏が詳しく伝えているが、伊東氏はどのように見ているのだろう。
・『ビデオ監視の「乱交島」と不可解な自殺  ジェフリー・エプスタインは1953年にニューヨークで生まれ、ニューヨーク大学卒業、大学院に進学しますが学位を取ることなく31歳でアカデミーを去り、高校で数学・物理の教師として生計を立てるようになります。 この30代前半の時期、彼は生徒の父兄としてベア・スターンズ証券の中興の祖アラン・グリンバーグと知り合い、グリンバーグは彼の才能を認めて1976年、ベア・スターンズに職位を与えました。 ここでエプスタインは、ほとんど最低の職位からスタートしながら、富裕な顧客に取り入り、複雑な問題を解決する手腕を発揮し、わずか4年でパートナーに就任するという大出世を遂げます。 言うまでもありませんが、ベア・スターンズはのちに2008年、サブプライム破綻で主役を演じ、ニューヨーク連銀が特例の融資を行ってJPモルガン・チェースに救済買収され、消滅することになります。 エプスタインが異例の出世を果たした陰には1978年にグリンバーグが会長に就任した経緯があったようです。 1981年、エプスタインは独立して自身のコンサルティング・ファームを主催、以降、冷戦末期からネット経済成立の初期にかけて着実に力をつけ、ヘッジファンドのオーナーとして君臨するようになります』、高校教師からの「大出世」は、まさにアメリカン・ドリームの典型だ。
・『プライベートではカリブ海に浮かぶヴァージン諸島「リトル・セント・ジェームズ島」を所有、80エーカー(=10万坪ほど)、つまり東京ドーム8個分ほどの、逃げ場のない孤島で10代の少女たちが乱交パーティーに参加させられたことが、のちのち明らかにされていきます。 この「プライベート・アイランド」には米国内外の政財界要人が飛行機で訪れていることが知られています。 例えばビル・クリントン元大統領や英国のアンドルー王子は複数回この島に降り立ったことが確認され、彼らが未成年者と性行為に及んだ疑惑も指摘されています。 エプスタインは、警察のいない彼の「島」での「セキュリティ」のため、として随所にビデオカメラを仕込み、そこで有力者に性的な接待を行うとともに、それらの模様を記録して脅迫などに使用していた容疑がかけられていました。 とはいえ、何もこの島を訪れた人がすべて、未成年者との乱交に及んだわけではありません。エプスタインはもう一つ重要な「政略」を持っていました。アカデミーです。 例えば、亡くなった宇宙物理学者スティーヴン・ホーキングは、エプスタインがこの島で主催した素粒子物理・宇宙論の国際会議のために、複数のノーベル物理学賞受賞者たちとともに来訪しています。 エプスタインは2005年から06年にかけて、フロリダ州パームビーチの私邸内で未成年の少女に300ドルほどの金銭を払い、性的なマッサージをさせていた容疑で禁固1年1か月の判決を受けます。 この折、エプスタインの弁護人を務めたのは、のちにドナルド・トランプ政権で労働長官に指名されるアレクサンダー・アコスタでした。アコスタは、エプスタインに児童買春一件を認めさせて性犯罪者登録するとともに、連邦レベルでの訴追を免れるなどの減刑に便宜を計った容疑がかけられています。このエプスタインと秘密裏の司法取引を糾弾され、アコスタは2019年7月12日に辞職しました』、「スティーヴン・ホーキングは、エプスタインがこの島で主催した素粒子物理・宇宙論の国際会議のために、複数のノーベル物理学賞受賞者たちとともに来訪しています」、というのは「乱交島」の目的を偽装するには上手い手だ。
・『これに先立つ7月6日、パリから自家用飛行機でニュージャージーに戻ってきたエプスタインは身柄を拘束され、マンハッタンの監獄「メトロポリタン矯正センター」に収監されます。 アコスタ労働長官の辞任はこのような状況下での出来事でした。 ところが8月10日、エプスタインは監獄内で「自殺」死体となって発見されます。 遺体の所見は「自殺」としては例外的な特徴を示しているとも報じられています。 ドナルド・トランプ大統領は、エプスタインの死にビル・クリントン+ヒラリー・クリントンが関わっているとするツイートをリツイートしたりもしています。 いまだ1か月を経ていない、極めて生々しい事態が動いています』、トランプ大統領の「リツイート」は「アコスタ労働長官」の指名についての疑惑に目くらましするためだろう。
・『MITで何が起きていたのか?  このように、今現在も不可解な出来事が起こり続けているエプスタイン事件ですが、MITメディア・ラボはいったいどのような疑惑に巻き込まれたのでしょうか? 端的に言うと、エプスタイン・マネーはかなり汚れた「犯罪の上がり」であった可能性が高く、有罪判決以降、彼の名はMITがオフィシャルに寄付金を受け付けることができないブラックリストに載るようになっていたのです。 ところが、その「エプスタイン・マネー」を伊藤穣一所長はメディア・ラボの資金として20年間で80万ドルを受け入れていたことが今回発覚しました。 さらに伊藤氏個人の投資口座にも120万ドルが振り込まれ、さらにビル・ゲイツ財団などを経由して一種の「マネーロンダリング」で工作したうえ、750万ドル(約8億円)を受け取っていたことが露見してしまいました』、これでは「伊藤穣一所長」の辞任は当然だろう。
・『これらに際して、伊藤氏からスタッフに匿名での処理や「名前を言ってはいけない、あの人、He-Who-Must-Not-Be-Named」などとして伏せるよう指示されていたことも明らかになっています。 こうした「困った資金」の受領は、しかし、決して伊藤氏単体で判断したものではないらしい。 メディア・ラボを設立したニコラス・ネグロポンテは「もらえるものはもらっておけ」式の発言を疑惑が明らかになってからも続け、女性研究者と論争になるなど、泥沼の状態を呈している様子です。 一連の問題の本質的な背景は、大学が研究教育の場という以上に、営利の場、あるいは投機によって生じた負債の埋め合わせなど、本道から外れた金銭空転の場に転じてしまったことにあると指摘する必要があるように思います。 我が国でも研究能力を持たなかったり、自身が学位を取得しておらず学生指導ができない大学教授職が様々な問題を起こし、発覚して処分されるケースが後を絶ちません。 特例的な人事などというときには、何らかの背景があることが少なくないように思います。 伊藤穣一MITメディア・ラボ所長という、常識的にはあり得ない人事の背景には「財務」の事情が密接に関わっていた可能性が高い。 込み入った背景については、続稿での検討を準備する念頭です。 何であれ、副所長の石井裕さんを筆頭に、良心的なメディア・ラボのメンバーが自浄作用を発揮して、あるべきアカデミアの本道に戻られることを期待したいと思います』、「本質的な背景は、大学が研究教育の場という以上に、営利の場、あるいは投機によって生じた負債の埋め合わせなど、本道から外れた金銭空転の場に転じてしまったことにある」、との指摘はその通りだろう。「込み入った背景については、続稿での検討を準備」、大いに期待したい。

次に、9月13日付け日経ビジネスオンライン「なぜ米国はMITメディアラボ・伊藤穣一氏だけ責めるのか」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00019/091100093/
・『2019年9月7日、日本人にとってショッキングなニュースが米国で流れた。マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授で、傘下の著名研究所であるメディアラボの所長を務めていた伊藤穣一氏の辞任である。少女への性的虐待などで逮捕され、拘置所内で自殺した米富豪のジェフリー・エプスタイン氏から資金を受け取っていたことを認め、その責任を取った。 このニュースを聞いて、「なぜ伊藤氏だけが責任を取るのか?」と疑問に感じた人も多いのではないか。というのも、エプスタイン氏から資金を受け取っていた大学や研究者は伊藤氏だけではないからだ。 ではなぜ伊藤氏だけが問題視されるのか。日本では、エプスタイン氏の事件に関する報道が米国に比べて少ないため分かりにくいが、米国での報道を順に追っていくとその理由が見えてくる』、「その理由」を知りたいものだ。
・『「辞めないで」の署名が集まった8月  米国内でエプスタイン氏への注目が一気に集まったのは、同氏がニューヨーク南地区の連邦地検に起訴された今年7月だ。8月10日に同氏が拘置所内で自殺すると、報道は一気に過熱。そんな中で出てきたのがエプスタイン氏から寄付を受け取っていた大学や科学者たちのリストだった(バズフィードの関連記事)。 8月15日、伊藤氏は謝罪文をMITのホームページに掲載。13年からエプスタイン氏と交友があり、メディアラボだけでなく自身の投資ファンドにも資金提供を受けていたことや、複数ある同氏の邸宅にも訪問したことがある事実を認めた。そのうえで、「彼がしてきたひどい行為に関係したことも、彼がそれについて話すのを聞いたことも、また行為の痕跡を見たことも決してない」と釈明した。 大学の資金集めは世界トップクラスの研究機関といえども厳しい。伊藤氏は、未来を変えうる技術の発展に貢献する研究者たちを支えようと資金繰りに奔走してきた。そんな姿を傍らで見てきたMITの教授や知人たちは、伊藤氏のために立ち上がった。「辞めないで」と訴える専用サイトを立ち上げ、請願書に250人を超える署名を集めたのだ。 ところが9月6日、状況が一変する。伊藤氏に関する新しい事実を示した記事が雑誌ニューヨーカー(電子版)に掲載されたからだ』、「辞めないで」の「請願書に250人を超える署名を集めた」のに、「状況が一変」するきっかけになった「ニューヨーカー」の記事はインパクトが大きかったようだ。
・『内部告発で明るみに出た隠蔽  記事を書いたのは、ピュリツァー賞の受賞歴もある同誌契約記者のローナン・ファロー氏だ。そこには、メディアラボの職員たちが、エプスタイン氏がどのような人物かを認識したうえで、伊藤氏と別のメディアラボ幹部、ピーター・コーエン氏の指示のもと、エプスタイン氏の名が表に出ないように必死に隠していた事実が、実際の電子メールの画像とともに生々しく記されていた。 メディアラボには、伊藤氏とエプスタイン氏のつながりを不快に感じていた人もいた。14年に同研究所の寄付金を扱う部門で働いていたシグネ・スウェンソン氏は、エプスタイン氏が少女に対して性的虐待をしていた事実を知っていた。エプスタイン氏は08年にも、フロリダ州で少女への性的虐待と人身売買の容疑で起訴され、13カ月の実刑判決を受けていたからだ。MITでエプスタイン氏は、寄付者として「不適格者」と登録されていた。 記事の中でスウェンソン氏はこう証言している。「(エプスタイン氏が)小児性愛者であることは知っていたので、コーエン氏にそう伝えた。彼と関係を続けるのが良いとは思えないとも」。だが、その後も伊藤氏やコーエン氏とエプスタイン氏の関係は続いたという。スウェンソン氏は16年に辞職した。 なお、08年当時、エプスタイン氏の罪に対して禁錮13カ月は軽すぎるとして米国で話題になった。彼を検挙したアレクサンダー・アコスタ州検事(当時)がエプスタイン氏の弁護士と協議し、減刑に応じた。アコスタ氏は後に、トランプ政権の労働長官に就任している(その後に辞任)。ドナルド・トランプ大統領はエプスタイン氏と過去に友人関係にあったことで知られている』、「メディアラボ幹部、ピーター・コーエン氏」も「伊藤氏」と同罪のように思われるが、彼の責任はどうなったのだろう。
・『  記事を読んだ伊藤氏の支援者たちの中には、怒りの声を上げる人も出てきた。グーグルとフェイスブックの元幹部で現在はMIT教授のメアリー・ルー・ジェプセン氏は、請願書に署名した一人。ところが9月7日付の自身の記事では、立場は正反対になっていた。「伊藤氏は私やMITを含むたくさんの人たちにウソをついていた。(中略)MITのルールも守れないなんて。彼を信じた私は間違いだった」と嘆いた。 特に支援者たちを不快にさせたのは、メディアラボの職員たちの間でエプスタイン氏が、『ハリー・ポッター』シリーズに出てくる悪役「ヴォルデモート」または「名前を言ってはいけないあの人」と呼ばれていたことだった。 技術系メディア編集者のカラ・スウィッシャー氏は、地元紙ニューヨーク・タイムズのオピニオン欄にこんな意見を投稿した。「MITメディアラボと伊藤氏を取り巻く数々の気分が悪くなるような詳細の中で最もひどいことは、小児性愛者のあだ名に子供向けの小説に出てくる登場人物の名を付けていたことだろう」』、「小児性愛者のあだ名に子供向けの小説に出てくる登場人物の名を付けていた」、どうせバレないと思って、気軽に名付けたのだろう。
・『被害者を加害者にする手口  エプスタイン氏が虐待した女性たちが今になって声を上げ始めたことも、伊藤氏の状況をさらに悪くしている(08年の摘発前から事件を追っていたフロリダ州の地元紙マイアミ・ヘラルドの動画)。 被害者の女性の多くは14~16歳くらいの時に「マッサージをしたらお金を払う」と勧誘され、ニューヨークやフロリダなどにあるエプスタイン氏の邸宅や同氏が所有する飛行機の中で性行為を強制された。特に飛行機の中では、エプスタイン氏の数々の著名な知人たちのために強要されることもあったという。米メディアの報道では、その著名人としてビル・クリントン氏や英国のアンドルー王子の名が挙がっている。 勧誘されたのは、親がドラッグ中毒者など家庭環境に問題を抱える子たちばかりだ。行為の後、200ドルが手渡される。10代にとっては大金だ。少女の勧誘やエプスタイン氏の指示に従うための教育・管理は、エプスタイン氏の知人女性が担当していた。 中には近隣のショッピングセンターなどでほかの少女を勧誘してくるよう指示された被害女性もいた。その一人は「なぜ自分と同じ立場にほかの子も追いやってしまったのか。今でも罪悪感にさいなまれ続けている」と告白している。 もちろん、こうした数々の事件を起こしたのはエプスタイン氏で、伊藤氏には関係がない。だが、伊藤氏がメディアラボでエプスタイン氏の存在を隠し続けたことで、前出のスウェンソン氏のように全く関係のない人たちを巻き込んでしまった。 スウェンソン氏はニューヨーカーの記事の中で、記事が出る前に伊藤氏やMIT関係者がエプスタイン氏との関係を隠そうとしてウソをついているのを見聞きするたび、罪悪感にさいなまれていたと語っている。「私も14年当時、(メディアラボと)エプスタイン氏との関係を隠そうとした関係者の一人ですから」。伊藤氏とMITメディアラボを巡る醜聞は簡単に収まりそうにない』、「ビル・クリントン氏や英国のアンドルー王子」はともかく、トランプ大統領の関わりでどんな新事実が出てくるのか、は次期大統領選挙にも影響するだけに大きな注目点だ。
タグ:日経ビジネスオンライン JBPRESS 伊東 乾 伊藤穣一 エプスタイン事件 (その2)(少女との乱交 不審な自殺とMITメディアラボ エプスタイン・マネーと伊藤穣一氏突然の辞任の背景、なぜ米国はMITメディアラボ・伊藤穣一氏だけ責めるのか) 「少女との乱交、不審な自殺とMITメディアラボ エプスタイン・マネーと伊藤穣一氏突然の辞任の背景」 未成年者への性的搾取を目的とした人身取引の罪で有罪とされていた富豪、ジェフリー・エプスタイン(1953年1月20日~2019年8月10日)から長年にわたって多額の資金援助を受け続け、かつそれを隠蔽し続けていたことが発覚 異例ずくめだった伊藤穣一メディア・ラボ所長人事 東京大学大学院情報学環が1999年に設立される折にも、メディア・ラボが一つの手本 インターネットやパソコン通信の一般化以前からマシンを自作するなど独学で草分け世代のネットワーク・エンジニアとなった人物 タフツ大学やシカゴ大学で学びますがいずれも中退、起業家として頭角を現し、ベンチャー投資家/エンジェル投資家として、またネットワーク時代の知識人として、全世界にその名を知られるようになりました バチェラーつまり学士を持っていない。 もちろん修士もなければ博士でもない。マサチューセッツ工科大学の普通の教授に迎えられることが、そもそも考えにくい。 ところがいきなり「所長」として無学位の日本人が迎え入れられるという報道でしたから、全世界は驚いたわけです 第一に理解したことは、経営の立て直しだろう、ということです 学位取得はもとより研究とも教育とも縁遠く、ファイナンスで活躍してきた彼をトップに迎え入れるというのは「経営トップ」として以外には考えられません 比較的早い時期から、伊藤メディア・ラボ所長はエプスタイン・マネーと関わりがあったこと、かつそれを意図的に隠蔽し、大学当局にも嘘をついていたことが、今回、「The New Yorker」に暴露された ビデオ監視の「乱交島」と不可解な自殺 高校で数学・物理の教師 生徒の父兄としてベア・スターンズ証券の中興の祖アラン・グリンバーグと知り合い、グリンバーグは彼の才能を認めて1976年、ベア・スターンズに職位を与えました ほとんど最低の職位からスタートしながら、富裕な顧客に取り入り、複雑な問題を解決する手腕を発揮し、わずか4年でパートナーに就任するという大出世 エプスタインは独立して自身のコンサルティング・ファームを主催、以降、冷戦末期からネット経済成立の初期にかけて着実に力をつけ、ヘッジファンドのオーナーとして君臨するようになります 「リトル・セント・ジェームズ島」を所有 逃げ場のない孤島で10代の少女たちが乱交パーティーに参加させられた ビル・クリントン元大統領や英国のアンドルー王子は複数回この島に降り立った 有力者に性的な接待を行うとともに、それらの模様を記録して脅迫などに使用していた容疑 宇宙物理学者スティーヴン・ホーキングは、エプスタインがこの島で主催した素粒子物理・宇宙論の国際会議のために、複数のノーベル物理学賞受賞者たちとともに来訪しています フロリダ州パームビーチの私邸内で未成年の少女に300ドルほどの金銭を払い、性的なマッサージをさせていた容疑で禁固1年1か月の判決 エプスタインの弁護人を務めたのは、のちにドナルド・トランプ政権で労働長官に指名されるアレクサンダー・アコスタでした。アコスタは、エプスタインに児童買春一件を認めさせて性犯罪者登録するとともに、連邦レベルでの訴追を免れるなどの減刑に便宜を計った容疑 エプスタインと秘密裏の司法取引を糾弾され、アコスタは2019年7月12日に辞職 エプスタインは監獄内で「自殺」死体となって発見 トランプ大統領は、エプスタインの死にビル・クリントン+ヒラリー・クリントンが関わっているとするツイートをリツイート MITで何が起きていたのか? 「エプスタイン・マネー」を伊藤穣一所長はメディア・ラボの資金として20年間で80万ドルを受け入れていたことが今回発覚しました。 さらに伊藤氏個人の投資口座にも120万ドルが振り込まれ、さらにビル・ゲイツ財団などを経由して一種の「マネーロンダリング」で工作したうえ、750万ドル(約8億円)を受け取っていたことが露見 伊藤氏からスタッフに匿名での処理や「名前を言ってはいけない、あの人、He-Who-Must-Not-Be-Named」などとして伏せるよう指示 本質的な背景は、大学が研究教育の場という以上に、営利の場、あるいは投機によって生じた負債の埋め合わせなど、本道から外れた金銭空転の場に転じてしまったことにあると指摘する必要 「なぜ米国はMITメディアラボ・伊藤穣一氏だけ責めるのか」 「辞めないで」の署名が集まった8月 「辞めないで」と訴える専用サイトを立ち上げ、請願書に250人を超える署名を集めた 状況が一変する。伊藤氏に関する新しい事実を示した記事が雑誌ニューヨーカー(電子版)に掲載された 内部告発で明るみに出た隠蔽 エプスタイン氏に「ヴォルデモート」のあだ名 被害者を加害者にする手口
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エプスタイン事件(その1)(エプスタイン怪死事件とマックスウェルの亡霊、MITメディアラボのスキャンダルが「テック産業全体」への不信感に繋がる理由) [世界情勢]

今日は、米国で大問題になっており、日本人スタープレーヤーにも影響も与えているエプスタイン事件(その1)(エプスタイン怪死事件とマックスウェルの亡霊、MITメディアラボのスキャンダルが「テック産業全体」への不信感に繋がる理由)を取上げよう。

先ずは、在米作家の冷泉彰彦氏が8月17日付けでメールマガジンJMMに投稿した「エプスタイン怪死事件とマックスウェルの亡霊」from911/USAレポート」を紹介しよう。
・『大統領選挙は「前年の夏」を迎え、本来であればトランプへのチャレンジャーを選ぶ民主党予備選はもっと盛り上がっていてもいはずです。また、連続して発生している乱射事件の報道も、直後はともかく全体として低調です。一方で、中国との通商戦争、そして大統領の連銀への介入などから、米国株は急速に調整が入り実体経済原則(正しくは→減速)の兆候も指摘されていますが、こちらの報道も経済紙やビジネス局が中心となっています。 その代わりと言っては何ですが、この2019年の夏、アメリカでは一つの事件が大きく報道される中で、意外な展開を遂げています。ヘッジファンドを主宰し、巨万の富を築いた億万長者であると同時に、未成年の女性の多くを人身売買や性的虐待の対象とした容疑で逮捕・起訴されたジェフリー・エプスタインの事件に他なりません。 この事件ですが、7月6日にニュージャージーのテターボロ空港に自家用機で着陸したところで、エプスタインが逮捕されたことで、一気に報道が拡大しました。その後一旦は鎮静化していたのですが、8月10日の早朝に、拘置所で死亡しているのが発見されると、改めて大きな騒動となっています。 このエプスタインの事件が話題となった理由としては、容疑そのものが極めて悪質だったことがまずあります。金の力で女性を食い物にしたという話は古今東西に色々とあるわけですが、ここまで大規模なものは珍しいと思います。 カリブ海のUSバージン諸島の一部である、リトル・セント・ジェームス島という島を1998年に買って別荘とした上で、この島を舞台に多くの少女を「人身売買で連行」してきて、虐待の対象としたというだけで、まるで小説や映画のような話です。 更に、話題となっているのが、エプスタインの交友関係の中にビル・クリントンや、その側近であったジョージ・スファノポロス、また英国王室のアンドリュー王子、そして外でもないドナルド・トランプ夫妻の名前があることです。ですから、全貌が明るみに出たとしたら、大きな政治スキャンダルに発展する可能性があるわけです。 これに加えて、エプスタインが死亡したことで、現在この事件の中心人物として、追及を受けつつある一人の女性の問題があります。この女性ですが、20世紀末の欧米で「メディア王」として著名であった故ロバート・マックスウェルの遺児であるギスレーヌ・マックスウェル女史(現在57歳)です』、超弩級のスキャンダルで、確かに「大きな政治スキャンダルに発展する可能性がある」ようだ。
・『このギスレーヌ・マックスウェルですが、ある時期にエプスタインの愛人であったとされています。その一方で、エプスタインは少女性愛の病癖があるので、ギスレーヌは、その幇助をしていた容疑があります。つまり交際相手のエプスタインのために、少女を「調達」していたという疑惑です。 現時点では、ギスレーヌに対する逮捕状は請求されていませんが、彼女に対する民事訴訟が提起される中、メディアは彼女の行方を必死になって追っています。数日前には、カリフォルニアのファーストフード店に現れたとして、『ニューヨーク・ポスト』というタブロイド紙がその写真をスクープして話題になりました。 しかし、他でもない『ニューヨーク・ポスト』が、ロバート・マックスウェルの遺児をスキャンダルで追跡しているというのは、何という因縁でしょう。『ニューヨーク・ポスト』というのは、FOXグループの総帥であるルパート・マードックが1970年代から保有していますが、このマードックこそ、マックスウェルとのメディア戦争を戦った仇敵であったからです。 ちなみに、ロバート・マックスウェルは、その最晩年である90年代初頭に、同紙のライバル紙である『ニューヨーク・デイリー・ニュース』の経営権を保有していたこともあるわけで、何とも言えない巡り合わせを感じます』、「マードックこそ、マックスウェルとのメディア戦争を戦った仇敵であった」、とは確かに「何とも言えない巡り合わせ」までおまけがつくとはまさに超弩級のスキャンダルに恥じない内容だ。
・『この事件ですが、大きく分けて3つの謎を秘めていると思います。 1点目は、外でもないエプスタインの「怪死」という問題です。そもそも、エプスタインの「身柄」に関しては、不自然なことだらけでした。まず、7月6日にどうしてアメリカに入国したのかという疑問があります。報道によればパリから自家用ジェットで戻ってきたところを捕まったのだというのですが、アメリカに入国すれば逮捕される危険がある中で、どうして堂々と戻ってきたのでしょうか? どうしてもアメリカに来て「しなくてはならないこと」があったとして、それは何だったのでしょう? 全くもって小説のような話ですが、もしかしたら何らかの証拠となる文書なりを自分の手で隠滅する必要があったとか、あるいはアメリカ国内に潜伏している何者かと、直接会って会話する必要があったなどの理由が考えられますが、謎のままです。 ところで、逮捕後のエプスタインについては、様々な動きがありました。中でも大きな話題になったのは弁護人からの保釈請求でした。弁護人側は、6千万ドル(約630億円)の保釈金を積んで、エプスタインの身柄を未決囚用の拘置所からマンハッタンの自宅での軟禁に移そうと請求しました。その交渉の過程では、「検察はパスポート、現金、貴金属を押収する」という条件で保釈が認められそうだとか、いやダメだというようなニュースが連日報道されていたのです。 これに対しては、「拘置所から出したら『消される』のでは?」といった説がネットでは飛び交っていました。この保釈請求という問題も、全くの謎です。必死の思いでアメリカに入国した以上は、自宅コンドミニアムにある「証拠隠滅」あるいは、何者かとの面会にこだわったのか、あるいは、弁護人の方が刺客を用意していてエプスタインを「消す」ために保釈を狙ったのか、これも謎のままです。 結果的に、保釈は認められませんでしたが、そのエプスタインは8月10日(土)の早朝6時30分ごろに、拘置所の房内で死亡しているのが発見されました。首には絞めた跡があり、警察は明らかに自殺であると発表しています。 このニュースを受けて、メディアは騒然となりました。警察は「明らかな自殺」としていますが、疑わしい点が数多くあるからです。まず、エプスタインは、一旦、7月27日に自殺未遂を起こしており、直後に24時間のスーサイド・ウォッチ(自殺防止の監視)の対象となっています。ですが、なぜか2日後の29日にはその監視が外されています。これは拘置所の規則違反だそうです。 そのほかにも、2人の房であったのに、同室の被疑者が他に移されて結局は独房状態だったそうで、これも規則違反でした。また、死亡の直前には弁護人が「エプスタインは落ち着いているので、監視の厳しい房から通常の房に出してくれ」という申し立てをして、それが認められたそうです。そこで房を移動したその晩に自殺したというのです。また規定にあった「30分間隔での監視」もされておらず、7時間にわたって監視が外れていたのだそうです。これも規則違反ですが、一連の違反については「人手不足のため」という説明がされています。 極め付けは、検死結果です。エプスタイン側の人間が、遺体を運び出して第三者による検死を行ったところ、通常の縊死ではあり得ないような形で、首の骨が折れていたというのです。仮にそうであれば、他殺説が浮上しそうで大変なのですが、今のところ、この疑惑については多くの疑惑の一つという扱いで、それほど決定的なインパクトは持っていません。そのこと自体が不自然でもあるのですが、この事件の全体が謎であり、闇であることを示しているのかもしれません』、警察が「「一連の違反については「人手不足のため」という説明」、というのはいかにも不自然、自殺との「検死結果」にも疑惑が出るなど、突っ込みどころ満載のようだ。
・『ところで、本稿のこの部分を書いている正にその時点で、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトからプッシュで送られてきた情報によれば、警察の公式的な検死結果としては、自殺であることは間違いないという結果が出たそうです。 ちなみに、著名人で、事件への関与も噂されている人物がこの「他殺説」を吹聴しているのですから困ったものです。それは、合衆国大統領であるトランプ自身であり、「下手人はビルとヒラリー」だという陰謀説を、何の根拠なくツイートで拡散しているのです。要するに、クリントン夫妻は、過去に多くの悪事を働いてきたと批判するパフォーマンスの延長ですが、全くもって困ったものです』、トランプ大統領が「下手人はビルとヒラリー」だという陰謀説を、何の根拠なくツイートで拡散している」、というのもおどろくべきことだ。
・『2番目の問題は、そのトランプとエプスタインの「接点」です。 両者の「接点」を具体的に示唆した問題としては、アコスタ問題があります。今から12年前の2007年、エプスタインは、未成年者への性的虐待で起訴されそうになったのですが、フロリダの連邦検事と「秘密の司法取引」を行って、罪を免れたことがありました。その当時の検察官の一人を、こともあろうにトランプは自分の政権下で労働長官に任命していたのです。 それは、アレキサンダー・アコスタという人物です。こんなことをやっていると、本来であれば重罪になるはずのエプスタインを「不起訴にした」ことへの見返りとして閣僚にしたような印象を与えるわけです。この問題については、報道とともに大騒ぎとなり、結局、アコスタは大臣から罷免されました。 更に取り沙汰されているのは、エプスタインがトランプの持っている有名な、フロリダのマー・ア・ラゴを性的虐待の舞台にしていたという疑惑です。両者は、1990年前後から極めて親密で、マー・ア・ラゴを舞台として、多くの美女を集めたパーティーを繰り返していたそうです。 一部には、そもそも奥さんのいるトランプに、メラニアを紹介したのはエプスタインだという噂もあるぐらいです。中でも話題になっているものとしては、レイプ疑惑の問題があります。2016年の大統領選の最中に、匿名の女性が名乗り出て、「自分は13歳の時に、エプスタインのパーティーで、トランプにレイプされた」として、損害賠償請求の民事訴訟を提起したという事件です。ただ、この事件は原告が匿名を貫いたこともあり、信憑性が疑われる中で、トランプ支持者からは「根拠なき誹謗中傷」という抗議が出ました。そんな中で、メディアもこの事件を一旦は敬遠していたという経緯があります』、トランプも叩けばいくらでもホコリが出てくるようだ。
・『3番目の問題は、最初に少しご紹介したギスレーヌ・マックスウェルという女性の位置付けです。エプスタインが死亡した現在、彼女が事件の核心を知る人物として、当局も、またメディアも重大な関心を寄せています。 このギスレーヌ・マックスウェルですが、どうやらエプスタインの交際相手であったのは間違いないようです。但し、エプスタインは少女性愛の病癖があるので、ギスレーヌは、愛する男性のためにその幇助をしていた共犯という可能性が指摘されています。さて、このギスレーヌのことを語るには、やはり父親であるロバート・マックスウェルに触れないわけにはいきません。マックスウェルというのは、ルパート・マードックのライバルとして、英国のデイリー・ミラー、そして当時は米国最大の出版社であったマクミラン社などを手中に収めてメディアの企業帝国を築いていた存在でした。 そのマックスウェルとマードックの確執については、英国の政治家で作家のジェフリー・アーチャーが "The Fourth Estate(1996年、邦題は『メディア買収の野望』)でフィクション化していますので、当時は世界的に大変に有名なライバル同士でした。 また、マックスウェルは、ユダヤ系の実業家としても有名で、一部には秘密組織モサドの工作員だったという説もあります。そのマックスウェルは、1991年11月に地中海で事故死したとされています。その葬儀は、イスラエルのオリーブ山で行われたそうですが、参列した財界人から直接聞いた話では、大変に盛大なものであったそうです。 このマックスウェルの死については、モサドに殺されたなどの噂が多数ありますが、結局のところ彼の死後に明らかとなったのは、裏金を含めた資金繰りが行き詰まっていたということです。ですから、金策尽きて自殺したという考え方が一番自然ではあるのですが、公式的には事故死ということになっています。 ところが、今回の事件などを通して明らかとなってきたのは、その晩年のマックスウェルが、個人的な金融アドバイザーとしてエプスタインを雇っていたという事実です。またその際に父親とエプスタインの連絡係をやっていたのが、ギスレーヌだという説もあります。 そこで一つの疑問が浮かび上がってきます。1991年にロバート・マックスウェルが急死すると同時に、彼が一代で築いたメディア帝国はガラガラと崩壊していきました。グループ全体の本当の財務状況は、マックスウェルだけが把握する中で、総帥の死は綱渡り的な資金繰りを滞らせ、グループの崩壊を招いたのですが、その崩壊は同時にグループの経営の違法性を暴露したのでした。 つまり企業年金資産を抵当に入れて資金調達をするとか、子会社を上場させて調達した資金を非上場の親会社に流したりといった違法行為によって、この企業グループの資金繰りが成立していた、その違法性が明らかになったのです。 マックスウェル帝国が総帥の死によって崩壊したのちに、家業に参画していたその子達、つまりギスレーヌの兄たちは負債を相続したと同時に、違法な企業経営に参画した責任を問われて破滅していったのでした。多くの場合、民事上も、そして刑事上も責任を問われていったのです。 疑問というのは、多くの兄たちが破滅していった一方で、どうして末子のギスレーヌが「経済的にも社会的にも生き残ったのか?」という問題です。同時に、このマックスウェル帝国の崩壊に当たって、マクスウェルの相談相手であったエプスタインが、むしろ財を成している可能性があるという点です。 何しろ、マックスウェルの残したのは、最低でも4億ポンド(530億円?)という巨額の負債と、主として英国と米国を舞台にした刑事訴追というマイナスでした。 そこから、エプスタインとギスレーヌがどうして逃げおおせたのか、どうしてもその点に疑問を感じざるを得ないのです』、これだけ多くの疑惑が山積しているのであれば、当面、アメリカのメディアは大忙しだろう。
・『いずれにしても、エプスタインの死の真相、そしてトランプとの関係、更にはエプスタインとマックスウェル家、特に亡くなった総帥ロバートと、残されたギスレーヌとの関係と、謎が謎を呼ぶストーリーであることは間違いありません。そこには、セクシャリティの異常性という問題、あるいは政治やスパイ組織の陰謀という可能性も含まれており、そうした要素を完全に排除することはできません。 ですが、この一連の問題を整理するには、やはり「カネ」という観点を軸に考えるのが一番の近道である、そのようにも思うのです。つまり、1991年のロバート・マックスウェルの死も、その28年後、2019年のジェフリー・エプスタインの死も、同じように資金繰りに窮する中での自滅であったという可能性です。 その上で、ギスレーヌがエプスタインに接近したのは、男女の関係という要素もあったかもしれませんが、それ以上に亡くなった父の財産を、少なくとも母であるマックスウェル夫人と自分の手元にはある程度残しておきたい、そのためにエプスタインの協力が必要だったという可能性はあります。もしかしたら、マックスウェル帝国の破滅に巻き込まれないためには、エプスタインの方もギスレーヌを必要としていたのかもしれません。 トランプとエプスタインとの関係も、同じように「女性を集めて支配するのが好き」という悪癖で仲間になったのかもしれませんが、それ以上に、破産法を駆使して事業を整理しながら私財はチャッカリ確保してきたトランプにとって、エプスタインの才覚と組む理由はあったのかもしれません。 そう考えると、やはりこのエプスタインとトランプというのは、最近はともかく相当に抜き差しならない関係であり、エプスタインの事件の捜査が続く限り、トランプは恐らく気が休まることはないのではないでしょうか。決定的な証拠が出て来る可能性は薄くても、2020年の選挙へ向けて、中間層におけるトランプの印象にはダメージになる可能性はあると思われるからです』、「エプスタインとトランプというのは、最近はともかく相当に抜き差しならない関係であり、エプスタインの事件の捜査が続く限り、トランプは恐らく気が休まることはないのではないでしょうか」、トランプのコア支持層である「忘れられた白人層」への影響は余りないだろうが、その他の支持層へは影響しそうだ。
・『ちなみに、捜査の現状としては、やはりエプスタインによる、多くの当時未成年であった女性たちへの虐待についての事実確認ということが中心です。当局も、メディアも、当面は、そうした捜査の状況を追いながら、最終的にはエプスタインとギスレーヌがあらゆる手段を使って保全した父ロバート・マックスウェルの遺産が、エプスタインから虐待を受けた被害者救済に使われることを目指している、現在進んでいるのは事実上そのような方向性であると考えられます。 いずれにしても、この事件、主役は死んだとはいえ、全くの現在進行形であり、今後の展開が注目されます』、劇場型のトランプ政治に、飛んでもない1幕が加わったものだ。「今後の展開」が楽しみだ。

次に、マイナースタジオ代表取締役CEOの石田 健氏が9月11日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「MITメディアラボのスキャンダルが「テック産業全体」への不信感に繋がる理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/214469
・『MITメディアラボの所長を務めていた伊藤穣一氏が9月7日に辞表を提出した。「Joi」の愛称で知られ、日本とアメリカのテクノロジー・コミュニティーから尊敬を集めていた同氏の去就は、日本国内でも話題を集めている。 この辞任の引き金となったのは、アメリカの実業家として知られるジェフリー・エプスタイン被告の獄中自殺を発端とした報道だ。エプスタイン被告は多数の少女を性的虐待したことで起訴された後、不審とも言える自殺を遂げた。その後、被告からメディアラボが寄付を受けていたことが明らかになり、複数の研究者が抗議辞任。先月15日、伊藤氏は自身の個人ファンドも被告から出資を受けていたことを明らかにした上で謝罪文を公開した』、伊藤穣一氏はNHK番組にもよく登場し、参考になる意見を述べていたので、尊敬していたが、このような結果になり残念だ。
・『The New Yorkerのスクープで事件が急変  謝罪文を公開した時点では伊藤氏が「飛び火」を受けたかのような印象だったが、今月6日にThe New Yorkerが新たな記事をスクープしたことで事態は急変する。 それによれば、エプスタイン被告はMITの寄付者データベースに「不適格」と示されていたものの、メディアラボ側はそれを知りながら寄付を受け取っていた。しかも、リークされたメールでは、伊藤氏がスタッフに対して被告に関係した資金を匿名処理するよう指示しており、メディアラボにおいて被告が「ヴォルデモート」(小説『ハリー・ポッター』シリーズ)に登場する“名前を言ってはならない人”)と呼ばれていたことも明かされた。また被告に関係した資金は当初80万ドルとされていたが、750万ドルにのぼることも示唆されている。 一連の報道は、伊藤氏が違法行為に手を染めていたわけではないものの、明らかに倫理的逸脱があり、当初の謝罪にも虚偽が含まれていることを示した。たとえば朝日新聞は今回の辞任を「混乱を収束させる狙い」と記事で述べるなど、日本の主要メディアでは未だに伊藤氏が飛び火を受けたかのような論調で報じているが、事件のインパクトと経緯を考えれば、より踏み込んだ理解が必要になる』、確かに「伊藤氏が飛び火を受けたかのような論調」、というのは通用しないようだ。
・『起業家、投資家としての手腕も買われた伊藤氏  伊藤穣一氏は、日本のテック産業で広く知られる存在である。TwitterやFlickrなど名だたるネットサービスの投資家として知られ、日本でも東証一部に上場するデジタルガレージの共同創業者を務めるほか、ソニーやカルチュア・コンビニエンス・クラブなど名だたる大企業で取締役などを務めた。 最近では、NHK教育テレビ「スーパープレゼンテーション」でナビゲーターを務めたことで世間一般での知名度も高まっていた。2011年、伊藤氏がメディアラボ所長へと就任した際は、学位を取得していない人物の選任という「異例」の人事が注目を集めたが、彼の実績を考えても適任だという声が出てくるほど、業界内では知名度のある存在であった』、「学位を取得していない人物の選任という「異例」の人事が注目」、よほど他の能力が優れていたのだろう。
・『「#MeToo」ムーブメントに連なる事件の重大性  事件の重大性は、たんに伊藤氏が有名人だからという点ではない。そこには3つの重要なポイントが指摘できる。 まず、この事件が2017年から続く「#MeToo」ムーブメントの延長線上の出来事として理解される点だ。今回、The New Yorkerで記事を執筆したのが、ローナン・ファロー氏。同氏は、MeTooムーブメントのきっかけとなったハーヴェイ・ワインスタイン被告によるセクハラの調査報道記事を執筆したことで知られる。 驚くべきことに、ファロー氏は女優ミア・ファロー氏と映画監督ウディ・アレン氏の実子であり、最近ではミア・ファロー氏が「(アレン氏の子どもではなく)フランク・シナトラの息子かもしれない」と明かしたことで話題を集めた。セレブリティの息子でありながらジャーナリストとして申し分のない実績を上げている同氏が、この問題を1つの研究機関の醜聞としてではなく、アメリカ社会を揺るがすムーブメントのなかに位置づけていることは想像に難くない。 当初メディアラボに批判が集まった際、業界の著名人らが伊藤氏を擁護するサイトを立ち上げたが、メディアラボの院生アルワ・ムボヤ氏は「なぜエプスタインによって傷つけられていた少女に心を傷めなかった人が、伊藤が職に留まることを気にかけるのでしょうか?」と批判した。おそらく伊藤氏を擁護した人々は、この問題が#MeTooムーブメントに連なる重大な局面にあるという認識はなかっただろう』、なるほど。
・『NYTは最も酷「い真実を印刷しなかった」  もう1つは、本件がThe New Yorkerで報じられる前に、The New York Times(NYT)に持ち込まれていたものの、根幹部分が報道されなかったという疑惑だ。これは、ジャーナリストのジーニ・ジャーディン氏が指摘しており、内部告発者がすべてを話したにもかかわらず「最も酷い真実を印刷しなかった」と述べている。 ジャーディン氏の指摘にNYTから応答はないものの、重要な事実は伊藤穰一氏がNYTのボードメンバーであった(すでに辞任)点だ。言うまでもなく、NYTには本件に対する説明責任が求められる。 そして最後に、メディアラボ自体の問題がある。日本でも知名度の高いメディアラボだが、今回の事件を受けて批判的な声も出始めている。メディアラボの研究成果について疑義を投げかけるBusiness Insiderやテクノエリートの欺瞞(ぎまん)を指摘するGuardian、メディアラボを「疑似科学の学術機関」とすら述べるFortuneのような声は、近年の巨大テック企業への不信感と相まってますます増えていくだろう。 メディアラボに限らず、誇大宣伝された研究や理想主義的な美辞麗句によって内実が覆い隠されたプロジェクトを検証する動きは、今後強まっていくかもしれない。 またメディアラボの行く末自体も不透明だ。人身売買の被害者が、エプスタイン被告が所有する島において人工知能の大家マーヴィン・ミンスキー氏(2016年死去)と性行為をさせられたという告発がすでに報道されている。ミンスキー氏はメディアラボの共同創設者であり、研究機関のスタート時点から問題を抱えていたことが明らかになれば、その存続に影響が出てくる可能性もある』、「メディアラボの研究成果について疑義」が出てきたとは大変なことだ。
・『テック産業全体の不信感につながる可能性  今後、事件が起きた背景も解明されていくはずだが、伊藤氏がメディアラボの資金調達を期待されていたという点は見逃せない。 所長就任に際してNYTは、伊藤氏がメディアラボの資金調達を推進する役割があることを報じていた。メディアラボの創設者ニコラス・ネグロポンテ氏によれば、政府や大企業のスポンサーから得ているメディアラボの運営費用は過去10年間で減少しており、伊藤氏は他候補よりも資金調達を推進するリーダーシップが際立っており、その点が評価されたことを明言している。 「自戒:クソ野郎から投資話や金を受け入れてはならない」と自らTwitterで表明していた伊藤氏にとって、資金調達を重視するあまりの倫理的逸脱が本件を招いたのか、あるいはエプスタイン被告の愚行を軽視していたのかは、まだ明らかではない。しかし伊藤氏が被告の行為を「知らなかった」と述べているが、2008年にはエプスタイン被告の罪は明らかになっていた。自宅に足を運ぶ間柄でありながら、被告の罪を知らなかったことに疑念の声もあがっており、MITの調査によって踏み込んだ事実も明らかになっていくだろう。 テック産業と不透明な資金の関係性は、今回だけの問題ではない。 サウジアラビアのジャーナリストが暗殺された事件にムハンマド・ビン・サルマン皇太子が関与していた可能性を受けて、サウジアラビア政府から出資を受けているソフトバンクにも批判が集まっている。完全に透明性を持った資金を探してくることは容易ではないが、MITやソフトバンクのような業界のリーダーたちが不透明な資金を受け入れていたことは、産業全体への不信感に繋がっていくことだろう。 テック産業がアメリカ西海岸のユートピアを体現するカウンターカルチャーであった時代はすでに終焉した。いまやそれは、プライバシーや倫理的観点から強い疑義を向けられる巨大産業であり、その資金源に注目が集まるのは至極当然のことである。産業で最もよく知られた研究機関の1つが直面したスキャンダルは、当初の印象よりも広い範囲に影響を及ぼすかもしれない』、広く「テック産業」にも「当初の印象よりも広い範囲に影響を及ぼすかもしれない」、というのは重大なことだ。今日は、長くなったので、明日はエプスタイン事件とMITメディアラボの関係を、さらに掘り下げてみたい。
タグ:石田 健 冷泉彰彦 ダイヤモンド・オンライン メールマガジンJMM エプスタイン事件 (その1)(エプスタイン怪死事件とマックスウェルの亡霊、MITメディアラボのスキャンダルが「テック産業全体」への不信感に繋がる理由) 「エプスタイン怪死事件とマックスウェルの亡霊」from911/USAレポート」 拘置所で死亡 リトル・セント・ジェームス島 、この島を舞台に多くの少女を「人身売買で連行」してきて、虐待の対象としたというだけで、まるで小説や映画のような話 エプスタインの交友関係の中にビル・クリントンや、その側近であったジョージ・スファノポロス、また英国王室のアンドリュー王子、そして外でもないドナルド・トランプ夫妻の名前がある 大きな政治スキャンダルに発展する可能性 ロバート・マックスウェルの遺児であるギスレーヌ・マックスウェル女史 エプスタインは少女性愛の病癖があるので、ギスレーヌは、その幇助をしていた容疑 マードックこそ、マックスウェルとのメディア戦争を戦った仇敵 3つの謎 1点目は、外でもないエプスタインの「怪死」という問題 どうしてアメリカに入国したのかという疑問 どうしてもアメリカに来て「しなくてはならないこと」があったとして、それは何だったのでしょう 弁護人からの保釈請求 拘置所の房内で死亡しているのが発見 警察は明らかに自殺であると発表 エプスタインは少女性愛の病癖があるので、ギスレーヌは、その幇助をしていた容疑があります 24時間のスーサイド・ウォッチ(自殺防止の監視)の対象となっています。ですが、なぜか2日後の29日にはその監視が外されています 死亡の直前には弁護人が「エプスタインは落ち着いているので、監視の厳しい房から通常の房に出してくれ」という申し立てをして、それが認められたそうです。そこで房を移動したその晩に自殺したというのです 「30分間隔での監視」もされておらず、7時間にわたって監視が外れていた 一連の違反については「人手不足のため」という説明 エプスタイン側の人間が、遺体を運び出して第三者による検死を行ったところ、通常の縊死ではあり得ないような形で、首の骨が折れていたというのです トランプ自身であり、「下手人はビルとヒラリー」だという陰謀説を、何の根拠なくツイートで拡散 2番目の問題は、そのトランプとエプスタインの「接点」 エプスタインは、未成年者への性的虐待で起訴されそうになったのですが、フロリダの連邦検事と「秘密の司法取引」を行って、罪を免れた その当時の検察官の一人を、こともあろうにトランプは自分の政権下で労働長官に任命 エプスタインを「不起訴にした」ことへの見返りとして閣僚にしたような印象を与える エプスタインがトランプの持っている有名な、フロリダのマー・ア・ラゴを性的虐待の舞台にしていたという疑惑 匿名の女性が名乗り出て、「自分は13歳の時に、エプスタインのパーティーで、トランプにレイプされた」として、損害賠償請求の民事訴訟を提起したという事件です 3番目の問題は、最初に少しご紹介したギスレーヌ・マックスウェルという女性の位置付け エプスタインが死亡した現在、彼女が事件の核心を知る人物として、当局も、またメディアも重大な関心 マックスウェルは、ユダヤ系の実業家としても有名で、一部には秘密組織モサドの工作員だったという説も 晩年のマックスウェルが、個人的な金融アドバイザーとしてエプスタインを雇っていた 一連の問題を整理するには、やはり「カネ」という観点を軸に考えるのが一番の近道 トランプとエプスタインとの関係も、同じように「女性を集めて支配するのが好き」という悪癖で仲間になったのかもしれませんが、それ以上に、破産法を駆使して事業を整理しながら私財はチャッカリ確保してきたトランプにとって、エプスタインの才覚と組む理由はあったのかもしれません 「MITメディアラボのスキャンダルが「テック産業全体」への不信感に繋がる理由」 伊藤穣一氏が9月7日に辞表 被告からメディアラボが寄付を受けていたことが明らかになり 伊藤氏は自身の個人ファンドも被告から出資を受けていたことを明らかにした上で謝罪文を公開 The New Yorkerのスクープで事件が急変 エプスタイン被告はMITの寄付者データベースに「不適格」と示されていた メディアラボ側はそれを知りながら寄付を受け取っていた。しかも、リークされたメールでは、伊藤氏がスタッフに対して被告に関係した資金を匿名処理するよう指示しており、メディアラボにおいて被告が「ヴォルデモート」(小説『ハリー・ポッター』シリーズ)に登場する“名前を言ってはならない人”)と呼ばれていた 被告に関係した資金は当初80万ドルとされていたが、750万ドルにのぼる 起業家、投資家としての手腕も買われた伊藤氏 学位を取得していない人物の選任という「異例」の人事が注目 「#MeToo」ムーブメントに連なる事件の重大性 NYTは最も酷「い真実を印刷しなかった」 テック産業全体の不信感につながる可能性 テック産業がアメリカ西海岸のユートピアを体現するカウンターカルチャーであった時代はすでに終焉した。いまやそれは、プライバシーや倫理的観点から強い疑義を向けられる巨大産業であり、その資金源に注目が集まるのは至極当然
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アスクルVSヤフー(窮地のアスクル ヤフーの反論に社外取締役が再反論 「ヤフーに最低限のモラルあると過信してた」、アスクル新社長が激白!ヤフーとの離別に迷いなし 吉岡 晃(アスクル社長 最高経営責任者)特別インタビュー、アスクル社長と独立社外取締役の不再任は 本当に問題だったのか?) [企業経営]

今日は、アスクルVSヤフー(窮地のアスクル ヤフーの反論に社外取締役が再反論 「ヤフーに最低限のモラルあると過信してた」、アスクル新社長が激白!ヤフーとの離別に迷いなし 吉岡 晃(アスクル社長 最高経営責任者)特別インタビュー、アスクル社長と独立社外取締役の不再任は 本当に問題だったのか?)を取上げよう。

先ずは、ジャーナリストの大西 康之氏が7月24日付けJBPressに掲載した「窮地のアスクル、ヤフーの反論に社外取締役が再反論 「ヤフーに最低限のモラルあると過信してた」」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57106
・『8月2日の株主総会直前にIFRS(国際財務報告基準)で連結子会社アスクルの岩田彰一郎社長に退任要求を突きつけたヤフーに対し、ガバナンスの権威が一斉に異論を唱え始めた』、総会はヤフー勝利となったが、問題を改めてみてみよう。
・『「大株主なら何をやってもいいわけじゃない」  7月23日には元パナソニック副社長の戸田一雄氏らアスクルの独立取締役が、独立役員会アドバイザーの久保利英明弁護士とともに記者会見し「大株主なら何をやってもいいということではないはず」(戸田)と訴えた。同日には日本の商法の大家、上村達男早稲田大学名誉教授も「退任要求は提携違反」とする法律意見書を出した。 23日、都内で開いたアスクル独立委員会の記者会見には戸田氏のほか、アスクルの社外監査役の安本隆晴氏、弁護士の松山遥氏も参加した。 戸田氏は記者会見の冒頭で「(アスクルの個人向けネットショッピング事業)『ロハコを売れないか』と言ってきて『売れない』と答えたら『社長を辞めろ』。これでは支配株主の立場で圧力をかけているとしか思えない。1週間後には(株主総会で大株主のヤフーが岩田社長の取締役選任案に反対して)そうなってしまう。本当に悩んでいる」と苦しい胸の内を明かした。 7月18日に岩田氏が記者会見で「ロハコ事業の譲渡を要求された」と語ったことに対し、ヤフーが「事業を譲渡する意向があるかどうか打診しただけ」とのコメントを発表したことについては、「実際には、事細かな条件を提示して譲渡を求めてきている」と反論した。 その上で独立役員会の意見として、 (1)岩田社長退任の是非については、指名報酬委員会で議論・決議した後の交代は現場を混乱させ、企業価値にマイナスになる (2)ロハコ事業の譲渡については、2018年12月にロハコ事業の再構築プランを発表したばかりであり、その効果を検証してから検討すべき (3)(ヤフーが今後もアスクルにロハコ事業譲渡を求めるなら)支配株主であるヤフーとの利益相反取引であることを十分に理解し、対等な立場で交渉することが求められる の3つを公表した。 コーポレートガバナンスの権威として知られる久保利弁護士は、「株式の過半を握っていれば何でもできる、というわけではない。世界でも稀な日本の親子上場(親会社と子会社がともに上場企業であるケース)は非常に大きな問題を抱えている」と語った』、「上村達男早稲田大学名誉教授」や「独立役員会アドバイザーの久保利英明弁護士」の主張は説得力がある。
・『「ヤフーに最低限のモラルがあると過信していた」  記者会見での質疑応答は以下の通り(Qは聞き手の質問)。 Q:今回のアスクルとヤフーの一件で一番の問題は何か。 戸田氏 「自分は一体、何をやってきたのか」ということだ。アスクルの独立取締役、指名委員会の委員長として一生懸命ガバナンスをやってきたのに、土壇場でゴロッと変わってしまう。 久保利氏 ガバナンスは日本の資本市場を機能させる上で大変重要だが、世界でも稀な日本の親子上場、多層上場は果たして合理的なのか。1つの会社の資産を二重三重に勘定する仕組みでもあり、非常に多くの問題を抱えたスタイルだと思う。私はJPX(日本証券取引所)の社外取締役でもあるので、この問題を座視する訳にはいかない。 松山氏 支配株主の義務とは何かという問題だ。(業績不振などの場合)株主には取締役を交代させる権利がある。だが今回のように、事前には一声も上げず、株主総会の招集通知案内が印刷の校了を迎える1週間前になって、突然「トップには辞めてもらう。後任は好きに選べ」という姿勢には問題がある。 Q:今回、ヤフーから社長の退任要求があったことで親子上場が問題視されたが、その前に「親子上場には問題がある」とは考えなかったのか。 戸田氏 正直に言うと(支配株主としての権利を乱用しない)最低限のモラルが(ヤフーには)あるものだと過信していた。(取締役会や独立委員会などで)親子上場の問題点については何度か議論をしたこともあるが、性善説にぶら下がりすぎたと反省している。 Q:株主総会でヤフーから派遣されているアスクル取締役2名を候補者から外す考えはないか。 戸田氏 一昨年まで、ヤフーとアスクルは非常にうまくいっていた。イコール・パートナーシップの一番いい例ではないかと思えたほどだ。ヤフーから派遣されている二人の取締役も非常によくやってくれていて、感謝の気持ちがあった。それがこんなことになるとは、という思いだ。 安本氏 アスクルの生みの親であるプラスの今泉公二社長が、岩田氏の取締役選任を否決すると聞いた時には、非常にがっかりした。もう少し長い目で見て欲しかった』、「親子上場」の問題点が、改めてクローズアップされたことは確かなようだ。「生みの親であるプラス」がヤフー側についた理由を知りたいところだ。

次に、8月24日付けダイヤモンド・オンライン「アスクル新社長が激白!ヤフーとの離別に迷いなし 吉岡 晃(アスクル社長 最高経営責任者)特別インタビュー」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、Aは吉岡氏の回答)。
https://diamond.jp/articles/-/212710
・『筆頭株主であるヤフーと対立しているオフィス用品大手のアスクル。8月2日の株主総会では、創業社長だった岩田彰一郎氏の再任にヤフーが反対し、吉岡晃COO(最高執行責任者)が社長に昇格した。新社長はヤフーとどう対峙するのか、直撃した。 Q:前社長を解任した筆頭株主のヤフーに、後継社長としてどう向き合っていきますか。 A:ヤフーとの資本提携は解消したい。その考えは、社長が代わっても全く変わることはありません。 こんな形で社長を代えられて、いつまた同じことが起こるか分からないし、経営陣や社員のしこりは消えない。それにヤフーは独立社外取締役まで3人全員解任したので、会社が壊れてしまった。社長が新しくなったからといって次の日から仲良くしましょうということになるはずがない。 Q:ソフトバンクの宮内謙社長は、記者会見で「アスクルは本当に資本提携の解消を求めているのでしょうか」と述べましたが。 A:われわれは本当に解消したい。そのスタンスで間違いありません。ただ、ヤフーとすぐに資本提携を解消しようとすれば、ヤフーが保有するアスクル株の売り渡しを求める権利(売り渡し請求権)を行使することになります。今の段階でそれに踏み切れば、先方は拒否すると思うので、間違いなく法廷闘争になるでしょう。それを望んでいるわけではないので、慎重に事を進めていきます。 Q:ヤフーと話し合いはできそうですか。 A:早速、アスクルの社外取締役でもある小澤隆生・ヤフー専務執行役から協議の提案をいただいたので、話し合いを始めます。最初のテーマは独立社外取締役の選任。資本提携を解消するにも、独立した役員からガバナンスの意見を求めて進めるのが最良の方法ですから。) Q:独立社外取締役はヤフーが決めることになる? A:いいえ。独立社外取締役を全員解任したのはヤフーですが、もともと独立社外取締役には支配的株主をけん制する機能があるので、それをヤフーが選ぶのは絶対に間違っています。すでにわれわれで新たな社外役員のリストアップに入っています。実際に誰にお願いするかは、独立した指名報酬委員会で議論して決めるプロセスを踏みたいと思っています。 Q:ヤフーが解任したので、今のアスクルに指名報酬委員会はありませんが。 A:ですから、臨時にでも指名報酬委員会を設置したい。独立社外取締役は全員解任されましたが、独立した社外の監査役が2人残っているので、その2人を中心に第三者の弁護士を入れて組成することを考えています。 それはアスクル内部の機関なので、そこが新しい独立社外取締役を選定し取締役会に提案する。そして臨時株主総会を早期に開催し、独立役員の承認を受けることになります。ヤフーには、こうしたプロセスで進めることをお話しするつもりです。 Q:本当に資本提携を解消することはできるのでしょうか。 A:ヤフーのプレスリリースによると「ヤフーよりよい相手がいるなら話を聞く意向はある」ということですから、話し合いの糸口はあると思います。これも独立役員の意向を聞きながら進めていくので、臨時株主総会の後に本格化することになるでしょう。 Q:ヤフーが保有する45%のアスクル株の譲り渡し先として、ヤフーよりよい相手がいますか。 A:現在、事業会社や国内外のファンド4社から提案を受けています。そこから複数社を選んでいきます。1社だけを選ぶとまた同じように独立性を脅かされかねないので。 Q:そこは、ヤフーよりも企業価値を高める相手になりますか。 A:まさにそうした視点で、4社の提案を精査しています。ヤフーとの提携は、BtoCのロハコ事業の集客で大きな効果を発揮しましたが、BtoBも含めて考えると、ヤフー以外の方が有効かもしれない。どんな相手とどんなシナジーを生み出せるのか。それを精査して、最終的には、これから選ぶ独立役員の意見を聞いて決めます。) Q:ヤフーの傘下で、ロハコ事業を成長させた方がよいとの見方もあるのではないでしょうか。 A:いいえ。もはやヤフーと一緒にいることがアスクルの企業価値にとってよいという結論にはなりません。ヤフーの連結子会社でいることの最大の問題点は、ヤフーもアスクルもeコマース(電子商取引、EC)をやっていることです。結果、ヤフーのECにとってはよいことでも、それがアスクルにとってはそうではないという利益相反が生まれることがはっきりした。 例えば、ECでアマゾンや楽天を追い抜くという目標を立てているヤフーは、赤字を拡大してでも流通総額をどんどん増やしたいが、われわれは赤字を拡大して規模を大きくしていく戦略を取り得ない。 仮にECを巨大グループの中の一つのコストセンターとして位置付けるなら、赤字を出して流通総額を拡大する戦略は有効かもしれませんが、上場企業であるわれわれが、赤字を出して規模を大きくするなんてあり得ないわけです。 Q:ヤフーがアスクルのロハコ事業の流通総額を一気に増やそうとするなら、アスクルを完全子会社化するしかないと。 A:契約では、ヤフーがアスクルの株を買い増すには両社の合意が必要ですから、そんなことは想定もしていません。先方がどう考えるかは計り知れないが、われわれとしてはそんなことはできない話だと思っています。 Q:ヤフーはロハコ事業の92億円の赤字を「由々しきこと」としているが、その移管は「考えていない」としている。彼らのそもそもの狙いは何ですか。 ヤフーのEC事業の成長の定義は流通総額の増加です。そのためにロハコ事業をコントロールしたいという狙いは明白です。私は、これまでヤフーとロハコ事業について何度も協議しましたが、「こんな赤字なんて大したことない」「むしろ流通総額を上げろ」という意向の方が強かった。だから、この期に及んで急にロハコが赤字じゃないかと問題視するのは非常に違和感がありますね。 Q:ヤフーの川邊健太郎社長は、ソフトバンクグループの孫正義社長から、アマゾンと楽天を追い抜くようにプレッシャーをかけられていたのでしょうか。吉岡さんは、そうした話を聞いたことはありますか。 A:ああ、1月11日に川邊さんが来社されたとき、「孫さんから、楽天とアマゾンをいつ超えるんだという質問ばかりされる」という話をしていましたよ。岩田の隣で私も聞きました。まあ、孫さんのプレッシャーって私は直接見たことがないので断定的なことは言えませんが、お立場としてそういうものもあるのかもしれませんね。でも、だからといって、アスクルが赤字を出してロハコの流通総額を拡大させるという話には全くならないです』、誕生した新社長もヤフーに対する反感が強く、このままではヤフーの思い通りにはなりそうもなさそうだ。ヤフーもソフトバンクグループから「楽天とアマゾン」超えの圧力を受けていたようだ。今後の展開が大いに注目される。

第三に、早稲田大学大学院経営管理研究科(早稲田大学ビジネススクール)教授の鈴木一功氏が9月4日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「アスクル社長と独立社外取締役の不再任は、本当に問題だったのか?」を紹介しよう。なお、注は省略。
https://diamond.jp/articles/-/213626
・『アスクルの年次株主総会において、大株主のヤフーとプラスの反対により、同社の岩田彰一郎社長と独立社外取締役の再任が否決されたことは大きく報道された。川邊健太郎社長をはじめとするヤフー経営陣の決定はあまりに一方的であるとして、業界団体や個人投資家などから批判の声が上がっている。だが、ヤフーによる決断は本当に問題だったのだろうか。M&Aの専門家でファイナンス理論の第一人者である、早稲田大学ビジネススクールの鈴木一功教授は、コーポレートガバナンスや法律の原則論を軽視した感情的な議論が展開される現状に警鐘を鳴らす。 2019年8月2日、アスクルは年次株主総会を開催し、大株主であるヤフーとプラスの反対により、社長である岩田彰一郎氏、および独立社外取締役の位置づけにある戸田一雄氏、宮田秀明氏、斉藤惇氏の会社側提案の取締役候補4名について、再任を否決した。 本件については、ヤフー側とアスクルの現経営陣側で激論が闘わされ、特に独立社外取締役を実質的に大株主が解任した形となったことから、「少数株主の利益を護る立場にある独立社外取締役」を大株主の一存で交替させることは、コーポレートガバナンスの観点から問題であり、大株主の株主権の濫用ではないか、という批判が各種団体や証券取引所の関係者から相次いだ。 筆者は、こうしたヤフー批判の論調に違和感を覚えるとともに、今回のヤフーへの批判が、2006年のライブドアによるニッポン放送の株式公開買付(TOB)によらない株式取得を巡る、ライブドアへの批判と酷似している、という意味で既視感を覚えた。 本稿では、本件の簡単な経緯と双方の主張の中で問題視された点を整理し、今回の不再任の是非、および少数株主保護と親子会社間の利益相反問題について考察する』、珍しくヤフーの立場をファイナンス理論の立場から擁護する記事なので、参考までにみてみよう。
・『アスクルとヤフーによる提携から現在に至るまでの事実関係  まず、アスクルとヤフーとの資本業務提携の経緯を確認しておこう。 両社が提携を発表したのは、2012年4月27日である。ヤフーは第三者割当増資によって、1株1433円で、2302万8600株のアスクル株を取得した。その投資金額は330億円、議決権比率で42.6%を握る大株主となった。アスクルの親会社であったプラスも株主として留まったことから、2社合算での持株比率は過半数を超えることとなり、その状況は現在も続いている。 当時の新聞記事によると、アスクルは、2009年に自社で始めた個人向けの通販サイトが営業赤字になり、また全社でも最終赤字となったので、ヤフーのポータルから顧客を自社サイトに誘導することで、個人向け通販を立て直そうという意図があった。他方ヤフーも、自社の個人向けショッピングサイトが楽天やアマゾンに取扱高で水をあけられていて、アスクルの持つ配送網を活用して利便性を高める必要があった。 そして資本業務提携により、アスクルは、ロハコ(Lohaco)という個人向けショッピングサイトを立ち上げ、ヤフーのトップページからリンクされるようになった。 資本業務提携後のアスクルの業績は、図表1のように推移した。なお、2018年5月期、2019年5月期のロハコ部門の数字には、2017年7月に買収したペット用品通販のチャーム社のデータを含む(図表中∗を参照)。 提携から7年間で、ロハコ部門の年間売上は21億円から652億円(チャーム社分を除けば513億円)と大きく増えているものの、他の大手ネット通販が1兆円規模の売上であることと比べれば、到底及ばない。また、2019年5月期においても、アスクルのロハコ部門は営業赤字であり、2020年5月期予想でも営業赤字が続く予想(赤字幅は縮小)である。 株価については、どうだろうか。図表2は、両社が提携を発表した直後の2012年5月における株価を100として、アスクル、ヤフー、楽天の株価の推移を示したものである。 株価については、2019年6月末時点で、アスクルの株価は業務資本提携発表直後の約1.9倍となっており、同期間にヤフーや楽天の株価が1.3~1.4倍程度にしかなっていないことに比べれば、パフォーマンスがよい。ただし、同期間に東証株価指数(TOPIX)も約1.9倍になっているので、アスクルの株価のパフォーマンスが格段によかったとはいえない。なお、2019年6月末時点で、ヤフーが保有するアスクル株は約200億円の含み益を抱えていた計算になる』、なるほど。
・『以上を踏まえたうえで、今回の案件について考えてみよう。 本件には、いくつかの異なる次元の問題点があり、それが議論を複雑にしている。そこで、以下のように論点を整理する。なお本稿では、主に(1)と(2)について議論し、(3)については(1)との関連で簡単に触れたい。 (1)過半数を超える議決権を持つ株式による、現社長および現在の指名委員会委員長を兼ねる独立社外取締役の再任に反対することに正当性はあるか。また、その結果として、一時的にとはいえ独立社外取締役が存在しない企業となることに対する、コーポレートガバナンス・コード上の問題はないか。 (2)上場子会社において、大株主である親会社と、子会社の少数株主の利益相反に問題はないか。独立社外取締役が果たすべき役割は何か。本件における、大株主と少数株主間の利益相反問題の本質はどこにあるのか。 (3)子会社上場について、どのような規制が必要か。また、親子上場を認める場合、望ましいガバナンス上のあり方とは何か』、論点整理は問題なさそうだ。
・『論点(1)社長と独立社外取締役の不再任は不当で、コーポレートガバナンス・コード上の問題があったのか  まず、過半数を超える議決権を持つ株式による、現社長、および指名委員会委員長を兼ねる独立社外取締役の再任への反対。これが、今回の最大の論点であることは間違いない。 特に、独立社外取締役を大株主が再任しないことについては、「親子上場企業のガバナンス上、重大な問題」(日本取締役協会)、「上場子会社のガバナンスの根幹を崩すもの」(日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク)、「議決権行使を行い、それによって子会社の安全装置とも言われる独立社外取締役の解任にまで至ったことを懸念」(日本取引所グループ清田CEO)と、数多くの反対意見や懸念が表明されている。 しかしながら、そもそも取締役の選任は、会社法によって株主総会の普通決議事項として認められているものである。少なくとも現行の法律上は、上場子会社に関する特別の定めはなく、取締役に社内、独立社外の区別もない。今回の手続きに格段の問題はないように思える。 また不再任の背景についても、図表1に示したように、ロハコ事業の業績が提携から7年を経ても必ずしも芳しくないことを考えれば、株主権の濫用というほどまでに、説得力のない理由による不再任とはいえないように思える。 さらに言えば、コーポレートガバナンス・コードでは、“comply or explain”(遵守せよ、さもなければ説明せよ)の原則に基づき、遵守が望ましいものの、遵守せずにその理由を説明する、という選択肢が認められている。不再任によって、一時的に独立社外取締役が不在になるとしても、その理由がきちんと説明できれば、違法状態とはいえない。加えて言えば、経済産業省「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」も、あくまでも「指針」である。 むしろ、こうしたいわゆるソフトローにおける、社外取締役やグループ・ガバナンスに関する考え方を理由に、会社法に基づく株主総会での株主の取締役選任が制約されるとは考えがたい。もしそのようなことが許されるのであれば、少数株主保護を掲げれば、経営陣は支配株主の要請を跳ね返すことが可能になってしまう。すなわち、経営陣の保身(エントレンチメント)の口実として、少数株主保護が使われかねないことを意味する。 筆者は、今回の不再任騒ぎに既視感を覚えている。それは、2005年に株式公開買付(TOB)規制の裏を掻いて、ニッポン放送の議決権の過半数を握るに至ったライブドアのケースである』、mply or explain”の原則に基づき、遵守が望ましいものの、遵守せずにその理由を説明する、という選択肢が認められている」、のは確かだが、今回は「その理由」の説明はどうもないようだ。「少数株主保護を掲げれば、経営陣は支配株主の要請を跳ね返すことが可能になってしまう」、というのはもっともらしいが、議論を単純化した極論のようにも思える。
・『これはライブドアが、本来であればTOBにより取得することが強制されているニッポン放送の過半数の議決権を、市場内取引(株式市場の立会外取引ToSTNeT-1と通常取引の組み合わせ)によって取得してしまった事例である。このときにも、ライブドアの行為が、少数株主も平等に支配権プレミアムを享受するために存在するTOB規制の趣旨がないがしろにされた、という批判がなされた。 しかしながら、TOB規制にこのような抜け道があることは、当時筆者を含めたM&Aの専門家の間では広く知られていた。だが、たとえば大崎貞和によれば、公開買付制度による厳しい規制を、子会社化等による企業グループ再編や他の企業との戦略的提携の妨げとなるとして嫌ってきたのは、むしろ経済界であったとされる。なお、ニッポン放送の件を契機に、2006年証券取引法が改正され、この抜け道は塞がれた。 今回の独立社外取締役問題も構図が似ているように思える。田中亘によれば、平成26年改正会社法の検討過程において、一定の株式会社に対し、社外取締役の選任を義務づけるべきかが、法制審議会会社法制部会で議論された。しかし、「各会社がその特性に適した企業統治を採用する自由を妨げるべきではないことなどを理由とする反対論」により義務づけは見送られた。 田中によると「こうした反対論は、主として産業界出身者から寄せられた」、とされる。すなわち、経済界の経営の自由度を重視する姿勢が、社外取締役の選任を努力義務的位置づけにし、社外取締役が不在となっても、違法ではない状況への道を開く遠因となったと考えられる。 ニッポン放送とアスクルの件に共通しているのは、経済界の経営の自由度を確保したいというニーズによって、ある種、規制や制度設計に曖昧さ(抜け道)が意図的に残され、その抜け道が、本来の規制や制度設計の趣旨に必ずしもそぐわない形で利用されてしまったということである。 実際にそのような事例が出てくると、「このような抜け道の利用は、規制の趣旨から認められない」といった批判の嵐になる。しかしながら、抜け道を残すということには、それが自分たちの都合の良いようにも悪いようにも利用される可能性を残すことでもある。それが嫌なのであれば、ある程度みずからの手足を縛ることになるとしても、曖昧さを残さず、可能な限り規制や制度の趣旨が達成できるような形で当初から文言を設計すべきである。 なお、秋に開かれる臨時国会で、上場企業や非上場の大会社に社外取締役の設置を義務づける方向で、会社法を改正することが審議される予定という。今回の件は、法律改正が後手に回るという意味でも、ニッポン放送の件と酷似している』、「経済界の経営の自由度を確保したいというニーズによって、ある種、規制や制度設計に曖昧さ(抜け道)が意図的に残され、その抜け道が、本来の規制や制度設計の趣旨に必ずしもそぐわない形で利用されてしまった」、というのはその通りだろう。しかし、「コンプライアンスとは単なる法令順守ではなく、社会的要請に応えていくこと」という元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏の考え方に従えば、ヤフーの行為はやはり問題がある。筆者は「法令順守」という狭義の考え方に束縛されているようだ。
・『論点(3)で掲げた親子上場問題についても、類似の問題がある。 経済界は従来から、親子上場の規制には消極的であり、今回ヤフーに批判的意見を開示した団体においても、「上場子会社は、独自の資金調達手段による成長の加速や社員のモチベーションの維持・向上という利点を有する。」(日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク)、「親子上場は子会社の事業成長を加速するインキュベーション支援機能もあり」(日本取締役協会)と、親子上場制度自体には肯定的な見解をわざわざ述べている。 親子上場については、学識経験者の中でも、その賛否は分かれる。たとえば、宮島英昭らは、上場子会社にとっては、親会社という大株主によるモニタリング機能により、業績が独立企業よりも良いと報告している。 しかしながら、アスクルは、ソフトバンクグループから見ると曾孫会社(アスクルは、ヤフー〔親〕、ソフトバンク〔祖父〕、ソフトバンクグループ〔曾祖父〕という支配構造を持つ)である。アスクルに対して、親、祖父、曾祖父の誰がモニタリングを提供するかとなると、責任の所在は曖昧といわざるを得ない。むしろ、積み重なった4つの親子関係といういびつな支配構造の中で、より複雑な少数株主問題が内在しているように思える。 かつて、ニッポン放送・ライブドアの件を契機に、TOB規制が見直されたように、今回のアスクルの件は、親子上場に関する規制や制度設計、そして上場子会社のガバナンスに関して議論する格好の機会を与えてくれたといえる。経営の自由度を理由に、こうした議論を封じるのでなく、親子上場のメリットとデメリットを検証し、どのような形態や条件の下で上場子会社が許容、もしくは規制されるべきかという議論を進めるべきであろう』、これはその通りだ。
・『論点(2)少数株主利益の保護に背き、支配株主との利益相反を招いたのか  ここからは2つ目の論点である、少数株主保護についても考察しておこう。 たしかに、コーポレートガバナンス・コードにおいては、独立社外取締役に少数株主の利益の代弁することを期待していると思われる。しかしながら、今回のアスクルの件に関して、ことさらに少数株主利益の保護が持ち出されていることに対して、筆者は違和感を覚える。 そもそも、ロハコ事業はもちろんのこと、BtoB事業を含めても、アスクルの業績は芳しくない。2017年2月の倉庫火事や、近時の配送料高騰という事情はあるにせよ、売上高営業利益率は、2012年5月期の3%台から、直近2決算期には1.2%弱にまで低下している。 このような状況において、現社長の再任を決定した指名委員会や独立社外取締役は、はたして少数株主利益のために行動したと言い切れるのだろうか。 独立社外取締役といえども、経営陣によって、株主総会に候補として提案され、選任される。そのような独立社外取締役が、自身を候補として推薦してくれた経営陣に、どこまで厳しい意見を言えるのだろうか(あまり厳しいことを言っていると、次の株主総会では取締役候補から外されてしまうかもしれない)。独立社外取締役は、社内取締役よりは、しがらみに囚われない意見を述べられるであろうことは認めるが、経営陣に対する監視役という意味では絶対の存在ではない。 さて、少数株主の利益という観点から、ヤフーが取締役の不再任を発表した前日の7月16日から、株主総会の開催された8月2日までのアスクルの株価の推移を見ておこう。この間、アスクルの株価の上昇率は17%、同期間のTOPIXの上昇率は-2%である。もし今回の不再任のニュースが、少数株主利益を害するものであると市場が判断したのであれば、株価は下落したはずである。少なくとも、株価の反応を見る限り、不再任の発表によって少数株主利益が棄損されたとはいえない。 大株主であるヤフーとアスクルの利益相反と、少数株主利益の保護が問題になるとすれば、ロハコ事業を安値でヤフーに譲渡することであろう。この点については、アスクルの独立役員会が7月10日付の意見書で、ロハコ事業の譲渡への現経営陣の反対が、今回の不再任の背景にある可能性を主張している。これに対して、ヤフー側は7月29日付の開示資料で、不再任の理由はアスクルの業績低迷であるとし、こうした可能性を全面否定している。 今後、ロハコ事業を巡って、利益相反が生じる可能性は否定できない。だが現時点では仮定の話であり、どちらか一方の見解に与することは難しいというのが、筆者の意見である』、これもその通りだろう。
・『以上、アスクルの取締役不再任問題について、3つの論点を整理し、筆者の見解を述べた。 2019年を振り返ると、本件を含めて、上場企業の経営権を巡る問題が多い。 伊藤忠によるデサントへの敵対的TOB成立、廣済堂のMBOに対する旧村上ファンドの対抗TOBによる阻止、LIXILの会社側取締役候補の否認と株主提案取締役の選任という、3つの従来にはない形の経営権争いが行われ、いずれもその後、経営陣が交代している。また、HISによるユニゾホールディングスへの敵対的TOBは失敗には終わったものの、議決権の過半数を取得せず、比較的少ない資金で企業の経営権を掌握しようとするTOBが可能であるという、現状の制度の問題点を明らかにしたように思える。 こうした事案は、2014年以降、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードの導入により目指してきた、株主によるコーポレートガバナンスが、本格的に機能し始めている証左とも考えられる。それは経営者に対して、株主に説明責任が果たせる、より理論的な企業経営への転換を迫っているように思える。今回のアスクルのケースも、株主を主体とするガバナンスの新しい形を模索する過程で起こった事案と考えられるかもしれない。 少数株主利益は軽んじられてはならないが、その一方で、支配株主が経営陣を選任し、企業の経営の方向性を決められるというのが、株式会社の経営の原則でもある。「一所懸命に経営してきた現社長を、冷徹に解任する大株主」という構図に感情的に惑わされるのではなく、経営陣の保身(エントレンチメント)に悪用されないための独立社外取締役を含めた社外取締役の選解任方法や、ガバナンス上、社外取締役にどこまでの責任を期待するのかを考え直す機会として、本件が受け止められることを期待したい』、総論的で特に違和感はない。いずれにしても、アスクル新社長が今後、ヤフーとどのように提携関係を深めてゆくのか、注目したい。
タグ:郷原信郎 ダイヤモンド・オンライン JBPRESS 大西 康之 アスクルVSヤフー (窮地のアスクル ヤフーの反論に社外取締役が再反論 「ヤフーに最低限のモラルあると過信してた」、アスクル新社長が激白!ヤフーとの離別に迷いなし 吉岡 晃(アスクル社長 最高経営責任者)特別インタビュー、アスクル社長と独立社外取締役の不再任は 本当に問題だったのか?) 「窮地のアスクル、ヤフーの反論に社外取締役が再反論 「ヤフーに最低限のモラルあると過信してた」」 「大株主なら何をやってもいいわけじゃない」 独立役員会アドバイザーの久保利英明弁護士 上村達男早稲田大学名誉教授も「退任要求は提携違反」とする法律意見書 『ロハコを売れないか』と言ってきて『売れない』と答えたら『社長を辞めろ』。これでは支配株主の立場で圧力をかけているとしか思えない 独立役員会の意見 (1)岩田社長退任の是非については、指名報酬委員会で議論・決議した後の交代は現場を混乱させ、企業価値にマイナスになる (2)ロハコ事業の譲渡については、2018年12月にロハコ事業の再構築プランを発表したばかりであり、その効果を検証してから検討すべき (3)(ヤフーが今後もアスクルにロハコ事業譲渡を求めるなら)支配株主であるヤフーとの利益相反取引であることを十分に理解し、対等な立場で交渉することが求められる ヤフーに最低限のモラルがあると過信していた 「アスクル新社長が激白!ヤフーとの離別に迷いなし 吉岡 晃(アスクル社長 最高経営責任者)特別インタビュー」 ヤフーとの資本提携は解消したい。その考えは、社長が代わっても全く変わることはありません。 こんな形で社長を代えられて、いつまた同じことが起こるか分からないし、経営陣や社員のしこりは消えない。それにヤフーは独立社外取締役まで3人全員解任したので、会社が壊れてしまった。社長が新しくなったからといって次の日から仲良くしましょうということになるはずがない 慎重に事を進めていきます ヤフーの連結子会社でいることの最大の問題点は、ヤフーもアスクルもeコマース(電子商取引、EC)をやっていることです 「孫さんから、楽天とアマゾンをいつ超えるんだという質問ばかりされる」 鈴木一功 「アスクル社長と独立社外取締役の不再任は、本当に問題だったのか?」 今回のヤフーへの批判が、2006年のライブドアによるニッポン放送の株式公開買付(TOB)によらない株式取得を巡る、ライブドアへの批判と酷似している、という意味で既視感を覚えた アスクルとヤフーによる提携から現在に至るまでの事実関係 論点(1)社長と独立社外取締役の不再任は不当で、コーポレートガバナンス・コード上の問題があったのか そもそも取締役の選任は、会社法によって株主総会の普通決議事項として認められているものである コーポレートガバナンス・コードでは、“comply or explain” ソフトローにおける、社外取締役やグループ・ガバナンスに関する考え方を理由に、会社法に基づく株主総会での株主の取締役選任が制約されるとは考えがたい。もしそのようなことが許されるのであれば、少数株主保護を掲げれば、経営陣は支配株主の要請を跳ね返すことが可能になってしまう 経済界の経営の自由度を確保したいというニーズによって、ある種、規制や制度設計に曖昧さ(抜け道)が意図的に残され、その抜け道が、本来の規制や制度設計の趣旨に必ずしもそぐわない形で利用されてしまったということ 「コンプライアンスとは単なる法令順守ではなく、社会的要請に応えていくこと」 論点(3)で掲げた親子上場問題についても、類似の問題 親子上場のメリットとデメリットを検証し、どのような形態や条件の下で上場子会社が許容、もしくは規制されるべきかという議論を進めるべき 論点(2)少数株主利益の保護に背き、支配株主との利益相反を招いたのか 伊藤忠によるデサントへの敵対的TOB成立 廣済堂のMBOに対する旧村上ファンドの対抗TOBによる阻止 LIXILの会社側取締役候補の否認と株主提案取締役の選任 従来にはない形の経営権争い いずれもその後、経営陣が交代している 株主によるコーポレートガバナンスが、本格的に機能し始めている証左
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防衛問題(その13)(トランプ高笑い 陸上イージス日本配備で米は10億ドル節約、イージス・アショアに大金を払い 日本は米国の「不沈空母」にされる 6000億円出して これですか…?、「予算1兆円」イージス・アショア 噴出する反対論といくつもの問題 再考 そして引き返す勇気が必要だ) [国内政治]

防衛問題については、6月16日に取上げた。今日は、(その13)(トランプ高笑い 陸上イージス日本配備で米は10億ドル節約、イージス・アショアに大金を払い 日本は米国の「不沈空母」にされる 6000億円出して これですか…?、「予算1兆円」イージス・アショア 噴出する反対論といくつもの問題 再考 そして引き返す勇気が必要だ)である。

先ずは、6月21日付け日刊ゲンダイ「トランプ高笑い 陸上イージス日本配備で米は10億ドル節約」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/256520
・『地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画を巡る防衛省の適地調査が、ズサンすぎると猛批判を浴びている。東北の調査地点19カ所のうち9カ所で、山を見上げた角度を示す「仰角」が過大に計算されていた上、秋田・男鹿市付近の山の標高が3メートル低く報告されていたことも発覚。防衛省は、急峻な山が「レーダーを遮蔽する」として「不適」と判断していたのに、その根拠はグラグラ。改めて、秋田市の「陸自新屋演習場ありき」の調査だった可能性が浮き彫りになっている。 日刊ゲンダイは8日付で「陸上イージス配備 秋田市ありきの“アメリカ・ファースト”」と報道。北朝鮮のミサイル基地から新屋演習場の延長線上にはハワイ、もう一つの予定地、山口・萩市の延長線上にはグアムの米軍施設があり、これらの施設を効率的に守ることが防衛省の真の狙いと指摘した。さらなる調べで、安倍政権のアメリカ・ファーストを裏付ける新たな資料が見つかった』、「新たな資料」とは期待できそうだ。
・『米政界とつながりが強いシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は今年5月、〈太平洋の盾:巨大な『イージス駆逐艦』としての日本〉との論文を公表。論文には〈秋田・萩に配備されるイージス・アショアのレーダーは、米本土を脅かすミサイルをはるか前方で追跡できる能力を持っており、それにより、米国の本土防衛に必要な高額の太平洋レーダーの建設コストを削減できる。(中略)恐らく10億ドルの大幅な節約が実現できる〉などと記されているのだ。 つまり、総額6000億円もの血税がつぎ込まれる可能性がある配備計画は、米国にとっていいことずくめ。日本円にして1000億円以上も軍事費を削れれば、トランプ米大統領は高笑いだろう。ステルス戦闘機「F35」の爆買いといい、安倍政権の“トランプ・ファースト”には呆れるしかない』、確かにハワイやグアムの米軍施設防衛に寄与するので、「10億ドルの大幅な節約」は可能だろう。

次に、東京新聞論説兼編集委員(元防衛省担当)の半田 滋氏が6月29日付け現代ビジネスに掲載した「イージス・アショアに大金を払い、日本は米国の「不沈空母」にされる 6000億円出して、これですか…?」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65539
・『防衛省が秋田市と山口県萩市への配備を計画している地対空迎撃システム「イージス・アショア」をめぐり、防衛省のミスがとまらない。両市の演習場を「適地」と断定した根拠は根底から揺らいでいるが、岩屋毅防衛相は「結果に影響はない」との主張を変えようとはしない。 弾道ミサイル迎撃に対応できるイージス護衛艦は4隻から8隻へと2倍に増える。そもそもイージス・アショアは必要なのか、という話だ。 イージス・アショアの導入決定に至る経緯を振り返ると、政治主導の足跡がみえる。同時に「米国製武器の『爆買い』」と「米国防衛」というふたつのキーワードが浮かび上がる。 防衛省のミスは、いつまで続くのだろうか』、ミスは質量とも信じられないような酷さだ。
・『あまりにミスが多すぎる  昨年6月、防衛省は秋田市の新屋演習場、萩市のむつみ演習場へのイージス・アショアの配備を両自治体に説明した。地元からは、強力なレーダー波(電磁波)による健康被害や攻撃対象となる不安から、「配備反対」の声があがった。 防衛省は約2億円の公費を投じて他の配備候補地を調査し、秋田県へは5月27日、新屋演習場が「適地」とする報告書を渡した。 ところが6月になって、19ヵ所の候補地のうち、9ヵ所でレーダー波を遮る山の仰角の数値を過大に計算して「不適」と断定していたことが判明。職員が「グーグルアース」のデータを読み間違えたことが原因だった。 このことを謝罪するため、防衛省は6月8日に秋田市で周辺住民に対する説明会を開いたが、その場で職員の一人が居眠りしていたことに住民が激怒。翌日、東北防衛局長が職員の居眠りを認め、陳謝した。 一方、岩屋防衛相は6月18日の記者会見で「津波の影響はない」としてきた新屋演習場に「津波対策の必要がある」と説明を一転させた。秋田県が公表している津波浸水想定と照合した結果、浸水域は2~5mに達することが判明したという。資料の見落としである。 さらに岩屋氏は、18日の記者会見では、あらたに1ヵ所の山の標高を誤表記していたと発表。また25日には、電波の強度を示す「電力束密度」という数値を示した部分に2ヵ所誤りがあることを発表し、「職員が手作業で打ち込み転記する際に間違いが発生した」と陳謝した。 データの「読み間違い」に「見落とし」「写し間違い」、さらには「居眠り」だ。秋田県の佐竹敬久知事は「念には念を入れて丁寧に説明しようという基本姿勢が欠けている。秋田弁で言えば『わっぱが(いい加減な)仕事』」と防衛省を批判した。 なぜ、防衛省は当事者意識を欠いたような仕事ぶりなのだろうか。 それは、イージス・アショアの導入経緯と関係している』、ここまで酷いミスを見せつけられると、「イージス・アショアの導入
」が政治主導で決められたことに対する、防衛官僚の「サボタージュ」ではとの疑いすら抱かせる。
・『そもそも、なぜ買うことに…?  日本のミサイル防衛システムは、飛来する弾道ミサイルをイージス護衛艦から発射する艦対空ミサイル「SM3」で迎撃を試み、失敗したら地対空ミサイル「PAC3」で迎撃するという二段階で対処する。 2003年12月、これらを米国から導入することを閣議決定し、これまで2兆円近い経費が米政府に支払われた。 その後、北朝鮮がミサイル発射を繰り返すのを受けて、防衛省は弾道ミサイル迎撃ができるイージス護衛艦を4隻から8隻に倍増することを決め、「あたご」型の2隻の改修を2012年度から開始、また最初から弾道ミサイル迎撃ができる「まや」型2隻の建造費を15、16年度防衛費に計上した。 イージス護衛艦に搭載する日米共同開発中の迎撃ミサイル「SM3ブロックⅡA」は従来型と比べ、射程がほぼ2倍に広がることから、防衛省は日本海に浮かべるイージス護衛艦は3隻から2隻に減らすことができるとも説明していた。 つまり、「イージス護衛艦の追加」と「迎撃ミサイルの高性能化」により、日本防衛に必要な武器類は揃うことが決まっていたのである。 そうした中で、イージス護衛艦の機能を地上に置き換えたイージス・アショアの導入が突如浮上した。安倍晋三首相の国会答弁がきっかけとなった。 安倍首相は17年2月15日の参院本会議で「わが国は米国の装備品を導入しているが、これらはわが国の防衛に不可欠なもの」と語り、「安全保障と経済は当然分けて考えるべきだが、これらは結果として米国の経済や雇用に貢献する」と続けた。 首相はこの答弁より前の同年2月10日、就任して間もないトランプ大統領とワシントンで首脳会談を行った。 会談後の記者会見でトランプ氏は「両国がさらなる投資を行い、防衛力をさらに高めていくことが大切だ」と強調。これを日本政府は「米国製武器のさらなる購入」を要求するものと受けとめ、前出の首相答弁につながった』、安倍首相の「わが国は米国の装備品を導入しているが、これらはわが国の防衛に不可欠なもの」との答弁は、イージス護衛艦で十分に足りているのに、あえて「イージス・アショア」を導入する必要性は何ら触れていない不誠実な答弁だ。
・『あっという間に1兆8000億円  早速、同月23日には自民党政調会が「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」を発足させ、翌月、安倍首相に提言を手渡した。 この提言は「新規アセットの導入」として「イージス・アショアもしくは終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の導入について検討し、早急に予算措置を行うこと」を求めている。 この提言を受けて防衛省は、同年5月にはイージス・アショアを導入する方針を固め、8月には小野寺五典防衛相(当時)が訪米してマティス国防長官(同)にイージス・アショア導入の意向を伝えている。 そして同年12月19日、安倍内閣はイージス・アショア2基の導入を閣議決定したのである。 この間、わずか10ヵ月。「バイ・アメリカン(米国製品を買え)」を主張するトランプ氏との日米首脳会談をきっかけに、安倍首相が「米国製武器の追加購入」の方針を打ち出し、自民党との二人三脚により、イージス・アショア導入への道筋が付けられた。 防衛省によると、イージス・アショア2基の配備にかかる総額は4664億円。1発30億円ともされる48発分のミサイル購入費を含めれば、総額6000億円を超える。 安倍内閣は昨年12月、「105機のF35追加購入」を閣議了解しており、105機の購入費は安く見積もって約1兆2000億円とされる。 安倍政権はたった2回の閣議で総額1兆8000億円もの武器購入費を米政府に手渡すことを決めたことになる』、米国のご機嫌とりのために「総額6000億円を超える」「イージス・アショア導入」を決めたとは、いかにも安倍政権らしい。
・『「やらされている」防衛省  防衛省がイージス・アショアの「適地」をめぐる説明でミスを繰り返すのは、イージス・アショアが政治案件であることと無関係ではない。国防担当にもかかわらず、脇役に回され、地元対策を押しつけられた防衛省の不満がにじみ出た結果といえる。 ミスのいくつかは、地元紙や秋田県などの指摘で明らかになった。「やらされている」から「やっているフリ」をしているだけの防衛官僚と、イージス・アショアが配備されれば生活が一変しかねない地元とでは真剣さの度合いが違う。 秋田市と萩市が選ばれた理由について、防衛省の説明資料は「わが国全域を防護する観点から北と西に2基をバランス良く日本海側に設置する必要から候補地とした」としている。 しかし実は、北朝鮮の弾道ミサイル基地「舞水端里(ムスダンリ)」と秋田市を結んだ延長線上には米軍のアジア・太平洋方面軍司令部のあるハワイがあり、同じく萩市の先には米軍のアンダーセン空軍基地、アプラ海軍基地を抱えるグアムがある。 日米は弾道ミサイルの発射情報を共有しており、イージス・アショアが探知した情報はただちに米軍の情報ともなる。これにより、米軍は日本近海にイージス艦を配備することなく、北朝鮮はもちろん、ロシア、中国の弾道ミサイル発射情報を入手できるようになる。 ロシアのラブロフ外相が日本政府との北方領土交渉で「米国がアジア地域にミサイル防衛システムを展開することは、ロシアの安全保障に直接関わる問題だ」などと批判を繰り返し、日本のイージス・アショア配備に反対するのは、こうした理由からだ』、ロシアを怒らせることで、「北方領土交渉」が犠牲になるのも覚悟の上なのだろう。
・『本当に「日本防衛」のためなのか  一方、米国にとって日本のイージス・アショア配備はプラス材料以外の何ものでもない。 米国の保守系シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は昨年5月、「太平洋の盾・巨大なイージス艦としての日本」との論考を発表する中で、かつて中曽根康弘首相が「日本列島を浮沈空母にする」と発言したことを引き合いに出し、イージス・アショアの有益性を論じた。 具体的には以下のように指摘している。 「日本のイージス・アショアは米本土を脅かすミサイルの前方追跡としての目的を果たす可能性があり、米国が本土防衛のために高価なレーダーを構築する必要性を軽減する。おそらく10億ドル(約1100億円)の大幅な節約となる」「ハワイ、グアム、東海岸、その他の戦略的基地などの重要地域を弾道ミサイルなどから守るため、イージス・アショアを使うことができる」 そして「日本のイージス・アショアに対する前向きで革新的な努力は日米の協力関係をさらに強化するだろう」と、安倍政権を持ち上げる言葉で締めくくっている。 この論考を読む限り、イージス・アショアは米国防衛に貢献する道具となるのは間違いない。日本からのカネで対日貿易赤字が減り、しかも米国の防衛に役立つのだから、トランプ氏は笑いがとまらないだろう。 岩屋防衛相は防衛省のミスが次々に明らかになった現在も、「秋田が『適地』」との判断を変えようとしない。萩市への配備に至っては、イージス・アショアの正面にあり、まともに電磁波を浴びかねない阿武町が町挙げて反対しても、岩屋氏はやはり「萩が『適地』」を撤回しない。 イージス・アショアは日本防衛ではなく、むしろ米国防衛のためのものではないかと思えてならない』、「日本防衛」のためではないので、「「やらされている」から「やっているフリ」をしているだけの防衛官僚」にとっては、サボタージュしたくなる気持ちは理解できる。米国にとっては、「本土防衛」費用が「10億ドルの大幅な節約」になり、「対日貿易赤字が減り」、「トランプ氏は笑いがとまらないだろう」、ここまで米国に貢いでも、日米貿易交渉では厳しく絞られるとすれば、踏んだり蹴ったりとなるだろう。

第三に、ジャーナリストの伊藤 博敏氏が8月15日付け現代ビジネスに掲載した「「予算1兆円」イージス・アショア、噴出する反対論といくつもの問題 再考、そして引き返す勇気が必要だ」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66538
・『地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」は、今年4月、1399億円で2基分の本体購入費の一部を米政府と契約するなど、秋田市の陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)、同むつみ演習場(萩市)への配備に向けて、着々と既成事実を積み重ねている。 だが、イージス・アショアの導入を閣議決定した17年12月から燻っていた反対論がやむ気配はない。 イージス・アショア構成品の選定過程から不評は数多く、1基800億円から始まった取得費は、2基で2474億円と膨らみ、30年間の維持・運営費を含め、4459億円と公表されている。それに、迎撃ミサイルの取得費、建屋などの整備費を加え6000億円超となるのが確実だという。 加えて地元が「配備反対」の民意を示しており、配備計画を抜本的に見直すべきという意見が高まっている。「性能」と「価格」と「民意」で反対論が優勢となっているなか、イージス・アショアをゴリ押しする必要があるのか。以下に検証してみよう』、興味深そうだ。
・『防衛の専門家と住民の懸念と否定  まず、防衛の専門家は総じて懸念を表明、いずれも説得力がある。 『週刊新潮』は、軍事アナリストの豊田穣士氏が、<「神の盾」に穴という「亡国のイージス・アショア」>というタイトルで、7月18日号から3回連載。 「イージス」とはギリシャ神話の「あらゆる邪気を祓う盾」であり、それと陸上を意味する「アショア」とを掛け合わせた。そこに「穴」が空いているという豊田氏の指摘は深刻だ。 本サイトでも、防衛省担当記者歴27年という大ベテランの半田滋氏が、<イージス・アショアに大金を払い、日本は米国の「不沈空母」にされる>(19年6月29日配信)と題する記事を始め、何度も警鐘を鳴らし、指揮官としてイージス艦を運用したこともある坂上芳洋元海将補が、<イージス・アショア搭載レーダーの選定に専門家が抱いた「違和感」>(19年3月28日配信)と題して、苦言を呈した』、「防衛の専門家」がこれだけ「懸念を表明」するのは、武器導入では異例のことだ。
・『不評は、Googleアースに分度器で資料を作成、住民説明会では職員が居眠りをするなど防衛省側の真剣さ欠いた対応もあって、秋田県や山口県など地元に共通のものとなった。 なかでも秋田県では、参議院議院選挙で安倍晋三首相、菅義偉官房長官が、それぞれ2度も駆け付け、自民党の中泉松司候補にテコ入れしたが、野党統一の寺田静候補に2万票を超える大差で敗れた。 参院選で問われたのは、「イージス・アショアの配備計画に賛成か否か」の一点であり、「民意」は否定だった。 それを受けて佐竹敬久県知事は、「自分が応援した人が負けるのは悔しい」といいつつ、「再調査の前に新屋が最適地というのはおかしい」と反発、このままでは協議に応じない姿勢を示した。 反発を受けて防衛省は、予算計上を見送った。20年度予算の概算要求について、米軍再編関連経費を含め5兆3000億円超を計上する計画だが、イージス・アショアの導入費については、敷地造成や建屋整備などの関連経費を計上せず、金額を明示しない「事項要求」とした。配備地の正式決定を踏まえて額を見積もる。 その場しのぎの印象は拭えない』、地元を説得できないので、「事項要求」といった裏技まで使うとは、安倍政権も面子の維持に必死のようだ。
・『3つの疑義  ただ、民主党政権下で防衛政務官、防衛副大臣を歴任、外交・防衛問題に一家言を持つ長島昭久代議士は、今年6月、自民党に入党したが、「今回、明らかになった民意は、イージス・アショア配備計画を、一度、立ち止まって考えるいい機会になったのではないか」という。 長島代議士は、イージス・アショアを含むミサイル防衛網の構築に賛成の立場を明らかにしつつも、これまでイージス・アショアに関して3回の質問主意書を提出、6月18日の安全保障委員会で岩屋毅防衛相に「国防の所要を満たしているか」と、質した。 長島代議士には、少なくとも3つの疑義があるという』、「疑義」とはどういうものなのだろうか。
・『「第一に、イージス・アショアはBMD(弾道ミサイル防衛)対応として導入されましたが、弾道ミサイルの脅威だけでなく、巡航ミサイルや極超音速滑空弾など多種多様な備えが必要になっています。また10年後、20年後を考えると、北朝鮮以外の脅威に備えるシステムでなくてはならない」 長島代議士が想定しているのは、迎撃対象を広範囲にした統合防空システム(IAMD)。ここ数日、北朝鮮が日本海に向けて発射しているのは、弾道が低高度飛翔の新型短距離ミサイル。イージス・アショアで配備を予定されているSM3では対応し切れず、広範囲をカバーするIAMDが求められるという』、確かにIAMDの方が汎用的でよさそうだが、費用面ではどうなのだろう。
・『「第二は、昨年7月に選定されたレーダーが、未だ開発中で構想段階にとどまるロッキード・マーチン社製のLMSSRであること。しかも、2024年以降、米海軍がいっせいに配備するレイセオン社製のSPY-6との相互運用性がなく、今後、必須となるCEC(共同交戦能力)も持っていません。以上から、選定に大きな疑問を感じざるを得ません」 このレーダー選定問題は、前述の識者などが等しく指摘している。レーダーは、SPY-6とLMSSRで争われ、防衛省は「公正性、公平性を担保しつつ、選定作業を行なった」という。 だが、SPY-6は、米海軍が正式に採用を決め、製造を開始しているのに比べ、LMSSRは未完成品。日本企業の参画も加点材料とされたが、これも富士通の参加が見送られ、優位さが消えている』、防衛省がSPY-6ではなく、未完成品のLMSSRを決めた理由は何なのだろう。
・『「第三は、ソフトウェアの問題です。LMSSRは、ベースライン9というソフトウェアとの組み合わせですが、現在、最新ソフトのベースライン10が開発中で、24年には米軍の最新鋭イージス艦で、SPY-6とベースライン10が稼働することになっています。アナログデータ用の『9』に比べデジタル・データ用の『10』は、処理能力が飛躍的に向上する。開発スケジュールが確定している以上、『10』を採用すべきです」 ベースライン10の採用は、米軍との緊密な連係に基づくIAMDシステムの必要性の観点からも求められるという』、あえて旧式化するベースライン9を採用した理由も知りたいところだ。
・『こうしてイージス・アショアの問題点を論点整理すれば、最初にイージス・アショアありきだったうえ、レーダー選定にみられるようにSPY-6の優位性を無視してLMSSRを選定したように、「日本にとって必要な防衛装備」という観点を忘れた拙速さを指摘できる』、米国にいい顔をするために拙速に走ったとすれば、長期的な国益には反することになるが、安倍政権にとっては長期的な国益などどうでもいいようだ。
・『予算が1兆円近くになる  問題は、それにとどまらない。前出の坂上元海将補は、「今後、発生する費用も問題だ」と指摘する。 「未完成品のLMSSRは、完成してもミサイル実験を日本の責任において行なわねばならず、そのための試験施設建設や迎撃実験などに1000億円以上の費用が発生します。また、LMSSRは、DCS(一般輸入)で導入が計画されており、この場合、維持整備、技術更新等の経費は、全て日本政府が負わねばならないのです」 このように、算定されていない費用も莫大で、現時点で見積もられているのは、約6000億円だが、実験費用に加え、イージス・アショア自身を守るためには、巡航ミサイル対応のSM6の配備も必要になる。そうしたもろもろの費用を加算すると1兆円近くになるという。 そこで、立ち止まって再考、レーダー選定をもう一度、やり直して安く改変するとか、あるいはいっそイージス・アショアを高高度迎撃ミサイルシステムのサードに切り替えてはどうか、といった意見も出始めている。 サードは自走式も用意されており、地元の反対を経ずに、自衛隊及び米軍基地の数カ所の配備が可能となる。しかも1基千数百億円で、イージス・アショアより費用対効果は高い。巡航ミサイルは、イージス艦のSM-6に寄らなければならないが、対応は可能だ。 再考の次に必要なのは引き返す勇気。臨時国会は10月1日の消費税アップの直後に開かれる。その絶妙なタイミングを利用、1兆円を削り込むべきではないだろうか』、「未完成品のLMSSRは、完成してもミサイル実験を日本の責任において行なわねばならず、そのための試験施設建設や迎撃実験などに1000億円以上の費用が発生します。また、LMSSRは・・・維持整備、技術更新等の経費は、全て日本政府が負わねばならないのです」、何故こんなLMSSRの不当な条件を受け入れてまでこれを選択したのか、ますます疑念が募る。「再考の次に必要なのは引き返す勇気」、というのはその通りだろう。このまま安倍政権のイージス・アショアでの暴走を放置すべきではない。
タグ:日刊ゲンダイ 防衛問題 現代ビジネス 伊藤 博敏 半田 滋 イージス・アショア (その13)(トランプ高笑い 陸上イージス日本配備で米は10億ドル節約、イージス・アショアに大金を払い 日本は米国の「不沈空母」にされる 6000億円出して これですか…?、「予算1兆円」イージス・アショア 噴出する反対論といくつもの問題 再考 そして引き返す勇気が必要だ) 「トランプ高笑い 陸上イージス日本配備で米は10億ドル節約」 東北の調査地点19カ所のうち9カ所で、山を見上げた角度を示す「仰角」が過大に計算されていた上、秋田・男鹿市付近の山の標高が3メートル低く報告されていたことも発覚 「陸自新屋演習場ありき」の調査だった可能性が浮き彫りに 北朝鮮のミサイル基地から新屋演習場の延長線上にはハワイ 山口・萩市の延長線上にはグアムの米軍施設があり、これらの施設を効率的に守ることが防衛省の真の狙い 戦略国際問題研究所(CSIS) 米国の本土防衛に必要な高額の太平洋レーダーの建設コストを削減できる。(中略)恐らく10億ドルの大幅な節約が実現できる 「イージス・アショア」をめぐり、防衛省のミスがとまらない 「米国製武器の『爆買い』」と「米国防衛」 地元からは、強力なレーダー波(電磁波)による健康被害や攻撃対象となる不安から、「配備反対」の声 防衛省は当事者意識を欠いたような仕事ぶり 防衛官僚の「サボタージュ」 そもそも、なぜ買うことに…? 「イージス護衛艦の追加」と「迎撃ミサイルの高性能化」により、日本防衛に必要な武器類は揃うことが決まっていた イージス・アショアの導入が突如浮上 あっという間に1兆8000億円 日米首脳会談をきっかけに、安倍首相が「米国製武器の追加購入」の方針を打ち出し、自民党との二人三脚により、イージス・アショア導入への道筋が付けられた 「やらされている」防衛省 やらされている」から「やっているフリ」をしているだけの防衛官僚 ロシアのラブロフ外相が日本政府との北方領土交渉で「米国がアジア地域にミサイル防衛システムを展開することは、ロシアの安全保障に直接関わる問題だ」などと批判を繰り返し、日本のイージス・アショア配備に反対 本当に「日本防衛」のためなのか 「「予算1兆円」イージス・アショア、噴出する反対論といくつもの問題 再考、そして引き返す勇気が必要だ」 地元が「配備反対」の民意 防衛の専門家は総じて懸念を表明 「民意」は否定 反発を受けて防衛省は、予算計上を見送った 敷地造成や建屋整備などの関連経費を計上せず、金額を明示しない「事項要求」とした 3つの疑義 長島昭久代議士 長島代議士が想定しているのは、迎撃対象を広範囲にした統合防空システム(IAMD) 選定されたレーダーが、未だ開発中で構想段階にとどまるロッキード・マーチン社製のLMSSRであること LMSSRは、ベースライン9というソフトウェアとの組み合わせですが、現在、最新ソフトのベースライン10が開発中で、24年には米軍の最新鋭イージス艦で、SPY-6とベースライン10が稼働することになっています 「日本にとって必要な防衛装備」という観点を忘れた拙速さ 予算が1兆円近くになる LMSSRは、完成してもミサイル実験を日本の責任において行なわねばならず、そのための試験施設建設や迎撃実験などに1000億円以上の費用が発生 LMSSRは、DCS(一般輸入)で導入が計画されており、この場合、維持整備、技術更新等の経費は、全て日本政府が負わねばならないのです 立ち止まって再考、レーダー選定をもう一度、やり直して安く改変するとか、あるいはいっそイージス・アショアを高高度迎撃ミサイルシステムのサードに切り替えてはどうか、といった意見も出始めている 再考の次に必要なのは引き返す勇気
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格差問題(その5)(“ディストピア”は不可避か 新技術がもたらす階級社会 『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』、「京都アニメーション放火事件」など続発する事件は「下級国民によるテロリズム」なのか?、正社員「逆ギレ」も 非正規の待遇格差が招く荒れる職場) [社会]

格差問題については、4月16日に取り上げた。今日は、(その5)(“ディストピア”は不可避か 新技術がもたらす階級社会 『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』、「京都アニメーション放火事件」など続発する事件は「下級国民によるテロリズム」なのか?、正社員「逆ギレ」も 非正規の待遇格差が招く荒れる職場)である。

先ずは、BNPパリバ証券経済調査本部長の河野龍太郎氏が2月17日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「“ディストピア”は不可避か 新技術がもたらす階級社会 『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』(上・下)」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/194007
・『世界的大ベストセラー『サピエンス全史』では、人類がどこから来たのかが論じられた。7万年前、人類が人類たり得た最初の「認知革命」が起こった。人類は、他の動物とは異なり、想像力で社会を構築し、ルールや宗教など虚構(物語)を共有することで、仲間と緊密に協力して地球最強の生物となった。 本書では、最新科学の知見を盛り込み、人類の行く末を論じる。 まず、生体器官もアルゴリズムに過ぎないという最新の生物学の知見を基に、前著で論じた認知革命や、その後の農業革命(1万2000年前)、文字や貨幣の発明(5000年前)、科学革命(500年前)などをデータ処理の観点から論じる。個体の制約から解放されたデータ処理能力は、ヒエラルキーの強化や仕事の細分化で、一段と効率化する。それが、人類が集団として進歩した理由だ。 300年前には自由主義など人間至上主義が誕生し、その追求の結果、人類を長年苦しめた飢餓や疫病、戦争の三つの大きな問題は20世紀末にほぼ解決された。人間中心の考えをさらに推し進め、今や私たちは、不死や至福という神の領域に踏み込もうとしている』、「個体の制約から解放されたデータ処理能力は、ヒエラルキーの強化や仕事の細分化で、一段と効率化する。それが、人類が集団として進歩した理由だ」、その通りなのだろう。
・『生物工学やAI(人工知能)の発展で、近い将来、生体情報は全てクラウド上に蓄積される。健康を望む人は、進んでデータを提供するはずだ。いずれ体だけでなく、頭脳や精神状況もモニターされ、自分以上に自分を知るネットワークシステムが誕生し、人間はその支配下に入る。人間は脇役に追いやられ、データ至上主義の時代が訪れる。同時に、サイボーグ工学の進展により、富裕層は体や頭脳のアップグレードを繰り返す。 多くの経済書は、技術革新で経済格差が拡大すると懸念してきた。本書は、データを握りアップグレードを続けホモ・デウス(デウスは神)となったエリートが支配する階級社会の到来を警告する。 評者は、AIの発展は恩恵だけではなく、ダークサイドももたらすと懸念していたが、自由主義が歯止めになると楽観していた。しかし、自由主義も私たちが作り上げた虚構の一つに過ぎず、むしろ不死や至福の追求を促し、自らを切り崩す。著者の執筆動機は、本書で描くディストピア(反理想郷)の到来を避けるためだという。 さて、私たち日本人は、自然との共生を重んじ、人間中心主義だけを拠(よ)り所(どころ)としてはこなかった。幅広い生物に仏性を認めるだけでなく、神と人を区別せず、万物を神と崇(あが)める土着信仰もある。西欧近代主義の帰結がホモ・デウスだとしても、別の未来も描けるように思えるが、手遅れなのか』、「本書は、データを握りアップグレードを続けホモ・デウス(デウスは神)となったエリートが支配する階級社会の到来を警告する」、まさに「ディストピア」そのものだ。「私たち日本人は、自然との共生を重んじ、人間中心主義だけを拠(よ)り所(どころ)としてはこなかった」、という面があるのは事実だが、楽観視は禁物だろう。

次に、作家の橘玲氏が8月26日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「京都アニメーション放火事件」など続発する事件は「下級国民によるテロリズム」なのか?【橘玲の日々刻々】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/212972
・『死者35人、負傷者33人という多くの被害者を出した「京都アニメーション放火事件」は、放火や殺人というよりまぎれもない「テロ」です。しかし犯人は、いったい何の目的で「テロ」を行なったのでしょうか。 報道によれば、容疑者はさいたま市在住の41歳の男性で、2006年に下着泥棒で逮捕され、2012年にコンビニ強盗で収監されたあとは、生活保護を受けながら家賃4万円のアパートで暮らしていたとされます。事件の4日前に起こした近隣住民とのトラブルでは、相手の胸ぐらと髪をつかんで「殺すぞ。こっちは余裕ねえんだ」と恫喝し、7年前の逮捕勾留時には、部屋の壁にハンマーで大きな穴が開けられていたとも報じられています。 身柄を確保されたとき、容疑者は「小説をパクリやがって」と叫んだとされます。アニメーション会社は、容疑者と同姓同名の応募があり、一次審査を形式面で通過しなかったと説明しています。 ここからなんらかの被害妄想にとらわれていたことが疑われますが、精神疾患と犯罪を安易に結びつけることはできません。これは「人権問題」ではなく、そもそも重度の統合失調症では妄想や幻聴によって頭のなかが大混乱しているので、今回のような犯罪を計画し、実行するだけの心理的なエネルギーが残っていないのです。欧米の研究でも、精神疾患がアルコールやドラッグの乱用に結びついて犯罪に至ることはあっても、病気そのものを理由とする犯罪は一般よりはるかに少ないことがわかっています。 じつは、あらゆるテロに共通する犯人の要件がひとつあります。それが、「若い男」です。ISIS(イスラム国)にしても、欧米で続発する銃撃事件にしても、女性や子ども、高齢者が大量殺人を犯すことはありません。 これは生理学的には、男性ホルモンであるテストステロンが攻撃性や暴力性と結びつくことで説明されます。思春期になると男はテストステロンの濃度が急激に上がり、20代前半で最高になって、それ以降は年齢とともに下がっています。欧米の銃撃事件の犯人の年齢は、ほとんどがこの頂点付近にかたまっています』、「あらゆるテロに共通する犯人の要件がひとつあります。それが、「若い男」です」、というのはその通りだ。「テストステロン」も不可欠のものだが、副作用も大きいのは困ったことだ。
・『日本の「特殊性」は、川崎のスクールバス殺傷事件の犯人が51歳、今回の京アニ放火事件の容疑者が41歳、元農水省事務次官長男刺殺事件の被害者が44歳など、世間に衝撃を与えた事件の関係者の年齢が欧米よりかなり上がっていることです。さまざまな調査で、20代の若者の「生活の充実度」や「幸福度」がかなり高いことがわかっています。日々の暮らしに満足していれば、「社会に復讐する」理由はありません。 このように考えると、日本の社会の歪みが「就職氷河期」と呼ばれた1990年代半ばから2000年代はじめに成人した世代に集中していることがわかります。当時、正社員になることができず、その後も非正規や無職として貧困に喘ぐ彼らは、ネットの世界では自らを「下級国民」と呼んでいます。とりわけ低所得の男性は結婚もできず、社会からも性愛からも排除されてしまいます。 この国で続発するさまざまな事件は、「下級国民のテロリズム」なのかもしれません。そんな話を、新刊の『上級国民/下級国民』で書いています』、「日本の社会の歪みが「就職氷河期」と呼ばれた1990年代半ばから2000年代はじめに成人した世代に集中」、というのは確かに深刻だ。政府も対応策をアリバイづくりで打ち出しているが、実効性は期待薄だ。

第三に、健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏が9月10日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「正社員「逆ギレ」も、非正規の待遇格差が招く荒れる職場」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00039/?P=1
・『「非正規と呼ぶな!」と指示したメールが厚生労働省内に出回ったらしい。先週あちこちで批判されていたので、ご存じの方も多いと思うけれど簡単に振り返っておく。 問題のメールは今年4月に同省の雇用環境・均等局の担当者名で省内の全部局に「『非正規雇用労働者』の呼称について(周知)」という件名で通知されたもので、国会答弁などでは「パートタイム労働者」「有期雇用労働者」「派遣労働者」などの呼称を使うことを指示。「非正規」のみや「非正規労働者」という言葉は用いないよう注意を促すものだった。 また、「『非正規雇用』のネーミングについては、これらの働き方には前向きなものがあるにもかかわらず、ネガティブなイメージがあるとの大臣の御指摘があったことも踏まえ、当局で検討していた」と記載され、「大臣了」という表現もあったという。 報道を受け根本匠厚生労働相はメールの指示や関与を否定。また、厚労省は内容が不正確だとし、文書やメールを撤回している。 厚労省は、2010年版の「労働経済の分析」(労働経済白書)で、1997年と2007年の年収分布を比較し、10年間で年収が100万~200万円台半ばの低所得者の割合が高まり、労働者の収入格差が広がったのは、「労働者派遣事業の規制緩和が後押しした」と自ら国の責任を認めていたのに……。この期に及んで言葉狩りに加担するとは実に残念である』、「「非正規と呼ぶな!」と指示したメールが厚生労働省内に出回った」、というの初耳だが、自らの失政を「言葉狩り」でしのごうとするのは余りにお粗末だ。
・『「非正規」の言葉を避ける“空気”が醸成されている  いったい何度、発覚、否定、撤回、が繰り返されていくのだろうか。 今回の問題を、役所の知人など複数名に確認したところ、かねてから永田町では「非 正規という言葉はイメージが悪い」「希望して非正規になっている人も多い」という意見があったそうだ。 「老後資金年金2000万円問題」が浮上し野党が行ったヒアリングでも(6月19日)、年金課長が「根本厚労相から『非正規と言うな』と言われている」と発言し、21日に根本厚労相が記者会見で課長の発言を否定したこともあった。 要するに、メールを撤回しようと何だろうと、「非正規という言葉はなくそうぜ!」という“空気”が出来上がっていたのだろう。 いずれにせよ、大抵こういった悪意なき無自覚の「言葉狩り」が起こるときは、決まって知識不足、認識不足、無知が存在する。 実際、3日の記者会見で、根本厚労相は以下のようにコメントしており、私はこのコメントの方がむしろ問題だと考えている(抜粋要約)。 「正社員に就けずにパートなどの働き方を余儀なくされている方や、積極的にパートなどの働き方を選択している方など、多様な働き方が進んでいる。単に『正規』『非正規』という切り分け方だけでよいのか、それぞれの課題に応じた施策を講ずるべきではないか、と思っている。 パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者に寄り添った政策を展開して、同一労働同一賃金の実現に向けて全力で取り組んでいく、これが私の姿勢であり、基本的な考え方です」 ……ふむ。「それぞれの課題」「同一労働同一賃金」という言葉を大臣が使っているので、一見問題があるとは思えない発言だし、ご本人からはいっさい悪意は感じられない だが、「働き方」と「働かせ方」は全くの別物である。これを混同していることにこそ、大きな問題がある。 働き方の主語は「働く人」。働かせ方の主語は「会社」だ』、「「働き方」と「働かせ方」は全くの別物である。これを混同していることにこそ、大きな問題がある」、というのは鋭い指摘だ。
・『「非正規雇用」vs「正社員」という構造が生まれた  パートタイムだろうと、有期雇用だろうと、派遣だろうと、はたまた正社員だろうと「働く」ということに全く違いはない。にもかかわらず、企業が非正規と正規という単なる雇用形態の違いで、 賃金が低い 残業代が出ない 産休や育休、有休が取れない 時短労働ができない 社内教育の機会がない 昇進や昇給の機会がない 雇用保険に入れない 簡単に「雇い止め」にあう、etc.etc.… と「働かせ方」を区別したのだ。 労働基準法や男女雇用均等法で禁止されていることを企業側が理解していない場合も多く、非正規雇用者は権利があるのに行使できない。 しかも、非正規社員が雇用契約している相手は「企業」だ。ところが企業による「待遇格差」が慣例化したことで、まるで「正社員さま」と契約しているかのような事態も発生している。 「私たちが、誰のために働かされているか分かります? 正社員のためですよ。何もしない正社員のために、契約社員は必死で働かされているんです」 ある会社で非正規社員として働く女性が、こう漏らしたことがある。 彼女の職場は転勤が多かったため、出産を機に退職。その後は育児に専念していたが、転勤問題が取り上げられるようになり、人事部のかつての同僚から「もし働く気があれば、契約社員として同じ部署で働けるけど?」と誘われ、昨年、会社に復帰した。正社員だった時と比べると、年収は4割ほど下がったという。 「以前は自分の仕事が終わればさっさと帰ってしまう契約社員たちを『楽でいいよなぁ』と、腹立たしく思ったことも正直ありました。でも、いざ自分が逆の立場になってみると、契約社員の方が真面目に働いていることに気づきました。 契約を更新してもらうためには、数字で成果を出さなければならない。残業代も出ませんし、限られた時間の中で効率よく仕事をこなさなければなりません。 正社員だった時の方が楽だったようにさえ思います。とりあえずは毎月の給料は出るし、ある程度結果を出せば、昇給も昇進もありますから」 「自分が契約社員になったら、正社員の怠慢と横柄な態度も目に付くようになってしまって。例えば、契約社員が事務書類の提出が遅れると、『意識が低い』だの『モチベーションが低い』だのマイナスの評価を受けます。ところが正社員だと『ちょっと忙しくて』という言い訳が通る。上司もそれを容認するんです。 それにね。正社員ってある程度までは横並びで昇進し、仕事も任されるようになるけど、契約社員は採用される時点で会社が求めるレベルに達しているので、その意味では契約社員の方が仕事ができます。おそらくそのことを正社員も肌で感じているのでしょう。特に私のように出戻りだと、年下の正社員はなめられたくないのか、ものすごい上から目線で対応してきます。 20代の正社員が顧客にてこずっていたのでアドバイスしたら、『正社員をなめるなよ!』と言われて驚きました。同期からは『非正規は気楽でいいよな?』と言われることもあります。給料が下がっても仕事が好きで、仕事をしたくて復帰したのに……。正社員ってそんなに偉いんでしょうか」』、企業にとっては、「正社員」の下に「非正規」を位置づけることで、正社員の自尊心をくすぐっているのだろう。
・『バカにされたくない“正社員”が契約社員を責める  この女性はインタビューに協力してくれた半年後に退職。メンタル不全に陥り、「やめる」という選択肢しかなかったという。 “正社員”から冒涜(ぼうとく)された経験を持つのは、この女性に限ったことではない。 「『パートなんていつだってクビにできるんだぞ』といつも言われるんです」と嘆く30代のパート社員もいたし、上司に意見したら『契約の身分で偉そうなこと言うな!』と恫喝(どうかつ)された40代の契約社員もいた。 人は自分が満たされないとき、他人に刃(やいば)を向けることがある。自分がバカにされたくないから、他人をバカにする。そんなとき、非正規という会社との契約形態が、かっこうのターゲットになることだってある。会社が待遇格差をつけたことで、正社員が妙な優越感を持つようになり、本来の性格までゆがめてしまったのだ。 揚げ句の果てに、何か事件が起こると「非正規」だの「契約社員」だのといった雇用形態の違いに原因があるかのように利用されるようになった。 繰り返すが、その“身分格差”を生んだのは、「非正規」という言葉ではなく、企業による待遇格差だ。働かせ方の問題である。「それぞれの課題に応じた施策を講ずるべきだ」(by 根本厚労相)などとまどろっこしいことを言っている場合ではないのではないか。 これまで、政府は基本的に「待遇格差」を禁じ、「正社員化」を進める法律を制定してきたのだから、法の抜け穴を巧妙に利用し、差別をしている企業を根こそぎ罰すればいい。それだけである程度非正規の問題は解決されるはずだ』、「“身分格差”を生んだのは、「非正規」という言葉ではなく、企業による待遇格差だ。働かせ方の問題である」、「法の抜け穴を巧妙に利用し、差別をしている企業を根こそぎ罰すればいい」、などはその通りだ。
・『実はこの“身分格差”問題は、日本の労働史を振り返ると「男社会」により生まれたことが分かる。 さかのぼること半世紀前。1960年代に増加した「臨時工」に関して、今の「非正規」と同様の問題が起き社会問題となった。 当時、企業は正規雇用である「本工(正社員)」とは異なる雇用形態で、賃金が安く不安定な臨時工を増やし、生産性を向上させた。 そこで政府は1966年に「不安定な雇用状態の是正を図るために、雇用形態の改善等を推進するために必要な施策を充実すること」を基本方針に掲げ、1967年に策定された雇用対策基本計画で「不安定な雇用者を減らす」「賃金等の処遇で差別をなくす」ことをその後10年程度の政策目標に設定する。 ところが時代は高度成長期に突入し、日本中の企業が人手不足解消に臨時工を常用工として登用するようになった。その結果、臨時工問題は自然消滅。その一方で、労働力を女性に求め、主婦を「パート」として安い賃金で雇う企業が増えた。 実際には現場を支えていたのは多くのパート従業員だったにもかかわらず、パートの担い手が主婦だったことで「パート(=非正規雇用)は補助的な存在」「男性正社員とは身分が違う」「賃金が低くて当たり前」「待遇が悪くても仕方がない」という常識が定着してしまったのだ』、労働組合が「非正規雇用」の問題を真剣に取り上げてこなかった罪も大きい。
・『非正規社員が正社員より給与が高い国も  それだけではない。 「なぜ、何年働いてもパートの賃金は上がらないんだ!」という不満が出るたびに、企業は「能力の違い」という常套句(じょうとうく)を用いた。正社員の賃金が職務給や年功制で上がっていくことを正当化するために、パートで働いている人の学歴、労働経験などを用い、能力のなさを論証することで、賃金格差を問題視する視点そのものを消滅させたのである。 私は今の非正規雇用の待遇の悪さは、こうしたパートさん誕生の歴史が根っこにあると考えている。それゆえ、とりわけ女性の非正規の賃金は低い。さらに「正社員を卒業」したシニア社員が非正規で雇われるようになり、ますます非正規雇用の全体の賃金も抑えられるようになってしまったのだ(参考記事:「他人ごとではない老後破綻、60過ぎたら最低賃金に」)。 だいたい雇用問題では、常に「世界と戦うには……」という枕詞が使われるけど、欧州諸国では「非正規社員の賃金は正社員よりも高くて当たり前」が常識である。 フランスでは派遣労働者や有期労働者は、「企業が必要な時だけ雇用できる」というメリットを企業に与えているとの認識から、非正規雇用には不安定雇用手当があり、正社員より1割程度高い賃金が支払われている。イタリア、デンマーク、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどでも、非正規労働者の賃金の方が正社員よりも高い。「解雇によるリスク」を補うために賃金にプラスαを加えるのだ』、「「解雇によるリスク」を補うために賃金にプラスαを加えるのだ」、というのは確かに合理的だ。日本でそうなってないのは、歴史的経緯などが要因になっているのかも知れない。
・『また、EU諸国の中には、原則的に有期雇用は禁止し、有期雇用にできる場合の制約を詳細に決めているケースも多い。 4割が非正規の今の日本社会ではかなり極論にはなるかもしれないけど、私は一貫して有期雇用のマイナス面を指摘しているので、有期雇用は原則禁止した方がいいと考えている。人間の尊厳のために仕事は必要だし、有期契約のような不安定な仕事は、人間の尊厳を満たすには十分ではない。生きる力の土台をも奪うものだ。 ただ、その一方で、非正規社員、正社員に関係なく企業とのつながりが不安定になり、同時に企業と働く人との繋がりが重要ではなくなってきていることも否定できない。 その上で、改めて考えると、働く人が生きていく上で、仕事ができることと、生活を送るのに十分な収入があることを、法律で担保することが極めて重要になる。 くしくも、厚労省メール問題が浮上したのと時を同じくして、日本企業が持つ「内部留保(利益剰余金)」が7年連続で過去最大を更新したと財務省が発表した。2018年度の金融業・保険業を除く全産業の「利益剰余金」は463兆1308億円で、前年に比べ3.7%も増えていたのだ。 使わないでため込んでいるくらいなら、まずは非正規の賃金を上げるよう政府は“通達メール”でも出してはどうか。 あと数週間で消費税も上げられるのだ。 政府は消費が一向に盛り上がらないと嘆いているけれど、4割も非正規がいるのだから、使おうにも金がない世帯が増えているわけで。徹底的に「労働者を保護する」という観点に立てば、できることはたくさんある。 変えるべきは「非正規」のイメージではなく、差別的な働かせ方だ』、最後の部分は諸手を上げて同意する。
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宗教(その2)(宗教施設が一等地に突然建つ裏事情 反社会的勢力の元構成員が暴露、科学が「神の領域」に近づいた今 改めて「宗教の役割」が見直される時代がくる、日本人の「宗教偏差値」が世界最低レベルになった3つの理由、間違いだらけのイスラーム教!日本人は なぜこうも誤解してしまうのか?) [社会]

宗教については、昨年10月9日に取り上げたままだった。久しぶりの今日は、(その2)(宗教施設が一等地に突然建つ裏事情 反社会的勢力の元構成員が暴露、科学が「神の領域」に近づいた今 改めて「宗教の役割」が見直される時代がくる、日本人の「宗教偏差値」が世界最低レベルになった3つの理由、間違いだらけのイスラーム教!日本人は なぜこうも誤解してしまうのか?)である。

先ずは、昨年10月12日付けダイヤモンド・オンライン「宗教施設が一等地に突然建つ裏事情、反社会的勢力の元構成員が暴露」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/181610
・『『週刊ダイヤモンド』10月13日号の第1特集は「新宗教の寿命」です。3大新宗教である創価学会、立正佼成会、真如苑を中心に、信者数や政治力、将来予測、課題、そして金の流れや周辺ビジネスまで、大解剖しています。教団を問わず、宗教法人は突然、巨大な宗教施設を一等地に建設します。なぜそんな事が可能なのでしょうか。その裏側を特集班が取材しました。本誌掲載記事をダイヤモンド・オンラインで特別公開します』、興味深そうだ。
・『税制優遇だけではない 反社会的勢力の元構成員が暴露  なぜ宗教法人はある日突然、都心のみならずあなたの住む街にも巨大でゴージャスな教団施設を建てることができるのだろうか。 よくある説明では、宗教法人はその原資となるお布施や寄付といった収入などが税金面で優遇されているため、宗教施設の取得・維持が企業などよりも容易だからだとされる。 だが、「それは事実だが片手落ちだ」と苦笑するのは、かつて反社会的勢力の一員だった男性だ。 男性は組織にいたころ、「複数の新宗教教団の不動産売買を幾つも手掛けた」と具体事例を挙げながら明かした。特に10年ほど前まで、新宗教団体による自前施設の取得が全国で盛んに行われたという。 「より重要なのは、新宗教の施設が『迷惑施設』だということ。非信者の目には奇異に映る新宗教団体にも売ってくれる(または貸し出す)物件をどう探し出すか。そして、住民の反対をいかに抑えるか。これは反社会的勢力のテリトリーだ」(男性) また、ある新宗教教団が新たな場所に拠点を構えようとすると、先に進出していた別の新宗教教団の妨害が起こることもある。そういう場合も組織が後ろ盾となるという。 「組織側が地元の不動産業者と組み、候補となる物件を教団側に幾つか提示する。その多くはいわく付きの物件。カネは腐るほど持っているので糸目は付けない。相場よりも法外に高い値段で売れる。お互いにウィンウィンの関係だ。その意味で彼らは、非課税でたんまりもうけていても、“ウラの税金”を支払っている」 崇高な理念を掲げる新宗教教団の施設建設には、神も仏もない現実が隠されていることもあるのだ』、「新宗教の施設が『迷惑施設』だということ。非信者の目には奇異に映る新宗教団体にも売ってくれる(または貸し出す)物件をどう探し出すか。そして、住民の反対をいかに抑えるか。これは反社会的勢力のテリトリーだ・・・ある新宗教教団が新たな場所に拠点を構えようとすると、先に進出していた別の新宗教教団の妨害が起こることもある。そういう場合も組織が後ろ盾となる」、「神も仏もない現実が隠されていることもある」、想像以上に酷い実態があるようだ。

次に、元外交官の山中俊之氏が8月23日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「科学が「神の領域」に近づいた今、改めて「宗教の役割」が見直される時代がくる」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/211972
・『アメリカ・ヨーロッパ・中東・インドなど世界で活躍するビジネスパーソンには、現地の人々と正しくコミュニケーションするための「宗教の知識」が必要だ。しかし、日本人ビジネスパーソンが十分な宗教の知識を持っているとは言えず、自分では知らないうちに失敗を重ねていることも多いという。本連載では、世界94カ国で学んだ元外交官・山中俊之氏による著書、『ビジネスエリートの必須教養 世界5大宗教入門』(ダイヤモンド社)の内容から、ビジネスパーソンが世界で戦うために欠かせない宗教の知識をお伝えしていく』、確かに多くの日本人は宗教に無知なので、「世界で戦うために」は不可欠の知識だ。
・『宗教と科学が未来のカギを握る  国際的な場で、現在の世界が抱える問題や未来の課題について論じるとき、外国人や異なる宗教を信じる人とやりとりすることがあります。その際は、宗教の知識を土台に、自分ならではの意見を伝えることが極めて重要です。同時に、相手の立場、歴史観、宗教観に寄り添うことができてこそ、世界における教養人となります。 「現在の問題や未来の課題に、宗教は関係ないのでは?」と思う人もいるかもしれません。 確かに進化論や相対性理論が提唱され、二一世紀はゲノム編集や人工知能など、人類はまさに「人智を超えた神の領域」と思われていたところに足を踏み入れつつあります。もはや人間ができないことなど存在せず、宗教は神話の世界に封じ込まれるかのようにさえ思えます。しかし、私の意見は異なります。 宗教は科学など存在しない古代に起こり、中世までは「人智を超えた世界」と「人間がわかっている現実世界」の間に、まだまだ距離がありました。 だからこそ人々は、神を恐れながらも尊重していたのでしょう。落雷とエネルギーの関係もわからず、万有引力の法則もなかったら、その答えを宗教に求めても不思議はありません。また、「自分とは、生と死とは? 災害はなぜ起こるのか?」という人類共通の課題に答えを出すものは宗教しかありませんでした。 当時、必要不可欠だった宗教はそれぞれ系統立てて整理されながら、世界へと広がっていったのです。 近代になると科学が進歩し、様々な解けなかった謎が解けていきます。なぜ嵐が起きるのか、なぜ病にかかるのか、合理的に説明できることが増え、科学によって人類共通の課題への答えが出されることで宗教のニーズが相対的に下がっていきました。 民主主義の広がりによって、政治が宗教の権威を借りないことも多くなり、政教分離の観点から、宗教を用いた政治はむしろ忌避されるようになったのです。 宗教の重要性が薄らぐ流れは、つい最近まで続いていたと思います。 ところが二一世紀になった今、科学があまりに進歩していくなかで、なおざりにされてきた倫理や哲学が改めて問われるようになってきています。 「科学技術で人を誕生させることができるとしても、本当にやっていいことなのか?」 「医学によって命を永らえることと、満たされた死を迎えることは両立するのか?」 まさにこうした問いが突きつけられています。私たちはあたかも万能なもののように科学に魅了されて近代を生きてきました。しかし、科学はかなり進歩したとはいえ、災害や死の謎について完全に解き明かしたわけではないのです。これからは、改めて宗教の役割が見直される時代がくる――私はそのように考えています。 科学ばかりではありません。絶えることのない紛争、拡大し続ける経済格差についても、科学や論理ではなく、宗教が持つ倫理観や道徳が解決のヒントを与えてくれる、そんな気がします。 ただし、これから述べるのは、今わかっている事実に私の見解をつけ加えているにすぎません。 教養に知識は必要ですが、知識だけではグローバルな教養は身につきません。大切なのは読者のみなさんが、宗教をはじめとした知識をもとに批評的に事象を考えること。そして、その思考訓練によって、「独自の見識」を持っていただくことです。 知識に裏打ちされた自分の意見をしっかりと持つことは、ビジネスパーソンとしてのブランディングにもなり、仕事上のリアルな局面でも役立つでしょう』、「科学はかなり進歩したとはいえ、災害や死の謎について完全に解き明かしたわけではないのです。これからは、改めて宗教の役割が見直される時代がくる」、「絶えることのない紛争、拡大し続ける経済格差についても、科学や論理ではなく、宗教が持つ倫理観や道徳が解決のヒントを与えてくれる」、というのは確かだろう。
・『AIは人を超えるのか?  私たちの生活のなかに、すでにAIは溶け込んでいます。たとえば、グーグルアシスタントやアップルのSiri、アマゾンのアレクサは人工知能ですし、テレビや掃除機などの家電にもAIが搭載されています。自動車業界もAIモデルの開発を進めており、自動運転は技術的にすでに可能になっています。 これは世界的な動きですが、そのなかで日本人はやや特殊といわれています。それは、「ヒューマノイド」といわれる人間と同じ姿形をしたAI搭載の人型ロボットを好む点です。 たとえば、大阪大学の石黒浩教授はタレントのマツコデラックスにそっくりな「マツコロイド」や自身に似せたヒューマノイドを製作しています。私も日本科学未来館でヒューマノイドを見て、「限りなく人に近づける」という、そのこだわりように驚嘆しました。 日本人が抵抗なく人間と同じものをつくるのは鉄腕アトムの影響もあるかもしれませんが、仏教・神道の影響が非常に大きいと私は考えています。 ユダヤ・キリスト教の価値観で言うと、人間と機械はまったく違うもの。この世に存在する動植物も人も神のつくったものですが、なかでも人間は特別な存在です。動植物を含めた自然や機械は人間が支配する対象であり、「支配すべき存在を、神がつくりたもうた人間に似せるなんてとんでもない!」となり得るのです。 ゆえにヒューマノイドは、ユダヤ・キリスト教文化から見るといささか気持ちが悪く、抵抗感が強いこともあります。だから創作の世界で人型ロボットをつくるときも、欧米ではサイボーグという金属的な造形のものが比較的多いのでしょう。 そういえばAI機能に特化しているグーグルホームやアレクサは「機械そのもの」という非常にシンプルな形をしています。仮に日本の会社で日本人が開発したら、かわいらしい人間型であったかもしれません。 AIについてはしばしば「神の領域に到達するのか」という議論があります。人間の能力を超え、多くの仕事はAIが担うようになると盛んにいわれていますし、優れた頭脳を持つ囲碁や将棋のプロが、AIに敗北した例もあります。 私の個人的な意見を言えば、「AIが神の領域に到達する」というのは、失礼ながら科学信奉者の思い上がりではないでしょうか。 確かに、データ分析やそれにもとづく一定の判断という面では、AIは人間の脳を凌駕するかもしれません。しかし、人間の心や感情まで科学の力でつくり出せるかと言えば、甚だ疑問です。 科学の専門家ほど、「科学は神を超える」というのは言いすぎだとわかっているのではないでしょうか。人工知能をつくり出せるだけで「神」としてしまうのは、あまりにも神の力、言葉を変えれば人智を超えた力を矮小化しています。 イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの世界的ベストセラー『ホモ・デウス』(河出書房新社)は、これからの社会はヒトより優れたアルゴリズムによる「データ至上主義」に支配され、それを生み出せるものは「超人=ホモ・デウス」になると予言しています。 ホモ・デウスを神と同一視しないまでも、このようなデータ至上主義の時代には、これまでの人間の存在範囲、能力範囲を超える情報があふれることになり、そこで判断を誤らないようにするのは、容易ではありません。 人間のキャパシティを超えるデータの中で生きていくのであれば、宗教を含めた「人智を超えた存在」への理解が再評価されるべきだと私は考えています』、「ヒューマノイドは、ユダヤ・キリスト教文化から見るといささか気持ちが悪く、抵抗感が強いこともあります。だから創作の世界で人型ロボットをつくるときも、欧米ではサイボーグという金属的な造形のものが比較的多いのでしょう」、というのはなるほどと納得した。「人間のキャパシティを超えるデータの中で生きていくのであれば、宗教を含めた「人智を超えた存在」への理解が再評価されるべき」、というのはそうなのかも知れないが、割り切れないものが残る。
・『遺伝子研究で「才能」も買えるようになる?  AIはどれだけ優秀でもあくまで機械であり、人間はいまだゼロから生命をつくり出すことはできません。しかし逆に言えば、ゼロは無理でもイチの生命をコピーし、編集するところまで科学技術は進んでいます。 その代表と言えるのが遺伝子研究。難病治療などに役立つと考えられており、「人間の遺伝子を自由に編集する」といわれるクリスパー・キャス9という技術を発明した学者はノーベル賞候補だともいわれています。 二〇一八年の終わりには、中国の科学者がゲノム編集によって「エイズウィルスへの抗体を持った双子の赤ちゃんを誕生させた」と発表して世界を揺るがせました。このニュースの真偽はさておき、遺伝子は生命のあり方を決める重要な指令のようなもの。 「遺伝子改変が技術的に可能になったとしても、行っていいのか?」「生命のあり方という、言わば神の領域に踏み込むことは倫理的に許されるのか?」 世界中の科学者、哲学者、政治家、宗教家が議論を重ねています。 プロテスタントには「神から天職、才能を与えられた」という概念がありますが、しかし才能が科学でつくれるとしたらどうでしょう? 「美しくて優秀な人間」「病気にならず、身体能力が高い人間」が遺伝子の改変によって誕生すれば、人は神から与えられるはずの能力を人為的に手にできるようになります。 また、受精卵から人間であると考える宗教観を持つ人々は、人間のゲノム編集に反対する可能性もあります(現時点では私の知る限り宗教界からの強い反対はありませんが)。 人為的とは、言い換えれば「お金の力」。最先端の遺伝子操作が高額なものだとすれば、豊かな人はお金の力で優秀で健康な子どもを生み、その子どもは高い能力を生かして成功し、子孫もますます豊かになるという連鎖が起きます。 病気や怪我をしてもお金持ちであれば、ゲノム編集のような最先端技術で健康を取り戻せるかもしれません。そうなれば、「健康な天才ぞろいの富裕層」と「普通の人と弱い人からなる貧困層」が誕生するでしょう。 かつて、ナチスは「優秀なアーリア人」をつくろうと、非道な人体実験を行いました。これは明らかに犯罪ですが、今後「科学の発展」の名のもとに、似たようなことが世界規模で行われる危険すらあります。これは科学者だけに任せておいて良い問題ではありません。 このように遺伝子研究とは、宗教や倫理の問題ばかりか、私たちにとってより身近な社会的格差につながるという問題もはらんでいるのです。 確かに、難病から救われる人が増えるのは素晴らしく、研究が進むこと自体は歓迎されるべきです。しかし、生態系への影響もあるでしょう。生物はお互いつながっているので、人類のあり方、地球のあり方すら変えてしまう可能性に配慮しなければなりません。 これだけ科学が進んでいても、人間はゼロから生命をつくる技術を持っておらず、微生物すらつくり出せていません。いうまでもなく人工知能は生命ではなく、生命を持つクローンにせよ、今ある生命の複製です。iPS細胞は細胞をゼロからつくり出すものではなく、すでにあるものをもとにしています。まだまだ畏敬の念を抱くべき「神の領域」は残っているということでしょう。 「人間とは何か」を真摯に問い、「人智のおよばない領域」に想いを馳せながら、私たち一人一人が科学と向き合っていく。それには、改めて宗教が必要とされるのではないでしょうか』、「宗教」まで求めるかはともかくとして、謙虚な気持ちを忘れないようにしたいものだ。

第三に、上記の続きを、8月30日付けダイヤモンド・オンライン「日本人の「宗教偏差値」が世界最低レベルになった3つの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/211948
・(冒頭省略) 日本の宗教偏差値が低い三つの理由  もしも「世界宗教偏差値」があるとしたら、日本はおそらく世界最低レベルです。理由はいろいろありますが、私は次の三つの影響が大きいと考えています。 1 地理的な理由 世界5大宗教のうち、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三つは発祥が中東ですが、中東で生まれた宗教が伝わるには、日本は距離があります。残る二つのうちヒンドゥー教と仏教はインドで生まれ、日本には中国経由で仏教のみ伝わりました。 また、島国でもあるので、世界の宗教を信じる他民族と本格的な戦争もあまりありませんでした。日本的な宗教観・価値観でぬくぬくとやってこられたのです。 2 神道がもともとあり、その上に仏教を受け入れた 仏教が日本に伝来したのは六世紀半ばですが、当時の日本にはすでに神道が存在しました(もっとも、この時代には神道という言葉は使われておらず日本古来の民族宗教と言ったほうがより正確です)。 この神道というのは自然崇拝がベースになっています。「空にも海にも山にも川にも、自然界のすべてに神様がいる」という考えですから、キリストやムハンマドやお釈迦様のような開祖もいなければ、聖書やコーランのように、教えを系統化したものもありません。 宗教とはっきり意識しないまま、八百万(やおよろず)の神様を信じ、神様を信じたまま仏教を受け入れたのですから、曖昧になるのもうなずけます(世界でも自然信仰をしている上に新たな宗教を受け入れたところは多数ありますが、もともとの宗教は多くの場合現存していません)。 このような曖昧な宗教観の上には、難しい教義や厳しい戒律はなじみにくいと考えられます。 3 江戸時代の檀家制度と明治以降の国家神道 一六~一七世紀になるとキリスト教が世界的な布教活動を展開しましたが、日本では豊臣秀吉や徳川家康により禁教とされ、全国民が仏教徒としてどこかのお寺に属すること(檀家と言います)になりました。 この檀家制度は、寺を幕府や藩の下部的な行政組織として位置づけるものであり、仏教本来の宗教的側面は失われてしまいました。寺は、檀家である住民を管理・監視して、後は葬式だけをしていれば良いということになったのです。 明治時代には、その仏教も一時期弾圧され、天皇を神のように崇める「国家神道」となりました。人間である天皇を神とするという考え方は、世界の他の宗教とはまったく異質のものです。 第二次世界大戦終了後、それが全否定される一方、一部の新興宗教の犯罪や不祥事に関する報道により「宗教には近づかないほうが良い」という意識が高まりました。こうして、宗教偏差値が最低レベルの国となってしまったのです。 日本への外国人観光客の数は急増中で、二〇一八年には、初めて三〇〇〇万人を超えました。従来型の東京の都心や富士山、京都の有名社寺といった観光地に加え、高野山、日光、平泉などにも多くの外国人が訪れています。 外国人観光客の日本の宗教への関心が高まっていることは確実であり、外国人観光客に日本の宗教について話ができるようになれば、人間関係の構築も進み、宗教偏差値も上がることでしょう』、「日本的な宗教観・価値観でぬくぬくとやってこられた」、「曖昧な宗教観の上には、難しい教義や厳しい戒律はなじみにくいと考えられます」、「第二次世界大戦終了後、それ(国家神道)が全否定される一方、一部の新興宗教の犯罪や不祥事に関する報道により「宗教には近づかないほうが良い」という意識が高まりました。こうして、宗教偏差値が最低レベルの国となってしまったのです」、というのはクリアな特徴づけで、大いに参考になる。
・『もしも中国人に「スシの握り方」を習ったら?  日本、韓国、ベトナムなど東アジアの国々は中国の影響を強く受けています。宗教にしてもそれは同じ。つまり日本に入ってきた仏教は、「中華味の仏教」なのです。 あなたも海外旅行に行った際、外国人がつくる日本料理を食べて「ん? なんか違う」と感じたことがあるでしょう。それはたいてい現地に住んでいるアジア人が経営する店だからです。 もしも欧米人が、現地で日本料理店を経営する中国人に「スシの握り方」を習ったとしたら、それは本来の寿司とは、かなり違うものになるはずです。 これと同じく中国の仏教は、インド発祥のもともとの仏教とは異なります。インドで生まれた初期仏教から枝分かれした大乗仏教が主に東アジアに広がったのですが、中国にきた時点で、孔子を祖とする儒教や、古代からある民間信仰に道家の思想を合わせた道教が混ざり合ったものになりました。中華味の仏教の誕生です。 中華味の仏教が日本にやってきて、もとからあった神道と混じり合ってできたのが日本の仏教ですから、本来の仏教とはいろいろと違っています。 たとえば、インドで仏教が生まれた頃、仏教の開創者であり悟りを開いた後は釈尊と呼ばれるガウタマ・シッダールタは、「男女を差別してはならない」と説いていました。 ところが中国に渡ると儒教の影響を受け、仏教は女性差別的なものになります。ゆえに日本に伝わった仏教の教えのなかには「女性の場合、男性に生まれ変わらないと成仏できない」と考える、変成男子という言葉があるのです。 また、中国では儒教の影響のため、仏教がより国家や皇帝の権威に近い位置づけになりました。 つけ加えておくと、伝来の過程で宗教が変化していく現象は、仏教に限った話ではありません。たとえば、中東のイスラム教と東南アジアのイスラム教とでは戒律の厳しさなどが違います。アラビア半島発祥のイスラム教が伝来する過程で、東南アジアでは現地の文化や宗教と融合していき、中東のような厳格さが失われた面があります』、「中華味の仏教の誕生」とは言い得て妙だ。「インドで仏教が生まれた頃、仏教の開創者であり悟りを開いた後は釈尊と呼ばれるガウタマ・シッダールタは、「男女を差別してはならない」と説いていました」、というのは初耳だ。「アラビア半島発祥のイスラム教が伝来する過程で、東南アジアでは現地の文化や宗教と融合していき、中東のような厳格さが失われた面があります」、イスラム教でも、「伝来する過程」で同じコーランがありながら、「中東のような厳格さが失われた面があります」、伝わり方で変化することは避けられないようだ。
・『東アジアを一歩出たら「宗教の知識」が特に必要  かつて毛沢東はダライ・ラマに対し「宗教は毒だ。宗教は二つの欠点を持っている。まずそれは民族を次第に衰えさせる。第二に、それは国家の進歩を妨げる。チベットとモンゴルは宗教によって毒されてきたのだ」と断じました。やがて二人は決定的に断絶し、宿敵となりました。 二〇一九年現在の中国は、共産党の支配下にない宗教が弾圧される国です。新疆ウイグル自治区に住むイスラム教徒に宗教弾圧を行い、「地下教会」と呼ばれる非公認教会の牧師を逮捕するなどキリスト教にも圧力を加えています。中国には非公認教会を含めるとキリスト教徒が一億人近くいるとの報道もあり、社会的に小さな問題ではありません。 また、カトリック信者への影響を嫌った中国政府は、バチカンとも外交関係がないのです(もっとも近年は関係修復の動きがあるようですが)。 韓国では、最近キリスト教信者が増加していますが、日本と同じく「中華味の仏教」や儒教の影響が強い国です。中国や韓国でも宗教についての知識がないと失敗することはありますが、儒教や、中国の場合には共産主義の影響もあり、宗教について曖昧であったり、社会の前面に出てこなかったりします。 しかし、宗教の影響が比較的弱いのはこれら東アジアの国々に限られます。そこでビジネスパーソン対象のグローバル研修の際、私はしばしば「東アジアを一歩出たら、宗教のことに特に気をつけてください」とアドバイスしています。 敬虔な仏教徒が多いタイ、カトリックが多いフィリピン、イスラム教徒も多く住むインドネシアやマレーシア。シンガポールは多民族国家だけあって、人種ばかりか宗教のるつぼです。 日本のビジネスパートナーとして、今後関係が深まっていく東南アジア諸国は、「宗教偏差値が高い国」と考えておくべきです。 なにより日本に対して多大な影響力を持つアメリカは、世界でもトップレベルの宗教的な国家。そんなアメリカ人が、日本人に自分たちの宗教の話をしてくることが少ないのは、「よく知らないだろう」と思っているからです。それなのに日本人が雑談をしているうちに宗教に関連する話題になり、無知であるために地雷を踏むパターンが多い……。 これはアメリカ生活が長い友人の意見ですが、私もそう感じます。 また、欧米の人たちが聞きたがるのは、日本人から見たユダヤ教、キリスト教の話ではなく、自分たちがよく知らない仏教や神道についてです。宗教偏差値を上げるには、まず、自分たちの宗教を知っておくことが大切です。 さらに最先端とされているIT企業はグローバル企業でもありますが、そこで働く人々は、現在アメリカでも人気が高まっている禅や瞑想への興味から「日本人なら仏教について詳しく教えてくれるだろう」という期待を持っています。 話題にのぼる可能性が非常に高いのに、まったく答えられないのは危険です。 「今のままの宗教偏差値ではまずい!」 最低限、この意識は必要ではないでしょうか』、確かにその通りだ。これからは、このブログでも宗教の問題を取上げる頻度を上げていきたい。

第四に、8月25日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元ライフネット生命社長、立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏へのインタビュー「間違いだらけのイスラーム教!日本人は、なぜこうも誤解してしまうのか?」を紹介しよう(Qは聞き手の質問)。
https://diamond.jp/articles/-/211594
・『世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”、稀代の読書家として知られる出口治明APU(立命館アジア太平洋大学)学長。歴史への造詣が深いことから、京都大学の「国際人のグローバル・リテラシー」特別講義では世界史の講義を受け持った。 その出口学長が、3年をかけて書き上げた大著がついに8月8日にリリースされた。聞けば、BC1000年前後に生まれた世界最古の宗教家・ゾロアスター、BC624年頃に生まれた世界最古の哲学者・タレスから現代のレヴィ=ストロースまで、哲学者・宗教家の肖像100点以上を用いて、世界史を背骨に、日本人が最も苦手とする「哲学と宗教」の全史を初めて体系的に解説したとか。 なぜ、今、哲学だけではなく、宗教を同時に学ぶ必要があるのか? 脳研究者で東京大学教授の池谷裕二氏が絶賛、小説家の宮部みゆき氏が推薦、原稿を読んだ某有名書店員が激賞する『哲学と宗教全史』。発売直後に大きな重版が決まった出口治明氏を直撃した』、『哲学と宗教全史』とは意欲的なタイトルだ。
・『八百屋の主人でも聖職を兼業できる  Q:日本人は、なぜイスラーム教を誤解してしまうのでしょうか。なぜ、イスラーム系のテロ組織は多いのでしょうか。 出口:イスラーム教は、ユダヤ教とキリスト教と同じYHWH(ヤハウェ)を唯一神とするセム的一神教です。最後の審判で救われた善人は天国へ、悪人は地獄に行きます。そして唯一神YHWHをアッラーフと呼びます。アッラーとも呼ばれますが、現在ではアッラーフの呼称のほうが一般的なようです。 イスラーム教の聖書に相当するものは『クルアーン』で、原義は「詠唱すべきもの」の意味です。クルアーンには、イスラム教の開祖、ムハンマドが神から託された言葉が書かれています。 Q:イスラーム教の特徴を教えていただけますか? 出口:イスラーム教の大きな特徴は、キリスト教や仏教のような専従者(司祭や僧)がいないことです。すなわち教会や寺院を経営して、布教や冠婚葬祭などを専門とする聖職者が存在しません。 イスラーム教では、たとえば八百屋の主人が聖職を兼業していて、必要なときは法衣を着てクルアーンを読み、儀式を進行させます。ですからイスラーム教では、聖職者の生活のために寄付をする必要がありません。モスクと呼ばれる寺院や墓地などの管理は、自治体やNPO的な組織が行います。イスラーム教を学ぶ大学も、もちろん存在します。そして神学者も存在します。しかし、専従者はいないのです。 イスラーム教の信者はインドネシア、パキスタン、バングラデシュ、インド、マレーシアなど、東南アジア各国に数多く存在します。 アジアの人たちはイスラームの商人を見て、自分たちもイスラーム教を信じれば、もっと商売がうまくいくようになるかなと思ったことでしょう。 イスラーム教には専従の聖職者はいませんから、たとえばインドネシアの商人で、イスラーム教に興味を持った人がビジネス相手のアラビア人に、「イスラーム教徒になりたい」と言えば、仲間の商人や船乗りで聖職者を兼業している人が仲介してくれます。そういう気安さが、この地方に信者を増やしていったのです』、イスラーム教には「教会や寺院を経営して、布教や冠婚葬祭などを専門とする聖職者が存在しません」、イランには「最高聖職者」がいる筈だが、これは国や宗派による違いがあるのだろうか。
・『シーア派とスンナ派が争う理由  Q:イスラーム圏ではシーア派とスンナ派が、常に争っているように認識している人が多いのではないでしょうか。なぜ、2つの派は争っているのですか? 出口:シーア派とスンナ派の対立は、実は宗教的な対立ではありません。キリスト教では、ローマ教会とプロテスタントとの間に激しい宗教戦争が起きましたが、イスラーム教の世界では、何が真実の教えかという疑念や対立は生じませんでした。 それでは、シーア派とスンナ派の対立点は何か。極言すれば、派閥争いです。本書に詳しく説明していますが、スンナ派とシーア派は、「誰を現世のリーダーと考えるのか」を争っているのであって、イスラーム教の教義に関わる争いではありません。 「スンナ派とシーア派の争い」という言葉が、よくジャーナリズムには登場します。しかしそのほとんどの事例をよく見ると、原因となる部分に、西欧列強が石油資源などの利権を得て、それを守るために起こした政争が内在していると思われます』、「西欧列強」の分断支配がきっかけになったとはいえ、「政争」が長期化し、定着したのではなかろうか。
・『なぜ、イスラーム原理主義によるテロ行為が起きるのか?  Q:「イスラーム原理主義によるテロ行為」などという表現で、中東の争乱が語られることがあります。なぜ、イスラーム原理主義はテロ行為を起こすのでしょうか? 出口:もともと原理主義という言葉は、アメリカで19世紀末から20世紀初頭に盛んになった、過激なキリスト教のグループを指す言葉でした。この言葉がイスラーム教に転化されたのです。 ではなぜ、ISなどが「ムハンマドに帰れ」とか「クルアーンの世界に戻せ」とかを主張するのか。 それは歴史的に見ると、イスラーム世界も中国や日本と同じように、産業革命とネーションステート(国民国家)という人類の2大イノベーションに、乗り遅れたからです。 日本は明治維新によって、どうにか世界の趨勢(すうせい)に追いつきました。しかし一部の中東のイスラーム世界は、うまく追いつくことができなかったのです。 ISの主張は、わが国の明治維新の際の「尊皇攘夷(そんのうじょうい)」や「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」の考え方によく似ています。現代の中東の窮状は、優れた政治的指導者が登場しない限り、なかなか挽回できないかもしれませんが、それはイスラーム教の教義とは何の関係もない、歴史的、政治的な問題だと思います。それと、頻発するテロ行為については、ユースバルジの問題も視野に入れるべきでしょう。 Q:ユースバルジとは、何ですか? 出口:ユースバルジ(youth bulge)とは、「若年層の膨らみ」の意味です。政情が不安定で経済が低迷している中東では、人口の多い10代から20代の元気な若者が働きたくても働く場所がありません。イラクもシリアも国が壊されているのです。 若者がたくさんいる、けれども働く場所がない。一方でこれらの若者も恋をしたい、デートをして充実した青春をすごしたいと思っている。でも働けないからお金がないし、娯楽の機会も少ない。 そこでこれらの国の若者は、絶望してテロに走ってしまう……。このようなユースバルジが、中東のテロ問題の基底部分を形成していると考えられます。 Q:テロとイスラーム教を表裏一体の問題として考えてはいけないのですね。 出口:そう思います。もちろんイスラーム教の置かれている現状と無関係ではないかもしれませんが、表裏一体の問題として考えるのは、極端すぎると思います。 むしろ、ユースバルジのほうがはるかにテロとの親和性は高いと思いますね。 なお、ユースバルジについては、グナル・ハインゾーンの『自爆する若者たち 人口学が警告する驚愕の未来』(猪股和夫訳/新潮選書)という優れた本が参考になります』、「もともと原理主義という言葉は、アメリカで19世紀末から20世紀初頭に盛んになった、過激なキリスト教のグループを指す言葉でした。この言葉がイスラーム教に転化されたのです」、確かにその通りだ。「イスラーム世界も中国や日本と同じように、産業革命とネーションステート(国民国家)という人類の2大イノベーションに、乗り遅れたからです・・・ISの主張は、わが国の明治維新の際の「尊皇攘夷(そんのうじょうい)」や「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」の考え方によく似ています」、というのは本当に困ったことだ。「ユースバルジが、中東のテロ問題の基底部分を形成している」、そ通りだろう。
・『【著者からのメッセージ】 なぜ、今、「哲学と宗教」を同時に学ぶ必要があるのか? 現代の知の巨人・出口治明が語る  はじめまして。出口治明です。 今回、『哲学と宗教全史』を出版しました。 僕はいくつかの偶然が重なって、還暦でライフネット生命というベンチャー企業を開業しました。 個人がゼロから立ち上げた独立系生保は戦後初のことでした。 そのときに一番深く考えたのは、そもそも人の生死に関わる生命保険会社を新設するとはどういうことかという根源的な問題でした。 たどり着いた結論は「生命保険料を半分にして、安心して赤ちゃんを産み育てることができる社会を創りたい」というものでした。 そして、生命保険料を半分にするためにはインターネットを使うしかないということになり、世界初のインターネット生保が誕生したのです。 生保に関わる知見や技術的なノウハウなどではなく、人間の生死や種としての存続に関わる哲学的、宗教的な考察がむしろ役に立ったのです。 古希を迎えた僕は、また不思議なことにいくつかの偶然が重なって、日本では初の学長国際公募により推挙されてAPU(立命館アジア太平洋大学)の学長に就任しました。 APUは学生6000名のうち、半数が92の国や地域からきている留学生で、いわば「若者の国連」であり「小さな地球」のような場所です。 もちろん宗教もさまざまです。 APUにいると、世界の多様性を身に沁みて感じます。 生まれ育った社会環境が人の意識を形づくるという意味で、クロード・レヴィ=ストロースの考えたことが本当によくわかります。 僕は人生の節目節目において哲学や宗教に関わる知見にずいぶんと助けられてきた感じがします。 そうであれば、哲学や宗教の大きな流れを理解することは、間違いなくビジネスに役立つと思うのです。 神という概念が生まれたのは、約1万2000年前のドメスティケーションの時代(狩猟・採集社会から定住農耕・牧畜社会への転換)だと考えられています。 それ以来、人間の脳の進化はないようです。 そしてBC1000年前後にはペルシャの地に最古の宗教家ゾロアスターが生まれ、BC624年頃にはギリシャの地に最古の哲学者タレスが生まれました。 それから2500年を超える長い時間の中で数多の宗教家や哲学者が登場しました。 本書では、可能な限りそれらの宗教家や哲学者の肖像を載せるように努めました。 それは彼らの肖像を通して、それぞれの時代環境の中で彼らがどのように思い悩み、どのように生きぬいたかを読者の皆さんに感じ取ってほしいと考えたからに他なりません。 ソクラテスもプラトンもデカルトも、ブッダや孔子も皆さんの隣人なのです。 同じように血の通った人間なのです。 ぜひ彼らの生き様を皆さんのビジネスに活かしてほしいと思います。 本書では世界を丸ごと把握し、苦しんでいる世界中の人々を丸ごと救おうとした偉大な先達たちの思想や事績を、丸ごと皆さんに紹介します。 皆さんが世界を丸ごと理解するときの参考になればこれほど嬉しいことはありません。(目次の紹介は省略)』、リンク先で目次を一瞥すると、宗教と哲学の流れを理解するには、『哲学と宗教全史』は格好の本のようだ。
タグ:宗教 出口治明 ダイヤモンド・オンライン 派閥争い ユヴァル・ノア・ハラリ (その2)(宗教施設が一等地に突然建つ裏事情 反社会的勢力の元構成員が暴露、科学が「神の領域」に近づいた今 改めて「宗教の役割」が見直される時代がくる、日本人の「宗教偏差値」が世界最低レベルになった3つの理由、間違いだらけのイスラーム教!日本人は なぜこうも誤解してしまうのか?) 「宗教施設が一等地に突然建つ裏事情、反社会的勢力の元構成員が暴露」 税制優遇だけではない 反社会的勢力の元構成員が暴露 新宗教の施設が『迷惑施設』だということ。非信者の目には奇異に映る新宗教団体にも売ってくれる(または貸し出す)物件をどう探し出すか。そして、住民の反対をいかに抑えるか。これは反社会的勢力のテリトリーだ 先に進出していた別の新宗教教団の妨害が起こることもある。そういう場合も組織が後ろ盾となる 山中俊之 「科学が「神の領域」に近づいた今、改めて「宗教の役割」が見直される時代がくる」 『ビジネスエリートの必須教養 世界5大宗教入門』(ダイヤモンド社) 宗教と科学が未来のカギを握る 二一世紀になった今、科学があまりに進歩していくなかで、なおざりにされてきた倫理や哲学が改めて問われるようになってきています これからは、改めて宗教の役割が見直される時代がくる AIは人を超えるのか? ヒューマノイドは、ユダヤ・キリスト教文化から見るといささか気持ちが悪く、抵抗感が強いこともあります。だから創作の世界で人型ロボットをつくるときも、欧米ではサイボーグという金属的な造形のものが比較的多いのでしょう 『ホモ・デウス』 遺伝子研究で「才能」も買えるようになる? 「日本人の「宗教偏差値」が世界最低レベルになった3つの理由」 日本の宗教偏差値が低い三つの理由 1 地理的な理由 日本的な宗教観・価値観でぬくぬくとやってこられたのです 2 神道がもともとあり、その上に仏教を受け入れた 曖昧な宗教観の上には、難しい教義や厳しい戒律はなじみにくいと考えられます 3 江戸時代の檀家制度と明治以降の国家神道 第二次世界大戦終了後、それが全否定される一方、一部の新興宗教の犯罪や不祥事に関する報道により「宗教には近づかないほうが良い」という意識が高まりました もしも中国人に「スシの握り方」を習ったら? 日本に入ってきた仏教は、「中華味の仏教」 インドで仏教が生まれた頃、仏教の開創者であり悟りを開いた後は釈尊と呼ばれるガウタマ・シッダールタは、「男女を差別してはならない」と説いていました 東アジアを一歩出たら「宗教の知識」が特に必要 「間違いだらけのイスラーム教!日本人は、なぜこうも誤解してしまうのか?」 『哲学と宗教全史』 イスラーム教の大きな特徴は、キリスト教や仏教のような専従者(司祭や僧)がいない シーア派とスンナ派が争う理由 イスラーム教の教義に関わる争いではありません 原因となる部分に、西欧列強が石油資源などの利権を得て、それを守るために起こした政争が内在している なぜ、イスラーム原理主義によるテロ行為が起きるのか? もともと原理主義という言葉は、アメリカで19世紀末から20世紀初頭に盛んになった、過激なキリスト教のグループを指す言葉でした。この言葉がイスラーム教に転化されたのです イスラーム世界も中国や日本と同じように、産業革命とネーションステート(国民国家)という人類の2大イノベーションに、乗り遅れたから ISの主張は、わが国の明治維新の際の「尊皇攘夷(そんのうじょうい)」や「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」の考え方によく似ています ユースバルジ(youth bulge)とは、「若年層の膨らみ」の意味 人口の多い10代から20代の元気な若者が働きたくても働く場所がありません。 著者からのメッセージ
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