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災害(その6)(西日本豪雨の隠れた人災「ダム放流で大洪水襲来」の危険すぎる現場、「関空」経営陣 災害対応で露呈した根本問題 民営化後の日仏合弁体制が生んだひずみ、知らないと命にかかわる…M9南海トラフ地震のすべて いま あなたにできることは何か) [社会]

災害については、昨年9月12日に取上げたままだった。今回の千葉の問題を取上げる前に、(その6)(西日本豪雨の隠れた人災「ダム放流で大洪水襲来」の危険すぎる現場、「関空」経営陣 災害対応で露呈した根本問題 民営化後の日仏合弁体制が生んだひずみ、知らないと命にかかわる…M9南海トラフ地震のすべて いま あなたにできることは何か)をみておこう。

先ずは、ジャーナリストの粟野仁雄氏が昨年10月9日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「西日本豪雨の隠れた人災「ダム放流で大洪水襲来」の危険すぎる現場」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/181534
・『半世紀前の映画『黒部の太陽』(熊井啓監督 三船敏郎主演 1968年公開)のヒットで有名になった富山県の黒部峡谷にあるクロヨンダム(関西電力 黒部第四ダム)は、今も人気観光スポットだ。 灌漑、発電、洪水調整……様々な名目で造られたダムは大切な観光資源でもある。しかし、高位置に膨大な量の水を貯めておくことは、基本的に大きなリスクが伴う。 今年7月、ラオスで建設中のダムが決壊し、死者・行方不明者が百数十名出た。数千人が家を失い、避難生活を送っている。米国では1889年にペンシルバニア州のダムが決壊し2209人が死亡する大惨事があった。フランスでは1952年にダム決壊で421人が死亡している。日本では戦前の1940年、北海道の幌内ダムが決壊し60人が死亡するなど多くの事故があった。 最近でも、東日本大震災では福島県の藤沼ダムが決壊し、膨大な水が流出、8人が死亡している。2年前の熊本地震でも西原村の大切畑ダムが損傷し、住民が肝を冷やしていた』、ダムに伴う事故は、世界的にも発生しているようだ。
・『ダムを決壊から守る「放流」が二次被害をもたらす被災地の皮肉  豪雨の際、「ダムを決壊から守るために放流する」とよく聞く。この「ダムが決壊する」とは、どういうことを指すのか。満杯になれば重量に耐えられずに、ひびが入ったり割れたりして自壊するのだろうか。それでは危なくて仕方がない。 7月7日の西日本豪雨で大被害のあった愛媛県大洲市の丸山幸宏危機管理課長は、「越水し、ダム自体が沈んでしまえば操作もできなくなるし、ダムを支えている土中の構造物も崩れてしまう可能性がある」と説明してくれた。 国土交通省四国地方整備局の山鳥坂ダム工事事務所の柴田治信課長は、「僕らもうっかり決壊するという言葉を使ってしまうのですが、重さに耐えられずに割れたりするわけではありません。溢れてしまうことです」と話す。ラオスの事故では建設した韓国企業が、「決壊はしていない。溢れただけだ」と必死に弁明している。この事故で韓国プロジェクトの海外受注は激減したと言われる。 いずれにせよ、豪雨時のダムの放流は「ダムの決壊を防ぐため」というのが名目だ。実は、先の西日本豪雨で、その放流により犠牲者が出たことをご存じだろうか。愛媛県では肱川の2つのダムの放流で、合計9人が放流直後に水死しているのだ』、テレビ番組でもよく取上げられた。
・『西日本豪雨時の放流で9人が死亡 怒号が飛び交った住民説明会  8月9日夜。愛媛県での西日本豪雨取材のさなか、西予市野村町の野村中学校の体育館で住民説明会があった。同市にある肱川の野村ダム流域では5人が亡くなり、家屋倒壊などの被害を受けた。被害はダム放流の直後。「人災だ」との声が強まっていた。体育館は約700人で満席。冒頭、管家一夫市長のあいさつに続く黙とうの最中から、「人殺し」「謝れ」「パフォーマンスか」などの怒号が飛んだ。 説明者側は国土交通省、愛媛県、西予市。資料を配り、「規則通り操作した」「予想外の雨で……」と繰り返した。国交省の川西浩二・野村ダム管理所長は「記録的豪雨を予測できず、事前放流量を増やせなかった」などと釈明したが、「人命よりダムが大事なのか」などの声に遮られる。質疑では年配男性が「国民の生命財産を守るという憲法にあなた方は違反したのです」と指摘した。「人災なんだから100%補償すべきだ」と訴える女性には拍手が沸いた。 終了近くに立ち上がった入江須美さん(51)は、「危険を知らせてくれれば夫は死なずに済みました」と訴えた。自宅で印刷業を営む夫義彦さん(59)は、流された愛車のスポーツカーから遺体が発見された。夫の遺影を抱いた須美さんは記者に囲まれ、「小さなダムなので早めに減らすべきだったのに。伝え方はどうだったのか。通常の6倍も流すと聞いていれば夫は早く逃げたはず。また説明会を開いてほしい」と訴えた。 野村ダムの建設時に町長だった池田忠幸氏(91)は、「マニュアル通りの操作しかできないことが情けない。耕作面積も人口も減っているのに、灌漑のために満杯にしておく必要はなかった」と運用のまずさを指摘した。その昔、反対運動の中を苦労して建設にこぎつけたダムそのものが否定されることが、悔しくてならない様子だ。 ダムの放流は午前6時20分だが、国が大量放流を市に知らせたのは6時8分。市は避難指示を5時20分に出していたが、市民は「いつものような放送で切迫感はなかった」と口を揃える。危険通知の遅れに管家一夫市長は、「混乱状況で早く知らせられなかった。お詫び申し上げる」と謝罪した。 下流の鹿野川ダムの放流で4人の犠牲者を出した大洲市でも、9月18日、住民説明会が行われた。このダムのすぐ近くに旧肱川町役場、現在は市の支所がある。近くに住む向井富重さん(67)が語る。 「あっという間に水が上がり2人で逃げるのが精いっぱい。1階の天井近くまで水が来た。家の中は滅茶苦茶でした。後になって大工さんが、飼っていた5歳の猫のホコちゃんが死んでいたのを見つけたんです。苦しんだのか目を剥いていました。妻と泣きはらしました」』、「野村ダムの」「運用のまずさ」、市のは「避難指示」の伝え方、など問題点がいくつも重なったようだ。
・『猫さえ逃げ遅れた大洪水の恐怖 緊急放流の責任は誰にあるのか?  普通の浸水なら、猫であれば2階に逃げそうなもの。押し寄せた水は逃げる間もない速さだったのだろう。明らかにダム放流による被害だ。向井さんは「いつもダムを満杯にしていた。大雨になるのに早めに減らしてなかったのが間違い」と指摘した。 今回の豪雨で大きな被害を出した岡山県では、1963年、水島コンビナートへの利水や発電目的で高梁川上流に新成羽川ダムを竣工した。国は「洪水対策にもなる」と建設反対派を抑え込んだ、しかし後に、豪雨の緊急放流で被害が出て住民が訴訟を起こした。裁判例は徳島県などでもある。 村を沈めてまで全国に建設されたダムは、本当に安全なのか。筆者はこの春、岡山県の湯原温泉を楽しんだ。岡山市の名勝・後楽園の横も流れる旭川の上流に位置する。昔ながらの風情の温泉街だが、すぐ上にはダムがあった。複雑な形の人造湖の水は、豊富で観光にも適している。しかし、もしあのダムが決壊したらどうなるのか。それこそ温泉街は全滅し、多くの死者が出るだろう。 今回の西日本豪雨では、広島県呉市でも、上流の野呂川ダムの決壊を恐れて「流入量以上の放流をしない」との規則に反して通常の3.6倍の大量放流が行われたため、下流の平福で甚大な浸水被害が起きたとされ、県が調査をしている。 鹿野川ダム近く、肱川の支流の河辺川で計画された山鳥坂ダムは、民主党が政権を取って一時ストップした建設工事が、自公政権で再開されている。前述の柴田さんは「新しいダムが早くできていれば、大洲市内の被害は軽減できた」と話す。 2001年、長野県の田中康夫知事が「脱ダム宣言」をして議論となった。民主党政権では群馬県の八ッ場ダム建設にストップがかかった。西日本豪雨をきっかけにダム否定論も散見するが、「ダムがなければもっと被害は大きかった」という専門家も多く、議論は分かれている。 もっとも、ダムだけが怖いのではない。磯田道史氏の『天災から日本史を読み直す』によれば、1854年の伊賀上野地震では奈良県の古市村(現奈良市古市町)で、段々畑のように高位置に築造されていたため池が決壊し、家々が押し流されて67人が死亡する悲劇が起きている。磯田氏は「甲賀忍者の古文書調査で地震時のため池決壊の恐ろしさを知った」と著している。 2004年の中越地震では、新潟県山古志村で名産の錦鯉の養殖池が崩壊し、大きな被害をもたらした。古くは1868年(明治元年)に愛知県の農業用の入鹿池が決壊し、941人が死亡した。1953年には京都府の農業用の旧大正池が決壊し、山津波で多数の死者を出した。 ダム建設の反対においては環境問題が取り沙汰されることが多いが、今回、震度7の地震で惨事となった北海道の厚真町では、農業用の厚真ダムの放水路が土砂で埋まり、雨で「決壊する可能性」が出て警戒に当たったが無事だった。振り返って、高位置に大量の水を貯めておくことの危険を改めて再認識すべきだろう』、ダムは作れば安心とはいかず、運用も重要なようだ。


次に、10月9日付け東洋経済オンライン「「関空」経営陣、災害対応で露呈した根本問題 民営化後の日仏合弁体制が生んだひずみ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/241890
・『9月4日に台風21号が関西国際空港を直撃してから1カ月が経った。高潮による冠水・浸水で大きな被害が出た第1旅客ターミナルやA滑走路などはすでに復旧。空港内は以前の賑わいを取り戻しつつある。10月6日には、台風時のタンカー衝突で一部が損壊した連絡橋でのマイカー通行の規制が解除された。 2017年度、関空の国際線旅客数は前年度比14%増の2190万人となり、初めて2000万人を超えた。9割を占めるアジア圏からの訪日客の増加が牽引し、ここ数年好調が続いている。ただ2週間あまり続いた関空発着便の大規模な欠航は訪日観光など関西経済に大きな影響を及ぼした。災害対策の想定や危機管理体制が適切であったか、運営会社の関西エアポートは今後国と連携して検証を進める方針だ』、不手際があれだけ目立った以上、きっちり「検証」してほしいものだ。
・『関空は台風直撃後丸2日間を無駄にした  関西エアポートは、関空の民営化に伴い国から運営権を取得し、2016年4月に業務を開始。オリックスと、フランスの空港運営会社バンシ・エアポートが4割ずつ、関西圏の主要企業が共同で残りの2割を出資する体制だ。 同社の社内外からは、台風直撃直後から、経営陣の対応や経営体制の適切性に多くの批判が出ている。関空発着便を運航する航空会社のある幹部は、「台風直撃から丸2日間、“空港は再開予定なし”としか発表しなかったのは、空港運営会社の意思決定としてありえない」と突き放す。 さらにこの幹部は、「空港に取り残された利用客らの数も間違っていた(当初は3000人としていたが、実際は8000人だった)。結果、バスなどの手配も不十分で、人を脱出させるだけで手いっぱい。復旧計画の策定にも着手できないまま、最初の48時間を浪費した」と振り返る。 今回関空で高潮による浸水被害が出たのは1期島(第1ターミナルとA滑走路)のみ。2期島にある第2ターミナルを発着するLCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーションは、台風直撃翌日の9月5日時点で運航を再開できる体制を整えていた。 複数の関係者によれば、5日に国交省大阪航空局が主催した会議で、ピーチ側が「1便だけでも6日から飛ばしたい」と要望。国交省も「少しでも復旧が進んでいることを示すことは重要」としたが、関西エアポート側は「トイレなどが使える状態ではない」と譲らなかったという。 関西エアポートの煮えきれない対応に対し、「首相官邸が激怒した」(前出の航空会社幹部)。政府は緊急のタスクフォースを発足させ、復旧プランを策定。9月7日の朝に石井啓一国交相が記者会見で発表した。 だが複数の関空関係者によれば、このプランをめぐって関西エアポートのトップが割れた。同社はオリックス出身の山谷佳之社長とバンシ出身のエマヌエル・ムノント副社長が、「Co-CEO(共同CEO)」として共同で経営する体制を取っている。 国交省の復旧プランは日本語のみで作成された。山谷社長らオリックス側の経営陣は、タイムリーに情報を入手していた。だがムノント副社長らバンシ側の経営陣は日本語が不得手。プランの翻訳はその日の夕方になって出来上がった』、官邸主導型で「復旧プランを策定」せざるを得なかったというのは、民営化そのものの妥当性を疑わざるを得ない。
・『社長と副社長が緊急時に言い争い  「共同経営体制なのに、なぜ同時に情報を入れてくれなかったんだ」。翌8日朝の会議でムノント副社長は、山谷社長にそう噛みついた。山谷氏が「だったらお前が日本語を勉強しろ」と応じると、ムノント氏は「お前がフランスに来たときは、フランス語で情報共有するからな」と吐き捨てたという。 口論にいらだったある社員は、「そんなケンカをしていないで、意思決定をしてください」と言い放った。だがその場にいた社員らは部屋から出され、会議が中断。経営陣のみの話し合いが30分以上行われた。呆れた何人かの社員は会議の再開を待たずに、持ち場へ戻ったという。 「今回の混乱は起こるべくして起こったもの」。関空関係者らは異口同音にそう指摘する。「災害や事故など、時間との勝負となった場合、社内コミュニケーションや(日仏企業の共同経営という)経営陣の構図の問題がある限り、うまく対応できるはずがないのは火を見るより明らかだった」(関係者)。 社内コミュニケーションにおける問題の筆頭は、言語だった。民営化前、国が100%出資する新関西国際空港株式会社が運営していた時代は、社員はもちろん、取引先や国、自治体、財界はほとんどが日本人であり、日本語だけで事足りていた。 だがバンシが経営に入ったことで外国人幹部が多数登用された結果、日本語と英語の両方でのコミュニケーションが必要になり、時間がかかるようになったという。また、日本人相手に提案する資料でさえも、社内では英語の資料を作成したうえで議論しなければならず、議論の結果を説明する際には再度日本語に翻訳する必要に迫られた』、「問題の筆頭は、言語だった」というのは、「日仏企業」へ民営化した段階でも、緊急時を想定すれば分かっていた筈だ。
・『社内コミュニケーションが停滞  確かに外資系企業が後から経営に参画すれば、どの企業にも起こりうる問題かもしれない。ただコミュニケーションの問題はこれだけではなかった。 まずオリックスは過去に空港運営の経験がない。そのため本題の議論に入る前に、用語や過去の経緯をすべて説明する必要があった。一方のバンシに対しては、日本の地理や制度、法律についての説明が求められたという。 「1時間の会議であれば、前半の30分以上がオリックスとバンシのための基礎的な説明や議論に充てられることも多々あった。3~4時間話し合った末に何も進展がないムダな会議も多く、旧体制から在籍している社員のいらだちは募る一方だった」(関係者) 2016年末に関西エアポートが設立された際、山谷社長とムノント副社長は互いを「ブラザー(兄弟)」と呼び、仲の良さを強調していた。だが先述の通り、緊急事態の中で両者の関係はそれとは程遠いものだった。 空港というインフラの危機管理においては、オリックス側は、基本的にバンシ側の専門性に委ねるという方針だった。ただ関係者の話を総合すると、日本の空港や航空会社の事情を無視し、バンシ独自の危機対応策を強行したことが初期対応が遅れた大きな要因だったとみられる。 実際、日本航空の赤坂祐二社長は、「(関西エアポートは)空港運営については知見があるものの、航空会社のオペレーションに絡む経験がそんなに多くないと感じた。飛行機がどうやって飛んでいるかについて、一緒にコミュニケーションしていく必要がある」と指摘している。 一向に台風対応が進まない中でも、バンシ側はやり方を変えようとしなかった。結局政府の後ろ盾を得た山谷社長らオリックス側の経営陣がバンシ側に異議を唱え、復旧や対策の主導権を握っていったという。「国が介入したからこそ、オリックスとバンシの悪しき対等関係を崩すことができた」と関係者はつぶやく』、空港運営に素人の「オリックス」が入ったことにも問題がありそうだ。
・『旧体制からの社員は失望、離職者も続出  旧体制からの社員たちからは、「私たちが動いた方が早い」「優先順位が違う」「もっと最善の方法が取れるのになぜやらないのか」などと、怒りの声が相次いだ。彼らは日頃からオリックスやバンシの経営陣から、「今までは国管理だったからダメだったんだ。民間はもっと賢明かつスピーディー。国に育てられた君たちはもっと民間意識を持ちなさい」と事あるごとに言われていた。それゆえに、台風直撃の3日後に国交省が発表した復旧プランを「社員たちは忸怩たる思いで見ていた」(関係者)。 民営化後の社内のモチベーション低下は著しいという。「旧体制から経験を積んできた“航空のプロ”がどんどん辞めている」(航空会社幹部)。しかも、「多種多様な部門でまんべんなく離職者が次々に出ている」(関空関係者)。 直近では空港業務に関する外部コンサルタントの起用が目立ち、社内からは疑問の声が相次いでいる。「高いお金をかける割には、使えるような提言はほとんどないと社員の多くは思っている」(関係者)。今回の危機対応をなんとか乗り切ったものの、「コンサルだらけの生活に戻ることに頭を抱えている社員もいる」(同)。 民営化のメリットがまったくなかったわけではない。2017年初に開業した第2ターミナルの国際線ビルには、保安検査の時間を短縮する「スマートセキュリティシステム」や、客の購買意欲を促す「ウォークスルー型」と呼ばれる免税店を設置。以前からあったアイデアだが、民営になったことで投資の自由度が増し、ビルの新設に合わせて世界の潮流に合ったものを取り入れることができた。 ただ空港は巨大な公共インフラである以上、投資の自由度だけでその成否を判断することはできない。緊急時の迅速な対応は必須要件だ。「いくら万全なBCP(事業継続計画)を策定しても、それを指揮する経営者や意思決定層がBCP以前の課題に取り組まなければ、また同じことが起こってしまう」(関係者)と危惧する声は少なくない。 国交省が10月初めに発足した主要空港における災害対策の検討会でメンバーを務める日本大学の轟朝幸教授は、「空港の災害対応は一民間企業にとどまらず、関係者が非常に多い。民営ゆえに行政側も言いにくい面があったようだが、有事の際のリーダーシップを誰が引き取るかを官民の間で明確にすべき。関西エアポートも利害関係者との関係を一層深める必要がある」と指摘する』、「民営化のメリット」として紹介されている「投資の自由度」があったとしても、「緊急時の迅速な対応は必須要件」を満たすことが出来なかったのは、やはり民営化に問題がありそうだ。
・『北海道7空港の民営化はどうなるのか  関空の旅客機能は、結果的に台風直撃から2週間でおおむね回復することができた。政府主導の下、連日連夜現場の空港職員たちが汗を流した。台風直後の空港と陸地を結ぶ唯一の交通手段だったバスは、疲れ切った様子の職員であふれていた。航空会社幹部らは一様に「現場の頑張りはすばらしかった」と評する。それだけに関西エアポートの経営陣には猛省が求められる。 オリックスとバンシは現在、新千歳や女満別、旭川など北海道7空港の民営化に名乗りを上げており、一次審査を通過したとみられる。大雪など気象の影響も大きい北の大地での空港運営は、海上空港である関空とはまた違った難しさが伴う。くしくも北海道は、関空に台風が直撃した2日後の9月6日に大地震に見舞われている。 今回の危機対応から多くを学び、両社は空港運営の姿勢を改められるのか。背負った荷はあまりにも重い』、「北海道7空港の民営化」では少なくとも両社は外すべきだろう。

第三に、11月5日付け現代ビジネス「知らないと命にかかわる…M9南海トラフ地震のすべて いま、あなたにできることは何か」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58183
・『史上最悪の被害を出した関東大震災からおよそ100年。その3倍以上の死者数が想定されている「超巨大地震」は、眼前に迫っている。自衛のために知らなければならない、その時に起こること』、
興味深そうだ。
・『国民の半分が被災者に  今年に入り、立て続けに大きな地震が発生している。6月には大阪府北部の震度6弱、9月には北海道胆振東部の震度7、そして今月は、千葉県東方沖の震度4で、深夜に鳴り響く「地震速報」に多くの人が驚かされた。 異常ともいえるこの状況を前に、専門家たちが、口をそろえて次の超巨大地震―「南海トラフ地震」が刻一刻と近づいていることを警告しているのをご存じだろうか。 今年2月の文科省の地震調査委員会の発表によれば、今後30年間で、最大M9クラスの「南海トラフ地震」が発生する確率は70~80%だ。 「いつか来る」と言われて久しいこの大地震。政府によって発表される発生確率は年とともに上昇しており、未曽有の大災害は次第に「必ず来る」ものへと、その認識が変わってきている。 この大震災では、茨城県から沖縄県まで、全長2000km以上の範囲が被害を受ける。 政府の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループは、南海トラフ地震を「国難」としたうえで、「国民の半分が被災者になる」とまで想定した。 何が起こり、どれだけの被害が出るのか。この巨大地震の全貌を知っておくことが最低限、あなたと、あなたの家族を守ることにつながる。 そもそも、南海トラフ地震はどのようなメカニズムで発生するのか。南海トラフ地震研究の第一人者である高橋学氏(立命館大学環太平洋文明研究センター)が解説する。 「日本の周りには北米プレート、太平洋プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートの4つのプレートがあります。これらのプレートはぶつかり合い、互いに圧力をかけながら、何年もかけて動いているのです」 プレートとは、地球表層部を覆う一枚の巨大な岩盤のようなものだ。日本周辺に存在する4つのプレートのうち、フィリピン海プレートは、ユーラシアプレートに押し曲げられながら潜り込むように動いている。この二つのプレートの境界線が、南海トラフと呼ばれる。 「二つの大きな岩石の板であるプレート同士が押し付けられ合った結果、負荷に耐えられなくなったユーラシアプレートが大きく跳ね上がる。これが南海トラフ地震です」(前出・高橋氏) 南海トラフは小笠原諸島東部からフィリピン海までのびている。この大きな岩盤が一挙に跳ね上がれば、茨城から沖縄まで甚大な被害を及ぼす超巨大地震となるのだ。 南海トラフにかかる負荷は、およそ90~150年の周期で、地震として「解放」される。過去に発生した南海トラフ地震は、1946年の昭和南海地震(M8)、1854年の安政地震(M8.4)、1707年の宝永地震(M8.6程度)と、そのすべてがM8を超える巨大地震となっている。 前回が1946年だったことを鑑みると、平均的な周期から考えて、次回は2070年前後と考えられる。 だが冒頭にも述べたとおり、政府はその発生確率について、今後30年間で、最大80%としている。つまり、これまでの周期よりも早く、巨大地震が起こるというのだ』、「「国民の半分が被災者になる」ような「南海トラフ地震」がそこまで近づいているとは不気味だ。
・『ビル9階まで津波が  推定発生時期が早まっているのはなぜか。前出・高橋氏が語る。 「現在、ユーラシアプレート上で直下型地震が頻発しています。特に、今年は静岡県西部や浜名湖付近、そして三重、紀伊半島南端などで直下型地震が発生しています。 つまり、現在プレートには強く負荷がかけられている状態です。私の研究によれば、あと2~3年以内に発生する可能性が高い」 一刻も早い対応が迫られる状況ではあるが、各自治体の地震への対策はけっして十分であるとは言えない。むしろ、「南海トラフ地震が発生すれば、史上最悪の被害を生む可能性が高い」と、専門家は異口同音に警鐘を鳴らす。 南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの試算によれば、その想定死者数はなんと32万人にのぼる。これは、「過去最悪」と言われた1923年に発生した関東大震災における死者数(10万5000人)の3倍以上だ。 100年前とは違い、建物の耐震・免震化が行われた現在でこの被害が想定されているのだから、その破壊力は計り知れない。 もっとも深刻なのは津波による被害だ。太平洋沿岸部に位置する都市は、2000年に一度の大規模な津波に襲われるリスクがある――。災害時の被害シミュレーションなどを手がける、ハイドロ総合技術研究所の川崎浩司氏が語る。 「南海トラフ地震では、津波による浸水面積は東日本大震災の倍近く、1000平方kmを超えると考えられます。静岡県では津波の高さが最大30mを超えると予想される地域も存在する。これは、一般的なビルの8~9階分の高さに相当します」 東日本大震災では津波の高さは最大で16m強だった。その倍の高さの波が、秒速10mの速度で沿岸部を呑み込む。 浜松市や静岡市、焼津市などの沿岸部の都市はほぼ全域が浸水し、県内だけでおよそ32万棟が全壊、静岡県内だけで10万人超の死者が出る。これは、全体の犠牲者数の3分の1におよぶ。隣県の愛知県でも、2万3000人もの犠牲が出ることが想定されている。 ほかにも、高知県や小笠原諸島では30m超、三重県では20m超の高さの津波が襲う』、一時は地震の予知でしのごうとしたが、現在では予知は不可能が通説になったので、出たとこ勝負で臨むしかないのだろうか。これだけ高い「津波」では、防潮堤よりも高台への移住を進めるしかないだろう。
・『横浜が孤立する  津波の想定最大高が比較的低いその他の地域も、安全とは言えない。東京や横浜、大阪、そして名古屋では4m程度の津波が発生すると予測されている。静岡と比較すると、被害は小さく感じられるかもしれないが、川崎氏はこう警告する。 「これらの地域は『海抜0m地帯』の面積が広くなっています。大阪の梅田や東京の江東区などの街が長期間、水没してしまう可能性もある」 東京スカイツリーに臨む、隅田川付近は特に危険だ。同地に多く存在する地下商業施設などに津波が流れこめば、一瞬で浸水する。 地下だけではなく、建物の1階部分も浸水してしまう。高層マンションでは、エレベーターが軒並み故障し、住民が閉じ込められる。 お台場や銀座、浅草などの人気観光地もまた、海抜は0mに近い。多くの人でにぎわう街を、突如4mの津波が襲う―。地震でパニックを起こした人ごみの中、高い建物に逃げ込むことすら叶わずに、そのまま激流に呑み込まれてしまうだろう。 横浜もまた、津波の被害が大きい地域の一つだ。市内に56もの河川が流れる横浜では、津波が川を遡上し、街中で氾濫を引き起こす危険がある。 「横浜には古い橋が多く存在しています。これらの橋が地震や津波による大量の水の逆流に耐えられる保証はありません。交通インフラが麻痺し、多くの人が孤立してしまうでしょう」(災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏) 人や建物への直接的な被害に加え、もっとも危惧される「二次災害」が、ライフラインの喪失だ。 南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの想定では、太平洋側の9割の地域で停電、断水が発生し、ガスも使用不可になるという試算結果が出ている。静岡県では340万人、愛知県では490万人が断水を強いられる。 「電気系統が完全に復旧するまでは、被災後1週間程度はかかります。上下水道に至っては復旧にそれ以上の時間を要し、地震から1週間が経過しても、上水道は7割、下水道も4割が使用できないと考えられます」(金沢大学教授で自然災害に詳しい宮島昌克氏) 上下水道は地下に管を通しているため、被害が広範囲になればなるほど、復旧には人員と時間が必要になる。 巨大な地震で避難場所が崩壊したり、交通インフラの壊滅で移動ができなかったりすれば、全国で3000万人を超える人々が1週間以上、ライフラインを欠いた状態で、救助を待ちながら生き延びなければならない。 仮に老人ホームでライフラインが復旧しなければ、食べ物もなく、トイレも流せずに、体力のない高齢者たちは徐々に弱っていく。彼ら全員が1週間以上もの間、確実に生き延びることができるとは考えにくい。 一人が体調を崩せば、連鎖的に数十人もの高齢者が重篤な状態に置かれてしまうことすら考えられる』、「多く存在する地下商業施設などに津波が流れこめば、一瞬で浸水する」、しかも停電で明かりもなくなるというのでは、まさに大都市での地獄絵だ。
・『助かるための準備  水道・ガスが東南海地域で被害が極めて大きくなるのに対し、停電の被害がもっとも大きいと予想されるのは大阪、兵庫だ。停電の件数は、静岡が200万軒、愛知が370万軒であるのに対し、大阪は450万軒、兵庫は300万軒だ。 なぜ、これほど突出してこの2府県が被害を受けるのか。その理由を、前出の和田氏が解説する。 「西日本の発電所及び関連施設は、多くが海沿いにあり、津波で浸水する可能性が高い。加えて、密集する家屋が倒壊することで、送電施設が被災し、広範囲で停電が発生するのです」 阪神工業地帯の中心地である大阪湾の埋め立て地には、多くの火力発電所が並ぶ。古くから、文字通り阪神地方の電力を賄ってきたこの施設が津波に襲われれば、辺りの電力供給は一挙に滞ってしまうのだ。 交通インフラへの影響もはかりしれない。日本の中心に位置する名古屋には、日本の交通の大動脈である東海道線、東名高速が走っている。これらが長期にわたって寸断されれば、商品輸送に大きな影響を与えることは間違いない。 ライフラインが壊滅した時、交通インフラが復旧しなければ、人員を派遣することはおろか、飲食料などの物資を届けることさえ困難だ。 東日本大震災では高速道路、新幹線はともに完全な復旧に2週間以上を要した。被害が広範囲におよぶ南海トラフ地震では、復旧までに1ヵ月以上かかる可能性もある。 総合的な被害は過去最悪の災害となることは疑いようがない。そんななかで、われわれはどのようにして南海トラフ地震に備えればよいのか。前出・和田氏が話す。 「自分の住んでいる地域のハザードマップを頭に入れておくことが重要です。より安全な建物の場所を確認し、最短の移動経路を確認する。素早く対処することができれば、助かる可能性は高くなります」 東海地方の内陸部をはじめ、津波の危険がなくても、大きく揺れる地域はある。このような地域では、屋内の家具などが大きく動き、ケガをするリスクもある。いまのうちに、家具の足元をしっかりと固定しておく必要がある。 また、前述のとおり、被害を受けたライフラインは、復旧に少なくとも数週間を要する。余裕をもって、1ヵ月分の非常食や飲料水を、すぐに持ち出すことができる場所に保管しておこう。 未曽有の大災害はすぐそこに迫っている。それを頭の片隅に置き、いざという時にすぐに行動できるかどうかが、あなたの命運を握っている』、「1ヵ月分の非常食や飲料水」というのは1週間分しか備えてない私には衝撃だ。しかも、広域が被害にあう南海トラフでは、1ヵ月分でも不十分かも知れない。早急に買い増しをしておこう。
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