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災害(その7)(“全市避難せよ!”いったいどこへ?、首都直下地震が起きたら! 関東大震災の「火災と揺れ」の恐怖 10万5000人が死亡した現場を見よ、千葉の停電は「的外れな議論」が多すぎる 県や政府に「危機管理」の意識が欠如していた) [社会]

昨日に続いて、災害(その7)(“全市避難せよ!”いったいどこへ?、首都直下地震が起きたら! 関東大震災の「火災と揺れ」の恐怖 10万5000人が死亡した現場を見よ、千葉の停電は「的外れな議論」が多すぎる 県や政府に「危機管理」の意識が欠如していた)を取上げよう。

先ずは、7月30日付けNHK NEWS WEB「“全市避難せよ!”いったいどこへ?」を紹介しよう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190730/k10012013791000.html
・『「全市に避難指示」あなたにこんな情報が届いたら、どう行動しますか?7月の記録的な大雨で、市内「全域」の59万人に避難指示が出された鹿児島市では、住民から戸惑いの声が上がりました。命を守る情報をめぐる混乱を取材すると、市の思いと、住民の受け止めの間にギャップがある現状が見えてきました』、これまで避難指示の遅れから被害を拡大したと非難された自治体をみて、安易な安全策に走ったのかも知れない。
・『全域と言われても…「鹿児島市から出ろってことか?」  7月初旬。記録的な大雨が降る中で鹿児島市が市内全域に避難指示を発表。対象人数は59万人にのぼり、ネット上には戸惑いや不安の声が相次ぎました。 「全域に避難指示と言っても、どこに避難しろと?」 「59万人。ちゃんと受け入れてもらえるのかな」 鹿児島市が開設した避難所の合計収容人数は約8万5000人。59万人全員が避難して来れば、とても入りきれる数ではありません。 今回の大雨では鹿児島県内の9つの自治体が「全域」に避難指示を出したほか、隣の宮崎県でも都城市などが全域に避難勧告を発表しました』、避難勧告が避難所の収容人数とは無関係に発出されるというのもおかしな話だ。
・『ルールはあるの?  そもそも市町村が避難指示や避難勧告を出す場合、対象地域とする範囲についてのルールはあるのでしょうか? 実は、法律による明確な定めはありませんが、国は「避難勧告等に関するガイドライン」の中で次のように一定の考え方を示しています。『発令対象区域は、居住者や施設管理者等が危機感を持つことができるよう、適切な範囲に絞り込むことが望ましい』 実際に、対象地域の絞り込みを進める自治体もあります。神戸市は避難指示・勧告を各区の「土砂災害警戒区域」などに絞って発表します。 また横浜市は市内2400か所余りの土砂災害警戒区域を独自に調査し、特に危険性の高い100か所余りを「即時避難勧告対象区域」に選定しています。 災害情報に詳しい静岡大学の牛山素行教授は、こう指摘します。+「全域」という情報は、市内に安全な場所が無いと受け取ることができるので、住民はどこに逃げればいいのか…と戸惑いや混乱があったのではないでしょうか。+自治体は災害の見逃しを防ぎたいといったねらいがあると思いますが、通常、市内全域で一様に土砂災害や洪水のリスクがあるとは考えにくいです。危機感を持ってもらうには、絞り込んだ発表をするのが望ましいと思います。そうでなければ情報が軽視され、信頼を損いかねません』、安易に「避難指示や避難勧告」を出すと、オオカミ少年と同じで、多くの人に無視されてしまうだろう。
・『全域」でも「全員」じゃない!?  なぜ今回、鹿児島市が全域に避難指示を出したのか、市の担当者に聞いてみました。その理由はというと…。 「鹿児島市内は崖や中小河川が多く、今回のような大雨では地区を区切ることに大きな意味がなかった」 さらに、こんな答えも返ってきました。「市全域に避難指示を出しましたが、市民全員が避難所に避難する必要があるとは考えていませんでした。土砂災害警戒区域など危険な場所に住む人たちに避難してもらいたいという情報でした」 つまり、鹿児島市の意図は「市内全域に避難指示を出すけれども、実際に避難が必要なのは危険な地域に住んでいる人」ということだったのです。 鹿児島市の森市長も避難指示発表直後の会見で「特に崖地や河川の近くにお住まいの方は早めに避難してほしい」と呼びかけていました』、「避難指示や避難勧告」の定義は自治体任せにせず、、国が「ガイドライン」できちんとした規準を示すべきだ。
・『住民に任された避難の判断  住民は「全域」の意味をどう受け止めたのでしょうか。私たちは崖崩れが起きた鹿児島市田上地区で取材しました。 町内会長が住民たちに避難を呼びかけ、避難所に行った住民も多かったといいます。ただ、中には「広い鹿児島市で全域と言われても、どこが危ないのかわからない」と話す住民もいました。崖が多く川もある比較的リスクの高い地域でしたが、住民に対して市の意図が十分には伝わっていませんでした。 さらに、避難すべきかどうか判断を任された形となった住民の中には、避難を迷っている間に危険な状況に陥った人もいました。田上地区のある男性は、川が氾濫しても自宅が高台にあるため大丈夫だと考えて避難しませんでした。 ところが自宅は土砂災害の危険性が高い「土砂災害警戒区域」の中にあったのです。雨は激しさを増し、自宅の近くで崖崩れが発生。最終的には消防に促されてようやく避難したといいます。 危険性と避難の必要性を自分たちで的確に判断するのは簡単ではない一面も見えてきました』、自治体は住民まかせにせず、ハザードマップに従って的確な指示を出すべきだ。
・『ギャップ埋める取り組み  今回の取材を通じて、比較的規模の大きな自治体が「全域」に避難情報を出すことは、住民が災害の脅威を自分のこととして受け止める意識を薄めてしまうのではないかと感じました。 命を守る情報について自治体の意図と住民の受け止めにギャップがあることはとても危険です。それを埋めるには、リスクのある場所はどこか、災害時にどんな情報が出るかといったことを、自治体と住民が日頃から共有しておくことが重要です また牛山教授は「全域ということばを、危機感や警戒感を伝えたいという思いから使うケースもあるのではないか。最近は強い情報を積極的に出すべきだという風潮があるが、強い情報の頻発は情報の軽視につながりかねない」とも指摘していました。 特別警報や大雨の警戒レベルなど、災害が起きるたびに、新たな情報の創設が繰り返されていますが、果たして住民の避難行動に結び付いているのかという点も、検証が必要だと思います。どのような情報の出し方が効果的なのか、私たちメディアも考えていかなければならないと思っています』、「強い情報の頻発は情報の軽視につながりかねない」というのはその通りだ。「検証」を徹底的に行ってほしいものだ。

第二に、名古屋大学減災連携研究センター客員教授の武村 雅之氏が9月1日付け現代ビジネスに掲載した「首都直下地震が起きたら! 関東大震災の「火災と揺れ」の恐怖 10万5000人が死亡した現場を見よ」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66637
・『9月1日は「防災の日」。1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災にちなんでいる。 東日本大震災以来、日本中で頻発する地震。さらに「30年以内に70%の確率で、マグニチュード7クラスの首都直下地震が襲う」と言われている。また、都心南部直下でM7.3の地震になると、1都3県の面積の約3割が震度6弱以上になるとも……。 その結果として、最悪のシナリオでは2万3000人が亡くなり、61万棟が全壊・焼失してしまう可能性がある(ちなみに関東大震災での死者・行方不明者は、10万5385人)。 目前に迫る大災害に5人のエキスパートが警鐘を鳴らした『首都直下地震「専門家5人の警告」』(電子書籍)から武村雅之教授の「被服廠跡の惨劇」を抜粋。 首都直下地震は明日来ても不思議ではない』、「最悪のシナリオでは2万3000人が亡くなり、61万棟が全壊・焼失してしまう可能性」、というのは控え目の予測だろう。
・『日本を瀕死の状態に陥れた巨大地震の恐怖  関東大震災─大正12(1923)年9月1日─を起こした地震を関東地震と呼んでいます。私は1990年頃から、この地震を調べ始めましたが、関東地震はデータが非常に多く残っていることがわかりました。これまで、それらのデータを一つ一つ、自分で調べながら30年やってきました。町ごとに、どういう原因で何人亡くなったか、死者を調べて数字を積み上げ、被害と震度を出しました。 今回、「被服廠跡の惨劇」というテーマをつけたのは、被服廠跡で関東大震災を象徴するような被害が起こっているからです。ここでは約3万8000人の方が亡くなられました。 関東大震災というと関東の震災だと言う人がいますが、それは違っています。日本が国家存亡の機に瀕した自然災害は、関東大震災しかありません。 関東地震の震源は、相模湾にある海溝(相模トラフ)から、フィリピン海プレートが関東平野の下に潜り込み、その関東平野とプレートの境目で起こりました。神奈川県はほぼ全域が震源の直上になっています。 当時は震度計はありませんでしたが、住家全壊率と震度には相関があるので、各市町村ごとの全壊率から評価すると震度7のところも相当ありました。関東大震災の震度分布を作ると、阪神・淡路大震災の10倍以上の広さが震度7になっていました』、「被服廠跡」で「約3万8000人の方が亡くなられました」、決して広いとはいえない場所で、それほどの犠牲者が出たというのは、震災避難者の誘導の難しさを再認識させられた。
・『関東大震災での死者  関東大震災で亡くなった方は約10万5000人いますが、東京では約6万9000人が亡くなっています。震源の直上でもないのに、なぜこれほど多くの方が亡くなったのでしょうか。 地震が起こると家が潰れます。家が潰れて亡くなった方は約1万1000人です。火災で亡くなった方は約9万2000人もいます。「関東大震災は火災だ」と言われますが、家が潰れて亡くなった方も阪神・淡路大震災の2倍ぐらいいます。 土砂災害で亡くなった方が700~800人です。関東大震災後に耐震基準ができたので、もし今、同じ規模の地震が起こっても住宅の全壊は減るでしょう。火災もそれにつれて減ると思います。しかし、土砂災害は減らない。今横浜や横須賀には、崖の下に多くの人が住んでいますが、これは危ないと思っています。 強い揺れが来たときに、海岸にいる人は津波が来るかもしれないと思っても逃げていない。東日本大震災では地震発生から津波到達までに一番早いところでも1時間半あったので、すぐに逃げていれば95%の人は助かりました』、東京のゼロメートル地帯では、「津波」から逃げるには高層マンション程度しかなさそうだが、多くの避難者を収容できるのだろうか。
・『関東大震災の被害額  経済被害については、大正14(1925)年に東京市がまとめています。地震の経済被害には直接被害と間接被害があります。直接被害は、鉄道会社で言えば線路が曲がったとか橋が落ちたというものです。間接被害は、電車が止まって運賃収入がなくなることなどです。民有林や田畑の被害は入っていませんが、関東大震災の直接被害は約55億円、そのうち東京市が約36億円です。 国に対する影響という意味でGDPを基準に比べてみます。関東大震災のときはGNPですが、これが150億円ぐらいですから、損害総額の55億円は36.7%にあたります。この比率が40%に到達する災害はそれほど多くはありません。東日本大震災が3.3%です。 関東大震災のときの国家予算は約15億円ですから、国家予算比は360%です。東日本大震災が約2割ということを考えると、日本は関東大震災からよく復興できたものだと思います』、関東大震災当時は地方が自立的だったが、現在では本社機能の東京集中がはるかに進んだことを考慮すると、経済の混乱は予想以上に深刻化する懸念もある。
・『東京・横浜を去る避難民  政府は、大きな被害を受けた東京・横浜からできるだけ多くの人を地方へ避難させます。関東大震災が起きたのは9月1日ですが、9月20日ぐらいまで、汽車賃を無料にし、救援物資を積んできた船にも無料で人を乗せた。約100万人が9月中に東京・横浜を出ていったという記録が残っています。 日本は大正9(1920)年に近代国家になって初めて国勢調査をしました。そのときの経験を生かして関東大震災後の11月15日に国勢調査的なことをしました。 天皇陛下が羅災者のために1000万円、今の価値なら約500億円を下賜されました。唯一それが一般庶民に現金で配られたお金です。 これを配るべき人がどこの県に何人ぐらいいるかを把握しなければならない。それが、11月15日の調査の一番大きな目的だったと最近わかってきました。人口が減少したところは、東京市と横浜市と神奈川県の郡部で、合計約77万人減少しています。このうち約10万人が死亡しています。また全被害者のうち約80万人が被災地から県外に移動しています。 一番人が増えたところは東京府の郡部で、約32万人増えています。被災地に近くて比較的被害が少なかった場所だからです。被災地以外では、大阪が約3万4000人、栃木や新潟は2万人以上、愛知県でも約2万3000人が被災者として暮らしています。沖縄でも約1600人、北海道だと約1万人近くが暮らしている。そういう状況が地震から2か月後にあったということです。 ちなみに東日本大震災では、各県内で移動した人も含めて2カ月後で約20万人が移動しています。しかし、関東大震災のときに比べて正確な調査がなく、そういう意味では現代のほうが、大正時代より遅れている部分があるのです』、親戚付き合いも希薄になりつつあるなかで、地方への避難といっても容易ではなさそうだ。
・『東京での火災と揺れ  東京の火災はどういう形で起こったか。9月1日の11時58分に地震が起こり、火災はその時点から発生し、3日の10時ぐらいに一応鎮火しますが、その間ずっと燃え続けました。 9月1日の夕方までに燃えたところは、隅田川の東側、今の江東区や墨田区と、浅草より北の方です。隅田川より西側の水道橋から神田と神保町あたりも焼けましたが、ここは揺れが大きかったこともありましたが、辺りは江戸時代に大池という池があったところを埋め立てた地域で、地盤が悪くて多くの家が潰れたからです。東京の中央区、銀座や日本橋はほとんど家が潰れていません。しかし後で他の地域から飛び火して燃えています。 地震が起こると、どこでも火災は起こりますが、普通は人が消します。ところが家が潰れると、人が下敷きになり、火も消せずに延焼火災になってしまうのです。 一旦燃え出すと、燃えるものがなくなるまで消えないのが火災です。 今は「地震が起こったときには、やけどをするから急いで火を消すな」と言いますが、消したほうがいいと私は思います。延焼火災になったらたくさんの人が死ぬのです。 家が潰れることと火災は関係があります。延焼火災を防ぐにも、耐震設計が必要です。それが、関東大震災後に耐震基準ができた一番大きな理由です。我々は今、その恩恵を被っているわけです。 9月1日の夕方ぐらいまでに、警視庁が各警察署の管轄で何軒家が潰れているか調べています。大正9年の国勢調査と合わせると全壊率がどれくらいかがわかるので、震度分布を出すことができました』、「「地震が起こったときには、やけどをするから急いで火を消すな」と言います」、飛んでもなく自己中心的なことを言う輩がいるものだ。「消したほうがいいと私は思います」、当然である。
・『220年前にほぼ同じ地震に襲われていた  関東大震災の220年前、元禄16(1703)年にあった関東地震で、江戸はどういう被害が出たのか。 江戸では340人が亡くなった記録があります。しかも、火災は起きていませんでした。その頃の江戸は、元禄16年までに墨田川に永代橋と新大橋がかかりますが、それまでは両国橋しかありませんでした。元禄の地震の46年前の1657年に起こった明暦の大火で、死者約10万人を葬ったのが、両国橋を渡ってすぐにある回向院でした。これらなどから、隅田川の東側はほとんど人が住んでいなかったことがわかります。墨田川の東側は湿地帯だったので人が住めなかったのでしょう。 その後、水害を防ぐ技術が出てきます。堤防をつくり、埋め立てができるようになりました。そして、隅田川より東側に、人が住める広大な場所が出てきた。しかし、江戸時代は大名の上屋敷等が火災で焼けたときのために下屋敷が多かった。明治になると、大名がいなくなり、区画整理もしないままその地域に一般庶民がたくさん住みました。 隅田川の東側をそのまま水害が起こるところにしておけば、誰も住まず、大正の関東地震で6万9000人も亡くなることにはならなかった。ところが科学技術が進んで、堤防をつくる技術ができた。科学技術は単なる道具なので、人がどう使うかが重要です。科学技術が進んだからといって、人間が幸せになるわけではないということを、関東大震災は教えてくれています』、その通りだ。残念ながら人間にはリスクを過小評価・無視してしまう「楽観バイアス」があるようだ。

第三に、京都大学大学院特任教授の安田 陽氏が9月18日付け東洋経済オンラインに掲載した「千葉の停電は「的外れな議論」が多すぎる 県や政府に「危機管理」の意識が欠如していた」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/303302
・『台風15号による停電が長期化している問題で、電力会社による情報提供のあり方が批判を招いている。 送配電事業を担う東京電力パワーグリッドは当初、2日程度で停電を解消できるとの見通しを示したが、その後、おおむね1週間、さらには2週間へと見通しを変更した。そうした中で、千葉県知事やマスメディアなどから、東電の「想定の甘さ」を指摘する声が相次いだ』、「千葉県知事」も初めのうちは被害は軽微といったニュアンスで発言、あとで批判されたり、緊急用に備蓄してある発電機のかなりが未使用ということが発覚したり、など決して他者を批判できる立場にはない筈だ。全く頼りない口だけの知事のようだ。
・『千葉県や国の対応は遅すぎた  しかし、問題とすべきは「見通しの甘さ」ではない。大規模災害の場合、被災状況の正確な把握自体がそもそも困難であり、情報の欠損や情報提供の遅延は当然起こりうる。東電の責任だけを追及しても得るものはあまりない。 大規模災害時には、正確な情報を得られず不確実性がある中で、意思決定をしていかなければならない。これが「クライシスマネジメント」(最悪の状態を想定した危機管理)の考え方だ。むしろ、国や地方自治体にクライシスマネジメントが欠如していたことこそ問題にすべきだ。 その一例が、行政による対策本部設置の遅さだ。千葉県が災害対策本部を設置したのは、大規模停電発生から丸1日以上が過ぎた9月10日午前9時のことだった。経済産業省の停電被害対策本部の設置は13日。政府全体の災害対策本部に至っては17日現在も設置されていない。 対策本部設置以前からさまざまな取り組みが続けられていたはずだが、大規模災害では電力のみならず、医療や食料の提供、避難場所の確保などさまざまな課題があり、政府や都道府県による対策本部を速やかに設置し、意思決定・情報発信していくことが必要だ。 その際、クライシスマネジメントの中枢を担うのも、電力会社などの民間企業ではなく、国や都道府県である。しかし、今回の災害では、対策の多くが電力会社任せにされている。 東電は9月13日になって、停電の復旧までにおおむね2週間が必要だとの見通しを示した。これだけ停電が長期化する事態であれば、電力会社に判断や公表を任せることが正しかったのかについても疑問がある。政府が主導してもよかったケースだ。 マスメディアの報道も、的外れなものが少なくない。例えば倒壊した電柱の本数が何本あるかとの質問に東電が答えられなかったことが問題視されたが、情報の正確性にこだわりすぎるのはクライシスマネジメントの観点から適切ではない。むしろ、災害時は情報が十分そろわないことが多いということを認識すべきだ。 仮に3ケタの電柱被害があり、停電が長期化した場合にどのような対処が必要であるかをあらかじめ予想したうえで、情報が少ない初期の段階でも被災者の安全を想定して行動する準備ができていたかどうかを問うべきだ』、安倍政権がいまだに「対策本部設置」を設置してないのは、驚くべきことだ。いまさら設置すれば、判断ミスを認めることになるからかも知れない。いずれにしろ、今回は政府、千葉県、東京電力、さらにはマスコミとも、「クライシスマネジメント」の典型的失敗例を提供してくれたようだ。
・『科学的根拠に基づく議論が必要  停電の原因や対策に関する報道でも見当違いが少なくない。ある大手紙は、1990年代以降に送電関連の設備投資が抑制されていたことを挙げ、電柱が老朽化して倒壊を増やした可能性を指摘している。 確かに1970年代に建設された設備も多数残っており、「耐久性があると判断した電柱への投資を先延ばし」したとも言及されている。しかし、鉄塔や電柱の耐用年数は50年と定められており、現時点で明確な技術基準違反が多数見つかっているわけではない。 今後、電柱倒壊の原因や老朽化との関係については、経産省などで検証委員会などを立ち上げ、きちんと検証すべきだが、停電も十分解消されていない現時点で、十分な裏付けも取らず「老朽化が原因」と示唆することは、クライシスマネジメントの観点から優先すべき順位を見誤っているように見える。 電柱の地中化については逆のことがいえる。複数の政治家が電柱の地中化の有効性について言及したと報じられる一方、SNSやネットでは地中化は莫大なコストがかかるとか地震に弱いなどの反論も相次ぐ。欧米ではこのようなインフラ投資に対しては費用便益分析(費用対効果の検証)を行うが、日本では印象論的な消極論が多い。 地中化は確かに建設コストがかかり、電力料金を押し上げる可能性もあるが、自然災害に対する強靭性や事故率の低さ、景観・環境の点からコストに見合う便益(ベネフィット)が期待される。電柱の地中化や耐久性基準見直しは、防災やリスク低減というリスクマネジメントの観点から検討する必要があるだろう。 災害多発時代の日本にとって必要なのは、科学的根拠に基づいたリスクマネジメントの議論と合意形成手法の確立だ』、説得力溢れた主張で、大賛成だ。
タグ:住民に任された避難の判断 関東大震災での死者 市民全員が避難所に避難する必要があるとは考えていませんでした。土砂災害警戒区域など危険な場所に住む人たちに避難してもらいたいという情報でした 土砂災害で亡くなった方が700~800人 クライシスマネジメント 避難所の合計収容人数は約8万5000人。59万人全員が避難して来れば、とても入りきれる数ではありません 火災で亡くなった方は約9万2000人 安田 陽 ギャップ埋める取り組み 「千葉の停電は「的外れな議論」が多すぎる 県や政府に「危機管理」の意識が欠如していた」 全域」でも「全員」じゃない!? 約3万8000人の方が亡くなられました 家が潰れて亡くなった方は約1万1000人 最悪のシナリオでは2万3000人が亡くなり、61万棟が全壊・焼失してしまう可能性 「被服廠跡の惨劇」 災害 関東大震災の被害額 東京・横浜を去る避難民 災害多発時代の日本にとって必要なのは、科学的根拠に基づいたリスクマネジメントの議論と合意形成手法の確立 科学的根拠に基づく議論が必要 千葉県知事やマスメディアなどから、東電の「想定の甘さ」を指摘する声が相次いだ 「30年以内に70%の確率で、マグニチュード7クラスの首都直下地震が襲う」 「首都直下地震が起きたら! 関東大震災の「火災と揺れ」の恐怖 10万5000人が死亡した現場を見よ」 強い情報の頻発は情報の軽視につながりかねない 「関東大震災は火災だ」 現代ビジネス 「“全市避難せよ!”いったいどこへ?」 220年前にほぼ同じ地震に襲われていた 日本を瀕死の状態に陥れた巨大地震の恐怖 対策本部設置の遅さ 大規模災害時には、正確な情報を得られず不確実性がある中で、意思決定をしていかなければならない 「避難勧告等に関するガイドライン」 全域と言われても…「鹿児島市から出ろってことか?」 千葉県や国の対応は遅すぎた 関東大震災で亡くなった方は約10万5000人 NHK News web 武村 雅之 『首都直下地震「専門家5人の警告」』 「被服廠跡の惨劇」を抜粋 月の記録的な大雨で、市内「全域」の59万人に避難指示が出された鹿児島市では、住民から戸惑いの声 (その7)(“全市避難せよ!”いったいどこへ?、首都直下地震が起きたら! 関東大震災の「火災と揺れ」の恐怖 10万5000人が死亡した現場を見よ、千葉の停電は「的外れな議論」が多すぎる 県や政府に「危機管理」の意識が欠如していた) 政府全体の災害対策本部に至っては17日現在も設置されていない 今は「地震が起こったときには、やけどをするから急いで火を消すな」と言いますが、消したほうがいいと私は思います 東洋経済オンライン ルールはあるの? 鹿児島県内の9つの自治体が「全域」に避難指示を出したほか、隣の宮崎県でも都城市などが全域に避難勧告 東京での火災と揺れ
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