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NHK問題(その2)(「NHKはまるで暴力団」と発言 “日本郵政のドン”の裏の顔とは?、NHK vs. 日本郵政「圧力騒動」と「次期NHK会長人事」の不穏な噂 国民が注視すべき「NHKの異変」、日本郵政副社長「NHK暴力団発言」で露呈した「放送法コンプライアンス」の無理解) [メディア]

NHK問題については、9月3日に取上げた。今日は、(その2)(「NHKはまるで暴力団」と発言 “日本郵政のドン”の裏の顔とは?、NHK vs. 日本郵政「圧力騒動」と「次期NHK会長人事」の不穏な噂 国民が注視すべき「NHKの異変」、日本郵政副社長「NHK暴力団発言」で露呈した「放送法コンプライアンス」の無理解)である。

先ずは、10月15日付け文春オンライン「「NHKはまるで暴力団」と発言 “日本郵政のドン”の裏の顔とは?」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/14627
・『「臨時国会で参考人招致を検討している」 こう野党幹部が名指しするのは、“日本郵政のドン”と呼ばれる日本郵政の鈴木康雄上級副社長(69)だ。 かんぽ生命の不正販売に揺れる日本郵政グループ。この問題を報じたNHKについて、鈴木氏は10月3日の会見で「まるで暴力団と一緒でしょ」と言い放った。 鈴木氏が糾弾した番組は、昨年4月放送の「クローズアップ現代+」。続編の放送を目指し、SNSで情報提供を呼びかけた。それに対して日本郵政が強硬に抗議。NHKは日本郵政に文書で事実上、謝罪し、続編番組の放送を延期した。 鈴木氏の暴言について、日本郵政幹部が語る。 「NHKへガバナンス体制を問題にして追及するのは、総務官僚らしい発想です」 当の鈴木氏はいかなる人物か。山梨県出身で東北大学法学部卒業後、1973年に旧郵政省(現総務省)に入省。総務省情報通信政策局長を務めなど、放送行政に長く携わってきた。 「酒好きで、フジテレビの日枝久さんや日本テレビの故・氏家齊一郎さんに可愛がられた。また、電気通信事業部長時代に利害関係者のNTTコミュニケーションズから飲食を提供され、タクシー券を貰って使用したことが05年に発覚、国家公務員倫理法違反で戒告処分となりました」(同前)』、NHKも日本郵政側に強力な「鈴木氏」がいることは、百も承知で放送したのだろう。
・『「役人出身なのに話は飛ぶし、“てにをは”の使い方も変」  鈴木氏は2009年7月から10年1月まで総務次官を務めた。日本郵政取締役となったのは、13年。日本郵政社長が坂篤郎氏から西室泰三氏に交代した時期で、自民党が与党復帰した直後の「菅義偉官房長官による人事」と言われた。 「菅氏が総務大臣を務めていた06年から07年、鈴木氏は情報通信政策局長や総務審議官をしていた関係で、親しい間柄。民主党政権下で次官を半年で更迭されたことへの恨みを汲み取った菅氏が、鈴木氏を日本郵政に送り込んだという見方もありました」(同前) 役人らしくない一面も。 「役人出身なのに話は飛ぶし、“てにをは”の使い方も変で、否定なのか肯定なのかわからないときもある」(日本郵政関係者) 取締役の6年間で全国郵便局長会や、24万人の組合員を誇るJP労組との交渉窓口役を担ってきた。 「鈴木氏はトップ人事にも介入するのです。日本郵政グループ経営陣についても“神輿は軽い方がいい”と周囲に漏らしています。特にこの1年、自身への批判は絶対許さないという感じになっています」(同前) 長門正貢社長の後任昇格説もあった鈴木氏。今回の暴言は驕りからくる舌禍か、計算ずくのパフォーマンスか。いずれにしろ致命傷になりかねない』、鈴木氏は「総務省情報通信政策局長を務めなど、放送行政に長く携わってきた」、上にさらに「菅義偉官房長官による人事」、とあっては怖いものなしで暴言を吐くまでに増長するのも頷ける。 「日本郵政グループ経営陣についても“神輿は軽い方がいい”と周囲に漏らしています」、同氏を除くと長門正貢社長以下、頼りない謎が解けた。

次に、コピーライター/メディアコンサルタントの境 治氏が10月26日付け現代ビジネスに掲載した「NHK vs. 日本郵政「圧力騒動」と「次期NHK会長人事」の不穏な噂 国民が注視すべき「NHKの異変」」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67966
・『「クロ現」スタッフの猛反論  9月28日、毎日新聞のこんな記事が大きな話題になった。 NHK報道巡り異例「注意」 経営委、郵政抗議受け かんぽ不正、続編延期 日本郵政のかんぽ不正販売に関するNHK「クローズアップ現代+」の制作に圧力がかかっていたという、大スクープだ。 見出しから汲み取れるのは、経営委員が日本郵政からの抗議を受けて、現場へ異例の「注意」を行い、番組の続編が延期になったこと。経緯は記事を読んでもらえばわかるし、テレビのワイドショーなどでも詳しく報じられたので、大筋理解している人も多いだろう。見出しにない点としては、NHKの上田良一会長が登場する点がある。日本郵政はまず上田会長に抗議したが、結果が得られなかったので経営委員会に抗議したのだそうだ。 この問題は国会でも取り上げられて、日本郵政副社長の鈴木康雄氏が「(NHKは)まるで暴力団」と発言するなど、さらに騒動が膨らんだ。鈴木氏は総務省では事務次官まで務めた責任ある立場の人物だ。それが記者団の前で「バカじゃねえの?」と暴言を吐いた。日本のエスタブリッシュメントもこんな体たらくだ。 日本郵政の横暴ぶりが世間に批判される一方で、NHKも「圧力に弱い報道機関」という印象が強まった。現場も会長も、そして経営委員会も今回の毎日のスクープで信頼が失墜してしまった。10月3日の会長会見でも、幹部たちの歯切れの悪い回答が報じられた。 これに対し、NHKが2週間後、初めて反撃した。10月18日に、NHK「クローズアップ現代+」のWEBサイトに文書が掲載されたのだ。 かんぽ生命の保険をめぐる番組制作について こう題したページで語られたのは、「クロ現」制作現場からの猛反論だ』、NHK会長や経営委員会の余りの弱腰に、現場も腹に据えかねたのだろう。
・『込められた怒り  “クローズアップ現代+の取材や放送が、郵政側の不当な圧力によって歪められたという報道がありました。しかし、こうした報道は事実と異なります” という、のっけから熱い切り出し方で、NHKらしい冷静沈着な文体の裏にはっきりとした怒りを感じる。NHKが番組についての疑問に広報や上層部の会見などで答えることはあっても、番組の現場から直接メッセージが出るのは前代未聞。どうしても言いたいことがあったのだろう。 このページでは、改めて詳しく経緯が説明されている。これも直接中身を見てもらうのが一番だろう。例えば、圧力を受けて削除したとされる番組の動画を堂々と再掲している。あらためて公開したこと自体、「圧力に屈して削除したんじゃないんです!」と決然と表明する意図が込められているように受け取れる。 「クロ現」チームの説明はこうだ。日本郵政から会長宛ての文書で動画の削除が求められ、その後も、日本郵政への取材を申し入れても「動画を消さないと応じられない」の一点張りだった。取材が進展しなかったので、8月の続編の放送を断念した。併せて、情報提供を呼びかけるためにWEBサイトに掲載していた動画も役割を終えたので、公開をやめた。続編の制作を諦めたのは8月で、経営委員会からの厳重注意は10月だから、時系列で見ても圧力と続編断念は関係ないと言える。 この猛反論の文書を読んで、毎日新聞のスクープ記事と照らし合わせていくと、事実関係にさほど食い違いはない。ただ、大きく違うのはニュアンスだ。 毎日の記事は、“郵政側が続編の取材を断ると伝えるなどしたため、同局は8月上旬に続編延期を決め、動画2本を削除”と書いている。実は本文では、「クロ現」チームの反論通りなのだ。だが見出しのつけ方は経営委員会の注意と続編延期の因果関係を匂わせるもので、“釣り見出し”のようにも思える。「クロ現」チームの怒りももっともではないだろうか』、「チームの反論」は確かに冷静で正々堂々としている。原文のURLは下記
https://www.nhk.or.jp/gendai/kiji/169/index.html
・『NHKの組織構造  一方で「クロ現」チームの反論も物足りなく思える。 “去年10月23日に、経営委員会が会長に行った厳重注意が、放送の自主・自律や番組編集の自由に影響を与えた事実はありません“と主張しているが、会長や経営委員会についてはいいとも悪いとも書いていない。 さらに毎日新聞の記事には、11月6日に「説明が不十分だった」と謝罪する文書を上田会長が日本郵政に送ったとあるが、「クロ現」による反論では、そこにはまったく触れていない。あくまで現場の見解であり、上層部のことなど知ったことではない、ということのようだ。 会長や経営委員会に誰がどう圧力をかけようと、現場の我々が屈することはない!という決意の主張と受け止めると、NHKの現場の頼もしさに快哉を叫びたくなる文書だ。一義的には「よく言った」と応援したくなる。 だが一方で、NHK上層部への疑問が国民の間に広がっている今、これだけの対応でいいの?という疑問も浮かんでくる。NHKという巨大組織の対外的な説明として、「会長や経営委員会の事情は、現場は知らねえっす」で通るのだろうか? さてここで、NHKの会長と経営委員会についておさらいしておこう。NHKのWEBサイトには経営情報のページがあり、会長と経営委員会について簡易に説明している。 それによると経営委員会は「役員の職務の執行を監督する機関」であり、「委員は、国民の代表である衆・参両議院の同意を得て、内閣総理大臣により任命される」とある。「会長の任免も行う」ともあるので、かなり強い権限を持つ。一般企業の取締役会とほぼ同じような存在なのだ。 日本では「社員が出世したら取締役になれる」と捉えられがちだが、一般企業の取締役会は、本来は株主に託された強い権限を持つ会議体で、社長以下業務執行者の監督責任を持つ。 経営委員は外部からやってくるので、本来の意味での取締役会のような監督機能が強い。会長より立場が上なのだ。 衆参両院の同意で首相が任命するのが経営委員で、経営委員会が会長を任免するということは、その仕組みを利用すれば政権はNHKをコントロールできてしまう。これが実は、NHK最大の問題点だ。公共放送であり、受信料を払う国民に寄与するはずが、下手をすると政権のためのメディアに堕しかねない』、現場からの反論には、自ずと制約があるのだろう。それにしても、経営委員を通じた「コントロール」の強力さを再認識した。
・『今回の「圧力騒動」がもたらすもの  もっとも、戦後にできたこの制度は長らく悠長に運営され、経営委員は老いた大学教授が就く名誉職のようなもので、経営に口を出すことはほとんどなかったそうだ。会長についても、NHK局内から出世した人物が推薦されても、経営委員会がNOと言うことはあまりなかった。 ところが2000年代半ばにNHKで不祥事が続いたとき、初めて「モノ言う経営委員長」が現れた。富士フィルム会長だった古森重隆氏だ。在任期間は短かったが、執行部が作成した5ヵ年計画に対し再提案を要請するなど強い監督権を発動した。 この時の首相が第一次内閣の安倍晋三氏で、総務大臣は現官房長官の菅義偉氏だった。この時に安倍・菅コンビは放送法を通じてNHKに影響力を持てることを確認したのだ、との説を唱える人もいる。 何しろ、経営委員会は両議院の同意を得て首相が任命するのだ。衆参で与党が多数を占める今のような安定政権のもとでは、自分たちの息のかかった人物を経営委員会に送り込むなど容易だ。その経営委員会が会長を任命し、執行部の監督責任を持つ。NHKは構造上、政権の強い影響力を受けざるを得ないのだ。 話を戻すと、毎日新聞がスクープし「クロ現」チームが反論した日本郵政の圧力騒動は、結果として何をもたらすのだろう。 日本郵政に言われて現場に厳重注意をしたNHK経営委員会が問題なのは当然としても、上田会長も株を大きく下げたと言っていい。 毎日新聞によれば「11月6日、番組幹部の発言について『明らかに説明が不十分。誠に遺憾』と事実上謝罪する文書を郵政側へ届けさせた」のだそうだ。言論機関の業務執行責任者として、いかがなものか。暴言を連発した日本郵政の鈴木副社長も世間の批判にさらされているが、別の視点では上田会長も“情けないやつ”扱いをされかねない』、「初めて「モノ言う経営委員長」が現れた。富士フィルム会長だった古森重隆氏だ。在任期間は短かったが、執行部が作成した5ヵ年計画に対し再提案を要請するなど強い監督権を発動した。 この時の首相が第一次内閣の安倍晋三氏で、総務大臣は現官房長官の菅義偉氏だった」、なるほど、安倍政権のNHKコントールの原点なのだろう。
・『次期会長をめぐる噂  これについて、ある噂が流れている。上田会長の任期は来年早々に切れるが、もう一期続投するか退任するかについては、まだ何の発表もない。一方、次期会長候補として現在専務理事の板野裕爾氏の名が挙がっているという。 板野氏を早く会長にするには上田会長に退任してもらう必要がある。日本郵政の件のスクープは“上田降ろし”の一環で、そのために何者かが毎日新聞にリークしたというのだ。確かに日本郵政の圧力は1年以上前の話で、なぜこのタイミングでスクープされたのかを不思議に思う人も多いだろう。 さらに調子に乗って噂の続きを書こう。この板野氏はNHKプロパーの人材だが、権力に弱いとのもっぱらの評判だ。ここで言う権力とは、つまりは首相官邸のことだ。近年NHKが、官邸からの指示に素直に従う姿勢を保ってきた背景には、板野氏の存在があるという。 元NHK記者の相澤冬樹氏は私の中高の同級生なのだが、筆者と二人で遊び半分にやっているFacebookライブ配信で、彼は板野氏のことを「現場をよく知るイエスマン」と表現していた。外から連れてきて会長にするより、現場経験のあるNHKプロパーかつ上に従う人材を会長に据えた方が、局内の動かし方がわかっているから都合がいい、ということだ。 つまり、上田降ろしを目論む何者かが、毎日新聞に1年前の日本郵政の抗議の一件をリークし、それにより板野会長の実現を確実にしようとしている、というわけだ。 さて、そんな噂を知ってしまうと、共同通信の10月2日付のこの記事も気になってくる。 NHK放送トップが出向き謝罪文 日本郵政の抗議に 毎日新聞の記事にあった上田会長の謝罪文を日本郵政に届けたのが、木田幸紀放送総局長だったことを報じたものだ。不思議な記事だと思った。なぜこの部分だけを、わざわざスクープであるかのように報じているのか。 木田総局長は板野氏と同じく専務理事だ。上田会長降ろしのついでに、板野氏のライバルになりかねない木田氏の評判を貶めるリークなのかもしれない……と、噂に沿った邪推も浮かんでくる』、「近年NHKが、官邸からの指示に素直に従う姿勢を保ってきた背景には、板野氏の存在がある」、謎が解けた感じがする。「板野氏のことを「現場をよく知るイエスマン」と表現」、「現場経験のあるNHKプロパーかつ上に従う人材を会長に据えた方が、局内の動かし方がわかっているから都合がいい」、こんな人物が会長になったら、NHKはますます政府の御用機関化するだろう。それにしても不可思議な「リーク」が飛び交うというのも、NHKはまさに伏魔殿だ。野党にはNHK労組を通じて情報も入ってくるのだろうから、国会で監視役を果たしてもらいたい。
・『NHKの現場が漏らす不安  以上の噂は、噂に過ぎない。ただ、筆者は複数のNHK関係者から同様の話を耳にした。真偽を確かめようはないが、どうも気になる。 それは置いておくにしても、このところNHKを取り巻く状況がどうもきな臭いことは頭に入れておきたいことだ。 「クロ現」チームの文書から伝わる通り、NHKの現場で働くスタッフの多くは、真面目で、誠実に視聴者に貢献しようとする志の高い人びとだ。だが彼らがある一線を越えると、どこからともなく「待った」をかけるような動きが出るのも間違いない。関係者は、以前はこんなことはなかった、と訴える。 NHKの一部にかかっていた靄が、いま全体を包み込もうとしている。私たちはその靄をかき分けて、ウォッチしていかねばならない。日本の言論を守るためにも、NHKの動向を日々チェックし、今回のようなNHKに関する報道の裏側も、読み解かねばならないと思う。 ※文中に出てくる相澤冬樹氏と筆者のライブ配信は、月に一回酒を飲みながら話すといういい加減なものだが、10月1日の回で本記事の問題について詳しく語っている。ご興味のある方はこちらを参照されたい。〈相澤冬樹&境治・メディア酔談 10月1日配信〉』、良心的なスタッフが「クロ現」などに残っているようだが、NHKが全体としては、官邸の大本営発表をタレ流すようになった背景も理解できた。「相澤冬樹&境治・メディア酔談」は以下のフェイスブックのページで動画をクリックすれば観られる。
https://www.facebook.com/sakaiosamu/videos/vb.100000787392128/2429239810445575/

第三に、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が10月9日付け同氏のブログに掲載した「日本郵政副社長「NHK暴力団発言」で露呈した「放送法コンプライアンス」の無理解」を紹介しよう。
https://nobuogohara.com/2019/10/09/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e9%83%b5%e6%94%bf%e9%88%b4%e6%9c%a8%e5%89%af%e7%a4%be%e9%95%b7%e3%80%8cnhk%e6%9a%b4%e5%8a%9b%e5%9b%a3%e7%99%ba%e8%a8%80%e3%80%8d%e3%81%a7%e9%9c%b2%e5%91%88%e3%81%97%e3%81%9f/
・『関西電力の岩根茂樹社長と八木誠会長が、2010年2月に、関電本社の役員会での講演で、私のコンプライアンス論を聞いてくれていた人達であるのに、彼らの金品受領問題に関する記者会見での言動が、残念ながら、全く理解できない、異様なものであったことは、一昨日の【関電経営トップ「居座り」と「関西検察OB」との深い関係】で述べた。今日(10月9日)の日経朝刊で、関電の会長・社長が辞任の方向と報じられているが、当然であり、遅きに失したというべきであろう。 コンプライアンスを通じて私が、過去に関わりを持った人の中に、もう一人「残念な人」がいる。6年以上にわたって日本郵政副社長を務め、「事実上の経営トップ」とも言われる鈴木康雄氏のことだ。 鈴木氏は、かんぽ生命における「保険不適切販売」の問題に関して、NHK側の対応について、「暴力団と一緒」「ばかじゃないの」などと発言したことで批判を浴びている。 私が、2009年10月に総務省顧問・コンプライアンス室長に就任した際、事務次官として、大臣室での顧問の辞令交付にも立ち会ったのが鈴木氏。翌2010年1月、総務省が「日本郵政ガバナンス検証委員会」を設置し、私が委員長に就任した際も事務次官は鈴木氏だった。そして、2014年に、西室泰三社長時代の日本郵政の役員会でコンプライアンス講演を行った際にも、副社長として出席していた。私のコンプライアンスの活動と関わりがあった人の一人である。 先週10月3日に、国会内で開かれた野党5党による合同ヒアリングに、「日本郵政ガバナンス検証委員会」の元委員長として出席した際、日本郵政側で出席していた鈴木氏と久しぶりに顔を合わせた。 そこでは、かんぽ生命の保険の不適切販売の問題に加えて、NHKへの日本郵政側の抗議の問題も取り上げられた。昨年4月に放送されたNHKの「クローズアップ現代+」が、かんぽ生命の販売に関する問題を取り上げ、続編の放送に向けた情報提供を求める動画を公式ツイッターに掲載し、日本郵政に取材に応じるよう求めていたが、日本郵政側が削除を要求し、応じなかったので、会長宛てにそれを要求した。それに対して、NHK側が、「会長は番組の編集に関与しない」と回答したことについて、日本郵政側が「ガバナンスの問題」として、NHKの最高意思決定機関である経営委員会に抗議し、NHKは予定されていた続編の放送を延期、同11月にはNHK側が会長名の“謝罪文書”を渡し、公式ツイッター上の動画も削除された。 一連の対応が、日本郵政側からの「圧力」に屈したと批判を受けていた。このNHKへの抗議の中心となったのが、副社長の鈴木氏だ』、郷原氏は鈴木氏と既知の関係だったようだが、「野党5党による合同ヒアリング」で顔を合わせたとは、世の中は狭いものだ。
・『野党合同ヒアリングでの日本郵政鈴木副社長の発言  ヒアリングでは、ちょうど私の目の前の席に鈴木氏が座っていた。 NHK側とのバトルに加えて、野党議員からの追及を直接受ける状況に気が立っているせいか、私の顔を見ても無表情で、不愉快そうだった。 質問に答えて、鈴木氏が説明した事実経過は、以下のとおりであった。 昨年4月の放送の前に取材を受けて、執行役員が取材に答えた。その後、第二弾の放送をするにあたって、公式ツイッターのショート動画で、全く事実の適示がなくて、「元本詐欺」、「詐欺まがい」、「押売りなど」などと書いていた。貶めるようなことをいうのはやめてくれと抗議したところ、番組プロデューサーが「会長は番組内容に関知しない」と発言したので、明らかに放送法違反だと考えて、NHKの編集体制をしっかりしろと会長宛てに抗議文を送ったが、その後何の返答もないので、本来NHKの監督をするのは経営委員会なので、経営委員会に判断を求めたところ、やっとNHKの執行部から返答があった。 ヒアリング出席者のNHKの専務理事や経営委員会委員長代行の説明によると、日本郵政側の抗議に対して、番組ディレクターが「会長は番組内容に関知しない」と発言したことや、日本郵政側の抗議を長期間放置したことを理由に、経営委員会が、会長に厳重注意したとのことであった。 野党議員からは、鈴木氏に、日本郵政の中に、これだけ強い調子でNHKに対して物を言える人はいない、明らかに元放送行政に関わり、後に事務次官を務め、指導監督をしてきた自負によるもの。一線を越えた行動ではないか。との質問があった。 それに対して、鈴木氏は、 視聴者は、番組に対して、言われっぱなしで構わないというんじゃない。そのために訂正放送制度というのがあるんじゃないか。放送されたものがすべて正しい。放送しようとしていることがすべて正しいということじゃないと思います。と反論していた』、野党議員の「一線を越えた行動ではないか。との質問」は当然のことだ。
・『日本郵政のNHKへの抗議における「主張」  鈴木氏が、ヒアリングで述べたことからすると、日本郵政側のNHKへの抗議における主張は、以下のようなもののようだ。 (1) 放送事業者は、組織として編成方針を決定し、その方針にしたがって、番組が作成されなければならない (2) 視聴者側は、放送事業者に、真実ではない放送を行ったとして請求した場合には、放送事業者が調査し、真実ではないことが判明した場合には訂正放送をしなければならない (3) だから、番組の編集に関して問題があると視聴者側から指摘された場合は、組織のトップの責任において対応し、是正を図らなければならない 放送法は放送事業者に(1)~(3)を義務づけているので、日本郵政の抗議に対して、NHKの番組プロデューサーが、「会長は編集に関与しない」と言ったこと、抗議を長期間放置したことが、放送法違反であり、それに対して是正措置をとらなかった会長には重大な義務の懈怠がある。 NHKの経営委員会は、上記のような日本郵政側の主張が正当だとして、会長に厳重注意を行ったということのようだ』、一見すると、さすが放送行政のプロらしい主張だ。
・『日本郵政の「放送法コンプライアンス」の無理解  しかし、日本郵政側の抗議の内容や、NHKとのやり取りの詳細の資料は不明だが、少なくとも、上記のように、日本郵政側が、放送法を盾にとってNHKに抗議し、公式ツイッター上の動画を削除までさせたことが、放送法の趣旨に沿うものとは思えない。鈴木氏は、「放送法コンプライアンス」をはき違えており、そこには、「根本的な無理解」があるのではないか。 第一に、組織として決定する「編成方針」というのは、どのような目的で、どのような番組を作成していくのかという基本的な番組編集方針のことであり、その方針の決定を組織として行うに当たって、NHKの経営トップである会長が関与するのは当然である。しかし、一方で、放送法3条は、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と定めているのであり、個々の番組の内容について外部者から干渉されることを禁じている。組織のトップに対する外部からの働き掛けで番組内容が影響を受けることは、3条の規定に反するものであり、放送事業者としては、そのような「干渉」を受けないようにすることが求められる。 第二に、放送法9条の訂正放送に関する規定は、既に放送された番組について、その内容が真実ではないとして権利の侵害を受けた側から請求があった場合に関するものであり、番組を編集する過程で、真実ではない放送が行われようとしているとして、外部から、それを止めるように請求することを認める規定ではない。 したがって、今回の日本郵政からの抗議のように、昨年4月に放送した番組に続く「第二弾」の編集の過程で、その番組の準備としての取材に対して、取材される側が、NHKの会長に直接是正を求めた場合、個々の番組の編集のための取材の過程に会長が介入することは、放送法の趣旨に反するものであり、そこで放送法9条の訂正放送の制度を持ち出すのは的外れだ。 また、鈴木氏は、公式ツイッター上の動画の削除を求めたことも、「訂正放送制度」によって正当化されるかのように言っているが、公式ツイッター上の「動画」は、NHKが行う「放送」ではないので、そもそも放送法9条による訂正の対象ではない。 日本郵政の鈴木副社長が中心となり、放送法を盾にとってNHKへの要求を繰り返したことの方が、放送法の趣旨に反していると言うべきであろう』、郷原氏らしい鋭く説得力溢れた指摘だ。
・『鈴木氏の「NHK暴力団」発言  ところが、鈴木氏は、このヒアリングの終了直後、記者団に対して、取材を受けてくれるなら動画を消す。そんなことを言っているやつの話を聞けるか。それじゃ暴力団と一緒でしょ。殴っておいて、これ以上殴ってほしくないならもうやめてやる、俺の言うことを聞けって。ばかじゃないの。などと発言したと報じられている(朝日など)。 NHK側は、日本郵政側に「取材を受けてくれるなら動画を消す」と言ったことを否定しており、前提事実にも疑義があるが、それ以前の問題として、鈴木氏が放送法を盾にとってNHK側に要求していること自体が、「因縁」に近いものであり、それによって動画を削除させたことの方が、よほど「暴力団的」なやり方である。 総務省で放送法を所管する立場での職務経験が長く、「放送法コンプライアンス」をわきまえているはずの鈴木氏が、それに根本的に反する行動をとり続けていることは、由々しき問題である』、全面的に同意できる主張だ。今後、国会での議論が深まることを期待したい。
タグ:郷原信郎 現代ビジネス NHK問題 同氏のブログ 文春オンライン 境 治 (その2)(「NHKはまるで暴力団」と発言 “日本郵政のドン”の裏の顔とは?、NHK vs. 日本郵政「圧力騒動」と「次期NHK会長人事」の不穏な噂 国民が注視すべき「NHKの異変」、日本郵政副社長「NHK暴力団発言」で露呈した「放送法コンプライアンス」の無理解) 「「NHKはまるで暴力団」と発言 “日本郵政のドン”の裏の顔とは?」 日本郵政の鈴木康雄上級副社長 「臨時国会で参考人招致を検討している」 NHKについて、鈴木氏は10月3日の会見で「まるで暴力団と一緒でしょ」と言い放った 総務省情報通信政策局長を務めなど、放送行政に長く携わってきた 役人出身なのに話は飛ぶし、“てにをは”の使い方も変 日本郵政グループ経営陣についても“神輿は軽い方がいい”と周囲に漏らしています 「菅義偉官房長官による人事」 「NHK vs. 日本郵政「圧力騒動」と「次期NHK会長人事」の不穏な噂 国民が注視すべき「NHKの異変」」 「クロ現」スタッフの猛反論 NHKも「圧力に弱い報道機関」という印象が強まった NHKが2週間後、初めて反撃 かんぽ生命の保険をめぐる番組制作について NHK「クローズアップ現代+」のWEBサイトに文書が掲載 込められた怒り 続編の制作を諦めたのは8月で、経営委員会からの厳重注意は10月だから、時系列で見ても圧力と続編断念は関係ないと言える NHKの組織構造 衆参両院の同意で首相が任命するのが経営委員で、経営委員会が会長を任免するということは、その仕組みを利用すれば政権はNHKをコントロールできてしまう NHK最大の問題点 政権のためのメディアに堕しかねない 今回の「圧力騒動」がもたらすもの 初めて「モノ言う経営委員長」が現れた。富士フィルム会長だった古森重隆氏だ 執行部が作成した5ヵ年計画に対し再提案を要請するなど強い監督権を発動した。 この時の首相が第一次内閣の安倍晋三氏で、総務大臣は現官房長官の菅義偉氏だった。この時に安倍・菅コンビは放送法を通じてNHKに影響力を持てることを確認したのだ 次期会長をめぐる噂 現在専務理事の板野裕爾氏の名が挙がっている 近年NHKが、官邸からの指示に素直に従う姿勢を保ってきた背景には、板野氏の存在 「現場をよく知るイエスマン」 現場経験のあるNHKプロパーかつ上に従う人材を会長に据えた方が、局内の動かし方がわかっているから都合がいい NHKの現場が漏らす不安 相澤冬樹&境治・メディア酔談 10月1日配信〉 「日本郵政副社長「NHK暴力団発言」で露呈した「放送法コンプライアンス」の無理解」 務省顧問・コンプライアンス室長に就任した際、事務次官として、大臣室での顧問の辞令交付にも立ち会ったのが鈴木氏 野党5党による合同ヒアリングに、「日本郵政ガバナンス検証委員会」の元委員長として出席した際、日本郵政側で出席していた鈴木氏と久しぶりに顔を合わせた 野党合同ヒアリングでの日本郵政鈴木副社長の発言 野党議員からは 一線を越えた行動ではないか。との質問があった 日本郵政のNHKへの抗議における「主張」 日本郵政の「放送法コンプライアンス」の無理解 鈴木氏は、「放送法コンプライアンス」をはき違えており、そこには、「根本的な無理解」があるのではないか 鈴木氏の「NHK暴力団」発言 総務省で放送法を所管する立場での職務経験が長く、「放送法コンプライアンス」をわきまえているはずの鈴木氏が、それに根本的に反する行動をとり続けていることは、由々しき問題である
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共通テーマ:日記・雑感

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先ずは、精神科医の和田 秀樹氏が1月9日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「幸せは思ったもの勝ち 可能な限り多様な思考を受け入れる」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/report/16/122600095/010700045/
・『実は、今回が長い連載の最終回となる。 ずいぶん、好き勝手なことを書かせていただき、私にとっては楽しい連載だっただけに残念であるが、その総括をかねて、これからのサバイバルのために私がいちばん大切だと思う思考法について考えてみたい。 それは、世の中のほとんどのことは答えは一つでないし、将来、よりよい答えが出てくる(今、正解と思われていることが変わる)ので、なるべく多様な答えを知っておいたり、考え付いた方がいいし、なるべく多様な考えや知識を受け入れた方がいいということである。 多様な考えや知識を受け入れろというのは、どれか一つに決めるというのとは逆のスタンスである。だから、このコラムで私が提言してきたことも、私自身は当面は(未来永劫というわけではない)正しいと思っていることだが、それを正しいと受け入れてもらうより、いくつかある解答のうちの一つと思ってもらえば十分だし(今のところ、その中でもっとも妥当と思ってもらえれば、こちらの感情としてはうれしいが)、ましてや私のいうことが正しくてほかが間違っていると思ってもらうのは、むしろ危険と思っている。 これは思考のスタンスであるが、生き方のスタンスでもある。ただ、これとても、絶対に正しいと断言するつもりはない。 ということで、私のサバイバルのための現時点での思考パターンを紹介したい』、和田氏の記事はこのブログでも、何回となく紹介してきただけに、「今回が長い連載の最終回となる」、誠に残念だ。「なるべく多様な答えを知っておいたり、考え付いた方がいいし、なるべく多様な考えや知識を受け入れた方がいい」、との考え方は、「多様な考えや知識」を踏まえた上で、白黒をハッキリさせたいという私の考え方とは、若干異なる。
・『何のために勉強するのか  この年になると、あえて資格を得たいとか、この知識があった方が成功しやすいとかいうこともあまりなくなってきた。もちろん、これからのライフワークとして映画監督を続けていきたいので、ほかの映画監督の手法を学んだり、原作を探したりというのは勉強と言えるかもしれないが、3回前の号でも話題にしたように、知識習得型の勉強は、だんだんしなくなっているのは確かだ。 それでも、耳学問も含めて、毎日、いろいろな情報が入ってくるし、文筆業を続けていくために参考資料もかなりの量は目を通している。 年をとったせいか、私が何のために勉強をするのかで最もスタンスを変えたポイントは、若いころは、たった一つの正解を求めて、あるいは、人に(論争などで)勝つために勉強していたが、今は、いろいろな答えがあるのを知るため、いろいろな人の考えを受け入れるために勉強していると自負している。 私が専攻している、精神分析の世界では、フロイトの没後、いろいろな学派が勃興し、自分たちが正しいと主張しあっている。私も、若いころは、コフート学派がほかの学派より、患者さんをうまく治せるし、無意識の性欲のようなあるのかないのかわからないものを論じるより、患者に共感的なスタンスで接するのが正しいに決まっていると思っていた。私自身は、今でもコフート(注)的な治療を行っているが、患者さんにも性格やものの考え方があるので、フロイト学派のように家父長的な接し方をした方がいいこともあるのは十分あり得ると思うようになった。どれが正しいかの不毛な議論をするより、結果がよければ、いろいろなやり方があっていいと思えるようになってきたということだ』、確かに患者により「接し方」を使い分けるのも理にかなっているようだ。(注)コフート:オーストリア出身の精神科医、精神分析学者。精神分析的自己心理学の提唱者(Wikipedia)。
・『絶対的な解は存在しない  もう一つの専門分野である老年医学にしても、高齢者の血圧を下げた方がいいのか、どのくらいまで下げるべきかという議論や、高齢者の血糖値のコントロールやコレステロール値のコントロールについて、学会の主流派に異議を唱え続けてきた。 疫学的にみると、少なくともコレステロールは高い方が長生きしているのだが、これについても大勢の人間を調べての統計なのだから、個人個人で違うだろう。高いままにした方が長生きできる人の方が、下げた方が長生きできる人より多ければ、高いままの方がいいという疫学データになるわけだが、下げた方が長生きできる人はゼロではない。やはり、ケースバイケースなのである。 また、昔は植物の油の方が動物の脂よりいいので、マーガリンが体にいいと考えらえたことがあるように、医学や栄養学の常識は、覆されることも多い。 将来、覆されることも想定しながら、いろいろな説がある中で、今のところ、どれが妥当なのかを患者ごとに考える方がよほど現実的だろう。 正解はいくつもあると言われても、生きている限り、さまざまな決断を下さないといけないことは当たり前にある。 私だって、目の前の患者さんにいくつも考え方があることを説明することはあるが、通常は、今のところ、正しいと思うことをやるようにしている。 この「今のところ」の考え方と、「ほかにも答えがある」という考え方こそが重要だと私は信じている。というのは、それよりいい答えが見つかったり、今、正しいと思っていることが、どうもうまくいかないと思える時に、フレキシブルに別の答えに移行できるからだ。 恐らく、これから人工知能(AI)の時代になったり、人間のゲノムが解析されたりで、どんどん信じられてきたことが変わる時代がくるだろう(これも意外に変わらないかもしれないが)。そうなる際に、この手のスタンスは役に立つと信じている』、「通常は、今のところ、正しいと思うことをやるようにしている。 この「今のところ」の考え方と、「ほかにも答えがある」という考え方こそが重要だと私は信じている。というのは、それよりいい答えが見つかったり、今、正しいと思っていることが、どうもうまくいかないと思える時に、フレキシブルに別の答えに移行できるからだ」、なるほど柔軟で現実的な対応だ。
・『ネット右翼、実はアクティブで高収入  たまたま、テレビを見ていたら、ネット右翼とされる人が、これまで考えられていたような貧困層の引きこもりなどではなく、中高年の自営業や会社経営者のように、アクティブで高収入の人が多いという調査結果を論じていた。 確かに、普段は大人しい引きこもりの人や、海外のようにはデモをやらない貧困層の人が、ネット空間では内なるアグレッションを発散しているというのは、もっともらしい説だが、精神科医としての経験でいうと、ちょっとしっくりこなかった。 引きこもりの専門家の斎藤環さんが、「ゲームのせいで引きこもりになるわけでなく、ほかにすることがないからゲームをやるだけだ。その証拠に、引きこもりの人はゲームをつまらなさそうにやる」というような意味のことを言っていた。 フロイトはあるエネルギーを心の中に押し込めると、別のところからエネルギーを噴出するというエネルギー経済論という学説を唱えたが、実際には、エネルギーのない人はほかのところでもエネルギーがない人が多い。投票にはいけないが、ネットに書き込んで世の中を変えられると思っているようにも思えない。 そのテレビの解説では、ネット右翼のような人は、むしろ積極的に投票行動をするとのことだった。某新保守政党の参院全国区の得票数プラスアルファで、200万人くらいいるのではと推定されていた。 この仮説が正しいかどうかはわからない。私とは政治信条は違うが、こっちが正しくてネット右翼が間違っているというつもりはない。 ただ、私が残念に思うのは、彼らが、自分が正しくて、自分と意見が違う人や、敵(韓国と中国と朝日新聞とそのテレビ番組では報じていた)は間違っているという発想パターンだ。 認知科学の世界では、ものごとを決めつけるのは、ほかの可能性に対応できない不適応思考であるし、うつ病にもなりやすいとされている。 恐らく政治や世論への影響力は、限局的なものだろうが、自分のメンタルヘルスや本業への悪影響を心配するのだ。 中国政府が発表する経済指標は粉飾されていると信じるのはいいが、そうでない可能性も考えておく必要はあるし、人口統計まで粉飾しないだろう。今は米国経済に太刀打ちできないという考え方は妥当かもしれないが、中長期的に市場規模や国内総生産(GDP)が米国を抜き去る可能性の方が高いだろう。 意地になって中国とは商売をやらないのは勝手だが、少なくとも答えは一つでない、将来変わるという発想がもてないと、どんなビジネスでもいつかは行き詰るだろう』、「ネット右翼、実はアクティブで高収入」なるTV番組は私も観て、多少驚かされた。「認知科学の世界では、ものごとを決めつけるのは、ほかの可能性に対応できない不適応思考であるし、うつ病にもなりやすいとされている」、白黒をハッキリさせたがる私にはショックだが、いまさら変える必要もないだろう。
・『勝ち負けで考えない  決めつけが激しいという認知構造を、さらに強固にしてしまうのが、勝ち負けで考えるという思考パターンだ。相手の言い分も「可能性がある」と認めることが負けだと考えるなら、いくら勉強しても、思考パターンは変えられなくなってしまう。私も昔とずいぶん考え方が変わってきたが、それを「変節」と呼ぶ人がいる。変わったら負けとでも思っているのだろう。 直接のディスカッションでなら勝ち負けがあるかもしれないが(しかしながら論破では感情的反発が残るので、相手を説得できないことは、私が若いころ左翼運動に参加していたからわかる)、思考パターンに勝ち負けはない。どっちも可能性があると考えられる方が、勝てないかもしれないが、負けることはないのだ。 少なくとも意地を張って、自分の意見を変えないことで得をするとは思えない』、私は考え方を変えることに抵抗感はない。「論破では感情的反発が残るので、相手を説得できないことは、私が若いころ左翼運動に参加していたからわかる」、確かにその通りだ。
・『生きている世界はしょせん主観的  勝ち負けで考えなくても、自分の方が客観的に正しいと考える人もいる。 数字のデータを持ち出して、これが客観的だという人がいるが、多くの場合、よりそっちの可能性や確率が高いということに過ぎない。 もう一つは見る角度によって、答えが違うということはある。 失業率や株価の上昇を見れば、アベノミクスが「客観的に」成功しているとことになるのだろう。 ほかの角度で見る人であれば、ドル建てのGDPが民主党政権時代から2割も下がっていることを問題にするかもしれないし、相対貧困率の高さを問題にするかもしれない。 昔、デノミといって100円を新1円にしようという議論があった。300万円の車が3万新円で買えるので安くなったという心理効果で景気がよくなると言われたものだ。 しかし、ものを買いたい人にとってはそうであっても、貯金を気にする人なら1000万円の貯金が10万新円になるので、もっと貯金をしなくてはと思うかもしれない。 そもそも論として、人間の認知構造は一人ひとり違うし、それはこれまでの生育環境によっても違う。未開の地の人にペットボトルを見せてもなんのことかわからないかもしれない。 行動経済学という心理学を応用した経済学は、人間の幸せや豊かさの気分はもっている金額と正の相関関係にないことを示した。金があるほど幸せではないのだ。 実際、私たち精神科医というのは、患者を客観的に金持ちにしたり、家族に恵まれたりはできないが、ものの見方を変えることで、主観的には幸せになってもらうということを目標にすることが多い。 この1、2年医師として悩むのは、たとえば認知症で、症状が進行していることに気づかず幸せそうにニコニコしているなら、本当に治療(現代の医学では進行してしまった症状を正常に戻すことはできない)の必要があるのかということだ。 もっと言えば、人に迷惑をかけないのなら、統合失調症の患者さんが自分は神様と信じるような妄想をもっていて、幸せそうにしている時に、薬を使って妄想をとって現実世界に引きずり戻すのが本当にいいことなのかなども悩むようになった。 しょせん、人間の幸せなど主観的なものだ。 長い人生を考えたら主観的に幸せでいられる人の方が幸せが長続きする気がする。要するに幸せは思ったもの勝ちなのだ。 どこまで役に立つかはわからないが、このような意識改革が私のサバイバルのための思考法である』、「行動経済学という心理学を応用した経済学は、人間の幸せや豊かさの気分はもっている金額と正の相関関係にないことを示した。金があるほど幸せではないのだ」、なるほど。「しょせん、人間の幸せなど主観的なものだ。 長い人生を考えたら主観的に幸せでいられる人の方が幸せが長続きする気がする。要するに幸せは思ったもの勝ちなのだ」、説得力がある主張だ。

次に、 精神科医・作家の岡田 尊司氏が10月9日付け東洋経済オンラインに掲載した「現代人をむしばむ「愛着障害」という死に至る病 体と心を冒す悲劇の正体とは何か?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/306661
・『現代人は、なぜ幸福になれないのか――。ベストセラー『愛着障害』の著者で、精神科医・作家である岡田尊司氏の最新刊『死に至る病 あなたを蝕む愛着障害の脅威』から一部抜粋のうえ、お届けします。 「死に至る病とは、絶望のことである」と、かつて哲学者キルケゴールは書いた。キルケゴールにとって、絶望とは、神を信じられないことを意味した。 だが、今日、「死に至る病」とは愛着障害にほかならない。愛着障害とは、神どころか、親の愛さえも信じられないことである。そして、キルケゴール自身も、愛着障害を抱えていた――。 合理的な考えによれば、親の愛などなくても、適度な栄養と世話さえあれば、人は元気に生きていけるはずだった。だが、そこに致命的な誤算があった。 特別な存在との絆である「愛着という仕組み」がうまく働かないと、生存にも、種の保存にも、重大な支障が生じるのである。全身傷だらけになりながら、自傷や自殺企図を繰り返すのも、稼いだ金の大半を、吐くための食品を買うためや、飲み代やホスト通いに費やすのも、物や金の管理ができず、捜し物と借金に追われ、混乱した人生に沈むのも、原因のよくわからない慢性の痛みや体の不調に苦しむのも……、そこには共通する原因があった』、「特別な存在との絆である「愛着という仕組み」がうまく働かないと、生存にも、種の保存にも、重大な支障が生じるのである」、初めて知った概念だ。
・『「死に至る病」である愛着障害とは何か?  その原因とは、愛着障害であり、愛着障害とは、生存と種の維持に困難を生じ、生きづらさと絶望をもたらし、慢性的に死の危険を増やすという意味で、「死に至る病」なのである。 いま、この国に、いや世界のいたるところで、経済的豊かさを追求する合理主義や、個人の利益を優先する功利的個人主義の代償として、「死に至る病」が広がっている。 「死に至る病」は、キルケゴールが述べたような単なる絶望ではない。精神的な救いが得られない精神的な死を意味することにはとどまらない。 「死に至る病」は、生きる希望や意味を失わせ、精神的な空虚と自己否定の奈落に人を突き落とし、心を病ませるだけでなく、不安やストレスに対する抵抗力や、トラウマに対する心の免疫を弱らせることで、体をも病魔に冒されやすくする。現代社会に蔓延する、医学にも手に負えない奇病の数々は、その結果にほかならない』、「世界のいたるところで、経済的豊かさを追求する合理主義や、個人の利益を優先する功利的個人主義の代償として、「死に至る病」が広がっている」、恐ろしいことだが、その通りなのだろう。
・『かろうじて病気になることを免れたとしても、傷つきやすさや苦痛から、すっかり免れることは難しい。せっかくの人生は、喜びよりも、不快さばかりが多いものになってしまう。 その不快さを和らげるために、生きる苦痛を忘れるために、人々は、神経や心を麻痺させるものを日常的に必要とする。それに依存することで、かろうじて生き延びようとするのだ。 だが、それは、ときには慢性的な自殺につながってしまう。 いま、「生きるのがつらい」「毎日が苦痛なだけ」「生きることに意味が感じられない」という言葉が、この国のいたるところから聞こえてくる。 生活に疲れ、過労気味の中高年から聞かれるのならまだしも、最も幸福な年代といわれる30代からも、元気盛りの20代からも、そして、10代の中高生や、ときには小学生の口からさえ聞かれるのである。 彼らはたいてい暗い顔をして、うつむき加減になり、無理に笑おうとした笑顔さえ、ひきつってしまう。彼らは、医学的にみて明らかにうつ状態という場合もあるが、必ずしも、そうした診断が当てはまらないときもある。とても冷静に、落ち着いた口調で、「私なんか、いてもいなくても同じなんです」「まだ生きないといけませんか」と、自分が抱えている空虚感や生きることの虚しさを語ることもある。「死にたい」「全部消し去りたい」と、その優しい表情からは想像もできないような激しい言葉がほとばしり出ることもある。 人間性や能力の点でも、愛される資質や魅力の点でも、積み重ねてきた努力の点でも、彼らは決してひけを取ることはない。むしろ優れている点もたくさん持っている。なのに彼らは、自分には愛される資格も生きる資格もないように思ってしまう。こんな自分なんか、いらないと思ってしまう。 自分のことをとても愛しているように見えるときでさえも、実は本当には愛せていない。本当には愛せない自分だから、理想の自分でないとダメだと思い、自分に完璧を求める。自信に満ちて見えても、それは、ありのままの自分を隠すための虚勢にすぎない。 だが、完璧な自分しか愛せないとしたら、完璧でなくなったとき、その人はどうなるのか。どんなに努力しても、どんなに頑張っても、いつも完璧でいられる人などいない。どんなに成功と幸福の絶頂にいようと、次の瞬間には、愛するに値しない、生きるのに値しない不完全でダメな人間に堕してしまう危険をはらんでいる』、「「生きるのがつらい」「毎日が苦痛なだけ」「生きることに意味が感じられない」という言葉が、この国のいたるところから聞こえてくる。 生活に疲れ、過労気味の中高年から聞かれるのならまだしも、最も幸福な年代といわれる30代からも、元気盛りの20代からも、そして、10代の中高生や、ときには小学生の口からさえ聞かれるのである」、集団自殺などが相次いでいるのもこの表れなのだろう。
・『愛するに値しない自分、大切にしてもらえなかった自分  彼らが自分のことを、愛される資格がない、生きる値打ちがないと思っているのには、その確信の根拠となる原体験がある。 彼らにとって最も大切な存在が、彼らをあからさまに見捨てたか、かわいがっているふりをしていたとしても、本気では愛してくれなかったのだ。 「本気で」とは、口先ではなく行動で、ということであり、彼らがそれをいちばん必要とした幼いときに、彼らのことを何よりも優先し、気持ちだけでなく時間と手間をかけてくれたということだ。大切な人が、彼らのことより他のことに気を奪われることがあったとか、自分自身のことや生活のことに追われて、どこか上の空であったというとき、幼い子は「自分はいちばん大切な存在だ」ということを味わい損ねてしまう。 自己肯定感を持ちなさい、などと、いい年になった人たちに臆面もなく言う専門家がいる。が、それは、育ち盛りのときに栄養が足りずに大きくなれなかった人に、背を伸ばしなさいと言っているようなものだ。 自己肯定感は、これまでの人生の結果であり、原因ではない。それを高めなさいなどと簡単に言うのは、本当に苦しんだことなどない人が、口先の理屈で言う言葉に思える。 いちばん大切な人にさえ、自分を大切にしてもらえなかった人が、どうやって自分を大切に思えるのか。 むしろ、そんな彼らに言うべきことがあるとしたら、「あなたが自己肯定感を持てないのも、無理はない。それは当然なことで、あなたが悪いのではない。そんな中で、あなたはよく生きてきた。自分を肯定できているほうだ」と、その人のことをありのままに肯定することではないのか。 自己肯定感という言葉自体が、その人を否定するために使われているとしたら、そんな言葉はいらない』、「自己肯定感は、これまでの人生の結果であり、原因ではない。それを高めなさいなどと簡単に言うのは、本当に苦しんだことなどない人が、口先の理屈で言う言葉に思える」、「そんな彼らに言うべきことがあるとしたら、「あなたが自己肯定感を持てないのも、無理はない。それは当然なことで、あなたが悪いのではない。そんな中で、あなたはよく生きてきた。自分を肯定できているほうだ」と、その人のことをありのままに肯定することではないのか。 自己肯定感という言葉自体が、その人を否定するために使われているとしたら、そんな言葉はいらない」、その通りなのだろう。
・『愛着障害がもたらす悲劇の恐ろしさ  自分のことを何よりも大切にしてくれる存在を持てないことほど、悲しいことはない。大人であっても、それは悲しいことだ。だが、幼いときに、子どものときに、そんな思いを味わったら、その思いをぬぐい去ることは容易ではない。 だが、それは、単に気持ちの問題にとどまらない。 では、根本的な要因は何なのか。 それに対する答えが、「愛着障害」なのである』、最後の部分は本を読ませるためのレトリックなのだろう。いずれにしろ、子ども時代の愛情不足がのちのちまで尾を引くとは、我々大人ももっと自覚すべきだ。

第三に、10月25日付け東洋経済オンラインが掲載したニューヨーク大学スターン経営大学院教授のスコット・ギャロウェイ氏による「米国製エリートが心酔する「幸福の授業」の中身 100万人が視聴「GAFA」著者の教えとは何か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/309871
・『「ビジネス書大賞2019読者賞」「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019総合第1位」のダブル受賞作、『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』著者、スコット・ギャロウェイ氏。 ニューヨーク大学で教鞭をとるギャロウェイ氏の授業「アルジェブラ・オブ・ハピネス(幸福の計算式)」は、5000人が受講、WEB公開後わずか10日で100万人が視聴した「伝説の授業」と言われる。 その授業をもとにした最新作『ニューヨーク大学人気講義 HAPPINESS(ハピネス)――GAFA時代の人生戦略』が刊行された。本記事では書籍を再編集し、「伝説の授業」の一部を紹介する』、前の2つは心理学者によるものだったが、経営学の大家はどのようにみているのだろう。
・『幸せになる方法を「数式」で表すとどうなるか  2002年、私はニューヨーク大学スターン経営大学院の教員となった。5000人を超える学生が、私のブランド戦略の講義を受けた。 私が教える学生たちは、貨幣の時間的価値、戦略、そして消費者行動を学ぶために、私のクラスにやってくる。 しかし授業では、話がブランド戦略から「人生の戦略」に変わっていることがよくある。成功するには何をすればいいのか。自分の野心と人としての成長の折り合いをどうすればつけられるのか。40歳、50歳、80歳になったとき後悔しないために、いま何をするべきなのか。 こうした問題を、私は最後の3時間の講義で扱う。講義のタイトルは「アルジェブラ・オブ・ハピネス(幸福の数式)」である。 その講義で、私たちは成功、愛、そしてよい人生の定義について話し合う。2018年5月、私はその講義の短縮版をYouTubeに投稿した。その動画は公開10日で100万人以上が視聴した。 授業で取り上げた「幸福の数式」は、以下のようなものである』、「アルジェブラ・オブ・ハピネス(幸福の数式)」とは興味深いが、どんなものなのだろう。
・『「金を稼げない」と「幸せ」は遠ざかる  幸福の計算式:学歴+大都市=お金  アメリカにはカースト制度がある。それは高等教育というものだ。 それに加えて、経済成長は一握りの巨大都市に集中する傾向が高まっている。今後50年間の経済成長の3分の2は、超大都市で生じるだろう。 チャンスは人の多いところで生まれる。大都市はウィンブルドンだ。たとえあなたがラファエル・ナダルでなくても、彼とともにコートに立つだけでレベルアップする。さらに上に行けることもあれば、自分はウィンブルドンにいるべき人間ではないと悟ることもある。 あなたの学位(成績、大学)と郵便番号を教えてくれれば、あなたが今後10年間でいくらぐらい稼げるか、かなりの正確さで推測することができる。 私のアドバイスはごく単純なものだ 。若いうちに、大学の卒業証書やほかの資格を手に入れ、大都市に出ることだ。どちらも年齢を重ねるごとに、不可能ではないにしても、難しくなる。 スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツのように、大学を中退しても大成功を収める人はこれからも出てくるだろう。けれどもそれはあなたではない』、「若いうちに、大学の卒業証書やほかの資格を手に入れ、大都市に出ることだ」、アメリカでも「大都市」はやはりチャンスに恵まれているようだ。 
・『幸福の方程式:若いうちの頑張り>老いてからの頑張り  きっとあなたにも、こんな知り合いがいるだろう――成功を手に入れ、健康で、バンドで演奏しているうえに、親と仲がよく、動物保護シェルターでボランティアをして、食べ物のブログを書いているような。しかし、あなたはまだそういう人ではないとしよう。 キャリアを構築するときバランスが重要というのは、私に言わせれば、都市伝説に近い。また世間には、成功するには貧乏を経験しなければならないという、苦労礼賛の言説もあふれている。それも本当ではない。 成功への途上でも、報われる経験はたくさんある。けれども若いうちからバランスを最優先事項にするのは、天才でないかぎりいただけない。それでは経済的安定のはしごのてっぺんに到達するのは難しい。 キャリアをどのくらいの速さで駆け上がれるかは、(不公平だが)大学卒業後の5年間でほぼ決定する。 できるだけまっすぐ上昇したいなら、燃料をたくさん燃やさなければならない。世界は簡単に手に入らない。努力が必要だ。とにかく努力、精いっぱいの努力をすることだ。 私は今、バランスが大いに取れた生活をしている。それは20代から30代にかけて、バランスを欠く生活をしていたからこそできたことだ。) 22歳から34歳まで、ビジネススクールに行っていた以外、仕事のほかに思い出せることはあまりない。 この世界では、大きなものではなく素早いものが勝つ。まわりの人より短い時間で、できるだけ先に進むことを目指す。これができるかどうかは才能によるところもあるが、ほとんどは戦略の立て方と根気強さだ。ここにユーザーズ・マニュアルはない。 若いときの私は、仕事のために結婚、毛髪、そして間違いなく20代を犠牲にした。これはトレードオフなのだ。 若い頃にバランスを欠いた生活を送っていたことで、のちにもっとバランスの取れた生活ができるようになった。ただ、そこにはとても現実的な代償があった』、「キャリアをどのくらいの速さで駆け上がれるかは・・・大学卒業後の5年間でほぼ決定する」、そんなに早く決まるとは意外だ。「若いときの私は、仕事のために結婚、毛髪、そして間違いなく20代を犠牲にした。これはトレードオフなのだ」、「毛髪」も「犠牲にした」、思わず微笑んでしまった。
・『人間関係も「複利」で殖える  幸福の計算式:わずかな投資年月=大きな見返り  「この世で最も強い力は複利である」という古い言い回しがある。 貯蓄について考えることは若者にこそ必要なのに、彼らはそれをまったくわかっていない。それは「長期的」という概念を理解できないからだ。 才能あふれる若者の多くが、自分は超優秀だから大金を稼げると思っている。そう、たぶん……しかし万一、そうならなかった場合に備えて、早いうちから、何回となく貯金を始めよう。 それを貯金と考えるのではない。魔法と考えるのだ。1000ドルを魔法の箱に入れると、40年後には、それが1万ドルから2万5000ドルになっている。こんな魔法の箱があるとして、あなたはいくらそこに入れるだろうか。 こつこつ貯金をしていると複利で殖えることは、ほとんどの人が知っている。しかし多くの人は、それが人生のほかのことでも効果を発揮することには気づいていない。 ワン・セカンド・エブリデイは、毎日必ず1秒の動画を撮るためのアプリだ。毎日ほんの少しの時間を割くという投資である。 そして1年の終わりに、私は子どもたちと一緒に座って、その1年を凝縮した6分間の動画を見る。私たちは何度も繰り返しそれを見て、どこにいたかを思い出し、自分が映っていたら笑い、ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターがどれほど楽しかったかを思い出す。 これはすべての人間関係についても言える。山ほどの写真を撮る、くだらないことで友人にメールする、昔の友だちとまめに連絡を取る、同僚を素直にほめる、そして毎日、できるだけ多くの人に愛していることを伝える。 1日にほんの数分のことだ。最初の頃の見返りはわずかだが、やがて大きなものになる』、「人間関係も「複利」で殖える」、が具体的には、「山ほどの写真を撮る、くだらないことで友人にメールする、昔の友だちとまめに連絡を取る、同僚を素直にほめる、そして毎日、できるだけ多くの人に愛していることを伝える。 1日にほんの数分のことだ。最初の頃の見返りはわずかだが、やがて大きなものになる」、というのは納得できる。
・『幸福の計算式:幸せ=家族  さまざまな面から幸福を評価すると、最高に幸福なのは、結婚して子どものいる人だ。 私は結婚もしたくなかったし、子どもも欲しいとは思っていなかった。今でも幸せになるのに子どもは必須だとは思わない。 しかしまともな父親になり、自分にふさわしい愛する人とともに子どもを育てて初めて、誰もが頭を悩ませる問題に答えが見いだせた気がした。それは「なぜ自分はここにいるのか」という難問だ』、「まともな父親になり、自分にふさわしい愛する人とともに子どもを育てて初めて、誰もが頭を悩ませる問題に答えが見いだせた気がした」、なるほど。
・『「自分を誇れる瞬間」はどのようなときかを知る  幸福の計算式:男らしさ⊆人と人との関係 自分は男らしいと感じると、大きな満足感を覚える(この言い方がどれほど奇妙に響くか、そして女らしさへの見返りについて自分は何も言えないことは認識している)。私の内なるターザンが、つるにつかまって空中を浮遊しているとき、私は幸せだ。 しかし年をとるにつれ、そのつるが変わりつつある。 若いとき自分が男らしいと感じたのは、友人たちに称賛されたとき、見知らぬ女性とセックスしたとき、そして酔っぱらったときだった。 それから年を重ねるうちに、別のつるが現れた。愛情深く信頼される家庭の責任者として家族を養っているとき、また教室や職場で必要とされているとき、私は「雄牛のように強い人間」だと感じる。 サルの群れで多くの雌と交尾できるのは、体が大きかったり力が強かったりする雄ではなく、社会的なつながりを多く持つ雄なのだ。 私自身、自慢げに胸をたたきたくなるのは、次のようなときだ――よき隣人である、法律を守る、自分の出自を思い出す、会うことのない人を助ける、自分の子以外の子にも関心を向ける、投票する。若いときは考えもしなかったことだ。 自分の欠点に真剣に向き合い、足りないものを補う努力をする。要するに、体だけは大人の少年ではなく、本当の大人になることだ。現在の男らしさとは、他人との関わりであり、よき市民であることであり、愛情深い父親であることなのだ』、「自分の欠点に真剣に向き合い、足りないものを補う努力をする。要するに、体だけは大人の少年ではなく、本当の大人になることだ。現在の男らしさとは、他人との関わりであり、よき市民であることであり、愛情深い父親であることなのだ」、素晴らしいまとめだ。
タグ:幸福 東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン 和田 秀樹 岡田 尊司 スコット・ギャロウェイ (その2)(幸せは思ったもの勝ち 可能な限り多様な思考を受け入れる、現代人をむしばむ「愛着障害」という死に至る病 体と心を冒す悲劇の正体とは何か?、米国製エリートが心酔する「幸福の授業」の中身 100万人が視聴「GAFA」著者の教えとは何か) 「幸せは思ったもの勝ち 可能な限り多様な思考を受け入れる」 なるべく多様な答えを知っておいたり、考え付いた方がいいし、なるべく多様な考えや知識を受け入れた方がいい 何のために勉強するのか 絶対的な解は存在しない 通常は、今のところ、正しいと思うことをやるようにしている。 この「今のところ」 「ほかにも答えがある」という考え方こそが重要だと私は信じている。というのは、それよりいい答えが見つかったり、今、正しいと思っていることが、どうもうまくいかないと思える時に、フレキシブルに別の答えに移行できるからだ ネット右翼、実はアクティブで高収入 勝ち負けで考えない 生きている世界はしょせん主観的 行動経済学という心理学を応用した経済学は、人間の幸せや豊かさの気分はもっている金額と正の相関関係にないことを示した 長い人生を考えたら主観的に幸せでいられる人の方が幸せが長続きする気がする。要するに幸せは思ったもの勝ちなのだ 「現代人をむしばむ「愛着障害」という死に至る病 体と心を冒す悲劇の正体とは何か?」 『愛着障害 『死に至る病 あなたを蝕む愛着障害の脅威』 キルケゴールにとって、絶望とは、神を信じられないことを意味 が、今日、「死に至る病」とは愛着障害にほかならない 愛着障害とは、神どころか、親の愛さえも信じられないこと 特別な存在との絆である「愛着という仕組み」がうまく働かないと、生存にも、種の保存にも、重大な支障が生じる 「死に至る病」である愛着障害とは何か? 愛着障害とは、生存と種の維持に困難を生じ、生きづらさと絶望をもたらし、慢性的に死の危険を増やすという意味で、「死に至る病」なのである 世界のいたるところで、経済的豊かさを追求する合理主義や、個人の利益を優先する功利的個人主義の代償として、「死に至る病」が広がっている 「死に至る病」は、生きる希望や意味を失わせ、精神的な空虚と自己否定の奈落に人を突き落とし、心を病ませるだけでなく、不安やストレスに対する抵抗力や、トラウマに対する心の免疫を弱らせることで、体をも病魔に冒されやすくする。現代社会に蔓延する、医学にも手に負えない奇病の数々は、その結果にほかならない 生活に疲れ、過労気味の中高年から聞かれるのならまだしも、最も幸福な年代といわれる30代からも、元気盛りの20代からも、そして、10代の中高生や、ときには小学生の口からさえ聞かれる 愛するに値しない自分、大切にしてもらえなかった自分 自己肯定感は、これまでの人生の結果であり、原因ではない。それを高めなさいなどと簡単に言うのは、本当に苦しんだことなどない人が、口先の理屈で言う言葉に思える 彼らに言うべきことがあるとしたら、「あなたが自己肯定感を持てないのも、無理はない。それは当然なことで、あなたが悪いのではない。そんな中で、あなたはよく生きてきた。自分を肯定できているほうだ」と、その人のことをありのままに肯定することではないのか 愛着障害がもたらす悲劇の恐ろしさ 「米国製エリートが心酔する「幸福の授業」の中身 100万人が視聴「GAFA」著者の教えとは何か」 『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』著者 授業「アルジェブラ・オブ・ハピネス(幸福の計算式)」 『ニューヨーク大学人気講義 HAPPINESS(ハピネス)――GAFA時代の人生戦略』 幸せになる方法を「数式」で表すとどうなるか 「金を稼げない」と「幸せ」は遠ざかる 幸福の計算式:学歴+大都市=お金 若いうちに、大学の卒業証書やほかの資格を手に入れ、大都市に出ることだ 幸福の方程式:若いうちの頑張り>老いてからの頑張り キャリアをどのくらいの速さで駆け上がれるかは、(不公平だが)大学卒業後の5年間でほぼ決定する 若いときの私は、仕事のために結婚、毛髪、そして間違いなく20代を犠牲にした。これはトレードオフなのだ 人間関係も「複利」で殖える 幸福の計算式:わずかな投資年月=大きな見返り 山ほどの写真を撮る、くだらないことで友人にメールする、昔の友だちとまめに連絡を取る、同僚を素直にほめる、そして毎日、できるだけ多くの人に愛していることを伝える。 1日にほんの数分のことだ。最初の頃の見返りはわずかだが、やがて大きなものになる 幸福の計算式:幸せ=家族 最高に幸福なのは、結婚して子どものいる人だ 「自分を誇れる瞬間」はどのようなときかを知る 自分の欠点に真剣に向き合い、足りないものを補う努力をする。要するに、体だけは大人の少年ではなく、本当の大人になることだ。現在の男らしさとは、他人との関わりであり、よき市民であることであり、愛情深い父親であることなのだ
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電気自動車(EV)(その6)(トヨタが「中国電池」に頼らざるをえない理由 中国大手CATL・BYDが世界の電池市場を寡占、ダイソンがEVから撤退せざるをえなかった理由 テスラが築いた「高くて構わない」はもう飽和、ノーベル賞「吉野彰氏」が描くEV用電池の未来図 2025年までは間違いなく市場拡大していく) [技術革新]

電気自動車(EV)については、昨年8月16日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その6)(トヨタが「中国電池」に頼らざるをえない理由 中国大手CATL・BYDが世界の電池市場を寡占、ダイソンがEVから撤退せざるをえなかった理由 テスラが築いた「高くて構わない」はもう飽和、ノーベル賞「吉野彰氏」が描くEV用電池の未来図 2025年までは間違いなく市場拡大していく)である。

先ずは、みずほ銀行法人推進部 主任研究員の湯 進氏が6月15日付け東洋経済オンラインに掲載した「トヨタが「中国電池」に頼らざるをえない理由 中国大手CATL・BYDが世界の電池市場を寡占」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/286333
・『2019年6月7日、トヨタが中国リチウムイオン二次電池(LIB)大手の寧徳時代新能源科技(CATL)、比亜迪(BYD)などと協業すると発表し、複数メーカーから電池調達する方針を示した。日産、ホンダとの提携に加え、日本自動車メーカーの中国電池頼りの姿勢は鮮明となった。 今年から実施した中国のNEV(新エネルギー車)規制により、乗用車メーカーに一定台数のNEV生産の義務づけられた。仮に中国で日本勢がガソリン車500万台を生産する場合、発生する10%相当分の50万クレジットを確保するには、すべてEVの生産で対応するならばEVを10万台(航続距離の条件は350km)、全てPHVならばPHVを50万台(同5km超)生産しなければならない』、「中国のNEV規制」はさすが社会主義国ならではだ。
・『車載電池の安定調達は喫緊の課題  一方、今年1~4月のNEV生産実績では、一汽トヨタが4232台、広汽本田が906台、東風日産が900台にとどまる。各社はNEV生産を急ピッチで進める必要があり、なかでも車載電池を安定調達することが、日本勢にとって喫緊の課題だ。 LIBはソニーが1991年に世界に先駆けて実用化し、日本の「お家芸」とされてきた。2011年以降、韓国企業の台頭により、世界市場でパナソニックとLG化学、サムスンSDIの日韓企業のトップ争いが行われていた。日本では、「中国製EV電池の安全性と信頼性を保証できない」といった論調が多い。ところが中国で、日本車メーカーが相次いで“地場電池メーカー詣で”になった。 1つ目の要因は外資電池メーカーの排除政策だ。「LIB市場を制するメーカーがEV市場を制する」との認識の下、中国政府は、特定メーカーのLIBを搭載することがNEV補助金を支給する条件であると規定。2016年には認定された地場LIBメーカー57社を「ホワイトリスト」に登録した。 この規制により、サムスンSDIとLG化学の中国工場の稼働率は一時10%程度に落ち込み、SKイノベーションは北京工場を閉鎖した。パナソニックの大連工場では中国市場向けのEV電池生産が行われなかった。現在に至るまで外資系LIBメーカーが中国乗用車市場に参入することは依然として難しい状況にある。 一方、中国政府が2017年からLIB分野における外資の独資を容認し、2019年にはLIB産業を外資投資の奨励産業分類に格上げ、外資政策の転換を行った。またこれまで外資系電池メーカーの参入障壁だった「ホワイトリスト」が、NEV補助金政策の中止に伴い、2021年に事実上撤廃されることが決まった』、中国政府が地場優先から、外資系にも門戸を突如開いたのは、地場が力を付けてきたためなのだろうか。
・『中国地場メーカー、創業7年で世界トップに  ところが、LIBの大規模増産のために必要な資金は巨額であり、回収期間も長い。産業政策に翻弄される外資系LIBメーカーが生産能力とコスト面において、地場LIBメーカーに追随し難い状況となっている。今後中国におけるトヨタのLIB需要を勘案すれば、パナソニック1社で賄い切れるような量では到底ない。このような状況を鑑みて、トヨタは中国で必要なLIBを複数メーカーから調達する意向を示した。 2つ目の要因は地場電池メーカーの成長だ。中国国内の需要増が地場メーカーを世界トップに押し上げた。CATL、BYDなど地場メーカー7社が2018年のLIB出荷量世界トップ10にランクイン。創業わずか7年のCATLが、パナソニックを抜き2年連続で世界首位となった。2012年に開始した独BMWとの協業は技術力とブランド力の向上を果たし同社のターニングポイントであった。 2018年には独ダイムラーとVWへのLIBの供給が決定。また、CATLは安全・信頼性の高いLIBの設計・開発や過酷な条件での限界試験に力を入れ、品質に厳しい日本の自動車メーカーとの取引を増やしている。現在、CATLは中国自動車主要5グループとそれぞれ車載電池開発・生産の合弁会社を設立し、外資系を含む自動車メーカー30社以上に電池を供給している。 自動車メーカーとの水平分業型戦略を採用したCATLに対し、LIB世界3位のBYDは、自社ブランドのNEVにセルを供給する垂直統合型戦略を採用した。セルから電池バック、BMS、車両を内製することにより、低コスト生産を実現した。2019年、BYDはLIB事業を独立させ、生産能力(60ギガワット時)の引き上げや他社向けの販売など、LIB事業のさらなる拡大を企図している。 中国政府は2019年のNEV補助金額を前年比で大きく減額した。航続距離の長い電池を搭載すれば、多額なNEV補助金を獲得できるため、NEVメーカーの電池調達先は大手電池メーカーに集中する傾向だ。2019年1~5月の中国LIB市場シェアを見ると、1位のCATLと2位のBYDの合算シェアは75%、業界の寡占化が進んでいることがわかる』、「CATL、BYDなど地場メーカー7社が2018年のLIB出荷量世界トップ10にランクイン。創業わずか7年のCATLが、パナソニックを抜き2年連続で世界首位となった」、地場企業の優遇、多額の補助金、などがあったにせよ、短期間での成長ぶるには改めて驚かされる。
・『24時間稼働でも受注に対応しきれず  現在、CATLは生産ラインが24時間稼動しているにもかかわらず、受注に対応しきれない状況だ。筆者は51歳の曽毓群(ロビン・ツォン)会長とは数回雑談する機会があったがこれまでの成長を自慢することなく、政府補助金がなくなれば真っ正面から有力外資メーカーに向き合わざるをえなくなる危機感をもちながらも、技術力のさらなる向上を強調した。 この数年でLIB産業は製造技術の進歩に伴い、液晶パネルと同様に巨大な設備投資を求める装置産業となっている。豊富な資金を持つ中国企業が政府の支援を受け、生産能力を急拡大し、技術優位にあった日韓企業を凌駕する勢いをみせた。 現在中国には、質と量の両面を追おうとするLIBメーカーが多く、技術力が高いメーカーが限られている。今回発表されたトヨタの中国2社協業は、中国大手電池メーカーにとって、ドイツ勢に続き日本自動車ビッグスリーへの供給を果たし、グローバル競争に向けて大きな一歩を踏み出したといえよう』、「24時間稼働でも受注に対応しきれず」、当面は中国国内向けで手一杯のようだが、今後、補助金が削減されると、海外に打って出ることになるとみられ、要注意である。

次に、自動車関連情報の編集プロダクションであるグラニテ代表の池田 直渡氏が10月25日付け東洋経済オンラインに掲載した「ダイソンがEVから撤退せざるをえなかった理由 テスラが築いた「高くて構わない」はもう飽和」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/309908
・『イギリスの家電大手、ダイソンはEV(電気自動車)の開発から撤退することを発表した。 従来の内燃機関に比べれば、EVは部品点数が圧倒的に少なく、技術蓄積が必要なくなるとする見方から、「EVの時代になれば、参入障壁が下がり、既存自動車メーカーのアドバンテージが失われ、新興の異業種からの活発な事業参入が見込まれる」という説が巷間をにぎわした。コンペティターが増えることで価格競争が進み、車両価格は数分の1に下がるとする意見も根強かった。 すでに家電の世界で先行していたように、いわゆる垂直統合型から水平分業型への構造移行が進むとされていた。そしてまさに異業種からの参入の旗手と目されてきたのがダイソンであった。 創業者のジェームズ・ダイソン氏はEV開発プロジェクトで開発中の車両がすばらしいものであったことを強調するが、現実的に事業の採算見通しが立たず、事業の売却にも買い手がつかなかったという。 しかし、その話は矛盾する。すばらしい製品だが採算が合わず、かつ事業の引き受け手もいないという条件は不自然である。 おそらく、ダイソンはEVのマーケット構造変化についていけなかったものと考えられる。順を追って説明しよう』、ダイソンがどんなEVを作るのかと期待していただけに、撤退のニュースにはがっかりした。
・『そもそもEVとは何なのか?  EVの目的は温室効果ガスを削減することにある。これが第一義で圧倒的に大事。社会の使命として可能な限り早く化石燃料の使用をやめなければならないからこそのEVである。 内燃機関との比較上でのEVのメリットはいくつかあるが、上述の化石燃料廃止の手段という存在異(正しくは:意)議と、それ以外は少し階層が違う。言ってみれば嗜好性的な領域である。 例えばEVならではの運転フィールがある。モーターの特性を生かした瞬間的な加速力。かつてのアメリカ車が自慢のV8ユニットの加速力を広告で「Kicking Asphalt(キッキング・アスファルト)」とうたったように踏んだ瞬間の異次元の加速力は魅力の1つだろう。3つ目は静粛性、内燃機関と比べると圧倒的に静かで洗練されている。 社会的役務を背負い、商品として独特の魅力も備えるEVは、しかしながら今のところ、世の中の期待ほどには普及していない。 EVは2018年のグローバル販売台数実績で121万台。自動車全体におけるトータルシェアは1%少々。それが現実だ。新聞やテレビで頻繁に聞くEV新時代の話とはだいぶギャップを感じるだろう。 結局のところ、1%ちょっとのシェアという厳然たる事実がすべてなのだが、それではニュースバリューがない。なので部分に注目してトリミングして見せることになる。 例えばノルウェーだけを抜き出せば「環境先進国では3台に1台はEVだ」とも言えるし、20年前にはクルマそのものがほぼないに等しかった中国の伸び率を延長線で伸ばしていけば「●●年には内燃機関を抜く」と書くのも簡単だ。トリッキーなトピックの作り方をしないと話題にならず、やろうとすれば扱い易い特性を持つ素材でもある。要するにニュースの編み方にモラルハザードを起こしやすいのだ』、グローバルで「1%ちょっとのシェアという厳然たる事実がすべて」、「要するにニュースの編み方にモラルハザードを起こしやすい」、とは、さすが、「自動車関連情報の編集プロダクション」でメシを食っているだけある。
・『EVの実績が伸びない理由  しかし、そもそもなぜ世界の期待を集めるEVが1%少々の実績に甘んじているのか? 実は自動車の黎明期からEVは存在した。しかしほとんど見向きもされずに内燃機関の時代が続いたのである。問題の本質は当時から同じだ。エネルギー密度が低い。つまり「重量当たりのエネルギー量が少ない」。 クルマに仕立てるには航続距離が足りない。足りるようにするためには大量のバッテリーを搭載せねばならず、そうすると重いし高価になる。 「いやいや、エネルギー密度は目覚ましく改善されている」と反論する人が世の中にはいて、それは必ずしも間違ってはいない。そのあたりにかろうじてメドがついたからこそ10年ほど前から各社がEVをリリースし始めたのだ。100年前と比べれば進歩がすさまじいのは認めよう。 だが、商品として適正なバランスに達するには、まだあと100倍くらい進歩が必要だ。今の10倍ではまだ厳しい。EVは必須の技術であり、今後も継続的に開発投資が進むだろうが、2年や3年でどうにかなるレベルにはない。早くとも2030年くらいまではかかるのではないか。 2019年の今、EVのバッテリーは1台分で200万円から300万円くらいのコストと言われている。バッテリーだけでは走れないから、クルマに仕立てるとどうやっても350万円くらいにはなってしまう。 だからまじめにバランスのよいクルマを作ろうとすればするほど、お値段はお高め、航続距離は少しやせ我慢して「わりと余裕ですよ」と言えるくらい、装備は少し悲しめのEVが出来上がる。バッテリーが高いのがすべて悪い。このトラップから誰が抜け出せるかのレースが今のEVマーケットの本命だ』、「商品として適正なバランスに達するには、まだあと100倍くらい進歩が必要だ。今の10倍ではまだ厳しい。EVは必須の技術であり、今後も継続的に開発投資が進むだろうが、2年や3年でどうにかなるレベルにはない。早くとも2030年くらいまではかかるのではないか」、そんなにかかるというのには驚かされた。「まじめにバランスのよいクルマを作ろうとすればするほど、お値段はお高め、航続距離は少しやせ我慢して「わりと余裕ですよ」と言えるくらい、装備は少し悲しめのEVが出来上がる。バッテリーが高いのがすべて悪い。このトラップから誰が抜け出せるかのレースが今のEVマーケットの本命だ」、確かにその「レース」は見物だ。
・『テスラの発明  これらの状況を一点突破で見事にぶち破って見せたのがテスラで、彼らのコロンブスの卵は「高くていいじゃん」だった。それならば存分にバッテリーを搭載し、装備もガジェット好きのハートを打ち抜くようなギミックをモリモリに搭載できる。 まじめな自動車エンジニアが「環境のためのEVなのだから」と爪に火をともすようにバッテリー電力を節約するのを尻目に、EVはゼロエミッションだからどんなに電気を使ってもおとがめなしとばかりに、時速100キロまで3秒の加速でキャラクターを打ち出す。発電所が温室効果ガスを出すのは発電所の問題なので、クルマ側の問題ではない。そう割り切った。 こうやってプレミアムEVというジャンルを確立したテスラによって、EVは商品として初めて注目を集めることになったのだ。初めて客に喜んで買ってもらえるEVを製品化したという意味でテスラの功績は計り知れない。 ただし、それが環境社会の求めているEVかといえばそうではない。富裕層が求める新しモノとしての需要を喚起したにすぎない。つまりグローバル環境が求めているEVと脚光を浴びているプレミアムEVは、本当は同じものではない。そこにねじれ構造がある。 整理しよう。現在ビジネスモデルとして成立しているのはテスラのようなプレミアムEV。儲かりはしないけれど、人類の責任として未来のために必要なのが日産自動車「リーフ」のようなバランス型EV。 そしてもう1つ下に都市内交通として短距離に特化したEVがある。例えばセブン-イレブンの配達用に使われている安価な1人乗り超小型EV「コムス」。コムスは現状のバッテリーの性能を前提に考えれば、EVとして論理的に最も正しい解だと思うが、商品性はないに等しい。 ダイソンがこのうちどれをやろうとしたか?おそらくはテスラと、リーフとの間を狙っていたと思う。利益を出そうと考えればそこしかない。 しかしながら、この数年でその環境が激変した。プレミアムEVはもうレッドオーシャン化まっしぐらだ。既存の自動車メーカーが、グローバルな各種温室効果ガス規制を課せられた結果、プレミアム系の自動車ブランドは全社漏れなくそのマーケットへと転進を余儀なくされた。 テスラが見つけた正解「高くて構わない」が客に言えるブランドにしてみれば、従来よりケタ違いに速いEVスーパースポーツを作れば一定数売れるのは明らかなのだ。 すでにポルシェはタイカンを、ジャガーはI-PACEをデビューさせているし、フェラーリもアストンマーチンもロータスも、軒並み超高性能EVをリリースする。ランボルギーニはBEVは作らないそうだが、フォルクスワーゲングループの一員なのでポルシェ・タイカンのコンポーネンツはいつでも使える。PHVの計画はすでに発表済みだ。もちろんすでに先行しているベンツ、BMW、アウディもラインナップを増やしてくるだろう。 掃除機ではハイブランドのダイソンだが、これらの名門ブランドと並べて選ばれるものに仕立てるのは難しい。加えて、ポルシェやジャガーはすでにそれぞれの伝統の乗り味をEVで再現するモデルを送り出し始めており、戦いは自動車としてのブランドアイコンを持たない新参メーカーにはすでに太刀打ちできない領域に入っている』、「戦いは自動車としてのブランドアイコンを持たない新参メーカーにはすでに太刀打ちできない領域に入っている」、ダイソンが撤退せざるを得なかった事情がよく分かった。
・『すでに旧来の自動車メーカーが群雄割拠状態  プレミアムEVが無理ならと言って、リーフのクラスは体力ゲージによほど余裕がないと入っていけない。バッテリー性能が向上するまでひたすら赤字を垂れ流しつつ、マーケットに実績を作り続けるしかないが、野球に例えれば、現在守護神と目される「全固体電池」がマウンドにやってくるのはどんなに早くても2025年以降になる・・・かといって、コムスのクラスはあまりにも地味で、ビジネスの成功も難しいだけでなく、それ以前に参入のメリットが少ない。ユニコーン企業になれる雰囲気は皆無だし、出資者から見てもわくわくしないだろう。 だめ押しのようだが、バッテリーとモーターさえあればクルマが作れるわけではなく、衝突安全などにも高度なノウハウが必要なことは、「EVブームの論調に踊る人がわかってない本質」(2018年4月24日配信)でも解説したとおりだ。 そもそも内燃機関がなくなっただけで誰でもクルマが作れるということ自体幻想であり、車体設計こそノウハウの塊だ。むしろ内燃機関は完成品を売ってもらうこともできるし、技術会社に設計と生産を委託することも可能だ。 全体を俯瞰的に捉え直すと、こういうことだ。社会に最も求められる商品は、バッテリー価格が問題で商品性に難があり、じっと技術革新を待っている。 それをクリアできるのが、高価であることを許容してくれるプレミアムEVのマーケットだが、すでに旧来の自動車メーカーが群雄割拠状態にあり、新参での参入はだいぶ厳しい。いちばん現実的な都市内トランスポーターの類いは、個人ユーザーが買いたくなりそうもない。 さて、ここで突如全員を出し抜いて出てくるのがトヨタだ。テスラが「高くて良いじゃん」でプレミアムEVを発明したのと同じく、トヨタもまた1点突破を成し遂げた。「航続距離要らないじゃん」。ただしこれはもう少し複雑だ。 トヨタはこう考えたのだ。結局バッテリーが高いのが問題だ。それはそれで価格低減に向けての努力は進めていくとして「トヨタはEVに不まじめだ」という声もすでに無視できない。すぐに出せる商品がないと批判の嵐が止まない。 かと言って、今さらリーフクラスのEVを出しても、あの池には大して魚がいないことは多くのメーカーが身銭を切って証明済みで、絶望感の漂ういす取りゲームにわざわざ参入する意味はない。 結局はバッテリー価格が問題なんだったら、小型バッテリーでもOKな、航続距離のいらないユーザーに向けたクルマを作ればいいじゃないか?ビジネスニーズは航続距離を必要としない。100キロ走れば十分だ。都市内の移動なので最高速度も60キロでいい。それなら200万円もあれば十分だろう。あるいは150万円でも可能かもしれない』、「そもそも内燃機関がなくなっただけで誰でもクルマが作れるということ自体幻想であり、車体設計こそノウハウの塊だ」、誤解を見事に解いてくれた。トヨタが慎重にEV市場を見極めて、「航続距離要らないじゃん」で「1点突破を成し遂げた」、巧みな二番手戦略だ。
・『ダイソンにはなくてテスラとトヨタにあるもの  そうなるとトヨタは強い。営業が全力を挙げてEVビジネスカーの需要を探る。例えば東京電力を筆頭とする電力会社の営業車とか、官公庁の公用車、郵政や銀行や保険などの公益性の高い事業主体は、可能であればEVを採用したいと考えている。そしてこれらのビジネスユーズは安定的需要があり、定期的に必ず車両入れ替えが起きる。 ただし現在、軽自動車で足りているそれを置き換えるものとして350万円のEVでは無理だ。つまり妥当な価格ならば本当はEVにしたいというニーズがほったらかしになっていたのである。 トヨタはすでにどこの社のどの営業所に何台というレベルで台数を読んでいると思われる。考えてみればまさにトヨタ生産方式。「売れた分だけ作る」とはこのことだろう。 ダイソンは3つあるEVのクラスの1番上に商機ありと見て参入したが、そこは誰の目から見てもいちばんおいしそうに見えるマーケットゆえに一瞬にしてレッドオーシャン化した。 損切りをして撤退した判断はさすがと思うが、やはりゲームチェンジャーにはなれなかったことは大きい。プレミアムEVでテスラが、ビジネスEVでトヨタがやって見せたゲームチェンジャーの指し手をダイソンは打ち込めなかったのである』、トヨタが「ビジネスEV」を展開していく上では、その強い営業力が大いに寄与するのだろう。EVを巡る競争が分野別に整理され、理解しやすかった。

第三に、10月11日付け東洋経済オンライン「ノーベル賞「吉野彰氏」が描くEV用電池の未来図 2025年までは間違いなく市場拡大していく」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、」Aは吉野氏の回答)。
https://toyokeizai.net/articles/-/307914
・『10月9日、スウェーデン王立科学アカデミーは今年のノーベル化学賞受賞者を発表。受賞者は旭化成の吉野彰名誉フェロー、米テキサス大学のジョン・グッドイナフ教授、米ニューヨーク州立大学のマイケル・スタンリー・ウィッティンガム卓越教授の3人で、リチウムイオン電池の開発で主導的な役割を果たしたことが評価された。『週刊東洋経済プラス』で公開している吉野氏の1万字インタビューの一部を掲載する。 Q:リチウムイオン電池は今やIT機器だけでなく自動車にも。例えば、米テスラの電気自動車(EV)には円筒型のリチウムイオン電池が何千本も入っています。 A:そうです、そうです。いわゆる「18650」というノート型パソコンに使われているものですけどね。これはもう25年ぐらい実績があって、性能も最高レベルに達していて、なおかつ値段が非常に安い。それをたくさん搭載して繋ぐというのは、1つの考え方やね。 何千本もの電池をつないできちんと機能させるためには、バッテリーマネジメントが非常に難しいんです。だから、テスラはそういう技術を持っていたということなんでしょう。 ただ、未来永劫そのやり方がメインストリームになるかどうかはわかりませんけど』、「何千本もの電池をつないできちんと機能させるためには、バッテリーマネジメントが非常に難しいんです」、なるほど、初めて知った。
・『車載用の市場は小型民生用をちょっと追い越している  Q:角型のリチウムイオン電池のほうは多くのハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)に使われています。その良さは何でしょうか。 A:これもメリット、デメリットがあるんです。 メリットは当然大きな電池を一つ作るほうが、小さな乾電池50本分ぐらいに相当するのかな。要は作るのは楽ですわね。直列、並列にはつなぐんだけども、つなぐ数が少なくて済みますから、バッテリーマネジメントが楽です。 デメリットとしてはまだ大型のリチウム電池はあまり市場の実績がないから、どうしても安全に気をつかって設計せんといかんですよね。本当はエネルギー密度を上げられるんだけど、いきなり無理して上げるわけにもいかない。そうすると、ちょっと性能的には落ちますし、値段的にも当然ね(高くなる)。これから作っていく段階だから、値段もそんなに下がっていない。ちょうど(円筒型と)裏返しの関係ですよね。 今のようなEVが本格的に世の中に出てきたのは2010年前後で。三菱自動車の「アイ・ミーブ」と日産の「リーフ」。たぶんそこがスタートなんです。そこから7、8年が経過して、2017年で小型民生用とほぼ一緒になり、ちょっと車載用が追い越したともいわれる状況なんですよね。 Q:マーケットのサイズが? A:そうです、そうです。じゃあこれから先どこまで増えるのか。まあ、当然増えていくんですけど。今のところ間違いないと言われてるのが2025年で、だいたい小型民生用の10倍ぐらい。そこまでは技術的にもこれでいけそうですね、数量的にもそのあたりは見えてますね、となっている。 じゃあ2025年以降にどうなっていくのかは、たぶんいろんな見方がある。2025年で小型民生用の10倍になる規模というのは、車全体のだいたい15%ぐらいなんですよ。もしそれが100%になったら約6倍だから、小型民生用の60倍になる。それが本当に実現できるのか、あるいは別のシナリオがあるのか。そこが今、議論の争点になってると思います。 Q:部材が足りるのかなど、いろんな論点があります。 A:だから、資源の問題も含めて、現実として2025年がある意味でギリギリのライン。 Q:足元でも、中国の企業がコバルトの採掘場を買収するなど、資源を囲い込むような動きがあります。 A:2025年まではそれほど大きな問題にはならないんだけども、とはいえどうしても投機的な問題が出てきますよね。絶対量としては問題ないんだけども、やはり資源価格が高騰していくとかね。したがって、市場規模が2025年レベルまでいくとしても、それ以降はやはり何らかのリサイクルとか、本当にそういうことが大前提になってくると思います』、「2025年で・・・小型民生用の60倍になる。それが本当に実現できるのか、あるいは別のシナリオがあるのか。そこが今、議論の争点になってると思います」、確かに何らかのブレークスルーが必要になりそうだ。
・『日産リーフの航続距離も当初から2倍に延びた  Q:価格は今後、下がっていくものでしょうか。 A:大型が作られてもうすぐ10年になるので、コストもどんどん下がってきていますし、当然、技術も向上してきています。実際に作っていくと、エネルギー密度の考え方とか、ある程度のツボがわかってくる。例えば、最初に発売された日産のリーフは1回の充電で走行距離が200キロメートルでしたが、今では2倍の400キロメートルほどになりましたよね。 Q:大型の角型電池が円筒型のコストパフォーマンスに近づいてくるのは、どんな要因が大きいのでしょうか。 A:一つは材料です。正極にしても負極にしても、これを改良することでエネルギー密度も上がるし、なおかつ値段も下げますと。どちらかというと材料メーカーの努力です。 もう一つはさきほど言った設計。実際に材料を使って電池にするときに、当初は安全サイド、安全サイドという観点で設計せざるを得なかったんでね。ただ、(生産を重ねていくうちに)ここはちょっともう少し無理がききますねとかが分かってくる。そのあたりはいわゆる電池メーカー、もしくは自動車メーカーの努力でしょうね、「コスト」削減には、「材料」と「設計」がカギになるようだ。一層のコスト削減努力に期待したい。
タグ:設計 材料 東洋経済オンライン 電気自動車 ノーベル化学賞 EV CATL (その6)(トヨタが「中国電池」に頼らざるをえない理由 中国大手CATL・BYDが世界の電池市場を寡占、ダイソンがEVから撤退せざるをえなかった理由 テスラが築いた「高くて構わない」はもう飽和、ノーベル賞「吉野彰氏」が描くEV用電池の未来図 2025年までは間違いなく市場拡大していく) 湯 進 「トヨタが「中国電池」に頼らざるをえない理由 中国大手CATL・BYDが世界の電池市場を寡占」 トヨタが中国リチウムイオン二次電池(LIB)大手の寧徳時代新能源科技(CATL)、比亜迪(BYD)などと協業すると発表 今年から実施した中国のNEV(新エネルギー車)規制により、乗用車メーカーに一定台数のNEV生産の義務づけられた 車載電池の安定調達は喫緊の課題 LIBはソニーが1991年に世界に先駆けて実用化し、日本の「お家芸」 韓国企業の台頭により、世界市場でパナソニックとLG化学、サムスンSDIの日韓企業のトップ争い 外資電池メーカーの排除政策 地場LIBメーカー57社を「ホワイトリスト」に登録 NEV補助金を支給する条件 2017年からLIB分野における外資の独資を容認し、2019年にはLIB産業を外資投資の奨励産業分類に格上げ、外資政策の転換を行った 中国地場メーカー、創業7年で世界トップに 2つ目の要因は地場電池メーカーの成長 CATL、BYDなど地場メーカー7社が2018年のLIB出荷量世界トップ10にランクイン。創業わずか7年のCATLが、パナソニックを抜き2年連続で世界首位となった 自動車メーカーとの水平分業型戦略を採用したCATL BYDは、自社ブランドのNEVにセルを供給する垂直統合型戦略を採用 2019年1~5月の中国LIB市場シェアを見ると、1位のCATLと2位のBYDの合算シェアは75%、業界の寡占化が進んでいる 24時間稼働でも受注に対応しきれず 池田 直渡 「ダイソンがEVから撤退せざるをえなかった理由 テスラが築いた「高くて構わない」はもう飽和」 ダイソンはEV(電気自動車)の開発から撤退 事業の採算見通しが立たず、事業の売却にも買い手がつかなかった そもそもEVとは何なのか? 1%ちょっとのシェアという厳然たる事実がすべてなのだ 要するにニュースの編み方にモラルハザードを起こしやすい EVの実績が伸びない理由 エネルギー密度が低い。つまり「重量当たりのエネルギー量が少ない」 商品として適正なバランスに達するには、まだあと100倍くらい進歩が必要だ。今の10倍ではまだ厳しい。EVは必須の技術であり、今後も継続的に開発投資が進むだろうが、2年や3年でどうにかなるレベルにはない。早くとも2030年くらいまではかかるのではないか EVのバッテリーは1台分で200万円から300万円くらいのコストと言われている。バッテリーだけでは走れないから、クルマに仕立てるとどうやっても350万円くらいにはなってしまう まじめにバランスのよいクルマを作ろうとすればするほど、お値段はお高め、航続距離は少しやせ我慢して「わりと余裕ですよ」と言えるくらい、装備は少し悲しめのEVが出来上がる バッテリーが高いのがすべて悪い。このトラップから誰が抜け出せるかのレースが今のEVマーケットの本命だ これらの状況を一点突破で見事にぶち破って見せたのがテスラで、彼らのコロンブスの卵は「高くていいじゃん」だった プレミアムEV 現在ビジネスモデルとして成立しているのはテスラのようなプレミアムEV 儲かりはしないけれど、人類の責任として未来のために必要なのが日産自動車「リーフ」のようなバランス型EV もう1つ下に都市内交通として短距離に特化したEVがある プレミアムEVはもうレッドオーシャン化まっしぐら 戦いは自動車としてのブランドアイコンを持たない新参メーカーにはすでに太刀打ちできない領域に入っている すでに旧来の自動車メーカーが群雄割拠状態 現在守護神と目される「全固体電池」がマウンドにやってくるのはどんなに早くても2025年以降 そもそも内燃機関がなくなっただけで誰でもクルマが作れるということ自体幻想であり、車体設計こそノウハウの塊だ トヨタもまた1点突破を成し遂げた。「航続距離要らないじゃん」 ダイソンにはなくてテスラとトヨタにあるもの トヨタは強い。営業が全力を挙げてEVビジネスカーの需要を探る 「ノーベル賞「吉野彰氏」が描くEV用電池の未来図 2025年までは間違いなく市場拡大していく」 吉野彰名誉フェロー 何千本もの電池をつないできちんと機能させるためには、バッテリーマネジメントが非常に難しいんです 車載用の市場は小型民生用をちょっと追い越している 今のところ間違いないと言われてるのが2025年で、だいたい小型民生用の10倍ぐらい。そこまでは技術的にもこれでいけそう 2025年以降にどうなっていくのかは、たぶんいろんな見方がある。2025年で小型民生用の10倍になる規模というのは、車全体のだいたい15%ぐらいなんですよ。もしそれが100%になったら約6倍だから、小型民生用の60倍になる。それが本当に実現できるのか、あるいは別のシナリオがあるのか。そこが今、議論の争点になってる 日産リーフの航続距離も当初から2倍に延びた
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中国での日本人拘束問題 スパイ(?)(その3)(犠牲になるのは民間人…政府の“お忍び”スパイ派遣の事情、「中国最強商社」伊藤忠を襲った身柄拘束、伊藤忠社員はなぜ中国で拘束されたのか、中国 北大教授「拘束」の狙いとは? 識者「米中の情報戦に…日本が圧力受けた可能性」) [外交]

中国での日本人拘束問題 スパイ(?)については、2016年8月9日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その3)(犠牲になるのは民間人…政府の“お忍び”スパイ派遣の事情、「中国最強商社」伊藤忠を襲った身柄拘束、伊藤忠社員はなぜ中国で拘束されたのか、中国 北大教授「拘束」の狙いとは? 識者「米中の情報戦に…日本が圧力受けた可能性」)である。

先ずは、昨年7月13日付け日刊ゲンダイ「犠牲になるのは民間人…政府の“お忍び”スパイ派遣の事情」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/233188
・『中国でスパイ容疑で拘束されていた愛知県の男性(54)が、懲役12年の実刑判決を受けた。2015年以降、中国各地でスパイ行為などを疑われた日本人が相次いで拘束され、8人が起訴されている。判決が出たのは初めてだ。 菅官房長官は10日の定例会見で、日本政府が中国にスパイを送り込んだ事実は「一切ない」と日本政府の関与を否定したが、怪しいものだ。 ある政府関係者は、『公安調査庁が男性らに写真撮影や情報収集を依頼した』と言っています。中国当局は、日本からのスパイ目的での訪中者リストを入手しており、一網打尽の検挙ができた。今回の手続きも自信満々です」(外務省担当記者) 今回、判決が下った男性はコンサルト業務で日中を往来しており、起訴された8人のうち最も早い15年5月に、浙江省温州市沖の南麂列島沖で市当局に拘束され、翌年6月に非公開で初公判が開かれた。同列島は軍用ヘリポートや埠頭建設など軍事施設の整備が進み、男性は施設周辺で写真を撮影したとの情報もある』、「ある政府関係者は、『公安調査庁が男性らに写真撮影や情報収集を依頼した』と言っています」、ありそうなことだ。「軍事施設の整備が進み、男性は施設周辺で写真を撮影したとの情報もある」、事実とすれば言い逃れできそうもなさそうだ。
・『日本の地裁にあたる中級人民法院は、刑法のスパイ罪などで、男性に懲役12年のほか、約850万円の個人財産没収を言い渡したが、中国の外国人スパイ事件では重い方だという。今後、残る7人にも判決が出るものとみられる。 「表沙汰にはできないですが、政府が民間の訪中者に軍事施設などの情報収集を依頼することは、これまでも行われています。菅官房長官は認めるわけにはいかないので、『関与なし』と答えざるを得ないのでしょう。しかし、今回、政府からのミッションを引き受けた民間人が拘束されて、12年もの長期の懲役を受けたわけです。ある種の国家の犠牲者ですよ。日本政府が、国内での中国民間人によるスパイ活動をしっかり取り締まっていれば、“交換交渉”もできるのですが、全くの無防備。これではやられっ放しです」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏) 菅長官は「日本人保護の立場から、政府としてできる限り支援していく」と語ったが、交渉材料は持ち合わせているのか。あまりにも頼りなさ過ぎる』、「約850万円の個人財産没収を言い渡した」、旅行者ではなく、現地で生活していたのだろうか。「表沙汰にはできないですが、政府が民間の訪中者に軍事施設などの情報収集を依頼することは、これまでも行われています・・・日本政府が、国内での中国民間人によるスパイ活動をしっかり取り締まっていれば、“交換交渉”もできるのですが、全くの無防備。これではやられっ放しです」、海外でのスパイ合戦では、“交換交渉”が当たり前だ。日本も対抗するため、対スパイの防諜活動に力を入れるべきだろう。

次に、本年2月15日付け日経ビジネスオンライン「「中国最強商社」伊藤忠を襲った身柄拘束」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/021500092/?P=1
・『伊藤忠商事の日本人男性社員がおよそ1年間にわたり中国当局に拘束されていることがわかった。昨年2月に中国の国家安全を害した疑いでスパイ行為などを取り締まる広東省広州市の国家安全局で拘束され、同6月に国家機密情報窃盗罪で起訴されたという。伊藤忠は拘束されている事実を認めている。 伊藤忠は国有企業の中国中信集団(CITIC)と資本業務提携を結び、丹羽宇一郎元社長が2010~12年に民間出身として初めて駐中国大使を務めたこともある。広州では中国企業と共同でリニア地下鉄車両を受注するといった実績がある。「中国最強商社」を自認し、関係強化に力を注いできた同社を襲った突然の出来事に、衝撃が広がっている。現地の伊藤忠社員は「拘束の事実はまったく知らなかった」と動揺した様子で語った。 中国では2014年に「反スパイ法」が施行され、国内での外国人の取り締まりが強化された。国外の組織などのために違法な手段で国家の機密や情報を取得する行為には国家機密情報窃盗罪が適用され、最高刑は死刑という重罪だ。今回の事例を含めて合計で少なくとも9人の邦人が拘束された。他の8人もすでに起訴されており、そのうち4人には懲役5〜12年などの実刑判決が下されている』、「伊藤忠商事の日本人男性社員がおよそ1年間にわたり中国当局に拘束」、という事件は、私にも目を疑うような衝撃だった。
・『どのような行動をすると、中国の国内法に触れる可能性があるのか。過去の事例で問題となった点を見ると、軍事拠点として整備されていた島の周辺で写真を撮影していたり、温泉開発の調査をする中で機密に当たる地形を調べていたりと様々だ。 今回、同社員は中国入国時に捕まったとの報道もあり、以前の中国国内での行動で当局に目をつけられていた可能性がある。中国では日本人には一見わからないような場所が軍の管理地域になっていることがあるほか、地図情報なども国家機密に当たることに注意が必要だ。 中国外務省の華春瑩副報道局長は14日の記者会見で「状況を把握していない。主管部門に聞いてほしい」と述べるにとどめており、詳細は明らかになっていない。拘束されたのは日中関係が改善に向かっている時期のことで、政治的な思惑があるとは考えにくい。中国政府は拘束や起訴に至る明確な基準を対外的に示していない。友好的な位置付けにあるとみられる企業の社員をその対象としたことは、中国での日系企業の活動を萎縮させる可能性もある』、この記事では、実態はさっぱり分からないが、これまではスパイと疑われてもやむを得ない場合が多かったが、今回はどうなのだろうか。それにある程度言及したのが、次の記事である。

第三に、外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演した2月15日付けニッポン放送 grape「伊藤忠社員はなぜ中国で拘束されたのか」を紹介しよう。
・『ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月15日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。中国で伊藤忠商事社員が拘束され、起訴された情報について解説した』、宮家氏は、在中国公使も務めた元外交官だけに、突っ込んだ話が期待できそうだ。
・『中国が伊藤忠の社員を去年2月に拘束  中国広東省広州市の国家安全局が去年2月、スパイ行為の疑いで大手商社 伊藤忠商事の40代の男性社員を拘束していたことが分かった。この男性は中国広州市で中国企業と合同で行っているリニア地下鉄の事業に携わっていたということです。 飯田)去年2月に起こって発覚から1年です。この社員は、拘束当時は東京本社の所属で直前までリニアの仕事をしていて、中国には旅行で滞在していたということです。 宮家)中国にとって、外国人は基本的にみんなスパイだと思われています。 飯田)そうなのですか? 宮家)なぜかというと、中国のシステムでは外国に行っている中国人は誰でもスパイになり得ると思っているからです。まして通信社なんて絶対スパイだと思っています。日本の通信社の人には可哀想だけど、彼らは日本のスパイだと思われているわけです。これがまず違う。でも、日本にでは対外スパイ組織、諜報機関は無いです。ですから定義上は日本にはスパイはいないわけで、まずここで日中はぶつかります』、どうも「リニア地下鉄」に関する出張で広州市を訪ねていたようだ。「中国にとって、外国人は基本的にみんなスパイだと思われています」、恐ろしい話だ。「日本にでは対外スパイ組織、諜報機関は無いです。ですから定義上は日本にはスパイはいない」、内閣情報室や自衛隊にも情報組織はあるので、元官僚らしい強弁に過ぎない。
・『中国では経済の情報も国家機密  宮家)次に、中国の場合は内政の延長としてこの問題が取り上げられるケースが多いのですが、結局は2015年あたりから、習近平政権が(注:正しくは「に」)変わって、新しい政権の下で締め付けが中国国内でも厳しくなっています。それに連座しているやつとか変なやつがみんな、外国の人も外国にいる中国人も、嫌疑を受けるわけです。そういう流れがあって、さらに最近ではファーウェイのケースのようにがあって、スパイ罪でカナダ人を10数人捕まえています。そういう形で外国への報復にも使えると言う意味で、は彼らにとっては当たり前の行為なのことです。でも日本の企業が中国に対してそんなことをするとは思えない。商社の人たちが政治的な機微の話をしても、何の儲けにもならないわけだから、やる必要はあまり無い。普通のビジネスの仕事をしていたのだと思いますが、中国にとっては経済の情報も国家機密だから、当然スパイになるわけです。どう考えても可哀想だと思います。 飯田)日本人の感覚だとまったく問題無いことが、向こうでは問題になってしまう可能性があるということですか? 宮家)だと思います。ときと場合、TPO間違えたらそうなります。同情するし、日本政府もおそらく過去1年間早い段階で知っていたかもしれません。だけどそれはプライバシーの問題もあるし、いろいろな問題があるから静かに水面下で働き掛けをやっていたのだと思います。 ただこういう形で出るということは、彼らも中国側も何かの次のステップを取るための動きものなのかもしれません。それは考えたくないですけれどね。 彼らは平気でこういうことをやるような国だということは理解していかなくてはいけません。どんなことがあっても、どんなときにどういう形で捕まってもおかしくないと思っていただいた方が良いと思います。 飯田)既に何の容疑か分からりませんが、初公判が行われている。ただ判決がまだ出てない。そうすると次のステップ、判決の部分が近付いている…。 宮家)そういうことですよね、嫌ですよね。 飯田)しかし、公安部の下部組織が動いているようなことですよね。そうすると外交部、外務省からすると手出しできないということですよね? 宮家)外交部は力ありませんから。 飯田)力が無い。ここが日本と違うところですね。 宮家)日本の外務省が全面的に力があるとは思わないけれども。それなりの政策の立案と実施を両方やっているのが日本でありアメリカの外交当局です。中国の外交部は政策の立案権限が無いと思います。それはおそらく党が全部握っている。ですからその意味でこのような問題、特に自分の所掌訴訟の問題でも無いことについて外交部に期待してもあまり・・・という感じですね』、「中国の外交部は政策の立案権限が無い」、というのは大いにありそうだが、とすると選択肢は限られそうだ。
・『中国では外国人は全員スパイだと思われているという現実  飯田)そうすると日中雪解けみたいなことを殊更に報道する新聞もありますけれども、ただその文脈とは別のトラックで走っている。 宮家)違うロジックで違う人たちが違う目的のために動いていると思います。だからと言って中国の外務省がダメだと言っているわけではありません。立派な人もたくさんいます。だけど如何せん、所詮は日本以下だということです。 飯田)そうすると、向こうでビジネスをするというのは、かつてないほどリスクが高まっているのではないですか? 宮家)と思います。だけどそれは日本だけの問題ではありません。 飯田)外国人みんな。 宮家)みんなそうです。基本的に彼らにとって、外国人は全員スパイだと思っていますから。 日本だけが目の敵にされているわけではない。 飯田)それを思って向こうで行動しなくてはいけないということですね。 宮家)残念ながら。一部の国にでは、そういうことがあり得るということです。これは昔からそうです。 飯田)港で不用意にスマホを出してカシャッて・・・。 宮家)やめて下さい、お願いだから』、「2014年に「反スパイ法」が施行」されて以降は、かなりビジネスのリスクが高まってしまったようだが、どれだけの日本企業がこれを理解しているのだろうか。

第四に、10月20日付けZAKZAK「中国、北大教授「拘束」の狙いとは? 識者「米中の情報戦に…日本が圧力受けた可能性」」を紹介しよう。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/191020/for1910200002-n1.html
・『またも邦人への人権侵害か-。9月に中国を訪問していた北海道大学の40代男性教授を拘束していたことが19日までに日中関係筋の話で分かった。男性は防衛省防衛研究所や外務省に勤務した経験があり、準公務員である国立大学の教員の拘束が認められたのは初めて。中国による不明瞭な拘束には、隠れた狙いがありそうだ。 容疑はスパイ活動など「国家安全危害罪」に関連するとみられ、中国当局は拘束理由について「国内法に違反した」と説明している。9月に訪中した際、北京国際空港で拘束されたとの情報もある。男性教授は中国政治が専門で、これまでに日中戦争の論文などを数多く発表している。 習近平指導部は社会統制を図るため「反スパイ法」や「国家安全法」を制定し、外国人の締め付けを強めている。17日には、中国外務省が米国人2人の拘束を説明したと米ブルームバーグが伝えたばかりだった。 中国では不透明なままに拘束され、人権侵害が続いている。中国事情に詳しいノンフィクション作家の河添恵子氏は「情報が少なく、推察するしかない」としつつ、2つの可能性を指摘した。 「この教授が現地で公安の仕事をしていたために拘束した可能性と、現在米中で行われている情報戦において米国の同盟国である日本が圧力を受けた可能性だ。香港を舞台にして米中は工作員を導入した“戦争”を行っており、日本も動き出しているとして、見せしめのために拘束されたと考えることもできる」 2015年以降、邦人の拘束は男女合わせて13人確認されており、いずれも民間人。昨年3月に伊藤忠商事の社員が拘束された際には、李克強首相が日本に公式訪問を3カ月後に控えていた。来春には習主席が国賓として来日する予定で、今月は「即位礼正殿の儀」に王岐山国家副主席が出席予定だ。 日中の関係改善に向けた動きが進んでいるという声もある中、今後の関係に影を落としそうだ』、第三の記事にあったように、外交部には発言力がないのであれば外交日程は配慮されない筈だ。なお、10月22日の日経新聞は菅官房長官が「邦人保護の観点から領事面会や家族との連絡などできる限りの支援と語った」ことを伝えた。ただ、表立って抗議した様子はない。「外交の安倍政権」がとんだ「弱腰」を見せているようだ。
タグ:日刊ゲンダイ 宮家邦彦 日経ビジネスオンライン ZAKZAK 中国での日本人拘束問題 スパイ(?)(その3)(犠牲になるのは民間人…政府の“お忍び”スパイ派遣の事情、「中国最強商社」伊藤忠を襲った身柄拘束、伊藤忠社員はなぜ中国で拘束されたのか、中国 北大教授「拘束」の狙いとは? 識者「米中の情報戦に…日本が圧力受けた可能性」) 「犠牲になるのは民間人…政府の“お忍び”スパイ派遣の事情」 スパイ容疑で拘束されていた愛知県の男性(54)が、懲役12年の実刑判決 ある政府関係者は、『公安調査庁が男性らに写真撮影や情報収集を依頼した』と言っています 軍事施設の整備が進み、男性は施設周辺で写真を撮影したとの情報も 表沙汰にはできないですが、政府が民間の訪中者に軍事施設などの情報収集を依頼することは、これまでも行われています 日本政府が、国内での中国民間人によるスパイ活動をしっかり取り締まっていれば、“交換交渉”もできるのですが、全くの無防備。これではやられっ放しです 「「中国最強商社」伊藤忠を襲った身柄拘束」 2014年に「反スパイ法」が施行さ ニッポン放送 grape 「飯田浩司のOK! Cozy up!」 中国が伊藤忠の社員を去年2月に拘束 リニア地下鉄の事業に携わっていた 拘束当時は東京本社の所属で直前までリニアの仕事をしていて、中国には旅行で滞在 中国にとって、外国人は基本的にみんなスパイだと思われています 中国では経済の情報も国家機密 中国の外交部は政策の立案権限が無いと思います。それはおそらく党が全部握っている 中国では外国人は全員スパイだと思われているという現実 「中国、北大教授「拘束」の狙いとは? 識者「米中の情報戦に…日本が圧力受けた可能性」」 北海道大学の40代男性教授を拘束 防衛省防衛研究所や外務省に勤務した経験 中国政治が専門で、これまでに日中戦争の論文などを数多く発表
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ハラスメント(その12)(【佐野SAスト終結!】39日目の逆転劇で全従業員が復帰 社長は退陣 ”解雇部長”は……、「教員間のいじめ」刑事事件への発展が濃厚 原因は「神戸方式」人事か、神戸教員いじめ・主犯格女教師に「元校長の愛人説」と「教壇復帰の可能性」) [社会]

ハラスメントについては、7月20日に取上げた。今日は、(その12)(【佐野SAスト終結!】39日目の逆転劇で全従業員が復帰 社長は退陣 ”解雇部長”は……、「教員間のいじめ」刑事事件への発展が濃厚 原因は「神戸方式」人事か、神戸教員いじめ・主犯格女教師に「元校長の愛人説」と「教壇復帰の可能性」)である。

先ずは、9月23日付け文春オンライン「【佐野SAスト終結!】39日目の逆転劇で全従業員が復帰、社長は退陣、”解雇部長”は……」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/14248
・『8月14日から続いていた東北道・佐野サービスエリア(SA)のストライキ騒動が急展開を見せた。 佐野SAのフードコート、レストラン、売店の運営を行う「ケイセイ・フーズ」を不当解雇された加藤正樹元総務部長(45)と、ストライキを続けていた従業員ら約60名が、職場復帰することが「週刊文春デジタル」の取材で分かった。一部の従業員は既に9月22日から順次、復職している。お盆真っ只中のストライキ開始から39日、前代未聞の事態は大きな節目を迎えた』、首を傾げざるを得ない不可思議なストの真相の一端でも知りたいものだ。
・『長期化の様相から一転  「週刊文春デジタル」では、復職決定までのストライキの動きを、従業員たちに密着しながら取材を続けていた。 佐野SAは、ご当地ラーメンの「佐野ラーメン」が人気で全国区となり、年間利用者数は約170万人に上る。 しかし、運営会社ケイセイ・フーズの経営危機を発端に、8月上旬に売店の店頭から商品がなくなる事態が発生。さらに、同社の岸敏夫社長が加藤氏を解雇するなど人事を巡る対立が生まれ、8月14日未明から9割にあたる従業員がストライキを敢行していた。かき入れ時のお盆期間にフードコート、レストラン、売店の営業が突如ストップする事態となっていたのだ。 この状況に、ケイセイ・フーズは、従業員側に「あなたたちの行為はストライキとして認めていない」「(ストライキによる)損害賠償を請求する」と主張。さらには、ストに突入した従業員を余所に、関連会社の従業員や日雇いスタッフを集めて、SAの各部門に配置し、8月30日に営業を再開。ストライキは長期化の様相を呈していた』、ケイセイ・フーズは、京成電鉄とは関係なく、親会社の建設会社の信用不安説で、納入業者からの仕入れも一時、困難になっていた。加藤正樹元総務部長は、納入業者を回って不安の解消に努める一方、ストライキを主導したようだ。会社側が関連会社の従業員や日雇いスタッフをスト破りに使ったのは、よくある手だ。
・『目を潤ませ、握手し合う従業員たち  そんな中、復職できることが従業員に知らされたのは、9月19日のことだった。 連日のように従業員側の会合が開かれていた佐野市内の会議室。この日の会合で、険しい表情の従業員たちを前に、組合の中心人物だった加藤氏は目を真っ赤にしてこう言ったのだ。 「やっとここまできました……。皆さんに初めて言います。安心してください」 1カ月を超えたストライキに、解決の突破口が見えた瞬間だった。 加藤氏の言葉に、会議室には割れんばかりの拍手が沸き起こった。従業員の顔からは笑みがこぼれ、目を潤ませる女性、握手を交わす男性もいた。あるベテランの男性従業員は記者に対し、声を震わせながら語った。 「まずはストライキ前と同じ状況に、一歩ずつ焦らずに戻したいという気持ちだけです」』、「関連会社の従業員や日雇いスタッフを集めて、SAの各部門に配置し、8月30日に営業を再開。ストライキは長期化の様相を呈していた」のが、一転、解決したのはなによりだ。
・『都内でデモも計画されていた  ストライキ中の従業員に給与を支払うために、加藤氏は自費で準備した1500万円を組合に供託していたが、その資金が底を尽きてしまうのが9月20日あたりだった。さらに、21日からの三連休には、膠着した状況を打開しようと、東北道を管轄するNEXCO東日本本社(東京)前でのデモも計画されていた。実際に、従業員たちはデモで使う手作りのタスキやチラシ、ノボリまで用意していた。そんな追い詰められた状況に届いた朗報だった。 ストライキ終結の経緯について、加藤氏が説明する。 「ストライキ開始後、佐野SAの現場を取り仕切っていたのは、預託オーナー商法で社会問題となった企業の関係業者でした。その業者がサービスエリアのスタッフを募集していた。社会問題になった業者に、私たちの職場を“占拠”されたのです。彼らの豊富な資金力で持久戦に持ち込まれ、勝ち目はなくなりかけました。 そこまで追い込まれましたが、最後まで訴え続けたのが、サービスエリアを監督するネクセリア東日本とケイセイ・フーズが取り交わした契約にある、『再委託禁止』という項目についてです。『今回の募集はこの項目に抵触する』と、私は訴えてきました。(※ネクセリア東日本は東北道を管理・運営するNEXCO東日本のグループ会社でケイセイ・フーズに対して店舗を貸与している) すると、関係者を通じて経営側から『岸社長ら現経営陣が退陣し、新たな社長となる。9月22日に戻ってきてほしい』という連絡を9月17日に受けました。にわかには信じられませんでしたが、実際に戻ることができた。これがおおよその経緯です」 この動きを受けて、従業員の一部は、9月22日の本格的な復帰に向けた準備のため、その4日前の18日深夜、久し振りに職場の佐野SAへ戻った。 売店、ホール、厨房、軽食の各部門のリーダーたちは、実に35日ぶりに職場に立って、現場の状況を確認。復帰することになる連休中に必要な商品、食材の発注を済ませ、さらには10月からの消費増税の対応などを話し合った』、「ストライキ開始後、佐野SAの現場を取り仕切っていたのは、預託オーナー商法で社会問題となった企業の関係業者」、いくらスト破りをするとはいえ、こんな業者を使うとは悪質だ。「ストライキ中の従業員に給与を支払うために、加藤氏は自費で準備した1500万円を組合に供託」、急作りの組合ではスト資金もないので、やむを得ないとしても、加藤氏個人が立て替えたとは剛毅なことだ。
・『会社側が突きつけた一つの条件とは  しかし、ケイセイ・フーズ側は、全従業員の復帰に、ある条件を提示していた。それは、加藤氏の辞職である。 加藤氏は自身の処遇と今後の展望について、記者に胸の内を明かした。 「業務の引き継ぎや消費税対応などもあり、まずは従業員の皆さんと一緒に戻り、最低限営業ができる状態に戻したいと考えています。その先のことはわかりませんが、会社の財務状況に問題がないことを確認し、現在取引停止中の取引先の皆さんに再開をお願いしたい。できるだけはやく、営業を正常化させたいです。 お客様には大変ご迷惑を掛けました。これは経営側だけでなく、私たち従業員もお詫びしなければなりません。でも、このストライキ中、今まで多忙のために、ろくに話も出来なかった従業員たちが、連日のように会合を開き、研修や準備を続け、スタッフ間の結束が固まった。迷惑をお掛けした分、今まで以上の接客でお客様をお迎えしたいです」 佐野SAでは、業務の引き継ぎや納品作業などを順次進め、営業が正常化するのは9月24日になるという。 本格的な復帰を前に、ある女性従業員が語る。 「お盆から始まったストライキですから、売り場はまだ夏仕様のままなんです。いち早く現場に戻って、秋仕様の売り場に切り替えて、気持ちも新たに、たくさんのお客さんを迎えたいと思っています」』、「ケイセイ・フーズ側は、全従業員の復帰に、ある条件を提示していた。それは、加藤氏の辞職」については、情報が錯綜しており、24日付けの日刊スポーツは、「会社側が仲介人を通じて22日に現場に戻らないかと打診。本人も総務部長への復職を希望」、としており、この方が筋が通りそうだが、よくは分からない。

次に、事件ジャーナリストの戸田一法氏が10月16日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「「教員間のいじめ」刑事事件への発展が濃厚、原因は「神戸方式」人事か・・・「神戸方式」という校長の意向が強く人事に反映されるシステム」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/217597?display=b
・『教員同士のハラスメントは、刑事事件になる可能性が濃厚になった。神戸市須磨区の市立東須磨小学校で教員4人が後輩に暴力をふるい、嫌がらせをしていたとされる問題。被害を受け体調を崩して休職している男性教員(25)が11日、兵庫県警に暴行容疑で被害届を提出した。市教育委員会は加害側の4人について懲戒処分を検討しているが、県警も被害届を受理する方向とみられ、捜査に乗り出す異例の事態になりそうだ』、生徒にいじめ防止を指導する立場の教員が、若手教員をいじめていたこの事件には、驚くとともに、失笑を禁じ得なかった。
・『教員同士でいじめ?  「先輩教員からいじめを受け、20代男性教員が休職している」。新聞やテレビで初報に触れた方々は、一様に驚いたに違いない。 今月4日、市教委が記者会見で明らかにした内容によると、男性教員(以下、被害教員)は先輩4人から目や唇に激辛ラーメンのスープを塗られたり、羽交い締めにされて激辛カレーを無理やり食べさせられたりしたと訴えている。 またLINEで別の女性教員にわいせつなメッセージを送るよう強要されたほか、飲酒の強要や尻をたたく暴力なども確認された。 ほかにも携帯電話をロックして使えなくする、足を踏みつける、車のボンネットに土足で乗る、無理やり車で自宅に送らせる――などの行為もあったという。 本稿では冒頭「ハラスメント」と表記したが、こうした子どもじみた行為は、確かに「いじめ」という表現の方がふさわしいかもしれない。 被害教員は精神的に不安定になり、9月から欠勤しているとし、市教委は「市民の信頼を著しく失墜する行為」「前代未聞で、深刻に受け止める」と謝罪した。 市教委によると、先輩4人(以下、加害教員)は30代の男性3人と40代の女性1人。 今年6月、別の教員から相談を受けた校長が状況を尋ねると、被害教員は「大丈夫です」と答えたが、嫌がらせはやまず、実際には加害教員が「謝ってほしいなら謝ってやる」などと高圧的にふるまうなど、反省した様子はなかった。 市教委は「(学校側は)教員同士でトラブルはあったが、校内で解決した」と説明していたとし、学校側による隠蔽(いんぺい)も疑われた。 被害教員以外にも女性2人にセクハラ、男性1人に対しては「ポンコツ」を意味する「ポンちゃん」などと呼ぶ嫌がらせを受けていた。 あまりに幼稚で、唖然(あぜん)とするばかりだが、さらに信じられないのが加害教員4人はいずれも学校内のリーダー的存在で、うち2人はいじめ防止の生活指導担当だったということだ。 加害教員は実質的な「謹慎」で出勤していないが、市教委の規定には自宅謹慎などの処分は存在しないため、行動は自由で給与も支給される「有給休暇」だという』、「信じられないのが加害教員4人はいずれも学校内のリーダー的存在で、うち2人はいじめ防止の生活指導担当だった」、「いじめ」問題は想像以上に根深い問題のようだ。「市教委の規定には自宅謹慎などの処分は存在しないため、行動は自由で給与も支給される「有給休暇」」、学校教員に対する処分規定の不備さには、呆れ果てる他ない。
・『神戸方式という闇  市教委に事実関係を隠蔽したと疑われるような報告をした学校側は9日、東須磨小の仁王美貴校長が記者会見し、詳しい実態を明らかにした。) 会見は4時間にも及び、仁王校長は「驚くような内容ばかりで、絶対に許されない」「心からお詫びする。ハラスメントへの認識が甘かった」と反省の言葉を述べた。 また加害教員を同小で指導させないと強調し「児童、保護者に多大なご迷惑を掛け、大変申し訳ありません」と謝罪した。 記者らが絶句したのは、加害教員は発言を否定しているというが、児童に「反抗しまくって潰したれ」と学級崩壊を指示していたと被害教員が訴えていたことだ。 また、調査に対し加害教員たちは「嫌がっていると思わなかった」「自分たちは仲がいいと思っていた」と、いじめをした子どもが必ずするような言い訳に終始。開き直って「自分が面白ければ良かった」と呆れるような釈明をした加害教員もいたという。 今年2月、同僚教員が「イジリの度が過ぎる」と見かねて前校長(今春異動)に報告したが、被害教員が「大丈夫です」と返答したため、学校側は対応しなかった。 仁王校長に引き継ぎもされていなかったが、6月に再度、同僚が仁王校長に報告。尻を叩かれて腫れができたことを認識していたが、市教委にはハラスメントの詳細を伝えていなかった。 そして、仁王校長が詳しい実態を知るようになったのは、被害教員が欠勤するようになった9月以降だった。 電話や手紙に「大好きな子どもたちの前に立てないのに、4人が(教壇に)立っていることを考えると苦しい」と心情を吐露したことだったと説明した。 全国紙社会部デスクによると、これらは「神戸方式」という校長の意向が強く人事に反映されるシステムが招いたという。 神戸方式とは、教員の希望に基づき、現行の配属先と異動先の校長が調整して素案を作成し、市教委が追認する慣行で、1960年代に始まったとされる。 優秀な人材や、自分の言うことを聞く教員を確保しようとする校長の意向が反映され人事の公正さが失われ、配属された教員が校長の威光を盾に発言力を持つ弊害があるとも指摘していた。 因果関係ははっきりしていないが、加害教員4人は神戸方式人事だったとされ、昨年12月に被害教員が前校長に相談しようとしたが「いじめじゃないよな」「(加害教員らとは)仲がいいだろ」と取り合ってもらえなかったとされる』、「加害教員は・・・児童に「反抗しまくって潰したれ」と学級崩壊を指示していた」、開いた口が塞がらない。学校のような閉鎖社会では、「神戸方式」は校長に権威が集中、明らかに問題があるのに、敢えて導入した理由はない筈だ。
・『理解できないいじめの構図  一連の問題を受け、被害教員は10日、代理人弁護士を通じ、コメントを発表した。 「子供たちへ 急に先生が代わってびっくりしたね。ごめんね」「職員室が怖かった分、毎日子供といる時間が幸せでたまらなかった」「先生はよく『いじめられたら誰かに相談しなさい』と言っていましたね。しかし、その先生が助けを求められずに、最後は体調まで崩してしまいました」「今の先生だからこそ、お願いです。つらいとき、悲しいとき、自分一人で抱え込まず、誰かに相談してください」「必ず、誰かが手を差し伸べてくれます。助けてくれます」 保護者に向けては「いつも温かく迎えてくださって感謝でいっぱいです」「ご心配やご迷惑をお掛けしてすみません」と謝罪し、結んだ。 ここまで追い込まれた原因は、市教委や仁王校長が記者会見で明らかにした内容以外にもあった。 ドレッシングや焼き肉のたれ、キムチ鍋の原液を飲ませる+熱湯の入ったヤカンを顔に付ける+カバンに氷を入れる+「犬」と呼ぶ▽携帯電話を隠す+出張で「甘いもん買ってくるのが礼儀」と言ったのに「こんなんで好かれようとするな」と捨てる+「太れ」と菓子を口に詰める――などだ。 全国紙デスクは「ちょっとこれ、咀嚼(そしゃく)できないんですよね」と不思議な感想を漏らした。 「そんなこと、ありうるの?」と理解できなかったというのだ。それは、冒頭でも記した通り、読者の方々も同じに違いない。 まだまだ明らかにされていない事実があるように思う。その事実が明らかにされるのは、ぬるい市教委の調査・報告ではなく、法廷の場かもしれない』、忘れ易い世論を考慮すると、時間がかかる「法廷」の前に、独立した第三者委員会でまず出来る限り究明すべきだ。

第三に、10月24日付けデイリー新潮「神戸教員いじめ・主犯格女教師に「元校長の愛人説」と「教壇復帰の可能性」」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/10251101/?all=1&page=1
・『神戸市の東須磨小学校で起きていた教員いじめ問題。40代の女性教諭をリーダー格とした4人の教員が行っていた所業は、いじめというより虐待・暴虐とでも呼ぶべきものだった。 校長がお気に入りの教員を招き入れる“神戸方式”によって、主犯格の40代女性教諭が赴任してきたのは、前々校長時代の2017年のこと。学校関係者は次のように証言する。 「女性教師がボスで、3人の男性教員は、彼女に嫌われたくない一心だったようです。独身の彼女は、愛人だと陰口を叩かれるほど芝本力前校長に気に入られ、虎の威を借りていました」 また保護者に聞いても、「よくいえば仕事ができ、悪くいえば勝気な人。芝本前校長は、集合写真を撮るときはいつも彼女を横に座らせ、保護者のなかでも噂になるほどでした」 一目置かれた理由は家族にもありそうだ。彼女の名を、仮に海老沢泰代としよう。自宅近所の人がいう。 「海老沢さんのおかあさんは“うちは私以外は教育関係”と話していました。亡くなったおとうさんは学校の先生で、お兄さんも教育委員会の関係者、その嫁も先生と聞いています」』、リーダー格の女性教諭は、家系的にも教育に自信を持っていたのに加え、「芝本力前校長に気に入られ、虎の威を借りていました」、ブレーキが利かない状態にあったのだろう。
・『一方、腰巾着の30代の男性教員で、被害者が買った新車の屋根に乗っていた男を仮に岡誠とする。 「3年ほど前に家を建てて、奥さんと小さなお子さん2人と暮らしています。よくお子さんを抱っこして、おとうさんというイメージですよ」(近所の人) 子煩悩の父親も、ボスの威の前にはこうべを垂れたのか。それにしては、カレーを食べさせた際のはしゃぎ声は、心底楽しそうに聞こえるが。教え子がいう。 「岡先生はいじめ指導の担当で“いじめはあかんぞ”と言っていました。一番遊んでくれる先生でしたけど、怒るといきなり怖くなりました。小4のとき、みんなでわざと“おかまこと”と呼び捨てにしたら激怒して出ていったので、職員室まで謝りに行きました。あと少しでも時間に遅れると教室から締め出され、怒鳴られるんです」 また、高校時代の同級生の回想では、 「いわゆるワルのグループで、大人しい子には偉そうで、プロレス技をかけたりし、ある同級生には“ウンコまみれ”というあだ名をつけて輪ゴムをぶつけるなど、いじめといじりの区別がつかないやつでした」 三つ子の魂百までであったか』、この男性教員は、「一番遊んでくれる先生でしたけど、怒るといきなり怖くなりました」、精神的な安定性に多少問題があったのだろうが、「いじめ指導の担当」としての自覚はどうしたのだろう。
・『子煩悩の一面  もう一人を田名部康行(仮名)として、その自宅近所の人がいう。 「3人のお子さんは小4の男子と小2の女子、一番下の子は保育園です。奥さんも学校の先生で、下のお子さんが生まれたときは、夫婦がそれぞれ交代で育休をとっていました。少年野球のユニフォームを着た上のお子さんと出かけるのを見たことがあります」 子煩悩の陰に隠れた魔性は、後輩への虐待で満たしていたのだろうか。 加害者の最後の一人、高田啓介(仮名)についても教え子がいう。 「子どもをいじるタイプで、ふっくらと丸い女の子の体型を、笑いの対象にしてからかっていたことがあります。岡先生よりいじりがきつい感じでした」 自制の利かない人間たちが、集団心理でなおさら無責任になったか。先の学校関係者によれば、 「一部保護者の間で、カレーを食べさせられた先生はいじられキャラだという話は囁かれていました。スリッパで叩かれたり、背中を小突かれたりするのを見た児童もいるんです」 こうした教員間のいじめの特徴を、『日教組』の著書がある教育評論家の森口朗氏は、「小中高大を出てそのまま学校に勤め、学校以外の社会を知らず、子どもがやるような低レベルのいじめしかできない傾向にある」と判じ、こう説く。「校長と教頭以外、実質的に全員ヒラで、役職や肩書がないため、その分、人間関係の序列で優位に立とうとする傾向がある。結果、今回の40代の女性教員のようなガキ大将的な存在が上に立ってしまうのです」』、「小中高大を出てそのまま学校に勤め、学校以外の社会を知らず、子どもがやるような低レベルのいじめしかできない傾向にある」、「実質的に全員ヒラで、役職や肩書がないため、その分、人間関係の序列で優位に立とうとする傾向がある。結果、今回の40代の女性教員のようなガキ大将的な存在が上に立ってしまうのです」、この事件の本質を的確に指摘しているようだ。
・『罰金刑で済んでしまうと  それにしても、「様々な労働問題を見てきましたが、ここまで幼稚な暴力事案はあまり記憶にありません」と、パワハラ問題に詳しい田中康晃弁護士も呆れる今回の虐待だが、想像するだに恐ろしいのは、4人の加害教員が再び教壇に立つことである。『先生のための学校トラブル相談所』の著書がある筑波大学の星野豊准教授が不安気に語る。 「教員免許は懲戒免職になるか、懲役刑や禁錮刑に処されれば失効します。ただ、懲戒免職で失効した場合は、3年たてば再取得できるので、再び教師になることも可能です。一方、禁錮刑以上になると再取得できませんが、本人が申告しなければ刑罰履歴の調査は難しいので、他の都道府県が誤って免許を授与してしまうことはありえます」 こんな例もあった。埼玉県の市立小学校教諭が13年、女児の裸の写真をパソコンで送って逮捕され、停職6カ月の懲戒処分を受けて依願退職した。ところが改名し、教員歴や処分歴を隠して15年、愛知県知立市で臨時講師として採用されると、校内のトイレなどで女児5人にわいせつな行為を働いたのだ。 そもそもこの例も、児童ポルノに手を染めた教師が停職で済んでいることに驚くが、先の田中弁護士は、「一般企業が、不祥事が会社の社会的信用に与える影響に敏感になったのにくらべると、公務員はその点への緩さが多少残っているので、今回も減給や停職にとどまる可能性はあります」と言って、続ける。 「今回のように大きな社会問題になると、被害の証拠があれば警察も動かざるをえないでしょう。動画もあり、精神的な病も傷害の被害に含まれるので、傷害罪等の罪自体は問えるでしょう。しかし、大きなケガを負ったのでなければ、どのくらいで職場復帰できるかで量刑は変わり、比較的早期に復帰すれば罰金刑で済んでしまうかもしれません。被害者と示談が成立すれば不起訴もありえます」』、「罰金刑」、「不起訴」などで「教員免許が失効」せず、「懲戒免職で失効した場合は、3年たてば再取得できるので、再び教師になることも可能」、こんな人物が教師に復帰するのは問題なしとしないが、それ以上に問題なのは神戸市教育委員会の「神戸方式」や教育委員会・学校の閉鎖的体質だ。教師の問題行為を隠蔽する体質の是正こそが求められるのではなかろうか。
タグ:日刊スポーツ ハラスメント 佐野サービスエリア ダイヤモンド・オンライン デイリー新潮 文春オンライン 戸田一法 (その12)(【佐野SAスト終結!】39日目の逆転劇で全従業員が復帰 社長は退陣 ”解雇部長”は……、「教員間のいじめ」刑事事件への発展が濃厚 原因は「神戸方式」人事か、神戸教員いじめ・主犯格女教師に「元校長の愛人説」と「教壇復帰の可能性」) 「【佐野SAスト終結!】39日目の逆転劇で全従業員が復帰、社長は退陣、”解雇部長”は……」 ケイセイ・フーズ 不当解雇された加藤正樹元総務部長(45)と、ストライキを続けていた従業員ら約60名が、職場復帰 長期化の様相から一転 岸敏夫社長が加藤氏を解雇するなど人事を巡る対立が生まれ、8月14日未明から9割にあたる従業員がストライキを敢行 関連会社の従業員や日雇いスタッフを集めて、SAの各部門に配置し、8月30日に営業を再開。ストライキは長期化の様相を呈していた 目を潤ませ、握手し合う従業員たち 都内でデモも計画されていた ストライキ中の従業員に給与を支払うために、加藤氏は自費で準備した1500万円を組合に供託していたが、その資金が底を尽きてしまうのが9月20日あたりだった 佐野SAの現場を取り仕切っていたのは、預託オーナー商法で社会問題となった企業の関係業者 ネクセリア東日本とケイセイ・フーズが取り交わした契約にある、『再委託禁止』という項目についてです。『今回の募集はこの項目に抵触する』と、私は訴えてきました 経営側から『岸社長ら現経営陣が退陣し、新たな社長となる。9月22日に戻ってきてほしい』という連絡 ストライキ開始後、佐野SAの現場を取り仕切っていたのは、預託オーナー商法で社会問題となった企業の関係業者 ストライキ中の従業員に給与を支払うために、加藤氏は自費で準備した1500万円を組合に供託 ケイセイ・フーズ側は、全従業員の復帰に、ある条件を提示していた。それは、加藤氏の辞職である 「会社側が仲介人を通じて22日に現場に戻らないかと打診。本人も総務部長への復職を希望」 「「教員間のいじめ」刑事事件への発展が濃厚、原因は「神戸方式」人事か・・・「神戸方式」という校長の意向が強く人事に反映されるシステム」 市立東須磨小学校で教員4人が後輩に暴力をふるい、嫌がらせをしていたとされる問題 市教育委員会は加害側の4人について懲戒処分を検討 県警も被害届を受理する方向 教員同士でいじめ? 先輩4人(以下、加害教員)は30代の男性3人と40代の女性1人 学校側による隠蔽 加害教員4人はいずれも学校内のリーダー的存在で、うち2人はいじめ防止の生活指導担当 加害教員は実質的な「謹慎」で出勤していないが、市教委の規定には自宅謹慎などの処分は存在しないため、行動は自由で給与も支給される「有給休暇」 神戸方式という闇 児童に「反抗しまくって潰したれ」と学級崩壊を指示していたと被害教員が訴えていた 同僚が仁王校長に報告。尻を叩かれて腫れができたことを認識していたが、市教委にはハラスメントの詳細を伝えていなかった 神戸方式とは、教員の希望に基づき、現行の配属先と異動先の校長が調整して素案を作成し、市教委が追認する慣行で、1960年代に始まったとされる 優秀な人材や、自分の言うことを聞く教員を確保しようとする校長の意向が反映され人事の公正さが失われ、配属された教員が校長の威光を盾に発言力を持つ弊害 理解できないいじめの構図 まだまだ明らかにされていない事実があるように思う。その事実が明らかにされるのは、ぬるい市教委の調査・報告ではなく、法廷の場かもしれない 「神戸教員いじめ・主犯格女教師に「元校長の愛人説」と「教壇復帰の可能性」」 女性教師がボスで、3人の男性教員は、彼女に嫌われたくない一心だった 独身の彼女は、愛人だと陰口を叩かれるほど芝本力前校長に気に入られ、虎の威を借りていました 一番遊んでくれる先生でしたけど、怒るといきなり怖くなりました 子煩悩の一面 小中高大を出てそのまま学校に勤め、学校以外の社会を知らず、子どもがやるような低レベルのいじめしかできない傾向にある 実質的に全員ヒラで、役職や肩書がないため、その分、人間関係の序列で優位に立とうとする傾向がある。結果、今回の40代の女性教員のようなガキ大将的な存在が上に立ってしまうのです 罰金刑で済んでしまうと 懲戒免職で失効した場合は、3年たてば再取得できるので、再び教師になることも可能 問題なのは神戸市教育委員会の「神戸方式」や教育委員会・学校の閉鎖的体質だ。教師の問題行為を隠蔽する体質の是正こそが求められる
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働き方改革(その23)(育休世代 vs.専業主婦前提社会 対談3題:不都合だらけ「強制転勤」はこうして撲滅できる どんどん声を上げていくしかない、「望まない全国転勤」を廃止した会社の秘密 会社側は"失うものの大きさ"を考えるべきだ、夫たちが「育休よりも時短」を取るべき深い理由 育休を3回取ったサイボウズ社長が語る) [経済政策]

働き方改革については、9月21日に取上げた。今日は、(その23)(育休世代 vs.専業主婦前提社会 対談3題:不都合だらけ「強制転勤」はこうして撲滅できる どんどん声を上げていくしかない、「望まない全国転勤」を廃止した会社の秘密 会社側は"失うものの大きさ"を考えるべきだ、夫たちが「育休よりも時短」を取るべき深い理由 育休を3回取ったサイボウズ社長が語る)である。

先ずは、9月18日付け東洋経済オンラインが掲載した フリーランスライター・編集者の横山 由希路氏の司会による対談「不都合だらけ「強制転勤」はこうして撲滅できる どんどん声を上げていくしかない」を紹介しよう(Qは司会者の質問)、略歴の紹介は省略。
https://toyokeizai.net/articles/-/302382
・『日本企業特有の「メンバーシップ雇用」から起こる無制限な転勤、家族の両立困難。いったいどう解決すればいいのか。そもそも「男性育休」はなぜ”炎上”するのか。 ジャーナリストで『なぜ共働きも専業もしんどいのか主婦がいないと回らない構造』の著者である中野円佳さん、自身も育休を3回取得したサイボウズ社長の青野慶久さん、元ギャップジャパン人事責任者で現在はFunleash CEO兼代表取締役として企業の人事問題に数多く取り組む志水静香さんが、令和にふさわしいハッピーになれる働き方について3回にわたって語った』、いずれも第一人者による対談とは、興味深そうだ。
・『自ら「駐在妻」になって見えた転勤問題  Q:中野さんは旦那さんの転勤に家族全員が付いていき、シンガポールで「駐在員の妻」の立場になった経験があります。本書タイトルにもある「主婦がいないと回らない構造」について簡単に教えてください。 中野円佳(以下、中野):私は新聞社での勤務後、会社員や研究をしつつジャーナリストとして発信を続けていたところ、2年前に夫の転勤先であるシンガポールに家族で付いていくことになりました。そこで専業主婦の期間を私自身、初めて経験し、国内外含め、転勤であちこち移動されているご家族と触れ合う機会が増えました。このことが、専業主婦を前提とした仕組みの問題について書くきっかけになりました。 転勤問題や男性が育休を取りにくい現状は、日本社会が専業主婦にいろいろと任せてしまったことから発生しているものだと思います。日本の男性に多い長時間労働や終身雇用といった「無限定な働き方」は、家庭で女性が支えているから可能になっている。また子どもの教育に関しても、女性によって支えられる構図が前提となっています。 Q:実際に海外転勤を命じられたご家族で、どんな困り感が生じているか教えてもらえますか。 中野:労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によると、国内転勤で赴任1週間前、海外でも赴任1カ月前の辞令がザラにありました。転勤辞令が下るのは、本当に直前だということです。 海外赴任ですと、単身赴任、家族帯同、家族が半年ほど遅れて行くなどのパターンがありますが、いずれも夫婦共働きですと家族に大きなコンフリクトが生じます。では単身赴任でいいじゃないかという意見もあると思いますが、例えば妻と子が日本に残った場合、完全に育児をワンオペで回さなければならない。それまで夫が朝は保育園に連れていき、妻が保育園からピックアップするなど何とか2人でやり繰りしていたのが、急に行き詰ってしまう。 家族帯同となった場合は、付いていく側が現在の会社を辞めなくてはいけなかったり、辞めて現地で仕事をしようにも、とくに海外はビザの問題も絡むため「夫の会社ブロック」があったりして、なかなか働くこともできない。付いていく側のキャリアが完全にブランクになる問題が頻発しています』、「日本の男性に多い長時間労働や終身雇用といった「無限定な働き方」は、家庭で女性が支えているから可能になっている。また子どもの教育に関しても、女性によって支えられる構図が前提となっています」、その通りだ。
・『帯同先でのリモートワークを認めるケースも増えてきた  Q:今の話ですと、基本的に男性の転勤が前提ですが、逆に女性が転勤するという事例もありますね。 中野:今までは男性が転勤すると、配偶者が同行せずに単身赴任するか、配偶者が同行するために退職するか、もともと無職かのパターンが多かった。ところが最近は、配偶者は同行せずとも子どもが帯同するケースもあります。パパを日本に置いて、ママが子どもを連れて海外に出る、あるいは事例は少ないですが逆パターンもありますね。 会社の制度も変わりつつあり、配偶者帯同休暇や再雇用制度を設ける会社や、帯同先でのリモートワークを認める場合もありますね。 青野慶久(以下、青野):リモートワークの話、サイボウズの中ではホットトピックですよ。サイボウズは働くお母さんが多いのですが、よその会社にお勤めの旦那さんの強制転勤が多くて、毎年、何人も相談があるんです。 中には休職するケースもありますが、サイボウズでここのところはやっているのがリモートワーク。最近の事例ですと、イタリアのナポリで在宅勤務を始めた社員がいます。「今、ナポリのカフェで書いています」なんて報告を書いてきて。東京勤務の社員がそれを見て「いいな?」って。 中野・志水:いいですね(笑)。 青野:むしろ要望がある時こそ、会社はチャンスです。イタリアの時間帯で働くということは、日本の時間帯でできないことができるようになるわけです。われわれはクラウドサービスを提供する会社なので、24時間体制を作る方が会社にとってもメリットがあります。 もう1つは給料をどうするかという問題です。社員の人生の変化により、働ける時間や提出できる成果物が変わったり、職種転換の必要性が出たりしたら、会社が給料を柔軟に見直すことです。あらかじめ給料を柔軟に変える制度にしておけば、リモートワークで働いた分の報酬を渡せばいいだけなので、双方ハッピーですよね。でも給料も年功序列で固定的な従来の会社だと、この働き方は難しくなってしまいますよね』、「パパを日本に置いて、ママが子どもを連れて海外に出る」、こんなケースがあるとは驚かされたが、ママが1人で海外で子どもの面倒をみながら、勤務するのは大変なハードワークだろう。
・『会社の内側から声をあげる必要性  Q:今年起きた強制転勤の大きなトピックといえば、6月のカネカ問題でした。皆さんはカネカ問題をどう捉えましたか? 青野:カネカの前に1つ面白い話があって。3月に放映されたNHKの『クローズアップ現代+』に、私がゲストで呼ばれたんです。タイトルが「“転勤”が廃止される!? 働き方の新潮流」で、テーマが強制転勤。私はできるだけ番組の都合の悪い場面で、「NHKは強制転勤をやっているじゃないですか」と問題提起しようと思っていたのです。 いざ番組が始まると、メインキャスターの武田真一アナがいきなりフリップを出してきて、「私は熊本出身で、熊本で妻と働いていましたが、私が松山放送局へ異動になると、妻は仕事を辞めることになりました」と、自分の強制転勤の歴史を語りだした。横で聞いていて、私は涙が出そうで……。 おそらく意図としては、内部、つまりNHKの経営に対して問題提起したいのが半分、あとはNHKという団体の都合の悪いことを番組で言える雰囲気になってきたことが半分だったのではと思います。NHKの番組でここまでできるって、ちょっとすごいですよね。ここまで来れば、社会がもう一押し。もっと押していけばいいと思うんですよ。 奥さんがツイッターで転勤問題を告発して話題になったカネカ(注)の元社員の方も勇気が要りましたよね。これからは強制転勤で納得いかなければ、どんどん発信すればいいですよ。もしくは辞めてしまう。強制転勤に対する一人ひとりの動きがあれば、いずれ制度としてなくなるのではという手応えを個人的に感じます』、(注)6月にカネカが、夫が育休から復帰後2日で、関西への転勤辞令が出た。引っ越したばかりで子どもは来月入園。何もかもありえない。不当すぎるーー」との妻の痛切な叫びが、SNSで炎上し議論を呼んだ。
・『中野:納得できないことがあったら会社を辞める。しかもSNSで発信されて、誰も文句が言えないというパターンが今回出てきた。企業側も強制転勤を続けていると、優秀な人材が辞めていなくなる可能性がある。カネカはいい事例でしたね。 志水静香:私は長らく人事の仕事をしていますが、人事部をもっと頼っていいと思います。残念ながら人事の人たちは普段、社員の方々と直接話す機会が少ないんです。人事のほうから全社員に接触するにも限界があるので、何か問題があれば、社員の皆さんが懸念事項を発信して、人事とやり取りを行うといいと思います。 皆が皆、青野さんのような理解のある経営者ではないと思いますが、「社員が財産」と考える経営者もたくさんいます。だから経営者たちに、「強制転勤がいかに社員にとって不都合なことなのか」「強制転勤は自分が生き生きと働くために問題がある」と社員が言っていかないと。そういう一人ひとりの社員の動きが、会社、そして社会を動かすと思います。 中野:声を上げる方が出てきたことは、どんな事例であれいいと思います。会社側も古い体質を維持しながらも、代替案を提示するケースなども出てきていますね。 最近取材した女性は海外にお住まいの方でした。旦那さんはその方とは違う会社に勤められていて、夫の海外転勤にあたって帯同したのですが、会社は辞めずに日本からの仕事をリモートで続けています。日本への出張が多く大変そうではありましたが、そういった事例もあります。 大手企業も少しずつ変わり始めています。ある会社では、今まで夫婦を同じ県に配属しなかったそうですが、社内婚の場合は同県配属をする。また配偶者が他社の場合は奥さんの転勤に合わせて、旦那さんが自分の会社に交渉し、奥さんの勤務地と同じ県のグループ会社や関連会社に出向するパターンも出てきています。 でもこういった先進的な事例を企業の方に直接伺うと、外に話を出したがらないんですね。理由は社内で「彼だけ配慮されていてズルい」となるから』、企業が隠すのも分からないでもない。
・『強制転勤を会社からの期待と誤解している層がいる  青野:そういう話こそ、外に対して言ったほうがいいですよね。 転勤でもう1つ面白い話があって、私はもともと1994年にパナソニックに入社して働いていたんですね。私もかれこれ25年ぐらい働いていますから、同期が管理職になってきていまして。多くの人が、強制転勤を経験しているわけです。 同期会などでたまに集まると、「俺、来月から中国転勤になっちゃってさ」と言う人間がいる。でも顔を見ると、微妙にうれしそうなんです。私たち団塊ジュニアより上の古い世代は、強制転勤と言われると、自分は会社に何か期待されているというような大きな誤解をしていたりする。だから強制転勤がなくならない。 強制転勤自体をうれしがる層が、自分より下の人間も同じように喜んでいるんだろうと錯覚している。いやいや、そんなことはないですよ、と。今は昔と家庭環境も事情も変わってきているのだから、強制転勤の辞令を出すと困る人たちもたくさんいますよと。こういうことは、やはりどんどん表で言っていかないといけないと思いますね(次回につづく)』、。「団塊ジュニアより上の古い世代は、強制転勤と言われると、自分は会社に何か期待されているというような大きな誤解をしていたりする。だから強制転勤がなくならない」、大いにありそうな話だ。やがて、「期待されてい」なかったことが分かり、それが広がってゆくには時間がかかりそうだ。

次に、この続き、9月21日付け東洋経済オンライン「「望まない全国転勤」を廃止した会社の秘密 会社側は"失うものの大きさ"を考えるべきだ」を紹介しよう(Qは司会者の質問)。
https://toyokeizai.net/articles/-/302384
・『・・・サイボウズとギャップジャパンの先進的な取り組み  Q:青野さんにお伺いします。前回の鼎談で、イタリアのナポリでリモートワークをされているサイボウズ社員の一例が紹介されました。サイボウズは、転勤についてどういう取り組みをされていますか? 青野慶久(以下、青野):サイボウズも昔は転勤をお願いして、断る権利をメンバーが持っていました。上司が起案して、社員本人が承認する形です。しかしそれでは生ぬるいということで、「働く場所をメンバーが自分で決めるルール」にしました。社員一人ひとりに主体性を持たせるために、働きたい場所を本人が自ら提案する。受け入れ部署がOKをしたら働ける。現在はそういう形に落ち着きました。 おかげで転勤手当がなくなりました。手当を目当てに、転勤を受け入れる社員もいるかもしれないので。メンバーが自立的に働く場所を選ぶと、今までの報酬の仕組みも変わってくると思います。 中野円佳(以下、中野):その形で会社を動かすと、埋まらないポストも出てくると思います。埋まらないポストはどうされているんですか? 青野:例えば、サイボウズは仙台に営業所を作りたかったんですね。営業部長から市場性も上がっているとの報告があったので、「仙台営業所を作るので、行ってくれませんか?」とお願いすると、「嫌です」と。結局半年以上、仙台営業所が立ち上がりませんでした。 つまり「埋まらないポストは埋めない」のです。埋まらないということは、今いるメンバーが行きたがっていないということですから。 無理に埋めたら、誰かが不幸になる。強制転勤をお願いすると、せっかくの人材が辞めてしまうかもしれない。だから「仙台、誰か行ってくれませんか?待っていますよ」と言って、手が挙がるまで待つ。要は人ベースで、配属を決めていくということです』、サイボウズは例外中の例外だろう。
・『変革時に問われるのは「理念」と「姿勢」  Q:志水さんはギャップジャパンで人事責任者をされていた際に、「望まない転勤の廃止」を実行されていました。その時の話を教えてください。 志水静香(以下、志水):ギャップジャパンは、2008年に「望まない転勤の廃止」制度を取り入れました。かつては、ギャップでも2週間前に福岡転勤の辞令を出すなんてことが、ザラにあったわけです。ところが、夫(社員)の転勤に付いていった専業主婦の奥様に体調を崩す、うつなどのケースが出てきていた。このことをきっかけに、「望まない転勤の廃止」制度ができたのです。 ギャップには「オープン・ドア・ポリシー」という制度があります。社員が上司に懸念を伝えて納得いかなかったら、その上の上司に伝える。さらに納得いかない場合は人事に伝えるんですね。私たち人事のところに、転勤について社員の相談案件が上がってきたのもきっかけの1つです。 それで会社が転勤費用をどれくらい払っているのか調べたら、当時ギャップは日本全国に160店舗ほどありましたので、転勤費用はかなり大きな金額でした。経営者側に強制転勤のメリット・デメリットを挙げて説明をしましたが、当初は「社員のわがままではないか」という反発も数多くありました。でも物事を変える際に問われるのは、やはり「企業の理念」であり、「社員にどのように向き合うかという企業の姿勢」なんですね。 中野:ギャップでも「わがままでないか」という反応があったのですね。日本企業は同期を横並びで競争させるようなところがあり、配慮についても社内での公平感を重視しますよね。何のための配属なのか、費用をかけてまで投資したいことなのかという観念があまりない。 志水:人材獲得競争が激しい米国の多くの企業には、「社員が辞めないように会社は努力をしなければならない」という基本原則があります。ギャップにも当然原則があり、「強制転勤をすると、退職率がもっと上がる可能性があります。これだけ多くの社員が不満を言っていますよ」と経営者側にきちんと説明をしていきました。 さらに定量的、定性的な事実を集めるために社員の方と直接話ができる場を設ける。廃止によって今まで強制転勤に使っていたお金もほかのことに使え、社員の満足度も上がるなど、実はいいこと尽くめだったんですね。 ご家族の方が病気になる、介護や小さいお子さんを抱える不安があると、仕事に集中するのが難しくなります。いかに働くうえでの障害を取り除いて、会社で活躍してもらうかという風土がギャップにはありました。 Q:志水さんは2018年に独立をされてから、制度を変えたい企業からのニーズはありましたか? 志水:はい、多くの企業の方からご依頼をいただいています。日本企業の多くは新卒採用が中心で、定年まで働くことが前提である日本型雇用管理システムを取っているため、採用した後に社員が生き生きと働くというところまで、これまではあまり目を配れていなかったんです。 制度や仕組みを変えたいなどの問題意識は、多くの企業が持っています。でもそのためには、一人ひとりの社員の個にフォーカスした仕組み、運用に人事が変えていかなければと私は思っています。中には、すでに社内で変化が出てきた先進的な会社さんもありますね。働き方にパラダイムシフトが起きている時代です。今、いちばん変わるべきは人事なんですよね』、サイボウズ、ギャップジャパンだけでなく、「すでに社内で変化が出てきた先進的な会社さんもありますね」、というのは心強い話だ。
・『青野さん、志水さんが実際に育休を取得して感じたこと  Q:青野さんは育休を3回取られていますが、社内の反応はどうでしたか?また困難に感じたことがありましたら、教えてください。 青野:育休を取るきっかけは、今も文京区長をされている成澤廣修さんでした。2010年、成澤さんは全国の男性首長として初めて育休を取り、ものすごく話題になったんですね。当時、サイボウズは文京区にありましたから、成澤さんに「青野さんも育休を取ってみたらどうですか?」と言われ、私も同じ年に取得してみました。 1人目が生まれてから9年が経ちますが、男性の育休取得はほとんど増えていませんよね。当時1.38%だった男性育休取得率が、今年で6.16%。50%を超えるには、あと50年以上かかるのか……みたいな(笑)。 実はサイボウズの中でも私が取った後、メンバーはあまり男性育休を取りませんでした。強制的に取らせるようなことをしたくないので様子を見ていたら、ここ4?5年で人数が増え、男性育休を取得するのが当たり前になってきました。だから一線を超える風土が社内にできるまでは、じっと我慢かもしれません。 日本人は右に倣えで、男性育休を取らないほうがマイノリティーになった瞬間、皆さん一斉に取りますから。強制転勤と同じように、こちらももう一押し、頑張る必要がありますね。 志水:青野さんがおっしゃったように、組織の中で大体10%を突破すると、何事もワッと加速していくんですよ。だから何か新しいことをやろうとする方が社内で増えてきた時に、後押しする場を人事が作ったり、実際に育休を取られた青野さんのような方が「育休はいいものだよ」と話す機会を増やしたりしていく。そうすれば、男性育休に限らず新しい働き方ももっと加速すると思います。 でも、男性も女性も不安は不安なんですよね。職場から少し離れるということに関しては……』、9年前に「1.38%だった男性育休取得率が、今年で6.16%」、「組織の中で大体10%を突破すると、何事もワッと加速していく」、果たして「10%を突破すると、何事もワッと加速していく」のだろうか。
・『真のダイバーシティーへのまず一歩  青野:私は社長でも不安でしたね。2週間、自分が育休を取って戻ってきた時に、社長の座がなくなっていたらどうしよう……と。でもこれは、昭和の男性の思考なんですよ。自分でも取得中に「なぜそんなことを考えているんだ」と思ってしまいました。 志水:これは男性も女性も共通して感じることだと思います。私は出産から3カ月後に会社に戻りましたが、やはり青野さんと同じで「自分のポジションがなくなったら、どうしよう」と怖かったですね。でも、いざ産前休暇に入って会社に連絡してみると、同僚に「来なくて大丈夫だから」「休暇中に電話会議も入らなくていいですから」と言われて、呆気にとられて。 日本は同調圧力が強いですよね。何か人と違う言動をすると、反発が強い。だから実際に男性も女性も育休を取られた方が、失敗も成功もオープンに話せる風土を作ることが大事だと思います。人と違うことをする、人と違うことを言うのが認められる社会。ダイバーシティーは、まずはそこからかなと思います。(次回につづく)』、「実際に男性も女性も育休を取られた方が、失敗も成功もオープンに話せる風土を作ることが大事だと思います」、その通りだろう。

第三に、この続き、9月24日付け東洋経済オンライン「夫たちが「育休よりも時短」を取るべき深い理由 育休を3回取ったサイボウズ社長が語る」を紹介しよう(Qは司会者の質問)。
https://toyokeizai.net/articles/-/302388
・『育休取得よりも会社にも家庭にも評判がいい?  Q:中野さんは現在シンガポールにお住まいです。現地の育児の分担状況について教えてください。 中野円佳(以下、中野):今、娘はローカルの幼稚園に、息子はインターナショナルスクールに通っています。インターにはシンガポール人は通常入れないのですが、多国籍なメンバーが集まっています。お父さんが子どもの行事に来るのは当たり前で、行事には夫婦共にそろって来ていることも多いです。 翻って日本の状況を考えると、日本は仕事の領域に私情を持ち込まない感覚があり、しかもそれが男性に強く働いている。だから男性育休取得以前に、平日に会社を休んで子どもの学校に行ったり、熱が出た子どもを病院に連れて行けたりできる環境が必要だと感じます。 Q:志水さん、外資系の企業での男性育休の取得状況はいかがですか? 志水静香(以下、志水):外資系企業でも男性育休は少しずつ増えていますが、それほど多くはありませんよね。外資系といっても、ビジネスの相手は日本社会ですから。外資系か日本企業かというよりも、結局は個人の選択になってくると思います。 私が勤めていた当時、日本企業の女性管理職比率は3割でしたが、ギャップの女性管理職比率はグローバルで7割くらいでした。女性の上司は夫婦共働きで、ご主人が3年ほど仕事をスローダウンさせて、お子さんの面倒を見ていました。そのほかは、男性も育児休暇を取って子どもを見るケースもありましたね。だから夫婦で話し合って働き方を決めるということが、社の中でごく普通に行われていました。 中野:どちらかが仕事をスローダウンするなど大きく働き方を変えなくても、夫婦間で期間を決めてできることもありますよね。例えば夏休みになると、お母さんは子どもが家にいることが多いので、手間がかかります。その時期だけでも、お父さんも早めに帰れるようにするなどしていけば、夫婦が両輪となって家庭のサイクルを回していけると思うんです。 でも妻がしんどい時期も女性だけに負担が偏り続けていると、夫も長時間労働を続けますから、夫婦共に辛くなってしまうと思いますね』、「夏休みになると、お母さんは子どもが家にいることが多いので、手間がかかります。その時期だけでも、お父さんも早めに帰れるようにするなどしていけば、夫婦が両輪となって家庭のサイクルを回していけると思うんです」、確かにその通りだろう。
・『いちばん評判がよかった短時間勤務  青野慶久(以下、青野):今の中野さんの話で思い出したんですけど、私は育休を3回取ったと言っていますが、実は3回目は育休じゃないんですよ。 3人目の子どものときは、実は短時間勤務をしたんです。上の子2人が保育園に通っていたので、妻から「朝、子どもを送って、帰りに迎えに行って」と言われまして。要は会社を休まなくていいと。その代わり「16時に退社して、16時半には保育園にお迎えに行くのを半年間やって」と。 結果的に、この短時間勤務は妻にいちばん評判がよかったのです。子どもが万が一病気になったとしても、勤務外の時間で病院に連れていけるので、毎日家庭の戦力なれる。また中野さんがおっしゃったような平日に入ってくる子どもの行事にも行けるわけです。 私の場合は、1人目のときに取った2週間の育休でも心理的抵抗があったんです。でも短時間勤務なら会社とのつながりも切れないので自分自身安心できますし、何より会社の人たちも、仕事で何かあった時に社長がまったく会社に出てこないよりは楽ですよね。しかも家庭での評判もいい。 短時間勤務を一度経験しておくと、子どもの突発的な出来事に焦ることなく、短時間で会社を抜けられるようになる。だから男性育休を取得するよりも、実は男性に短時間勤務を試してもらうほうが面白いのではないかと思います』、「男性育休を取得するよりも、実は男性に短時間勤務を試してもらうほうが面白いのではないか」、傾聴に値する考え方だ。
・『「企業対社員」「企業対個人」の関係  Q:公開鼎談のため質問が届いていますので、ご紹介します。「これからの時代は、会社と個人が対等な立場でリソースを提供していかなければいけないと感じています。企業コンサルティングをしていると、会社と社員のパワーバランスでいうと、明らかに社員のパワーの大きいケースがいくつも見受けられました。対等な関係にしていくにはどうしたらいいでしょうか。アドバイスをお願いします」。お三方で、お答えいただけますでしょうか? 青野:・・・ご質問のパワーバランスの話は、経営者の力が下がっているということですよね?だとすると、経営者は社員に働きかけたほうがいいですよね。鼎談の途中で出てきた「すみません。誰か仙台に行ってくれませんか?」というように。私はある意味、これが自然な形だと思っています。 「私の野望のために力を貸してもらえませんか?」とお願いして、「仕方ないか(笑)」と集まってくれたのが、今のサイボウズです。しょせん建物の中にあるのは、人と人との関係だけ。だから一人ひとりの顔を見ろということです。社員が何を望んでいるのか?誰に何をお願いしたいのか?その部分を見直すのがいいと思います。 中野:ご質問は「会社と社員のパワーバランスでいうと、社員のほうが勝っている」という話でしたが、実際にはまだまだ会社の力が大きいパターンが多いように思います。 社員の話から個人の話に少し移りますが、実はインターネットを通じて単発の仕事を受注する「ギグエコノミー」という新しい働き方があります。個人対企業の取引を対等にする事例も最近は出てきています。 社員が会社に所属して仕事をもらうだけではない、さまざまな働き方が出てきていると思うんです。でも雇用されていないフリーランスの方は、買いたたかれやすいなどの問題もありますよね。いわゆる労働組合がないフリーランスの人たちが、対企業でどう強く出ていけるのか。むしろ会社に所属する人だけでなく、フリーランスの働き方も整備しなくてはいけない時期にきていると思います』、「会社に所属する人だけでなく、フリーランスの働き方も整備しなくてはいけない時期にきていると思います」、これには完全に同意できる。
・『多様化した労働力をいかに戦力化していくかがカギ  志水:中野さんが今おっしゃったことは、アメリカでいちばんのホットトピックで、実は面白い話があるんですよ。ある大企業のエンジニアが半年かけても解決できなかった問題を、フリーランスの方にお願いしたら3日で解決できたと言うんです。 今までの大企業はパワーを持っていた。でも少しずつ変わってきています。フリーランスなど外部の働き手とどのように、会社のパートナーとして協業するのか。そのことを模索する会社が多くなってきているんですね。先進的な企業は、もうフリーランスなどの働き方の整備に入っていると思います。 今の日本は働き方改革を行っていますが、今後は働き手がいないなど、さまざまな問題が起こってきます。いかに外部のプロフェッショナルや多様化した労働力を戦力化していくかがカギです。すると、おのずと雇用形態や契約も変わってきます。 先ほど青野さんもおっしゃっていましたが、人と人との関係性をどうしたら、互いに気持ちよくパフォーマンスを発揮できるか。日本の人事制度はアメリカより10年遅れているといわれますが、社員に限らず、外部のプロフェッショナルやさまざまな雇用形態の方たちと一緒に共生し、協同で働く形を模索する必要があると思います』、「社員に限らず、外部のプロフェッショナルやさまざまな雇用形態の方たちと一緒に共生し、協同で働く形を模索する必要がある」、確かに正論だが、硬直的な日本企業が実践するには、課題も多そうだ。
タグ:東洋経済オンライン 働き方改革 ギグエコノミー (その23)(育休世代 vs.専業主婦前提社会 対談3題:不都合だらけ「強制転勤」はこうして撲滅できる どんどん声を上げていくしかない、「望まない全国転勤」を廃止した会社の秘密 会社側は"失うものの大きさ"を考えるべきだ、夫たちが「育休よりも時短」を取るべき深い理由 育休を3回取ったサイボウズ社長が語る) 横山 由希路 「不都合だらけ「強制転勤」はこうして撲滅できる どんどん声を上げていくしかない」 「メンバーシップ雇用」 無制限な転勤、家族の両立困難 『なぜ共働きも専業もしんどいのか主婦がいないと回らない構造』 中野円佳 サイボウズ社長の青野慶久 Funleash CEO兼代表取締役 志水静香 ハッピーになれる働き方 自ら「駐在妻」になって見えた転勤問題 辞めて現地で仕事をしようにも、とくに海外はビザの問題も絡むため「夫の会社ブロック」があったりして、なかなか働くこともできない 日本の男性に多い長時間労働や終身雇用といった「無限定な働き方」は、家庭で女性が支えているから可能になっている。また子どもの教育に関しても、女性によって支えられる構図が前提となっています 帯同先でのリモートワークを認めるケースも増えてきた パパを日本に置いて、ママが子どもを連れて海外に出る 会社の内側から声をあげる必要性 外に話を出したがらないんですね。理由は社内で「彼だけ配慮されていてズルい」となるから 団塊ジュニアより上の古い世代は、強制転勤と言われると、自分は会社に何か期待されているというような大きな誤解をしていたりする。だから強制転勤がなくならない 「「望まない全国転勤」を廃止した会社の秘密 会社側は"失うものの大きさ"を考えるべきだ」 サイボウズとギャップジャパンの先進的な取り組み 変革時に問われるのは「理念」と「姿勢」 青野さん、志水さんが実際に育休を取得して感じたこと 真のダイバーシティーへのまず一歩 「夫たちが「育休よりも時短」を取るべき深い理由 育休を3回取ったサイボウズ社長が語る」 夏休みになると、お母さんは子どもが家にいることが多いので、手間がかかります。その時期だけでも、お父さんも早めに帰れるようにするなどしていけば、夫婦が両輪となって家庭のサイクルを回していけると思うんです いちばん評判がよかった短時間勤務 「朝、子どもを送って、帰りに迎えに行って」 会社を休まなくていいと。その代わり「16時に退社して、16時半には保育園にお迎えに行くのを半年間やって」と この短時間勤務は妻にいちばん評判がよかった 男性育休を取得するよりも、実は男性に短時間勤務を試してもらうほうが面白いのではないか 「企業対社員」「企業対個人」の関係 会社に所属する人だけでなく、フリーランスの働き方も整備しなくてはいけない時期にきていると思います 多様化した労働力をいかに戦力化していくかがカギ 社員に限らず、外部のプロフェッショナルやさまざまな雇用形態の方たちと一緒に共生し、協同で働く形を模索する必要がある
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外国人労働者問題(その14)(中国人介護技能実習生が日本の介護現場の「救世主」にはならない理由、セクハラ 医療 介護…「移民」も直面する日本の諸問題 国士舘大学 社会学 日本の「移民」、ルポ 外国人労働者の子どもたち ~受け入れ拡大のかげで~) [社会]

外国人労働者問題については、7月5日に取上げた。今日は、(その14)(中国人介護技能実習生が日本の介護現場の「救世主」にはならない理由、セクハラ 医療 介護…「移民」も直面する日本の諸問題 国士舘大学 社会学 日本の「移民」、ルポ 外国人労働者の子どもたち ~受け入れ拡大のかげで~)である。

先ずは、日中福祉プランニング代表の王 青氏が9月18日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「中国人介護技能実習生が日本の介護現場の「救世主」にはならない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/214965
・『2017年から鳴り物入りで始まった介護職種の外国人技能実習制度。特に、中国人介護技能実習生への期待は大きく、「日本の介護現場の人手不足を救う救世主になる」ともいわれていた。しかし、現状はなかなか厳しい』、甘い期待は禁物のようだ。
・『現状は厳しい中国人介護技能実習生  「こんなはずではなかった」――最近、外国人技能実習制度で中国人介護技能実習生を受け入れた日本の介護施設から、このような声が漏れ伝わってくる。 筆者は当初から中国人介護技能実習生の導入について、「慎重に検討すべきだ」と主張していたが、どうやら筆者の懸念が現実となりつつあるようだ。 外国人の介護技能実習は、2017年11月1日の「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」の施行に合わせ、外国人技能実習制度の対象職種に介護職種が追加されて、始まった(それ以前にも、EPAによるインドネシア、フィリピン、ベトナムからの介護人材の受け入れはあり)。 その背景は、いうまでもなく、人手不足だ。日本のサービス業はどこも労働力不足に悩んでおり、特に介護業界は深刻だ。その理由は明白で、介護施設には人員配置の最低基準があり、その基準に達しなければ、そもそも事業が継続できない。 このため、外国人実習生の中でも、特に中国人介護技能実習生に対する期待は大きかった。 その理由は、(1)中国人は日本人と同じ東洋人であり、容姿だけでなく、文化的にも日本人の高齢者が親しみを感じやすい、(2)漢字が読めるため、日本語を覚えやすく、日本語能力試験も受かりやすい、(3)一人っ子政策があった中国では少子高齢化が急速に進んでおり、介護に関心を持つ人が多い――などだ。 加えて、外国人技能実習制度とは、日本が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術または知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とする制度である。 このため、介護事業者側は「少しでも人手がほしい」というのが本音だが、介護が社会問題化しつつある中国において「介護人材を育てる」という意義は大きい。国や介護事業者にとっても、中国人介護技能実習生の受け入れは“介護先進国の日本で学んでもらう”という「大義名分」が立ちやすい』、当初はウィン・ウィンで上手くいく皮算用だったが・・・。
・『中国の介護現場も深刻な人手不足  技能実習生を採用することにより、多くの介護事業者が頭を抱えるのは、「現場の負担やコストが予想以上に大きいこと」だ。 中国人介護技能実習生の仕事を指導し、生活をサポートするためには、それなりの人を配置する必要があり、手間暇がかかる。介護現場では日本人スタッフがつきっきりで、サポートしなくてはならないことが多く、現場のスタッフからは「ただでさえ忙しいのに、実習生の面倒まで見るのは大変」との声が出てきている。 なぜ、このような事態が生じているのか。 まずは、日本の介護事業者による圧倒的な認識不足だ。 あまり知られていないが、実は中国の介護現場も日本以上に深刻な人手不足である。現在、65歳以上の人口が2億人と日本の総人口を超えており、要介護の高齢者は4000万人いる。介護に対する需要は大きいが、肝心な介護の職に就こうとする人は極めて少ない。施設と在宅介護のニーズを合わせて、介護職は1000万人が不足すると指摘されている。 そもそも中国には「お手伝いさん文化」がある。昔、お手伝いさんは「下人」と呼ばれ、人の世話をする人、仕える人に対して昔からの偏見と差別は今もなお根強く残っている。都市部での大多数の若者はそっぽを向いているのが実情だ。また、本人がこの仕事をやりたいと思っても、親がさせないケースが多い。というのは、世間体があるからだ。 事実、今年、上海市政府が看護学校をはじめ、各専門学校に「介護専門の学部を設けること」を指示、各校では介護の学生募集を始めたが、まったく集まらない。ある上海の有力な看護学校の校長は「半年がたっているが、1人も応募しない」とため息をつく。 確かに最近は、中国の介護業界では若い人が着実に増えてきている。ただ、ほとんどの人が希望する職種は現場のヘルパーの仕事ではなく、企画や経営に関わりたいと思っている。その中には看護師やソーシャルワーカーの資格を持っている人が多い。つまり管理職として働きたいのだ。 詳しくは後述するが、残念ながら、せっかく日本の介護現場で実習しても、その多くの人は学歴や資格等の事情から中国に帰っても管理職として活躍できる機会は極めて少ないと予想される』、「中国の介護現場も日本以上に深刻な人手不足である」、「人の世話をする人、仕える人に対して昔からの偏見と差別は今もなお根強く残っている」、「ある上海の有力な看護学校の校長は「半年がたっているが、1人も応募しない」とため息をつく」、というのでは、わざわざ日本で介護をしようという奇特な人がどれだけいるか疑問だ。
・『中国の介護現場を支えるのは農村出身の出稼ぎ中年女性  実際に現在、中国の都会の介護現場で働いている9割は40~50代(いわゆる4050)の出稼ぎの女性だ。彼女たちは、これまで田舎で生活し、まともな学校教育を受けたことがない。中には小学校3年で中退した人もいて、字が読めない人も少なくない。しかも、介護業の離職率は20~30%と高い。 中国の介護事業者は人手を確保するのに必死だ。農村からの4050出稼ぎの女性に対して、宿舎と食事を無料で提供することに加えて、地域格差が大きいため、都会の生活習慣や文化も教えなければならない。 上海にある離職率が2%にとどまり、「上海で最も成功している」といわれる、ある民間の介護事業者は、「農村部出身のスタッフのモチベーションをいかにして高め、入居者の生活を支える役割を担ってもらうかは、まさに経営者にとって大きな課題」と語る。職業訓練や研修を常に行い、スタッフが必要な貯金をためるための勤務体系やプランを作成する。また、帰省できない介護スタッフのため、春節の間は地方から介護スタッフの家族を呼び寄せて、会社負担で上海観光に招待するなど、あの手この手でモチベーション維持に気を使っている。 政府も対策に余念がない。 上海市政府は2年前から「最も美しい介護スタッフコンテスト」を主催している。上海市全域約5万人の介護従事者から、技術部門とスピーチ部門の両方から優勝者50人を選出し、奨励金のほかテレビや新聞にも登場させて、社会に向けて、介護という仕事の重要性と崇高性を訴え、社会地位を上げる狙いである。大卒や一定の勤務年数となる人には、地域によっては政府から給料以外に年間2万元(約32万円)の奨励金を個人に支給している。 このように、中国では官民一体となって、「介護の担い手」確保のための手を緩めない。 そして、最近中国の介護職の給与も大幅に改善されていて、日中の賃金格差がだんだん縮小してきた。 このような状況下、中国を離れて、わざわざ日本に来るという介護スタッフはなかなかいない。 技能実習生として、日本に来る中国人介護スタッフの多くは、経済発展が遅れている内陸部出身の若者である。内陸部の高卒や専門学校の若者はせっかく卒業しても、就職先がなかなか見つからないのが現状だ。都市生活者に比べ、十分な教育やマナーを受けていない人も多い。 筆者の仕事上の知人が中国に赴き、介護技能実習生として来日する予定の生徒に対して研修を行っている。 「なぜ日本へ行きたいのですか?」との質問に、いつも漠然とした答えしか返ってこないという。その中で、「日本の化粧品、美容に興味があるから」「日本のアイドルが好き」「日本へ行けるから」などの答えもある。残念ながら「日本の介護を学びたい」という声が一度も聞かれなかったと話す。 中国人の優れた介護人材を探して、日本に連れてきて、育成するのは相当大変なことなのだ』、「「上海で最も成功している」といわれる、ある民間の介護事業者」は涙ぐましい努力をしているようだ。「最近中国の介護職の給与も大幅に改善されていて、日中の賃金格差がだんだん縮小してきた」、「介護技能実習生として来日する予定の生徒に対して研修を行っている。「なぜ日本へ行きたいのですか?」との質問に・・・日本の介護を学びたい」という声が一度も聞かれなかった」というのでは全く期待できない。
・『中国人の若者は介護ヘルパーには向かない?  筆者の個人的見解もあるが、私は中国人の若者はあまり介護ヘルパーには向かないように思う。 そもそも中国人の若者は日本人の同世代に比べて、ちょっと「自己中心」という印象がある。 中国は一人っ子政策が長く続いたため、両親や祖父母に非常にかわいがられて育つ。このため、どうしても「甘さ」がある。高齢者のお世話はもとより、日常の家事もあまり経験がないために、家事全般についての常識に乏しい。よって、40~50代の女性に比べると、どうしても手際が悪くなる。 正直なところ、大家族で生活する機会が多いフィリピン人の方がホスピタリティーやサービス精神の面でも介護ヘルパーとしての資質は優れていると思う。 中国出身である筆者がここまで厳しく言うのは、あまりにひどい例を見聞きしているためだ。 例えば、20代のスタッフを数人、採用したある介護施設で聞いた話だ。 一定の研修期間を経て、若いスタッフらが現場に入った。その日からトラブルが連続した。ひどかった例では、ある女性スタッフが男性の入居者の入浴介助の最中、急に「ぎゃー」と叫んで風呂場から逃げ出してしまった。入浴時、男性の体を見るに耐えず、まして手で体を洗ってあげるのが耐えられなかったという。 別のスタッフは、認知症の入居者を責めた。そして、責める際の動画をスマホで撮って友達に送った。加えて、入居者の身の回りの世話をしている最中、「苦しい!できない!」と泣きながら子どものように手足をバタバタするスタッフもいた。 こうしたトラブルが連続して以来、この施設の経営者は、精神的にすっかり参ってしまい、「やっぱり既婚の中年女性の方が生活感もあり、高齢者や子どもを世話した経験があるから、独身の若者よりも良い」との結論になってしまったようだ』、「中国人の若者はあまり介護ヘルパーには向かない」、「大家族で生活する機会が多いフィリピン人の方がホスピタリティーやサービス精神の面でも介護ヘルパーとしての資質は優れている」、確かにその通りなのだろう。
・『日本の介護事業者は覚悟と準備を持って受け入れるべし  日本に来る若者の介護スタッフでは、さすがにここまでひどい例は聞かない。しかし、1年前に若い中国人介護技能実習生を受け入れた日本の介護施設の関係者からは「1つのことに集中しすぎるあまり、周囲に目を配ることができない。何度注意されても変わらない」との不満が聞こえてくる。わずか1年で技能実習生と施設側には、すき間風が生じているようだ。 一方、中国人技能実習生にしてみたら、「こちらが一生懸命やっているのに、注意されたり、認めてもらえなかったりして、悔しい」と納得できない部分がある。 このような状態が増えれば、お互いにとって良くないのは明らかだ。 そもそも日本の介護事業者は介護スタッフが採用できなければ、中国人介護技能実習生を連れてくればいい……。このような安易な考えはやめた方がいい。お互いが不幸になるだけだ。 それでも、「日中の介護人材の交流のために、中国人介護技能実習生を受け入れたい」という真面目な介護事業者もいる。 受け入れるからには、どうしたら中国でも大活躍できる人材となりうるか。「『さすが、日本の介護現場で学んできた人』と中国で尊敬されるような技術力のある介護人材を育成する」という気概を持つべきだろう。 日本の介護事業者は、受け入れるのならば、よほどの覚悟と準備を持って受け入れるべきだ。 具体的にどんな育成や指導をすべきかという注意点などについては、いずれダイヤモンド・オンライン上でも執筆する機会を持ちたいと思う』、「日本の介護事業者は、受け入れるのならば、よほどの覚悟と準備を持って受け入れるべきだ」、その通りなのだろう。

次に、文筆家の川端 裕人氏が10月22日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「セクハラ、医療、介護…「移民」も直面する日本の諸問題 国士舘大学 社会学 日本の「移民」」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00112/00023/?P=1
・『2019年4月、日本の労働力人口が減るなかで在留資格「特定技能」が導入された。その一方、低賃金や長時間労働など、外国人労働者の過酷な実態が話題に上っている。日本に暮らす外国人たちは今、どんな状況に置かれ、どんな問題があるのだろうか。移民政策を専門とし、外国人支援にも取り組む鈴木江理子先生の研究室に行ってみた! 「今更きけない」レベルの基本的なことを、鈴木さんに教えてもらった。 旧植民地出身のオールドタイマー(注)から、今、問題になっている「留学」「研修」「技能実習」、そして、「特定技能」についても駆け足で見た。 では、現時点で、鈴木さんが問題視しているのはどんな部分なのだろうか。 「政府は、特定技能の制度についても『移民政策ではない』と言い続けています。労働力はほしいけど、怪我したら帰ってください、病気になったら帰ってください、年をとったら帰ってくださいと。労働力としての有用性のみが評価されるわけです。その点では、『特定技能』の制度も『技能実習』と同じです。家族を呼べないのも同じですし」 なぜ政府が「移民政策ではない」ことにひたすらこだわるのか、直接の理由を語ったことがないため、よくわからない。ただ確実に言えるのは、技能実習から特定技能へと移行すると、最長で10年もの期間、日本で、単身、働き続けることになり、その間、日本で出会った相手と家族形成したいと願う若者もかなり出てくるだろうということだ。いや、たとえ5年きっかりであってもそうだろう。やはり実質的な「移民」受け入れにつながっていくのではないだろうか。 「実は、母国に家族を置いておけというのは、つまり、結局賃金も安く抑えることが可能になるということなんです。家族を呼べば、家族が暮らせるだけの賃金が必要になるので。私は家族が暮らせることはかなり大切なことだと思っています。途上国から来た人が、それも単身でしか働けないっていう状況を続けたら、その産業もそういった労働者に依存しつづけることになりますよね。一方で、日本で家族を養えるような環境なら、日本人もそこに戻ってくるかもしれません」 現状では、日本で家族形成をする「日本人」はとうてい働けない労働条件を容認してしまっているわけで、ならば、外国人労働者が家族を呼び寄せても暮らしていけるだけの待遇を実現すれば、それはそのまま「日本人も働ける」場所になっていくはずだ。実は外国人労働者をめぐる議論は、そのまま日本人労働者の問題と直結していることが多い。 それでも、制度は動き始め、また以前にもまして「外国人材の活用」が叫ばれる』、「母国に家族を置いておけというのは、つまり、結局賃金も安く抑えることが可能になるということなんです」、その通りだ。(注)オールドタイマー:20世紀半ばまでに日本へ来た朝鮮人やその子孫(Wikipediaに加筆)。
・『日本人がその労働条件では働けない職場に、かつてはバックドアから、昭和から平成への元号の変わり目からはサイドドアから、そして、令和の今はフロントドアからも人を受け入れつつ、そうこうするうちに、ずいぶん「外国人」はぼくたちの社会に増え、様々なサービスを支えてくれるようになった。 「今回、法律が変わって、今後、5年間で約35万人、つまり、毎年平均7万人受け入れるっていうことで、みんな大騒ぎしています。でも、私たちからしてみると、ここ数年、毎年、10万人、20万人と増えてきたじゃないかと思います。技能実習生だったり、留学生だったり、あとは国際結婚とか、いろんな形で増えていますから。さらに、第2世代、第3世代の子どもも生まれているわけですから、外国人や外国ルーツの人、が増えていくのはもうとっくに始まっているんです」 鈴木さんに言わせれば(いや、この問題に関心を持ってきた人に言わせれば)、「外国人」はとっくに増えているし、すでにぼくたちの社会は彼ら彼女らに支えられている。その中には、「移民」と呼んで差し支えない「定住型」の人たち、移民ルーツの人たちが、もう数百万人もいる。彼ら彼女らはいずれ帰っていくのではなく、ともに生きていく人たちだ。 以上、鈴木さんが大学の講義で語るような内容をかなり単純化してたどった感があるが、大雑把な見取り図は描けたかもしれない。 では、鈴木さんが大学の教室を離れて活動している移住者支援はどんなふうだろう。前述の通り、鈴木さんは「特定非営利活動法人 移住者と連帯するネットワーク(以後、移住連)」の副代表理事だ。 まずは「移住連」について教えてもらおう』、「「外国人」はとっくに増えているし、すでにぼくたちの社会は彼ら彼女らに支えられている。その中には、「移民」と呼んで差し支えない「定住型」の人たち、移民ルーツの人たちが、もう数百万人もいる。彼ら彼女らはいずれ帰っていくのではなく、ともに生きていく人たちだ」、事態は予想以上に進展してしまっているようだ。
・『「1996年に前身ができた時には、移住労働者と連帯する全国ネットワークという名称で、労働者がメインだったんです。でも、実際には移住労働者の家族など、労働者に限らない課題にも対応しているので、NPO法人化した2014年に、『移住者』と変えました。海外の会員もあわせて個人が400人超、団体が100団体ちょっと入っています。研究者もかなり多いんです。移住連は、毎年、省庁と交渉をしているので、統計などの情報も持っていますから」 移住者という広い括りの中にどんな人たちがいるのか、すでに今回の連載で解説した。本当に様々な出自の人たちが、様々な時期に日本に来ていることは、あらためて見ると驚くべきことだ。そして、やってきた人たちは、日本で家族形成をしたり子育てをするなどして、ぼくたちの社会に根付いている。移住連がひとつの団体としてすべてにかかわるというよりは、日本各地でそれぞれの問題に対峙している様々な団体や個人がネットワークを作っているというイメージだ』、移住連は具体的にはどんな活動をしているのだろう。
・『移住連のウェブサイトを見ると、キーワードとしてこんな言葉が掲げられていた。 ここにいる、と。 移住者であり、移民として捉えるべき人たちが、すでに、ここにいる、という意味だ。 「結局、人間として来ているわけですから、私たちの社会の中にある問題は、移住者/移民たちの中にもあるんです。例えば、私たちが充分に取り組めていないものとして、在日の人とか、中国帰国者の介護の問題があります。第1世代の高齢化が進んでいて、中国帰国者向け、在日コリアン向けの介護施設というのもでき始めています。つまり、ライフサイクルの中であらゆることを同じように経験していくことになります」 本当に活動は多様で、それはそのまま、日本の移住者問題、移民問題の多様さそのものだ。鈴木さんが言う通り、ぼくたちの社会で見られる問題のすべてが同じようにそこにある。 ウェブサイトにも掲載されている主要なプロジェクトの中から、鈴木さんとの話題にあがったものをいくつかピックアップする。 まずは、女性の問題。 「国際結婚などで日本に来た移住女性は、弱い立場にあって、外国人であり女性であるという二重の意味で差別を受けがちです。DVですとか、離婚、地域での孤立、それから、『ジャパゆきさん』に始まるシングルマザーの問題ですね。さらに最近では、技能実習女性のセクハラや労働問題もありますし、介護労働者も多くなって、そこでの問題もあります」 「ジャパゆきさん」とシングルマザーというのは、とても大きな問題で、当然ながら、今では子どもたちも大きくなっている。JFC(ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン)と呼ばれる人たちがおり、これはつまり、日本人男性とフィリピン人女性の子どもたちという意味だ。法的な結婚をしていない場合、父親が認知しないと日本国籍をもらえず、母親とともに大変な思いをする子たちがいる。 さらに、技能実習生が直面する問題は、セクハラなどの被害はもちろんだが、さらに先鋭化したとも言えるケースがたびたび見られる。 「技能実習生が妊娠したら、中絶するか帰国するか選択を迫られるケースは実際にあるんです」と鈴木さんは言った』、「活動は多様で、それはそのまま、日本の移住者問題、移民問題の多様さそのものだ」、「ぼくたちの社会で見られる問題のすべてが同じようにそこにある」、なるほど。
・『家族を伴わない単身渡航でやってくる若者だから、恋愛もするだろうし、妊娠することもあるだろう(またひどい話だが、セクハラの結果として、妊娠に至ることもあるかもしれない)。それでも、あくまで単身での渡航で就労することが条件なので、出産することが制度として想定されていない。 入管法対策というのもとても大きなテーマだ。 「法律が変わるたびに、外国人管理や排除が強化されていくので、私たちは『管理・排除ではなく共生のための制度を!』と言い続けています。例えば、1980年代から90年代にかけて、労働力不足を満たしていたのは、オーバーステイの非正規滞在者が多かったんです。まだ緩やかな排除の時代で、おまわりさんも『あの人はオーバーステイ』と知っていても普通に挨拶して見逃しているような時代でした。でも、21世紀になって、技能実習制度などサイドドアからの労働力供給が十分に機能するようになって、さらにフロントドアからの受け入れも検討され始めたので、じゃあバックドアは閉じましょうと、一斉に摘発を始めました。2003年12月に、半減計画(今後5年間で非正規滞在者を半減する計画)が出された時、本当にできるのかと思っていたら、実際に目標を達成してしまいましたから」 「不法滞在者」と表現すると、「不法」つまり法をおかした人であり、とてつもなく悪い人のような印象を受けるが、実際には、そうならざるを得ない様々な原因がある。例えば、今なら、過酷な職場で、監理団体も味方になってくれないような場合、技能実習生が脱出(失踪)することがある。このストーリーの中で技能実習生は、搾取された被害者だが、しかし、入管法的には、決められた就労を放棄したのだから、不法滞在者ということになる。日本の制度では、自分ではなく受け入れ側に問題があっても、簡単に本人が「不法」になってしまう。 更に最近、当局が問題にしているのは「偽装滞在者」だ。偽造した卒業証明書や虚偽の雇用証明書などを使って不正に在留資格を得た人や、在留資格に定める活動をしていない人のことで、入管は取り締まりを強化する方針だそうだ。 「本来、研修・技能実習制度って『前職規定』っていうのがあって、母国において同じ仕事をしていて、その仕事を日本でより高めていくという建前です。だから、前職についての証明書が必要なんです。でも、例えば、私が聞き取ったある建設会社の現場では、みんな母国では別のことをやっていて、本人たちが知らないまま勝手に履歴が書き換えられてるんですよ。それって本人の責任ではないですよねって法務省担当者に尋ねたんですが、『本人が知らなくても、偽って入ったのだから、発覚すれば退去になります』って答えなんです」』、「21世紀になって、技能実習制度などサイドドアからの労働力供給が十分に機能するようになって、さらにフロントドアからの受け入れも検討され始めたので、じゃあバックドアは閉じましょうと、一斉に(不法滞在者の)摘発を始めました」、”不法”滞在者にとっては迷惑極まる話だ。
・『この偽装の問題は、日本に在留するほぼすべての外国人がそれぞれの在留資格に応じて問題にされうるものなので、日本の入国管理は、自由に資格を剥奪できる使い勝手のよい理由をまた一つに手にした感があるという。 なお、はっきりしたものにせよ「偽装」にせよ、入国管理局は入管難民法に基づいて「不法滞在者」を収容施設に収容することができるし、制度上、無期限の収容が可能な仕組みになっている。理由は「不法」であることだが、はたして本当に法に触れているのかを問う裁判は行われず、また、入管の審査内容も公開されない。これだけでも非常に危険な仕組みだ。例えば、日本人との結婚を偽装と疑われ、1年、2年と長期収容されるといったことが実際に起きている。本来このように一段落で済ませられる話ではないものの、付記せざるを得ない。 さらに、「外国につながる子ども・若者」の問題。 もうお気づきと思うが、移住連が掲げるプロジェクトは、それぞれ排他的に領域が決まっているわけではなく、互いに密接に連関している。 例えば、これまでにも話題に出た「女性の技能実習生が妊娠した場合」を考えてみると、最初は「女性の問題」に見えていたところから、様々な問題が顔をだす。 移住連が編集を手がけた『外国人の医療・福祉・社会保障 相談ハンドブック』(明石書店)。発売後すぐに増刷したのは、外国人に関するこうした問題がそれだけ広がっているからだろう。 そもそも、在留資格が受け入れる企業を前提として与えられている場合、セクハラや低賃金にも我慢を強いられることが多いわけだし、そんな状況下で妊娠したら、中絶するか、帰国するかの二択であり、「失踪」して子を産めば、非正規滞在になってしまう。それでも、産む選択をしたら、まずは、医療問題や社会保障の問題が浮上し、さらにその後、子どもや若者の問題へとつながっていく……。 「当たり前ですけど、子どもって生まれたときから自分がオーバーステイだって知ってるわけではないんですよ。でも、小さい頃から、夜、自転車に乗るときには必ずライトをつけてねとか、すごく厳しく親から言われて、何でここまで言われるんだろうって思ってたら、実はオーバーステイだからと知らされたりするんです。そうすると、普通の子どもならば怒られたり注意されるだけで済むことでも、自分はそれでは済まないと分かってきて、すごく気をつけて毎日の生活を送るようになります。生まれた時から日本で育って日本語で暮らしているのに、言葉が通じない、知らない国に送還されたらどうしよう、って不安のなかで生活している子どももいます」 その一方で、在留資格はあるけれど、あるいは、日本国籍はあるけれど、「日本語指導が必要な児童生徒」(文科省調査)は年々増えている。また、前にも触れたように、国籍取得とともに「ルーツを消される」という問題も別の極にある。結局、「移民政策はとらない」「厳しい外国人政策で管理、排除すればいい」という発想のしわ寄せが、まるまる子どもたちに行っているように見える。 つづく』、「本当に法に触れているのかを問う裁判は行われず、また、入管の審査内容も公開されない。これだけでも非常に危険な仕組みだ」、「入国管理局」にここまで恣意的な権限を持たせるのは好ましくない。少なくとも「審査内容」は公開させるべきだろう。「生まれた時から日本で育って日本語で暮らしているのに、言葉が通じない、知らない国に送還されたらどうしよう、って不安のなかで生活している子どももいます」、なんとか救済したものだ。移住連の今後の活動に期待したい。

第三に、9月18日付けNHKクローズアップ現代+「ルポ 外国人労働者の子どもたち ~受け入れ拡大のかげで~」を紹介しよう。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4329/index.html
・『外国人労働者が急増するなか、学校教育を受けられない子どもたちの問題が深刻化しています。彼らは日本の義務教育の対象ではないため、いじめや語学力不足、あるいは家庭の事情などでいったん学校に通えなくなると、制度からこぼれおちてしまい“放置された子ども”となってしまうのです。外国人生徒の比率が15%を超えたある中学校の生徒指導の現場をルポ。学校からドロップアウトしてしまった彼らの、その後の生活とは…?未来とは…?当事者とともに考えます。 出演者 石井光太さん (作家) 宮田裕章さん (慶應義塾大学教授) 小島祥美さん (愛知淑徳大学准教授) 横山ラファエルさん (元不就学児) 池長ミッシェルミツヨシさん (元不就学児) 武田真一 (キャスター) 、 高山哲哉 (アナウンサー)』、興味深そうだ。
・『ルポ 外国人急増の裏側で ♪黒や白は関係ない 俺はこの道で育った男 ガイジンとかそんなのは関係ない やっとんのはこの町だ  岐阜県可児(かに)市。この街で育った日系ブラジル人のグループです。ふだんは建築現場などで働きながら音楽活動をしているメンバー。多くは、かつて日本の小中学校を「ドロップアウト」した経験を持っています。 「差別を乗り切るために、何をやらんといかんかって言ったら、その時はケンカやラップだったり、ストリートで生きるしかなかった。」 「俺学校行って、『うんこ(の色)』とか『くさいガイジン』『国に帰れ』とか。俺はただ、学校に行きたかった。勉強したかっただけ。」 今、外国人労働者が急増する中、学校教育を受けられない子どもの問題が改めて浮き彫りになっています。ことばも基礎的な学力も身につけられないまま、制度からこぼれ落ちてしまう子どもが後を絶ちません。 今年、外国人労働者の受け入れ拡大を目指した法律が施行。しかし、その子どもたちは義務教育の対象から外れるため、学校に通えなくなるケースは、さらに増えるのではないかと懸念されています。 今、教育現場ではいったい何が起きているのか。増え続ける外国人の子どもたちと向き合ってきた、ある学校に密着しました』、「外国人労働者の受け入れ拡大を目指した法律が施行。しかし、その子どもたちは義務教育の対象から外れるため、学校に通えなくなるケースは、さらに増えるのではないかと懸念されています」、確かに深刻な問題だ。
・『ルポ 外国人急増…多国籍化する教育現場  岐阜県可児市立蘇南(そなん)中学校です。 朝8時。登校時間が過ぎると、静かだった職員室が一変しました。 「(タガログ語)7時10分にお子さんを送った?」「(ポルトガル語)うーん、また連絡しますね、いいですか?」 4人の通訳が、登校してこない生徒に確認の連絡をします。全校生徒900人のうち150人が外国籍。この10年で3倍に増えました。今、問題になっているのは、こうした外国籍の子どもが学校に来なくなるケースが増えていることです。 生活指導主任 竹内幸正さん「この確認中って子たちが、現在連絡が取れていない子たちです。電話がそもそも家にない、親が携帯を持って行って連絡できないとか。」 この日は19人が無断欠席。連絡もつかないため、教師が手分けをして家を訪ねます。 ブラジル出身の中学3年生。もう1年近く不登校が続いています。工場に勤める両親はいつも不在がちで、訪問してもなかなか会えません。 「明日学校…。」生活指導主任 竹内幸正さん「学校来られる?」 「うん。」 生活指導主任 竹内幸正さん「生存確認というと大げさですけど、電話連絡ができない以上、そもそも子どもがいるのか、生活の実態があるのか、学校に行く途中で事故にあっていないか、外国人の子でも、日本人の子でも同じように心配。」 親の多くは、80年代の入管法改正によって入国が認められた日系ブラジル人やフィリピン人。市内にある自動車関連の工場で働いています。日本人の働き手が不足する中、可児市の外国人は今も増え続け、人口10万人のうち8000人を占めるまでになっています。 こうした外国人の子供たちに対応するため、蘇南中学校では特別な補習プログラムをもうけてきました。 教員「“から”にしようか。『交番“から”広場が見えます』の方が良いね。」 それぞれの学力に合わせて、漢字や数学を増やすなど時間割も一人一人オーダーメイドしています。ところが、今年に入って、毎月のように新たな外国人生徒が転入してくるようになりました。 教員「1年生、まったく答えていないので」「いつ(日本に)来たんだろうこの子。」「それにも答えていない。」 学力差や、抱える事情も年々多様に。「一人も脱落させたくない」と続けてきた、きめ細かな授業も限界に近づきつつあります。 教員「これからもまた、来年も、こんなぐらいの人数になる可能性はある?」「小学校のいま人数が増えているという話なので、今後この規模で、このスタイルで維持出来ないかもしれない。」「全員を見届けるというか、そういうのは厳しくなる。」 学校に来られなくなる事情も人それぞれです。 フィリピン生まれ。3歳で来日したマリアさん。勉強熱心で日本語も十分に習得していますが、去年から学校を休むことが増えています。自宅を訪ねてみると、マリアさんは去年生まれたばかりのめいっ子の子守をしていました。 マリアさん「ベイビーいつもの顔は?いつもの顔はどうしたの?」 仕事が忙しい家族の代わりに、マリアさんが面倒を見ています。赤ちゃんの具合が悪いときは、1週間ほど登校できないこともあると言います。 マリアさん「私も家族の一員として、お手伝いしたい。学校にいることは勉強として大切だけど、家族が優先なので。」 自動車関連工場の派遣社員として働くマリアさんの母と叔母。仕事場が遠いため、朝5時に出て帰宅は夜8時をすぎます。 マリアさんの母「マリアさんの大変だけど、学校本当はいま勉強しないといけない。でも、面倒を見る人がいないからしかたがない。」 本国への仕送りもあり、日々の生活費をまかなうのが精一杯。本人は高校進学を希望していますが、心配なことも。 マリアさんの母「やっぱり高いから。家賃とか保険、税金。やっぱりまず頭の中は生活。どういう生活ができるか。」 この日、不登校が続いている中学2年生のフィリピン人生徒の両親がやってきました。 母親「本人は学校に行くのが嫌なのです。退学するしかありません。日本に来る前は問題なく勉強していました。」 「フィリピンにいる時は問題なかった?」 母親「ええ、成績も良かったんです。」 生徒は、勉強にも友人にも馴染めず、退学を強く希望していると言います。 教頭「本当に辞めちゃっていいですか?」 母親「ええ、どうしようもありませんから。」 しかし、学校は子どもを強く引き留めることはできません。外国籍の子どもは憲法上、義務教育の対象から外れているためです。結局、この日は結論を出さず、もう少し考えてもらうことになりました。 この学校では、去年1年で10人が中途退学。その後どうしているのか確認することはできていません』、「蘇南中学校・・・全校生徒900人のうち150人が外国籍」、こんなに多いとは驚いた。「それぞれの学力に合わせて、漢字や数学を増やすなど時間割も一人一人オーダーメイドしています。ところが、今年に入って、毎月のように新たな外国人生徒が転入してくるようになりました・・・学力差や、抱える事情も年々多様に。「一人も脱落させたくない」と続けてきた、きめ細かな授業も限界に近づきつつあります』、外国人生徒数が増えれば、「オーダーメイド」は確かに困難にならざるを得ないだろう。
・『外国人急増×日本の未来は…  武田:NHKと専門家の調査では、全国で学校に通っていない外国籍の子どもは8000人以上に上るとみられています。文部科学省も初めて全国的な調査に乗り出しています。可児市で外国籍の子どもの実態調査と改善に向けた取り組みを長年行ってきた、小島さん。全国でこうした状況になってきている。これはなぜなのでしょうか。 ゲスト 小島祥美さん(愛知淑徳大学准教授)小島さん:2つありまして、1つは、やはり国が就学義務の対象にしていないという外国人に対しての扱いですよね。この問題が一番大きいです。2つ目がですね、それに伴って自治体任せになってしまっているっていうのが大きい点です。とりわけですね、外国人の住民というのは地域によって偏在しておりますので、数が多ければ施策はされているんですけども、少なければ、社会から見えない子どもたちという対象になってしまっていることで施策がされていないという自治体格差があるというのが大きな問題ですよね。 ゲスト 宮田裕章さん(慶應義塾大学教授)宮田さん:やはり政府の受け入れ拡大の政策、あるいは少子化人口減少という中、日本でも、必ずこれはさらに大きな問題となっていくだろうと。この点からですね、今日フォーカスが当たっている岐阜県可児市というのは、日本の未来の姿の1つの可能性であるということも言えますし、可児市の取り組みの意義と課題を理解するということは、日本の将来を考えるうえでもすごく大事なのかなというふうに思います。 高山:最近、街角で働いている外国人を見かけるっていう方、結構多いと思います。在留外国人の推移なんですけども、全国的にも可児市でも外国人が増え始めたのは1990年代に入ってからなんですね。大きな節目は、1989年に改正されました入管法。それをきっかけに、さまざまな国籍の人たちが労働力として日本に入ってきて、去年は過去最高の273万人を記録。平成の30年間でなんと2.7倍も増えたんです。 来日した外国人の皆さんには、在留資格ってものが与えられる。主にこういったものなんですが、家族が帯同できるのは、このうちの、こちらです。さらに、今年4月入管法が新たに改正されまして、新たに在留資格に特定技能というのが設けられまして、5年間で34万人の受け入れが見込まれているんです。この特定技能は全部で14の業種があります。このうちの2つの業種では、家族を帯同呼び寄せることができるという道もあるんです。 今後、外国人の家族そして、子どもがどんどん増えることが見込まれています。 武田:学校からこぼれ落ちてしまった子どもたち。その後、どんな現実と直面することになるんでしょうか』、「国が就学義務の対象にしていないという外国人に対しての扱いですよね。この問題が一番大きいです。2つ目がですね、それに伴って自治体任せになってしまっているっていうのが大きい点」、就学義務の対象にして、国がもっと前面に出るようにすべきだろう。
・『ルポ 外国人急増…小学校中退に児童労働も  岐阜県可児市で、かつて小中学校を中退した経験がある若者たちと出会いました。勉強やいじめ、家庭の事情も重なり退学。その後は過酷な生活を送っていました。 外国人労働者の家族を長年取材 作家 石井光太さん「仕事をはじめたのは何歳の時からですか?」 横山ラファエルさん「仕事をはじめたのが、中学2年生だもんで。」 池長ミツヨシさん「14歳でバイトとか。給料(日給)7000円。」 石井光太さん「小学校5年生で日本に来て、学校行かなくなって、お父さんからビンタされて、家を出て。どこに泊まっていたの?友達のおうち?」 池長ミツヨシさん「友達の家とか、橋の下とか、いろいろ寝とった。」 石井光太さん「ホームレスみたいな生活?12歳ぐらいでしていたんだ。11歳12歳13歳がホームレス?」 池長ミツヨシさん「先輩が俺を拾って『日本のやり方あなたに教える。』ずっと3年くらい面倒みてくれた。その人は親方の仕事をやっていた。」 石井光太さん「建築会社の親方に拾ってもらった形で、そこで働き始めるわけですね。」 ブラジル出身の塩野ホドリゴさんが来日したのは20年前。蘇南中学校に転入しましたが、当時は学校側も外国人の生徒の受け入れに戸惑っていました。 塩野ホドリゴさん「いきなりブラジルから日本に来て、しゃべれんし、お母さんと一緒に学校行かないとダメって。それで、水金しか(学校に)行けなかった。」 当時の校長だった林伍彦さん。林さんも、ホドリゴさんたち外国人の生徒とどう向き合えばいいのか悩む日々でした。 元校長 林伍彦さん「休み時間になると踊り場に集まって、ブレイクダンスをしまくって。授業開始の鐘がなっても、なかなか教室に入ってくれない。何人かの先生が教室に入れる。そんなのが毎日の生活でしたから。」 中学を終えたホドリゴさんは、高校には進学せず仲間の多くも中途退学しました。しかし、卒業から半年後、林さんはホドリゴさんから意外な事実を告げられます。 元校長 林伍彦さん「ある日彼は『校長先生、僕に日本語教えてくれない?』『漢字を教えて。』そう言ったんですよ。僕らこの中学校の外国人の子どもたちを預かっているけれど、“預かっている”じゃなくて、生徒としてきちんと勉強させなければ、僕らはこの子どもたちにとって申し訳ない。なんとかこの子たちがちゃんと勉強する、そういう場を作ってあげたいと。」 ホドリゴさんの言葉を受けて、林さんは可児市とともに改善に乗り出しました。14年前に設立された「ばら教室KANI」。入学前に日本語と学校のルールを学びます。地元の学校に通う前の3か月間。外国人の子どもなら誰でも無料で通うことができます。 「失礼します。先生に用事があります。」こうした手厚いサポートを10年以上続けることで、可児市は外国人の生徒の学校への定着率を着実にあげてきました。現在600人の外国人の児童生徒を対象にするこの取り組み。市は年間8000万円の予算を組んで支えています。 可児市は、なぜここまで外国人の子どものサポートに力を入れているのでしょうか。 可児市 冨田成輝市長「外国の方の支援というよりも、市民なんですよ。国籍が外国なだけで市民なんですよね。これからは日本の国自体が企業が、外国籍の方を雇って続けて行く以上、その人たちの生活を支えるというのは、これは自治体がやっていますけれども、企業や国にとっても不可欠なことですので。」 年間8000万円の捻出は決して楽ではありませんが、可能な限り続けたいといいます。 高山:けっこうな額の予算というのは、未来への投資であると。 可児市 冨田成輝市長「(予算額は)いまでも最低限だと思うんですけど、(その予算がないと)まともな学校教育はできない。とんでもないことになっている。」』、可児市が「ばら教室KANI」を「年間8000万円の予算」で支えているというのは、大したものだ。
・『外国人急増×日本の未来は…  武田:可児市で学校に行けなかった経験をした、ラファエルさんとアヒルさんにお越しいただきました。今日は、ようこそお越しいただきました。ありがとうございます。今の学校の様子っていうのは、どういうふうにご覧になりますか。 ゲスト 横山ラファエルさん(元不就学児)ラファさん:昔みたいにやっぱ少なかったので、その辺。頼れる人がいなくて。友達とかでも。だけど今だいぶ多くなってきたので、お互い支え合ったりすればまあ、乗り越えれると思いますね。 ゲスト 池長ミッシェルミツヨシさん(元不就学児)アヒルさん:今、可児のほうにいる外国人と日本人、みんな、手、組んどるし、ちゃんとうまくいっとるし、もうたぶん、心配はない。 武田:小島さんは、改めてその成長したお二人の姿をご覧になって、今、感じること。 小島さん:そうですね。まずはすごくうれしいですよね。っていうのも、何よりも、彼らたちのこの腕に書かれてる0574って、さっき、なんか…。 宮田さん:岐阜の市外局番。これは日本人として、非常に、なんていうのか熱いものがあるんですけど。 ラファさん:一応「0574familia」っていうのがあって。それが僕たちのグループみたいな。音楽や仕事や全部一緒にまとめてやってるグループなんですね。 宮田さん:でも、その市外局番をグループ名にするっていうのは、たぶん、思いがあると思うんですけど。 ラファさん:そうですね。地元思いっていうのが強いです。 宮田さん:岐阜の好きなところっていうのはどういうところですか。 ラファさん:岐阜ですか?全部ですね。自然が好きですね、岐阜は。都会よりも、田舎育ちで自然で生きてきた中で、あそこが自分の場所っていうのが。 武田:自分の場所なんですね。 ラファさん:はい、そうです。落ち着く場所って言えばいいんですかね。 高山:地元。 ラファさん:地元ですね、はい。地元ですね。 小島さん:可児の中で、ある種起点に、市自体が覚悟をしたっていう時点があったわけですよね。それまでは、外国人住民はいつかは帰る人たちなので、その人たちに対して施策を打つ必要はないんじゃないかっていう、ゲストのような扱いだったような態勢が、街の雰囲気もあった中でそれがそうではなく、住民なんだ一市民なんだっていう態勢に変わっていった。 武田:VTRの中では、可児市、最低でも8000万円が必要だというふうに言ってましたよね。 小島さん:10万都市で8000万という額はかなりの負担ですので。可児は頑張ってます。これ以上もっとっていうのは、かなり自治体にとって負担が大きいのではないのかなと思いますし、それぐらいの体力がある自治体っていうのも、かなり限られているんではないのかなっていうふうに思いますよね。 高山:調べてみると、長野県の上田市では、児童生徒が多国籍化しすぎて8か国に対応しなきゃいけないということで、通訳が見つからないという事態に陥っていたり。あと、人口の5%が外国人という大阪市。日本語の支援が必要な子どもたちというのは、10年で3倍に増えたんですけど、行政としても頑張って支援できる非常勤の人などをあてがっても、なかなか足りずに待機児童まで生まれてしまっているという状況なんですよね。全国で今お金がない、人がない、リソースがないという悲鳴が上がっているんです。 こちら、日本の外国人受け入れ政策を各国の移民政策と比較した指標なんですが、日本は38か国のうちなんと27位。低いんですよね。 各項目で見てみますと、どの項目もやはり低調。いろんな問題が山積しておりまして、例えば、義務教育がない。親に対する支援もない。子どもだけじゃなくて。 諸外国では当たり前のことが日本ではできていないということが、この29位、そして全体では27位という順位に甘んじているわけです。 ラファさん:僕も団地に住んでるんですけど、そこに今、いろんな新しい方が増えてきてるんです。僕たち長いから、そこで助け合ったりしてるんですけど、やっぱりひどいとこはひどいですね。家具もなくて、何もない状態で。だから、できるだけ手伝ったりしてるんですけど、仲間思いっていうか、みんな同じ国だし、同じ国じゃなくても外国人の方だから気持ちは分かるし、手伝うのも当然っていうふうに思ってるから。だけど、そこだけ、もうちょっと何か工夫してほしいですね。来たばっかりの人たちのためにも、何かがたぶん足りてないかもしれないので。 武田:安心して暮らしていけるような、何かサポートですね。今のお話、聞いてても改めて思うんですけれども、やはり、私たちが外国から来る人たちを本当に隣人としてしっかり受け入れて。で、その人たちと一緒に日々の暮らしをずっと生きていくんだっていう、何か覚悟が問われているんだと思うんですよね。 小島さん:私は、国、そして自治体また、それぞれ私たち一人一人が覚悟と想像力が必要なのかなって思うんですよね。また、私たち一人一人市民ですけれども、外国人労働者たちが汗と、そして涙と苦しみを持って働いている中で、私たちの暮らしっていうものがあるんだっていう、その想像力を持った中で地域はどうあるべきなのか、私たち一人一人はどうあるべきなのかっていうのは考えるべきなんじゃないのかなって思います。人間を受け入れているという認識から、想像力を持って、国、そして自治体に担う制度設計を行ってほしい。それがまず取り組んでいただきたいことだと思います。 ゲスト 石井光太さん(作家)石井さん:やはり僕たちは、日本に来たから日本のことを学びなさい、日本に従いなさいということではなくて、逆にその人たちが来てもらったんだから、これから我々が変えていかなきゃいけない。彼らが居心地のいい世の中に変えていかなきゃいけない。それはやはり、これから日本というのは、どんどん外国から人を呼んで、日本という国をよりよくしていかなければならないんですよね。そのためには、やはり日本の文化を強いるのではなくて、来てもらう人に対してきちんと合わせていく。そういったようなことが必要なんじゃないのかなっていうふうに思ってます。 宮田さん:いわゆる日本と異なる文化の人たちを迎え入れたときに、マジョリティーである日本側がいかに変わっていくか。これがすごく大事なのかなと。「郷に入っては郷に従え」ということわざがあるんですが、あれは入る側の心構えでですね。実は受け入れ側の心構えではないんですよね。そのときに、やはり我々が一歩踏み出して、これから一緒に生きていくのであれば違う日本に、新しい違う文化を共に作っていくんだということが必要になるかなと思います。(最後の部分にあるラップの歌の歌詞は省略)』、「日本の外国人受け入れ政策を各国の移民政策と比較した指標なんですが、日本は38か国のうちなんと27位。低いんですよね。 各項目で見てみますと、どの項目もやはり低調。いろんな問題が山積しておりまして、例えば、義務教育がない。親に対する支援もない。子どもだけじゃなくて。 諸外国では当たり前のことが日本ではできていないということが、この29位、そして全体では27位という順位に甘んじているわけです」、全く恥ずかしい限りだ。私自身は外国人労働者受け入れ拡大政策には反対だが、すくなくとも受け入れた移民、特にその子どもに対しては、支援を十二分に行うべきで、日本政府の冷淡さには呆れ果てるほかない。
タグ:日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 外国人労働者問題 移住連 NHKクローズアップ現代+ 王 青 (その14)(中国人介護技能実習生が日本の介護現場の「救世主」にはならない理由、セクハラ 医療 介護…「移民」も直面する日本の諸問題 国士舘大学 社会学 日本の「移民」、ルポ 外国人労働者の子どもたち ~受け入れ拡大のかげで~) 「中国人介護技能実習生が日本の介護現場の「救世主」にはならない理由」 現状は厳しい中国人介護技能実習生 中国の介護現場も深刻な人手不足 人の世話をする人、仕える人に対して昔からの偏見と差別は今もなお根強く残っている ある上海の有力な看護学校の校長は「半年がたっているが、1人も応募しない」とため息をつく 中国の介護現場を支えるのは農村出身の出稼ぎ中年女性 中国人の若者は介護ヘルパーには向かない? 大家族で生活する機会が多いフィリピン人の方がホスピタリティーやサービス精神の面でも介護ヘルパーとしての資質は優れている 日本の介護事業者は覚悟と準備を持って受け入れるべし 川端 裕人 「セクハラ、医療、介護…「移民」も直面する日本の諸問題 国士舘大学 社会学 日本の「移民」」 鈴木江理子先生 移民」と呼んで差し支えない「定住型」の人たち、移民ルーツの人たちが、もう数百万人もいる。彼ら彼女らはいずれ帰っていくのではなく、ともに生きていく人たちだ 活動は多様で、それはそのまま、日本の移住者問題、移民問題の多様さそのものだ ぼくたちの社会で見られる問題のすべてが同じようにそこにある 21世紀になって、技能実習制度などサイドドアからの労働力供給が十分に機能するようになって、さらにフロントドアからの受け入れも検討され始めたので、じゃあバックドアは閉じましょうと、一斉に(不法滞在者の)摘発を始めました 生まれた時から日本で育って日本語で暮らしているのに、言葉が通じない、知らない国に送還されたらどうしよう、って不安のなかで生活している子どももいます 在留資格はあるけれど、あるいは、日本国籍はあるけれど、「日本語指導が必要な児童生徒」(文科省調査)は年々増えている 「ルポ 外国人労働者の子どもたち ~受け入れ拡大のかげで~」 ルポ 外国人急増の裏側で ルポ 外国人急増…多国籍化する教育現場 岐阜県可児市立蘇南(そなん)中学校 4人の通訳が、登校してこない生徒に確認の連絡 全校生徒900人のうち150人が外国籍 それぞれの学力に合わせて、漢字や数学を増やすなど時間割も一人一人オーダーメイドしています ところが、今年に入って、毎月のように新たな外国人生徒が転入してくるようになりました 学力差や、抱える事情も年々多様に。「一人も脱落させたくない」と続けてきた、きめ細かな授業も限界に近づきつつあります 外国人急増×日本の未来は… ルポ 外国人急増…小学校中退に児童労働も 「ばら教室KANI」 年間8000万円の予算 外国人急増×日本の未来は 長野県の上田市では、児童生徒が多国籍化しすぎて8か国に対応しなきゃいけないということで、通訳が見つからないという事態に陥っていたり 日本の外国人受け入れ政策を各国の移民政策と比較した指標なんですが、日本は38か国のうちなんと27位。低いんですよね。 各項目で見てみますと、どの項目もやはり低調。いろんな問題が山積しておりまして、例えば、義務教育がない。親に対する支援もない。子どもだけじゃなくて。 諸外国では当たり前のことが日本ではできていないということが、この29位、そして全体では27位という順位に甘んじているわけです
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ソーシャルメディア(その4)(狙われる有権者たち デジタル洗脳の恐怖 「操られる民主主義」の著者 ジェイミー・バートレット氏に聞く(前編)、ターゲット広告全盛 日本の国民投票は大丈夫か 「操られる民主主義」の著者 ジェイミー・バートレット氏に聞く(後編)、「フェイスブック」から抜け出す具体的方法 デジタル・ミニマリストになるには) [メディア]

ソーシャルメディアについては、昨年10月4日に取り上げた。今日は、(その4)(狙われる有権者たち デジタル洗脳の恐怖 「操られる民主主義」の著者 ジェイミー・バートレット氏に聞く(前編)、ターゲット広告全盛 日本の国民投票は大丈夫か 「操られる民主主義」の著者 ジェイミー・バートレット氏に聞く(後編)、「フェイスブック」から抜け出す具体的方法 デジタル・ミニマリストになるには)である。

先ずは、伏見 香名子氏が昨年10月1日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「狙われる有権者たち、デジタル洗脳の恐怖 「操られる民主主義」の著者、ジェイミー・バートレット氏に聞く(前編)」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/100500021/092500022/?P=1
・『2016年、世界は米大統領選挙と、英国の「EU離脱を問う国民投票」の結果に驚愕した。人々が民主的に下したはずの政治決定が、社会や経済に大きく影響し、混乱を生じ続けている。今年に入り英国では、あるデジタル分析会社のスキャンダルをきっかけに、民主主義の根幹である選挙や国民投票において、膨大な量の個人情報を基にした、いわゆる「ビッグ・データ」を使用したデジタル操作が行われたのではないか、との論争が巻き起こっている・・・フェイスブック利用者8700万人分の個人情報が、不正にこの会社に流用されたと言う情報は日本でも報じられたが、その事実がどう自分に影響するのか、ピンとこない人が大半ではないだろうか。確かに、好きなアーティストやレストランのページに「いいね!」をつけることの一体何が問題なのか、すぐには想像しづらい。だがこうした情報は、マーケティングの手法として、広告企業などが喉から手が出るほど欲しいものだ。人々の傾向を解析し、ある商品を売り込むために、データを利用する。実際、このこと自体に違法性はなく、従来も使われてきた手法だ。 しかし、もしもこの膨大な個人情報が、民主主義の根幹を成し、国政に影響する選挙や国民投票の行方を左右させるために、明確な意思を持った何者かに利用されていたとしたら、どうだろうか。 筆者はEU離脱を問う国民投票で英国各地を取材して回った際、特に離脱支持者の口から出てくる支持の理由が、奇妙なほど同じ言葉で語られたことに違和感を覚えた。どんな地域でも、どんな層の人に聞いても、同じようなフレーズが繰り返し、あたかも真実のごとく語られていた。当時は、テレビや新聞などから政治家が同じ主張を繰り返したことの反映だろうと思ったが、違和感はどうしても拭い切れなかった。 もしも、人々が当時、SNSを通じて毎日少しづつ、離脱派に都合の良い情報だけを、その人が最も感情的に反応するであろう傾向を把握した上で、カスタマイズされた広告を流し続けられていたとしたらーー。これはある種、民主プロセスにおける「デジタル洗脳」とも言えるのではないか。 民主主義とデジタルの最前線で、今何が起きているのか。私たちは、何に着目すべきなのか。そして「アラブの春」で民主化運動を牽引したと賞賛されたSNSは、今や民主主義を破壊しつつあるのか。こんな疑問をもとに、この問題に取り組む専門家たちに話を聞き始めた。 今月、日本でも出版される「操られる民主主義:デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか」を執筆した、ジャーナリストで、シンクタンク「デモス」代表のジェイミー・バートレット氏に聞く(Qは聞き手の質問)』、深刻な問題を如何に解説するかは、興味深い。
・『Q:なぜ今、新著「操られる民主主義」を書こうと思ったのですか? ジェイミー・バートレット氏(以下バートレット氏):変化の速さやテクノロジーの進化、AIの台頭などを考えた時、この問題を早急に解決する必要があると感じました。今後20年以内にこの緊張関係を緩和する策を講じなければ、民主主義が絶滅しかねないと思います。 この数年(問題となった)ロシアの選挙介入、荒らし、仮想通貨など。私はこれらが全て、同じ事象の一部であることに気づきました。つまり、現在とは全く異なる時代に構築された、古いスタイルの民主主義と、新しいデジタル技術とが、相容れないということです』、確かにその通りだろう。
・『既存のシステムは時代遅れで機能不全  Q:どんな問題が起きているのでしょうか? バートレット氏:最も分かりやすい例は選挙です。選挙には、自由と公正さを保つための制度があり、選挙戦に使用される広告にも、正直かつ真実であるようにと規制がかけられます。しかし、これらの規制はテレビの時代や、誰でも見られる広告板に即したものでした。 ところが突如として、世界の誰にでも、個人をターゲットにし、その人以外の目には触れない広告が打てるようになりました。選挙そのものの正当性が問われることになったのです。「誰か」とは、悪意のある外国の勢力かもしれませんし、人々に嘘やデタラメを流す、国内の選挙キャンペーン担当者かもしれません。これは、より大きな問題を象徴しています。すなわち、私たちが民主主義を運営し続けるために構築したシステムそのものが既に時代遅れであり、機能不全であると言うことです。 政治、特に選挙はもはや考えを交わし、大きな公開討論を行うことではなく、今やデータサイエンスの時代なのです。幾千にも及ぶデータポイントを基盤とする、個々の有権者のプロファイルが構築されています。貴方や友人が大切にしていることを把握し、その点について、感情的なメッセージを送るのです。 「考えを議論する」政治とは全く異なり、誰が最も有効なデータを持っているか、最も有効に標的を射止めることができるのか。そして、誰が最も説得力のあるメッセージを提供し、候補者につなぐことができるのか。こうしたことに尽きるのです。 今このことが危機だと感じるのなら、20年後にどうなっているか、想像してください。私たちはさらに多くの、センサーやインターネットを使用したデバイスに囲まれて暮らしているでしょう。スマート冷蔵庫やテレビ、ヘルス・トラッカーなどが発する、私たちの行動や思考に関するデータが、広告業者、そして、政治家によって、私たちを標的にするために利用されるのです。 つまり将来的に、私たちの食事の傾向、健康状態や、テレビをつける時間など。こうした情報が、貴方を特定の候補者に投票するよう利用されます。貴方の論理的思考に訴えるのではなく、故意に神経を逆なでするのです。これは、私の考える選挙の「あるべき姿」ではありません。 Q:従来の広告と「ターゲット広告」の違いを教えてください。 バートレット氏:通常の広告は、テレビや広告板、新聞などに掲載する場合、内容について厳しい規制が存在します。正確であり、誤解を招いてはいけない、真実を示し、他者を中傷してはならない、などです。 これがインターネット上、個人に向けたターゲット広告の場合は、ほぼ何でも伝えることができます。しかも、他者には見えないため、信ぴょう性をチェックすることができません。嘘やでまかせなどを流された貴方がそれを信じてしまっても、誰もその広告を確認できない。ここが、根本的な違いです。 この流れは悪化するでしょう。次世代の広告は、AIを使い自動化されるからです。貴方が何を大切にしているか。購買に有効な傾向を、すでに機械が把握し、制作したものです。貴方の内にある最悪の偏見や個人的偏向に、機械が働きかける。感情的で、誤解を生じるものや、非常に差別的で、人種問題を誘発しかねないコンテンツは、最も有効なのです。機械にとって問題はありませんから、こうした広告をたれ流し続けるでしょう。 私たちの政治の行き着く先は、人間の手が加えられない、全く規制当局が目にすることのできない、非常に扇動的かつ自動化された広告が流されることかもしれません。これが私たちの選挙の未来であれば、すでに「政治」と呼べるものではないでしょう。政治とは、異なる意見を交わし、その違いを乗り越えるため誠実に議論を行うことです。人種差別的な広告を、誰も見えないところで自動的に流すことではありません』、「私たちの政治の行き着く先は、人間の手が加えられない、全く規制当局が目にすることのできない、非常に扇動的かつ自動化された広告が流されることかもしれません」、恐ろしい時代が来つつあるようだ。
・『“インターネットが民主主義を殺している”  Q:この「自動広告制作マシン」の一つが、フェイスブックだと言うお話を以前伺いました。 バートレット氏:フェイスブックは同じ広告を自動的に、わずかに変えたバージョンをいくつも流しています。多少、人の手も加えられ、ちょっと色を変えるなど、どの広告が最も効果的かを試します。それをまた、より多くの人たちに流すのです。 Q:2016年、こうしたデジタル戦略により、米英で民主主義が大きく揺らいだと言われています。 バートレット氏:おそらく、インターネットが私たちの選挙と、選挙制度そのものを破壊するツールだと、多くの人が初めて気づいた年だったでしょう。突如として、複雑な技術を用いて有権者を狙ったケンブリッジ・アナリティカのような、データ分析企業が登場しました。 実際、近年多くの選挙戦で、こうした技術が用いられてきました。(ロシアは)インターネットを使い、米国の選挙介入にも成功したのです。これは特筆すべき事象でしょう。様々な問題が明るみになり、ハイテク企業に対する疑問の目が徐々に向けられ始めていましたが、(2016年に)これは大問題だ、と認識されるようになりました。 Q:今回の著書の原題は「市民対テクノロジー」(The People vs Tech)ですが、その「戦い」とはどんなものですか? また、副題は「インターネットが民主主義を殺す」ですが、本当にそうなのでしょうか。 バートレット氏:言葉を介さない静かな戦争が、デジタル技術と民主政体との間に起きていると思います。インターネットを制し、究極的に社会を動かしているのは、一体誰なのか。(シリコンバレーの)デジタル企業や民間企業なのか、それとも、民主的に選ばれた政府なのか。 民主的に選ばれた政府は、この戦いに勝たねばなりません。しかし、政府の動きは非常に遅く、政治家の顔ぶれも数年で変わります。民主主義が苦戦している相手は、資金もあり、動きの早いテクノロジー企業です。ただ、この一年で反撃は始まっているとも感じます。 意図せずに、インターネットは民主主義を殺していると思います。ネットは民主主義にとって非常に良い側面もあります。表現の自由や、新しい思想、情報へのアクセスなど、これも民主主義には大切なことで、疑問の余地はないでしょう。 問題は私たちが「ネットは情報を提供する、市民のためのプラットフォームだ」と、その恩恵にのみ目を奪われていることです。民主主義はそれ以上に、健全に機能している政府や、法が保たれ、政府が決めた事が実行されていると、人々が自信を持てるものでなくてはなりません。 強く健全なメディアや、人々が、きちんと情報を得た上で、互いを罵ることなく議論ができること。政治家から得たものは、規制に基づき信頼できると思えること。これらは全て、民主主義を形作るものですが、インターネットがそれを破壊しています。これが見えないのは、ゆっくり(としたプロセス)であり、つまらないことだからです。私たちは表現の自由に目隠しをされ、結果として、人々が信頼できる民主主義がゆっくりと壊されている、より大きな事態が見えていません』、「強く健全なメディアや、人々が、きちんと情報を得た上で、互いを罵ることなく議論ができること。政治家から得たものは、規制に基づき信頼できると思えること。これらは全て、民主主義を形作るものですが、インターネットがそれを破壊しています」、確かに「インターネット」の負の側面がより明確になってきたようだ。
・『歴史的に既得権益がテクノロジーを乗っ取ってきた  Q:「アラブの春」が始まった2010年ごろ、インターネットは政治資金を持たない民衆にも民主革命を起こすことのできる「素晴らしいツール」だともてはやされました。 バートレット氏:その通りです。2010-11年頃は皆が、インターネットは人々に声を与え一つにする、民主化のツールだと楽観視していました。それはとても単純な見識だったのです。プラットフォームを作るだけで人々が動くーー表面的には素晴らしいことですが、全く誤った認識です。いずれ政府や軍、ハッカーなどが、自分たちの権力を強化する、あるいは他者を陥れ、介入・干渉するツールとして利用することは、明白でした。 不運にも、シリコンバレーの人々は、テクノロジーの力を盲信するあまり、こうした可能性に、全く無頓着だったのです。歴史を多少なりとも学べば、こんなことは火を見るより明らかでした。強大な国やグループ、既得権益がこうしたテクノロジーを乗っ取ることは、既に繰り返されてきました。2011年から2016年にかけ、こうしたテクノロジーに対して世論は「自由をもたらす、素晴らしいもの」から、「民主主義を脅かすもの」に変わりました。 Q:大胆な言い方をすると、こうしたテクノロジーは「デジタル洗脳」を可能にした、ということなのでしょうか。 バートレット氏:1990年代の大いなる仮説では、人々がより多くの情報、そして、他者と繋がる機会を得れば、民衆はより賢くなり、また政治家自身も、民衆との繋がりや、新しい知識を得ることで、より洞察力が深まると思われていました。これは、短絡思考の最たるものだったでしょう。 人々に、ブログやチャート、意見やニュース記事など、しばしば全く矛盾した情報を流し続け、情報過多にすることは、感情的な反応を呼び起こすだけです。思考をきちんと処理し慎重に考察する時間や、意見の異なる人と、きちんとコミュニケーションをとる時間すらありません。全て「相手が間違っている」と一蹴する、あるいは「自分と相手のテリトリー」を区分けし、他者と戦い続けるのです。 これはある意味「洗脳」であるかもしれませんが、意図されたものではなく「デジタル雪崩」の産物であると言えるでしょう。人々は、これだけ多くの情報に対処しきれないのです。だからこそ、昨今の政治は不運にも知識を欠き、より感情的で二極化されています。約束された世界とは、真逆の事態に陥っています。 Q:現状の民主主義は「アップグレード」が必要な時期だと言うことなのでしょうか。 バートレット氏:消費者としての私たちの生活は、「インスタグラム化」しているのに、市民としての民主主義は、未だに写真屋に金を払い、ゆっくりと写真を現像しているようなものです。市民がますますポピュリズムに傾倒している理由の一つは「問題がすぐ解決され、欲しいものは即座に手に入り、妥協の必要など一切ない」といったことが約束されるからです。現在の私たちの生活に合致しているのです。 ポピュリストや独裁主義者らは文化的に、世界の現状に即しています。民主主義国家や主流政党は、これまでと全く異なる時代に、どうやって民主主義自体を再生し、機能させるかを考えるべきでしょう。民主主義以外の全てのことが、変化しているからです。私たちを囲むテクノロジーから完全に立ち遅れている政府形態が存続し続けるために、残された時間はほとんどないでしょう。 簡単な解決法もあります。まず、選挙法を時代に即したものに改定すること。デジタル広告は、テレビ広告と同様の規制をかけ、同時にデジタル以外の広告同様に、資金投入の上限を設定するのです。こんな単純なことでさえ、まだ実行されてはいません。(後編に続く)』、「市民がますますポピュリズムに傾倒している理由の一つは「問題がすぐ解決され、欲しいものは即座に手に入り、妥協の必要など一切ない」といったことが約束されるからです」、というのは、ネット右翼の隆盛にも通じるようだ。

次に、この続きを、昨年10月9日付け日経ビジネスオンライン「ターゲット広告全盛、日本の国民投票は大丈夫か 「操られる民主主義」の著者、ジェイミー・バートレット氏に聞く(後編)」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/100500021/100100023/?P=1
・『デジタルが民主主義を壊す――。米国のトランプ大統領選出や、英国のEU離脱を決定づけた民主的プロセスは、有権者を狙い撃ちにしたデジタルキャンペーンにより歪められた。そんな論争が、英国で巻き起こっている。日本の有権者は、大丈夫か。私たちが日々何気なく利用しているデジタル機器やSNSに流す情報が不正に収集され、社会を壊していたとしたら。前編ではこの問題に取り組む英国人ジャーナリストのジェイミー・バートレット氏に、これまでの経緯などを聞いた。引き続き、個人情報の流出の怖さや、民主主義崩壊を防ぐため、市民レベルで何ができるのかを聞く』、興味深そうだ。
・『Q:デジタル技術の有効性は、実証が非常に難しいとも言われています。 バートレット氏: 無論、有効性を実証するのは困難です。しかし、広告業者は数十億ドル規模の資金を投じています。フェイスブックやグーグルなどの収益のほとんどは、ターゲット広告による収入です。つまり、これが有効であることを知り、信じてもいるということの証です。 同じ広告を数百万人に流すテレビ広告よりも、一人ひとりに数百万の異なる広告を流すことの方が、一般的に有効になっていきます。人々が不安を感じている時など、最適なタイミングで働きかければ、当然より良い結果が出るでしょう。もちろん、常に万人の思考を変えるということではありませんが、政治家は、格好のターゲット・有権者を、最適な状態とタイミングで捉えるチャンスを得られるようになる、ということです。 数千人、あるいは数万人の有権者を取り込むことができれば、僅差の選挙の場合、それは大きな意味を持ちます。政治家による市民との対話の形も変わり、全く新しい形の政治になるでしょう。長期的には、とても不健全だと考えます。政治家が人々の声に耳を傾け語りかけるのではなく、データを使って、人々の弱点を見極め、そこをつくという方式です。 Q:こうした広告企業と、統治する側、つまり政権が手を携えてしまった場合、どんなことが起こりますか? バートレット氏:企業がデータ収集するだけでも問題ですが、政府が企業と共同で行ってしまっては、一体誰が止められるというのでしょう。政府はより洗練された個々人のデータを取得することになります。 政府の批判を許さない政権が、こうした詳細なデータを基に先手を打って、政権へのトラブルを起こす人物をはじき出したとしたら、どうなると思いますか。当局や警察が、常に全ての人を追跡、行動を把握し、何も悪いことをしていないのに、アルゴリズムが「彼らはトラブルを起こす」と判定したと言う理由で、事前に逮捕してしまったとしたら』、「政治家による市民との対話の形も変わり、全く新しい形の政治になるでしょう。長期的には、とても不健全だと考えます。政治家が人々の声に耳を傾け語りかけるのではなく、データを使って、人々の弱点を見極め、そこをつくという方式です」、本当に恐ろしい時代がそこまでやって来ているようだ。
・『前例のない権力を政府に渡すことになる  SFの世界のことのように聞こえるかもしれませんが、このままの状態で進めば、そう先の未来のことでもないでしょう。中国などでは、すでに民間企業と政府が共同で、得られる限りの市民のデータを取得しています。それはある種、犯罪を減らし、サービスをより早く提供できる、効率的な社会を作るかもしれませんし、人々はこれを歓迎するかもしれません。しかし同時に、前例のない権力を政府の手に渡すことに繋がります。 Q:広告業界は、この事態をどう捉えていると感じますか。 バートレット氏:まず、大手プラットフォーム(SNSなど)の資金源は広告収入です。それはSNSではなく、広告企業だと捉えた方が良いでしょう。そう捉えると、彼らの使命は最初から「あなたが自分を知っているよりも、より深くあなたを理解すること」だと言うことがわかります。 何があなたの気分を害し、怒らせたりするのかを知ることで、頭の片隅にあるスイッチを入れ、特定の商品を選ばせる。これが彼らの運営の、最優先の原則です。彼らは主に「あなた」を知ることに興味があります。こうしたプラットフォームでスキャンダルが起きて、相当数の人たちが倫理性を問いボイコットをすれば、企業は対処もするでしょう。しかし、彼らの至上命題は「あなたをどう動かすか」ということですから、大規模なデータ収集作業は、今のビジネスモデルでは止めることはできませんし、止まりません。だからこそ、規制が必要なのです。 Q:ビジネスモデルは変えられるものでしょうか。 バートレット氏:難しい問題です。皆が広告をクリックするのをやめたり、広告ブロッカーを使い始めれば、ビジネスモデルを変えざるを得なくなるでしょう。プラットフォームに月額2ドル支払うなど、何らかの購読形態に移行したり、グーグルを利用するならば、1セント以下のほんのわずかな金額を支払う、などということです。長期的な未来には実現するかもしれず、それは社会にとって、より良いことかもしれません。 1990年代、こうしたプラットフォームの資金をどう獲得するかという点について、熟慮の末、情報が無料で全ての人に提供されることが、最も民主的であると判断されたのです。不運なことは、この判断が広告に頼ることにつながってしまったことです。不思議なことに、誰もこんな事態を招くとは想像もしていなかった。私は、オンライン上で人々が、より多く金を払って(情報を得る)モデルに逆戻りするのではないかと予測します。 あるいは現在、多くのスタートアップ企業が「フェイスブックやグーグルは、毎年巨額を稼いでいる。ユーザーが少額、支払いを受けるようなサービス形態に移行したらどうか」と言う動きを見せてもいます。すでに、ユーザーが使用するごとに、お金が支払われるサーチエンジンも存在します。一定数の人たちがこれを利用し始めれば、現在のビジネスモデルを破壊することが可能でしょう。 Q:今後、例えば5年間で何も対策を講じなければ、どんな事が起こると思いますか? バートレット氏:政治は急速に変化し、人々が5年前に不可能だと思って来たことが、既に実現し始めています。誰も、現在の政治状況を予測してはいませんでした。公開討論が、こんな悲惨な状態になり、選挙戦に関する人々の怒りや、(外国からの)介入も起きています。次の5年間には、更なる問題が巻き起こるでしょう。 労働市場に顕著な崩壊が起きていますし、それによる憤りや怒りの高まりに、私たちは備えきれていません。より多くのデータが作られ、政治家がそれを利用し、個人を狙った広告戦略を展開するでしょうし、外国勢力からの介入は、改善するどころか悪化するでしょう。 突然民主主義が崩壊し、無政府状態になるということではなく、独裁者が現れ「全てのことが崩壊しつつあるようだ。全てを保つために、強いリーダー、強い政府が必要だ」と発信し、「この状態を打開するために、デジタル技術が必要だ」と主張する土壌を作るでしょう。新しい権威主義の波が起こります。 私が恐ろしいと思うのは、5年後、もしかすると人々自身がそれを望み、その主張に票を投じるかもしれない、と言う事です。安定と利便性を、崩壊と困難よりも望むかもしれません。民主主義は人々の積極的な意思によって、消滅するかもしれません。これは1930年代、民主主義が破壊的な、わかりやすい状況で壊れたこととは違います。混乱ではなく安定を約束する強固な権威主義者たちを、人々が民主的に選ぶプロセスで起こるのです』、「独裁者が現れ「全てのことが崩壊しつつあるようだ。全てを保つために、強いリーダー、強い政府が必要だ」と発信し、「この状態を打開するために、デジタル技術が必要だ」と主張する土壌を作るでしょう。新しい権威主義の波が起こります。 私が恐ろしいと思うのは、5年後、もしかすると人々自身がそれを望み、その主張に票を投じるかもしれない・・・民主主義は人々の積極的な意思によって、消滅するかもしれません」、恐ろしい未来シナリオだ。
・『政府自体が市民に対する保護もなく、情報収集できることになる  Q:難しいのは、規制と表現の自由のバランスかとも思います。 バートレット氏:唯一の正しい答えはありません。今大きな議論となっているのは、(SNSなどの)プラットフォームを、法的な責任を持つ、新聞社のような出版業者とみなすのか、現状のまま、ユーザーが責任を有し、プラットフォーム自体はコンテンツに法的な責任を持たず、中立な存在とし続けるのかというものです。 90年代にまだ比較的存在が小さかった頃に機能していたとしても、現在はこれで公正なのでしょうか。今は、プラットフォームをそのままにしておいても大丈夫だと思いますが、当局から「コンテンツを削除せよ」と、法的な令状と共に命じられた場合、それを即座に、効率的かつ透明性を持って行わせる法律が必要です。法的に、公的な場で発言される内容について、当局がなんらかのコントロールをしなければなりません。 このことは、問題も引き起こします。英国では表現の自由が固く信じられています。英国内での法について、私は安心していますが、その他の国の状況には不安を感じます。他国が決めることですが、難しい問題であることに変わりはありません。 Q:日本では、政府の要望に応え得る広告企業も存在しますし、また、国民投票において、英国での選挙法のような、広告に関する資金投入の上限が存在しません。 バートレット氏:非常に危険なことだと思います。普通は、政府に市民の情報を常に収集させない、つまり、政府の力から市民を守る法律が存在します。できるとしても制限が存在するはずですし、令状など、裁判所からの法的な書類が必要です。 このことは、専制政治から人々を守るため、民主主義国家においての基本であるはずです。しかし、民間企業は令状や、市民を守る法的根拠など必要としません。こうした企業が個人情報を収集した挙げ句、それを政府に渡してしまっているとすれば、政府自体が市民に対する保護もなく、情報収集できることになります。 私は、人々がどれほど無防備に自分たちの情報をさらけ出して、またその情報が、どれほど政府にとって重要なのかに気づいてもいないと感じます。政府は常に、市民の情報を欲しています。初めは「人々を犯罪行為から守りたい」などという良い理由で始まり、徐々に、スピード違反をさせないとか、ゴミの分別を徹底するためだとか、政府が市民のことを知らなければならない理由が、どんどん増えていくのです。 やがて、政府がより中央集権的、革新的、独裁主義的になった場合、旧東ドイツのシュタージ(秘密警察)が大喜びしたであろう個人情報の山を手にすることになります。私たちは、そのことに気づきもせず、いつの間にか情報を提供してしまっているのです。 Q:情報を安易に提供しないために、日本の市民にもできることはどんなことですか? バートレット氏:まずお伝えしますが、それはとても困難です。私たちが常にデータを提供しているサービスは、非常に便利だということがまず一つ。私たちが好み、利用を楽しむからこそ、これらのサービスは成功しているのです。ある商品の利便性に慣れ、日々生活が楽になってしまえば、それらの利用をやめるのは、困難です。 しかし、結果として市民は、部分的にこの状況に加担していることを認識すべきです。私たち自身が、私たちに関するより精巧な型を作る「データ・マシーン」に情報を提供しているということなのです。何にクリックし、シェアし、どのサービスを利用するのか、どのデータを教えてしまうか。これらは、私たち自身が答えなければならない、道義的な質問です。市民自身が、自分のプライバシーについて責任を持つ。何の疑問もなく個人情報をさらけ出すことの意味を考え、利用規約を読む。 また、ある特定のサービスにのみ情報を独占させないために、いくつか異なるサーチエンジンを利用することです。利便性には欠けるかもしれませんが、これが私たちの民主主義を健全に保つための代償かもしれません』、「市民自身が、自分のプライバシーについて責任を持つ。何の疑問もなく個人情報をさらけ出すことの意味を考え、利用規約を読む。 また、ある特定のサービスにのみ情報を独占させないために、いくつか異なるサーチエンジンを利用することです」、正論ではあるが、面倒そうだ。
・『故意にプラットフォームを混乱させることも有効  Q:プラットフォームを故意に混乱させることも、有効だとおっしゃっていましたね。 バートレット氏:そうです。私たちについて作られた精巧な「型」は、私たちが最も大切にする思いや不安、希望などをシェアした結果作られたものです。ですから、時にシステムを混乱させてみることです。本当は好きじゃないものに「いいね!」をつける。信じていないことを投稿してみる。自分の年齢を偽ってみる、と言った具合に、「型」を困らせるのです。 Q:日本では個人データの流出がここまでの弊害をもたらすとはまだ広く知られていませんし、直接政治的な影響も受けていないため、危機感が高いとは言えません。 バートレット氏:世界情勢がどんなに変わり、いかに危険な状況にあるかは明白でしょう。どんな民主主義国家であっても、自分たちには関係ないと思う人たちは、自分たちを騙しているに過ぎません。まさかこんなことが米英や欧州各国で起こるとは思われていませんでしたし、皆、自分に火の粉が降りかかるまで「自分たちは大丈夫だ」と思っているのです。 自分たちの膨大な情報を通じ、ほんの一握りの企業、そして、究極的には政府に、力と支配を譲り渡してしまっているのかもしれません。物事は次第に、気づかないうちに悪化するでしょう。だからこそ、危険の存在や変化の度合いを知ることは重要です。民主主義とは、当たり前に存在するものではないのです。人間がどう共存するかという「短期的な実験」なのですから。 簡単に、消え去ってしまうかもしれないものだからこそ、慎重に守られねばなりません。この5~10年、それ以前に比べ、世界は民主的ではなくなってきています。これが、私たちが現在たどっている道筋なのです。これに気づき、何かをしなければ、20年後には民主国家がいくつ生き残っているでしょうか。恐ろしいことに、そうなってしまったが最後、もう元へは戻れないのです。 Q:日本はこれから、改憲に向けた国民投票が予想されています。現存の国民投票法で、ターゲット広告などに対応できるとは言えません。 バートレット氏:日本で国民投票が実施されれば、米英やその他の国で有効だったテクニックが恐らく使用され、問題にもなるでしょう。こうしたテクニックは、データ・アナリストのチームによって、世界的に提供され、共有されています。有効だと証明されれば、政治家はこれを利用するでしょう。 同じような技術が日本の国民投票で使われ、これまでと同様の現象や論争が起きたとしても、不思議はありません。その時になって、ようやく対岸の火事ではないことに気づくかもしれませんね。 業者から「クリック率を25%あげましょう」「広告ターゲットをより効果的に行います」「この国民投票で勝つために55歳以上のターゲットをお望みですか。データをもらえれば、有効なメッセージで彼らを狙う方法を教えましょう」と働きかけられながら、その技術を使わない政党は、時代遅れです。 Q:現状、人々は無防備ですね。 バートレット氏:今はそうですが、段々とやらなければならないことがわかってきています。まず、いくつか痛い思いをして、それから規制の必要性がわかるのかもしれません』、「民主主義とは、当たり前に存在するものではないのです。人間がどう共存するかという「短期的な実験」なのですから。 簡単に、消え去ってしまうかもしれないものだからこそ、慎重に守られねばなりません」、確かにその通りだろう。「国民投票」にもきちんとした規制が必要なようだ。

第三に、ジョージタウン大学准教授のカル・ニューポート 氏が本年10月21日付け東洋経済オンラインに掲載した「「フェイスブック」から抜け出す具体的方法 デジタル・ミニマリストになるには」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/309070
・『「やらなきゃいけないこともやりたいこともたくさんあるのに、SNSがとまらない……」。そんな中毒から今度こそ抜け出し、本当に大切なことに集中する「デジタル・ミニマリスト」になるには。NYタイムズ・ベストセラー『デジタル・ミニマリスト』の著者であり、テック界の「こんまり」として全米メディアで話題のコンピューター科学者が指南する』、「デジタル・ミニマリスト」とは興味深い。
・『もしもフェイスブックが課金制だったら?  あなたはフェイスブックを利用しているだろうか。そのサービスにどんな価値を見いだしているのか、主立ったものを箇条書きで挙げてみてほしい。どうしてもフェイスブックを退会しなくてはならなくなったとして、手放すのが惜しいと思うのはどの機能だろうか。 そのリストができたら次に、フェイスブックが1分ごとの課金制になったと想像してみよう。ごく普通の1週間に、リストに挙げたフェイスブックに欠かせないと思う機能のそれぞれについて、実際にどの程度の時間を費やしたいだろうか。 大半の人の答えは意外なほど少ない。平均すると20分から30分といったところだ。 ところが、フェイスブックの平均的なユーザーは、フェイスブック関連サービスに週350分を費やしている。つまり、計算を働かせながら利用すれば、フェイスブック関連のサービスに費やす時間はユーザー平均の11分の1から17分の1で済むということになる。 誰もが同じようにフェイスブックの利用について功利主義的に考えるようになれば、広告会社に販売できる“凝視時間(アイボール・ミニッツ)”は1ケタ減り、フェイスブックの最終利益は大打撃をこうむる。投資家はそっぽを向き(ここ何年か、フェイスブックの四半期売り上げが数%減少しただけでもウォール街の不安を煽っている)、フェイスブックは現在のような業態ではとても生き残っていけなくなるだろう。 だからこそ、ソーシャルメディアの大企業は、サービス内をあてどなく動き回るような利用へとユーザーを向かわせるために、莫大な資金を投じているわけだ。 逆に言えば、フェイスブックなどの企業がもっとも恐れている“利用法”は、多種多様な無料サービスを入念に吟味し、最大のメリットを受け取れるような方法ということになる。そしてこれこそ、私の提案する「デジタル・ミニマリズム」の神髄である。 デジタル・ミニマリストは、自分が心から大事にしていることを基準に利用すべきテクノロジーを選び、注意散漫の元凶たる新しいテクノロジーを充実した人生を支えるツールへと変貌させる。多くの人がますますスクリーンにコントロールを奪われていると感じ始めている中、デジタル・ミニマリストはその呪縛から解放されている。 ここで注目したいのは、デジタル・ミニマリストの哲学は、世の中の大多数の人がとくに何も考えずに採用しているマキシマリスト的な哲学、すなわち、新しいテクノロジーが目にとまったとき、それにほんのわずかでもメリットがありそうなら取りあえず使ってみようという姿勢とは好対照をなしていることだ。 マキシマリストは、どれほど些細な事柄であろうと、面白そうなこと、価値のありそうなことを自分や周囲が見逃すかもしれないと考えただけで不安になる』、「デジタル・ミニマリストは、自分が心から大事にしていることを基準に利用すべきテクノロジーを選び、注意散漫の元凶たる新しいテクノロジーを充実した人生を支えるツールへと変貌させる。多くの人がますますスクリーンにコントロールを奪われていると感じ始めている中、デジタル・ミニマリストはその呪縛から解放されている」、素晴らしい生き方のようだ。
・『チャンスを見逃しても気にしない  実際に、私がフェイスブックを一度も利用したことがないという事実を公言し始めたとき、仕事で付き合いのある人たちは、まさにそのマキシマリスト的な理由から驚愕した。 そして驚かれるたびに私は「どうしてフェイスブックを使うべきだと思います?」と尋ねる。「どうしてと言われても困るけれど」と彼らは答える。「でも、何か役に立ちそうな情報があるのに、それを見逃しているかもしれないでしょう?」。 この意見は、デジタル・ミニマリストの耳にはばかげたものとして届く。なぜなら、理想的なデジタル・ライフとは、具体的なメリットを最大限に享受できるよう、自分が使うツールを意識的に取捨選択することで作るものと考えているからだ。 彼らは、自分の時間と注意を無意味に削り取ったあげく、役立つどころか損失をよこしてくるような価値の低い活動を極度に警戒する。要するに、小さなチャンスを見逃しても気にしない。それよりも、人生を充実させると確実にわかっている大きな事柄をないがしろにすることのほうを恐れるのだ』、私もフェイスブックに登録はしてあるが、殆ど利用してない。しかし、ここではフェイスブックをインターネットを包括する概念として使っているようだ。私もその他のネットは大いに活用している。
・『次に、デジタル・ミニマリストに移行するための最善のプランを示そう。私の経験からいうと、習慣をちまちまと変えていく方法は成功率が低い。注意経済(アテンション・エコノミー)が提供する製品は人の注意を引きつけることに特化しており、またその便利さも摩擦抵抗となって、それから逃れようとするあなたの力を弱めるからだ。気づくとあなたは、スタート地点に逆戻りしているだろう。 だから、一気に移行してしまうことを勧めたい。十分な決意を持って、短期間のうちにやり遂げてしまう方法だ。このほうが成果は長続きする。これから提案する短期決戦のプロセスを、私は“デジタル片付け”と呼んでいる』、「“デジタル片付け”」とは面白いネーミングだ。
・『ボランティアに1600人が参加  これは家の大掃除のようなものだ。長年ためこんできた注意をそらすツールや習慣性のある行為をまとめて処分し、その代わりに、より意識的な行為をミニマリストらしく最適化した状態で呼び戻し、それまで生活から締め出されがちだった大事なことを中心に据え直す。 2017年12月初旬、私は自分のメーリングリストの購読者に向け、デジタル片付けの基本的なアイデアを要約したメールを送った。「来年1月にデジタル片付けを試し、進捗を報告してくれるボランティアを募集しています」と。手を挙げてくれる勇敢な読者は40人から50人くらいだろうと思った。ところがその予想は大きくはずれた──1600人を超える読者が参加してくれたのだ。私たちの集団実験は、全国紙でも取り上げられた。 デジタル片付けの3つのステップを、実験参加者の体験例とともに示そう。 ステップ1:30日のリセット期間を定め、かならずしも必要ではないテクノロジーの利用を休止する。 必須ではないテクノロジーと切り離された生活は、初めはつらい。気晴らしや娯楽があるのが当たり前になっているのに、必須ではないテクノロジーを日常生活から取り除くと、その期待が満たされなくなってしまうからだ。人によってはこの状態を不快に感じるかもしれない。 しかし集団実験の参加者の多くは、そういった不快な感覚は1週間から2週間で消えたと報告した。 若い経営コンサルタントのダリアもやはり、実験開始から数日の間、無意識のうちに携帯電話を取り出してはSNSやニュースのアプリをすべて削除してしまったことを思い出すという行動を繰り返していたという。携帯電話に残っていた、最新情報を確認できる唯一のものは天気予報アプリだった。 「初めの1週間、3つから4つの都市の1時間ごとの天気予報をいつでも把握していました」。何かを閲覧したいという衝動は、無視できないほど強かった。それでも、2週間後の様子をダリアはこう報告している。「(ネットで何かをチェックしようと思うことは)ほとんどなくなりました」。 ステップ2:この30日間に、楽しくてやりがいのある活動や行動を新しく探したり再発見したりする。 デジタル片付けを単なるデトックスと考えてはいけない。デジタル片付けの目的はテクノロジー利用を一時的に休むことではなく、あなたのデジタル・ライフを永続的に変えるきっかけを作ることだ。デトックス期間はその変化を助けるステップの1つにすぎない』、「何かを閲覧したいという衝動は、無視できないほど強かった。それでも、2週間後・・・「(ネットで何かをチェックしようと思うことは)ほとんどなくなりました」、習慣化したものを止めるには、確かに時間も必要なようだ。
・『デジタル“以外”の楽しみを見つける  そう考えると、期間中は自分が決めたテクノロジー利用のルールを守るだけではすまない。デジタル片付けを成功させるには、常時オンの光り輝くデジタル世界の外に、これは大事だと思えること、楽しいと思えることを再発見しなくてはならない。さらにいえば、リセット期間が終わってテクノロジーの再導入を始める前に、それを見つけておくことが極めて重要になる。 ここで明るいニュースを1つ。私の集団実験の参加者は、スクリーンのとりこになる以前に親しんでいた活動を意外なほどすぐにまた楽しめるようになったことだ。 大学院生のウネイザは、夜の時間を、いつもレディット(ニュースサイト)を眺めるのに費やしていた。リセット期間中は学校や近所の図書館から借りた本を読むことにした。「そのひと月で8冊を読み終え、9冊目に取りかかりました」。ウネイザはそう報告した。「そんなにたくさん本を読むなんて、実験前は考えたことさえありませんでした」。 クッシュブーはリセット期間中に5冊読み終えた。これは彼にとって大きな成果だった。自分の意思で本を選んで読むのは3年ぶりだったからだ。また、絵を描いたり、コンピュータープログラムを組んだりといった趣味も再開した。「絵もプログラミングも、前はあんなに好きだったのに、大学に入って以来、遠ざかってしまっていました。そんな時間はないと思いこんでいたんです」。 ケイレブは、主体的に取り組めそうなアナログな活動を探した結果、毎日就寝前に日記を書いたり読書をしたりするようになった。ほかにも、レコードプレーヤーでレコードを頭から終わりまで聴くようになった。イヤフォンは使わない。ちょっと退屈になってもその曲を飛ばすボタンもない。これまでは、音楽配信アプリのスポティファイを起動してそのときの気分にぴったりの曲を探していたが、レコード1枚をじっくり聴くほうがずっと豊かな経験であることに気づいたのだという。 ステップ3:休止期間が終わったら、まっさらな状態の生活に、休止していたテクノロジーを再導入する。その1つひとつについて、自分の生活にどのようなメリットがあるか、そのメリットを最大化するにはどのように利用すべきかを検討する。 デジタル・ミニマリストは、生活の中のいつ、どのような場面でデジタル・ツールを使うかを定めたルールを守ることで企業の戦略に対抗する。ミニマリストは、「友達との距離が縮まるからフェイスブックを使う」とは言わない。 代わりにもっと具体的に言う。たとえば「親友や家族の様子を知るために、毎週土曜日、パソコンを使ってフェイスブックにアクセスする。携帯電話にはフェイスブック・アプリを入れない。友達リストには、意義ある関係を築いている人だけを残した」と言う』、「デジタル・ミニマリストは、生活の中のいつ、どのような場面でデジタル・ツールを使うかを定めたルールを守ることで企業の戦略に対抗する」、なるほど。
・『一日中ニュースを見ていた習慣を変えた  電気技師のディーは、自分がどれだけ頻繁にネットで最新ニュースをチェックしていたか、リセット期間中に実感して驚いたという。しかもそういったニュースは彼をひどく不安にさせていた──とくに政治色の強い記事を読んだ直後は。「(リセット期間中は)ニュースを見るのをいっさいやめました。すごくいい気分でした」とディーは話す。「“無知は幸い”とよく言いますが、場合によっては本当にそうですね」。 リセット期間を終えたところで、ニュースをこのままずっと遮断するのは現実的ではないが、かといってメールで数十種類のニュースレターを受け取ったり、強迫的に最新ニュースをチェックしたりするのは、世の中の動きに通じていたいという彼の希望を叶える「最善の」方法ではないと感じた。 そこでデジタル片付け後は、AllSides.com というウェブサイトを日に1度だけチェックすることにした。このサイトでは、重要なニュースを報じた記事を3本、公平に選んでリンクを張っている──それぞれ政治的左派、右派、中道の記事だ。この体裁であれば、最近の政治ニュースが発する感情的なオーラが薄まって、ディーは不安をかき立てられることなく世間の動向を知ることができる。 ロンドン在住で、旅行業界で働いているというアビーは、スマートフォンからウェブブラウザを削除した。これはかなり思い切った対策だ。「何でもかんでもすぐに答えがわからなくても構わないと思ったんです」。そして昔ながらの紙のノートを購入して、地下鉄で退屈したときなどにアイデアを書き留めるようにした。 コンピューター・エンジニアのロンは、日常的にチェックするウェブサイトを2つに限定した。以前は40を超えるサイトを毎日巡回していたというから、大きな前進だ。 レベッカは、腕時計を購入して日々の生活の質を向上させた。上の年代の人はそんなことでと疑問に思うかもしれないが、レベッカのような19歳の若い女性にとっては大きな意識改革だった。「非生産的なウサギ穴に吸いこまれてしまうきっかけの75%は、時刻を確かめたくて携帯電話を取り出すことだと気づいたんです」。 意識的な決断を心がけて慎重に再導入を行えば、あなたもデジタル・ミニマリストの仲間入りだ』、退職して時間を持て余している私にとっては、苦労して「デジタル・ミニマリスト」になる必要はなさそうだ。ただ、読者のなかには必要がある方々には、この記事が参考になってくれることを祈っている。
タグ:東洋経済オンライン 米大統領選挙 ソーシャルメディア 日経ビジネスオンライン ジェイミー・バートレット 伏見 香名子 ケンブリッジ・アナリティカ (その4)(狙われる有権者たち デジタル洗脳の恐怖 「操られる民主主義」の著者 ジェイミー・バートレット氏に聞く(前編)、ターゲット広告全盛 日本の国民投票は大丈夫か 「操られる民主主義」の著者 ジェイミー・バートレット氏に聞く(後編)、「フェイスブック」から抜け出す具体的方法 デジタル・ミニマリストになるには) 「狙われる有権者たち、デジタル洗脳の恐怖 「操られる民主主義」の著者、ジェイミー・バートレット氏に聞く(前編)」 英国の「EU離脱を問う国民投票」の結果に驚愕し 「ビッグ・データ」を使用したデジタル操作が行われたのではないか、との論争 民主プロセスにおける「デジタル洗脳」 現在とは全く異なる時代に構築された、古いスタイルの民主主義と、新しいデジタル技術とが、相容れない 既存のシステムは時代遅れで機能不全 世界の誰にでも、個人をターゲットにし、その人以外の目には触れない広告が打てるようになりました。選挙そのものの正当性が問われることになった 「考えを議論する」政治とは全く異なり、誰が最も有効なデータを持っているか、最も有効に標的を射止めることができるのか。そして、誰が最も説得力のあるメッセージを提供し、候補者につなぐことができるのか。こうしたことに尽きる 通常の広告は、テレビや広告板、新聞などに掲載する場合、内容について厳しい規制が存在 インターネット上、個人に向けたターゲット広告の場合は、ほぼ何でも伝えることができます。しかも、他者には見えないため、信ぴょう性をチェックすることができません 私たちの政治の行き着く先は、人間の手が加えられない、全く規制当局が目にすることのできない、非常に扇動的かつ自動化された広告が流されることかもしれません “インターネットが民主主義を殺している” (ロシアは)インターネットを使い、米国の選挙介入にも成功 「市民対テクノロジー」(The People vs Tech) 副題は「インターネットが民主主義を殺す」 歴史的に既得権益がテクノロジーを乗っ取ってきた 市民がますますポピュリズムに傾倒している理由の一つは「問題がすぐ解決され、欲しいものは即座に手に入り、妥協の必要など一切ない」といったことが約束されるからです 「ターゲット広告全盛、日本の国民投票は大丈夫か 「操られる民主主義」の著者、ジェイミー・バートレット氏に聞く(後編)」 前例のない権力を政府に渡すことになる 政府自体が市民に対する保護もなく、情報収集できることになる 故意にプラットフォームを混乱させることも有効 カル・ニューポート 「「フェイスブック」から抜け出す具体的方法 デジタル・ミニマリストになるには」 やらなきゃいけないこともやりたいこともたくさんあるのに、SNSがとまらない 『デジタル・ミニマリスト』 もしもフェイスブックが課金制だったら? チャンスを見逃しても気にしない “デジタル片付け” デジタル片付けの3つのステップ ステップ1:30日のリセット期間を定め、かならずしも必要ではないテクノロジーの利用を休止する ステップ2:この30日間に、楽しくてやりがいのある活動や行動を新しく探したり再発見したりする デジタル“以外”の楽しみを見つける ステップ3:休止期間が終わったら、まっさらな状態の生活に、休止していたテクノロジーを再導入する 一日中ニュースを見ていた習慣を変えた
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介護(その3)(中国の介護・高齢者市場で「日式介護」は本当に通用するのか、当たり前の「家族介護」が細るドイツ 共同生活へ舵を切った事情、介護へ転籍上等!叩き上げ損保マンを舐めるべからず) [社会]

介護については、5月5日に取上げた。今日は、(その3)(中国の介護・高齢者市場で「日式介護」は本当に通用するのか、当たり前の「家族介護」が細るドイツ 共同生活へ舵を切った事情、介護へ転籍上等!叩き上げ損保マンを舐めるべからず)である。

先ずは、7月2日付けダイヤモンド・オンライン「中国の介護・高齢者市場で「日式介護」は本当に通用するのか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/206895
・『中国の巨大な介護・高齢者市場には、日本の企業も相次いで参入している。介護は生活に密接し、極めて属人的な要素が強いサービス分野。日本の介護、日本企業が本当に成功できるのか。上海市で開催された中国最大級の介護ビジネス展示会、現地の介護関係者らを取材してみた』、興味深そうだ。
・『中国最大級の介護・福祉展示会が注目される理由  6月11日、中国・上海市――。「とにかく広い展示会場」として世界的に知られる上海新国際博覧中心の展示ホールのゲートが開くと、待ち受けていた大勢の人々がドッと流れ込み、会場内はあっという間に人混みであふれた。その展示会は「CHINA AID(チャイナ・エイド)」。 まるで「チャリティー・コンサート」を想像させる名称だが、もちろん違う。日本語表記では「中国国際福祉機器展」(上海市民政局主催、上海国展展覧中心有限公司運営)。年に1度、開催される中国最大級の介護・福祉関係の展示会である。 中国政府が力を入れる成長産業といえば、IT産業や自動車産業などが有名だ。しかし目立たないが、有力視されている産業がある。それが「養老産業」といわれる介護・高齢者向け産業である。 現在、中国は長年続いた「一人っ子政策」の反動により、猛烈な勢いで少子高齢者化が進んでいる。2018年末、中国の60歳以上の高齢者人口は2億4900万人を超え、2050年前後には5億人規模に達すると見込まれている。その市場規模は、試算する行政機関やシンクタンクによってさまざまだが、現在の潜在的規模で80兆~150兆円、20~30年後には300兆~500兆円規模と予測されている(ちなみに、日本の人口は約1億3000万人、うち65歳以上の高齢者は約3500万人)。 チャイナ・エイドは、現在、中国の介護ビジネス関係者の間では、「絶対に視察すべき展示会」といわれる。その理由は、2つ。 1つは多くの有力な介護ビジネス関係者が一堂に会するため、「最新の情報交換が可能」であるということ。もう1つは、年々、目まぐるしく変わる介護ビジネス環境の中で、「毎年、展示内容や話題のテーマを見れば、大きな流れや方向性がわかる」(日系企業の出展者)からだ』、「猛烈な勢いで少子高齢者化が進んでいる」なかでは、関係者には確かに必見の展示会なのだろう。
・『折しも、昨年から開催地の上海市で介護保険が導入されるなど、中国の介護ビジネスは大きな変革を迎えている。そんな中、2019年のチャイナ・エイドには日本企業も79社(共同出展含む)が出展している。これは5年前に比べると30社増えており、中国市場への参入を本気で考える日本企業が増えている証しでもある。 チャイナ・エイドの運営会社、上海国展展覧中心有限公司の項目総監の馬智〓(〓の文字は雨かんむりに文)氏は、近年の傾向として「外国企業の出展が目立つ」と語る。 「今年は日本以外では、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、イスラエル、スウェーデンなど合計20ヵ国・地域の企業が出展しています。特にドイツをはじめ、欧米勢の勢いがあります。サービス関連の出展は、アメリカ、オーストラリア、オランダが多くなってきています。日本は設計、コンサルなどの出展が増えました」 現地企業だけでなく、欧米企業もひしめく中、日本の介護事業者は巨大な中国介護市場を相手にどこまで食い込めるのか、その可能性について、チャイナ・エイドの出展関係者や上海周辺の介護関係者に話を聞いてみた』、「日本以外では・・・合計20ヵ国・地域の企業が出展」、競争は熾烈なようだ。
・『ほんの数年で大きく変わった中国ビジネスへの意識  「中国での介護ビジネスは簡単ではない」――。 実は、ほんの数年前に比べ、中国に進出する日本の介護事業者の「意識」は激変している。 当初、日本の介護事業者の多くが中国で想定したビジネスは巨大な老人ホームなどを開設して運営することだった。それが現在では「中国で日本企業は老人ホームの開設には、うかつに手を出さないほうがいい」という考えが定着しつつある。 その理由は明らかで、思うように入居者や介護スタッフが集まらず、撤退を余儀なくされたり、赤字続きの日系企業の老人ホームが相次いでいるからだ。 そもそも、これほど多くの日本の介護事業者が中国市場を目指すきっかけとなったのは、政府が推進する「介護の輸出政策」だ。 日本の介護ビジネスの経営環境が介護人材の不足や社会保障費の制約などで厳しくなっている中、2016年に政府や経済産業省が日本の医療・介護のノウハウや技術を輸出する「アジア健康構想」を打ち出し、2017年以降、成長戦略として「介護ビジネスの国際展開」を推進したことが背景にある。 これに加え、中国をはじめ、高齢化が進むアジア圏から多くの見学者が日本の介護施設を訪問し、「日式介護(日本の介護)は素晴らしい」ともてはやした。このため、「日式介護」という「日本ブランド」を掲げれば、大きな差別化につながるという考えがあった。 中国には最大手のニチイ学館をはじめ、野心的な介護事業者が次々と参入した。しかし、その多くは現地法人の整理・統合、契約・提携先の見直しを行うなど、中国事業には苦労している。まず「大成功」という話は聞かない』、日本政府が「成長戦略として「介護ビジネスの国際展開」」の旗を振ったとはいえ、「最大手のニチイ学館をはじめ、野心的な介護事業者が次々と参入した。しかし、その多くは現地法人の整理・統合、契約・提携先の見直しを行うなど、中国事業には苦労している」、というのは当然だ。
・『日本企業が中国の介護でダメな理由  日本企業が中国の介護ビジネスで失敗する理由は何か――。 現地で「日本企業が中国の介護でダメな理由」を聞いてみると、いくつか共通した回答が得られた。それは以下の3点に集約される。 (1)明らかな調査不足(立地条件の失敗など初歩的なミスが目立つ) (2)中国人の習慣や文化、嗜好(しこう)を十分に考慮していない(しかも、それは地域ごとに異なる) (3)コスト意識やビジネス感覚に乏しい(中国の事情に合っていない) 以下、関係者のコメントを紹介しながら、具体的に説明しよう』、「「日式介護」という「日本ブランド」を掲げれば、大きな差別化につながるという考えがあった」、なんと甘い考えで進出したものだ。
・『◎明らかな調査不足  これについては、中国と日本の介護事業に詳しい日中福祉プランニング代表の王青氏は「当初、中国に進出した日本企業は、立地条件が極めて悪い場所に老人ホームを開設したり、介護ビジネスの経験がない不動産会社やIT系企業をパートナーに選ぶなど、明らかに情報収集不足と思われる失敗が多かった」と指摘する。 特に介護施設では、立地は重要である。 上海紅日養老グループ董事長の陳琦氏は「介護施設の運営で重要なのは、何よりも立地、そして介護スタッフの確保です。中国の介護事業者もこの2つで苦労している。外国企業なら、そのハードルはますます高くなる。よほどいい現地のパートナーと組まなければ、成功は難しいでしょう」と説明する。 この紅日グループは、上海を中心に13もの老人ホームを運営する民間企業。これら施設は開業後半年で100%の入居率を誇り、中国でも人の出入りが激しい介護スタッフの離職率がわずか1%と「中国で最も成功している介護事業者」として知られる。 その成功要因は、まず、利便性が高い都市部という立地での開設。それから何よりも、農村部から出稼ぎで来た介護スタッフに対する「家族同様」の面倒見の良さと人材教育で介護スタッフのモチベーションを高め、介護サービスの質も向上させていることだ。結果的に、離職率も低くなり、利用者や介護スタッフも集まりやすいという好循環を生んでいる。 日本では、大型の高級老人ホームや利用料金が安価な特別養護老人ホームなどは広大な敷地が確保でき、土地代の安い郊外に開設されることが多い。このため立地について、あまり深く考えない日本の介護事業者が多かったのだろう。 しかし、中国では立地条件は、日本以上に利用者や介護スタッフの確保に大きく影響してしまう。ここで失敗すると、致命的となる』、「立地条件」1つとっても、日中間のギャップは想像以上に大きいようだ。
・『日本のやり方を押し付けても成功しない ◎中国人の習慣や文化、嗜好を十分に考慮していない  中国の介護施設や老人ホームを見学して、真っ先に日本との「違い」を感じるのは、入り口の受付周辺だ。中国の介護施設の受付は派手で立派である。介護施設の様子を見ても、かなり好みが違うことがわかる。 元々、バレーボールのプロ選手で大分県のチーム「大分三好ヴァイセアドラー」でも活躍し、現在は上海を拠点に介護施設の設計をしている王晨氏は、「例えば、トイレの位置について、日本では介護スタッフが作業しやすい場所に配置したりするが、中国人からすると方角的に『絶対にありえない場所』に配置したりする。 また高齢者であっても、生まれが1940年代、50年代、60年代では、全然、好みや習慣が違うので、入居者によって設計を考える必要がある」と指摘する。 設計についても「上海などの都市部では新築が難しく、既存物件の改築が中心となるため、防火対策や間取りの面で多くの制約がある。日本企業にとってはこうした面でもハードルが高い」という。 そもそも日本の介護では「残存機能の維持」「自立支援」といった、高齢者には自分でできることはなるべく自分でやってもらい、それをサポートするのが理想とされている。しかし、こうした考えはなかなか理解されないことが多い。 それをきちんと説明せずに、頭ごなしに介護スタッフに命じたり、利用者や家族に強要しても、トラブルになるだけである。 介護は生活に密着した「究極のサービス業」であり、しかも属人的な要素の影響も大きい。日本のやり方を強引に押し付けてもうまくはいかない』、サービス業である以上、その通りだろう。
・『◎コスト意識やビジネス感覚に乏しい  「日本の介護は素晴らしい。しかし、それは介護保険制度がある日本だからできること」――。こうした声は何度も聞いた。 日本は介護保険制度という公的サービスが導入されており、その収入を前提に介護ビジネスが行われている。介護保険は、中国でも上海市など一部の都市で始まっているが、カバーできる範囲も狭く、日本ほど手厚いものではない。 アジアの介護事情に詳しいデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーのアドバイザー、細見真司氏は「そもそも日本では、介護は『ビジネス』よりも『福祉』という考えが強い。そのために、欧米企業に比べると、どうしてもコスト意識やビジネス感覚に欠けている。介護保険制度に守られている日本の介護事業者は『高くて良いもの』を提供するノウハウはあるが、『安くて良いもの』『値ごろ感あるのサービス』を提供するノウハウには乏しい」と解説する。 加えて「国際的なビジネスが展開できる人材も圧倒的に不足している」「欧米企業に比べると資本があまりに脆弱で、腰を据えた事業展開がなかなかできない」などの問題点も指摘する。 実際コスト面に関しては、前述の紅日グループでは認知症ケアを強化するため、日本から「認知症のスペシャリスト」を招いて、そのノウハウの導入を検討したが、「とても採算に合わなかった」(陳琦董事長)として断念している』、「介護保険制度に守られている日本の介護事業者は『高くて良いもの』を提供するノウハウはあるが、『安くて良いもの』『値ごろ感あるのサービス』を提供するノウハウには乏しい」、こうした日中の違いを無視して、「介護の輸出政策」を推進した日本政府の罪も深そうだ。
・『日本の訪問介護を学んだ中国人起業家の成功  現在の中国の介護ビジネスで目立つ大きな流れは、中国政府の後押しを受けた国営企業が中心となって、巨大な敷地を再開開発して大規模な高齢者住宅や老人ホームを開設するというものだ。そこに、見守り装置や遠隔診断装置などIT機器を導入する。大規模なものでは、近代的な「高齢者の街」が整備されるというイメージである。 その一方で、日本の認知症ケアを見習ったグループホームや小規模多機能などの小規模な施設の開設のほか、デイサービス、デイケア、訪問介護といったビジネスも次々と誕生し、成長しつつある。 このような傾向は、チャイナ・エイドの展示からも読み取ることができる。 例えば、上海市内で訪問介護を中心に在宅サービスを展開する福寿康(上海)家庭服務有限公司CEOの張軍氏は、日本で介護ビジネスを学び、起業して成功した最先端の若手経営者として有名な人物だ。現在、従業員3000人、約100ヵ所の拠点を持つ。 張氏は九州大学のビジネススクールを終了後、日本の物流会社などを経て、訪問介護などを運営する麻生介護サービスで勤務しながら、訪問介護のノウハウを学んで中国で起業した。 「2010年に自分の父親が脳卒中で倒れてから、中国に帰って介護ビジネスを起業したいと考えました。麻生介護サービスでは、社長に『近い将来、中国で起業したい』と頼み込んで勉強させていただきました」(張氏) 同社のチャイナ・エイドのブースを見ると、日本の行政が推進する「地域包括ケアシステム」(高齢者に対して住み慣れた地域で、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供できる仕組み)を強く意識した模型なども展示されており、日本の訪問介護の仕組みやノウハウの影響を強く受けていることがわかる』、中国人留学生が、「訪問介護などを運営する麻生介護サービスで勤務しながら、訪問介護のノウハウを学んで中国で起業」、というのは、日中の違いを踏まえての起業なので、成功しているのも理解できる。
・『日本の介護事業者が中国で成功する可能性はあるか  さて、それでは、日本の介護事業者が中国で成功する可能性はないのだろうか。 元・上海市老齢科学研究センター主任で、現在は上海市養老業界協会専門家諮問委員会主任、上海養老産業研究センター首席専門家の殷志剛氏は、日本企業が活躍する可能性について、次のように語る。 「日本製の福祉機器、リハビリ機器は優れており、価格的に販売が困難でもレンタルなら可能性がある。 認知症についても、以前の中国では認知症の知識がほとんどなく、家族も隠そうとする人が多かった。それが高齢化とともに認知症の問題が社会でクローズアップされ、日本のノウハウを学ぼうという中国の介護事業者が増えている。実際に、認知症ケアに適した日本のグループホームや小規模多機能のような小規模介護施設も増えてきている。 リハビリについては、その評価システムさえもまだ構築されてなく、ノウハウを知りたいというニースは多い。信頼できて、現地の状況に詳しいパートナーを探すことができれば、日本企業にも成功のチャンスはあるだろう」 現地の介護関係者に聞けば、同様の意見や見解が多かった。つまり、現在のところ、(1)ハード面では、福祉機器、リハビリ機器、(2)ソフト面では、認知症ケアやリハビリのノウハウ――。少なくとも、この2つの分野には、可能性があるということだ。 折しもチャイナ・エイドの屋外特設会場では、ジェトロ(日本貿易振興機構)による「日中高齢者産業交流会」が開催され、中国企業との個別相談が行われていた。そこには熱心な商談風景があった。 とはいえ、中国企業も認知症ケアを含め、日本企業や日本の介護のノウハウを急速に吸収し、キャッチアップしている。現地では「日本から『学ぶ』よりも、日本が介護を学んだ北欧から学んだほうがいいのではないか」という声さえも上がり始めている。 実際、以前に比べると、中国の介護人材も次々と成長している。 上海市の高級老人ホーム「上海遐福養老院」を見学した際、総経理アシスタントで介護責任者の趙曼静氏から「入居者の自主性を生かしたケアによって、96歳の入居者が半年足らずで歩けるようになった」などの話を聞き、同行していた日本の介護事業者幹部らの表情が一変して真剣になったのが強く印象に残っている。 前述した福寿康(上海)家庭服務有限公司CEOの張軍氏のように、日本での介護ビジネス経験者が中国で介護ビジネスを起業して成功する事例も目立ち始めている。彼らが成功するのは、中国の文化や習慣を熟知しており、中国人の好みに合わせたサービスのローカライズ(現地化)がうまくいっているからだ。 いつまでも「自分たちの介護の技術やノウハウのほうが優れている」という考えで慢心していては、競争の激しいアウェー市場である中国では生き残ることはできないだろう』、「いつまでも「自分たちの介護の技術やノウハウのほうが優れている」という考えで慢心していては、競争の激しいアウェー市場である中国では生き残ることはできないだろう」、手厳しい指摘だが、その通りだろう。

次に、福祉ジャーナリスト(元・日本経済新聞社編集委員)の浅川澄一氏が7月31日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「当たり前の「家族介護」が細るドイツ、共同生活へ舵を切った事情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/210309
・『日本より5年前に介護保険制度を始めたのがドイツである。要介護認定や給付対象が在宅サービスと施設サービスの2本立て、「施設より在宅重視」など、日本と似たような仕組みだ。だが、ドイツでは自宅での家族や友人などからの介護を受けると、現金給付が得られる点が日本と大きく異なる。 この家族介護に携わるのは、妻や娘、息子の妻など女性が多く、日本では制度導入前に「報酬が付くと、男性からの圧力で女性たちが介護に縛り付けられてしまう。『介護の社会化』という保険制度の原則に反する」と批判され、報酬から外された。ドイツでは当初から制度に組み込み、ほとんど批判的な議論はない。 この6月に、ケルンやボン、デュッセルドルフなどドイツ西部で高齢者ケアの現場を視察してきた。デュッセルドルフ市役所を訪ねた際に、介護担当のトップ、社会福祉部長のアンケ・ミューラーさんから話を聞いた』、「介護保険制度」の先輩であるドイツの事情とは、興味深そうだ。
・『介護してくれる近所の人などに“ちょっとお礼”する現金給付の仕組み  日本と違って、自治体は保険者ではない。制度は保険料だけで成り立っており、税金は注がれていない。社会保険へのこだわりが強いからだ。その点を考慮して聞かねばならない。 日本での議論を伝えると、「ドイツでも、介護は今までずっと女性が主に担ってきました。介護保険によって、それにお金が付いたとみています。介護保険制度で現場の状況が大きく変わるとは思っていません」と、意外な答えが返ってきた。ただし、「女性に介護が押し付けられることへの賛否はあることはありますが」とミューラーさんは付け加えた。 ドイツの介護保険の在宅サービスへの給付は、現物給付と現金給付がある。現物給付は、訪問介護やデイサービスなどで日本と変わらない。現金給付は、自宅で家族や友人、近所の人、あるいはポーランドなど東欧諸国からの移民労働者などから介護を受けた時に、要介護者自身に支払われる。その報酬を、要介護者が「雇用主」として介護者たちに介護量に応じて渡すという仕組みだ。 その月間の給付額は、最重度の要介護5で11万7130円(1ユーロを130円で換算)、要介護4で9万4640円である。現物給付が要介護5で25万9350円、要介護4で20万9560円だから、その半額に満たない。要介護3と2でも同様だ。) 素人とプロの違いはあるだろうが、それでも現金給付はかなり低額のように見える。だが、ミューラーさんは「要介護者は現物サービスと組み合わせながら現金給付を受けている人が多く、納得しているはずです。低額という批判は聞いていません」と話す。 その時、隣にいた職員のステファ・ティルムスさんが、「私の伯父が現金給付を使っています」と話し出した。 伯父は要介護2、伯母は要介護4で二人暮らし。共に95歳。伯母が現物給付で在宅サービスを受けているため、家族介護はできない。そこで、伯父の介護について介護事業所に相談すると、近隣の友人2人に介護を頼んでは、ということになり、実現した。週2回来訪する。支払いは1人に150ユーロ(1万9500円)。要介護2の介護保険による現金給付は316ユーロ(4万1080円)だから、2人分は賄えることになる。 「近所の人がよく協力してくれましたね」と尋ねると、ティルムスさんは「伯父夫妻は昔からずっと同じ家に住んでいるので、周りに付き合いの長い友人が多い。だからうまくいったのだと思う」 しっかりした近隣関係が続いている地域の好事例といえるだろう。日本でひところ盛んだった「有償ボランティア」による地域での「助け合い」と似ている。「困っているときはお互いさま」というボランティア精神が原点だろう。心意気である。従って、給付が少なくてもあまり問題としない。「心づけ」「ちょっとお礼」とみているからだ』、日本では現金給付について、「「報酬が付くと、男性からの圧力で女性たちが介護に縛り付けられてしまう。『介護の社会化』という保険制度の原則に反する」と批判され、報酬から外された」、などの理由の他に、扶養義務がある家族に報酬を払うなどもってのほかといった家族主義的考え方もあったのではなかろうか。
・『介護者は家族・友人でも「労働者」 労働法規で守られるドイツ  ミューラーさんは、「もう1つ、ドイツならではの事情があります」と言う。それは家族や親族に課されている扶養義務である。民法の第160条に直系血族間において親族間の扶養義務を認める、とある。子どもたちが要介護状態の親の介護に向かうのは、こうした法律の存在も大きいようだ。だが、同様の扶養義務は日本の民法にもある。 現金給付の仕組みには、実は別の「ドイツならではの事情」がある。それは、家族や友人などの介護者は正規の「労働者」とみなされ、きちんと労働法規で守られているのだ。 年金をはじめ労災保険や失業保険などの社会保険にも加入できる。そのため、週の介護時間は14時間以上が必要とされ、他の就業時間は30時間を超えてはならない。世界に先駆けて、ビスマルクが近代社会の労働法規と社会保険制度を確立させた国だけのことはある。 さらに、現金給付の受給者は、地域の訪問介護事業所から半年ごとに介護状況のチェックを受けねばならない。「介護相談」といわれる。同席した職員のビルジット・メイヤーさんは「要介護者がどのような介護を受けているかを調べ、本当に介護を受けているかを確認するためです。なかには、お金だけ受け取って介護をしないケースもあるので」と、丸投げしてはいないと強調する。 ところが、この家族への現金給付の様相が変わり出した。当初は全体の保険費用の半分ほどを占めていたが、年々減少しているという。理由は明らかだ。1人暮らし高齢者が増えたことに加え、近くに介護者が見つからない家族も増えてきたからだ。 高齢者が孤立すると、心身の不調が急激に進む。社会全体での対応が迫られ、英国では昨年1月にそのための孤独問題担当大臣を新設した。ドイツ政府が打ち出した策は、共同生活を志向する集合住宅への転居だった。その集合住宅づくりに熱心なグループの協同組合をボンで訪ねた』、「家族や友人などの介護者は正規の「労働者」とみなされ、きちんと労働法規で守られているのだ。 年金をはじめ労災保険や失業保険などの社会保険にも加入できる」、さすが「ビスマルク」法制の国だけある。
・『約束事は「みんなで料理」だけ 障害者と要介護者の集合住宅  青と白の洒落た3階建ての建物の入り口に「ヴィラ・エマ」の案内板がかかる。入居者の顔写真も並ぶ。障害者や要介護高齢者など支援を必要とする人たちが暮らす集合住宅である。2011年から入居が始まり、28歳から93歳まで年齢は幅広いが高齢者が多い。部屋は39~77平方メートル、全部で12室。 車いすが欠かせない中年男性のシュルツ・ローメラーさんは身体障害者である。コンピューターの技術者だ。開設時の翌年から入居しており、「何よりもいいのは、施設と違って1人で自由に外出できることです。それに建物がバリアフリー仕様だから快適ですよ」と、車いすを自在に動かしてみせる。 外部の介護事業者と契約しており、毎日ヘルパーがやって来る。同時に、現金給付の家事支援者も来る。 「私が雇用主として、50歳代の女性を雇っています。彼女にとっては、ここでの活動はミニジョブにあたる」 要介護5なので、それなりの給付額になる。 住人の半数は要介護高齢者。その中には、現金給付を活用している人がもう1人いる。やはり、現金給付は相当に浸透しているようだ。住民のうち低所得者の5人は、ボン市から家賃補助を受けている。 入居者の生活には決められた規則はないが、ただ1つ、約束事がある。平日の昼に、みんなで一緒に料理をすることだ。建物を建て、運営するアマリリス協同組合の代表、ジルケ・グロッスさんは「仕事をやめた高齢者は意味のある活動から遠ざかってしまいがちになります。しかし、料理を作るのは、とても意味のあることだと思います」と説明する。 「入居者のほぼ半数は、ここで生活していなければ介護施設に入所していたレベルの人でしょう」と、胸を張る。 建設費は約2億2000万円かかったが、その20%は国と州から助成金を得ることができた。共同住宅への行政の後押しは大きい。本気で増やそうとしているのだろう。ある調査では、この20年間にこうした協同組合方式の集合住宅はドイツ全土で150ほど建てられたという』、「28歳から93歳まで年齢は幅広いが高齢者が多い」、高齢者だけでなく、若い人とも一緒というのはよさそうだ。「ただ1つ、約束事がある。平日の昼に、みんなで一緒に料理をすることだ」、日本での子供だましの遊びとは違って、これもよさそうだ。
・『マイカーも全員でシェアなど 共同性にこだわる「多世代型住宅」  アマリリス協同組合は、ジルケさんとゲルトさんの夫妻と友人の医師のスプークナーさんの3人が1994年に設立した。夫妻はアフリカのジンバブエやザンビアに10年ほど滞在し、経営学の専門家として開発支援にあたってきた。 ゲルトさんは「帰国して、どのようにして年を取っていこうか、妻といろいろ考えました。その中で、ほかの人たちと一緒に暮らし、生きていきたいと思うようになった」と話す。 ボンの中心部まで路面電車ですぐに行ける格好の土地を見つけたのが2005年。そこに、今、緑が茂る3階建ての3棟の集合住宅が建つ。2007年に入居が始まった「アマリリス」である。全33室に50人の大人と13人の子どもが暮らす。年齢は、60歳以上の高齢者と40~50歳代の中年層、それ以下の若年層が3分の1ずつ。単身高齢者からファミリー層などが住む「多世代型住宅」といえるだろう。 住民は家賃を払う契約書を協同組合と交わし、無期限で建物を利用する権利を得る。生活は自己管理が原則だが、協同組合が主宰するだけに「共同性」に大きなこだわりがある。 その代表的な取り決めは、持参したマイカーは全員でシェアすることだ。地下室には多くの車が並ぶが、各車の鍵は1ヵ所にまとめられている。 入居者の中に1人だけ、介護保険の要介護者がいるという。86歳の女性。「日常的に住民からの助け合いがなされているので、孤立して寂しい思いはしていません」と代表のグロッス夫妻は話す。 「入居者たちは、一緒に協力し合いながら暮らすことをよく分かっているので、信頼関係は相当に強いと思います」(グロッス夫妻) この「アマリリス」は、基本的には自立した家族向けとして建てられたが、次は「要支援者同士が暮らす住まいを」という声が住民の間から出てきたという。そこで着手したのが100メートルも離れていない「ヴィラ・エマ」であった。 「伝統的な家族の間での助け合いが、だんだん細り難しくなってきたことを多くの人が感じています。といって、介護保険制度には頼れない。部分保険であって要介護高齢者のニーズに十分応えられる制度ではない」とグロッス夫妻。 こうした趨勢に合わせた住まいが求められているという。それに応えようと第3の建物、「介護共同体を計画中」だと話す。名付けて「アマリリス・プラス」。16室と9室の2棟、合わせて25室はすべて要介護高齢者向け。「介護施設にはない自由な暮らしを続けながら、最期は緩和ケアだけを受けて亡くなることができる。キーワードは自己決定とQOL(生活の質)です」と強調する。 ドイツ政府は、こうした共同住宅を広めるため要介護者自身の旗揚げにも助成策を講じている。在宅サービスを受けている高齢者が3人以上でグループを作り、共同住宅を運営すると介護保険から経費の一部が支給される。12年の社会保障法改正で実現した。独居高齢者の集住を促し、それも小規模の家庭的な環境で、という考え方だ』、ドイツが柔軟な試行をしているのは、大いに注目すべきだ。日本では介護施設が既得権化しており、ドイツのような真似が出来ないのは、困ったことだ。

第三に、健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏が7月9日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「介護へ転籍上等!叩き上げ損保マンを舐めるべからず」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00031/?P=1
・『今回は「プライド」について考えてみる。 6月末に報じられた損保ジャパンの4000人削減策について、批判と「おお!この手があったか!」と称賛の声が殺到している。 ことの発端は6月24日の夕方に公開された日本経済新聞のイブニングスクープだった。 「損保ジャパン、国内4000人削減 IT活用で効率化」と題された記事は、瞬く間にSNSで拡散した(以下抜粋)。 メガバンクが相次ぎ人員縮小を打ち出す中、損害保険ジャパン日本興亜が2020年度末までに、国内損保事業の従業員数を4000人減らし(17年度比で人員の2割弱)、 +IT(情報技術)の活用で生産性を高める +新卒採用を絞る +介護やセキュリティー事業への配置転換も進める +希望退職は募集しない といった方針を取ることが分かった。 これにより21年度に100億円規模の収益改善効果を見込むが、今後は主力の自動車保険も変化を迫られるため事業の効率化を急ぐ、らしい』、このニュースは確かに気になるものだったので、河合氏がどう読み解くのは興味深い。
・『介護現場への大量配置転換に批判の声が上がったが  この時点では、タイトルだけに反応した人が多かったのか「4000人も切るのか?」という嘆き声ばかりだったが、この報道とほぼ同時に公開された時事ドットコムでは「損保ジャパン、4000人削減=ITで効率化、介護分野などに配転」と題し、「余った従業員は介護などを手掛けるグループ企業に配置転換する」と、“余った”というかなりトゲのある言葉にSNSは反応。批判は一気に「余った人は介護へ」に集中した。 「これって新手の追い出し部屋でしょ?」「ひっどい話だよ。損保マンから介護って。露骨すぎる」「今後はこういう手口を参考にする会社が増えるだろうね」「そのうち介護と警備のどっちにしますか??とかなるんじゃないの?」といった否定的な意見が殺到したのである。 メディアもこうした論調に乗り、「見事としか言いようがない洗練されたスキーム」「職業差別を利用した高度なテクニック」などの専門家のコメントを掲載し、 +自主退職してくれればもうけもん +転籍させれば給与を介護業界基準まで下げることができる +希望退職の募集はしないので特別退職金を払う必要もない +人手不足も補える といった企業側の利点を紹介。 今回のやり方を「残酷物語」としたり、「管理職の肩書を与えられても、実際には入所者の排せつ物の処理などの業務をする場面も当然出てくる」とコメントしたりする識者もいた。 ……ふむ。なんなのだろう。このモヤモヤした気持ち。 私は最初日経新聞の記事を見たときに「4000人削減」という人数には驚いたが、「介護やセキュリティー事業への配置転換」という内容に否定的な感情は1ミリも湧かなかった。 私はこれまで精神的なプレッシャーをかけて追い出そうとする企業のやり方を強く批判してきた。ジワジワと陰湿なことをするくらいなら、正面切って言え、と。 その一方で、10人中6人が50代以上となる時代に、50代以上の社員をうまく使った企業が生き残るとも訴えた。その上で雇用延長した場合に、昨日と全く同じ仕事をしているのに給料だけが激減することの理不尽さと、チームの力関係が変わることへの心理的負担を指摘し、ベテランの経験を生かせる新しいチャレンジができる仕組みが必要なのでは? という持論を展開し、それに賛同する人は多かった』、前向きに捉えているようだが、「介護やセキュリティー事業への配置転換」の条件にもよるような気がする。 
・『マネジャーとしての手腕が必要とされる介護現場  今回の損保ジャパンの方針はまさに新しいチャレンジではないのか。労働環境に課題の多い業界だけに、大手金融機関で蓄積してきた知見が移った先で生かせると思うのだ。 損保ジャパンの親会社SOMPOホールディングスは、15年12月に外食大手ワタミの介護子会社「ワタミの介護」を買収したほか、16年3月には介護大手のメッセージも子会社化し、業界トップに君臨するニチイ学館を僅差で追いかけている。 ワタミの介護では入所者が溺死する事故が、メッセージでは介護職員による転落死殺人事件という痛ましい事件があったが、どちらも大手だったため、現在SOMPOホールディングスは、老人ホームの数(全国321拠点)と居室数(13万9907室)で、規模としては介護業界最大手だ(2019年4月末時点)。 これだけ多くの介護現場を仕切るには、鳥の視座が必要不可欠。 心理的にも肉体的にも負担の多い介護の仕事は、マネジャーとしての手腕が最も必要とされる職場と言っても過言ではない。 介護というと、重労働、低賃金ばかりが問題点として挙げられ、経営サイドも入居者にばかり目を向けがちだが、実際にそこで働く人たちの声に耳を傾けると、働く人たち同士の人間関係、すなわち職場風土の問題を語る人が多い。 介護をスムーズに行うにはスタッフ相互の情報共有が極めて大切なのだが、人手不足で難しい。その結果、孤独な作業に陥り心理的負担が増える。しかも、365日、24時間の仕事で、夜間勤務もあり、まとまった連休も取れず、ストレスがたまる。 もっと賃金が高ければ、短い休みでもお金をかけて遊んだりして、息抜きをすることもできるかもしれない。しかしながら、そういった見聞や視野を広げる機会へのアクセスが乏しく、職場の人間関係だけに縛られがち。人間関係が重要になっていくのである』、「マネジャーとしての手腕が必要とされる介護現場」、というのはその通りだろう。
・『スタッフの雰囲気は悪くなかったワタミの介護現場  ワタミは世間的にはたたかれたが、社員旅行などにはかなりのお金をかけ、社員の結束づくりには積極的だった。 痛ましい事故は「見守り不在の時間が1時間以上もできしまったこと」が原因で、弁解の余地はない。 だが、現場の人たちに話を聞くと、「人間関係が良かったので辞める人は少なかった。社員を結束させるというトップの心意気が社員に生かされている部分はあったんだと思う」という意見は決して少なくなかった。 介護現場の上司部下、同僚との関係は、入居者へのサービスに直結する。人間関係の良い職場は、働く人たちの職務満足度が高く、入居者からの評価も高い。 そもそもマネジメントとは管理ではなく、限られたリソースを最大限に動かし、生かすこと。「人の回し方」「情報の回し方」「カネの回し方」をいかにマネジメントするかで働く人たちのパフォーマンスは大きく変わる。 大企業にいた人が中小企業に転職したり、出向したりしたときに「マネジメントができていない」「働く人たちの意識が低い」ともらすことがある。「まずはそこから変えようと改革をしたんです」と、そこでのチャレンジを誇らしげに語る人もいる。 もし、批判されているように損保ジャパンが今回の方針を「新手の追い出し部屋」と考えているとしたなら、それは大きな過ちであり、ぜひとも改めて欲しい。 大きな組織で損保マンとして経験を積んできた人たちの知見が介護現場を活性化すると信じて欲しい。そして、社員たちにそのメッセージをきちんと伝えて欲しい。 組織を変えたきゃ、「若者、よそ者、バカ者を生かせ!」と言うように、元損保マンが介護現場に入れば、ブラック職場の代名詞でもある介護職場を変えることができる。 というか、私はそう期待している‥‥のである』、要は前向きに考えたいということのようだ。
・『泥臭い仕事現場を経験して成長した人は少なくない  それに‥‥、入所者の排せつ物の処理などをあたかも「損保マンのエリートには耐え難い仕事」のごとく指摘する意見があったが、損保マンたちだって若い頃には「え? こんなことを損保マンがやらなきゃいけないの?」という、現場の“雪かき仕事”をした経験はあるはずである。 私は航空会社のCA(客室乗務員)時代に、数えきれないほどお客様の排せつ物の処理をしたし、抱っこしていた赤ちゃんに肩に吐かれたこともある。お客様が飛行機酔いして掃除に追われたことも何回も経験した。 某電鉄会社のトップは、「うちの会社では半年間、電車の車掌を経験させるんですが、自身、あれほど貴重な経験はなかったと」と語り、某建設会社のトップは、「若いときの現場経験が、働き方改革を考えるときに役立った」と断言する。某新聞社の記者は「集金とか新聞配達とか新人のときやったんですよ」と笑い、某メーカーの部長は、「地方回りを若いときに経験させられたことで、自分の仕事に対する意識が変わった」と教えてくれた。 どんな仕事にも誰かがらやらなきゃいけない“雪かき仕事”がある。マニュアルには書かれていない、外の人は知り得ない、人事評価の対象にもならない仕事だ。でも、それをやった経験があるか、そういう仕事があることを知っているかで、その人の仕事ぶり、とりわけマネジメント層になったときの働きぶりには雲泥の差が生まれるものだ。 思い起こせば今から7年前の2012年10月。「ベテラン社員が若手の横で社内清掃」と見出しのついた新聞記事がネット上に出回り、今回と全く同じような空気が漂ったことがあった。 内容は大手計測器メーカーのタニタの本社の様子を報じたもので、「60歳を過ぎたベテラン社員が、若手社員らのそばで社内を清掃している」との文言から始まり、同社の雇用延長の取り組みを報じたものだった。 この年は「改正高年齢者雇用安定法」が成立し、段階的措置はあるものの、翌年4月から希望者全員が65歳まで働けるようにすることが企業に義務付けられた。 タニタはその2年前の2010年に、雇用延長の義務化を見据えて60歳定年を迎えた社員を一定条件で再雇用するタニタ総合研究所を設立。64歳までの20人を再雇用したのである。 当時、批判されたことについて、タニタ総合研究所の今正人社長は「仕事に就く前には十分に話し合い、納得してもらっている。中には技術を生かしてデザインを担当しているベテランもいる。だが、若手の仕事を奪うわけにはいかず、継続雇用の安定のためには、社外で仕事を探すことが課題」と答えている。 実際はどうだったのかは分からない。だが、今、タニタ総合研究所関連情報を調べると、「タニタ本社ビルの社内清掃と外構の清掃業務」の求人情報が見つかるので、社長(当時)の言葉を借りれば、納得して若手のそばで社内清掃に励むベテラン社員も少なからず存在するのだろう』、「泥臭い仕事現場を経験して成長した人は少なくない」、「どんな仕事にも誰かがらやらなきゃいけない“雪かき仕事”がある」、などはその通りだ。ただ、「タニタ」のように「若手のそばで社内清掃に励む」、自分には到底無理だ。
・『ベテラン社員の「真のプライド」はどこにある  いずれせよ、それまで自分が関わってきた仕事から他のキャリアに移行するときに、社会的地位が低いと見られている職業への転身を「プライドが許さない」「プライドが傷つく」と憂う人がいるけど、「ベテラン社員に真のプライド」があるからこそ、清掃業務だろうと、隣に若手がいようとも、働いているのではないか。 逆にそういうプライドを持つ人なら、いかなる転身も辞さない。他者や世間に惑わされず、自分の価値判断を信じ取り組むことが可能なのだ。 50歳以上の海千山千のベテラン損保マンには、「雪かき仕事」なんかにへこたれない強かさがある。会社が彼らを信じれば、損保マンから介護業界への転籍だって喜んで自分からチャレンジするはずである。少なくとも私は損保マンが介護を変えてくれると期待している。 最後に、批判覚悟で言わせていただけば、お金を稼ぐという行為は、実に厳しいものだ。 つまるところ、仕事は「誘い」があって初めて成立するものだと思う』、「ベテラン社員に真のプライド」があるからこそ、清掃業務だろうと、隣に若手がいようとも、働いているのではないか」、論理が飛躍し過ぎているのではなかろうか。ただ、損保マンが「マネジャーとしての手腕が必要とされる介護現場」で、「介護を変えてくれると期待している」、という結論には同意できる。
タグ:介護 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 河合 薫 浅川澄一 (その3)(中国の介護・高齢者市場で「日式介護」は本当に通用するのか、当たり前の「家族介護」が細るドイツ 共同生活へ舵を切った事情、介護へ転籍上等!叩き上げ損保マンを舐めるべからず) 「中国の介護・高齢者市場で「日式介護」は本当に通用するのか」 中国最大級の介護・福祉展示会が注目される理由 猛烈な勢いで少子高齢者化が進んでいる 日本以外では、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、イスラエル、スウェーデンなど合計20ヵ国・地域の企業が出展 ほんの数年で大きく変わった中国ビジネスへの意識 成長戦略として「介護ビジネスの国際展開」を推進 「日式介護」という「日本ブランド」を掲げれば、大きな差別化につながるという考えがあった 中国には最大手のニチイ学館をはじめ、野心的な介護事業者が次々と参入した。しかし、その多くは現地法人の整理・統合、契約・提携先の見直しを行うなど、中国事業には苦労している 日本企業が中国の介護でダメな理由 明らかな調査不足 中国人の習慣や文化、嗜好(しこう)を十分に考慮していない コスト意識やビジネス感覚に乏しい 日本のやり方を押し付けても成功しない 介護保険制度に守られている日本の介護事業者は『高くて良いもの』を提供するノウハウはあるが、『安くて良いもの』『値ごろ感あるのサービス』を提供するノウハウには乏しい 日本の訪問介護を学んだ中国人起業家の成功 日本の介護事業者が中国で成功する可能性はあるか 日本製の福祉機器、リハビリ機器は優れており、価格的に販売が困難でもレンタルなら可能性がある 認知症についても 日本のノウハウを学ぼうという中国の介護事業者が増えている いつまでも「自分たちの介護の技術やノウハウのほうが優れている」という考えで慢心していては、競争の激しいアウェー市場である中国では生き残ることはできないだろう 「当たり前の「家族介護」が細るドイツ、共同生活へ舵を切った事情」 日本より5年前に介護保険制度を始めたのがドイツ ドイツでは自宅での家族や友人などからの介護を受けると、現金給付が得られる点が日本と大きく異なる 日本では制度導入前に「報酬が付くと、男性からの圧力で女性たちが介護に縛り付けられてしまう。『介護の社会化』という保険制度の原則に反する」と批判され、報酬から外された 介護してくれる近所の人などに“ちょっとお礼”する現金給付の仕組み 要介護者が「雇用主」として介護者たちに介護量に応じて渡すという仕組みだ 介護者は家族・友人でも「労働者」 労働法規で守られるドイツ ビスマルクが近代社会の労働法規と社会保険制度を確立させた 約束事は「みんなで料理」だけ 障害者と要介護者の集合住宅 マイカーも全員でシェアなど 共同性にこだわる「多世代型住宅」 「介護へ転籍上等!叩き上げ損保マンを舐めるべからず」 「損保ジャパン、国内4000人削減 IT活用で効率化」 介護やセキュリティー事業への配置転換も進める 介護現場への大量配置転換に批判の声が上がったが マネジャーとしての手腕が必要とされる介護現場 スタッフの雰囲気は悪くなかったワタミの介護現場 泥臭い仕事現場を経験して成長した人は少なくない ベテラン社員の「真のプライド」はどこにある
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日本の構造問題(その12)(日本人はなぜ「論理思考が壊滅的に苦手」なのか 「出口治明×デービッド・アトキンソン」対談、日本経済30年の低迷は「中小企業神話」の妄信が引き起こした デービッド・アトキンソン氏インタビュー、投資家ジム・ロジャーズの忠言「日本株を買う予定はない」) [経済]

日本の構造問題については、3月29日に取上げた。今日は、(その12)(日本人はなぜ「論理思考が壊滅的に苦手」なのか 「出口治明×デービッド・アトキンソン」対談、日本経済30年の低迷は「中小企業神話」の妄信が引き起こした デービッド・アトキンソン氏インタビュー、投資家ジム・ロジャーズの忠言「日本株を買う予定はない」)である。

先ずは、6月26日付け東洋経済オンラインが掲載した立命館アジア太平洋大学(APU)学長 の出口 治明 氏と元外資系証券アナリストで 小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏による「日本人はなぜ「論理思考が壊滅的に苦手」なのか 「出口治明×デービッド・アトキンソン」対談」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/288272
・『日本が立たされている苦境の根本を探ると、何が見えてくるのか。どのようにすれば、この苦境から抜け出せるのか。 近著『知的生産術』で生産性を高める働き方を説いた出口治明氏と、同じく近著『日本人の勝算』で日本が再び「一流先進国」に返り咲く方法を明らかにしたデービッド・アトキンソン氏。2人の対談が2019年6月に実現した。その模様をお届けする』、興味深そうだ。
・『なぜ日本人は、ここまで「のんき」なのか  出口治明(以下、出口):アトキンソンさんが以前書かれた「日本人の議論は『のんき』すぎてお話にならない」という記事を読ませていただきました。そこで述べられているとおり、日本が置かれている状況は非常に厳しいのに、それを理解している人が少なすぎます。僕もまったく同感です。 平成の30年間のデータを見ると、日本がいかに危機的な状況にあるかは一目瞭然です。 GDPの世界シェアを購買力平価で計算してみると、約9%から4.1%に減少。IMDの国際競争力は1位から30位に陥落。平成元年には時価総額の世界トップ企業20社のうち、14社が日本企業だったのに、今はゼロです。これで危機感を持たないほうがおかしいと思います。 ただ、僕もアトキンソンさんがご著書で常に述べておられるとおり、日本人の実力はこんなものではないと信じているので、なんとか奮起してほしいと考えています。 日本人がこんなにものんきになってしまったのは、高度経済成長の成功体験が大きすぎたことにあるのではないかと私は考えていますが、アトキンソンさんはどうですか。 デービッド・アトキンソン(以下、アトキンソン):いちばんの原因は、日本人が「分析をしない」ことにあると思います。 たしかに高度経済成長期、日本のGDPは世界の9%弱まで飛躍的に伸びました。それは事実です。 しかしそのとき、「日本ってスゴイ!」と喜ぶだけで、何が成長の要因だったかキチンと検証しませんでした。さらには「日本人は手先が器用だから」とか、「勤勉に働くから」とか、「技術力がある」からなど、直接関係のないことを成長要因としてこじつけてしまい、真実が見えなくなってしまったのです。 出口:データで検証してこなかったのですね』、「高度経済成長期・・・「日本ってスゴイ!」と喜ぶだけで、何が成長の要因だったかキチンと検証しませんでした」、経済白書を作成する経済企画庁(現:内閣府)や官民のエコノミストが大勢いながら、彼らは時流に乗り、マスコミ受けを狙うだけで、確かに現在に至るまで真因を探るような「分析をしない」のは、残念ながら事実だ。私自身もかつてそのはしくれだったので、深く反省している。
・『アトキンソン:そうです。私が卒業したオックスフォード大学に、リチャード・ドーキンスという生物学の先生がいます。私は彼の講義を聴講したことがあるのですが、面白いことを言っていました。 彼によると、人間の脳は、アフリカの大草原に暮らしていたときとあまり変わらないのだそうです。 どういうことかと言うと、草原で暮らしていた当時の人類は、丈の高い草の中で何かの音が聞こえたら、反射的に逃げます。なぜなら、「あの音は何だ!?」と考えたり、エビデンスやデータを取って調べ始めたりすると、ライオンに襲われて食われてしまうからです。条件反射で逃げるという行動が進化したのです。 そのためデータを取ったり、エビデンスを確認したりしてロジカルに考えることが、人間のDNAの中には組み込まれていないのだそうです。 ドーキンス教授流に言うと、「高度成長した=日本人すごい」「技術力があるから日本経済は復活する」「ものづくりで大丈夫」と直感的に決めつけてエビデンスやロジックを求めない頭の使い方は、こういう野生時代から進歩していない、と言えます』、日本人の考え方に対する批判は痛烈この上ないが、残念ながら反論できそうもない。強いて言えば、日本社会の強い同調圧力が影響しているのかも知れない。
・『最大の問題は「マネジメント層」にある  出口:例えば高度成長期には、日本は年平均7%も成長したのですが、その成長に何が寄与したのか分析できていないのは、おっしゃるとおりですね。分析すれば人口増加の寄与度がいちばん大きかったという、アトキンソンさんが分析したとおりの結果が出ます。 しかし、こういう当たり前の分析を行わずに「日本人は器用だから」「協調性があるから」「チームワークがあるから」成長したと思い込んで、根拠なき精神論のままこれからもやって行こうとしても、世界の新しい変化に対応できるはずがありません。 驚くことに、いまだに「欧米の強欲な資本主義とは違い、日本の経営はすばらしい、三方よしだ」などと言う評論家や学者がいるのも事実です。僕は彼らにいつも、次のように質問しています。 「日本の経営がすばらしいのなら、なぜアメリカ、ヨーロッパ、日本という3つの先進地域の中で、日本の成長率がいちばん低いのか」「なぜ日本人は年間2000時間も働いているのに、1%しか成長しないのか」「なぜヨーロッパは1500時間以下の短い労働時間で2%成長しているのか」 まともな答えが返ってきたことは一度もありません。 この問いの答えは、日本のマネジメントがなっていないということ以外にはないのですが、それを的確に答えられる人が実に少ない。こういう当たり前のことを、「原点から考える」訓練ができていないところがいちばんの問題ではないかと思います。 アトキンソン:日本の所得が少なく、生産性も低い。その結果社会保障制度が不健全になってしまったというのも、労働者の問題ではなくマネジメントの問題です』、日本的経営礼賛論では、確かにマクロ経済不振を説明できない。「最大の問題は「マネジメント層」にある」、との両氏の指摘には全面的に同意する。
・『アトキンソン:1990年代以降の生産性向上要因を分析すると、人的要素も物的要素もほかのG7諸国とほとんど変わりません。しかし、マネジメントが最も関係する生産性向上要因(全要素生産性)は、諸外国ではものすごく伸びているのに、日本ではほとんど伸びていません。 つまり、日本に決定的に不足しているのはマネジメントだということは、はっきりとエビデンスとして出ているのです。やはり、日本の経営者は才能がない。失われた30年の根本原因はマネジメントが悪いから、それに尽きます。 こういう話をすると「衝撃的です」と言われてしまう。なぜこれが「衝撃的」なのか。 私は政府関係者と話をする機会が多いのですが、日本経済を議論するときにテーブルに座っているのは、日本という国家のマネジメントをやっている国会議員と、企業のマネジメントをやっている経団連や経済同友会、または商工会議所の人たち。 つまりは日本のマネジメントを中枢でやっている人たちです。日本経済の問題点について彼らと議論をしても、マネジメントに問題があるというものすごい単純なことは、なかなか理解してもらえません。なぜなら、彼らにとっては自分たちが悪いと認めることになるからです』、「全要素生産性」の伸び悩みは、「日本に決定的に不足しているのはマネジメント」を表しているというのは、確かにその通りだが、そこまでの意味づけは恥ずかしながら考えたこともなかった。
・『「ロジカルに考える」という当たり前ができていない  出口:日本のマネジメントがダメなのは、データを軽視し、自分の経験(エピソード)や思い込みだけで物事を判断してしまうからだと思います。例えば、いま世界を席巻しているのは、GAFAでありユニコーンですよね。しかし、そういう企業を強欲資本主義の象徴だと思っている日本の経営者がいっぱいいます。 僕はそういう人たちに、よくGoogleの人事部の話をします。Googleの人事部は社員の管理データのうち、国籍・年齢・性別・顔写真、これらすべてを消してしまったそうです。そんなものは必要ないからと。 人事を決めるのに必要なのは、今やっている仕事と過去のキャリアと将来の希望だけ。男か女か、歳はいくつだとかは一切関係ないというのが彼らの考え方で、こちらのほうがはるかに人間的です。世界の優れた企業は社員をとても大事にしている、だからこそいいアイデアがどんどん出てくるという好例だと思います。 日本の会社は社員を大事にしていると思っている経営者が少なくありませんが、それは本当でしょうか。きちんとデータで確認した人はいるのでしょうか。僕には単なる思い込みであるとしか考えられません。 アトキンソン:日本という国のマネジメントを行っている役人も、思い込みに縛られて、楽観的というかはやり言葉に流されて、考え方が甘い傾向があります。 以前、霞が関の会議に出席した際、「ロボットとAIなどの日本の最先端技術によって、日本経済は復活する」などと話していました。ですが最先端技術は、ずっと以前からあるのです。それが今まで普及してこなかったのはなぜかという産業構造の問題を検証することなくそんな主張をされても、論理が通っているとは思えません。 たとえ最先端技術があっても、誰も使わないならないのと同じです。「普及」こそが問題なのです。AIさえあればうまくいくというのは、念仏さえ唱えていれば極楽浄土に行けるという話と変わりません。しかも、それに気がつく人すら誰もいない。で、私が自分の意見をぶつけてみると、何か「宇宙人が来た」みたいな反応されました。 その会合の後で「さすが外人さんは見る目が違いますね」といったことを言われたのですが、外人だから考え方が違うのではありません。手前味噌ですが、「脳みそを使っている人」と「使っていない人」の違いなのではないかと最近よく思います。国籍が違うのはたまたまです』、「Googleの人事部は社員の管理データのうち、国籍・年齢・性別・顔写真、これらすべてを消してしまった」、初耳だが、差別につながる要素を全て消すとは思い切った決断で、さすがGoogleだ。「AIさえあればうまくいくというのは、念仏さえ唱えていれば極楽浄土に行けるという話と変わりません」、まさに言い得て妙だ。
・『出口:僕も地域おこしの政府の審議会などによく呼ばれるのですが、面白いものを作ったり、面白い人を呼んでくれば、その地域の関係人口が増えるからやるべきだという話がよく出ます。そのこと自体は正しいのでしょう。 しかし、日本全体で見れば人口が減っていくのだから、そうやって地方に来る人を増やしてもゼロサムゲーム以上にはならない。出生率を上げるとか、訪日外国人を増やすにはどうしたらいいかなど、国全体の話をしなければ全体最適にはなりません。 また、東京は豊かだから、東京からもっと地方へ人やお金をシフトしようと言う人もいます。しかし、東京は日本でいちばん生産性の高い場所です。それでも香港やシンガポールとの競争には負けつつある。 日本のエンジンである東京を弱くするという発想は、どう考えてもおかしい。むしろ、東京をもっと強くして、香港やシンガポールを圧倒しなければいけないという発想を持たないと、地域も発展しません。 こんな議論を僕はいつもするのですが、すると「おっしゃっていることはよくわかりますけれども、この審議会は地域おこしのことをやっているので……」という話になってしまいます。 僕は日本人ですが、どちらかと言うと変わったキャリアの持ち主です。だから「出口さんのような変わった人の意見を聞けて面白いですね」と、アトキンソンさんと同じようなことをよく言われてしまいます。 僕にしてみれば、数字・ファクト・ロジックで考えたら、誰でも思いつく普通の意見を言っているだけなのですが、社会常識と合わない意見は、外国人だったり変人の意見ということになってしまう。これが、この国の根本的な衰退の原因のように感じます。 アトキンソン:本質を無視してしまうのは、大問題です。 出口:アトキンソンさんは哲学者デイヴィッド・ヒュームの故郷、イギリスのお生まれですよね。ヒュームという人は、因果関係を徹底的に疑った人なので、今度似たような議論になったら「ヒュームを1回読み直してから議論しませんか」と言うのがいいかもしませんね。 アトキンソン:最近いつも、こう言っています。「首の上にある重い塊を、皆さん毎日毎日運んでいるのですから、たまには使ったらいかがですか」って。重いんですから(笑)』、最後のアトキンソン氏の言葉は強烈な皮肉で、実際には相手に言ってはいないのだろう。
・『あまりにも「勉強」を軽視している日本人  出口:実は最近、アトキンソンさんに倣って「日本人はなぜ勉強しないのか」をデータで分析したのですが、答えは割と簡単でした。 まず、第1に大学進学率が低いのです。確か52%ぐらい。日本は大学に行かない国です。OECDの平均が6割を超えていますからね。 さらに大学の4年間でほとんど勉強しません。これは企業の採用基準が悪い。採用のときに大学の成績や読んだ本のことは一切聞かずに、ボランティアの経験を話してごらんなどと言っているわけです。だから、エントリーシートに書くためにボランティアをやるというような、本末転倒な状況が生まれてくるのです。 さらに大学院生は使いにくいなどと言って企業が採用しないから、大学院に行く人が少ない。日本の大学院生の比率は先進国の中で最低レベルです。 アトキンソン:大学で何を学ぶのかについても、誤解している日本人が少なくありません。 以前、ある大学の方から「ロジカルシンキングの授業をつくりたい」と相談されたことがあります。あぜんとしました。これまで何を教えていたのでしょうか。 大学で学ぶべきことなど、「ロジカルシンキング」以外にはありません。サイエンス、経済、法律、文学などは、もちろんそれ自体大切ではあるものの、基本的にはロジカルシンキングを学ぶための「材料」です。材料が現実の仕事に生かせるとは限りませんが、ロジカルシンキングは必ず、その後の人生に生きてきます』、「大学進学率が」「OECDの平均」より低いというのは、恥ずかしながら初めて知った。「ある大学の方から「ロジカルシンキングの授業をつくりたい」と相談された」、相談するにも、丸投げ的にではなく、何故、現在の体制では不十分なのかを考えた上で、相談すべきだったのだろう。
・『出口:本来なら、大学を出た後でもロジカルシンキングの能力は伸ばせます。しかし、就職したら年間2000時間労働で、飯・風呂・寝るの生活。勉強する時間などありません。 さらに2000時間労働した後で、同僚同士で飲みに行ってお互いに調子を合わせて時間を浪費する。日本は構造的に勉強できない国になってしまっているのです。 この状況をどこから直せばいいかと言えば、意外と簡単です。経団連の会長や全銀協の会長が、大学の成績で「優」が7割未満の学生の採用面接はしないと宣言する。あるいは卒業してから成績証明書を持って企業訪問させればいいのです。成績採用になったら、さすがに勉強するようになるでしょう。 それから、残業規制を強化して徹底的に勉強させる時間をつくればいいのです。こうやって、無理やりにでも行動を変えさせない限り、日本の低学歴化は是正されません。 新しい産業やイノベーションを起こすには、基本的にはダイバーシティーと高学歴が必要です。高学歴というのは、ドクターやマスターといった学位を持っているということではなく、好きなことを徹底して勉強し続けるという意味です』、「成績採用になったら、さすがに勉強するようになるでしょう」、大学の成績が本人の知的能力を概ね表しているのであれば、同意するが、果たしてどうだろうか。
・『人間の限界を理解し、データとロジックで補強せよ  アトキンソン:出口先生もご存じだと思いますが、アメリカの経営学の学会では、マネジメントが完全にサイエンスになっています。 なぜそうなったのかというと、そもそも人間の頭をそのままにしておく、すなわち草原の本能のままでは、ろくなモノができないからです。だから大学が必要で、経営者教育も必要で、株主がいて助言させる。社長の勝手な思い込みで好き勝手にさせないようになっているのです。 たった1人の頭の中で、データもエビデンスもロジカルシンキングもなく精神論だけでやるどうなるか。歴史を振り返ると、大当たりする可能性もゼロではありませんが……。 出口:でも、確率的に言ったらたいてい失敗しますよね アトキンソン:そうです。たいてい失敗します。 今の日本の経営者がまるでなっていない理由は、大草原に住んでいた頃の頭のままで経営をしようとしている、ただ単にそれだけだと思います。別に人間として能力が低いわけではありません。 人口増加によって、日本の経営者は一見すばらしく見えていました。しかし人口が減少するようになったために、その弱点が表面化してきたのだと思います。 人口減少という危機に直面している以上、極めて高度な経営が求められています。しかし今の経営者は、自分たちが変わらないといけないということに気づいていないのです。 ほかの先進国ではすでにこのことに気がついています。人間の限界を理解している。ビッグデータはその象徴的なものだと思いますが、とにかくデータで徹底的に分析することによって、勝手な思い込みをする人間の欠点を取り除く経営が進んでいるのです。 出口:今日お話をさせていただいて、日本のマネジメントの問題を改めて考えさせられました。 マネジメントのトップ、つまりリーダーたちが勉強して意識を変えれば、日本も変わると思います。その意味でも、リーダーこそアトキンソンさんの本をきちんと読んで、根拠なき思い込みを捨てなければいけませんね』、「アメリカの経営学の学会では、マネジメントが完全にサイエンスになっています・・・社長の勝手な思い込みで好き勝手にさせないようになっているのです」、「ほかの先進国では・・・データで徹底的に分析することによって、勝手な思い込みをする人間の欠点を取り除く経営が進んでいるのです」、なるほど。「マネジメントのトップ、つまりリーダーたちが勉強して意識を変えれば、日本も変わると思います」、その通りだが、百年河清を待つような気がする。

次に、10月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した「日本経済30年の低迷は「中小企業神話」の妄信が引き起こした デービッド・アトキンソン氏インタビュー」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、Aはアトキンソン氏の回答)。
https://diamond.jp/articles/-/217560
・『日本の生産性が主要先進国の中で最下位といわれて久しい。その理由はさまざま語られてきたが、日本経済の栄枯盛衰を30年にわたって分析してきた元ゴールドマン・サックス金融調査室長で、小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏は、新刊『国運の分岐点』で「中小企業が日本の生産性が低い原因」だと述べて、議論を呼んでいる。日本の高度経済成長を支えてきたと考えられてきた中小企業が、なぜ生産性が低い原因なのか。「日本人は中小企業崇拝を止めるべき」と主張するアトキンソン氏にその理由を聞いた』、日本では中小企業政策というと、水戸の黄門的な魔力を発揮して、誰も文句を言えなくなるが、そこに切り込むアトキンソン氏はさすがだ。
・『日本の生産性が低いのは中小企業が多すぎるから  Q:中小企業が日本経済を支えてきた日本の強みだという「中小企業神話」が、日本人には当たり前のように浸透しています。しかし、それに対して「中小企業崇拝を止めるべきだ」「中小企業が日本の生産性が低い原因だ」と主張されているのはなぜですか? A:今まで日本は右肩上がりで人口が増加する中で、著しい経済成長を遂げてきました。しかし、その成功に関する正しい検証、要因分析が行われてきたとはとてもいえません。 その一方で、日本経済が成長したのと同じ時に中小企業の数が急増したという2つの事実について、それぞれを検証することなく、あたかも因果関係があったように適当に事実を並べて、結論ありきで作られたストーリーがこの中小企業神話です。 日本は、1人あたりGDPが世界第28位(2018年、IMF)と、先進国の中でも生産性が低いことで知られています。これから人口減少が進む日本において生産性の向上は急務ですが、なぜ生産性が低いのかについて、日本の学者や経済評論家は要因分析ができているでしょうか。 生産性向上につながる働き方改革や女性活躍が進んでいない、それは夫が育休を取得できないからだなど論点が跳ぶケースがほとんどです。男性の育休取得が進んでいないのは事実ですが、なぜ育休が取れていないのかについては、検証されていません。いきなり、日本の生産性が低いのは農耕民族だからだ、なんていう人もいます。 では、何が生産性向上の障害になっているのか。それは、「中小企業」です。つまり、日本では中小企業が全体の99.7%を占めていることが、大きな障害になっています。だから、日本の生産性を高めるためにも中小企業崇拝は止めるべきなのです。 私は30年日本に住んでいますが、日本の学者や経済評論家の多くは、知識があっても論点や結論がうさぎみたいにぴょんぴょん跳ぶ「うさぎちゃん評論家」だと以前から感じていました。彼らが、過去に日本経済が成長した理由をきちんと検証してこなかったからこそ中小企業神話を妄信し、今の日本経済の問題点がきちんと検証ができず、日本経済は長い低迷に陥っているのではないでしょうか』、「日本経済が成長したのと同じ時に中小企業の数が急増したという2つの事実について、それぞれを検証することなく、あたかも因果関係があったように適当に事実を並べて、結論ありきで作られたストーリーがこの中小企業神話です」、なるほど「中小企業神話」の発生の経緯がこんなところにあったとは、初めて知った。「日本の学者や経済評論家の多くは、知識があっても論点や結論がうさぎみたいにぴょんぴょん跳ぶ「うさぎちゃん評論家」だと以前から感じていました」、手厳しい批判だ。
・『中小企業激増の根源は1963年施行の「中小企業基本法」  Q:日本の中小企業では、なぜ生産性が低いのでしょうか? A:規模の経済という言葉からもわかるように、企業が大きくなればなるほど効率が上がり、生産性は高くなります。これは大原則であり、地球が丸いのと同じくらい当たり前のことです。 ですから、日本の生産性の低さは、日本に規模の小さい企業が多い(中小企業の比率が高い)ことと表裏一体なのです。異論のしようもありません。 全世界どこを見ても、中小企業で働く労働人口の割合が高くなればなるほど、その国の生産性は低くなっています。そして、規模の大きい企業の多い国では女性の活躍も活発になり、中小企業が多い国では女性が活躍しにくくなっていることがわかっています。 日本に中小企業が激増した問題の根源は、1963年に制定された「中小企業基本法」にあります。この法律では、中小企業の定義を非常に小さいものにして(現行、人員的には製造業が300人以下、卸売りが100人以下、小売りは50人以下、サービス業が100人以下)、なおかつ優遇策を手厚くすることによって、1964年から爆発的に非常に小さい企業が増えました。それによって小さい会社で働く労働者の比率が高くなり、今の非効率的で、生産性の低い産業構造ができたのです。 全部がそうだとは思いませんが、今の中小企業の中には補助金目当ての経営者も少なくありません。だから、起業してからも、成長していません。そういう企業の経営者に生産性を高めてほしいといっても、そもそも補助金目当てなので難しいでしょう。 Q:なぜ中小企業の生産性の低さは、高度経済成長期には問題にならなかったのでしょうか。 A:それは、人口が増加し続けている時代だったからです。人口増加が止まった途端に、一気にその隠れた問題が全部表面化して、今の失われた30年へと突入していったのです。 生産性問題は中小企業の問題だという私の考えに対して、「衝撃的だ」と言う声もありますが、私には理解できません。ただ単に分析していないだけでしょう』、「企業が大きくなればなるほど効率が上がり、生産性は高くなります。これは大原則であり、地球が丸いのと同じくらい当たり前のことです」、には若干違和感を感じた。業態ごとに最適の規模があり、それを超えると規模の不経済が発生することもあるからだ。
・『私は、人口減少社会の中で生産性を上げるためには最低賃金を上げるべきだと3年間述べてきましたが、その主張に強固に反対する勢力がいます。それが中小企業の経営者です。「最低賃金を上げると倒産する」というのが彼らの主張ですが、笑っちゃいますね。 私は最低賃金の話をする際は、20年で最低賃金が2.2倍になったイギリスを例にしてお話することがよくあります。それは成功事例だからではありません。イギリスの最低賃金の引き上げには3つの特徴があるからです。 1つは、日本もイギリスも国際競争力が高いのに生産性が低いという同じ問題を抱えていること。 2つ目は、イギリスは1999年までは最低賃金がなく、最低賃金の導入と引き上げによる効果を雑音のない素晴らしい統計分析のデータとして見られるためです。 3つ目は、特に大事なポイントで、イギリス政府は20年間最低賃金を引き上げるにあたって、政府が大学などに依頼して、賃金引き上げの影響を詳しく分析していることです。最低賃金、もしくはそれに近い賃金で雇用している割合の高い企業を対象に、最低賃金引き上げ前と後の決算書を継続的に分析しています。 イギリスが最低賃金を引き上げても雇用への悪影響がなかったのは偶然ではありません。これは、学者たちが雇用に悪影響を及ぼさないギリギリのラインで最低賃金の引き上げ幅を検証することで影響が出ないようにしてきたからです。その検証の中では、廃業率が上昇したというデータは見たことがありません。 日本ではこうしたイギリスのデータを見て検証した人がとてもいるとは思えず、最低賃金を引き上げると倒産するというのは、適当で飛躍的な議論といえます。もし、いきなり最低賃金が1000円になって、何十万社も倒産するのであれば、日本経済は私が考える以上に極端に貧弱なのではないでしょうか』、イギリスでは、「学者たちが雇用に悪影響を及ぼさないギリギリのラインで最低賃金の引き上げ幅を検証することで影響が出ないようにしてきた」、という事例を日本の学者たちも謙虚に学ぶべきだ。
・『中小企業の統廃合こそ日本経済の生産性を高める道  Q:そうはいっても日本経済を支えてきた中小企業もあると思います。よい中小企業とそうではない中小企業の違いは、どこにありますか? A:もちろん私もすべての中小企業がダメだと言いたいわけではありません。かといって、すべての中小企業が良いというのもおかしい。ですから、これからは「ふるい」にかける必要があります。 いい中小企業とは生産性が高く、成長している企業です。一方で、成長していない中小企業は他の会社と合併したり、吸収されたりという統廃合の道を選ぶしかありません。 つまり、これからの経営者に求められるのは、統廃合を進めて、企業の数を整理していく能力といっていいでしょう。 Q:「中小企業基本法」で中小企業を優遇してきた政府には今後、どのような施策が求められますか? A:国としては、伸びる中小企業を応援するべく、伸びない中小企業は次第にできるだけ困難のないように合併を促進できる政策を打つことが求められます。 現在、跡継ぎのいない中小企業がたくさんあり、経済産業省は跡を継いでくれる人を探す第三者承継支援を行っています。しかし、私としては余計なことはやめて、合併してくれる企業を探すことが一番大切だと思います。 私は5年間この分析を行ってきましたが、生産性問題は中小企業問題であり、生産性向上は、中小企業改革をすすめて、中小企業を合併させることだとたどり着いた人は私以外にいないと自負しています。 今までそういう主張する人がいなかったのは、中小企業を批判するのが怖かったのが理由の1つでしょう。もう1つは、先ほどから何度も述べているように学者や経済評論家が素晴らしい知識はあっても、要因分析ができていないからです。そのため、日本では要因分析を支えるデータも海外のようにそろっていません。 中小企業の問題は、国内のデータだけではこの結論には至りません。今回の私の提言は、海外のデータと分析があって導かれた結論です。日本人の学者は海外の論文やデータを徹底的に読み込んでいるのか本当に疑問に思います』、最後の部分は全面的に同意する。

第三に、10月7日付け日刊ゲンダイ「投資家ジム・ロジャーズの忠言「日本株を買う予定はない」」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、Aはロジャーズ氏の回答)。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/262749
・『新著「日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く」(講談社+α新書)がヒットしている。ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並ぶ「世界3大投資家」のひとりとして知られるジム・ロジャーズ(76)は、日本から資金を引き揚げた。理由は歯止めのかからない少子高齢化による人口減。財政出動、異次元緩和、成長戦略を掲げるアベノミクスのデタラメだ。「私が10歳の日本人だったら、この国を去ることを選ぶ」という。その忠言を聞いた』、「日本から資金を引き揚げた」、やはりそうかというのが率直な感想だ。
・『Q:2018年秋に日本株をすべて手放したそうですね。 A:今は株も通貨も、日本関連の資産は何も持っていません。日本株を買い始めたのは東日本大震災の直前。日本株はバブル期最高値の4分の1水準で、さらに下がることもあり得る状況だった。震災による株価下落局面でさらに買い増しました。あえて投資したのは、中期的に見れば景気は回復すると見ていたからです。予想通りに株価は上がり、利益を得ることができた。ただ、この先、日本株を買う予定はありません。日本経済を破壊するアベノミクスが続き、少子高齢化による人口減少を食い止められない限り、この判断を変えることはないでしょう。 Q:アベノミクスに非常に批判的です。 A:安倍さんがやっていることはバカげていますよ。財政出動で国の借金を増やし、金融緩和で日本円の価値を下げている。お金の使い方が下手な上に、使い過ぎています。自分のお金じゃないから、国民から吸い上げた税金だから、どんどん使っているんです』、最後の部分の手厳しいアベノミクス批判はその通りだ。
・『Q:日銀は先月中旬の金融政策決定会合で大規模緩和の維持を決定。欧米の中央銀行が利下げに動く中、黒田総裁はマイナス金利の深掘りを示唆しています。 A:大きな間違いです。世界的に見てこれほど金利が低かった時代はない。そもそも、中央銀行が実質的に直接、国債を買う金融政策は前代未聞です。日銀は16年9月にいわゆる「指し値オペ」を導入しましたが、これは紙幣を無制限に刷るということ。つまり、日本円の価値を下げるわけで、アベノミクスは絶対に成功しません。20年後には対米ドルのみならず、韓国ウォンに対しても相対的に価値を落としているでしょう。 Q:世論の根強い反対を無視して、消費税が10%に引き上げられました。 A:増税は景気を冷やします。安倍政権がやっていることはまったくナンセンスですよ。来年は東京五輪が開催され、五輪景気が期待されていますが、歴史を振り返れば五輪が国家財政のプラスになったためしがない。五輪のせいで日本の財政赤字はさらに膨らみます。国の長期債務残高(18年度)は947兆円に上り、対GDP比167・8%と巨額。10歳の日本人が40歳になるころには、借金は目も当てられない状態になるでしょう。国債は買われなくなり、金利を引き上げざるを得ず、そうなれば高金利によって国の借金はさらに膨れ上がってしまう。子どもはいない、移民もいない。日本は大問題だらけです』、「10歳の日本人が40歳になるころには、借金は目も当てられない状態になるでしょう。国債は買われなくなり、金利を引き上げざるを得ず、そうなれば高金利によって国の借金はさらに膨れ上がってしまう。子どもはいない、移民もいない。日本は大問題だらけ」、異次元緩和の悲惨な結末を描いているが、その頃には安倍首相はとうに退陣して、素知らぬ顔だろう。
・『アベノミクスはすべてがナンセンス  Q:安倍首相は「移民政策をとることは考えていない」としていますが、4月に改正入管難民法が施行され、今後5年間で最大35万人の外国人労働者の受け入れが想定されています。ただ、在留資格によっては家族帯同が認められないケースがあります。 A:人口1億2600万人の国に年間7万人でしょう。計画通りに進んだとしても、数字的にまったく足りない。人口減少によるさまざまな問題の解決には結びつきません。それに、日本全体が外国人に対してウエルカムな雰囲気をつくらないと、誰もやってきませんよ。働く人だけではなく、その家族も受け入れ、しっかりとサポートする仕組みを作る必要があるのでは?人口減で苦境に立つ日本にとって、外国人は助けになる存在です。本気で呼び込みたいのであれば、日本人と共生できるように歓迎する体制を整えることが重要でしょう。どうも日本は移民受け入れに消極的ですが、移民は不動産、教育、飲食といった業界に新たなビジネスチャンスを生みますし、少子化対策にもつながります』、私自身は、社会の長期的な安定を重視する立場から、安倍政権の「移民」政策にも反対だ。移民に頼らず、機械化などで対応し、対応できない産業は縮小していく他ないと考える。
・『Q:アベノミクスの失敗が浮き彫りとなる中、安倍政権は韓国叩きに没頭しています。 A:愚かなことです。隣国同士、本来は協力して一緒に仕事をすべきなのに、ケンカをしていること自体が理解できない。そんなことやっている場合ですか? お互いに潰し合うなんてバカみたいですよ。 Q:7、8月は2カ月連続の貿易赤字。8月の対韓輸出は前年同期比9・4%減、訪日韓国人は48・0%減の落ち込みで、日本経済へのマイナス影響は指標にも表れ始めています。 誰のためにもならないということ。政治家が自分の利益のために国民感情、他国に対する敵対心をあおっている印象があります。もっとも、韓国経済の現状は厳しいですが、展望はある。この50年は日本、40年はシンガポール、30年は中国が刺激的でしたが、この先10~20年は韓国と北朝鮮です。南北統一にはハードルがあるものの、遠くない将来に実現するでしょう。北朝鮮が段階的に経済開放されるのが現実的ですが、そうなれば世界中から観光客が押し寄せてツーリズムが盛り上がり、海外から投資が舞い込み、韓国国内投資も活発になる。南北で人が往来すれば日本同様に韓国を悩ませている少子化問題は軽減されるでしょう。北朝鮮は韓国にとってフロンティアです。 Q:米朝協議は膠着していますが、文在寅政権は対北融和を推進しています。 A:日本もこの流れにジャンプインするべきです。北朝鮮は問題だらけ。日本には生産能力が高く、さまざまなノウハウを持つ企業が多くあり、解決する術を持っている。北朝鮮は中国とも国境を接しているので、ビジネス環境は悪くない。いち早く投資し、プラントを造り、ホテルも建てる。ビジネス展開にはそうしたことが非常に重要です。韓国企業はスタディーグループを立ち上げて準備しているのに、日本では誰もそうした声を上げないし、動きも見られませんね』、韓国とは、「隣国同士、本来は協力して一緒に仕事をすべきなのに、ケンカをしていること自体が理解できない」、「北朝鮮は韓国にとってフロンティアです」、北朝鮮に対し「韓国企業はスタディーグループを立ち上げて準備しているのに、日本では誰もそうした声を上げないし、動きも見られませんね」、その通りだ。
・『子供には中国語、スペイン語、韓国語、ロシア語を  Q:拉致問題を抱えているのもありますが、北朝鮮の体制維持を危ぶむ声があります。 A:政府のプロパガンダに日本人はのみ込まれているんですよ。現在の北朝鮮の指導者(金正恩朝鮮労働党委員長)は中国で鄧小平が敷いた改革開放路線をやりたいと言っているんです。彼はスイスに留学経験がある。スイスと北朝鮮、どちらで暮らしたいか? スイスで暮らしたいんです。でも、国を去れないし、逃げ出すわけにもいかない。だから、北朝鮮をスイスのように変えようと、スキーリゾートを建設したり、各地に経済特区を設けています。金正日時代の07年、金正恩体制移行後の13年に訪朝しましたが、2度目に訪れた北朝鮮は意外なほど活気にあふれていて、どこへ行っても中国人だらけでした。 Q:お子さんに中国語を身に付けさせるため、07年にシンガポールに移住されたそうですね。 A:アジア時代の到来を見据え、2人の娘たちを英語と中国語のバイリンガルに育てるためです。シンガポールは中国語がネーティブランゲージの上、清潔で暮らしやすい。日本人が中国語を話すようになれば、日本で暮らすと思います。日本はお気に入りの国のひとつなので。話せる言語が増えれば、入ってくる情報の量と質が劇的に変わる。投資家としてもうひとつアドバイスするなら、「子や孫には中国語を習わせなさい」ですね。次はスペイン語、その次となると韓国語もいいし、ロシア語もいい。日本語はリストに入らないですね。衰退していく言語ですから。 Q:日本が投資対象に再浮上することはなさそうですね。 A:株価が下がり、税金が下がり、規制緩和をさらに進めてマーケットをオープンにし、財政赤字を大幅に削減する。さらに出生率が上がったら、判断を変えるかもしれません。財政赤字の削減は今日からでも切り込めるでしょう? 使わなければいいんですから。Do it! やらなければ何も始まりませんよ。(ジム・ロジャーズ氏の略歴は省略)』、「お子さんに中国語を身に付けさせるため、07年にシンガポールに移住された」、1942年生まれなので、孫の間違いではないかと思ったが、やはり子供なのだろう。「子や孫には中国語を習わせなさい」、とあるが、日本人の場合はやはり英語も重要で、第二外国語に中国語、といった順番だろう。いずれにしろ、ジム・ロジャーズが日本の株や円への投資から手を引いたのは、当然とはいえ、やはり一抹の寂しさを覚える。
タグ:東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ ダイヤモンド・オンライン 日本の構造問題 (その12)(日本人はなぜ「論理思考が壊滅的に苦手」なのか 「出口治明×デービッド・アトキンソン」対談、日本経済30年の低迷は「中小企業神話」の妄信が引き起こした デービッド・アトキンソン氏インタビュー、投資家ジム・ロジャーズの忠言「日本株を買う予定はない」) 「日本人はなぜ「論理思考が壊滅的に苦手」なのか 「出口治明×デービッド・アトキンソン」対談」 『知的生産術』で生産性を高める働き方を説いた出口治明氏 『日本人の勝算』で日本が再び「一流先進国」に返り咲く方法を明らかにしたデービッド・アトキンソン氏 なぜ日本人は、ここまで「のんき」なのか 平成の30年間のデータを見ると、日本がいかに危機的な状況にあるかは一目瞭然です。 GDPの世界シェアを購買力平価で計算してみると、約9%から4.1%に減少。IMDの国際競争力は1位から30位に陥落。平成元年には時価総額の世界トップ企業20社のうち、14社が日本企業だったのに、今はゼロです。これで危機感を持たないほうがおかしい いちばんの原因は、日本人が「分析をしない」ことにある 「日本ってスゴイ!」と喜ぶだけで、何が成長の要因だったかキチンと検証しませんでした 「日本人は手先が器用だから」とか、「勤勉に働くから」とか、「技術力がある」からなど、直接関係のないことを成長要因としてこじつけてしまい、真実が見えなくなってしまったのです 「高度成長した=日本人すごい」「技術力があるから日本経済は復活する」「ものづくりで大丈夫」と直感的に決めつけてエビデンスやロジックを求めない頭の使い方は、こういう野生時代から進歩していない、と言えます 最大の問題は「マネジメント層」にある 「欧米の強欲な資本主義とは違い、日本の経営はすばらしい、三方よしだ」などと言う評論家や学者がいる 日本の所得が少なく、生産性も低い。その結果社会保障制度が不健全になってしまったというのも、労働者の問題ではなくマネジメントの問題です マネジメントが最も関係する生産性向上要因(全要素生産性)は、諸外国ではものすごく伸びているのに、日本ではほとんど伸びていません 失われた30年の根本原因はマネジメントが悪いから、それに尽きます 「ロジカルに考える」という当たり前ができていない Googleの人事部は社員の管理データのうち、国籍・年齢・性別・顔写真、これらすべてを消してしまったそうです。そんなものは必要ないからと 日本という国のマネジメントを行っている役人も、思い込みに縛られて、楽観的というかはやり言葉に流されて、考え方が甘い傾向があります AIさえあればうまくいくというのは、念仏さえ唱えていれば極楽浄土に行けるという話と変わりません 僕にしてみれば、数字・ファクト・ロジックで考えたら、誰でも思いつく普通の意見を言っているだけなのですが、社会常識と合わない意見は、外国人だったり変人の意見ということになってしまう。これが、この国の根本的な衰退の原因のように感じます あまりにも「勉強」を軽視している日本人 大学進学率が低いのです。確か52%ぐらい。日本は大学に行かない国です。OECDの平均が6割を超えています 「ロジカルシンキング」 経団連の会長や全銀協の会長が、大学の成績で「優」が7割未満の学生の採用面接はしないと宣言する。あるいは卒業してから成績証明書を持って企業訪問させればいいのです。成績採用になったら、さすがに勉強するようになるでしょう 人間の限界を理解し、データとロジックで補強せよ ほかの先進国ではすでにこのことに気がついています。人間の限界を理解している。ビッグデータはその象徴的なものだと思いますが、とにかくデータで徹底的に分析することによって、勝手な思い込みをする人間の欠点を取り除く経営が進んでいるのです アメリカの経営学の学会では、マネジメントが完全にサイエンスになっています 社長の勝手な思い込みで好き勝手にさせないようになっているのです 「日本経済30年の低迷は「中小企業神話」の妄信が引き起こした デービッド・アトキンソン氏インタビュー」 日本の生産性が低いのは中小企業が多すぎるから 中小企業が日本経済を支えてきた日本の強みだという「中小企業神話」 中小企業激増の根源は1963年施行の「中小企業基本法」 人口減少社会の中で生産性を上げるためには最低賃金を上げるべきだと3年間述べてきましたが、その主張に強固に反対する勢力がいます。それが中小企業の経営者 中小企業の統廃合こそ日本経済の生産性を高める道 「投資家ジム・ロジャーズの忠言「日本株を買う予定はない」」 「日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く」(講談社+α新書) 今は株も通貨も、日本関連の資産は何も持っていません 安倍さんがやっていることはバカげていますよ。財政出動で国の借金を増やし、金融緩和で日本円の価値を下げている。お金の使い方が下手な上に、使い過ぎています。自分のお金じゃないから、国民から吸い上げた税金だから、どんどん使っているんです 紙幣を無制限に刷るということ。つまり、日本円の価値を下げるわけで、アベノミクスは絶対に成功しません 五輪が国家財政のプラスになったためしがない。五輪のせいで日本の財政赤字はさらに膨らみます 10歳の日本人が40歳になるころには、借金は目も当てられない状態になるでしょう。国債は買われなくなり、金利を引き上げざるを得ず、そうなれば高金利によって国の借金はさらに膨れ上がってしまう。子どもはいない、移民もいない。日本は大問題だらけです アベノミクスはすべてがナンセンス 隣国同士、本来は協力して一緒に仕事をすべきなのに、ケンカをしていること自体が理解できない この先10~20年は韓国と北朝鮮です。南北統一にはハードルがあるものの、遠くない将来に実現するでしょう 北朝鮮は韓国にとってフロンティアです 韓国企業はスタディーグループを立ち上げて準備しているのに、日本では誰もそうした声を上げないし、動きも見られませんね 子供には中国語、スペイン語、韓国語、ロシア語を 「子や孫には中国語を習わせなさい」
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