SSブログ

関電 原発マネー還流(その1)(原発マネー還流発覚で関電崩壊 原発消滅カウントダウン始まる、元助役の死にも疑念 「越後屋の小判」怪文書と謎解き<上>、関電スキャンダルに潜む 見過ごせない3つの問題、関西電力幹部は なぜ「汚れたカネ」を受け取ったのか 関電金品受領事件 謎の深層を読む) [国内政治]

今日は、関電 原発マネー還流(その1)(原発マネー還流発覚で関電崩壊 原発消滅カウントダウン始まる、元助役の死にも疑念 「越後屋の小判」怪文書と謎解き<上>、関電スキャンダルに潜む 見過ごせない3つの問題、関西電力幹部は なぜ「汚れたカネ」を受け取ったのか 関電金品受領事件 謎の深層を読む)を取上げよう。

先ずは、10月3日付けダイヤモンド・オンライン「原発マネー還流発覚で関電崩壊、原発消滅カウントダウン始まる」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/216447
・『関西電力の岩根茂樹社長ら役員20人が、高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役から総額3.2億円相当の金品を受け取っていたことが判明した。原発を保有する電力会社への視線は厳しく、いよいよ原発消滅へのカウントダウンが始まった。 「もう原子力は終わりでしょうね」。大手電力会社関係者は肩を落とした。 東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故で、原発の“安全神話”は崩壊し、信頼は地に落ちた。 そんな中、関西電力は膨大な人材とコストをかけて原発再稼働にまい進し、原発7基が原子力規制委員会の安全審査をクリアし、うち4基で再稼働を果たした。関電には、震災後の日本の原発をけん引してきたという自負があった。 その関電で、再び原発への信頼を裏切る驚愕の事実が発覚したのである。 八木誠会長や岩根茂樹社長ら役員20人が、高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(今年3月に90歳で死去)から2011年から18年までの間に総額3.2億円相当の金品を受け取っていたことが明らかになった』、ツッコミどころ満載の不可解な事件だ。
・『さらに高浜町への原発誘致に尽力し、地元で“天皇”と呼ばれた森山氏は、関電から原発関連工事を受注した建設業者から手数料名目で資金を受け取っていた。 つまり、関電から原発関連工事会社、原発関連工事会社から森山氏、そして森山氏から関電へと、いわゆる“原発マネー”が還流していた可能性があるのだ。 大手電力会社幹部は「昭和の時代ならともかく、震災後も地元と癒着が続き、しかもトップが金品を受け取っていたのには驚きを禁じ得ない」と眉をひそめた。 電力業界2位の西の雄で、関西経済界を代表する企業である関電の対応は、誠にお粗末だったと言わざるを得ない。 事の発端は、国税当局による税務調査。判明後、社内調査委員会を設置したにもかかわらず、その調査委の設置を取締役会に報告すらしていなかった。金品の受領に関して社内で共有されることもなく、個人任せだった。 しかも社内処分について対外的に公表しておらず、関電にはガバナンス(統治、統制)、コンプライアンス(法令順守)意識のかけらもなかった。 9月27日に急きょ開いた記者会見でも、岩根氏は個人情報を理由に詳細を公表しなかったため、関係各所から「説明が不十分」と集中砲火を浴びた。そして10月2日に改めて会見を開き、詳細を説明することになった。 こうした一連の対応に批判が集まり、関電に原発事業を担う資格があるのかという疑問の声が上がるのも無理からぬ話だ』、監査役会は掴んでいたが、「取締役会に報告」してなかったというのも、ガバナンス・コンプライアンス上の重大な問題だ。
・『原発再編や次世代原子炉の開発も頓挫  集中砲火を浴びている岩根氏の社長辞任は必至の状況だ。別の大手電力会社関係者は「電力業界全体に疑いの目が向けられていて、迷惑だ」と関電への憤りを隠さない。今年6月に就任したばかりの電気事業連合会会長の辞任も避けられないだろう。 ただし、これは電力業界全体にとって大きな痛手となるのは、間違いない』、その後、関電会長・社長が辞任 金品受領、原発部門の幹部一掃と新聞報道があったが、当初の記者会見で辞任すべきだった。
・『岩根氏が電事連会長に就任したことで、会長と事実上ナンバー2の常勤副会長のツートップを関電が張り、政府に原発推進を迫るのが電事連の最大のミッションになっていた。 来年には政府の第5次エネルギー基本計画の見直し議論が始まる見込みで、電事連として第6次エネ基に原発の新増設、リプレース(建て替え)の文言を盛り込むよう求め、再生可能エネルギーに導入された固定価格買取制度(FIT)の原発版をはじめとする原発事業の予見可能性を高めるための環境整備も訴えるはずだった。 しかし、今回の不祥事で関電はもちろん、原発への信用は完全に失墜した。「あらゆる原子力政策を前に進められるかもしれない大事な時期だったのに、関電のおかげで全てパア」(エネルギー業界関係者)になった。 実のところ、電力各社は「将来的に原発事業の再編は不可避」という認識でおおむね一致していた。東電福島第一原発事故によって、原発は重大な事故が起きれば、会社そのものが吹き飛ばされるほどのリスクを伴う事業だと改めて認識され、電力会社1社ではとても背負い切れないと分かったからだ。 その原発事業再編の軸になるのが、東京電力ホールディングス、そして関電だった。 エネルギー政策に詳しい橘川武郎・東京理科大学大学院教授は、「震災後の原発を引っ張ってきた関電が信用を損ねたことは、電力業界にとって大きなダメージ」と指摘。「関電を軸とした原発事業の再編も難しくなるだろう」と語る。 また第5次エネ基で記載された次世代原子炉の開発について、最も意欲的だったのが、関電だ。これについても「関電が手掛けるのは厳しくなった」(橘川教授)とされ、次世代原子炉の開発も頓挫する公算が大きい。 資源の乏しい日本で、原発は「準国産エネルギー」として国策民営で進めてきた。しかし、業界関係者の一部からは国策民営を転換し、電力各社が原発を差し出す“国有化”の案まで飛び出している。それほど、電力業界は苦境に立たされているといえそうだ。 第5次エネ基では、原発の新増設、リプレースは明記されていない。原発を巡る厳しい世論を考慮すれば、建設中であるJ-POWERの大間原発、東電の東通原発、中国電力の島根原発3号機が運転できなくなる可能性も小さくない。 このままだと、早ければ北海道電力の泊原発3号機が運転期限を迎える2049年までに、日本から原発が自然消滅する』、今回の問題は、関電の他の原発、さらには他の電力会社にも広がりかねず、”原子力ムラ”にとっては、極めて深刻な打撃となりそうだ。

次に、10月8日付け日刊ゲンダイ「元助役の死にも疑念 「越後屋の小判」怪文書と謎解き<上>」を紹介しよう。なお、中、下は有料記事のため紹介は見送る。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/262949
・『関西電力の高浜原発を舞台にした原発マネーの還流問題は、永田町を巻き込む大スキャンダルに発展しそうな様相だ。キーマンとされる福井県高浜町元助役の森山栄治氏が鬼籍に入ったのをいいことに、関電は森山氏の“特異性”にすべてを押し付け、逃げ切ろうとしている。しかし、「死人に口なし」「関電の破廉恥」では終わらない。「越後屋の小判」を巡る謎と闇は深まる一方である。 問題発覚の端緒は、2018年1月の金沢国税局による査察だ。森山氏が顧問を務めていた建設会社「吉田開発」(高浜町)に対する税務調査で、同氏に3億円の手数料が支払われていたことが判明。6月ごろには森山氏宅から関電幹部への金品提供に関するメモが見つかり、関電は7月に社内調査委員会を設置。9月には調査結果をまとめたが、岩根茂樹社長は「不適切ではあるが、違法性はない」として取締役会に報告せず、秘匿を続けていた』、「違法性」がなければ、「不適切」であっても、「取締役会に報告」しないというのは、監査役会や弁護士と相談した上で決めたのだろうが、どうみても無理があるようだ。
・『事情を知る関係者がマスコミなどに送付した内部告発文書がここへきて出回っているが、腐敗した関電経営陣の総退陣と経営刷新を求めたものの無視されたと明かし、こう記していた。〈最も看過できないのは、原発の建設、運転、定期点検、再稼働工事の過程で、工事費等を水増し発注し、お金を地元有力者、及び国会議員、県会議員、市長、町長等へ還流させるとともに、原子力事業本部幹部職員が現金(億単位)を受け取っていたことであります〉 指摘通り、原発マネーは関係先をぐるぐると回っていた。森山氏を通じて吉田開発から関電役員らに渡った金品は少なくとも計3・2億円。助役退任後の同氏は吉田開発顧問のほか、原発メンテナンス会社(兵庫県高砂市)相談役、警備会社「オーイング」(高浜町)取締役、さらに関電子会社「関電プラント」(大阪市)顧問に就いていた。吉田開発とメンテナンス会社は、関電プラントから3年間で計約113億円の工事を受注し、オーイングは関電の原発警備を一手に引き受け、福井県警の天下り先の機能も果たしている。巨額の金品は受注のキックバックなのか。森山氏を起点にあらゆる方面に原発マネーが流れ、原子力ムラに巣くう構造が浮き彫りである。 告発文書には、こうも記されていた。〈平成に続く新年号の事態における、大スキャンダルの第1号となるでしょう。自殺者も出るかもしれません〉』、「原発マネーは関係先をぐるぐると回っていた」のは、他の原発でも同様の筈だ。
・『なぜ、重くて足がつきやすい小判なのか  共犯関係を念押しするような元助役の凄味  関電幹部らが森山氏から受け取った金品の形態は実にさまざまだ。 現金1億4501万円、商品券6322万円分、米ドル15万5000ドル(1705万円)、金500グラム(240万円相当)、金貨365枚(同4949万円)、金杯8セット(同354万円)、スーツ仕立券75着分(同3750万円)、そして小判3枚(同24万円)である。菓子折りの底に忍ばせる形で手渡されたというが、小判のやりとりなんぞは、時代劇の悪代官と越後屋を彷彿とさせる。 「小判は脱税目的でよく使われる手口です。現金授受と比べて足がつきにくく、骨董品と言い逃れできる余地がある。絵画などと比べて売買が容易で、現金化しやすいのも利点のひとつに挙げられています」(税務当局関係者) だとしたら金の延べ棒の方がよりベターな気もするが、森山氏はなぜ小判にこだわったのだろうか。元特捜検事で弁護士の郷原信郎氏はこう言う。 「特別なものを贈ることによって、金品授受により重みを持たせ、一蓮托生の共犯関係にあると念押しする意図があったのではないか。関電幹部がキレイごとを言いだし、森山氏との関係を清算しかねないとの考えが根底にあったのかもしれません」 原発ムラの住人の裏切りは決して許さない――。暴力団もビックリの凄まじさである』、「小判にこだわった」のは、「金品授受により重みを持たせ、一蓮托生の共犯関係にあると念押しする意図があったのではないか」、というのはさすが郷原氏だけあって説得力がある。
・『「違法性はない」と被害者面の経営陣、辞め時と逮捕の可能性  金沢国税局の査察で原発マネー還流問題の露見に直面した関電は、社内調査委による調査結果について岩根社長が「違法性はない」と判断し、取締役会への報告を見送り。取締役の不正行為をチェックする監査役会も追認していた。2日に行われた2回目の会見でも岩根社長は「違法性はないということで報告しない判断をした」と繰り返し、八木誠会長ともども居直りを決め込んでいる。 被害者ヅラの経営陣のもくろみ通りにコトは収束するのか。立件の可能性があるのは、会社役員の収賄罪、関電グループが森山氏の関係企業に特命発注を続けていたことに対する独禁法違反とみられている。前出の郷原信郎氏がこう言う。 「いずれにしても立件要件を満たすハードルは高い。金品授受に関する森山メモが出てきたと報じられていますが、それだけでは裏付けは不十分。資金の出元とされる吉田開発からの情報も必要になる。特命発注については、発注額などの詳細が判明しないので何とも言えません。逆に言えば、だからこそ、嫌疑の有無を含めた捜査は絶対にやるべきです」 郷原信郎氏が懸念を抱くのは、関電と関西検察OBとの関係だ。 調査委員長を務めた元大阪地検検事正の小林敬弁護士は、郵便不正事件を巡るデータ改ざん問題で責任を問われて減給処分を受け、退官したいわくつき。関電社外監査役には「関西検察のドン」と呼ばれる元検事総長の土肥孝治弁護士が今年6月まで就き、後任に元大阪高検検事長の佐々木茂夫弁護士が就任。85歳から74歳への異例のバトンタッチである。 「今春ごろから始まった内部告発の動きは、徐々に表面化の危険性が高まっていった。関電経営陣にとって重大な問題を切り抜けるため、超高齢の検察OBを監査役に選任したのではないか。経営トップ2人が会見で見せた開き直ったような異様な態度や、関電を取り巻く環境を見る限り、検察サイドと話ができているのではないか、との印象がぬぐえません」(郷原信郎氏=前出) 大物検察OBを守護神に祭り上げたゆえの余裕なのか』、「関電社外監査役には「関西検察のドン」と呼ばれる元検事総長の土肥孝治弁護士が今年6月まで就き、後任に元大阪高検検事長の佐々木茂夫弁護士が就任」、ということであれば、「大物検察OBを守護神に祭り上げたゆえの余裕」というのも頷ける。
・『課座縄(正しくは:金沢)国税局は過去何十年間も見過ごしてきたのか  なぜ、調査が入った途端に元助役が死んだのか  今回の問題が発覚したのは、金沢国税局が昨年1月に着手した査察がきっかけだ。金沢国税局の大金星だが、その裏で不可解な人事があった。吉田開発に査察に入ったほぼ同じ頃、当時の局長が辞職を申し出て、国税庁長官官房付を経たうえで昨年3月に退職しているのだ。 「税務署が最も忙しいといわれる確定申告の時期の辞職というタイミングは解せません。いったん、官房付になったのも通常の人事とは異なります」(司法記者) 安倍政権が不正発覚を望まない原発案件に手をつけた金沢国税局は、虎の尾を踏んだということだろうか。 関電の元役員は1990年代には森山氏から金品を受け取っていたことを明らかにしている。 だとすると、金沢国税局は怪しい原発マネー還流をアンタッチャブルな案件として、何十年も見過ごしてきたのか。 立正大客員教授の浦野広明氏(税法)が言う。 「原発マネーについて、叩けばホコリが出るのは、税務当局は百も承知です。しかし金沢国税局に限らず、全国の税務当局は、わざと手をつけないで見て見ぬフリをしてきました。国策である上に、迷惑施設である原発を進めるための不透明なお金を黙認してきた側面があります」 査察が入った1年後に森山氏が死去したのも謎だ。 「森山氏の死の真相はわかりませんが、少なくとも森山氏の死を踏まえて『死人に口なし』ということで税務調査をオープンにしたのではないか。関電に限らず、全国の原発にもメスを入れるべきですし、黙認してきた税務当局の不作為が問われるべきです」(浦野広明氏=前出) 闇は深くて広い』、「吉田開発に査察に入ったほぼ同じ頃、当時の局長が辞職を申し出て、国税庁長官官房付を経たうえで昨年3月に退職している」、というのはまさに「虎の尾を踏んだ」ことへの見せしめ人事だ。「査察が入った1年後に森山氏が死去したのも謎だ」、この続きの中、下が無料では見られないのは、かえすがえすも残念だ。

第三に、在米作家の冷泉 彰彦氏が10月11日付けNewsweek日本版に掲載した「関電スキャンダルに潜む、見過ごせない3つの問題」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2019/10/post-1119_1.php
・『<原発を推進するうえで、「カネの問題」は必要悪として諦めているムードもあるが......>  関西電力の役員などに対する、高浜町元助役からの資金還流事件は、ここへ来て会長、社長が辞意を表明することで、局面が進んだように見えます。ですが、スキャンダルの真相も、そして今回の問題があぶりだした原発ビジネスの構造についても、本質的な議論は進んでいません。 そこで、今回はこの事件に潜んでいる3つの問題について議論したいと思います。 1点目は、資金還流の意味です。通常、工事などを請け負う業者の側としては、発注側である関西電力からの受注欲しさにワイロを渡す可能性はあるかもしれません。ですが、それは発注決定の前の問題であり、今回の事件のように事後にカネを押し付けるように渡すというのは、非常に不自然です。事前に話がついており、ただバレないように時間差をつけて資金還流させたという説明も成り立ちますが、あまり説得力はありません。 ならば、受注のためのワイロを時間差で渡したのでは「ない」シナリオも必要になってきます。「何らかの口封じだった」とか「反対に裏金が関電サイドから流れており、死期を悟って自分と家族の名誉を守るために返却する必要があった」とか、いずれにしてもカネの流れとタイミングに関する捜査が必要です。関電の経営陣は、そうした「カネの意味合い」について、知らぬ存ぜぬではなく、しっかりと捜査に協力すべきと思います。 現在の報道は、こうした「カネの意味合い」に関するツッコミが全く不足しています。そこを外しては、刑事立件や民事係争に持ち込むことができないし、そもそも社会的な批判にもならないからです』、「事後にカネを押し付けるように渡すというのは、非常に不自然です」、「現在の報道は、こうした「カネの意味合い」に関するツッコミが全く不足しています」、その通りで、徹底的な解明が必要だ。
・『2点目は、原発マネーと言われるコストの甘さに切り込んでいくということです。原発に関係する工事は、よく言えば安全対策、悪く言えば風評懸念を口実に工事をやたらに高品質として高額な請求がされることが多いようです。確かに、原発に関して積極推進が国策だった時代には、それで全体が回っていたのかもしれません。 ですが、福島第一の事故以降は、万が一の事故の場合における直接的な被害への補償だけでなく、風評被害への補償などを考えて、その準備金を積み立てるようになるなど、原発のコスト構造は激変しています。そうであるなら、今回の事件を契機として、工事や経費等の金額に「お手盛り」はないか、全ての原発において総点検が必要と思われます』、「全ての原発において総点検が必要」、正論だ。
・『3点目は原発立地です。通常、加圧水型原子炉というのは、河川の沿岸に立地して冷却水を取水し、冷却に伴って発生する温水は河川に戻し、水蒸気は空中放出するというのが世界の常識です。ですが、日本の場合は河川の水質への風評被害や、水蒸気放出への感情的な恐怖心などが「判断の大前提」となる中で、立地は沿岸部の過疎地ということになっています。 そこで地元に対して、巨額なマネーを注入することで立地への同意をさせるという構造があるわけです。その結果として、コスト的に最も効率的で、安全面で最も理想的な立地「ではない」場所に原発が建設され、それがコストを膨張させるという構造が出来上がっているように思われます。 こうした「原発とカネ」の問題ですが、原発反対派は「全面的な稼働反対、新設反対」の理由の一つとして、この「原発とカネ」の問題を取り上げることが多いようです。一方で、エネルギー多様化の中で原発の部分稼働に賛成する立場からは、この「カネの問題」は必要悪として諦めているようなムードも伝わって来ます。 当面は脱炭素という問題も含めて原発の「即時ゼロ」はできない中で、今回の事件を契機として、「原発とカネの問題は切っても切れない」という賛成反対両派の「常識」にメスを入れていかなくてはならないと考えます』、説得力溢れた主張だ。

第四に、10月13日付け現代ビジネスが掲載した「くにまるジャパン極」の放送内容の一部抜粋、元外務省専門調査官で作家の佐藤 優氏へのインタビュー「関西電力幹部は、なぜ「汚れたカネ」を受け取ったのか 関電金品受領事件、謎の深層を読む」を紹介しよう。※本記事は『佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」』に収録している文化放送「くにまるジャパン極」の放送内容(2019年10月4日)の一部抜粋です。野村邦丸氏は番組パーソナリティです。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67753
・『クビのリスクを冒してでも…?  邦丸:関西電力の金品受領事件ですね、高浜町の助役だった森山栄治さんが3月にお亡くなりになった後、一気に問題がワーッと出てきている。裏に隠れている原発マネーとかブラックボックスが垣間見えているなかで、佐藤さんはこの件をどんなふうにご覧になりますか。 佐藤:まず、報道各社は非常に素直な見方をしているわけですね。関電が関連業者に、原発に関する大規模な発注をする。大きなおカネが動くから、関連業者のほうからリベート、キックバックがあった。そのキックバックの間に元助役さんが入っていた──と、こういうストーリーなんですよね。 一見すると、確かに「関電は汚い」と見える。「そんなところで、自分たちのフトコロを潤して」と、こういう雰囲気になっていますよね。 ただ、もう一歩考えてみると、電力会社の社員の生涯所得は大きい。キックバックを受け取っていたことがバレたら、クビですよ。そんなリスクを幹部が冒すのか? こう考えると、外務省時代の経験を思い出すんですよ。「欲しくないカネを、取らざるを得ない」状況ってあるんですよね。 邦丸:えっ。おカネは要らないのに? 佐藤:外交官は、おカネなんて要らないんです。給与を十分もらっていますから。ところが、政治家──有力な閣僚とか与党、それから野党の有力者を、たとえばモスクワでアテンドするでしょ。そういうときには、だいたい「ありがとう」と言っておカネをくれるんですよ。 しかし、こちらは仕事でやっているわけですから、給与をもらっているわけです。それ以外に対価をもらったらいけないですよね、公務員は。 邦丸:そうですね。 佐藤:ところが、そのおカネをもらわないと「オレのカネが取れないのか。オレと付き合わないということか」と、こういうふうになっちゃうんですよ。 邦丸:はあ~』、「外交官」時代の経験をもとに解明しようとするとはさすがだ。
・『「ヤバい金」の流れとは  佐藤:それだから、もしそういうふうに蹴っ飛ばしたら、特に相手が外務大臣とか、あるいは総理大臣とか官房副長官とかそういう人たちだったとしたら、「どこどこの〇〇というヤツは態度が悪い」という話になって、大変なことになっちゃうんですよ。「ありがとうございます」ともらうしかないわけ。 そんなカネ、誰も欲しくないでしょ。ヤバい話じゃないですか。だから、モスクワの大使館は裏口座をつくっていた。 邦丸:裏口座! 佐藤:そう。大使館には大使、公使、その下に総括参事官というのがいる。今はたぶん総括公使になっていると思うけど、これが裏回りの仕事を全部やる。ヤバいことだけやる人がいるんですよ。企業の総務みたいなものですが、その人のところに持っていくと、「わかった」と言って預かって、プール金にしてくれる。 人に言えないような、おカネがかかる仕事がときどきありますから、そういうときにはそのプール金を使うわけですよ。 邦丸:その仕事というのは、今は時効ですか? 佐藤:たとえば、大使館員が酔ってトラブルを起こした。そういったものを処理するときに、ちょっと有力な人に口をきいてもらうために、心付けを持っていく。そういう面倒くさい仕事ですよね。 邦丸:ふむ。たとえば現地に住んでいるモスクワ市民、あるいはロシア国民──当時はソ連ですけれど──に対する工作費に使うとか? 佐藤:それはまた別途おカネがあります。 邦丸:別会計ですか。 佐藤:大使館には報償費、いわゆる機密費という別のおカネがありますから、そういうことは大丈夫なんです。 要するに、政治家と外務省の関係ってそういう感じなんですよ。今は綱紀を改めたと言っているけど、それほど変わっていないと思います。カネを取らないと、政治家との信頼関係というものがなくなってしまう』、外交官の場合は「プール金」として処理したのに対し、関電ではもらった役員が各々、管理していたらしい点ではより不透明で悪質だ。
・『「承認欲求」だったのかもしれない  佐藤:あとは、これは今まで話したことがなかったけれど、新聞記者。政治家は新聞記者にもカネを渡すことがありますし、官僚も新聞記者にカネを渡すことがあります。 邦丸:へえ~。 佐藤:これはどういうことかというと、政治家が記者に何か秘密情報を流すときというのは、だいたい「自分には力がある」ということを示したいときですよね。官僚が流すときには、その政策を推進する記事を書いてほしいか、あるいは潰してほしいかのどちらかなんです。だから、「クルマ代、持っていけ」といった形でカネを掴ませるんですよ。 カネを掴ませれば、お互いに悪事を働いたわけですから、運命共同体になる。で、秘密を守ってくれるわけです。 もし登場人物が普通のサラリーマンとか学校の先生とかだったら、単なるキックバックに見えるかもしれない。でも私は外務省にいたことがあるから、「おカネを取りたくないんだけれど、取らざるを得ない」という局面があるということを知っているので、今回はそういう例だなと見えるわけです。 邦丸: なるほど。 佐藤:この助役の人が辞めて以降、どうもこういうことが起きているらしい。というのは、ポストにいるときはその人の力をみんな認めているんですけれど、彼は恐らくポストから外れても、自分は有力者だということを見せつけたかった。そのためには、相手を悪事に引きずり込んで運命共同体にする。そうすれば、いつまでも言うことを聞くし、自分を軽く見ない──こういう思惑があったんじゃないか、と推定できるんですよ。 邦丸:今日、放送前の打ち合わせのときに、佐藤さんは「承認欲求」と言っていましたね。 佐藤:そう、一種の承認欲求じゃないかと思うんです。 だから、関電幹部はおカネが欲しかったとか、この助役の人は仕事を回してほしくておカネを回していた、という風に見ると、事柄の本質を見誤るんじゃないか。特に、人間って──これは政治家でも官僚でも同じなんですけれど、ポストを外れて年齢を重ねていくと、承認欲求が肥大する人が非常に多いんです。そっちの切り口なんじゃないかなと』、これは面白いが、1つの仮説に過ぎない。
・『不可解な「修正申告」の理由  佐藤:ただ、関電にも何かやましいことがあるような気がするんです。たとえば「邦丸さん、この5000万円、取らないとどうなるかわかるか? 邦丸さん、かわいいお孫さんがいるよね」とか、「お孫さん、毎日どこを通って登校しているかなあ」とか言われると、受け取らざるを得ないでしょ。 邦丸:その菓子折りは一応、いただきますね……。 佐藤:受け取ってしまう。それで、「マズいぞ」と会社のみんなで相談して、「面倒だから、預かっておくということで金庫に入れておけ」とか、あるいは「会社の口座に入れておけ」というふうにする。 今回も、個人口座はなかったでしょう。そういうふうに対処しているならば、修正申告なんて応じるはずないんです。修正申告すると一時所得になって、これは私のおカネですと認めることになるわけだから、「確かに私がもらった」ということになっちゃう。 ここから先は推定の推定なんだけど、そうやっていくつももらっていると、たとえば現金の場合は会社の金庫、会社の口座に入れたけれども、商品券は使っちゃったとか、お仕立券で背広を作っちゃったとか、一部だけ個人的に使っちゃうことがある。しかし、少しでも汚れていれば全部真っ黒ですからね。そういう事情があったから修正申告しちゃったんじゃないか、と思うんですよ。 邦丸:これ、まだいろいろなことが明らかになっていませんが、経済産業省も全国の大きな会社には調査をすべきだと言っていますね。検察はどうでしょうか。 佐藤:検察は動くと思いますよ。ただ、どういう動き方をするかですよね。誰も指摘していないんですけど、可能性があるのは脱税です。 邦丸:脱税。 佐藤:一時所得だと認めたわけですね。もらったんだったら、なんでそのときに認めなかったんですかと。それでまず、延滞税がつきますよね。さらに、もらったことを税逃れで隠していたんじゃないですか、ということになれば重加算税がつく。そうしたら、とんでもない額になります。同時に、悪質だという認定がされれば逮捕されますからね。在宅起訴の可能性もあるので、実刑にはならないにしても前科はつきます。そういう方向に進むかもしれない』、「個人口座はなかったでしょう」、これは初耳で、本当のところは不明だ。「検察は動くと思いますよ」、というのも、第二の記事にあった関電と検察の密接な関係を考慮すると疑問だ。
・『本当の闇は解明されない  佐藤:どうして私がこうした変わった見方をするかというと、消費増税の実施直後だからです。増税直後というのは、脱税に関する摘発基準が普段よりずっと厳しくなるんです。 邦丸:過去、そうだったんですか。 佐藤:その傾向があります。「増税してうれしい」と思っている国民はいないでしょ。なんで2%上がるんだ、と思っているところに、不正にカネをもらって申告していなかった偉い人がいる、となると、みんなどう思いますか。 そこのところで、特捜が徹底的に脱税の捜査をやれば、世論は「ああ、特捜は頑張っているな。税金逃れをする人は厳しく取り立てて、正義を実現してください」というふうになるじゃないですか。仮に、森友問題で食い込めなかった大阪地検がやるとすると、「大阪地検特捜部は、よくやっている」という話になる。検察官は褒められるのが大好きですから。 邦丸:ふむ。 佐藤:いろんな形でこの問題は派生していくんだけれど、ただ、なぜこの森山さんという人がそういった承認欲求を持ったのか、いったいこの人が本当は何をしていたのかということに関しては、闇のままになるんじゃないですかね。それで、責任は全て関電の幹部が取らされて、みんなが忘れていくのを待つという、こんな流れになるんじゃないかと思っています。ミステリー小説のような世界です』、「責任は全て関電の幹部が取らされて、みんなが忘れていくのを待つという、こんな流れになるんじゃないか」、というのはありそうな話だ。佐藤氏の見方は、ユニークで面白いが、そうとう割り引いて受け止める必要がありそうだ。
タグ:安倍政権が不正発覚を望まない原発案件に手をつけた金沢国税局は、虎の尾を踏んだ 当時の局長が辞職を申し出て、国税庁長官官房付を経たうえで昨年3月に退職 全ての原発において総点検が必要 再生可能エネルギーに導入された固定価格買取制度(FIT)の原発版をはじめとする原発事業の予見可能性を高めるための環境整備も訴えるはず 電事連として第6次エネ基に原発の新増設、リプレース(建て替え)の文言を盛り込むよう求め 総額3.2億円相当の金品を受け取っていたことが判明 “原発マネー”が還流 金沢)国税局は過去何十年間も見過ごしてきたのか  なぜ、調査が入った途端に元助役が死んだのか 福井県高浜町の元助役 関電 原発マネー還流 佐藤 優 関電社外監査役には「関西検察のドン」と呼ばれる元検事総長の土肥孝治弁護士が今年6月まで就き、後任に元大阪高検検事長の佐々木茂夫弁護士が就任 郷原信郎氏が懸念を抱くのは、関電と関西検察OBとの関係 調査委の設置を取締役会に報告すらしていなかった 「くにまるジャパン極」の放送内容の一部抜粋 その関電で、再び原発への信頼を裏切る驚愕の事実が発覚 郷原信郎氏 「原発マネー還流発覚で関電崩壊、原発消滅カウントダウン始まる」 嫌疑の有無を含めた捜査は絶対にやるべきです (その1)(原発マネー還流発覚で関電崩壊 原発消滅カウントダウン始まる、元助役の死にも疑念 「越後屋の小判」怪文書と謎解き<上>、関電スキャンダルに潜む 見過ごせない3つの問題、関西電力幹部は なぜ「汚れたカネ」を受け取ったのか 関電金品受領事件 謎の深層を読む) 来年には政府の第5次エネルギー基本計画の見直し議論が始まる見込み 電力業界全体にとって大きな痛手となる 立件要件を満たすハードルは高い 2点目は、原発マネーと言われるコストの甘さに切り込んでいくということです 原発再編や次世代原子炉の開発も頓挫 「違法性はない」と被害者面の経営陣、辞め時と逮捕の可能性 現在の報道は、こうした「カネの意味合い」に関するツッコミが全く不足 意識のかけらもなかった コンプライアンス 本当の闇は解明されない 不可解な「修正申告」の理由 責任は全て関電の幹部が取らされて、みんなが忘れていくのを待つという、こんな流れになるんじゃないか プール金 「関西電力幹部は、なぜ「汚れたカネ」を受け取ったのか 関電金品受領事件、謎の深層を読む」 関電には、震災後の日本の原発をけん引してきたという自負があった 特別なものを贈ることによって、金品授受により重みを持たせ、一蓮托生の共犯関係にあると念押しする意図があった なぜ、重くて足がつきやすい小判なのか  共犯関係を念押しするような元助役の凄味 事後にカネを押し付けるように渡すというのは、非常に不自然 1点目は、資金還流の意味 原発マネーは関係先をぐるぐると回っていた クビのリスクを冒してでも…? 「原発とカネの問題は切っても切れない」という賛成反対両派の「常識」にメスを入れていかなくてはならない 内部告発文書がここへきて出回っている 現代ビジネス 岩根茂樹社長は「不適切ではあるが、違法性はない」として取締役会に報告せず、秘匿を続けていた 「もう原子力は終わりでしょうね」。大手電力会社関係者は肩を落とした 関電は森山氏の“特異性”にすべてを押し付け、逃げ切ろうとしている 「関電スキャンダルに潜む、見過ごせない3つの問題」 Newsweek日本版 ガバナンス 「元助役の死にも疑念 「越後屋の小判」怪文書と謎解き<上>」 冷泉 彰彦 社内調査委員会を設置 日刊ゲンダイ 査察が入った1年後に森山氏が死去したのも謎だ ”原子力ムラ” 黙認してきた税務当局の不作為が問われるべき 「ヤバい金」の流れとは 次世代原子炉の開発について、最も意欲的だったのが、関電だ 事の発端は、国税当局による税務調査 ダイヤモンド・オンライン あらゆる原子力政策を前に進められるかもしれない大事な時期だったのに、関電のおかげで全てパア 3点目は原発立地です 関電に限らず、全国の原発にもメスを入れるべき
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感