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介護(その3)(中国の介護・高齢者市場で「日式介護」は本当に通用するのか、当たり前の「家族介護」が細るドイツ 共同生活へ舵を切った事情、介護へ転籍上等!叩き上げ損保マンを舐めるべからず) [社会]

介護については、5月5日に取上げた。今日は、(その3)(中国の介護・高齢者市場で「日式介護」は本当に通用するのか、当たり前の「家族介護」が細るドイツ 共同生活へ舵を切った事情、介護へ転籍上等!叩き上げ損保マンを舐めるべからず)である。

先ずは、7月2日付けダイヤモンド・オンライン「中国の介護・高齢者市場で「日式介護」は本当に通用するのか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/206895
・『中国の巨大な介護・高齢者市場には、日本の企業も相次いで参入している。介護は生活に密接し、極めて属人的な要素が強いサービス分野。日本の介護、日本企業が本当に成功できるのか。上海市で開催された中国最大級の介護ビジネス展示会、現地の介護関係者らを取材してみた』、興味深そうだ。
・『中国最大級の介護・福祉展示会が注目される理由  6月11日、中国・上海市――。「とにかく広い展示会場」として世界的に知られる上海新国際博覧中心の展示ホールのゲートが開くと、待ち受けていた大勢の人々がドッと流れ込み、会場内はあっという間に人混みであふれた。その展示会は「CHINA AID(チャイナ・エイド)」。 まるで「チャリティー・コンサート」を想像させる名称だが、もちろん違う。日本語表記では「中国国際福祉機器展」(上海市民政局主催、上海国展展覧中心有限公司運営)。年に1度、開催される中国最大級の介護・福祉関係の展示会である。 中国政府が力を入れる成長産業といえば、IT産業や自動車産業などが有名だ。しかし目立たないが、有力視されている産業がある。それが「養老産業」といわれる介護・高齢者向け産業である。 現在、中国は長年続いた「一人っ子政策」の反動により、猛烈な勢いで少子高齢者化が進んでいる。2018年末、中国の60歳以上の高齢者人口は2億4900万人を超え、2050年前後には5億人規模に達すると見込まれている。その市場規模は、試算する行政機関やシンクタンクによってさまざまだが、現在の潜在的規模で80兆~150兆円、20~30年後には300兆~500兆円規模と予測されている(ちなみに、日本の人口は約1億3000万人、うち65歳以上の高齢者は約3500万人)。 チャイナ・エイドは、現在、中国の介護ビジネス関係者の間では、「絶対に視察すべき展示会」といわれる。その理由は、2つ。 1つは多くの有力な介護ビジネス関係者が一堂に会するため、「最新の情報交換が可能」であるということ。もう1つは、年々、目まぐるしく変わる介護ビジネス環境の中で、「毎年、展示内容や話題のテーマを見れば、大きな流れや方向性がわかる」(日系企業の出展者)からだ』、「猛烈な勢いで少子高齢者化が進んでいる」なかでは、関係者には確かに必見の展示会なのだろう。
・『折しも、昨年から開催地の上海市で介護保険が導入されるなど、中国の介護ビジネスは大きな変革を迎えている。そんな中、2019年のチャイナ・エイドには日本企業も79社(共同出展含む)が出展している。これは5年前に比べると30社増えており、中国市場への参入を本気で考える日本企業が増えている証しでもある。 チャイナ・エイドの運営会社、上海国展展覧中心有限公司の項目総監の馬智〓(〓の文字は雨かんむりに文)氏は、近年の傾向として「外国企業の出展が目立つ」と語る。 「今年は日本以外では、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、イスラエル、スウェーデンなど合計20ヵ国・地域の企業が出展しています。特にドイツをはじめ、欧米勢の勢いがあります。サービス関連の出展は、アメリカ、オーストラリア、オランダが多くなってきています。日本は設計、コンサルなどの出展が増えました」 現地企業だけでなく、欧米企業もひしめく中、日本の介護事業者は巨大な中国介護市場を相手にどこまで食い込めるのか、その可能性について、チャイナ・エイドの出展関係者や上海周辺の介護関係者に話を聞いてみた』、「日本以外では・・・合計20ヵ国・地域の企業が出展」、競争は熾烈なようだ。
・『ほんの数年で大きく変わった中国ビジネスへの意識  「中国での介護ビジネスは簡単ではない」――。 実は、ほんの数年前に比べ、中国に進出する日本の介護事業者の「意識」は激変している。 当初、日本の介護事業者の多くが中国で想定したビジネスは巨大な老人ホームなどを開設して運営することだった。それが現在では「中国で日本企業は老人ホームの開設には、うかつに手を出さないほうがいい」という考えが定着しつつある。 その理由は明らかで、思うように入居者や介護スタッフが集まらず、撤退を余儀なくされたり、赤字続きの日系企業の老人ホームが相次いでいるからだ。 そもそも、これほど多くの日本の介護事業者が中国市場を目指すきっかけとなったのは、政府が推進する「介護の輸出政策」だ。 日本の介護ビジネスの経営環境が介護人材の不足や社会保障費の制約などで厳しくなっている中、2016年に政府や経済産業省が日本の医療・介護のノウハウや技術を輸出する「アジア健康構想」を打ち出し、2017年以降、成長戦略として「介護ビジネスの国際展開」を推進したことが背景にある。 これに加え、中国をはじめ、高齢化が進むアジア圏から多くの見学者が日本の介護施設を訪問し、「日式介護(日本の介護)は素晴らしい」ともてはやした。このため、「日式介護」という「日本ブランド」を掲げれば、大きな差別化につながるという考えがあった。 中国には最大手のニチイ学館をはじめ、野心的な介護事業者が次々と参入した。しかし、その多くは現地法人の整理・統合、契約・提携先の見直しを行うなど、中国事業には苦労している。まず「大成功」という話は聞かない』、日本政府が「成長戦略として「介護ビジネスの国際展開」」の旗を振ったとはいえ、「最大手のニチイ学館をはじめ、野心的な介護事業者が次々と参入した。しかし、その多くは現地法人の整理・統合、契約・提携先の見直しを行うなど、中国事業には苦労している」、というのは当然だ。
・『日本企業が中国の介護でダメな理由  日本企業が中国の介護ビジネスで失敗する理由は何か――。 現地で「日本企業が中国の介護でダメな理由」を聞いてみると、いくつか共通した回答が得られた。それは以下の3点に集約される。 (1)明らかな調査不足(立地条件の失敗など初歩的なミスが目立つ) (2)中国人の習慣や文化、嗜好(しこう)を十分に考慮していない(しかも、それは地域ごとに異なる) (3)コスト意識やビジネス感覚に乏しい(中国の事情に合っていない) 以下、関係者のコメントを紹介しながら、具体的に説明しよう』、「「日式介護」という「日本ブランド」を掲げれば、大きな差別化につながるという考えがあった」、なんと甘い考えで進出したものだ。
・『◎明らかな調査不足  これについては、中国と日本の介護事業に詳しい日中福祉プランニング代表の王青氏は「当初、中国に進出した日本企業は、立地条件が極めて悪い場所に老人ホームを開設したり、介護ビジネスの経験がない不動産会社やIT系企業をパートナーに選ぶなど、明らかに情報収集不足と思われる失敗が多かった」と指摘する。 特に介護施設では、立地は重要である。 上海紅日養老グループ董事長の陳琦氏は「介護施設の運営で重要なのは、何よりも立地、そして介護スタッフの確保です。中国の介護事業者もこの2つで苦労している。外国企業なら、そのハードルはますます高くなる。よほどいい現地のパートナーと組まなければ、成功は難しいでしょう」と説明する。 この紅日グループは、上海を中心に13もの老人ホームを運営する民間企業。これら施設は開業後半年で100%の入居率を誇り、中国でも人の出入りが激しい介護スタッフの離職率がわずか1%と「中国で最も成功している介護事業者」として知られる。 その成功要因は、まず、利便性が高い都市部という立地での開設。それから何よりも、農村部から出稼ぎで来た介護スタッフに対する「家族同様」の面倒見の良さと人材教育で介護スタッフのモチベーションを高め、介護サービスの質も向上させていることだ。結果的に、離職率も低くなり、利用者や介護スタッフも集まりやすいという好循環を生んでいる。 日本では、大型の高級老人ホームや利用料金が安価な特別養護老人ホームなどは広大な敷地が確保でき、土地代の安い郊外に開設されることが多い。このため立地について、あまり深く考えない日本の介護事業者が多かったのだろう。 しかし、中国では立地条件は、日本以上に利用者や介護スタッフの確保に大きく影響してしまう。ここで失敗すると、致命的となる』、「立地条件」1つとっても、日中間のギャップは想像以上に大きいようだ。
・『日本のやり方を押し付けても成功しない ◎中国人の習慣や文化、嗜好を十分に考慮していない  中国の介護施設や老人ホームを見学して、真っ先に日本との「違い」を感じるのは、入り口の受付周辺だ。中国の介護施設の受付は派手で立派である。介護施設の様子を見ても、かなり好みが違うことがわかる。 元々、バレーボールのプロ選手で大分県のチーム「大分三好ヴァイセアドラー」でも活躍し、現在は上海を拠点に介護施設の設計をしている王晨氏は、「例えば、トイレの位置について、日本では介護スタッフが作業しやすい場所に配置したりするが、中国人からすると方角的に『絶対にありえない場所』に配置したりする。 また高齢者であっても、生まれが1940年代、50年代、60年代では、全然、好みや習慣が違うので、入居者によって設計を考える必要がある」と指摘する。 設計についても「上海などの都市部では新築が難しく、既存物件の改築が中心となるため、防火対策や間取りの面で多くの制約がある。日本企業にとってはこうした面でもハードルが高い」という。 そもそも日本の介護では「残存機能の維持」「自立支援」といった、高齢者には自分でできることはなるべく自分でやってもらい、それをサポートするのが理想とされている。しかし、こうした考えはなかなか理解されないことが多い。 それをきちんと説明せずに、頭ごなしに介護スタッフに命じたり、利用者や家族に強要しても、トラブルになるだけである。 介護は生活に密着した「究極のサービス業」であり、しかも属人的な要素の影響も大きい。日本のやり方を強引に押し付けてもうまくはいかない』、サービス業である以上、その通りだろう。
・『◎コスト意識やビジネス感覚に乏しい  「日本の介護は素晴らしい。しかし、それは介護保険制度がある日本だからできること」――。こうした声は何度も聞いた。 日本は介護保険制度という公的サービスが導入されており、その収入を前提に介護ビジネスが行われている。介護保険は、中国でも上海市など一部の都市で始まっているが、カバーできる範囲も狭く、日本ほど手厚いものではない。 アジアの介護事情に詳しいデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーのアドバイザー、細見真司氏は「そもそも日本では、介護は『ビジネス』よりも『福祉』という考えが強い。そのために、欧米企業に比べると、どうしてもコスト意識やビジネス感覚に欠けている。介護保険制度に守られている日本の介護事業者は『高くて良いもの』を提供するノウハウはあるが、『安くて良いもの』『値ごろ感あるのサービス』を提供するノウハウには乏しい」と解説する。 加えて「国際的なビジネスが展開できる人材も圧倒的に不足している」「欧米企業に比べると資本があまりに脆弱で、腰を据えた事業展開がなかなかできない」などの問題点も指摘する。 実際コスト面に関しては、前述の紅日グループでは認知症ケアを強化するため、日本から「認知症のスペシャリスト」を招いて、そのノウハウの導入を検討したが、「とても採算に合わなかった」(陳琦董事長)として断念している』、「介護保険制度に守られている日本の介護事業者は『高くて良いもの』を提供するノウハウはあるが、『安くて良いもの』『値ごろ感あるのサービス』を提供するノウハウには乏しい」、こうした日中の違いを無視して、「介護の輸出政策」を推進した日本政府の罪も深そうだ。
・『日本の訪問介護を学んだ中国人起業家の成功  現在の中国の介護ビジネスで目立つ大きな流れは、中国政府の後押しを受けた国営企業が中心となって、巨大な敷地を再開開発して大規模な高齢者住宅や老人ホームを開設するというものだ。そこに、見守り装置や遠隔診断装置などIT機器を導入する。大規模なものでは、近代的な「高齢者の街」が整備されるというイメージである。 その一方で、日本の認知症ケアを見習ったグループホームや小規模多機能などの小規模な施設の開設のほか、デイサービス、デイケア、訪問介護といったビジネスも次々と誕生し、成長しつつある。 このような傾向は、チャイナ・エイドの展示からも読み取ることができる。 例えば、上海市内で訪問介護を中心に在宅サービスを展開する福寿康(上海)家庭服務有限公司CEOの張軍氏は、日本で介護ビジネスを学び、起業して成功した最先端の若手経営者として有名な人物だ。現在、従業員3000人、約100ヵ所の拠点を持つ。 張氏は九州大学のビジネススクールを終了後、日本の物流会社などを経て、訪問介護などを運営する麻生介護サービスで勤務しながら、訪問介護のノウハウを学んで中国で起業した。 「2010年に自分の父親が脳卒中で倒れてから、中国に帰って介護ビジネスを起業したいと考えました。麻生介護サービスでは、社長に『近い将来、中国で起業したい』と頼み込んで勉強させていただきました」(張氏) 同社のチャイナ・エイドのブースを見ると、日本の行政が推進する「地域包括ケアシステム」(高齢者に対して住み慣れた地域で、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供できる仕組み)を強く意識した模型なども展示されており、日本の訪問介護の仕組みやノウハウの影響を強く受けていることがわかる』、中国人留学生が、「訪問介護などを運営する麻生介護サービスで勤務しながら、訪問介護のノウハウを学んで中国で起業」、というのは、日中の違いを踏まえての起業なので、成功しているのも理解できる。
・『日本の介護事業者が中国で成功する可能性はあるか  さて、それでは、日本の介護事業者が中国で成功する可能性はないのだろうか。 元・上海市老齢科学研究センター主任で、現在は上海市養老業界協会専門家諮問委員会主任、上海養老産業研究センター首席専門家の殷志剛氏は、日本企業が活躍する可能性について、次のように語る。 「日本製の福祉機器、リハビリ機器は優れており、価格的に販売が困難でもレンタルなら可能性がある。 認知症についても、以前の中国では認知症の知識がほとんどなく、家族も隠そうとする人が多かった。それが高齢化とともに認知症の問題が社会でクローズアップされ、日本のノウハウを学ぼうという中国の介護事業者が増えている。実際に、認知症ケアに適した日本のグループホームや小規模多機能のような小規模介護施設も増えてきている。 リハビリについては、その評価システムさえもまだ構築されてなく、ノウハウを知りたいというニースは多い。信頼できて、現地の状況に詳しいパートナーを探すことができれば、日本企業にも成功のチャンスはあるだろう」 現地の介護関係者に聞けば、同様の意見や見解が多かった。つまり、現在のところ、(1)ハード面では、福祉機器、リハビリ機器、(2)ソフト面では、認知症ケアやリハビリのノウハウ――。少なくとも、この2つの分野には、可能性があるということだ。 折しもチャイナ・エイドの屋外特設会場では、ジェトロ(日本貿易振興機構)による「日中高齢者産業交流会」が開催され、中国企業との個別相談が行われていた。そこには熱心な商談風景があった。 とはいえ、中国企業も認知症ケアを含め、日本企業や日本の介護のノウハウを急速に吸収し、キャッチアップしている。現地では「日本から『学ぶ』よりも、日本が介護を学んだ北欧から学んだほうがいいのではないか」という声さえも上がり始めている。 実際、以前に比べると、中国の介護人材も次々と成長している。 上海市の高級老人ホーム「上海遐福養老院」を見学した際、総経理アシスタントで介護責任者の趙曼静氏から「入居者の自主性を生かしたケアによって、96歳の入居者が半年足らずで歩けるようになった」などの話を聞き、同行していた日本の介護事業者幹部らの表情が一変して真剣になったのが強く印象に残っている。 前述した福寿康(上海)家庭服務有限公司CEOの張軍氏のように、日本での介護ビジネス経験者が中国で介護ビジネスを起業して成功する事例も目立ち始めている。彼らが成功するのは、中国の文化や習慣を熟知しており、中国人の好みに合わせたサービスのローカライズ(現地化)がうまくいっているからだ。 いつまでも「自分たちの介護の技術やノウハウのほうが優れている」という考えで慢心していては、競争の激しいアウェー市場である中国では生き残ることはできないだろう』、「いつまでも「自分たちの介護の技術やノウハウのほうが優れている」という考えで慢心していては、競争の激しいアウェー市場である中国では生き残ることはできないだろう」、手厳しい指摘だが、その通りだろう。

次に、福祉ジャーナリスト(元・日本経済新聞社編集委員)の浅川澄一氏が7月31日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「当たり前の「家族介護」が細るドイツ、共同生活へ舵を切った事情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/210309
・『日本より5年前に介護保険制度を始めたのがドイツである。要介護認定や給付対象が在宅サービスと施設サービスの2本立て、「施設より在宅重視」など、日本と似たような仕組みだ。だが、ドイツでは自宅での家族や友人などからの介護を受けると、現金給付が得られる点が日本と大きく異なる。 この家族介護に携わるのは、妻や娘、息子の妻など女性が多く、日本では制度導入前に「報酬が付くと、男性からの圧力で女性たちが介護に縛り付けられてしまう。『介護の社会化』という保険制度の原則に反する」と批判され、報酬から外された。ドイツでは当初から制度に組み込み、ほとんど批判的な議論はない。 この6月に、ケルンやボン、デュッセルドルフなどドイツ西部で高齢者ケアの現場を視察してきた。デュッセルドルフ市役所を訪ねた際に、介護担当のトップ、社会福祉部長のアンケ・ミューラーさんから話を聞いた』、「介護保険制度」の先輩であるドイツの事情とは、興味深そうだ。
・『介護してくれる近所の人などに“ちょっとお礼”する現金給付の仕組み  日本と違って、自治体は保険者ではない。制度は保険料だけで成り立っており、税金は注がれていない。社会保険へのこだわりが強いからだ。その点を考慮して聞かねばならない。 日本での議論を伝えると、「ドイツでも、介護は今までずっと女性が主に担ってきました。介護保険によって、それにお金が付いたとみています。介護保険制度で現場の状況が大きく変わるとは思っていません」と、意外な答えが返ってきた。ただし、「女性に介護が押し付けられることへの賛否はあることはありますが」とミューラーさんは付け加えた。 ドイツの介護保険の在宅サービスへの給付は、現物給付と現金給付がある。現物給付は、訪問介護やデイサービスなどで日本と変わらない。現金給付は、自宅で家族や友人、近所の人、あるいはポーランドなど東欧諸国からの移民労働者などから介護を受けた時に、要介護者自身に支払われる。その報酬を、要介護者が「雇用主」として介護者たちに介護量に応じて渡すという仕組みだ。 その月間の給付額は、最重度の要介護5で11万7130円(1ユーロを130円で換算)、要介護4で9万4640円である。現物給付が要介護5で25万9350円、要介護4で20万9560円だから、その半額に満たない。要介護3と2でも同様だ。) 素人とプロの違いはあるだろうが、それでも現金給付はかなり低額のように見える。だが、ミューラーさんは「要介護者は現物サービスと組み合わせながら現金給付を受けている人が多く、納得しているはずです。低額という批判は聞いていません」と話す。 その時、隣にいた職員のステファ・ティルムスさんが、「私の伯父が現金給付を使っています」と話し出した。 伯父は要介護2、伯母は要介護4で二人暮らし。共に95歳。伯母が現物給付で在宅サービスを受けているため、家族介護はできない。そこで、伯父の介護について介護事業所に相談すると、近隣の友人2人に介護を頼んでは、ということになり、実現した。週2回来訪する。支払いは1人に150ユーロ(1万9500円)。要介護2の介護保険による現金給付は316ユーロ(4万1080円)だから、2人分は賄えることになる。 「近所の人がよく協力してくれましたね」と尋ねると、ティルムスさんは「伯父夫妻は昔からずっと同じ家に住んでいるので、周りに付き合いの長い友人が多い。だからうまくいったのだと思う」 しっかりした近隣関係が続いている地域の好事例といえるだろう。日本でひところ盛んだった「有償ボランティア」による地域での「助け合い」と似ている。「困っているときはお互いさま」というボランティア精神が原点だろう。心意気である。従って、給付が少なくてもあまり問題としない。「心づけ」「ちょっとお礼」とみているからだ』、日本では現金給付について、「「報酬が付くと、男性からの圧力で女性たちが介護に縛り付けられてしまう。『介護の社会化』という保険制度の原則に反する」と批判され、報酬から外された」、などの理由の他に、扶養義務がある家族に報酬を払うなどもってのほかといった家族主義的考え方もあったのではなかろうか。
・『介護者は家族・友人でも「労働者」 労働法規で守られるドイツ  ミューラーさんは、「もう1つ、ドイツならではの事情があります」と言う。それは家族や親族に課されている扶養義務である。民法の第160条に直系血族間において親族間の扶養義務を認める、とある。子どもたちが要介護状態の親の介護に向かうのは、こうした法律の存在も大きいようだ。だが、同様の扶養義務は日本の民法にもある。 現金給付の仕組みには、実は別の「ドイツならではの事情」がある。それは、家族や友人などの介護者は正規の「労働者」とみなされ、きちんと労働法規で守られているのだ。 年金をはじめ労災保険や失業保険などの社会保険にも加入できる。そのため、週の介護時間は14時間以上が必要とされ、他の就業時間は30時間を超えてはならない。世界に先駆けて、ビスマルクが近代社会の労働法規と社会保険制度を確立させた国だけのことはある。 さらに、現金給付の受給者は、地域の訪問介護事業所から半年ごとに介護状況のチェックを受けねばならない。「介護相談」といわれる。同席した職員のビルジット・メイヤーさんは「要介護者がどのような介護を受けているかを調べ、本当に介護を受けているかを確認するためです。なかには、お金だけ受け取って介護をしないケースもあるので」と、丸投げしてはいないと強調する。 ところが、この家族への現金給付の様相が変わり出した。当初は全体の保険費用の半分ほどを占めていたが、年々減少しているという。理由は明らかだ。1人暮らし高齢者が増えたことに加え、近くに介護者が見つからない家族も増えてきたからだ。 高齢者が孤立すると、心身の不調が急激に進む。社会全体での対応が迫られ、英国では昨年1月にそのための孤独問題担当大臣を新設した。ドイツ政府が打ち出した策は、共同生活を志向する集合住宅への転居だった。その集合住宅づくりに熱心なグループの協同組合をボンで訪ねた』、「家族や友人などの介護者は正規の「労働者」とみなされ、きちんと労働法規で守られているのだ。 年金をはじめ労災保険や失業保険などの社会保険にも加入できる」、さすが「ビスマルク」法制の国だけある。
・『約束事は「みんなで料理」だけ 障害者と要介護者の集合住宅  青と白の洒落た3階建ての建物の入り口に「ヴィラ・エマ」の案内板がかかる。入居者の顔写真も並ぶ。障害者や要介護高齢者など支援を必要とする人たちが暮らす集合住宅である。2011年から入居が始まり、28歳から93歳まで年齢は幅広いが高齢者が多い。部屋は39~77平方メートル、全部で12室。 車いすが欠かせない中年男性のシュルツ・ローメラーさんは身体障害者である。コンピューターの技術者だ。開設時の翌年から入居しており、「何よりもいいのは、施設と違って1人で自由に外出できることです。それに建物がバリアフリー仕様だから快適ですよ」と、車いすを自在に動かしてみせる。 外部の介護事業者と契約しており、毎日ヘルパーがやって来る。同時に、現金給付の家事支援者も来る。 「私が雇用主として、50歳代の女性を雇っています。彼女にとっては、ここでの活動はミニジョブにあたる」 要介護5なので、それなりの給付額になる。 住人の半数は要介護高齢者。その中には、現金給付を活用している人がもう1人いる。やはり、現金給付は相当に浸透しているようだ。住民のうち低所得者の5人は、ボン市から家賃補助を受けている。 入居者の生活には決められた規則はないが、ただ1つ、約束事がある。平日の昼に、みんなで一緒に料理をすることだ。建物を建て、運営するアマリリス協同組合の代表、ジルケ・グロッスさんは「仕事をやめた高齢者は意味のある活動から遠ざかってしまいがちになります。しかし、料理を作るのは、とても意味のあることだと思います」と説明する。 「入居者のほぼ半数は、ここで生活していなければ介護施設に入所していたレベルの人でしょう」と、胸を張る。 建設費は約2億2000万円かかったが、その20%は国と州から助成金を得ることができた。共同住宅への行政の後押しは大きい。本気で増やそうとしているのだろう。ある調査では、この20年間にこうした協同組合方式の集合住宅はドイツ全土で150ほど建てられたという』、「28歳から93歳まで年齢は幅広いが高齢者が多い」、高齢者だけでなく、若い人とも一緒というのはよさそうだ。「ただ1つ、約束事がある。平日の昼に、みんなで一緒に料理をすることだ」、日本での子供だましの遊びとは違って、これもよさそうだ。
・『マイカーも全員でシェアなど 共同性にこだわる「多世代型住宅」  アマリリス協同組合は、ジルケさんとゲルトさんの夫妻と友人の医師のスプークナーさんの3人が1994年に設立した。夫妻はアフリカのジンバブエやザンビアに10年ほど滞在し、経営学の専門家として開発支援にあたってきた。 ゲルトさんは「帰国して、どのようにして年を取っていこうか、妻といろいろ考えました。その中で、ほかの人たちと一緒に暮らし、生きていきたいと思うようになった」と話す。 ボンの中心部まで路面電車ですぐに行ける格好の土地を見つけたのが2005年。そこに、今、緑が茂る3階建ての3棟の集合住宅が建つ。2007年に入居が始まった「アマリリス」である。全33室に50人の大人と13人の子どもが暮らす。年齢は、60歳以上の高齢者と40~50歳代の中年層、それ以下の若年層が3分の1ずつ。単身高齢者からファミリー層などが住む「多世代型住宅」といえるだろう。 住民は家賃を払う契約書を協同組合と交わし、無期限で建物を利用する権利を得る。生活は自己管理が原則だが、協同組合が主宰するだけに「共同性」に大きなこだわりがある。 その代表的な取り決めは、持参したマイカーは全員でシェアすることだ。地下室には多くの車が並ぶが、各車の鍵は1ヵ所にまとめられている。 入居者の中に1人だけ、介護保険の要介護者がいるという。86歳の女性。「日常的に住民からの助け合いがなされているので、孤立して寂しい思いはしていません」と代表のグロッス夫妻は話す。 「入居者たちは、一緒に協力し合いながら暮らすことをよく分かっているので、信頼関係は相当に強いと思います」(グロッス夫妻) この「アマリリス」は、基本的には自立した家族向けとして建てられたが、次は「要支援者同士が暮らす住まいを」という声が住民の間から出てきたという。そこで着手したのが100メートルも離れていない「ヴィラ・エマ」であった。 「伝統的な家族の間での助け合いが、だんだん細り難しくなってきたことを多くの人が感じています。といって、介護保険制度には頼れない。部分保険であって要介護高齢者のニーズに十分応えられる制度ではない」とグロッス夫妻。 こうした趨勢に合わせた住まいが求められているという。それに応えようと第3の建物、「介護共同体を計画中」だと話す。名付けて「アマリリス・プラス」。16室と9室の2棟、合わせて25室はすべて要介護高齢者向け。「介護施設にはない自由な暮らしを続けながら、最期は緩和ケアだけを受けて亡くなることができる。キーワードは自己決定とQOL(生活の質)です」と強調する。 ドイツ政府は、こうした共同住宅を広めるため要介護者自身の旗揚げにも助成策を講じている。在宅サービスを受けている高齢者が3人以上でグループを作り、共同住宅を運営すると介護保険から経費の一部が支給される。12年の社会保障法改正で実現した。独居高齢者の集住を促し、それも小規模の家庭的な環境で、という考え方だ』、ドイツが柔軟な試行をしているのは、大いに注目すべきだ。日本では介護施設が既得権化しており、ドイツのような真似が出来ないのは、困ったことだ。

第三に、健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏が7月9日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「介護へ転籍上等!叩き上げ損保マンを舐めるべからず」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00031/?P=1
・『今回は「プライド」について考えてみる。 6月末に報じられた損保ジャパンの4000人削減策について、批判と「おお!この手があったか!」と称賛の声が殺到している。 ことの発端は6月24日の夕方に公開された日本経済新聞のイブニングスクープだった。 「損保ジャパン、国内4000人削減 IT活用で効率化」と題された記事は、瞬く間にSNSで拡散した(以下抜粋)。 メガバンクが相次ぎ人員縮小を打ち出す中、損害保険ジャパン日本興亜が2020年度末までに、国内損保事業の従業員数を4000人減らし(17年度比で人員の2割弱)、 +IT(情報技術)の活用で生産性を高める +新卒採用を絞る +介護やセキュリティー事業への配置転換も進める +希望退職は募集しない といった方針を取ることが分かった。 これにより21年度に100億円規模の収益改善効果を見込むが、今後は主力の自動車保険も変化を迫られるため事業の効率化を急ぐ、らしい』、このニュースは確かに気になるものだったので、河合氏がどう読み解くのは興味深い。
・『介護現場への大量配置転換に批判の声が上がったが  この時点では、タイトルだけに反応した人が多かったのか「4000人も切るのか?」という嘆き声ばかりだったが、この報道とほぼ同時に公開された時事ドットコムでは「損保ジャパン、4000人削減=ITで効率化、介護分野などに配転」と題し、「余った従業員は介護などを手掛けるグループ企業に配置転換する」と、“余った”というかなりトゲのある言葉にSNSは反応。批判は一気に「余った人は介護へ」に集中した。 「これって新手の追い出し部屋でしょ?」「ひっどい話だよ。損保マンから介護って。露骨すぎる」「今後はこういう手口を参考にする会社が増えるだろうね」「そのうち介護と警備のどっちにしますか??とかなるんじゃないの?」といった否定的な意見が殺到したのである。 メディアもこうした論調に乗り、「見事としか言いようがない洗練されたスキーム」「職業差別を利用した高度なテクニック」などの専門家のコメントを掲載し、 +自主退職してくれればもうけもん +転籍させれば給与を介護業界基準まで下げることができる +希望退職の募集はしないので特別退職金を払う必要もない +人手不足も補える といった企業側の利点を紹介。 今回のやり方を「残酷物語」としたり、「管理職の肩書を与えられても、実際には入所者の排せつ物の処理などの業務をする場面も当然出てくる」とコメントしたりする識者もいた。 ……ふむ。なんなのだろう。このモヤモヤした気持ち。 私は最初日経新聞の記事を見たときに「4000人削減」という人数には驚いたが、「介護やセキュリティー事業への配置転換」という内容に否定的な感情は1ミリも湧かなかった。 私はこれまで精神的なプレッシャーをかけて追い出そうとする企業のやり方を強く批判してきた。ジワジワと陰湿なことをするくらいなら、正面切って言え、と。 その一方で、10人中6人が50代以上となる時代に、50代以上の社員をうまく使った企業が生き残るとも訴えた。その上で雇用延長した場合に、昨日と全く同じ仕事をしているのに給料だけが激減することの理不尽さと、チームの力関係が変わることへの心理的負担を指摘し、ベテランの経験を生かせる新しいチャレンジができる仕組みが必要なのでは? という持論を展開し、それに賛同する人は多かった』、前向きに捉えているようだが、「介護やセキュリティー事業への配置転換」の条件にもよるような気がする。 
・『マネジャーとしての手腕が必要とされる介護現場  今回の損保ジャパンの方針はまさに新しいチャレンジではないのか。労働環境に課題の多い業界だけに、大手金融機関で蓄積してきた知見が移った先で生かせると思うのだ。 損保ジャパンの親会社SOMPOホールディングスは、15年12月に外食大手ワタミの介護子会社「ワタミの介護」を買収したほか、16年3月には介護大手のメッセージも子会社化し、業界トップに君臨するニチイ学館を僅差で追いかけている。 ワタミの介護では入所者が溺死する事故が、メッセージでは介護職員による転落死殺人事件という痛ましい事件があったが、どちらも大手だったため、現在SOMPOホールディングスは、老人ホームの数(全国321拠点)と居室数(13万9907室)で、規模としては介護業界最大手だ(2019年4月末時点)。 これだけ多くの介護現場を仕切るには、鳥の視座が必要不可欠。 心理的にも肉体的にも負担の多い介護の仕事は、マネジャーとしての手腕が最も必要とされる職場と言っても過言ではない。 介護というと、重労働、低賃金ばかりが問題点として挙げられ、経営サイドも入居者にばかり目を向けがちだが、実際にそこで働く人たちの声に耳を傾けると、働く人たち同士の人間関係、すなわち職場風土の問題を語る人が多い。 介護をスムーズに行うにはスタッフ相互の情報共有が極めて大切なのだが、人手不足で難しい。その結果、孤独な作業に陥り心理的負担が増える。しかも、365日、24時間の仕事で、夜間勤務もあり、まとまった連休も取れず、ストレスがたまる。 もっと賃金が高ければ、短い休みでもお金をかけて遊んだりして、息抜きをすることもできるかもしれない。しかしながら、そういった見聞や視野を広げる機会へのアクセスが乏しく、職場の人間関係だけに縛られがち。人間関係が重要になっていくのである』、「マネジャーとしての手腕が必要とされる介護現場」、というのはその通りだろう。
・『スタッフの雰囲気は悪くなかったワタミの介護現場  ワタミは世間的にはたたかれたが、社員旅行などにはかなりのお金をかけ、社員の結束づくりには積極的だった。 痛ましい事故は「見守り不在の時間が1時間以上もできしまったこと」が原因で、弁解の余地はない。 だが、現場の人たちに話を聞くと、「人間関係が良かったので辞める人は少なかった。社員を結束させるというトップの心意気が社員に生かされている部分はあったんだと思う」という意見は決して少なくなかった。 介護現場の上司部下、同僚との関係は、入居者へのサービスに直結する。人間関係の良い職場は、働く人たちの職務満足度が高く、入居者からの評価も高い。 そもそもマネジメントとは管理ではなく、限られたリソースを最大限に動かし、生かすこと。「人の回し方」「情報の回し方」「カネの回し方」をいかにマネジメントするかで働く人たちのパフォーマンスは大きく変わる。 大企業にいた人が中小企業に転職したり、出向したりしたときに「マネジメントができていない」「働く人たちの意識が低い」ともらすことがある。「まずはそこから変えようと改革をしたんです」と、そこでのチャレンジを誇らしげに語る人もいる。 もし、批判されているように損保ジャパンが今回の方針を「新手の追い出し部屋」と考えているとしたなら、それは大きな過ちであり、ぜひとも改めて欲しい。 大きな組織で損保マンとして経験を積んできた人たちの知見が介護現場を活性化すると信じて欲しい。そして、社員たちにそのメッセージをきちんと伝えて欲しい。 組織を変えたきゃ、「若者、よそ者、バカ者を生かせ!」と言うように、元損保マンが介護現場に入れば、ブラック職場の代名詞でもある介護職場を変えることができる。 というか、私はそう期待している‥‥のである』、要は前向きに考えたいということのようだ。
・『泥臭い仕事現場を経験して成長した人は少なくない  それに‥‥、入所者の排せつ物の処理などをあたかも「損保マンのエリートには耐え難い仕事」のごとく指摘する意見があったが、損保マンたちだって若い頃には「え? こんなことを損保マンがやらなきゃいけないの?」という、現場の“雪かき仕事”をした経験はあるはずである。 私は航空会社のCA(客室乗務員)時代に、数えきれないほどお客様の排せつ物の処理をしたし、抱っこしていた赤ちゃんに肩に吐かれたこともある。お客様が飛行機酔いして掃除に追われたことも何回も経験した。 某電鉄会社のトップは、「うちの会社では半年間、電車の車掌を経験させるんですが、自身、あれほど貴重な経験はなかったと」と語り、某建設会社のトップは、「若いときの現場経験が、働き方改革を考えるときに役立った」と断言する。某新聞社の記者は「集金とか新聞配達とか新人のときやったんですよ」と笑い、某メーカーの部長は、「地方回りを若いときに経験させられたことで、自分の仕事に対する意識が変わった」と教えてくれた。 どんな仕事にも誰かがらやらなきゃいけない“雪かき仕事”がある。マニュアルには書かれていない、外の人は知り得ない、人事評価の対象にもならない仕事だ。でも、それをやった経験があるか、そういう仕事があることを知っているかで、その人の仕事ぶり、とりわけマネジメント層になったときの働きぶりには雲泥の差が生まれるものだ。 思い起こせば今から7年前の2012年10月。「ベテラン社員が若手の横で社内清掃」と見出しのついた新聞記事がネット上に出回り、今回と全く同じような空気が漂ったことがあった。 内容は大手計測器メーカーのタニタの本社の様子を報じたもので、「60歳を過ぎたベテラン社員が、若手社員らのそばで社内を清掃している」との文言から始まり、同社の雇用延長の取り組みを報じたものだった。 この年は「改正高年齢者雇用安定法」が成立し、段階的措置はあるものの、翌年4月から希望者全員が65歳まで働けるようにすることが企業に義務付けられた。 タニタはその2年前の2010年に、雇用延長の義務化を見据えて60歳定年を迎えた社員を一定条件で再雇用するタニタ総合研究所を設立。64歳までの20人を再雇用したのである。 当時、批判されたことについて、タニタ総合研究所の今正人社長は「仕事に就く前には十分に話し合い、納得してもらっている。中には技術を生かしてデザインを担当しているベテランもいる。だが、若手の仕事を奪うわけにはいかず、継続雇用の安定のためには、社外で仕事を探すことが課題」と答えている。 実際はどうだったのかは分からない。だが、今、タニタ総合研究所関連情報を調べると、「タニタ本社ビルの社内清掃と外構の清掃業務」の求人情報が見つかるので、社長(当時)の言葉を借りれば、納得して若手のそばで社内清掃に励むベテラン社員も少なからず存在するのだろう』、「泥臭い仕事現場を経験して成長した人は少なくない」、「どんな仕事にも誰かがらやらなきゃいけない“雪かき仕事”がある」、などはその通りだ。ただ、「タニタ」のように「若手のそばで社内清掃に励む」、自分には到底無理だ。
・『ベテラン社員の「真のプライド」はどこにある  いずれせよ、それまで自分が関わってきた仕事から他のキャリアに移行するときに、社会的地位が低いと見られている職業への転身を「プライドが許さない」「プライドが傷つく」と憂う人がいるけど、「ベテラン社員に真のプライド」があるからこそ、清掃業務だろうと、隣に若手がいようとも、働いているのではないか。 逆にそういうプライドを持つ人なら、いかなる転身も辞さない。他者や世間に惑わされず、自分の価値判断を信じ取り組むことが可能なのだ。 50歳以上の海千山千のベテラン損保マンには、「雪かき仕事」なんかにへこたれない強かさがある。会社が彼らを信じれば、損保マンから介護業界への転籍だって喜んで自分からチャレンジするはずである。少なくとも私は損保マンが介護を変えてくれると期待している。 最後に、批判覚悟で言わせていただけば、お金を稼ぐという行為は、実に厳しいものだ。 つまるところ、仕事は「誘い」があって初めて成立するものだと思う』、「ベテラン社員に真のプライド」があるからこそ、清掃業務だろうと、隣に若手がいようとも、働いているのではないか」、論理が飛躍し過ぎているのではなかろうか。ただ、損保マンが「マネジャーとしての手腕が必要とされる介護現場」で、「介護を変えてくれると期待している」、という結論には同意できる。
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