SSブログ

年金制度(その3)(年金に実態以上の過剰な不安を抱く日本人が多い理由、高齢者に働けと言いながら年金を減らす「在職老齢年金」の時代錯誤、人気急上昇の「iDeCo」に潜む5つの落とし穴 年末調整で申告を忘れると「節税」できない!) [国内政治]

年金制度については、5月17日に取上げた。その後、5年に一度の財政検証が公表されたことを踏まえた今日は、(その3)(年金に実態以上の過剰な不安を抱く日本人が多い理由、高齢者に働けと言いながら年金を減らす「在職老齢年金」の時代錯誤、人気急上昇の「iDeCo」に潜む5つの落とし穴 年末調整で申告を忘れると「節税」できない!)である。

先ずは、経済コラムニストの大江英樹氏が9月3日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「年金に実態以上の過剰な不安を抱く日本人が多い理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/213580
・『5年に一度の「財政検証」 特段のサプライズはなし  年金を巡るネガティブな報道を鵜呑みにしてはいけない。 5年に一度実施される公的年金の「財政検証」の結果が、8月27日に発表された。今回もマスコミの報道には相変わらずネガティブな傾向が見られたが、実際のところはどうだったのだろうか? 筆者は発表の当日、厚生労働省の年金部会を最初から最後まで傍聴しており、資料も読み込んでみた。結論から言えば5年前、2014年の財政検証と比べて大きな差はなく、若干改善しているという状況であったと言っていいだろう。 詳細は360ページを超える報告書に記載されており、その全てを紹介することはできないが、要旨をごく簡単に言えば、以下の3点である。 1.所得代替率は5年前の試算と比較して出生率の増加や労働参加の拡大により、0.2~0.9%ぐらい改善している。 2.オプション試算によれば、被用者保険のさらなる適用拡大と保険料拠出期間の延長、および受給開始時期の選択拡大は年金の水準確保に効果が大きい。 3.今後も経済成長と労働参加が年金の持続可能性にとって極めて重要である。 いずれもごく当然のことであり、特段サプライズもなければ問題が生じているわけでもない。言うまでもなく、「財政検証」というのは“将来予測”をしているわけではなく、プロジェクション、すなわち現状の姿を将来に投影するとどうなるかということを検証しているのである。よく言われる「100年安心」という言葉の意味も、「年金は100年間安心だ」ということではなく、「年金の持続可能性の検証をするに当たって、向こう100年間ぐらいの長期を見据えて行う」という意味だ。 少子高齢化が進むわが国においては、何も手を打たなければ際限なく保険料の負担が増大しかねない。そこで2004年に将来を見据えたさまざまな環境を考慮した上で保険料負担の上限を定め、以後、状況に大きな変化がないかどうかを確認するために、プロジェクションとして5年ごとに「財政検証」を行なっているのである。これが“年金の健康診断”と言われるゆえんなのだ。 年金に関しては、何かあるごとにネガティブな報道がつきまとう。その理由は一体どこにあるのだろうか?筆者は行動経済学における認知バイアス、中でも「代表性ヒューリスティック」と「確証バイアス」にあると考えている。どういうことか、わかりやすく考えてみよう』、興味深そうだ。
・『小さな不祥事がなぜ年金全体の不信につながるのか  公的年金には抜きがたい不信感が存在している。それは公的年金という巨大な制度の周りにさまざまな不祥事が存在したからだ。しかしながら、関わる人がたくさんいて、多くのお金が集まれば、何らかの不祥事が起こり得るのは人間の社会では当然のことであり、それが制度の屋台骨を揺るがすようなものでなければ大事に至ることはない。 例えば、2000年代の初めにかけて起こったグリーンピア(大規模年金保養施設)の問題があった。1985年から資金を投入して13もの施設を作ったものの、結局は採算が合わないまま、2005年までに全て売却された。その損失はおよそ2000億円であったとされる。この時も大々的にマスコミで取り上げられ、ずさんな運営や無計画な投資が批判されたことがあった。もちろんこれは決して許されることではない。金額も2000億円という巨額なものであり、民間企業であれば株主から訴訟を受けてもおかしくない案件だ。 ただ、2000億円の損失を出したからと言って、年金が破綻するとか、持続性に疑問があるということではない。当時、年金積立金は132兆4000億円あったが、このうち2000億円の損をしたにすぎないからだ。 身近な例に言い換えると、132万円あまりの貯金を持っている人がパチンコで2000円をすってしまったというのと同じだ。実に無駄なお金の使い方をしたものだと怒られるのは当然だが、だからと言って家計が破綻するわけではない。これは言わばガバナンスの問題であり、財政の構造的な問題というわけではないのだ。年金にまつわる不正使用等の事件が起きる都度、同様の批判が起きるが、それらは一部の罪を犯した人間を厳正に処罰すればよい話であって、そのこと自体と年金の制度に対する不安が直結するものではない。 ところが人間の心理とは理屈で割り切れるものではない。そのような不祥事が起きると、全体に対する不信感が生じてしまうのだ。 ある特定の事象が全体にわたって起こるように勘違いすることを「代表性ヒューリスティック」と言う。公的年金の場合で言えば、前述のグリーンピア事件をはじめ、加入記録問題や不正使用等の不祥事が起きる都度、それが年金のガバナンスのみならず、財政全体に対する不信感につながっている。もちろんこうしたガバナンスを是正することが重要であることは言うまでもないが、年金財政の問題とは分けて冷静に考えるべきだろう』、「年金財政の問題とは分けて冷静に考えるべき」、その通りだが、「グリーンピア事件」では政治家が絡んだこともあって、責任追及はうやむやに終わった。年金の管理が、厚労省から日本年金機構に移管されただけで、「ガバナンスを是正」には程遠いのが実態だ。
・『公的年金は不払いで民間保険に入るのは愚かだ  さらに言えば、そうした「代表性ヒューリスティック」によって年金不信が募ってくると、多くのマスコミはそうした一般市民の印象に合うような報道をしようとする。つまり「年金はダメだ」「年金は信用できない」という印象をさらに増幅するような報道になりがちなのだ。 自分が持っている意見や印象と異なることは、それが事実であっても受け入れたくない、聞きたくないという気持ちが強く、自分の考えに合う情報のみを受け入れたくなる心理のことを「確証バイアス」と言う。年金報道はまさにこの「確証バイアス」が生み出していると言ってもいいだろう。 この確証バイアスは言わば「負の連鎖」と言ってもいいのだが、現実にはなかなかこれを解消するのは大変だろう。厚生労働省もそれなりに正しく情報を伝える努力はしているようだが、まだまだ正しい知識が広まっているとは言えない。ただ、厚生労働省が出しているサイト「いっしょに検証!公的年金」は非常に良くできていると思う。漫画仕立てでスムーズに読め、その後に詳しい解説も載っているし、何よりも流れが良いので一気に読める。厚生労働省の宣伝をするつもりはないが、このサイトは読んでおいて損はないだろう。 言うまでもなく、公的年金は老後の生活を支える重要な柱の一つであり、最も土台とすべきものである。サラリーマンの場合は、年金保険料は給与天引きであるため、未納となって将来年金が受け取れなくなる心配はないが、自営業や非正規社員の人で国民年金を自分で納める必要のある人の中には、公的年金保険料を払っていない人たちもいる。 もちろん、中には収入があまりにも少なくて、とても保険料が払えないという人も一定数いるだろうが、そういう場合は申請をすれば保険料を免除してもらえることもある。ところが払えるにもかかわらず、公的年金保険料は意図的に払わず、民間の個人年金保険に払い込んでいるという人もいるのだ。 これはどう考えても不思議な現象だ。言うまでもなく、民間の保険は自分が払った保険料から保険会社の経費や利益を引いた分が支払いに充てられる。それは民間の営利企業なのだから当然だ。これに対して公的年金保険は、自分が出した保険料だけではなく、200兆円近くある年金の積立金に加え、税金も投入されるわけだから、こちらの方が有利であるのは明らかだ。 にもかかわらず、公的年金保険料を払っていないというのは、年金に対する不信感があるからだろう。しかしながら、それは勘違いであり、不十分な認識に基づいた不信感なのである。筆者が30代の頃、今から30年以上も前から、「年金はいずれ破綻する」と言われ続けてきたが、実際には当時から比べて年金積立金は100兆円以上も増加しているというのが事実だ。 時代の流れに合わせて制度が変わっていくのは当然だが、年金が破綻するとかもらえなくなるというのは大きな誤解だ。大事なことは、マスコミ等で報道されることをうのみにするのではなく、一次情報を自分で見に行ってきちんと判断することだろう』、「公的年金は不払いで民間保険に入るのは愚かだ」、これはその通りだ。しかし、2019「財政検証」は前提条件が甘過ぎるなど問題点も多い。2004年に導入されたマクロスライドは、年金の被保険者(加入者)の減少や平均寿命の延び、更に社会の経済状況を考慮して年金の給付金額をカットするものであるため、年金制度の破綻はあり得ないことになった。しかし、将来、給付金額が削減される可能性があることは事実で、こうし重要な点に触れず、能天気なPRをする筆者のセンスには疑いをもたざるを得ない。ちなみに、「いっしょに検証!公的年金」を覗いてみたが、いまだに平成26年財政検証結果を説明しているだけで、更新されてないのには驚かされた。

次に、元銀行員で久留米大学商学部教授の塚崎公義氏が10月20日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「高齢者に働けと言いながら年金を減らす「在職老齢年金」の時代錯誤」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/217839
・『働くと年金が減る「在職老齢年金」という制度の適用範囲を縮小することが検討されているようだ。しかし、「人生100年時代」に高齢者の労働意欲を本当に高めるためには、適用範囲の縮小ではなく、制度自体を廃止すべきである』、塚崎氏自身が適用を受けて減額されているといった個人的恨みがあると推測されるが、主張には賛成だ。
・『在職老齢年金制度で所得が一定以上の高齢者は年金が減額  在職老齢年金は、サラリーマン(男女を問わず、公務員等も含む。以下同様)が加入する老齢厚生年金(公的年金の2階部分と呼ばれるもの)の受給者が対象になる制度で、自営業者などには無関係なので、本稿でも対象をサラリーマンに絞って記すこととする。 この制度は、大ざっぱに言えば「65歳までは、給料プラス年金が月額28万円を超えたら、超えた分の半分を年金から減額する」「65歳からは、給料プラス年金が月額47万円を超えたら、超えた分の半分を年金から減額する」ものである。 そして、限られた年金の原資を本当に必要な人に分配しよう、という趣旨で作られたものなのだろう。それ自体は理解できるが、後述のように弊害が多いので、廃止すべきだ』、なるほど。
・『厚労省は「月収62万円超」への縮小を検討 財務省は制度の縮小・撤廃に慎重か  人生100年時代を迎えつつある今、「高齢者にも働いて年金保険料や税金を納めてもらい、年金の受給開始をできるだけ待ってもらおう」というのが時代の流れである。 そこで、政府が6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)には、在職老齢年金を「将来的な制度の廃止も展望しつつ、速やかに見直す」と明記された。 しかしこのたび、厚生労働省は在職老齢年金について、収入基準を引き上げて適用対象の人数を減らす方向で検討を始めた。年齢にかかわらず、月収62万円を基準とする模様である。 廃止ではなく「適用範囲縮小」にとどめるのは、「廃止すると年金支給額が大きく増えてしまうから」ということのようだが、これは納得できない理由だ。 しかも、財務省の審議会は 、見直し自体にも慎重なようである。財政再建至上主義の財務省であるから仕方ない面はあるが、非常に残念である』、確かに年金財政だけを考えると、「廃止すると年金支給額が大きく増えてしまう」のは事実だ。
・『高額所得者には累進課税で対応すべき  「高額所得者の年金を減らして低所得者に多く払ってやりたい」という発想は確かに理解できる。しかし、それなら高額所得者に課している累進課税を強化すれば良いだろう。 税制(本稿では年金制度を含めて考える)は、公平・中立・簡素が基本原則だといわれている。それならば、「簡素」の観点から、年金についても「高額所得者は除く」などとせず、一律に支給すれば良い。公平のための貧富の格差の是正は、累進税率を高めることで解決すれば良いのだ。 筆者が「簡素な制度」を望む理由の1つには、「政府の情報提供が国民へ完璧に伝わるわけではない」という点もある。 例えば「働いて収入を得ると、その分だけ年金が減らされて損をする」と思っている国民も多い。しかし在職老齢年金制度は「働けば年収は増えるが、働いたほどには増えない」というだけのことである。そうした誤解を受けないように制度を作るのは難しいから、在職老齢年金の制度そのものを廃止してしまうべきだ、と言いたい。 「中立」の観点からも、問題である。高額所得者の中でも若者には関係なく、自営業者等にも関係なく、高齢者のサラリーマンにだけ課せられる「税金」のようなものだからである。 そして何より問題なのは、経済活動に中立ではないことである。一定以上の所得を稼いでいるサラリーマンに対して「働くインセンティブを失わせる」ものだからである』、「累進課税」の強化は、在職老齢年金問題だけでなく、格差問題にも対応できる中立的でオーソドックスな政策だ。
・『人生100年時代に逆行しかねない  高度成長期のサラリーマンは、15歳から55歳まで、人生の半分以上を働いて過ごした。そうであれば、人生100年時代には、「元気であれば20歳から70歳まで働く」という時代を迎えるのが自然であろう。政府も企業に定年延長等々を求めている。 日本のマクロ経済を見渡しても、少子高齢化による労働力不足は一層深刻化していくので、高齢者や女性の労働力に期待するところが大である。 かつて、現役世代の失業が問題となっていた時代には、「高齢者が働くことで若者の仕事を奪ってしまわないように、高齢者の働くインセンティブをそぐこと」も是とされたのかもしれない。しかし、時代が変わり、制度が時代にそぐわなくなっている。 そんな時に、60歳以上のサラリーマンの勤労意欲をそぐような制度は、有害としか言いようがない』、その通りだ。
・『年金支払額だけに着目するのは問題  サラリーマンの高額所得者は、年金保険料も所得税も多額に支払っているはずだ。そうした人が在職老齢年金制度のせいで働くインセンティブを阻害されて引退してしまったりしては、政府の収入が減ってしまう。 支払う年金を減らすことだけを考えて、収入を減らしてしまったのでは、角を矯めて牛を殺してしまうことにもなりかねない。その意味でも慎重な判断が必要であろう。 加えて、所得の高いサラリーマンの中には、日本経済に大きく貢献している人もいるはずである。そうした人が働くインセンティブを阻害されて引退してしまうとすれば、それは日本経済にとって大きな損失だといえよう。 「そうした人は使命感が強いはずだから、所得に関係なく働くはずだ」と考える人もいるだろうし、筆者もそうであることを願うが、さすがにそれは期待しすぎというものだろう』、やはり「インセンティブ」の歪みは早期に解消すべきで、塚崎氏の主張には全面的に賛成である。

第三に、ライター兼編集者の吉田 祐基氏が10月29日付け東洋経済オンラインに掲載した「人気急上昇の「iDeCo」に潜む5つの落とし穴 年末調整で申告を忘れると「節税」できない!」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/310561
・『金融庁のいわゆる「老後2000万円問題」報告書がきっかけとなったのか、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」で資産形成する人が増えています。国民年金基金連合会によると、iDeCoの加入者数は2019年6月時点で127万8260人だったのが、7月に131万1045人、8月には134万7853万人と、右肩上がりです。 iDeCoは、公的年金に上乗せできる私的年金制度として、資産形成の身近な手段となりつつあるようです。掛け金が全額所得控除の対象となるなど、節税のメリットにも注目が集まっています。ただし、iDeCoには落とし穴も少なくありません。ここでは、人気急上昇中のiDeCoに潜む「5つの落とし穴」に目を向けてみたいと思います』、現役を引退した私には関係ないが、一応、見ていこう。
・『加入者資格の「審査」に1カ月以上もかかる  iDeCoを始めるためには、まず窓口となる金融機関(運営管理機関)を選ぶ必要があります。選んだ金融機関から申込書を取り寄せたら、必要事項を記載のうえで返送するわけですが、その後すぐにiDeCoを始められるというわけではありません。これが1つ目の落とし穴です。 返送した書類は金融機関から国民年金基金連合会に送付されて、加入者資格の審査にかけられます。この審査に1〜2カ月程度、要するのです。そして、審査が完了したら、iDeCoを利用するために必要な専用IDなどが郵送されてきます。 なお、申し込みの際の必要書類は、公的年金の第1号被保険者(自営業など)と、第2号被保険者(会社員や公務員など)で異なります。第2号被保険者の場合は、「事業者登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」の提出が必要です。この書類は会社の総務担当者などに記入・押印してもらう必要があります。 例えば会社員の場合、企業年金の有無などによって掛け金の上限額が異なることから、適切な掛け金で運用されているかどうか、会社に証明してもらう必要があるということです。厚生労働省は法改正によってiDeCoの加入手続きを簡素化する方針を示していますが、現時点ではこうした届け出の義務も加入のハードルになっている、といえるでしょう。 2つ目の落とし穴は、iDeCoのメリットといわれるものの中に隠れています。iDeCoは、その運用期間中の掛け金が全額所得控除の対象となるため、所得税や住民税などの負担が軽減することがメリットに挙げられます。一方で、こうした節税効果は、年末調整や確定申告で申告をして初めて得られるものです。 会社員や公務員で、自分で掛け金を積み立てている人の場合(掛け金の納付方法で「個人払込」を選択している場合)、年末調整の際に、用紙の右下にある「小規模企業共済掛金控除」の欄に掛金額を記入する必要があります。同時に、支払った掛金額を証明するために、国民年金基金から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付しましょう。 掛け金を給与から天引き(納付方法で「企業払込」を選択)している場合は、税金に関する手続きは年末調整で行わず、毎月の給与から源泉徴収されることになります。つまり、年末調整の際に、原則として用紙に記入するなどは必要ありません。 自営業者の場合は、確定申告の際に必要事項の記載と証明書の提出をもって、納めすぎた税金の一部を取り戻すことができます。申告書の「小規模企業共済等掛金控除」の欄に掛け金の額を記載のうえ、会社員の場合と同様に「小規模企業共済等掛金払込証明書」を提出する必要があります』、手続きはかなり煩雑なようだ。マイナンバーカードを活用すれば、不要になるものもありそうだ。
・『運用期間中、ずっと「手数料」が発生し続ける  3つ目の落とし穴は、iDeCoも元本割れの可能性があるということです。 iDeCoでは原則、運用商品として定期預金などの「元本確保型」を選ぶか、投資信託などの「元本変動型」を選ぶか、どちらかを選択する必要があります。資産の目減りを避けるのであれば「元本確保型」が候補になりますが、一方で毎月の手数料分、元本割れしてしまう可能性も考慮しなければなりません。 そもそもiDeCoには、新規加入時・運用中・給付時に手数料がかかります。新規加入時には国民年金基金連合会に支払う2829円のほか、窓口となる金融機関によって0円から1000円程度の手数料がかかります。給付時には、1回当たり440円の手数料が発生します。 とくに注意しなければいないのが、iDeCo運用中にずっとかかる手数料です。中でも、収納手数料と事務手数料は、一律で合計2052円(年間)。さらに金融機関によっては年0円〜6000円程度の口座管理手数料が必要となります。 ネット証券では基本的に、口座管理手数料が無料のケースが多いようです。一方で、店舗型の金融機関では「資産残高が50万円以上なら運用中にかかる手数料は無料」などと、最低保有残高によって手数料を下げるといった条件を設けている場合があります。 しかしネット証券でiDeCoを運用する場合も、運用期間中は必ず年2052円の手数料が発生することになります。年0.02%の金利が適用される元本確保型の場合、毎月5000円の掛け金だと、年12円程度しか運用益を得ることはできません。つまり手数料分だけ、年間で2040円マイナスとなるわけです。このように節税メリットは享受できるものの、運用面では元本割れとなってしまう可能性があるのです。 4つ目の落とし穴は、60歳になっても積み立てたお金を受け取れないケースがあることです。厚労省は法改正によって65歳まで延長する方針を打ち出していますが、現在は原則として60歳までしか積み立てはできません。さらに一時金や年金を60歳から受け取れる人というのは、あくまでも60歳までのiDeCoへの加入期間が10年以上の人に限られます。 60歳以前の加入期間によって受け取り開始時期は異なり、例えば60歳までの加入期間が8年以上10年未満の人は61歳から受け取り可能です。加入期間が6年以上8年未満だと、62歳からの受け取りとなります。つまり60歳以前で、加入期間が10年に満たない人は、60歳から受け取ることは原則できないのです』、定年延長が推奨されているなかで、「厚労省は法改正によって65歳まで延長する方針を打ち出していますが、現在は原則として60歳までしか積み立てはできません」、延長しても「65歳まで」と制限する理由が理解できない。
・『転職すると、面倒な「移換」が必要になることも  最後の5つ目は、転職に伴って起こる落とし穴です。 企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入している企業から転職し、転職先に企業型DCがない場合は個人型(iDeCo)への移換手続きを行う必要がありますが、「期限」が設けられていることはご存じでしょうか。 移換手続き期限については、企業型DCの加入者資格を喪失(退職日の翌日)してから6カ月以内とされています。それを過ぎると、自動的に現金化(自動移換)されてしまいます。自動移換されると、運用が行えないために、資産を増やすことはできなくなります。 また、管理手数料として毎月52円(年間624円)が、資産から差し引かれ続けることにもなります。そのため自動移換される前に、iDeCoに新規で申し込むときと同様に、金融機関からまずは必要な書類を取り寄せましょう。自動移換となった場合でも、新規で申し込むときと同様の手続きを行えば、運用を再開できます。 以前は、iDeCoへの加入者が転職した場合、転職先に企業型DCがあれば、原則としてiDeCoの資産を企業型DCへと移換する必要がありました。つまり、これまで積み立ててきたiDeCoの資産はいったん現金化されて、会社側が指定する運用商品で新たに運用を始める必要があったわけです。 しかし、現在ではiDeCoの資産を企業型DCへ移換することなく、掛け金の積み立てのみを止め、運用指図者(iDeCoで運用する商品を決める人)として、そのまま運用することも可能となりました。その場合の手続きとしては、窓口となっていた金融機関から「加入者資格喪失届」を取り寄せて必要事項を記入のうえ、返送する必要があります。 以上、iDeCoにまつわる落とし穴を5つ紹介しました。落とし穴を踏まえて、iDeCoへの向き合い方を改めて整理してみましょう』、いずれにしろ手続きは面倒なようだ。ただ、公的年金の支給額はやがて減額される可能性が高いことから、現役世代にとっては、iDeCoを利用する意味は大きそうだ。
タグ:大江英樹 (その3)(年金に実態以上の過剰な不安を抱く日本人が多い理由、高齢者に働けと言いながら年金を減らす「在職老齢年金」の時代錯誤、人気急上昇の「iDeCo」に潜む5つの落とし穴 年末調整で申告を忘れると「節税」できない!) 年金制度 転職すると、面倒な「移換」が必要になることも  最後の5つ目は、転職に伴って起こる落とし穴です 4つ目の落とし穴は、60歳になっても積み立てたお金を受け取れないケースがあること 3つ目の落とし穴は、iDeCoも元本割れの可能性がある 節税効果は、年末調整や確定申告で申告をして初めて得られるものです 2つ目の落とし穴 加入者資格の「審査」に1カ月以上もかかる iDeCoに潜む「5つの落とし穴」 「iDeCo(個人型確定拠出年金)」で資産形成する人が増えています 「人気急上昇の「iDeCo」に潜む5つの落とし穴 年末調整で申告を忘れると「節税」できない!」 東洋経済オンライン 吉田 祐基 年金支払額だけに着目するのは問題 人生100年時代に逆行しかねない 高額所得者には累進課税で対応すべき 厚労省は「月収62万円超」への縮小を検討 財務省は制度の縮小・撤廃に慎重か 在職老齢年金制度で所得が一定以上の高齢者は年金が減額 「高齢者に働けと言いながら年金を減らす「在職老齢年金」の時代錯誤」 塚崎公義 将来、給付金額が削減される可能性があることは事実で、こうし重要な点に触れず、能天気なPRをする筆者のセンスには疑いをもたざるを得ない マクロスライドは、年金の被保険者(加入者)の減少や平均寿命の延び、更に社会の経済状況を考慮して年金の給付金額をカットするものであるため、年金制度の破綻はあり得ないことになった 「いっしょに検証!公的年金」 確証バイアス 公的年金は不払いで民間保険に入るのは愚かだ 「グリーンピア事件」では政治家が絡んだこともあって、責任追及はうやむやに終わった 年金財政の問題とは分けて冷静に考えるべき 代表性ヒューリスティック 一部の罪を犯した人間を厳正に処罰すればよい話であって、そのこと自体と年金の制度に対する不安が直結するものではない グリーンピア 小さな不祥事がなぜ年金全体の不信につながるのか 5年に一度の「財政検証」 特段のサプライズはなし 「年金に実態以上の過剰な不安を抱く日本人が多い理由」 ダイヤモンド・オンライン
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感