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不登校(その1)(不登校の息子に殺されると怯える妻と夫の距離感 「長期の不登校から無職」という負の連鎖を絶とう、不登校 “IQ145”の生徒が選んだ居場所、親が恐れる「中学の内申点」の知られざる実際 中学校長が教える“学校以外"の学びの場) [社会]

昨日までの「ひきこもり」に関連して、今日は、不登校(その1)(不登校の息子に殺されると怯える妻と夫の距離感 「長期の不登校から無職」という負の連鎖を絶とう、不登校 “IQ145”の生徒が選んだ居場所、親が恐れる「中学の内申点」の知られざる実際 中学校長が教える“学校以外"の学びの場)を取上げよう。

先ずは、いささか古いが、健康社会学者(PH.D)の河合 薫氏が昨年2月20日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「不登校の息子に殺されると怯える妻と夫の距離感 「長期の不登校から無職」という負の連鎖を絶とう」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/200475/021900146/?P=1
・『「私…本当に恐かったんです。息子に殺されるんじゃないかって……。だって、包丁を持って振り回すんです。今はやっとこうやって話せるようになりましたけど、私は夫が最終的に協力してくれたので……、まだ恵まれている方なんだと思います」 それまで元気に学校に通っていた中学一年生の息子が、ある日突然、学校に行かなくなったのは3年前のこと。ごくごく普通の家庭で起きたショッキングな“事件”である。 家で荒れる息子。当然、母親は仕事に行くことなどできない。某大手企業に勤める夫が帰るのは毎晩22時過ぎ。夫は「なぜ、学校に行かないのか理解できない。甘えているだけじゃないのか」と、息子にも母親にも心を寄せることができず、一時期家庭は、崩壊寸前になった。 これまでにもビジネスパーソンにインタビューする中で、「子どものことなんですけど、話を聞いてもらってもいいでしょうか?」と恐る恐る我が子の不登校を告白する“父親”や、「ちょっとプライベートなことで相談に乗ってもらいたい」と突然連絡をくれる仕事関係の“父親”たちから、不登校の子どもに苦悩する状況を聞いたことはあった。 だが今回。“母親”たちから話を聞き、改めて不登校問題の深刻さを痛感した。 2011年、米国務省のヒラリー・クリントン長官の補佐役として同省政策企画本部長を務めていたアン・マリー・スローターさんが、『Why Women Still Can’t Have It All(女性はなぜ、すべてを手に入れることができないのか?)』という少々刺激的なタイトルの論考を発表し話題となったことがある(参考コラム)。 スローターさんの14歳の息子は様々なトラブルを起こし、重要な会議の途中で学校から呼び出されるなど「息子が自分を必要としている場面」に何回も遭遇した。そこで彼女は「母の代わりはほかにはいない」と仕事を辞す。自分がやりたかった仕事、やりがいのある仕事、最後までやり遂げたかった仕事ではあったが、「母」であることを選んだのだ。 スローターさんは「そういった選択をしなければならないアメリカ社会はおかしい」と断言し、社会を変えるべき、と警告した。 このケースでは「女性と仕事」「母親と子ども」というテクストで語られたけど、「男性と仕事」「父親と子ども」でも同じだ。 そこで今回のテーマは「不登校のリアル」。「もうウチの子ども大きくなちゃったし…」とか「ワタシは子どもいないし…」などと他人事ではなく、ぜひ一緒に考えてほしいと思います』、「スローターさん」は「国務省政策企画本部長」という高位の職を投げうってまで、「「母」であることを選」び、「アメリカ社会はおかしい」と論文で訴えたようだ。アメリカでもこうした例があるとは、意外だった。
・『では、冒頭の母親の話の続きをお聞きください。「まさかうちの子が……というのが正直な気持ちでした。小学校の頃から活発で、中学生になってからも部活を一所懸命やっていたので、信じられなくて……。夫に言っても『甘えているだけだ』と。 とにかく朝起こして、学校に行かせなきゃっていう思いだけでした。 ところが私が関われば関わるほど、大声を出して、暴れて……。そのうち包丁を振り回すようになってしまったんです。 私……、本当に殺されるんじゃないかって。 恐いし、情けないし、私が毎日ビクビクしているので、さすがに夫も驚いたみたいでした。でも、夫は会社を休むわけにはいかないし、帰りは毎晩22時過ぎ。同じ家にいる家族なのに、夫だけ別次元にいるようでした。 やっぱり包丁を振り回したり、暴れたり……。普通じゃないような気がしてスクールカウンセラーに相談しました。でも、担任もそうなんですけど、積極的にはそういう問題に関わってくれないんです。なので、自分で医者を見つけて診断してもらったんです。結果はグレーでした。 グレーって言われても、私にはわけがわからない。 ただ、やっぱりおかしいって思いが日々強まっていたので、インターネットなどで色々調べて。そういう子どものメンタルに関する本などを買いあさり、子どもへの接し方を勉強しました。 それがよかったのか、息子の状態もずいぶん安定したんです。 でも、私自身が限界でした。壊れそうだった。 それで同じ悩みを持つ人たちが集まる会があると聞き、毎週通うようになって。 ワンワン泣きながら、同じように悩むお母さんたちと互いに悩みを打ち明けたり、そこにボランティアで来てくださる専門家の方に相談に乗ってもらって……。 そうしているうちに『学校に行かなくてもいい』とやっと思えるようになったんです。 それまでは近所のスーパーにも行けなかった。知り合いのお母さんたちに会うと『(息子さん)どう?』って聞かれるでしょ。それが嫌で……。家から離れた、ご近所さんが絶対に来ないスーパーまで買い物に通っていました。 息子は……、今もやっぱり学校には行けません。運動会とか部活の試合とか、文化祭には行けるんですが、日常的には行けないんです。でもね、こないだ『人の役に立つことがしたい』って言ってくれて。涙が出ました。うれしかったです。 将来のこと? そんなことは考えられませんね。今、この時間を元気に生きてくれればそれだけでいい。私も夫も、やっとそう思えるようになったんです」 こう打ち明けてくれた母親の夫は最終的には、有給休暇を取るなどして協力してくれたので家族は崩壊せずに済んだ。だが、子どもの不登校をきっかけに夫婦仲が悪くなったり、別居などに至るケースも少なくない。 実は今回のインタビューは、不登校の子どもを持つお母さん数名に集まっていただき行なったもので、一口に「不登校」といっても全く状況が異なることに私自身ショックを受けた。 “お父さん”たちから相談を受けていたときには、そこまで違いがあることがわからなかった。“お母さん”は子どもと接する時間が圧倒的に長い上に、学校への対応、家事、自身の仕事とこなさなくてはならない。そんな“お母さん”だからこそ、余計に子どもの感情の動きに敏感になる。“お父さん”には申し訳ないけど、父親のそれとは全く次元が異なるのだと思う』、「スクールカウンセラー」や「担任」に相談しても、「積極的にはそういう問題に関わってくれない」。「自分で医者を見つけて診断してもらった」が、適切なアドバイスをもらえない。「子どもへの接し方を勉強しました」、「同じ悩みを持つ人たちが集まる会があると聞き、毎週通う」、諦めずに積極的に探し回ったのがよかったようだ。
・『集まってくれた母親のうち2人はシングルマザーで、どちらも実家が近かったのでなんとかなったが、「一人だったら仕事との両立はムリだったと思う」と話してくれた。 お母さんたちはみな、「不登校には情報がない」と口を揃える。そして、「子どもの居場所もない」と。色々と調べ、市町村の相談窓口や不登校をサポートしてくれる場所にたどり着いても、住んでいる場所や通っている学校によって使えたり、使えなかったり。また、公的な機関なので申請から許可が下りるまで時間もかかる。 「市に不登校の子どもが通える場所があると聞き、息子も『行ってみる』というので申請しました。ところがまったく返事がない。問い合わせると『次の会議が○○日なので』『上の承認が必要』とかで2カ月も待たされ、息子は『もういい。行きたくない』ってなってしまいました」 「最初は学校の保健室に通っていました。でも、保健室にはケガをしたり、具合の悪い児童が来たりしますよね。すると保健室の先生はその子のケアをすることになる。結局、保健室は自分の居場所じゃないと感じてしまい、一切学校に行かなくなってしまいました」 また、別の母親はご主人と別居した状況をこう話してくれた。 「私がパートを休めないときは、夫が休暇を取ってくれたんですが、息子は夫とは一切コミュニケーションを取ろうとしない。反抗するんです。それは夫にとってもショックだったんだと思います。夫は息子が不登校になったのは、自分が厳しくし過ぎたせいかもしれないと自分を責め続け、うつ傾向になり精神科に通うことになってしまいました。 このままでは家族が崩壊してしまうと、夫が家を出ることになったんです。今は息子も落ち着き、夫も家を出たことでメンタルも回復しました。ただ、また一緒に住むとどうなるかわからないので別居が2年以上続いています」 お母さんたちはこうやって話せるようになるまで、いったいどれほどの涙を流したのだろうか。自分を責め、誰にも弱音を吐くこともできず、子どもとぶつかり、夫とぶつかり、翻弄する……。とにもかくにも胸がつまった。母親たちの言葉に耳を傾けば傾けるほど、複雑さと闇の深さと事の重大さを改めて痛感させられたのだ。 子育て世代の方たちにとって、不登校は決して他人事ではない。 文部科学省の平成28年度(2016年度)の調査によると、小・中学校における長期欠席者数は過去最多の20万7006人(前年度は19万4898人)。このうち不登校児童・生徒数は13万4398人(前年度12万5991人)で、出席日数の半分に当たる90日以上の長期欠席者は7万7450人だった』、「市に不登校の子どもが通える場所」に申請しても、「『次の会議が○○日なので』『上の承認が必要』とかで2カ月も待たされ、息子は『もういい。行きたくない』ってなってしまいました」、子どもがその気になっているタイミングが重要なのに、市が官僚的に対応するとは、いかにも「お役所仕事」らしい。「夫は息子が不登校になったのは、自分が厳しくし過ぎたせいかもしれないと自分を責め続け、うつ傾向になり精神科に通うことになってしまいました」、のケースもありそうな話だ。
・『少子化で子どもの数は減っているのに、不登校児童は増加傾向にあり、20年以上前の平成5年(1993年)と現在の状況を比較すると、 小学生で全体の0.17%だった不登校率が0.48%と2.8倍に増加 中学生は1.24%から3.01%と2.4倍に増加 小学生では208人に1人、中学校では33人に1人が不登校という計算になる。そう、33人に1人だ。 しかも、不登校者13万人のうち、何のサポートも受けてない子どもは全体の86.5%にも及ぶ。人数にすると11万2450人もいる。 なぜ、こんなにも不登校児が増えてしまったのか? 残念ながら原因は明らかになっていない。 ひょっとすると昔から「学校に行きたくない子ども」はいたのに、“不登校”という言葉がなかったので学校に行くしかなかっただけかもしれない。あるいは少子化の影響で、子への親のケアが手厚くなり「過保護」になった可能性もある。 世間には「小さい頃の親子関係が影響する」といった知見を述べる専門家もいるが、私の感覚ではそれはステレオタイプの意見のように思う。 おそらく誰もが不登校になるリスクはあり、ちょっとしたきっかけで行けなくなる。そして、「行かない」選択をしたことで不登校が現実味を増し、時間が経てば経つほど再び「行く」ハードルが上がる。 もちろん私が実際に声を聞いたのは、今回のインタビューに協力してくれたお母さんたちや、こっそりと相談にきたお父さんたちで、人数にすると20名足らずだ。 それでもやはり不登校になる原因は様々で。内閣府の調査では(平成25年度=2013年度調査)、「本人の情緒的問題・無気力」「人間関係」「学業の不振」を、不登校になる主な理由としているけど、10人いたら10通りの原因があり、その原因もいくつもの要因が複雑に絡まりあっていると確信している。 いずれにせよ不登校はただ単に「学校に行かない」あるいは「行けない」という問題にとどまらない。 小中学校は義務教育なので、出席日数が足りなくても、学業が追いついていなくても卒業はできる。しかしながら、内申点が悪くなるので高校への進学が難しかったり、子ども自身が「勉強はもうわからない」と進学をあきらめてしまったりするケースも多い。 その結果、ますます自尊心は低下し、就職もできず(あるいはせず)、引きこもる、仕事をしないなど“社会難民化”する可能性が高まる。 実際、全国に54.1万人(推定)いる広義の引きこもりのうち2割が不登校をきっかけとし、ひきこもりの状態が「7年以上」の人は17%(2010年調査)から35%へと増え、長期化と高齢化が進んでいることがわかった(内閣府「若者の生活に関する調査」より)。 ただし、この調査は全国の15~39歳を無作為に抽出したもので、40歳以上は含まれていない。そこで内閣府は2018年度に調査費2000万円を計上し、40~59歳を対象に初の実態調査を行う予定だ。 ひきこもりが長期化すると親も高齢となり、収入が途絶えたり、病気や介護がのしかかったりで、一家が孤立、困窮するケースが顕在化し始めている。こうした例は「80代の親と50代の子」を意味する「8050(はちまるごーまる)問題」と呼ばれ、家族や支援団体から政府が早急に実態を把握するよう求める声が出ていた』、「中学校では33人に1人が不登校」、こんなにも多いとは改めて驚かされた。「全国に54.1万人(推定)いる広義の引きこもりのうち2割が不登校をきっかけ」、「不登校」の問題を政府はもっと真剣に取り組むべきだ。
・『つまり、今、不登校の子どもたちを徹底的にサポートしないことには、数年後の“新入社員”候補たる子どもたちが無職者になるだけでなく、長期の不登校→無職→ひきこもり、といった負の連鎖に陥るリスクが高くなってしまう。 それを防ぐには不登校になった子どもが、「自分はひとりぼっちじゃない。自分を大切に思っている人がいる。“自分世界”は信頼できる」と確信できるよう、親や周りの大人たちができるだけ早い段階で子どもと向き合えるかが鍵を握る。 その確信こそが、「生きる力(Sense of Coherence)」。これまで幾度となくコラムでも書いてきたすべての人間に宿るたくましさを引き出し、その後待ち受ける困難を乗りこえることができる。 お母さんだけに任せるだけでなく、介護と仕事、病気と仕事、に加え、思春期の育児と仕事の両立についても、真剣に考える必要があるのではないか。 不登校問題は家族の問題ではなく、社会の問題。激減する労働力を埋めるためにも、女性活躍、高齢者活躍に加え、不登校の子どもも活躍できる手立てを施こす。「子どもは宝」であることを否定する人はいないはずだ。その宝のひとつひとつを、もっともっと大切にしなきゃ、と。オトナができることも(注:この「も」は不要)が、もっともっとあると思うのだ。 先日、一般財団法人「クラスジャパンプロジェクト」という、全国の自治体、首長が連携し、行政と民間、地域、学校が手を取り合い、全国自治体コンソーシアム型の温かくて、熱い、“オールジャパンの子ども応援団”が発足した。 これは不登校の子どもたちがインターネット上のクラスを通じ、日本中の友だちと学び合い、つながりを持つことで、孤立しないで友と学びあう喜びを実感するプロジェクトだ。 プロジェクトには指導要領に沿った学習やキャリア教育のソフトを持つ企業などが多数参加。2018年度は、島根県益田市、大阪府泉大津市、奈良県奈良市、東京都大田区など、全国の小中学校192校が参加。文科省では平成28年に「教育の機会の確保などに関する法律」を改訂し、学校外の教育機会も可能としているので、全て出席扱いとなる。 私も微力ながらそのお手伝いをさせていただいているのだが、競合する企業が「子どもに元気になってもらいたい」という熱い思いで、つながったことに至極感動している。 “オールジャパンの応援団”に──』、「クラスジャパンプロジェクト」では下記のようにクラスジャパン教育機構が発足しているようだ。いずれにしろ、「不登校」への対応が遅まきながらも始まったようだ。
https://www.classjapan.org/

次に、本年5月27日付けNHK NEWS WEB「不登校 “IQ145”の生徒が選んだ居場所」を紹介しよう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190527/k10011931021000.html
・『幼児ほどの知能しかなかった32歳の主人公が、手術によって高い知能を手に入れるSF小説「アルジャーノンに花束を」。変貌した主人公が、知識を得る喜びを知る一方で、周囲の人との関わりに苦しみ、孤独感を抱く物語です。この主人公に自分を投影する中学生がいます。彼もIQ=知能指数が高い一方で、周囲との意思疎通が苦手でした。学校という場にも違和感を持ち続けた彼は、不登校を選びました』、せっかく高い知能を持ちながら、「不登校」とは不幸なことだ。
・『本当に中学生?  その中学生、和哉さん(13)と取材で最初に会った時、私はまるで大人と話しているような感覚に陥りました。質問にじっくり耳を傾け、ことばを選びながら的確に答えるのです。 自宅の本棚には、経済、歴史、宇宙、漢詩など、あらゆるジャンルの本が並んでいます。母親によりますと、幼いころから周囲には物知りで通っていたそうです。 苦手なのは、対人関係。人からからかわれると、そのことがいつまでも心に重くのしかかると言います。 小学生のときに、ウルトラマンの特撮ヒーローものが大好きでよく見ていました。それを友人に話すと、同級生たちはすでに特撮ものを卒業していたようで「まだ子ども向けの番組を見ているのか」「ダサい」と言われました。好きなものを侮辱されたようで、いやでたまりませんでした。 和哉さん「僕は本当に気弱というかストレスに弱かったので、ほかから見ると、ただのからかいだったかもしれないけど、僕は重く受け止めていました」 会話もうまくできず、人から注意されました。違う話題で突然割り込んだり話の腰を折ったりするからです。 母親からも「今は別の話をしているから急に入ってくるのはやめて」「空気を読んで」とたびたび言われました』、昨日も紹介した発達障害の1つのアスペルガー症候群の典型のようだ。
・『IQ145  次第に小学校が苦痛となり、カウンセリングに通うようになりました。 小学3年生の時、カウンセラーからIQ検査(知能検査)を受けてみてはどうかと勧められました。周りと比べて知能のレベルに差があるのではないかと、言われたのです。 和哉さんは「自分の知能はみんなに比べてきっと下だろう」と思いました。しかし、結果は予想と大きく違っていました。 IQは145。周りのカウンセラーも「見たことがない」高い値でした。 IQとは、一体どういうものなのでしょうか。臨床心理学や発達心理学が専門の東京学芸大学の上野一彦名誉教授は、IQの定義はさまざまだとしたうえで、次のように説明してくれました。 東京学芸大学 上野一彦名誉教授「IQは、新しい問題を解決する能力とか、学んだことを吸収する能力など、総合的な知的能力です。ただ、IQが高いからといって勉強ができるようになるとは限らず、あくまで学習の土台となる能力を指すことが多いんです。一般的には平均値を100として分布していて、130を超える人は上位2%程度とされています」 ただ、上野さんによると、中には、知能が高いがゆえに敏感で、いろんなことを感じとってしまう子も多く、周囲とうまくいかないケースがあるそうです』、せっかくの才能を持ちながら、「周囲とうまくいかない」のはもったいない話だ。
・『募る不信感と孤独  和哉さんの場合、中学生になると身近な大人、先生への不信感を強く感じるようになりました。 「給食袋を忘れたクラスメイトに対して、担任が廊下に聞こえるくらい大きな声でどなりました。僕は『給食袋を忘れただけなのになんであんなに怒るのだろう』と思いました。その様子を見て、厳しさの使い分けができてない人だと感じました」 こんな出来事もあったと言います。化学の実験やパソコンのできる新しい部活を作りたいと学校に相談したものの、部費や顧問が必要だから難しいと言われました。 「サークルのような小さい活動でもいい」と食い下がったもののかないませんでした。自主性を重んじないと感じました。 でも、まわりの生徒はあまり疑問に感じていない様子だったため、相談する相手もなく孤立感だけが募りました。授業にも、興味が持てなくなってきました。小学校高学年から特に物理学が好きで、大人向けの科学雑誌もよく読んでいた和哉さんにとって、もの足りなく感じたのです。 「教科書を見てすでに知っている内容だと、『もういいや』と思ってしまうのが僕の性格なんです。周りからは授業態度が悪いと思われたかもしれません。とにかく学校では、体にどんよりした空気がまとわりついているような気分でした」』、頭が良すぎる子どもにとっては、周囲と合わせるのは確かに苦痛だろう。
・『学校に行かなくていいんじゃない?  次第に学校を休むようになった和哉さん。母親も当初は「悪い方向にしか行かない」と悩んでいました。朝、「和哉さんが登校していない」という学校からの連絡も頻繁に来るようになりました。 学校に行きたくない本人、心配する先生、その間で悩む親。その悪循環を断ち切るきっかけとなったのは、不登校の親の会などへの参加でした。 いろんな成長の形があることを知ると、学校の決められたやり方でなくても、好きな分野を見つけて学ぶことはできると思うようになりました。中学1年生の夏休み明け、母親は思い切って、和哉さんにこう言いました。 「もう、学校行かなくてもいいんじゃない?」 和哉さんは、不登校を選びました』、「不登校の親の会などへの参加」で賢明な選択が出来たことは幸いだったろう。
・『つながる感覚が楽しい   学校に行かなくなった和哉さんは、あることに夢中になります。中学進学と同時にお年玉で購入したパソコンで動画を編集し、投稿サイトに出すことです。 睡眠不足などを心配して最初は時間を制限していた母親も、動画の出来だけでなく、複雑な動画編集ソフトのインストールや設定を和哉さんが自分で調べてやっていたことに熱意を感じ、制限するのをやめたそうです。 投稿された動画は徐々に人気を呼び、今では月に数十万回近く再生される作品もあります。 「ここでは、自分の好きな作品を作り上げて、それをいいと言ってくれる人がいる。コミュニティとつながる感覚が楽しい。人に認められる経験がこれまでなかなかなかったので、今になってそれに飢えているんです」(和哉さん) でも、動画を記事で紹介することは「作者が特定されると嫌なので止めてほしい」とのことでした』、「動画」作成と公開に生きがいを見出したとは幸いだ。
・『自分らしく学べるかもしれない  家以外でも新たな居場所を見つけつつあります。既存の学校に違和感を持つ個性的な子ども向けに、ことし4月に都内などに設立された「N中等部」(注)です。出版や動画配信などを手がける会社が母体となった学校法人が運営しています。 ある日、母親が持ってきた資料を見た和哉さんが、まず感じたのは「教室に黒板がない」こと。パソコンの前で会話する生徒たちが写っていました。 「ここなら、自分らしく学べるかもしれない」 中学2年になったこの春から通うようになり、国語・数学・英語、それにプログラミングなどの授業を受けています。ただし、学校教育法上の学校ではないため、もとの中学校に籍を置いたままです。 学費は、通う日数によって違いますが、1か月当たり3万円から6万円、入学金10万円も必要です。
(注)N中等部は角川ドワンゴが設立、詳細は下記リンク参照
https://n-jr.jp/lp/digest/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=google-gsc_brand-1&gclid=Cj0KCQiA89zvBRDoARIsAOIePbBgo6nYD6Fb_U4P9xg8M_YCqPuvAjhc0rCqpIX3hzjgSMt53vrAK3saAs0aEALw_wcB
・『友達は常にほしいと思っていた   和哉さんが特に気に入っているのが、意外にもワークショップを通じてチームワークなどを学ぶ授業だそうです。落ち着ける空間で、仲間の意見に耳を傾けたり、協力しあったりすることは、ずっと追い求めてきたことでした。 実は、中学校に入る前に転校した小学校では、友達どうしでテストの点数比べをしたり、読んだ本の情報交換をしたりして、楽しく過ごした記憶があるのです。 「友達は常にほしいと思っていた」と語る和哉さん。今は週3日通いながら、家では動画を制作する日々を送っています』、「ワークショップを通じてチームワークなどを学ぶ授業」を「特に気に入っている」、確かに意外だが、将来的には必要になる能力だ。
・『立ち遅れている不登校対策  専門家は、和哉さんのように知能が高いものの、社会になじみづらい子どもたちの不登校対策について、日本は立ち遅れていると指摘します。 不登校に詳しい東京理科大学 八並光俊教授「これまでの日本の不登校施策では、IQの高い子どもについては注視されてきませんでした。支援が十分でないため、当事者である子どもと保護者の社会的、経済的負担も大きいのが現状です。ずば抜けた力があるにもかかわらず、その力が生かされない。それどころか、社会のけん引役となりうる子どもたちが不登校で不利益を受けて、活躍の場を失うことは大きな社会的損失だと思います」 教育現場はどうあるべきなのか、1年間密着取材した模索する学校をもとに考えるNHKスペシャル「“不登校”44万人の衝撃」を5月30日(木)午後10時から放送します。 番組では「#学校ムリかも」で現場の声を集めている日本財団とも連携します。あなたの意見をつぶやいてください』、「社会のけん引役となりうる子どもたちが不登校で不利益を受けて、活躍の場を失うことは大きな社会的損失」、その通りで、「活躍の場」を如何に用意していくかが重要な課題だ。

第三に、千代田区立麹町中学校校長の工藤 勇一氏が11月27日付け東洋経済オンラインに掲載した「親が恐れる「中学の内申点」の知られざる実際 中学校長が教える“学校以外"の学びの場 」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/313998
・『不登校、もしくは不登校傾向の子どもは現在、30万人にも上るといわれている。子を持つ親にとってはひとごとではない。親としてはなんとしても登校させようとしたり、内申点をつけるために無理にテストを受けさせたりしたくなるかもしれないが、大胆な学校改革で話題の麹町中学校校長の工藤 勇一氏は、そもそも学校にこだわる必要はないという。『麹町中校長が教える 子どもが生きる力をつけるために親ができること』を上梓した工藤氏が説く、不登校の子どもに対する心構えとは?』、現役校長の発言としては衝撃的だ。
・『不登校に過剰に反応することはない  不登校の子どもたちが年々、増えています。 文部科学省は、病気や経済的理由以外で年間30日以上の欠席があった場合を不登校と定義していますが、平成29年度の調査によると不登校の中学生は約10万人。ここには当てはまらない、学校に来ても教室に入れない、いわゆる不登校傾向の子どもは、その3倍の30万人にもなるといわれています。 そんな背景もあってか、不登校、もしくは不登校傾向の子どもを抱える親御さんのご相談を受けることも多くなってきました。 「どうすればいいでしょうか?」と親御さんに聞かれたとき、私は「別に学校に来なくてもいいのではないですか」と校長らしからぬ発言をするので、驚かれることが多々あります。 そもそも、不登校を問題にしているのは大人たちです。学校に行くことが当たり前ではなく、「大人になるための手段の1つに過ぎない」という認識になれば(もしくはホームスクーリングでもいいという認識になれば)、不登校という概念そのものがなくなるでしょう。 もちろん前提として、学校は、すべての子どもたちが安心して学校に通えるように配慮をすべきです。 ただ、もしそれでもうまくいかなかった場合は、学校に行かない状態に過剰に反応することはないと思うのです。 「そんなことを言っても、不登校になれば内申点が悪くなり、受験にひびく……」「勉強が遅れてしまう」という声が聞こえてきそうです。 しかし、私は断言できます。 もし不登校になったとしても、受験にひびくことはありません。たとえ学習が一時的に遅れてしまったとしても、あとから取り返すこともできます』、「学校に行くことが当たり前ではなく、「大人になるための手段の1つに過ぎない」」、言われてみれば、その通りだ。「もし不登校になったとしても、受験にひびくことはありません。たとえ学習が一時的に遅れてしまったとしても、あとから取り返すこともできます」、理屈の上では理解できても、我が子の場合にそう出来る自信はない。
・『学べる場所は学校だけじゃない  経済産業省主催の“「未来の教室」とEdTech研究会”というイベントに参加したとき、とある高校生からこんな話を聞きました。 その子は小学1年生から6年生まで病気で入院しており、学校に通えなかった経験があるそうです。入院中は昆虫が好きなので、昆虫の図鑑や『ファーブル昆虫記』など昆虫の本ばかり読みふけったと言います。 中学から学校に通い出した彼は、確かに少し勉強に遅れがあったそうですが、その後、都立高校に入学。今はバイオの研究をしており、勉強をとても楽しんでいるそうです。 「普通の教科(いわゆる国語や英語)は面白くない。もっとこんな研究がたくさんあったらいいのに」と彼は言っていました。 「僕は漢字や文章のつくり方など、国語の分野は昆虫の本を使って覚えました」と。 つまり、「国語の授業を受けなければ、国語の勉強はできない」なんてことはないわけです。好きな本を読んでいれば漢字も文章のつくり方も覚えられるし、誰かに自分の気持ちや考えていることを「伝えたい」という思いがあれば文章を書きたくなります。そのときに漢字がなければ格好悪いと思えば、漢字を覚えるでしょう。) 同じ場にいたとある私立高校の生徒たちも、興味深いことを話してくれました。 彼らは週に2時間、自分たちで決めたテーマや先輩から引き継いだ内容で個別に研究をしているそうなのですが、驚くことにその内容は高校生ながらにiPS細胞などの研究なのです。 そのような高レベルの研究をしていると、日本の論文では物足りなくなり、英語の論文も読む必要が出てきます。そのため、彼らは必要に迫られて英語を勉強するようになるというわけです。 さらに彼らは海外でプレゼンする機会もあり、その際には英語で話す必要がありますから、スピーキングもできるようになります。 これはいつ使うかわからないことを学んでいくのとは真逆のスタイルで、とても本質的な「学び」です』、確かに受験のための勉強に比べ、必要に迫られた勉強は身につきそうだ。
・『無理に内申点をつけると不利になることも  中学生の不登校の場合、内申点が悪くなり高校受験にひびくのではないかと気にされる方が多いと思いますが、まずもって私立高校の場合は、ほとんどの学校で不登校であることが不利になることはありません。 また、受験制度は各都道府県によって異なるため一概には言えませんが、東京都の公立高校に限って言えば、同様に不利にならないよう配慮されています。 内申点とは、定期テストや授業中の関心や意欲をもとに評価される仕組みです。特定の理由があって不登校になった場合は、評価の判断材料がないために、内申点をつけることができません。そのときは、斜線(内申点の記載がない状態)になります。 各高校の採点基準は明示されていませんから、これが絶対に不利にならないとは言い切れないのですが、都の教育委員会が各高校へ、この斜線が受験に不利にならないよう配慮を求めているのは事実です。 親御さんの中には、どうしても内申点をつけてほしいということで、テストだけは無理にでも受けさせるという方がいますが、そうやってつけた内申点が逆に受験に不利になるケースもあるということを知っておいてください(限られた評価の材料で内申点がつくよりは、斜線となり、学力検査だけで全体の評価をしてもらうほうが、有利というイメージです)。 また内申点が斜線の場合、都立高校の推薦入試を受験することはできませんが、過去には私立高校の推薦入試を受験した事例があります。 私立高校に直接連絡し、不登校で内申点がついていない生徒の事情を伝えたところ、事前に本人・保護者と面談をしてくれ、本人の強い志望動機を認め、推薦入試を受けさせてもらったのです(そしてもちろん合格しました)。 さらに、そもそもの話になりますが、私は常々保護者のみなさんに「大学進学を目指すなら無理をして高校に行くこともないですよ」と伝えています。 大学に行きたいのであれば、高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)を受ければいいのです』、高校に行かずに、「高等学校卒業程度認定試験」で合格するためには、相当な勉強が必要なのではなかろうか。
・『大事なのは将来どのような生き方をするか  私のかつての教え子である株式会社アドウェイズの代表取締役社長・岡村陽久くんは、高校を中退しています。 先日会ったときに中退を決めたときのことを改めて聞いてみました。 彼は中退するかどうか悩んだとき、さすがに不安だったため、書店で高卒認定の問題集を見てみたのだそうです。するとその問題がとても簡単だったので、「なんだ、こんなに簡単だったらいつでも大学に行ける」と思い、中退を決めたのだとか(高卒認定の受検資格は満16歳以上ですが、大学受験資格を得られるのは「18歳に達した日の翌日」からなので、実際には高校3年生と同じ年で大学受験が可能になります)。 麹町中の卒業生の中には、成績がトップクラスの子で、名門進学校の日比谷高校に進学するか、通信制高校の「N高」に進学するか悩んだ子がいます。 この子はどうしてもやりたいことがあり、それに時間をかけたいと考え、拘束時間の長い全日制高校ではなく、時間に融通の利くN高を選びました。 自分のやりたいことをしっかりと自覚し、自分の道を歩めることはすてきなことです。 将来どのような生き方をするかを見つけられる場所が学校以外にあるのであれば、学校にこだわる必要は実はないのです』、「高等学校卒業程度認定試験」はそれほど難しくはないようだ』、「自分のやりたいこと」が中学生時代に既にあるというのは、我が身に照らすと頭が下がるが、現実にはそれに飽きて別のことがやりたくたることも多い筈だ。そうした場合には、「つぶし」が利く通常のコースの方が無難なのではなかろうか。それにしても、面白い中学校長もいたものだ。
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