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エネルギー(その5)(日本は世界3位の地熱資源大国なのに発電所建設が進まなかった3つの理由、シーメンスガメサ 洋上風力で世界シェア5割超のワケ、洋上風力発電 日本も舞台に 東北電 青森で3000億円 欧州大手も3000億円投資、太陽光発電事業者の負担は1兆円増?「発電側基本料金」新制度の深層) [産業動向]

エネルギーについては、昨年2月3日に取上げた。今日は、(その5)(日本は世界3位の地熱資源大国なのに発電所建設が進まなかった3つの理由、シーメンスガメサ 洋上風力で世界シェア5割超のワケ、洋上風力発電 日本も舞台に 東北電 青森で3000億円 欧州大手も3000億円投資、太陽光発電事業者の負担は1兆円増?「発電側基本料金」新制度の深層)である。

先ずは、昨年5月14日付けダイヤモンド・オンライン「日本は世界3位の地熱資源大国なのに発電所建設が進まなかった3つの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/200086
・『2011年の福島第一原発事故直後、再生可能エネルギーとして一躍脚光を浴びたのが「地熱エネルギー」。火山国の日本にとって、うってつけの発電方法に思えるが、現在、地熱発電の電力供給量が54万kWと総発電量の0.2%にすぎないのはなぜか。地熱発電の歴史と現状や、将来について、九州大学名誉教授で現在地熱情報研究所代表の江原幸雄氏に話を聞いた』、もったいない話の理由とは興味深そうだ。
・『日本は世界第3位の地熱資源大国  まず地熱発電の話に入る前に、地熱エネルギーとはそもそも何なのか。 地熱発電が扱う地熱エネルギーとは、「地球内部の熱(中心部約6370kmの深さでおよそ5000~6000℃)のうち、地表から数km以内に存在する利用可能な熱エネルギー」のこと。その地熱エネルギーでつくられた蒸気や熱水がたまっているところを“地熱貯留層”という。 地熱発電は、この地熱貯留層に井戸を掘り、吹き出した蒸気の力で直接タービン(プロペラのようなもの)を回して発電機を動かし、電力を生み出すという仕組みだ。 地熱発電の歴史を振り返ると、世界最初の地熱発電は1904年、イタリア北部のラルデレロという地域で始まった。 日本では1925年に大分県別府市で、1.12kWの試験的地熱発電に初めて成功。その後、1946年から地熱発電の研究が進み始め、1966年に本格的な地熱発電所である岩手県松川地熱発電所が日本で初めて建設された。 そして、1999年までに日本全国で18ヵ所、総設備量54万kWの地熱発電国になったものの、今年1月、22年ぶりに岩手県で出力7000kWを超える地熱発電所が本格的に稼働するまで、地熱発電所の建設は遅々として進んでいなかった。 日本には2347万kW(発電量換算)の地熱資源があるという。地熱エネルギーの点ではアメリカ、インドネシアに次いで、世界3位の“資源大国”なのだ。にもかかわらず、なぜこれまで地熱発電が普及しなかったのか。江原氏はこう説明する。 「1970年代、石炭や石油に代わる資源として候補に挙がった。一定の前進はあったが、石油供給事情が好転する中で、地熱を含めた再生可能エネルギーより、原子力および石炭が選択されました。当時は原子力や石炭の方が安い発電コストだと試算されていたので、国は地熱より原子力や石炭を推進したのです」(江原氏、以下同)』、発電コストのほかにも、”原子力ムラ”が「原子力」最優先政策を採っていたためだろう。
・『3.11以前は国立公園に地熱発電所新設が困難  ところが、2011年の東日本大震災による福島第一原発事故後は事情が変わった。事故によって、原子力は安全性に問題があり、かつ発電コストが決して安くないことが明らかになり、世界的に高まるCO2削減対策として、太陽光や風力、地熱発電などの再生可能エネルギーに注目が集まったのだ。 地熱発電は、太陽光や風力のように発電量が昼夜、年間で変動することもなく、1年365日、朝から晩まで24時間、発電し続けられる。その上、地球内部の莫大な熱を利用するため、エネルギー源が枯渇する心配がないのもメリットだ。 しかし、東日本大震災以前も、地熱発電の普及には、特有の問題が立ちはだかっていたと江原氏は語る。 「日本の場合、全国で活火山は100個ほど存在し、多くが国立公園内(および国定公園)にあります。ですが、1972年の旧通産省と旧環境庁との覚書により、環境保護が必要な国立公園内特別地域では新たに地熱発電所は建設しないという方針を採りました。地熱資源量2347万kWのうち、81.9%がその国立公園内特別地域内にあるので、そもそも制約が厳しかったのです」 その “国立公園問題”も、3.11以後は徐々に規制が緩くなり、解決に向かいはじめている。これまで国立公園の約2割の場所でしか調査、建設できなかったのが、環境や生態系に影響を与えないとされる地域にまで対象が広がり、地元の同意を得られれば、国立公園内の約7割にあたる場所で地熱発電所が新設できるようになったのだ。 とはいえ、地方によってその対応には差があり、一筋縄ではいかないのだという。 「環境省の本省は、全国的に地熱発電所を増やそうとしています。しかし地方の環境省事務所は、本質的に役所は規制をするのが仕事だという考え方がまだ根強く、本省と意識が共有されていないのが実態です。たとえば、地熱発電所を新しくつくろうと申請しても、なかなかスムーズに事が進まないケースもまだあります」』、「1972年の旧通産省と旧環境庁との覚書」は、旧環境庁が頑張ったためではなく、「原子力」最優先政策を採っていた旧通産省にやる気がなかったためだろう。
・『地熱発電で温泉が枯れた例はゼロ  これまで地熱発電が普及しなかった原因である発電コスト、国立公園の問題は解決に向かっている。だが、最後にもうひとつ、温泉地での地熱発電問題が残っている。具体的に言えば、「温泉地周辺で地熱発電所が建設されると、温泉が枯れてしまうのではないか」といった理由で、反対運動が起こるケースだ。 ただ日本の場合、温泉が枯れる心配はない。現実に日本の地熱発電所の歴史は50年を超えるが、温泉が枯れた例はないと、江原氏は言う。 「地熱発電は、地表から1~3kmにある地熱貯留層から熱を取り出します。一方、温泉は地表から100~200mの温泉帯水層という所から、温まった地下水を採取します。構造としては、温泉帯水層の下に地熱貯留層があり、その間には“キャップロック”という水を通しにくいふたの役割を果たす岩石があるので、地熱貯留層から熱を取っても温泉帯水層には直接影響しません。また、そのキャップロックが部分的に破れている場合でも、地熱貯留層から取った熱水を地下に戻して再利用するシステム(取り出される水の量と補給される水の量のバランスが取れている)が開発されているので問題はありません」 江原氏によると、日本が地熱発電を始めて50年以上がたっているものの、温泉に悪影響を与えた例は1つもなく、むしろ近隣で温泉を掘り合うことの影響の方が大きいのだという。なぜなら、答えは単純で、温泉は同じ温泉帯水層から熱水を取り出しているからだ。 とはいえ、温泉事業者にこうした話をしても、最終的には了承を得られないことがまだ多く、どのように理解してもらうかはなかなかに難しいようだ。 国は、2030年度までに地熱発電で、現在の3倍にあたる150万kWを発電することを目標としており、すでに全国100ヵ所ほどで調査・発電所建設が始まっている。大規模な地熱発電(万kW級)は発電設備をつくるための調査や開発に少なくとも10年はかかってしまうが、それでもこの5月中には、秋田県湯沢市山葵沢(わさびざわ)に4万2000kWの地熱発電所が稼働することが決まっている。 徐々にではあるが、地熱発電所を推進していくための土壌はでき始めている。将来、地熱発電のシェアが増えていくのは間違いないだろう』、「地熱貯留層から熱を取っても温泉帯水層には直接影響しません。また、そのキャップロックが部分的に破れている場合でも、地熱貯留層から取った熱水を地下に戻して再利用するシステムが開発されているので問題はありません」、ということであれば、「温泉事業者」を粘り強く説得してゆく他ないだろう。「葵沢」「地熱発電所」は5月20日に営業運転を開始したようだ。出力は原発約半分に相当するので、大きな効果がある。太陽光と違って24時間運転が可能な「ベース電源」としての役割が期待される。

次に、6月10日付け日経ビジネスオンライン「シーメンスガメサ、洋上風力で世界シェア5割超のワケ」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00019/060600059/?P=1
・『洋上風力発電市場が急拡大している。 4月に世界風力エネルギー会議が発表したデータによると、2018年末の世界の発電容量は2300万キロワットと10年前に比べて約23倍の規模に拡大している。10年前は年間の新規の風力発電導入量に占める洋上風力発電の割合が1%未満だったが、18年は4.5%に拡大している。けん引しているのが英国やドイツなど欧州各国と中国だ。2018年の導入量では中国が40%、英国が29%、ドイツが22%を占める。 拡大の背景にあるのは、コストの低下だ。欧州においては5年前には1000キロワット時当たり230ドル(約2万5000円)ほどだった発電コストが、足元では120ドルほどまで低下してきている。日本では実証実験の段階だが、日本企業は商社などが欧州で多くのプロジェクトに参画している。 住友商事は18年12月にフランスで約100万キロワットの洋上風力発電プロジェクトに参画すると発表した。総事業費は約5000億円で、住友商事は同事業に29.5%を出資する。同社はこの他にも欧州で5件の洋上風力発電プロジェクトに参画するなど攻勢をかけている。三菱商事も欧州で数件の風力発電プロジェクトを手がけている。 この洋上風力の発電機メーカーで、5割超の世界シェアを持つのがスペインのシーメンスガメサ・リニューアブル・エナジーだ。同社は17年にシーメンスの風力発電事業とガメサが統合して誕生した。シーメンスは04年にデンマークのボーナス・エナジーを買収し、風力発電事業に参入した後発組である。もともとボーナスは世界初の洋上風力発電所を作った経験があり、シーメンスは買収時も傍流であった洋上風力発電にいち早く力を入れ、建設やメンテナンスの技術で先行した。 風力発電の開発事業者にとって、風力発電の故障によって発電量が下がるのは最悪の事態だ。また洋上の場合は陸上に比べてメンテナンスコストが高くなる。その点で多くの実績を積むシーメンスは受注で有利に働いている。 シーメンスガメサの統合の象徴は、アフリカ初の風力発電工場であるモロッコ工場だ。同工場では風力発電の羽根(ブレード)を生産している。シーメンスガメサのマーカス・タケCEO(最高経営責任者)は「立地的に輸出に適しており、労働コストが安いために低コストで羽根を生産できる」と話す。実はブレードの製造は手作業の部分が多く、労働コストの安さは武器になる。記者が4月中旬に訪れた際には多くのモロッコ人が工場で働いていた。立地的に欧州やアフリカ向けだけでなく、大西洋を挟んだ北米や南米にも輸出がしやすいのも売りだ』、「ブレードの製造は手作業の部分が多く」、初めて知ったが、確かに「モロッコ工場」は、人件費や輸出の両面で最適な立地のようだ。
・『アフリカ初の工場で低コスト生産  モロッコ工場は、シーメンスとガメサという2つの企業の生産技術を生かせるという特徴がある。両社は17年に経営統合し、モロッコ工場がほぼ同時に立ち上がったため、双方の技術を持ち寄った。洋上か陸上、寒冷地か温暖地なのかなど、それぞれの需要に応じて、技術を使い分けて適切なブレードを生産していく。ブレードの生産は手作業によるところがあるため、モロッコ人が他の工場で長期間の研修を積み、技術を培ったという。 風力発電市場は価格競争が激しく、ライバルの米ゼネラル・エレクトリック(GE)が、18年度の風力発電事業の営業利益率が3%と収益悪化に苦しんでいる中で、シーメンスガメサは同5.3%と堅調だ。モロッコ工場に象徴されるような低コスト生産や多様な需要に応えられる強みが収益を支えている。 コスト競争力を高めるために、風力発電機の巨大化を進めている。22年には直径が現状より約3割大きい193メートルの風力発電機を投入する。タケCEOは「大型化と同時に、25種類あった風力発電のタイプを9種類に減らしてコストを削減する」と語る。 また、あらゆるモノがネットにつながるIoTも洋上風力発電のメンテナンスに活用しようとしている。従来は故障後に修理することが多かったが、IoTを使うことで事前に故障を予測し、効率的に修理できるようになった。故障で風力発電が停止する時間を減らし、発電量を増やせる。 シーメンスは5月7日に火力発電向けタービンなどを手掛けるガス・電力事業を2020年までに分離・上場させると発表した。独立させる新会社にシーメンスガメサを合流させ、成長余力のある風力発電事業は稼ぎ頭として期待されている。タケCEOは、「風力発電事業はシーメンスから切り離された。経営の独立性がなければ、意思決定が遅くなる。独立しているからこそ、船は速く進むことができる」と強調する。 今後は洋上風力発電のコスト競争がさらに激化しそうだ。競争入札の導入で20年代には1000キロワット時当たり50ドル程度まで発電コストが下がる予測がある。他の発電手段に比べてコスト競争力が高まり市場が拡大する一方で、コスト競争についていけないメーカーは市場から撤退を余儀なくされる可能性がある。新技術や市場変化への対応のスピードがますます重要になりそうだ』、「22年には直径が現状より約3割大きい193メートルの風力発電機を投入」、欧州での「洋上風力発電」は予想以上に進展しているようだ。

第三に、12月18日付け日経新聞「洋上風力発電 日本も舞台に 東北電、青森で3000億円 欧州大手も3000億円投資」を紹介しよう(リンクは省略)。
・『再生エネルギーの導入が遅れてきた日本で、洋上風力発電の大型プロジェクトが相次ぐ。東北電力は約3000億円で国内最大級の設備を青森県に建てる。北欧石油最大手のエクイノールも約3000億円を投じて日本の洋上風力に参入。洋上風力による発電容量は2030年度にも原発9基分に達する見通しだ。30年に22~24%に再生エネの比率を高める目標を達成するには送配電網の運用の見直しが急務となる。東北電力は風力発電を手掛けるグリーンパワーインベストメント(GPI、東京・港)が計画する案件に出資し、共同で青森県つがる市の沖合に出力48万キロワットの大型洋上風力の整備に乗り出す。総事業費は3000億円。運転を終了した女川原発1号機にほぼ相当する規模で、2029年ごろの稼働を目指す』、遅れていた日本でも、「洋上風力発電」急速に進むようで、結構なことだ。

第四に、12月20日付けダイヤモンド・オンライン「太陽光発電事業者の負担は1兆円増?「発電側基本料金」新制度の深層」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/224136
・『今、太陽光発電業界を大きく揺るがす問題が起こっている。それは「発電側基本料金」だ。電気を各地に配る設備コストの制度変更で、一部の発電事業者の負担が重くなるだけ。国民負担が増える訳ではないため、世間にはあまり周知されていない。しかし、いずれは国民負担の増加につながるという可能性も指摘されている。業界に冷や水を浴びせた、新たな課金システムの深層に迫る』、どういうことなのだろう。
・『国民負担を増やさないかたちで事業者側で送配電負担を分担  「発電側基本料金」が太陽光発電業者の経営を圧迫する懸念がある――そんな反発の声が業界内からわきあがり、この仕組みを提案した経済産業省との間で攻防戦が繰り広げられている。 発電側基本料金とは、全ての発電事業者に対して最大出力(kW)に応じた基本料金を課金するという新たな課金システムだ。現在、経済産業省が導入を検討しており、特に太陽光発電事業者の注目の的となっている。 なぜなら、これが導入されれば、太陽光発電事業者は10年間で総額約1兆円もの負担が増えるとの予測があるからだ。 今月、そんな試算を、オリックス、カナディアン・ソーラー・アセットマネジメント、ベーカー&マッケンジー法律事務所の3社が1つの資料にまとめた。(以下、OCB資料)。それを基に発電側基本料金問題の深層に迫る。 まず、経緯を把握するために時計の針を巻き戻そう。 2012年、再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱などによる発電)に固定価格買い取り制度(FIT)が導入され、国のお墨付きにより一定価格で20年間電気を売れるようになった。中でも太陽光発電は、他の再エネより初期投資のハードルが低く事業者が爆発的に増えた。 一方で、分散型の発電所がたくさんできたことで、発電した電気を各地に送る送配電網(例えば電線など)に接続する系統連系のニーズが拡大した。しかも、今後は人口減少で電力需要が伸び悩むという予測もある。そのため、いずれは老朽化する送配電設備の維持管理コストが課題となっていた。 通常、電気は送配電設備を介して発電事業者→送配電事業者→小売り電気事業者→一般消費者というかたちで流通している。その流通コストは現在、「託送料金」として、電力会社などの小売電気事業者(その先の一般消費者)が100%負担している。 将来、この送配電設備が古くなって維持管理コストが増えれば、国民負担(電気料金)が高くなる可能性がある。 そこで、善後策として受益者である発電事業者にも、例えば100のうち10だけも負担を分かちあってもらい、早めに整備コストの財源を確保する。かつ、一般消費者(国民)の電気料金は増えない仕組みにする。 そんな狙いから編み出されたのが、今回の発電側基本料金という訳だ』、「送配電設備」の「維持管理コスト」の一部を「受益者である発電事業者にも」負担してもらうというのは、当然のことだ。
・『既稼働6000億、未稼働4000億 明らかになった負担の全貌  ここで問題となっているのが、FIT価格が高かった2012年7月から15年6月の利潤配慮期間、いわゆる「プレミア価格」(売電価格29円、32円、36円、40円)の案件が狙い打ちされていることだ。 例えば火力や原子力など昔からある非FIT電気は、小売り電気事業者への卸価格に転嫁できる「調整措置」というものができる。そのため影響が少ないと見られている。 一方、プレミア価格のFIT電源では、この調整措置が基本的に認められていない。「発電事業者は十分もうかったのだし配慮は不要」という経産省の意図が見え隠れし、太陽光発電事業者、特に影響の大きいメガソーラー事業者が不公平感を抱いているのだ。 これまで具体的な負担総額は明らかではなかったが、今回、OCB資料によって全貌が見えてきた。 まず経産省の資料では、現状では発電側基本料金で負担する1kW当たりの単価は月150円、年1800円程度と試算されている。 また、今回対象となる12~14年度の太陽光のプレミア案件は、経産省の資料を基にOCB資料では既稼働案件33.39GW、未稼働案件22.1GWと推定されている。 これらのデータを基に計算すると、既稼働案件だけで33.39GW×1800円/kW=年間601億円。ここから10年間事業を続けると仮定して約6000億円の負担、また未稼働案件は22.1GW×1800円/kW×10年間=約4000億円の負担が増える。 つまり、既稼働案件と未稼働案件の総額で約1兆円の負担増につながるというのがOCB資料で示された試算という訳だ。 たしかにプレミア価格によって太陽光発電バブルを生み出し、多くの事業者が潤ったのは間違いない。だから事業者側も、発電側基本料金の導入に反対している訳ではない。しかし、彼らにとって今回の「プレミア価格を調整措置から外す」という措置は、国策で事後的に負担が増えて収益性が落ちるというデメリットしかない。 そこで事業者側は、経産省に「プレミア価格を調整措置から外すことの見直しを求める」という“新たな調整措置”を要望しており、そこが攻防戦の最終防衛線となっているという訳だ』、何やら既得権者の手前勝手な言い分のようにしか思えない。
・『対日投資にも影響が出るのか 国際仲裁で損害賠償の可能性も  なおOCB資料では、他にも以下のような問題点が指摘されている。 ■日本政府が関与する制度への信頼を毀損し、対日投資全体に影響が出る(プレミア価格を調整措置から外すというのは、「もうかっている」からという理由だけ。リスクの高い初期に太陽光発電に投資したのが、たまたまもうかったからといって、そのもうけをかすめ取る制度を後から導入する国は信用を失うのではないか。) ■国際仲裁を申し立てられるリスク(「エネルギー憲章条約第10条」が保護する締約国の投資家の利益が侵害されているとして、多額の損害賠償を請求されるリスクがある。例えば、スペイン政府が2010年に遡及的制度変更をして、32件の仲裁を申し立てられ、5件敗訴し、総額740億円の損害賠償を負った。政府が仲裁で負ければ賠償金は税金から支出されるため、国民負担の増加につながる。) ■個人投資家・年金への影響(上場インフラファンド合計で5万人を超える個人投資家がいる。私募ファンドを通じて、また国内外の年金基金も再エネ投資している。幅広い影響が出るのではないか。) ■再エネ事業者が支払ったお金の行方(再エネ事業者は「転嫁措置なし」で約1兆円を負担することになる。ただ、制度前後で託送料金の原価総額は変わらず、あくまで分配の話。再エネ事業者が負担した分、確実に誰かの負担が減っており、1兆円はどこへいくのか。) ■議論プロセスの正当性(これだけ経済的インパクトが大きい、かつ再エネを導入するという国の政策に逆行する恐れのある制度が、経産省の一委員会で決まろうとしている。また、一部の委員が反対を表明しているが、ほとんど無視されている。) これら一連の指摘に対し、経産省はどのように考えているのか。本誌の取材に対し、同省担当者は以下のように回答した。おそらくこの問題に関しての見解表明は、これが初めてだ。 ●再エネ電源の増加で送配電設備の増強などに必要な費用は今後も拡大していく見込み。こうした環境変化に対応し、費用の増大を抑制しつつ再エネ拡大に必要な送配電設備の整備を確実に実施していく。そのため、系統利用者である発電側にも送配電費用の一部を負担してもらうべく、発電側基本料金を導入する。 ●この制度は、送配電設備の費用に与える影響を踏まえ、発電設備の系統側への最大出力(kW)に応じて公平に負担を求めるもの。これにより、最大出力を下げつつ出力の平準化を図るなど、発電者が送配電設備を最大限効率的に利用しようとするインセンティブが生まれる。発電側に起因する送配電設備の費用の増大の抑制にもつながると期待される。 ●この制度の導入により基本料金による回収割合が上昇すれば、費用回収の確実性が確保されるため、再エネ拡大などに必要な投資がしやすくなると期待される。 ●導入にあたって電力・ガス取引監視等委員会に設置された審議会などにおいて、事業者ヒアリングやパブリックコメントなどで2年以上にわたって議論を重ねた。その上で、制度見直しについてとりまとめた。18年7月のエネルギー基本計画においても、長きにわたる議論・パブリックコメントを経て制度導入を閣議決定しており、十分な議論を経ていると考えている。 ●一般論として、制度変更は社会の変化に応じて不断に行われるもの。この制度も昨今の系統を巡る環境変化を踏まえて、必要な制度改正として新たに導入する。 ●発電側基本料金により、再エネに限らず、既稼働事業も含めて全発電事業者に対して追加的な負担が発生する。しかし、この負担については電源種を問わず、市場や当事者間の交渉の中で取引価格に転嫁されることが想定される。 ●FIT電源については、買い取り価格(FIT価格)を変更できないため転嫁が難しいのではないかとの指摘がある。そのため、どのような場合にどのような調整措置を講じるべきか、調達価格等算定委員会の中で今後議論していく。 ●制度の詳細設計の議論が進む中、今月17日の審議会において「FIT電源についても他電源と同様に小売りからの転嫁がされうるものとしてはどうか」という議論もなされている。それも含めて調整措置全体については、調達価格等算定委員会の中で今後議論していく。 ●適地が限定され、今後大規模な系統増強が避けられない電源については、発電側基本料金の導入とセットで初期負担の軽減策(一般負担上限の見直し)を講じている。昨年6月に措置済みで、例えば東北北部エリアにおける大規模な系統増強が検討されている事例では、再エネ事業者の初期負担が総額で約700億円が軽減された。 ●立地場所に選択の余地がある電源については、割引地域に立地することで発電側基本料金の負担は軽減される。 要するに、今回の措置は再エネ拡大のためにも必要で、反発しているメガソーラー事業者が求めている調整措置への対応は今後検討中ということだが、いずれにせよ制度の詳細設計はいずれ固まっていく見込みだ。それまで太陽光発電事業者は戦々恐々の日々を送るだろう』、確かに、今回の措置は後出しジャンケン的色彩があり、「日本政府が関与する制度への信頼を毀損」、「国際仲裁を申し立てられるリスク」があるとはいえ、「制度変更は社会の変化に応じて不断に行われるもの。この制度も昨今の系統を巡る環境変化を踏まえて、必要な制度改正として新たに導入する」との経産省の反論の方が説得力がある。今後、細目をめぐって、議論が活発化する可能性があるので、注視していきたい。
タグ:地熱発電で温泉が枯れた例はゼロ エネルギー 日経ビジネスオンライン 3.11以前は国立公園に地熱発電所新設が困難 当時は原子力や石炭の方が安い発電コストだと試算 地熱エネルギーの点ではアメリカ、インドネシアに次いで、世界3位の“資源大国” 江原幸雄 国は地熱より原子力や石炭を推進 岩手県松川地熱発電所が日本で初めて建設 日本は世界第3位の地熱資源大国 洋上風力発電市場が急拡大 1972年の旧通産省と旧環境庁との覚書 「シーメンスガメサ、洋上風力で世界シェア5割超のワケ」 制度変更は社会の変化に応じて不断に行われるもの。この制度も昨今の系統を巡る環境変化を踏まえて、必要な制度改正として新たに導入する 対日投資にも影響が出るのか 国際仲裁で損害賠償の可能性も いずれは老朽化する送配電設備の維持管理コストが課題 発電側基本料金とは、全ての発電事業者に対して最大出力(kW)に応じた基本料金を課金するという新たな課金システムだ 国民負担を増やさないかたちで事業者側で送配電負担を分担 日本政府が関与する制度への信頼を毀損 発電側基本料金 立地的に輸出に適しており、労働コストが安い 国際仲裁を申し立てられるリスク 日本には2347万kW(発電量換算)の地熱資源 事業者側は、経産省に「プレミア価格を調整措置から外すことの見直しを求める」 既稼働6000億、未稼働4000億 明らかになった負担の全貌 東北電力は約3000億円で国内最大級の設備を青森県に建てる 「洋上風力発電 日本も舞台に 東北電、青森で3000億円 欧州大手も3000億円投資」 モロッコ工場 日本では実証実験の段階だが、日本企業は商社などが欧州で多くのプロジェクトに参画 発電機メーカーで、5割超の世界シェアを持つのがスペインのシーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー 1999年までに日本全国で18ヵ所、総設備量54万kWの地熱発電国になった プレミア価格 「太陽光発電事業者の負担は1兆円増?「発電側基本料金」新制度の深層」 善後策として受益者である発電事業者にも、例えば100のうち10だけも負担を分かちあってもらい、早めに整備コストの財源を確保 洋上風力による発電容量は2030年度にも原発9基分に達する見通し 日経新聞 北欧石油最大手のエクイノールも約3000億円を投じて日本の洋上風力に参入 維持管理コスト アフリカ初の工場で低コスト生産 ブレードの製造は手作業の部分が多く (その5)(日本は世界3位の地熱資源大国なのに発電所建設が進まなかった3つの理由、シーメンスガメサ 洋上風力で世界シェア5割超のワケ、洋上風力発電 日本も舞台に 東北電 青森で3000億円 欧州大手も3000億円投資、太陽光発電事業者の負担は1兆円増?「発電側基本料金」新制度の深層) ダイヤモンド・オンライン 地熱エネルギー 地熱発電の電力供給量が54万kWと総発電量の0.2%にすぎない 「日本は世界3位の地熱資源大国なのに発電所建設が進まなかった3つの理由」
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