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パンデミック(新型肺炎感染急拡大)(その1)(「お友達内閣の脆弱さ明らかに」新型肺炎で舛添氏、武漢肺炎「元凶は中国がカナダから盗んだコロナウイルス」説を追う 実験施設からの流出か、「新型肺炎対策」が中国で大きく出遅れた事情 習近平総書記の責任論押さえ込みに躍起) [社会]

今日は、パンデミック(感染症流行)(その1)(「お友達内閣の脆弱さ明らかに」新型肺炎で舛添氏、武漢肺炎「元凶は中国がカナダから盗んだコロナウイルス」説を追う 実験施設からの流出か、「新型肺炎対策」が中国で大きく出遅れた事情 習近平総書記の責任論押さえ込みに躍起)を取上げよう。特に、第二の記事は日本の新聞には出ないような驚くべき内容である。

先ずは、1月31日付け日刊スポーツ「「お友達内閣の脆弱さ明らかに」新型肺炎で舛添氏」を紹介しよう。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202001310000193.html
・『舛添要一前東京都知事(71)が、新型コロナウイルス拡大にともなう日本政府の対応を厳しく批判し、「お友達内閣の脆弱さを明らかにした」と私見を述べた。 舛添氏は30日、中国・武漢から29日にチャーター機の第1便で帰国した日本人のうち、2人がウイルス検査を拒んだ件についてツイッターで言及し、「ウイルス検査を拒否した乗客に法的には強制できないという安倍首相の答弁は間違っている。『公共の福祉』という憲法の規定がある。法律より憲法のほうが上だ。政府の新型肺炎対応は甘すぎ、感染症の危機管理としては失格だ。厚労相がもっと全体を指揮すべきで、危機管理の素人に任せたらカオスになる」と指摘した。 31日には、「日本が生き残るために、検査を受けないなどという不届き者を許さない政府の姿勢が必要だ。検査を法的に強制できないという安倍答弁を書いた役人は罷免ものだ」と、政府の対応を非難。「新型肺炎は、お友達内閣の脆弱さを明らかにした。嫌いでも能力があれば登用するという才覚があれば、今のような杜撰な対応はなかったはずだ。ゴマすり大臣ばかりでは駄目である。大臣以下、厚労省には危機感がなさすぎる。統一もできない非力な野党に代わって、天が安倍政権に反省を迫っているようだ」とつづった』、憲法の『公共の福祉』を持ち出して、「安倍首相の答弁は間違っている」、さすがだ。マスコミもこうした観点を指摘できなかったのは、情けない。自民党の一部には、緊急事態条項を盛り込むためにも憲法改正を、などと悪乗りする向きもあるようだが、現行憲法の規定も活かせずによくぞ勝手なことを言うものだと、呆れ果てるほかない。

次に、中国鑑測家・中央大学政策文化総合研究所客員研究員の北村 豊氏が2月4日付け現代ビジネスに掲載した「武漢肺炎「元凶は中国がカナダから盗んだコロナウイルス」説を追う 実験施設からの流出か」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70210
・『武漢にはもともとコロナウイルスがあった  武漢市は湖北省の東部に位置し、長江とその最大支流である漢江の合流点にあり、漢口、漢陽、武昌の三鎮(3つの町)から構成されていることから、かつては武漢三鎮と総称されていた。 武漢市統計によれば、2018年末時点における武漢市の常住人口は1108万人で、そのうちの都市部人口は890万人に上り、都市化率は80.3%に達している。常住人口1108万人は全国都市別人口の第8位で、第7位の深?市(1303万人)に次ぐ地位を占めている。 さて、その1108万人もの人口を擁する武漢市の市街区から直線距離でわずか15キロ程の地に、エボラ出血熱のウイルスを含む自然免疫原性ウイルスや、その他新たに発見されたウイルスの研究を行う、中国科学院の「武漢国家生物安全実験室(National Biosafety Laboratory, Wuhan)」(以下「武漢NBL」)が存在するのである。 武漢NBLは、武漢市江夏区に所在する中国科学院病毒(ウイルス)研究所鄭店園区内にあり、西を野湖と青菱湖に、北を黄家湖に、東を湯遜湖に、南を小高い山によって囲まれた場所にあるが、その周囲には多数の村落が存在している。 こうした危険なウイルスを扱う研究施設を人口1000万人超の大都市近郊に建設するということは通常では考えられないことだが、これがまかり通るのが中国という国の現実なのである。 今や武漢市では新型コロナウイルスに起因すると言われる肺炎、通称「武漢肺炎」が蔓延しており、中国政府は人口1108万人の武漢市を封鎖して、武漢肺炎の国内外への感染拡大を抑制しようと懸命な戦いを繰り広げている。 本稿を執筆している2020年1月31日時点における中国政府の公式発表では、中国国内の感染者は9782人、死亡者は213人となっているが、その隠蔽体質から考えて実際の感染者が10万人規模に達している可能性は否定できない。なお、中国国外では25の国・地域において153人の感染者が判明しているが、幸いにも未だに死亡者は発生していない。 ところで、武漢肺炎を引き起こした新型コロナウイルスが発生した場所として疑われているのは、武漢市江漢区にある武漢華南海鮮卸売市場(以下「華南海鮮市場」)で、ここで水産物と並んで販売されていた“野味(野鳥や野獣を使った料理)”の食材である“タケネズミ(竹鼠)”、アナグマや蛇などが新型コロナウイルスを媒介して人に感染させたものと考えられている。 しかし、この華南海鮮市場は上述した武漢NBLの所在地から直線距離で25キロメートル未満の場所にあり、武漢NBL内において、誤って新型コロナウイルスと接触したことで感染した職員が、華南海鮮市場を訪れたことも考えられる。 これはあくまで可能性の話だが、新型コロナウイルスに感染した武漢NBLの職員が華南海鮮市場を訪れて同市場関係者に接触したことにより、市場関係者が新型コロナウイルスに感染し、その人物を介在する形で新型コロナウイルスが人から人へと感染を拡大していったのではないか、という疑いが世界中でもたれている』、「武漢市の市街区から直線距離でわずか15キロ程の地」に「武漢NBL」を建設したというのは、さすが情報統制が行き届いた中国らしい。
・『前例もある  この事は確たる証拠がなく、飽くまで推測の域を出ない話である。しかし、その疑いをもたれるだけの前例が中国にはある。 2002年11月に中国で発生した「重症急性呼吸器症候群(SARS: severe acute respiratory syndrome)」は、当時の新型コロナウイルスによって発症し、2003年7月に終結宣言が出されるまでの約9か月間にわたって、有効なワクチンも治療法もない感染症として世界中を恐怖に陥れた。 2004年4月には、北京市や安徽省でSARSに類似した症状の患者が複数回発生したことがあったという。その詳細は公表されていないが、中国政府「衛生部」は2004年7月に「学生の規則違反によりSARSウイルスが実験室から流出したことが原因だった」との調査結果を発表している。 2003年7月にSARSの終結宣言が出された前後に、当時の武漢市長であった李憲生と中国科学院副院長の陳竺が、細菌やウイルスなどの微生物・病原体などを取り扱う実験室や施設の最高レベルであるバイオセーフティレベル4(BSL-4: biosafety level-4)(以下「BSL-4」)の「生物安全実験室」を建設する計画にゴーサインを出し、中国初のBSL-4実験室を持つウイルス研究施設を武漢市に建設することが決定された。 2004年10月に訪中したフランスのシラク大統領は武漢NBLと命名されたBSL-4ウイルス研究施設の建設を支援する協議書に調印したが、フランスでは、中国がフランスの提供する技術を使って生物兵器を作るのではないかとの反対意見が出されたし、国家情報部門も政府に対して警告を行ったのだった。 この武漢NBLの建設は種々の要因によって先延ばしされたが、フランスと中国が設計を共同で行い、技術と設備をフランスから導入し、建設を中国が担当する形で、2015年1月31日に武漢NBLは竣工した。 2017年2月23日には武漢市を訪問したフランス首相のベルナール・カズヌーヴ(Bernard Cazeneuve)が武漢NBLの開所式に出席してテープカットを行い、2018年1月5日に国家認証を取得したことによって武漢NBLは運営を開始した。 2017年2月23日付の英科学誌「ネイチャー(Nature)」は開所式を控えた武漢NBLについて報じた記事を掲載し、先に述べたSARSウイルスの流出事故や、中国の官僚主義的な隠蔽体質を理由として、武漢NBLが運用開始後に何らかの人的ミスにより毒性を持つウイルスがBSL-4実験室から流出して中国社会にウイルス感染が蔓延し、大規模な混乱が引き起こされる可能性を懸念していたのだ。 現在の武漢肺炎がパンデミックの状況にあることを考えると、この3年前の予測は的中したということになる』、「英科学誌「ネイチャー」」の警告が現実化するとは・・・。
・『コロナウイルスと武漢をつなぐ線  さて、ここで登場するのはカナダ在住のウイルス学者で中国国籍の邱香果である。中国で1964年に生れた邱香果は現在55歳である。学業成績が極めて優秀であった邱香果は1980年に飛び級により16歳で河北医科大学に入学した。1985年に河北医科大学を卒業して医学学士となった彼女は、天津医科大学の大学院へ進み、1990年に同大学院の免疫学修士号を取得した。 1996年に訪問学者として米国へ留学した邱香果は、テキサス州ヒューストンにあるテキサス大学附属MDアンダーソンがんセンターで研究に従事したが、その翌年の1997年にはカナダのマニトバ州へ移動し、マニトバがん治療センターの研究助士になった。 その後、彼女はカナダの国立微生物研究所(National Microbiology Laboratory<略称:NML>)で特殊病原体計画のワクチン開発と抗ウイルス治療部門の責任者になり、これと同時期にマニトバ大学医学・微生物学部の教授を兼任することになった。 こうしてウイルス学者として20年程をNMLで過ごした邱香果は、2018年にNMLの同僚であるゲイリー・コビンジャー(Dr. Gary Kobinger)と共同でエボラ出血熱の治療薬であるZMappを開発し、カナダ総督技術革新賞(GGIA)を受賞した。こうした輝かしい経歴を持つ邱香果はウイルス学者としては世界的に名を知られた存在であるということができる。 ところで、2020年1月末時点では、バイオセーフティレベル4(BSL-4: biosafety level-4)の生物安全実験室は世界24ヵ国・地域に59ヵ所以上が存在しているというが、中国には上述した武漢NBLと中国農業科学院ハルビン獣医研究所の2カ所がある。 BSL-4実験室の運用開始時期は、前者が2018年1月であるのに対して、後者は2018年8月となっている。ちなみに、日本には国立感染症研究所(東京都武蔵村山市)、理化学研究所筑波研究所(茨城県つくば市)の2カ所があり、3カ所目の長崎大学感染症共同研究拠点(長崎県長崎市)は建設中で2021年7月末の竣工予定となっている。 邱香果が所属するNMLは、マニトバ州ウィニペグ市に所在するカナダで唯一のBSL-4の生物安全実験室で、世界的にも知られた権威ある研究所であり、エボラウイルスやエイズウイルス、炭疽菌などを含む人類や動物にとって極めて致命的は(注:正しくは「な」)ウイルスを保管・研究している。 コロナウイルスについても世界的な研究センターである。2012年6月にサウジアラビアの男性(60歳)が発熱、咳(せき)、痰(たん)、呼吸が荒くなるなどの症状を示して、ジェッダ市内の医院で診察を受けた。同医院では病気を特定できなかったが、エジプトのウイルス学者であるアリ・モハメッド・ザキ(Ali Mohamed Zaki)が患者の肺から摘出したサンプルを検査した結果、今まで見たことのないコロナウイルスであることが判明した。 ザキ氏はこのウイルスをオランダのエラスムス大学医学部付属医療センターのウイルス学者であるロン・フーチェ(Ron Fouchier)に提供して見解を求めたが、フーチェ氏は当該ウイルスをカナダのNMLに回して分析を依頼した。これはNMLが長年にわたってコロナウイルスの検査サービスを展開していたからであった』、「邱香果」は確かに世界的な「ウイルス学者」のようだ。
・『昨年起きたウイルス・スパイ密輸事件  2019年7月14日、カナダのメディアは「7月5日に中国出身の著名なウイルス学者である邱香果(Dr. Xiangguo Qiu)とその夫で研究者の成克定(Keding Chang)および中国人留学生1名が王立カナダ騎馬警察(カナダの国家警察)によって、規約違反(policy breach)の疑いでNMLから連行された」と報じた。 2018年12月1日に中国企業「華為技術(ファーウェイ)」の副会長で最高財務責任者(CFO)の孟晩舟は対イラン経済制裁違反の容疑で、米国の要請を受けたカナダ当局によって逮捕されたが、孟晩舟に続く邱香果の逮捕はカナダと中国の外交関係に影響を及ぼす可能性が否定できないとメディアは大きく報じた。 本件に関してカナダのメディアが報じた内容を整理すると、以下の通りになる。 (a) 2019年3月31日、NMLの科学者がカナダ航空会社「エア・カナダ(Air Canada)」の航空機でエボラウイルス、ヘニパウイルス(注:コウモリ由来のウイルスで人に感染する)などが入った貨物を秘密裏に中国・北京市宛に送付した。 (b)2019年5月24日、カナダ政府「保健省」から上記貨物に関する通報を受けたマニトバ州警察当局が、邱香果と夫の成克定に対し捜査を開始した。 (c)上述した7月5日の連行劇を踏まえて、王立カナダ騎馬警察はNMLの職員に対して、「邱香果夫婦はNMLを一定期間離れて休暇を取る」と通告し、同僚たちに彼らと連絡を取らないように警告を与えた。一方、匿名のNML職員によれば、NMLは邱香果夫婦と中国人留学生1名に対し、BSL-4実験室への通行証を取り消した。これより早く、NMLのコンピューター技術者が邱香果の事務室へ入り、彼女のコンピューターを交換した。また、邱香果は定期的に訪問していた中国への旅行日程を取り消した。 (d)この後、NBLは邱香果夫婦を解雇した模様だが、邱香果夫婦および中国人留学生1名が「連行」後にどうなったのかは何も報道がない。「逮捕」というのも一部のメディアが報じたものであり、実際に逮捕されているのか、取調べを受けているのか不明である。なお、定期的に訪中していた際に、邱香果が度々武漢NBLを訪問していたことは間違いのない事実である。 王立カナダ騎馬警察が邱香果夫婦と中国人留学生1名をNMLから連行した表向きの容疑は「規約違反」となっているが、実際は感染力が強く、致死率の高いウイルスや病原体などを中国へ密輸した容疑であり、彼ら3人は中国のためにスパイ行為を働いていたと考えられる。なお、上述したサウジアラビアの男子から採取されて、オランダ経由でNMLに送られて来たコロナウイルスも、邱香果夫婦によって中国へ密輸されたウイルス類の中に含まれた可能性は否定できない』、中国側の狙いは、生物兵器の開発にあるのかも知れないが、それにしても、何故、「邱香果」ともあろう超一流の学者が、密輸に関わったとは不思議だ。
・『人災としてのパンデミック  それではカナダから中国・北京市宛てに航空便で送付された危険な貨物はどこへ行ったのか。カナダ当局は危険な貨物の宛名を把握しているはずだが、この点については無言を貫いている。ただし、受領した貨物の危険性を考えれば、貨物の受領者は速やかに貨物を安全な場所へ送るはずである。 中国国内でこうした感染力が強く、致死率が高いウイルスや病原体などを収容する場所として考えられるのは、上述した武漢NBLと中国農業科学院ハルビン獣医研究所の2カ所しかないが、優先的に考えられるのは中国科学院傘下の武漢NBLであろう。 こう考えると、邱香果夫婦によってカナダNMLから盗まれた危険なウイルスや病原菌などは、北京市から武漢NBLへ送られ、厳重に保管すると同時に研究されていたものと思われる。 それが武漢NBL職員による何らかのミスによりコロナウイルスの一部が外部へ流出し、人から人への感染によって急速に拡大して武漢市全体をパニックに陥れ、武漢市を起点として中国の国内外へ感染を拡大していると考えれば何となく辻褄が合うように思える。 2002年11月から始まったSARS騒動の際も、ウイルスの元凶は広東人が“野味”の食材とするハクビシンだという説が流れ、相当多数のハクビシンが殺処分された。しかし、その後の調査でハクビシンの元凶説は否定され、ハクビシンの「潔白」が証明された。 今回の武漢肺炎でもタケネズミ、アナグマ、蛇などが元凶の容疑をかけられているが、”野味“料理は中国で古くから伝統的に食べられて来たもので、彼らが武漢肺炎を引き起こしたコロナウイルスの元凶とは思えないのである。 上述した仮説が正しいかどうかは永遠に解明されないと思うが、もしも人為的なミスにより新型コロナウイルスが武漢NBLのBSL-4実験室から外部へ流出したというのであれば、全世界の人々に大きな犠牲を払わせる極めて悲しい出来事ということができよう。 それにしても、中国政府の顔色をうかがい、新型コロナウイルスの感染拡大に対する「緊急事態」宣言を1月30日まで先送りした世界保健機構(WHO)の責任は重い。その最大の責任者は元エチオピア保健相のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長だが、出身国のエチオピアに対する中国の巨額援助がWHO事務局長としての判断を狂わせ、武漢肺炎の蔓延を助長するのであれば、早々に自ら事務局長の職を辞任すべきではないだろうか』、「出身国のエチオピアに対する中国の巨額援助がWHO事務局長としての判断を狂わせ」、「WHO事務局長」が中国に遠慮した理由が理解できた。中国政府の面子にかけて秘密を守らせるので、「上述した仮説が正しいかどうかは永遠に解明されないと思う」、というのは残念ながらその通りだろう。

第三に、2月6日付け東洋経済オンライン「「新型肺炎対策」が中国で大きく出遅れた事情 習近平総書記の責任論押さえ込みに躍起」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/328894
・『新型肺炎の震源地である湖北省武漢市が封鎖されてから10日後の2月2日。春節(旧正月)の長期休暇明けを待っていたかのように、浙江省温州市が新たに封鎖された。 「温州みかん」由来の土地とあって日本人にもなじみが深い。武漢と温州は900キロ近く離れているが、その街を封鎖せねばならないほど感染が広がっており、深刻な段階にあることがうかがえる。 武漢市当局が速やかに人から人への感染を認め、対策をとっていれば、ここまで感染は拡大しなかったという批判が中国の内外で高まっている』、「900キロ近く離れている」「温州市が新たに封鎖された」とは事態は深刻だ。
・『武漢市トップがテレビで「公開謝罪」  1月31日には国営中央テレビ(CCTV)に出演した武漢市のナンバーワン、共産党委員会書記である馬国強氏が、名物キャスターである白岩松氏の追及にさらされた。 マスクをつけて現れた馬氏は「もう少し早く厳しい措置をとっていれば、全国各地への影響も小さかったし、党中央や国務院(内閣)にここまで心配をかけずにすんだ」とひたすら謝罪。「習近平総書記、党中央が武漢の人民を忘れず、いつも心にかけ、愛してくださることこそ何にも勝る慰めだ」と結んだ。 地方政府が不手際をしでかした場合、行政のトップ(武漢市の場合は市長)が責任をとらされ、その上に立つ党書記は表に出てこないことが一般的だ。中国のすべてを指導する党は「全能無謬」の存在で、失敗はあってはならないからだろう。 馬氏は2018年に、世界2位の製鉄企業である宝武鋼鉄集団のトップから武漢市書記に転じた大物である。湖北省の党副書記も兼任している。彼が公開謝罪に追い込まれたのは、武漢市長による「問題発言」の影響が大きかったからと思われる。 武漢市の周先旺市長は1月27日、CCTVのインタビューで辞職する意向を示した。同時に「感染症に関する情報は法律上の手続きを経ないと公表できなかった」と述べたが、この言葉が、対策の遅れには中央政府の責任もあるという不満をこめたものだと受け止められたのだ。火の粉を党中央、すなわち習氏に飛ばすわけにはいかないので上司である馬氏が詰め腹を切らされたのだろう。 武漢市の隣に位置する黄岡市も同様に封鎖されているが、同市では予防対策に手抜かりがあったとして党幹部337人が処分を受けた。封鎖されている中で代わりの幹部がいるのだろうかと不安になるが、「現地の幹部に責任をとらせる」という中央の意思の表れとみられる』、「武漢市長による「問題発言」」、恐らく当初、市長が「中央政府」に相談しても、親身に相談に乗らなかった不満があったのだろう。
・『習氏との関係がすべてに優先する  武漢では、党書記がビジネス界出身の馬氏でなく、前任の陳一新氏であったら結果は違ったのではないかとの声があがっている。現在は司法・公安関係を統括する中央政法委員会の秘書長(事務局長)である陳氏は、習氏が浙江省書記であったときに政策ブレーンとして仕えた。 今も習側近の1人として知られ、彼の人脈があれば、中央との情報共有や政策の調整がずっとスムーズだったろうというのだ。これには、習氏とのつながりがすべてに優先する現在の中国の状況を映し出している。 2012年に共産党総書記になってから、習氏はあらゆる重要政策を自分が所管するようになった。重要政策を仕切るためのタスクフォース(領導小組)の組長は、前任の胡錦濤時代は複数の最高幹部に分散していたが、習氏は自ら主要なポストを独占した。 これが改革のスピードを上げると期待されたが、反面で習氏の判断を待たないと何も動かないシステムが出来上がってしまった。習氏との個人的パイプがある場合はスムーズに動くが、そうでないと何も動かない。武漢市で新型肺炎対策が遅れたのは、後者のケースだったとみられる。 では中央での新型肺炎対策が習氏の主導で進んでいるのかというと、少し様子が違う。全体の指揮をとるための「中央新型肺炎対策領導小組」が1月25日に成立したものの、組長はあらゆる権力を集中させてきた習氏でなく、なぜか李克強首相。武漢に現地視察に行ったのも李首相だった。 「新型肺炎対策領導小組」組長の李首相以下、メンバーは9人いる。そのうち3人が習氏の側近として知られる人物だ。丁薛祥・党総書記弁公室主任(習氏の上海市党書記時代の部下)、黄坤明・中央宣伝部長(同じく浙江省党書記時代の部下)、蔡奇・北京市党書記(同)である。 組長の李首相と、副組長の王滬寧氏の2人は共産党の最高指導部の一員である中央政治局常務委員。残りの7人も副首相クラスかそれ以上の高官という重量級の編成だ。メディア・言論統制の最高責任者である王氏がにらみをきかせ、公安部門のトップも加わる一方で、感染症の専門家や発生源である湖北省と関わりのある人物がいない。感染症封じ込めよりも、世論工作や治安の確保を優先している印象がぬぐえない』、「新型肺炎対策領導小組」に「感染症の専門家や発生源である湖北省と関わりのある人物がいない」、こんな段階になっても、政治を優先するとは救いがなさそうだ。
・『習氏は新型肺炎対策に不退転の決意  これはSARS(重症急性呼吸器症候群)が猛威を振るっていた2003年4月に、胡錦濤政権が編成したSARS対策チームのメンバーと比べるとはっきりわかる。このチームが発足する直前には情報隠蔽の責任をとらされて北京市長や衛生部長(大臣)が更迭された。新たに衛生部長を兼任した呉儀副首相を組長とし、残りの13人はそれ以下のランクのテクノクラートだった。その後のSARS退治で評価されたこのチームは極めて実務的なメンバー構成だったのだ。 中国批判の論調が鮮明な香港のアップルデイリー紙は、「習氏が自分で組長にならない、責任の所在があいまいなチームに地方政府の官僚を管理できるのか?呉儀氏が率いたチームにとても及ばないだろう」という識者のコメントを引用している。中国国内からも習氏の責任を問う声があがるが、徹底的に押さえ込まれている。 習氏は2月3日に党常務委員会を開き、これまでの対策の遅れに言及しつつ新型肺炎対策に不退転の決意を示した。一部では「初動対策の遅れを認めた」と報じられているが、中央の責任を明確に認めた言葉はなく、地方政府を引き締めるためのメッセージという印象が強い。これを報じた4日付の人民日報の1面は、新型肺炎との「人民戦争」を国民に呼びかける論説をセットで掲げている。 習氏は2022年に国家主席としての2期目の任期を終える。2018年の憲法改正によって国家主席の任期を撤廃した習氏には「3期目」もありうる。しかし、経済が減速しているなかで新型肺炎の流行を許したことで、必ずしも権力基盤が磐石ではなくなってきた。一極体制が機能不全に陥るリスクがある。 中国の世界経済における存在感は2003年と現在では比較にならない。統治機能の不全から新型肺炎対策が遅れるようなことがあれば、それは中国のみならず世界にとっても不幸としか言いようがない』、こんな有様では、「新型肺炎の流行」抑制は当面、期待できそうにない。日本はとりわけ大きな影響を被るにも拘らず、安倍政権の対応が付け焼刃的なのは残念でならない。
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安倍内閣の問題閣僚等(その11)(萩生田文科相、選挙ポスターめぐる金の不可解 公費負担の仕事受けた業者が選挙時に限り献金、案里議員認めた1億5000万円「安倍マネー」を原資に不正か、小田嶋氏:大臣の謝罪で得をしたのは誰?) [国内政治]

安倍内閣の問題閣僚等については、昨年11月8日に取上げた。今日は、(その11)(萩生田文科相、選挙ポスターめぐる金の不可解 公費負担の仕事受けた業者が選挙時に限り献金、案里議員認めた1億5000万円「安倍マネー」を原資に不正か、小田嶋氏:大臣の謝罪で得をしたのは誰?)である。

先ずは、Frontline Pressが1月15日付け東洋経済オンラインに掲載した「萩生田文科相、選挙ポスターめぐる金の不可解 公費負担の仕事受けた業者が選挙時に限り献金」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/323883
・『選挙の際に立候補者のポスター代金を公費負担する制度をめぐり、「候補者側からの請求金額が過大だ」「水増し請求ではないか」といった疑念がつきまとっている。そのため、地方選挙では住民監査請求が引きも切らない。 この問題に関連し、2017年の衆議院選挙で東京都から選出された現職議員37人(小選挙区と比例復活)の実態を調べたところ、萩生田光一・文部科学相(24区・自民党)は2014、2017年の衆院選において、ポスター印刷を契約した業者からほぼ同時期に政治献金を受けていたことがわかった。 選挙制度に詳しい専門家は「業者と候補者が事前に何かを話し合っていたら詐欺罪になりかねない」と指摘している』、「文部科学相」になろうとする人物がなんとみみっちいことをするのか、と驚かされた。
・『萩生田氏のポスター本業「飲食店経営」が受注  「選挙ポスター公費負担『100万円超』への大疑問」(2020年1月11日配信)で既報のとおり、2017年の東京都から選出されている現職議員37人のうち9人は、公費負担制度で認められた限度額いっぱいを請求している。1枚当たりの単価も印刷枚数も規定の上限だった。 取材記者グループ「フロントラインプレス」が公表資料や情報開示請求で得た公文書を分析したところ、萩生田氏は2014、2017年の選挙の際、地元八王子市内のA社とポスター印刷の契約を結んだ。A社のホームページには事業内容として「デザイン・印刷広告」と記されているものの、本業はパブなど9店舗を経営する飲食業だ。 ところが、A社は実際に印刷をしておらず、この2回の選挙とも、同じ八王子市内の印刷業者B社にポスター印刷を“下請け”発注した。公職選挙法の規定では、法定ポスターには印刷責任者名をポスター表面に記載する必要があり、2014年も2017年も萩生田氏のポスターにはB社の社名が記されている。 このB社は毎年のように萩生田氏側からパンフレットやビラ、講演会ポスターなどの印刷を請け負っている業者だ。では、なぜ、この2度の選挙において萩生田氏側はポスター印刷をB社に直接発注せず、わざわざA社を介する形を取ったのか。 公開資料などによると、2014年の選挙時、A社は萩生田氏と交わした契約に沿って、制度上限額の99.9%に当たる111万9936円を東京都選挙管理委員会に請求した。さらに、2017年には上限額の100%に当たる115万1920円を請求。選挙後にそれぞれの代金は選管からA社に支払われている。 一方、萩生田氏が代表を務める政治団体「自民党東京都第24選挙区支部」には、選挙のあった2014年と2017年に限って、A社からの政治献金があった。2014年は投票日12月14日の5日前の同9日に10万円。2017年は投票日10月22日の3日前に10万円。また、実際のポスター印刷を“下請け”したかたちのB社も2014年と2017年、投票日の前後に計20万円を同じ政党支部に寄付している。 実際にポスターを印刷しない業者が「候補者からポスター印刷を請け負った」として選管に代金を請求する、その業者が選挙とほぼ同時期に候補者側に政治献金する――。こうした行為は法に抵触しないのか。さらに言えば、このケースでは、政治献金は、外形的にはポスター印刷を受注したことの“見返り”にも見える。 総務省選挙課の担当者はこう言う。 「公選法の規定では、国または地方公共団体と請負契約を結んでいる『会社や法人』は、当該選挙に関して寄付ができません。一方、請負契約の相手が『候補者』ならば、献金先がその候補者の政治団体であっても寄付を制限する規定はありません。ただし、公選法以外にも刑法なども当然、適用されるので、そちらに違反するものなら捜査の対象になるでしょう」』、明らかに「公選法の規定」の不備だが、刑法などに触れる可能性があるようだ。「わざわざA社を介する形を取ったのか」、不思議だ。
・『印刷業者からの献金に問題は?議員側「適正に処理」  萩生田氏のケースについて、関係資料を確認できたのは、2017年と2014年の衆院選のみである。それより前の資料は情報公開請求の対象外であり、ポスター印刷を請け負った業者名も確認できない。 ただ、政治団体の経理書類(政治資金収支報告書)を見ると、2012年の衆院選投票日の4日前にA社は10万円を、B社は社長名で計8万円を投票日前後に萩生田氏の政治団体に献金していた。 また衆院選のなかった2010、2011、2013、2015、2016、2018年については、A社とB社は共に衆院選萩生田氏の政治団体に献金したとの記載はなかった。 選挙ポスターの発注とA・B両社からの政治献金について、萩生田氏の事務所はこう回答した。 「選挙運動費用につきましては、法令に従い適正に処理し、その収支を選挙運動費用収支報告書に記載しているところです。また、政治資金につきましても同様に、法令に従い適正に処理し、その収支を報告しているところです」』、少なくとも「2012年」からやっていたようだ。
・『専門家「結託していれば詐欺罪の可能性」  「政治資金オンブズマン」共同代表を務める神戸学院大学法学部の上脇博之教授はこう指摘する。 「仮に候補者と印刷業者が意図的に寄付分を上乗せした高い金額でポスター制作の契約を交わしていた場合は、詐欺罪に該当する可能性もあります。(発注者である)候補者に公金がキックバックのような形で還流していると見えるだけでも、政治的・道義的に問題がある。寄付を受け取るべきではなかったでしょう」 政治資金・選挙資金問題に詳しい日本大学法学部の岩井奉信教授も「一般論として」と前置きしたうえで、こう語った。「仮に候補者と業者が結託し、不当な金額を乗っけて選管に請求して受け取っていたとしたら、詐欺罪に当たる。そもそも、当選議員の中で、税金で賄われるポスター代に4倍も5倍もの開きがあること自体に問題がある。適正な価格はいくらなのか。そこが不透明なままだとしたら、今後も(水増し請求などの)疑いが生まれる余地を残します」』、「ポスター代」は実費ではなく、一律の金額を候補者に渡すことにすれば、こうした不正はなくなる筈だ。

次に、1月24日付け日刊ゲンダイ「案里議員認めた1億5000万円「安倍マネー」を原資に不正か」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/268073
・『安倍首相の「私物化」や「身内びいき」が、ここにも表れている。 昨年7月の参院選で、ウグイス嬢に法定上限の倍額の報酬を支払った公選法違反容疑で広島地検が捜査している河井案里参院議員と河井克行前法相の夫婦の問題で、新たな事実が判明した』、興味深そうだ。
・『夫婦一帯で選挙違反の傍証か  選挙直前、河井夫妻それぞれの政党支部に自民党本部から7500万円ずつ振り込まれていたのだ。わずか3カ月で計1億5000万円。同じ広島選挙区で立候補していた自民党の溝手前参院議員への支給は1500万円というから、ケタ違いの巨額な選挙資金で優遇されていた。 案里議員は23日、1億5000万円もらったことを認め、「違法ではありません」と居直ったが、自民党内からも「聞いたことがない異常な額だ」と驚く声が上がっている。 「河井夫妻『買収』原資は安倍マネー1億5千万円だった」と報じた週刊文春によると、自民党関係者が「肩入れは安倍首相の意向があってこそ」「首相の後ろ盾は絶大で、案里氏は党本部からの『安倍マネー』を存分に使うことができた」などと証言。カネの面だけではなく、少なくとも4人の安倍事務所秘書が広島に入って案里議員の選挙を手伝うなど、案里議員の選挙は安倍首相丸抱えだったという』、法外な「1億5千万円」の他に、「少なくとも4人の安倍事務所秘書が広島に入って案里議員の選挙を手伝う」、とはまさに「安倍首相丸抱え」だ。
・『不正を奨励するような異常な金額  それにしても、1億5000万円ものカネは何に使ったのか。ウグイス嬢の買収だけでは、とても使い切れそうにない。 政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏が言う。 「選挙運動で使える金額は公選法で上限が定められていますが、1億5000万円は法定選挙費用を大幅に上回る。公示前の政党活動費は含まれないとはいえ、党側が法定選挙費用を上回る資金を振り込んだのは、裏ガネ、買収などなんでもアリの不正選挙を奨励しているようなものです。また、夫の政党支部に7500万円が振り込まれたことにも注目しています。この時期、同じように巨額資金が振り込まれた衆院議員は他にいるのでしょうか。夫婦一体の選挙で、克行氏が不正に関与した傍証になると考えられる。たしかに、党本部から支部への資金交付に上限はないが、政党交付金の原資は税金です。それが特定の候補者に集中して投入され、違法選挙に使われたのなら、自民党の安倍総裁にも説明責任がある。桜を見る会と同様に、政治や選挙の私物化は目に余ります」 河井前法相の「任命責任」だけでは済ませられない問題だ』、公職選挙法違反で立件されるのも時間の問題だろうが、自民党内でもここまでの恣意的な選挙資金配分には異論が強まるだろう。

第三に、コラムニストの小田嶋 隆氏が昨年11月1日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「大臣の謝罪で得をしたのは誰?」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00042/?P=1
・『先週は体調不良のため、おやすみをいただいた。 今週も体調はたいして改善していない。でも、今回は書かないといけないと思っている。自分のためだけではない。この国の未来ために……と、別に恩に着せるつもりはないのだが、おおげさなことを言ってしまった。忘れてください。 萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言関連のニュースを眺めつつ、すでにうんざりしている人も少なくないことだろう。 なにしろ報道の量が多いし、その伝え方があまりにもカタにハマっている。そう思って大臣に同情を寄せている人もいるはずだ。 私自身、少なからずうんざりしている。 理由はいくつかある。 第一の理由は、萩生田発言をとらえて、自分が当欄に書くであろう原稿の内容が、あらかじめわかりきっているからだ。 いったいに、原稿を書く人間は退屈を嫌う。私も同じだ。自分が何を書くのかが、あらかじめ見えているタイプの原稿には、なるべくかかわりたくない。 できれば、脱稿するまで自分が何を書くのか見当がつかない原稿の方を書きたいと思っている。その方がずっと執筆意欲を刺激する。 むろん、書きながらあちこちに脱線するタイプのテキストは、そのまま失敗して終わるケースが少なくないのだが、それでも、書き手にとってはその種の扱いにくい原稿に取り組んでいる方がスリルを味わえることはたしかで、だから私は、この10年ほど、あえて自分ながら考えがまとまらないでいるネタをいじくりまわすことを選んでいたりする。 今回は違う。 書き始める前から、何を書くべきなのかが明瞭にわかっている。しかも、どうやって書き進めればよいのかについても手順が見えている。 つまり、執筆は手続きにすぎない。 となると、退屈してしまって、なかなか手をつけることができない。 おかげで、デッドラインが致死的な線に近づいてきている。逆に言えば、締め切りという物理的な圧力を借りないと書き始めることができなかったわけだ。 書くことがはっきりしている理由は、萩生田大臣の失言をめぐる論点が誰の目にも明白だからだ。 わざわざ自分が書くまでもないとさえ思う。誰だってわかっているはずじゃないか、と。 とはいえ、世間には、萩生田発言をめぐる明らかな論点をいまだにとらえきれていない人たちが依然として残っている。 今回はそういう人たちのために書く。 「なにをオダジマがわかりきったことを」と、そう思った人は、読み飛ばしていただいてかまわない。 そうでない人たち、たとえば安倍総理大臣閣下には、できれば熟読をお願いしたい。そして、萩生田発言の何が問題で、どうして人々があんなに憤っているのかについて、ぜひ考えてみてほしい』、「私は、この10年ほど、あえて自分ながら考えがまとまらないでいるネタをいじくりまわすことを選んでいたりする」、あえて困難な方を好むとは、コラムニストとはやはり常人とは違うようだ。
・『萩生田発言について書く前に、ほとんど同じ時期にメディアが取り上げた河野太郎防衛相による「雨男」発言に触れておく。 この二つの発言は相互に無関係なコメントでもあれば、意図にも効果にもほとんどまったく共通するところはないのだが、不幸なことに、ほぼ同じタイミングで「事件化」されたがために、一連の失言として扱われることとなった。 このこと(二つの別々の失言が「閣僚による相次ぐ失言」事案として一括処理されていること)は、事態を見えにくくしているばかりでなく、新聞読者やテレビ視聴者に不必要な腹部膨満感をもたらしている。 実にばかげた事態だと思う。 はじめから説明するのも面倒なので、以下、この2日ほどの間に投稿した自分のツイートを引用する。《河野防衛大臣の「雨男」発言を謝罪に追い込んだのは悪手だと思う。こんなゴミみたいなジョークの揚げ足を取っても、メディアの手柄にはならないし、野党の実績にもならない。ただただ政権側に「メディアの切り取りってウザいよね」という印象を広める絶好の宣伝機会を与えている。バカすぎる。午後6:38 ・ 2019年10月29日》 《河野防衛相の世にもくだらないジョークに鬼の首を取った的な反応を示した結果、同時期の萩生田文科相によるいわゆる「身の丈」発言への追及も同じ「揚げ足取り」と見られてしまっている。萩生田発言は「教育の機会均等」を全否定する深刻かつ重大な暴言だったのに、だ。午後6:47 ・ 2019年10月29日》 《考えの足りない調子ぶっこいた世襲のバカ大臣が、場違いなジョークをカマして赤っ恥をかいた案件と、文部科学行政全般に対して狂った予断を抱いている暴君志向のヤンキー大臣が、格差容認思想を露呈してみせた案件を一緒くたにしてはいけない。バカはバカ。悪は悪。きちんと分けて処理してほしい。午後6:55 ・ 2019年10月29日》 一連のツイートで私が言いたかったのは、単なる「口が滑った」カタチの失言に過ぎない河野防衛相のケースと、看過できない凶悪な本音を思わず露呈してしまった結果である萩生田文科相の暴言では、意味や重さが違うということだ。であるから、今回、これら二つの失言を「新任の大臣の不適切発言」という雑なタグにまとめて同一視して恥じなかったメディアの愚かさには心底から失望した。 河野大臣のスピーチについて申し上げるなら、たしかに、言葉の選び方において無神経だとは思う。 だが、それだけの話だ。「つまらないジョークだった」「センスがなかった」というツッコミも各方面から入っているし、私もたしかにその通りだとは思う。 だが、ジョークがスベった程度のことがいったい何の罪だというのだろうか。 ジョークはスベるものだ。 最高級に洗練されたジョークであっても、それが通じない聴衆の前ではスベることになっている』、「二つの失言を「新任の大臣の不適切発言」という雑なタグにまとめて同一視して恥じなかったメディアの愚かさには心底から失望した」、全く同感だ。悪質な「萩生田文科相の暴言」のインパクトを薄める狙いでは、と疑いたくもなる。
・『万人を爆笑させるジョークが原理的に存在し得ない以上、ジョークは必ずある局面においてスベるものなのであって、だとすれば、スベったことをとらえてジョークの発信者を断罪することは、野暮でしかない。 ばかばかしいにもほどがある。次に「不謹慎」という側面についてだが、たしかに、豪雨災害の当地に赴いた翌日に「雨男」というネタをカマしに行った大臣のチャレンジは、不謹慎と言われても仕方ないものだった。 しかし、では、不謹慎というのは、現職閣僚が記者の前で陳謝せねばならないほどの大罪なのだろうか。 それ以上に、あの場の大臣の不謹慎発言で、実際のところ、被災地の人間が本当に傷ついたのだろうか。 私は必ずしもそうは思わない。 どちらかといえば、記者が、例によって被害者の立場に立ったかのような語法で発言者を追い詰めにかかる常套手段を用いたに過ぎないように見える。 たしかに、河野防衛相のスピーチは適切でもなければ行き届いていたわけでもないし、面白くない上に厳粛でもなかった。 が、スピーチなどというものは、しょせんそんなものだ。 世界中が有意義で上品で目からウロコが落ちるようなスピーチだけで動いているわけでもあるまいし、たかが雨男程度のバカネタをどうして看過できないのだろうか。 本当のところを言うなら、河野大臣のスピーチより、先に引用した私のツイートの方が程度としてはずっとヒドい。何より失礼だし品がない。決めつけ方も一方的だし、表現に遠慮がなさすぎる。その私の罵詈雑言ツイートに比べれば、大臣のほんのちょっとスベったジョークの方がどれほどエレガントであることか、と、私は本心からそう思っている。 なのに、いちコラムニストの極悪卑劣な罵詈雑言はスルーされ、大臣のジョークは断罪される。 おどろくなかれ、「報道ステーション」は、この発言を伝えるにあたって、速報を打ってみせた。 大喜びで獲物に飛びつくサマが目に見えるようだ。 あんまりじゃないか。 新聞各紙も例によって 《河野太郎防衛相は28日、東京都内で開いた自身の政治資金パーティーで「私はよく地元で雨男と言われた。私が防衛相になってから既に台風は三つ」と発言した。災害派遣された自衛隊員らの苦労をねぎらう話の導入としての発言で、会場からは笑いも起こった。ただ相次いだ台風や大雨で多数の死者が出ただけに、発言は軽率だとの批判を浴びる可能性がある。─略─》てな調子で批判を煽りにかかった。 それにしても、「批判を浴びる可能性がある」「批判を呼びそうだ」という定番の記事文体は、新聞を読み慣れた人間の目には 「なあ、みんなで批判を浴びせようぜ」というふうにしか見えないはずなのだが、21世紀にもなって、あいも変わらずこんな書き方を採用していて、新聞社の中の人たちは、読者に見捨てられる可能性を多少とも考慮しないのだろうか』、メディアも表立って安倍政権批判が出来ないので、つまらない些事で、批判をした気になって自己満足に浸っているのだろうか。
・『でなくても、どうしてこういう見え透いた書き方の責任追及で仕事をしたつもりになれるのか、私にはそこのところがどうしてもわからない。 結果として、大臣に陳謝させることができたのだとして、いったい誰が得をするというのだ? 私の見るに、今回のケースでは、得をしたのはあきらかに政権側だ。 なぜというに、政府としては、河野防衛相がどうでもよい失言について潔く陳謝したことで、結果としてより深刻かつ重大な格差容認発言である萩生田文科相のケースの印象を薄めることに成功したからだ。 おそらく、河野大臣は大喜びで謝罪会見に臨んだはずだ。 実際、あの謝罪はたいした失点にならない。むしろ、素早い謝罪対応が得点になっている。 のみならず、 「あー、河野さんも重箱のスミばっかりつついているケツメドのちっちゃいメディアにあれこれいじめられて大変だよね」「野党ってこんなゴミみたいな追及しかできないわけ?」てな調子で、同情が集まる可能性さえ考えられる。 もちろん萩生田大臣も安堵しているはずだ。というのも、本来なら、自らの発言について、釈明と真意の説明を求められるはずのところを、撤回と謝罪という通り一遍の処置で逃げ切れたのは、同じ時期に弾除けになってくれる同僚の大臣がいてくれたおかげだからだ。 バカな話だ。 最後に、萩生田文科相の発言の悪質さについて説明しておく。 あれは、偶然の発言ではない。 テレビ出演の際の長尺の発言から一部を切り取った結果生じたニュアンスの変化による悪質さでもない。 萩生田文科相が、常々考えている自身の教育観をそのままテレビのカメラに向かって語って見せた、そのものズバリの格差容認発言そのものだ。 彼は、記事の中でこう言っている 「それを言ったら『あいつ予備校に通っていてずるいよな』というのと同じ」 そして、「裕福な家庭の子が回数受けてウオーミングアップできるみたいなことがもしかしたらあるのかもしれない」と、現状に経済的な格差による有利不利が存在していることを認めた上で、あらためて 「自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえれば」と述べている』、「萩生田文科相が、常々考えている自身の教育観をそのままテレビのカメラに向かって語って見せた、そのものズバリの格差容認発言そのものだ」、鋭い指摘で、その通りだ。
・『これは、どこをどう切り取ったところで、「すでに格差がある以上、これから導入する試験に格差があったところで大きな違いはない」 という格差容認論である点に違いはない。 いや、現実の世の中には、萩生田大臣と同じように、格差が実在することを認識することこそが「現実感覚」でありそれこそが「リアル」だと信じている人はたくさん(というか、日本人の半分以上は萩生田大臣に賛成でしょう)いる。それはわかっている。試験だったり入試だったりが、その格差を前提として実施されていることを「容認」している人間だって、決して少なくないはずだ。のみならず、これから導入される試験にしても、そりゃ当然富裕層に有利なものになるだろうさ、てな調子であらかじめあきらめている日本人も山ほどいるはずだ。 ただ、萩生田発言の問題点は、それを言ったのが、そこいらへんのスナックのカウンターに腰掛けているおっさんではなくて、文部科学行政のトップを担う役割の人間だったところにあるわけで、これはつまり、「軍隊なんだから兵隊が死ぬのは仕方ないよね」と言ったのが元帥閣下でしたみたいな、どうにもならない話であるわけです。 しかも、この話に救いがないのは、萩生田大臣の口吻の裏にうかがえる「格差容認」および「入試関連業務民営化」ならびに「大学入試基準の非学問化」あるいは「大学における研究ならびに学術教育の軽視と産業戦士育成過程の強化」といった諸要素が、そのまま現政権の主要メンバーがかねて抱いている共通の理念そのものだからだ。 いつだったかの当欄でご紹介した安倍首相によるスピーチを再掲しておく。この演説は、いまでも首相官邸のホームページに掲載されている。興味のある向きは全文を熟読してほしい。5年前の言葉だからこそ、いまになって気づかされる部分がいくつかあるはずだ。 平成26年5月6日 OECD閣僚理事会 安倍内閣総理大臣基調演説 平成26年の5月に開催されたOECDの閣僚理事会の席で、世界中のVIPを前に安倍首相は「ある調査では、大学の特許出願のうち、アメリカでは15%程度が新たなビジネスにつながっていますが、日本では0.5%程度しかない。 日本では、みんな横並び、単線型の教育ばかりを行ってきました。小学校6年、中学校3年、高校3年の後、理系学生の半分以上が、工学部の研究室に入る。こればかりを繰り返してきたのです。 しかし、そうしたモノカルチャー型の高等教育では、斬新な発想は生まれません。 だからこそ、私は、教育改革を進めています。学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています。」と述べている。 「学術研究を深めるのではなく」と、彼は言い、さらに「もっと実践的な職業教育を」と言ってしまっている。 もしかして、現政権の中枢にある人々は、「学問」とか「学術教育」全般に対して憎悪に似た感情を持っているのかもしれない。 そういうふうに考えないと説明がつかない。 体調が良くないので、オチを付けずに終わることにする。 私は特段に学問のサイドに立っている人間ではないのだが、それでも、ここまで教育やら大学やらをコケにされるとやはり気持ちが良くない。 ではまた来週』、「現政権の中枢にある人々は、「学問」とか「学術教育」全般に対して憎悪に似た感情を持っているのかもしれない」、その通りで、嘆かわしいことだ。安倍政権の「高等教育」改革全般について、体系的な批判記事が見つかれば、紹介するつもりである。
タグ:10万円 東洋経済オンライン 週刊文春 日刊ゲンダイ 日経ビジネスオンライン 安倍内閣の問題閣僚等 小田嶋 隆 (その11)(萩生田文科相、選挙ポスターめぐる金の不可解 公費負担の仕事受けた業者が選挙時に限り献金、案里議員認めた1億5000万円「安倍マネー」を原資に不正か、小田嶋氏:大臣の謝罪で得をしたのは誰?) Frontline Press 「萩生田文科相、選挙ポスターめぐる金の不可解 公費負担の仕事受けた業者が選挙時に限り献金」 ポスター代金を公費負担する制度 萩生田氏のポスター本業「飲食店経営」が受注 2014、2017年の選挙の際、地元八王子市内のA社とポスター印刷の契約 本業はパブなど9店舗を経営する飲食業 この2回の選挙とも、同じ八王子市内の印刷業者B社にポスター印刷を“下請け”発注 選挙のあった2014年と2017年に限って、A社からの政治献金 B社も2014年と2017年、投票日の前後に計20万円を同じ政党支部に寄付 政治献金は、外形的にはポスター印刷を受注したことの“見返り” 印刷業者からの献金に問題は?議員側「適正に処理」 専門家「結託していれば詐欺罪の可能性」 「案里議員認めた1億5000万円「安倍マネー」を原資に不正か」 安倍首相の「私物化」や「身内びいき」 夫婦一帯で選挙違反の傍証か 挙直前、河井夫妻それぞれの政党支部に自民党本部から7500万円ずつ振り込まれていた 同じ広島選挙区で立候補していた自民党の溝手前参院議員への支給は1500万円というから、ケタ違いの巨額な選挙資金で優遇 自民党内からも「聞いたことがない異常な額だ」と驚く声 河井夫妻『買収』原資は安倍マネー1億5千万円だった 自民党関係者が「肩入れは安倍首相の意向があってこそ」 「首相の後ろ盾は絶大で、案里氏は党本部からの『安倍マネー』を存分に使うことができた」 少なくとも4人の安倍事務所秘書が広島に入って案里議員の選挙を手伝う 案里議員の選挙は安倍首相丸抱えだった 不正を奨励するような異常な金額 1億5000万円は法定選挙費用を大幅に上回る 公示前の政党活動費は含まれないとはいえ、党側が法定選挙費用を上回る資金を振り込んだのは、裏ガネ、買収などなんでもアリの不正選挙を奨励しているようなもの 「大臣の謝罪で得をしたのは誰?」 萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言 河野太郎防衛相による「雨男」発言 ほぼ同じタイミングで「事件化」されたがために、一連の失言として扱われることとなった。 このこと(二つの別々の失言が「閣僚による相次ぐ失言」事案として一括処理されていること)は、事態を見えにくくしているばかりでなく、新聞読者やテレビ視聴者に不必要な腹部膨満感をもたらしている 二つの失言を「新任の大臣の不適切発言」という雑なタグにまとめて同一視して恥じなかったメディアの愚かさには心底から失望した 今回のケースでは、得をしたのはあきらかに政権側だ 萩生田大臣も安堵しているはずだ。というのも、本来なら、自らの発言について、釈明と真意の説明を求められるはずのところを、撤回と謝罪という通り一遍の処置で逃げ切れたのは、同じ時期に弾除けになってくれる同僚の大臣がいてくれたおかげだからだ 萩生田文科相が、常々考えている自身の教育観をそのままテレビのカメラに向かって語って見せた、そのものズバリの格差容認発言そのものだ 萩生田大臣の口吻の裏にうかがえる「格差容認」および「入試関連業務民営化」ならびに「大学入試基準の非学問化」あるいは「大学における研究ならびに学術教育の軽視と産業戦士育成過程の強化」といった諸要素が、そのまま現政権の主要メンバーがかねて抱いている共通の理念そのものだ OECD閣僚理事会 安倍内閣総理大臣基調演説 「学術研究を深めるのではなく」と、彼は言い、さらに「もっと実践的な職業教育を」と言ってしまっている 現政権の中枢にある人々は、「学問」とか「学術教育」全般に対して憎悪に似た感情を持っているのかもしれない
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日本の政治情勢(その41)(「トンデモ閣議」乱発の背景に首相のメンツや閣僚失態隠し、政権に近い黒川東京高検検事長 "異例"の定年延長の背景は、小田嶋氏:「募集」と「募る」の違いはどうでもいい) [国内政治]

日本の政治情勢については、2月1日に取上げたばかりであるが、今日は、(その41)(「トンデモ閣議」乱発の背景に首相のメンツや閣僚失態隠し、政権に近い黒川東京高検検事長 "異例"の定年延長の背景は、小田嶋氏:「募集」と「募る」の違いはどうでもいい)を取上げよう。

先ずは、1月31日付けNEWSポストセブン「「トンデモ閣議」乱発の背景に首相のメンツや閣僚失態隠し」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20200131_1534048.html
・『安倍長期政権は国会の議決がいらない、いわば“安倍勅令”ともいえる「閣議決定」を乱発して行政府の役人たちを従わせ、政権の不祥事にフタをして思うままに政治を進めようとしている。 例えば、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」に反社会的勢力とみられる人物が出席していた問題では、「定義が困難」というという理屈で反社対策に力を入れる政府方針に逆行する前代未聞の閣議決定をした。 また、小泉進次郎・環境相の国際会議での意味不明な「セクシー」発言についても、〈正確な訳出は困難であるが、例えば、ロングマン英和辞典(初版)によれば、「(考え方が)魅力的な」といった意味がある〉(2019年10月15日)といった政府の正式な解釈まで閣議決定された。 いずれも、野党の質問主意書に対する答弁書として閣議決定され、安倍首相名で国会(衆院議長)に提出されたものだが、答弁書の文言を作成するのは官邸や内閣府の事務方で、内容に応じて所管省庁が下書きをするという。 役人が答弁書を下書きする以上、絶対に首相に恥をかかせるわけにはいかない。とくに安倍首相は論戦で負けるのも、謝るのも大嫌いだ。 安倍首相はかつて党首討論で、志位和夫・日本共産党委員長からポツダム宣言の条文について質問され、「まだその部分をつまびらかに読んでおりません」と答弁したことがある。日頃、目の敵にしている共産党に背中を見せたことがよほど悔しかったのだろう。質問主意書で質されると、こんな閣議決定が。 〈安倍内閣総理大臣は、ポツダム宣言については、当然、読んでいる〉 恥をかかせてはならないのは大臣も同じだ。島尻安伊子・元沖縄北方相が記者会見で北方領土の一つ、「歯舞(はぼまい)」を「えー、何だっけ」と読めなかったことがある。だが、閣議決定では、〈同大臣が「歯舞」の読み方を知らないという事実はない〉と、いつの間にか読めることにされた。 こうしたやり方で、首相や大臣たちの失言は、訂正されないまま「閣議決定」でどんどん正当化されている』、「失言」隠しのために「閣議決定」を乱発するとは悪辣だ。「“安倍勅令”」とはまさに言い得て妙だ。
・『安倍首相は安保法制が審議された参院予算委員会(2015年)で、自衛隊を「わが軍」と呼んだ。口が滑ったのだろうが、「自衛隊は軍隊ではない」とする従来の政府解釈との矛盾が指摘されると、国会答弁を訂正するのではなく、こんな答弁書を閣議決定している。 〈自衛隊は、憲法上自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものであると考えているが、(中略)国際法上、一般的には、軍隊として取り扱われるものと考えられる〉 こうして自衛隊は“晴れて”軍隊となった。 麻生太郎・副総理兼財務相の失言も閣議決定で“救済”された。2018年に財務省で発覚した福田淳一・事務次官(当時)の女性記者へのセクハラ問題について、麻生氏は「セクハラ罪っていう罪はない」と庇って批判を浴びた。政府はこの発言についてどう閣議決定したか。 〈セクシュアル・ハラスメントが、刑法第百七十六条(強制わいせつ)等の刑罰法令に該当する場合には、犯罪が成立し得るが、その場合に成立する罪は、(中略)強制わいせつ等の罪であり、お尋ねの「セクハラ罪」ではない〉 麻生氏は“間違ったことは言っていない”ことになる。 閣議決定で日本語の言葉の定義を書き換えたこともある。 国会が紛糾した2017年の「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法案)の審議では、安倍首相が共謀罪の対象について「そもそも犯罪を犯すことを目的としている集団でなければならない。これが(過去の法案と)全然違う」と答弁。野党から「オウム真理教はそもそもは宗教法人だから対象外か」と問われると、首相は「『初めから』という理解しかないと思っているかもしれないが、辞書で念のために調べたら『そもそも』には『基本的に』という意味もある」と主張した』、国会での答弁が、「閣議決定」により簡単に塗り変えられるのであれば、国会審議の意味は大きく損なわれる。
・『しかし、どの辞書にもそんな意味は載っていないと質問主意書で指摘されると、政府は閣議決定で次のように定義したのである。 〈「大辞林(第三版)」には、「そもそも」について、「(物事の)最初。起こり。どだい。」等と記述され、また、この「どだい」について、「物事の基礎。もとい。基本。」等と記述されていると承知している〉 政府は、そもそも→どだい→基本という三段論法で、安倍首相の言う通り、「そもそも」という言葉には「基本的に」という意味があるという日本語の新解釈を閣議決定した。 いかに安倍首相のメンツや失態隠しのためにいい加減な「閣議決定」が乱発され、役人たちの膨大な労力が使われているかがわかる』、「役人たちの膨大な労力が使われている」のは確かだ。「閣議決定」によるのではなく、本来の「訂正」で修正すべきだろう。

次に、2月4日付け東京新聞「政権に近い黒川東京高検検事長 "異例"の定年延長の背景は」を紹介しよう。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/202002/CK2020020402100028.html?ref=rank
・『黒川弘務東京高検検事長(62)の定年が半年間延長された問題が波紋を広げている。検察庁法は検察官の定年を六十三歳、検事総長は六十五歳と規定。首相官邸に近いとされる検察ナンバー2の黒川氏を検事総長に据えようと、政府が異例の措置を取ったとの見方が出ている。ただ、この手法が認められるなら何でも許されることになり、各方面から疑問の声が上がっている。 「検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、引き続き勤務させることを決定した」。黒川氏の定年延長を決めた先月三十一日の閣議終了後、森雅子法相は記者会見でそう説明した。 黒川氏は今月八日で六十三歳になる。このため、四月に開かれる国際会議終了後に退くとの見方がある稲田伸夫検事総長(63)の後任には、七月で六十三歳を迎える林真琴名古屋高検検事長(62)が就くとの見方があった。 黒川氏は捜査現場よりも法務省勤務が長く、政治家との付き合いが多かったことから、法務・検察の中でも政界と関係が深いといわれる。二〇一六年九月に官房長から法務次官に就任した際は、地方の高検検事長に転出する案が、官邸の意向でひっくり返ったとの臆測が飛び交った』、2月1日付けのこのブログで、「IR汚職捜査、安倍首相・菅官房長官の権力バランスに大きな影響」を紹介したが、これはもともと黒川氏が定年退官するとの観測で書かれたものだった。しかし、こうした観測が異例中の異例の「閣議決定」により覆されたので、訂正する意味も込めて紹介した次第である。
・『今回の定年延長については「日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)の事件の指揮に当たらせるのでは」とみる向きはあるものの、当の本人はレバノンに逃亡し、これ以上の捜査は難しい。黒川氏がどれだけ優秀だとしても、現職に据え続けなければならない理由は考えられない。 この問題は三日の衆院予算委員会で取り上げられたほか、立憲民主党の枝野幸男代表は二日にさいたま市で行った講演で「(検察官の定年に)国家公務員法の規定を使うのは違法、脱法行為」と主張。元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士も「検察官は刑事訴訟法で強大な権力を与えられている。検察庁法に従うべきで、法令違反の疑いがある」と説く。 一方、元経産官僚の古賀茂明氏は「政界捜査に当たる検察官は、他の官僚と違って政治の方を向いて仕事をしてはいけない」としつつ、「政権が検察のトップを決める力を持っていると示した。頑張って捜査をしてもトップにつぶされるとなれば、検察全体に士気の低下をもたらす。政権中枢に迫るような捜査はかなり難しくなるだろう」と懸念する。 検察はこれまで、数々の国会議員による事件を手掛けてきた。古くはロッキード事件で田中角栄元首相、巨額脱税事件で金丸信・元自民党副総裁を逮捕するなどしている。最近もカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、衆院議員秋元司被告(48)=収賄罪で起訴=らを摘発し、政界へ切り込む姿勢は堅持している。 また、「桜を見る会」を巡っては、背任容疑で安倍晋三首相の告発状が東京地検に提出されている。その検察組織のトップ人事に介入しようとするような政権のやり方は許されるのか。 検察に詳しいジャーナリストの伊藤博敏氏は「公選法違反疑惑が浮上している菅原一秀前経産相、河井案里参院議員と克行前法相夫妻の問題に加え、秋元容疑者の逮捕で中枢に捜査が伸びるのではないかという恐れからやったのだろう。政権の傲慢さを改めて国民に知らせる結果になった」と断じた』、検察人事への見え見えの介入により、検察による「桜を見る会」やIR捜査などに大きな影響を及ぼす懸念が強まりそうだ。

第三に、コラムニストの小田嶋 隆氏が1月31日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「「募集」と「募る」の違いはどうでもいい」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00055/
・『書斎として使っている部屋のPCの横に、小型(19インチ)のテレビ受像機を置いている。 仕事をはじめる気持ちになれない時、私は、このテレビをつけておくことが多い。もっとも、音声はミュート(消音)したままだ。おそらく、画面の中を右に左に動いている人間たちを眺めることが、私にとって、窓を開けて空気を入れ替えることの代償になっているのだと思う。あまり健康的なテレビの使い方ではない。本当は外に出て、自分の足で町を歩くべきなのだ。それはわかっている。しかし、いつもわかっている通りにできるわけではない。 この2日ほどは、音量を上げて国会中継を視聴していた。 しばらくぶりに見る国会は、頽廃している。 私は、こう見えて、他人を軽蔑することに慣れていない。誰かを軽蔑せねばならない事態に直面すると、いつも大変に疲労する。そんなわけで、私は、現在、ひどく疲れている。 国会でかわされているやりとりが、日本国民の言語運用の水準をそのまま代表するものだと考えているわけではないのだが、それでも、現実に目の前で展開されている対話の空疎さには、やはり唖然とさせられる。 あのやりとりを聞いていると、自分たちの暮らしているこの世界が、足元から崩れて行く感覚に襲われる。学生の頃に連れて行かれた出来の悪い前衛芝居を見ていた時の気分に近い。中途半端に無意味な脚本は、観客を解釈の地獄にひきずりこむ。国会の質疑を見ているわれわれも、たぶん、同じタイプの地獄の中にいるのだと思う。 今回は、わたくしがこの2日間、国会中継をしっかりと視聴したなかにおいて、印象に残ったところを、いわば、書いてみようかと思っている、ところで、ございます。 とは言ってみたものの、私が国会を見たのは2日間の通算でたったの3時間ほどだ。 それ以上は無理だった。 わがことながらなさけない始末だ。 ただ、3時間で視聴から撤退せねばならなかったことは、自覚の中では、美意識の問題だと思っている。 「あ? 美意識?」と思った向きもあるはずだ。 「何を利口ぶっているんだか(笑)」「還暦を過ぎたじいさんが繊細ぶるのもたいがいにしてほしいもんだぜ」 うん。そう言いたくなる気持ちはわかる。 でも、私は、繊細ぶっているのでもなければ、被害者ポジションにあぐらをかいてぬくぬくしているのでもない。現実に、私は、国会中継を視聴しはじめてほんの1時間ほどで、すっかり気勢をそがれてしまったのだ。 大げさに聞こえるかもしれないが、このままこんな不毛な言葉のやりとりを聞き続けていたら、自分の言語感覚が二度と正常さを取り戻せなくなると、そう感じて、護身のためにテレビの電源を落としたのである。 良心的な板前が腐った魚をさばくミッションに耐えられないのと同じことで、言葉を扱う仕事に従事している私のような人間は、国会でやりとりされている腐敗した言葉を我慢することができない』、「護身のためにテレビの電源を落とした」理由が理解できた。
・『あるいは、国会の言葉に耐えられないのは、なにもプロの文筆家に限った話ではないのかもしれない。 自分の中に新しい言葉を取り入れる作業に熱中している思春期の子供たちや、人と人との間に架橋する言葉の作用に敏感な青年たちも、私と同じように、あの空疎な言葉のやりとりに身の危険を感じたはずだ。 というよりも、あそこで使われているねじ曲がった言葉に対処できるのは、適応にともなって感覚を麻痺させることに成功した不死身の鈍感エリートだけなのかもしれない。 テレビを視聴した3時間ほどの間に、私は 「さきほど申し上げました通り」「これは、何回もお答えしているので繰り返しになるのですが」「さきほどらいお答えしております通り」「同じ質問ですので、同じお答えになって恐縮なんですが」「繰り返しになりますが、桜を見る会の個々の招待者につきましては、個人に関する情報であるため、従来から回答を控えさせていただいているところです」という、ほとんどまったく同じ意味のバカバカしい接頭辞を100回以上聞かされて、なによりもその言葉の無意味さとくだくだしさに気持ちをひしがれなければならなかった。 おそらく、安倍総理大臣ならびに菅官房長官が、質疑の冒頭の部分で 「さきほどらい申し上げております通り」というこのセリフを必ず申し述べてから回答に入るお約束は 「無能極まりない野党の議員たちが、毎度毎度代わり映えのしない質問を飽きもせずに繰り返しているから、自分たちも同じ無意味な回答をリピートせざるを得ないのである」ということを、テレビを通じて国会中継を見ている視聴者に印象づけるべく採用している、霞が関官僚発案によるあざといルーティンだと思うのだが、それ以上に、もしかしたら、彼らは、国会の質疑、ひいては、国権の最高機関たる国会の存在価値それ自体を貶める効果を狙っているのかもしれない。 というのも、安定多数の上にあぐらをかいている与党の政治家にとって、国会での論戦で勝敗を決する道を選ぶよりは、国会審議そのものを無効化する選択肢を取る方が簡単でもあれば有利でもあるからだ。 国会での与野党の攻防にうんざりした国民が、政治への真摯な関心を喪失すれば、それだけ多数派の立場は安定する。なんとなれば、不毛な言葉のやりとりに食傷するのは、どちらかといえば知的活性の高い国民であるはずで、だとすれば、それらのめんどうくさい批判者を政治の場から遠ざけるためには、真面目な政策論争を展開するよりは、バカな田舎芝居を繰り広げておくほうが有効だからだ。 もう一つ目についたのは、「その質問は事前通告に無いので、お答えは差し控えさせていただきます」という意味の言葉で締めくくられる定番のやりとりだった。 この言葉を口から発する時、安倍総理は、明らかに昂然と、事前通告の無い質問を繰り出してきた野党議員をたしなめにかかっている』、「めんどうくさい批判者を政治の場から遠ざけるためには、真面目な政策論争を展開するよりは、バカな田舎芝居を繰り広げておくほうが有効だからだ」、鋭く本質を突いた指摘だ。
・『ところが、調べてみると、事前通告云々は、与野党の国対委員長が、議事進行の円滑化のために申し合わせた「紳士協定」にすぎない。 つまり、仮に野党議員が通告の範囲から外れた質問を投げかけたのだとしても、それは「ルール違反」ではない。ましてや「反則」でもなければ法律違反でもない。 回答を拒絶する側の議員が威張ってよいなりゆきではない。質問者を断罪できる筋合いの話でもない。 「いまのご質問は、通告の中になかったので、即座にお答えする十分な準備ができていません。申し訳ありませんが、この場での回答はご容赦ください」と、むしろ、せめて形式上だけでもアタマを下げておくのが穏当な態度だろう。 質疑が進む中で、「いまのお答えは、これこれこういう意味ですか?」「あなたがそうお答えになるのであれば、では、こういう場合はどうお答えになりますか?」という補足的な質問が必要になる場面はいくらでもある。 それらに対して、回答側が居丈高に「通告にないのでお答えしかねる」と言い放っていたのでは議論が議論にならない。 じっさい、国会での質疑に先立って、質問側が回答側に質問内容を事前通告する慣習は、議事進行を円滑化している一方で、本来なら自由闊達な議論の場であるはずの国会を、「事前に準備した台本」に沿った「官僚作文朗読劇場」ないしは「国会芝居」に堕落させている元凶でもある。 おそらく、わが国の国会で、こんななさけない慣習が定着しているのは、議事進行の円滑化とは別に、つまるところ、与野党の国会議員が人前で恥をかきたくないからなのではなかろうか。 無論、行政の細部に関する詳細なデータは、事前に官僚が準備しておかなければ提示できないのだろう。その意味では、質問を投げかける側の議員が、あらかじめ内容を伝えておくことは、ある部分、必要悪として、不可欠な手続きであるのかもしれない。とはいえ、議員同士の対論の中で、アドリブの質問が出ることは当然あるはずだし、その種の予定外の言葉に、臨機応変な対応ができない人間は、そもそも政治家を志すべきではない。 ともあれ、事前に準備した原稿から一歩も外に出ようとしない態度を、誇らしげにアピールする政治家は、何かを見失っているのだと思う。 さらに、与党の面々は、言葉の定義を破壊しにかかっている。 ちょっと前に、菅官房長官が「『反社会的勢力』という言葉の定義が定まっていないので、この言葉に関連するご質問にはお答えできない」という旨の答弁したことがあったが、結局、あの答弁書を読み上げてからこっち、菅さんは、何かを諦めてしまったように見える。 要するに、あれは、何より菅さん本人の心に大きなダメージをもたらしたということなのだと思う。 なにしろ、質問を無効化するために、質問者が使っている単語の定義を無効化したのだから、これは驚天動地の答弁だったと評価するほかにない』、海外ではマネーロンダリング、テロ資金供与、贈収賄などに対する金融機関の取引への規制が強化される流れにあることと、如何に整合性を取ってゆくのだろうか。国内政治の観点からの「定義無効化」は許されない筈だ。
・『加えて、政府は、野党側が「桜を見る会」に招待されていたとして、その招待の真意および根拠を求める質問を投げかけていた「反社会的勢力」について 「あらかじめ限定的、統一的に定義するのは困難」との閣議決定をしている。 思うに、あれ以来、官邸の機能の半分ほどは壊死している。 今回はさらにひどいことが起こった。 28日の衆院予算委員会で、共産党の宮本徹議員が文書を示しながら発した、 「この文書は見たことがなくても、募集していることはいつから知っていたのか」という質問に対して、安倍首相は、「私は、幅広く募っているという認識だった。募集しているという認識ではなかった」と回答したのである。 いったいどこの世界のナンセンスコントだろうか。 つまり、首相は、「募ってはいたが、募集はしていない」と述べたことになる。 この珍無類な回答を聞かされた宮本議員は、さすがに 「私は日本語を48年間使ってきたが、『募る』というのは『募集する』というのと同じですよ。募集の『募』は『募る』っていう字なんですよ」と強い口調で首相に食い下がった。 しかしながら、安倍さんは、少しも動じることなく、 「ふさわしい方ということでいわば募っているという認識があった。例えば新聞などに広告を出して『どうぞ』ということではないんだろう」というほとんど意味不明の説明を開陳した。 なんという肝の太さだろうか。 あるいは、人並み外れて肝が据わっているのでなかったのだとすると、著しくアタマが悪いのか、あきれるほど神経が鈍いのかのどちらかということになるわけなのだが、あるいはそれらのすべてなのかもしれない。私にはわからない。どっちにしても私の持ち歩いているちっぽけな物差しで測れる人物ではなさそうだ』、「募ってはいたが、募集はしていない」、国会で首相が答弁したとはまさに驚天動地の出来事だ。しかも、質問をした「宮本議員」が「食い下がっ」ても、「ほとんど意味不明の説明を開陳した」、開いた口が塞がらない。
・『さて、話題をもとに戻す。 思うにこれは、「募集」と「募る」という2つの言葉をめぐる定義の問題ではない。 同じ意味の言葉を二通りに解釈してみせただけのことなら、朝日新聞が見出しで形容したように 「珍答弁」てなことで笑って退けてもよいのかもしれない。しかし、ここには、もっと深刻な詐術が隠されている。 というのも、本来なら首相は、「え? 招待客って、募ったり募集したりできるの?」という、より本質的かつ素朴な質問に答えなければならなかったはずだからだ。 詳しく説明する。 どういうことなのかというと、「募る」という言葉を使うのであれ、「募集する」と表現するのであれ、その意味するところは、「招待」「選定」「資格審査」とは絶対的に相容れないということだ。 まず、前提としてはっきりしているのは、「桜を見る会」への出席者が、最終的に、政府なり内閣府なり首相なりの責任において、「選定」され、「招待」された人物であるということだ。 このことはつまり「選ばれ」「選定され」「評価検討の上、ふさわしい人物として招待され」た名誉ある「招待客」は、断じて「広く募」ったり「募集」したりした「チケット購入者」とは別枠の人間だということだ。 というのも、募集に応じて応募した人間はどこからどう見ても「選ばれた人」ではないからで、とすると、「安倍事務所の募集に応募して会に参加した後援会のメンバー」は、言葉の正確な意味において絶対に「招待客」ではあり得ないからだ。 当たり前の話だが、「招待客を募集する」という言い方自体が、そもそも矛盾している。 「殴ってください」と申し出た人間が被害者とは呼べないのと同じことだ。あるいは、入学試験を実施していないにもかかわらず合格通知を配布している学校がインチキ大学と言われても仕方がないのと同じ理路において、功労者を選定する作業を省略して単に特定の政治家の支持者や取り巻きを集めた形で開催されている功労者慰安イベントは、どこからどう見ても茶番なのである。 この先、果たして国会が正常化する日がやってくるものなのか、正直な話、確信が持てない。 その一方で、こんなバカな状態がそんなに何年も長く続いてたまるものか、とも思っている。 でもまあ、あと10年続くようなら、ピリオドを打つのは戦争だけなのだろうとも思っている』、「「安倍事務所の募集に応募して会に参加した後援会のメンバー」は、言葉の正確な意味において絶対に「招待客」ではあり得ないからだ。 当たり前の話だが、「招待客を募集する」という言い方自体が、そもそも矛盾している」、安倍答弁の破綻を的確に示している。「でもまあ、あと10年続くようなら、ピリオドを打つのは戦争だけなのだろうとも思っている」、あり得ないことだろうが、不吉な締めではあある。
タグ:東京新聞 日経ビジネスオンライン Newsポストセブン 日本の政治情勢 小田嶋 隆 (その41)(「トンデモ閣議」乱発の背景に首相のメンツや閣僚失態隠し、政権に近い黒川東京高検検事長 "異例"の定年延長の背景は、小田嶋氏:「募集」と「募る」の違いはどうでもいい) 「「トンデモ閣議」乱発の背景に首相のメンツや閣僚失態隠し」 安倍長期政権は国会の議決がいらない、いわば“安倍勅令”ともいえる「閣議決定」を乱発して行政府の役人たちを従わせ、政権の不祥事にフタをして思うままに政治を進めようとしている 安倍首相のメンツや失態隠しのためにいい加減な「閣議決定」が乱発され、役人たちの膨大な労力が使われているかがわかる 「政権に近い黒川東京高検検事長 "異例"の定年延長の背景は」 黒川弘務東京高検検事長 定年が半年間延長 黒川氏を検事総長に据えようと、政府が異例の措置を取ったとの見方 検察人事への見え見えの介入により、検察による「桜を見る会」やIR捜査などに大きな影響を及ぼす懸念 「「募集」と「募る」の違いはどうでもいい」 こんな不毛な言葉のやりとりを聞き続けていたら、自分の言語感覚が二度と正常さを取り戻せなくなると、そう感じて、護身のためにテレビの電源を落とした 質疑の冒頭の部分で 「さきほどらい申し上げております通り」というこのセリフを必ず申し述べてから回答に入るお約束は 「無能極まりない野党の議員たちが、毎度毎度代わり映えのしない質問を飽きもせずに繰り返しているから、自分たちも同じ無意味な回答をリピートせざるを得ないのである」ということを、テレビを通じて国会中継を見ている視聴者に印象づけるべく採用 霞が関官僚発案によるあざといルーティン 彼らは、国会の質疑、ひいては、国権の最高機関たる国会の存在価値それ自体を貶める効果を狙っているのかもしれない 与党の政治家にとって、国会での論戦で勝敗を決する道を選ぶよりは、国会審議そのものを無効化する選択肢を取る方が簡単でもあれば有利でもあるから 事前通告云々は、与野党の国対委員長が、議事進行の円滑化のために申し合わせた「紳士協定」にすぎない 反社会的勢力』という言葉の定義が定まっていないので、この言葉に関連するご質問にはお答えできない 質問を無効化するために、質問者が使っている単語の定義を無効化したのだから、これは驚天動地の答弁 「反社会的勢力」について 「あらかじめ限定的、統一的に定義するのは困難」との閣議決定 募ってはいたが、募集はしていない ほとんど意味不明の説明を開陳した 「安倍事務所の募集に応募して会に参加した後援会のメンバー」は、言葉の正確な意味において絶対に「招待客」ではあり得ないからだ 当たり前の話だが、「招待客を募集する」という言い方自体が、そもそも矛盾している こんなバカな状態がそんなに何年も長く続いてたまるものか、とも思っている。 でもまあ、あと10年続くようなら、ピリオドを打つのは戦争だけなのだろうとも思っている
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高齢化社会(その14)(50代は使えないの嘘 言葉にできない暗黙知を生かせ、高齢化率50%「横浜のニュータウン」に変化の波 大和ハウスが「再生」に乗り出す背景事情、少子超高齢化した日本を襲う「2022年危機」そのヤバすぎる現実 団塊の世代がついに75歳を超え始める) [社会]

高齢化社会については、昨年8月6日に取上げた。今日は、(その14)(50代は使えないの嘘 言葉にできない暗黙知を生かせ、高齢化率50%「横浜のニュータウン」に変化の波 大和ハウスが「再生」に乗り出す背景事情、少子超高齢化した日本を襲う「2022年危機」そのヤバすぎる現実 団塊の世代がついに75歳を超え始める)である。

まずは、健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏が昨年9月24日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「50代は使えないの嘘、言葉にできない暗黙知を生かせ」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00041/?P=1
・『「うちの息子がね、やたらと50代の文句を言うんですよ」こう話すのはある企業の社長さん、62歳である。 これまで50代の社員への不平不満は耳にたこができるほど聞いてきたけど(すみません)、息子と父親とのやりとりが「情報源」になるのは今回が初めて。しかも、社長さん=父親のリアクションが実に興味深かったので取り上げようと思う。 まずは、“父親”の独白からお聞きください。 「こないだ息子と久々に飲んだんです。やつも忙しくしてるので、本当、久しぶりでした。最初のうちは息子の仕事の悩みを聞いてやって。うちの会社でも若手が簡単に辞めちゃうんでね。息子の悩みは結構、参考になりました。 それでだんだんとお酒が回ってきたら、息子が上司の文句を言い始めた。 言われたことだけやればいいっていうから言われたことだけやったら、『なんで言われたことしかできないんだ!』って怒られるだの、『自分で考えろ!』って言うから、自分で考えてやったら『余計なことするな!』と怒られただの言うんです。 まぁ、確かに上司はそう言いがちだし、自分もやってるかもしれんなぁって笑いながら聞いていました」』、「久しぶり」とはいえ、「息子と久々に飲んだ」、とはうらやましい。
・『若手が抱く50代シニア社員へのアレルギー  「ところがね、息子が50代以上の社員の文句を言い始めましてね。はい、上司じゃなく、同じ職場にいるシニア社員です。 『エクセルがまともに使えない、コミュニケーション能力が低い、役職定年になって会社にいる意味があるのか』と不平不満を言い、揚げ句の果てに、シニア社員が異動してくると、みんなの迷惑だから辞めてほしいとか言うわけですよ。 シニア社員の生かし方は、うちの会社でも課題になっているので、息子の言い分が分からないでもない。でも、30そこそこの若造が、シニア社員をまるで給料泥棒のろくでなしのように言っているのを目の当たりにしたら、頭にきちゃってね。 ついカッとなって、『若手にはない力がシニア社員にはあるんだぞ』って言い返したんです。 そしたら今度は『自分の成功体験ばかり言って現場の邪魔をするか、会社で死んだふりしていて一言も話をしようとしないかどちらか。そんな人に、どんな力があるのか? 50歳以上はそもそも人間関係が狭過ぎる。会社の中にしか人間関係がないから視野が狭い』って反論してきた。 なので、会社は使い物にならないやつを置いておくほど、ばかじゃないって言ってやったんです」 「そしたら今度はなんて言ったと思います? 『今の50代は英語もまともにできないのに大企業に入った人がたくさんいる。50代は甘やかされ過ぎだ』って。 いやぁ、参りましたよ。なんだか自分のこと言われてる気がしてきちゃって、情けなくてね。 会社では私も、安心だけを求めるやつは要らないって50代以上の社員に活を入れてるんですけど、面と向かって悪く言われると、なんかね……。50代以上の社員への若手社員のアレルギーがここまでひどいとは驚きました。 実際のところ、50歳以上の社員ってどうなんですか? 息子を納得させることができなかった自分も悔しくて。本当、どうなんですか?」』、「自分の成功体験ばかり言って現場の邪魔をするか、会社で死んだふりしていて一言も話をしようとしないかどちらか」、とは手厳しいが、一面の真実でもある。
・『シニア社員の“見えざる底力”とは?  会社ではシニア社員に活を入れている「社長さん」が、息子との応酬に悪戦苦闘している姿を想像するだけで失笑してしまう。そのやりとりはどう見ても息子さんの圧勝である。 とはいえ「お父さん」が言う通り、「若手にはない力がシニア」にはある。断言してもよい。 というわけで、今回は改めて「50代の底力」について具体的に考えてみようと思った次第だ。 実はこの数カ月、50代以上の社員を集中的にインタビューしているのだが、今年に入ってから「空気」が変わってきたように感じている。これがこう変わりましたと明言できるほどの目立った変化ではないが、1年前に比べると明らかに“死んだふり”をして会社にしがみつく人が減り、前向きに頑張っている人が確実に増えているのだ。 役職定年などで給料を減額され、部下が上司になり、一旦はやる気を失うものの、そこから再起。部下たちに迷惑をかけないように、生き延びようと踏ん張っている。) ただ、残念なことに、彼らの頑張りは外からは見えにくい。彼らに注がれる世間の冷ややかで厳しいまなざしが、彼らの頑張りが表に出づらい状況を作っているように思う。 「若手の邪魔はしたくない」という気持ちと、「周りから期待されないこと」へのやるせなさが、微妙かつ複雑に絡み合い、会社での不安定な立ち位置に悶々として空回りしているのである。 その殻を破ることさえできれば、若手から「役立たず」と揶揄(やゆ)されることはなくなるのに、それができない。彼らの話を聞いていると「そんなに頑張っているなら、もっと自信を持てばいいのに」と思う。しかし、そこで過去の「立場」が邪魔をしてしまうのだ。 繰り返すが、50歳以上のシニアにはどんなに若手が頑張ったところでかなわない力がある。特にバブル世代も含めたこの世代は、若いときに現場の末端を経験させられ、上司のパワハラにも耐えた「たたき上げ世代」だ。 このときの経験こそが、未来を見通せない、過去の法則が一切役に立たない今の日本社会を打開する切り札になると私は確信している』、全く同感である。
・体を通じて蓄積した「暗黙知」が生きる時代  ここでの「経験」とは、専門用語でいうところの「暗黙知(tacit knowledge)」だ。人間が習得する知識は、大きく2つに分けることができる。 1つ目は、視覚または聴覚を通じて習得する知識。2つ目が自分の感覚を通じ実際に体験して習得する知識だ。前者は「情報知」と呼ばれ、後者は「経験知」または「身体知」と呼ばれている。 例えばラジオ、テレビ、新聞、SNSなどのメディア、あるいは人から聞いた情報として知り得た知識は「情報知」。情報過多社会に生きる若い世代に、シニア世代は情報知で勝つことができない。彼らの情報網は実に多彩で、常に情報をアップデートし、中には歩く「yahoo!ニュース」のような若者もいる。 一方、経験知(身体知)は、実際に個人が体感したことで「言葉にされていない知識」として身に付くもの。音の聞き分け方や顔の見分け方、味の違いなども経験知だし、自転車の乗り方を練習し自分で乗れるようになって体が覚えた感覚なども「経験知」である。 このような「経験知(身体知)」の中に「暗黙知」があり、暗黙知が豊かなほど想定外の出来事にうまく対処することが可能なのだ。 どんなに詳細なルールやマニュアルを作ったところで、そこに「人」がいる限り、網の目からこぼれ落ちる事態や事件が起こる。そんなときに、現場の対応次第で、小さな事件がとてつもなく大きな問題になってしまったり、大問題になりそうな事件が意外にもすんなりと過ぎていってしまったりもする。 つまり、「現場の力」。それを左右するのが「暗黙知」というわけ。 ついつい私たちは言葉にできる知識こそが「真の知識」だと考えがちだが、実際には暗黙知のような言葉にならない知識の方が、物事を遂行し、諸問題の解決するのに役立つ。危機を乗り越えるには必要なのだ。 かなり前になるけど、「これぞ暗黙知だ!」という場面に出合ったことがある。 マンション横の一方通行の道で、大きな荷物を持った年配の女性が私の車の前を走っていたタクシーを止めたのだが、女性がなかなか乗り込むことができず、ちょっとした渋滞となった。 タクシーの運転手さんは車から降りることもなく、歩くおばあさんを待つばかりで、そのうち後ろの車が「プッ、プッ」と小さくクラクションを鳴らし始めた。 それは明らかに「おばあさん」に向けられたものではなかった。私自身も「まったくも~。なんで運転手さん降りてきて、おばあさんの荷物を持ってあげないんだろう。なんなら私が行くか!」と動かない運転手に少しばかりイラついてしまったので、クラクションを鳴らした人も「おい!降りて手伝ってやれよ!」とサインを送ったのだと思う』、「情報知」は形式知とも呼ばれる。
・『現場の解決力は暗黙知が支えている  すると私の後ろに並んだ車の列の中に同じタクシー会社の方がいたようで、年配の運転手が突然走ってきて私たちに深々と頭を下げた。そして、おばあさんの荷物を持ち上げて手を取り、優しくドアを開けておばあさんを乗せたのだ。 慌てて20代後半くらいの若い運転手さんもタクシーを降り、ベテランの運転手さんに促されるように私たちの方に頭を下げた。 まさに危機一髪。 ベテラン運転手が出てこなければ、クラクションをさらに激しく鳴らす人たちが出てきて、おばあさんは悲しい気持ちになっただろうし、クラクションを鳴らす運転手に怒りを覚える人も出てきたに違いない。 このときのベテランの運転手さんの行動力こそが「暗黙知」がなせる業。即座に脳と体が状況を処理し、「今、何をすべきか?」を順序だって判断する。 暗黙知はさまざまな不測の事態や、「もう無理!」という状況を繰り返し経験することで高まるため、年齢とともに上昇し、ピークは70歳と断言する研究者もいるほどである。「おばあさんの知恵袋」などはまさに暗黙知なのだ。 話を戻すと、50代以上の社員ほど、どんどんと現場から遠ざけられがちだが、蓄積した「暗黙知」を活用するならまったく逆だ。天敵の来襲や不測の事件が起きる確率の高い現場の最前線にこそ、シニア社員に任せた方が合理的。 とはいえ、不機嫌で、ITにも弱いシニアをそんな目立つところに置いてどうする? と首をひねる人も多いことだろう。それ以前にシニア社員自身が「なんでそんな仕事をやらなきゃならないんだ!」とふてくされる可能性は高い。 彼らは彼らなりに頑張っている半面、「俺はまだまだやれる。やる気もあるし、やるべきこともある。なのになんで50をすぎた途端、部下が上司になり、給料減らされるんだよ!」という不満を抱いているため、彼らが自主的に「これをやりたい」と動くように仕向ける必要がある』、確かにその通りだが、「仕向ける」のも容易ではない筈だ。
・『「必要とされたい」思いは働かないおじさんも同じ  なんだかとってもめんどくさいのだが、使う側の論理だけでやることは、必ずしも生産性の向上にならない。むしろ多少手がかかろうとも、自分から取り組み、やった仕事に達成感を持ち「自分はちゃんと貢献している」という自信を持たせた方が、周りのパフォーマンスも向上する。 私は15年近くいろんな人の声に耳を傾けてきたが、口に出す出さないは別として、働く人たちには例外なく「人に必要とされたい」という願いがあった。 同様の願いは、彼ら=働かないおじさんにもある。 であるからして、シニアの「底力」を引き出すことに成功すれば、間違いなく50代を責める若手は減り、働かないおじさんはネガティブスパイラルから脱し「1+1=3、4、5…」とチーム力が高まり、長期的に生産性が向上する。 では、空回りしがちな50代以上の社員が殻を破るために必要なものとは何か? 「緩いつながりの構築」である。 「強いつながり」とは、接触回数が多い、一緒にいる時間が長い、情報交換の頻度が多い、心理的に近いといったような関係を指し、社内の人間関係や仕事で繋がる人たちは強いつながりの人脈だと考えていい。 で、その逆が「弱いつながり」となる。 くしくも件の息子が「50歳以上はそもそも人間関係が狭過ぎる」と言っていた通り、1つの組織で長年過ごしてきたシニア社員は、似たような人とばかりつながっているため、アウェーで自分からアクションを起こすのが壊滅的に下手。それを打開する最良の手段が「緩いつながりの構築」である。 役職定年で一旦腐った状態から脱し、今なお「仕事が楽しい」と笑う人たちは例外なく、「外の人たちと接する機会」の中で、殻を破るきっかけを得ていたのだ』、「緩いつながりの構築」、とは有力な打開策になりそうだ。
・『外に出れば恵まれていた自分が見える  ある人は若い人たちの「朝活」で、ある人は資格取得の研修で、また、ある人は地域のボランティアで、彼らは自分の「立場」を俯瞰することに成功していた。 役職定年があるような大企業に勤めている自分、役職定年になる役職まで務めあげた自分、会社に行けば自分の椅子と机がある自分、といった当たり前が、外へ出てみれば決して当たり前ではなかった、と。そして、それがいかに恵まれているかを痛感した、と。 強いつながりの中では見つけられなかった、価値観や言葉に触れることで、それまでの不満が思い過ごしだったことに気づいていたのである。 しかも、緩いつながりの中では、自分から話しかけないと誰も相手にしてくれない。自分から動かないと、仲間になれない。つまり、自分がいることで何かが回ることを経験し、アウェーで生きていくコツをつかむ。緩いつながりを持つことで、会社にも居場所を作れるようになる。緩いつながりの中に身を置く経験をするだけで、彼らの暗黙知が刺激されるのだ。 世間では「会社の外に居場所を作れ!」がシニア社員の定説だが、「会社の中で居場所を作れ!」。そのために緩いつながりを作る。ますます50代のおじさん社員が増えていく職場で、会社にも、社員にも、まだまだできることはあるように思います』、「緩いつながりを作る」ようにするためには、40歳台からそれに備えた準備も必要なのではなかろうか。

次に、住生活ジャーナリストの田中 直輝氏が12月14日付け東洋経済オンラインに掲載した「高齢化率50%「横浜のニュータウン」に変化の波 大和ハウスが「再生」に乗り出す背景事情」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/317979
・『少子高齢化により、空き家の増加や地域の過疎化が社会問題化している。その象徴といえるのが郊外型住宅団地「ニュータウン」だ。経済成長期に庶民のマイホームの夢をかなえる場として、戸建て型・集合住宅型を含め全国で開発されてきたが、その多くが今、往時の活気を失い、高齢化や人口減少など「オールドタウン」と称したほうがよい状況になりつつある。 そのため、そこに立地する住宅や土地は、「負動産」など称され一般的には魅力がないように思われがちだ。だが、見方を変えれば、ニュータウンは学校や公園など居住インフラがすでに整備された理想的な住環境といえる。 若い世代を呼び込めればにぎわいが生まれ、地域活性化につながる。ニュータウン再生が可能なら、今後の地域社会の形成にあたってよい影響が期待されるからだ。 本稿では、かつてニュータウン開発を行った事業者がその再生に取り組む事例を紹介し、その成果と今後どのような成果が期待されるかについて紹介する』、「オールドタウン」化しつつあるところは多そうだ。
・『超高齢化で街の維持が困難に  神奈川県横浜市栄区に「上郷ネオポリス」というニュータウンがある。1970年に大和ハウス工業が開発を始めた戸建て団地だ。鎌倉市との境にあり、大変緑豊かな立地である。現在は868戸に約2000人(2019年9月現在、上郷ネオポリス自治会調べ)が居住している。 注目すべきは約50%(2017年9月現在、横浜市政策局統計情報課調べ)という高齢化率だ。全国の高齢化率は平均27.7%、横浜市では平均24.0%(いずれも2017年)であることを考えると、上郷ネオポリスは超高齢地域といっていい。 高齢化は現地にさまざまな問題を生み出している。ネオポリス内にあった商店の閉店により買い物の利便性が著しく低下しているほか、同時進行した少子化により小学校(旧横浜市立野七里小学校)が廃校している。要するに、街の維持が難しい状況となっているのだ。 さて、その一画に10月29日、「野七里(のしちり)テラス」という施設がオープンした。「サチテラス」と呼ばれるコンビニ(ローソン上郷野七里テラス店)、路線バスの待合所の機能も有するコミュニティー拠点「イマテラス」が入っている。) 施設は地域住民から募集されたボランティアにより運営され、ローソンの店長・従業員も地域の方々が雇用されている。ボランティアには80歳代の方もいるという。ここを拠点とした移動販売も行われている。 建物内外に40以上の席が設けられており、日中はご高齢の方々が主に集い、夕方からは小学生を含む若い住民の方の姿も見られ、その様子から野七里テラスが幅広い世代の集いの場になっていることがうかがい知れた。 そもそもの始まりは、大和ハウス工業が2014年から開始した住民との意見交換にある。以降、「まちづくり協定」の締結、大学(東京大学、明治大学)や高齢者住宅協会も加わった「まちづくり協議会」の発足などを通じて、施設の実現にこぎ着けたものだ。 2017年には全住民を対象とした「全戸住民意向調査」を実施。その中で「買い物・交通の不便」や「高齢者の見守りや支え合い」など、街のあり方の問題点や要望が浮き彫りになり、それが野七里テラスに反映されている』、実験的なパイロット・プロジェクトなのだろうが、面白い取り組みだ。
・『さらに幅広い再生策を模索  「当初はお茶をするだけの簡単なものを考えていたが、予想以上に立派なものができた。そのおかげで、従来は閉じこもりがちだった人たちに動きが生まれた。街が変わった、盛り上げていこうという雰囲気になってきた」と、住民は話す。 ただ、再生の取り組みは始まったばかり。現地の再生に当初から関わる大和ハウス工業の瓜坂和昭氏(営業本部ヒューマン・ケア事業推進部部長)は、「もっと幅広い再生策が展開できるはずだ」と言う。 上郷ネオポリスはインフラ施設が充実したニュータウンだ。横浜市の埋蔵文化財センターなどとして活用されている旧小学校の建物は、耐震工事が実施済みである。老人福祉センター「翠風荘」「栄プール」(2020年3月末に廃止予定)などもある。 一方で、大和ハウス工業は新築・リフォームをはじめとした住宅事業だけでなく、医療・介護、フィットネス、商業店舗など幅広い事業領域を有する。そして、それぞれの事業に高度な専門知識や事業スキルを有する専門部隊も抱えている。 そうした強みを生かし施設を再活用し、より時代に即し地域ニーズにも合致した施設としてリフォーム・リノベーションなどによる用途転換することで、高齢の住民の暮らしを改善し、さらに若い世代を呼び込むことができる環境づくりができ、周辺地域も含めた地域活性化につなげられるとみているのだ。 施設の再利用ではないが、前述した野七里テラスは、同社の持つ強みが発揮され実現できたものだ。コンビニの誘致にあたっては、子会社の大和リビングがローソンとフランチャイズ契約を結び、大和リビングが店長や従業員の募集や雇用を行っている。 また、移動販売にあたってはネオポリス内だけでなく、周辺にある高齢者向け施設などの顧客先も開拓している。このような仕組みを導入することで、野七里テラスをビジネスとして採算性あるものにしているわけだ』、「ビジネスとして採算性あるものにしている」、とは、設備費の償却も含むのかは不明だが、含むとすれば大したものだ。
・『地元自治会が主体となっての実現は難しい  採算面を含むニュータウン再生を地元の自治会が主体となって実現するのは、相当な大変さが伴うと考えられる。そもそも、まちづくり協議会の設置をはじめ、ネオポリス内の意見の調整さえ難しかったからだ。 前述の住民の方は「大和ハウス工業が意見交換を申し出る前もネオポリスの再生を推進しようとしていたが、とにかく人、お金、時間、そしてアイデアもなく、足踏みが続いていた」と振り返っていた。 もっとも、旧小学校などはいずれも横浜市の所有であり、自治会やまちづくり協議会、大和ハウス工業でどうこうできるものではない。「そのため、現在、横浜市と上郷ネオポリスのまちづくりに関する包括協定を結ぶべく活動している」(瓜坂氏)と話していた。 いずれにせよ、注目すべきは上郷ネオポリスの再生が、大和ハウス工業が住民と企業や自治体との間を取り持ち、協力を得る一方で、実践的なアイデアや取り組みを行う「タウンマネジメント」を展開することで進展しているという点だ。 では、なぜ大和ハウス工業はこのようなニュータウン再生の取り組みを今、進めようとしているのか。同社では、1962年から全国61カ所、延べ7万区画(約30k㎡)でネオポリスを開発してきた。 その中には、開発から40年以上経過した、上郷ネオポリスと同様の課題を抱えている団地もある。このため、上郷でのニュータウン再生、タウンマネジメントの手法がうまくいけば、ほかのネオポリスの再生にもノウハウを生かすことができると考えているわけだ。 さらには他社開発のニュータウンにも拡大でき、その中からリフォーム・リノベーション、ストック(中古)売買、住宅医療・介護施設などといった需要が生まれれば収益も生まれ、今後も持続的な企業の成長が期待できる。 売上高4兆円規模にまで成長する中で多岐にわたる事業領域の確立、それによるノウハウの充実といった、ニュータウン再生に向けた体制づくりにある程度のメドがついたことが、本腰を入れ始めた第1の理由といえる。 第2の理由は、過去に開発したニュータウンをこのまま放置しておくことが、今後の企業成長の足かせになる可能性があるからだ。 時代は、環境・社会・ガバナンスへの取り組みが適切に行われているかを重視する「ESG」など、持続可能な社会の実現へ向かおうとしている。 そうした時代の変化の中で、ニュータウン再生問題は事業リスクになり、社会的責任を問われる状況になることも考えられるのである』、「ニュータウン再生問題は事業リスクになり、社会的責任を問われる状況になることも考えられる」、こうした点を覚悟した上で、「大和ハウス工業」は取り組んだのだろう。
・『不信感をどう払拭するかも課題  といっても、道のりは険しい。上郷ネオポリスの住民の方からは、「大和ハウスは、開発終了後は売りっぱなしだった。意見交換会が始まった頃は半信半疑だった」という、厳しい本音も聞かれた。 このような不信感を取り除くことから始まるわけで、ましてや事業を採算ベースに乗せるためには相当の時間がかかる。ただ、それはどのニュータウン再生、あるいはストック住宅の流通活性化、空き家問題の解決であっても同じことで、チャレンジする姿勢は評価できる。 過去に開発したニュータウンに舞い戻り、その再生に取り組むという事例は、少なくとも筆者には記憶がない。そうした観点からも、今回紹介させていただいた。冒頭にも書いたが、再生の必要があるニュータウンは多く、これに続く動きが出てくることに強く期待したい。 なお、大和ハウス工業は2018年1月から、ストック住宅の売買仲介、買取再販、リノベーション・リフォームなどの既存住宅事業を強化するため、グループ統一の新ブランド「Livness(リブネス)」を立ち上げている。 2022年3月期には売上高3000億円規模をもくろんでいるという。この中でネオポリスの再生事業は、「リブネスタウンプロジェクト」と称され、兵庫県三木市にある「緑が丘ネオポリス」でも取り組みが行われている』、確かに、「売りっぱなし」モデルからの転換は時間がかかりそうだが、今後の展開を注目したい。

第三に、10月12日付け現代ビジネス「少子超高齢化した日本を襲う「2022年危機」そのヤバすぎる現実 団塊の世代がついに75歳を超え始める」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67765
・『誰も経験したことがない歪んだ人口構造に打つ手なし!現役世代は、稼いだカネの半分を税金と社会保障に持っていかれる。高齢者の持つ資産は行く当てを失い、塩漬けに。土地は値下がり、老朽化したインフラは放置するしかない。出口を失った時代にあなたはどう備えるのか。 〈2022年危機に向けた健保連の提案〉今年9月9日、社会保障に関する提言をまとめたこんなタイトルのレポートが公表され、話題を呼んでいる。作成したのは「健康保険組合連合会」。全国約1400の企業健保組合からなる連合組織で、加入者は全国民のおよそ4分の1に当たる約3000万人。 日本の医療制度を支えてきた巨大組織が「このままでは従来の健康保険の仕組みは維持できない」と悲鳴を上げたのだ。 レポートの内容を要約すると、次のようになる。 〈急激な高齢化と現役世代人口の減少により、医療保険制度における現役世代の負担はますます大きくなり、医療、介護、年金を合わせると、社会保険料率が間もなく30%を超えることになる。 これを避けるためには、後期高齢者の医療費負担を原則2割とするなど、世代間の負担のアンバランスを是正する改革を進めるべきだ。〉 提言の中身そのものは目新しいものではないが、注目すべきは、なぜこのレポートが「2022年危機」と名付けられているか、だ。 実はこの年から、推定800万人といわれる団塊の世代(1947年~'49年生まれ)が75歳になり、総人口(1億2400万人)に対する75歳以上の人口が約1900万人と2割近くに迫るのだ。 健保連はその危機を迎える前に、一刻も早く対策をとるべきだと声を上げたわけだが、75歳以上の人口急増は、具体的に社会や経済にどんな影響を与えるのだろうか。 ニッセイ基礎研究所・生活研究部の天野馨南子准主任研究員が社会保障費の観点から解説する。「男性の健康寿命は75歳と言われていて、この歳を越えると、ほとんどの人が日常的な医療支援や介護が必要な状態になります。そして、一人当たりにかかる医療費や介護費が跳ね上がります。 厚労省によると、一人当たりの年間医療費は65歳未満で平均18万円なのに対し、75歳以上では91万円に急増します。介護費も同様です。75歳以上の人口が急増するということは、日本社会全体にのしかかる負担も急増することを意味するのです」』、「健保連の提案」については、このブログの1月26日付けで医薬品(製薬業)(その3)でも紹介した。
・『世界史に残るほどの危機  続けて法政大学経済学部の小黒一正教授は、日本全体の負担がどこまで膨れ上がるかについて、具体的に数字を挙げた。 「昨年5月に政府が発表した『社会保障の将来』という資料によると、'18年度の社会保障給付費の総額は、年金が約57兆円、医療費が約39兆円、介護費が約11兆円で、そのほか諸々を含めて約121兆円。 これが'25年度には年金が約60兆円、医療費が約48兆円、介護費が約15兆円で、社会保障費は約140兆円にまで膨らみます。さらに'40年度には社会保障費は190兆円を超えると試算されています。 東京五輪以降、日本はいやが上にも『社会保障費の膨張』という問題に向き合わねばなりません。 年金支給額を抑制したり医療負担を上げたりするか、あるいは働く世代から税金などをより多く徴収する、消費税をさらに上げる、といった選択をせざるを得なくなります」 大和総研の試算によると、このまま社会保障費が伸び続ければ、'40年には就業者一人当たりの医療・介護保険料の支払額は現在の25万円程度から43万円に増加する見込みだという。 そこに、重い所得税や消費税がのしかかる。現在所得税の最高税率は45%だが、今後、さらなる引き上げが行われることは確実だ。税金と社会保険料などで所得の半分近くを持っていかれる現役世代も現れるだろう。 ちなみに、国民全体の所得に占める税金と社会保障の負担割合を示す「国民負担率」は、現在約43%。'25年には50%を超えることは間違いないと言われている。 「政府はこれまで、こうした改革の議論を先送りしたり、都合の悪い数字や実態をなるべく見せないようにしてきましたが、これまでは予測として語られてきたものが、ついに現実味を帯びて、目の前に危機として迫ってくる。その境目が、2022年と言えるでしょう」(小黒氏) あと2年と少しで、人類史上はじまって以来の「超高齢化国家」となる日本。元ゴールドマン・サックス金融調査室長で、『国運の分岐点』などの著書があるデービッド・アトキンソン氏は、 「今後日本は、明治維新のときの何倍も何十倍も大きな困難に直面する」として、こう続ける。 「いま日本が迎えているのは、後世の日本史だけでなく、世界史にも残るであろう国家の変化です。なぜなら、これほどの高齢化と少子化、そして人口減少が進んだ国は、歴史的に見てもほとんどないからです。 つまり、これから日本が直面する問題に対して、従来の学問では答えを出すことができないということです。 少子高齢化と人口減少が社会に及ぼす影響は、医療や社会保障に限りません。どんな問題が起こるかを予測し、それを真摯に受け止め、死にもの狂いで答えを出さなければならないのです」 アトキンソン氏が言うように、日本が直面する問題は健康保険や年金だけにとどまらない。 前出の天野氏は、団塊の世代はもちろん、「団塊ジュニア」と呼ばれるその子供世代の問題もこれからの日本では顕在化してくると語る。 「40代を中心とする中年層の未婚化と、彼らの老後リスクという問題が現れるでしょう。50歳時点で結婚歴のない男性が約24%、女性が約15%もいます。 また、'15年の国勢調査を分析した結果、40代未婚男性の6割、同じく女性の7割が親と同居していることが判明しました。 彼らのなかで親の年金や住居などを頼りに生活をしている人たちが、親が亡くなった後にどう生活するのか。高齢者の医療・介護問題とは別に、生活が立ち行かなくなった40代という、もうひとつの難問にも、社会が向き合わなければならなくなります」) 少子超高齢化・人口減少社会が抱えるもうひとつの大きな問題が「労働者不足」だ。 いま、企業の採用の現場でも「2022年危機」が叫ばれている。 「新卒」と呼ばれる22歳の人口はこれまで120万人台で推移してきたが、'22年を境に減少に向かうことが分かっており、その減少幅は毎年1万人単位。1年で5万人減る年もある。 2000年代はじめより急速な「少子化」が進んだが、その影響が新卒採用の現場に出始めるのだ』、「これまでは予測として語られてきたものが、ついに現実味を帯びて、目の前に危機として迫ってくる。その境目が、2022年と言えるでしょう」、「いま日本が迎えているのは、後世の日本史だけでなく、世界史にも残るであろう国家の変化です。なぜなら、これほどの高齢化と少子化、そして人口減少が進んだ国は、歴史的に見てもほとんどないからです」、これまで政府が覆い隠してきた厳しい現実がいよいよ表れてくるようだ。
・『カネの流れが止まる  新卒に限ったことではない。'22年から'30年代にかけて、日本では若年人口の減少と定年退職者の増加により、約800万人の労働力が不足する可能性がある。 「25歳から34歳の若年労働者の数だけをみても、この10年で2割弱減りました。今後はさらに減ることになり、大企業は言うに及ばず、飲食店やコンビニのバイトも不足するようになるでしょう」 こう指摘するのは、経済評論家の加谷珪一氏。加谷氏は、労働者不足によって今後「人手不足倒産」に見舞われる企業が続出することを危惧する。 「仕事はあるのにそれを受けるのに十分な働き手がおらず、新規の仕事を断らざるを得ない企業がすでに続出しています。 結果、倒産を余儀なくされた会社が増えていて、'18年度の人手不足倒産企業数は前年比44%増の153件。今後働き手の数が少なくなるなかで、ますます倒産企業が増えていく可能性が高い」 働き盛りの若年労働者の確保に苦しむ企業に対し、国は少しでも年金や社会保障費の負担を軽減しようと、「定年の延長」「再雇用」を要求する。活躍の場をうまく見つけられればいいが、なかなかそうもいかない。 「定年延長や再雇用で働く高齢労働者に、企業が最適な仕事を渡せるかというと、なかなか難しい。企業にとっては負担が増えるというのが現実です。また、社員の高齢化が進むことで企業が負担する社会保障費も増大します。 そうなると、若い人の採用活動や新規事業に投資したくても、そこに回すおカネがなくなってしまう。そうして成長の機を逃して、沈んでいってしまう企業が、'22年以降は続々と出てくるはずです」(加谷氏) 「おカネがうまく回らない」のは企業だけでない。実は、日本全体でカネの循環が滞ることを示唆する、ある調査結果が存在する。 みずほ総合研究所の'18年1月の金融資産に関する調査によると、'20年ごろから、日本のすべての金融資産のうち70歳以上が保有する割合が急増し、'35年には日本の全金融資産の4割を70歳以上の高齢者が持つことになるという。 また、第一生命経済研究所のレポートによると、'30年には全資産の1割にあたる200兆円を認知症患者が保有することになる。 預貯金や株を持つ高齢者が増えること自体は仕方がないとしても、認知症患者の資産は「塩漬け」になる可能性が高い。国家予算の2倍ほどの資産が眠ったままでは、日本経済は完全に停滞する。人の流れもカネの流れも、急速に鈍くなっていくだろう。 '22年以降、日本社会はいわば血液がうまく循環しない「病人」のような状態に陥ってしまうのだ』、「人手不足倒産」については、生産性が低い企業が淘汰されることなので、日本全体の生産性は上がってゆく筈だ。「認知症患者の資産は「塩漬け」になる可能性が高い」、成年後見制度も出来たが、後見人による不正事件が相次いでおり、まだまだ制度としては未熟なようだ。
・『日本全土が「負動産」に  東京オリンピックを前に活況を呈している不動産も、五輪という祭りが終われば一気に暗転する。 東京・中央区の「晴海フラッグ」。'23年から居住開始となる地上14~50階建てこのタワーマンションの販売が7月から始まったが、最上階の部屋こそ一瞬で完売したものの、一部の住戸では「応募ゼロ」のものがあった。 「都心部のタワマンは、売りに出されれば間違いなく完売する」というタワマン神話は、すでに崩れつつあるのだ。 東京を暗い雲が覆い始めたが、不動産コンサルタントの長嶋修氏が予測する'22年以降の日本の不動産市場は、さらに暗い。 「日本全国で見たときには、東京五輪以降、地価や不動産価格は下がっていくしかありません。結局不動産の価格は需要と供給のバランスで決まります。 新しい住まいを必要としない高齢者が増え、消費意欲旺盛な若い世代が減っていく日本では、需要がどんどん下がっていくので、当然価格も下がるわけです。 今後、日本の不動産は3極化していくと思われます。価値の落ちない都市部の不動産が全体の15%、都市部や主要駅から少し離れていて、価値が徐々に下落していく不動産が70%、そして都市部や駅からも遠く離れていて、ほとんど価値のなくなる不動産が15%。人口減少の速度が激しいところほど、価格の下落も激しくなります」 「ほとんど価値のない不動産」は、現在進行形で増えている。「不動産の100均」と呼ばれるサイトが登場し、不動産業界で波紋を呼んでいることをご存じだろうか。 「YADOKARI」と「あきやカンパニー」という不動産企業が運営するこのサイトでは、日本中の使われなくなった空き家を「100円物件」として紹介。 所有希望者を募り、その活用の仕方の相談に乗ったり、仲介を行っている。紹介物件数はまだまだ少ないが、軽井沢の空き家や島根の海水浴場近くの家も掲載されている。 一昔前なら、軽井沢の家が100円で売り出されることなど考えられなかっただろう。だが、「日本はすでに不動産がタダで手に入る国になっているのです」と指摘するのは、経済アナリストの米山秀隆氏だ。 「100円という値段がついているだけでも、いまはまだマシかもしれません。10年後には100円でも買い手がつかない不動産が相当範囲に広がっていて、どうしても手放したいときには、引き取り手におカネを払わなければならないような時代がくるでしょう。 今後、日本には『誰も欲しがらない不動産』が増えていくわけですが、そういった土地や建物は、結局国や自治体が税金を使って管理せざるを得なくなる。もちろん、そのコストは税金として国民が負担することになります。 いま、土地を購入するときに、あらかじめ処分にかかるコストを徴収すべきだという議論があります。 実際にそんな制度が導入されれば、ますます土地や不動産を買うインセンティブが下がり、さらに地価が下落するという負のサイクルが加速することになります」 日本のほとんどの不動産が「負動産」に変わる日は、すぐそこまで来ている。前出の長嶋氏は、空き家が急増することによる日本社会の治安の悪化を懸念する。 「築50年を超えていて、駅から遠い郊外の物件は今後、次々空き家となっていきます。一戸建てだけでなく、廃墟のようなマンションが出てくる可能性もある。そうした空き家に不法に住む人たちが現れると、周囲の治安は悪化するでしょう」』、「「不動産の100均」と呼ばれるサイトが登場」、初耳だが、そこまで「ほとんど価値のない不動産」が増えているのかと、再認識させられた。「空き家が急増することによる日本社会の治安の悪化を懸念」、嫌なことではあるが、覚悟しておくべきだろう。
・『もうひとつ、'22年以降に起こる問題として認識しておかなければならないのが、「インフラの老朽化」だ。 9月上旬に発生し、日本に未曽有の被害をもたらした台風15号。千葉では2000本以上の電柱が倒壊・破損し、60万軒以上で停電が発生したが、これほど多くの電柱が倒れたのは、老朽化も要因のひとつだった。 災害や事故が起こるまで気づかないが、この国のインフラの老朽化は見えないところで進行しているのだ。 「道路や橋、水道といったインフラは、建設・設置から大体50年が経つと事故や破損、不具合などが生じる可能性が高くなります。 日本のインフラは、高度経済成長期以降の1970年代に全国に一斉に整備されていきました。つまり'20年代から、日本全国のインフラの老朽化が急速に進むことになるのです」 こう話すのは、東洋大学経済学部の根本祐二教授だ。国交省の調査によると、'22年には日本全国の2m以上の橋のうち約40%、トンネルで約31%、国が管理する水門などの河川施設の約40%が、建設から50年以上経過するという。さらにその10年後の'32年になると、それぞれ65%、47%、62%にまで急伸する』、不要になるインフラも増えてくる筈なので、それらを大胆に廃棄する政治的な勇気も必要だろう。
・『崩落・陥没事故が多発  日本全土でインフラの老朽化が進むとどのようなことが起こるのか。根本教授が説明する。 「たとえば'12年には山梨県の笹子トンネルで天井板崩落事故が起こり、9人の方が亡くなりましたが、あれは天井板を支える金属ボルトの老朽化によって起こりました。 大きな台風のあとに橋が流されたというニュースをご覧になることがあると思いますが、老朽化によって橋が洪水に耐えられなくなったことが原因の場合もあります。 その他にも水道管が老朽化すると破裂して断水につながります。また、地面の中の下水道管が老朽化して破損し、そこに土砂が吸い込まれて空洞ができると道路が陥没する。 先日、千葉市でも道路の陥没事故が起こりました。こうした事故が'20年代以降は日本各地で頻発するようになります」 根本教授によれば、老朽化したインフラの新設・整備・補修に必要な額は今後50年で450兆円。年間9兆円ほど必要になるというが、社会保障費の増大に苦しむ国が、そんな巨費を捻出できるわけもなく、放置され続ける。 さらに不動産アナリストの石澤卓志氏は、インフラ補修を行う技術者の不足も問題になるだろうと警鐘を鳴らす。 「修繕技術を持った人たちが、今後続々と退職します。少子高齢化が進むなか、新しい技術者の確保・育成も困難になるので、土木技術者の不足も大きな問題となってくるでしょう。 そうしたことを踏まえて、国土交通省が主催するインフラ設備の課題や問題点を協議する『社会資本整備審議会』では、ある日突然橋が落ち、犠牲者が発生する事態がいつ起こっても不思議ではないという懸念を表明しています。 残酷な話ではありますが、今後は老朽化したインフラを修理も点検もせず使い続けることになります。それはすなわち、日常的に命に関わるような危機と隣り合わせで生活をしなければならない、ということなのです」) 社会保障費が膨張する一方で、「社会補修費」不足に悩み、命の危険におびえながら生活する。これが2022年からの日本の姿なのだ。経営コンサルタントの鈴木貴博氏は、こんな未来を予測する。 「社会保障とインフラの維持に多額のコストがかかるようになると、当然、利用者である国民にその負担がのしかかります。昨年より水道の民営化が認められるようになりましたが、自治体によっては10年後には水道代が月に1万円程度になっていても不思議ではない。 そこに高い税金、光熱費、通信費がのしかかる。それらを支払ったら残るのは食費だけ……という人が国民の大半になる状況も否定できないのです。 今後は、『年収が200万円の世代が、なぜ年金収入がそれ以上ある高齢者を支えなければならないんだ!』『自分たちが働いて稼いだおカネが、高齢者を支えるためだけに使われている。それはおかしい!』と訴えるような政治家が現れて、広く支持を集め、世代間の分断が進むことも考えられます。 分断が進めば、社会の一体感が失われ、様々な階層で対立が起こることになるでしょう。『和を以って尊しとなす』という日本の美徳とされてきた価値観が忘れ去られてしまうかもしれない。 人口減少・少子高齢化は、そうした意味でも国の根幹を変えてしまう可能性があるのです」』、確かに「分断が進めば、社会の一体感が失われ、様々な階層で対立が起こることになる」、息子や孫の世代に大きな重荷を残してゆくのは、心苦しい限りだ。
・『個人でできることは何か  社会の「老朽化」から生じる危機の数々。知れば知るほどめまいがする。この危機を突破する方法はあるのだろうか。 『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を著したエズラ・ヴォーゲル氏の息子で、カリフォルニア大学バークレー校のスティーヴン・ヴォーゲル教授は、こう言う。 「確かに、このままいけば日本は奈落の底に落ちるでしょう。しかし、救われる道はあります。シンプルな提言のひとつとして、教育への投資があります。 日本の教育レベルは高いですが、ITなどソフトエンジニアリングの教育は世界と比べると遅れているように見えます。労働力の不足を補うためにも、IT活用は必須です。それを駆使できる人材を育てるため、教育への投資を進めるべきなのです。 このような、考え得る限りの改革をいち早く進めること。いまはまだ、日本の人口も年齢構造も安定した状態にありますが、これが崩れるまでに改革を進めなければ、地獄のような状況が待っています」 国や社会がやるべきこととは別に、個人が生活を守るためにできることはあるのだろうか。経済評論家の森永卓郎氏は、ひとつの選択肢として、「都市部に住むことをあきらめること」を提案する。 「いまの年金制度を考えると、今後、受け取る年金額が減少することは避けられません。月十数万円程度に減額された年金で暮らすにはどうするかを考えるしかないわけです。 具体的な選択肢のひとつが、地方に移り住むこと。不動産価格が急落するということは、住居にかかる費用も下がるということです。 東京から50km圏内の郊外の中古物件であれば、いまでも200万円ぐらいで購入できる。物価も都心の3割ぐらい安くなるので、生活コストを下げることができます。 『そんなことでなんとかなるのか』あるいは『そんなことができるか』と思われるかもしれませんが、ここまで問題が深刻化してしまったいま、個人でできることは『そんなことぐらいしか残されていない』と現実を直視して、行動に移すことが大切なのです」 いまから2000年以上前、共和政ローマ期の政治家にして文筆家のカエサルは「多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」という言葉を残した。はたして現代の日本人は、この数々の危機を直視し、奈落を避けることができるのだろうか』、「スティーヴン・ヴォーゲル教授」の「教育への投資」は、解決策の1つに過ぎないだろうし、既に遅すぎるような気もする。カエサルの指摘にもあるように、日本人はハーメルンの笛吹き男に踊らされて、死の洞窟へと向かっているような気がする。今回は、なにやら暗いまとめになってしまったことをお許し頂きたい。
タグ:大和ハウス工業 東洋経済オンライン 高齢化社会 日経ビジネスオンライン 現代ビジネス 河合 薫 人手不足倒産 (その14)(50代は使えないの嘘 言葉にできない暗黙知を生かせ、高齢化率50%「横浜のニュータウン」に変化の波 大和ハウスが「再生」に乗り出す背景事情、少子超高齢化した日本を襲う「2022年危機」そのヤバすぎる現実 団塊の世代がついに75歳を超え始める) 「50代は使えないの嘘、言葉にできない暗黙知を生かせ」 若手が抱く50代シニア社員へのアレルギー エクセルがまともに使えない、コミュニケーション能力が低い、役職定年になって会社にいる意味があるのか』と不平不満を言い、揚げ句の果てに、シニア社員が異動してくると、みんなの迷惑だから辞めてほしい 自分の成功体験ばかり言って現場の邪魔をするか、会社で死んだふりしていて一言も話をしようとしないかどちらか。そんな人に、どんな力があるのか? シニア社員の“見えざる底力”とは? 体を通じて蓄積した「暗黙知」が生きる時代 「情報知」 暗黙知が豊かなほど想定外の出来事にうまく対処することが可能 「現場の力」。それを左右するのが「暗黙知」 現場の解決力は暗黙知が支えている 「必要とされたい」思いは働かないおじさんも同じ 緩いつながりの構築 外に出れば恵まれていた自分が見える 田中 直輝 「高齢化率50%「横浜のニュータウン」に変化の波 大和ハウスが「再生」に乗り出す背景事情」 往時の活気を失い、高齢化や人口減少など「オールドタウン」と称したほうがよい状況になりつつある 超高齢化で街の維持が困難に 横浜市栄区に「上郷ネオポリス」 「野七里(のしちり)テラス」 さらに幅広い再生策を模索 大和ハウス工業は新築・リフォームをはじめとした住宅事業だけでなく、医療・介護、フィットネス、商業店舗など幅広い事業領域を有する 野七里テラスをビジネスとして採算性あるものにしている 地元自治会が主体となっての実現は難しい 不信感をどう払拭するかも課題 開発終了後は売りっぱなし 「少子超高齢化した日本を襲う「2022年危機」そのヤバすぎる現実 団塊の世代がついに75歳を超え始める」 2022年危機に向けた健保連の提案 急激な高齢化と現役世代人口の減少により、医療保険制度における現役世代の負担はますます大きくなり、医療、介護、年金を合わせると、社会保険料率が間もなく30%を超えることになる。 これを避けるためには、後期高齢者の医療費負担を原則2割とするなど、世代間の負担のアンバランスを是正する改革を進めるべきだ 一人当たりの年間医療費は65歳未満で平均18万円なのに対し、75歳以上では91万円に急増します。介護費も同様です 75歳以上の人口が急増するということは、日本社会全体にのしかかる負担も急増することを意味 世界史に残るほどの危機 社会保障の将来 '18年度の社会保障給付費の総額は、年金が約57兆円、医療費が約39兆円、介護費が約11兆円で、そのほか諸々を含めて約121兆円。 これが'25年度には年金が約60兆円、医療費が約48兆円、介護費が約15兆円で、社会保障費は約140兆円にまで膨らみます。さらに'40年度には社会保障費は190兆円を超えると試算 政府はこれまで、こうした改革の議論を先送りしたり、都合の悪い数字や実態をなるべく見せないようにしてきましたが、これまでは予測として語られてきたものが、ついに現実味を帯びて、目の前に危機として迫ってくる。その境目が、2022年と言えるでしょう いま日本が迎えているのは、後世の日本史だけでなく、世界史にも残るであろう国家の変化です 40代未婚男性の6割、同じく女性の7割が親と同居 彼らのなかで親の年金や住居などを頼りに生活をしている人たちが、親が亡くなった後にどう生活するのか。高齢者の医療・介護問題とは別に、生活が立ち行かなくなった40代という、もうひとつの難問にも、社会が向き合わなければならなくなります カネの流れが止まる 金融資産のうち70歳以上が保有する割合が急増し、'35年には日本の全金融資産の4割を70歳以上の高齢者が持つことになる 30年には全資産の1割にあたる200兆円を認知症患者が保有することに 不動産の100均」と呼ばれるサイトが登場 日本のほとんどの不動産が「負動産」に変わる日は、すぐそこまで来ている 空き家が急増することによる日本社会の治安の悪化を懸念 インフラの老朽化」 崩落・陥没事故が多発 分断が進めば、社会の一体感が失われ、様々な階層で対立が起こることになる 個人でできることは何か スティーヴン・ヴォーゲル教授 教育への投資 カエサルは「多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」
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”ひきこもり”問題(その8)(「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪、氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある、「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉) [社会]

”ひきこもり”問題については、昨年12月15日に取上げた。今日は、(その8)(「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪、氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある、「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉)である。

先ずは、ジャーナリストの池上正樹氏が本年1月9日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/225361
・『「そのままでいいんだよ」で本当にいいのか  「引きこもりは家から外に引き出すべき」 いまだに親や支援者の間には、そんな錯覚が根強く残る。 昨年12月22日、東京大学で開かれたシンポジウム「発達障害とひきこもり」の場でも、象徴的なシーンがあった。 「家の中は“安心”だから“そのままでいいんだよ”という環境づくりで、本当にいいのでしょうか?」 筆者ら登壇者たちの話に対し、都内の若者就労の支援者とみられる人からそう質問された。 「社会で傷つけられて恐怖を感じている当事者は、自宅以外に“居場所”がないという現実の中で外に連れ出されたら、いったいどこに行けばいいのでしょうか?本人の不安が取り除かれるまで、親として安心の場を保障してあげることは大事です」 そんな趣旨の話をしたら、「実践的に、部屋に食事を届けるとか、ゲームをずっとやっていてもOKなのか?」「当事者のやりたいようにやらせておいていいのか?」と、しつこく聞いてきた。 もちろん、この支援者の言うように介入は必要だ。しかし、その矛先が違う。生きるだけで精いっぱいの子の意識を変えようとするのではなく、憔悴した家族を支えて行かなければいけない。 多くの親は相談に来ると、最初のころ「私ではなく、子どものほうを支援してほしい」「引きこもる子を外に出してほしい」などとよく言ってくる。しかし、当事者の中には、しんどさを紛らわすためにゲームで現実逃避せざるを得ない人もいる。それぞれの置かれた状況を受け止め、本人の目線に立って理解しなければならない。 従来の「ひきこもり支援」施策が失敗続きだったのは、こうした親の意向を鵜呑みにし、本人の意思を無視して外に出し、意識が変わるまで自己分析を迫る洗脳的手法など、トレーニングの対象にしてきた支援者が多かったことにある。親には「事件になるぞ」と脅したり、本人を嘘で騙したりして外に連れ出すことが目的の“引き出し屋”と呼ばれるビジネスも、その延長戦上にある。 「働きかけるタイミングとか、あると思うんですが…」 実践論の答えを求めて、そう食い下がる支援者に、登壇者の1人で精神科医の斎藤環氏は遮るように、こう言い返した。 「“やりたい放題やってるじゃないか”と親が思ってるということ自体、子どもと対話ができていない。親が対話をしていれば、子が苦しくてゲームしていることも理解できるはず。言えるのは、対話をしてくださいということだけです」』、「従来の「ひきこもり支援」施策が失敗続きだったのは、こうした親の意向を鵜呑みにし、本人の意思を無視して外に出し、意識が変わるまで自己分析を迫る洗脳的手法など、トレーニングの対象にしてきた支援者が多かったことにある」、確かに「“引き出せばいい”」というのは錯覚なのだろう。「“引き出し屋”と呼ばれるビジネス」、悪どいビジネスもあったものだ。
・『水面下で生きる当事者たちの声にどう耳を澄ませるか  「ひきこもり支援」における支援のトレンドは、最近、間違いなく変わってきた。 支援者が「引きこもることのできない家庭にしましょう!」などと親に呼びかけたら、社会に本人の思いを受け止める受け皿がまったくない中で、命のリスクにもつながる。親のニーズがどんなにあっても、本人の意向を無視したやり方は、“成果”が出ないし、見合わない。 引きこもる背景や苦しみは、精神疾患や発達障害といった一面ではなく、見過ごされてきた多様性がある。その見えなかった多様さは、当事者たち自身が声を出して発信し始めたことにより、生み出されたうねりだ。支援者に求められているのは、こうして見えにくい水面下で生きている当事者たちの声に、どう耳を澄ませるのかではないのか。 引きこもり支援歴40年以上で、いわば引きこもり支援のレジェンドともいえる、一般社団法人「OSDよりそいネットワーク」共同代表で、一般社団法人「SCSカウンセリング研究所」代表の池田佳世さんは、「介入すべきは親に対して」だとして、親の学習会に力を入れてきた。) 「親は自分の意見を一切言わず、子の話をよく聞き、安心オーラを与えると、最初はひどいことも言うかもしれないし、長い道のりだけど、子は自然に話してくれるようになる。子がやりたいと言っていることが一番正しい。これから自分が歩いていく道しるべなんですね」』、「介入すべきは親に対して」、その通りなのかも知れないが、「子がやりたいと言っていることが一番正しい」、との絶対視には違和感を感じる。「子がやりたいと言っていること」も変化する筈なのではなかろうか。
・『介入は嘘で騙したり脅したりすることではない  池田さんは「親の価値観は、もはや時代遅れ」だと指摘する。 「子どもは言葉を失っていることが多い。言葉を出してあげられるのは、家庭でしかできない。ご両親がわかってあげてほしいと、ご両親に一生懸命申し上げている」 親が自分の枠を広げられれば、子も成長できる。一時、危ういことがあったとしても、外からいろんなことを言われても、親がしっかり支えてあげることが、子にとってはいちばんの土台になると、池田さんはいう。 介入するうえで大事なのは、親の側に立つことではなく、子の味方になることだ。 その目的は、嘘で騙したり、脅したりして、本人を外に連れ出すことではない。 この記事や引きこもり問題に関する情報や感想をお持ちの方、また、「こういうきっかけが欲しい」「こういう情報を知りたい」「こんなことを取材してほしい」といったリクエストがあれば、下記までお寄せください。 Otonahiki@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)・・・』、ひきこもり問題は、親子関係、特に親に問題がある場合が多そうだ。

次に、1月20日付け東洋経済オンライン「氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/325349
・『とっぷりと日が暮れた頃、部屋には続々と「ゲーム好き」が集まってきた。淡々とゲームに興じる人、自分の順番がくるのを静かに待つ人、ゲームはしないのにいつもいる人――。 長野県上田市にある若者サポートステーション・シナノ(以後、サポステ・シナノ)が毎月第3土曜日に実施しているRPG(ロール・プレイング・ゲーム)ナイト。10代から30代のゲーム愛好家たちが集まる「定例会」とも言うべき月1回の集まりだ。 「不登校やひきこもりは自室に籠もってゲームばかりしている」「他者とのコミュニケーションが苦手だから、1人の世界に閉じこもっている」――。そう言われ続けてきた彼らが、どうしたら社会との接点をつくれるか。サポステ・シナノが考え出したのがRPGナイトだ』、逆転の発想のようだ。
・『いっそのこと思う存分ゲームを  ゲーム以外の経験値が極端に少ない彼らをゲームから引き離すことは当人も周りも心身面の負担が大きい。「いっそのこと、みんな集めて思う存分ゲームを楽しんでもらう場を作ってはどうか」。きっかけは、半ば冗談のようなスタッフの一言だった。 2時間のうち1時間はゲームの紹介、残り1時間は実際にゲームで遊ぶというのが決まり事。「こういうゲームなんです」と口頭で紹介する人もいれば、ウィキペディアで用語解説しながら説明する人、パワーポイントを使って解説する人までいる。普段、自分の話を聞いてもらえる機会がない彼らにとって、RPGナイトは注目を浴びる場でもある。 参加者の中には、ゲームはやらないのに毎回参加してくる人がいる。ゲームを紹介する人の話をただ聴き、誰かがゲームで遊ぶのを黙って観ているだけ。毎月欠かさず参加しているその人に、サポステ・シナノの藤井雄一郎さんがある時「ゲームやらなくても楽しいの?」と聞いた。すると「楽しいですよ」と返ってきた。藤井さんはそれ以上何も聞かなかった。 不登校経験者やひきこもりの人が多いRPGナイト。普段は人と接する機会が少ない人々の集まりだが、ここには会話がなくとも確実に「他者」がいる。お菓子や飲み物、コントローラーを隣の人に回すありきたりな場面にも何気ない気遣い、声掛けが生まれている。 「ひきこもりのゲーム好きというと、世間からは『周囲と接点を持たず、自分の世界にだけ籠もっている人』と見られてしまいがち。だけど彼らは体験や感動を共有したいと思っているのではないか。ゲームをしにきているという名目の下で、実は彼らは周囲とコミュニケーションを取りたがっているのだと思う」(藤井さん)』、「普段、自分の話を聞いてもらえる機会がない彼らにとって、RPGナイトは注目を浴びる場でもある」、「ここには会話がなくとも確実に「他者」がいる」、確かにいい取り組みのようだ。
・『1本1000円の動画編集からスタート  ひきこもり支援というと、多くのビジネスパーソンが送っているような日常の「型」に、当人をどう近づけるかが課題とされてきた。朝起きて、満員電車に乗って出勤し、日中は働き、帰宅して夜には寝るというもの。だが、あらゆる職域でIT化が進み、それに応じた働き方改革も進んでいる現代では、従来の型に当てはめるだけが解決策ではなくなっている。 不登校やひきこもりを経験した東京都内在住の女性Aさん(23歳)は今、自宅で動画の編集をしながら収入を得ている。クライアントから依頼された動画にテロップや効果音、BGMを入れる編集作業を1本こなすごとに1000円の収入を得る。 「もともと周囲のペースについていけないところがあったんです。今、自分がやるべきことの意味を理解し、どう動けばいいのかを判断して実際に動き出すまで周りの人より多くの時間を要していました。高校3年になって周囲が受験モードに突入していくと、ついに学校に行けなくなってしまいました」(Aさん) Aさんには、精神的に追い詰められると眠ってしまうという体質があった。緊張するとあくびが出る人は一定数いるが、Aさんの場合はストンと眠りに落ちてしまう。授業についていけず眠ってしまうAさんの姿は、教師や周囲の目に「緊張感がない」「真剣に考えていない」と映ってしまっていた。実際はその逆であるにもかかわらず、理解されなかった。 「家を出て最寄り駅までは歩いていけても電車に乗れない。駅のホームにあるトイレに入っていき、授業が終わる時間まで籠もっていたこともありました」(Aさん)。 高校3年の春以降、不登校になったAさんは通信制の高校に転学。卒業後はひきこもり支援をするNPO法人で寮生活を送る。寮生活中、探していたのは「自宅でできる仕事」だった。2年後、認定NPO法人・育て上げネットの就労支援プログラム「ジョブトレIT」にたどりつく。2019年4月から4カ月間の講義を受け、動画編集の仕事につなげた。 「税金関係の仕事をしている両親からは、雇われない働き方は社会保険料などの負担が重くて大変だと強く諭されました。でも、私にとっては自分のペースで生きることの方が大事だった」(同) 現在請け負っている動画の編集は月に40本請け負ったとしても月収は4万円で、生活していくには少ない。だが、この4万円がベースにあれば、もう1つの仕事を持とうとする際に多少は収入が落ちても心身への負担が小さい仕事を選べるかもしれない。育て上げネットの「就職支援」ならぬ「就労支援」の意義は、そこにある』、「精神的に追い詰められると眠ってしまうという体質」、確かに周囲には誤解を与える体質だ。医者に診断してもらって、本人や両親が学校に説明して誤解を解いてもらう他なかろう。「クライアントから依頼された動画にテロップや効果音、BGMを入れる編集作業を1本こなすごとに1000円の収入を得る」、1000円とは安すぎる気もするが、「就労支援」で仕事が見つかっただけでもよかったのだろう。
・『就労支援に共鳴する企業も  育て上げネットの就労支援に共鳴するIT企業がある。東京都中央区のディースタンダードだ。育て上げネットからのインターンを受け入れ始めたのは10年ほど前で、現在30人の「卒業生」が従業員として働いている。 仕事の主な内容はパソコンの初期設定であるキッティングだ。手順書に沿って作業を進めていくため、基本は1人で黙々と作業を進めることができる。が、なかには年下に指示をされることを嫌がったり、他人と比較して「自分にはできない」と悲鳴をあげ、インターン2日目から出て来られなくなったりする人もいる。そんな時、取締役の池田千尋さんは自宅まで迎えに行った。場合によっては育て上げネットと連携をとった。 「〇〇さん、今日、会社で叱られてしまい、もしかしたら明日は出社できないかもしれない。こちらには言いにくい本人の悩みもあるだろうから、そちらで話を聞いてやってほしい」。そうした連絡だ。池田さんは「大切にしているのは情報の共有。本人が働き続けられるように周囲が情報を共有し、連携しながらサポートしていく体制を作ってきた」と言う。 課題は新しい環境に慣れる力、そして続ける力だ。「ひきこもりを経験した人は、新しい環境に慣れるのにエネルギーがいる。ただ、最初のハードルさえ乗り越えることができれば、後はまっすぐに成長していける人が多い。自分が苦労してきた分だけ他人にやさしくできるし、孤立してきた分だけ会社への帰属意識や所属意識が強い。だから最初のハードルを越えられるよう支えていくことが大切なんです」(池田さん)。 働き続けることができればスキルが上がっていく。キッティングからスタートし、ワンランク難しいネットワークの保守点検、さらに難易度が高いサーバー構築やアプリ開発までこなせるようになった人が、同社では活躍している』、「ディースタンダードだ。育て上げネットからのインターンを受け入れ始めたのは10年ほど前で、現在30人の「卒業生」が従業員として働いている」、なかなかいい取り組みだ。
・『やり遂げたという経験  法人向けIT人材派遣会社に勤務しているBさん(33歳)。2011年に教育系大学を卒業し、しばらく就職活動を続けていたが、家庭環境の悪化がきっかけで家にひきこもるようになる。生き甲斐だったバンド活動も休止し、メンタルクリニックにも通い始めた。道が拓けたのは、育て上げネットの「ジョブトレIT」を受講したことだった。 育て上げネットで、ビル清掃やチラシの折り込み作業など実社会で働くためのトレーニングを積んだが、大きな経験になったのはチームで1つのプログラム開発を成し遂げたことだった。プログラミングの基礎を学べたというだけでなく「自分たちで何かをやりとげたという経験が大きな糧になった」(Bさん)という。 インターン行きを決意するまでには「数カ月かかった」と苦笑いする。背中を押してくれたのは育て上げネットスタッフの平松あす実さんの一言だった。「もし上手くいかなかったら、またチャレンジすればいい」。 インターン訪問した企業で働き始めて3年が過ぎた。今では後輩たちの悩みの「聞き役」になることも多い。適切な対応ができる支援団体や企業のサポート、そして本人の意思。ひきこもり経験者が実社会に出ていくには様々の人々の助けが必要だ。うまくいけば、ひきこもりを経験してきた人ならではの存在感を発揮しうるだろう』、「支援団体や企業のサポート」がさらに広がってゆくことを期待したい。

第三に、1月11日付けAERAdot「「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2020010900012.html?page=1
・『リアルな心理描写で社会の闇を浮き彫りにしてきた作家の桐野夏生さん。長年、教育行政に携わってきた前川喜平・元文部科学事務次官。ふたりは昨今の若者が抱える問題に危機感を募らせる。子どもの教育、不登校、貧困問題などをどう見るのか』、興味深そうな対談だ。
・『桐野:ひきこもりの人たちは、どんなきっかけがあれば出てこられるとお考えですか。 前川:私はいま自主夜間中学のボランティアスタッフなんですが、ここには40代の男性で、十数年ひきこもりだった人がいます。ひきこもりを脱した直接的なきっかけはわからないですが、自主夜間中学があるということを聞いて、行ってみよう、という気になったみたいで。それで学校に来始めたら楽しくて、ずっと通い続けているんですよね。夜間中学には叱る人もいないし、変に介入する人もいないし、ありのまま素のままでいられるから、居心地がいいらしい。 こういう場所が、社会に一本立ちして出ていけるきっかけになるんじゃないか、と思うんです』、前川氏が「自主夜間中学のボランティアスタッフ」をやっているとは感心した。
・『桐野:中学までの義務教育を十分受けられなかった人が世の中にたくさんいる、ということですね。 前川:ええ、理由として多いのは、貧困、虐待、不登校。貧困は年配の方に多いです。戦後、新制中学に通えなかったという人ですね。私がこの2年の間に友達になった人で、「セーラー服の歌人 鳥居」という人がいます。文学賞も取った素晴らしい歌人なんですけど、公式の場ではセーラー服を着ているんです。 私はペンネームの鳥居という名前しか知りませんが、この人は母子家庭で育って、小学校のときにお母さんが自殺して、児童養護施設で虐待を受けた。ホームレスだったこともある。そういった事情で中学へはほとんど行けなかったそうです。 彼女がなぜセーラー服を着ているかというと、中学校に行きたかった、今からでも行きたいんだ、という気持ちを表している。しかも、それは自分のことだけではなくて、中学校に行きたかったけど行けなかった人が世の中にたくさんいることを知ってほしいという』、「中学へはほとんど行けなかった」が、「文学賞も取った素晴らしい歌人」とは大したものだ。
・『桐野:学校に行きたくても行けなかった人がいる一方で、不登校も増えている。 前川:不登校に関しては、私は学校のほうに責任があると思うんです。今、学校がものすごく居心地の悪い場所になっている。例えば道徳が「特別の教科」として格上げになりました。教育勅語も安倍政権のもとで閣議決定まで行われていて、学校の教材として使っていい、ということになっている。さすがに公立学校で教育勅語を教材に使ったというケースは聞いていませんが、これから出てくる恐れはあります。森友学園の幼稚園では暗唱させていましたね。 とにかく上から抑えつけるような“押し付け道徳”が復活してきていて、全体のために自分を捨てることがいいことなんだという滅私奉公みたいな考え方が復活してきている。 桐野:軍隊や企業とか、組織に従順であれ、という教育ですよね。それが家父長制の家族に結びついて、全く今の状況と合わないのに、なんでそんなアナクロニズムなことをするんでしょう。 前川:私はやはり今の政権を担っている一人ひとりが、自己肯定感を持ってないからじゃないか、と思う。自分に自信がない人っていうのはより大きなものにすがろうとしますから、強い権力や大きな権威というものと一体化することによって、実態のない安心感を得ているんじゃないかと。 桐野:大きなものというのは、つまり日本人であることですとか、日本国であるというナショナリズムに結びつくわけですね。 前川:だからヘイト的になったりするんじゃないかと。 桐野:「企業の一兵士として、企業のために働け」という発想が今なお残っていることが、大人の自己承認欲求が満たされないことにつながっていると思います。だから家で威張るようになる。すごく問題を生んでいます。 子どもの貧困の対策は、どうなっているんでしょう。最近無償化されたのは、幼児教育ですか? 前川:幼児教育については昨年10月から始まり、今春から大学の一部でも始まります。ただね、この安倍内閣の幼稚園と大学の無償化については非常に問題があると思っています。幼児教育を無償にするお金があるんだったら、まずは保育士と幼稚園教諭の待遇を良くしないと、あの人たちも結婚して子どもを産むことができません』、「不登校に関しては、私は学校のほうに責任があると思うんです。今、学校がものすごく居心地の悪い場所になっている」、との前川氏の指摘はその通りなのだろう。「教育勅語も安倍政権のもとで閣議決定まで行われていて、学校の教材として使っていい、ということになっている」、要注意だ。「安倍内閣の幼稚園と大学の無償化については非常に問題があると思っています。幼児教育を無償にするお金があるんだったら、まずは保育士と幼稚園教諭の待遇を良くしないと、あの人たちも結婚して子どもを産むことができません」、これもその通りだ。
・『桐野:順番が違いますね。 前川:しかも貧困家庭の場合には、もともと保育料全額免除制度があったから、無償化でメリットが増えるわけじゃない。それに無償というのは全員タダになるわけですから、大金持ちの人もタダになる。つまり貧困層には恩恵がなくて、富裕層には恩恵があるわけですから、むしろ格差を広げているんですよ。 桐野:今の状況が少しでも良くなればいい、と思うのですが、物書きはただ見て、そこに生きている人を書こう、と思うだけです。それにしても、暗いテーマしか思いつかないですね。 前川:それでも、ぜひ書いていただきたい。時代を直視する、ということは大事なことだと思います。政治家が見ている世界は、まだ「標準家庭」が残っているごく一部の世界だと思う。 もっと実態を知らないと、社会を良くすることはできません。多くの人たちが見えない部分を見えるようにしてあげるということは大事だと思う。そういう意味でも、桐野さんの本を読んでもらわなくちゃいけない。安倍さんにも読んでもらいたいですよ。 桐野:ありがとうございます。私は書くことしかできないので、これからも書き続けます。若い男性の荒廃をテーマにした小説を、まもなくこの週刊朝日誌上で始めます。 前川さんの2020年の目標は何ですか? 前川:「アベと共に去りぬ」。今、各地の講演に呼ばれて“フーテンの寅さん”みたいな生活をしているんですが、私の話を聞きたい、という人には、今の政権が好きじゃない人たちが多い。安倍さんが退陣すれば、もう私を呼ぶ必要もなくなりますから(笑)』、「前川さんの2020年の目標・・・「アベと共に去りぬ」」、ユーモアも一流だ。
タグ:東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン 池上正樹 AERAdot ”ひきこもり”問題 (その8)(「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪、氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある、「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉) 「「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪」 「そのままでいいんだよ」で本当にいいのか 社会で傷つけられて恐怖を感じている当事者は、自宅以外に“居場所”がないという現実の中で外に連れ出されたら、いったいどこに行けばいいのでしょうか?本人の不安が取り除かれるまで、親として安心の場を保障してあげることは大事です 親には「事件になるぞ」と脅したり、本人を嘘で騙したりして外に連れ出すことが目的の“引き出し屋”と呼ばれるビジネスも、その延長戦上 水面下で生きる当事者たちの声にどう耳を澄ませるか 「介入すべきは親に対して」だ 介入は嘘で騙したり脅したりすることではない 「氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある」 サポートステーション・シナノ 毎月第3土曜日に実施しているRPG(ロール・プレイング・ゲーム)ナイト いっそのこと思う存分ゲームを 普段、自分の話を聞いてもらえる機会がない彼らにとって、RPGナイトは注目を浴びる場でもある ここには会話がなくとも確実に「他者」がいる 1本1000円の動画編集からスタート 就労支援に共鳴する企業も ディースタンダードだ。育て上げネットからのインターンを受け入れ始めたのは10年ほど前で、現在30人の「卒業生」が従業員として働いている やり遂げたという経験 育て上げネット 「ジョブトレIT」を受講 支援団体や企業のサポート 「「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉」 自主夜間中学のボランティアスタッフ 理由として多いのは、貧困、虐待、不登校。貧困は年配の方に多いです セーラー服の歌人 鳥居 文学賞も取った素晴らしい歌人 不登校に関しては、私は学校のほうに責任があると思うんです。今、学校がものすごく居心地の悪い場所になっている 教育勅語も安倍政権のもとで閣議決定まで行われていて、学校の教材として使っていい、ということになっている 今の政権を担っている一人ひとりが、自己肯定感を持ってないからじゃないか、と思う。自分に自信がない人っていうのはより大きなものにすがろうとしますから、強い権力や大きな権威というものと一体化することによって、実態のない安心感を得ているんじゃないかと 安倍内閣の幼稚園と大学の無償化については非常に問題がある 幼児教育を無償にするお金があるんだったら、まずは保育士と幼稚園教諭の待遇を良くしないと、あの人たちも結婚して子どもを産むことができません 前川さんの2020年の目標 「アベと共に去りぬ」
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今日から4日まで更新を休むので、5日にご期待を!

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日本の政治情勢(その40)(安倍VS菅「官邸内政局」がIRスキャンダルの背景に、IR汚職捜査 安倍首相・菅官房長官の権力バランスに大きな影響、安倍総理の親衛隊「官邸ポリス」のリークで自民党議員の疑惑続出?) [国内政治]

日本の政治情勢については、1月4日に取上げた。今日は、(その40)(安倍VS菅「官邸内政局」がIRスキャンダルの背景に、IR汚職捜査 安倍首相・菅官房長官の権力バランスに大きな影響、安倍総理の親衛隊「官邸ポリス」のリークで自民党議員の疑惑続出?)である。昨日のカジノ問題とも関連する話題だ。

先ずは、1月8日付けYahooニュースがNEWSSOCRAを転載した「安倍VS菅「官邸内政局」がIRスキャンダルの背景に」を紹介しよう。
・『【小塚かおる(日刊現代第一編集局長)の政治メモ】菅官房長官追い落としが政権弱体化を招いた皮肉  「安倍政権肝入りのIR(カジノを含む統合型リゾート)なのに事件化したのは、相手が米国企業ではなく中国だったからだ」 こんな憶測が永田町では流れる。日本でのIR参入を目指していた中国企業から賄賂を受け取ったとして秋元司衆院議員が逮捕された汚職事件。「中国」といえば政界で太いパイプを持つのは、自民党の二階俊博幹事長だ。秋元議員も二階派所属。まるで二階幹事長がターゲットかのようないかにも永田町らしいキナ臭い噂である。 背景にあるのは「ポスト安倍」をめぐる権力闘争。安倍首相は自身の後継者として岸田文雄政調会長を思い描き、秋の人事では二階氏を交代させその岸田氏を幹事長に据えようとした。これに対して、今後もキングメーカーでいたい二階幹事長は盟友の公明党とも組んで安倍首相に「交代というなら憲法改正は協力しない」などと徹底抗戦し留任を勝ち取った。その怨念は今も水面下に存在する。今回の汚職事件の構図もその延長線上、つまり「官邸が二階つぶしのために仕掛けた」というわけだ。 2019年の政局を振り返った時、あまり表面化していないが官邸内や自民党内では新たな権力闘争が始まっていた。「安倍vs二階」にはさらに様々な役者が絡みつく。もっとも政権に深刻なのは菅官房長官がそこに入っていることだ。 菅氏は安倍首相にとって大事なスポークスマンであり、政権の危機管理を一手に引き受ける参謀であり女房役。本来、その2人が対立するなど考え難い。だが、いまや霞が関の人事を掌握するなど絶大な力をつけてきた菅氏は、4月の新元号「令和」の発表会見以来、「令和おじさん」として国民的な注目度まで高まった。ポスト安倍の1人に躍り出るとともに、キングメーカーにもなり得る可能性を見せ始めたことで、安倍首相や周辺の側近らが菅氏への警戒心を強めてきていたのだ。 安倍首相の菅氏への不快感は感情論にまで達し、8月に小泉進次郎氏とその婚約者・滝川クリステル氏と官邸で面会した際は、「進次郎の面会目的は菅だったのに、自分はダシに使われた」などと怒っていたという。 そんな菅氏が一気に墜落の道をたどったのが、菅原一秀前経産相と河井克行前法相という系列2人の閣僚の公選法違反疑惑による辞任だった。いずれも菅氏を支える勉強会を主催する無派閥議員で、閣僚に推薦したのは菅氏だ。もちろん安倍首相の任命責任が問われる場面だったが、自民党内の批判の矛先は菅氏に向かい、菅氏の責任だという声が高まった。安倍首相は「内心は菅氏の求心力低下を安堵し、ほくそ笑んでいた」(自民党ベテラン)のだという』、「安倍首相」と「菅官房長官」の溝がここまで深くなっていたとは、面白い。
・『ところが、である。11月以降、世間を騒がすことになった「桜を見る会」問題で安倍首相は一気に窮地に立たされる。 安倍首相は、この危機管理について、不信感を抱いている菅氏に任せずに周辺の側近らと対応してしまった。安倍首相自身が記者のぶら下がり取材に応じることで収束を図ろうとしたのだが、国民を納得させられる説明ができず、逆にあれこれ喋りすぎたことで新たな矛盾も出て、むしろ火に油を注ぐ形になってしまった。 一方で、菅氏もまた、安倍首相やその周辺ときちんと打合せをすることなく記者会見や国会答弁に臨んでいるため、発言や説明に齟齬を来たし、ますます墓穴を掘ることになってしまった。 前述したように、第2次安倍政権が7年の長期に渡って続いた理由の一端には、安倍-菅ラインでの危機管理が機能していたことがあった。不祥事閣僚をすばやく更迭して表に出さないようにしたり、例えば、参院選への影響を避けるため「老後に年金2000万円必要」という金融庁のレポートをなかったことにしたり。政治的には許しがたいが、政権としては危機管理を働かせたということになる。 菅氏が記者会見で「指摘はあたらない」「全く問題ない」という木で鼻をくくったような発言をして記者の質問をはねつけてきたのも、菅氏に力があればこそ通用していたといえる。 しかし、いまや菅氏は記者会見で答えに詰まり、事務方からメモを差し入れられるほどにボロボロ。「令和おじさん」人気も過去のものになりつつある。 いま菅氏の本音はどこにあるのか。 菅氏を支えてきた無派閥議員は「連日の桜問題についての会見対応には相当疲れている。菅氏には、最初の危機管理で首相が早々に表に出たことが尾を引いているという不満がある。安倍首相と側近たちに嫌気がさしている。私たちの中では、首相を守るのはもう止めたらどうかと話している」 実は、その菅氏に、なんと安倍首相に自分を切ろうとした怒りを抱いている二階氏が接近している。事あるごとに連絡を取り合っているという。もはや「安倍vs二階」にとどまらず、「安倍・岸田vs二階・菅」というさらに深い溝が政権内に横たわるということなってきた。 直近12月の世論調査で、安倍内閣の支持率が軒並み下落し、共同通信や朝日新聞で支持と不支持が逆転した(共同は支持42.7%、不支持43.0%、朝日は支持38%、不支持42%)。 安倍首相が望んだ菅氏の求心力低下。しかしそれは結果的に、さらに複雑な権力闘争を生み出し、安倍政権の弱体化に直結するという皮肉となっている。安倍首相は分かっているのだろうか』、「第2次安倍政権が7年の長期に渡って続いた理由の一端には、安倍-菅ラインでの危機管理が機能していたことがあった」、長期政権の屋台骨にヒビが入ったようだ。「「安倍・岸田vs二階・菅」というさらに深い溝が政権内に横たわるということなってきた」、いよいよ政権末期の断末魔が近づいているのだとすれば、嬉しいのだが・・・。

次に、1月21日付けNEWSポストセブン「IR汚職捜査、安倍首相・菅官房長官の権力バランスに大きな影響」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20200121_1528627.html
・『昨年12月29日、安倍晋三首相はBSテレビ東京の番組『NIKKEI 日曜サロンSP』に登場し、ポスト安倍について岸田文雄・政調会長、茂木敏充・外相、加藤勝信・厚労相と並べて菅義偉・官房長官の名前を挙げた。首相が菅氏を後継首相候補の1人に名指ししたのは初めてだ。 「菅さんはその言葉を聞いてゾッとしたのではないか」と語るのは自民党ベテラン議員だ。 「次期総裁選への出馬に意欲満々な岸田、茂木、加藤の3人は総理に名前を出してもらって喜んでいる。しかし、菅さんはマスコミではポスト安倍の有力候補と報じられていても、本人は一貫して『総裁選に出る気は全くない』と否定してきた。総理に忠誠心を疑われないために神経質なほど総裁候補と言われることを嫌がっている。 安倍首相はそれを百も承知のはずなのに、菅さんがバッシングを受けている微妙な時期に総裁候補として名前を挙げた。総理の真意がどうであれ、うがち過ぎた見方をすれば、“こいつは総理を狙っているぞ。もっと叩いていい”とけしかけているように聞こえる」』、「菅さんがバッシングを受けている微妙な時期に総裁候補として名前を挙げた・・・“こいつは総理を狙っているぞ。もっと叩いていい”とけしかけているように聞こえる」、政治の世界の裏表は本当に難しいものだ。
・『倍首相の発言には他にも注目すべき点がある。自民党内ではポスト安倍候補として「河泉敏信」(河野太郎防衛相、小泉進次郎・環境相、茂木敏充氏、加藤勝信氏)と呼ばれる4人が浮上していた。 とくに河野氏と「育休宣言」した進次郎氏は、新聞の世論調査の「次の首相にふさわしい人」でも他の候補より上位にランクインしている。 ところが、安倍首相は後継者発言でその2人に全く言及しなかったのはなぜか。政治アナリスト・伊藤惇夫氏はその意図をこう読み解く。 「進次郎氏は将来の総理総裁候補ではあっても、出番はまだ先でしょうから名前を出さなかったのはわからなくもないが、河野氏は次期首相候補として支持率を上げている存在。外した理由として挙げられるのは、菅官房長官への牽制です。河野氏と進次郎氏はどちらも菅さんが将来の首相候補として名前を挙げている。河野氏が有力な首相候補になればポスト安倍レースで菅さんの影響力が高まる。それは認められないという思いがあるから敢えて名前を外したと考えられる」 安倍首相が河野氏と進次郎氏を外し、菅氏を総理候補にあげたのは、菅氏への牽制効果を十二分に計算したうえでの発言だったと言えそうだ』、さすが「政治アナリスト」らしい深い読みだ。
・『安倍首相が菅氏のことを「自分の権力を脅かす存在」と警戒するきっかけは、昨年秋の内閣改造での人事介入だった。 首相が“イエスマン”の岸田氏を幹事長に起用して「安倍傀儡政権」のレールを敷こうとしたのに対し、菅氏は二階俊博・幹事長と手を組んで岸田幹事長構想をつぶし、二階留任を認めさせた。 「人事は菅官房長官主導で行なわれ、河井法相、菅原一秀・経産相、小泉環境相、そして河野防衛相ら菅氏に近い人材が起用された。閣僚の人事権は総理の権力の源泉だが、菅さんが手を突っ込んだことで総理は決定的な不信感を抱いた」(安倍側近) 内閣改造の後、ポスト安倍の後継総理選びの主導権をめぐって「安倍-麻生」陣営VS「菅-二階」陣営による水面下の権力抗争が激化した。 先に劣勢に立たされたのは菅氏だった。側近の菅原、河井両大臣が公選法違反疑惑で失脚し、「総裁候補」である河野氏や進次郎氏にも失言批判や不祥事が報じられて大きなダメージを受けたが、一方の安倍首相も「桜を見る会」問題で支持率が急落するという“痛み分け”状態となった。 安倍―菅の権力バランスに決定的な影響を与えたのが東京地検特捜部のIR汚職捜査だ。二階派の秋元氏が逮捕され、「菅―二階」陣営が直撃されただけではない。菅氏にとってより大きな打撃は権力基盤だった検察に対するグリップが効かなくなったことだ。 菅氏の権力を支えてきたのは、霞が関の中央官庁幹部の人事権を握ったからだ。法務省人事を通じて政治家にとって怖い存在である検察に強い影響力を持ち、政官財界ににらみを利かせてきた。 ところが、この土壇場で法務・検察の逆転人事が固まった。菅氏に近く、政界捜査の“ストッパー役”とみられてきた検察ナンバー2の黒川弘務・東京高検検事長が2月に退官し、後任に菅氏の“天敵”ともいえる林真琴氏(現・名古屋高検検事長)が就任して政界捜査をコントロールする立場に立つ。ノンフィクション作家の森功氏が語る。 「黒川氏は菅さんとのパイプが太く、“官邸の代理人”などと呼ばれている。法務官房長時代、検察が首相側近の甘利明・元経済再生相の口利き疑惑や下村博文・元文科相の加計学園からの裏献金疑惑を形だけの捜査で終わらせた。菅さんは政権を守るために黒川氏をトップの検事総長に就任させたかったと思うが、河井前法相の捜査やIR汚職捜査など、官邸を取り巻く状況の変化で検察人事への介入が難しくなり、結果として黒川氏は今年2月7日に定年を迎えて退官する。 後任の東京高検検事長には黒川氏のライバルの林真琴氏が就任し、林氏はさらに検事総長への就任も確実視されています」 次期検事総長候補の林氏はもともと法務事務次官候補だったが、菅氏に次官就任を拒否され、かわりに同期の黒川氏が次官に抜擢された。いわば菅氏に煮え湯を飲まされた人物だ。菅氏にとっては、検察のIR汚職事件や側近の河井夫妻の公選法違反捜査が本格化するタイミングで、“天敵”ともいうべき人物が事実上の検察トップに座るのだから脅威だろう。安倍首相はこの人事を認めているとされる。 最高権力者から見れば、検察捜査さえも、権力争奪ゲームの有力な駆け引き材料なのだ』、「東京地検特捜部のIR汚職捜査だ。二階派の秋元氏が逮捕され、「菅―二階」陣営が直撃されただけではない。菅氏にとってより大きな打撃は権力基盤だった検察に対するグリップが効かなくなったことだ」、「菅氏にとっては、検察のIR汚職事件や側近の河井夫妻の公選法違反捜査が本格化するタイミングで、“天敵”ともいうべき人物が事実上の検察トップに座るのだから脅威だろう」、新たな「検察」がどこまで本気で捜査するか、大いに注目される。

第三に、2月1日付けYahooニュースがFRIDAY DIGITAL記事を転載した「安倍総理の親衛隊「官邸ポリス」のリークで自民党議員の疑惑続出?」を紹介しよう。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200201-00000008-friday-soci
・『1月20日、通常国会が召集された。疑惑の渦中にいる議員たちも登院したが、捜査中であることを理由に、誰も何も説明をしようとしなかった。昨年から今年にかけて相次ぐ自民党議員の不祥事――。その背後で安倍晋三総理の親衛隊「官邸ポリス」が出動中だという。 「その組織は警察庁幹部と有力OBで構成され、政権を背後で支えています。実態はベールに包まれていますが、組織のトップは杉田和博・官房副長官で、実権を握るのは北村滋・国家安全保障局長(前・内閣情報官)とされています」(全国紙政治部記者) 彼らは警察組織を動員して情報を集め、ときには民間の調査会社も活用して、政権のダメージとなる兆候を事前に掴んで潰す、危機管理のプロだ。だが、今回の場合は、あえてメディアを使ってスキャンダルを仕掛けたという見方がある。 「昨年の内閣改造で菅義偉官房長官は、自身と近い菅原一秀氏を経産相、河井克行氏を法相として入閣させました。取り巻きを大臣にした菅氏に『総理になりたい』という色気が出てくるのも当然でしょう。しかし、安倍総理にとっては、既定路線である岸田(文雄)政調会長への禅譲が思うようにいかなくなる。 そんななか、両大臣の疑惑が次々と報じられて、二人は辞任しました。それだけでなく、菅氏の腹心である和泉洋人・首相補佐官も女性技官との京都旅行が報じられた。これはがメディアに情報をリークした可能性が高いと考えられます」(ジャーナリストの伊藤博敏氏) 要するに「官邸ポリス」とは、安倍総理の親衛隊として、安倍総理と菅官房長官の力関係が微妙になれば、菅官房長官の力を削ぐ方向に動く。そのときのために、常日頃、ありとあらゆる情報を収集している。 「恐ろしい話ですが、実際に日本は『警察国家』になりつつあります。昨年6月に施行された『改正通信傍受法』で、警察は裁判所が出した令状があれば、警察署内からリアルタイムで他人の通信を傍受できるようになりました。また、監視カメラの映像を差し押さえれば、行動も容易に知ることができます。こうした情報を『官邸ポリス』が『悪用』しないとは限らないのです」(伊藤氏) 犯罪抑止のための警察情報が政敵を倒すために悪用されたら、民主主義は成り立たない。日本はとんでもない方向に進み始めたのかもしれない』、「安倍総理を支える『官邸ポリス』」、「犯罪抑止のための警察情報が政敵を倒すために悪用されたら、民主主義は成り立たない。日本はとんでもない方向に進み始めたのかもしれない」、明らかにやり過ぎだが、官邸内での警察畑の優遇をみると頷ける。恐ろしい時代になったものだ。
タグ:yahooニュース Newsポストセブン 日本の政治情勢 FRIDAY DIGITAL (その40)(安倍VS菅「官邸内政局」がIRスキャンダルの背景に、IR汚職捜査 安倍首相・菅官房長官の権力バランスに大きな影響、安倍総理の親衛隊「官邸ポリス」のリークで自民党議員の疑惑続出?) NEWSSOCRA 「安倍VS菅「官邸内政局」がIRスキャンダルの背景に」 小塚かおる 菅官房長官追い落としが政権弱体化を招いた皮肉 中国」といえば政界で太いパイプを持つのは、自民党の二階俊博幹事長だ。秋元議員も二階派所属。まるで二階幹事長がターゲットかのようないかにも永田町らしいキナ臭い噂 背景にあるのは「ポスト安倍」をめぐる権力闘争 秋の人事では二階氏を交代させその岸田氏を幹事長に据えようとした 今後もキングメーカーでいたい二階幹事長は盟友の公明党とも組んで安倍首相に「交代というなら憲法改正は協力しない」などと徹底抗戦し留任を勝ち取った 「官邸が二階つぶしのために仕掛けた」 安倍首相や周辺の側近らが菅氏への警戒心を強めてきていた 系列2人の閣僚の公選法違反疑惑による辞任 安倍首相は「内心は菅氏の求心力低下を安堵し、ほくそ笑んでいた」 「桜を見る会」問題で安倍首相は一気に窮地に 安倍首相は、この危機管理について、不信感を抱いている菅氏に任せずに周辺の側近らと対応してしまった 国民を納得させられる説明ができず、逆にあれこれ喋りすぎたことで新たな矛盾も出て、むしろ火に油を注ぐ形に 菅氏もまた、安倍首相やその周辺ときちんと打合せをすることなく記者会見や国会答弁に臨んでいるため、発言や説明に齟齬を来たし、ますます墓穴を掘ることになってしまった 第2次安倍政権が7年の長期に渡って続いた理由の一端には、安倍-菅ラインでの危機管理が機能していたことがあった いまや菅氏は記者会見で答えに詰まり、事務方からメモを差し入れられるほどにボロボロ 菅氏に、なんと安倍首相に自分を切ろうとした怒りを抱いている二階氏が接近 「安倍・岸田vs二階・菅」 安倍首相が望んだ菅氏の求心力低下。しかしそれは結果的に、さらに複雑な権力闘争を生み出し、安倍政権の弱体化に直結するという皮肉となっている 「IR汚職捜査、安倍首相・菅官房長官の権力バランスに大きな影響」 首相が菅氏を後継首相候補の1人に名指ししたのは初めて “こいつは総理を狙っているぞ。もっと叩いていい”とけしかけているように聞こえる 河野氏は次期首相候補として支持率を上げている存在。外した理由として挙げられるのは、菅官房長官への牽制 安倍首相が河野氏と進次郎氏を外し、菅氏を総理候補にあげたのは、菅氏への牽制効果を十二分に計算したうえでの発言 首相が“イエスマン”の岸田氏を幹事長に起用して「安倍傀儡政権」のレールを敷こうとしたのに対し、菅氏は二階俊博・幹事長と手を組んで岸田幹事長構想をつぶし、二階留任を認めさせた 安倍―菅の権力バランスに決定的な影響を与えたのが東京地検特捜部のIR汚職捜査だ 菅氏にとってより大きな打撃は権力基盤だった検察に対するグリップが効かなくなったことだ 菅氏に近く、政界捜査の“ストッパー役”とみられてきた検察ナンバー2の黒川弘務・東京高検検事長が2月に退官し、後任に菅氏の“天敵”ともいえる林真琴氏(現・名古屋高検検事長)が就任して政界捜査をコントロール 「安倍総理の親衛隊「官邸ポリス」のリークで自民党議員の疑惑続出?」 安倍晋三総理の親衛隊「官邸ポリス」 警察庁幹部と有力OBで構成され、政権を背後で支えています 彼らは警察組織を動員して情報を集め、ときには民間の調査会社も活用して、政権のダメージとなる兆候を事前に掴んで潰す、危機管理のプロだ 今回の場合は、あえてメディアを使ってスキャンダルを仕掛けたという見方 菅氏の腹心である和泉洋人・首相補佐官も女性技官との京都旅行が報じられた。これはがメディアに情報をリークした可能性が高い 実際に日本は『警察国家』になりつつあります。昨年6月に施行された『改正通信傍受法』で、警察は裁判所が出した令状があれば、警察署内からリアルタイムで他人の通信を傍受できるようになりました 犯罪抑止のための警察情報が政敵を倒すために悪用されたら、民主主義は成り立たない。日本はとんでもない方向に進み始めたのかもしれない
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