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”ひきこもり”問題(その8)(「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪、氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある、「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉) [社会]

”ひきこもり”問題については、昨年12月15日に取上げた。今日は、(その8)(「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪、氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある、「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉)である。

先ずは、ジャーナリストの池上正樹氏が本年1月9日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/225361
・『「そのままでいいんだよ」で本当にいいのか  「引きこもりは家から外に引き出すべき」 いまだに親や支援者の間には、そんな錯覚が根強く残る。 昨年12月22日、東京大学で開かれたシンポジウム「発達障害とひきこもり」の場でも、象徴的なシーンがあった。 「家の中は“安心”だから“そのままでいいんだよ”という環境づくりで、本当にいいのでしょうか?」 筆者ら登壇者たちの話に対し、都内の若者就労の支援者とみられる人からそう質問された。 「社会で傷つけられて恐怖を感じている当事者は、自宅以外に“居場所”がないという現実の中で外に連れ出されたら、いったいどこに行けばいいのでしょうか?本人の不安が取り除かれるまで、親として安心の場を保障してあげることは大事です」 そんな趣旨の話をしたら、「実践的に、部屋に食事を届けるとか、ゲームをずっとやっていてもOKなのか?」「当事者のやりたいようにやらせておいていいのか?」と、しつこく聞いてきた。 もちろん、この支援者の言うように介入は必要だ。しかし、その矛先が違う。生きるだけで精いっぱいの子の意識を変えようとするのではなく、憔悴した家族を支えて行かなければいけない。 多くの親は相談に来ると、最初のころ「私ではなく、子どものほうを支援してほしい」「引きこもる子を外に出してほしい」などとよく言ってくる。しかし、当事者の中には、しんどさを紛らわすためにゲームで現実逃避せざるを得ない人もいる。それぞれの置かれた状況を受け止め、本人の目線に立って理解しなければならない。 従来の「ひきこもり支援」施策が失敗続きだったのは、こうした親の意向を鵜呑みにし、本人の意思を無視して外に出し、意識が変わるまで自己分析を迫る洗脳的手法など、トレーニングの対象にしてきた支援者が多かったことにある。親には「事件になるぞ」と脅したり、本人を嘘で騙したりして外に連れ出すことが目的の“引き出し屋”と呼ばれるビジネスも、その延長戦上にある。 「働きかけるタイミングとか、あると思うんですが…」 実践論の答えを求めて、そう食い下がる支援者に、登壇者の1人で精神科医の斎藤環氏は遮るように、こう言い返した。 「“やりたい放題やってるじゃないか”と親が思ってるということ自体、子どもと対話ができていない。親が対話をしていれば、子が苦しくてゲームしていることも理解できるはず。言えるのは、対話をしてくださいということだけです」』、「従来の「ひきこもり支援」施策が失敗続きだったのは、こうした親の意向を鵜呑みにし、本人の意思を無視して外に出し、意識が変わるまで自己分析を迫る洗脳的手法など、トレーニングの対象にしてきた支援者が多かったことにある」、確かに「“引き出せばいい”」というのは錯覚なのだろう。「“引き出し屋”と呼ばれるビジネス」、悪どいビジネスもあったものだ。
・『水面下で生きる当事者たちの声にどう耳を澄ませるか  「ひきこもり支援」における支援のトレンドは、最近、間違いなく変わってきた。 支援者が「引きこもることのできない家庭にしましょう!」などと親に呼びかけたら、社会に本人の思いを受け止める受け皿がまったくない中で、命のリスクにもつながる。親のニーズがどんなにあっても、本人の意向を無視したやり方は、“成果”が出ないし、見合わない。 引きこもる背景や苦しみは、精神疾患や発達障害といった一面ではなく、見過ごされてきた多様性がある。その見えなかった多様さは、当事者たち自身が声を出して発信し始めたことにより、生み出されたうねりだ。支援者に求められているのは、こうして見えにくい水面下で生きている当事者たちの声に、どう耳を澄ませるのかではないのか。 引きこもり支援歴40年以上で、いわば引きこもり支援のレジェンドともいえる、一般社団法人「OSDよりそいネットワーク」共同代表で、一般社団法人「SCSカウンセリング研究所」代表の池田佳世さんは、「介入すべきは親に対して」だとして、親の学習会に力を入れてきた。) 「親は自分の意見を一切言わず、子の話をよく聞き、安心オーラを与えると、最初はひどいことも言うかもしれないし、長い道のりだけど、子は自然に話してくれるようになる。子がやりたいと言っていることが一番正しい。これから自分が歩いていく道しるべなんですね」』、「介入すべきは親に対して」、その通りなのかも知れないが、「子がやりたいと言っていることが一番正しい」、との絶対視には違和感を感じる。「子がやりたいと言っていること」も変化する筈なのではなかろうか。
・『介入は嘘で騙したり脅したりすることではない  池田さんは「親の価値観は、もはや時代遅れ」だと指摘する。 「子どもは言葉を失っていることが多い。言葉を出してあげられるのは、家庭でしかできない。ご両親がわかってあげてほしいと、ご両親に一生懸命申し上げている」 親が自分の枠を広げられれば、子も成長できる。一時、危ういことがあったとしても、外からいろんなことを言われても、親がしっかり支えてあげることが、子にとってはいちばんの土台になると、池田さんはいう。 介入するうえで大事なのは、親の側に立つことではなく、子の味方になることだ。 その目的は、嘘で騙したり、脅したりして、本人を外に連れ出すことではない。 この記事や引きこもり問題に関する情報や感想をお持ちの方、また、「こういうきっかけが欲しい」「こういう情報を知りたい」「こんなことを取材してほしい」といったリクエストがあれば、下記までお寄せください。 Otonahiki@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)・・・』、ひきこもり問題は、親子関係、特に親に問題がある場合が多そうだ。

次に、1月20日付け東洋経済オンライン「氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/325349
・『とっぷりと日が暮れた頃、部屋には続々と「ゲーム好き」が集まってきた。淡々とゲームに興じる人、自分の順番がくるのを静かに待つ人、ゲームはしないのにいつもいる人――。 長野県上田市にある若者サポートステーション・シナノ(以後、サポステ・シナノ)が毎月第3土曜日に実施しているRPG(ロール・プレイング・ゲーム)ナイト。10代から30代のゲーム愛好家たちが集まる「定例会」とも言うべき月1回の集まりだ。 「不登校やひきこもりは自室に籠もってゲームばかりしている」「他者とのコミュニケーションが苦手だから、1人の世界に閉じこもっている」――。そう言われ続けてきた彼らが、どうしたら社会との接点をつくれるか。サポステ・シナノが考え出したのがRPGナイトだ』、逆転の発想のようだ。
・『いっそのこと思う存分ゲームを  ゲーム以外の経験値が極端に少ない彼らをゲームから引き離すことは当人も周りも心身面の負担が大きい。「いっそのこと、みんな集めて思う存分ゲームを楽しんでもらう場を作ってはどうか」。きっかけは、半ば冗談のようなスタッフの一言だった。 2時間のうち1時間はゲームの紹介、残り1時間は実際にゲームで遊ぶというのが決まり事。「こういうゲームなんです」と口頭で紹介する人もいれば、ウィキペディアで用語解説しながら説明する人、パワーポイントを使って解説する人までいる。普段、自分の話を聞いてもらえる機会がない彼らにとって、RPGナイトは注目を浴びる場でもある。 参加者の中には、ゲームはやらないのに毎回参加してくる人がいる。ゲームを紹介する人の話をただ聴き、誰かがゲームで遊ぶのを黙って観ているだけ。毎月欠かさず参加しているその人に、サポステ・シナノの藤井雄一郎さんがある時「ゲームやらなくても楽しいの?」と聞いた。すると「楽しいですよ」と返ってきた。藤井さんはそれ以上何も聞かなかった。 不登校経験者やひきこもりの人が多いRPGナイト。普段は人と接する機会が少ない人々の集まりだが、ここには会話がなくとも確実に「他者」がいる。お菓子や飲み物、コントローラーを隣の人に回すありきたりな場面にも何気ない気遣い、声掛けが生まれている。 「ひきこもりのゲーム好きというと、世間からは『周囲と接点を持たず、自分の世界にだけ籠もっている人』と見られてしまいがち。だけど彼らは体験や感動を共有したいと思っているのではないか。ゲームをしにきているという名目の下で、実は彼らは周囲とコミュニケーションを取りたがっているのだと思う」(藤井さん)』、「普段、自分の話を聞いてもらえる機会がない彼らにとって、RPGナイトは注目を浴びる場でもある」、「ここには会話がなくとも確実に「他者」がいる」、確かにいい取り組みのようだ。
・『1本1000円の動画編集からスタート  ひきこもり支援というと、多くのビジネスパーソンが送っているような日常の「型」に、当人をどう近づけるかが課題とされてきた。朝起きて、満員電車に乗って出勤し、日中は働き、帰宅して夜には寝るというもの。だが、あらゆる職域でIT化が進み、それに応じた働き方改革も進んでいる現代では、従来の型に当てはめるだけが解決策ではなくなっている。 不登校やひきこもりを経験した東京都内在住の女性Aさん(23歳)は今、自宅で動画の編集をしながら収入を得ている。クライアントから依頼された動画にテロップや効果音、BGMを入れる編集作業を1本こなすごとに1000円の収入を得る。 「もともと周囲のペースについていけないところがあったんです。今、自分がやるべきことの意味を理解し、どう動けばいいのかを判断して実際に動き出すまで周りの人より多くの時間を要していました。高校3年になって周囲が受験モードに突入していくと、ついに学校に行けなくなってしまいました」(Aさん) Aさんには、精神的に追い詰められると眠ってしまうという体質があった。緊張するとあくびが出る人は一定数いるが、Aさんの場合はストンと眠りに落ちてしまう。授業についていけず眠ってしまうAさんの姿は、教師や周囲の目に「緊張感がない」「真剣に考えていない」と映ってしまっていた。実際はその逆であるにもかかわらず、理解されなかった。 「家を出て最寄り駅までは歩いていけても電車に乗れない。駅のホームにあるトイレに入っていき、授業が終わる時間まで籠もっていたこともありました」(Aさん)。 高校3年の春以降、不登校になったAさんは通信制の高校に転学。卒業後はひきこもり支援をするNPO法人で寮生活を送る。寮生活中、探していたのは「自宅でできる仕事」だった。2年後、認定NPO法人・育て上げネットの就労支援プログラム「ジョブトレIT」にたどりつく。2019年4月から4カ月間の講義を受け、動画編集の仕事につなげた。 「税金関係の仕事をしている両親からは、雇われない働き方は社会保険料などの負担が重くて大変だと強く諭されました。でも、私にとっては自分のペースで生きることの方が大事だった」(同) 現在請け負っている動画の編集は月に40本請け負ったとしても月収は4万円で、生活していくには少ない。だが、この4万円がベースにあれば、もう1つの仕事を持とうとする際に多少は収入が落ちても心身への負担が小さい仕事を選べるかもしれない。育て上げネットの「就職支援」ならぬ「就労支援」の意義は、そこにある』、「精神的に追い詰められると眠ってしまうという体質」、確かに周囲には誤解を与える体質だ。医者に診断してもらって、本人や両親が学校に説明して誤解を解いてもらう他なかろう。「クライアントから依頼された動画にテロップや効果音、BGMを入れる編集作業を1本こなすごとに1000円の収入を得る」、1000円とは安すぎる気もするが、「就労支援」で仕事が見つかっただけでもよかったのだろう。
・『就労支援に共鳴する企業も  育て上げネットの就労支援に共鳴するIT企業がある。東京都中央区のディースタンダードだ。育て上げネットからのインターンを受け入れ始めたのは10年ほど前で、現在30人の「卒業生」が従業員として働いている。 仕事の主な内容はパソコンの初期設定であるキッティングだ。手順書に沿って作業を進めていくため、基本は1人で黙々と作業を進めることができる。が、なかには年下に指示をされることを嫌がったり、他人と比較して「自分にはできない」と悲鳴をあげ、インターン2日目から出て来られなくなったりする人もいる。そんな時、取締役の池田千尋さんは自宅まで迎えに行った。場合によっては育て上げネットと連携をとった。 「〇〇さん、今日、会社で叱られてしまい、もしかしたら明日は出社できないかもしれない。こちらには言いにくい本人の悩みもあるだろうから、そちらで話を聞いてやってほしい」。そうした連絡だ。池田さんは「大切にしているのは情報の共有。本人が働き続けられるように周囲が情報を共有し、連携しながらサポートしていく体制を作ってきた」と言う。 課題は新しい環境に慣れる力、そして続ける力だ。「ひきこもりを経験した人は、新しい環境に慣れるのにエネルギーがいる。ただ、最初のハードルさえ乗り越えることができれば、後はまっすぐに成長していける人が多い。自分が苦労してきた分だけ他人にやさしくできるし、孤立してきた分だけ会社への帰属意識や所属意識が強い。だから最初のハードルを越えられるよう支えていくことが大切なんです」(池田さん)。 働き続けることができればスキルが上がっていく。キッティングからスタートし、ワンランク難しいネットワークの保守点検、さらに難易度が高いサーバー構築やアプリ開発までこなせるようになった人が、同社では活躍している』、「ディースタンダードだ。育て上げネットからのインターンを受け入れ始めたのは10年ほど前で、現在30人の「卒業生」が従業員として働いている」、なかなかいい取り組みだ。
・『やり遂げたという経験  法人向けIT人材派遣会社に勤務しているBさん(33歳)。2011年に教育系大学を卒業し、しばらく就職活動を続けていたが、家庭環境の悪化がきっかけで家にひきこもるようになる。生き甲斐だったバンド活動も休止し、メンタルクリニックにも通い始めた。道が拓けたのは、育て上げネットの「ジョブトレIT」を受講したことだった。 育て上げネットで、ビル清掃やチラシの折り込み作業など実社会で働くためのトレーニングを積んだが、大きな経験になったのはチームで1つのプログラム開発を成し遂げたことだった。プログラミングの基礎を学べたというだけでなく「自分たちで何かをやりとげたという経験が大きな糧になった」(Bさん)という。 インターン行きを決意するまでには「数カ月かかった」と苦笑いする。背中を押してくれたのは育て上げネットスタッフの平松あす実さんの一言だった。「もし上手くいかなかったら、またチャレンジすればいい」。 インターン訪問した企業で働き始めて3年が過ぎた。今では後輩たちの悩みの「聞き役」になることも多い。適切な対応ができる支援団体や企業のサポート、そして本人の意思。ひきこもり経験者が実社会に出ていくには様々の人々の助けが必要だ。うまくいけば、ひきこもりを経験してきた人ならではの存在感を発揮しうるだろう』、「支援団体や企業のサポート」がさらに広がってゆくことを期待したい。

第三に、1月11日付けAERAdot「「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2020010900012.html?page=1
・『リアルな心理描写で社会の闇を浮き彫りにしてきた作家の桐野夏生さん。長年、教育行政に携わってきた前川喜平・元文部科学事務次官。ふたりは昨今の若者が抱える問題に危機感を募らせる。子どもの教育、不登校、貧困問題などをどう見るのか』、興味深そうな対談だ。
・『桐野:ひきこもりの人たちは、どんなきっかけがあれば出てこられるとお考えですか。 前川:私はいま自主夜間中学のボランティアスタッフなんですが、ここには40代の男性で、十数年ひきこもりだった人がいます。ひきこもりを脱した直接的なきっかけはわからないですが、自主夜間中学があるということを聞いて、行ってみよう、という気になったみたいで。それで学校に来始めたら楽しくて、ずっと通い続けているんですよね。夜間中学には叱る人もいないし、変に介入する人もいないし、ありのまま素のままでいられるから、居心地がいいらしい。 こういう場所が、社会に一本立ちして出ていけるきっかけになるんじゃないか、と思うんです』、前川氏が「自主夜間中学のボランティアスタッフ」をやっているとは感心した。
・『桐野:中学までの義務教育を十分受けられなかった人が世の中にたくさんいる、ということですね。 前川:ええ、理由として多いのは、貧困、虐待、不登校。貧困は年配の方に多いです。戦後、新制中学に通えなかったという人ですね。私がこの2年の間に友達になった人で、「セーラー服の歌人 鳥居」という人がいます。文学賞も取った素晴らしい歌人なんですけど、公式の場ではセーラー服を着ているんです。 私はペンネームの鳥居という名前しか知りませんが、この人は母子家庭で育って、小学校のときにお母さんが自殺して、児童養護施設で虐待を受けた。ホームレスだったこともある。そういった事情で中学へはほとんど行けなかったそうです。 彼女がなぜセーラー服を着ているかというと、中学校に行きたかった、今からでも行きたいんだ、という気持ちを表している。しかも、それは自分のことだけではなくて、中学校に行きたかったけど行けなかった人が世の中にたくさんいることを知ってほしいという』、「中学へはほとんど行けなかった」が、「文学賞も取った素晴らしい歌人」とは大したものだ。
・『桐野:学校に行きたくても行けなかった人がいる一方で、不登校も増えている。 前川:不登校に関しては、私は学校のほうに責任があると思うんです。今、学校がものすごく居心地の悪い場所になっている。例えば道徳が「特別の教科」として格上げになりました。教育勅語も安倍政権のもとで閣議決定まで行われていて、学校の教材として使っていい、ということになっている。さすがに公立学校で教育勅語を教材に使ったというケースは聞いていませんが、これから出てくる恐れはあります。森友学園の幼稚園では暗唱させていましたね。 とにかく上から抑えつけるような“押し付け道徳”が復活してきていて、全体のために自分を捨てることがいいことなんだという滅私奉公みたいな考え方が復活してきている。 桐野:軍隊や企業とか、組織に従順であれ、という教育ですよね。それが家父長制の家族に結びついて、全く今の状況と合わないのに、なんでそんなアナクロニズムなことをするんでしょう。 前川:私はやはり今の政権を担っている一人ひとりが、自己肯定感を持ってないからじゃないか、と思う。自分に自信がない人っていうのはより大きなものにすがろうとしますから、強い権力や大きな権威というものと一体化することによって、実態のない安心感を得ているんじゃないかと。 桐野:大きなものというのは、つまり日本人であることですとか、日本国であるというナショナリズムに結びつくわけですね。 前川:だからヘイト的になったりするんじゃないかと。 桐野:「企業の一兵士として、企業のために働け」という発想が今なお残っていることが、大人の自己承認欲求が満たされないことにつながっていると思います。だから家で威張るようになる。すごく問題を生んでいます。 子どもの貧困の対策は、どうなっているんでしょう。最近無償化されたのは、幼児教育ですか? 前川:幼児教育については昨年10月から始まり、今春から大学の一部でも始まります。ただね、この安倍内閣の幼稚園と大学の無償化については非常に問題があると思っています。幼児教育を無償にするお金があるんだったら、まずは保育士と幼稚園教諭の待遇を良くしないと、あの人たちも結婚して子どもを産むことができません』、「不登校に関しては、私は学校のほうに責任があると思うんです。今、学校がものすごく居心地の悪い場所になっている」、との前川氏の指摘はその通りなのだろう。「教育勅語も安倍政権のもとで閣議決定まで行われていて、学校の教材として使っていい、ということになっている」、要注意だ。「安倍内閣の幼稚園と大学の無償化については非常に問題があると思っています。幼児教育を無償にするお金があるんだったら、まずは保育士と幼稚園教諭の待遇を良くしないと、あの人たちも結婚して子どもを産むことができません」、これもその通りだ。
・『桐野:順番が違いますね。 前川:しかも貧困家庭の場合には、もともと保育料全額免除制度があったから、無償化でメリットが増えるわけじゃない。それに無償というのは全員タダになるわけですから、大金持ちの人もタダになる。つまり貧困層には恩恵がなくて、富裕層には恩恵があるわけですから、むしろ格差を広げているんですよ。 桐野:今の状況が少しでも良くなればいい、と思うのですが、物書きはただ見て、そこに生きている人を書こう、と思うだけです。それにしても、暗いテーマしか思いつかないですね。 前川:それでも、ぜひ書いていただきたい。時代を直視する、ということは大事なことだと思います。政治家が見ている世界は、まだ「標準家庭」が残っているごく一部の世界だと思う。 もっと実態を知らないと、社会を良くすることはできません。多くの人たちが見えない部分を見えるようにしてあげるということは大事だと思う。そういう意味でも、桐野さんの本を読んでもらわなくちゃいけない。安倍さんにも読んでもらいたいですよ。 桐野:ありがとうございます。私は書くことしかできないので、これからも書き続けます。若い男性の荒廃をテーマにした小説を、まもなくこの週刊朝日誌上で始めます。 前川さんの2020年の目標は何ですか? 前川:「アベと共に去りぬ」。今、各地の講演に呼ばれて“フーテンの寅さん”みたいな生活をしているんですが、私の話を聞きたい、という人には、今の政権が好きじゃない人たちが多い。安倍さんが退陣すれば、もう私を呼ぶ必要もなくなりますから(笑)』、「前川さんの2020年の目標・・・「アベと共に去りぬ」」、ユーモアも一流だ。
タグ:「アベと共に去りぬ」 前川さんの2020年の目標 幼児教育を無償にするお金があるんだったら、まずは保育士と幼稚園教諭の待遇を良くしないと、あの人たちも結婚して子どもを産むことができません 安倍内閣の幼稚園と大学の無償化については非常に問題がある 今の政権を担っている一人ひとりが、自己肯定感を持ってないからじゃないか、と思う。自分に自信がない人っていうのはより大きなものにすがろうとしますから、強い権力や大きな権威というものと一体化することによって、実態のない安心感を得ているんじゃないかと 教育勅語も安倍政権のもとで閣議決定まで行われていて、学校の教材として使っていい、ということになっている 不登校に関しては、私は学校のほうに責任があると思うんです。今、学校がものすごく居心地の悪い場所になっている 文学賞も取った素晴らしい歌人 セーラー服の歌人 鳥居 理由として多いのは、貧困、虐待、不登校。貧困は年配の方に多いです 自主夜間中学のボランティアスタッフ 「「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉」 AERAdot 支援団体や企業のサポート 「ジョブトレIT」を受講 育て上げネット やり遂げたという経験 ディースタンダードだ。育て上げネットからのインターンを受け入れ始めたのは10年ほど前で、現在30人の「卒業生」が従業員として働いている 就労支援に共鳴する企業も 1本1000円の動画編集からスタート ここには会話がなくとも確実に「他者」がいる 普段、自分の話を聞いてもらえる機会がない彼らにとって、RPGナイトは注目を浴びる場でもある いっそのこと思う存分ゲームを 毎月第3土曜日に実施しているRPG(ロール・プレイング・ゲーム)ナイト サポートステーション・シナノ 「氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある」 東洋経済オンライン 介入は嘘で騙したり脅したりすることではない 「介入すべきは親に対して」だ 水面下で生きる当事者たちの声にどう耳を澄ませるか 親には「事件になるぞ」と脅したり、本人を嘘で騙したりして外に連れ出すことが目的の“引き出し屋”と呼ばれるビジネスも、その延長戦上 社会で傷つけられて恐怖を感じている当事者は、自宅以外に“居場所”がないという現実の中で外に連れ出されたら、いったいどこに行けばいいのでしょうか?本人の不安が取り除かれるまで、親として安心の場を保障してあげることは大事です 「そのままでいいんだよ」で本当にいいのか 「「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪」 ダイヤモンド・オンライン 池上正樹 (その8)(「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪、氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある、「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉) ”ひきこもり”問題
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