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日本の政治情勢(その41)(「トンデモ閣議」乱発の背景に首相のメンツや閣僚失態隠し、政権に近い黒川東京高検検事長 "異例"の定年延長の背景は、小田嶋氏:「募集」と「募る」の違いはどうでもいい) [国内政治]

日本の政治情勢については、2月1日に取上げたばかりであるが、今日は、(その41)(「トンデモ閣議」乱発の背景に首相のメンツや閣僚失態隠し、政権に近い黒川東京高検検事長 "異例"の定年延長の背景は、小田嶋氏:「募集」と「募る」の違いはどうでもいい)を取上げよう。

先ずは、1月31日付けNEWSポストセブン「「トンデモ閣議」乱発の背景に首相のメンツや閣僚失態隠し」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20200131_1534048.html
・『安倍長期政権は国会の議決がいらない、いわば“安倍勅令”ともいえる「閣議決定」を乱発して行政府の役人たちを従わせ、政権の不祥事にフタをして思うままに政治を進めようとしている。 例えば、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」に反社会的勢力とみられる人物が出席していた問題では、「定義が困難」というという理屈で反社対策に力を入れる政府方針に逆行する前代未聞の閣議決定をした。 また、小泉進次郎・環境相の国際会議での意味不明な「セクシー」発言についても、〈正確な訳出は困難であるが、例えば、ロングマン英和辞典(初版)によれば、「(考え方が)魅力的な」といった意味がある〉(2019年10月15日)といった政府の正式な解釈まで閣議決定された。 いずれも、野党の質問主意書に対する答弁書として閣議決定され、安倍首相名で国会(衆院議長)に提出されたものだが、答弁書の文言を作成するのは官邸や内閣府の事務方で、内容に応じて所管省庁が下書きをするという。 役人が答弁書を下書きする以上、絶対に首相に恥をかかせるわけにはいかない。とくに安倍首相は論戦で負けるのも、謝るのも大嫌いだ。 安倍首相はかつて党首討論で、志位和夫・日本共産党委員長からポツダム宣言の条文について質問され、「まだその部分をつまびらかに読んでおりません」と答弁したことがある。日頃、目の敵にしている共産党に背中を見せたことがよほど悔しかったのだろう。質問主意書で質されると、こんな閣議決定が。 〈安倍内閣総理大臣は、ポツダム宣言については、当然、読んでいる〉 恥をかかせてはならないのは大臣も同じだ。島尻安伊子・元沖縄北方相が記者会見で北方領土の一つ、「歯舞(はぼまい)」を「えー、何だっけ」と読めなかったことがある。だが、閣議決定では、〈同大臣が「歯舞」の読み方を知らないという事実はない〉と、いつの間にか読めることにされた。 こうしたやり方で、首相や大臣たちの失言は、訂正されないまま「閣議決定」でどんどん正当化されている』、「失言」隠しのために「閣議決定」を乱発するとは悪辣だ。「“安倍勅令”」とはまさに言い得て妙だ。
・『安倍首相は安保法制が審議された参院予算委員会(2015年)で、自衛隊を「わが軍」と呼んだ。口が滑ったのだろうが、「自衛隊は軍隊ではない」とする従来の政府解釈との矛盾が指摘されると、国会答弁を訂正するのではなく、こんな答弁書を閣議決定している。 〈自衛隊は、憲法上自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものであると考えているが、(中略)国際法上、一般的には、軍隊として取り扱われるものと考えられる〉 こうして自衛隊は“晴れて”軍隊となった。 麻生太郎・副総理兼財務相の失言も閣議決定で“救済”された。2018年に財務省で発覚した福田淳一・事務次官(当時)の女性記者へのセクハラ問題について、麻生氏は「セクハラ罪っていう罪はない」と庇って批判を浴びた。政府はこの発言についてどう閣議決定したか。 〈セクシュアル・ハラスメントが、刑法第百七十六条(強制わいせつ)等の刑罰法令に該当する場合には、犯罪が成立し得るが、その場合に成立する罪は、(中略)強制わいせつ等の罪であり、お尋ねの「セクハラ罪」ではない〉 麻生氏は“間違ったことは言っていない”ことになる。 閣議決定で日本語の言葉の定義を書き換えたこともある。 国会が紛糾した2017年の「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法案)の審議では、安倍首相が共謀罪の対象について「そもそも犯罪を犯すことを目的としている集団でなければならない。これが(過去の法案と)全然違う」と答弁。野党から「オウム真理教はそもそもは宗教法人だから対象外か」と問われると、首相は「『初めから』という理解しかないと思っているかもしれないが、辞書で念のために調べたら『そもそも』には『基本的に』という意味もある」と主張した』、国会での答弁が、「閣議決定」により簡単に塗り変えられるのであれば、国会審議の意味は大きく損なわれる。
・『しかし、どの辞書にもそんな意味は載っていないと質問主意書で指摘されると、政府は閣議決定で次のように定義したのである。 〈「大辞林(第三版)」には、「そもそも」について、「(物事の)最初。起こり。どだい。」等と記述され、また、この「どだい」について、「物事の基礎。もとい。基本。」等と記述されていると承知している〉 政府は、そもそも→どだい→基本という三段論法で、安倍首相の言う通り、「そもそも」という言葉には「基本的に」という意味があるという日本語の新解釈を閣議決定した。 いかに安倍首相のメンツや失態隠しのためにいい加減な「閣議決定」が乱発され、役人たちの膨大な労力が使われているかがわかる』、「役人たちの膨大な労力が使われている」のは確かだ。「閣議決定」によるのではなく、本来の「訂正」で修正すべきだろう。

次に、2月4日付け東京新聞「政権に近い黒川東京高検検事長 "異例"の定年延長の背景は」を紹介しよう。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/202002/CK2020020402100028.html?ref=rank
・『黒川弘務東京高検検事長(62)の定年が半年間延長された問題が波紋を広げている。検察庁法は検察官の定年を六十三歳、検事総長は六十五歳と規定。首相官邸に近いとされる検察ナンバー2の黒川氏を検事総長に据えようと、政府が異例の措置を取ったとの見方が出ている。ただ、この手法が認められるなら何でも許されることになり、各方面から疑問の声が上がっている。 「検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、引き続き勤務させることを決定した」。黒川氏の定年延長を決めた先月三十一日の閣議終了後、森雅子法相は記者会見でそう説明した。 黒川氏は今月八日で六十三歳になる。このため、四月に開かれる国際会議終了後に退くとの見方がある稲田伸夫検事総長(63)の後任には、七月で六十三歳を迎える林真琴名古屋高検検事長(62)が就くとの見方があった。 黒川氏は捜査現場よりも法務省勤務が長く、政治家との付き合いが多かったことから、法務・検察の中でも政界と関係が深いといわれる。二〇一六年九月に官房長から法務次官に就任した際は、地方の高検検事長に転出する案が、官邸の意向でひっくり返ったとの臆測が飛び交った』、2月1日付けのこのブログで、「IR汚職捜査、安倍首相・菅官房長官の権力バランスに大きな影響」を紹介したが、これはもともと黒川氏が定年退官するとの観測で書かれたものだった。しかし、こうした観測が異例中の異例の「閣議決定」により覆されたので、訂正する意味も込めて紹介した次第である。
・『今回の定年延長については「日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)の事件の指揮に当たらせるのでは」とみる向きはあるものの、当の本人はレバノンに逃亡し、これ以上の捜査は難しい。黒川氏がどれだけ優秀だとしても、現職に据え続けなければならない理由は考えられない。 この問題は三日の衆院予算委員会で取り上げられたほか、立憲民主党の枝野幸男代表は二日にさいたま市で行った講演で「(検察官の定年に)国家公務員法の規定を使うのは違法、脱法行為」と主張。元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士も「検察官は刑事訴訟法で強大な権力を与えられている。検察庁法に従うべきで、法令違反の疑いがある」と説く。 一方、元経産官僚の古賀茂明氏は「政界捜査に当たる検察官は、他の官僚と違って政治の方を向いて仕事をしてはいけない」としつつ、「政権が検察のトップを決める力を持っていると示した。頑張って捜査をしてもトップにつぶされるとなれば、検察全体に士気の低下をもたらす。政権中枢に迫るような捜査はかなり難しくなるだろう」と懸念する。 検察はこれまで、数々の国会議員による事件を手掛けてきた。古くはロッキード事件で田中角栄元首相、巨額脱税事件で金丸信・元自民党副総裁を逮捕するなどしている。最近もカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、衆院議員秋元司被告(48)=収賄罪で起訴=らを摘発し、政界へ切り込む姿勢は堅持している。 また、「桜を見る会」を巡っては、背任容疑で安倍晋三首相の告発状が東京地検に提出されている。その検察組織のトップ人事に介入しようとするような政権のやり方は許されるのか。 検察に詳しいジャーナリストの伊藤博敏氏は「公選法違反疑惑が浮上している菅原一秀前経産相、河井案里参院議員と克行前法相夫妻の問題に加え、秋元容疑者の逮捕で中枢に捜査が伸びるのではないかという恐れからやったのだろう。政権の傲慢さを改めて国民に知らせる結果になった」と断じた』、検察人事への見え見えの介入により、検察による「桜を見る会」やIR捜査などに大きな影響を及ぼす懸念が強まりそうだ。

第三に、コラムニストの小田嶋 隆氏が1月31日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「「募集」と「募る」の違いはどうでもいい」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00055/
・『書斎として使っている部屋のPCの横に、小型(19インチ)のテレビ受像機を置いている。 仕事をはじめる気持ちになれない時、私は、このテレビをつけておくことが多い。もっとも、音声はミュート(消音)したままだ。おそらく、画面の中を右に左に動いている人間たちを眺めることが、私にとって、窓を開けて空気を入れ替えることの代償になっているのだと思う。あまり健康的なテレビの使い方ではない。本当は外に出て、自分の足で町を歩くべきなのだ。それはわかっている。しかし、いつもわかっている通りにできるわけではない。 この2日ほどは、音量を上げて国会中継を視聴していた。 しばらくぶりに見る国会は、頽廃している。 私は、こう見えて、他人を軽蔑することに慣れていない。誰かを軽蔑せねばならない事態に直面すると、いつも大変に疲労する。そんなわけで、私は、現在、ひどく疲れている。 国会でかわされているやりとりが、日本国民の言語運用の水準をそのまま代表するものだと考えているわけではないのだが、それでも、現実に目の前で展開されている対話の空疎さには、やはり唖然とさせられる。 あのやりとりを聞いていると、自分たちの暮らしているこの世界が、足元から崩れて行く感覚に襲われる。学生の頃に連れて行かれた出来の悪い前衛芝居を見ていた時の気分に近い。中途半端に無意味な脚本は、観客を解釈の地獄にひきずりこむ。国会の質疑を見ているわれわれも、たぶん、同じタイプの地獄の中にいるのだと思う。 今回は、わたくしがこの2日間、国会中継をしっかりと視聴したなかにおいて、印象に残ったところを、いわば、書いてみようかと思っている、ところで、ございます。 とは言ってみたものの、私が国会を見たのは2日間の通算でたったの3時間ほどだ。 それ以上は無理だった。 わがことながらなさけない始末だ。 ただ、3時間で視聴から撤退せねばならなかったことは、自覚の中では、美意識の問題だと思っている。 「あ? 美意識?」と思った向きもあるはずだ。 「何を利口ぶっているんだか(笑)」「還暦を過ぎたじいさんが繊細ぶるのもたいがいにしてほしいもんだぜ」 うん。そう言いたくなる気持ちはわかる。 でも、私は、繊細ぶっているのでもなければ、被害者ポジションにあぐらをかいてぬくぬくしているのでもない。現実に、私は、国会中継を視聴しはじめてほんの1時間ほどで、すっかり気勢をそがれてしまったのだ。 大げさに聞こえるかもしれないが、このままこんな不毛な言葉のやりとりを聞き続けていたら、自分の言語感覚が二度と正常さを取り戻せなくなると、そう感じて、護身のためにテレビの電源を落としたのである。 良心的な板前が腐った魚をさばくミッションに耐えられないのと同じことで、言葉を扱う仕事に従事している私のような人間は、国会でやりとりされている腐敗した言葉を我慢することができない』、「護身のためにテレビの電源を落とした」理由が理解できた。
・『あるいは、国会の言葉に耐えられないのは、なにもプロの文筆家に限った話ではないのかもしれない。 自分の中に新しい言葉を取り入れる作業に熱中している思春期の子供たちや、人と人との間に架橋する言葉の作用に敏感な青年たちも、私と同じように、あの空疎な言葉のやりとりに身の危険を感じたはずだ。 というよりも、あそこで使われているねじ曲がった言葉に対処できるのは、適応にともなって感覚を麻痺させることに成功した不死身の鈍感エリートだけなのかもしれない。 テレビを視聴した3時間ほどの間に、私は 「さきほど申し上げました通り」「これは、何回もお答えしているので繰り返しになるのですが」「さきほどらいお答えしております通り」「同じ質問ですので、同じお答えになって恐縮なんですが」「繰り返しになりますが、桜を見る会の個々の招待者につきましては、個人に関する情報であるため、従来から回答を控えさせていただいているところです」という、ほとんどまったく同じ意味のバカバカしい接頭辞を100回以上聞かされて、なによりもその言葉の無意味さとくだくだしさに気持ちをひしがれなければならなかった。 おそらく、安倍総理大臣ならびに菅官房長官が、質疑の冒頭の部分で 「さきほどらい申し上げております通り」というこのセリフを必ず申し述べてから回答に入るお約束は 「無能極まりない野党の議員たちが、毎度毎度代わり映えのしない質問を飽きもせずに繰り返しているから、自分たちも同じ無意味な回答をリピートせざるを得ないのである」ということを、テレビを通じて国会中継を見ている視聴者に印象づけるべく採用している、霞が関官僚発案によるあざといルーティンだと思うのだが、それ以上に、もしかしたら、彼らは、国会の質疑、ひいては、国権の最高機関たる国会の存在価値それ自体を貶める効果を狙っているのかもしれない。 というのも、安定多数の上にあぐらをかいている与党の政治家にとって、国会での論戦で勝敗を決する道を選ぶよりは、国会審議そのものを無効化する選択肢を取る方が簡単でもあれば有利でもあるからだ。 国会での与野党の攻防にうんざりした国民が、政治への真摯な関心を喪失すれば、それだけ多数派の立場は安定する。なんとなれば、不毛な言葉のやりとりに食傷するのは、どちらかといえば知的活性の高い国民であるはずで、だとすれば、それらのめんどうくさい批判者を政治の場から遠ざけるためには、真面目な政策論争を展開するよりは、バカな田舎芝居を繰り広げておくほうが有効だからだ。 もう一つ目についたのは、「その質問は事前通告に無いので、お答えは差し控えさせていただきます」という意味の言葉で締めくくられる定番のやりとりだった。 この言葉を口から発する時、安倍総理は、明らかに昂然と、事前通告の無い質問を繰り出してきた野党議員をたしなめにかかっている』、「めんどうくさい批判者を政治の場から遠ざけるためには、真面目な政策論争を展開するよりは、バカな田舎芝居を繰り広げておくほうが有効だからだ」、鋭く本質を突いた指摘だ。
・『ところが、調べてみると、事前通告云々は、与野党の国対委員長が、議事進行の円滑化のために申し合わせた「紳士協定」にすぎない。 つまり、仮に野党議員が通告の範囲から外れた質問を投げかけたのだとしても、それは「ルール違反」ではない。ましてや「反則」でもなければ法律違反でもない。 回答を拒絶する側の議員が威張ってよいなりゆきではない。質問者を断罪できる筋合いの話でもない。 「いまのご質問は、通告の中になかったので、即座にお答えする十分な準備ができていません。申し訳ありませんが、この場での回答はご容赦ください」と、むしろ、せめて形式上だけでもアタマを下げておくのが穏当な態度だろう。 質疑が進む中で、「いまのお答えは、これこれこういう意味ですか?」「あなたがそうお答えになるのであれば、では、こういう場合はどうお答えになりますか?」という補足的な質問が必要になる場面はいくらでもある。 それらに対して、回答側が居丈高に「通告にないのでお答えしかねる」と言い放っていたのでは議論が議論にならない。 じっさい、国会での質疑に先立って、質問側が回答側に質問内容を事前通告する慣習は、議事進行を円滑化している一方で、本来なら自由闊達な議論の場であるはずの国会を、「事前に準備した台本」に沿った「官僚作文朗読劇場」ないしは「国会芝居」に堕落させている元凶でもある。 おそらく、わが国の国会で、こんななさけない慣習が定着しているのは、議事進行の円滑化とは別に、つまるところ、与野党の国会議員が人前で恥をかきたくないからなのではなかろうか。 無論、行政の細部に関する詳細なデータは、事前に官僚が準備しておかなければ提示できないのだろう。その意味では、質問を投げかける側の議員が、あらかじめ内容を伝えておくことは、ある部分、必要悪として、不可欠な手続きであるのかもしれない。とはいえ、議員同士の対論の中で、アドリブの質問が出ることは当然あるはずだし、その種の予定外の言葉に、臨機応変な対応ができない人間は、そもそも政治家を志すべきではない。 ともあれ、事前に準備した原稿から一歩も外に出ようとしない態度を、誇らしげにアピールする政治家は、何かを見失っているのだと思う。 さらに、与党の面々は、言葉の定義を破壊しにかかっている。 ちょっと前に、菅官房長官が「『反社会的勢力』という言葉の定義が定まっていないので、この言葉に関連するご質問にはお答えできない」という旨の答弁したことがあったが、結局、あの答弁書を読み上げてからこっち、菅さんは、何かを諦めてしまったように見える。 要するに、あれは、何より菅さん本人の心に大きなダメージをもたらしたということなのだと思う。 なにしろ、質問を無効化するために、質問者が使っている単語の定義を無効化したのだから、これは驚天動地の答弁だったと評価するほかにない』、海外ではマネーロンダリング、テロ資金供与、贈収賄などに対する金融機関の取引への規制が強化される流れにあることと、如何に整合性を取ってゆくのだろうか。国内政治の観点からの「定義無効化」は許されない筈だ。
・『加えて、政府は、野党側が「桜を見る会」に招待されていたとして、その招待の真意および根拠を求める質問を投げかけていた「反社会的勢力」について 「あらかじめ限定的、統一的に定義するのは困難」との閣議決定をしている。 思うに、あれ以来、官邸の機能の半分ほどは壊死している。 今回はさらにひどいことが起こった。 28日の衆院予算委員会で、共産党の宮本徹議員が文書を示しながら発した、 「この文書は見たことがなくても、募集していることはいつから知っていたのか」という質問に対して、安倍首相は、「私は、幅広く募っているという認識だった。募集しているという認識ではなかった」と回答したのである。 いったいどこの世界のナンセンスコントだろうか。 つまり、首相は、「募ってはいたが、募集はしていない」と述べたことになる。 この珍無類な回答を聞かされた宮本議員は、さすがに 「私は日本語を48年間使ってきたが、『募る』というのは『募集する』というのと同じですよ。募集の『募』は『募る』っていう字なんですよ」と強い口調で首相に食い下がった。 しかしながら、安倍さんは、少しも動じることなく、 「ふさわしい方ということでいわば募っているという認識があった。例えば新聞などに広告を出して『どうぞ』ということではないんだろう」というほとんど意味不明の説明を開陳した。 なんという肝の太さだろうか。 あるいは、人並み外れて肝が据わっているのでなかったのだとすると、著しくアタマが悪いのか、あきれるほど神経が鈍いのかのどちらかということになるわけなのだが、あるいはそれらのすべてなのかもしれない。私にはわからない。どっちにしても私の持ち歩いているちっぽけな物差しで測れる人物ではなさそうだ』、「募ってはいたが、募集はしていない」、国会で首相が答弁したとはまさに驚天動地の出来事だ。しかも、質問をした「宮本議員」が「食い下がっ」ても、「ほとんど意味不明の説明を開陳した」、開いた口が塞がらない。
・『さて、話題をもとに戻す。 思うにこれは、「募集」と「募る」という2つの言葉をめぐる定義の問題ではない。 同じ意味の言葉を二通りに解釈してみせただけのことなら、朝日新聞が見出しで形容したように 「珍答弁」てなことで笑って退けてもよいのかもしれない。しかし、ここには、もっと深刻な詐術が隠されている。 というのも、本来なら首相は、「え? 招待客って、募ったり募集したりできるの?」という、より本質的かつ素朴な質問に答えなければならなかったはずだからだ。 詳しく説明する。 どういうことなのかというと、「募る」という言葉を使うのであれ、「募集する」と表現するのであれ、その意味するところは、「招待」「選定」「資格審査」とは絶対的に相容れないということだ。 まず、前提としてはっきりしているのは、「桜を見る会」への出席者が、最終的に、政府なり内閣府なり首相なりの責任において、「選定」され、「招待」された人物であるということだ。 このことはつまり「選ばれ」「選定され」「評価検討の上、ふさわしい人物として招待され」た名誉ある「招待客」は、断じて「広く募」ったり「募集」したりした「チケット購入者」とは別枠の人間だということだ。 というのも、募集に応じて応募した人間はどこからどう見ても「選ばれた人」ではないからで、とすると、「安倍事務所の募集に応募して会に参加した後援会のメンバー」は、言葉の正確な意味において絶対に「招待客」ではあり得ないからだ。 当たり前の話だが、「招待客を募集する」という言い方自体が、そもそも矛盾している。 「殴ってください」と申し出た人間が被害者とは呼べないのと同じことだ。あるいは、入学試験を実施していないにもかかわらず合格通知を配布している学校がインチキ大学と言われても仕方がないのと同じ理路において、功労者を選定する作業を省略して単に特定の政治家の支持者や取り巻きを集めた形で開催されている功労者慰安イベントは、どこからどう見ても茶番なのである。 この先、果たして国会が正常化する日がやってくるものなのか、正直な話、確信が持てない。 その一方で、こんなバカな状態がそんなに何年も長く続いてたまるものか、とも思っている。 でもまあ、あと10年続くようなら、ピリオドを打つのは戦争だけなのだろうとも思っている』、「「安倍事務所の募集に応募して会に参加した後援会のメンバー」は、言葉の正確な意味において絶対に「招待客」ではあり得ないからだ。 当たり前の話だが、「招待客を募集する」という言い方自体が、そもそも矛盾している」、安倍答弁の破綻を的確に示している。「でもまあ、あと10年続くようなら、ピリオドを打つのは戦争だけなのだろうとも思っている」、あり得ないことだろうが、不吉な締めではあある。
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