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決済(その5)(「キャッシュレス還元祭り」に踊らされ 搾取される人の残念な傾向、メルカリへのオリガミ売却価格は1株1円 事実上の経営破綻で社員9割リストラ、「ペイペイの毒」に潰されたキャッシュレス企業…その残酷すぎる末路 「オリガミ身売り騒動」が意味するもの) [金融]

決済については、昨年5月24日に取上げた。今日は、(その5)(「キャッシュレス還元祭り」に踊らされ 搾取される人の残念な傾向、メルカリへのオリガミ売却価格は1株1円 事実上の経営破綻で社員9割リストラ、「ペイペイの毒」に潰されたキャッシュレス企業…その残酷すぎる末路 「オリガミ身売り騒動」が意味するもの)である。

先ずは、本年1月14日付けAERAdot「「キャッシュレス還元祭り」に踊らされ、搾取される人の残念な傾向」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dol/2020011400056.html?page=1
・『キャッシュレス花盛りの日本列島 でも、ちょっと考えてみよう  消費増税対策としてスタートしたキャッシュレス決済のポイント還元事業だが、順調に利用も伸びているようで、政府はポイント原資が不足する恐れが高まったとして、約2700億円の追加予算を計上する方針だという。 1日平均の還元額については、スタート当初は約8億円だったが、現在は約14億円(2019年12月16日現在)にまで増加しているうえ、年末年始商戦でもうひと伸びという思惑もあったのだろう。 なお、この還元事業の対象に入らない大手企業の決済に対しても、決済業者独自のキャンペーンが行われ、まさに日本列島中がキャッシュレス花盛りといったところだ。 その一方で、ヤフーを傘下に収めるZホールディングスとLINEの経営統合、KDDIとローソンの提携など、早くも「祭り」の後のスマホ決済再編の動きも見えてきた。彼らに先陣を切らせていたようにも見えるカード会社も、かざすだけのタッチ(コンタクトレス)決済を軸に攻勢をかけようとしている。 そんな業界事情に振り回されるのが消費者だ。「現金で払うのはもったいない」という風潮に押され、キャッシュレスに邁進しているニッポンだが、中には「キャッシュレスの被搾取予備軍」になっている人もいるのではないだろうか。トクだと思って使っているつもりが、逆にむしり取られる側になってはいまいか。果たしてあなたがそうなっていないか、次の項目を読んでぜひ自問してみてほしい』、確かに時流に流されるのではなく、立ち止まって冷静に考えることも必要だ。
・『【傾向1】使っているスマホ決済が3つ以上ある  昨年の大型キャンペーンでPayPayをスマホにダウンロードしたという人は多いだろう。数あるスマホ決済アプリの中で、最も利用者が多いといわれているのだから、当然かもしれない。さらに、「ドコモユーザーならd払い、auユーザーならauペイも」というのは自然だろう。ついでに、「コンビニでのキャンペーンが目立ったLINE Payやメルペイも、その際に入れました」という人も結構いるのではないか。 クレジットカードの活用法では、カードはメインとサブの2枚に絞り、ポイントやマイルを集中してためるのが効率的とよくいわれている。スマホ決済アプリも、むやみやたらと手を出すと、バラバラに打ってくるキャンペーンのたびに、「今週はアプリAを使い、翌週はアプリBを、さらに翌月はC、そしてDを……」と、どこの決済業者にとってもお得意様になってしまいかねない。 加えて、キャンペーンで付与されたポイントが期間限定だったり用途限定だったりしたならば、それを使うためにまた決済をして……という無限消費ループが待っている。これでは、「トクしているのは決済業者のほう」ということになりかねない。 そろそろ自分が使いやすいスマホ決済アプリが見えてきたころだろう。できれば2つまでに収めるべく、整理を始めたほうがいいかもしれない』、賢明なアドバイスだ。
・『【傾向2】以前よりもコンビニでの買い物が増えた  ポイント還元店の中でも、レジで2%が割り引かれる即時還元を採用しているコンビニが決済金額を伸ばしているという。「割引になるのだから、コンビニで買うに限るよね」と思うのは自然な成り行きだ。ビジネスパーソンにとって身近な存在であり、毎日寄り道をする人も多いだろう。 還元策が始まる以前と同じように利用するであれば、問題はない。しかし、「どうせ割引になるのだから、ついでにこれも……」と買う量や回数が増えてはいないだろうか。 2%還元というと、300円の買い物をすれば6円引きとなる。500円で10円引きだ。だから、たとえば毎日コンビニで500円使い、10円の還元を20日間受けたとすれば、1万円使って200円を得することとなる。しかし、コンビニに行くのをたった1日やめれば、1万円も使うことなく、200円程度の金額は簡単に節約できるのだ。ちょっと冷静になって考えればすぐわかることだが、おトクな感じがしていても、実は全然おトクでない買い物の仕方をしていることがあるから、要注意だ』、最後の部分はその通りだろう。
・『【傾向3】必ず還元事業の対象になっている店を探して入る  ランチしようと何気なく入った店で現金支払いをした後に、そこがキャッシュレスで5%還元の対象店だとわかったら、無性に損をした気になるのではないか。筆者もこの経験がある。レジも混んでいたため現金で支払ったら、お釣りを受け取ったタイミングで小さく「5%還元店」を示すシールを発見したのだ。誰もが名を知るメジャー店だから、きっと対象外なのだろうと油断していたのが敗因だった。 せっかく対象の店を表示するアプリがあるのだから、先に見るべきだった。筆者と同じような経験をした人は、「これからは必ず払う前に確認しよう。いやいや、はじめから還元対象の店を調べてそっちに行こう」と思うだろう。 考えてみれば、それがこのポイント還元事業の狙いなのだ。消費増税の影響で売り上げが落ちそうな中小規模店舗を保護するため、そこにわざわざ足を運び、お金を使ってくれる人たちを増やすのが目的なのだから。 毎日のランチも、飲み会も、還元の対象店をまずアプリで調べて……という人は、この事業に乗せられて、素直にお金を使ってくれる層ともいえる。自分の行動が誘導されているかもしれないとしても、あまりそれを気にしない寛容な人々だ。 経済産業省によると、還元事業に登録する店は日々増えており、2019年12月21日現在の登録申請数は約97万店だという。お金を使う場所がますます増えていきそうなので、ご用心を』、本年2月21日時点の登録申請数は約107万店と僅かながらも増えたようだ。
・『【傾向4】ポイント還元の開始後にクレジットカードを新しくつくった  クレジットカードの枚数をむやみに増やすのはポイントが分散するのでよろしくないと先に書いたが、「最近、新しくカードをつくった」という人はいないだろうか。その理由が、キャッシュレスアプリへの紐づけや高還元率キャンペーンを利用したいがためだとしたら、注意が必要だ。 キャンペーン上手のPayPayは、Yahoo!JAPANカードを決済先にすると還元率を最大までアップしてくれる。そのため筆者は、このカードを新たに申し込んだという声を聞いたことがある。 期間は終了してしまったが、JCBは自社グループ発行の個人カード・ビジネスカードをApple Pay またはGoogle Payに設定すると、20%をキャッシュバックするという、大型キャンペーンを打った。LINEが発行を予定している高還元率のVISAカードを申し込むつもり、という人も多いだろう。 クレジットカードは、そうそう気軽につくっていいものでもない。JCBによると、日本人のクレジットカードの平均保有枚数は3.2枚(2018年)。ネット通販や公共料金・通信費の決済に使用しているカードはなかなか変えられないし、還元率も似たり寄ったりだ。新たなカードをつくるきっかけがない中で、キャッシュレスのキャンペーンに乗って新規加入が増えれば、カード会社には御の字といえる。 カード会社は手数料の高いリボ払い(注)やカードローンで稼いでいる。多分、新規加入後には「オトクになりますよ」とリボ特典をアピールしてくるだろう。賢明な読者諸氏は、そちらには近寄らないようにしてほしい。本当に搾取されかねないからだ』、(注)リボ払い:予め設定した一定の金額を毎月支払ってゆく定額方式、支払残高の大きさに応じて毎月の支払額が増減する残高スライド方式の2通りがあるが、うっかりしていると支払残高が膨らみ、金利負担も大きくなるリスクがある。「賢明な読者諸氏は、そちらには近寄らないようにしてほしい」、その通りだ。
・『【傾向5】気づくと最近、現金決済をしていない  もともとキャッシュレス派だったという人は、自分の支払いペースがつかめているだろうから、問題ない。しかし、ポイント還元の開始後、にわかキャッシュレス派になったという人は、そろそろカードの利用明細を確かめよう。 現金では財布の中にある金額以上は支払えないが、キャッシュレスなら別だ。「現金お断り」にした楽天イーグルスの本拠地・楽天生命パーク宮城は約27%、ヴィッセル神戸の本拠地・ノエビアスタジアム神戸は約50%も、2019年の飲食購入金額が上がったという。 キャッシュレスにすると、現金より多めに使ってしまう傾向があるのは事実らしい。また、いくら払ったかは決済履歴を見て振り返ることができるが、「今月はあといくら使っていいのか」ということは、パッと見ではわからない。カード引き落とし日は1~2カ月先になるからだ。そこに無自覚のままキャッシュレス払いを重ねていると、突然口座の残高が赤字となってしまうことは、あり得ない話ではない。 ポイント還元事業の期間内に目いっぱい使おうというのはいいが、自分が払える範囲で使うという家計の基本をお忘れなく』、「自分が払える範囲で使うという家計の基本」、ではあるが、それをつい忘れて使ってしまいがちな人がかなり存在することも事実だ。
・『【傾向6】あれほど不人気なマイナンバーカードに興味がわいてきた  いまだ普及率が10%台にとどまるというマイナンバーカード。「個人番号が書かれたカードをつくるなんて、情報漏洩が不安じゃないか!」という声に押されているようだが、最近興味がわいてきたという人もいるのではないか。それは、現在のポイント還元事業終了後に、新しい制度が始まるからだ。 マイナンバーカードの所有者がIDを取得し、それを使用して電子マネーやスマホ決済アプリをチャージすると、25%の「マイナポイント」が付与される。2万円を入金すると5000円分のマイナポイントがつくというわけだ。 25%というとかなりの大盤振る舞いだ。決済サービス事業者カンムの調査によると、「マイナポイントを使いたい」と答えた割合は20歳以下で7割ほど。その8割以上が、ポイントバックが魅力だからと答えている。あれほど不人気だったマイナンバーカードが好意的に迎えられるとは、やはり還元率は人を惑わせるということか。 以前はセキュリティが不安だと言っていた人でも、心が揺れてしまうのが高い還元率。これまで関心がなかったのに「いい機会だし、マイナンバーカードをつくろうかな」と傾いてしまったとすれば、あなたは還元率にかなり弱いタイプという証拠だ。マイナンバーカードをつくること自体はいいとしても、この手の人は各種キャンペーンにおける「うっかり消費」のリスクがかなり高いと思われるため、注意が必要だ』、「マイナポイント」は申込期間が本年7月から来年3月末で、まだ「マイナポイントの申込ができるキャッシュレス決済サービスは現在募集中」のようだ。
https://mynumbercard.point.soumu.go.jp/
・『その消費は本当に必要?キャッシュレスの光と影  キャッシュレス決済には光もあれば影もある。たくさんのポイント還元を受けるためには、たくさんの消費が必要だ。本当に必要な消費をしたのか、還元策に釣られた結果なのか、その違いは大きい。無自覚のうちに必要以上のお金を払っていないか、我が身を振り返ることも大切なのだ』、「還元策に釣られ」ることのないよう気をつけたいものだ。

次に、2月7日付けダイヤモンド・オンライン「メルカリへのオリガミ売却価格は1株1円、事実上の経営破綻で社員9割リストラ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/228034
・『メルカリへの身売りを発表したスマートフォン決済のオリガミの譲渡価格は1株1円だったことが6日、分かった。オリガミは売却に当たり、社員185人のうち約9割にあたる160~170人規模のリストラを実行する。キャッシュレス決済のフロントランナーだった同社は競争激化により、事実上の経営破綻に追い込まれたかたちだ』、「オリガミ」が「事実上の経営破綻に追い込まれたかたちだ」、とは驚かされた。
・『事実上の経営破綻 フィンテック・バブルの崩壊か  スマートフォン決済の老舗であるOrigami(オリガミ)は1月23日、フリマアプリ大手メルカリのスマホ決済子会社であるメルペイに会社を丸ごと売却すると発表した。両社は売却価格を非公表としたが、複数の関係者は1株1円だったことを明らかにした。同社の株数は259万株であるため、譲渡価格は総額約259万円だったことになる。 日本経済新聞社が発表した「NEXTユニコーン調査」では、オリガミの企業価値は417億円と算定されており、今回の売却価格は市場評価を大きく下回ったことになる。金融関係者は「フィンテック(金融とITの融合)・バブルの崩壊」と語った。 複数の関係者によると、オリガミは売却発表と同時に社内向けに大規模な人員削減策を公表。社員185人のうち約9割にあたる160~170人規模のリストラ策に踏み切る。大半の社員は1月末が最終出社となり、2月末で退職になるという。これは事実上の解雇に当たるが、今回のメルカリへの売却は実質的な経営破綻となるため、「人員削減の必要性という項目に該当し、いわゆる整理解雇の位置付けだ」と関係者は明かした。 ダイヤモンド編集部の取材に対し、譲渡価格についてメルカリの広報担当者は「非公表のためノーコメント」とし、リストラの人数についてはオリガミとメルカリの両広報担当者共に「両社が最大に強みを発揮できる適切な人員配置を検討している」と語るにとどめた』、市場評価の「417億円」が僅か「約259万円」とは、まさに「フィンテック・バブルの崩壊」だ。
・『経営陣はスポンサー探しに奔走するも雇用守れず  オリガミはコスト面の負担が大きい一方で収益が追い付かず、1月中旬の段階で「残り数週間で資金がショートするレベル」(関係者)だった。 康井義貴社長をはじめ、オリガミ幹部は資本調達に走り回ったが、出資先が見つからずに八方ふさがりとなり、最後にたどり着いたのがメルカリだった。康井社長は1株1円という破格での売却の代わりに従業員の雇用維持を申し入れたが、従業員の削減が「メルカリからの買収条件だった」(オリガミ元社員)という。 日本企業では、買収元が買収先企業の従業員の大リストラに着手する事例は少ないが、「スタートアップの救済であれば妥当だ」とベンチャーキャピタル関係者は指摘する』、「従業員の削減が「メルカリからの買収条件だった」」とは冷徹な市場原理が貫徹されたようだ。
・『新興スマホ決済に押された“老舗”のオリガミ陣営  オリガミがしのぎを削っていたキャッシュレス決済の分野は、官民一体による推進と消費増税の緩和策として取られたポイント還元制度などを追い風に、多数の新規プレイヤーの参入が続いていた。 中でもオリガミは、2012年創業でいち早くキャッシュレス決済に進出した業界のフロントランナー。信用金庫の中央銀行としての役割を担う信用中央金庫と資本業務提携を結び、地方の加盟店開拓にも取り組んでいる。 だが、ソフトバンクグループ傘下の PayPay(ペイペイ)は、消費者還元キャンペーンを繰り返して顧客を拡大。加えて、ヤフーとLINEの経営統合によりLINEPayの顧客基盤が加わることなった。PayPayの加盟店数185万カ所に対して、オリガミは約19万カ所にとどまり、すでに大きく劣後している。 レガシー(負の遺産)を抱える銀行や証券会社など従来の金融プレイヤーがサービス改革に出遅れる中、イノベーターとして勃興してきたフィンテック・ベンチャー。「これまでは、赤字でも粗利益さえ増やせば資金は後から付いてくるというビジネスモデルだったが、大きな転機に差し掛かっている」と話す金融業界関係者もいる。 現在、多額のリスクマネーがフィンテック・ベンチャーに流れているが、今後はより一層スタートアップの真贋が問われる』、「フィンテック・ベンチャー」ブームも終わったようだ。

第三に、消費生活ジャーナリストの岩田 昭男氏が2月21日付け現代ビジネスに掲載した「「ペイペイの毒」に潰されたキャッシュレス企業…その残酷すぎる末路 「オリガミ身売り騒動」が意味するもの」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70526
・『地方での生き残りを図ったが…  Origami(オリガミ)の本社は、東京・六本木の六本木ヒルズ森タワーにある。筆者は昨年暮れにそこに取材に行った。 以前は表参道のこじんまりとしたビルに入っていたが、森タワーではワンフロアを贅沢に使っていた。まさに時代の最先端を行くIT企業ならではの洗練されたオフィスといった感じで、オリガミの社員も生き生きと働いているように見えた。 同社は2012年に設立され、日本で初めてQRコード決済サービスを始めたスタートアップ企業。ロゴマークは“折り紙”でつくった鶴だ。 社名といい、そのデザインといい、日本をイメージさせるユニークなもので、将来性のある企業として筆者は好感を持っていた。数あるQRコード決済サービスの企業の中でも、ダークホース的な存在として密かに注目もしていた。 もちろんオリガミは、PayPay(ペイペイ)や楽天ペイなどに比べると資本も少なく、おカネの面では互角に戦えないことははっきりしていた。そこで、地方に軸足を移して生き残りを図ろうとしていたのである。 例えば、JR東日本と提携し、青森で都市開発なども行っている。また、地方の信用金庫や地銀がQRコード決済サービスに進出するときは、たいていオリガミがバックにつくことが多いのが印象的だ。 そうした戦略について改めて話を聞くのが、冒頭の取材目的だった。実際、取材に応じた担当者は、新しいプランをいろいろと話してくれた。 だが今年1月23日、突如としてフリマアプリのメルカリがオリガミを買収すると発表したのだ』、「QRコード決済サービス」の草分けといえども、体力もないのに、「表参道のこじんまりとしたビルに入っていたが、森タワーではワンフロアを贅沢に使っていた」、とはやり過ぎだ。
・『原因は「ペイペイ」にあった?  オリガミは2013年からQRコード決済「Origami Pay(オリガミペイ)」のサービスを開始している。日本経済新聞が2019年11月に発表した「NEXTユニコーン企業調査」で企業価値417億円と報じられていた。そのため、買収額もそうした金額に準じるものになるのではないかと推測された。 それだけの成長が見込める企業と考えられていたわけだが、買収の内容は、実に惨憺たるものだった。「オリガミは借入先が見つからず、最終的にメルカリに1株1円、合計259万円、つまり“タダ同然”で身売りすることに合意した」と報じられたのである。 オリガミの売上高は3億円にも満たず、年度赤字だけでも前年比2倍の25億円にも達していたという。立派な本社オフィスの賃料が年間3億円だったというから、売上高よりも賃料のほうが高かったことになる。もはや、事実上の倒産状態だった。 誰もが思うのは、将来性を期待されていたユニコーン企業が、なぜそれほどまでに業績を悪化させてしまったか、だ。 筆者は、率直に言って、ペイペイの『100億円あげちゃうキャンペーン』に原因があるのではないかと考えている。そして、それは「QRコード決済業界の構造的な問題」でもあるのだ。 今から考えれば、ペイペイが2018年12月から展開した20%還元キャンペーンが終わりの始まりだったのかもしれない。ペイペイに刺激された同業他社も、かなり無理をしてでも同様のキャンペーンを始めた。それが各社を消耗させたのだ』、「立派な本社オフィスの賃料が年間3億円だったというから、売上高よりも賃料のほうが高かったことになる。もはや、事実上の倒産状態だった」、「ペイペイ」を抜きにしても、無理だったのではなかろうか。
・『業界を侵す「ペイペイの毒」  筆者は、LINE Pay(ラインペイ)のケースを身近に見ていた。LINEペイは収益モデルが異なるので、ペイペイの真似などしなくてもいいと思っていたが、キャンペーンの現場に取材に行くと事情は全く違っていた。 LINEの担当者は「ペイペイさんには絶対負けられない。負けないためにはまずキャンペーンが必要。しかも、連続してやらなければ勝てない」と力説していたのだ。 たしかにペイペイは1回で終わることなく、耳目を集める大型キャンペーンを続けて行っていた。それに対抗するため、当時のLINEの合言葉は、「走りながら考える」というものだった。そしてとうとう『300億円送っちゃうキャンペーン』を行うことになってしまったのである。 少しどぎつい表現をすれば、あの頃からすでに「ペイペイの毒」が回っていたのだ。それくらい異常だった。 結局、20%還元がいわば“業界標準”になったわけだが、いまは還元額の上限が1000円になって、それほど大きな痛手とまではなくなっている。それでも還元のための原資が必要には変わりない。 そもそも、クレジットカード業界の還元率は0.5〜1%が標準で、通常のカード利用で還元できるのはそれくらいが限度なのだ。加盟店の手数料による収益が決まっていて、それ以上のものは出せないし、無理にそれ以上のものを出せば、自ずと破綻することが分かっている。 要するに、ペイペイの登場によって、これまでクレジットカード業界が築き上げてきたキャッシュレス決済の常識が、大きく歪められる事態になったと言えるのだ』、確かに「ペイペイの毒」は業界に強く回ったようだ。
・『孫社長のしたたかな計算  結局、ペイペイに追随し、無理を重ねたLINEは大きな赤字を背負い込むことになる。2019年1月~9月期の決算で営業損益は275億円の赤字だった。LINEの親会社である韓国のIT企業・ネイバーは、LINEの赤字を受けて売却を決定。三下り半を突きつけるという格好になった。 そのLINEが駆け込んだのが、ソフトバンクグループを率いる孫正義社長だ。孫社長にしてみれば「しめしめ」といったところだろう。ペイペイとLINEペイは、QRコード決済サービス業界の1位と2位。つまり、ソフトバンクグループは業界のビッグ2を抱えることになったわけだ。 ペイペイを提供するヤフーとLINEの経営統合が昨年11月に発表されたとき、LINEペイはいずれペイペイに食われてなくなると予想されていた。しかし蓋を開けてみると、そのまま吸収というわけではなく、コミュニケーションアプリからの派生点や女性会員が多いというLINEペイの特徴を生かす形で、今のところ共存する形をとっている。 ライバルを潰し、それを取り込んで、さらに再生して上手に使う。ヤフーとLINEの統合のウラには、こうした動きが見て取れた、では、今回のメルカリによるオリガミ買収も同じことが言えるのだろうか。 オリガミがQRコード決済サービス企業であるのに対し、メルカリはフリマアプリが本業で、言ってみれば出自がまったく異なる。だからこそ、ペイペイとLINEペイと同じように2つが共存するのかと思ったが、どうやらそうではないようだ。 というのも、メルカリの目的は会員ではなく、オリガミペイの加盟店が欲しかっただけなのだ』、「メルカリの目的は会員ではなく、オリガミペイの加盟店が欲しかっただけ」、極めてドライな姿勢だ。
・『加盟店は欲しいけど人はいらない  メルカリのフリマアプリのユーザーは、「メルペイ」を使って買い物をしたりサービスを受けたりすることでポイントに換え、それをメルペイでまた使うことができる。つまり、メルペイはフリマアプリ、メルカリを使う人の決済手段なのだ。 メルカリで売り買いをすると、1万円までの買い物に対して1回200円の手数料がかかる。その手数料がメルペイを使うと無料になる。これは、会員にとっては大きなメリットだ。 そういうこともあって、メルペイの会員はすでに十分に足りている。そこで新たな課題となったのは、メルペイが使える加盟店をいかに増やすかだった。 加盟店を自前でつくるのは容易ではない。そこでメルカリは、ドコモのiDや三井住友カードなどのカード会社の暖簾を借り、メルペイが使える加盟店を増やしていった。結果、加盟店の数は2019年2月時点で約170万店に達し、ある程度の成果を得たのである。 しかし、カード会社の暖簾を借りることにはデメリットもある。それは、QRコード決済によって得られるはずの情報が思うように手に入らない点だ。 そこで、やはり自由に情報を手に入れることができる加盟店が必要だということで、目をつけたのがオリガミだった。オリガミペイの加盟店は全国に約19万店。数はそれほど多くないが、買収によってこの加盟店が手に入れば、メルカリにとって自前の加盟店展開の強力な地盤になる。 ちなみにメルカリは、オリガミの買収に際して、同社社員の大半のリストラを決定している。つまるところ、非情ながら「加盟店は欲しいけど人はいらない」ということに他ならない』、「加盟店は欲しいけど人はいらない」、「オリガミ」に「加盟店」以外には強味がなかった以上、いたしかたないだろう。
・『オリガミの敗因とは何だったのか  オリガミは元々、クレジットカード・クレディセゾンのポータルサイトのなかに自社のコーナーを持っていて、「セゾンOrigami Pay」というスマホ決済サービスを行っていた。しかし、昨年の10月末にこのサービスの終了を発表して、セゾンとの提携関係が解消していた。 セゾンとの提携は、オリガミにとって資金面での後ろ盾を得るという点で重要なものだった。しかし、セゾン色の打ち出しや人事面での介入といったマイナス面もあったはずだ。 いずれにしても、今考えれば、オリガミはこの時すでに重要な資金源を失ったことで、長い間、資金先の確保に苦しんでいたのではないだろうか。言わば、自主独立路線を選んだものの、結果として失敗に終わったことになる。 ペイペイのようにカネに物を言わせて派手なキャンペーンを打つわけにはいかないオリガミは、ケンタッキーと組んで半額クーポンを提供するなど、会員獲得のためにそれなりの手はいろいろと打ってきた。 しかし、小なりともいえキャンペーンを行うには金が要る。その積み重ねが、オリガミの体力を容赦なく奪っていったのではないか。 そういったことを考えても、オリガミの敗因の最大の理由は、ナショナルスポンサーの不在だった。例えば、ドコモのようなスポンサーを得て、その傘下として成長を図るといったことができれば、結果は違ったかもしれない。 そう感じてならない、今回のメルカリのオリガミ買収騒動だった』、「自主独立路線」を選ぶ前に、次の「資金源」の当たりをつてなかっとすれば、経営陣は余りにお粗末だ。オフィスの移転にしても、然りである。
タグ:決済 ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス AERAdot (その5)(「キャッシュレス還元祭り」に踊らされ 搾取される人の残念な傾向、メルカリへのオリガミ売却価格は1株1円 事実上の経営破綻で社員9割リストラ、「ペイペイの毒」に潰されたキャッシュレス企業…その残酷すぎる末路 「オリガミ身売り騒動」が意味するもの) 「「キャッシュレス還元祭り」に踊らされ、搾取される人の残念な傾向」 キャッシュレス決済のポイント還元事業 早くも「祭り」の後のスマホ決済再編の動きも見えてきた キャッシュレスの被搾取予備軍 【傾向1】使っているスマホ決済が3つ以上ある 【傾向2】以前よりもコンビニでの買い物が増えた 【傾向3】必ず還元事業の対象になっている店を探して入る 【傾向4】ポイント還元の開始後にクレジットカードを新しくつくった 【傾向5】気づくと最近、現金決済をしていない 【傾向6】あれほど不人気なマイナンバーカードに興味がわいてきた その消費は本当に必要?キャッシュレスの光と影 「メルカリへのオリガミ売却価格は1株1円、事実上の経営破綻で社員9割リストラ」 オリガミの譲渡価格は1株1円だった 社員185人のうち約9割にあたる160~170人規模のリストラ 事実上の経営破綻 フィンテック・バブルの崩壊か 「NEXTユニコーン調査」 オリガミの企業価値は417億円と算定 経営陣はスポンサー探しに奔走するも雇用守れず 従業員の削減が「メルカリからの買収条件だった」 新興スマホ決済に押された“老舗”のオリガミ陣営 フィンテック・ベンチャー 岩田 昭男 「「ペイペイの毒」に潰されたキャッシュレス企業…その残酷すぎる末路 「オリガミ身売り騒動」が意味するもの」 地方での生き残りを図ったが… 以前は表参道のこじんまりとしたビルに入っていたが、森タワーではワンフロアを贅沢に使っていた 日本で初めてQRコード決済サービスを始めたスタートアップ企業 原因は「ペイペイ」にあった? オリガミの売上高は3億円にも満たず、年度赤字だけでも前年比2倍の25億円にも達していた 立派な本社オフィスの賃料が年間3億円だったというから、売上高よりも賃料のほうが高かったことになる。もはや、事実上の倒産状態だった 業界を侵す「ペイペイの毒」 ペイペイは1回で終わることなく、耳目を集める大型キャンペーンを続けて行っていた 「ペイペイの毒」 クレジットカード業界の還元率は0.5〜1%が標準で、通常のカード利用で還元できるのはそれくらいが限度なのだ。加盟店の手数料による収益が決まっていて、それ以上のものは出せないし、無理にそれ以上のものを出せば、自ずと破綻することが分かっている ペイペイの登場によって、これまでクレジットカード業界が築き上げてきたキャッシュレス決済の常識が、大きく歪められる事態になった 孫社長のしたたかな計算 ペイペイとLINEペイは、QRコード決済サービス業界の1位と2位。つまり、ソフトバンクグループは業界のビッグ2を抱えることになった メルカリの目的は会員ではなく、オリガミペイの加盟店が欲しかっただけ 加盟店は欲しいけど人はいらない オリガミの敗因とは何だったのか 自主独立路線を選んだものの、結果として失敗に終わった
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