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女性活躍(その15)(絶対的な正解よりも 女性が「ノー」と言える社会を【三浦瑠麗×中野円佳】、日本の女性よ リスクを取れ!-ビル・エモット氏に聞く、早慶女子があえて「一般職」を選ぶ根本理由 出世より大事にしたい「転勤回避・生活優先」) [社会]

女性活躍については、昨年11月18日に取上げた。今日は、(その15)(絶対的な正解よりも 女性が「ノー」と言える社会を【三浦瑠麗×中野円佳】、日本の女性よ リスクを取れ!-ビル・エモット氏に聞く、早慶女子があえて「一般職」を選ぶ根本理由 出世より大事にしたい「転勤回避・生活優先」)である。

先ずは、昨年12月30日付けmi-molletが掲載した国際政治学者 三浦瑠麗氏と元日経新聞記者、シンガポール在住のフリージャーナリストの中野円佳氏との対談「絶対的な正解よりも、女性が「ノー」と言える社会を【三浦瑠麗×中野円佳】」を紹介しよう。
https://mi-mollet.com/articles/-/21269?per_page=1
・『『なぜ専業も共働きもしんどいのか』で働き盛り世代と既存の社会構造のミスマッチを指摘した中野円佳さんと、自叙伝『孤独の意味も、女であることの味わいも』で自身の苦しい体験を赤裸々に記した三浦瑠麗さん。対談の前編ではお互いの著書の感想から、考え方の共通点などを語りました。後編はその続きから、お二人が当事者として感じている社会の偏見、これからの女性に求められる変化といった話題へと移ります』、活発に活躍する若手女性の双璧である2人の対談とは、期待できそうだ。
・『苦しくもがいている時は、周囲を傷つけても気付かない  Q:ここ数年、みずから声を上げる女性が増えたことに比例して、「フェミニズム」「フェミニスト」といった言葉も急激に浸透しました。これまでのフェミニズムと現在を比べると、今の三浦さんや中野さんの姿勢はとても軽やかだなと感じます。とくに、ご自身がどの立場をとるか、といったことにはかなり“あっけらかん”としているというか。それについてご自身はどう感じていますか? 三浦 私と中野さんはミレニアル世代ですね。世代的なものってきっとあると思うし、少なくとも上の世代の実感と異なる部分については自分から打ち出していくべきとは思っています。ただ今回の本では、年上の方からもすごく反響があったんです。例えば60代の女性から「考えてきたことを言葉にしてくれた」とか。 中野 世代を超えた共通のものがあるんですね。 三浦 だとしたら考えてきたことは同じだったのかな、という気もするし、私自身が上の世代の考え方をまだ掴めていないところもあるのかなと。ただ私としては既存のフェミニズムの議論と意識的に違う考え方をしている部分があって、それは因果関係の推定を早々にやらない、ということ。「レイプされたからこういう性格になった」「いじめられていたから孤独を覚えた」とは安直に言わないようにしています。 中野 だから性被害のことも、あのようにフラットな書き方ができたんでしょうね。 三浦 そうかもしれませんね。自分の母親についても、フラットに見ている気がします。これまでのフェミニズムは、自分の母親たちの世代に対してものすごく残酷な切り方をすることがありましたよね。自分が苦しくもがいている時は、周囲をどれだけ傷つけても気がつかないんですよ。上の世代の方たちと比べて、私たちの世代が恵まれている事実は当然あると思います。傷つくことも少なくなっているのかもしれない。だからそう言えるんだと言われてしまうかもしれないけれど、「これまで私たちは傷つき血を流してきたのだ」と表明する過程で、「誰かを傷つけても構わない」といった考えに至ってしまうのは違うと思っています』、「苦しくもがいている時は、周囲を傷つけても気付かない」、その通りだろうが、よくぞ気付いたものだ。
・『フェミニストかどうかなんて「場合による」としか言えない  中野 私は最初の本の元になった論文は社会学者の上野千鶴子さんのゼミで書いたのですが、そもそも私自身が“右か左か”といった考え方をしないこともあって、彼女が世の中でフェミニストとしてどう見られているかをあまり気にしていなかったんですよね。なので本の帯にのせる推薦コメントを上野さんからもらったのも「自分の指導教官だし、論文を書く際も有益なアドバイスをたくさんいただいたし」というごく単純な理由だったのですが、いざ本が発売されると、割と中立的な立場だと思っていた人から「左(派)の本だから読まない」といった反応が届いて、とても驚いたんです。 三浦 あら、そこで初めて気付いたわけですか(笑)。 中野 お恥ずかしながら、そこまで世の中が右か左かで分断しているとは認識していませんでした。ただその時も思ったし今でも思うのは、自分がフェミニストかどうかって、場合によるとしか言いようがない、ということなんですよね。フェミニストの方が言っている意見だからと100%賛同することはないし、もっともな意見だと思えば、誰の意見であろうとリツイートもするし紹介もする。 三浦 そうですよね。 中野 悪く言えば「どっちつかず」なのだけど、でもそれが「軽やか」に見えるのかもしれません。もともとフェミニズムは、思想としてみても“弱い人を保護しよう”とする姿勢が強くて、いわゆる勝ち組といわれる女性たちに対しては無視したり、むしろ批判的な態度をとったりする傾向があります。強い女性を保護することは「すでにある女女格差を広げる行為だ」と。でも私は、“女性学”と名乗るのであればそのどちらも対象にすべきだと思うし、これは実際に学会などでも言ってきました。論文を通して上野さんにも直接伝えましたし、伝わったと思います。「そこに目を向けてこなかったのは女性学にも反省がある」と言ってくださいました。 三浦 あら、それは素敵ですね。 中野 私の著書が出る前後で上野さんもご自身の著書で書かれています。「今までのフェミニズムは、勝ち組の総合職女性に厳しすぎた。そこは反省するところだ」と。その点で言うと、これまでのフェミニズムはちょっと言葉が強すぎるのかな、とは思いますね。必ずしも強い女性が弱い女性を踏みつけてのし上がっているわけではないし、それをいったら強い女性にだってしんどい部分はありますから』、「上野さんもご自身の著書で書かれています。「今までのフェミニズムは、勝ち組の総合職女性に厳しすぎた。そこは反省するところだ」、中野氏の主張が通ったようだ。
・『本質ではない部分で批判されるつらさ  三浦 今回の自伝は一般の方からたくさんの反響をいただきました。ただ、フェミニストの方々がどう読んだのかは聞いてみたかったですね。一応ウォッチしているのですが、ほぼ無反応なので。 中野 まあ、ウォッチはしますよね(笑)。 三浦 メディアの方々にはインタビュー依頼をいただき、本当にたくさんのことをお話しし、心のこもった記事を書いてくださいましたけれど。セクハラ事件のように誰かを糾弾する分かりやすい怒りではない本や物の見方について、皆はどう思うんだろう、というところが知りたかったですね。もちろん、すべてに反応しなきゃいけないなんて決まりはないからそれでいいんですけれど、落ち着いた環境で話し合うことは大事なんじゃないか、と思うんです。フェミニストとして活動している人よりも一般の読者の方が、マスコミよりも市井の人々の方が考えて発信してくれたという事実。こういうところに物事の本質が潜んでいるな、と思いましたね。 中野 うーん、なるほど……。 三浦 そもそも女性問題で何が大事かといえば、現実に問題を抱えている女性を救ったり、生きづらさを減らしたりすること。しかしそのために当事者性を明らかにすると、本筋ではないところで批判を受けることがあります。批判はほぼ3つのパターンに分けられましたね。ひとつは「三浦に自分自身の意見などあるはずがない。黒幕の男性がいるのだろう」という偏見。2つめは「恵まれて生きてきた人に、人の痛みはわからない」という意見。3つめは、私の個人的な側面、例えば“女らしさ”みたいな部分へのバッシングです。 中野 恵まれている人は口をつぐめ、という空気はありますよね。私も、先ほどの「勝ち組の涙」のような話をすると高学歴女性のワガママと捉えられることが多いです。高学歴男性のワガママは聞いてもらえるのに。相対的に強い個人の話をしていることには自覚的ですが、それが私の属性と絡み合い「本人が高学歴女性だからこういうこと言うんでしょ」と批判してくる人もいます。議論の中身を見てくれないことも多い。 三浦 属性が違えば、今ある批判は全くあてはまらなくなってしまう。属性がいかに人々の判断を左右してしまっているかということを考えさせられますね。 中野 ただ、そのように批判している人たちが、学歴や年収で最底辺かというと、そうではない。 三浦 そう。例えば大学の教員の年収はだいたい600万円ほどだと思うんですが、30代半ばでそれだけもらえる職業って世の中そんなに多くないですよね。年収1500万円の人々に比べれば恵まれていないかもしれませんが、より深刻なのはもっとずっと低所得層の人々との断絶だと思います』、「恵まれている人は口をつぐめ、という空気はありますよね。私も、先ほどの「勝ち組の涙」のような話をすると高学歴女性のワガママと捉えられることが多いです」、これでは2人は確かにやり難いだろう。
・『「ノー」と言える女性を育てられる社会へ  Q:メディアとしても、絶対的な答えを求める風潮が世の中全体で強くなっているな、という実感は強くあります。しかし一人の人間、一つの答えを信じきってしまうと、世界はいっそう閉塞してしまうのではないかと思うのですが。 三浦 難しいですね。絶対的な答えを求めていると、女性問題でいえば、すぐ二項対立になってしまう。でも人々の意見や価値観は案外真ん中にいて、リベラルや保守にほんの少し傾いているにすぎないんです。どちらが正しいかという議論では、お互いいつまでも相容れない。私は正解を押しつけるより、「ノーと言える社会」を作っていく必要があると思っています。ノーと言える女性を育てることで社会は変わりますからね。 中野 「ノー」が言えない、言いにくい環境がある中で「ノーと明確に言わなかったのが悪い」という論調にすべきではないけれど、理想としては一人ひとりが「ノー」と言える、声を上げられる社会を作っていくということですかね。 三浦 セクハラにしても、その行為のどこに問題があるかはセクハラした側、された側によって一つひとつ違いますから、ひと括りには語れません。もちろん教育などで価値観を変えていくことは大切だけど、性愛自体がさまざまあるなかで、嫌なことをされたら「嫌です」「やめてください」と言えるようになりたいし、なるべきだと思います。こういった意見をすると「弱い立場の被害者にノーとまで言わせるなんて」といった批判が飛んでくるのですが、女性はノーと言う責任も課されるべきではないとするなら、それこそ女性は永遠に自決権を持つことはできませんから』、「絶対的な答えを求めていると、女性問題でいえば、すぐ二項対立になってしまう。でも人々の意見や価値観は案外真ん中にいて、リベラルや保守にほんの少し傾いているにすぎないんです。どちらが正しいかという議論では、お互いいつまでも相容れない。私は正解を押しつけるより、「ノーと言える社会」を作っていく必要がある」、なかなか考えさせられる指摘だ。

次に、1月6日付けnippon.com「日本の女性よ、リスクを取れ!-ビル・エモット氏に聞く【新年インタビュー】」を紹介しよう。
https://www.nippon.com/ja/people/e00165/
・『英エコノミスト誌で編集長を務めた日本通のビル・エモット氏は、「日本の未来の鍵は女性の活躍にある」と断言する。日本各地を訪れて21人の女性に話を聞いたエモット氏が感じたことは何か。2020年の日本へ提言する、女性が輝く未来へのロードマップ。 全世界中、121位。 2019年12月に世界経済フォーラムが発表した、世界各国の男女平等ランキング「ジェンダー・ギャップ指数」における、日本のランキングだ。 2018年の110位から順位を11落とし、過去最低の位置づけとなった。 トップはアイスランド。2位がノルウェー、3位がフィンランド、4位にスウェーデンと、上位には北欧の国々が並ぶ。たとえばアイスランドには34歳の女性首相がいるほか、連立を組む与党5党の3党が女性党首であり、19人の閣僚のうち12人を女性が占めている。 メルケル首相を擁するドイツは10位。アメリカは53位、中国は106位、韓国は108位。 ありとあらゆる国の名前が登場したのちに、ようやく「JAPAN」の文字が出てくる。 そんな印象だ。 こんなに低いのか……。ショックを通り越し、悲しくなる。 安倍首相は就任以来幾度も女性活躍を口にし、2019年には「すべての女性が輝く社会づくり本部」も発足した。もはや、「女性活躍」の言葉を聞いたことがない人はいないだろうと感じるほど、日本のなかでこの言葉は浸透している。 しかし、世界が突き付けた現実はNOだった。 たいへん残念ながら、男女の平等度合いは相変わらず世界でも最底レベルなのだ』、確かに恥ずかしくなるほどの低さだ。
・『なぜ日本で女性は活躍できないのか?  改めて考える。 人間はいつ、自分が男性/女性であり、かつ、そこに社会的な“差”があることを理解するのだろう? 周囲の女性に尋ねてみると、社会に出てから性差を痛感したというケースが多い。 「学生時代はそんなこと考えたこともなかった」「会社に入ったら、頼まれる仕事が違って驚いた」「上司はみんな男性ばかり」などなど。 なかでも出産は大きなターニングポイントで、育児にまつわる様々な価値観に苦しみ、キャリアとの狭間で葛藤を経験する女性は珍しくない。 むしろ誰しもが通る道と言ってもいいくらいだ。 そのうち、「女性だから仕方ないのかもしれない」という思いすら頭によぎるようになる。 でも、そんなはずはない。 アイスランドと日本の女性に、何か違いがあるのだろうか? 日本でも、情熱がありパワーがあり、能力もある女性たちが、躊躇うことなく自分の道を進めたら、社会はきっと変わる。 だが、残念ながら今のところそうなっていない。 それが121位の現実だ。 本書のタイトルは、『日本の未来は女性が決める』。 なんと刺激的。そしてワクワクさせられることか! 登場するのは、21人の女性たち。 大企業の役員から政治家、起業家、シングルマザーなど、その顔触れは多彩だ。 著者のビル・エモット氏は、英エコノミスト誌で編集長を務めていた男性ジャーナリスト。1980年代に3年間東京支局長を務め、90年には日本のバブル崩壊を予言したともいわれる著書『日はまた沈む』が、ベストセラーとなっている。 なぜ、長年、男性中心社会で仕事をしてきたであろう、しかもイギリス人の著者が日本の女性に期待を寄せるのか。 ぜひ話を伺わせてほしいと、インタビューを申し込んだ。(Qは聞き手の質問、Aはエモット氏の回答)』、鋭いエモット氏がどのような診断を下すのだろうか。
・『Q:なぜ本書を執筆しようと思ったのですか? A:「私は日本が大好きなので、いつも日本に来る理由を探しているんです(笑)。それは冗談ですが、近年、日本を訪れるたびに社会や経済における女性の役割に、なにやら変化が起きていると感じるようになっていました。事実、重要なポジションに就く女性の数が増えているというデータもあります。 私はこれまでも、日本について調査・研究をしてきました。いま改めて、20年後、30年後に日本は今より良くなっているのか、それとも困難が待ち受けているのかと想像してみた時、その感覚を思い出し、鍵は女性の果たす役割にあるだろうと閃きました。 そして、自分はジャーナリストなので、まずは活躍している女性たちに会いに行こうと思ったわけです。とても楽しい取材でした」 Q:欧米諸国と比較して、ジェンダーという観点から日本はどう見えているのでしょうか。 A:「残念ながら、日本はまだまだ男性中心に見えます。たとえばドイツのメルケル首相や、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁、イギリスのメイ前首相など、欧米には既にリーダーと呼ばれる立場にいる女性が多く存在していますが、日本ではパッと浮かぶのは小池百合子東京都知事くらいですよね。 ただ、日本社会に大きな変化が起きていることも事実です。たとえば1990年代以降、女性の四年制大学への進学率は劇的に上昇しています。今回の取材で出会った20代~40代の女性たちの多くは、4年制大学を卒業し、彼女たちの母親や、時には数歳上の姉たちとも全く違うキャリアを歩んでいます。統計上の数字を眺めて見つけた変化が、実際に現代の日本に大きな影響を及ぼしていたのです。 優秀な女性の政治家も増えているので、10年後には女性の総理大臣が誕生しているのではないかと期待しています。ただ、小池さんに賭けるかと問われると悩ましいですが……(笑)」』、「優秀な女性の政治家も増えている」、いささかお世辞なのではなかろうか。「小池」だけでなく、稲田、森法務大臣など、酷いもので、到底「優秀」とは言い難い。
・『日本で女性がリーダーになるのは大変  Q:女性たちに話を聞いて、驚いたことや感じたことを教えてください。 A:「共通しているのは、自分自身で人生をデザインしていることですね。過酷な状況に置かれた時も、自分の手で輝く機会を創り出している。これはすごいことです。 たとえば香川県の馬場加奈子さんは、3人の子供がいるシングルマザーです。子供が進学するときに新しい制服を買う余裕がなかったことがきっかけになり、学校の制服をリサイクルする事業を立ち上げました。周囲の心配をよそにビジネスとして成功させただけでなく、今では馬場さんと似たような境遇の女性たちが働き、自立できる場としても機能しています。 また、長年男性が多く活躍してきた音楽界に飛び込み、独自のスタイルで指揮者としての地位を確立した西本智実さんは、『日本では、若者や女性がリーダーの立場に立つのはいつだって大変です』と話していました。実際、日本だけではなく世界でも、指揮者はいまだに男性ばかりですよね。 また、クリエイティブ・カンパニー「ロフトワーク」の創業者の林千晶さんは、アメリカでジャーナリズムを学び、現地メディアで働きながらシリコンバレーや東海岸を取材したものの日本のマスコミでは就職が叶いませんでした。しかしそこであきらめるのではなく、『それなら自ら会社を興せばいい』と起業したのです」 Q:活躍する女性が増えることで、日本にはどんな明るい未来が待ち受けていると思いますか。 A:「明るい未来を実現するためには、2つのことが必要だと思っています。ひとつは、より多くの女性がリーダーシップを発揮できる地位に就くこと。様々な組織の重要な決断に女性が関わるようになれば、必ず世界は変わります。ふたつ目は、男女問わず組織で働く人に対して政府や民間企業が本気で投資することです。 1990年代から2000年のいわゆる『失われた10年』の間に、日本では非正規労働者が激増しました。結果として企業は社員の成長に投資しなくなり、日本をけん引してきたヒューマン・キャピタル、つまり人的資源が一気に弱体化したのです。今後も労働人口は減り続けるので、このままでは厳しい未来が待ち受けています。しかしもし企業が社員のキャリア形成や生産性向上を経営上の重要課題だと決断して投資を行えば、明るい未来へつながっていくはずです」 Q:これまで日本の女性たちがリーダーシップを取って活躍することを阻んできた壁は、なんだと思われますか。 A:「まず、多くの日本の大企業が社員にフル・コミットメントを求めていることでしょうね。職場や地位は本人が選ぶものではなく会社が与えるものだという日本の根強い前提は、結婚や出産、育児など、人生においてより多くの選択肢に直面する女性にとっては、非常に厳しいものだと思います。 とはいえ日本が特殊なわけではなく、以前はイギリスも同様でした。1983年に私が日本に転勤する時、当時の上司は私の妻について考えもしなかったでしょう(笑)。でも、今はそうはいきません。もし社内で結婚した夫婦の一方を転勤させるのなら、同じオフィスに2つのポジションを用意できるか検討しなくてはなりません。 残念ながら、今回登場する女性たちのなかで大企業に勤めているのは、パナソニックの執行役員であり、プロのジャズピアニストでもある小川理子さんだけでした。実は他にもいくつかの大企業に取材を申し込んでいましたが、残念ながら許可が下りませんでした。本のなかでは日本銀行の名前を出していますが、もっとたくさん断られたんですよ(笑)。 日本の大企業が変わるには、あと10年はかかると思います。でも比較的小さい組織では既に変化が起こり始めていますし、起業する女性も増えています」』、「『失われた10年』の間に・・・企業は社員の成長に投資しなくなり、日本をけん引してきたヒューマン・キャピタル、つまり人的資源が一気に弱体化したのです。今後も労働人口は減り続けるので、このままでは厳しい未来が待ち受けています。しかしもし企業が社員のキャリア形成や生産性向上を経営上の重要課題だと決断して投資を行えば、明るい未来へつながっていくはずです」、その通りだ。「職場や地位は本人が選ぶものではなく会社が与えるものだという日本の根強い前提は、結婚や出産、育児など、人生においてより多くの選択肢に直面する女性にとっては、非常に厳しいものだと思います」、女性活躍に本気で取り組むには、人事制度の抜本的見直しが必要だろう。
・『多様性を恐れる日本の大企業   Q:多様性が日本社会でもキーワードになる一方で、本音では実現したくないと思っている人もいるように感じます。多様性に対する恐れのようなものがあるのでしょうか。 A:「同感です。あらゆる人に平等な権利を認める多様性の世界に一度足を踏み入れると、そこがいかにクリエイティブで、いい意味で流動的かよくわかります。しかし、慣れ親しんだ世界に不安定さが生まれることを、心地悪く感じる人もいるでしょう。特にこれまで均質性を保つことで成長を続けてきた伝統的な日本企業にとっては、彼らの成功の方程式とは矛盾する多様性を嫌がるのも当然なのかもしれません」 Q:日本の未来を担う若い女性にアドバイスをお願いします。 A:「こんなイギリス人のおじさんからアドバイスが欲しいかどうかわかりませんが(笑)、私に言えることがあるとすれば、リスクを恐れずに、自分しかできない冒険をして人生を彩ってもらいたいということです。 女性に限らず、現代は多様性に富み、チャンスに溢れた時代です。30、40年前と比べると、驚くほど社会は変わりました。この状況を喜んで受け入れ、どんどんチャレンジしてほしい。これは女性だけでなく、男性も同じですよ」 Q:リスクを取る精神は、どうすれば育めるのでしょうか。 A:「政策としてできることではありません。リスクを取って成功した人と知り合い、実例を学び、成功体験を積む。同時に、成功譚をメディアで取り上げていくことも必要です。実際に成功したケースが増えていくことこそが、最大の奨励策になるはずです」』、「多様性を恐れる日本の大企業」、これではイノベーティブで創造的な事業展開は期待できない。「大企業」は先の人事制度も含め抜本的見直しが求められているようだ。

第三に、京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授の橘木 俊詔氏が2月28日付け東洋経済オンラインに掲載した「早慶女子があえて「一般職」を選ぶ根本理由 出世より大事にしたい「転勤回避・生活優先」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/332106
・『女性の総合職採用は狭き門で、超難関大学出身者が中心である。また、せっかく高倍率の採用試験を勝ち抜いても、男性に比べて離職率は高く、企業や官庁において、女性でトップの地位にいる人やそれに準ずる人はまだ少ない。 そうした環境の中、総合商社の一般職は、以前多かった女子大出身者ではなく、早慶などの超高学歴女子が大半となっている。なぜ超高学歴女子に一般職志向が高まっているのか。高学歴女性を中心に学歴・結婚・キャリアを分析した橘木俊詔著『女子の選択』から、一部抜粋・編集の上、お届けする』、「超高学歴女子に一般職志向が高まっている」、とは驚かされた。どうしてなのだろう。
・『超難関大学出身がほとんどの女性総合職  東京大学、京都大学、一橋大学、東京工業大学、早稲田大学、慶應義塾大学といった超難関大学で学ぶ女子学生の特色は、キャリア志向が強い人が多いことにある。司法関係で働く人、医師、研究者や大学教授、そして企業であれば将来の幹部候補生である総合職で働く人が多い。自己に自信のある人が多いし、まわりもそれを期待するので、専門職や管理職に就くのが自然な姿である。 ただし男性でこういう超難関大学を卒業した人と比較すれば、それぞれの分野でものすごい成果というトップの貢献や、組織であればトップの地位を占めた女性はまだとても少ない。 学歴と能力・資格からするとそういう地位に就いてしかるべきであるが、女性は排除されていた。例を示せば、政治の世界ではまだ日本では女性の首相は誕生していない。司法の世界では歴代の最高裁判所長官はすべて男性である。学問の世界では戦後の二十数名のノーベル賞受賞者はすべて男性である。上場企業の社長職に関しても、ほぼゼロに近い。 このような各分野におけるトップのみならず、それに至る一歩前の地位を占める女性の数も非常に少ない。政治の世界における大臣、官庁における次官や局長、最高裁の判事、高裁の長官などになる女性も非常に少ない。 もっとも時には女性を抜擢するべしとの声に応じて、意図的に大臣、最高裁判事、次官・局長などの地位に就く女性も少しはいた。学者や研究者は自己の実力・業績で評価される側面が強いので大学教授に就いた女性は少なからずいたが、何分にも女性学者の数が少ないので、ノーベル賞級の仕事をする人は日本では当然として、外国でもとても少なかった。) 最も数が少なかったのは上場企業、すなわち大企業における社長というトップと、重役という幹部であった。たとえビジネスの世界で超一流の仕事ができそうで、能力・実績があってしかも超難関大学の卒業生がいたとしても、企業社会は男性社会なので差別があって女性の抜擢はまずなかった。 それよりもっと重要な理由は、たとえ超難関大学で学んだ女性であっても、昔であれば上場企業で雇用されることはなかった。企業内で幹部に昇進させてよい女性の候補者すらいなかった、というのが現実である。 ところが1985(昭和60)年の男女雇用機会均等法により、採用や昇進への女性差別撤廃案が導入され、女性大卒の採用が始まった。さらにこれを機に雇用者を総合職と一般職に区別する制度が導入され、将来の幹部候補としての総合職が新しく設けられた。女性の大卒の総合職採用には難関大学と超難関大学の学生が対象となった。 それ以前には幹部候補生は男性のみであったが、その時もそれらの大学に属する人を主として採用していた伝統を、女性にも適用したのであった。ところが女性総合職の採用数は男性と比して非常に少なかったので、企業は女性総合職の採用を超難関大学と難関大学に限定することができた。 それも超難関大学に集中し、難関大学からの総合職採用数はそう多くなかった。現に東大、京大、一橋大、東工大という国立大だけに限定する超名門、超人気企業もあった。ほんの数人の女性総合職の採用数ならば、そういう策も可能であった。 ただし、せっかく総合職で採用されたとしても、結婚・出産によって、あるいはほかの理由によって中途退職する女性はかなり多かったのである』、最後の部分は本当に残念だ。
・『上場企業の商社一般職の大部分は早慶女子  総合職に就く女性は超難関大学と難関大学にほぼ限られていたが、コース別雇用制度が進行するにつれ、超難関大学の中で総合職を選ばず、最初から一般職を選ぶ女子学生の増加が見られるようになった。 総合職を選択して受験してみたが採用されなかったので、仕方なく一般職で採用された、という人が多かったが、最近では意図的に最初から一般職の選択をするのである。 例えば上場企業の総合商社であれば、一昔前では一般職の大半は中堅大学に属する女子大学の卒業生であったが、最近では一般職の70~80%が早慶女子というように変化したのである。すなわち超難関私立大の女子学生が占めており、残りの20~30%も難関大学の私立大、すなわち上智、MARCHなどの大学の女子学生で占められるようになった。 早慶女子の一般職全員が最初から一般職志望であったとは言えず、一部は総合職志望から変更した女性であろうが、多くが最初から一般職志望であったとされている。なぜ早慶などの女子学生の一般職が増加したのであろうか。いろいろな理由を指摘できる。 第1に、これまでの時代は女性活性化の掛け声が強かったが、これがピークに達すると一部の大卒女性は、一心不乱に働いて出世するよりも人生を楽しみたいとする人が増加した。これは女性のみならず男性の中にも増加している。日本人全体で働くことよりも人生を楽しみたいとする人の増加が指摘されている。 これは企業で総合職としてバリバリ働いて出世を目指すよりも、一般職としてそこそこ働くので十分とする人の増加をも意味する。早慶女子、そして東大、京大の一部の女子学生にすら、そういう人の増加があっても不思議はない』、「総合商社であれば、一昔前では一般職の大半は中堅大学に属する女子大学の卒業生であったが、最近では一般職の70~80%が早慶女子というように変化」、「一部の大卒女性は、一心不乱に働いて出世するよりも人生を楽しみたいとする人が増加した。これは女性のみならず男性の中にも増加している。日本人全体で働くことよりも人生を楽しみたいとする人の増加が指摘」、最近の新入社員の意識はずいぶん変わったようだ。
・『「責任とやりがい」が増した一般職の仕事内容  第2に、補助的・定型的な仕事をしていた一般職が、非正規労働者で代替されつつあるので、一般職の仕事の質が高まりつつある。すなわち、一般職の仕事が従来は総合職の行っていた非定型的な責任を伴う仕事になりつつあり、総合職と一般職の違いが小さくなったのである。 それゆえ、一般職と呼ばれながらもやりがいのある仕事ができるなら、あえて総合職の名前にこだわらなくていい人が増加した。その事実として総合職と今の一般職の間にあった処遇の差が縮まっているとされる。この傾向が続けば、一般職の数が減少して、総合職に統合されるかもしれない。 第3に、その傾向の究極の出来事は、転勤だけを強要しない地域限定総合職の創設である。やや無理な解釈かもしれないが、地域限定〝総合職〟は総合職という名前を残して従業員の自尊心をくすぐり、実態は変わりつつある一般職に近い姿に等しいとの解釈も可能である。 第4に、これは多数存在する現象ではないが、働くことは結婚・出産までのことと考える女性が超難関大学・難関大学にもいるので、あえて進んで一般職を狙うのである。総合職であれば将来の幹部候補生であることが暗黙に了解されているので、結婚・出産後すぐに退職をするかもしれないと思っていれば、一般職でかまわないという気になるのである。 第5に、すでに強調したように総合職は転勤が前提とされている。自己の人生として地域を移ることを好まない女性もいるわけで、転勤のない一般職を当初から志願する女性が超難関大学や難関大学にいても不思議はない』、「一般職の仕事が従来は総合職の行っていた非定型的な責任を伴う仕事になりつつあり、総合職と一般職の違いが小さくなったのである・・・一般職と呼ばれながらもやりがいのある仕事ができるなら、あえて総合職の名前にこだわらなくていい人が増加した。その事実として総合職と今の一般職の間にあった処遇の差が縮まっているとされる」、こんな変化が進んでいたとは初めて知った。ただ、せっかく「超難関大学や難関大学」に入りながら、もったいない話だ。やはり、前の記事でコメントしたように、「大企業」は先の人事制度も含め抜本的見直しが求められているのは確かだ。
タグ:上野さんもご自身の著書で書かれています。「今までのフェミニズムは、勝ち組の総合職女性に厳しすぎた。そこは反省するところだ 本質ではない部分で批判されるつらさ フェミニストかどうかなんて「場合による」としか言えない 苦しくもがいている時は、周囲を傷つけても気付かない 「ノー」と言える女性を育てられる社会へ 超高学歴女子に一般職志向が高まっている 「早慶女子があえて「一般職」を選ぶ根本理由 出世より大事にしたい「転勤回避・生活優先」」 恵まれている人は口をつぐめ、という空気はありますよね。私も、先ほどの「勝ち組の涙」のような話をすると高学歴女性のワガママと捉えられることが多いです 東洋経済オンライン 転勤のない一般職を当初から志願する女性が超難関大学や難関大学にいても不思議はない 働くことは結婚・出産までのことと考える女性が超難関大学・難関大学にもいるので、あえて進んで一般職を狙う 転勤だけを強要しない地域限定総合職の創設 一般職と呼ばれながらもやりがいのある仕事ができるなら、あえて総合職の名前にこだわらなくていい人が増加 補助的・定型的な仕事をしていた一般職が、非正規労働者で代替されつつあるので、一般職の仕事の質が高まりつつある 「責任とやりがい」が増した一般職の仕事内容 一部の大卒女性は、一心不乱に働いて出世するよりも人生を楽しみたいとする人が増加 超難関大学の中で総合職を選ばず、最初から一般職を選ぶ女子学生の増加が見られるようになった 最近では一般職の70~80%が早慶女子というように変化 総合商社 上場企業の商社一般職の大部分は早慶女子 最も数が少なかったのは上場企業、すなわち大企業における社長というトップと、重役という幹部 せっかく総合職で採用されたとしても、結婚・出産によって、あるいはほかの理由によって中途退職する女性はかなり多かった 超難関大学出身がほとんどの女性総合職 世界各国の男女平等ランキング「ジェンダー・ギャップ指数」における、日本のランキング 橘木 俊詔 多様性を恐れる日本の大企業 職場や地位は本人が選ぶものではなく会社が与えるものだという日本の根強い前提は、結婚や出産、育児など、人生においてより多くの選択肢に直面する女性にとっては、非常に厳しいものだと思います 『失われた10年』の間に、日本では非正規労働者が激増しました。結果として企業は社員の成長に投資しなくなり、日本をけん引してきたヒューマン・キャピタル、つまり人的資源が一気に弱体化したのです。今後も労働人口は減り続けるので、このままでは厳しい未来が待ち受けています ふたつ目は、男女問わず組織で働く人に対して政府や民間企業が本気で投資すること ひとつは、より多くの女性がリーダーシップを発揮できる地位に就くこと 明るい未来を実現するためには、2つのことが必要 日本で女性がリーダーになるのは大変 優秀な女性の政治家も増えている なぜ日本で女性は活躍できないのか? 絶対的な答えを求めていると、女性問題でいえば、すぐ二項対立になってしまう。でも人々の意見や価値観は案外真ん中にいて、リベラルや保守にほんの少し傾いているにすぎないんです。どちらが正しいかという議論では、お互いいつまでも相容れない。私は正解を押しつけるより、「ノーと言える社会」を作っていく必要がある 「日本の女性よ、リスクを取れ!-ビル・エモット氏に聞く【新年インタビュー】」 nippon.com 全世界中、121位 『孤独の意味も、女であることの味わいも』 「絶対的な正解よりも、女性が「ノー」と言える社会を【三浦瑠麗×中野円佳】」 『なぜ専業も共働きもしんどいのか』 (その15)(絶対的な正解よりも 女性が「ノー」と言える社会を【三浦瑠麗×中野円佳】、日本の女性よ リスクを取れ!-ビル・エモット氏に聞く、早慶女子があえて「一般職」を選ぶ根本理由 出世より大事にしたい「転勤回避・生活優先」) 女性活躍
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