SSブログ

パンデミック(新型肺炎感染急拡大)(その5)(パンデミックを乗り切るなら清潔な日本 お粗末な危機管理には「前科」 五輪中止に追い込まれる可能性も、新型コロナのパンデミックで避けたい未来 医療崩壊のイタリア、法改正へ、新型コロナ緊急事態宣言でテレビの報道内容に指示も、コロナ・パンデミックで米中の「相互排除」が拡大し世界は分断へ向かう) [国内政治]

パンデミック(新型肺炎感染急拡大)については、3月10日に取上げたばかりだが、事態が急展開している今日は、(その5)(パンデミックを乗り切るなら清潔な日本 お粗末な危機管理には「前科」 五輪中止に追い込まれる可能性も、新型コロナのパンデミックで避けたい未来 医療崩壊のイタリア、法改正へ、新型コロナ緊急事態宣言でテレビの報道内容に指示も、コロナ・パンデミックで米中の「相互排除」が拡大し世界は分断へ向かう)である。

先ずは、3月11日付けJBPressが英誌The Economistを転載した「パンデミックを乗り切るなら清潔な日本 お粗末な危機管理には「前科」、五輪中止に追い込まれる可能性も」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59653
・『COVID-19が安倍首相肝いりのプロジェクトを台無しにする恐れがある  パンデミックを乗り切るために滞在する国を一つ選ばなければならなくなったら、筆者は間違いなく日本を選ぶ。 入浴の様子を描いた19世紀初めの木版画が物語っているように、日本人は昔から、清潔であることを称賛に値するほど重んじてきた。 現代の日本人も長年、ちょっと鼻をすすっただけで、すぐにマスクをつけていた。周囲に迷惑がかからないようにとの配慮からだ。 さらに、国民は公的機関などからの呼びかけに素早く反応する。 1月半ばから説かれている新型コロナウイルス感染症「COVID-19」対策では、こまめに手を洗うことが強調されている。 手洗いは、ウイルス拡散のスピードを遅くすることに間違いなく貢献している。 3月4日時点で日本の感染者数が1035人で死者が12人にとどまっていること、しかもその大半が横浜港に数週間停泊していたクルーズ船に関連していることを考えれば、特にそうだ。 驚くべきプラスの副作用がすでに明らかになっている』、「日本人は昔から、清潔であることを称賛に値するほど重んじてきた」、15日では感染者数が1496人で死者が29人(うちクルーズ船が各々712人、7人)のようだ(厚労省)。ただ、日本ではこれまでPCR検査の対象者を極めて限定していたが、これを拡大すれば、感染者数は一気に急増する可能性がある。
・『医師からの報告によれば、日本では欧米と異なり、普通のインフルエンザの患者数が急減している。過去数年との比較だけでなく、この冬の前半と比べても減っているという。 日本でのインフルエンザによる死者が2018年には3300人だったことを考えれば、ここ数カ月間で熱心に説かれた予防策は、COVID-19の犠牲者をはるかに上回る数の命を救ってきたのかもしれない。 だがそれでも、ここ数日は社会のストレスが表出している。 東京では、マスクを手に入れようと薬局にやってきた買い物客の行列で小競り合いが生じた。トイレットペーパーのパニック買いが各地で始まり、店の棚が空になった。 公衆トイレのトイレットペーパーに自転車用の盗難防止チェーンが巻かれている写真まで広まった。 ゴールディングの『蠅の王』には遠く及ばないものの、日本のように行儀の良い国では非常に異例な現象だ。 その原因は、普段は主張がはっきりしている安倍晋三首相の政府に対する疑念がわき起こったことに求められる。 そもそも、首相の問題は前述のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から始まったようだ。 乗客乗員3700人の中にCOVID-19の感染者(いずれも海外で感染)がいることが分かった時に取られた隔離策はお粗末だった』、アメリカではクルーズ船対応を日本の失敗を踏まえて、直ぐに上陸させて、隔離する措置を取ったようだ。
・『ある乗客が表現したように、この船は海に浮かぶペトリ皿だった。船内では、感染者数が700人を超え、7人の死者を出すことになった。 さらに驚くべきことに、乗組員はウイルスに感染した船からの上陸を認められた際に特に隔離されず、日本人の乗客は公共交通機関で帰宅することが許された。 間違いだらけの危機管理と言えば、日本には前科がある。 1995年の阪神淡路大震災の時には、政府の支援の手が届くのがあまりに遅かったため、ヤクザが炊き出しを行ったほどだ。 ダイヤモンド・プリンセスへの対応においても官僚組織は混乱していた。自国民の乗客がいる欧州諸国の大使は、日本政府の誰と連絡を取ればよいのか分からないとこぼしていた。 危機の間に姿が見えなかった安倍氏については、腕が落ちたのではないかと訝る声がファンの間から漏れた。 それまでびくともしなかった内閣支持率は急落した。 コロナウイルスだけでなく自分の評判へのダメージも封じ込めようと、安倍氏は2月27日、指導力を発揮し、すべての学校に対して4月まで休校するよう求めた。 また3月初旬には、最悪の事態に備え、政府が非常事態宣言を出すことを可能にする法案作成にも着手した。緊急支援策も打ち出している』、「間違いだらけの危機管理と言えば、日本には前科がある」、硬直的な官僚機構もさることながら、政治的リーダーシップのお粗末さが主因だろう。
・『攻めの姿勢の安倍首相が帰ってきた。 おかげで今度は、休校要請の決断に際して専門家からどんな助言を受けたのか、そもそも助言を受けたのか、といった疑問が次々に浮上している。 新たなストレスも表に出てくるに違いない。 特に、昼間働いているのにこれから数週間にわたって子供の世話をしなければならなくなった母親たち(父親たちではないようだ)は大変だ。 ある母親は「子供を育てるとはどういうことか、政府は分かっていない」と不満を述べている。 日本政府は、4月には国内が正常化するとしている。その見込みは薄いように思える。 中国の習近平国家主席を国賓として招く計画は、傾きかけた日中関係を元に戻してくれるはずだったものの、すでに延期が決まっている。 これについては、安倍氏が被る政治的コストはほとんどない。 そもそも、安倍氏を権力の座に押し上げたナショナリストたちは、中国の独裁者を招請することに不満を漏らしていた』、安倍首相は、桜を見る会などの逆風を、「休校要請」などで「やっている感」を出すのに必死のようだ。
・『もっと利害が大きいのは、この夏に開催予定の東京オリンピックの方だ。 安倍氏は、嘆かわしいことに普通の日本人には愛国心が足りないので、このイベントを機に養ってもらいたいと思っている。 また、オリンピックのおかげで日本が開放的でグローバル、かつ多文化の国に見えるようになってほしいとも考えている。 さらに、オリンピックは関連の費用が予算を大幅に超過しているとはいえ、首相を7年あまり務めて勇退する際の花道にもなる。 この大会をキャンセルすることになれば、日本の一般市民はがっかりするだけでなく、負担しなければならなかった費用が無駄になることへの怒りも覚えるだろう。 しかし、もしパンデミックになれば、その決定権は安倍氏の手から取り上げられる。 何といってもオリンピック選手村が「陸上のクルーズ船」になってしまうからだ、と上智大学の中野晃一教授は指摘する。 オリンピックは少なくとも延期になると思っておいた方がいいだろう。 そして首相の人気の回復もかなり先にずれこむと見てよさそうだ』、国際オリンピック委員会(IOC)は、今のところ当初予定通りとしているが、欧州での感染拡大が続くようであれば、1年延期論も強まるだろう。

次に、3月12日付け日経ビジネスオンライン「新型コロナのパンデミックで避けたい未来、医療崩壊のイタリア」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00122/031200005/?P=1
・『イタリア政府は3月11日、新型コロナウイルスの感染者が1万2462人、死者は827人になったと発表した。致死率は6.6%で他国より突出して高く、修羅場と見られた中国・武漢より高い。重症の感染者に医療現場が対応しきれず、医療崩壊が起きているようだ。 3月10日朝からイタリアの街の空気は一変した。それまで新型コロナウイルスの感染者が増えていたものの、前週末まではイタリア人の受け止め方は様々だった。「新型コロナで正念場のイタリア、人口の約4分の1を『封鎖』」で書いたように、息抜きのために散歩やジョギング、公園に出かける人も多かった。 だが、コンテ伊首相が9日夜に、10日から移動制限を北イタリアから全土に拡大すると発表。国民に外出を控えて自宅で過ごすように要請し、「国民全員が協力して、厳格な規制に対応してほしい。私たちにはもう時間がない」と訴えかけた。飲食店は営業時間が午前6時から午後6時に制限され、客も1メートル以上の間隔を保たなければならない。 移動制限を打ち出した後は、街の人出が激減。道路や公園などがガラガラになった。ミラノ在住の日本人は、「出かけるのも気が引ける」と話す。スーパーマーケットは混乱を避けるために入場制限を実施しており、その外では列ができていた上に、1メートル以上の間隔を空けて並んでいた。 社会的な混乱も起きている。イタリア政府の規制によって、刑務所の受刑者が面会を禁じられたことに怒り、イタリアの20カ所以上の刑務所で暴動が発生。AFP通信によると、北部の刑務所では受刑者が屋上を占拠して抗議活動をしたり、刑務所の外で受刑者の家族が激しく詰め寄ったりした。中部では受刑者が刑務所を占拠し、南部の刑務所では大規模な脱走が起きた。 移動制限を発令した10日以降も感染者と死者の増加に歯止めがかかっていない。11日の感染者は前日から2313人増え1万2462人。死者は同196人増え827人となった。特に注目されているのが、致死率の高さだ。イタリアの6.6%という致死率は、世界保健機関(WHO)がこれまでの報告をまとめた平均の3.4%より高く、最も修羅場と見られた中国・武漢より高い。その理由として2つが挙げられている。 1つは、高齢者の多さだ。イタリアは平均寿命が男女共に80歳を超える長寿国であり、全人口に占める65歳以上の比率は23%を占める。新型コロナによる死者は持病を持つ高齢者が多いようだ。 もう1つが、医療現場の混乱である。現地メディアや個人の情報発信を総合すると、北イタリアで感染者が急増している地域の病院では、医療従事者や医療器具が不足し、重症者の治療に手が回らない「医療崩壊」の状態にあるようだ』、イタリアでの「致死率の高さ」は確かに衝撃的だ。何故、このような事態を招いたのだろう。
・『北イタリアの病院は戦時下のような状態  米CNNによると、感染者が最も多い北部ロンバルディア州で集中治療態勢の調整に当たっている関係者は、「今や廊下での集中治療態勢整備を強いられている」「病院の区画は全て重症者のために開放した」と語った。 北部のミラノ近郊にある病院の集中治療室(ICU)で治療に当たるダニエル・マッキーニ医師のSNS(交流サイト)の書き込みも話題になっている。「高齢者だけでなく、若い人も気管挿管され、ICUに搬送される」「1日に15~20人が入院し、ICUは崩壊しつつある。戦争のようだ」と、その惨状を語っている。 また、イル・ジョルナーレという現地メディアには、ロンバルディア州の医師の衝撃的な証言が掲載された。それは、「60代以上の患者には挿管しなくなった。若い人や他の病状のない人を選んで挿管する人の選択をしなければならない。人工呼吸器を必要とするすべての人に挿管できなくなった」というものだ。 イタリアの現場の医師たちは緊急事態にあるため、断片的な情報が多い。そこで、ベルギーで新型コロナ対応の指定病院に勤める医師に現地の情報から分かることを解説してもらった。 「新型コロナの感染者はまずは肺を休めることが大事なので、呼吸困難が見られるようなら気管挿管をして人工呼吸器を付ける。例えば1000床ほどの規模の病院なら、100個弱の人工呼吸器はある。それを超えるほどの重症患者が集まる事態を聞いたことがない。重症の感染者に人工呼吸器をつけられなければ死んでしまう。内容が本当だとすると、北イタリアの一部の医療現場はまさに戦時下のような状態ではないか」 イタリアはこれまで財政緊縮策の一環として医療費削減を進め、医療機関や医療従事者を削減してきたところに、新型コロナの重症者が殺到してしまった。引退した医師を呼び戻すなどの緊急策を講じているが、人員不足は解消されていない。そうした中で、十分な治療ができない重症者が増え、死者が急増している可能性がある』、「ICUは崩壊しつつある」、「60代以上の患者には挿管しなくなった。若い人や他の病状のない人を選んで挿管する人の選択をしなければならない」、完全な「医療崩壊」が起きているようだ。
・『本当に検査数は多いのか  医療崩壊が起きている理由として、病院が軽症の感染者を多く受け入れてしまった点が挙げられている。初期症状の患者の検査を実施せず、その感染が明らかになるまでその患者が感染を拡大させてしまったことが、当初、イタリアでも大きく取り上げられた。その反省からか、病院での検査を積極的に実施したことで、院内などで感染を拡大する悪循環に陥ったとの指摘がある。 だが、ここで疑問が生じる。検査をしても軽症の感染者が多いのならば、致死率は下がるはずだ。むしろ、イタリアが突出して検査数が多いというわけではない。人口当たりの検査数で見ると、韓国は100万人当たり4000人近くも検査をしているのに対して、イタリアは1000人以下でスイスやドイツと大差はない。 イタリアは比較的症状が重い人のみを検査しているという見方もある。ロンバルディア州の高齢者向けのクリニックに勤めるカサニ医師は英タイムズ誌に「潜在的にはもっと感染者が多いが、対象を重症者に絞っているため致死率が高くなっている」と語った。 先のベルギーの医師も、疑問を呈する。「死者や集中治療室に入っている人を含めた重症化率が他国よりあまりに高い。数字上の間違いか、他の地域と同じウイルスなのか疑問を持たざるを得ない」と話す。 新型コロナ以外の理由による死者が含まれているのではないか、との疑問がある。ただ、現場の医師の証言では重度の肺炎患者が多く、何らかの形で新型コロナに関連した死者が多いようだ。 WHOは11日、新型コロナについてパンデミック(世界的な大流行)と認定し、中国以外での感染拡大に強い懸念を示し、各国に対策強化を促した。イタリアの医療現場の窮状に対して、普段なら周辺各国から援助に駆けつける動きもあり得るが、今は欧州各国も自国民の検査や医療体制の維持に懸命で余裕がない状況だ。 イタリアは国内病院でICUの受け入れ能力が限界に近付いており、これ以上は受け入れられないと見られている。医療現場の負荷を軽減することが生命線となるため、軽症の患者の自主隔離を徹底し、感染者を増やさないために人々の移動を大幅に制限している。日本や世界各国がイタリアのようにならないためには、医療崩壊への対策と危機意識を周知徹底することがより重要になりそうだ。[追記:2020年3月13日19:25]本文中で紹介したイタリアの現地メディア、イル・ジョルナーレの記事に対し、病院側は事実ではないと別の現地メディアで反論した。今のところ真偽は明らかになっていない』、「潜在的にはもっと感染者が多いが、対象を重症者に絞っているため致死率が高くなっている」、これが「致死率」に関するもっともらしい説明だろう。「今は欧州各国も自国民の検査や医療体制の維持に懸命で余裕がない状況だ」、とはいえ、EUとしては多少無理をしてでも、イタリアへの医療チーム派遣などの支援を打ち出すべきだろう。そうすれば、反EUの極右勢力も力を失う筈だ。フランスやドイツが自国対策だけに追われている現状は、残念だ。

第三に、3月13日付け日経ビジネスオンライン「法改正へ、新型コロナ緊急事態宣言でテレビの報道内容に指示も」の一部を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00005/031200118/?P=1
・『政府は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応すべく、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案を国会に提出した。「緊急事態措置」を宣言できるようになる。立憲民主党の山尾志桜里衆院議員は、宣言に当たっては国会承認(緊急の場合は事後)を必須とするよう強く求めている。同措置は、言論の自由を奪いかねない強い制限を国民に課すことができるものだからだ。 新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、政府が3月10日、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案を提出しました。衆議院の内閣委員会は3月11日、与野党の賛成多数でこれを可決。13日の衆参本会議で採決し、成立する予定です*。(*:このインタビューは3月11日に行った。同法案は3月12日、衆院本会議で可決され、参院に送られた)(Qは聞き手の質問)
・『Q:山尾さんは、同法が定める「緊急事態措置」に強い懸念を示されています。どこに問題があるのでしょうか。 山尾:この緊急事態措置は、国民の目と口を封じることができる非常に強い措置です。なので、改正するならば、その宣言に際して事前の国会承認を義務づけ(緊急の場合は事後も可)、民主的統制を高める必要があると考えています。現行法は、事後に国会に報告するだけですみます。期間も最長2年となっており、これは長すぎます。 (新型インフルエンザ等緊急事態宣言等)第三十二条 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等(国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものに限る。以下この章において同じ。)が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態(以下「新型インフルエンザ等緊急事態」という。)が発生したと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示(第五項及び第三十四条第一項において「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」という。)をし、並びにその旨及び当該事項を国会に報告するものとする』、「立憲民主党の」枝野党首以下が安部首相に丸め込まれて、賛成したのは許し難い。
・『集まり、議論することを禁止できる  Q:国民の目を塞ぎ口を封じる、というのは具体的にはどういうことですか。 山尾:この法律は国民の行動を広く縛ることができます。まず、45条で国民に外出の自粛を要請することができるとしています。 (感染を防止するための協力要請等)第四十五条 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、当該特定都道府県の住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。 Q:「要請」は「命令」ではないのですよね。 山尾:その通りです。しかし、同条の2項と3項に進むと、学校、保育園、老人ホームといった施設の使用禁止を指示することができるとしています。「指示することができる」というのは、罰則規定こそありませんが、命令できるということです。 第四十五条 2 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。 3 施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる。 この部分を援用すれば、緊急事態措置を宣言した根拠をただすための議論をする市民イベントさえ禁止できることになります。これが冒頭でお話しした「口を封じる」行為です。「この法律が定める私権制限は抑制的」との見方もありますが、私はそうは思いません。宣言の是非を国民が話し合う機会を奪う可能性すらある措置なのですから。 集会を禁止するというのは、明治の「集会条例」以来、政府が反対派を抑えるのに使ってきた常とう手段ですね』、「宣言の是非を国民が話し合う機会を奪う可能性すらある措置」、やはり重大な問題がありそうだ。
・『「指定公共機関に必要な指示をすることができる」が意味するもの  山尾:さらに、国民の目も塞ぐことができます。首相が民放テレビ局に指示することができるのです。 Q:それはどういうことですか。 山尾:本文に直接的に書かれているのではありません。しかし、いくつかの条項を組み合わせると、そのように運用ができるのです。3月11日に開かれた法務委員会の質疑に内閣府を呼んでただしました。順に説明しましょう。(これ以降は有料)』、肝心の部分は有料なので紹介できないのが残念だ。「山尾」氏は男女関係ではとかく噂があるが、自らの信念に基づいてただ1人で造反するとは、見上げたものだ。安部政権の今後の具体的な運用を注視していきたい。

第四に、元外務審議官で日本総合研究所国際戦略研究所理事長の田中 均氏が3月18日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「コロナ・パンデミックで米中の「相互排除」が拡大し世界は分断へ向かう」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/231919
・『中国武漢に始まった新型コロナウイルス感染は、同心円を描くように韓国や日本など周辺国に拡がり、ついには米国と欧州などに拡大。12日にWHO(世界保健機関)は「パンデミック」を宣言した。 中世にペスト流行がローマ教会の権威を壊し、主権国家を生む契機になったように、その後も天然痘、コレラ、スペイン風邪などの世界への感染症の拡大が歴史を変えてきた。 現代は医学と医療が発達しており、「新型コロナウイルス・パンデミック」が歴史の本質を変えることにはならないにしても、移動の制限などで人の交流が減り、一方で疑心暗鬼や不信感が強まるなどの国民心理の変化が各国政治の自国第一の傾向をより強めることになりそうだ』、「各国政治の自国第一の傾向をより強める」、とは困ったことだ。
・『不信感強まり協調の意識が希薄に 国際政治、自国中心主義が加速  パンデミック宣言は、コロナウイルス封じ込めに各国が総力で取り組むことを促したものだが、これだけヒト、モノの相互依存関係が深まっているときに、世界が同時に感染の終息を迎えるのははるか先のことだろうし、数年先のことになるかもしれない。 中国や周辺国で感染の拡大がピークを越えても、人の移動が回復するに従い、いったんは終息したと思われた国にも感染の再来も予想される。 各国は人々の移動を制限し、学校を閉め、人が集う芸術・文化・スポーツの集いを自粛する。そうした期間が長引くほど、グローバリゼーションにより成長してきた経済は大きな打撃を受ける。 中国の経済成長は大幅に減速するだろうし、先進国では軒並みマイナス成長になるだろう。 石油輸出国機構(OPEC)やロシアなどの間での減産調整が合意できなかったことによる原油価格の急落もあって、世界経済の先行き不透明から、このところ世界の株式市場で株価下落が止まらない状況だ。 経済が回復するのは感染症の終息が確実となった後になるだろうし、経済活動の停滞だけでなく、問題が長期化すれば、人の交流が途絶えるなかで、人間の社会的営みは希薄になる。国際協調や地域の助け合いといった概念は薄れるだろう。 一方でネットの世界は拡がっているが、感染拡大により、殺伐としたやりどころのない疑心暗鬼や不信感、不安が、SNSを通じて増幅されている。 もともとネットの世界は自己中心主義の傾向はあるにしても、このような心理は、国内政治を変え、国際関係を変える背景を織りなす。 感染症拡大の危機に人々が求めがちなのは、知性や合理性ではなく一見強く見えるリーダーだ。 先進民主主義国では、グローバル化の下、新興国の台頭や移民流入などで職を失ったり賃金が増えなかったりした人たちの不満の受け皿としてポピュリズムが強まってきたが、パンデミックによる国民の不安心理などがこれを加速し、排外主義にもなりかねない自国中心主義が強まる可能性がある。 秋に大統領選挙がある米国では、アメリカ・ファーストを前面に掲げるトランプ大統領にとって再選に有利な環境が作られていくということかもしれない』、「先進民主主義国では・・・ポピュリズムが強まってきたが、パンデミックによる国民の不安心理などがこれを加速し、排外主義にもなりかねない自国中心主義が強まる可能性がある」、危険な兆候だ。「トランプ大統領」の感染症に対する楽観的発言が、米国民の不信を高める方向に作用することを期待するほかなさそうだ。
・『強権体制で感染封じ込めた中国 イメージ回復に反転攻勢  先進民主主義国を中心に自国中心主義を生んでいくなかで、中国はどういう方向に向かうのだろうか。 中国は新型コロナウイルスの感染拡大防止で初動を誤った。それは共産党体制の欠陥というべきものだ。 新型ウイルスが発見された時点で、当局が、最初に感染症の存在を提起した医師の訴えを封じた言論封殺的行動にみられる情報統制や、地方政府は中央の指示がないと動かず、かつ習近平総書記に権力が集中する体制の下では迅速な対応ができなかった。 初動が遅れ、武漢市の「封鎖」が行われるまでに500万人といわれる人々が交通の要衝である武漢から各地へ散っていった。 一方でその後の感染拡大を止めたのは、共産党体制の強制力と先進的なITを駆使した手法、監視社会の下でのビッグデータの活用だった。 要するに習近平体制で着々と積み上げられてきた監視体制が功を奏したということだ。 中国にとっては、今後、2つの課題を克服することができるか否かが、大きな分岐点になる。まず1つ目は「経済成長」の維持だ。 中国共産党にとってみれば統治の正統性を示す上で高い経済成長の維持は必須だ。特に2020年は習近平総書記が掲げる所得倍増公約(2010年比)の最終年になることから、実現に必要な5.6%以上の成長率達成に躍起になるに違いない。 すでに内政の重点は経済活動の早期回復に移っており、地方・中小企業への財政支援や投資・減税などあらゆる政策手段が活用されるだろう。 コロナウイルス感染拡大防止のために武漢市などで実施された、例えば食料品などの無人配送サービスや医療などのオンライン事業を他の地域に本格導入する動きもある。 一時的に成長が大幅に減速した場合に、特に若年失業者の増加も相まって国民の不満は蓄積されるだろうが、感染症対策で国民に対する監視体制は一層強化されており、習近平体制そのものが揺らぐことはないだろう。 共産党一党独裁体制は初動で失敗したが、感染症拡大の終息には適しているということか。 2つ目の課題は国際的な「イメージの回復」だ。 中国での初動の誤りが世界的感染拡大を生み、衛生状態や医療インフラの後進性を世界にさらし、中国の国際社会でのイメージを大きく損なった。 欧米では中国人だけではなく韓国人、日本人への差別意識も見られる始末だ。 習近平政権は、感染拡大が山を越えて終息に向かっているなど、国際社会への積極的なメッセージを出し、反転攻勢にでようとしている。 中国の感染が湖北省も含め終息しても、米国や欧州の感染はおそらくまだ拡大の一途をたどることになるかもしれず、中国での感染終息と欧米での感染拡大の長期化というタイムラグを、中国は、共産党統治体制の優れた点だということでイメージ回復に積極的に活用しようとするだろう。 強権体制で感染を止めた中国と、個人の自由を制約しきれない欧米先進国との対立は激化する』、最近、中国が感染源は米軍と非難したことに対し、米国がこれを否定する展開になっているが、中国もみっともないことをするものだと呆れ果てた。大国にあるまじき行為だ。
・『米中はデカップリングから相互排除に向かう  すでに米中の間では、ウォール・ストリート・ジャーナルが掲載した「中国はアジアの病人」という記事を巡り、激しい応酬が繰り広げられている。 中国は同紙の記者3人の国外退去を命じ、これに対し米国は米国駐在中国人記者の総数を100人以下に限るなどの措置をとっている。 米国内では新型コロナウイルスの感染が拡大しており、人々の嫌中感や対中差別的雰囲気が高まる可能性がある。 共和・民主両党とも対中強硬姿勢は同じで、大統領選では強硬路線を競うことになるのだろう。昨年秋の米中貿易協議の第1段階の合意も、経済の落ち込みが大きい中国は米国農産物の輸入拡大などを合意通り、実施するのは難しいと思われる。 新型コロナウイルス問題が一段落したとしても、米中の間には、香港や台湾問題など、対立の火種が残ったままだ。香港の民主化運動は根強く続くだろうし、新型コロナウイルス感染を最小限で食い止め、支持率も上がった台湾の蔡英文総統は自信を深め、独立志向を強めるだろう。米中の戦略的対峙も深まる。 今年11月の米国大統領選挙結果は、今後の国際政治の展開を考える上で大きな意味を持つ。 パンデミックで米国民の内向きの意識が強まるなか、トランプ大統領がアメリカ・ファーストを改めて訴えて再選に成功する可能性は高まった。 だとすれば、今後5年余りの世界は自国中心主義がさらに加速されることになるだろう。 そうなると、強権体制の下、国内の感染拡大に形の上では歯止めをかけた中国との関係はどのようになるか。 米中関係については、通常の貿易や投資では、双方にメリットがあるので、緊密化することはないにしても縮小することはないが、ハイテク分野での技術開発や投資、貿易は通常の貿易・投資とは切り離し(デカップリング)、お互いを排除した経済圏を形成していくという予測が強かった。 だがパンデミックを機に、米中間はハイテク分野でのデカップリングにとどまらず、通常の経済関係を含めた相互排除にまで発展することになるのではないか』、「米中はデカップリングから相互排除に向かう」、とは鋭い読みだ。
・『国際社会の分断が進む 崩れる先進民主主義国の協調  そして分断は、米中間だけに終わるものではではない。 新型コロナウイルスの感染拡大防止ということで、米国は英国を除く欧州からの入国を唐突に禁止したが、安保や経済関係を巡る米国と欧州の不協和音は、このパンデミックを通じてもさら大きくなっていく可能性が強い。 パンデミックへの対処や経済へのダメージを回避するためには、国際的な協調体制の強化が必要だが、その動きは今のところ見られない。 G7の議長国がイニシアティブをとるべきなのだが、今年は議長国が米国で、トランプ政権になって、米国の国際協調体制離れは顕著だ。 こうした状況で、冷戦時代に培われ、最近まで続いてきた先進民主主義国の協調体制は壊れつつある。 欧州でもアジアでも、米国からは離れる動きがどんどん強まり、一方でEUの求心力は衰え、米国に近い英国・東欧諸国と、米国と距離を置く独仏を中核とする諸国の分断が明らかになりつつある。 従来考えられていたような民主主義体制を基本とする「西側諸国」は、一枚岩ではなくなっているのだ。 新型コロナウイルス・パンデミックは長期間にわたると予想され、この間に、各国が自国優先主義を強めると、従来のように、共産党独裁の強権体制だからという理由で中国を忌避するという雰囲気ではなくなっていく。 アジアでもその傾向は強いのかもしれない。アジアでは民主主義体制が定着してきたわけではなく、いくつかの国では強権体制が国の発展に効果的という見方もされている。 世界の分断と対立は日本にとって好ましいことではあり得ない。米国との同盟関係を維持しつつ中国との経済関係を重視し、国際協調体制から利益を受ける日本こそが、世界が分断に進むのを抑える重要な役割を担うべきではないのか。 そのためには、日本は国内のウイルス感染をできるだけ早く終息させなければならない。そして国内支持率に右往左往する政治に終止符を打ち、長期を見据えた大戦略の下で行動していくことが何よりも必要な時代だということを強く認識したほうがいい』、「日本は・・・長期を見据えた大戦略の下で行動していくことが何よりも必要な時代」、理念的にはその通りなのだろうが、現実には「長期を見据えた大戦略」は日本が最も不得手だ。まして、「世界の分断と対立」が進むなかでは、せいぜい沈没しないように上手く舵取りしていくほかないのではなかろうか。
タグ:ウォール・ストリート・ジャーナル 米中はデカップリングから相互排除に向かう 強権体制で感染封じ込めた中国 イメージ回復に反転攻勢 ポピュリズムが強まってきたが、パンデミックによる国民の不安心理などがこれを加速し、排外主義にもなりかねない自国中心主義が強まる可能性がある 不信感強まり協調の意識が希薄に 国際政治、自国中心主義が加速 各国政治の自国第一の傾向をより強める 「コロナ・パンデミックで米中の「相互排除」が拡大し世界は分断へ向かう」 ダイヤモンド・オンライン 田中 均 「指定公共機関に必要な指示をすることができる」が意味するもの 集まり、議論することを禁止できる 山尾志桜里衆院議員 「法改正へ、新型コロナ緊急事態宣言でテレビの報道内容に指示も」 普段なら周辺各国から援助に駆けつける動きもあり得るが、今は欧州各国も自国民の検査や医療体制の維持に懸命で余裕がない状況だ 本当に検査数は多いのか 医療崩壊 ICUは崩壊しつつある 財政緊縮策の一環として医療費削減を進め、医療機関や医療従事者を削減してきたところに、新型コロナの重症者が殺到してしまった 60代以上の患者には挿管しなくなった。若い人や他の病状のない人を選んで挿管する人の選択をしなければならない 北イタリアの病院は戦時下のような状態 致死率は6.6%で他国より突出して高く、修羅場と見られた中国・武漢より高い 「新型コロナのパンデミックで避けたい未来、医療崩壊のイタリア」 日経ビジネスオンライン オリンピックは少なくとも延期になると思っておいた方がいいだろう この夏に開催予定の東京オリンピック 休校要請の決断に際して専門家からどんな助言を受けたのか、そもそも助言を受けたのか、といった疑問が次々に浮上 国際社会の分断が進む 崩れる先進民主主義国の協調 間違いだらけの危機管理と言えば、日本には前科がある。 1995年の阪神淡路大震災の時には、政府の支援の手が届くのがあまりに遅かったため、ヤクザが炊き出しを行ったほどだ。 ダイヤモンド・プリンセスへの対応においても官僚組織は混乱していた 首相の問題は前述のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から始まった 普段は主張がはっきりしている安倍晋三首相の政府に対する疑念がわき起こったこと 日本のように行儀の良い国では非常に異例な現象だ 社会のストレスが表出 日本では欧米と異なり、普通のインフルエンザの患者数が急減している。過去数年との比較だけでなく、この冬の前半と比べても減っている 驚くべきプラスの副作用がすでに明らかに 本人は昔から、清潔であることを称賛に値するほど重んじてきた COVID-19が安倍首相肝いりのプロジェクトを台無しにする恐れがある 「パンデミックを乗り切るなら清潔な日本 お粗末な危機管理には「前科」、五輪中止に追い込まれる可能性も」 The Economist JBPRESS (その5)(パンデミックを乗り切るなら清潔な日本 お粗末な危機管理には「前科」 五輪中止に追い込まれる可能性も、新型コロナのパンデミックで避けたい未来 医療崩壊のイタリア、法改正へ、新型コロナ緊急事態宣言でテレビの報道内容に指示も、コロナ・パンデミックで米中の「相互排除」が拡大し世界は分断へ向かう) 新型肺炎感染急拡大 パンデミック 中国はアジアの病人
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感