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貧困問題(その2)(ホームレスを食い物にする輩のありえない悪行 彼らの健康事情と貧困ビジネスの結びつき、G7で2番目に高い日本の相対的貧困率 そこで何が起きている?、車上生活 社会の片隅で…) [社会]

貧困問題については、昨年3月25日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その2)(ホームレスを食い物にする輩のありえない悪行 彼らの健康事情と貧困ビジネスの結びつき、G7で2番目に高い日本の相対的貧困率 そこで何が起きている?、車上生活 社会の片隅で…)である。

先ずは、ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーターの村田 らむ氏が昨年5月23日付け東洋経済オンライン「ホームレスを食い物にする輩のありえない悪行 彼らの健康事情と貧困ビジネスの結びつき」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/282556
・『ホームレス。いわゆる路上生活をしている人たちを指す言葉だ。貧富の格差が広がる先進国において、最貧困層と言ってもいい。厚生労働省の調査によると日本のホームレスは年々減少傾向にあるものの、2018年1月時点で4977人(うち女性は177人)もいる。そんなホームレスたちがなぜ路上生活をするようになったのか。その胸の内とは何か。ホームレスを長年取材してきた筆者がルポでその実態に迫る連載の第9回』、興味深そうだ。
・『健康を保つのが難しいホームレス  野宿生活はとても過酷だ。健康を保ち続けるのはとても難しい。また、ホームレスの中には高齢の人も多い。健康上、問題を抱えている人も多い。 そもそもケガや病気が原因でホームレスになった人も少なくなく、前職に建築関係や土木関係の仕事をしていた人がいる。 「重いものを運ぶ仕事で腰を痛めてしまった」「鳶職として作業中、高所から落下して足をケガしてしまった」というような話をよく聞く。 ケガや病気が原因で日雇い労働に行けなくなり、そのまま収入がなくなってしまった。治療費で貯金も消えてしまい、結果的に野宿生活を余儀なくされてしまうというケースだ。 夏場に荒川の河川敷を歩いていると、上半身裸になって体を洗っている男性がいた。男性の上半身にはガッツリ入れ墨があった。またお腹には縦に15センチほどの傷があった。 話を聞くと、まだ野宿生活を始めて間がないという。 ホームレスになる前は、個人経営のリサイクル店を運営していたそうだ。捨ててあるテレビ、洗濯機、冷蔵庫などを拾ってきて直して販売していた。商売が順調なときは、テレビや雑誌の取材が来たこともあったという。 「3年前にがんになって入院したんだけど、この間また再発したんだ。ある日すごい気持ち悪くなって、ウンコも真っ黒になっちゃって、慌てて病院に行ってカメラを飲んだら胃がんだった。そのまますぐに手術をして胃をとっちゃった」 腹の傷はそのときのものだという。 手術や入院にお金もかかり、その間仕事もできなかったので、結局お店を手放すことになってしまった。 現在はホームレスをしながら単発の清掃の仕事などで収入を得ている。ただ、食べるのが精一杯で術後の通院はできていないという。 がんは治ったが併発している病があるらしく、苦しい日々だと語っていた。 ホームレスの中には、厳しい野宿生活を続けるうちに病気になってしまう人もいる』、一旦、「ホームレス」になってしまうと抜け出すのも難しそうだ。
・『病気になっても病院に行けない  ホームレスの平均年齢は高い。平均60歳以上であり、70代、80代も珍しくない。高齢者にとって、夏の暑さ、冬の寒さは体にこたえる。いつでもきちんと食事がとれるわけではないので、栄養失調にもなりがちだ。 そしてほとんどの人は健康保険を持っていない。廃品回収などの収入では、食事代を確保するだけで精いっぱいである。病院に行くお金はとても確保できない。市販の薬を買うのすら難しい。病気になっても、我慢してやりすごして、そのうちに悪化していく場合が多い。 しばらく見ないのでテントの中をのぞくと亡くなっていた、というケースもよく聞く。多摩川などのテント村を歩いていると住人が亡くなってしまい、花や線香がお供えしてある小屋も目につく。 かつて上野のホームレス村を取材していたとき、定期的に一時立ち退きがあった。いったんテントを別の場所に移し、一定期間後に戻ってくることを強要された。警察や区から予告があるため、みんな朝からテントを畳んで移動する。しかし、動かないテントがいくつかあった。テントの中をのぞくと、すでに亡くなっていることが多かった。 不摂生がたたり病気になる場合もある。 かつてホームレスの喫煙率は非常に高かった。そのため、ホームレスの取材に行くときは、タバコを持っていってお礼に渡すことが多かった。 ただ、近年はタバコがずいぶん値上がりしたので、ホームレスには購入のハードルが上がったようだ。また、全体の喫煙者数が減り、喫煙のマナーも上がったので、ポイ捨てされた吸い殻もあまりなくなった。なかなか定期的にタバコを吸うのが難しくなり、そのままやめてしまったという人が増えた。タバコを渡そうとしても 「タバコはやめた」と断られることが多くなったので、僕は最近、ホームレスを取材する際にはタバコは持ち歩いていない。 お酒をたくさん飲むホームレスも多い。 そもそも酒を飲みすぎて会社をクビになったり、日雇労働の仕事を失ったりしたのが原因でホームレスになった人はかなりたくさんいる。そういう人は、ホームレスになった後も、手に入れたお金は全部酒にして飲んでしまう場合が多い。 飲む酒は、値段の割にアルコール度数が高い焼酎のカップ酒が選ばれやすい。ふたをあけるとストレートでググググと一気に飲む。そんな飲み方が体にいいわけがない。 結果的に、肝臓や腎臓など内蔵を傷める。土気色の顔をしているのに、さらに酒をあおりそのまま路上で寝てしまう。 酔っ払ってケンカをして、それで大ケガを負う場合もある。定期的にお話をうかがっていた大阪・西成地区のあるホームレスは、酔っ払っているときにケンカをしかけたり、酔って寝ているときに一方的に暴力を振るわれたりして、いつもケガをしていた。 ある日その男性に会うと、アゴを蹴られ、下の前歯が何本も折れていた。普段は病院には行かないが、今回ばかりは足を運んだそうだ。アゴには縫い跡が生々しく残っていた。しかし定期的に病院に通う金はない。痛くても我慢するしかない。 「しかたないからアルコール消毒するんだ。ついでに麻酔にもなるしな」と言って笑い、またお酒を飲んでいた。数時間後にはベロベロになって公園で寝てしまった。このままでは暴力を受けたり、金を盗られてしまったりする可能性が高いのはわかるが、ベロベロに酔ってしまうと周りはもうどうしようもない』、「近年はタバコがずいぶん値上がりしたので、ホームレスには購入のハードルが上がったようだ」、ただ、「お酒をたくさん飲むホームレスも多い」、殆どアル中に近い人も多そうだ。
・『強度のアルコール依存症や違法ドラッグを使用する人も  もっとアルコール依存症がひどくなると、会話をするのも困難になる。被害妄想が強くなり、怒鳴り散らしたり、暴力を振るったりすることもある。 僕も取材中にしたたかに酒に酔った人に絡まれたことが何度もある。包丁を突きつけられたことも2度あった。 彼らは入院して治療しなければならないレベルの、アルコール依存症だろう。 また数は少ないが覚せい剤など、違法ドラッグを使用するホームレスもいた。もちろん心身ともに悪影響がある。 アルコールやドラッグとは関係なく、精神病を患っていると思われる人も少なくない。 話をうかがうと、「近くに住む(別の)ホームレスに命を狙われている。『殺す!!』『殺す!!』と毎晩小屋の外から言われるんだ。こっちから殺さないと殺されるよ」と早口で言っていた。少し聞き込みをしたが、実際には彼に対し「殺す」と言っている人はいなかった。非常に強い被害妄想を持っているのだ。 被害妄想を持っているだけならいいが、妄想が行き過ぎて本当に暴力を振るってしまうこともあるようだ。誰が悪いわけではないが、被害者は出る。 人前でズボンを脱ぐ、路上で大小便をする、など奇行が目立つ人もいた。寝床の周りをゴミだらけにしたりするのも、近くに住んでいる人にとっては大変迷惑だ。 かつて僕が住んでいた家のそばに、道行く女性を大声で怒鳴りつけたり、子どもに触ったり、男性器を露出させたりするホームレスがいた。ある日、ホームレスの行動に腹を立てた男性が彼を取り押さえていた。 取り押さえた男性の目にも、道行く人たちの目にも、ホームレスの男性が、完全に悪いように見えたと思う。 たしかによくないことをしているかもしれないが、ただ病気ならば仕方がない部分もある。彼に必要なのは、暴力による成敗ではなく治療だろう。 精神を病んだホームレスは、ホームレスの中でも目立ってしまう。 多くのホームレスは、あまり目立たないように周りに迷惑をかけず生活しているが、そのように目立つホームレスがいると 「ホームレス=困った人」「ホームレス=悪い人」というイメージが定着してしまう。こういうイメージは、お互いにとってよくない結果になる場合が多い。ホームレスに対する暴力も、そもそもはそのような誤解から始まっている場合がある。 あまりに精神状態がひどいホームレスは、積極的に保護をして治療をしたほうがいいだろう』、最近は若者による「ホームレス狩り」のニュースは見なくなったが、「あまりに精神状態がひどいホームレスは、積極的に保護をして治療をしたほうがいいだろう」、その通りだ。
・『治療費を払ってもらえない病院側のジレンマ  病気が悪化したり、暑さ寒さに倒れてしまったりしたところを、救急車で搬送されることもある。自分で救急車を呼ぶこともあるし、知り合いや通行人が電話をかけることもある。 病院によってはホームレスの受け入れを拒むところがある。とくに何度も入退院を繰り返しているホームレスは、病院のブラックリストに載っている場合があり、なかなか病院に入ることができないという。 病院で治療を受けたり、入院したりすると、当然費用がかかるが、多くのホームレスは支払うことができない。病院サイドも最悪の場合はお金をとるのを諦めるしかない。ただお互いのダメージを減らすために、治療を最低限に絞ったり、入院期間を短くしたりするケースもある。それが問題視されることがあるそうだ。新宿の総合病院で務める医師は、「病院としてはよかれと思ってやっているのですが、人権団体に差別だと抗議されたこともあります。しかし、きちんと治療をして、高額の治療費を請求しても怒られると思うんですよね。とても難しい問題ですね」と語っていた。そういう問題が起きないように、病院は入院しているホームレスに対し、ケースワーカーをつける場合がある。 ケースワーカーはホームレスが退院後に住めるアパートを見つけ、そこに住所を登録し、生活保護受給の手続きをする手伝いをする。そして生活保護費の中から治療費や入院費を受け取るという形を取る。 病院は治療費を取りっぱぐれずにすむし、結果的に患者も野宿生活から離脱することができる。今は生活保護を受け取るハードルはずいぶん下がったが、20年ほど前はなかなか申請が通らなかった。当時は、「ホームレス生活から抜け出したかったら、救急車を呼んで入院するのが早い」と言われていたぐらいだ。 いったん生活保護をもらい、そこから家賃を支払うようになってしまえば、基本的に継続してアパートで生活していくことができる。 だが、中には生活保護でアパート生活するのは嫌だという人もいる。大阪の淀川の河川敷に小屋を建てて生活をする70代の男性は語る』、「病院は入院しているホームレスに対し、ケースワーカーをつける場合がある。 ケースワーカーはホームレスが退院後に住めるアパートを見つけ、そこに住所を登録し、生活保護受給の手続きをする手伝いをする。そして生活保護費の中から治療費や入院費を受け取るという形を取る」、なかなかいい手だ。
・『生活保護をもらって暮らす福祉アパート  「こういう所に勝手に住んでても『出てけ』とはまず言われないね。基本的人権のおかげかな?その代わり……、 『大阪は福祉の街なので、福祉をもらってアパートで暮らしてください』って役所の連中によく頼まれるよ。もちろん断るけどね」 「福祉で暮らす」とは、ほとんど「生活保護をもらって生活する」という意味である。生活保護を受給して、普通にマンションで暮らせ、という意味だ。 「福祉をもらう奴は、みんな早(はよ)う死んでしまうわ。なんもしなくてもお金が入ってくるから、酒飲んでギャンブルしているヤツばっか。ドヤ街に行ったら、ギャンブルで生活保護を溶かした人らが炊き出しに並んでるよ。もう何のための生活保護か、何のための炊き出しかわからない。 俺はホームレスでありながらも毎日働いているから、本当の意味で生きていられるんだよ」と語った。 彼のように、人に施されるのは嫌だというホームレスは実は少なくない。健康であるうちは、自力で生活して、どうしてもダメになったら福祉アパートに入居しようと思っているという人もいる。言わば、独立心が強い人たちだ。 また、福祉アパートなどの独自ルールである「『禁酒』『禁煙』『門限23時』などを守るのが嫌だ」「面倒くさいから住みたくない」という人もいた。 ただ、多くのホームレスは、「アパートに住めるなら、住もう」と思う。実際、生活保護費が受給しやすくなり、福祉アパートへ住みやすくなって以降、ホームレスの数は減った。生活保護を受けていると病院の治療も受けられ、健康的な生活を送りやすくなる。 いろいろな考え方があるが、よい方向に進んだと思う』、「福祉アパート」は「独自ルール」があるとはいえ、「生活保護費が受給しやすく」なるのであれば、いい政策だ。
・『しかし中には、ホームレスの健康を利用してお金を稼ごうとする人たちもいる。いわゆる貧困ビジネスだ。 以前、新宿中央公園でホームレスの人たちに話をうかがっているとき、とてもひどい目にあった男性に出会った。 その男性は片手にバッグを抱えてベンチに座っていた。 「寒い日が続きますけど、体調大丈夫ですか?」と話しかけると、「大丈夫じゃないよ」とつっけんどんな言葉がかえってきた。 「俺は今、こんなことになってんだよ」と言うと、バッグの中からビニールパックを出した。中には黄色い液体が入っている。 「これは尿パック。つまり俺の尿なの。尿パックは尿道につながってるの。こんな状態だから全然、体調なんてよくないよ!!」と怒り口調で言った。 つまり袋の管は、導尿カテーテルを介し男性の男性器につながっているのだ。 導尿カテーテルをつけたままホームレス生活をしている人がいるなんて、ちょっと信じられなかった。なぜそんなことになってしまったのかを聞く』、「貧困ビジネス」とは恐ろしい話だ。 
・熱海まで連れて行かれ、いきなり手術、そして放置  「ベンチに座ってたら、背広を着た連中に『体調大丈夫ですか?』って聞かれたんだよ。今みたいにさ。それで『いや、大丈夫じゃない』って答えたんだ。最近、オシッコの出が悪いって言った」 そう答えると、背広を着た連中は、「では病院で治療を受けましょう」と言って男性を自動車に乗せた。そしてどこへ行くとも言わず、走り始めた。 「近所の病院に行くと思うでしょ。そうしたら着いたのは熱海の病院。熱海までほぼノンストップで連れてこられちゃった」 新宿から熱海までは、高速道路で約2時間の距離だ。ホームレスを医者に診せるために移動する距離じゃない。 病院に着くと、検査を受けさせられた。 「『前立腺が肥大化しているので手術します。サインを書いてください』って言われて、なんだかよくわからないけどサインしたよ。お金ないけど大丈夫?って聞いたら、大丈夫って言うからさ」 そして翌日には手術台の上にいた。 手術が終わったのち数日は入院したが、そのまままた自動車に乗せられて新宿中央公園に連れて帰って来られたという。そして彼を公園に放置して彼らは帰っていた。 開腹手術が終わったばかりのホームレスを、数日後に野宿生活に戻していいはずがない。 前立腺肥大症は、確かに排尿に障害が出る場合、手術の選択もある疾患だ。ただ、この疾患は50代を超えるとかなりの確率で起こる。50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%が肥大すると言われている。 はたして、新宿に住むホームレスを、わざわざ熱海まで連れて行ってまで手術する必要があったのだろうか? おそらくは国から診療報酬をもらうための詐欺的な手口である。ホームレスを手術して、多額の診療報酬の請求をしていたのだろう。 ホームレスを手術して、診療報酬を不正に受給するやり口だ。にわかに信じがたい出来事だが、実際にある。ちなみに新宿のホームレスの間ではホームレスに声をかけて病院に連れて行く人たちを、“病院手配師”と呼んでいた。 固有の呼び名がつくほど数がいるのだ。 詐欺とまでは言えないが、生活保護受給者を受ける患者に対しては、高い治療を施す病院も少なくない。 ドヤ街近くにある病院では看板に『生活保護取扱い』と大きく書いてあるところも多い。 そのような病院で働く看護師に話を聞くと、 「患者は自分でお金を払うわけじゃないから、いくら高い治療でも平気です。先生もそこらへんは踏まえてますから、看護師として『その注射は打たなくていいんじゃないかな?』と思う注射をドンドン打ちます。正直な所、あからさまにお金を稼ごうとしています」と話してくれた。 違法とは言えないかもしれないが、誠意のない治療法である』、「“病院手配師”」が横行しているとは驚いた。「新宿に住むホームレスを、わざわざ熱海まで連れて行ってまで手術」、そんな事例が多いようであれば、「生活保護受給者」向け医療費を支払う機関でチェックした上で、しかるべき立ち入り検査をするべきだろう。
・『あこぎなやり方で稼ぐ病院の実態  手術ではなくアルコールなどの中毒から回復を目的とする精神科の病院もある。前述のとおり、確かにホームレスにはアルコール依存症の患者が多い。治療が必要な人も多い。 治療するのはもちろんいいが、かなりあこぎなやり方で稼いでいる病院は問題だ。 下請けとして、都内の貧困ビジネス系の精神科の病院に関わった人に話を聞いた。 「現場で見ていて、かなりヤバイ感じがしました。患者のほとんどはアルコール依存症のホームレスか生活保護受給者なんですが、毎日どこかからワゴン車で連れてきて、クリニックで軟禁してしまうんです。 そして彼らの持ち物とか、全部勝手に捨ててしまうんですよ。『生活に支障のない程度に整理する』と言っていたのに、結果的には全部容赦なく捨てました。その際に、現金も取り上げてしまいます。『患者が勝手に酒を買わないようにする』らしいのですが、やりすぎだなと思いました」 ホームレスも荷物を全部捨てられてしまっては、野宿生活に戻るのは困難になる。病院としては、彼らを二度と帰すつもりはない。 彼らは狭く区切られた最低限の施設の住み、最低限の食事が与えられる。治療行為がないわけではないが、ほとんど飼い殺しだ。そして生活保護費からガッツリと治療費はいただく。病院には、彼らが生きている限り継続してお金は入り続ける。 違法行為ではないのかもしれないが、かなり強引な手法で稼ごうとしているように見えた。その病院の年商は20億円を超えていた』、「精神科の病院」は「貧困ビジネス」がやり易そうだが、これにも何らかの監視が必要だろう。
・『病気よりもおそろしい社会の闇  そんな病院によるホームレスの貧困ビジネスの中でも最悪のケースは、2009年に発覚した奈良県の「山本病院事件」だろう。 山本病院では、西成の生活保護受給者向けのマンションに直接出向き、入院の勧誘をしていた。実に入院患者の6割が、生活保護受給者だったという。 そして入院患者に、心臓カテーテル検査を行ったように装い、診療報酬をだまし取っていた。2005年度には275件、2006年度には196件の心臓カテーテル検査を実施したと、記録されている。 本当に手術をしたケースもあったようだ。 患者に対し、「手術やらんと死ぬで!!」と、とても荒い口調で手術をすすめたという。そして手術は失敗して、患者は亡くなった。結果的に山本病院では、狭心症のある女性看護師にも半強制的に心臓カテーテル手術を施し死亡させた。 まるでサスペンス映画のような、恐怖の治療を繰り返した山本病院は、元理事長らが逮捕されて幕を閉じた。 ホームレスの健康を利用して金を稼ごうとする人たちは、実はたくさんいるのだ。 病気よりも、むしろそういう社会の闇のほうがおそろしいと思った』、「貧困ビジネス」の「闇」の深さは想像の域を超えている。生活保護の対象をむやみに絞るよりも、こうした「無駄使い」の撲滅に注力すべきだろう。

次に、株式会社デコムのデータサイエンティストの松本 健太郎氏が11月19日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「G7で2番目に高い日本の相対的貧困率。そこで何が起きている?」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00067/111200016/?P=1
・『公的統計データなどを基に語られる“事実”はうのみにしてよいのか? 一般に“常識“と思われていることは、本当に正しいのか? 気鋭のデータサイエンティストがそうした視点で統計データを分析・検証する。結論として示される数字だけではなく、その数字がどのように算出されたかに目を向けて、真実を明らかにしていく。※文中にある各種資料へのリンクは外部のサイトへ移動します  日本は、貧困国でしょうか。 「貧困」と聞いて大勢の人がイメージするのは、アフリカの貧困国のように、極端に背が低くガリガリに痩せ細った子どもたちの姿かもしれません。しかしGDP規模が米国、中国に次ぐ第3位の日本において、そのような光景を目の当たりにすればそれは「事件」です。 そうした貧困は「絶対的貧困」と呼ばれ、世界銀行では「1日1.90米ドル(約200円)未満で生活する人々」と定義されています。2015年には全世界で約7.36億人いると試算されています』、「データサイエンティスト」が「検証」してくれるとは、面白そうだ。
・『米国に次いで高い日本の「相対的貧困率」  貧困にはもう1種類、「相対的貧困」と呼ばれる指標があります。その国の文化・生活水準と比較して困窮した状態を指し、具体的には「世帯の所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない人々」と定義されています。 日本の相対的貧困率は、12年は16.1%、16年は15.7%もありました。約6人に1人は「相対的貧困」なのです。「OECD経済審査報告書(2017年)」には、国別の相対的貧困率が掲載されています。日米欧主要7カ国(G7)のうち、日本は米国に次いで2番目に高い比率になっています。 「昔はもっと貧しかった」と主張される方もいます。では、ご自身の学生時代を江戸時代と比較して「あなたは昔に比べて裕福だった」と言われたら、どのような気分になるでしょうか。それと一緒で、成長を続ける現代において昔との比較は意味がありません。 相対的貧困とは、あくまで相対的なものであり、概念であり、目で見えにくい。だからこそあまり注目を集めず、今も苦しんでいる人たちがいます。ちなみに国立社会保障・人口問題研究所が17年7月に実施した「生活と支え合いに関する調査」によれば、「ひとり親世帯(二世代)」の約36%が食料の困窮経験について「あった」と回答しています。 持続可能な社会を目指すなら、相対的貧困は低い方が良いといわれています。実際、SDGs(持続可能な開発目標)では、「目標1」として「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」と掲げるだけでなく、「目標10」に「各国内および各国間の不平等を是正する」と掲げ、相対的貧困層の減少を訴えています。 それは、なぜでしょうか?』、「米国に次いで高い日本の「相対的貧困率」」、改めてショッキングな姿だ。
・『「相対的貧困層」は若者、老人、ひとり親の家庭に多い  まず、相対的貧困層とはどのような人たちが多いかを調べてみます。 貧困に関する研究の第一人者である阿部彩先生の「貧困統計ホームページ」に、詳細な分析結果が掲載されています。 この結果から、主に10代後半~20代前半の若者と70代以上の高齢者の相対的貧困率が高いと分かります。70代後半の女性の4人に1人が相対的貧困というのは、なかなか衝撃的な結果です。 少し違った角度で見てみましょう。20~64歳における世帯構造別・男女別の相対的貧困率は以下の通りです。 母子・父子家庭を意味する「ひとり親と未婚子のみ」の相対的貧困率が他世帯構造と比べて高いと分かります。もちろん、その家庭で暮らす子どもも「相対的貧困」に含まれます。 子どもの貧困率(子ども全体に占める貧困線に満たない子どもの割合)は「平成28年国民生活基礎調査」によると13.9%、実に7人に1人の子どもが貧困だと分かりました。ひとり親の場合、貧困率は50%を超えます。 10代後半~20代前半の若者、70代以上の老人、そして母子・父子家庭(子ども含む)。この3つの層に、相対的貧困が多くいると言えるでしょう』、確かに「この3つの層」は、「相対的貧困が多」そうだ。
・『「相対的貧困」家庭の子どもは相対的貧困に陥りやすくなる  20歳未満の若者・子どもが、相対的貧困の場合、それはどのような影響を及ぼすでしょうか? 「全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)の平成29年度追加分析報告書」に、家庭の「社会経済的背景(SES)」と小学6年生、中学3年生の学力の関係を分析した結果が掲載されています。 ※社会経済的背景(Socio-Economic-Status、SES):子どもたちの育つ家庭環境の諸要素(特に保護者の学歴・年収・職業など)のこと。ただし固定的な定義があるわけでなく、調査によって定義や分類に使われるデータは異なる この調査では、家庭の社会経済的背景(SES)を「Lowest」「Lower middle」「Upper middle」「Highest」の4階層に分け、それぞれの家庭収入、父親の学歴、母親の学歴について以下のようにまとめています。 この中では、Lowestが相対的貧困層に比較的近いのではないかと考えます。 家庭の社会経済的背景(SES)別の小学校6年生の平均正答率は、以下のようになっています。棒グラフは平均正答率、丸い円が変動係数(標準偏差を平均値で割った値で高いほど正答率にばらつきがある)を意味しています。 どの科目も、家庭の社会経済的背景(SES)が高いほど平均正答率が高まり、変動係数は低くなるという結果でした。では、中学校3年生の平均正答率も見てみましょう。 同じような結果を示しました。家庭の社会経済的背景(SES)が平均正答率と何らかの関係があるとうかがわせます。 もっとも、この結果だけでは「両親の学歴が低い・年収が低いから、子どものテストの点数も悪くなる」と言えません。なぜならLowestの変動係数が相対的に見て高いということは、高い学力水準を持つ生徒もいると言えるからです。あくまで「平均正答率の平均値が低い」だけしか分かりません。 ただ、平均正答率の平均値が低ければ、大学に入学せず就職したり、職場でも単純労働に従事したりするなど、その後の生涯収入に影響を及ぼす可能性があります。) 09年公表と、少し古いデータになりますが、東京大学の大学経営・政策研究センター「高校生の進路と親の年収の関連について」によると、両親の年収別の高校卒業後の進路は以下の通りでした。年収が高まるほど大学に進学するか浪人する比率が高まり、かつ就職する率が低くなります。 また、19年に発表された内閣府の子供の貧困対策「子供の貧困に関する現状」によると、子どもの大学(専修学校等含む)進学率の推移は、ひとり親家庭、生活保護世帯など金銭的な問題が考えられる世帯は、全世帯に比べて相対的に低い結果となりました。 本人が自らの意志で「大学に行かない」と選んだならともかく、「大学に行けない」と言わざるを得なかった。「学ぶ環境」が無く、適切に学業を修められなかった。これこそが貧困が与える影響でしょう。その結果、その家庭に生まれた子どもも相対的貧困に陥りやすくなる。結果、貧困は連鎖し、再生産されてしまう。 これこそが「持続可能性が無い社会」なのでしょう。こうした状況を「学ばないおまえが悪い」と斬って捨てるほどの自己責任論者にはなれません。このような状況を放っておいてよいはずがありません』、「「学ぶ環境」が無く、適切に学業を修められなかった。これこそが貧困が与える影響でしょう。その結果、その家庭に生まれた子どもも相対的貧困に陥りやすくなる。結果、貧困は連鎖し、再生産されてしまう」、確かに「持続可能性が無い社会」といえそうだ。
・『捕捉率の把握を目的とした継続的な統計データは無い  貧困から抜け出すための手段の1つは生活保護です。しかし日本は海外に比べて捕捉率(生活保護を利用する資格がある人のうち実際に利用している人の割合)が低いといわれています。 日本弁護士連合会(日弁連)が作成したリーフレットでは、日本の捕捉率は15.3~18%としています。一方でドイツは64.6%、フランスは91.6%と高水準とされています。しかし少なくとも日本の数値は推測であり、真の実態は不明です。実は、捕捉率の把握を目的とした継続的な統計データは無いのです。 旧民主党政権下の10年4月に、厚生労働省に「ナショナルミニマム研究会」が開催され、初めて生活保護の捕捉率の推計が公表されました。ただし「国民生活基礎調査」(07年)を用いた類推です。ちなみに、政権交代の影響か以降の捕捉率は公表されていません。 生活保護を受給するには、「収入要件」や「貯蓄要件」(貯蓄残高が生活保護基準の1カ月分未満)のほかに、「就労要件」(働けるか否か)、家族による 養義務者の有無(家族の中で扶養してくれる人がいるか否か)など、さまざまな要件をクリアする必要があります。これらのうち後者2つは「国民生活基礎調査」からは分かりません。) 研究会の資料によると、所得が生活保護の「収入要件」より低い低所得世帯は、全4802万世帯中597万世帯(12.4%)でした。 一方、「貯蓄が保護基準の1カ月未満で住宅ローン無し」という生活保護の「貯蓄要件」に当てはまる世代は229万世帯(4.8%)となりました。 当時の生活保護世帯は108万世帯ですから、所得要件のみで判定すると、捕捉率は15.3%(108万人/108万人+597万人)となります。資産要件のみで判定した捕捉率は32.1%(108万人/108万人+229万人)となります。これではいろいろな要件を加味した実際の捕捉率は分かりません』、「旧民主党政権下・・・初めて生活保護の捕捉率の推計が公表・・・政権交代の影響か以降の捕捉率は公表されていません」、生活保護に冷たい自民党らしいやり方だが、姑息過ぎる。
・『貧困率が下がると捕捉率も下がる不思議  そんな中で、学術研究の一環として就業構造基本調査の「オーダーメード集計」を用いて、都道府県別の貧困率、ワーキングプア率、子どもの貧困率、生活保護の捕捉率を集計した論文を発表されたのが山形大学の戸室健作准教授です。 ※「オーダーメード集計」:既存の統計調査で得られた調査票データを活用して、調査実施機関等が申し出者からの委託を受けて、そのオーダーに基づいた新たな統計を集計・作成し、提供するもの 論文によると、全国の捕捉率(所得のみ)は92年14.9%、97年13.1%、02年11.6%、07年14.3%、12年15.5%と推移しています。10%台前半で推移というデータは日弁連が作成したリーフレットともだいたい合っています。 論文の中に掲載された都道府県別の貧困率と捕捉率で散布図を作製すると意外なことが分かります。 都道府県別に見て、貧困率も捕捉率もこんなに散らばっています。貧困率が高くてもしっかり捕捉している大阪に対して、ほぼ同じ貧困率なのに捕捉できていない宮崎。この差はいったいどこにあるのでしょう? また、貧困率が低いと、捕捉率が低くなる傾向にあるのも気になります。捕捉率は「生活保護が必要な世帯に保護が行きわたっているか」を表す指標なので、本来はこの2つの指標は無相関になってもおかしくありません。それなのに、貧困率が低いと補足率が低くなる(貧困なのにそう見なされていない人が多くなる)のはなぜでしょうか。貧困率が低いことに安住して、捕捉率を高める自治体の努力がおろそかになるなら問題です。予算をかけて早急に改善すべきではないでしょうか。 さらにいえば、「どこに住んでいるか」によって捕捉率が異なるなら、所得だけでなく場所ですら「貧困を生む要因」になりかねません。「私は〇〇県だったから生活保護ももらえず貧しい人生を過ごす羽目になった」なんて、絶対にあってはならないことです。 数字を見えないままにしておくと、あるはずの現実も無いことになってしまいます。それが生活保護を巡る現状です。貧困の実態は3年に1回の国民生活基礎調査(厚生労働省)と、5年に1回の全国消費実態調査(総務省)のデータを加工しないと分からないのが現状です。こうした状況でよいのでしょうか? これは、行政を動かす政治家の仕事です』、「数字を見えないままにしておくと、あるはずの現実も無いことになってしまいます。それが生活保護を巡る現状です」、是非とも実態のより正確な把握が可能になる仕組みに改めてもらいたいものだ。

第三に、11月19日付けNHKクローズアップ現代+「車上生活 社会の片隅で…」を紹介しよう。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4355/index.html
・『「車しか行き場がない」と道の駅の駐車場などで暮らす車上生活者たち。トラック運転手の職を失い、亡き妻との思い出が詰まった車で、食うや食わずの生活を続ける60代の男性。幼少期の虐待が原因で対人関係がうまく築けず、各地を転々とする20代の男性。認知症の妻が徘徊をするため「誰にも迷惑をかけたくない」と高速道路のサービスエリアで車上生活を送る70代の夫婦も。社会の片隅で車上生活を送る人々の実態を追う。 出演者 武田真一 (キャスター)』、私も「道の駅」はよく利用するが、「車上生活者たち」の存在には気付かなかった。
・『3割超の道の駅で…なぜ?亡くなる人も  私たちが取材を始めたきっかけは、ことし8月に起きたある事件でした。 50代の女性が、母親の遺体を車の中に放置したとして、逮捕されたのです。母親と息子の家族3人で1年間、車で生活していたことが、警察への取材で分かりました。しかし、なぜ車上生活を続けていたのか、詳しいことは分かっていません。 取材班「その家族を見かけたことは?」 家族を見たという男性「1回か2回だけ。ぐったりしていた。おばあさんが。」 道の駅 従業員「あまりジロジロ見ても、営業の邪魔にならなければ。」 私たちは、車上生活の実態を調べるため、各地の道の駅を取材することにしました。 幹線道路沿いにある、群馬県の道の駅です。ドライバーが休憩をとるため、駐車場もトイレも24時間開放されています。 夜になると…。 後田ディレクター:見えますでしょうか。この真っ暗に見える駐車場に、1…2…10台弱、車が止まっています。 休憩する車に混ざり、ここで生活しているとみられる人の車が…』、「10台弱」とは想像を上回る多さだ。
・『66歳 仕事失い道の駅で…車で暮らす理由  数か月前から駐車し続けている車があると聞き、訪ねました。 後田ディレクター:すみません、突然。「カメラはだめ。」 後田ディレクター:話だけでも。 「車もだめ。世間には出たくない。嫌だ。」 この日は、取材をすることはできませんでした。 男性の元を訪ね続けて2週間後。取材に応じてくれることになりました。 後田ディレクター:お父さん、こんにちは。 車上生活を続ける男性(66)「はい。」 後田ディレクター:昼になったら気温が上がってきましたね。 車上生活を続ける男性(66)「そうだね。」 後田ディレクター:この道の駅は、どれくらい? 車上生活を続ける男性(66)「12月が来れば、1年。」 後田ディレクター:車の中、見せてもらっても? 車上生活を続ける男性(66)「いいよ、好きなように撮って。」 後田ディレクター:寝るのは後部座席ですか? 車上生活を続ける男性(66)「うん。」 後田ディレクター:カセットコンロも。ここで煮炊きも? 車上生活を続ける男性(66)「できる。」 後田ディレクター:ごはんは、どうしていますか? 車上生活を続ける男性(66)「食料があれば、それなりに。こういうゼリー状になるから。」 後田ディレクター:(手作りゼリーを勧められ、食べてみて)なんか、さわやかな味。 車上生活を続ける男性(66)「だから前は70kgあったんだけど、体重は40kgぐらいまで落ちて。」 後田ディレクター:そんなに? 66歳の男性はトラック運転手でしたが、去年、仕事を失い、生活に行き詰まりました。仕事を見つけるためにも、車を手放せないといいます。 車上生活を続ける男性(66)「(アパートの)支払いが滞るように。不動産屋もうるさくなってきた。『じゃあ出るか』車中泊の状態になって。」 男性によると、収入は月に10万円の年金。アパートで暮らすと家賃4万円に加え、光熱費もかかり、毎月4万円ほどの赤字になります。 車上生活では、家賃、光熱費はかかりません。ただ、冷蔵庫がなく、そのつど食材を買わねばならないため、食費はかさみます。支出は年金の範囲内で済むものの、ギリギリの生活を余儀なくされています。 車上生活を続ける男性(66)「知らない人は『生活保護でも受ければ』と簡単に言うけど、1回市役所に行って聞いたら、『車を持っているんでしょ?だめですね。』パッと切られて終わり。」 それでも、車を手放さないのはなぜなのか。 車上生活を続ける男性(66)「これが別府温泉。一応ツーショットありますよ。」 後田ディレクター:写真、大事にされていますね。 車上生活を続ける男性(66)「これが、女房が死んだときの遺影。」 長年連れ添った妻は、7年前に亡くなりました。子どもはおらず、この車には、夫婦でドライブに行った思い出が詰まっていると教えてくれました。 車上生活を続ける男性(66)「いなくなると、がっかりだよね。夢も希望もなくなっちゃった。」 後田ディレクター:旅行に行った車なんですよね。 年金支給日の前夜。 後田ディレクター:今から、どこに行くんですか? 車上生活を続ける男性(66)「これから燃料。ガス欠だから。」 後田ディレクター:ガソリンの量、完全に空に? 車上生活を続ける男性(66)「うん。」 年金は、支給日の午前0時に振り込まれます。 ATMの前で、午前0時を待ちます。 購入したガソリンは5リットル。 そこから1時間、歩いて戻ります。 後田ディレクター:これからどうされるんですか? 車上生活を続ける男性(66)「移動するよ。ここには戻らないで、どこかよそに行くから。いくらなんでも、ずっと止まったままじゃ、相当目立っていると思う。ここに止まったままが、相当まずいんじゃないの。じゃあ行きますよ。」男性は、行き先を告げずに去って行きました』、「男性の元を訪ね続けて2週間後。取材に応じてくれることになりました」、取材もなかなか大変なようだ。「生活保護・・・市役所に行って聞いたら、『車を持っているんでしょ?だめですね。』パッと切られて終わり」、彼は「車」への思い入れが強いので、「車上生活」を続ける選択をしたのだろう。
・『27歳 若者も…「人間関係は難しい」その理由  私たちが取材した車上生活者の中には、若者もいました。 ディレクター:車に泊まられた? 「そうですね。」 ディレクター:何をされているんですか? 「ちょっといろいろな事情があって。あまり言えない事情が。」 朝7時。福岡県の道の駅で出会ったのは、27歳の男性でした。 ディレクター:僕、そっち(助手席)座っても? 車上生活を続ける男性(27)「別にいいですけど、めちゃめちゃ散らかっていますよ。」 ディレクター:生活感ありますね。 車上生活を続ける男性(27)「そうですか?」 現在は無職の男性。人と話をするのは久しぶりだといいます。 ディレクター:あの白いのは? 車上生活を続ける男性(27)「ペットのハムスターの遺骨です。」 ディレクター:ハム太郎ですか? 車上生活を続ける男性(27)「いや、ハム吉です。」 男性は1か月前まで、派遣社員としてトラックの製造ラインで働いていました。しかし、限界を感じ、退職。会社の寮を出ざるを得ませんでした。 車上生活を続ける男性(27)「朝8時に出勤し、終わるのが夜中の1時。めっちゃ続くし、(周囲に)ぺこぺこやっていても、結局そこまででしかないし。特にやりがいも感じず、続かなかったですね。」 日中、男性は混み合う道の駅を避け、ファミリーレストランへと移動します。座るのは、いつも端の席。なるべく人とは関わりたくないのだといいます。 車上生活を続ける男性(27)「難しいですよね、人間関係は。働いていたあのころに比べれば、だいぶ気持ち的には楽です。」 なぜ、人間関係が難しいと感じているのか。この夜、男性が心の内を語ってくれました。男性が、「飲みませんか」と誘ってくれました。 車上生活を続ける男性(27)「ふだん飲まないんですよ。友達ゼロで、彼女もいない。引きこもり車中泊。」 話し始めたのは、幼い頃に受けた虐待の記憶でした。 車上生活を続ける男性(27)「じいちゃんにどなられたり、ずっと7年間ぐらい。もうノイローゼみたいになっていました。トラウマですね。」 男性は、小学生の時に両親が離婚し、父親の実家に引き取られました。そこで祖父から虐待を受け続け、人を信じられなくなったといいます。 車上生活を続ける男性(27)「(虐待を)見て見ぬふりをしていた、父親が正直許せない。引き取ったくせに。それだったら母親の方に行きたかった。子どもに選ぶ権利はなかった。いろいろな事情があって。親のせいにするわけではないですけど、今の自分の生活が。」 どの職場でも人間関係に悩み、長続きしなかったという男性。仕事を失うたびに、車上生活を繰り返してきました。 今、男性はプログラミングの勉強を続けています。今後はなるべく、人と関わらない仕事に就ければと考えています。 車上生活を続ける男性(27)「最終的には、こんな生活していられない。仕事を見つける。住む場所を確保する。この2つですね。こんな(生活)を幸せと思いたくない。」』、「小学生の時に両親が離婚し、父親の実家に引き取られました。そこで祖父から虐待を受け続け、人を信じられなくなった」、子供への「虐待」は、ずいぶん尾を引くこともあるようだ。
・『30代 妊娠・幼子を連れて 誰も頼れず…  幼い子どもを連れながら、車上生活を余儀なくされた人もいます。 女性は、行政の支援を受け、現在は夫と3人の子どもとアパートで暮らしています。 車上生活をしていた女性(30代)「これが、当時乗っていた車。このサイズで寝泊まりしていました。」 車上生活をしていたのは、3年前の冬。長女は、まだ1歳。さらに、長男を妊娠中でした。 車上生活をしていた女性(30代)「車がなかったら、野宿するしかない。雨風をしのげる唯一の場所。インターネットカフェは子どもがいたらだめですよね。子どもと一緒にいるためには、どうしようと。」 当時、夫婦共に日雇いの仕事をしていましたが、収入は月に10万円ほど。アパートを借りる余裕はありませんでした。 車上生活をしていた女性(30代)「(日雇いの)仕事もお互いにどっちかが行って、子どもを見て。子どもはちゃんと寝かせてあげて、私たちは交代で寝る。永遠にこの生活か、とか。一番つらかったのは、子どもが泣いたとき。とりあえず外であやすけど、寒いじゃないですか。ごめんねって。」 両親とは疎遠だった夫婦。同居していた親戚とのトラブルをきっかけに、車上生活を余儀なくされました。幼い子どもを抱えていたため、友人に相談することもためらったといいます。 車上生活をしていた女性(30代)「『子どもを連れて、どうした?』『こんな時だけ?』というのもあるから、事情を話しづらかった。頼れる相手がいれば違ったのかもしれないけど。」』、「夫婦共に日雇いの仕事をしていましたが、収入は月に10万円ほど」、確かに最底辺だ。「行政の支援を受け、現在は夫と3人の子どもとアパートで暮らしています」、「3人の子ども」がいれば、「車上生活」を続けるわけにはいかないだろう。
・『支援の手が届きにくい…亡くなる人も  住まいのない人たちを支援している静岡県のNPOです。 最近、車上生活者についての情報が相次いで寄せられています。 居住支援を行うNPO 鈴木和樹さん「ものすごい違和感を感じられたと。車、見れば分かります?けっこう汚れていて。」 高齢の母親と娘が2人で車上生活をしているようだといいます。 居住支援を行うNPO 鈴木和樹さん「いるといいけどね。」 道の駅を探しますが…。 居住支援を行うNPO 鈴木和樹さん「白のセダンということだったんですけど、セダンが無いですね。」 すでに移動してしまったあとでした。 居住支援を行うNPO 鈴木和樹さん「難しいですよ。車って、どこまでも行けるので。もしかしたら通過点だったかもしれないし、とにかく会わなきゃ始まらない。」 さらに、車上生活者と接触できても、支援には課題があります。これまでのように生活保護を勧めても、拒まれるケースが少なくないのです。 NPOのシェルターで、一時的に暮らしている男性です。 8年間、車上生活を続けた末、仕事を失い、飲まず食わずの状態で保護されました。 ディレクター:生活保護を受ける考えはありましたか? 車上生活をしていた男性(64)「それは、正直無かったですね。生活保護というのは。自分の中にはね。やっぱり意地もあったんでしょうね。働ける間は、自力で働きたい。人に食べさせてもらわなくても、なんとかしようって。どんどん深みにはまっていっちゃった。」 居住支援を行うNPO 鈴木和樹さん「『助けて』って言えない人のほうが、世の中いっぱいいますし。僕だってなかなか言えないですよ。言えないなら、言ってもらえるような関係を作るしかない。」 車上生活を続けた末に、人知れず、亡くなる人もいます。 道の駅 従業員「道の駅の看板のすぐ下、一番すみですね。脳梗塞で、いきなり、ばたんと倒れちゃったらしくて。あと、熱中症みたいな症状で、救急車を呼んだことも何度もある。」 関東地方すべての道の駅を取材したところ、車上生活者とみられる人が、少なくとも9人亡くなっていることが分かりました。 道の駅 従業員「きっと声をかけて、少し話ができたら、死ななくてすんだかもしれない。こういう所で亡くなっているのを、珍しいと思わなくなっている。」』、「車上生活:では、エコノミークラス症候群になって、「脳梗塞」というのもあり得る話だ。
・『なぜ増加? 知られざる実態  武田:取材にあたった後田ディレクターです。今回、およそ50人を取材してきたそうですけれども、このほかにも、さまざまな事情を抱えた人がいたんですよね。 後田ディレクター:例えば、神奈川県の海老名サービスエリアでは、70代の夫婦が2年間、車上生活を送っていました。妻が認知症のため、徘徊(はいかい)することを心配して“近所に迷惑かけたくない”と家を出ざるを得なかったといいます。 さらに、夫婦と子どもたちの5人家族は、公園の水道で洗濯をするなどして車上生活を送っていました。長女は小学2年生でしたが、通学をさせていませんでした。私たちは児童相談所にも連絡しましたが、車上生活をしていた理由は最後まで明かさないまま、取材の途中で行方は分からなくなってしまいました。 また、働きながら車上生活を送る清掃員の女性もいました。住宅ローンを返すために借金を重ねた結果、多重債務に陥りました。給料のほとんどは借金の返済に消えてしまい、車上生活から抜け出せなくなっていました。 また、家は近くにあるけれど、事情があって帰れないという50代の女性もいました。心配した道の駅の従業員の方が警察に通報すると、実は夫のDVから逃れるために車上生活をしていると言っていたそうです。 武田:こうして聞いてみますと、皆さん、貧困に苦しみ、そのうえでさまざまな難しさを抱えて、車上生活を強いられているということなんですね。 後田ディレクター:取材をしてみると、引きこもり、DV、認知症など、現代社会で人々を孤立させているさまざまな問題と車上生活が結びついているように感じました。一見すると、レジャーとして車中泊をしている人たちと見分けはつきませんが、一つ一つの車に声をかけてお話を伺ってみると、車上生活を長年続けているという人が想像以上に多く、とても驚きました。 武田:誰しもが、ふとしたきっかけで陥りかねない車上生活。社会はどう向き合えばいいんでしょうか』、「引きこもり、DV、認知症など、現代社会で人々を孤立させているさまざまな問題と車上生活が結びついているように感じました」、確かに事情は様々なようだ。
・『「社会との交わりが閉じられて…」「冷たい社会に…」  30年前から、ホームレスの支援を行っているNPOです。 車上生活者の現状を、貧困の問題として、ひとくくりにはできないと戸惑いを感じています。 武田:これほど多くの方が、車の中で暮らしている。長年、困窮者支援をしてきた立場で、どう捉えているのか。 居住支援を行うNPO 阿英紹さん「10年前の、いわゆるホームレスの方々と、ここ10年の車上生活の方々とは、まったく質が変わってきた。かつてのホームレス対策で、とにかくアパートに入れて保護、生活保護を受けるだけではすまないのが今の時代。」 武田:なぜ、そこまで困窮してしまったのか。なぜ、そこまで人間関係に悩むようになってしまったのか。 居住支援を行うNPO 阿英紹さん「ここが一番難しいところ。その問いは、私たちも正解はなかなか見当たらない。どこかで、社会との交わりが閉じられてしまっている。原因はいろいろある。難しい生き方になっている。『本来はこういう生活するはずじゃなかった』と思っていると確信しています。」 武田:自らそういう暮らしを選んでいる? 居住支援を行うNPO 阿英紹さん「選んだんじゃなくて、追い込まれてしまっているとしか思えません。」 武田:ご本人を取り巻く状況に問題があるのか? 居住支援を行うNPO 阿英紹さん「今、冷たい社会に日本がなっているような気がします。いつでも誰でも、何かのはずみで、そういう状態に陥ってしまう。私たちは、そういう中に生きているんだろうと。オアシスみたいなものがあれば、一息つけるような場所があれば、変わって、また立ち上がっていけるんじゃないか。具体的には、言うは易しで、なかなか難しいですよね。」』、これはといった解決策はなさそうな難しい問題のようだ。
・『いま 社会はどう向き合う?  武田:住まいを持って、日々やりがいを持って働くという、ごく当たり前だと思われてきたことが、今すごく難しくなってきている。そういう今の社会の1つの断面を表しているように感じたんですが、どういうふうに感じましたか? 後田ディレクター:取材を通じて、「誰にも迷惑をかけられない」という言葉を繰り返し耳にしました。一度人生でつまずいてしまうと、家族にも友人にも頼ることができない社会になっているのだなと痛感しました。 車上生活をしている方は、私たちが、ふだん使っている駐車場で暮らされています。身近な場所にもかかわらず、人知れず、車上生活を送っている人がいる。社会の無関心の中で、この問題が広がっている怖さを感じました。 引き続き取材をしていきたいと思っています。 武田:しっかり見ていかなくてはいけないですね。 ※一部の回で、配信されない場合があります。ご了承ください』、今後の「取材」で、さらに深く掘り下げてくれることを期待したい。
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