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ゴーン逃亡問題(その2)(日本弁護士連合会が憤激した東京地検の捜索、ゴーンが逃亡した「レバノン」のヤバすぎる現状 焦点は3月に迫っている債務返済期限、ゴーン被告不在のまま行政は不法行為を認定 司法は刑事責任を問えるか) [司法]

ゴーン逃亡問題については、1月27日に取上げた。今日は、(その2)(日本弁護士連合会が憤激した東京地検の捜索、ゴーンが逃亡した「レバノン」のヤバすぎる現状 焦点は3月に迫っている債務返済期限、ゴーン被告不在のまま行政は不法行為を認定 司法は刑事責任を問えるか)である。

先ずは、2月5日付け東洋経済オンライン「日本弁護士連合会が憤激した東京地検の捜索」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/328841
・『その談話は怒りに満ちていた。「検察官らは、無断で裏口から同(原文)法律事務所に立ち入った」「再三の退去要請を無視して長時間にわたり滞留した」「ドアの鍵を破壊し、事件記録等が置かれている弁護士らの執務室内をビデオ撮影するなどした」――。1月31日、日本弁護士連合会の菊地裕太郎会長が東京地方検察庁の捜索を批判する異例の談話を発表した。 談話は「1月29日、東京地方検察庁の検察官らが、刑事被疑事件について、関連事件を担当した弁護士らの法律事務所の捜索を行った」と具体名を伏せているが、東京・麹町にある「法律事務所ヒロナカ」を指していることは明らかだ。同事務所の代表の弘中惇一郎弁護士は日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告の弁護団の1人。1月29日に東京地検が同事務所の家宅捜索を行った』、東京地検は「ゴーン被告の国外逃亡」で怒り心頭に達しているとはいえ、「担当した弁護士らの法律事務所の捜索」したとは暴挙だ。
・『狙いはゴーン被告が使ったパソコン  ゴーン被告の国外逃亡に伴い、弘中弁護士は1月16日にゴーン被告の代理人を辞任している。だが、ゴーン被告が事務所内で使用していたパソコンはまだ事務所内にあるとみられている。これはゴーン被告のものではなく、法律事務所の所有物だからだ。 東京地検はゴーン被告が海外に逃亡して以降、弘中弁護士にパソコンの任意提出を求めてきた。海外逃亡の計画を記した記録があるとみているためだ。しかし、弘中弁護士は「押収拒絶権」を行使し、その求めには応じず、今回の捜索でもパソコンの提出を拒絶した。 この押収拒絶権とは刑事訴訟法に定められた権利だ。同法105条は、医師や弁護士などは、「保管し、又は所持する物で他人の秘密に関するものについては、押収を拒むことができる」と定めている。菊地会長の談話では、「押収拒絶権が行使され、立入りを拒まれているにもかかわらず、検察官らが、裏口から法律事務所に侵入し、要請を受けても退去せず、法律事務所内のドアの鍵を破壊し、執務室内をビデオ撮影するなどしたことは、正当化の余地のない違法行為である」と断じている。 法律事務所ヒロナカを捜索した翌日、東京地検の斎藤隆博次席検事は記者会見を行った。斎藤次席検事は、ゴーン被告の逃亡を主導したと疑われているマイケル・テイラー被疑者(59歳・米国籍)の息子ピーター・テイラー被疑者(26歳・米国籍)が、法律事務所ヒロナカを2019年7月と8月に計4回訪問し、ゴーン氏と面会していたと指摘。「ピーター被疑者の来日目的は逃亡の相談以外に考えられない」と、計画が法律事務所で話し合われたと言わんばかりだった。このテイラー親子はゴーン氏の逃亡を手助けした容疑で逮捕状が出ている。) また、「ゴーン被告と面会した人物の確認はいっさい行っていない、という(事務所側の)説明だった」(斎藤次席検事)と弁護人の管理を暗に批判した。保釈条件では、面会者の氏名と面会日時の記録は義務づけていたが、どんな人物かを確認することを義務づけていない。だが、斎藤次席検事は「弁護団は『保釈中のゴーン被告を指導・監督する』と裁判所に約束していた。その中には当然、面会者がどんな人物かを確認する責任があった」と述べている。 弘中弁護士は家宅捜索のあった1月29日、記者団に対して「事務所で逃亡を謀議したことを裏付ける証拠はない。不愉快だ」と怒りをあらわにした。 法律事務所で鍵を壊したことについて、斎藤次席検事は1月30日の会見で、「弁護人に押収拒絶権があることは認識し、できる限り尊重するということで事務所に向かった。ただ、パソコンの中には拒絶権が及ばないものがある可能性があるので捜索を行いたいと説明した。1時間以上、丁寧に説明した。それでもなお『(ゴーン被告の使用したパソコンが置いてある部屋への)入室を拒む』ということだったので、必要な処分として鍵を解錠した」と説明した』、「菊地会長の談話では、「押収拒絶権が行使され、立入りを拒まれているにもかかわらず、検察官らが、裏口から法律事務所に侵入し、要請を受けても退去せず、法律事務所内のドアの鍵を破壊し、執務室内をビデオ撮影するなどしたことは、正当化の余地のない違法行為である」と断じている」、その通りだ。
・『結局パソコンは押収せず  また、検察が鍵を壊したことが違法ではない理由の1つとして刑事訴訟法111条を挙げた。ここには「差押状又は捜索状の執行については、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる」と定めている。 もっとも、室内の鍵を壊したものの、”目的”とするパソコンは押収しなかった。「パソコンの中のデータのうち、秘密と認められるものとそうでないものとに切り分けて提出を求めたが、『応じられない』と言われたのでパソコンの押収は控えた」(斎藤次席検事)。 では、何を押収したのか。斎藤次席検事は面会記録を押収したことを認めた一方、それ以外について「1個1個、細かくお答えするわけにはいかない」とした。菊地会長の談話によれば「検察官らが押収に至った物は、弁護士らが捜索の始まる前に任意に呈示していた書面等1袋のみ」である。 面会記録は東京地方裁判所にその写しを弘中弁護士が定期的に提出していたもの。家宅捜索をしてまで押収するほどなのかは疑問だが、斎藤次席検事は「裁判所から入手できるが、それが正しいかどうか確認する必要があった。提出しているもの以外の面会記録があるかもしれないので、それを確認したかった」と主張した。 菊地会長は「違法な令状執行に抗議するとともに、同様の行為を二度と繰り返すことのないよう求める」と談話を締めくくっている。2018年11月のカルロス・ゴーンの逮捕から密出国という事態に発展した今回の事件。前代未聞のケースとはいえ、令状執行と刑事訴訟法111条を盾に、逃亡の証拠探しに強引な手法を使ってもよいことにはならない。日弁連は「刑事司法の公正さを著しく害するもの」としており、東京地検は今回の捜索の正当性を改めて説明すべきだろう』、「結局パソコンは押収せず」、何のための「家宅捜索」だったのか、よく理解できない暴挙だ。法律を駆使して抵抗した「弘中弁護士」はさすがだ。

次に、『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員のレジス・アルノー氏が2月17日付け東洋経済オンラインに掲載した「ゴーンが逃亡した「レバノン」のヤバすぎる現状 焦点は3月に迫っている債務返済期限」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/330145
・『カルロス・ゴーン元日産会長が、自らの「母国」に逃亡してから約2カ月。ゴーンは、2022年ごろ引退した後、コンサルタントとして世界中の裕福な顧客を相手に商売する未来を思い描いていたが、そううまくいきそうもない。それどころか、実際には四国の半分程度の大きさしかない国を出られないまま一生を終える可能性もある。 しかも、目下レバノンはまさに崖っぷち状態にある。レバノンに住むエコノミストで弁護士のカリム・ダーハーに言わせると、「デフォルトまで秒読み状態」だ。レバノンは3月9日までに返済期限を迎える債務12億ドルを抱えており、目下の焦点は求められている利息を無事に返済できるかどうか。大手格付機関は債務不履行の可能性も鑑みて、相次いでレバノンの国債格付けを引き下げている。 一部ではロシアによる救済も取り沙汰されているが、レバノンの有力シンクタンクの1つクルナ・イラダは、レバノンの財政はもはや壊滅的で一刻も早く債務不履行を経て、一大リストラを敢行しなければいけない状況にある、と訴えている。 「多くのエコノミストは口をそろえて、レバノンの現在の状況は過去に債務不履行に陥ったアルゼンチンやギリシャ、アイスランドなどと比べてもはるかにひどいと言っている」と、レバノンの有力シンクタンク、クルナ・イラダのポリシーディレクター、シビル・リスク氏は話す。「この国は今すぐにも債務不履行に陥るかもしれないうえ、ベネズエラのように貨幣価値が急落してハイパーインフレに襲われ、失業者があふれ、預金封鎖に至るかもしれない」。 「いずれにせよレバノンは、年内に債務の金利40億ドルを支払わなければならないのに、ドル建ての外貨準備高は100億ドルしかない。この外貨準備はレバノンの生命線だ。レバノンは製造業も輸出も盛んでない一方、輸入額は大きい。ドルが底をつけば、即座に食料や衣料品が不足することになる」(リスク氏)』、2月19日付け日経新聞は「レバノン、デフォルト危機 迫る国債償還 IMFに支援要請」と報じた。IMFが支援する場合には、様々な厳しい条件を付けるので、「レバノン」経済社会の混乱は必至だ。「ゴーン氏」の場合、財産はタックスヘイブンに預けているのだろうから、「デフォルト」の直接の影響は及ばないだろうが、「レバノン」国民の反感が強まることは必至だろう。
・『かつては「中東のパリ」と呼ばれたが…  「中東のパリ」と呼ばれるレバノンはかつて活気にあふれていた。が、いまでは人々が夜な夜な集まったクラブやレストランには誰もいない。昼間にもかかわらず、通りにも人はまばらだ。国立競技場を当初デザインしたザハ・ハディット氏がデザインした高級ショッピングモールにいたっては恐ろしいほどガラガラである。 長年の失策と縁故主義による癒着もあり、公的債務額はGDPの152%に上るなど、レバノン経済は厳しい状況にある。カーネギー研究所の最近の調査によると、レバノンの人口の40%以上が間もなく貧困ラインを下回り、多くの人が中流階級から転落する可能性があるという。ダーハーによると、「法学生の40%が今年授業料を支払うことができない状態」だ。 レバノン人のディアスポラはかつて、海外で稼いだお金をレバノンに送金した。外国人投資家は、レバノン中央銀行が提示する非常に高い金利や、ベイルートで加熱する不動産市場における不動産価格の上昇を享受することができた。 しかし現在、こうしてレバノン経済を「支援」してきた人たちが次々と、自らのドルを引き出している。国の経済状態、シリアの内戦の影響、イランとアメリカとの間の戦争のリスクを恐れ、海外に住んでいるレバノン人は自らのドルは母国ではもはや安全ではないと考えているのだ。そのため、国の外貨準備は縮小している。 レバノン・リラも急落している。銀行は1500レバノン・リラを1ドルで両替しているが、街の両替商のレートは2300レバノン・リラで1ドルだ。ドルが非常に不足しており、ほとんどの銀行は1週間の引き出し上限を200ドルに制限している。 こうした行為は、財産権の侵害にあたる。「銀行がやっていることは違法だ。第一に、裁判所はレバノンの人々が預けたドルを返還するように銀行に命じることができる。そうなると、銀行は破綻を余儀なくされる。しかし、裁判所はそうしない。これによって銀行ではなく、人々が破産に追い込まれている」と、アラブ経済学者協会の会長サミル・アイタは説明する。 他国政府や金融機関は、NGOトランスペアレンシー・インターナショナルによる腐敗指数で138位のレバノンを財政的に支援することにうんざりしている。 「レバノンの政治家がプライベートジェットでパリに到着後、経済的支援を求めるのを見ると、少しうんざりする」とそっけなくコメントするのは、フランスとレバノンの外交関係者であるフランスの官僚だ。 レバノン政府は昨年9月30日、ドルでの輸入を石油、小麦、医薬品に制限することを決定した。これは、国が現在輸入する品目を必需品に制限しているからであり、必需品以外は輸入できないことを意味する。車を輸入するだけでも困難になっている。 レバノンが経済的地獄へと転落したことは、同国の銀行システムを使用して必需品を輸入してきた隣国のシリアの状況が劇的に変化していることも意味する。「シリアでは間もなく飢餓も起こるかもしれない」と、アイタは警告する』、「レバノンの政治家がプライベートジェットでパリに到着後、経済的支援を求めるのを見ると、少しうんざりする」、確かにこれでは、「経済的支援」をする気がしなくなるだろう。
・『国民にとってゴーンは「腐敗の象徴」  経済の急速な悪化は、レバノン人にとって恐ろしいものだ。レバノン人は、歴史上何度も極度の貧困に苦しんできた。20世紀初頭にゴーンの祖父であるビシャラ・ゴーンがブラジルに逃亡せざるをえなくなったのも貧困が原因だ。ベイルートから車で30分のところにある彼の出身地、マウント・レバノンは、これまで人類史上最悪の飢餓の1つを経験している。 1975年に内戦に入ったとき、レバノンは再び困窮した。当時、ゴーンは21歳。「1975年の内戦は基本的に、非常に裕福なキリスト教徒と、パレスチナ人を含む非常に貧しいアラブ人との間の格差が原因で起こった。若く裕福な私の元妻が馬に乗っていると、彼女が馬に与えようとしている砂糖を掴み取ろうと子供たちが彼女に向かって走ってきたそうだ」と、アイタは打ち明ける。 当時も今も、ゴーンの出身地である裕福なマロナイト派キリスト教徒の社会と、貧しいイスラム教徒のアラブ社会の間には、同じ敵意が深く横たわっている。「口座保有者の1%がレバノンの預金の60%を保有している」と、アイタは主張する。 レバノンでは、人口約600万人に対し、受け入れた難民の数は100万人以上に上る。こうした中、ゴーンはエリート層の腐敗の象徴と目されている。彼が住む家から800メートル離れた殉教者広場に集まるデモ隊は、ゴーンについて意見を求められると、「彼は泥棒だ」と答える。ゴーンが“余生”を送ることになったレバノンは、ゴーン同様これから何が起こるかわからない』、超格差社会で、「国民にとってゴーンは「腐敗の象徴」」というのでは、気楽に外出することなど夢のまた夢だろう。ガードマンに囲まれた暮らしを死ぬまで余儀なくされそうだ。

第三に、事件ジャーナリストの戸田一法氏が3月23日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「ゴーン被告不在のまま行政は不法行為を認定、司法は刑事責任を問えるか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/232362
・『「私はいまレバノンにいる」――。無罪を主張しつつ、正々堂々と法廷で争うことなく日本から逃亡した元日産会長カルロス・ゴーン被告(66)=金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)などの罪で起訴=。日本政府は国際刑事警察機構(ICPO)を通じレバノンに身柄拘束を要請しているが、レバノン側は否定的な姿勢で、日本で公判が開かれる見通しは立っていない。一方で主役不在ながら、行政処分は既にゴーン被告の不法行為を認定し、司法も脇役(共犯)の公判で有罪を追認する可能性がある』、「司法」側の対応とは興味深そうだ。
・『日産の課徴金命令受け入れで不法行為認定  大きく報道されていないので気付かなかった読者の方も多いと思うが、金融庁は2月27日、ゴーン被告らの役員報酬を過少に偽って有価証券報告書(有報)に記載した金融商品取引法違反があったとして、法人としての日産に約24億円の課徴金の納付を命令した。 これに先立って昨年12月、証券取引等監視委員会(SEC)は同額の課徴金を納付させるよう金融庁に勧告していた。 SECは東京地検特捜部とともに事件を捜査(SECは行政機関なので正しくは調査)して同法違反容疑で地検に告発した、金融庁に属する「審議会等」の一つだ。そして、法令違反が認められた場合、行政処分を勧告するのもSECの役割だ。 もっとも、同法違反容疑で地検に告発した機関だから、告発した容疑内容に基づき勧告するのは当然の流れだったとは言える。 ゴーン被告と法人としての日産、共犯とされた前代表取締役グレッグ・ケリー被告(63)の起訴内容は、ゴーン被告の2011年3月期~18年3月期の役員報酬が計約170億円だったのに、約78億円と記載した有報を提出したとされる。 日産の命令対象はこのうち、15年3月期~18年3月期の4年分。検査前は起訴内容を違反事実として課徴金は約40億円に上る見込みだったが、日産側が違反事実を報告して減額申請し、SECが認めていた。 日産は命令を受け「決定を真摯(しんし)に受け止める。告知書に従い国庫に納付する」とするコメントを発表していた。 つまり「市場の番人」であるSECの勧告を受け、金融庁も追認して日産に課徴金を命令。日産も受け入れたことで、行政処分としてはゴーン被告の不法行為が認定されたわけだ』、「行政処分としてはゴーン被告の不法行為が認定」、当然のことだ。
・『脇役の公判で刑事責任明らかに  では、ゴーン被告の刑事責任はどうなるのか。 昨年末まで1カ月に1回の割合で公判前整理手続きが開かれていたが、ゴーン被告の逃亡で一時停止された。 一方、日産とケリー被告は分離公判になることが決まった。初公判は4月21日に開かれる予定だったが、3月6日の公判前整理手続きで、尋問する証人や時間配分の調整に時間がかかるため、5月以降に延期されることになった。 東京地裁は初公判が開かれる予定だった4月21日を公判前整理手続きの期日に指定し、争点をさらに詳細に絞り込む方針だ。 冒頭、「主役不在」と書いたが、刑事訴訟法第83条第3項の規定で、被告と弁護人の法廷への出席を開廷の原則としている。 これは日本国憲法32条「裁判を受ける権利」で規定されているためだ。当事者や弁護人が出席しないで意見を述べる機会が奪われる「欠席裁判」はNGということだ。 だから、ゴーン被告不在でゴーン被告の公判を開くことはできないのだが、分離公判という形で日産とケリー被告の公判を開くことは可能だ。 主役は不在だが、脇役の公判を通じて判決が言い渡され、犯罪事実が認定されるケースは過去にもある。イレギュラーではあるが、こうした形でゴーン被告が有罪か無罪か、刑事責任が明らかになるというわけだ』、「脇役の公判を通じて・・・ゴーン被告が有罪か無罪か、刑事責任が明らかになる」、これでは興冷めだ。
・『起訴で有罪率99%以上の理由  それでは、日産とケリー被告の公判の行方はどうなるのか。 ゴーン被告は逃亡前、日本の刑事裁判で有罪率が99%以上であることを理由に「有罪が前提で基本的人権が否定されている」「公正な裁判は期待できない」などと日本の刑事司法制度を批判していた。 これは当たっている面もあるが、的外れな面もある。 というのは、起訴されると99%以上の確率で有罪という点はその通りだが、それは検察側が証拠を精査し、確実に有罪が見込める事件しか起訴しないから高い有罪率になっているにすぎない。 検察官が扱った事件のうち、起訴する割合は年々減少している。1985年は約6割だったが、05年には半分以下に。18年は約37%だった。 これは被告人になると公開の法廷に立たされ、公判の準備で相当な時間を費やすため、精神的・経済的な負担が大きく、無罪の可能性がある人にこうした負担を強いるべきではないというのが検察側のスタンスだからだ。 だが、それが行き過ぎてしまうと起訴すべき事件も不起訴にしてしまうという弊害もありうる。 最近では学校法人「森友学園」を巡る一連の疑惑で、刑事告発された佐川宣寿元国税庁長官や財務省職員らが不起訴となって捜査は終結した。 誰の目にも不正は明らかだったのに、集めた証拠や証言は法廷で公開されることもなかった。ネットでは「官僚に忖度(そんたく)」「上級国民はおとがめなしか」と批判が噴出していた』、「起訴で有罪率99%以上の理由」の1つに、「検察官が扱った事件のうち、起訴する割合は年々減少している。1985年は約6割だったが、05年には半分以下に。18年は約37%」、があったとは初めて知った。
・『裁判官の判断、分かれる可能性  それでは、起訴されたゴーン被告は逃亡しなければ99%以上の確率で有罪になっていたのだろうか。 実は、そうでもないようだ(以前の記事『ゴーン被告の海外逃亡に、検察が「ほっとしている」かもしれない理由』参照)。 「これまで(金商法違反の)虚偽記載で立件されたのはライブドア事件など粉飾決算が主で、報酬の虚偽記載が刑事罰として問われた例はない」(SECに出向経験がある公認会計士)ため、判例もないのだ。 SECを担当したこともある全国紙社会部デスクも「別に起訴された会社法違反(特別背任)の罪は明々白々な公私混同だから、こちらの有罪は堅かったと思う。だが、今回のケースは裁判官の判断も分かれるのではないか」との見解を示した。 日産は起訴内容を認める方針だが、ケリー被告は「報告書に記載すべき『確定した報酬』ではなかった」と無罪を主張。検察側が主張する共謀についても「ゴーン被告がサインした報酬の書面作成に関わっていない」と成立を否認している。 全国紙社会部デスクは「退任後の報酬受領は取締役会に諮り、株主総会での承認が必要だ。その手続きがなされていないのに、報酬が確定したと言い切れるのか」と疑問視した。 検察側が主張するこの点が否定されると、ゴーン被告はおろか、ケリー被告、罪を認める方針の日産も有罪にはならない。 共謀を巡るケリー被告の主張が容認されると、ケリー被告は無罪、ゴーン被告と日産が有罪となる公算が大きい。 もちろん、ケリー被告、日産ともに有罪ならば、自動的にゴーン被告の有罪も認定されるのは言うまでもない。 全国紙社会部デスクが「公私混同」と表現した特別背任は、日産の資金を私的に流用して損失を与えたとされる事件だ。 こちらの事件で日産は被害者であり、ケリー被告にも共謀の起訴事実はない。あくまでゴーン被告の事件だから、日本に戻らない限り公判が開かれる可能性はない。 日産とケリー被告の公判がどう決着するのか、行方が注目される』、無理がありそうな「(金商法違反の)虚偽記載」を裁判所がどう判断するか、1つの注目点だ。
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