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パンデミック(新型肺炎感染急拡大)(その7)(新型コロナウィルス感染拡大 アメリカは異常事態、「外出自粛はすべてに優先する」という専門家を信じてはいけない 死亡原因は「重い肺炎」だけではない、「緊急事態宣言」発令 小池百合子都知事はなぜ急に騒ぎ出した?、108兆円規模のコロナ緊急経済対策が「看板に偽りあり」といえる理由) [国内政治]

昨日に続いて、パンデミック(新型肺炎感染急拡大)(その7)(新型コロナウィルス感染拡大 アメリカは異常事態、「外出自粛はすべてに優先する」という専門家を信じてはいけない 死亡原因は「重い肺炎」だけではない、「緊急事態宣言」発令 小池百合子都知事はなぜ急に騒ぎ出した?、108兆円規模のコロナ緊急経済対策が「看板に偽りあり」といえる理由)を取上げよう。

先ずは、在米作家の冷泉彰彦氏が4月4日付けメールマガジンJMMに掲載した「新型コロナウィルス感染拡大、アメリカは異常事態」from911/USAレポート」を紹介しよう。
・『前回、この欄でお話したのが3月21日。その時は、現地時間で3月20日(金)時点での数字をお伝えしました。それから2週間、事態は加速度的に悪化しています。 
全米レベル・・・・・・・・3月20日時点での感染者 14630
             4月3日時点での感染者 257773
             3月20日時点での死者    210
             4月3日時点での死者    6586
ニューヨーク州・・・・・・3月20日時点での感染者  7845
             4月3日時点での感染者 102863
             3月20日時点での死者     31
             4月3日時点での死者    2985
うちニューヨーク市内・・・3月20日時点での感染者  5151
             4月3日時点での感染者  57159
             3月20日時点での死者     26
             4月3日時点での死者    1562
ニュージャージー州・・・・3月20日時点での感染者   890
             4月3日時点での感染者  29895
             3月20日時点での死者     11
             4月3日時点での死者     646
具体的には医療崩壊に近い状況も伝えられていますが、とにかく、この間、膨大な数の死者が続いています。本稿の直前(アメリカ時間の2日の木曜から3日の金曜にかけて)1日間だけでも、私の住むニュージャージー州では、113名が亡くなり、マーフィ知事は「あらゆる国旗、州旗を半旗とするように」という布告を出しました。 ニューヨークはもっと厳しい状況となっています。ほんの数日前には、クイーンズ区の病院に仮の遺体安置所として、冷蔵トレーラーが横付けされている映像が衝撃を与えました。ですが、今週には同じような冷蔵トレーラーが5台並んでいる映像が出回っています。この4月2日から3日の丸1日の間に亡くなった人は562人。毎日のニュースでは、コロナ問題を巡る最新状況に加えて、犠牲者を追悼するコーナーが定例化されるようになってきました。 更に今週、トランプ大統領と、政権の専門家委員会のファウチ博士、バークス博士からは、2つの大きな指摘がありました。1つは「これからの2週間は、もっと厳しい状況になる」ということ、そしてもう1つは「全米の死者累計は、ベストケースシナリオ、つまり社会的距離の確保に成功した場合で、10万人から24万人」そして「ワーストケースとしては100万人を越えることもある」というのです』、「ファウチ博士、バークス博士」の予測は厳しい目の数字を出しておいて、現実にはそこまで悪化しなかった場合に、「トランプ大統領」による抑え込みが成功したと誇れるようにするといった政治的予測のようだ。
・『一方で経済的影響はどんどん数字となって現れてきています。3月最終週の失業保険申請は660万件、更に3月末の失業率は前月の3.5%から一気に4.4%に悪化しました。これはあくまで「雇用崩壊の始まり」に過ぎず、10%を越えるのは時間の問題と言われています。 政策としては、例えば外出禁止令の発動は各州権限となっており、現時点では全米の4分の3の州が発動していますが、例えば中西部のネブラスカ、オクラホマなどは実施に抵抗をしている状況です。一方で、私の住むニュージャージー州の場合は、ロックダウン(外出禁止)となってほぼ3週間が経過しました。 現時点では既に、事態の深刻度は911の同時多発テロや、2008年のリーマンショックを遥かに超えており、第二次世界大戦後の最大の危機という言い方が普通にされています。また、アメリカの場合は、医療崩壊を回避しながら、感染拡大をスローダウンさせること、同時に職を失った人や破綻に直面した企業をどう救済するかが日々のテーマとなっています。 従って、「11月の大統領選がどうなるのか?」とか、「経済を再起動する場合はどんな手順になり、どんな政策が採用されるのか?」といったようなテーマは、ほとんど議論になっていません。そのような余裕はないというのが正直なところです。とにかく、人々は、どうやって犠牲者を一人でも減らすのかということと、どうやって自分たちが生きていくのかという問題で必死です』、「11月の大統領選がどうなるのか?」まで考える余裕もないところに追い込まれているようだ。
・『アメリカがいかに異常事態かということですが、例えば、地上波のTVでは、NYローカルでも全国中継のものでも、多くの特番が組まれています。そんな中で、苦闘するNYの医療従事者の声というのは、様々な形で紹介されているのですが、その中では「もう疲れました。怖くてたまりません」という看護師の叫びなども出てきています。 以前のアメリカであれば、こうした危機に際しては医療従事者は神格化され、アメリカ人の好きな「ドタンバの馬鹿力」とか「未経験ゾーンにおける臨機応変なアドリブ危機管理」などが美談として語られて「団結して頑張ろう」というストーリーで押し通すのが通例だったように思います。ですが、現在NYで進行している事態というのは、美談で対応可能なレベルを超えているわけです。 軍も異常事態と言えます。例えば、太平洋を航行中であった海軍の原子力空母USSセオドア・ルーズベルトでは、艦内で新型コロナウイルスの感染が拡大してしまいました。5000名近い将兵の中で、100名を越える感染者が出た中で、ブレット・クロージャー艦長は、国防総省に宛てて「乗員を救って欲しい」という「SOSレター」を発したのでした。 このレターに対して、海軍の上層部の動きが鈍かったために、艦長は守秘義務規定では本来禁じられている民間人へのレターの公開を行ったようで、レターの内容をサンフランシスコの新聞が暴露する事態となりました。海軍上層部は激怒して、艦長は即刻権限を剥奪されるとともに海軍を解雇されました。 ところが、これに対して当該艦の水兵たちは、自分たちを救うために手段を選ばなかったクロージャー艦長を強く支持。事態を重く見た海軍は、同艦長の解雇を撤回して、事実関係が明らかとなるまで艦長の指揮権を復活させたようです。この問題では、グアムへ寄港が許可された当該艦を離れて一旦上陸する艦長に対して、千人近い水兵が称賛のコールをする映像までが全国ニュースに流れてしまいました。 この問題ですが、海軍の上層部には、トランプ大統領の介入による人事の混乱が続いていたという背景が指摘できます。ですから異常事態というのは、トランプ現象の延長で発生したという見方も可能です。そうではあるのですが、アメリカ海軍でこれほど大規模な指揮系統の混乱が顕著な形で発生したというのは、極めて異常だと思います』、「アメリカ海軍でこれほど大規模な指揮系統の混乱が顕著な形で発生」、確かに安全保障の基盤まで揺らぐとは、異常だ。
・『異常ということでは、大統領選も異常事態となっています。投票日まで7ヶ月となりましたが、選挙のことはほとんど話題にならなくなりました。大統領は毎日夕刻の定例会見でも、コロナ対策にかかりっきりです。 民主党のバイデン候補は、当初は毎日「シャドー・ガバメント」として「トランプに対抗してコロナ政策を出す」と言っていたのですが、目立った動きはありません。 最新の動きとしては、トランプ政権が実施しようとしている2兆ドル(日本円換算で、総額220兆円)の経済対策について、「より効果的で公正な運用を」というチェックリストを公開しています。ですが、内容は悪い意味で実務的で、発想力に乏しく「政権を奪う」迫力には欠けています。 そんな中で、数字には余り出てきていませんが、バーニー・サンダース候補の存在がある種、不気味です。歴史上始まって以来という急速なスピードで雇用が失われ、しかも医療サービスが人々に切実な時期に、雇用とともに医療保険も失う、そうした混乱に陥った人々が、ここ2週間だけで全米で1000万人いるわけです。 3月までのサンダース氏の政策については、格差是正のターゲットとして、どうして国民皆保険なのか、民間の医療保険に公的助成を加えたオバマケアでは、どうしていけないのか、多くの中道派の有権者は違和感を抱いて来ていました。 ですが、今回の事態というのは格差と医療という2つの問題が、見事に一体化したダブル危機であるわけで、そうなると同氏や民主党左派の存在感は、見えないところで高まっていることが想定されます。 そう言えば、今回の経済対策について、サンダース候補の弟子であるアレクサンドリア・オカシオコルテス議員(AOC)は、火のような激しい口調で「この法案では格差の再生産を生むだけだ」と批判していました。また彼女の選挙区である、ニューヨークのクイーンズ区は、今回のコロナ危機における「ホットゾーン」だと言われ、医療崩壊、コミュニティの危機に直面している中で、AOCはワシントンから必死の活動を行っています。 そうした動きと比較しますと、バイデン候補の支持者というのは、どちらかと言えば「リモート勤務で雇用は安泰」という層を多く含んでいるわけで、そうなると民主党内の候補の一本化は改めて難航するかもしれません』、「急速なスピードで雇用が失われ、しかも医療サービスが人々に切実な時期に、雇用とともに医療保険も失う、そうした混乱に陥った人々が、ここ2週間だけで全米で1000万人いる」、確かに深刻な事態で、「バイデン候補」では対応できないだろう。。
・『今回の経済危機は、最悪の場合は大恐慌に匹敵する可能性も否定できません。にも関わらず、株式市場は実体経済の崩壊とは別の部分でのマネーゲームに陥っています。 暴落せよとは言いませんが、ロシアとサウジの原油増産ストップ合意を材料に大きく上げたり、経済の実態とは乖離が大きいわけで、そうした空虚な動きが続くようですと、「資本主義の枠組みでの経済の再起動」が本当にできるのかが、危ぶまれるとも言えます。 そうした混乱状態を見ていますと、アメリカより社会の規模が小さいとはいえ、「クラスター対策」を柱に感染の抑え込みを続けて持ちこたえている日本、そして、 仮に感染を早期に抑えた場合は、当面はワクチンの登場までは免疫力がないので鎖国を覚悟しながら、その時点での国内の需要喚起策を今から考えている日本というのは、はるかに筋が通っているように思われます。 日本ということでは、日本では当たり前になっていた「非感染者のマスク着用」について、アメリカは今日付で本格的な路線変更を行いました。トランプ大統領は、その会見の中でアダムス公衆衛生局長官に丁寧な説明をさせていました。アダムス長官は「無発症者による感染が危惧される中では全員が公共空間でマスクをすべき」だという方針転換を行うとして「それは私を守り、あなたを守る」と国民に語りかけていました。 アメリカの場合は、日本のように「クラスター追跡」を行う余裕は全くなく、その段階はとっくに過ぎてしまっています。ですが、このマスク問題を含めて、手洗い、衛生管理など、日本がアメリカに教えるべき問題は沢山あるように思います。 例えば、「3つの密」が重なる空間の危険性というのは、日本におけるクラスター解析の中から発見されたもので、その背景には「エアロゾル(マイクロ飛沫)」の問題があるわけです。ですが、アメリカの場合は「どうやらクシャミと咳だけでなく、至近距離での会話も危ないらしい」というのは、今日、4月3日になって初めて報道され始めた感じです。こうした点も遅れています。 話を経済に戻しますと、絶好調から最悪の状況へと急転落しつつあるアメリカ経済の状況に関しては、マスクや「3つの密」のように日本の事例を参考にしてもらうことは不可能です。 但し、日本の場合は、仮に早期の収束が可能となった場合に、その頃には再起動が進んでいるかもしれない中国経済と上手に連携することで、何とか経済の落ち込みを緩和してゆくことは可能かもしれません。また、その場合に、欧米の混乱が長期化した場合には、円高を覚悟する事態もあるかもしれず、そのデメリットを最小化しつつ、そのメリットを活かす政策を考えておく必要があるようにも思います。 いずれにしても、アメリカの混乱は更に今月1ヶ月をかけて更に悪化を覚悟しなくてはならないように思います』、「日本」については楽観的過ぎる印象があるが、「アメリカの混乱は更に今月1ヶ月をかけて更に悪化を覚悟しなくてはならない」、まだまだのようだ。

次に、国際医療福祉大学大学院教授で精神科医の和田 秀樹氏が4月3日付けPRESIDENT Onlineに掲載した「「外出自粛はすべてに優先する」という専門家を信じてはいけない 死亡原因は「重い肺炎」だけではない」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/34283
・『新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、外出自粛の呼びかけが広がっている。精神科医の和田秀樹氏は「そうした見解は、政府の専門家会議を根拠にしているが、メンバーのほとんどが感染症の専門家で、他分野の声が届きづらい。感染拡大防止だけを目的にすると、経済苦による自殺などを見落としてしまう。もう少し冷静な対応が必要ではないか」という——』、興味深い指摘だ。
・『コロナ対策を指揮する安倍首相を感染症専門家の「言いなり」か  新型コロナウイルスにまつわるパニックのような状態が世界中に広がっている。 現状、日本は欧州などに比べれば感染者数も死者数も少ない。その意味で、政府や国民の「慌て方」はいかがなものかと前回の記事で述べた。感染爆発するかどうかの重大局面であることは承知しているが、やはりもう少し冷静な対応が必要ではないか。 安倍政権の対応を見ていて、もう1点、首をかしげたくなることがある。それは特定分野の専門家の意見に従いすぎていないかということだ。 現在、政府が国民に休校や自粛を呼びかける際に、おおむね新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言に従っていると言っていいだろう。座長の脇田隆字氏は国立感染症研究所の所長、副座長の尾身茂氏は世界保健機関(WHO)の感染症対策部長を歴任した感染症の大御所だ。そのほか、日本医師会の常任理事や大学の呼吸器内科の教授、弁護士なども入っているが、ほとんどが感染症の専門家である。 彼らが担当することに異論があるというわけではない。ただ注意が必要なのは、「医学」においてはある専門分野の人が勧める治療などが、ほかの医療の専門分野については逆効果となることが少なくないということだ』、「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」のメンバーの「ほとんどが感染症の専門家」という偏りは確かに問題なのかも知れない。
・『感染症の専門家の意見だけを聞いていればいいのか  新型コロナから話はそれるが、たとえば、「善玉・悪玉コレステロール」だ。あまり正しく認知されていないが、これは体にとって善玉か悪玉かという分類ではない。動脈硬化の研究者や循環器内科の医師にとっての善玉・悪玉ということである。要するに善玉コレステロールの値が高ければ動脈硬化になりにくく、悪玉コレステロールの値が高いと動脈硬化になりやすい。 しかし、同じ医学であっても、循環器系とは異なるジャンルの免疫学者に言わせるとコレステロール値が高い人ほど免疫機能が高いということになる。つまり、がんや感染症になりにくくなる。新型コロナについても該当する可能性がある。おまけに皮肉なのは、悪玉と言われているコレステロールのほうがむしろ免疫機能を高めるとされていることだ。 ホルモン医学の世界では、コレステロールがさまざまなホルモンの材料になるとされている。特に男性ホルモンをつくる主な材料は悪玉コレステロールである。男性ホルモンの値が低下すると性欲や意欲が低下するだけでなく、筋肉がつきにくくなり、記憶力も落ち、また人付き合いもおっくうになることが知られている。薬でコレステロール値を下げるとED(勃起障害)になるというのもよく聞く話だ。つまり、悪玉を含むコレステロールが少ないとさまざまな弊害が起こるのだ』、私も「悪玉コレステロール」値が高いが、かつてに比べると、医者も余り煩く注意しなくなったようだが、その理由が分かった気がする。
・『ある分野の「常識」は別の分野の「非常識」  わたしの守備範囲である精神科の領域でもコレステロール値が高いほうがうつ病になりにくいことが知られている。これも悪玉のほうがいいとされている。ついでにいうと、コレステロール値はやや高めの人が、いちばん死亡率が低いこともわかっている。 要するに、善玉コレステロール、悪玉コレステロールというのは動脈硬化についてのみ通じる話で、身体全体について言える話でない。にもかかわらず、コレステロールについて論じられる際に、ほとんどが循環器内科や動脈硬化の専門家の意見ばかりが取り上げられ、コレステロールが多いのはよくない、悪玉は特によくないという考え方が定着してしまった。 これと似たようなことが今回の新型コロナ騒動でも起こっているのではないだろうか』、「ある分野の「常識」は別の分野の「非常識」」、とは言い得て妙だ。
・『外出自粛の自宅閉じこもりでセロトニン値低下→うつ病リスク  人々の行動を規制するためのガイドラインを考えるための専門家会議であるはずなのに、心理的悪影響を検討する心理学者や精神科医も入っていない。また、症状を軽くすませるための方法論を検討したり、どういうふうに免疫力がつくのかを考察したりする免疫学者も入っていない。こういう形で、人々の行動指針を決めていいのかというのが医師としてのわたしの素朴な疑問である。 テレビ番組に出演するコメンテーターやゲスト解説者もほとんどが感染症学者で、どうやって感染を防ぐかという話に終始している。その結果、街を出歩く若者を断罪するような風潮が形成されている。感染爆発するかどうかの鍵は若い世代であることは知っている。だが、前回記事でも書いたように、人々が家に長期間閉じこもることによる精神医学的・免疫学的な悪影響がほとんど語られないのはおかしい。 ここにきて週刊誌などでは、これまでと異なる視点でコロナ騒動にアプローチする動きが出てきた。たとえば『週刊女性』(4月7日号)には「次はコロナうつが襲ってくる」という見出しの記事があった。これも不安を煽あおるものと言えなくもないが、「心理的な悪影響」を完全に無視するよりは良心的だと私は考える(同号では、免疫学者にインタビューして免疫力を高める方法も紹介していた)。『週刊ポスト』(4月3日号)では「このままでは感染死の10倍の自殺者が出るぞ」というセンセーショナルな見出しが出ていた。 「10倍」という数字はともかく、過度な外出自粛の精神面での悪影響や日光を浴びないことでのセロトニン値の低下を考えると、うつ病のリスクが高まるのは間違いない』、「過度な外出自粛の精神面での悪影響や日光を浴びないことでのセロトニン値の低下を考えると、うつ病のリスクが高まるのは間違いない」、重要な副作用の指摘だ。一般のマスコミも、大本営発表だけでなく、こうした見方も取上げるべきだろう。
・『「コロナ関連死」が8000人でも何も不思議はない  わたしは先日、医師のかたわらに長年手がけている教育事業の売り上げがコロナ騒動の影響で激減したため緊急融資を申し込んだが、過去3年分の決算をみて審査するという返答だった。政府が金融機関に無審査融資を促していないということだが、まるで業績が悪い会社は売り上げが落ちたらそのまま潰れろというような物言いで不快だった。実際、私のところには融資しないという結論がきた。今の売り上げは下がっているのは認めるが、過去の業績が悪いということが理由だった。結局のところ、政府は大企業のフォローは手厚いが、中小には冷たい。 もし、実際にここ数年、業績不振の会社がコロナ騒動で倒産の危機に陥っている中小企業があるとすれば、その経営者の不安は計り知れない。売上激減・景気低迷に加え、資金繰りの不安が強くなることとで、うつ病となり、それが自殺の大きな要因になることは十分に考えられる。 景気が比較的よいとされる昨年までのデータ(内閣府と警察庁調べ)の推移をみると「経済・生活問題で自殺する人」は例年4000人前後おり、多い年には人8000以上になっている。おどすわけではないが、2020年に8000人に近い数の自殺者が出ても不思議でないのではないか。それは「コロナ関連死」といってもいい。 つまり、前出の週刊誌が書いていたように、もしコロナ感染死が数十人レベルでとどまるなら「10倍の自殺者」というのは決して大げさな話ではない。 感染者を減らすことはもちろん重要なミッションである。だが、それと同時に重視すべきは死者を減らすことだろう。死亡原因は、感染して重い肺炎になることだけではない。そのことを、政府はもっと配慮すべきだ』、その通りだ。
・『「専門バカ」体質の蔓延が日本をダメにする  日本には「専門バカ」ということばがある。 辞書には「ある限られた分野の事柄には精通しているが、それ以外の知識や社会的常識が欠けていること。また、その人」と解説されている。わたしはもっと広い意味で、自分の専門分野での常識がすべて正しいと思い、ほかの分野のことを考慮しないことというような意味としてこのことばをとらえている。 日本では、このように感染症に限らず、経済的な問題でも、教育の分野でも、専門家に任せればいいという考えが蔓延している。しかし、他分野の人の意見や素朴な疑問をぶつけたほうが有意義なことも多いはずだ。 経済政策の審議会で、わたしに限らず心理学者が呼ばれるという話は聞いたことはない。あるいは、テレビのさまざまな討論番組で、わたしが専門と思われている教育や老年医療の分野で呼ばれることはあっても、不況回復のようなメンタルの要因が強いと思われる分野でも、呼ばれたことは一度もない。 いっぽう、海外では、たとえば経済の分野で心理学を取り入れるということがトレンドになっている。 心理学を取り入れた経済学の理論である行動経済学は21世紀になってから3回もノーベル賞を受賞しているし、その開祖の一人のダニエル・カーネマンはプリンストン大学の心理学の教授の肩書でノーベル経済学賞を受賞している』、「「専門バカ」体質の蔓延が日本をダメにする」、との主張は説得的で、全面的に同意する。
・『新型コロナ対策に免疫学者や呼吸器内科学者、精神医学者もいていい  複数の専門分野の研究者が共同して研究にあたる学際的研究というのも、各学部のセクショナリズムが強い日本ではなかなか進まない。医学部にいたっては、医学を専門とする人同士であっても、専門分野が違う人の共同研究というのはほとんど聞かない。 今回の新型コロナのケースでいえば、免疫学者と感染症学者と呼吸器内科学者と精神医学者というのが共同で研究して、患者の治療や精神的後遺症の予防も含めた総合的な対策を立てるという話は聞いたことがない。 わたしの経験上、専門分野での地位が高いほど、自分の専門分野に関しては、他分野の人の話を聞こうとしなくなる。ビジネスエグゼクティブの人たちも、成功者ほど、自分の分野には口を挟まれたくないだろう。 知らないうちに「専門バカ」体質になっていないかの自己チェックは、賢い人をバカにしないために重要なものだと信じる』、最近は医学分野でも、「総合診療科」が出来て、他の診療科と協力して治療に当たっているようだ。「「専門バカ」体質」を乗り越える1つの試みとして注目したい。

第三に、4月7日付け文春オンライン「「緊急事態宣言」発令 小池百合子都知事はなぜ急に騒ぎ出した?」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/37088
・『「緊急事態 7都府県…首相『1か月程度』 きょうにも宣言」(読売新聞) 緊急事態宣言、なぜ「今」だったのか。本日の新聞各紙を読んでみた。 「経済政策がまとまったから、宣言を出すということだ」  これまで首相が宣言に慎重だったのは国内経済に与える影響を懸念したためと各紙書いていた。しかし感染経路が不明の患者が増加したことに加え、専門家や首長らの不満が広がって発令せざるを得なくなった(毎日新聞)。その見出しは「外堀埋まった政権」であった。 与党内からも「出すのが遅い」(自民若手議員・朝日)と対応の遅れが出ていることもあってか、「経済政策がまとまったから、宣言を出すということだ」(自民党関係者) 「ただ宣言すればいいのではなく、ちゃんとした経済対策を練り上げる時間が必要だった」(首相周辺) という“解説”も毎日新聞には載っていた。私はてっきり宣言に慎重なのは私権制限の論議が起きているからなのかと思ったが、各紙を読むと経済中心だった』、「ちゃんとした経済対策を練り上げる時間が必要だった」、なるほど。
・『小池都知事の「ロックダウン」強調に官邸は「迷惑だ」  見逃せないのは、小池百合子都知事の「影響」である。 首相は 「日本では緊急事態宣言を出しても、海外のような都市の封鎖を行うことはしないし、そのようなことをする必要もない」(6日)と述べた。 その背景には、都知事が3月23日の会見でロックダウンを強調したことが「首相らを困惑させた」という(朝日)。「緊急事態宣言」と「ロックダウン」を同一視する見方が広がり、スーパーなどで買い占めが起きたからだ。 《こうした事態に、官邸からは「迷惑だ」(首相周辺)との声が上がり、政府関係者は「『ロックダウン』のイメージを払拭しなければ、パニックが起きる。経済へのダメージも計り知れない」と懸念を口にした。》(朝日)』、「小池都知事」が突然、横文字を振りかざして喜々として騒ぎ出したのには、強い違和感を感じた。
・『小池都知事はなぜ急に騒ぎ出した?  迷惑と言われた都知事のあの発言。それにしても小池都知事は急に騒ぎ出した気がする。その印象は私だけではないようで3月27日の毎日社説は、 ・そもそも、都の対応はこれまで出遅れていた。 ・他の都市部のようにトップが強いメッセージを発する場面は乏しかった。姿勢が変わったのは、東京五輪延期の流れが強まった時期とも重なる。 ・3連休には、都内の花見の名所に多くの客が訪れていた。本来であれば、もっと早く注意喚起すべきだった。 と指摘している。東京で感染者が増えているのは3連休の結果が出ていることを考えれば同感だ。 つまり、小池都知事は自らの出遅れを取り戻すために強い言葉を発しているように見える。「おい、小池」とはこのことである』、「東京五輪延期の流れが強まった」ので、これまで封印してきた「強い言葉を発している」、筋が通った説明だ。
・『“布マスク2枚配布”に安倍推しの「夕刊フジ」が激おこ  こうして緊急事態宣言は出されることになったが、新聞読み比べ的にはすでに先週の時点で「緊急事態」だった。例の布マスク2枚配布の件。 4月2日発行の「夕刊フジ」は一面で「マスク2枚ふざけるな!!」と激おこ。「日刊ゲンダイ」と間違えた人が多数! ※タブロイド紙は安倍推しの夕刊フジ、安倍批判の日刊ゲンダイという売りがある。 ツイッターの「日刊ゲンダイ ニュース記者」のアカウントは「まるでウチみたい…きょうの夕刊フジさんの一面が日刊ゲンダイ化していて、ビックリしました。」とつぶやいた。 まるでウチみたい…きょうの夕刊フジさんの一面が日刊ゲンダイ化していて、ビックリしました。 ますます、本紙の真価が問われます。#アベノマスク 「日刊ゲンダイ ニュース記者」より するとその2時間半後に「こちら夕刊フジ編集局」のアカウントが「日刊ゲンダイさん、ありがとうございます! お互いコロナに負けず、頑張りましょう。お手柔らかに。」と返した。 こちら夕刊フジ編集局 日刊ゲンダイさん、ありがとうございます! お互いコロナに負けず、頑張りましょう。お手柔らかに・・・ 日刊ゲンダイ ニュース記者・・・ まるでウチみたい…きょうの夕刊フジさんの一面が日刊ゲンダイ化していて、ビックリしました。 ますます、本紙の真価が問われます。#アベノマスク・・・「こちら夕刊フジ編集局」より なんだこの緊急事態は。200億円かけて布マスク2枚配布という「対策」の衝撃の大きさがわかる』、「“布マスク2枚配布”に安倍推しの「夕刊フジ」」もさすがに批判し、「日刊ゲンダイ」とエールを送り合ったようだ。
・『「全国民に布マスクを配れば、不安はパッと消えますから」  一般紙でも緊急事態だった。産経新聞の一面コラム「産経抄」(4月3日)は、 《政府の発表には耳を疑った。(略)優先すべき政策は山のようにある。首相の決断を押しとどめるブレーンはいなかったのか。》 と驚き、呆れた。あの産経師匠が! 産経の「ブレーンはいなかったのか」は大きなポイントだった。というのも、《「全国民に布マスクを配れば、不安はパッと消えますから」。首相にそう発案したのは、経済官庁出身の官邸官僚だった。》という内幕記事が出てきたからだ(朝日新聞4月3日)。 ブレーンが止めるどころか「不安はパッと消えますから」。今年の流行語大賞候補である。 読売新聞は3週間ほど前にこんな「答え」をすでに書いていた。 「『知恵袋』は腹心2人、首相がトップダウンの決断繰り返す…菅長官との間にすきま風」(読売新聞オンライン3月15日) この記事には《首相が今、政治決断を下す際に知恵袋として頼りとするのが、今井尚哉首相補佐官と北村滋国家安全保障局長だ。》とあり、 ・一斉休校の科学的根拠を専門家には諮問せず、検討は今井氏に委ねた。 ・3月5日に首相が表明した中国・韓国からの入国制限強化は今井氏に加え、北村氏が調整を切り盛りした。 ・今井、北村両氏が下支えする「首相主導」の政治決断には根回し不足も目立ち、省庁とのあつれきが生じている。 と具体的に書いていた』、「ブレーンが止めるどころか「不安はパッと消えますから」」、これでは海外マスコミから批判されるのも当然である。
・『布マスク2枚問題で「今の政権内の意思決定」が見えた  「経済産業省出身の今井氏と警察庁出身の北村氏」とあるので、今回布マスク配布を発案した「経済官庁出身の官邸官僚」は今井氏のことではないだろうか。 さらにこの読売の記事の読みどころは、首相は「令和おじさん」として注目を浴びた菅官房長官に距離を置きはじめ、そのため今井&北村氏が、《官邸内で重みを増したのは、昨年9月だ。今井氏は政策全般を担当する首相補佐官の兼務となり、北村氏は外交・安全保障政策の司令塔となる国家安保局長に昇格し、前面に出やすい立場となった。》 とある。布マスク2枚問題はその是非とは別に「今の政権内の意思決定」が見えた案件だったことがわかる。 ではその意思決定はどのように判断されているのか。ここであらためて注目したい記事がある。 「ネット上に批判、政府二転三転 前例なき対応、首相見切り発車」(朝日新聞2月19日) 1月末の武漢へのチャーター機派遣を検証した記事だが、こんな気になる「証言」がある。 《「ネットでこう批判されているぞ」「テレビの全チャンネルで言われている」――こんな官邸幹部の反応が、政府の新型肺炎への対応に影響していると官邸関係者は証言する。》 首相官邸がSNSに力を入れているのはこれまでも言われてきたが、今回のコロナ対策では別の意味でネットを気にしていたのだ。 つまりブレーンの判断の「源」が、政策論よりネットの反応が大という可能性すら考えられる。支持率重視という姿勢が。 しかし布マスク2枚はネットでもウケなかった。マスク不足のサプライズとして発表したのだろうけどスベった。 なら、ここから見えることは一連のコロナ対応の「意思決定」の過程や可視化はやっぱり大事だということだ』、「一連のコロナ対応の「意思決定」の過程や可視化はやっぱり大事だ」、その通りだ。
・『謎の2020年にしてはいけない  政府の対応を「一生懸命やっているのだから」という人もいる。しかしこれは警戒したい論理だ。 たとえば、 「新型コロナ『歴史的緊急事態』で記録は消されるのか 見え隠れする『桜』の手法」(毎日新聞WEB3月22日)という記事はコロナ対応で、安倍政権が「記録」と「議事録」を巧妙に使い分けていると指摘している。 意思決定のプロセスがあいまいだと、同じような状況を迎えた後世の人々が参考にしづらい。 あのとき誰が決めたのか、なぜそういう判断をしたのか、何か説明されていないものはないか。 謎の2020年にしてはいけない。未来の日本人に迷惑をかけることになる』、最近の「毎日新聞」の安部批判は頼もしいが、朝日新聞は一体どうしたのだろう。

第四に、総務省出身で室伏政策研究室代表・政策コンサルタントの室伏謙一氏が4月8日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「108兆円規模のコロナ緊急経済対策が「看板に偽りあり」といえる理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/234065
・『4月7日、政府は緊急経済対策をまとめ、発表した。事業規模は108兆円という。しかし、よくよく見れば、まさに「看板に偽りあり」で、危機感の欠片もない内容だ。そこで、元官僚でもある筆者が解説する。 緊急経済対策は「看板に偽りあり」  令和元年度の年度末の3月31日、自民党の政務調査会が新型コロナウイルスの感染拡大による経済的危機への経済対策の提言をまとめ、安倍総理に提出した。その名も「緊急経済対策第三弾への提言〜未曾有の国難から「命を守り、生活を守る」ために〜」(以下、「対策提言」という)。 いつの間に第三弾だったのか――というのはさておき、仰々しく、御大層な題名からすると、それに見合った内容、「未曾有の国難」に対処するに十分な施策が詰まっているのかと思いきや、結論から言えば、題名とは程遠い、本当に「未曾有の国難」と考えているのかと疑いたくなる、危機感の欠片もないようなもの。 まさに「看板に偽りあり」であるが、その危機感の欠如した様は、別の見方をすれば失笑を禁じ得ず、まるでお笑い芸人のネタ帳か何かのようだ。 加えて言えば、損害の実態、その裾野がどれくらい広いのかなどについて、的確に把握できていないであろうことが容易に推測できる内容と構成である。 そして、4月7日、この対策提言を受けて、政府は緊急経済対策を取りまとめ、決定した(本稿執筆時点ではその正式名称は未定であるが、また党の対策提言に輪をかけた仰々しい名称になるであろうことは容易に想像がつくが)。 事業規模108兆円に対して政府の財政支出は39兆円(このうち、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関係経費」として位置付けられた経費は、なんと16兆円強)と、こちらもその金額からしても「看板に偽りあり」であり、かなり底上げしてあるコップで提供される生ビールのようなものであり、まさに「見かけ倒れ」である。 なぜそのように見かけ倒れなのかについては、やはり永田町、霞が関に蔓延する“緊縮脳・増税脳”によるところが大きいと考えられるが、本稿ではまず、この見かけ倒れ緊急経済対策の下地になった「基本的な考え方」において通底する自民党の対策提言について、それがいかに実態から乖離した、ある種滑稽なものであるかについて考察することとしたい。 ちなみに、緊急経済対策については、話題となった「Go To キャンペーン(仮称)」に代表されるように、端的に言ってヒドイ内容であるし、未執行の政策をシラっと入れ込んで膨らませているのではないかと思われるもの、特定事業者の利益のためなのではないかと疑いたくなるようなものまで含まれている。これについては別稿で分析することとしたい』、「危機感の欠片もない・・・「看板に偽りあり」・・・その危機感の欠如した様は、別の見方をすれば失笑を禁じ得ず、まるでお笑い芸人のネタ帳か何かのようだ」、極めて手厳しい批判だ。
・『お粗末感が拭えない 事業者の資金繰り対策や家計への支援  さて、この対策提言、事業規模は60兆円とされ、「極めて大規模」だと喧伝されているが、これは事業規模であって実際の政府による財政支出、いわゆる「真水」と言われる部分はその半分にも満たない20兆円に過ぎない。 それで「未曾有の国難」なるものに対処できると本気で考えているのだろうか。耳と目を疑う。 この規模の記載と併せて、「日々刻々と変化する内外の経済情勢を踏まえ、対策の規模について、財源にとらわれることなく更なる積み上げを図ること」とされているが、リップサービスの類だろう(むろん、今後の更なる補正予算の編成について含みを残しているということなのだが、残念ながら規模感には期待は持てまい)。 また、この対策提言の日程感、なんと東京オリンピックが1年延期されたことを受けて、来年のオリンピック開催に向けて、「感染拡大抑制期」「反転攻勢期」「中長期」などと組まれている。つまり、来年のオリンピックまでにはなんとかするということなのだろうが、新型コロナウイルスの感染は世界的に拡大の一途をたどっており、終息する兆しは全く見えない。 加えて、「新型コロナショック」と評される経済社会への影響についても、それ以前からの世界的な景気後退と相まって目下拡大中であり、これに一部専門家の間で懸念されている複数の国・地域でのバブル崩壊が合わされば、「第2次世界恐慌」に至る可能性さえある(既に恐慌に突入しているとの見解すらある)。 そうした中で、1年強で感染拡大抑止に反転攻勢とは、なんと楽観的でお気楽なことか。 しかも、感染拡大抑制期について、そのための医療・検疫体制の整備を進めるべしとするのは異論を挟む余地はないだろうし、大いにやっていただきたいと思うが、事業者の資金繰り対策や家計への支援となるとお粗末感は拭えない』、「「真水」と言われる部分はその半分にも満たない20兆円に過ぎない」、それを財政投融資や官民金融機関による融資などで膨らまして、「事業規模は60兆円」にしたに過ぎない。なお、7日に発表された「事業規模は」さらに108兆円にまで膨らんだようだ。。
・『今一番大事なのは、事業を継続できるようにすること  企業の資金繰り対策については、基本的に融資という考え方であり、利子補給に信用保証、民間金融機関から政府系金融機関への借り換えと、困窮する事業者の負担を根本的に軽減するものにはなっていない。融資は借金であり、負担増にしかならない。 雇用調整助成金にしても、あくまでも企業で働くいわゆる給与所得者向けのものであり、支給限度日数の延長や助成率の引上げ等を行うべしとしているが、100%の給与補償ではないし、一時凌ぎにしかならないだろう。 いや一時凌ぎでもないよりはマシなのかもしれないが、本気で支援し、雇用を確保し、所得を補償するつもりがあるのであれば、事業者の失われた粗利の100%補償を行うべきであろう。事業者の粗利には従業員の給与も含まれるから、雇用を守るとともに給与も補償することができる(むろん、粗利の補償に当たっては、そのうち従業員の給与相当分については、必ず従業員に支払うことを条件とする必要はあるが)。 加えて、わが国の貧困化が止まらない中、低賃金で働き、住まいがなく、ネットカフェ等で寝泊りする、いわゆる「ネットカフェ難民」については、当然住所というものがなく、銀行口座も作ることができないので、金額や支給範囲が取り沙汰されている給付金も受給することができない。 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、過剰ともいえる自粛ムードが世を覆いっているところ、事業が継続できなくなって廃業する事業者や、止むを得ず従業員を解雇せざるをえない事業者も出てきている。 今一番大事なのは、雇用を継続できるようにするために事業を継続できるようにすることであり、その場凌ぎの給付金や支援の名を借りた借金ではないはずである(事業者にとっても、時間をかけて育成し、仕事を覚えてもらった従業員を、資金繰りの問題で解雇せざるを得ないというのは大きな痛手であり、新たに雇用するのは大きなコストである)。 しかし、「通常時なら十分に事業継続が可能な事業者を支えるとの観点から」との記載があることからも明らかなように、「あらゆる事業者を支援しよう」という気は最初からないようだ。 またこうした給付金等の支援に関して、「消費税5%減税分(国分)に相当する約10兆円を上回る給付措置を、現金給付・助成金支給を中心に、クーポン・ポイント発行等も組み合せ、全体として実現すること」と、対策の基本的な考え方の一つとして記載されている』、「事業者」「支援」を実務的にどうやっていくのかは極めて難しい課題だ。
・『消費税率の引き下げは絶対に行いたくないということ  なんとなく消費税を税率10%から5%に引き下げるような対策してくれるかのように見えるが、当然のことながらそんなことはない(なお、この事項に関する記載は、政府の緊急経済対策からはなくなっている。念のため指摘しておく)。 その心は、 第一に、消費税率の引き下げは絶対に行いたくないということ。だからこそ「消費税5%減税分に相当」なのである。 第二に、現金は出したくないとうこと。「~を中心に」と書かれるとなんとなく現金や助成金が大部分を占めるように見えるが、その配分は書かれていない。額の多寡に関わらず「中心」と位置付ければいいわけであって、現金給付等がポイントやクーポンに係る予算よりも多額になるとは限らない(というかおそらくそうならない)。 第三に、ポイントをインセンティブにしてキャッシュレス決済インフラを普及させたいということ。消費税増税キャッシュレスポイント還元が単なる愚策であり、キャッシュレス決済インフラの普及は、特に中小零細事業者にとっては負担にしかならないことについては、拙稿『消費税増税のポイント還元は「どうしようもない愚策」と断言できる理由』で解説しているので、ここでは詳しくは書かないが、要するに、「新型コロナショック」という惨事に便乗し、ドサクサに紛れてキャッシュレス決済インフラ事業者のビジネスを伸長させよう、ということであろう(しかも、どうやら世耕前経産大臣はこのことが日本経済にとっていいことだと本気で信じているようなので、タチが悪い)』、「「新型コロナショック」という惨事に便乗し、ドサクサに紛れてキャッシュレス決済インフラ事業者のビジネスを伸長させよう」、本当に「タチが悪い」。
・『「危機感の徹底した欠如の表れ」としか言いようがない  外出、外食を自粛しようが、在宅勤務になろうがどうしようが、人は食べていかなければ生きていくことはできないし、生活必需品は使うことになるから、当然それらの物資を購入しなければならない。 自粛したからといって、在宅勤務になったからといって、消費が完全に止まるわけではない。そして消費には、食糧や生活必需品の購入には消費税がかかる。 収入が減って、場合によってはなくなって、一時凌ぎの助成金や給付金はあったとしても、家計が苦しくなっている中で、さらに消費税とは二重苦である。 しかし、消費税を減税すれば、その分負担が軽くなるばかりか、これまで消費税として支払っていたお金が手元に残ることになるので、別の支出に回すことが可能となる。 従って、本来必要不可欠なのは、減税に相当する給付措置ではなく、消費税減税のはずなのであるが、この対策の検討に引き続き行われた自民党税制調査会では、消費税減税は一蹴されたようだ。 「国難」にあっても、国民に重くのしかかる消費税を減税しないとは、本当に「命を守り、生活を守る」気はあるのだろうか? そして、目前の状況への対応、しかも大規模な対策を考え、実施していかなければならない時に、新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、新型コロナショックも落ち着き、出口が見えた段階の施策を考えるという、極めて楽観的な反転攻勢期。 そこに列挙された施策には呆れ返る。 マイナポイントにキャッスレスの推進・拡充、旅行代金の割引助成、商店街活性化事業に観光・消費の国民的キャンペーンだそうな。 安心して旅行に行ったり飲食店に行ったりできるようにするためには、現状で不自由なく生活できていること、休業しても、それがある程度の期間になっても、休業の必要がなくなったらそれ以前と同様に営業が再開できること、従前同様に働いて給料を稼げることである。 つまり、休業補償、粗利の補償であり、それなしに、不確実な未来の話を希望的観測に基づいて考えても意味がない。「危機感の徹底した欠如の表れ」としか言いようがない』、「新型コロナショックも落ち着き、出口が見えた段階の施策を考えるという、極めて楽観的な反転攻勢期」、などを夢想するとは、確かに「危機感の徹底した欠如の表れ」だ。
・『国民や国民経済の窮状など全く考えていない 「愚策中の愚策」である  さらに、その反転攻勢期の先に、「新たな経済社会を見据えた対応」と称して、以下のような施策を促進するとしているが、「新型コロナショック」への対応とは全く関係がない。 ・企業および地方自治体における在宅勤務、テレワークの導入を促進するための取組みを推進すること。 ・一人一台端末の前倒し整備、学習データ基盤の検討、遠隔教育による家庭 学習環境の整備、遠隔教育に不可欠な著作物利用の円滑化等、GIGAスクール構想を加速・拡充すること。 ・遠隔医療・遠隔薬剤処方等を促進するとともに、SNSやPHR(パーソナルヘルスレコード)の活用等を進めること。 ・デジタルガバメントやキャッシュレス社会の実現、スマートシティの推進、その前提となる安心安全な5Gインフラの早期全国展開など、経済社会活動を可能な限りデジタル空間に移行する「デジタル遷都」に取り組むこと。 特定企業の利益増進のための単なる便乗商法に等しく、国民や国民経済の窮状など全く考えていない「愚策中の愚策」である。  加えて、これらが実現すれば、人件費を中心としたコスト削減が可能となり、国民は窮状に陥り、貧困化がさらに進む可能性が懸念される。 シラーっと、このような施策を入れるとは、ほとんど犯罪と同等レベルである。 各部会が取りまとめた個別の「経済対策に関する重点事項」には、さらに具体的かつ詳細な事項が記載されており、話題になった「お肉券」に関連する記述も、その言葉自体はなくなったが、これにつながる事項がしっかりと記載されている。今後政府の施策となった際にちゃっかり復活する可能性は十分ある。 いずれにせよ、今の与党はこの程度のことしか考えられない、国民、事業者の窮状などものともしていないことが、これで明らかとなったわけであるが、諦めたり、達観したりもしていられない。 やはり、先述のとおり、損失が出ている事業者の粗利の100%補償と消費税減税を実現すべきであり、それを強く求めていく必要がある』、「特定企業の利益増進のための単なる便乗商法に等しく、国民や国民経済の窮状など全く考えていない「愚策中の愚策」、手厳しいが、その通りだ。自民党も、官邸主導に慣れ切って、政策立案能力は劣化したのだろう。
・『真に必要である対策に向けた真摯な議論の活発化を期待  これについては、同じ自民党の良識派の議員たちによる議員連盟「日本の未来を考える勉強会」が3月上旬の段階で次のような提言を行っており、安倍総裁以下、主要幹部に手交されている。 1.50兆円規模の補正予算を編成し、財源には躊躇なく国債を発行してそれに充てること。なお、2025年のプライマリーバランス黒字化目標は当分の間延期すること。 2.被雇用者に対しては十分な休業補償をするとともに、事業者、特に中小企業及び小規模事業者(個人事業主を含む)に対しては、失われた粗利を100%補償する施策を講ずること(特別融資だけでは不十分)。安心して休業できることは、有効な防疫対策にもなる。 3.消費税は当分の間軽減税率を0%とし、全品目軽減税率を適用すること(消費税法の停止でも可)。なお、消費税の減税のタイミングとして6月を目指し、各種調整を速やかに行うこと。 4.従来から存在するあらゆる制度も活用し、資金繰り支援等企業の廃業防止、国民の不安を払拭するために全力で取り組むこと。 5.国土強靭化、教育・科学技術投資、サプライチェーンの再構築、特定国依存型のインバウンドの見直しなど、内需主導型の経済成長を促す政策を検討すること。 事業規模108兆円に対して国の支出である真水が39兆円に過ぎない、見かけ倒れの政府の緊急経済対策よりも、真水で50兆円と、真水の部分については多い「日本の未来を考える勉強会の」提言を、是非そっくりそのまま採用して、次の他段階、すなわち令和2年度第2次補正予算として編成・執行してほしいものである。 同勉強会でも、既に真水で100兆円規模の経済対策を講じるべしとの認識の下、検討が進められているとも聞く。 今回の政府の経済対策を踏み台、否、「反面教師」として、真に必要である対策に向けた真摯な議論が活発化することを期待したい』、「自民党の良識派の議員たちによる議員連盟」の方がよりましな感はあるが、総額を膨らますことにしか関心はない安部政権には、真剣に検討する気はなさそうだ。
タグ:謎の2020年にしてはいけない 一連のコロナ対応の「意思決定」の過程や可視化はやっぱり大事だ 布マスク2枚問題で「今の政権内の意思決定」が見えた 株式市場は実体経済の崩壊とは別の部分でのマネーゲームに陥っています 当該艦の水兵たちは、自分たちを救うために手段を選ばなかったクロージャー艦長を強く支持。事態を重く見た海軍は、同艦長の解雇を撤回して、事実関係が明らかとなるまで艦長の指揮権を復活させた 海軍上層部は激怒して、艦長は即刻権限を剥奪されるとともに海軍を解雇 マスク問題を含めて、手洗い、衛生管理など、日本がアメリカに教えるべき問題は沢山あるように思います 海軍の上層部には、トランプ大統領の介入による人事の混乱が続いていたという背景 投票日まで7ヶ月となりましたが、選挙のことはほとんど話題にならなくなりました 海軍の上層部の動きが鈍かったために、艦長は守秘義務規定では本来禁じられている民間人へのレターの公開を行ったようで、レターの内容をサンフランシスコの新聞が暴露する事態 急速なスピードで雇用が失われ、しかも医療サービスが人々に切実な時期に、雇用とともに医療保険も失う、そうした混乱に陥った人々が、ここ2週間だけで全米で1000万人いる 首相にそう発案したのは、経済官庁出身の官邸官僚 「全国民に布マスクを配れば、不安はパッと消えますから」 首相が今、政治決断を下す際に知恵袋として頼りとするのが、今井尚哉首相補佐官と北村滋国家安全保障局長だ 室伏謙一 ダイヤモンド・オンライン 「108兆円規模のコロナ緊急経済対策が「看板に偽りあり」といえる理由」 文春オンライン 循環器系とは異なるジャンルの免疫学者に言わせるとコレステロール値が高い人ほど免疫機能が高い その危機感の欠如した様は、別の見方をすれば失笑を禁じ得ず、まるでお笑い芸人のネタ帳か何かのようだ 「真水」と言われる部分はその半分にも満たない20兆円に過ぎない お粗末感が拭えない 事業者の資金繰り対策や家計への支援 「看板に偽りあり」 今一番大事なのは、事業を継続できるようにすること 「新型コロナショック」という惨事に便乗し、ドサクサに紛れてキャッシュレス決済インフラ事業者のビジネスを伸長させよう 消費税率の引き下げは絶対に行いたくないということ 真に必要である対策に向けた真摯な議論の活発化を期待 国民や国民経済の窮状など全く考えていない 「愚策中の愚策」である 「危機感の徹底した欠如の表れ」としか言いようがない “布マスク2枚配布”に安倍推しの「夕刊フジ」が激おこ 「夕刊フジ」は一面で「マスク2枚ふざけるな!!」と激おこ 強い言葉を発している 小池都知事はなぜ急に騒ぎ出した? ツイッターの「日刊ゲンダイ ニュース記者」のアカウントは「まるでウチみたい…きょうの夕刊フジさんの一面が日刊ゲンダイ化していて、ビックリしました。」とつぶやいた 東京五輪延期の流れが強まった 「緊急事態宣言」と「ロックダウン」を同一視する見方が広がり、スーパーなどで買い占めが起きたからだ 「「緊急事態宣言」発令 小池百合子都知事はなぜ急に騒ぎ出した?」 ちゃんとした経済対策を練り上げる時間が必要だった 小池都知事の「ロックダウン」強調に官邸は「迷惑だ」 「医学」においてはある専門分野の人が勧める治療などが、ほかの医療の専門分野については逆効果となることが少なくない 感染症の専門家の意見だけを聞いていればいいのか パンデミック 新型肺炎感染急拡大 メールマガジンJMM (その7)(新型コロナウィルス感染拡大 アメリカは異常事態、「外出自粛はすべてに優先する」という専門家を信じてはいけない 死亡原因は「重い肺炎」だけではない、「緊急事態宣言」発令 小池百合子都知事はなぜ急に騒ぎ出した?、108兆円規模のコロナ緊急経済対策が「看板に偽りあり」といえる理由) 冷泉彰彦 政権の専門家委員会のファウチ博士、バークス博士からは、2つの大きな指摘 「新型コロナウィルス感染拡大、アメリカは異常事態」from911/USAレポート もう1つは「全米の死者累計は、ベストケースシナリオ、つまり社会的距離の確保に成功した場合で、10万人から24万人」そして「ワーストケースとしては100万人を越えることもある」というのです 5000名近い将兵の中で、100名を越える感染者が出た中で、ブレット・クロージャー艦長は、国防総省に宛てて「乗員を救って欲しい」という「SOSレター」を発した 海軍の原子力空母USSセオドア・ルーズベルト 1つは「これからの2週間は、もっと厳しい状況になる」 済的影響はどんどん数字となって現れてきています アメリカの混乱は更に今月1ヶ月をかけて更に悪化を覚悟しなくてはならない コロナ対策を指揮する安倍首相を感染症専門家の「言いなり」か 「「外出自粛はすべてに優先する」という専門家を信じてはいけない 死亡原因は「重い肺炎」だけではない」 PRESIDENT ONLINE ほとんどが感染症の専門家 ね新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言に従っている 和田 秀樹 男性ホルモンをつくる主な材料は悪玉コレステロールである。男性ホルモンの値が低下すると性欲や意欲が低下するだけでなく、筋肉がつきにくくなり、記憶力も落ち、また人付き合いもおっくうになる 、悪玉コレステロールの値が高いと動脈硬化になりやすい 「コロナ関連死」が8000人でも何も不思議はない 「専門バカ」体質の蔓延が日本をダメにする 新型コロナ対策に免疫学者や呼吸器内科学者、精神医学者もいていい 外出自粛の自宅閉じこもりでセロトニン値低下→うつ病リスク 過度な外出自粛の精神面での悪影響や日光を浴びないことでのセロトニン値の低下を考えると、うつ病のリスクが高まるのは間違いない 精神科の領域でもコレステロール値が高いほうがうつ病になりにくい ある分野の「常識」は別の分野の「非常識」
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