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韓国(財閥問題)(その4)(サムスン電子 諸刃の「メイド・イン・チャイナ」戦略、韓国は財閥の「世襲経営」容認を続ければ、ますます国際的に孤立する、大韓航空「創業一族の経営権争い」で深まる苦悩 双方が4割超の株式確保 争い長期化が濃厚に) [世界情勢]

韓国(財閥問題)については、昨年4月9日に取上げた。今日は、(その4)(サムスン電子 諸刃の「メイド・イン・チャイナ」戦略、韓国は財閥の「世襲経営」容認を続ければ、ますます国際的に孤立する、大韓航空「創業一族の経営権争い」で深まる苦悩 双方が4割超の株式確保 争い長期化が濃厚に)である。

先ずは、昨年11月22日付けロイター「サムスン電子、諸刃の「メイド・イン・チャイナ」戦略」を紹介しよう(銘柄コードは省略)。
https://jp.reuters.com/article/samsung-elec-china-idJPKBN1XT0WE
・『韓国のサムスン電子は来年、スマートフォン製造の5分の1を中国にアウトソーシングする計画を立てている。 ファーウェイ(華為技術)やシャオミ(小米科技)といった低価格を武器とするライバルに対する競争力向上という点ではプラスになるかもしれないが、事情に通じた人々によれば、数々のリスクを伴う戦略だという。 サムスンは10月、中国でスマートフォンを製造していた最後の自社工場を閉鎖し、「ギャラクシーA」などの製造を、中国国外では知名度の低いウィングテック(聞泰科技)などの下請け企業に密かに移行しようとしている。 サムスンはアウトソーシングする生産量については明らかにしていないが、関係者によれば、来年はスマートフォンの総出荷台数約3億台のうち約6000万台は、中国のODM(他社ブランドによる設計・製造)企業に製造委託した製品になる予定だという。 ウィングテックをはじめとするODMは、ファーウェイやシャオミ、オッポ(広東欧珀移動通信)など、複数のブランドのスマートフォンを作り、相手先ブランドに規模の経済によるコスト抑制効果を提供しており、身軽な下請け企業として、低価格製品を迅速に開発・製造できる』、ODMが「複数のブランドのスマートフォンを作り、相手先ブランドに規模の経済によるコスト抑制効果を提供」、製造請負もずいぶん本格的になったものだ。 
・『「やむにやまれぬ戦略」  一方で、サムスンの戦略はアウトソーシングによって品質管理能力を失い、専門的な製造能力も損なうリスクをはらむ。さらに、下請け企業の生産量を増やせば増やすほど、そのスケールメリットで下請けの生産コストが安くなり、その企業と取引をする競合他社を利する結果になりかねない、との指摘もある。 サムスンには、新たな品質問題に対処する余裕はほとんどない。2016年には主力の高価格機種「ギャラクシーノート7」が発火事故によって製造中止に追い込まれた。それに続き、今年は画面の不具合が確認され、折りたたみタイプのスマートフォンの発売が延期の憂き目を見た。 とはいえ、サムスンにとって、コスト削減の選択肢はライバルに追随する形で中国ODM企業を使う以外にほとんどない、と同社の戦略に詳しい関係者は言う。そもそも低価格スマートフォンの利幅がきわめて薄いためだ。 サムスンはロイターの取材に対し、既存の製品ポートフォリオを拡大し「市場における効率的な管理を確保するために」、ごく一部の生産ラインを自社工場以外に移そうとしているだけだと述べた。同社の中国事業に詳しい情報提供者は、「良い戦略というより、やむにやまれぬ戦略だ」と指摘する』、「アウトソーシングによって品質管理能力を失い、専門的な製造能力も損なうリスクをはらむ」が、「低価格スマートフォン」ではやらざるを得ないようだ。
・『部品調達コスト、大きく削減  調査会社カウンターポイントによれば、ODM企業は、100ドル─250ドルのスマートフォンに必要な部品すべてを、中国国内の主要ブランド自社工場に比べて10─15%安く調達できる。 ウィングテックの場合、一部の部品については、サムスン電子がベトナムで調達している価格よりも最大30%安く入手できる、と関係者は言う。サムスンはベトナムに3カ所の工場を保有し、スマートフォン、テレビ、家電製品を製造している。 ウィングテックは2017年にサムスン向けのタブレット、スマートフォンの製造を開始した。現在はサムスン製スマートフォンの3%を製造。IHSマークイットでは、今年はその比率が8%(2300万台相当)に達すると予想している。 複数の情報提供者によれば、サムスンのアウトソーシング計画の対象になるのは低・中価格モデルの「ギャラクシーA」シリーズで、ウィングテックが設計・製造に参加するという。アウトソーシング対象機種の1つ「A6S」の価格は、中国では1299元(185ドル)からだ。 ウィングテックが製造するスマートフォンは、主として東南アジア・南米向けになるとみられる。サムスンはこの両地域で、ファーウェイのシェアを侵食しつつある。ファーウェイは米国の制裁により、新機種ではグーグルの全サービスを利用できず、苦境に立たされている』、「ファーウェイ」には「米国の制裁」の影響がでつつあるようだ。
・『低価格機種は「頭痛の種」  サムスンはグローバルなスマートフォン市場において首位を維持することに執着しているが、アナリストのなかには、どの企業にとっても低価格スマートフォン事業の利益率が低すぎることを考えれば、その戦略はリスクに見合わないのではないかとの懸念もある。 韓国のノムラでリサーチ部門を率いるCW・チャン氏は、「スマートフォンのローエンド機種は、サムスンにとって頭痛の種だ」と語る。 チャン氏によれば、低価格スマートフォンは今やコモディティ製品であり、自社工場で製造することは「ナンセンス」だという。だが、チャン氏をはじめとする専門家は、サムスンがODM企業への委託生産量を増やせば、請負企業側はコスト効率が高まり、経験・知識も蓄積されていくと言う。 さらに、カウンターポイントのアナリスト、トム・カン氏は、「ODM企業の競争力が増せば、ライバルはさらに競争力を高める」と述べ、大手企業がアウトソーシングによってローエンド機種の製造に必要な専門能力を失ってしまえば、そのノウハウを取り戻すことは容易でない、と指摘する。 サムスンは、かつてはアジアの低コスト製造企業として名を馳せた。ハイエンド家電製品の製造企業となった現在、サムスンが進めるアウトソーシング拡大は、かつてのような製造能力が今は低下している実態を示唆しているとCW・チャン氏も指摘する』、「ODM企業への委託生産量を増やせば、請負企業側はコスト効率が高まり、経験・知識も蓄積されていく」、「アウトソーシングによってローエンド機種の製造に必要な専門能力を失ってしまえば、そのノウハウを取り戻すことは容易でない」、「サムスン」にとっても両刃の剣で、頭が痛いようだ。
・『設計への関与、品質管理がカギ  ライバルである米国のアップルは、中国国内に複数の工場を持つ台湾フォックスコン・テクノロジー(鴻海科技)に製造をアウトソーシングしているが、スマートフォンの設計自体は依然としてカリフォルニアで行っている。 サムスンはロイターに対する電子メールでの回答のなかで、ODM企業が製造するスマートフォンについても、設計・開発の統括に関与すると述べている。 サムスンと中国のODM企業について詳しい人物によれば、下請けとなるODM企業は製造プロセスのいくつかのステップを省略することによりコストを削減しており、品質上の問題が増加する可能性があるという。この人物は、その詳細については触れなかった。 この人物は、サムスンではこうした問題を念頭に置いて、韓国の部品サプライヤーと中国のODM企業を組み合わせることにより、品質管理への配慮を強化していると話している。 韓国の部品サプライヤーの幹部は、「中国の下請け企業への製造委託を増やすロジックが戦略的なビジネス判断であることは理解しているが、だからといって、我々が皆それに満足しているというわけではない」と話す。 サムスンはロイターに対し、自社製デバイスのすべてに同一の品質検査・品質基準を適用してきたと述べ、高品質の製品を提供することに注力してきた、と言葉を添えた』、「設計への関与、品質管理がカギ」、その通りだろう。
・『「もはやサバイバルゲーム」  従来サムスンはほとんどすべての自社製スマートフォンについて、自社内で設計を行い、ベトナム国内の多数の自社工場、さらに最近ではインド国内の自社工場で製造してきた。一方で、人件費の高い韓国内・中国内での製造は縮小している。 サムスンの社内事情に詳しい2人の人物によれば、同社で史上最年少の社長に就任したノ・テムン氏は、モバイル事業部門のナンバー2としての任務において、新たなODM戦略を推進しているという。 あるサムスン内部関係者は匿名を希望しつつ、「ファーウェイやその他の中国のスマートフォン製造企業に対抗するには、コスト削減が至上命題だ」と述べた。 他の韓国企業もアウトソーシングに力を入れている。スマートフォン事業で数年にわたって損失を計上しているLG電子では、ODM製造を低価格モデルから中価格モデルにまで拡大する予定だとしている。 サムスンのモバイル事業部門の元幹部で、現在は韓国の成均館大学で教鞭を取るキム・ヨンサク教授は、「スマートフォン事業は、コストをめぐる戦いになっている。もはやサバイバルゲームだ」と話す』、「スマートフォン」では日本メーカーの影は薄くなる一方だが、「サムスン」が中国系にどこまで対抗できるのか見物だ。

次に、昨年4月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した法政大学大学院教授の真壁昭夫氏による「韓国は財閥の「世襲経営」容認を続ければ、ますます国際的に孤立する」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/199629
・『トップ死去で先行き懸念が高まってきた韓進グループ  4月8日、韓国10大財閥の1つ、韓進グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長が急逝した。トップ死去を受け、先行き懸念が高まってきた韓進グループの経営は一段と難しい局面を迎えている。 韓進グループの中では、傘下の大韓航空の経営が悪化している。最大の原因の1つは、経営トップをはじめ主要なポストが「世襲」によって選ばれてきたことにある。 元々、韓国では企業を「社会の公器」ではなく、「家業」とする考えが強い。そのため財閥企業では、創業者から子へ、子から孫へと経営権が手渡されてきた。創業家は利権を守るために政財界とも強固な関係を築いてきた。 韓国は、この経営風土をこれまで放置してきた。世襲経営が続くと、創業家一族に富と権力が集中してしまう。経営者は公正な経営ではなく、私欲を追求し、モラルハザードが起きがちになる。その弊害の1つの例が、趙会長の娘が起こした「ナッツリターン事件」だ。 韓国は、早い段階で世襲経営の改革に取り組むべきだったが、実際にはできなかった。現在、韓進以外の財閥企業でも、国内外の機関投資家が世襲経営への反対を表明している。今後、財閥企業などが世襲や縁故ではなく、「資本の論理」に基づいた改革に本気で取り組むか否かが、韓国の将来を大きく左右することになる』、「ナッツリターン事件」には驚かされたが、「韓国では企業を「社会の公器」ではなく、「家業」とする考えが強い」、との説明で理解できた。
・『難しくなる韓国財閥企業の「世襲経営」  伝統的に、韓国の経済では、「資本の論理」ではなく、「血縁」をはじめとする「縁故」が重視されてきた。新卒者の採用や経営者人材の発掘に関しては、人柄や経営の実力ではなく、創業家出身であるかといったことが優先されてきた。財閥企業だけでなく、ソウル交通公社などにおいても縁故に基づく採用が行われ、世論の反感を買っている。 エレクトロニクス大手LG電子などを傘下に収めるLGグループでは、長子相続が不文律とされている。2018年に具本茂(ク・ボンム)会長(当時)が急逝したことを受けて、LGは同氏の養子であり経営経験のない具光謨(ク・グァンモ)氏をトップに選任した。手腕が未知数の人物がいきなり経営トップに就くことに不安を覚える市場参加者は多い。 見方を変えれば、財閥企業の創業家一族は、大企業の経営を思うがままにコントロールできるだけの権力を維持し続けてきた。これは、先進国経済においては考えられない事態だ。 韓進グループでは、世襲経営の弊害がとみに顕在化している。傘下の大韓航空では、顧客離れから業績が悪化し続けている。故趙会長の長女による「ナッツリターン事件」、次女が会議で水入りのコップを従業員に投げつけた問題に加え、妻による従業員への暴行問題などは、いずれも許されるものではない。 それがわからないほど、財閥企業創業家の感覚は一般社会から遊離してしまっている。 創業家一族の傍若無人なふるまいに対して、世論や顧客が腹を立てるのは当然だ。3月下旬に開催された大韓航空の株主総会では、韓国の機関投資家の反対などを受けて、趙氏の取締役再任が否決された。財閥全体のトップとして再建を主導してきた趙会長が失意のうちに亡くなり、韓進グループはどのようにグループ企業の経営を立て直すかという大きな問題に直面している。親族は十分な議決権を確保できていない。事業継承も進んでいない。 韓進グループは漂流している。同グループが自力で経営を安定させることができるか否か、先行きはかなり不透明だ。それは、世襲経営の限界を示している』、「LGは同氏の養子であり経営経験のない具光謨(ク・グァンモ)氏をトップに選任」、というのにも驚かされた。「機関投資家」は反対しなかったのだろうか。
・『早い段階の改革が必要だった韓国の財閥  韓国は、もっと早い段階で財閥企業の解体など、改革に着手すべきだった。しかし、政府は“目先の成長”を重視するあまり、財閥改革に本腰を入れることができなかった。雇用や所得への影響を考えると、韓国政府は財閥企業に依存した経済運営を続けざるを得なかった。 1997年、タイを震源地に「アジア通貨危機」が発生した。同年11月、韓国は自力での経済運営をあきらめ、IMFに支援を要請した。IMFは支援の条件として、韓国に構造改革を求めた。 その1つが財閥(チェボル)の改革だった。 アジア通貨危機に関する報告書の中でIMFは、財閥企業が韓国経済の成長に欠かせない役割を果たしたことを認めている。同時にIMFは、財閥企業のガバナンス体制に懸念を表明してきた。 最大の問題は、財閥グループ内でビジネス、企業金融などが癒着し、そこに政治的利権も絡んできたことだ。財閥企業の創業家は、経済だけでなく政治に関する影響力をも強めることで、自分たちの利権を守ろうとしてきた。 経済状況が安定している場合、韓国は財閥企業の輸出競争力を高めることでGDP成長率を高めることができた。しかし、いったん経済環境が悪化すると、そうはいっていられなくなる。アジア通貨危機の際、財閥傘下の事業法人も金融機関も、一様に資金繰りと財務内容が悪化し、経済が危機的状況に陥った。 リーマンショック後、韓進グループ内では海運大手の韓進海運の経営が急速に悪化した。韓進海運は資産を売却し資金繰りをつなごうとしたが、最終的には破産した。その上に大韓航空の経営悪化が重なり、財閥を統率してきたトップも不在だ。アジア通貨危機後に韓国が財閥改革に取り組むことができたなら、状況はもう少し違ったように思える。 文大統領は、富が財閥企業の創業家に集中する状況にうらみを強める世論に配慮し、財閥企業への監視を強めてはいる。ただ、規制を緩和して競争を促し、業界再編を目指すまでには至っていない。世論に押され、しぶしぶ財閥への接し方を硬化させざるを得ないというのが文氏の実情だろう』、「文大統領」でも「財閥」に遠慮しているのは不思議だ。
・『韓国経済の将来を決める財閥改革  韓国経済は、財閥企業による寡占状態にある。韓国株式市場の時価総額のうち、非財閥企業の割合は20%程度だ。一方、労働市場では中小企業が90%程度の雇用を生み出している。 韓国にとって財閥企業は「大きすぎて手が付けられない存在」になってしまったといえる。 この状況が続くと、韓国では経済格差の固定化が進む。格差が固定化すると、世論の不満は増幅しかねない。世論の不満が蓄積され続けると、政治が多様な利害を調整することは難しくなる。 2018年、韓国の合計特殊出生率は0.98だった。韓国の少子化はわが国以上に深刻だ。人口が減少する中で韓国は国内外の問題にうらみを募らせる社会心理に対応しなければならない。 少子化が進み高齢化が深刻化するに伴い、韓国では、自らの利益確保に加え、怨念の解消を政治家に要求する高齢者が増えるだろう。人口動態上、政治家は彼らの声に耳を傾けざるを得ない。現状の韓国を見ていると、政治家が“韓国版シルバー民主主義”を食い止めることができるか、かなり不安だ。韓国経済の減速が鮮明となる中、世論の“怨嗟の声”は一段と強まる恐れがある。 韓国政府は可及的速やかに、公平に富が再分配される経済システムの整備に取り組むべきだ。すでに財閥企業の株主総会では創業家の主張が否決されることが増えている。IT分野を中心に、創業者が経営の専門家にマネジメントをゆだねるケースも増えている。韓国政府は“資本の論理”に基づいたアニマルスピリッツの発揮を重視すべきだ。 そうした取り組みが進むか否かで、韓国経済の将来は大きく変わってくる。政府が競争原理を発揮しつつ公平に富が再配分される経済を整備できれば、韓国は、世論が政治を振りまわす状況を改善できるかもしれない。 反対に、政治家が目先の経済状況の維持を優先し、財閥企業の「世襲経営」を容認し続けるのであれば、韓国の世論リスクはさらに高まる恐れがある。それは、極東地域だけでなく国際社会における韓国の孤立懸念を一段と高める要因と考えるべきだ』、「文大統領」が「世論の“怨嗟の声”」を対日批判で逸らそうとするのでは、との懸念が残る。

第三に、本年4月22日付け東洋経済オンラインが韓国「中央日報エコノミスト」から転載した「大韓航空「創業一族の経営権争い」で深まる苦悩 双方が4割超の株式確保、争い長期化が濃厚に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/345234
・『新型コロナウイルスが世界的に拡散し、世界の航空会社が打撃を受けている。それは韓国航空業界も例外ではない。ただ、韓国最大手の航空会社である大韓航空はコロナ影響のほかに、深刻な問題を抱えている。創業者一族による経営権争いだ。 2020年3月27日、大韓航空などを擁する韓進KALグループの株主総会が開かれ、経営権争いの第1ラウンドが終わった。敗北したのは現在「3者株主連合」と呼ばれる私募ファンドのKCGI、半島(バンド)建設、そして創業者一族の趙顕娥(チョ・ヒョンア)氏の3者だ。 趙顕娥氏は大韓航空副社長だった2014年、自社便に搭乗したものの、離陸直前に客室乗務員の対応が悪いとして搭乗口にまで引き返させた「ナッツ・リターン」事件の当事者だ』、「コロナ影響」が深刻ななかでも、「創業者一族による経営権争い」、とは恐れ入る。
・『「ナッツ姫」にのしかかる相続税負担  2019年4月、趙顕娥氏の父親で創業家2代目経営者だった趙亮鎬(チョ・リャンホ)会長が急死し、弟である趙源泰(チョ・ウォンテ)氏がグループの後を継いだ。ナッツ・リターン事件以来、経営を離れていた趙顕娥氏がそれを不満に思ったのか、経営復帰をもくろんで3者株主連合で株式を買い集め、経営権を握ろうとした。しかし、現経営陣の壁は厚かった。 それでも3者株主連合は株式を継続して買い入れ、経営権争いを長期戦に持ち込もうとしている。問題は、趙顕娥氏の影響力が徐々に弱まっていることだ。それは、父親の死去による相続税負担が重くのしかかっているためだ。 2020年4月8日、故・趙亮鎬会長の1周忌が執り行われたが、長女である趙顕娥氏はついに姿を見せなかった。株主総会ではまだ勝負がついていないと、誰もが気づかざるをえない日となった。 実際のところ、3者株主連合は捲土重来を期して準備中だ。3者株主連合は株主総会当日の3月27日、「韓進KALグループが危機から脱し、経営正常化が軌道に乗れるように、今後も株主としてのすべての努力を傾ける」と一歩も引かない姿勢を見せた。 実際に3者株主連合は株式の保有比率を今でも高めている。KCGIは4月1日、「3月27日から31日まで、韓進KAL株式36万5370株を買い入れた」と発表した。さらに株主総会当日にも14万5306株を購入している。KCGIは特に、同じ韓進KALグループである「韓進」社の株式を売って韓進KALの株式を買い入れている。これにより、KCGIが持つ韓進KALの株式保有比率は19.36%となっている。) 株主総会までに韓進KAL株を8.28%保有していた半島建設も買い入れを止めておらず、現在16.9%を保有している。財界は「3者株主連合はいつでも臨時株主総会の招集を要求できる」と見ている。ただ、臨時株主総会が開かれたとしても、3者株主連合が確実に勝つかどうかはまだ不透明だ。 現在、3者株主連合が保有する韓進KAL株は発行済み株式の42.75%。一方、趙会長側は特殊関係者の22.45%、大韓航空自社保険の3.80%、デルタ航空の14.90%を合わせると41.15%を確保している。とすると、臨時株主総会を開いても、取締役選任のためには大株主の1つである韓国国民年金と少数株主の選択を受け入れなければならない。3者株主連合は過半数以上の保有を目指す可能性が高く、資金的に余力がある半島建設が株式を買い入れると見られている』、「3者株主連合」は「発行済み株式の42.75%。一方、趙会長側は・・・41.15%」、とかなりいい線までいっているようだ。
・『ナッツ姫は長期戦に耐えられるか  KCGIと半島建設は長期戦に持ち込もうとしているが、3者株主連合の一角である趙顕娥氏にその能力があるかどうかは疑問だ。KCGIと半島建設が保有株式を増やしているものの、趙顕娥氏は追加買い入れをできずにいる。株主総会当時、議決権を持つ株式保有比率はKCGIが17.29%、趙顕娥氏6.49%、半島建設5.0%の順だった。4月1日基準ではKCGIが19.36%、半島建設16.90%、趙顕娥氏6.49%。連合内での趙顕娥氏の立ち位置が弱まっていることがわかる。 ナッツ・リターン事件以来、無職状態だった趙顕娥氏が、今以上に保有株式を増やすのは難しい。むしろ、相続税を支払うために保有株式を売らざるをえない状況にある。趙顕娥氏が韓進KALなど保有株式から受け取る配当金は2020年で総額約12億ウォン(約1億円)程度。それでも、相続税を支払うには足りない。 趙顕娥氏の母親である李明姫(イ・ミョンヒ)氏をはじめとした故・趙亮鎬会長の相続人らは、2700億ウォン(約237億円)規模の相続税を5年間にわたって分割納付することを決めた。法定相続比率通りに計算すると、趙顕娥氏が支払うべき相続税額は600億ウォン(約53億円)となり、毎年100億ウォン(約9億円)以上が必要だ。 しかし、この金額をまかなうには金融機関で株式担保貸出を利用するしかない。実際に、趙顕娥氏は2019年10月に韓進KALの株式22万2222株(0.38%)を、相続税の納付を担保するために税務署に提供したままだ。 幸か不幸か、経営権争いによって韓進KALの株価は高止まりしている。そのため、金融機関からの株式担保貸出によって確保できる資金が増えたことは、趙顕娥氏にとって希望のある話だ。趙顕娥氏は2019年12月20日に金融機関から韓進KAL株式55万0459株(0.93%)を担保にして、新規担保貸出を受け取った。当時の株価は3万8500ウォン(約3400円)で、最大150億ウォン(約13億円)規模の貸し出しを受けたようだ。2020年4月9日現在の株価は、8万5000ウォン(約7500円)にまで上昇している。 とはいえ、借金には利子がつく。そのため、株式担保貸出を増やせない。通常の金利は3~5%で、この条件で返済が数年続く計画であれば、趙顕娥氏が150億ウォン(約13億円)を借り入れたとすると、株式配当金を利子負担が上回る状況がやってくる。となれば、利子を支払うために株式を処分しなければならなくなるだろう』、「ナッツ姫」は、「利子を支払うために株式を処分しなければならなくなる」、とは苦しそうだ。
・『経営権争いは長期化の可能性  韓進KALの経営争いは長期化するという見方が多い。3者株主連合が臨時株式総会の招集を提案しても、理事会(取締役会)が拒否できる。それでも総会を招集するには、裁判所に対して総会招集許可の仮処分申請が必要だが、裁判所がこれを認めたとしても、現在の情勢をひっくり返す方法はない。 取締役解任は特別決議によるため、出席株主の3分の2以上の同意を得なければ事実上不可能だ。過半数が同意すれば可能となる新任取締役の任命を通じて取締役会を掌握する方法はあるが、韓進KALの取締役会が現在11人であることを考えると、それが可能かどうかは疑問だ。 結局、現在の社長をはじめ社内外取締役4人の任期が満了する2022年まで、経営権争いは続く可能性が高い。しかも今後2年間、趙顕娥氏が株式担保貸出を維持できるかどうか。韓進KAL以外の大韓航空や韓進などの株式も保有しているが、これらを売却しても大きな金額にはならない。 となれば、現在の3者株主連合の中で、趙顕娥氏が得ようとしているものは何なのか。結局は「経営権を得たい」というのが、財界での大方の見方だ。3者株主連合として手を組んだ時から、連合の当事者は「経営に参加しない」ことを確約したと明らかにしている。KCGIの会長も2020年2月、記者会見でこのような確約を公開している。 しかし、「未登記役員」と韓国で呼ばれる、取締役会での議決権を行使しない取締役、あるいはグループ会社の役員として在職できないのかどうかは確認されていない。中央日報エコノミストは3者株主連合に「連合内から韓進KALやグループ会社の議決権を行使しない役員が在任できないという内容の確約はあるのか」と質問したが、連合側は「確認する方法がない」と回答した。これは、趙顕娥氏が間接的な方法で経営に参加する可能性を排除できないということを意味する。 だが、趙顕娥氏が得られるものは多くないという見方もある。財界のある関係者は「3者株主連合が経営権を持ったとしても、それ以降が問題だ。趙顕娥氏が保有する株式の価値はさらに小さくなるだろう」との指摘がある。(韓国「中央日報エコノミスト」2020年4月20日号)』、「経営権争いは長期化の可能性」、高見の見物には格好のネタのようだ。
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