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医療問題(その24)(精神病院から出られない医療保護入院の深い闇 現場医師の裁量で強制長期入院も可能になる、夫の策略で「強制入院3カ月」妻が味わった悪夢 精神疾患の既往歴なしの人が精神科病院に幽閉、コロナ下で医療崩壊危機を高める「都立病院の独法化」は必要なのか) [生活]

医療問題については、2月10日に取上げた。今日は、(その24)(精神病院から出られない医療保護入院の深い闇 現場医師の裁量で強制長期入院も可能になる、夫の策略で「強制入院3カ月」妻が味わった悪夢 精神疾患の既往歴なしの人が精神科病院に幽閉、コロナ下で医療崩壊危機を高める「都立病院の独法化」は必要なのか)である。

先ずは、3月1日付け東洋経済オンライン「精神病院から出られない医療保護入院の深い闇 現場医師の裁量で強制長期入院も可能になる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/331577
・『精神疾患により医療機関にかかっている患者数は日本中で400万人を超えている。そして精神病床への入院患者数は約28万人、精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占めるとされる(数字は2017年時点)。人口当たりで見ても世界でダントツに多いことを背景として、現場では長期入院や身体拘束など人権上の問題が山積している。本連載では日本の精神医療の抱える現実をレポートしていく。 「緊急の帝王切開で手術室に入り、出てきたときには卵管結紮されていました。自分のまったく知らないところで不妊手術をされていたと聞いたときはショックでした」 今年1月30日、日本弁護士連合会に人権救済の申立書を提出した米田恵子さん(43歳)は、その心中を吐露した。申し立ては旧優生保護法下での強制不妊手術の救済策が議論される一方、条項の削除後も、精神障害者などに不妊手術が行われている実態を告発するものだ。 連載第1回「精神病院に4年閉じ込められた彼女の壮絶体験」(2020年1月28日配信)で詳しく報じたとおり、米田さんは今年1月上旬まで、精神科病院に長期入院していた。最後の子どもを分娩し不妊手術が実施されてから1年後の2016年2月に入院し、その後院内での生活はおよそ4年間にわたった』、「自分のまったく知らないところで不妊手術をされていた」、「院内での生活はおよそ4年間にわたった」、こんな人権侵害があるとは「精神医療」の闇だ。
・『当事者からの声が140件以上集まった  これを報じた記事への反響は大きく、本連載の情報提供フォーム(文末に設置)には、すでに140件を超える当事者や医師、看護師、精神保健福祉士など医療関係者からの切実な声が寄せられている。どれも日本の精神医療の抱える問題を告発するものばかりだ。また、「本人も家族も退院を望んでいるのに、なぜ退院できなかったのか。その理由を知りたい」という読者からの声も多く届いた。今回はその理由に迫りたい。 米田さん自身も、入院当初はすぐに退院できるものだと思っていたという。ところが主治医からは「何でも自分の思うとおりになると思わないでください。私はあなたのことを信用していません」と言われ、「パーソナリティ障害」との診断名を付けられた。退院の見通しが立つまで、まだ1年近くかかると通知された。 「せいぜい1~2カ月だと思って同意したのに、まさかこんなに長くなるとは思わなかった」。思った以上に長い入院計画に驚いたのは、当初入院に同意した米田さんの妹も同様だった。 米田さんを支援した佐藤暁子弁護士は、病院側とのやり取りをこう振り返る。「精神科に入院している場合、まず弁護士につながることが非常に難しい。今回弁護士が介入しても、病院側は『社会に迷惑をかける』などと、極めて抽象的で法的根拠のない理由を繰り返し、なかなか退院に向けた話が進まなかった」』、「弁護士が介入しても・・・なかなか退院に向けた話が進まなかった」、人権侵害の極致だ。
・『極めて使い勝手がよい制度  妹や弁護士のバックアップがあったにもかかわらず、米田さんが4年近くも入院を余儀なくされた背景にあるのが、精神科特有の入院制度である「医療保護入院」だ。医療保護入院は精神保健福祉法が定める強制入院の1つ。本人が入院に同意しない場合に、家族など1人の同意に加え、同じく1人の精神保健指定医の診断があれば、強制入院させられる。 自由の制約という点では同じ刑事事件の場合、逮捕・勾留には現行犯以外は令状が必要で、その発行には裁判所の判断が介在するが、医療保護入院にはそれがない。刑期の決まっている刑事事件に対して、医療保護入院には入院期間の定めがない。 「刑事法になぞらえて言えば、医療保護入院は、入院期間の決定をすべて指定医の判断にゆだねる絶対的不定期刑に等しく、近代法では罪刑法定主義の原則上、許されないとされているもの。本人の不利益があまりに大きすぎる制度だ」。同制度に詳しい小笠原基也弁護士は話す。 また同じ強制入院でも自傷や他害のおそれがある場合に適用される「措置入院」は、2人の指定医の診断を受け、都道府県知事が入院を決める制度だ。複数の医師と行政が介在することで、ある程度は第三者の視点が入りやすいが、医療保護入院にはそれもない。 つまり、医療保護入院はある人を入院させたいと考える側にとって極めて使い勝手がよい制度で、実際その件数は年々増加している。厚生労働省によれば、2018年度の医療保護入院の届け出数は18万7683件(「衛生行政報告例」)。6万件前後で推移した1990年代前半と比べ、3倍超に膨らんでいる。 さらに家族1人の同意が必要というのも、入院する時点に限ってのものだ。いったん入院してしまったら、その後家族が同意を撤回しても、入院継続の必要性の判断はあくまで指定医に委ねられることになる。米田さんのケースでも妹が退院を求めても、なかなか出られなかったのはそのためだ。 また米田さんのように主治医の指示で、家族とも一切の面会、そして通話すら禁止された場合、家族は本人の意向を確認することが難しく、結局は医師の判断に委ねざるをえないケースがほとんどだろう。 つまり医療保護入院の仕組みは、入院や行動制限の要否を判定する精神保健指定医の判断の正当性がすべての前提となっている。指定医の患者に対する権限は絶大だ。だが、同資格をめぐっては数年前に制度の根幹を揺るがすような大きな不祥事が起きている。 2015年、聖マリアンナ医科大学病院で、組織的な指定医資格の不正取得が発覚した。指定医資格を得るには、5年以上医師として働き、うち3年以上は精神障害の診断、治療に従事することが前提だ。そのうえで、自ら担当として診断、治療した症例について作成されたケースレポートで審査される。 あろうことかこのレポートで、ほかの医師が診察して作成したものを使い回していたことが明らかとなった。審査対象のレポートが大量に「コピペ」されていたというわけだ。その後の厚生労働省の全国調査で、100人強の不正が認定され、その多くが指定取り消し処分に加え、戒告・業務停止などの行政処分を受けることになった』、「医療保護入院はある人を入院させたいと考える側にとって極めて使い勝手がよい制度で・・・2018年度の医療保護入院の届け出数は18万7683件・・・6万件前後で推移した1990年代前半と比べ、3倍超に膨らんでいる」、「医療保護入院の仕組みは、入院や行動制限の要否を判定する精神保健指定医の判断の正当性がすべての前提となっている。指定医の患者に対する権限は絶大だ」、医師性善説を前提にしているのだろうが、病床の稼働率を上げため、「判断」が歪むことが背景にある筈だ。少なくとも「措置入院」のように、「2人の指定医の診断を受け、都道府県知事が入院を決める」といった歯止めが必要だ。
・『第三者機関も形骸化  また入院後に患者や家族が、第三者機関である精神医療審査会に対して、退院請求や処遇改善請求を行う制度もあるが、「ほとんど形骸化している」と、同制度に詳しい関係者は口をそろえる。 審査会の構成は指定医である医療委員が過半を占めるものが大多数で、「審査会は非公開で、あたかも本人の出席を原則としないかのような運用で、請求しても認められないことが多く、しかも事実認定が裁判基準からすると緩すぎる」と、審査会の法律委員を務めた経験のある佐藤弁護士は批判する。 実際、昨年5月には、米田さんの退院請求、処遇改善請求とも退けられている。退院が認められない理由は、「入院者に病識や自省がなく、その治療の必要性に関する認識が不十分であるため」だとされたが、その判断の具体的な根拠は示されていない。 東京都の精神医療審査会が2018年度の退院請求審査206件のうち、退院を認めたのはたったの1件。もはや「開かずの扉」となっている』、「第三者機関も形骸化」、「審査会の構成は指定医である医療委員が過半を占めるものが大多数」、まずは「構成」に弁護士などを増やすべきだろう。
・『「問答無用で徹底的に痛めつける」  日本社会事業大学大学院の古屋龍太教授はこう批判する。 「一精神科医の判断と家族等の同意によって、一個人を公権力によらず強制的に精神科病院に入院させる制度は、この日本にしか存在しない。裁判所等が関与する治療のための強制入院制度は他国にもあるが、『保護』のための強制入院制度は、ほかの諸外国にはない制度だ。 多くの精神医療関係者は、医療保護入院制度の存在は当たり前のものと考え疑問を持たない。だがそうした日本の精神医療の常識は、人権を尊ぶ世界には通用しない」 実際、日本の医療保護入院をモデルに制度を導入した韓国では、人権上問題視され、精神障害者当事者団体を中心に法改正を求める運動が本格化。当事者団体は憲法裁判所へ医療保護入院の違憲申請を提出。2016年、韓国憲法裁判所は制度の悪用と濫用の可能性を排除できないとして、身体の自由を定めた憲法12条に反して違憲であるとした。 世界には通用しない日本の精神医療の常識の、筆頭格にあたるこの医療保護入院。絶大な権限をもつ精神保健指定医がひとたび暴走したら歯止めはきかず、取り返しのつかない人権侵害へと直結することになりかねない。 今年2月、最高裁判所は診療報酬詐欺で一審、二審と有罪判決を受けていたある精神科医の上告を棄却した。懲役2年執行猶予4年の有罪判決が確定したこの医師は、一審の有罪判決後、こうした内容のメールを送っていたという。 「僕は1つだけやってやろうと決めてることがある。捜査機関の奴らが認知症やら何やらで精神科に来たら問答無用で隔離室に放り込んで、徹底的に痛めつける。絶対出さないしいくらでもいてもらう。完全に壊してから自宅に引き取らせる。厚労省関係者も同じ」(2019年5月18日付メール) 精神保健指定医の資格を有し、日本精神神経学会認定の専門医および指導医でもあるこの医師は、精神医療の現場を追われることなく、一審判決時にも複数の病院、クリニックで勤務していたという。 有罪が確定したことで、今後、厚生労働省の医道審議会に行政処分が諮られることになるが、通常は診療報酬の不正請求の場合、医師免許停止数カ月程度の処分が相場。こうした医師が指定医の資格で強大な権限を行使しているのが、日本の精神医療のまぎれもない現実だ。(第3回に続く)』、「『保護』のための強制入院制度は、ほかの諸外国にはない制度だ。 多くの精神医療関係者は、医療保護入院制度の存在は当たり前のものと考え疑問を持たない。だがそうした日本の精神医療の常識は、人権を尊ぶ世界には通用しない」、制度の早急な見直しが不可欠だろう。「有罪判決が確定したこの医師」、恐ろしい医師もいるものだと驚かされるが、これも制度の歪みがもたらしたものだ。

次に、この続きを、4月1日付け東洋経済オンライン「夫の策略で「強制入院3カ月」妻が味わった悪夢 精神疾患の既往歴なしの人が精神科病院に幽閉」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/340162
・『精神疾患により医療機関にかかっている患者数は日本中で400万人を超えている。そして精神病床への入院患者数は約28万人、精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占めるとされる(数字は2017年時点)。人口当たりで見ても世界でダントツに多いことを背景として、現場では長期入院や身体拘束など人権上の問題が山積している。日本の精神医療の抱える現実をレポートする連載の第3回。 「精神疾患の既往歴などいっさいない自分が、まさか精神科病院に強制入院させられるなんて、夢にも思いませんでした」 西日本のある県で看護師として働く30代後半の女性Aさんは、6年前にわが身に降りかかった出来事を、「今でも信じられない悪夢のようでした」と振り返る。2014年4月、双極性障害(そううつ病)で以前から入退院を繰り返していた夫の症状が悪化したため、Aさんは当時住んでいた四国地方の精神科病院を訪れた。 その1年前に結婚した夫は、結婚当初から躁(そう)状態になると、「お前に俺は釣り合わない」など暴言を吐く、必要な生活費を渡さないなど、精神的・経済的なDVを繰り返していたという。長男が生まれた後もそれは変わらず、病院に行く数日前にも、夫はまた精神状態が悪化していた。 だが、通院や入院を拒否。躁状態が続く夫への対応に、Aさんは困り果てていたところ、夫はAさんが一緒に行くなら診察を受けると約束したため、病院に同行することになった。 「はい、入院です」 「薬の量を減らしてから、精神状態が悪化しております」。夫と2人で診察室に入ったAさんは、「どうされましたか?」と目の前に座る医師に問われたため、夫の症状を話し始めた。だが、話し始めるやいなや、医師はAさんの話を遮り、思いもよらない一言を告げた。 「あなたのことですよ」 その言葉の意味がわからずAさんが医師に「何のことですか?」と聞き直したところ、医師は「支離滅裂がありますね」「ふわふわしていますね」と矢継ぎ早に言葉を並べた。Aさんが不穏な雰囲気を感じ、「ちょっと話がおかしいので、ほかの医師に診察をお願いできますか」と病院スタッフに話しかけると、この医師は大きなハンコを取り出し、紙のカルテにドンと音を立てて判を押して、こう告げたという。 「はい、入院です」) 抵抗する間もなく、両手、両肩を2人の男性看護師につかまれて、診察室から閉鎖病棟内の隔離室へと連れられた。隔離室内ではいきなり鎮静剤を注射されそうにもなった。「夫の診察に付き添ってきただけのはずが、なぜか私が入院、しかも隔離室に入れられたという現実が、当初まったく理解できませんでした」とAさん。医師からは入院の必要性もその形態の説明もなかったが、退院後にカルテの開示を受け、医師が押したハンコに書かれていた入院形態が「医療保護入院」だということがわかった。 連載第2回「精神病院から出られない医療保護入院の深い闇」(2020年3月1日配信)で詳しく触れたとおり、医療保護入院は精神保健福祉法が定める精神科特有の強制入院の1つだ。家族など1人の同意に加え、同じく1人の精神保健指定医の診断があれば、本人が入院に同意しなくても強制入院させられる。ある人を入院させたいと考える側にとって極めて使い勝手がよい制度で、その件数は右肩上がりに増加を続けている。厚生労働省によれば、2018年度の医療保護入院の届け出数は18万7683件に至っている』、「双極性障害」をもつ「夫」についていったら、「看護師として働く」自分が入院させられたとは、信じられないような事件だ。
・『不仲の夫でも「同意権者」に  Aさんの医療保護入院に同意したのは夫だ。自らの強制入院の経験に加え、身内に精神科医のいる夫は、同制度を熟知していた。「夫とその親族が、離婚や息子の親権の取得を有利に進めるために、この制度を悪用したのではないか」とAさんはいぶかる。法律上、夫婦間が係争中の場合などには同意権限は認められないが、この2人のように夫婦仲が悪かっただけでは欠格事由には該当しない。離婚調停を申し立てている場合であっても同様だ。 私物の持ち込みが一切出来ず、布団と便器だけがある隔離室の中で、Aさんがひたすら不安に思っていたのが、引き離された生後9カ月の息子のことだ。「精神状態が悪化した夫のもとに子供を残して、本当に心配だった」。 女性は結局、3カ月後の退院時まで隔離室で過ごした。病院側は「攻撃性、多弁、多動、易刺激性(ささいなことで不機嫌になる性質)が認められた」ことなどを、その理由として挙げる。だがAさんは「必要性や理由が何ら説明されないまま、突然強制的に入院させられ、しかも隔離室に入れられたら、誰だって強く反発するに決まっています」と憤る。カルテなどによれば、診断名は入院中の3カ月間で、統合失調症、双極性障害、自閉症スペクトラム障害、広汎性発達障害などへと、たびたび変遷している。 Aさんは、今は地元を離れ息子と2人で暮らしている。夫とは離婚調停中だ。向精神薬の服用はいっさいしていない。「看護師として精神病床のある総合病院でも働いたことがあり、あんなことがあるまで精神医療はかつてとは比べものにならないぐらいよくなっているものだとばかり思っていました。ですが、実際被害に遭ってわかったのは、健常者でさえも精神医療の被害に遭っている現実でした」』、「「夫とその親族が、離婚や息子の親権の取得を有利に進めるために、この制度を悪用したのではないか」、極めて悪質だが、それに加担した「精神科医」の責任も重大だ。損害賠償請求をしれば、勝訴する可能性もありそうだ。幸い「3カ月後の退院」、と短期だったからよかったものの、「健常者でさえも精神医療の被害に遭っている現実」、はやはり問題だ。
・『見知らぬ男たちに突如、連れて行かれた  既往歴もないのに、何の前触れもなく精神科病院に強制入院させられる。そんな経験をしたのはAさんだけではない。 「寝起きでまだ部屋着姿でいたところ、突然自宅に屈強な男が数人上がり込んできて、靴も履けないまま、玄関前に止まっていた車に連れ込まれました。あまりに突然のことで、スマホを持ち出すことさえもできませんでした」 都内在住の50代女性のBさんは、その日のことを鮮明に覚えていると話す。2011年の冬、普段はパジャマ姿のままで娘の保育園の送り迎えをするような夫が、その日はなぜか早朝から着替えて人を待つような様子だったので、不思議に思っていたと振り返る。夫はその数年前に発達障害の1つのアスペルガー症候群と診断されており、夫婦間にはいさかいが絶えなかった。 見知らぬ男たちによって有無を言わせず車に乗せられ、連れて行かれたのが都内の精神科病院だった。ちなみに「民間移送業者」と呼ばれるこの男たちが、いったい何者なのかについては、今後の連載中で詳しく取り上げていく予定だ。 医師のごく短時間の診察で、夫を同意者として、Bさんの医療保護入院が決まった。その後すぐに隔離室へと連行されたのはAさんと同様だ。「アスペルガーの夫は児童相談所や保健所、警察に私が娘を虐待していると巧妙な嘘をついて、それを真に受けた保健所が協力し、事前に入院の手はずを整えていたことが後でわかりました」(Bさん)。夫が事前に、警察や保健所などに入念に根回しをしていたのは、やはりAさんのケースとそっくりだ。 退院後に開示されたカルテによって、ほぼ夫からの情報だけによって、統合失調症の疑いと診断され、医療保護入院が決まった経緯が明らかとなっている。 結局、5日間の経過観察を経て、「特記すべき精神病症状を認めない」として退院が決まった。「夫は離婚が避けられないなら、子供の親権を取るために私を強制入院させようと画策したようです。もめ事は絶えませんでしたが、まさかここまでやるとは。それに法治国家の日本で本当にこんな拉致・監禁がまかり通っている現実にもショックを受けました」(Bさん)』、「Bさん」も「5日間の経過観察を経て・・・退院」、と短かったようだが、「アスペルガーの夫」に騙された「児童相談所や保健所、警察」の責任も重い。
・『DV夫の格好の「武器」に  DV被害者支援と加害者更生に取り組む、一般社団法人エープラスの吉祥眞佐緒代表理事によれば、離婚を有利に進め子供の親権を得るために、この医療保護入院が悪用される事例の相談は、ほぼ切れ間なくコンスタントに寄せられるという。 いま吉祥代表が支援しているのは下記のようなケースだ。首都圏在住の30代派遣社員の女性Cさんは、夫からの数年にわたるDVで不安定となり、精神科クリニックに通院していた。ある時言い争いの末のショックで、精神安定剤などをオーバードーズ(大量服薬)したことで、夫の同意で精神科病院に医療保護入院となった。 入院から3カ月経って、ようやく一時帰宅が許され自宅に戻ると、すでに自宅はもぬけの殻で、夫と子供の行方がわからなくなってしまった。住民票にも閲覧制限がかけられ探す手段がなく、途方に暮れているという。「数日間で出られれば子供を奪われずに済んだはず。医師はその時々の症状をちゃんと診断し、社会での生活能力があれば退院させるべきです。家族の意見ばかり聞くのではなく、本人の意見もしっかり聞いてほしい」(Cさん)。 「DV加害者の夫はたいてい外づらが非常によく、病院関係者だけでなく、行政職員や警察も女性を虐待加害者だと欺く話術を持っている。ヒステリックな妻と穏やかな夫というイメージの演出に長けている」と吉祥代表は実情を語る。 医療保護入院制度は、そんな彼らには格好の「武器」となっている。(第4回に続く)』、「DV夫の格好の「武器」に」「医療保護入院が悪用」、やはり制度の抜本的見直しが急務だ。

第三に、4月30日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの北 健一氏による「コロナ下で医療崩壊危機を高める「都立病院の独法化」は必要なのか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/235969
・『新型コロナウイルスの感染者の拡大が日本でもっとも深刻な東京都で、3月31日、8つの都立病院と6つの公社病院を、2022年度内をめどに地方独立行政法人(独法)にする方針が決まった。実施されれば、都立病院は東京都の直営から独立行政法人に経営形態が変わる。 独法というのは、以前は国や自治体が行っていた事業を国や自治体から独立して行う法人で、大学や病院などに多い。国や自治体が直接運営する公営と株式会社が運営する民営との中間的な経営形態といえる』、「新型コロナ」対応は大丈夫なのだろうか。
・『東京都が病院を独法化する理由  東京都は何のために病院を独法化するのか。 都は「今後、超高齢化社会になるなかで深刻化する医療課題に応え、(採算が取りにくい)行政的医療を安定的、継続的に提供するという役割を将来にわたって果たし続けるのが独法化の目的です」(東京都病院経営本部)ときれいに説明する。 もっと明快な解説もある。「都立病院独法化 医療経営、自由度を向上」という見出しが躍った日本経済新聞(2018年1月18日付)記事だ。 「東京都立病院の経営形態を議論する有識者委員会は……独立行政法人化を促す報告案をまとめた。都立病院は慢性的な赤字体質で、年間400億円程度を都が一般会計から繰り入れている。独法化で経営の自由度を高め、効率化することで赤字を圧縮し、必要な医療サービスを維持するのが狙いだ」 しかし、都立病院の現場からは、小池都政幹部の意向を反映したこの記事に「フェイクに近い」と反発する声が上がる。 都立病院の経常収支は黒字基調で、年間400億円ほどの都一般会計からの繰り入れは、島しょ、周産期、感染症、精神科など採算が取りにくいが公共性の高い医療(行政的医療)に取り組むため法律にもとづいて都が負担しているもので、赤字補てんとは違うからだ。 日経記事から約1年半後の19年6月19日。小池百合子知事は知事室で、東京都病院経営本部の幹部から独法化についてレクを受けた。レク資料には「都の財政負担を軽減、独法化による効果を生かし病院のワイズスペンディングを実現」と記されていた。ワイズスペンディングとは「賢い支出」を意味する経済学者ケインズの言葉だ』、「日経記事」に対して、「都立病院の現場からは、小池都政幹部の意向を反映したこの記事に「フェイクに近い」と反発する声」、日経も一方的な記事で「フェイクに近い」と批判されるようでは、落ちたものだ。
・『新型コロナ問題で感染症対応の最前線に  日経新聞が「赤字体質」と非難し、都幹部も「ワイズ」ではないと小池知事に吹き込んだ都立病院。 だが、その存在意義が誰の目にもはっきりしたのが、新型コロナ感染症対応だった。 都立・公社病院はもともと備えていた感染症病棟をフル稼働させて感染患者を受け入れたばかりではなく、小池知事の要請に応じて次々と感染者を受け入れるためのベッドを増やしたからだ。 明治期にはコレラやチフスの、戦後は結核などの感染症治療に貢献してきた都立病院は、今また、感染爆発を食い止める最前線に立っている。それでも小池知事は、都立病院独法化の旗を降ろそうとはしていない』、「旗を降ろ」さずに「新型コロナ感染症対応」は上手くいくのだろうか。
・『人件費削減で収益率を向上  大阪では2006年、5つの府立病院が独法化され大阪府立病院機構の下に置かれた。都道府県立病院では初めての独法化で、公立病院独法化の「成功モデル」ともいわれる。独法化当時の府知事は通産官僚出身の太田房江氏だ。東京都も大阪を参考にしている。 大阪での独法化が「成功例」とされたのは、独法化初年度に17.2億円もの収支改善に成功したことが大きい。だが、その理由は単純だった。人件費のカットである。 府立病院機構は「地方独立行政法人の特性を活かして、業務運営の改善及び効率化に取り組」んだ結果だと胸を張った。ところが、初年度の人件費削減が17.2億円に上っており、収支改善はもっぱらその効果による。 効率化やアウトソーシングによって事務部門で76人減らしたのが大きいが、さらに、賃金カーブをフラット化した独立行政法人国立病院機構の給与表に合わせ、看護師ら職員の賃金が勤続年数によって上がるのを抑えたのも見逃せない。 独法化後、府立病院改革の旗を振った松下電器(現パナソニック)出身の徳永幸彦副理事長(当時)は「病院“運営”から病院“経営”に変えていこう」と唱えた。 病院機構の内部文書「(平成)19年度計画必達に向けて経営改善のポイント」には、府立病院の人員について「福祉ではない。基本は減少が時代の流れ」「医師、看護師は聖域としてきたが、看護師については、生産性が低い」(から増やさない)、「医師については、優秀な人材は確保」と記されている。また、中期計画に関して「給与比率は前年より下回ること」とされ、「自治体病院は給与比率50%を目指すが合言葉。国立は40%台になっている」ともある。 大阪府関係職員労働組合(大阪府職労)の小松康則書記長は「独法化時点で20%だった非正規職員が30%を超えました。これも人件費を抑えるためでしょう」と説明する。 2019年には労働基準監督署の指摘で、この2~3年だけで総額約12億円もの残業代未払いがあることが発覚、病院機構は約3000人に支給した』、「独法化時点で20%だった非正規職員が30%を超えました」、「この2~3年だけで総額約12億円もの残業代未払いがあることが発覚」、など「人件費」抑制には必死のようだ。
・『高級ホテル以上の料金の病室も  府立病院は、高度専門医療への重点化と効率的・効果的な医療サービスの提供を基本方針に掲げて医業収入を増やしていった。 独法化後、大阪城を見下ろす13階建て(地下2階)に建て替えられたがんセンターでは、7500円だった個室代が1万5000円になり、「最高の部屋は約5万9000円。(ホテル)ニューオータニより高い」(がんセンター勤務の看護師)という。) さらに個室料だけではなく、セカンドオピニオン料、母子センターでの分娩料などさまざまな料金が独法化後に上がった。 大阪府立5病院の独法化後の財務の変化をまとめたのが下のグラフだ。 独法化後の大阪府立病院の財務の変化(リンク先参照) 大阪府が出す「運営負担金」は約144億円から約85億円へ4割以上もカットされるなか、医業収入を懸命に上げてきた。 そして独法化3年目の08年をピークに一貫して下がり続けたのが、折れ線グラフが示す「給与費比率(給与総額÷医業収益×100)」である。 18年度は給与比率50.5%と、徳永副理事長が掲げた「50%」をほぼ達成した。 他方、入院単価は直営最後の年(05年度)の3万7116円から18年度には6万5743円まで、ほぼ2倍になった。民間の営利企業なら万々歳かもしれないが、「単価」が患者と健康保険組合の負担であることを考えれば、こうした「成功」を手放しでは評価できない』、「入院単価」の倍増は「手放しでは評価できない」のは確かだ。
・『感染症対応に追われる中で独法化の準備を開始  患者、そして都民には、行政的医療の後退や負担増の不安を振りまく独法化だが、独法化への移行は大きなビジネスチャンスでもある。 都立病院の現場が武漢からの帰国者受け入れなど新型コロナ感染症対応に追われ始めた2月3日、「独法化への移行を準備する業務」の入札申請がひっそりと開始された。委託のための予算さえ都議会に出される前の見切り発車だ。そして3月18日、あずさ監査法人が落札した。 あずさ監査法人は、国鉄、郵政の民営化支援や独法化支援に豊富な実績を持つ。ホームページに掲載している「公的セクター関連サービス」には、「公立病院の地方独立行政法人化に際しては、経営改善を第1の目標としながら、短期間で広範な作業が求められます」と書かれ、支援項目には「人事・給与システム」の構築もある。他方、オリンパス事件では巨額の粉飾を見逃し続け、金融庁から業務改善命令を受けたこともあった』、「あずさ監査法人」にとっては、大きな「ビジネスチャンス」だろう。
・『橋下徹元知事のツイートに医療現場から怨嗟の声も  前述の日経記事では「東京都に先行し2010年度に県立5病院を独法化した神奈川県は従来、運営費として131億円(09年度)を一般会計から繰り入れていたが、16年度には104億円と約2割減った」と先行例を示し、独法化を持ち上げた。 だが、その神奈川県立病院機構は2018年度、25億1200万円の経常赤字を出し、繰越欠損金は94億6700万円に及んだ。 3月9日の都議会予算特別委員会で白石たみお都議(共産党)から「これで(神奈川が)うまくいっていると言えるのか」と問われた小池知事は答弁せず、代わりに立った堤雅史東京都病院経営本部長も「神奈川県立病院機構は……努力している」と答えるのが精いっぱいだった。 独法化の成功例とされた大阪でも、府立病院の現場はマスクや手袋、防護服の不足に悩む。その渦中の4月3日、橋下徹元府知事はこうツイートした。 「僕が今更言うのもおかしいところですが……徹底的な改革を断行し、有事の今、現場を疲弊させているところがあると思います。保健所、府立市立病院など。そこは……見直しをよろしくお願いします」 これに対し、大阪の医療現場からは「ほんまに何を今さら」「怒りで吐きそう」といった怨嗟(えんさ)の声がもれる。 橋下氏は「平時のときの改革の方向性は間違っていたとは思っていません」とも付け加えたが、むしろ「平時」の改革の誤りが「有事」に露呈したようにも見える。 新型コロナ感染者を多数受け入れる都立駒込病院で働く看護師で、都庁職病院支部書記長でもある大利英昭さんはこう話す。 「福祉や医療を切り捨ててきたツケが今、回ってきています。新自由主義的な政策を推進してきた金持ちではなく私たち普通の労働者が、そのツケを自分のいのちで払わされようとしている。その瀬戸際まで来ているのです」』、「「平時」の改革の誤りが「有事」に露呈したようにも見える」、その通りなのかも知れない。いずれにしろ、「独法化」の真価が問われることになりそうだ。
タグ:人件費のカット 都道府県立病院では初めての独法化で、公立病院独法化の「成功モデル」 大阪 がんセンターでは、7500円だった個室代が1万5000円になり、「最高の部屋は約5万9000円 高級ホテル以上の料金の病室も 人件費削減で収益率を向上 橋下徹元知事のツイートに医療現場から怨嗟の声も この2~3年だけで総額約12億円もの残業代未払いがあることが発覚 独法化時点で20%だった非正規職員が30%を超えました 新型コロナ問題で感染症対応の最前線に 都立病院の現場からは、小池都政幹部の意向を反映したこの記事に「フェイクに近い」と反発する声 日本経済新聞 感染症対応に追われる中で独法化の準備を開始 手放しでは評価できない 東京都が病院を独法化する理由 8つの都立病院と6つの公社病院を、2022年度内をめどに地方独立行政法人(独法)にする方針が決まった 「コロナ下で医療崩壊危機を高める「都立病院の独法化」は必要なのか」 北 健一 ダイヤモンド・オンライン 医療保護入院が悪用 DV夫の格好の「武器」に 見知らぬ男たちに突如、連れて行かれた 健常者でさえも精神医療の被害に遭っている現実 不仲の夫でも「同意権者」に 数は18万7683件に至っている』、「双極性障害」をもつ「夫」についていったら、「看護師として働く」自分が入院させられた 「夫の策略で「強制入院3カ月」妻が味わった悪夢 精神疾患の既往歴なしの人が精神科病院に幽閉」 『保護』のための強制入院制度は、ほかの諸外国にはない制度だ。 多くの精神医療関係者は、医療保護入院制度の存在は当たり前のものと考え疑問を持たない。だがそうした日本の精神医療の常識は、人権を尊ぶ世界には通用しない 僕は1つだけやってやろうと決めてることがある。捜査機関の奴らが認知症やら何やらで精神科に来たら問答無用で隔離室に放り込んで、徹底的に痛めつける。絶対出さないしいくらでもいてもらう。完全に壊してから自宅に引き取らせる。厚労省関係者も同じ ある精神科医の上告を棄却 「問答無用で徹底的に痛めつける」 審査会の構成は指定医である医療委員が過半を占めるものが大多数 第三者機関も形骸化 医療保護入院の仕組みは、入院や行動制限の要否を判定する精神保健指定医の判断の正当性がすべての前提となっている。指定医の患者に対する権限は絶大だ 6万件前後で推移した1990年代前半と比べ、3倍超に膨らんでいる 入院期間の定めがない 本人が入院に同意しない場合に、家族など1人の同意に加え、同じく1人の精神保健指定医の診断があれば、強制入院させられる 「医療保護入院」 極めて使い勝手がよい制度 なかなか退院に向けた話が進まなかった 弁護士が介入しても 当事者からの声が140件以上集まった 人権侵害 院内での生活はおよそ4年間にわたった 自分のまったく知らないところで不妊手術をされていた 連載第1回「精神病院に4年閉じ込められた彼女の壮絶体験」 人口当たりで見ても世界でダントツに多いことを背景として、現場では長期入院や身体拘束など人権上の問題が山積 精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占める 「精神病院から出られない医療保護入院の深い闇 現場医師の裁量で強制長期入院も可能になる」 東洋経済オンライン (その24)(精神病院から出られない医療保護入院の深い闇 現場医師の裁量で強制長期入院も可能になる、夫の策略で「強制入院3カ月」妻が味わった悪夢 精神疾患の既往歴なしの人が精神科病院に幽閉、コロナ下で医療崩壊危機を高める「都立病院の独法化」は必要なのか) 医療問題 「平時」の改革の誤りが「有事」に露呈したようにも見える 入院単価」の倍増
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