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「9月入学」問題(その1)(「9月入学制」が政治利用されている! 元事務次官は「コロナに乗じて子どもの人権が奪われている」と批判、「拙速な9月入学」が日本教育を大混乱に陥れるこれだけの理由 9月入学の考察①問題点、「検察庁法改正案」の裏で 安倍首相が「9月入学」をぶち上げた事情 1日も早く国民の関心をそらせたい) [国内政治]

今日は、急に盛り上がった「9月入学」問題(その1)(「9月入学制」が政治利用されている! 元事務次官は「コロナに乗じて子どもの人権が奪われている」と批判、「拙速な9月入学」が日本教育を大混乱に陥れるこれだけの理由 9月入学の考察①問題点、「検察庁法改正案」の裏で 安倍首相が「9月入学」をぶち上げた事情 1日も早く国民の関心をそらせたい)を取上げよう。

先ずは、4月30日付けAERAdot「「9月入学制」が政治利用されている! 元事務次官は「コロナに乗じて子どもの人権が奪われている」と批判」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2020043000006.html?page=1
・『今回のコロナ禍は、日本の「教育の形」も大きく変えることになるかもしれない。 4月29日の衆院予算委員会。安倍晋三首相は新型コロナウイルスの感染拡大によって公立学校の休校がさらに長期化した場合を視野に、秋から新学期が始まる「9月入学制」の検討に前向きな姿勢を示した。 安倍首相は野党からの質問に対して、こう答弁した。 「国際社会で9月が主流であるのも事実。さまざまな要素を勘案しながら前広に判断していきたい」「社会全体に大きな影響を及ぼすので慎重に、との意見も承知しているが、これくらい大きな変化がある中では、さまざまな選択肢を検討していきたい」 さらに、萩生田光一文部科学相も「関連法案がいくつもあるので簡単ではない」と前置きしたうえで、「社会全体の問題として広く国民の間で認識を共有できるなら、大きな選択肢の一つ」と述べた。 4月下旬以降、休校が長引く地域やIT教育の普及具合によって学力格差が広がる懸念があることから、一部の知事は「9月入学制」の可能性に言及していた。 4月27日に宮城県の村井嘉浩知事が会見で「思い切って学校の入学、始業の時期を9月にずらすというのも一つの大きな方法ではないか」と述べると、28日には東京都の小池百合子知事も「9月スタートもありではないかと思います。大きな流れ、新しい流れはこういうときに、出てくるのではないか」と同調した。そして29日に開かれた全国知事会では、土曜日や夏休みなど長期休暇の活用とともに、「9月入学制」の検討を国に求めることが決まった。 こうした流れのなか、安倍首相が国会で「選択肢になる」と答弁したことで一気に現実味を帯びた。だが、入学・新学期開始を一律に4月から9月に移行させることは、教育制度に甚大な影響を及ぼす。現時点では政府や自治体も経済対策などに追われ、議論を重ねた形跡もない。はたして、このまま突き進んでいいのだろうか』、事態は慌ただしく動き出したが、「コロナ」への悪乗りとの印象も受ける。
・『元文部科学省事務次官の前川喜平氏は、9月入学の年度内導入に対しては「思いつきでやるべきではない」と、断固反対の姿勢をみせる。 「実務的な視点で見れば、やりましょうと言ってすぐやれるレベルの話ではありません。過去、文科省ではすでに何度も検討して見送った経緯があります。正しく適用するには、多額のお金と長い時間を要する。きちんとした検討を経ないまま勢いで物事を進めれば、そのしわ寄せは、子どもたちにきます」 まず、すでに全国各地で授業を再開している学校が多数あるにもかかわらず、一律に対応させようとする点に疑問を呈する。 「(次の9月から適用すれば)つつがなく学校に行けている子たちを、無理やり入学させ直すことになります。もう一度学校に入り直さなければいけないという事態を、はたして子どもや保護者は望むでしょうか」 また、現行の学校教育法では、義務教育開始の下限年齢が「6歳0カ月」と規定されているため、学齢を「6歳5カ月」に引き上げるための法改正が必要だという。法改正せず6歳0カ月から受け入れた場合、初年度は(誕生月が)17カ月分の生徒が入学することになる。 「生徒が4割近く増える分、その年だけ教師を余計に配置しなければならない。教育費も膨れ上がります」 小学校低学年の児童は数カ月の違いで発達段階に差が出るため、半年ずらすだけでも学習に影響が出るという。その対応として「カリキュラム自体を変更するなどの配慮が必要だ」と指摘する。 小学校だけではない。9月入学にした場合、大学では5カ月間、新1年生がいないことになるため、大学側の収入が絶たれる。こうした収入減に対する補償を含め、多額の費用がかかるという。 「国や地方自治体の支出が、一時的に大きく増えるでしょう。少なくとも1年あたり数千億円かかるのではないか」 では、これから政府が最優先させるべきことは何か。前川氏は「まず学校の再開に全力を傾けるべきだ」と話す。 「今は子どもの『教育を受ける権利』、つまり人権が侵害されている状態です。学校は『休業補償』がいらないため、政府は安易に休校に踏み切りましたが、子どもが教育を受ける機会を失うという、お金に換算できない損失が発生しています。学校を閉めるのは、本来は最終手段のはずです」』、確かに切り替え時には、「5カ月間」の分を前の学年と一緒にすると「17カ月分の生徒が入学することになる」、「大学では5カ月間、新1年生がいないことになる」、といった深刻な問題が生じる。
・『前川氏は、「コロナ対策」と「9月入学の検討」は別の問題であり、切り離して考えるべきだと強調する。 「学校制度全体を変えるというのは、まさに『牛刀をもって鶏を割く』そのもの。やり過ぎです。目下の『コロナ対策』として考えるのであれば、(不満の声が多い)高校3年生を対象に、センター試験の6月実施や9月入学枠の拡大をするなど、限定的な対応をとるべきです。(9月入学制の議論は)安直で、失政に対する目くらましにしか見えません。思いつきや、評判狙いの施策はやめるべきです」 前川氏のような反対論がある一方で、教育評論家の尾木直樹氏は、29日に<文科省の皆さん!既成の枠の中で考えないで!>と題してブログを更新し、9月入学に前向きな考えを記している。 <9月新学期制の検討始めてくださりホットしました。が、心配は、既成の枠組みの中でシュミュレーションするとあちこちに壁がそびえ立ちとても無理になります。今は異常事態 平時の議論ではありません!だからこそ枠外してシュミレーションお願いしますね> 日本の教育システムの“大転換”となる「9月入学制」。だからこそ、もっと多様な意見を交わし、熟議をへてから決定するプロセスが必要ではないだろうか』、「前川氏は、「コロナ対策」と「9月入学の検討」は別の問題であり、切り離して考えるべきだと強調する」、「目下の『コロナ対策』として考えるのであれば、(不満の声が多い)高校3年生を対象に、センター試験の6月実施や9月入学枠の拡大をするなど、限定的な対応をとるべき」、「安直で、失政に対する目くらましにしか見えません。思いつきや、評判狙いの施策はやめるべきです」、全く同感である。「尾木直樹氏」の賛成論は安直すぎる。

次に、5月5日付け現代ビジネスが掲載した教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏による「「拙速な9月入学」が日本教育を大混乱に陥れるこれだけの理由 9月入学の考察①問題点」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72359
・『にわかに真実味を帯びて急浮上してきた「9月入学」案。教育ジャーナリストのおおたとしまささんは「9月入学」議論をどのように受け止めたのか。テーマを3つに分けてお届けする。まずは拙速に9月入学を実施したときの問題点を具体的に提示してもらおう。 【考察2】 「『9月入学』は「魔法の杖」ではない…教育コロナ対策にもっと大切なもの」はこちら 【考察3】 「受験も教科書も…『拙速な9月入学』に代わる『コロナ禍教育』発想の転換」はこちら』、興味深そうだ。
・『影響大きく論点整理すら困難  休校期間が長引いていることへの対策として、学校の始業や入学を9月に移行する、いわゆる「9月入学」案がにわかに浮上している。まともに授業ができていない本年度4月からの各学校での取り組みをリセットし、9月に1学期を始めようという案である。 GWを前にして、私も複数のメディアから意見を聞かれた。その時点で「あまりに影響範囲が大きすぎてにわかには論点整理すらできず、論理的に是非を表明することは難しい。ただし直感的には、たった4カ月で準備するにはちょっと無理があると思う」と述べた。 ところが、である。これに対して著名人らが前向きな意見を表明したことで一気に風が吹く。野党はワーキングチームを結成し、都道府県知事の会でも賛意が目立った。これが全国紙でも連日大きく取り上げられることで世論も動く。 日刊スポーツが4月29日にインターネット上で行った緊急アンケートでは、回答者918人のうち賛成約41%、反対約55%。特に10代以下では約77%が反対だった。しかし5月に入ってから中国新聞、スポーツ報知、河北新報が発表したアンケート結果ではいずれも6割近くが賛成だった。 ただし、賛成の理由を見てみると、緊急時対応策としての是非判断だけでなく、「子どもの留学時にスムーズに入学できる」「インフルエンザや大雪の心配をしなくて済む」など「9月入学」という制度そのものへの賛意が含まれてしまっていることがわかる』、一般のマスコミ報道は賛成論が中心なので、最近の「アンケート結果」では賛成の方が多いのだろう。
・『9月入学は「入試をずらす」だけではない  また、もしかしたら大学入試の時期をずらすだけだと勘違いしているひとも含まれているかもしれない。しかし文脈的に考えて、いま検討されているのは、小学校から大学までのすべての学校の本年度を半年間延長し、2021年度の始業・入学を9月にし、かつ、今後ずっと9月をすべての学校の年度始まりにするということだ。 世論の高まりを見たのだろう。文科相も選択肢の一つであるとの認識を示し、4月30日、首相は導入に向けた論点整理を関係府省の事務次官に指示した。6月上旬には方向性が発表される見込み。そのことを告げるYahoo!ニュース記事に私は取り急ぎ以下のようにコメントした。 これは普通なら、国家の総力をかけても準備に数年を要する大プロジェクト。社会への影響力は大学入試改革の何十倍にもおよぶ。それがこの大混乱期にできるのか? これをきっかけに数年後を見据えた変更の検討を開始するのならわかるが、いま無理にやろうとすれば、文科省も学校の先生たちもそのための対応に追われて、ますます子どもたちが置き去りにされる可能性だってある。 たとえるなら、川の堤防が決壊しそうになって村人総出で土嚢を積んでいるところに「ちょうどいい。洪水対策で上流にダムを造るから全員集合!」と号令をかけるようなもの。 今年の学習の遅れをどう取り戻すか、受験生をどう救済するかということと、日本の学校制度を9月始まりにするということは分けて考えたほうがいい。 このコメントに込めた意味を、本稿で補足する』、「川の堤防が決壊しそうになって村人総出で土嚢を積んでいるところに「ちょうどいい。洪水対策で上流にダムを造るから全員集合!」と号令をかけるようなもの」、とのたとえは分かり易い。
・『「9月入学」が社会と教育現場にもたらす衝撃波  私も個人的には「9月入学」という制度そのものに前向きな考えをもっている。海外の学校制度と足並みがそろうことももちろん、大雪やインフルエンザのリスクが増す真冬に入試を行う必要もなくなる。学年をまたげば、夏休みの宿題も性格が変わるかもしれない。「卒業・入学の時期には桜がなければ」という反対意見もあるようだが、制度が変われば新しい風景が生まれるはずだ。 しかし、いまじゃない。 学事暦が9月始まりとなれば、パッと思いつくだけでも以下のような社会的影響が予測できる。 ・生まれ月による学年の区切りが9月に変わる ・国や自治体の会計年度とのズレが生まれる ・就職活動の時期やしくみを変えなければいけない ・国家試験の時期やしくみを変えなければいけない ・保育園の入園・卒園のタイミングがズレる ・カレンダーや手帳の年度始まりが3種類になる ・教科書に描写されている季節感がズレる ・塾や予備校のカリキュラムの全面見直し ・習い事や通信教育のサイクルの全面見直し……etc. 挙げ始めれば、きりがない。文科省マターを中心に膨大な数の法規・制度改正が必要になることは言うにおよばず、会計年度や人材供給時期という経済面での影響もさることながら、以下、子どもの成長に直接的に関連する部分だけを考えて見ても副作用は甚大だ。 保育園の入園・卒園の時期がずれれば待機児童問題に混乱をおよぼすことは間違いない。ただでさえ経営難に陥ることが予測される塾・予備校業界への打撃は計り知れない。就活制度が変わる過渡期にはなんらかのバグが生じ、落とし穴にはまる学生も増えるだろう。また、教科書を全面改訂しなければ、真冬に水遊びの文章を読まされることになるかもしれない。 変化に混乱はつきものである。混乱を恐れていては何も変えられない。しかし、この社会的大混乱の最中に新たな大混乱の種をまくのは控えめにいって愚行である』、「この社会的大混乱の最中に新たな大混乱の種をまくのは控えめにいって愚行である」、言い得て妙だ。
・『現場にかかる甚大な負荷  もちろん小学校から大学まで、学校の中にも大混乱が生じる。何より罪深いのは、もしこのタイミングで急遽学事暦が変更になるとしたら、いま休校期間中においても子どもたちの学びを止めないためにオンライン授業実施などを含めてあの手この手の方法を試行錯誤していている現場の教員たちに、さらに甚大な負荷がかかるということだ。 5月2日、文科相は「学習時間の確保に加え、運動会や修学旅行など学校行事の実施に向けた解決策にもなる」という主旨を述べたが、非現実的である。パッと思いつくだけでも、教育現場は夏休み期間を含めたたった3カ月間で以下のような対応に追われることになる。 ・1年間の臨時カリキュラムを策定 ・運動会、学芸会などの年間行事予定のつくり直し ・修学旅行、遠足、社会科見学などの再手配 ・学費、教材費、給食費など諸費用に関する方針策定 ・PTAなど関連団体の運営・人事対応 ・地域活動、ボランティアスタッフなどとの各種調整 ・教職員の定年、育休、正規採用などの人事的なタイミングの調整 ・上記に伴う、教育委員会や文科省との膨大な事務手続き……etc. 6月に方針が発表されたとして、8月末までに各学校の教員たちが、大学入試や高校入試のタイミングも睨みながら、新しい学年行事予定をいちからつくりなおし、1年間の臨時カリキュラムを策定し、修学旅行の交通手段やホテルを押さえ、遠足や社会科見学の手配をし、関係各所に連絡することなど、現実的ではない。新しい学校の開校準備にほとんど等しい、膨大な事務手続きが必要になる』、「教育現場は夏休み期間を含めたたった3カ月間で以下のような対応に追われることになる」、「現場」の混乱は、先生たちだけでなく、子どもたちにも悪影響を及ぼすだろう。
・『最優先事項は「子どもたちの日常」  全国の学校の教員がそのための事務手続きに忙殺されたら、ますます目の前の子どもたちに対するケアが手薄になる可能性が高い。それが本当に子どもたちのためになるのだろうか。この緊急事態に際して、最も優先順位が高いのは、子どもたちの日常を少しでも取り戻すことであって、学校の見た目の体裁を整えることではないはずだ。 そもそも学校のカリキュラムや学校行事は、そのときどきの子どもの心身の発達段階にあわせて緻密に設計されている。スマホにうまくインストールできなかったアプリをあとから再びインストールし直すのとはわけが違う。学校が休みでも子どもたちは日々猛烈なスピードで成長しているというあたり前の事実を、忘れてはいけない。カレンダーを半年ずらせば以前と同じ教育ができると思ったら大間違いなのである。 逆に言えば、残念だが、失われてしまった時間は取り戻せない。その事実を受け入れてむしろ糧にする術を教えることも、大人が子どもにしてやれる教育の一環ではないだろうか。人生とは、そういうものなのだから』、「カレンダーを半年ずらせば以前と同じ教育ができると思ったら大間違い」、その通りだろう。
・『問題がすり替えられている  教育関係者が「9月入学」と聞いてただちに連想するのは、2012年に検討された東大での「秋入学」構想だ。海外の大学との足並みをそろえる狙いがあったが頓挫した。 当時の東大学長だった浜田純一氏は5月2日の日本経済新聞で「いろいろな施策をギリギリまでやって、それでもうまくいかないときに、秋入学のような大胆な手が必要となる」と述べている。秋入学実現への希望はあるが、拙速な導入についてはやはり前向きではないニュアンスに読み取れる。 もともとは休校期間中の学習の遅れをどうするかという課題を解決する「手段」の1つとして発案された「9月入学」であるにもかかわらず、いつの間にか「グローバル化」という大義名分を引っさげて、「いましかできない」という意見まで聞かれるようになった。 「いましかできない」という表現は、「もともとあった『目的』を達成するためにはこの機を逃してはいけない」という意味である。この表現が使われている時点で「9月入学」が、目の前の子どもたちのためという発想から離れ、国の制度改革のための損得勘定にすり替えられていることがわかる。 手段が目的化すれば、大学入試改革の二の舞である。ただし、影響の範囲は大学入試改革の比ではない。 そもそもの話、OECD(経済協力開発機構)の「図表で見る教育2017年版」によれば、海外留学をする日本人大学生の割合は1%以下である。大学に進学しないひとも45%くらいいるので、人口比にすれば0.5%程度。それを増やすのが国の方針であるわけだが、海外留学をする大学生の割合はOECD平均でも5.9%である。そのために大学のみならず小学校までグローバルな学事暦にそろえる必要があるのか、そこも議論が分かれるところだろう。 【考察2】 「『9月入学』は魔法の杖ではない…教育コロナ対策にもっと大切なもの」はこちら 【考察3】 「受験も教科書も…『拙速な9月入学』に代わる『コロナ禍教育』発想の転換」はこちら *2020年5月5日6時に公開いたしましたが、8時の時点で一部に事実誤認があり、その個所を削除しております。ご了承ください』、「「いましかできない」という表現は、「もともとあった『目的』を達成するためにはこの機を逃してはいけない」という意味である。この表現が使われている時点で「9月入学」が、目の前の子どもたちのためという発想から離れ、国の制度改革のための損得勘定にすり替えられていることがわかる。 手段が目的化すれば、大学入試改革の二の舞である。ただし、影響の範囲は大学入試改革の比ではない」、説得力溢れた主張で、諸手を挙げて賛成だ。

第三に、5月11日付けPRESIDENT Online「永田町コンフィデンシャル:「検察庁法改正案」の裏で、安倍首相が「9月入学」をぶち上げた事情 1日も早く国民の関心をそらせたい」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/35325
・『何年も議論が必要な重要案件が、なぜ急浮上しているのか  新型コロナウイルスの伝染拡大は、最悪の事態は回避して「出口」を見いだそうという局面に入ってきたが、依然として予断を許さない。だが、その推移を見定める前に、秋から新学年を始める「9月入学」に向けて安倍政権が大きくハンドルを切り始めた。 これまでも浮上しては消えてきたこの問題。本来ならば何年も議論が必要な重要案件が、なぜ急浮上しているのか。安倍政権はコロナ問題で後手後手の対応が続いている。さらに検察官の定年を引き上げる法案をめぐり国民の批判が高まっている。このため、「9月入学」をぶち上げることで国民の関心をそらそうという思惑が透けてみえる』、確かに、「コロナ問題で後手後手の対応」、「検察官の定年を引き上げる法案」なかで、「「9月入学」をぶち上げることで国民の関心をそらそうという思惑」、大いにあり得る話だ。
・『口火を切ったのは高校生の署名運動だった  5月8日、首相官邸に陣取る杉田和博官房副長官のもとには、各省庁の次官クラスが次々と入った。目的は「9月入学」についての論点整理。コロナの感染拡大で全国の小中高校で休校が続く中、4月に急浮上した「9月入学」問題は、杉田氏のもとで6月をめどに論点を整理することになっているのだ。 警察官僚出身で、内閣危機管理監などを歴任した杉田氏は危機管理のプロ。未曾有の危機となっているコロナ対応が続いている今、「9月入学」の司令塔になるのは少々奇異な印象も受けるが、安倍政権がこの問題に前のめりになっている証左ともいえる。 今回「9月入学」の盛り上がりは、複雑な経緯をたどった。最初は高校生がインターネットを通じて署名運動を展開。休校がずるずる続き、学校、地域によって教育格差が広がることが避けられない状況の中、平等に9月からリスタートしたいという若者の叫びだった。 学生たちの訴えに小池百合子都知事、吉村洋文大阪府知事ら、発信力のある知事らが共鳴。その後で、安倍政権が食いついた。安倍晋三首相は4月29日の衆院予算委員会で「これくらい大きな変化がある中では、前広にさまざまな選択肢を検討したい」と答弁。その後、「9月入学」に積極的な議員たちと積極的に会いながら、検討を続けるように求めている。最後で乗っかったような形の安倍氏だが、今や推進派の最右翼のようになってきた』、「口火を切ったのは高校生の署名運動」、初めて知った。「最後で乗っかったような形の安倍氏だが、今や推進派の最右翼のようになってきた」、「危機管理のプロ」の「杉田氏」が担当とは本腰が入っているようだ。
・『来年9月を念頭に、今年9月から「予行演習」する  今、政府内で前提となっているスケジュールは以下の通りだ。 「9月入学」を導入する時期は来年、2021年の9月だ。4月に「9月入学」論が浮上した頃は、今年9月から一気に導入しようという意見もあった。しかし、それではあまりにも性急だし、コロナ禍による混乱に便乗した「火事場泥棒」との批判も受けかねない。そこで目標は「来年9月」と定まった。 杉田氏のもとで進む論点整理を6月ごろ受けた後、文部科学省を中心とした関係各省で協議して法案を作成。秋の臨時国会に法案を提出して成立を図る。 一方、学校教育の現場はコロナの感染拡大が沈静化するのを待ち、それぞれの地域事情をにらみながら学校教育を開始する。遅くとも9月までには再開するだろう。ことしは制度上は「4月入学」のままなので9月はあくまで「2学期」だ。しかし、今後「9月入学」となるのを念頭に、現場で浮上した問題点を整理し、翌年に備えることになりそうだ。来年9月を念頭に、今年9月から「予行演習」するということだ』、「「火事場泥棒」との批判も受けかねない」、ので「来年9月を念頭に、今年9月から「予行演習」」とは、さすが巧みな判断だ。
・『「9月入学」は2006年の第1次政権の時からの悲願  安倍氏は、もともと「9月入学」論者だ。2006年、初めて首相になった時、自身の肝いりで政府内に教育再生会議をつくり「大学の9月入学」を打ち出した。 この時の「9月入学」は大学のみを念頭に置いていた。国際基準の「9月入学」にあわせることで留学生や教員の国際交流を可能にするとともに、高校生は3月に卒業してから大学入学までの半年間にボランティア活動などをさせて若者の規範意識を高めようという発想があった。 今回の「9月入学」は大学だけでなく小中高も一斉に行うことを前提にしているので、高卒生がボランティア活動を行う時間はないが、欧米諸国の国際基準にあわせることはできる。安倍氏の方向性と合致する。14年越しの悲願といってもいい。 今回「9月入学」が走り始めているのは、このような政策的な理由だけではない。自民党ベテラン議員の1人は、こうつぶやく。 「簡単に言えば、国民の目をコロナからそらすということだよ」』、「「9月入学」は2006年の第1次政権の時からの悲願」、漸く思い出せた。「簡単に言えば、国民の目をコロナからそらすということだよ」、ズバリ本音だろう。
・『「火事場泥棒」の検察庁法改正案の批判をそらすため  今、コロナ対応で、安倍政権は守勢に立たされている。国民1人ごとに10万円配布する「特別定額給付金」が行われることになった経緯は二転三転して後手に回り、野党だけでなく与党内からも批判の声が上がった。 PCR検査数が、諸外国と比べて圧倒的に少ないことも日々指摘され続けている。 評判の悪い「アベノマスク」は、東京都などの一部を除いてまだ配布されておらず、その間にディスカウントストアの店頭にはマスクが山積みされるようになってしまっている。 今は、まだ感染拡大に関心が集まっているだけに批判は一定レベルにとどまっているが、ピークアウトした後は、安倍政権の対応への批判が集中するのは避けられない。 さらに安倍政権には新たな火種が浮上している。 今、国会で審議中の検察庁法改正案だ。この法案は、国家公務員の定年を引き上げる国家公務員法改正案と1体の「束ね法案」として審議されている。しかし、政府が先に黒川弘務東京高検検事長の定年延長を決めたことを裏打ちする法案として野党側は批判を強めている。 しかも、今は政府をあげてコロナ対応に全力を尽くさなければならない時。どさくさに紛れて成立を急ぐ政府の姿勢に国民の反発が高まっており、SNSでは「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグ付きの書き込みがあふれ、10日夜の段階で書き込みは500万件近くに及んだ』、確かに「安倍政権」は発足以来最大の危機に直面しているようだ。
・『コロナ前のスキャンダルは「過去のもの」になる  国民は、検察官の人事を政権の意のままに操ることへの怒りとともに、コロナ禍のまっただ中に「火事場泥棒」のような形で法改正してせいまおうという政権の姑息さに怒っているのだ。 コロナ対応への不満。そして検察庁法改正案への怒り。コロナ禍が沈静化した後、安倍政権は大逆風にさらされる。その矛先をそらすために、「9月入学」をぶち上げようという発想だというのだ。 確かに入学時期を4月から9月に変えるというのは、子供はもちろん、子を持つ親、教育業界、そして新卒学生を採用する企業など、利害関係者が多く、大論争となるのは必至。コロナ禍後の空気を変えるテーマだ。 秋の臨時国会では、野党側はコロナ対応での政府の不手際を批判しようと手ぐすね引く。森友、加計、「桜を見る会」などの問題も仕切り直しして攻めてくるだろう。 しかし「9月入学」の関連法案が提出されれば国民の関心はそちらに向かう。森友、加計、桜などの、コロナ前のスキャンダルは「過去のもの」にすることができる。と、なれば、政権側の作戦勝ちだ』、「「9月入学」は、「利害関係者が多く、大論争となるのは必至。コロナ禍後の空気を変えるテーマだ」、「コロナ前のスキャンダルは「過去のもの」にすることができる」、「野党側」も本腰を入れる必要があるが、維新が賛成派であることもあって、残念ながら「政権側の作戦勝ち」に終わってしまうだろう。
・『「9月入学」実現→安倍4選のシナリオは…  2021年夏には1年遅れで東京五輪・パラリンピックが予定されている。7月23日に五輪が始まり、パラリンピックが9月5日に終わる。来年「9月入学」が実現すれば、五輪直後。国家的イベントの直後に教育の大改革が行われるということになる。 そして「2021年9月」といえば忘れてはいけない政治イベントがある。安倍氏の自民党総裁任期切れに伴う党総裁選だ。安倍氏は、公の席では4選を目指さない考えを繰り返し表明しているが、二階俊博党幹事長らは安倍4選待望論を唱えている。安倍氏自身も、心の中では4選という選択肢は残している。 ただ、その選択肢は憲法改正とセットで考えていた。改憲を実現して、その勢いで4選を実現する……というシナリオだった。しかし、改憲論議は安倍氏の思うようには進まなかった。本来なら、ことし2020年に憲法改正を実現し、新憲法を施行させるシナリオを描いていたが、それは断念せざるを得ない。その経緯は5日に配信した「コロナ対策そっちのけで『憲法改正』を訴える安倍首相のうさんくささ」を参照いただきたい。 改憲の道は険しくなったが、「9月入学」という教育の大改革を実現して4選を迎える。 そんなシナリオが安倍氏の頭の中にないはずはない。「9月入学」問題が実現するかどうかは、与野党、そして自民党内の権力闘争に大きく左右されることになるだろう』、「安倍政権」にとっては、「9月入学」問題はさしずめ「神風」のようだ。
タグ:来年9月を念頭に、今年9月から「予行演習」 初年度は(誕生月が)17カ月分の生徒が入学することに 9月入学の年度内導入に対しては「思いつきでやるべきではない」と、断固反対の姿勢 「火事場泥棒」との批判も受けかねない 前川喜平 「「9月入学制」が政治利用されている! 元事務次官は「コロナに乗じて子どもの人権が奪われている」 AERAdot (その1)(「9月入学制」が政治利用されている! 元事務次官は「コロナに乗じて子どもの人権が奪われている」と批判、「拙速な9月入学」が日本教育を大混乱に陥れるこれだけの理由 9月入学の考察①問題点、「検察庁法改正案」の裏で 安倍首相が「9月入学」をぶち上げた事情 1日も早く国民の関心をそらせたい) 「9月入学」問題 「9月入学」実現→安倍4選のシナリオは… 危機管理のプロ コロナ前のスキャンダルは「過去のもの」にすることができる 「利害関係者が多く、大論争となるのは必至。コロナ禍後の空気を変えるテーマだ」 「9月入学」 コロナ前のスキャンダルは「過去のもの」になる 最後で乗っかったような形の安倍氏だが、今や推進派の最右翼のようになってきた 口火を切ったのは高校生の署名運動だった 「#検察庁法改正案に抗議します」 「「9月入学」をぶち上げることで国民の関心をそらそうという思惑」 検察官の定年を引き上げる法案 新たな火種が浮上している。 今、国会で審議中の検察庁法改正案 コロナ問題で後手後手の対応 「永田町コンフィデンシャル:「検察庁法改正案」の裏で、安倍首相が「9月入学」をぶち上げた事情 1日も早く国民の関心をそらせたい」 PRESIDENT ONLINE 「「いましかできない」という表現は、「もともとあった『目的』を達成するためにはこの機を逃してはいけない」という意味である。この表現が使われている時点で「9月入学」が、目の前の子どもたちのためという発想から離れ、国の制度改革のための損得勘定にすり替えられていることがわかる。 手段が目的化すれば、大学入試改革の二の舞である。ただし、影響の範囲は大学入試改革の比ではない 最優先事項は「子どもたちの日常」 現場にかかる甚大な負荷 この社会的大混乱の最中に新たな大混乱の種をまくのは控えめにいって愚行である 「9月入学」が社会と教育現場にもたらす衝撃波 安倍政権の対応への批判が集中するのは避けられない 川の堤防が決壊しそうになって村人総出で土嚢を積んでいるところに「ちょうどいい。洪水対策で上流にダムを造るから全員集合!」と号令をかけるようなもの 9月入学は「入試をずらす」だけではない たった4カ月で準備するにはちょっと無理があると思う 影響大きく論点整理すら困難 「「拙速な9月入学」が日本教育を大混乱に陥れるこれだけの理由 9月入学の考察①問題点」 コロナ対応で、安倍政権は守勢 「火事場泥棒」の検察庁法改正案の批判をそらすため 「杉田氏」が担当 おおたとしまさ 現代ビジネス 高校3年生を対象に、センター試験の6月実施や9月入学枠の拡大をするなど、限定的な対応をとるべき 「コロナ対策」と「9月入学の検討」は別の問題であり、切り離して考えるべき 「簡単に言えば、国民の目をコロナからそらすということだよ」 「9月入学」は2006年の第1次政権の時からの悲願 来年9月を念頭に、今年9月から「予行演習」する 大学では5カ月間、新1年生がいないことになる
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