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トランプ大統領(その46)(黒人抗議デモに「軍の出動」 分断煽るトランプ再選戦略のあまりの危険、「他国に厳しく自国に甘い」人権軽視大国アメリカよ 今こそ変わるとき、トランプ再選にとどめ刺せなかったボルトン暴露本 「何をいまさら」「カネ儲けか」と米国民は冷ややか) [世界情勢]

トランプ大統領については、6月6日に取上げた。今日は、(その46)(黒人抗議デモに「軍の出動」 分断煽るトランプ再選戦略のあまりの危険、「他国に厳しく自国に甘い」人権軽視大国アメリカよ 今こそ変わるとき、トランプ再選にとどめ刺せなかったボルトン暴露本 「何をいまさら」「カネ儲けか」と米国民は冷ややか)である。

先ずは、6月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した軍事ジャーナリストの田岡俊次氏による「黒人抗議デモに「軍の出動」、分断煽るトランプ再選戦略のあまりの危険」を紹介しよう。
・『マティス大将の痛烈批判「団結させようとしない初めての大統領」  1857年に創刊された「アトランティック」誌は米国でおそらく最も権威のある月刊評論誌だ。前国防長官ジェームス・N・マティス退役海兵大将(69)が、トランプ大統領を「米国民を団結させようとせず、その素振りすらしない初めての大統領だ」と同誌で批判した寄稿が大きな反響を呼んでいる。 5月25日にミネソタ州ミネアポリスで白人警察官が黒人を倒して首を圧迫して死亡させた事件をきっかけに全米に拡がった抗議行動に対し「軍の出動」を語ったトランプ大統領の対応を激しく非難した。 これが6月3日の同誌電子版で広く伝わり、世界を驚かせた。 マティス大将の声明を要約すれば、(1)「『法の下での平等な正義』を抗議者たちが正当に要求している。健全な要求であり我々全員が支持できるものだ」 (2)「私は軍に入ったとき、憲法を支持し守り抜くことを宣誓した。兵士たちが国民の憲法上の権利を侵害することを命じられるなど夢にも思わなかった」 (3)「私たちに必要なのは共通の目的の下で団結することだ。ドナルド・トランプ氏は私の生涯で、米国民を団結させようとせず、その素振りすらしない初めての大統領だ」 (4)「彼は逆に我々を分断しようとする。我々がいま目にしているのは彼の3年間の意図的努力の結果だ」 (5)「ラファイエット広場(ホワイトハウス前の公園)で見たような権力の乱用よりも良いやり方があることを我々は知っている。我々の憲法をあざ笑う政府の人間は拒絶し、その責任を取らせなければならない」 などなどの極めて強烈な内容と言辞だ。 特にトランプ大統領が「略奪が始まれば、射撃が始まる」などと唱え、軍を出動させて抗議活動を制圧しようとする姿勢は、国民を分断するものとして怒りをあらわにしている』、「マティス大将の痛烈批判」は、私もニュースで知り、批判の激しさに驚いた。
・『「抗議制圧に軍を使うのは支持しない」エスパー国防長官も一線画す  米国には大統領・連邦政府の指揮下にあり、「現役」の軍である連邦軍のほかに、通常は州知事の指揮下で治安維持や災害支援にあたりながら、戦時体制になると大統領の指揮下に入る連邦軍の予備役部隊にあたる州兵がある。 陸軍州兵は33万3800人、空軍州兵は10万6700人もいるが、月に1回、週末に集まって訓練し、年に1回2週間合宿する程度だ。参加者には日当が出るが、若干余裕がある人々の社交クラブ的色彩がある。 よほどの緊急事態には米国政府が予備役兵力として動員できることにはなっているが、今回の抗議デモに対して、トランプ大統領は、州知事たちに州兵を治安維持に投入することを求め、「知事がそれを避けるなら私が命令する」と言っている。 マティス大将の批判に対してトランプ大統領はマティス氏を「世界一過大評価されている将軍だ」と、反撃した。 だがマティス氏はもともとトランプ氏が2016年12月に国防長官に指名した人物だ。 当時、マティス氏は2013年に退役後3年しかたっておらず、国家安全保障法では軍人は退役から7年間は国防長官になれないと定められているため、国防長官就任は難しかった。 それをトランプ氏が米上院に特例として承認させ、2017年1月に就任させた。無理をしてまで任命したのだから「過大評価」だとすれば、その責任はトランプ氏自身にある。 マティス氏は、1991年の湾岸戦争では中佐で海兵大隊長、2001年に始まったアフガニスタン攻撃では准将で第1海兵旅団長、2003年からのイラク戦争では少将で第1海兵師団長として猛将ぶりを発揮した。 だがこうした戦闘の際にも、民間人になるべく被害が及ばないよう部下に注意したといわれる。 オバマ大統領は2010年8月、マティス氏を中東担当の中央軍司令官に任命したが、イランの核開発を制限するために、米、露、中、英、仏、独の6カ国がイランと合意した「イラン核合意」にマティス氏は反対し、そのため2013年3月に中央軍司令官を解任され、退役した。 トランプ大統領は「イラン核合意」は、イランが将来、核兵器を開発することを許す結果になる、と反対していたから、マティス大将を無理やり国防長官にした。 だが2018年12月、マティス氏はトランプ政権がシリアからの米軍撤退を表明したことに反対して辞表を出し、2月末に辞職することを表明した。 トランプ大統領はそれに怒り1月1日付で国防長官を解任した。辞職を繰り上げるとはトランプ氏らしい無礼な行動だ。 今回、マティス大将が「トランプ氏は国民の分断に意図的に努力している」などと口を極めて非難したのはそれに対する報復だという見方も米国メディアでは報じられている。 だが軍を出動させることに異論を唱えたのは、マティス氏だけではない。 マーク・T・エスパー現国防長官(56)も、6月3日の記者会見で、「私は現役の軍を抗議活動制圧のために使うことを支持しない」と述べ、軍の出動を語って抗議行動をひるませようとするトランプ氏と一線を画す構えを見せた。 ただトランプ氏はそれには反論しておらず、更迭されていない。 エスパー氏は陸軍士官学校を卒業し空挺部隊の将校となり、軍から派遣されてハーバード大学の大学院に入って修士となり、2007年に中佐で除隊した。 軍需企業レイセオンでロビイストとして活動、政府交渉担当副社長となり、2017年に陸軍長官、2019年7月に国防長官となった。 敏腕のロビイストらしく、軍の投入については「現役」の連邦軍の出動に慎重だが、州兵の投入には反対しておらず抗議活動側にも、トランプ大統領にも憎まれない巧みな発言をしている様子だ』、「エスパー氏」は、「抗議活動側にも、トランプ大統領にも憎まれない巧みな発言」とは、さすが「敏腕のロビイスト」の面目躍如だ。トランプ大統領も軍の撤退を命じたようだ。
・『イラク戦争の長期化 警鐘鳴らしたシンセキ大将  軍の高官と大統領など政権中枢が対立するのは珍しいことではない。 クーデターを起こした軍人が政権を握っている国は、今でもエジプト、タイなど結構、多い。 第2次世界大戦中のドイツでは国防軍の将校グループが1944年7月にアドルフ・ヒトラーを爆殺しようとして失敗した。 またフランス領だったアルジェリアの独立を認めようとしたドゴール大統領(元帥)は右翼将校たちから何度も命を狙われた。日本の2・26事件などの背後にも軍の将官がいた形跡がある。 さすがに米国ではクーデターは起きていないが、情勢判断などで意見の対立が起こるのは不可避だ。 近年の例としては、イラク戦争直前の2003年2月、米陸軍参謀総長エリック・シンセキ大将(日系3世)が、米議会上院軍事委員会で「イラクを攻撃するなら数十万人の兵力を数年間は駐留させる必要が生じる」と述べ、ラムズフェルド国防長官やブッシュ(息子)大統領の「数万人で数週間で片付く」との楽観論と正面衝突した。 参謀総長は2期務めるのが慣例だったが、シンセキ大将はその年の6月、1期だけで退役となった。 その後任に擬された将軍たちは、正論を述べて退役させられた参謀総長の後釜に座ることを次々と拒否し、戦争中に陸軍のトップが2カ月不在という異常事態が生じた。 その後のイラク戦争の長期化は、シンセキ大将の見通しの正しさを証明した。米国の記者たちがハワイに引退した同大将を訪ねて水を向けても「後輩が懸命に努力しているからね」と批判を慎み、軍人らしい節度を示した。 その後、オバマ政権になると、シンセキ氏は閣僚級の退役軍人庁長官に任じられた。 将軍と大統領との対立で、シンセキ大将と対照的な例は、ダグラス・マッカーサー元帥だ。 朝鮮戦争勃発当時の1950年6月、マッカーサー元帥は「北朝鮮軍が韓国に侵攻する準備を整えている」との韓国軍の情報を無視して奇襲され、米・韓軍は釜山近くまで追い詰められた。 制海権は米海軍が握っていたから米軍は、仁川に上陸して北朝鮮軍の側面を突き潰走させソウルを解放、追撃を続けた。中国は「米軍が北進するなら介入せざるを得ない」と表明していたが、マッカーサー元帥はそれを虚勢と見て朝鮮半島の北端、鴨緑江に迫った。 米・韓軍はいくつもの谷間に沿って分散して北進するのに対し、中国軍は夜間行軍で尾根伝いに南下したから、米・韓軍は包囲網に入り込む形になった。 戦闘になると米・韓軍は寸断されて大混乱し、ソウルの南約60キロまで約400キロも退却する歴史的敗走となった。 これに狼狽したマッカーサーは中国本土の爆撃、海上封鎖、台湾に逃れていた蒋介石軍の中国本土進攻支援を主張し、全面戦争化に反対するトルーマン大統領と対立した。 マッカーサーは野党(共和党)議員に書簡を出したり、新聞社のインタビューに応じたりして、「政府が手を縛っているから勝てない」と自分の状況判断の誤りによる責任を政府に転嫁しようとして、1951年4月に解任された』、「正論を述べて退役させられた」「米陸軍参謀総長エリック・シンセキ大将」の「後任に擬された将軍たちは・・・参謀総長の後釜に座ることを次々と拒否し、戦争中に陸軍のトップが2カ月不在という異常事態が生じた」、さすが骨がある軍人も多いようだ。「マッカーサーは・・・自分の状況判断の誤りによる責任を政府に転嫁しようとして、1951年4月に解任された」、彼がそこまで卑怯だったとは初めて知った。
・『軍人の方が政治家より慎重だった例も多い  後任のマシュー・B・リッジウェイ大将が冷静で米軍を立て直したから、米・韓軍はソウルを奪回し、何とか引き分けの形で停戦となった。 リッジウェイ大将はその後米陸軍参謀総長となったが、フランスが負けて撤退した後のベトナムに米国が介入するのに反対、大統領のドゥワイト・D・アイゼンハワー元帥と対立して、1955年に退役した。シンセキ大将と似た名将だ。 政治家が軍を統制する「シビリアン・コントロール」は、軍人の暴走を防ぐ効果がある場合もあるが、政治家が国民感情に迎合して強硬な対外姿勢で人気を得ようとし、優秀な将軍が戦争に慎重だったという例も少なくない』、「シビリアン・コントロール」も一筋縄ではいかないようだ。
・『コロナでの初動の失敗 中国、WHOを「敵」に  トランプ大統領はマッカーサーを崇拝しているが、責任転嫁の癖があることでは2人は似ている。 新型コロナウイルス問題では、武漢の衛生当局が昨年12月31日「原因不明の肺炎が27例発生、うち重症7例を確認」と、WHO(世界保健機関)に通報、日本の厚生労働省も受信していた。 台湾はただちに厳重な防疫態勢を取り、感染者は443人、死者7人で食い止めた。 当然、米国にもこの情報が入っていたはずだが、米国が「14日以内に中国に渡航歴のある外国人の入国を禁止」と発表したのは2月2日で、対象は外国人に限られていた。 中国は1月20日に人から人へ伝染することを確認、23日に武漢市を閉鎖した。 米国では21日に最初の感染者が出ていたが、トランプ氏は24日のツイッターで「中国は多大の努力をしている。米国は中国の努力と透明性に深く感謝している。すべてうまく行くだろう。米国民を代表し、特に習国家主席に感謝したい」と述べていた。 コロナ問題を対岸の火事視して楽観論を唱えていたトランプ氏は、米国で感染者、死者が激増する事態に直面して狼狽し「中国が隠蔽したからこうなった」「WHOが中国寄りだからだ」などと、責任を中国などに転嫁しようとしている。 中国への損害賠償要求を口にし、WHOから脱退するなど、その言動はマッカーサー元帥が朝鮮での大敗はトルーマン政権の責任と言ったのとよく似ている』、「トランプ」が1月「24日のツイッターで「中国・・・の努力と透明性に深く感謝している・・・習国家主席に感謝したい」、と言っていたとは初めて知った。流動的な情勢のなかでの「ツイッター」の多用は、やはり問題がありそうだ。
・『「政治上の正しさ」と差別感情が交錯する世論  新型コロナウイルスで米国ではすでに約190万人の感染者、約11万人の死者が出て、失業者は4000万人に達する。 この大惨事のさなか、白人警官が黒人を死なせた事件に対する抗議デモが全国に広がり、トランプ氏はそれに対し軍を投入して制圧するような発言で火に油を注いだから、台風と地震が同時に来たような難局に陥った。 ワシントン・ポスト紙が5月31日に発表した世論調査ではトランプ氏支持は43%、民主党の大統領候補のバイデン氏支持は53%。2カ月前の調査では2%の差だったのが10%差になった。 ロイター通信の調査では抗議デモに対するトランプ氏の対応を支持する人は33%、不支持は56%と大差がある。 一方、ニューズ・ウィーク誌が6月3日公表した米調査会社「モーニング・コンサルタント」の調査では、「警察とともに軍隊を動員する」ことに賛成が58%、反対は30%だ。軍の投入について共和党支持者の77%が賛成しているだけでなく、民主党支持者の48%も賛成し、無党派層の52%が賛成だ。 米国の人口の62.2%を占める白人には、「人種差別は良くない」「警察官の扱いは乱暴だ」との“Political Correctness”(政治上の正しさ)の理念と“White Supremacy”(白人至上主義)の潜在的感情が交錯している人々が少なくないようだ。 「建て前」と「本音」の差から生じる「隠れトランプ派」の存在が世論調査にも表れている』、「警察とともに軍隊を動員する」ことへの「賛成」が多く、「隠れトランプ派」が存在感を示しているのには驚かされた。
・『治安への不安あおり「隠れトランプ」の支持狙う  米国では3月に新型コロナウイルス感染者が増加し、死者も出始めると銃弾を買う人が店に殺到し、銃の売り上げは3月だけで約200万丁、とニューヨーク・タイムズ紙は報じた。 米国では私有の銃がすでに3億丁以上、乳幼児まで含めて1人に1丁あるし、銃を持つ人は弾も少しは持っているはずだが、新型コロナ感染症が流行するとさらに銃と弾薬が売れるというのは不可解な現象だ。 米国では「社会の混乱が起きるのでは」と考えられる状況が生じると、すぐに暴動、略奪、強盗などに備えなくては、と銃砲店に向かうほど恐怖感が潜在しているのだろう。 トランプ氏にとっては、治安に対する国民の不安が高まれば、暴徒制圧に尽力する政権に人気が集まり、大統領選を前に「隠れトランプ」が増えることが期待できる。 国民が敵と味方に分裂すれば「岩盤支持層」は一層強化されるから、マティス大将が「トランプ氏は意図的に国民を分断しようと努力してきた」と言うのも一理はある。 トランプ大統領は国内の新たな「敵」を求めて米国の“Antifa”(反ファシズム)と称される集団をテロ組織に指定するとツイッターで述べた。 だがアンティファは本部や全国的組織を持たず、トランプ大統領就任後、勢い付いた右翼集団の人種差別的集会などを妨害しようとする各地の小集団の総称で、全国の一連の抗議行動に参加している者もいる。 時には右翼グループなどと乱闘になることもあるが、法的にも「テロ組織」として取り締まりの対象にはしにくいもののようだ。 一方、白人至上主義を唱える右翼集団が警察を非難する抗議デモに便乗し、略奪や破壊活動をして、「黒人暴動」に対する恐怖感をあおることもある。 6月3日にはラスベガスの抗議デモに火炎ビンを持ってまぎれこみ、暴力行為をあおっていた極右集団「ブーガルー」のメンバー3人がFBI(連邦捜査局)の反テロリスト隊に逮捕された』、「白人至上主義を唱える右翼集団が警察を非難する抗議デモに便乗し、略奪や破壊活動をして、「黒人暴動」に対する恐怖感をあおることもある」、大いにあり得る話だ。
・『銃社会で対立あおる危険な政治スタイル  米国では銃器の入手が容易だから、人種差別復活や反イスラム、反ユダヤなどを唱える右翼集団が戦闘訓練をしているともいわれる。もしそうした集団がデモ隊にまじって、警官隊や州兵に発砲、警官や州兵が応戦すれば人種戦争を誘発することも可能だ。「ブーガルー」は日ごろ自動小銃を携帯して闊歩するようだ。 2017年10月にラスベガスで起きた乱射事件ではホテルの窓から射撃した1人の男が58人を殺し、546人を負傷させたが、彼は23丁の銃を持ち込んでいた。うち12丁は自動小銃を機関銃と同様に連射可能にする市販の部品を買って改造し、1100発以上を発射していた。 米国で2009年からの10年間に起きた過激派による殺人事件の死者427人のうち、極右によるものが73%、イスラム系によるものが23%、極左によるものが3%(中公新書『白人ナショナリズム』渡辺靖著)とされる。 米国では年間約4万人が銃で死に、うち約2万人は自殺、8000人は暴発、誤射などの事故、1万2000人は犯罪の被害者だと報じられる。 こうした国で、銃器規制に反対しつつ、国民の分断、対立をあおるような政治家は実に危険千万な人物と言うしかない』、「米国で2009年からの10年間に起きた過激派による殺人事件の死者427人のうち、極右によるものが73%」、やはり「極右」には問題がありそうだ。「こうした国で、銃器規制に反対しつつ、国民の分断、対立をあおるような政治家は実に危険千万な人物と言うしかない」、同感である。

次に、6月16日付けNewsweek日本版が掲載したカリフォルニア大学アーバイン校法学部教授・国連人権理事会から任命された「表現の自由」に関する特別報告者のデービッド・ケイ氏による「「他国に厳しく自国に甘い」人権軽視大国アメリカよ、今こそ変わるとき」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/06/post-93692_1.php
・『<「Black Lives Matter」をスローガンとする抗議デモが求めるのは、他国の人権侵害にはうるさいが国内の人種差別を放置してきたこの国の「例外」が終わること> アメリカは建国以来、自らを「丘の上の光り輝く町」になぞらえてきた。自由と解放の精神に満ち、他の国の模範となる国という意味合いだ。 アメリカ史に照らせば、全くの神話でしかない。とりわけ今は、それがよく分かる。 黒人を死に至らしめても罪に問われないケースがなくならず、国民生活のあらゆる場面で構造的な人種差別がはびこる現状。「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命を軽んじるな)」をスローガンとするデモ隊を全米で警官隊や州兵が暴力で制圧している事実。どれも、アメリカを特別視するこの神話がいかに空虚であるかを改めて示している。 それでも多くの人が、アメリカは模範的で特別な国家だという「アメリカ例外主義」を受け入れている。「光り輝く町」が神話的な例えにすぎないと考える人々までも、アメリカは人権擁護について世界で積極的な役割を果たしてきたと主張しかねない。 確かにアメリカには、第2次大戦後の世界的な人権制度の樹立に貢献し、人権の尊重を究極の目的とする国連憲章の交渉を主導した実績がある。 1948年に世界人権宣言が起草されたとき、国連人権委員会の委員長を務めていたのは、元ファーストレディーのエレノア・ルーズベルトだった。人権擁護政策は少なくともジミー・カーター政権の頃からアメリカ外交の重要課題とされるようになり、多くの大統領が(一貫性を欠いていたにせよ)その追求に力を注いできた。 それでもアメリカの政策で追求される「人権」とは、あくまで他国民が侵害しているものであり、米政府が国内で守るべきものとして受け取られることはほとんどない。アメリカは他国が少数派を弾圧したりデモ隊に暴力を振るったときには、人権関連の法律を持ち出して非難する。しかし同じ基準が自国に当てはめられると、アメリカはいら立ちをあらわにする』、ダブル・スタンダードの典型だ。「アメリカは建国以来、自らを「丘の上の光り輝く町」になぞらえてきた」、初めて知った。なお、「デービッド・ケイ氏」は日本の言論の自由度が低いと国連に報告している。
・『自国にだけは甘い理由  対外的には美しい言葉を並べ立て、時に指導力を示すことはあっても、アメリカは国内では人権問題を軽視してきた。他国に条約や国際的な責務を守るよう要求していながら、自国では同じことを実行していなかった。 外交政策の柱にするほど人権問題を重視するのに、なぜ米政府は自らにその基準を当てはめないのか。答えは簡単だ。歴史を見れば分かる。米社会に根差す人種差別と白人至上主義が、人権擁護の取り組みを阻んできたのだ。 現代の人権擁護運動が始まった当初、南部の人種隔離主義者とその支持者は、アメリカが国連の人権制度に関与することに反対した。国連の人権機関が権限を持つことで、アメリカの構造的な人種差別を終わらせろと圧力をかけてくることを懸念したのだ。そのためアメリカがいくつかの人権条約を批准すると、連邦上院は法制化の手続きを経ない限り、条約を国内の法廷には適用しないよう要求した。 以後数十年にわたり、アメリカは人権擁護に抵抗してきた。国際的な人権法はいつも曖昧で政治色が強いため、各国政府が一様に施行するのは無理だという主張も聞こえた。 右派に至っては、人権条約はグローバルなエリート層がアメリカの主権侵害を狙ったものだと批判した。2006年に国連で採択された障害者権利条約の批准に、右派が反対した理由もこれだった。 アメリカが他国に厳しく自国に甘いのは、人権法に関してだけではない。国際刑事裁判所(ICC)を設立するための条約(ローマ規程)の批准を渋るのも、国際司法裁判所(ICJ)で国家間の争いに決着をつけることに抵抗するのも、同じ理由からだ。 アメリカでは、人種差別が人権問題に取り組む際の足かせとなった。一方でこの姿勢は、人権問題は「内政問題」だとして外部の介入に抵抗する世界中の暴君を勢いづかせてもきた。 いま全米に広がる抗議デモは、黒人に対する警察の暴力について誠実な対応を要求し、警察活動や教育をはじめとする全ての社会・統治構造での人種差別を終わらせるよう求めている。この訴えを、法律や政策、実務の具体的な変化につなげなくてはならない。 ただし、言葉にするだけでは不十分だ。アメリカの法律と訴訟手段は黒人の命を脅かし、不公正で不正義な社会を生んできた。 現行の制度では虐待が行われても、連邦法ではその多くの責任を事実上追及できない。警察官が市民を殺しても、免責特権で守られる。自警団員が殺人に及んでも、「スタンド・ユア・グラウンド法(正当防衛法)」によって免責される。大統領も弁護士も拷問を承認する国で、国民は罪を省みる必要がなかった』、「アメリカの法律と訴訟手段は黒人の命を脅かし、不公正で不正義な社会を生んできた。 現行の制度では虐待が行われても、連邦法ではその多くの責任を事実上追及できない。警察官が市民を殺しても、免責特権で守られる。自警団員が殺人に及んでも・・・免責される」、「大統領も弁護士も拷問を承認する国で、国民は罪を省みる必要がなかった」、手厳しい批判だ。
・『変化の必要性と可能性  人権法は、人種差別と免責特権を可能にする社会的基盤を解体する上で重要な役割を果たせる。現在のデモは、自国の人権問題を直視し、制度の改革を監視・強化し、市民が享受するあらゆる権利を保護するアメリカの長期的な取り組みにつながるはずだ。 それは差別を受けない権利であり、虐待と無法状態が是正される権利だ。反対意見の表明や表現の自由に関わる権利も、法の適正手続きが認められる権利も、経済的権利を保障される権利も全てを含む。 第1にアメリカは、常設の人権委員会を設置すべきだ。この委員会は人権に関する世界基準を確実に満たすため、あらゆる法律を独立した立場から評価できる。こうした委員会であれば、市、州、連邦レベルで必要な条例や法律の改正に提言し、全米で人権政策とそれに伴う教育を提案・促進できるだろう。 この委員会は、今のデモの後に実施されるべき法改正が確実に行われるよう監視できる。全国規模の委員会は地方レベルで同様の機関のネットワークをつくり、全ての公的機関に人権を守らせることもできるだろう。 多くの民主国家には既に人権機関が設置されているが、権限や実績、独立性の程度はさまざまだ。フランスでは最近、独立機関である全国人権諮問委員会がヘイトスピーチ関連法案について、検閲につながる恐れがあるとして批判したが、議会は可決に踏み切った。あるいはメキシコなどのように、人権侵害に関する訴えを個々に審査・判断する機関も多いはずだ。 第2に米議会は、国際条約を批准したなら、それに対応する国内法の制定を推進すべきだ。特に履行すべきなのは「人種差別撤廃条約」と「市民的および政治的権利に関する国際規約」だ(「拷問等禁止条約」には既に着手している)。これによって国内の裁判所は、条約を基にした訴えを審議できるようになる。市民は警察に権利を侵害されても、国際法に基づいて救済手段を求める権利を手にする。 第3にアメリカは、これまで拒否してきた条約の批准を全て実行すべきだ。特に女性差別に対する権利や、子供、移民、障害者の権利に関する国際条約だ。これらの大半は国内法にも沿っている。批准していないのは怠慢でしかない。 第4に、アメリカ人は市民権と政治的権利については冗舌に語るが、労働や賃金、医療、教育の基本的権利について国内外で共通するビジョンには言葉を濁す。アメリカは「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」も批准し、腐敗や富の集中、国内外の既得権層がもたらす不公平や貧困、非人道的な対応を防ぐ政策を打ち出すべきだ。 最後に、アメリカは人権問題に関与することで初めて、人権に関して本当に世界的な発言権を得られるようになる。ドナルド・トランプ大統領は稚拙な考えによって、国連人権理事会から離脱した。人権について独自の社会基盤を構築するなら人権理事会に復帰し、世界中の人々の人権を擁護する建設的な役割を果たすべきだ。根深い権威主義や、中国などが推進する反人権思想に抗議の声を上げるべきだ。 「ブラック・ライブズ・マター」を叫ぶデモ参加者は、アメリカが「丘の上の光り輝く町」に生まれ変わる必要性と可能性を示している。それは政府が市民のために働く国であり、法に反して人の命を踏みにじった者には相応の責任を負わせる国であり、人種差別を根絶して平等を促進する国だ。そのためには、アメリカの人権政策に内在していた差別的要素を取り除くことに取り組むべきだろう。 これらを実現するには法と政策を変えなくてはならない。その動きは、人権が支え、維持してくれる』、「アメリカ」の「人権問題」の根深さを一応理解できた気がする。

第三に、6月19日付けJBPressが掲載した在米ジャーナリストの高濱 賛氏による「トランプ再選にとどめ刺せなかったボルトン暴露本 「何をいまさら」「カネ儲けか」と米国民は冷ややか」を紹介しよう。(注や英文は省略)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60979
・『「再選のため大豆、小麦を買ってくれ」  6月23日に発売予定だったジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)のドナルド・トランプ政権暴露本の内容が17日、事前に漏れた。 ボルトン氏は、本の中で、トランプ大統領が中国の習近平国家主席に2020年秋の大統領選で再選できるように援護してくれるように要請していた新事実を明らかにした。 具体的には米国の農民が生産する大豆や小麦をもっと買ってくれというものだ。農民票は再選には極めて重要だと習近平氏に切々と説いていた。 トランプ氏が習近平主席に頼み込んだ時期は、2019年6月20日。 場所は日本国内の大阪のホテル。主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)の会場、インテックス大阪(大阪国際見本市会場)だった。 ボルトン氏はこの会談に同席していた。その模様を生々しく記している。 「習近平主席は、トランプ大統領に向かってこう切り出した。『米国内には中国との新たな冷戦を始めようとする政治家たちがいる』」 「トランプ氏は即座に習近平氏が民主党の連中を指していると感じ取った」 「トランプ氏は習近平氏の発言に同意するかのように、民主党の中には中国に対して戦闘意識を抱いている者がいると応じた」 「そしてトランプ氏は、話題を2020年の大統領選に変えて、中国の経済力が2020年の米大統領選にいかに影響を及ぼすかをほのめかしながら、自分が選挙で勝つことを確かなものにできるように援護してほしいと述べた」 「トランプ氏は(大統領選に勝つには)農民票が極めて重要だ。もし中国が米国産の大豆や小麦をもっと買ってくれれば、自分の選挙には大いに助かると強調した」 (これに対して習近平主席が何と答えたかについての記述はない。また、その見返りにトランプ氏が習近平氏に何をするかについての記述もない)) 当時の報道によると、トランプ氏は新たに準備した3000億ドル分の追加関税「第4弾」の発動や中国通信大手「ファーウェイ」への輸出制限の緩和などをカードに知的財産権侵害などのアジェンダで習近平主席に譲歩を迫ったとされる。 これに対して習近平主席は、鉱物資源レアアースの輸出管理強化を交渉材料にすべての追加関税の取り消しを求めたとされる。 だが、ボルトン氏によれば、差しの会談ではトランプ氏は終始一貫、再選のことしか頭になく、米国憲法違反の疑いを持たれるような外国首脳への選挙応援を習近平氏にまで働きかけていたのだ。 その手法は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に政敵ジョー・バイデン前副大統領の息子のウクライナでの経済活動について捜査するよう要請した一件とあまりにも似通った話ではある』、依頼したのが「2019年6月20日、場所は日本国内の大阪のホテル・・・G20サミットの会場」、だったとは、米中貿易戦争が本格化する前のようだ。「差しの会談ではトランプ氏は終始一貫、再選のことしか頭になく、米国憲法違反の疑いを持たれるような外国首脳への選挙応援を習近平氏にまで働きかけていた」、いかにも「トランプ」らしいやり方だ。
・『日本といえば「真珠湾」のトランプ氏  ボルトン本について6月18日夜のCNNなどは大々的に報じている。だがこれがトランプ氏の再選の可能性にとどめを刺したかと断定するには至っていない。 新型コロナウイルス禍への対応をはじめ白人警官による黒人男性殺害事件を発端に燃え上がった「ブラック・ライブズ・マター」(黒人の命も大切だ)抗議デモや警察改革などでももたつきが目立つ。 支持率でもジョー・バイデン前副大統領に大きく水をあけられている。 こうしたもろもろのネガティブ要因でトランプ再選にはすでに赤信号が点滅し始めている。 そこにボルトン爆弾が炸裂した。ネガティブ要因がまた一つ増えたには違いないのだが、ボルトン爆弾一発で再選が吹っ飛んだというわけではなさそうだ。 ボルトン本に出てくるのは、むろんトランプ氏と習近平氏とのやりとりだけではない。日本に関する記述もある。 2018年、フロリダ州のトランプ氏の別荘、マー・ア・ラゴで行われた日米首脳会談の時のことのようだ。 「少人数での会合の冒頭、両国の政府高官が日米同盟や貿易について非公式なやりとりをしていた時のことだ。すでにトランプ氏は着席していた」 「米高官の一人が日本ほど重要な同盟国は西太平洋にはないと大統領に話かけるや、トランプ氏は苛立ちを露わにし、旧日本軍による真珠湾攻撃の話をし出した」 「遅れて安倍晋三首相がやって来るや、トランプ氏は話すのをやめた」 安倍首相との親密な関係を謳歌するかのように振舞ってきたトランプ氏だが、日本といえば直ちに「真珠湾奇襲」を連想する思考回路はそう簡単には治りそうにない。一生変わらないのではないだろうか』、「安倍首相との親密な関係を謳歌するかのように振舞ってきたトランプ氏だが、日本といえば直ちに「真珠湾奇襲」を連想する思考回路はそう簡単には治りそうにない」、日本に対する根強い不信感が根底にあるとは興味深い。
・『ボルトン氏が明かすトランプ大統領の言動は以下のようなものだった。 一、トランプ氏は米中間の懸案となっていた通信機器大手「ファーウェイ」(華為)をめぐる安全保障上の重要性については軽視していた。ただ「ファーウェイ」問題を米中貿易交渉での一つの取引材料として考えていたに過ぎない。 一、トランプ氏は習近平氏に面と向かって「あなたは300年の歴史の中で最も偉大な中国指導者だ」と褒めた。トランプ氏は権威主義的な指導者が好きだった。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がお気に入りの一人だった。 一、トランプ氏は香港の民主化運動や中国政府のウイグル族抑圧政策などについては「関わりたくない」と側近に言っていた。「米国にも人権問題はある」というのがその理由だった。 一、トランプ氏は米中、米台関係については「これは中国」「これは台湾」と使い分ければ問題はないという考えだった。まさに「抜け目のない詐欺師」(Sharpies)だった。 一、トランプ氏が在任中に下す決定のうち、大統領選での再選と無関係な事案を探すのは極めて難しい。 一、トランプ氏の外交的無知さには驚かざる得なかった。トランプ氏は英国が核武装国だとは知らなかったし、フィンランドはロシアの一部だと信じていた。 一、大阪での米中首脳会談ではウイグル族問題が出たが、習近平氏が反政府的動きをするウイグル族を収容する施設を建設中であることを説明した。これに対しトランプ氏は「収容所建設は続けるべきだ。あなたのやっていることは正しい」と指摘した、2017年の訪中の際にも同趣旨の発言をしていたことと大統領側近から聞いている』、「習近平氏に面と向かって「あなたは300年の歴史の中で最も偉大な中国指導者だ」と褒めた。トランプ氏は権威主義的な指導者が好きだった」、「トランプ氏は英国が核武装国だとは知らなかったし、フィンランドはロシアの一部だと信じていた」、などは特に面白い。
・『証言を避けたボルトンは愛国者にあらず  米メディア、世論の反応は複雑だ。 よくぞ思い切って内幕を暴露したとボルトン氏を評価する向きもあれば、カネ儲け目当て(印税は300万ドルと言われている)の「いかさま右翼」と手厳しい批判をする向きもある。 いずれにしても「証文の出し遅れ」に世間の目は厳しい。 「トランプ氏は再選のためには国益も何も考えない。外交でも国家安全保障よりも自分の私利私欲を優先している」 ボルトン氏が声を荒げても、米国民の大半はそれほど驚いてはいない。 トランプ氏はそういう大統領だと先刻承知なのだ。それを批判することすらあきらめ気味になっている。 トランプ氏が公私の分別がつかないことも、米国憲法の精神などについて全く頓着していないことも、耳にタコができるほど聞かされてきたからだ。 暴露本ということで、ボルトン氏は本の中でトランプ氏の無知無能ぶりに開いた口が塞がらないことをそれとなく書いている。 だが、トランプ氏が正常でないことはこれまで、側で仕えてきたレックス・テラーソン元国務長官、ジョン・ケリー元首席補佐官、元顧問弁護士のジョン・ダウド氏が異口同音に言っていることは、これまでに出た内幕本に出ている。 元政府高官たちは「どうしようもない軽愚者」(Fucking moron)、「酷い嘘つき」(Fucking liar)、「まぬけ」(Idiot)と言いたい放題だった。 この点についても米国民の大半は聞き飽きている。トランプ大統領が自らを「非常に安定した天才」(A Very Stable Genius)と自画自賛しているのをせせら笑っている。 自分の国の政治情勢を踏み台にしてまで自分の再選を考え、再選のためならたとえ相手が独裁政権であろうと、取引(ディール)しようとするトランプ氏。 そうした政治に対しては米国は一度、罰そうとした。米議会でのロシアゲート疑惑、ウクライナゲート疑惑追及だった。 民主党は下院は弾劾にまで追い込み、共和党が多数を占める上院で挫折した。 その民主党がボルトン氏が明かした新たな中国疑惑を材料にことを構えるのか――。 党内にはボルトン氏を議会に呼んで証言を求めるべきだとの声も出ているが、どうも勢いがない。大統領選(そして上下両院議員選)を5か月後に控え、各議員ともそれどころではないというのが実情だ。 下院情報委員会の委員長としてトランプ氏を弾劾にまで追い込んだアダム・シェフ下院議員(民主、カリフォルリア州選出)はボルトン氏について一言。 「ボルトン氏は立派な作家かもしれないが、愛国者ではない」 同委員会がさんざんボルトン氏を証人として召喚したが、トランプ大統領の「拒否権」の前にボルトン証言は実現しなかった。 同氏は上院での証言は受諾したが、共和党が証言をブロックした) シェフ氏としては、「何をいまさら」といった心境だろう。 一方、共和党はどうか。議会における「最強のトランプ弁護人」と言われているジム・ジョーダン下院議員(オハイオ州選出)はボルトン氏についてこう批判した。 「あの男は元々腹に一物ある人物。常に自分の利己的な目的を抱いてきた」 トランプ氏再選委員会の顧問を務めるジェイソン・ミラー氏はボルトン氏を一刀両断にした。 「ボルトン氏は本をできるだけ多く売ることしか考えていない。外交に精通した保守派の重鎮とか言われているが、国家安全保障よりも本を売ることにしか興味がないようだ」』、「シェフ氏としては、「何をいまさら」といった心境だろう」、しかし、下院の委員会に呼ぶ価値は依然としてあるのではなかろうか。
・『7月のメアリー・トランプ暴露本に要注意  トランプ・習近平関係について北京の米大使館に勤務したこともある元外交官のD氏は、筆者がコメントを求めると、こうメールしてきた。 「トランプのクールエイド(飲料水)を飲まない者(トランプ氏はクールエイドを愛飲している。そこからトランプ氏を骨の髄まで支持するハードコアではない米国民を指す)は一切関心を示さないと思う」 「ここに出てくる新事実とやらも米国民の大半は知っているからだ」 「一つだけ言えることはトランプという人物は言っていることとやっていることが一致しないこと。ついさっきまで言っていたことを180度転換しても平気だということ」 「日本の安倍晋三首相はトランプ氏に最も近い指導者とされているらしいが、ボルトン本を読んでトランプがどんな男が少し学んだ方がいいと思う。もっとも、こんなことは百も承知で面従腹背に徹しているのかもしれないが・・・」 「いずれにせよ、トランプ氏とボルトン氏には共通項がある。2人とも自分が誰よりも頭が良くて、強くて、断固とした決定ができると錯覚していることだ」 ボルトン本が再選に与える影響力について数人の識者に聞いてみた。 答えは「あまりない」だった。 「すでにトランプ再選が危ぶまれているネガティブ要因がありすぎる。今頃出たボルトン本にそれほどインパクトがあるとは思えない」というのがその理由だ。 大学で政治学を教えるB氏はさらに続けてこう答えてくれた。 「ボルトン本よりももっとインパクトがあるのは、7月に出るトランプ大統領の姪っ子、メアリー・トランプさんの暴露本ではないか」 この本については別稿でご紹介する』、「心理学者のメアリー・トランプさんが来月、大統領と過ごした過去や家族関係の内幕をつまびらかにする暴露本を出版」(テレ東NEWS)、「心理学者」による私生活の暴露とは、「インパクト」がありそうだ。記事になり次第、紹介したい。
・なお、本日付けのロイターは、「ボルトン氏暴露本、抜粋報道受け差し止めは「後の祭り」と米判事」として、連邦地裁の判事が、公聴会で、著書の抜粋がメディアに掲載されたことなどを受け、「後の祭りだ」と指摘したようだ。
タグ:7月のメアリー・トランプ暴露本に要注意 証言を避けたボルトンは愛国者にあらず トランプ氏は英国が核武装国だとは知らなかったし、フィンランドはロシアの一部だと信じていた トランプ氏は香港の民主化運動や中国政府のウイグル族抑圧政策などについては「関わりたくない」と側近に言っていた。「米国にも人権問題はある」というのがその理由だった トランプ氏は権威主義的な指導者が好きだった 「ファーウェイ」問題を米中貿易交渉での一つの取引材料として考えていたに過ぎない ボルトン氏が明かすトランプ大統領の言動 日本といえば「真珠湾」のトランプ氏 差しの会談ではトランプ氏は終始一貫、再選のことしか頭になく、米国憲法違反の疑いを持たれるような外国首脳への選挙応援を習近平氏にまで働きかけていた 2019年6月20日。 場所は日本国内の大阪のホテル。主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)の会場 「再選のため大豆、小麦を買ってくれ」 「トランプ再選にとどめ刺せなかったボルトン暴露本 「何をいまさら」「カネ儲けか」と米国民は冷ややか」 高濱 賛 JBPRESS 変化の必要性と可能性 大統領も弁護士も拷問を承認する国で、国民は罪を省みる必要がなかった アメリカの法律と訴訟手段は黒人の命を脅かし、不公正で不正義な社会を生んできた。 現行の制度では虐待が行われても、連邦法ではその多くの責任を事実上追及できない。警察官が市民を殺しても、免責特権で守られる 自国にだけは甘い理由 アメリカには、第2次大戦後の世界的な人権制度の樹立に貢献し、人権の尊重を究極の目的とする国連憲章の交渉を主導した実績 全くの神話 アメリカは建国以来、自らを「丘の上の光り輝く町」になぞらえてきた Black Lives Matter」をスローガンとする抗議デモが求めるのは、他国の人権侵害にはうるさいが国内の人種差別を放置してきたこの国の「例外」が終わること 「「他国に厳しく自国に甘い」人権軽視大国アメリカよ、今こそ変わるとき」 デービッド・ケイ Newsweek日本版 2009年からの10年間に起きた過激派による殺人事件の死者427人のうち、極右によるものが73%、イスラム系によるものが23%、極左によるものが3% 銃社会で対立あおる危険な政治スタイル 白人至上主義を唱える右翼集団が警察を非難する抗議デモに便乗し、略奪や破壊活動をして、「黒人暴動」に対する恐怖感をあおることもある 治安への不安あおり「隠れトランプ」の支持狙う 隠れトランプ派 「警察とともに軍隊を動員する」ことに賛成が58%、反対は30% 「政治上の正しさ」と差別感情が交錯する世論 トランプ氏は24日のツイッターで「中国は多大の努力をしている。米国は中国の努力と透明性に深く感謝している。すべてうまく行くだろう。米国民を代表し、特に習国家主席に感謝したい コロナでの初動の失敗 中国、WHOを「敵」に 政治家が国民感情に迎合して強硬な対外姿勢で人気を得ようとし、優秀な将軍が戦争に慎重だったという例も少なくない 軍人の暴走を防ぐ効果がある場合もあるが シビリアン・コントロール 軍人の方が政治家より慎重だった例も多い 自分の状況判断の誤りによる責任を政府に転嫁しようとして、1951年4月に解任された マッカーサーは 参謀総長の後釜に座ることを次々と拒否し、戦争中に陸軍のトップが2カ月不在という異常事態が生じた 後任に擬された将軍たちは 米陸軍参謀総長エリック・シンセキ大将 正論を述べて退役させられた イラク戦争の長期化 警鐘鳴らしたシンセキ大将 「抗議制圧に軍を使うのは支持しない」エスパー国防長官も一線画す マティス大将の痛烈批判「団結させようとしない初めての大統領」 「黒人抗議デモに「軍の出動」、分断煽るトランプ再選戦略のあまりの危険」 田岡俊次 ダイヤモンド・オンライン (その46)(黒人抗議デモに「軍の出動」 分断煽るトランプ再選戦略のあまりの危険、「他国に厳しく自国に甘い」人権軽視大国アメリカよ 今こそ変わるとき、トランプ再選にとどめ刺せなかったボルトン暴露本 「何をいまさら」「カネ儲けか」と米国民は冷ややか) トランプ大統領
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