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教育(その20)(大学閉鎖で苦しむ貧困学生を絶対に辞めさせるな、公立校とインター校「ネット教育格差」の背景 「教える」に対する取り組みがまず違った、多忙で孤立「壊れる教員たち」の過酷すぎる現実 若手が上司に相談できず1人ですべて抱え込む) [社会]

教育については、3月30日に取上げた。今日は、(その20)(大学閉鎖で苦しむ貧困学生を絶対に辞めさせるな、公立校とインター校「ネット教育格差」の背景 「教える」に対する取り組みがまず違った、多忙で孤立「壊れる教員たち」の過酷すぎる現実 若手が上司に相談できず1人ですべて抱え込む)である。

先ずは、6月2日付け日経ビジネスオンラインが掲載した健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏による「大学閉鎖で苦しむ貧困学生を絶対に辞めさせるな」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00076/?P=1
・『水曜日の夜(27日)、テレビを見ながら思わず「ダメダメ、それ食べちゃダメよ!!」と、まるでお節介ババアのように叫んでしまった。 画面に映し出されていたのは、はにかんだ笑顔で、鬼のように芽が出たじゃがいもを手に取る女子大学生。彼女はその数十秒前に、「こうやってしょうゆ漬けにすると、長持ちするんで」と、生活費節約のためにそのへんに生えていた野草を採ってきて食べていると話していた。 なので、「ま、まさか、この段ボール箱の中に積み上がった芽が出まくったじゃがいもを、食べちゃったりしないよね??」と、心配になってしまったのだ。 実はこれ、某報道番組で流れた“困窮する学生”のミニ特集。学生は国立大に通う4年生だ。 女子大学生は友人3人とアパートに同居し、家賃なども含めた月の生活費5万円はクリニックの受付のバイトで稼いできた。ところが、クリニックが休業し、収入が途絶え、生活は困窮する。 「とにかく、もうお金もないし、すごく恐怖心があって、怖くて怖くて。不安を通り越して恐怖だった」という。 とまぁ、ここまでならあちこちのメディアで報じられている「生活に困る学生」となんら変わりはないのだが、この番組は「学生の本分」、すなわち「学び」の日常がコロナ禍で制限されたことまで取材していて、かなり共感した。 大学がコロナの感染拡大防止で閉鎖されたため、授業はオンラインで行われていた。論文などもある程度は、無料でネットで見ることができる。だが、専門書は無理。一冊4000?5000円するので、買いたくてもすぐ手を出せる値段ではない。 それまでは大学などの図書館で借りていたけど、大学も図書館も閉鎖しているのでどうすることもできないリアルが、彼女を追いつめる。 「学生で、アルバイトやって生活するというのが、こんなに弱いというか、低い立場なんだなとすごく痛感しました」(by 女子大学生) 生活と学びの両方が急変し、“社会の自分の位置”を思い知らされてしまったのだという。 ……そう。学生は弱い。困窮する学生は弱い。ブラックアルバイト、なんて言葉も使われたけど、世間が冷笑する「たかがバイト」が命綱で、それまで「自分の努力次第」と思っていた勉強まで制限されてしまうのだ』、確かに「アルバイト」先の「休業」で生活に困窮する「学生」は多い筈だ。
・『大学での学びにはお金がかかる  個人的な話になるが、私も大学院で痛感したのは、「お金がないと学問はできない」ということだった。まず学費が高い。特に、理系は高い。専門書も高い。特に医学書や洋書は高い。1万円を超えるなんてざらだったし、どうしても手元に置いておきたい本以外は、学内の図書館で借りて過ごした。 論文も大学からは無料でアクセスできるが、家からだとお金がかかる。特に、海外の原著論文は専用のサイトからじゃないと入手できない。教員になると大学のIDで入れるけど、学生はダメ(大学によると思うが)。 しかも、どんなにネットで見られる論文でも、プリントアウトが必要になる。テクニカルタームや分からない単語の意味を調べ、書き込んだりすることもあれば、研究の進捗次第で同じ論文でも読み返すと「お! ここだ!」というポイントも変わるので、手元に置いておきたい。 たかが、印刷。されど印刷。学内なら無料で済む印刷代が、学外だと結構な金額になってしまうのだ。 既に独立して生計を立てていた私でさえ、学問にかかるお金に悲鳴を上げていたのだから、自活する学生が耐えられるわけがない。 今回の新型コロナに関わる経済支援策の一環で学生への支援が決まったときに、「どうせ遊びに消えるだけだろ」などと辛辣なことを言う人たちがいたけど、生活に困っている学生ほど真面目に勉強しているものだ。 中には、「こういう時は、まずは親が助けるべきなんじゃないの?」という意見もあるが、それができないから困る。困窮する学生の多くは親も切り詰めた生活をしていて、仕送りもない。むしろ学生の方がアルバイトした金を、親に仕送りをしているケースもあるほどだ。 「でも、そもそも経済的な問題で大学進学を諦めた人たちだって多いんだからさ」と、厳しい見方もあるが、だからこそ彼らを救う意義がある。 件の女子大生の通っていた筑波大学の永田恭介学長は、「退学者を1人も出したら駄目。今回は経済的に困窮に陥って退学を考えている学生さんが多いので、それは絶対にあってはならない」と強調した。 そうなのだ。経済的な問題がある中で、がんばって進学した学生だからこそ「生活苦」を理由に辞めさせてはいけないのだ。 もっとも、毎度書いていているとおり、「学生の貧困問題」も、コロナ禍で突然湧いて出た問題ではない。というわけで、今回は「苦しい学生を助けなきゃいけない訳」について、あれこれ考えてみようと思う』、河合氏の掘り下げ方が楽しみだ。
・『2人に1人が奨学金を利用している  そもそも学生の貧しさが社会問題として、広く知られるようになったのは「奨学金の滞納問題」だった。 1990年代は2割程度だった奨学金利用は、親の収入低下と入学金や授業料の高額化により、2000年代に入り急増した。2010年には全学生の5割を突破。実に、学生の2人に1人が奨学金で通っていたところに、リーマン・ショックによる就職状況の悪化で、借りたお金を返せない人が急増した。 2012年度から年収300万円以下の場合、期限なく返還猶予を受けられる「出世払い奨学金」が導入されたが、返還を再開しても、まずは延滞金の支払いに充てられるため元本を減らすのが難しく、滞納が続くと個人信用情報機関に登録され、カードやローンの利用が制限されるケースが続発してしまったのだ。 日本学生支援機構が行った「平成24年度奨学金の延滞者に関する属性調査」では、奨学金を返還する義務を負っている人は約322万9000人、うち3カ月以上延滞している人は19万4153人。3カ月以上延滞している人のうち、「無職・失業中または休職中」が18.2%、「非常勤の労働者」が15.1%。また、年収「300万円未満」は83%、「200万円未満」に区切ると63%にも上ることが分かった。 つまり、行きはよいよい帰りは怖い。卒業と同時に「借金地獄」に陥る学生が量産されていたのだ。 そこで「貸与型ではなく、給付型奨学金を!」という声が高まりをみせ、給付型の奨学金を実行するには380億円の予算が必要と試算された(約6万3千人対象)。 ところが、文科省の「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」の有識者会議のメンバーから、「防衛省などに頼み、1年とか2年とかインターンシップをやってもらえば就職状況は良くなる。防衛省は考えてもいいと言っている」などという耳を疑うような意見が出るなど、給付型に反対する意見は根強かった。 あくまでも個人的な推測にすぎないけど、反対意見の多くは生活保護世帯の「世帯分離」と同じで、「稼働能力の活用」の解釈によるものだと理解している。高校までは生活保護の対象だが、大学などに進学すると生活保護から外され、世帯収入は減額になる。 つまり、生活保護世帯の大学進学は認められておらず、ものすごくざっくばらんに言うと、「高校進学は将来の自立に役立つけど、大学とか行かなくても別にいいんじゃね?」的考えを、国は持っているのだ。 いずれにせよ、財務省も「380億円の財源の確保は難しい。将来的に、創設に向けての検討は進めていく」と給付型奨学金制度は見送られることになった。ちなみに、当時、国公立大学進学率は、1050万円以上の高所得層では20.4%であるのに対し、400万円以下の低所得層はわずか7.4%だった』、「防衛省」への「インターンシップ」案を出した「有識者会議のメンバー」は、どう考えても「有識者」には値しないようだ。
・『大学進学が貧困を加速するケースも  が、そのすったもんだがあった2年後、再び、「困窮する学生」に注目が集まり、給付型の議論が再燃する。 大阪府堺市のケースワーカーたちが「生活保護世帯の大学生たちを、自分たちはケースワーカーとしてフォローできているのだろうか」との思いから大学生の実態調査に乗り出し、その結果が波紋を広げたのだ。 1年にわたる調査で明らかにされたのは、「生活保護世帯の子供が、大学などへの進学という選択をすると、新たな貧困が生み出されている」という、貧困のネガティブスパイラルだった。 生活保護世帯の大学生等は、86.6%が支援機構の奨学金を利用しており、借入額も大きかった。特に4年制大学に進学した学生の借入額が大きく、4年間で400万円以上を借り入れていたのだ。 しかも、生活保護世帯の大学生等の65.9%は、授業期間中に週3日以上のアルバイトをしていることも分かった。同居している家族の生活保護費は、大学等に進学した本人の分だけ減額されている。だから、本人が働いて自らの生活を支え、さらに自らの学業を支えなくてはならなかった。 この調査結果は国会でも取り上げられ、国も生活保護世帯の調査に乗り出すことになる。その結果、一般世帯では8割が大学等に進学しているのに対し、生活保護世帯では3割という、明確な教育格差が浮き彫りになる。 また、世帯分離による生活扶助費が減額になったことで、出身家庭では食費や衣類の購入や、遊興や趣味の費用を減らしていた一方で、世帯分離した子供は、経済的理由で病院に行けなかったり、生活費として平均2.5万円を家計に入れたりしていることも分かった。 つまり、学生が親に仕送りをしていたのだ。 さらに、奨学金の年間受給額は、一般世帯の学生が35.5万に対し、生活保護世帯の学生は、107.7万円。バイトの稼ぎも、一般世帯の自宅生が年間39.9万円なのに対し、生活保護世帯の学生では63.7万円。大学にかかる金は一般も生活保護世帯も変わらないので、いかに生活保護世帯の学生の負担が大きいかが分かる。 おそらくこういった調査結果が財務省の背中を押したのだろう。2018年にやっと国の予算で行う返済不要の奨学金「給付型奨学金」はスタートした(一部は2017年からスタート)。しかし、生活保護対象家庭に対する「世帯分離」の解消は見送られた。 以前、私が教えていた学生の1人から、こんなメールを届いたことがあった。 「僕、本当は今期で大学を辞めようと決心していました。僕の両親は必死で働いているのに貧しい。だから、辞めて、働こうと思っていました。ところが先日、実家に帰ったら、親は僕が大学に行っていることを、自慢しているのを知りました。前の僕だったら、そんな親を軽蔑したと思う。でも、今はちょっとだけ親孝行できたかなって思えます。 最後の講義で先生が、傘を貸してもらったときの話をしてくれたでしょ? あれを聞いて、辞めるのやめることにした(笑)。父は中卒で、大学を出なきゃ駄目だっていうのが口癖だったんです。 先生が『傘を差し出してもらった人に唯一できることは、途中で放り出さないこと』って言ったでしょ? だから、僕が今やるべきなのは退学じゃなく、目の前のことをちゃんとちゃんとやって(これも先生が教えてくれたこと)、大学をちゃんと出て、自立することだと考えるようになったからです。それが傘を貸してくれた親に対して、僕が唯一できることだと今は考えています」』、「奨学金の年間受給額は、一般世帯の学生が35.5万に対し、生活保護世帯の学生は、107.7万円」、「生活保護世帯の学生は」就職後の返済負担もかなり重いようだ。「私が教えていた学生の1人から」の退学を思い留まったとの感謝の「メール」、さすが河合氏は講義でもいいことを言うものだと、改めて感心した。
・『大学生の新たな支援策が始動  件の国の調査でも、経済状況を理由に大学を中退したり、進学を諦めたりするケースが多かった。しかし、高校1・2年生のときから、学校の先生や職員が、友人や先輩後輩と交流する機会を作り、進学を考える機会を提供することで、子供自身が大学等の進学を見据えて「大学で学びたい」と意欲を強めることが分かっている。 だから、「退学者を1人も出したら駄目。今回は経済的に困窮に陥って退学を考えている学生さんが多いので、それは絶対にあってはならない」(永田筑波大学長)のだ。 厳しいことを覚悟したうえで、大学に進学したのだから、彼らへの支援をさまざまなかたちで実現すべきだと思う。実際、大学も新たな奨学金を創設したり、食事を配ったり、独自にクラウドファンディングなどを利用し、困窮する学生を支えるプロジェクトも進められている。 国も頑張っている。学生に新しい「場」を提供することを決定したのだ。 休校していた学校の再開にあたり、学習の遅れを取り戻すために公立小中学校に教員3100人、夏休みや放課後の補習などにあたる学習指導員6万1200人、スクール・サポートスタッフ2万600人を6月上旬にも配置。そのサポート・スタッフに、コロナ禍でアルバイト先を失った大学生らを主に想定しているというのだ。1校に1人。時給は1000円。 「弱い立場」だと痛感させられてしまった学生も、「誰かの役に立つ仕事」に関われば自信が付くにちがいない。子供たちは大学生のお兄さんやお姉さんが大好き。私も教育実習を経験した身なので実感するが、中学生たちと1カ月過ごした経験はかけがえのない思い出になっている。 その場しのぎの政策が多い中で、今回のことをきっかけに、学生の進学格差を是正する議論が進むことを願う』、「スクール・サポートスタッフ」は、確かに珍しくいい施策だ。「「弱い立場」だと痛感させられてしまった学生も、「誰かの役に立つ仕事」に関われば自信が付く」、これを機に大いに活躍してほしいものだ。

次に、6月14日付け東洋経済オンラインが掲載したレノボ・ジャパン社長 のデビット・ベネット氏による「公立校とインター校「ネット教育格差」の背景 「教える」に対する取り組みがまず違った」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/356424
・『皆さんこんにちは。新型コロナウイルスの影響、ようやく東京都でも緊急事態宣言が解除されましたが、まだまだ予断を許さない状況が続いていますね。少しずつ日常が取り戻されつつありますが、今回のパンデミックはわれわれにいろいろな教訓を与えてくれています。学校の長期休校に伴うリモート学習の難しさもその1つでしょう。 2月末に学校の一斉休校が要請され、以来全国的に学校はほぼ閉鎖された状況になりました。以来、学校単位、あるいは先生個人の努力によって、少しでも子どもたちに学びの機会を提供しようという努力が続いていますが、4月21日の文科省の発表によるとオンライン授業を行っている公立校は全国でわずか5%と、少々驚きの数字でした』、「オンライン授業を行っている公立校は全国でわずか5%」、想像以上に少ないことに私も驚かされた。
・『休校3日目からリモート授業開始  私は現在3人の子どもがいて、私の仕事の関係で2018年までシンガポールなど海外に住んでいた関係で、3人とも現在都内のインターナショナルスクールに通っています。そこで今回は、現在の状況下で、インターナショナルスクールではリモート学習がどうなっているのかお話してみたいと思います。 私の子どもが通うインターナショナルスクールも、ほかの公立校などと同じように2月末から休校になりました。ただし、休校になったのは最初の2日間だけです。その2日も、リモート学習の準備をするための休校であり、3日目にはすでにリモートで授業を再開していました。 と、言っても実は最初のころはおよそ「授業」と言えるものではなく、単に課題がPDFで送られてきただけでした。 驚くべきはそこからの柔軟性で、翌日には先生からのビデオとPDFが提供され、ビデオを見てPDFの課題をこなす、というスタイルになっていました。さらに翌週になると、PowerSchoolやseesaw classroomといった汎用的なオンライン教材を使って「授業」が再開されました。 私の会社レノボでは、自身がIT企業ということもあり、テレワークの実施率は連日90%以上になっていました。つまり3月以降は、家族全員が毎日家にいながら親は仕事、子どもは勉強という環境が実現していたのです。こうした環境にあったので、4月21日段階で日本全国のオンライン授業が5%という数字に驚いたわけです。 なぜインターナショナルスクールではこのような素早い取り組みができたのでしょうか。フェアな見方をすると、まず組織が小さいので意思決定が単純ということはあります。次に海外の学校ではコロナ以前からオンライン授業がかなり広まっていて、PowerSchoolやseesaw classroomのような教材をつかった授業や評価方法など確立したものがあるので、先生たちの参考になる事例が豊富だったこともあると思います。 日ごろからの授業のスタイルの違いも理由の1つになっているのではないかと思います。私は香川県の琴平町で文部科学省の国際交流員(CIR)として教育委員会に勤めていた経験があり、この経験とインターナショナルスクールに子どもを通わせる親として、海外流と日本流両方の学校のスタイルを見ています』、この問題を語るにふさわしいようだ。
・『teachingはせいぜい小学校まで  日本語で言う「教える」を英語で言うと何でしょうか。teachingでしょうか。teachingというと教科書を読んでその内容を覚えさせる、というまさに「教える」です。 しかしteachingというスタイルが主流なのはせいぜい小学校までで、中学からは「guidance」と言ったほうがいいでしょう。グループワークが多く、その中で互いにクリティカルシンキング(批判的思考)などを身につけさせます。 この中学生以降の「教える」の概念が日本とかなり違うところで、生徒は先生に反論することを奨励されます。先生の説明に対し懐疑的な目を持ち、反論を試みる。当然そのためには問題の本質について考える必要があり、先生が困るような質問はいい質問というわけです。以前このコラムで説明した「Good Question」の原点はここにあるといってもよいでしょう。 高校になると、生徒はしっかり自分で考える習慣ができていますので、先生の役割はteacherというよりはtutor(個人教師)というイメージで、生徒の個別の質問に回答する形になり、自発的にどこまで勉強するかは生徒の責任と考えます。 このように、「教える」というニュアンスはいくつもの英語をカバーしています。英語と日本語の意味がカバーする範囲の違いはそのまま考え方の違いが反映されている場合が多くあります(このコラムが実は「日本語と英語のギャップ」をテーマにした連載であることを忘れてはいけません)。 このようにインターナショナルスクールは、「教える」スタイルがまったく違う学校なので、PDFのテキストをメールで送って「自習」してください、だけだとまったく何も教育できていない、ということになります。そもそもインターネットでなんでも情報が手に入る時代、学校とは対話的に生徒同士、あるいは先生と話す場所という意識が強いので、オンラインはなにがなんでもやらなければならないものだったのだと思います。 一方、日本の文科省は5月12日に行ったYouTube配信で、新型コロナ休校でオンライン授業が進まない現状に対し、各自治体に向けたメッセージとして「既存のルールにとらわれず、臨機応変に。ルールを守ることが目的ではない」や「現場の教職員の取り組みをつぶさない」という危機感を露わにしたメッセージを発信しました。こういってはなんですがお役所の方の発言とは思えない柔軟なトーンです。オンライン授業推進のメッセージの先には、新しい学校の形への意欲があると期待したいです』、「中学生以降の「教える」の概念が日本とかなり違うところで、生徒は先生に反論することを奨励されます。先生の説明に対し懐疑的な目を持ち、反論を試みる。当然そのためには問題の本質について考える必要があり、先生が困るような質問はいい質問というわけです」、私も強く同意するが、そのためには日本の教育システムの抜本的見直しが必要だ。「日本の文科省は5月12日に行ったYouTube配信で・・・危機感を露わにしたメッセージを発信」、一歩前進ではあるが、担当者どまりなのだろう。「オンライン授業」だけでなく、授業全般の見直しも期待したい。
・『授業のオンライン化どう生かす?  「ポストコロナ時代のニューノーマル」。最近よく耳にする言葉ですが、コロナ以前から日本においても、丸暗記のような学習スタイルを見直す動きは活発になっているので、せっかく動き始めた新しい学び方、新しい教え方は継続して議論すべきと思います。 授業のオンライン化をどう生かすのか。例えば生徒はいつでもパソコンという「計算機」を手にしているわけで、おそらくこの先も計算機(電卓)機能を持ったデバイスを普通に使っていくことになるでしょう。 そうなると、暗算は1つの特技にはなると思いますが、難しい方程式の解き方を知っているのに単純な計算ミスで点数が取れない、面白い定理に興味があるのに計算練習がイヤで数学を嫌いになる――こんな子どもたちを減らすことができるかもしれません。 英語についても、単語は今や右クリック1つで訳がでてきます。スペルチェッカーがあればつづりの単純ミスも補正してくれます(もともとの正しいスペルは知っておく必要がありますが)。 そして負担が減った分だけ自分で考える、興味のあるものを掘り下げてみることができるようになると思います。 偶然にも、今年はGIGAスクール構想といって生徒1人が教室でPCを1台使う環境の整備に入った最初の年でもあります。コロナパンデミックによってテクノロジーが教育に与えるポジティブなインパクトがあらためて証明された今、特に私のいるIT業界の果たすべき責任は大きいと考えています』、「IT業界」の意欲的な提案を大いに期待したい。

第三に、6月28日付け東洋経済オンラインが掲載した取材記者や研究者らのグループのFrontline Pressによる「多忙で孤立「壊れる教員たち」の過酷すぎる現実 若手が上司に相談できず1人ですべて抱え込む」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/358745
・『教育現場で「教員の孤立」が進んでいるという。授業準備や書類作成、生徒・保護者との対応、休日をつぶしての部活顧問。業務量がただでさえ多いうえ、相談できる上司や同僚が職場内におらず、メンタルをやられてしまうケースが少なくない。 実際、文部科学省の調査によると、上司に仕事の相談ができる教員は35%にとどまっていた。「みんな忙しくて相談なんてできない。これ以上続けたら、自分が潰れてしまう」。そんな声があふれる現場を追った』、「みんな忙しくて相談なんてできない」、教育委員会などからの報告に追われるという話も聞くが、実態調査すべきだろう。
・『つねに孤独ウソをついて教員を辞めた  北関東にある小さな飲食店で田中まさるさん(仮名)に会った。20代。5月の水曜日、夜7時。昼間は真夏のように暑かったのに、外は激しい夕立になっている。 「つらくて、教員を1年で辞めました。僕、この町にいないことになっているんです。『東北の実家に戻らなければならなくなった』とウソついて、職を辞めたんです。だから実名や写真は勘弁してください」 田中さんはなぜ辞めたのか。 「生徒指導で悩みがあっても誰にも相談ができないんです。担当している部活動では、言うことをきかない子もいて。昔みたく、ヤンキーってほどではないんですけど、周りと違う行動をし、かき乱す子が何人かいるんです。 『いい加減にしなさい』と生徒を自分のもとに引き寄せたことがあるんですが、『死ね死ね。わー、胸ぐらをつかまれた最悪』と言われ……。そうした子のために何ができるのか、悩んでいました。でも、同僚教員には、『誰しも直面していることだから。キツかったけど、俺らも乗り越えてきたから、君も乗り越えて』という雰囲気が根付いていました」 関東の大学を卒業し、出身地での教員を目指した。正規採用の試験は落ちてしまい、臨時採用の形で公立中学校の教員になった。 「40人ほどの教員がいました。自分は3年生のクラスで副担任。運動部の副顧問。先生になって2日後です。あれっ、と思った。研修もなく、すぐ現場に出されました。新人ですよ?『わからなかったら聞いて』と言われたのですが、聞けないんですよ。 職員室ではみんな黙々と仕事をしていて、雑談のような会話はいっさい聞こえない。生徒は自分の言うことをなかなか聞いてくれないし、授業の内容はきちんと理解できているのか、と。保護者との対応も、これで大丈夫なのかと不安でした」 教員の仕事は「つねに1人で孤独だった」と田中さんは振り返る。当然、日々の仕事も忙しかった。 「部活の朝練があるので、朝6時には学校にいました。授業の準備などで夜は10時くらいまで。あと、先輩より先に帰れなかったんですよ。それが暗黙のルールとして根付いていました」 土曜と日曜はいつも部活に費やした。 「大会や練習試合で隣県へ行くときは大変でした。朝5時に顧問を車で迎えに行き、練習試合が終わると先生同士の懇親会。深夜2時に顧問を家まで送り、また朝5時に迎えに行く。週末はずっとそんな感じでした。先輩方は『これは当たり前。誰しもが通ること』と言っていて、相談なんてできなかったです」』、典型的なブラック職場のようだ。
・『「50連勤」も。残業代はでない  1971年に制定された「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」により、教員には時間外勤務の手当は出ない。月額給与の4%加算が、それに代わるものとして支給されている。 田中さんの月額給与は手取りで約23万円だった。それに対し、1カ月の労働時間はほとんど400時間を超えていたという。「飲食店でバイトしていたほうがもっとお金をもらえたと思う」と田中さんは話す。食べることでストレスを発散しようとしたせいか、1年で体重が18キロも増加した。 「実際はそんなこと、ほとんどなかったんですが、仕事の悩みを相談できたとしても、毎日が忙しいから、仕事が終わった後。そんな時間から何かを相談するなら、家で寝たかった。 6月と11月がとくにつらかった。6月は中学3年の引退試合で忙しかった。中3の副担だったので、11月は卒業後の進路指導で忙しくて。50連勤くらいしたかな。自分が何を考えているのかわからないくらい、精神的に追い込まれていました。毎日仕事だから友だちとも会えない。食べることしか、楽しみがなかったです」 メンタルに関する面談はなかったのだろうか。 「新年度に1年間の教育達成目標を書いて、それに沿って学期始めと学期末に『目標をどれくらい達成しているのか』の確認をする面談があっただけでした。精神状況に関する面談はなかったです」 12月に入ると、校長から翌年も臨時教員を続けるかどうかの意向確認があった。限界だった田中さんは「東北の実家に戻らなければならなくなった」とウソをつき、継続しないと申し出たという。 「教員をこれ以上続けると、自分が壊れてしまう、と。校長は『あ、そうなの』と淡白でした。やりがいは感じていたのに、一方では、いつも『もう辞めなきゃ』と思うほど追い込まれていました。 3月に辞める前、生徒や保護者から『先生、ありがとう』と言われたときは『もう1年、頑張ればよかったかな』とも思ったんですが……。遅くまで仕事が続いていたとき、校長や教頭が『早く帰れ』などと職員室全体に強く言ってくれれば、変わっていたかもしれない。でも、この業界は上のことは絶対だから」 田中さんのような事例は特殊ではない。「若手が上司に相談できない教育現場」という実態は、文科省の調査でも浮き彫りになる。 2013年に公表された「教職員のメンタルヘルスに関する調査結果」(全国の小中高200校を無作為抽出、回答数約5000人)によると、管理職以外の「教諭」が、不安や悩みを含む「ストレス」の相談を上司に「よくしている」割合は4.7%。「ときどき」を含めても35%しかいない。 上司に相談できるか否かは、問題を具体的に解決できるかどうかが重要なポイントでもある。それなのに、これらの年代は自ら抱え込むか、同僚に相談するかなどの対応しかできなかった。その同僚相手に自らの相談をするかどうかについても、「よくしている」は16.2%しかない。上司にも同僚にも相談しない、できないという荒涼とした風景が見えるようだ。 精神疾患で休職する教員の数も高止まりしている。 文科省の「公立学校教職員の人事行政状況調査」(2018年度)によると、精神疾患を原因とする教員の休職者は、2007年度以降5000人前後で推移しており、2018年度は5212人を数えた。平成元年だった1989年度の1037人に比べると、今の水準はおよそ5倍。教員の採用抑制が続く中、高止まり傾向は顕著だ。 教員の自殺も同じ状況にある。厚生労働省が集計・公表をしている調査によると、自殺した教員数は2018年では93人に上った。「勤務問題」が最大の原因であり、次に「健康問題」と続く。「健康問題」でもうつ病が主な要因を占めた。自殺者全体の傾向で言えば、2013年から100人前後を行き来している』、「文科省」はこれらの「調査」に基づいて、どう対応しようとしているのだろう。
・『子どもをめぐる状況は複雑化しているのに…  こうした実態や各調査を踏まえ、東京都教職員互助会・三楽病院の真金薫子医師(精神神経科部長)は次のように訴える。 「教員の数を早急に増やすべきです。1990年代後半に『学級崩壊』が注目され、教育現場の実態が問われましたが、今のほうが現場は複雑で大変だと考えています。ここに訪ねてくるのは、40代が最も多い。その次に20代と50代。ベテランもストレスを抱えている一方、20代がここ最近、増えてきています。2000年代から教員の大量採用を行っており、母数が増えてきているからか、と。内容を順番付けすると、生徒指導について、職場での人間関係、授業での教え方と保護者対応でしょうか。 子どもをめぐる状況は複雑化しているのに、ほかの先生と問題を共有できていないと感じます。本来は『チーム学校』として問題解決に取り組まないといけないのに、個人プレーになっている。背景にあるのは、先生一人ひとり、仕事量が多いという現実です」 「ベテラン教員の意識改革が必要」と訴える専門家もいる。関西外国語大学外国語学部の新井肇教授もその1人。教員のメンタルヘルスについて研究を続けている。 「教員の仕事は『個業』と呼ばれています。1人ですべてやるという意識が、教育界に根付いているからです。もともと仕事量が多いうえ、ICT教育やプログラミング学習など、新しくやるべきことが次々と出てくる。保護者は教員を学習サービスの提供者としてどころか、子どもの面倒をみる何でも屋、あたかも学校を託児所のように、捉えている。 そうした事柄に対応ができなければ、『力不足だった』という自己責任論で片付けられてしまう。チームプレーで一つひとつ乗り越えていこうといった意識をまずベテランが持たなければならない」 およそ30年間、新井教授は埼玉県の公立高校で教壇に立っていた。その間に、長期派遣教員として、大学院で生徒指導の研究にも取り組んだ。今も、危機介入や研究協力で学校現場に入ることが多いが、そうした経験から言っても、教職の世界では、教員はつねに孤独な状況に立たされており、困ったときに「助けて」と言える職場環境もない。 新井教授には、教員になった教え子を自死で亡くした経験もある』、「「教員の仕事は『個業』と呼ばれています。1人ですべてやるという意識が、教育界に根付いている・・・教員はつねに孤独な状況に立たされており、困ったときに「助けて」と言える職場環境もない」、これは打破すべき悪弊だ。文科省は一体、何をしているのだろう。
・『どれだけ残業しても給料が変わらない現実がある  「うつ病から職場復帰して間もなくの出来事でした。そのことが私の研究の出発点になっています。教員のストレスには、人を相手にすることの難しさ、多忙や賃金のあり方、職場の人間関係などが複合的に絡んでいます。職場での孤立には、給特法の影響も大きい。どれだけ残業しても給料が変わらない現実があると、自分の仕事だけに集中し、他人のことには構わないという風潮が生まれてしまう」 「人手不足については、教員を増やすことが先決です。そのうえで、学校が何もかも背負い込むのではなく、部活動など、可能なところは外部へ委託することも必要でしょう。教員を孤立させず、チームで動けるようにするには、『仕事量を減らすことこそが仕事の質を高める』という教員の意識改革と、それを保障するための人材確保という構造的な改革が不可欠です」』、「人手不足については、教員を増やすことが先決です」、には違和感を感じる。生徒数は減っているなかで、「教員」数は高止まりしているのではないか検証すべきだ。さらに、無駄な報告や作業がないか、見直すことが先決なのではなかろうか。
タグ:河合 薫 無駄な報告や作業がないか、見直すことが先決 「人手不足については、教員を増やすことが先決です」、には違和感を感じる どれだけ残業しても給料が変わらない現実がある 教員はつねに孤独な状況に立たされており、困ったときに「助けて」と言える職場環境もない 「教員の仕事は『個業』と呼ばれています。1人ですべてやるという意識が、教育界に根付いている 子どもをめぐる状況は複雑化しているのに… 2007年度以降5000人前後で推移しており、2018年度は5212人を数えた。平成元年だった1989年度の1037人に比べると、今の水準はおよそ5倍 精神疾患を原因とする教員の休職者 「50連勤」も。残業代はでない 先輩方は『これは当たり前。誰しもが通ること』と言っていて、相談なんてできなかったです」 つねに孤独ウソをついて教員を辞めた みんな忙しくて相談なんてできない 「教員の孤立」 「多忙で孤立「壊れる教員たち」の過酷すぎる現実 若手が上司に相談できず1人ですべて抱え込む」 Frontline Press IT業界の果たすべき責任は大きい 授業のオンライン化どう生かす? 日本の文科省は5月12日に行ったYouTube配信で・・・危機感を露わにしたメッセージを発信 中学生以降の「教える」の概念が日本とかなり違うところで、生徒は先生に反論することを奨励されます。先生の説明に対し懐疑的な目を持ち、反論を試みる。当然そのためには問題の本質について考える必要があり、先生が困るような質問はいい質問というわけです 中学からは「guidance」と言ったほうがいいでしょう。グループワークが多く、その中で互いにクリティカルシンキング(批判的思考)などを身につけさせます teachingはせいぜい小学校まで 香川県の琴平町で文部科学省の国際交流員(CIR)として教育委員会に勤めていた経験 海外の学校ではコロナ以前からオンライン授業がかなり広まっていて、PowerSchoolやseesaw classroomのような教材をつかった授業や評価方法など確立したものがあるので、先生たちの参考になる事例が豊富だった 都内のインターナショナルスクール 休校3日目からリモート授業開始 オンライン授業を行っている公立校は全国でわずか5% 「公立校とインター校「ネット教育格差」の背景 「教える」に対する取り組みがまず違った」 デビット・ベネット 東洋経済オンライン 「弱い立場」だと痛感させられてしまった学生も、「誰かの役に立つ仕事」に関われば自信が付くにちがいない。子供たちは大学生のお兄さんやお姉さんが大好き スクール・サポートスタッフ 大学生の新たな支援策が始動 最後の講義で先生が、傘を貸してもらったときの話をしてくれたでしょ? あれを聞いて、辞めるのやめることにした 今期で大学を辞めようと決心 私が教えていた学生の1人から、こんなメールを届いた 奨学金の年間受給額は、一般世帯の学生が35.5万に対し、生活保護世帯の学生は、107.7万円 大学進学が貧困を加速するケースも 防衛省などに頼み、1年とか2年とかインターンシップをやってもらえば就職状況は良くなる 学生への経済的支援の在り方に関する検討会」の有識者会議のメンバー 3カ月以上延滞している人のうち、「無職・失業中または休職中」が18.2%、「非常勤の労働者」が15.1%。また、年収「300万円未満」は83%、「200万円未満」に区切ると63%にも上る 奨学金を返還する義務を負っている人は約322万9000人、うち3カ月以上延滞している人は19万4153人 「出世払い奨学金」 1990年代は2割程度だった奨学金利用は、親の収入低下と入学金や授業料の高額化により、2000年代に入り急増した。2010年には全学生の5割を突破 奨学金の滞納問題 2人に1人が奨学金を利用している 今回は「苦しい学生を助けなきゃいけない訳」について、あれこれ考えてみようと思う 大学での学びにはお金がかかる 家賃なども含めた月の生活費5万円はクリニックの受付のバイトで稼いできた。ところが、クリニックが休業し、収入が途絶え、生活は困窮 “困窮する学生”のミニ特集 日経ビジネスオンライン 「大学閉鎖で苦しむ貧困学生を絶対に辞めさせるな」 教育 (その20)(大学閉鎖で苦しむ貧困学生を絶対に辞めさせるな、公立校とインター校「ネット教育格差」の背景 「教える」に対する取り組みがまず違った、多忙で孤立「壊れる教員たち」の過酷すぎる現実 若手が上司に相談できず1人ですべて抱え込む)
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