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大学(その6)(教員全員が現役実務家の新学部誕生へ Yahoo!アカデミア伊藤学長が目指す教育とは?、北大学長 文科省が解任を通知 学長「不当な処分」、「かくて私は教授を『クビ』になった」大月隆寛、地方大学の窮状を語る) [社会]

大学については、昨年7月14日に取上げた。今日は、(その6)(教員全員が現役実務家の新学部誕生へ Yahoo!アカデミア伊藤学長が目指す教育とは?、北大学長 文科省が解任を通知 学長「不当な処分」、「かくて私は教授を『クビ』になった」大月隆寛、地方大学の窮状を語る)である。

まずは、本年4月2日付けBUSINESS INSIDER「教員全員が現役実務家の新学部誕生へ。Yahoo!アカデミア伊藤学長が目指す教育とは?」を紹介しよう。
https://www.businessinsider.jp/post-210272
・『会社役員や起業家など一線で活躍する現役実務家が教員を務める、日本ではほぼ例がない新学部が2021年4月、武蔵野大学に開設される(設置構想中、変更の可能性あり)。 学部長に就任予定なのは、ベストセラー『1分で話せ』で知られる、Yahoo!アカデミア学長の伊藤羊一氏。 伊藤氏は、「私の大学時代はバイト、バンド、デートばかりだった」と笑うが、設立にかかわる新学部ではこれまでにない実践に特化した教育を標榜する。 「学問と実践を分けるという考え方もありますが、どっちが正しいということではなく、バランスの問題だと思っている。今回はバランスの極を作ってみたい。日本の教育に何かしらの提案ができる可能性を提示したい」  教員陣の招へいや、カリキュラムつくりに奔走中の伊藤氏に、日本経済を取り巻く問題点や、目指す教育について聞いた』、「実践に特化した教育」、面白い試みだが、学問的裏付けのない「実践」のみで、学生が理解できるのだろうか。
・『在学中に起業目指す。教員に篠田氏ら  新学部は、起業家精神を意味する「アントレプレナーシップ学部」と命名。定員は60人で、在学中の起業を目指すという。社会人経験者を対象にした入試も予定している。 新学部の特徴は、講義を担当する教員全員が、起業家や会社役員など、現役の実務家である点だ。 「今はアカデミックとビジネス界が分断されている。実務家が大学で教えることもあるが、学部の教員みなが実務家ということは珍しいと思う。私もヤフーに勤めながら教えます。教員側はハードだけど、みんな面白いと言って賛同してくれた」 専任教員には、エール取締役・篠田真貴子氏、ERRORs・柏谷泰行氏、GRA岩佐大輝氏など約20人が就任し、それぞれ「本業」の傍ら、週3コマ(1コマ100分)の講義を担当する。 客員教員には、リバネス副社長の井上浄氏、元リクルートで教育者の藤原和博氏などの就任も予定している』、「講義を担当する教員全員が、起業家や会社役員など、現役の実務家」、「アカデミック」出身者が全くいないのはユニークだが、学生は果たしてついてゆけるのだろうか。
・『毎週1人、起業家をゲストに  「新学部では、実践に始まり実践に終わることを重視したい。とにかく双方向で対話し、ケーススタディを議論し、実践する。一方通行の講義ではなく、楽しい授業を展開したい」 講義では座学の割合は全体の10%に抑える方針だ。1年~4年まで必修科目になる「アントレプレナーシップ」の授業では、毎週1人、起業家をゲストに呼び話を聞く。 「4年間で約120人の起業家の話を聞くことになる。こういう人になれではなく、いろんな人がいることを知ってほしいと思っています。」』、「双方向で対話し、ケーススタディを議論し、実践する」、理想論ではあるが、「双方向で対話」が成り立つためには、学生にも一通りの基礎知識が必要なのではなかろうか。
・『日本が生き残る道は新事業への挑戦  伊藤氏があくまで実践にこだわるのは、人口減少が進んでいく日本が生き残るためには、新事業に取り組む人材を育てないといけないという危機感があるからだ。 「インターネット上にある情報量は増え続けている。 例えば照明やエアコンがインターネットにつながるIoTが普及してきたが、これからはもっと加速度的に増えていく。 例えばこの机とエアコンとスマホがつながったときに何ができるか。これまでは想像できなかった世界が必ず来る。そこにチャンスがある」 インターネットの普及により、店舗に行かなくても商品を探し、購入することは当たり前になったが、伊藤氏はこれまでのように、現実の行動をネット上でリプレイスする(置き換える)だけではない、新しい未来がやってくると指摘する。 「高度経済成長の時は、レールに乗っている人生が正しかったかもしれないが、今はこれをやれば正解という時代ではない。正解のない世界で、一人ひとりが決めていかないといけない。大学生がそれを考え実践する場を作りたい」』、意気込みは理解できる。
・『「僕の大学生活はとにかく『無』」  新学部の学部長という重責を担う予定の伊藤氏だが、自身の大学生活はどんなものだったのか? 「僕の大学生活は、とにかく『無』ですね。大学に行くって何だろうと。いや、それすら思わない学生で、バイト、バンド、デートばかりの毎日でした。 勉強して、人と話して、悩んで、ということをせず、ものすごい大事な時間を無駄にしてしまって、僕は社会に出てから苦労しました」 伊藤氏は東大卒業後、日本興業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)に就職したが、人とコミュニケーションをとることが苦手で、仕事がうまくいかずうつ病になり、会社に行けなくなった時期もあったという。 「社会人になって修羅場をくぐって初めて学べることもあると思うけど、早いうちから『経験をためる経験』はたくさん積んだ方がいいと思う。 僕自身は悩むばかりで一歩踏み出すのに時間がかかってしまった。同じ悩むのでも、たくさん経験して、たくさん嫌な思いをして、たくさん悩んで、ときどき成功して、振り返りながら次に進む。そのサイクルを若いうちからたくさん踏んでほしい。 まあ、後悔はしても無駄なので、僕自身の学生時代は後悔していませんけど」』、「東大卒業後、日本興業銀行に就職したが、人とコミュニケーションをとることが苦手で、仕事がうまくいかずうつ病になり、会社に行けなくなった時期もあったという」、エリートではあったが、「人とコミュニケーションをとることが苦手」であれば銀行員失格で、挫折を経験したようだ。
・『「自分の人生は自分でリードする」  伊藤氏が学生に学んでほしいのは、経済的なチャンスをとらえて成功することだけではないという。 「人の笑顔に貢献したいという動機を持ってほしいし、もう一つは自分で自分の人生をリードするという気持ちを持ってほしい。 大きな事をドカーンと成し遂げなくても、自分で商売をやってみて、失敗して振り返って、自分の思いでチャレンジする人をひとりでも増やしたい。そうすることで、日本を変えたいと思っています」』、「武蔵野大学」のホームページでは、「アントレプレナーシップ学部」の詳細は下記のように未定のようだ。今後の展開を注目したい。
https://emc.musashino-u.ac.jp/

次に、6月30日付けNHK NEWS WEB「北大学長 文科省が解任を通知 学長「不当な処分」」を紹介しよう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200630/k10012489001000.html
・『大学の職員らに対しふさわしくない言動があったなどとして、北海道大学が解任を求めていた名和豊春学長について、文部科学省が解任を通知していたことがわかりました。学長は「解任は不当な処分で取り消しの訴えを起こすなどの対応を検討したい」と話しています。 名和学長によりますと、29日、萩生田文部科学大臣の名で自宅に文書が届き、「学長に適さないと判断したことから、6月30日付けで解任する」といった内容の通知だったということです。 名和学長を巡っては、北海道大学が設けた「学長選考会議」が、去年7月、大学の職員らに対し、学長にふさわしくない言動があったなどとして、国立大学法人の学長を任命する権限がある文部科学大臣に解任するよう申し出ていました。 NHKの取材に対し、名和学長は「解任は不当な処分だ。どのような審査の結果この決定をしたのか、説明を求めるとともに、処分の取り消しの訴えを起こすことなどを含めて対応を検討したい」と話しています。 名和学長は、3年前の4月に学長に就任しましたが、体調不良を理由におととし12月から休職していました。 その後、体調は回復したものの、去年7月に大学側が文部科学大臣に解任を申し出たため、いまも復職していないということです』、「国立大学法人の学長」に対する初の「解任」とはいえ、「学長選考会議」からの「解任するよう申し出」から1年近くかかったのは、慎重過ぎた気がする。
・『28件の不適切な行為確認  文部科学省によりますと、去年7月、北海道大学から名和学長の解任の申し出があり、調査した結果、大学の役員や職員に対し、威圧的な言動など、合わせて28件の不適切な行為が確認されたということです。 これらを踏まえ、文部科学省は、国立大学の学長に適していないとして30日、名和学長を解任する処分をしたということです。 2004年に、国立大学が法人化されてから、学長が解任されたのは、今回が初めてです』、「28件の不適切な行為確認」、実際には氷山の一角である可能性もあるだろう。
・『萩生田文科相「誠に遺憾」  萩生田文部科学大臣は、記者会見で、30日付けで、北海道大学の名和豊春学長に対して解任処分を行ったことを明らかにしました。 そのうえで、萩生田大臣は、「私個人は名和氏と直接面識はないが、今回、北海道大学の選考会議の申し出を重く受け止め、法令に定める手続きにのっとって省内で検討を行い、慎重に判断した。国立大学法人の学長の解任は初めてのことであり、このような事態となったことは誠に遺憾だ」と述べました。 また、「少なくとも選考会というきちんと法的根拠のある会議の中で、代わるべきだと意見が出てきてしまったことは重たいことではないかと思う。これ以上、不正常な状態が北海道大学で続くことのほうが、現役学生たちに与える影響が大きいと判断した」と述べました』、「名和学長は・・・体調不良を理由におととし12月から休職していました」、実務的には学長代行が取り仕切っていたのだろう。
・『北海道大学広報課「大変重く受け止めている」  萩生田文部科学大臣が30日付けで北海道大学の名和豊春学長の解任を通知したことについて、北海道大学の広報課は、「本学としてはこの事態を大変重く受け止めている。解任に関する経緯など詳細について、あす記者会見を開いて説明したい」とコメントしています』、大学でのパワハラは、アカハラとも呼ばれ、必ずしも珍しくはないが、あの「北大」の「学長」までがそれで「解任」されるとは、やはり驚きである。

第三に、7月9日付けNewsweek日本版が掲載した民俗学者の大月隆寛氏による「「かくて私は教授を『クビ』になった」大月隆寛、地方大学の窮状を語る」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-93911_1.php
・『<民俗学者の大月隆寛氏が本誌に緊急寄稿。札幌国際大学を「懲戒解雇」された経緯と、経営難が続く地方大学が抱える問題とは>  勤めていた大学から「懲戒解雇」を申し渡された。北海道は札幌にある札幌国際大学という、今年で創立51年目になる小さな私大だ。地元の人たちには前身の静修短期大学という名前のほうが今でも通りがいいかもしれない。 こういう地方の私大のご多分に漏れず近年は定員割れが続き、わらにもすがる起死回生の策ということだったのだろうか、2019年度から外国人留学生を大量に入れるようになった。 ところが、その入れ方がずさんで、大学で学べるだけの日本語の能力の目安として留学生受け入れの条件になっている「N2」という日本語能力試験の基準をクリアしていない学生をたくさん入れてしまった。しかも、留学生を抱えた大学に課されている在学中の在籍管理──勉学面のみならず、一定時間以上のバイトをしていないか、など生活面含め──の義務の履行もいろいろ怪しげなまま、といった難儀な実態が昨年春の新学期早々から発覚。 これを何とか是正しようとあれこれ学内で当時の城後豊学長以下、同僚有志たちと対策を講じて頑張ったのだが、経営側がそれを察知して学長を解任しようと画策、暮れには議事録も明らかにしないまま新しい学長の選任を強行してしまった。 もうこれ以上内部での事態改善が求められないと判断した城後学長が、今年に入ってから入国管理局や文部科学省など外部の関係諸機関に実情を知らせ、同時に報道機関などにも協力を求めた結果、3月末に事態がいよいよ表沙汰になったという経緯が背景の舞台装置。経緯は3月31日付の毎日新聞や北海道新聞などに詳しい。 事実上解任された城後学長が3月31日に北海道庁で行った記者会見の場に同席していた、というのが私の「懲戒解雇」の理由の1つだ。その他、都合4点の理由がもっともらしく挙げられ「本学の関係者全体の名誉、組織運営の健全性を損なう行為」だから、と理由付けされていたが、要は「おまえ、前学長と一緒になって留学生を入れようとする経営側のやり方に盾突いて邪魔していただろう、けしからん」というだけのことだった。 「懲戒解雇」に当たるまっとうな理由も理屈も何も見当たらない代物でした、というお粗末さだ。とはいえ、売られたけんかは買わなきゃ損、という性格ゆえ、即刻けんか支度に掛かり、地位保全の仮処分などできる限りの法的措置を講じて全力で交戦中、というのが現時点での状況である』、「経営側のやり方」は余りに酷く、信じ難いほどだ。
・『どうしてこういうワヤ(注)なことになったのか。それは今後の法廷で明らかにされてゆくだろうし、その都度、できる限り世間の皆さまの目に触れるような機会をつくってゆくつもりだが、「グローバル化」の掛け声に流され留学生を考えなしに導き入れた結果、こういう地方の零細私大が抱える現状に関する個別具体の「リアル」は言葉にされず、大文字の言葉だけが飛び交う空中戦で「大学」問題は「処理」されてゆく。 「自己責任」の正義任せに大学の淘汰が叫ばれ、大都市圏の大規模大学だけが生き残り、地元に根差した小さな教育の場は国公立・私立を問わず枯れてゆくばかり。事は単に、北海道の片隅の小さな私大のやらかしたワヤ、というだけではない。最後に、その「どうして」を解く際の大事なカギになるだろう事実を少しだけ。 ・今年からこの大学の理事会に「嶋●和●」という名前が新たに加わっていること。 ・この御仁は以前から経営戦略会議で留学生受け入れの「アドバイス」をしており、天下り斡旋事件で有名な元文科省事務次官の前川喜平氏の片腕とされた人物であること。 現場からは、ひとまず以上です。北海道、今年の夏は肌寒いです』、「前川喜平氏の片腕」が「理事会」に加わったのは、経営側に有利に作用するのだろうか。それとも正常化に向かうのだろうか、当面の動きを注目したい。
(注)ワヤ:だめなこと。むちゃくちゃなさま(コトバンク) 
タグ:前川喜平氏の片腕 記者会見の場に同席していた、というのが私の「懲戒解雇」の理由の1つ 城後学長が、今年に入ってから入国管理局や文部科学省など外部の関係諸機関に実情を知らせ、同時に報道機関などにも協力を求めた結果、3月末に事態がいよいよ表沙汰になったという経緯が背景の舞台装置 城後豊学長以下、同僚有志たちと対策を講じて頑張ったのだが、経営側がそれを察知して学長を解任しようと画策 「N2」という日本語能力試験の基準をクリアしていない学生をたくさん入れてしまった。しかも、留学生を抱えた大学に課されている在学中の在籍管理──勉学面のみならず、一定時間以上のバイトをしていないか、など生活面含め──の義務の履行もいろいろ怪しげなまま、といった難儀な実態が昨年春の新学期早々から発覚 2019年度から外国人留学生を大量に入れるようになった。 札幌国際大学 「「かくて私は教授を『クビ』になった」大月隆寛、地方大学の窮状を語る」 大月隆寛 Newsweek日本版 北海道大学広報課「大変重く受け止めている」 萩生田文科相「誠に遺憾」 28件の不適切な行為確認 北海道大学が設けた「学長選考会議」が、去年7月、大学の職員らに対し、学長にふさわしくない言動があったなどとして、国立大学法人の学長を任命する権限がある文部科学大臣に解任するよう申し出ていました 名和豊春学長 萩生田文部科学大臣の名で自宅に文書が届き、「学長に適さないと判断したことから、6月30日付けで解任する」といった内容の通知 北海道大学 「北大学長 文科省が解任を通知 学長「不当な処分」」 NHK News web 東大卒業後、日本興業銀行に就職したが、人とコミュニケーションをとることが苦手で、仕事がうまくいかずうつ病になり、会社に行けなくなった時期もあったという 「僕の大学生活はとにかく『無』」 日本が生き残る道は新事業への挑戦 双方向で対話し、ケーススタディを議論し、実践する 4年間で約120人の起業家の話を聞くことになる 毎週1人、起業家をゲストに 講義を担当する教員全員が、起業家や会社役員など、現役の実務家 定員は60人で、在学中の起業を目指す 「アントレプレナーシップ学部」 在学中に起業目指す。教員に篠田氏ら 実践に特化した教育 Yahoo!アカデミア学長の伊藤羊一氏 学部長に就任予定 武蔵野大学 「教員全員が現役実務家の新学部誕生へ。Yahoo!アカデミア伊藤学長が目指す教育とは?」 BUSINESS INSIDER (その6)(教員全員が現役実務家の新学部誕生へ Yahoo!アカデミア伊藤学長が目指す教育とは?、北大学長 文科省が解任を通知 学長「不当な処分」、「かくて私は教授を『クビ』になった」大月隆寛、地方大学の窮状を語る) 大学
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