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安倍政権のマスコミへのコントロール(その14)(フジ産経の世論調査のインチキは“架空回答”だけではない! 安倍政権擁護や極右政策推進のためのペテン的調査手法、実態は総理の慰労会 “国民だまし”に加担するメディアの罪、望月衣塑子 怒る…官邸にしっぽを振る「矜持なき記者たち」のダメっぷり、官邸記者アンケートから見えた政治取材“忖度”の実態…記者たちの苦悩の裏側〈dot.〉) [メディア]

安倍政権のマスコミへのコントロールについては、5月10日に取上げた。今日は、(その14)(フジ産経の世論調査のインチキは“架空回答”だけではない! 安倍政権擁護や極右政策推進のためのペテン的調査手法、実態は総理の慰労会 “国民だまし”に加担するメディアの罪、望月衣塑子 怒る…官邸にしっぽを振る「矜持なき記者たち」のダメっぷり、官邸記者アンケートから見えた政治取材“忖度”の実態…記者たちの苦悩の裏側〈dot.〉)である。

先ずは、6月20日付けLITERA「フジ産経の世論調査のインチキは“架空回答”だけではない! 安倍政権擁護や極右政策推進のためのペテン的調査手法」を紹介しよう。
https://lite-ra.com/2020/06/post-5485.html
・『フジテレビ系列のニュースネットワークFNNと産経新聞社が合同で行う世論調査でとんでもない不正が発覚した。電話調査をせずに架空の回答を入力していたというのだ。不正はわかっているだけでも、2019年5月から20年5月の間の計14回、2500件に及び、全体の1割以上が架空の回答だったことになる。 両社は、2019年5月~20年5月の計14回の世論調査の結果を取り消し、世論調査を当面休止するとしたが、そんな程度で済む話ではないだろう。産経新聞関係者がこう語る。 「19日にフジと産経が同時に発表したんだが、うちがそんな不祥事を自ら進んで発表するわけがない。裏では内部告発があったようだ。FNN産経は調査業務をアダムスコミュニケーションという会社に下請けし、このアダムス社がさらに京都の日本テレネットという会社に孫請けさせていたんだが、この委託業者の関係者から『(日本テレネットで)管理職が指示して架空の回答を入力させている』という告発があったようだ。放っておくと、マスコミに報道される可能性があったため、先に発表するしかないと判断したんだろう。ただ、これは氷山の一角。うちの世論調査は他社に比べて予算が少なく、下請けにかなり負担を強いていたから、ほかにも似たような不正が行われている可能性は十分ある」 しかも、今回は下請け会社の不正だが、FNNと産経の世論調査では、組織をあげて安倍政権に有利な結果になるよう加工しているのではないかという疑惑もささやかれてきた。 実際、内閣支持率以外の安倍政権の政策をめぐる世論調査では、質問を恣意的にすることで、他社よりも評価が高くなる仕掛けも平気で行なっていた。 典型が、2015年9月、国会で安保法案が強行成立した直後の世論調査だ。このとき、共同通信や朝日新聞、毎日新聞の世論調査では6割以上が“安保法案に反対”と答えていたが、FNNと産経の世論調査では、「安保法制が必要と答えた人が69.4%」。これは、質問が、シンプルに安保法制の成立を評価するかどうかでなく、〈あなたは、日本の安全と平和を維持するために、安全保障法制を整備することは、必要だと思いますか、思いませんか〉という誘導的な文章にしたためだった。 2016年8月、天皇の生前退位がクローズアップされたときも同様だ。FNN産経の世論調査では、〈現在の皇室制度では、天皇が生前に退位し、天皇の位を皇太子に譲る「生前退位」の規定がありません。生前退位について、あなたは、政府がどのように対応すべきだと思いますか〉という質問のすぐ次に、〈今後、天皇の「生前退位」が可能となるように、憲法を改正してもよいと思いますか、思いませんか。〉という質問をした。その結果、「生前退位のために憲法改正よいと思う」が84・7%にのぼり、フジテレビや産経新聞でこの数字を大々的に報道した。実際は生前退位に必要なのは皇室典範の改正だけで、改憲が必要というのはネトウヨや安倍応援団お振りまいたデマだったのだが、産経はそのデマに乗っかって、あたかも改憲以外に生前退位の方法はないかのような誘導質問を行うことで、「改憲必要」の高い数字を引き出したのだ』、「(日本テレネットで)・・・告発があったようだ。放っておくと、マスコミに報道される可能性があったため、先に発表するしかないと判断したんだろう」、お粗末極まる。「産経はそのデマに乗っかって、あたかも改憲以外に生前退位の方法はないかのような誘導質問を行うことで、「改憲必要」の高い数字を引き出した」、「産経」の安倍政権擁護もここまでくると明らかに行き過ぎだ。
・『安倍政権も「国民の反対」を否定するためFNN産経の世論調査の恣意的な数字を利用  さらに、2016年12月の日露首脳会談のときも、こうした手口が使われている。この会談では、事前に煽られていた北方領土返還交渉が空振りに終わったことで、国民の間に失望感が広がり、共同通信の世論調査では、日露首脳会談を「評価しない」が54.3%で、「評価する」の38.7%を15.6ポイント上回った。 ところが、FNN産経の調査では全く逆で、「評価する」との回答が63.9%にのぼり、「評価しない」30.7%の倍以上の数字をはじき出した。 もちろん、これにもからくりがあって、FNN産経は質問じたいの前に、日露首脳会談の前にわざわざこんな説明をそえていた。 〈安倍首相とプーチン露大統領の首脳会談で、北方四島での共同経済活動の実現へ協議することで合意し、元島民の自由往来の対応を検討することになった。今回の会談を評価するか〉 こうしたケースは他にも枚挙にいとまがない。ようするにFNN産経の世論調査はもともと「客観的な調査」にほどとおい、世論誘導のための恣意的なシロモノであり、ペテンや詐欺的手法も平気で駆使してきたのだ。 しかも、問題なのは、これ、極右フェイクメディアが世論調査でもインチキをやっていたというだけですまいないことだ。このFNN 産経の世論は、安倍政権が追及に対するエクスキューズにも使われてきた。たとえば、ある政策について、国民の多くが批判の声をあげている、反対の声が多いと追及を受けた安倍政権の幹部が、FNN産経の世論調査の数字をもちだして「別の社の調査では違う結果が出ている」などと強弁したシーンも一度や二度ではない。そういう意味では、FNN産経の世論調査のペテンは政権も共犯関係にあるといっていいだろう。 今回、架空調査が発覚したことをきっかけに、下請けの責任だけでなく、フジテレビや産経が組織的なペテンをしていなかったのか、きちんとメスを入れるべきだろう』、「FNN産経の世論調査はもともと「客観的な調査」にほどとおい、世論誘導のための恣意的なシロモノであり、ペテンや詐欺的手法も平気で駆使してきた」、「このFNN 産経の世論は、安倍政権が追及に対するエクスキューズにも使われてきた」、「FNN産経の世論調査のペテンは政権も共犯関係にあるといっていいだろう」、安部政権にとっては、誠に頼りになる存在のようだ。

次に、6月24日付け日刊ゲンダイが掲載したNHK出身ジャーナリストの立岩陽一郎氏による「実態は総理の慰労会 “国民だまし”に加担するメディアの罪」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/275012
・『国会閉幕を受けた6月18日の安倍総理の会見は、歴史に残るものかもしれない。新型コロナ対策としての一連の総理会見は、2月29日を最初に、その後、定期的に開かれたわけだが、この日、1つの事実が明らかになった。この記者会見が儀式であり、演説会であることは既に明らかになっていたが、実はそのレベルにとどまらず、単なる安倍総理の慰労会だったことが明確になったからだ。そこには暗黙のルールがある。安倍総理に気持ち良く思いのたけを語ってもらう。そうでないやりとりはあってはならない』、「総理会見」が「演説会」であるだけでなく、「単なる安倍総理の慰労会」、とは情けない限りだ。
・『実態は安倍総理の慰労会  当然、記者会見にあるべき厳しい質問も、事実を引き出すような問いも出ない。例えば、その日に逮捕された河井議員夫妻についても、さらりとは触れる。それは事実を確認するという作業ではなく、安倍総理の真摯な姿勢を国民に見せるための仕掛けでしかない。 拉致問題についてのNHKの質問も同じだ。総理が拉致被害者の家族と共有した長い時間を振り返り、「断腸の思いであります」と語るための仕掛けでしかない。本気で拉致問題を解決するには日朝関係を前に進める必要があるわけだが、この政権がその逆の行動しか取ってこなかったことは容易に指摘できる。北朝鮮との対話を拒否することまで国連で各国に求めている。それでどうやって拉致問題を解決できるのか? 当然出てくる疑問はこの場で出ることはない。 ポスト安倍についての質問などは、無上の喜びを噛みしめながら語っていたのではないか。この時、質問した記者が口にした候補者以外にも候補はいると語るなど、キングメーカーとしての存在感まで示している。 この「慰労会」の決まり事の1つが20分に及ぶ総理の独演会だ。ここで安倍総理が最初に思いを語るわけだが、実は、この中には、事実の検証が必要な内容が含まれている。例えば安倍総理は、日本が行ってきた「クラスター対策」について「世界の中で注目が集まっています」と話した。つまりPCR検査を幅広く行わずにクラスター対策に重点的に振り分けたことを世界が評価しているということだ。 それは本当なのだろうか? アメリカ政府が日本でのPCR検査の少なさに懸念を示し在日アメリカ人に帰国を促したことがあるが、評価したとは聞かない。事実を言えば、クラスター対策はPCR検査を拡充できない中での苦肉の策だった。尾身茂専門家会議副座長は記者会見で、PCR検査を拡充できない「根深い」問題があって、その結果としてクラスター対策を選択せざるを得なかったと説明している。もちろん、災い転じて福となすということもあるだろう。では、どの「世界」が注目しているのだろうか? この点を海外のジャーナリストに問い合わせているが、皆、戸惑うばかりだ。しかし、こうした疑問は「慰労会」の場で語られることはない。 この「慰労会」の主催は官邸記者クラブだ。つまりメディアが総理をもてなす場ということだ。もちろん、一部には、まともな記者会見を行ったジャーナリストはいた。恐らく、その人は次の「慰労会」には呼ばれない』、「事実を確認するという作業ではなく、安倍総理の真摯な姿勢を国民に見せるための仕掛けでしかない」、「「慰労会」の主催は官邸記者クラブだ。つまりメディアが総理をもてなす場ということだ。もちろん、一部には、まともな記者会見を行ったジャーナリストはいた。恐らく、その人は次の「慰労会」には呼ばれない」、「官邸記者クラブ」がここまで堕落したとは、「メディア」の劣化もここに極まれりだ。

第三に、7月21日付け現代ビジネスが掲載した東京新聞記者で官邸記者クラブで菅官房長官から無視されている望月衣塑子氏による「望月衣塑子、怒る…官邸にしっぽを振る「矜持なき記者たち」のダメっぷり」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74104
・『「安倍一強」が叫ばれて久しい。東京新聞記者の望月衣塑子氏と評論家の佐高信氏による新刊『なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか』は、この政権の恐るべき権力基盤を「メディアとの関係」から描き出す。政権はいかにメディアをコントロールし、メディアはいかに権力に追従しているのか。この国の中枢の真実』、望月衣塑子氏は既に何回か紹介しているが、今回も興味深そうだ。
・『記者の凋落を示すダメ会見  いまの記者は、みな揃っておとなしく、サラリーマン化が進んでいる。型にはまったこと以上の行動をするのを極端に恐れるあまり、取材相手を追及し、本音を吐き出させようとする気迫が感じられない。 六月一八日の午後六時から開かれた首相会見では、わずか会見の三時間前に河井克行前法相と妻の案里議員が公選法違反容疑で逮捕されたのにもかかわらず、事件についての質問は、事前に質問を投げていた幹事社・フジテレビだけ。 しかも、「自民党から振り込まれた一億五〇〇〇万円の一部が買収資金に使われたことはないということでいいのか」と、「ない」を前提にした誘導的な質問で、首相は「任命した者として責任を痛感している」と答えただけだった。 当然、記者は「どう責任を果たすつもりなのか」「買収資金に交付金が使われたか、調査するのか」など追及を重ねなければならないが、だれも続かない。産経新聞は憲法改正についての首相の意気込みを、NHKは北朝鮮対応を、日本テレビはポスト安倍について。その質問に答えるかたちで、首相は自分の支持者向けのメッセージとも聞こえる話を続けた。 質疑を見ていてめまいがした。国会議員二人による大規模な買収疑惑は、憲政史上まれにみる大事件。しかも一人は前法相だ。その質問がわずか一つしか出ないとは……。会見にいる政治部記者は疑惑の重大さを理解していないのだろうか。「黙って挙手して」など、官邸が勝手に決めたルールにおとなしく従っている場合ではない。制止を振り切ってでも追及すべき場面だった。記者の凋落ぶりを示すダメ会見で、これは後世に語り継がれるだろう』、「望月」氏の同僚記者の「凋落ぶり」への舌鋒は相変わらず鋭い。
・『しっぽを振る記者たち  なぜ、内閣記者会は国民と乖離した質疑しかできなくなったのだろう。かつて首相会見の司会進行役は、幹事社の記者が努めていたという。現在は、実質的な司会進行を内閣府広報官の長谷川栄一首相補佐官に委ねており、「内閣記者会主催」はかたちばかりだ。結果、会見を官邸の“宣伝(プロパガンダ)”に利用されている。 さらに長谷川氏の指名を見ていると、NHKやテレビ朝日、日経新聞などが毎度のように指される一方で、朝日新聞や東京新聞、中国新聞などが指されることはまれだ(これらの社が幹事社の場合は除く)。 長谷川氏が政治部の記者を指名すると、首相は毎度、官僚が用意した手元の資料を読みながら答えている。差し障りのない質問を事前に官邸に通告した社ばかり指名されるのであれば、それは権力による選別と事前校閲であり、メディアが官邸に支配されているということに他ならない。 SNSが発達し、首相のプロンプターや資料の読み上げがバレ、国内外の市民やネットメディア、フリーランス、識者から疑問や改善を促されている。にもかかわらず内閣記者会は、事前通告を続け、首相の「猿芝居」の片棒を担ぎ、意識が変わる気配はなかなか見えない。 今年一月、官房長官会見で、私が挙手しても当てられないことが続いた。私が会見場で「まだ(質問が)あります」と声を出したとき、ある社の記者は「指されなくても、声は出さずおとなしくして」と言ってきた。別の社の官邸キャップは「うまく聞かないと引き出せない。(あなたのは)“負け犬の遠吠え”だ」とわざわざ言いにきた。 政治取材に長けたみなさんは、この首相会見でいったい、何をうまく引き出したのだろうか。しっぽをふっているのに餌がもらえなかった犬に見えるが、あとで「路地裏」で残飯でももらえれば「勝ち犬」なのだろう』、「内閣記者会・・・現在は、実質的な司会進行を内閣府広報官の長谷川栄一首相補佐官に委ねており、「内閣記者会主催」はかたちばかりだ。結果、会見を官邸の“宣伝(プロパガンダ)”に利用されている」、司会進行を内閣府広報官の長谷川栄一首相補佐官に委ねているというのは、初めて知った。「政治取材に長けたみなさんは、この首相会見でいったい、何をうまく引き出したのだろうか。しっぽをふっているのに餌がもらえなかった犬に見えるが、あとで「路地裏」で残飯でももらえれば「勝ち犬」なのだろう」、最大限の嫌味だ。
・『政権のメディアコントロール  付記しておくと、「この後、外交日程がありますので」と一時間で終えようとする長谷川氏に対し、フリーランスや何人かの政治部記者たちは抗議の声を上げている。長谷川氏は「紙でお答えしますので、後で私宛に質問を出して欲しい」として打ち切った。 その後、朝日新聞と中国新聞、日刊ゲンダイは、河井夫妻の逮捕と首相の任命責任について官邸報道室に質問を出していたが、官邸報道室の回答は「国民の皆様にお詫び」「責任を痛感」「真摯に受け止め政権運営に当たりたい」など、中身のない官僚作文だった。会見の場で安倍首相が同じように答えていたならば、到底納得されない内容だ。「舐めるのもいい加減にしろ」と怒りに震えた記者もいるだろう。 ただ、それも長年、安倍政権のメディアコントロールを許してきたせいだ。首相会見も官房長官会見も、時間制限や指名の偏りに抗議の声を上げず、司会進行の主導権を奪われても抵抗せず、会見のあり方を改革しようとしてこなかった。 内閣記者会は世間からも見放されつつある。オフレコ取材を重視し、会見が形骸化すれば、会見も記者クラブも存在の意義がなくなるばかりか、今回の首相会見のように権力に利用されてしまう。 このままでは日本のジャーナリズムは完全に崩壊することになる。政治部記者はもっと危機感をもつべきだろう。 そんななか、既存のTVメディアの報道に限界を感じたディレクターたちが中心となって立ち上げたネットTV「Choose Life Project」が検察庁法改正案の議論が沸騰する最中、野党各党の幹部を呼んで連日、活発な議論を行い、ネット上で盛り上がったのは光明だった。どういう思いで議論やニュースを発信していくのか。そんな報道人としての根本的な姿勢がジャーナリズムとして大事であることを再確認できた出来事だった』、「オフレコ取材を重視し、会見が形骸化すれば、会見も記者クラブも存在の意義がなくなるばかりか、今回の首相会見のように権力に利用されてしまう。 このままでは日本のジャーナリズムは完全に崩壊することになる。政治部記者はもっと危機感をもつべきだろう」、同感である。「Choose Life Project」は面白い試みのようだ。今後、注目していきたい。

第四に、7月21日付けAERAdot「官邸記者アンケートから見えた政治取材“忖度”の実態…記者たちの苦悩の裏側〈dot.〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2020071700088.html?page=1
・『「なぜ、もっと食い下がらない」「記者は聞くべきことを聞いているのか」――。 いま政治取材の現場で何が起きているのか。官邸記者クラブの本音の一端がわかるアンケート結果を、朝日新聞政治記者として現場を踏んできた新聞労連委員長・南彰氏の著書『政治部不信 権力とメディアの関係を問い直す』(朝日新書)から、一部を抜粋・改編してお届けする。 官邸記者クラブのメンバーは何を考えているのか。 新聞労連は昨年5月、官邸での記者会見の役割をどのように考えるのか、現場の記者の「本音」を知ることを目的とした官邸記者アンケートを実施した。 望月記者が官房長官記者会見に参加するようになった17年6月以降に官邸記者クラブに在籍したことのある記者を対象に労働組合を通じて呼びかけ、33人(新聞・通信社27人、テレビ・放送3人、その他・答えたくない3人)から有効回答を得た。 望月記者の質問スタイルについて感じていることを、12の選択肢から複数回答可で選んでもらうと、「質問が長い」が17人、「質問が主観的・決めうちである」が16人、「質問に事実誤認が多い」が10人に上った。 新聞労連が19年3月に抗議声明を出すにあたり、筆者自身もこんな経験をした。 官邸が「事実誤認」と記者クラブに申し入れを行った18年12月26日の望月記者の質問内容について、官邸記者クラブの旧知の記者とやりとりすると、「彼女の質問は間違いが多いからな」と言われた。 日常的に官邸側から望月記者への不満を聞かされるなかで、刷り込みがされ、相互に不満を高め合っていたことがうかがえる。 アンケートでは、東京新聞や望月記者に対する不満を吐露する回答も多かったが、官邸での記者会見や取材に関して感じていることを尋ねた自由記述では、相互監視のなかで身動きがとれない官邸記者クラブ員の様子が浮き彫りになった。 興味深かったのは「長官会見で期待されている役割」について、「読者・視聴者から」と「会社から」に分けて聞いた設問への答えだ』、「日常的に官邸側から望月記者への不満を聞かされるなかで、刷り込みがされ、相互に不満を高め合っていたことがうかがえる」、新聞記者も「刷り込みがされ」るとは情けない。
・『【設問1】読者・視聴者からどのような役割を最も期待されていると思いますか +権力の監視:41.9% +政府の公式見解の確認:45.2% +速報:3.2% +その他:9.7% 【設問2】会社からどのような役割を最も期待されていると思いますか +権力の監視:25.8% +政府の公式見解の確認:51.6% +メモ起こし(会見録作成):6.5% +取材先との信頼関係構築:3.2% +速報:3.2% +その他:9.7% 「読者・視聴者からの期待」は、権力監視と政府の公式見解の確認が拮抗しているが、「会社からの期待」では権力監視が落ち込み、「メモ起こし」や「取材先との信頼関係構築」といった回答まで出ていた。こうした両者からの期待の間をとるように、「あなた自身は長官会見で、どのような役割を最も重視していますか」と尋ねた設問への回答は次のようになった。 +権力の監視:35.5% +政府の公式見解の確認:41.9% +速報:6.5% +日々の情報蓄積:6.5% +その他:9.7% また、「官邸取材で体験したこと・見聞きした項目」を尋ねた設問では、「事前通告のない質問を記者会見でして官邸側から文句を言われた」「夜回りなどのオフレコ取材で官邸側から特定の記者だけを排除するよう言われた」という回答がそれぞれ7人に上り、「官邸側から他の政治家、官僚などの発言内容を教えるよう求められた」「官邸側から記者の和を乱すことをとがめられた」という回答も2人ずついた。 自由記述の欄には、「官邸と内部で繋がっている社がある以上、記者会では動けない。まずは権力寄りのメディアの記者の意識をまともにしなければならない」「官房長官の夜回りでは、携帯電話やICレコーダーを事前に回収袋に入れて、忠誠を誓っている。非常に息苦しい」という意見まで綴られていた。 いずれも近年の政治取材の現場でささやかれていた話だ。 例えば、安倍首相のぶら下がり取材で厳しい質問をぶつけた記者に対して、安倍首相の側近はその質問をした記者がいると無視し、各社の夜回りに応じない対応をとった。「連帯責任」を求めてくるのだ。そうして、周囲の記者が困り果て、「君がいるとみんなが取材にならない。取材内容は後で教えるから来ないでほしい」と言い出す事件もあった』、「「夜回りなどのオフレコ取材で官邸側から特定の記者だけを排除するよう言われた」という回答が・・・7人に上り、「官邸側から他の政治家、官僚などの発言内容を教えるよう求められた」「官邸側から記者の和を乱すことをとがめられた」という回答も2人ずついた」、「官邸側」の巧みなコントロールの実態が示されたようだ。
・『アンケートの自由記述からは、「会社」と「読者・視聴者」が求めていることのずれを感じながら、相互監視が進む息苦しい官邸取材のなかで、自分の果たすべき役割に葛藤している状況が浮かび上がった。 +「官邸担当は過度な重要度を背負わされ、政権中枢から情報を取ることがメインの仕事として求められている。それぞれの社全体でジャーナリズムを守る覚悟を決めない限り、望月氏の独り相撲という構図は変えられない。官邸記者が望月氏と同様の振る舞いをして、社からどんな扱いを受けるかよく考えるべきだ。苦々しい思いをしながら、件の申し入れを読んだ官邸記者がどれだけいたか。変革を求められるのは、現場記者より、編集権者だ」 +「望月記者の件は突出しているものの、権力監視のあり方が揺らいでいるのは間違いない。この解決を望月記者の件に依存して論じると、状況の悪化を加速させることになりかねない。本質的な議論をすべきだ」 +「長官の記者会見で、番記者以外が質問すると官邸側が極端にいやがり、結果として番記者のオフ取材に影響が出ることが懸念される。このような事態をどうにか打破しないといけない。情報を取れなくなるのは恐ろしいが、このままではメディアとしての役割を果たせなくなるのではないか。会社にも危機感を持って欲しい」 この結果を踏まえた19年6月のシンポジウムで、官邸記者クラブに在籍していた経験のある毎日新聞の与良正男・専門編集委員は「(現場の記者の)本音、悩み、苦しみは僕にもわかる」と語った。 記者会見など公の場で質問せず、単独で取材する方が評価される風潮が背景にあると解説し、自由記述にある「自身に責任を負わせないで欲しい」といった現場の声について「企業に属した記者・ジャーナリストの難しさがあると想像する」と分析した。 そのうえで、30年間政治記者を務めてきた経験を振り返り、「社の方針と現場の記者の考えが違う時はどうするべきか。記者の考えに会社(の考え)を合わせてやるくらいの気持ちが必要だ」と主張した』、「望月記者の件は突出しているものの、権力監視のあり方が揺らいでいるのは間違いない。この解決を望月記者の件に依存して論じると、状況の悪化を加速させることになりかねない。本質的な議論をすべきだ」、「「長官の記者会見で、番記者以外が質問すると官邸側が極端にいやがり、結果として番記者のオフ取材に影響が出ることが懸念される。このような事態をどうにか打破しないといけない。情報を取れなくなるのは恐ろしいが、このままではメディアとしての役割を果たせなくなるのではないか。会社にも危機感を持って欲しい」、など良心的な意見があるようだが、それを個人的見解に留まっているようなのは残念だ。
・『一方、ロイター通信の勤務を経て、メディア研究をしている林香里・東京大大学院教授は、相互監視のなか、多くの記者が自らの行動の基準を「社」としていることに注目し、官邸記者クラブを「閉ざされた部族社会」と表現した。 「番記者制度や夜討ち朝駆けの取材手法が、政治家の情報の出し方を甘やかしてきた」と分析し、「ICレコーダー回収などの実態をどう思うか」と問われると、失望を隠さなかった。 「ジャーナリズム研究をしていて、2019年になっても記者クラブの話を聞かれる。全然先に議論が進まない。この『部族社会』は独特な文化があって外からは見えない。なんとなく噂を聞いてエピソードを集め、それを繰り返して30年。それが嫌になっている」 「小宇宙の中での良い記者のイメージがどんどん閉じこもってしまっている。政治の事情通の人が良い記者ということになっている。しかし、世の中が求めているイメージは全然違う。社会が求めている今日の記者の素養は何か、立ち返ってほしい。官邸はそういったところに敏感で、メディアを制限したり分断したりしているが、記者は自分たちの規範や理念を、社会を通じて振り返るべきではないか」』、「小宇宙の中での良い記者のイメージが・・・記者は自分たちの規範や理念を、社会を通じて振り返るべきではないか」、さすが「メディア研究」者だけあって、説得力に富み、全面的に同意したい。
タグ:政治取材に長けたみなさんは、この首相会見でいったい、何をうまく引き出したのだろうか。しっぽをふっているのに餌がもらえなかった犬に見えるが、あとで「路地裏」で残飯でももらえれば「勝ち犬」なのだろう 現在は、実質的な司会進行を内閣府広報官の長谷川栄一首相補佐官に委ねており、「内閣記者会主催」はかたちばかりだ。結果、会見を官邸の“宣伝(プロパガンダ)”に利用されている 小宇宙の中での良い記者のイメージがどんどん閉じこもってしまっている。政治の事情通の人が良い記者ということになっている。しかし、世の中が求めているイメージは全然違う。社会が求めている今日の記者の素養は何か、立ち返ってほしい。官邸はそういったところに敏感で、メディアを制限したり分断したりしているが、記者は自分たちの規範や理念を、社会を通じて振り返るべきではないか」 官邸記者アンケート FNN産経の世論調査はもともと「客観的な調査」にほどとおい、世論誘導のための恣意的なシロモノであり、ペテンや詐欺的手法も平気で駆使してきた 安倍政権も「国民の反対」を否定するためFNN産経の世論調査の恣意的な数字を利用 33人(新聞・通信社27人、テレビ・放送3人、その他・答えたくない3人)から有効回答 た新聞労連委員長・南彰氏の著書『政治部不信 権力とメディアの関係を問い直す』(朝日新書) 安倍政権のマスコミへのコントロール (その14)(フジ産経の世論調査のインチキは“架空回答”だけではない! 安倍政権擁護や極右政策推進のためのペテン的調査手法、実態は総理の慰労会 “国民だまし”に加担するメディアの罪、望月衣塑子 怒る…官邸にしっぽを振る「矜持なき記者たち」のダメっぷり、官邸記者アンケートから見えた政治取材“忖度”の実態…記者たちの苦悩の裏側〈dot.〉) 生前退位に必要なのは皇室典範の改正だけで、改憲が必要というのはネトウヨや安倍応援団お振りまいたデマだったのだが、産経はそのデマに乗っかって、あたかも改憲以外に生前退位の方法はないかのような誘導質問を行うことで、「改憲必要」の高い数字を引き出したのだ 「フジ産経の世論調査のインチキは“架空回答”だけではない! 安倍政権擁護や極右政策推進のためのペテン的調査手法」 litera (日本テレネットで)管理職が指示して架空の回答を入力させている』という告発があったようだ。放っておくと、マスコミに報道される可能性があったため、先に発表するしかないと判断したんだろう 電話調査をせずに架空の回答を入力 FNNと産経の世論調査では、組織をあげて安倍政権に有利な結果になるよう加工しているのではないかという疑惑もささやかれてきた 内閣支持率以外の安倍政権の政策をめぐる世論調査では、質問を恣意的にすることで、他社よりも評価が高くなる仕掛けも平気で行なっていた 誘導的な文章にしたため 「慰労会」の主催は官邸記者クラブだ。つまりメディアが総理をもてなす場ということだ。もちろん、一部には、まともな記者会見を行ったジャーナリストはいた。恐らく、その人は次の「慰労会」には呼ばれない 事実を確認するという作業ではなく、安倍総理の真摯な姿勢を国民に見せるための仕掛けでしかない FNN産経の世論調査のペテンは政権も共犯関係にあるといっていいだろう 立岩陽一郎 「実態は総理の慰労会 “国民だまし”に加担するメディアの罪」 総理会見 「演説会」 日刊ゲンダイ 「単なる安倍総理の慰労会」 実態は安倍総理の慰労会 現代ビジネス 「望月衣塑子、怒る…官邸にしっぽを振る「矜持なき記者たち」のダメっぷり」 佐高信 『なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか』 しっぽを振る記者たち 記者の凋落を示すダメ会見 内閣記者会 オフレコ取材を重視し、会見が形骸化すれば、会見も記者クラブも存在の意義がなくなるばかりか、今回の首相会見のように権力に利用されてしまう。 このままでは日本のジャーナリズムは完全に崩壊することになる。政治部記者はもっと危機感をもつべきだろう 政権のメディアコントロール 「Choose Life Project」 AERAdot 「官邸記者アンケートから見えた政治取材“忖度”の実態…記者たちの苦悩の裏側〈dot.〉」 「夜回りなどのオフレコ取材で官邸側から特定の記者だけを排除するよう言われた」という回答 日常的に官邸側から望月記者への不満を聞かされるなかで、刷り込みがされ、相互に不満を高め合っていたことがうかがえる 7人に上り、「官邸側から他の政治家、官僚などの発言内容を教えるよう求められた」「官邸側から記者の和を乱すことをとがめられた」という回答も2人ずついた 望月記者の件は突出しているものの、権力監視のあり方が揺らいでいるのは間違いない。この解決を望月記者の件に依存して論じると、状況の悪化を加速させることになりかねない。本質的な議論をすべきだ 林香里・東京大大学院教授 「長官の記者会見で、番記者以外が質問すると官邸側が極端にいやがり、結果として番記者のオフ取材に影響が出ることが懸念される。このような事態をどうにか打破しないといけない。情報を取れなくなるのは恐ろしいが、このままではメディアとしての役割を果たせなくなるのではないか。会社にも危機感を持って欲しい
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