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障害者施設(その1)(「やまゆり園事件」で植松被告に死刑判決 差別的主張による自説は曲げず、「津久井やまゆり園」 事件から4年  再生に向けた現在の取り組みとは) [社会]

障害者施設については、これまでは「相次ぐ警察のミス」として、2016年8月15日、10月5日に取上げた。今日は、タイトルを変更して、(その1)(「やまゆり園事件」で植松被告に死刑判決 差別的主張による自説は曲げず、「津久井やまゆり園」 事件から4年  再生に向けた現在の取り組みとは)である。

先ずは、第一審の判決を受けて、本年3月17日付けダイヤモンド・オンラインが事件ジャーナリストの戸田一法氏による「「やまゆり園事件」で植松被告に死刑判決、差別的主張による自説は曲げず」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/231826
・『神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者ら45人を殺傷したとして、殺人罪などに問われた元職員植松聖被告(30)の判決公判が16日、横浜地裁で開かれ、青沼潔裁判長は求刑通り死刑を言い渡した。障害者に対する差別的な偏見が大量殺人の動機とされた過去に例を見ない事件。植松被告は最終意見陳述でも重度障害者への差別的な考えを主張した上で「どんな判決でも控訴しない」と自説を曲げなかった』、やはり確信犯だったようだ。
・『起訴内容を全面的に追認  判決によると、植松被告は16年7月26日未明、やまゆり園に入所する男女19人を刃物で刺すなどして殺害。ほか24人に重軽傷を負わせたほか、職員2人も負傷させた。 弁護側は「大麻の使用による精神障害が原因」と無罪を求めていたが、青沼裁判長は刑事責任能力を認め起訴内容を全面的に追認した。 公判で事件を振り返ってみたい。 初公判が開かれたのは1月8日。植松被告は黒いスーツで出廷し、起訴内容を問われ「(間違い)ありません」と全面的に認めた。 その後、証言台の前で「皆様に深くおわびします」と謝罪し突然、口元に手を運び、暴れ出した。警備担当の職員4人が制止し、青沼裁判長は休廷を宣言。再開時は被告人不在で審理が進められた。 植松被告の行動は右手の小指をかみ切ろうとしたためと判明し、閉廷後に記者会見したやまゆり園の入倉かおる園長は「事件の時と同様『何と浅はかな、愚かなヤツなのか』としか思えなかった」と憤った。 1月10日の第2回公判では自傷行為を防ぐため、手袋を着けて出廷させられた。そして、事件の状況が検察側から語られる。 職員の供述調書によると、夜勤の職員を拘束し、入所者に「喋(しゃべ)れるか」を聞き、殺害するかどうかを決めていた。 途中で植松被告の意図を察知した職員が「喋れる」と答えると、自分で判断するように。「こいつらは生きていてもしょうがない」「あいつは殺さないと」などとつぶやいていたという』、これではどうみても確信犯そのものだ。
・『愛する家族を突然奪われた無念  死因は多くが首を刺されたもので、抵抗した際にできる防御創が手を貫通している犠牲者がいたことなど、強い殺意があった状況も明らかにされた。 1月15日の第3回公判は遺族の調書などが紹介された。「美帆さん」。青沼裁判長は被害者特定事項秘匿制度に基づき「甲A」としてきた犠牲者を、遺族の意向を踏まえ実名で審理することを明らかにした。 調書は神奈川県警や横浜地検が作成。「物事をまったく理解できなかったわけではない」「短い言葉なら話せた」と述べるなど、植松被告の「意思疎通ができない重度障害者を殺した」という主張と反する内容も含まれていた。 犠牲者の女性(当時60)の弟は「痛かっただろう、怖かっただろうと思うと、胸が張り裂けそうになる」「被告が悔い改め、厳罰に処されることを望む」とする供述が明らかにされた。 第4回公判が開かれた1月16日は、検察側が負傷した入所者24人全員の家族から聞き取った内容を朗読。「テレビに事件の映像が映ると布団をかぶって見ないようにする」など、トラウマになっている様子が紹介された。 この日までに犠牲者19人全員の遺族の供述調書が朗読された。「苦労はあったが、ちょっとした変化を見守るのは幸せだった」「生まれ変わってもまた私の子どもに生まれてほしい」――。愛する家族を突然奪われた無念を語った。 また「障害者差別に憤りを感じずにいられない」「殺されるような悪いことをしたのか?と問いたい」。憤りとやるせなさが交差していた心境が明かされた。 1月17日の第5回公判は植松被告の元交際女性が証人として出廷。14年当時は「散歩している入所者を見て『かわいい』と話していた」が、翌年には「あいつらは人間じゃない」と否定的な発言が多くなったと証言した。 そして事件を起こすことをほのめかされ「刑務所に入るよ」と指摘すると、植松被告は「世間が賛同して出てこられる」「俺は先駆者になる」と言い放ったという。 女性は植松被告について「重度の障害者とコミュニケーションをとるのが難しく、給料も安く、何のために働いているのか分からなくなったのではないか」と職場環境の問題についても語った』、遺族の願い「被告が悔い改め、厳罰に処されることを望む」のうち、「悔い改め」ることはなかったようだ。
・『従来の主張を曲げることはなかった  1月20日の第6回公判では、教員を目指していた植松被告が薬物を使い、障害者を差別する言動をするようになるなど「別人のよう」と戸惑う友人の声が紹介された。 事件の5カ月前、電話やLINEで「重度障害者はこの世に必要ない」「抹殺すべきだ」と賛同を求め、疎遠になる友人が多くなった。 植松被告の被告人質問が行われたのは1月24日の第8回公判。植松被告は「刑事責任能力を争うのは間違い。(自分に)責任能力はある」と弁護人の主張に異議を唱えた。 さらに「意思疎通できない人間は安楽死させるべきだ」と主張。弁護人が「重度障害者でも、家族は愛している」と指摘したが、植松被告は「国から金と時間を奪っている限り守るべきではない」と強弁した。 第10回公判は2月5日に開かれた。犠牲者の遺族が「なぜ殺さなければならなかったのですか」と問い、植松被告は「社会の役に立つと思ったから」と乾いた声で答えつつ、謝罪の言葉を口にした。 心境を「遺族の方と話すのは心苦しい」と述べつつ「できることで一番、有意義だった」と従来の主張を曲げることはなかった。 2月6日の第11回公判では、被害者参加制度に基づき、遺族や負傷者の家族、職員の代理人弁護士が質問した。 その中で、植松被告は犯行計画を両親に明かしていたことを告げ「悲しむ人がたくさんいる」といさめられていたことを明かした。 犠牲者の代理人弁護士は両親との関係について「愛されて育てられたと思うか」と問い、植松被告は「手をかけてもらい、不自由なく生活してきた」と回答。「あなたが殺されたら両親はどう思うか、考えたことはあるか」との質問には「ありません」と応じた。 美帆さんの代理人弁護士が「美帆さんの存在を喜ぶ家族がいた」と指摘すると、植松被告は「喜んではいけない」と、ここでも差別意識は変えなかった』、「植松被告は犯行計画を両親に明かしていたことを告げ「悲しむ人がたくさんいる」といさめられていた」、「両親」は「いさめ」るだけでなく、警察に通報すべきだったろう。被告の「差別意識」は完全に優性思想に基づくもののようだ。
・『一切の後悔も反省もない様子  2月7日の第12回公判では、植松被告を精神鑑定した医師が出廷。大麻の使用による障害や中毒、人格障害であるパーソナリティ障害を認定した上で、「犯行に影響はなかったか、(あっても)小さかった」と証言した。 そして2月17日の論告求刑で、検察側は「19人もの命を奪い、単独犯として類を見ない。計画的で生命軽視は顕著だ。自らの正当性を主張し続け、更生の意欲も可能性もない」「死刑を回避すべき要素はなく、むしろ悪質性は際立っている」と指弾し、死刑を求刑した。 2月19日の最終弁論。弁護側は「精神障害による心神喪失状態で、被告人は無罪が言い渡されるべきだ」と主張した。 そして、植松被告は聞くに堪えない障害者差別発言を繰り返した上で「どんな判決でも控訴しない」と主張した。 植松被告は一切の後悔も反省もないように見える。そして、ネットでは支持する投稿がある。 それが、怖い』、「植松被告は一切の後悔も反省もないように見える」、このようななかでの死刑執行は、本人のヒーロー錯覚を強めるだけで意味がない。もともと私は死刑廃止論者だが、それを別にしても、後悔・反省をしてから執行すべきだろう。「ネットでは支持する投稿がある」、日本社会の優性思想は根強いようだ。

次に、7月30日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した医療ジャーナリストの福原麻希氏による「「津久井やまゆり園」 事件から4年 、再生に向けた現在の取り組みとは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/244299
・『神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園(社会福祉法人かながわ共同会)」は、元職員だった植松聖死刑囚が45人を殺傷した事件後、5年目を迎えた。津久井やまゆり園での利用者支援の実態を検証する動きと、仮移転している同園芹が谷園舎での現在を紹介する』、興味深そうだ。
・『津久井やまゆり園の施設の実態を検証する動きの中で出てきたこととは  植松死刑囚が「意思疎通が取れない障害者(名前・住所・年齢を言えない人、植松死刑囚独自の考え方)はお金と時間を奪うからいらない」と殺害したことについて、一連の裁判では犯行に至るまでの経緯が多少明らかにされたが、それは傍聴席の人にとって、まったく納得できるレベルではなかった。 判決文に「自分自身が障害者施設で勤務していた経験を有していたこともあって」「その考えは被告人の体験を踏まえて生じたものであって」などと書かれたことから、津久井やまゆり園は利用者に対してどのような支援をしていたか、同園での日常が注目されている。 例えば、元利用者の話を紹介しよう。 神奈川県在住の平野泰史さんは、2014~2018年まで(事件直後を除く)、津久井やまゆり園に次男の和己(かずき)さん(30歳)を入所させていた。津久井やまゆり園は家族が面会に来ても、施設内部(居室や共同リビングなど)に入れないという。 そこで、殺傷事件後の2018年、平野さんは和己さんがどのような日常を送っているかを知りたいと思い、日々の生活の様子が書かれた記録を園から取り寄せた。その内容を見たところ、昼間、和己さんがあまり活動していない様子をうかがえた。 平野さんはこう話す。 「入所時の園からの説明では、日中活動として、毎日、作業棟へ行くと聞いていました。しかし、行動記録からは週2〜3回、午前9時半から約1時間程度でした。健康な成人として、昼間は体を動かすことが当然と考えているため園に申し入れをしました」 和己さんは2歳のとき、熱性けいれんによる呼吸停止を起こし、集中治療室で30日間の治療を受けたが障害が残った。いまは、成人男性として親離れして生活するために、入所施設で介護職の支援のもと過ごしている。 津久井やまゆり園では、事件が起きた2016年7月の記録には、日々の生活について「(職員が運転するマイクロバスに乗せてもらって)ドライブへ行く」「DVDを見て過ごす」と記載されていた。このほか「居室で排尿」「他人の服を着る」「浴室から、なかなか出てこない」「落ち着きがない」などの問題行動についてだけ記録されていた。 そこで、2018年、社会福祉法人同愛会の入所施設「てらん広場」へ移ったところ、週4日朝9時半~17時まで同法人の作業所「リプラス」で働くようになり、平野さんは「和己さんの心身に変化が見られるようになった」と話す。 7月26日、神奈川県相模原市では「津久井やまゆり園は誰のものか」(主催:津久井やまゆり園事件を考え続ける会)のテーマでシンポジウムが開かれた。登壇した東洋英和女学院大学大学院(人間科学研究科)の石渡和実教授は「入所施設の職員ほど、知的障害者に地域での暮らしができるわけがないとあきらめている、その思い込みが支援の質を低下させています」と発言した 作業所では、スーパーから廃棄されるプラスチックを用いた本格的なリサイクル事業をしている。平野さんは和己さんの近況について「昔は細身で体力もなかったが、体がガッチリしてきました。作業に専念することで行動障害が減り、脳も活性化されたためか、話すことが変わってきたのです。息子にそんな作業ができると思っていなかったので、妻と驚いています」と話す』、別の施設に移った「障害者」の状況が大きく改善したのは、「やまゆり園」では入所者に寄り添った介護というよりは、一律の突き放した不適切な介護だった可能性がある。
・『神奈川県では県内知的障害者施設の日常を検証する動きに広がった  昨年、神奈川県の窓口に「やまゆり園の利用者に不適切な支援の疑いがある」と情報が寄せられた。このため、神奈川県では指定管理施設としての基本協定に基づく県による同園への随時モニタリングだけでなく、第三者委員会として外部の有識者の視点から深く分析する必要があると判断し、黒岩祐治知事が園の利用者支援の実態を検証する委員会(「津久井やまゆり園利用者支援検証委員会」)を設置した。 委員には、國學院大學教授で弁護士の佐藤彰一氏、上智社会福祉専門学校特任教員の大塚晃氏、植草学園大学副学長(元毎日新聞論説委員)の野澤和弘氏の3人が就任した。 いずれも重度障害者の家族を持つだけでなく。長年、知的障害者・児の権利擁護に取り組んできたことでよく知られている。 複数人の県庁職員が園作成の直近5年間にわたるさまざまな記録など(*)を精査し、3人の委員が検討した結果、5月、中間報告書が公表された。その報告書では、津久井やまゆり園における利用者支援の実態として、「利用者に長期間にわたって居室施錠や行動制限をしていたことへの疑い」「身体拘束の理由やそれを複数人で検討したかどうかの記載がないこと」など、数々の指摘が挙がり、障害者施設における利用者支援に関心のある人を中心に波紋が広がった。 同園の母体となる法人組織(かながわ共同会)のガバナンス体制、および、津久井やまゆり園を指定管理者とする県の関与が乏しかったことも取り上げられていた。 だが、新型コロナウイルス感染拡大に伴って、同園職員からのヒヤリングを実施できないまま公表された内容には誤りや誤解を招く記載もあったという。検証委員会の動きは、通常の指定管理の基本協定の枠組みでなく、県も「随時モニタリングと検証委員会の取り組みは別です」と言うばかりで、園から申し入れする機会がなかった。 同園支援部の山田智昭部長はこう話す。 「中間報告書の内容は園内で共有しています。また、ご指摘事項は県からの随時モニタリングで聞かれるたびに、現場へ再確認しながら回答しています。それらはわれわれが足りなかった部分、例えば『24時間の居室施錠を長期間にわたり行っていた事例』などは、特に記録の不十分さがあったことで事実とは異なる部分があり、改めて記録の重要性を認識しています」 このほかにも、「身体拘束をせざるをないときは『切迫性』『非代替性』『一時性』の3要件のすべてを満たす必要があるにもかかわらず、会議記録から一つでも該当すればよいと認識していたこと」という中間報告書の記載は誤りという。 山田部長は「会議で身体拘束について職員の意識を深める話し合いの場面で、『3要件のどれに現場が苦慮しているか』を質問したり、『特に、非代替性においては、さらに検討してほしい』と現場に指示を出したりしていた部分が、中間報告で(前述のように)記載されていました。検証委員会のヒヤリングに期待していたこともあったのですが……」と説明する。 また、どうしても支援が難しい人の場合、最終的には居室施錠の可能性があるかもしれないため、園はあらかじめ家族に同意を取ることもある。だが、報告書には「1年以上、身体拘束を行っていないにもかかわらず承諾書を取り続けていた事例もあることから、漫然と身体拘束が行われていたと考えられる」と記載された。 *平成27年度(2015年度)~令和元年度(2019年度)までの5年間、園利用者23人の個人に関する資料(フェイスシート、アセスメントシート、個別支援計画書・評価表、個人記録、身体拘束にかかる資料、個別支援マニュアル)、会議および委員会等に関する資料(園内危機管理委員会、リスクマネジメント委員会、虐待防止委員会、強度行動障害支援検討委員会等10種類の会議や委員会)、事業計画、要領、ガイドライン等に関する資料(利用者の身体拘束等行動制限取り扱い要領、利用者の安全確保における行動制限<身体拘束>についてのガイドライン、行動制限マニュアル等)』、「同園のやり方」にはかなり問題があっただけに、「同園職員からのヒヤリングを実施できないまま公表された内容には誤りや誤解を招く記載もあった」、「同園職員からのヒヤリング」は必須事項で、「「新型コロナウイルス感染拡大」は言い訳にはならない。
・『入倉かおる園長はこう話す。 「確かに、過去、園として不十分な部分もあり、身体拘束に頼らざるを得なかった事例もありました。その事例に対して園全体で情報を共有し、時間をかけて改善策について話し合っています。例えば、早番が帰って夜勤が入る前の時間帯などは手薄になることがあったため、他のホームから応援を出すなど、体制を立て直し、身体拘束をせざるを得ない状況を回避するようにしています。このため、近年、ほとんどの利用者は居室施錠することはなくなりました」 また、冒頭の平野さんの事例については「入所施設の日中活動にはいろいろな考え方があり、職員を多く配置して活動に取り組ませる施設と、うちのような寮内の生活リズムを整えることを支援の中心に置いている施設があります。ご家族のご要望にお応えできなかったと感じています」と話す。 この中間報告をめぐっては、5月18日の神奈川県議会定例会(厚生常任委員会)で、県の担当課長が「報告書は公表しない。記者会見もしない」「検証委員会は発展的改組するため廃止する」という趣旨の内容を発言したため、報告書に関心を持っていた人、および、障害者団体などの間で「検証しないまま、委員会を廃止するのか」と批判や誤解を招いた。だが、もともと、3月の同委員会ですでに今後は県内施設の利用者支援を検討する方向で部会を設置し、年内に報告書を取りまとめる予定になっていたという。 検証委員会の委員の1人だった野澤さん(前述)は検証報告書について、こう指摘する。 「津久井やまゆり園、および他施設を検証していくことは、日本の障害者施設の在り方、特に虐待をなくすための最大のチャンスです。いま、この検証を丁寧に深いところから掘り下げないと、日本の障害者福祉は再び“闇の時代”に戻ります」 近年、障害者虐待防止法によって、入所施設内での隠れた虐待が表に出るようになった。知的障害者の行動障害(暴力・自傷・他害など)は、支援者や環境に問題があるからにもかかわらず、あたかも本人が悪いと思われ、身体拘束という力で押さえつけられてきた。障害者虐待防止法では身体拘束を厳しく規制し、「切迫性」「非代替性」「一時性」の3要件が満たされなければ虐待に当たるとされている。だが、現場ではダブルスタンダード(施設内でのルール)が横行していると聞く。それを表に出して改善しなければ、また力で抑えることを容認する現場になってしまう。「闇に戻るとはそういう意味です」と野澤さんは説明する。 入所施設の支援のスキルでは、全国のロールモデルとされる社会福祉法人北摂杉の子会の松上利男理事長は「身体拘束はゼロにできます。仕方ないと言うのは“支援放棄”です」と話す』、「県の担当課長が「報告書は公表しない。記者会見もしない」「検証委員会は発展的改組するため廃止する」、驚くべき対応だ。「「津久井やまゆり園、および他施設を検証していくことは、日本の障害者施設の在り方、特に虐待をなくすための最大のチャンスです。いま、この検証を丁寧に深いところから掘り下げないと、日本の障害者福祉は再び“闇の時代”に戻ります」、その通りだ。神奈川県の対応には首を傾げざるを得ない。
・『障害者を支援する日常で模索される「意思決定支援」の取り組みとは  一方、津久井やまゆり園では、神奈川県が策定した「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念実現を目指すため、着実に歩みを進めている。 事件翌年の2017年、県は同園再生に向けた基本的な考え方を公表し、障害者団体や有識者からヒアリングを実施後、障害者施策審議会に部会を設置した。そこでの審議を経たうえで「津久井やまゆり園再生基本構想」を策定し、いまは、特に構想の3本柱の1つ「利用者の意思決定支援」に注力している。 事件で同園の建物が大きな被害を受けたことから、当初は利用者が「今後、どこでどのように住むか」を決めるために始まった取り組みだった。だが、先を見通す想像力やコミュニケーションに障害のある利用者がどこに住むかを自分で決められるようにするためには、日常生活のいろいろな場面での意思表出と職員がそれをキャッチする力の育成が必要になる。 そこで、職員はまず「利用者を知ること」に、いままで以上の時間をかけるようになった。 例えば、言葉を話せない利用者が日常で「あー」「うー」と発していることには、どういう意味があるのか、深く探っていくようになった。職員が利用者の意思表出に応えていくようにしたという。その結果、「人を呼んでいる」「おむつを取り替えてほしい」「おなかがすいた」などのニーズを職員に伝えていることが分かってきたという。 さらに、職員と利用者が日常のやりとりを繰り返していくなかで、利用者に「言葉を発していいんだ、意思を表明していいんだ」と意識が芽生え、積極性にもつながってきたそうだ。 同園支援部意思決定支援担当の押田誠一郎課長は、こう説明する。 「意思決定支援の取り組みは、私たちのこれまでの支援の延長上にあるものですが、時間がかかったり、試行錯誤したりする面が多く、当初は手探り状態でやらされ感もありました。ところが、利用者と向き合い、意思決定支援とはこういうことかという実感が積みあがることによって、それがやりがいや楽しさにつながってきたという声をよく聞いています」 高齢者や障害者への支援は「~させていただく」「~してあげる」という気持ちから始まりがちだが、その関係性は間違いで、「障害があってもなくても同じ人間で、その対等な関係性において差別や権利侵害はあってはならない」が根本にある。それは相手を知ることから始まり、それが生活の中で本人らしく生きるための意思決定支援となり、権利擁護につながる。 入倉園長は「私たちの取り組みすべてがその人の権利を守ることになります」と話す。 津久井やまゆり園では惨事の記憶を乗り越えるために、職員が一丸となって、利用者の笑顔を増やす日常を作り出している。 なお、事件の責任を津久井やまゆり園に求める人は少なくないが、事件と園の支援実態による植松死刑囚の障害者観の形成との因果関係を明確にすることは難しい。社会的責任や道義的責任を求める声は理解できるが、現時点で園に法的責任は発生していない。 季刊福祉労働編集長(NPO法人共同連顧問)の堀利和さんはこう指摘する。 「やまゆり園事件を通して、障害者の入所施設におけるさまざまなことが顕在化されました。それは誰かだけに責任を求めることではなく、私たち関係者が無意識のうちに事件を作り出してしまったものです。それがいま、ブーメランのように一人ひとりに戻ってきているからこそ、私たちはこの課題を考え続けています」 近年のほかの凶悪事件の有りようを見る中、私はたまたま津久井やまゆり園で事件が起きただけで、今後、全国どこの障害者・高齢者施設でも類似の事件が起こりうる可能性はあると考える。それだけ、私たちの社会における優生思想は根深いからだ』、「津久井やまゆり園再生基本構想」の「利用者の意思決定支援」は、なかなかよさそうだが、今になって出てきたのには、これまでは問題があったということだろう。「「やまゆり園事件を通して、障害者の入所施設におけるさまざまなことが顕在化されました。それは誰かだけに責任を求めることではなく、私たち関係者が無意識のうちに事件を作り出してしまったものです。それがいま、ブーメランのように一人ひとりに戻ってきているからこそ、私たちはこの課題を考え続けています」、との反省はなかなか重い課題だ。「障害があってもなくても同じ人間で、その対等な関係性において差別や権利侵害はあってはならない」、との考え方が、一刻も早く根付くことを期待している。
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