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公務員制度(その4)(揺れる“非正規公務員” ~急増する背景に何が?、忖度 更迭 意外な栄転……「官僚たちの夏」2020年霞が関人事を読み解く【週刊エコノミストOnline】、古賀茂明「官邸のえこひいきで堕落した官僚」〈週刊朝日〉) [国内政治]

公務員制度については、昨年9月6日に取上げた。今日は、(その4)(揺れる“非正規公務員” ~急増する背景に何が?、忖度 更迭 意外な栄転……「官僚たちの夏」2020年霞が関人事を読み解く【週刊エコノミストOnline】、古賀茂明「官邸のえこひいきで堕落した官僚」〈週刊朝日〉)である。

先ずは、昨年11月6日付けNHKクローズアップ現代+「揺れる“非正規公務員” ~急増する背景に何が?~」を紹介しよう。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4350/index.html
・『ことし日本列島をたびたび襲った台風。自治体の初期対応や現地調査の遅れが問題となった。さらに相次ぐ児童虐待事件では、児童相談所などの対応の問題も指摘される。実はこうした問題の裏には、自治体の人手不足や、いわゆる“非正規公務員”の増加があると言われている。税収が減り人件費削減が避けられない中、非正規は公務員の3分の1を占めるまでに。手取り16万で働く児相職員、学級担任を任される時給900円以下の非正規の教師…、その労働環境はとても厳しい。税収が減少するなか、安定した自治体運営には何が必要なのか考える。 出演者 石井光太さん (作家) 西山志保さん (立教大学 教授) 武田真一 (キャスター) 、 高山哲哉 (アナウンサー)』、「非正規は公務員の3分の1を占めるまでに」、ここまできたかと再認識した。
・『揺れる“非正規公務員”急増する背景に何が?  さまざまな場所で増えている非正規公務員。そのひとつが、教育現場です。 茨城県の、この中学校。教員20人のうち、3人が非正規です。保健体育の教員、飯田花織さんも、その1人。常勤の講師として、フルタイムで働いています。 朝7時すぎ。部活の朝練。正規採用の教員と同じように、部活動の顧問を任されています。8時になると教室へ。こちらも正規同様、クラス担任を務めています。 常勤講師(保健体育)飯田花織さん「1学期2学期にどれだけ頑張っていたかで、2年生の成績が出ます。」 仕事内容は正規と全く同じなのに、就職して5年、賃金アップは一切ありません。ほかにも…。 常勤講師(保健体育)飯田花織さん「産休や育休は(非正規の)講師にはないので、不安な部分は1年間の契約というか、次の学校があるのかとか、もう1年やらせてもらえるのかとか。」 大学で教員免許を取った飯田さん。正規職員の採用試験を受けましたが、体育の教員は枠が少なく、不合格。その後も、毎年挑戦を続けてきました。 仕事を終えたのは、午後8時半すぎ。採用試験の問題集を見せてくれました。 取材班「すごく細やかな字ですね。」 学校の仕事が忙しいため、試験勉強できるのは帰宅してからのわずかな時間だけだといいます。 常勤講師(保健体育)飯田花織さん「24時間しかない中で(試験勉強を)どこでできるかって言われたら、仕事が終わった後しかできない。負担は負担ですけど、でもそこしかないって感じですかね。」 非正規公務員がおかれる厳しい環境。家族を支える立場になると、より重い意味を持ってきます。 「1週間の時間割になります。」 公立小学校でクラス担任を持って働く、40代の女性です。かつては正規の教員でしたが、出産のために退職。その後、夫と死別し、2人の子どもを育てるため、非正規の教員として働き始めました。 「これが今年の給与明細。」 手取りは、ひと月19万円あまり。非正規になった10年以上前から、ほとんど上がっていません。自治体から支援を受けないと、子どもの給食費や通学費を出すこともできませんでした。 公立小学校 常勤講師 女性(40代)「年齢は、それ(制限)を越えてしまったので、(正規になる試験を)受けることはできない。今、住んでいるところで、正規になる道はもう無い。悔しい、不安、これで老後の資金もためて、死ぬまで働かないといけない。」 高山:ご紹介しました保健体育の飯田先生なんですが、努力が実って採用試験に合格されたので、来年の春から正規の先生として働くことができるんだそうです。 武田:それは本当によかったと思いますが、働き方改革の議論など推進する行政の中で、こういうことが起きているということですね。本当におかしいんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょう。 高山:まず、非正規公務員とは何かをご紹介したいと思いますが、一般的には臨時職員非常勤職員などと呼ばれる立場で1年、それから半年という短い期間で契約を繰り返しながら働いている皆さん。具体的には、どんな仕事があるのか。自治体の窓口業務、保育士など、私たちと直接接する機会が多いという身近な仕事なんですね。 番組では、非正規公務員の皆さんからこんな声が届いています。一部をご紹介します。まずは、司書をされているという30代女性です。 “週5日働いて年収は116万円。アルバイトは禁止。私の現実は「同一労働・半額賃金」。「嫌ならやめろ」ということなのでしょう。” それから、40代の教育委員会で働いていらっしゃる女性の方。 “19年間働いているのに予算の削減を理由に「もう任用しない」と言われた。交渉の結果続けられたが、次の年度どうなるか不安。” こういった非正規公務員の皆さんのリアルな声。特設ホームページの方でもご紹介しています。 武田:取材に当たった寺島さん。本当に深刻な問題だと思いますが、非正規公務員の問題、どれぐらい広がっているんでしょうか。 寺島記者:総務省の調べでは、都道府県と市区町村など合わせて、非正規公務員は2005年の時点で全国に45万人余りでした。それが、2016年には65万人近くになり、10年余りの間に4割も増加したことになるんです。自治体によって契約や待遇は違うんですが、共通するのは給与が低く、契約も不安定だということです。こういった人たちは「官製ワーキングプア」と呼ばれることもあります。自治体に求められる役割が拡大する中、その担い手として、非正規公務員が増えているんです』、「非正規公務員」が「10年余りの間に4割も増加」、「官製ワーキングプア」がこれほど増えているとは、異常だ。
・『武田:石井さんも、これまでの取材の中で、こうした非正規公務員の方に出会えたことがあるそうですね。 ゲスト 石井光太さん(作家)石井さん:ある自治体が、低所得者向けにやっている子ども食堂というのがあります。ごはんを提供したり、夜中まで勉強を見てあげたりということですね。こういったときに、非正規の先生方が子どもをたくさん預けている例というのがあったんです。いろんな先生たちが。 武田:先生方が預けている。面倒見ているんじゃなくて。 石井さん:学校の子どもを面倒見れば見るほど、(自分の子どもを)見ることができない、ごはんもない。だから、そういうところに預けているんです。その先生方が言っていたのは、自分自身の仕事の体験の中から、子どもたちに社会で働けとなかなか言えない。子どもたちのほうも、親が常にお金がないとか、仕事がつらいということしか聞いていない。こういった状況が何を生むかというと、まず1つに、社会に働くことに対する失望感みたいなものが空気として出来上がってしまうと思うんですね。もう1つとして、貧困の連鎖。つまり、子ども自身が社会で働かなくなったり、きちんと進学できなくなる中で、貧困になってしまう。国というのは、応急処置のような形で非正規の先生というのをつけていますけれども、長い未来を見たときに、非正規ではなくて、その先生たち、家族、そして次の世代をどうやってきちんと見ていくかというのが重要なんじゃないかと思います。 高山:取材を進めていくと、自治体にとって市民の命を守るという重要な役割も、実は非正規公務員の皆さんが担っている実態があるということが分かってきました』、「非正規の先生方が子どもをたくさん預けている例というのがあった」、「1つに、社会に働くことに対する失望感みたいなものが空気として出来上がってしまうと思うんですね。もう1つとして、貧困の連鎖。つまり、子ども自身が社会で働かなくなったり、きちんと進学できなくなる中で、貧困になってしまう。国というのは、応急処置のような形で非正規の先生というのをつけていますけれども、長い未来を見たときに、非正規ではなくて、その先生たち、家族、そして次の世代をどうやってきちんと見ていくかというのが重要なんじゃないかと思います」、同感である。
・『近年、相次いで起きている幼い子どもへの虐待事件。児童相談所などの対応の遅れが指摘されています。実はこうした現場でも、非正規公務員が重い責任を負っているのです。 東日本の児童相談所で、非正規として働く女性。臨床心理士の資格を持ち、大学院で博士号も取得。キャリアは10年以上になります。仕事内容は、虐待の疑いで保護した子どもと、その保護者に面接し、子どもを帰すべきかどうか判断する業務。 児童相談所非常勤職員 女性(40代)「子どもは(親元に)帰りたい、親も返してほしいと言っていて、でも自分は心配もあって、本当に帰していいのか、帰さないほうがいいのか。すごく判断にプレッシャーというか、負担になるところはありますね。」 難しい案件に対応するうち、昨年度の残業は500時間を超えました。収入は手取り16万円。しかし、職場のことを思うと、仕事を辞めることは考えられないといいます。 児童相談所非常勤職員 女性(40代)「本当にいま、児童相談所自体が(人が)回らなくて、これだけ(虐待の)通告件数も増えていて、人は急には育たないので、自分が辞めたらもう(職場は)危ういだろうな。辞められないというか、綱渡り状態というのはすごく感じます。いっぱいいっぱいの状況を、どこまで社会が分かってくれているかな。」 重要な仕事の多くを非正規に頼っていたことが、思わぬ形で浮き彫りになったケースも。 大型で非常に強い台風19号が日本を襲った先月、ある自治体に密着取材しました。 「水が足りない。」「水も運んでほしいな。」非正規の職員が半数を占める、茨城県の鹿嶋市。事前に災害対策本部を設置していましたが、思わぬ事態が。 市が定めた防災計画では、非正規の職員は災害対応できないことになっていたのです。 「うちら(市民活動支援課)だけ残ればいいってこと?」「じゃあ、そうしていただけますか。」 福祉担当者の間でも課題が。支援が必要な高齢者を、事前に避難場所に誘導しなければならないのですが…。 「やっぱり、初めての(正規)職員が迎えに行くことになるので。」 ふだん、高齢者とやりとりするのは非正規の仕事。しかし、彼らが不在の中、面識のない正規職員が対応せざるを得ません。 「ケアマネジャーに連絡を入れて、その方がどんな生活か、情報も得たうえで、お迎えに行って、話をして調整するような形で。」 午後7時半。 避難所には、大勢の市民が身を寄せていました。130人を超える市民に対して、対応する職員は2人。 「正規職員で対応しています。非正規の人は、夜間勤務はないです。災害対応勤務という形で、時間も変えてやっています。」 災害時、自治体の仕事は避難所の運営や災害廃棄物の撤去など、多岐にわたります。非正規の職員が急増する中、突発的な事態への対応が難しくなっているのです。 次の日。 夜明けとともに、各地の被害が明らかに。鹿嶋市では住宅の浸水はなかったものの、およそ1万戸が停電。住民からの電話が鳴りやみません。 「復旧のめども、東京電力からは来ていないので。」「確認はしているんですけど、明確にいつ復旧という返事がないので。」 台風対応を通じて浮かび上がった、非正規公務員の重要な役割。こうした実態、あなたはどう考えますか。 武田:災害になって、改めて非正規の公務員の人たちが、ふだんから、いかに私たちの命や暮らしに直結するような仕事をしているかというのが浮かび上がったわけですね。 高山:今年の台風を受けて、鹿嶋市では、災害時に非正規の皆さんに何か役割を担ってもらえないかということで、ご紹介した防災計画の改定に乗り出しています。こうした鹿嶋市の動きは、今後も全国で広がっていくのではないのかと専門家は見ています。 ただ、番組に届いた声には、こんな不安もあります。かつて自治体で働いていた50代の女性です。 “非常勤なのに災害時の呼び出し体制に組み込まれた。もし勤務中にけがを負った場合、補償してくれるのかとても心配でした。” 安全面もしっかり配備してほしいということです』、「“非常勤なのに災害時の呼び出し体制に組み込まれた。もし勤務中にけがを負った場合、補償してくれるのかとても心配でした」、「補償」するのは雇用者として当然の義務だ。
・『武田:西山さんにお話伺います。こういったことを担っているというのが現実だとすると、非正規ではなくて正規の雇用にしなくてはいけないのかと思うんですが、なぜこうなるんでしょうか。 ゲスト 西山志保さん(立教大学 教授)西山さん:自治体にとりまして、非正規の存在が雇用の調整弁的な役割を果たしているのも、非常に大きい問題となっているわけです。その背景にありますのは、少子高齢化の中で地域のニーズが多様化し、そこに対応していかなくちゃいけない。しかし、その一方で国の交付金は削減されまして、税収は減っていく。非常に自治体自身が苦しい状況の中にあるわけです。国は地方分権ということで自治体に自助努力を求め、自立できる自治体は魅力的な地域づくりを自分たちの税収をまかないながらやっていってくださいと。そういった自治体は生き残っていけますが、そういうことができない自治体は「消滅可能性都市」と呼ばれるようになっていってしまうと。その中で、やはり行政が、自治体は合理的なサービスを遂行していかなければならない。その一つが、非正規職員の問題として表れていると考えられると思います。 武田:寺島さん、少しでも待遇をよくしてほしいと思うんですけど、国はそういうことは考えていないんですか。 寺島記者:国はようやく改善に乗り出していて、非正規の公務員の方々が働く自治体に対して、通勤費や賞与の支払いなどを求める新たな制度を、来年度から始めることになっています。民間では、同一労働・同一賃金が叫ばれる中、非正規公務員の待遇改善につなげることがねらいです。その一方で、自治体の予算は限られています。支出額全体が変わらないように、賞与は支払う代わりに基本給を減らすと通告されたという悲痛な声が、現場を取材していたら聞こえてきました』、「自治体にとりまして、非正規の存在が雇用の調整弁的な役割を果たしているのも、非常に大きい問題となっている」、「雇用の調整弁的な役割」というのは企業の場合であって、「自治体」には当てはまらない筈だ。やはり、「非正規」は「自治体」には馴染まないとして、本来の「正規」に切り替えてゆくべきだろう。
・『武田:それでは元も子もないというか、増えてないということですよね。石井さんは、児童相談所の相談は数多くなさっていますが、今のVTR前半はどうご覧になりました? 石井さん:児童相談所の職員って仕事も大変なんですが、代えのきかない仕事だと思うんですね。例えば、虐待家庭から救出するというのも一つの仕事ですが、その後に救出した子どもにどう関わっていくか、社会にどう出していくか、家庭をどう持たせていくか、全体に関わらなければならない。一つの例を挙げれば、ある少女が性的虐待を受けていたとします。そういった少女って、すぐにはなかなか言えない。信頼関係の中で、1年後、2年後にようやく言える。その間に、もし非正規職員でころころ変わってしまったら、言えませんよね。あるいは、勇気を出して言って、すぐ1か月後に変わったらどうなるのか。行政のいろんな問題のしわ寄せが、一番保護されなければいけない子どもたちにきてしまったりするケースもあるんですね。そう考えても、僕たちがしなくてはいけないのは、すべてをコストカットという見方ではなくて、どこが重要なのか、どこが変えちゃいけないのかを見極めることが必要になってくるのではないかなと思います。 武田:西山さん。求められる行政サービスが虐待への対応であったり、災害も増えていますよね。どんどん多様化して、広がっているということもあるんですか。 西山さん:そういった多様化するニーズに対応しなくちゃいけないというニーズが高まっている一方で、やはりそこに対応できるだけの十分な財源がないということで、今までのサービスを維持することが非常に難しくなってきているわけですね。その中で、行政がサービスをカットするだけでは魅力的な地域づくりはできませんので、どこを担っていくべきかということを見直していかなくちゃいけないという時期に、今まさに来ていると。 武田:行政の役割って、どこまでなんだろうと考えなくてはいけないと』、「児童相談所の職員」は少なくとも「正規」に切り替える必要がある。
・『高山:問題の根っこにあるのは「自治体の財政難」。これから、ますます財政状況が厳しくなることを見越して、模索を続ける自治体を取材しました。 滋賀県大津市。 経費削減のため、市は非正規の職員を4割まで増やしてきました。しかし、コストカットも限界。将来税収が減ることを見越して、ある計画を打ち出しました。 それは、住民票の発行業務などを行う支所の統廃合。36の支所のうち、26か所を閉鎖することで、減収分を補おうとしたのです。 支所で働く人の7割は非正規の職員。雇用にも影響が出ることになります。 大津市市民部 井上佳子部長「大変難しいことなんです。税収がさがってきますので、予算が限られています。(削減額は)4億8000万円を1年間でというふうに考えておりました。」 市の方針に、住民は激しく反発。 住民「住民をちゃんと守ってほしい。」「現にサービスの低下になっているのではないか。」 サービス縮小の候補となったのは、高齢化が進み、支所の利用が減っている地区。反対する理由を聞いてみました。 住民「災害が起こった折に、ほんまに対応しきれんのけ?」「(市に)お金が無いっていうのことは、誰でも理解しているところですわ。その対策は、何か考えなあかんのは分かっているんですけどね。私らにしたら、一番の住民サービスが支所。そういうものが無くなる。」 高山:住民からの反対を受けて、大津市では支所の統合は断念。その代わりに、窓口の開いてる時間を短縮しましょうという方向で、住民の皆さんと話を続けている最中です。住民の皆さんは、これから財政の状況が苦しくなってくるというのは十分に承知していて、ただ急に支所がなくなりますよと言われますと、安心がなくなる、不安が増幅する、戸惑いというのが隠せなかったというのが実情のようです。 武田:西山さん。今後ますます少子高齢化が進んで人口が減っていくというなかで、私たち自身も行政サービスをどこまで求めていいのか。それも考えていかなければいけないという気がしました。 西山さん:今までのサービスを維持していくのは不可能な段階にきていますので、サービスの提供の在り方という意味で、新しい方法を考えていかなくてはいけない。「行政と市民(NPO)の協働」というのが1つの案としてあると思います。 例えば、先ほど石井さんのお話に出ました子ども食堂の話で言いますと、運営自体はNPOがして、財政支援をする形で運営されているところがあります。こういったところは、NPOが心のケアや貧困への対応ということで細かいケアを担って、行政がそれを支援していくということで、協働の形が1つ表れている例となりますので、下請けではなくて市民との協働ということで、行政がサービスの新しい形を模索していくということが1つ、大きな重要な点となっていると思います。 武田:行政の下請けじゃなくて、一緒に事業をやっていくということですね。 西山さん:そうですね。 武田:市民も参加していけるようになると、こういった非正規の問題も緩和されていく可能性もあると。行政の効率化が避けられないとしても、非正規の人たちの志というのを、それに報いられるような形で改革を行ってほしいなと思いましたけど、石井さんどうでしたか。 石井さん:僕が強調したいのは、今まで僕たちが享受していた行政サービスというのは、あくまでも非正規の人たちの犠牲の上に成り立っていたと思うんですね。僕が知っている例ですと、ある障害者を抱える家庭がありまして、そこに対して行政の非正規の方が支援をしていた。ずっと見守りをしていた。お金もない、給料もすごく低いんですが、頑張っていた。その支援者にとっての心の支えというのは、家族からありがとうと言ってもらえることだったんです。だからずっと頑張れた。だけど、支援者の家庭の旦那様が病気になられて、家庭がうまくいかなくなってしまって、しぶしぶ辞めざるをえなくなってしまったんですね。そうしたら、残された障害者をもっている家庭が、実は心中未遂を起こしてしまったという痛ましい事件があったんです。僕たちは、今まであるものが当然だと思っていて、その人に無理を押し付けてきた結果だと思うんですね。 そう考えたときに、僕たちは何をしなければならないのかというと、非正規で最前線で働いている方に、当然という見方ではなくて、必死に働いてくれることに対して感謝の気持ちを持って、社会としてどうやってその人たちの存在をきちっと守っていくのかが重要になってくる。次の世代に対して、負の遺産を残してしまいかねないと思うんですね。それをしないために、そういった人たちのスキルだとか、善意だとか、そういったものが社会の中で尊重されるような形で守っていきたいなというふうに思っています。 武田:寺島さんは取材して、どういうふうに感じましたか? 寺島記者:非正規公務員の方を取材していて強く感じたのは、仕事への真摯な姿勢や熱意と、その待遇へのギャップです。総務省は、待遇改善に取り組む自治体を支援しようと交付金を出すことを検討していますが、まだ、実際にどこまで実効性があるのかは分かっていません。非正規の力を活用しなければ、行政サービスが立ち行かなくなるところまできていると思います。一人一人がそのことを実感するのが大切だと思いました。 武田:今、石井さんもおっしゃいましたけども、非正規公務員の皆さんの力によって、私たちの暮らし、命というギリギリのところまで維持されているんだということ、これからどういうふうな行政の形があるのか。一人一人が考えなくてはいけない時代になってきていると思いました』、「大津市」の「支所の統合」への反対の例は、住民の甘え的な色彩もある。ただ、「非正規公務員の皆さんの力によって、私たちの暮らし、命というギリギリのところまで維持されているんだということ、これからどういうふうな行政の形があるのか。一人一人が考えなくてはいけない時代になってきている」、その通りだろう。

次に、本年8月30日付け週刊エコノミストOnline「忖度、更迭、意外な栄転……「官僚たちの夏」2020年霞が関人事を読み解く【週刊エコノミストOnline】」を紹介しよう。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200818/se1/00m/020/006000c
・『国交省 来夏の次官狙う運輸  国土交通次官は栗田卓也氏(1984年建設省)に決まり、もう1人の有力候補だった由木文彦氏(83年建設省)は復興次官に就いた。栗田氏は「社交的」との評で、政治家や、次官人事に一定の影響力を持つ人事課OBに、由木氏は「王道の仕事をする」との評で、後輩に支持が広い。形式上は栗田氏に軍配が上がった。 過去にも、次官の輪番が建設事務官に回ってきた際、評価が分かれた人事があった。2013年に国交次官に就任したのは増田優一氏(75年建設省)だったが、同期の中島正弘氏を推す声も強かった。結局、中島氏は復興次官に回ったが、増田国交次官の統率力を疑う声が上がった。今回も省内に禍根が残っており、栗田氏の統率力が問われる。 一方で、次期次官を巡って、早くも運輸事務と建設技官でさや当てが始まっている。 国交次官は建設事務→技官(主に旧建設省)→運輸事務の輪番だ。原則に従えば、来年は技官の番だ。一見すれば、技術畑トップの山田邦博技監(84年建設省)=写真上=が妥当にも見える。ただ、山田氏は62歳で、次官級としての定年に達している。新年度を迎えれば定年延長が必要になるが、それは「技監としての才能が余人をもって代えがたい」という趣旨だ。技監としての定年延長を、次官には持ち込めない可能性が高い。 対抗する運輸事務勢力は「3者の輪番は原則論にすぎない。2年に1度は次官を狙う」との不文律がある。実際、来年次官を狙うべく、藤井直樹国土交通審議官(83年運輸省)=写真下=を留任させた。 藤井氏は、栗田次官より年次が上。慣例に従えば今夏で退官するか、「上がりの栄誉ポスト」である観光庁長官に栄転する。しかし、観光庁長官には藤井氏より年次が下の蒲生篤実氏(85年運輸省)が就く。 慣例まで破って続投が決まった藤井氏は、自動車や鉄道の担当局長を務めた。運輸系の次官OBもその才覚を認めて「来年は藤井で勝負する」と張り切っているようだ。藤井氏は、第1次安倍政権で官邸に出向し、運輸行政とは関係はないが、北朝鮮の拉致問題を担当し、中山恭子首相補佐官(当時)を支えた。当時の働きぶりから、官邸の政治家やスタッフは好印象を持っているとみられる』、やはり「官邸に出向」は、切り札になるようだ。
・『財務省 不振の「84年組」  財務省のサプライズ人事は、主税局長だった矢野康治氏(85年大蔵省)が、重要ポストである主計局長に就いたことだった。主計局長は、次官への待機ポストで、来夏の“矢野次官”誕生が濃厚になった。 事務方は当初、可部哲生理財局長(同)を主計局長とする案を政治家側に提示したが拒否された。結局、可部氏は国税庁長官に回った。事務方が矢野氏を主計局長に就けることで妥協したのは、官邸へのそんたくもあったとみられる。矢野氏が菅義偉官房長官秘書官を務めたことに配慮したようだ。 ただ、安倍晋三首相秘書官を務めた中江元哉関税局長(84年大蔵省)は別だ。今夏、官邸が論功行賞として、中江氏を次官級である国税庁長官に就任させるとの観測もあったが、結局退官となった。 財務省では毎年次、次官は無理でも国税庁長官は輩出していた。同期の美並義人東京国税局長もかつては国税庁長官の候補者だったが、結局なれずじまい。美並氏は、森友学園問題発生時の近畿財務局長だった。84年入省組は次官にも国税庁長官にも就けなかった』、「美並氏」の場合、「森友学園問題発生時の近畿財務局長だった」のが逆に頼りないとみられたのかも知れない。
・『環境省 異色の財務出身次官  環境次官に就いた中井徳太郎氏(85年大蔵省)は、財務省の矢野主計局長らと同期。04年に東京大学医科学研究所教授へ出向した異色の経歴を持つ。大学の組織改革に取り組んだが、総長選での現職落選など学内の混乱もあり、苦労したようだ。 11年に環境省へ。同省での功績は、地球温暖化対策税の税収を経済産業省と折半にしたことだ。同税は12年の導入から税率を引き上げて、増収分を省エネ関連政策を多く抱える経産省に充てるとみられていた。しかし、中井氏は同じく財務省出身の鈴木正規元環境次官と共に、財務・経産省に粘り強く交渉。税率引き上げ後も税収の半分を得ることに成功した』、「財務出身」であれば、「税率引き上げ後も税収の半分を得ることに成功」、などお手のものだろう。
・『経産省 次官候補次々去る  経済産業省では安藤久佳次官(83年通商産業省)が続投する。今夏の人事では官邸の信頼が厚く、安倍政権の経済政策策定の中心を担ってきた新原浩朗経済産業政策局長(84年同)の次官就任観測があったが、留任した。「部下に厳しく組織運営に向かないタイプ」(経産省官僚)との評判で省内には安堵(あんど)感が広がる。今年61歳になる年齢もネックとされ、霞が関では「次官就任の可能性はほぼ消えた」との見方が出ている。 対抗馬と目されていた糟谷敏秀官房長(84年同)は特許庁長官に就任。特許庁長官から次官への昇格はほとんどなく、次官就任の可能性は低くなったとされる。85年入省の次官候補だった高橋泰三資源エネルギー庁長官、西山圭太商務情報政策局長はそろって退職。後任次官は86年入省まで若返るとの観測が浮上する。筆頭候補は多田明弘官房長。製造産業局長などを歴任し、後輩からの信頼も厚く一部で待望論もある。 前田泰宏中小企業庁長官(88年同)=写真=は留任した。「持続化給付金」事業を受託した団体幹部と17年の米国出張時に「前田ハウス」と名付けられたシェアハウスで開いたパーティーで接触したことが明らかになり、国会では野党から追及を受けた。「法に触れたわけではなく、更迭する理由もない。ただ今後も追及されるリスクはある」(経産省官僚)』、「前田泰宏中小企業庁長官・・・は留任」、居直りの典型だ。
・『総務省 郵政系 官房長取れず  総務次官は、昨年12月に鈴木茂樹氏(81年郵政省)の更迭を受けて急きょ就任した黒田武一郎氏(82年自治省)が続投する。 注目は官房長人事だ。内閣総務官を2年間務めた原邦彰氏(88年自治省)=写真=が就いた。前任者よりも3年次若返る抜てき人事だ。総務省の慣例では、次官と官房長は同一の旧官庁からは出さないようにしている。次官、官房長とも旧自治省としたのは、高市早苗総務相の「郵政不信」が背景にありそうだ。現在、2度目の総務相を務める高市氏は、1度目の在任時から郵政官僚には不信感を持っていたとされる。さらに昨年12月には、鈴木総務次官による情報漏えいが発覚し、郵政官僚不信が増幅したとしてもおかしくない。 原氏は3年前、異例の若さで総務官含みで内閣審議官へ出向。18年に総務官に昇格した。総務官は、首相や官房長官答弁作成の司令塔を担い、閣議案件を皇室側に報告することから、首相、官房長官、皇室側とのパイプができる。令和への代替わりでも官邸と皇室側の間で黒衣役を務めた。行財政にも明るく、いずれ次官の呼び声が高い』、「郵政系 官房長取れず」は、「高市早苗総務相の「郵政不信」」を別としても、当然だろう。

第三に、6月30日付けAERAdot「古賀茂明「官邸のえこひいきで堕落した官僚」〈週刊朝日〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2020062900058.html?page=1
・『先週号の本コラムで「チャラ男」官僚について書いたところ、霞が関の「官僚像」について多くの取材を受けた。 一般に、日本のキャリア官僚は、「優秀」で「勤勉」だと言われる。 憲法15条第2項には、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と書かれているが、普通の官僚は、その原則を守る善人であるように思える。 さらに、官僚と言えば、「クソ真面目」で、羽目を外すことはないという安心感もある。 こうした官僚像は、間違いとは言えない。そういう官僚も現に存在する。 しかし、昨今話題に上る官僚たちは、こうした伝統的イメージからかなりかけ離れている。 例えば、「優秀」な官僚の中でも選りすぐりの超エリートだと目される「官邸官僚」たち。その筆頭格である今井尚哉総理補佐官兼秘書官は、突然の学校一斉休校の強行で総スカンを食った。その配下にいる経済産業省官僚チームは「アベノマスク」で日本中の怒りや失笑を買い、星野源氏とのコラボ動画では大ブーイングを呼んだ。「優秀」どころか「バカ」ではないか。 長谷川栄一総理補佐官兼内閣広報官が演出する安倍総理の記者会見は、露骨な「やらせ」ばかりが目立ち、会見の度に国民の心が離れていく。こちらも「優秀」とは程遠い。 経産省ではないが、国土交通省出身の官邸官僚、和泉洋人総理補佐官は、厚生労働省の女性審議官と出張の度に「コネクティングルーム」に宿泊という不倫疑惑。「不真面目」の象徴だ。 さらに、先週号でも取り上げたが、安倍政権の屋台骨である経産省では、第1次補正予算の目玉である持続化給付金事業で、トンネル団体を使った電通丸投げという「怠慢」行政が露呈。それを担当した前田泰宏中小企業庁長官が、過去に米テキサス州視察の際に「前田ハウス」と呼ばれる借り上げ住宅で本件に関与する電通職員(当時)とパーティーに同席していたことも発覚。そのチャラ男ぶりも目に余る。一体、官僚とは何なのか。そういう疑問が出てきてもおかしくない』、経産省出身の「古賀」氏にしてみれば、さぞかし歯がゆいことだろう。
・『結論から言えば、官僚は優秀でも勤勉でも公正でもクソ真面目でもない。大学入試の時にテストができただけで、その後ひたすら「省益」のために働く。ほとんど進歩がなく、幹部クラスの多くは使い物にならない。 公務員試験では、自分のためでなく社会のために働けるかという評価はなく、「公正」の保証も全くない。 しかも、最近は、前近代的な職場環境を嫌って官僚よりも外資に優秀な人材が流れ、二流人材が役所に集まる。5~6年働いて、箔をつけて辞めようという確信犯的チャラ男たちも増える。 一方で、今は少数派となった真面目な官僚たちは「弱い人間」だ。国民のことよりも上に媚びたほうが得だとなれば、正しい道から外れてしまうことも多い。 だからこそ、国のリーダーは、自らを強く律し、国民のために身を投げ出す覚悟を示さなければ、官僚たちを正しい道に導くことができない。 しかし、残念ながら、官僚たちは、安倍総理が非常に不真面目で「えこひいき」な人間だと見抜き、出世のためにはそこに取り入るしかないと考えている。「バカで怠慢、えこひいきのチャラ男」官僚たちが羽目を外し、この国を滅ぼす。 それを止めるには、安倍総理以外のリーダーを選ぶしかない』、次期「総理」の呼び声が高まっている菅官房長官は、官邸で官僚たちを操ってきた張本人なので、残念ながら「「バカで怠慢、えこひいきのチャラ男」官僚たちが羽目を外し、この国を滅ぼす」流れは、続かざるを得ないようだ。
タグ:次期「総理」の呼び声が高まっている菅官房長官は、官邸で官僚たちを操ってきた張本人なので、残念ながら「「バカで怠慢、えこひいきのチャラ男」官僚たちが羽目を外し、この国を滅ぼす」流れは、続かざるを得ないようだ 官僚は優秀でも勤勉でも公正でもクソ真面目でもない。大学入試の時にテストができただけで、その後ひたすら「省益」のために働く。ほとんど進歩がなく、幹部クラスの多くは使い物にならない 「古賀茂明「官邸のえこひいきで堕落した官僚」〈週刊朝日〉」 AERAdot 総務省 郵政系 官房長取れず 経産省 次官候補次々去る 環境省 異色の財務出身次官 財務省 不振の「84年組」 国交省 来夏の次官狙う運輸 「忖度、更迭、意外な栄転……「官僚たちの夏」2020年霞が関人事を読み解く【週刊エコノミストOnline】」 週刊エコノミストOnline 非正規公務員の皆さんの力によって、私たちの暮らし、命というギリギリのところまで維持されているんだということ、これからどういうふうな行政の形があるのか。一人一人が考えなくてはいけない時代になってきている 「大津市」の「支所の統合」への反対の例は、住民の甘え的な色彩も 児童相談所の職員」は少なくとも「正規」に切り替える必要 「雇用の調整弁的な役割」というのは企業の場合であって、「自治体」には当てはまらない筈 自治体にとりまして、非正規の存在が雇用の調整弁的な役割を果たしているのも、非常に大きい問題となっている 「補償」するのは雇用者として当然の義務だ “非常勤なのに災害時の呼び出し体制に組み込まれた。もし勤務中にけがを負った場合、補償してくれるのかとても心配でした 1つに、社会に働くことに対する失望感みたいなものが空気として出来上がってしまうと思うんですね。もう1つとして、貧困の連鎖。つまり、子ども自身が社会で働かなくなったり、きちんと進学できなくなる中で、貧困になってしまう。国というのは、応急処置のような形で非正規の先生というのをつけていますけれども、長い未来を見たときに、非正規ではなくて、その先生たち、家族、そして次の世代をどうやってきちんと見ていくかというのが重要なんじゃないかと思います 非正規の先生方が子どもをたくさん預けている例というのがあった 「官製ワーキングプア」がこれほど増えているとは、異常だ 「10年余りの間に4割も増加」 非正規公務員 揺れる“非正規公務員”急増する背景に何が? 非正規は公務員の3分の1を占めるまでに 「揺れる“非正規公務員” ~急増する背景に何が?~」 NHKクローズアップ現代+ (その4)(揺れる“非正規公務員” ~急増する背景に何が?、忖度 更迭 意外な栄転……「官僚たちの夏」2020年霞が関人事を読み解く【週刊エコノミストOnline】、古賀茂明「官邸のえこひいきで堕落した官僚」〈週刊朝日〉) 公務員制度
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