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コンビニ(その8)(セブン 米コンビニ「2兆円買収」再挑戦の賭け アメリカで「日本流コンビニ」は浸透するのか、伊藤忠がファミマをTOB 止まらぬ「店舗崩壊」に不安の声、コンビニ「24時間営業の見直し」議論がコロナで後退の舞台裏) [産業動向]

コンビニについては、3月16日に取上げた。今日は、(その8)(セブン 米コンビニ「2兆円買収」再挑戦の賭け アメリカで「日本流コンビニ」は浸透するのか、伊藤忠がファミマをTOB 止まらぬ「店舗崩壊」に不安の声、コンビニ「24時間営業の見直し」議論がコロナで後退の舞台裏)である。なお、タイトルから「小売業(」はカットした。

先ずは、8月7日付け東洋経済オンライン「セブン、米コンビニ「2兆円買収」再挑戦の賭け アメリカで「日本流コンビニ」は浸透するのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/367654
・『一世一代の大勝負は吉と出るか――。 8月3日朝、小売り大手のセブン&アイ・ホールディングス(HD)から突然のリリースが発表された。 内容は、セブン&アイHDの完全子会社でありアメリカのセブン-イレブン事業などを運営する米セブン-イレブンが、現地の石油精製会社マラソン・ペトロリアムのコンビニエンスストア併設型ガソリンスタンド「スピードウェイ」部門を買収する契約を結んだというもの。買収額は210億ドル(約2兆2200億円)に上り、買収完了は2021年度第1四半期の期間中(2021年1~3月)を見込む。 この買収は、セブン&アイHDにとって過去最大規模となる。これまでのセブン&アイHDによる最高買収額は、2018年1月に米セブンがコンビニを併設するガソリンスタンドの店舗網1030店を米スノコLPから取得した際の31億ドル(当時の為替レートで約3400億円)だったが、今回はそれを軽く上回った』、「コンビニを併設するガソリンスタンド」買収は2回目だったようだ。
・『米セブンの営業利益は倍増  米セブンの2019年12月期の業績は、総売上高361億ドル(約3兆8100億円)、営業利益11億ドル(約1160億円)。スピードウェイの2019年12月期の総売上高268億ドル(約2兆8300億円)、営業利益11億ドルと単純合算すると、買収によって米セブンの営業利益は2倍へと増加する。 日本のコンビニの成長が頭打ちとなり、不振が続くGMS(総合スーパー)のイトーヨーカドーや百貨店のそごう・西武を抱えるセブン&アイHDの中で、アメリカのセブンは成長ドライバーとして期待されてきた。セブン&アイHDの井阪隆一社長は8月3日に行われた会見で、「コンビニを軸とした、真のグローバルリテーラーとなる歴史的な一歩になる」と強調した。 今回の買収でセブンが手に入れるのは、スピードウェイの店舗約3900店。アメリカは日本とは異なり、コンビニ業界での寡占化が進んでいない。セブンは北米で9802店(2020年5月末時点)を展開し、店舗数はトップを走るが、そのシェアは約6%にとどまる。買収が成立すれば、スピードウェイを加えて約1万4000店体制となり、2位に7000店以上の差をつけることになる。 世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大する中だが、「コロナが永遠に存在するわけではないと思う。5年先、10年先を考えたときに、約4000店のチャンスはわれわれの成長にとって大きなメリットになると判断した」(井阪社長)。 トップシェアを強固なものにしてセブンが狙うのが、ハンバーガーやサンドイッチなど注力中のオリジナル商品の導入や、会員基盤の拡大や宅配サービスの展開拡大などサービス強化、店舗数拡大による購買力向上や配送効率化だ。 とくに、アメリカでは現在、コンビニは給油のついでに買い物をする場所という存在だが、オリジナル商品の強化によって、コンビニに行くことを目的とする消費者を増やしていく。同時にセブンはスピードウェイからガソリン販売のノウハウを手に入れる。「お互いのベストプラクティスを共有できる。(買収は)すばらしい2社の結婚といえる」(米セブンのジョセフ・マイケル・デピント社長)』、「アメリカ」で「オリジナル商品の強化によって、コンビニに行くことを目的とする消費者を増やしていく」、という夢が、「米スノコLPから取得した」「コンビニ」では上手くいっているのだろうか、気になるところだ。
・『ガソリンスタンドでも安定収益  ただ世界的にEV(電気自動車)が浸透し始め、環境規制も強化されつつあり、脱ガソリンの動きが強まっている。こうした現状についてセブン側は、ガソリンスタンドを中核とする店舗でも、中期的に安定的な収益を得られるとにらむ。 アメリカのエネルギー情報局によると、現地の2020年から2050年までのガソリン消費量の年平均成長率はマイナス0.4%とほぼ横ばい。しかもコロナ禍におけるGPSデータによると、アメリカでは公共交通機関の利用者が減る一方、車による移動距離がコロナ前よりも増えているという。 米セブンのデピント社長は、「EVの普及率は2019年の1.8%から2050年までに11.2%まで上がる見込みだが、それを上回るスピードで人口そのものが増える。EVの充電施設に力を入れることがゆくゆくは必要になるかもしれないが、長い目線での話になる」と説明する。 セブンオリジナル商品を導入することによるスピードウェイでの商品売り上げの増加や購買力強化によって、2025年2月期には米セブンの営業利益が4億7500万~5億7500万ドル(約500億~600億円)押し上げられるとセブン&アイHDは見込む。 この買収は、2度目の挑戦だった。今春、セブンによるスピードウェイ買収は約220億ドルで検討していたとされるが、折り合いがつかなかった。当時は巨額の買収費用に加え、ガソリンスタンドを中核とする店舗を買収することに、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点において、セブン&アイの社内からも懸念の声が上がっていた。 だが新型コロナの影響で石油需要が減少する中で、中核の石油精製事業が大幅な赤字となったマラソン側が再度売却を検討したと見られ、」のが、「「千載一遇の案件が出てきた」(井阪社長)。 巨額買収が決定したセブン&アイHDは3日の説明会で、割高な買収ではないことを繰り返し強調した。EV/EBITDA倍率(企業価値をEBITDAで割った値)は13.7倍に上るが、アメリカでの節税効果30億ドル、重複する店舗約200店の売却効果10億ドル、不動産など資産を売却しリース契約で借りるセール&リースバックで50億ドルの効果が見込めるという。それらを踏まえると、実質的な取得価額は210億ドルから120億ドル(約1兆2670億円)となり、EV/EBITDA倍率は7.1倍まで下がると、会社側は主張する。 UBS証券の守屋のぞみアナリストは、「210億ドルの買収額は額として大きいし収益性の面からも割高だが、セール&リースバックなどを踏まえて4000店弱を120億ドルで手に入れられるなら必ずしも割高ではないだろう」と評価する』、当初「約220億ドルで検討していたのが、「210億ドル」では必ずしも「千載一遇の案件」とはいえない気もする。「セール&リースバック」で実質的に「120億ドルで手に入れられる」とはいっても、リース料の分EBITDAが縮小する筈だ。
・『日本流は浸透するのか  巨額買収の資金の内訳は、ブリッジローン130億ドル、セブン&アイHDから米セブンへの増資80億ドルで賄う予定だ。新株発行による資金調達はせず、株式が希薄化しない点も説明会で強調された。 買収が発表された3日のセブン&アイHDの株価は、一時は前営業日の終値より268.5円下がる2937.5円にまで急落。だがその後の株価は買収発表前の水準まで戻している。UBS証券の守屋アナリストは、「株式市場では買収規模への懸念がまず広がったが、実質取得価額を120億ドルまで抑えるスキームや株式の希薄化がないという説明が出て、懸念が少し和らいでいる。ただ、米セブンの強みを生かして物販の売り上げ増加を会社が説明する時間軸で実現できるのかは、規模が大きいので丁寧に見る必要がある」と話す。 現在米セブンはセブン&アイHDの傘下にあるが、もともとはアメリカ発祥のチェーンで、セブン-イレブン・ジャパンの前身がライセンス契約を結び日本での展開が始まった歴史がある。ある小売業界関係者は、「『日本流を広める』というのは幻想。日本のセブンはアメリカ流を排したことで成功したが、(商品を強化するという)日本流をアメリカに植え付けるのはその裏返しで、有効なのか疑問だ」と懸念する。 また、買収で見込むシナジーを生むための施策を実行できるのかも注視する必要がある。米セブンのデピント社長は、セブン&アイHDの井阪社長が掲げる米セブンの商品強化に以前から賛同しているようだが、担当者レベルまで方向性が十分に浸透しているかは未知数だ。 懸念点として残るESG(環境、社会、ガバナンス)について米セブンは、以前は2027年の二酸化炭素の排出量を2015年比で20%削減する目標を掲げていたが、今回の買収を受けて40%へと引き上げるなど、目標をより厳しく設定した。 コンビニ事業として見ると、合理的にも見える大型買収。ただ計算どおりに統合が進むとは限らない。2兆円を超す巨額買収は、セブン&アイにとって決して失敗が許されない大勝負となる』、「『日本流を広める』というのは幻想・・・日本流をアメリカに植え付けるのはその裏返しで、有効なのか疑問だ」との見方に同感である。今後、「セブン&アイHD」のお荷物になる懸念もありそうだ。

次に、8月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリージャーナリストの赤石晋一郎氏による「伊藤忠がファミマをTOB、止まらぬ「店舗崩壊」に不安の声」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/246953
・『8月24日に応募が締め切られた、伊藤忠商事によるファミリーマートへのTOBが成立した。伊藤忠は総額5809億円を投じて1株2300円でファミマ株を買い付け、完全子会社化を実現することになる。ファミマは上場廃止となり、これまでも囁かれ続けてきた伊藤忠支配がより一層強化される見込みとなった。社内ではため息とともに将来を不安視する声が囁かれた』、「社内ではため息とともに将来を不安視する声が囁かれた」、とは穏やかではない。どういうことなのだろう。
・『ファミマ社内で広がる失望感  「今後、ファミマはますます競争力を落としてしまうかもしれない。伊藤忠支配のもと、お客様ファーストは実現できるのだろうか――」 コンビニ3強の一角として長らく君臨してきたファミマ。本稿ではTOBの裏側で揺れ続けてきた社内の様子をレポートしていきたい。 約1カ月前の7月8日、伊藤忠はファミマ子会社化の方針を発表した。報道を受け、澤田貴司社長は、夜に緊急で管理職以上の社員を集め、壇上からこう説明したという。 「これまで、お客様、加盟店、そして株主を見て我々は活動してきた。TOBによって上場を廃止することで、株主ではなく、加盟店、お客様に集中する環境を作ることができる」 ファーストリテイリング副社長などを歴任し、プロ経営者としてファミマに招聘された澤田。その力強い声とは裏腹に、語られるメッセージはただ空しく響くだけだった。 「社員の中には一部上場企業という看板を失うことへの失望感を口にする人もいます。澤田社長は記者会見で『伊藤忠を使い倒す』とコメントをしていましたが、実態は真逆です。もはやファミマは伊藤忠の利益搾取の場所なのです。今後、さらに容赦なくファミマが伊藤忠の“草刈り場”になるのは目に見えています。お客様に集中するために完全子会社化するという理屈も意味不明です。だったら、出資比率を以前の30%(注33.4%)に戻し、親会社への忖度なく目の前の商売に集中させてほしい、というのが社員の本音なのです」(ファミマ社員)』、「もはやファミマは伊藤忠の利益搾取の場所・・・出資比率を以前の30%(注33.4%)に戻し、親会社への忖度なく目の前の商売に集中させてほしい」、との「社員の本音」はその通りなのだろう。
・『コンビニ3強で一人負け状態  かねて伊藤忠支配による弊害が指摘されていたファミマ。それが完全子会社になることによって何が起こるのか。別のファミマ社員は、内情をこう語る。 「以前からも発注先について、伊藤忠出向社員から『なぜ伊藤忠グループを使わないんだ?グループで金を回したほうがいいだろう』と文句を言われてきたのが、今後は全ての事柄が伊藤忠ありきで進むことは確実です。例えばセブンイレブンは商社と一線を引いているから、変な力学なく取引先を競争させて、最も良い商品を常に提供できる。ファミマの社員ですら、『自分が消費者なら、セブン一択』と言っている。それぐらい、もう使っている原材料から工場の機材、こだわり抜いた製法まで、商品のクオリティが別次元なのです」 伊藤忠支配の弊害は、消費者向けの商品だけにとどまらないようだ。 「例えばファミマが使用している店舗システムは、CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)という伊藤忠グループ会社が開発に大きく関与したものを使っています。だが、高い開発費や運用費に対して、発注や個店分析などの機能がとにかく使い勝手が悪く、加盟店からは『おんぼろマシン』と呼ばれている。サークルKからファミマに転じた加盟店からも『サークルKのNEC社製システムよりもはるか使い勝手が悪い』と不平だらけ。でも、CTC以外の選択肢なんて口が裂けても言ってはならないのです。人手不足の中、こんなシステムを使わなくてはならない加盟店が可哀想です」(別のファミマ社員) 新型コロナウィルスの影響でコンビニ各社は売り上げ減が続くなど、苦戦している。7月の既存店売上はセブンイレブンが5.1%減、ローソンは8.9%減、そしてファミマだけ10.8%減と2桁のマイナスを記録している。 ある流通アナリストは語る。 「小売流通業界からすると、不祥事もないのに、このファミマ一ト1人負け状態は異常事態。この数年間、本当にパフォーマンスだけで、何もしてこなかったことが、コロナ禍で露呈した」 しかも、この減速の主要因は、ファミチキ以来14年間、ヒット商品がないというレベルの一過性のものではなく、はるかに根深い』、「伊藤忠支配の弊害は、消費者向けの商品だけにとどまらない・・・店舗システムは・・・伊藤忠グループ会社が開発に大きく関与したものを使っています。だが、高い開発費や運用費に対して、発注や個店分析などの機能がとにかく使い勝手が悪く、加盟店からは『おんぼろマシン』と呼ばれている」、「伊藤忠」はこうした「ファミマ」社員の不満を認識しているのだろうか。認識しても、目先の利益のため見て見ぬふりをしているのかも知れない。
・『減速の最大要因はフードロス対策  減速の最大要因の一つとされているのがファミマの「フードロス」対策だ。恵方巻の大量発注、大量廃棄などが消費者から問題視され注目されたフードロス問題。ファミマはいち早く対策に取り組み、「恵方巻やウナギ、クリスマスケーキなどの季節商品は完全予約にする」「鮮度向上による販売期限の延長」などの方針を打ち出した。同時に社内や加盟店に対して、本社・経営企画部が旗振り役となり澤田社長と一緒になって「廃棄ロス(フードロス)をなくせ!!」の大号令を現場に出したのだ。 「この言葉を聞いて店舗側が、日々の通常商品まで商品発注においてリスクを取らないようになってしまったのです。結果、棚に商品がないという欠品状態が続出している。セブン、ローソンと比べても、ファミマだけ棚がスカスカなので恥ずかしい。一度、お店をスイッチしたお客様は、もう戻ってこない。近隣の競合コンビニにドンドン人が流れていっています。季節商品の過剰な無駄は確かに問題です。しかし本社が廃棄ロスを出すなという安易なメッセージを出してしまったことで、店舗が“販売機会のロス”が出ても良しとする空気を作ってしまった。こうした状況が一人負けを生み出している」(ファミマ社員) このファミマの状況には、競合チェーンの店舗カウンセラーも驚く。 「フランチャイズビジネスにおいて、加盟店の発注をいかに促進するかというのは、根幹中の根幹。本部は加盟店との信頼関係を何年もかけて、あの手この手で積み重ねて、しっかりと商品を発注してもらう。そのために、千人規模の店舗指導スタッフがいる。もしファミマが発注しなくていいという方向に舵を切ったなら、加盟店は二度と勝負をかけた発注はしないでしょう。しかし、発注しなくていいなんて、コンビニビジネスの根幹を揺るがす大問題。チェーン崩壊の引き金となりかねない。ウチのチェーンでは、とても信じられない……」 本社側は売り上げ減を「オフィス立地の店舗が多い」と釈明しているが、ファミマ現場社員はみな「発注がかからず、お店に商品がないことが理由」と認識しているのだという。ただ、加盟店の士気の低下はこれに留まらず、さらに深刻だ』、「廃棄ロス・・・をなくせ!!」、自体は必ずしも悪くはないが、「店舗側が、日々の通常商品まで商品発注においてリスクを取らないようになってしまったのです。結果、棚に商品がないという欠品状態が続出している」、という悪影響をもたらしたのは問題だ。。
・『経営を揺るがす最低保証問題とは  「コロナの影響で売り上げが大幅ダウンしているが、本部からは何らまともな方針が出てこない。最近の加盟店は、もう店づくりを止めて、最低保証を狙いに行こうという機運が高まっている」(前出のファミマ社員) どういうことか? ファミマ本部と加盟店の契約では、加盟店の総収入を年間で2000万円(24時間営業の場合)、本部が補填などの手立てを行い保証してくれるという制度がある。 最低保証になると、この2000万円から、商品の廃棄費用やアルバイト人権費、経費などを差し引き、だいたい加盟店オーナーの夫婦で300万~400万円の年収になる計算だ。10年間365日24時間、人不足で深夜まで夫婦交代で店舗に立ち続けて夫婦二人で年収300万円とは、決して高収入とはいえない。しかし、コロナの影響下で最低保証狙いに走る加盟店が急増しているというのだ。 「平時なら、日商40万円の店舗にスーパーバイザー(SV)が『50万円を目指しましょう』と言って二人三脚で頑張って店づくりをしていきます。でもコロナ時代に、売り上げは下がる一方で、本部も何ら加盟店の心をつなぎとめる指針を出せていない。だったら、『もう頑張らずに、発注を止めて、(最低保証の目安ラインである)日商30万円に落としに行こう』という店舗が出てきているのです。SVも本社からフードロス削減の指示が出ているから、強く言うことはできません」(ファミマ社員) 最低保証問題はファミマの経営を揺るがしかねないテーマだ。そもそも日商を上げるどころか、下げに行く加盟店が増えることは、商売の常識では考えにくいことである。 本部収益の激減に加えて、加盟店への最低保証の補填額は本部負担となる。ファミリーマートでは全店舗1万6600店のうち、なんと約4分の1が日商40万円に満たない店舗だといわれている。約4000もの店舗が、一斉に売り上げを下げ、最低保証を取りに行った時――、ファミマは新たなリスク要因を抱えることになる』、「本部も何ら加盟店の心をつなぎとめる指針を出せていない。だったら、『もう頑張らずに、発注を止めて、(最低保証の目安ラインである)日商30万円に落としに行こう』という店舗が出てきている」、「約4分の1が日商40万円に満たない店舗・・・約4000もの店舗が、一斉に売り上げを下げ、最低保証を取りに行った時――、ファミマは新たなリスク要因を抱えることになる」、まさに末期的だ。
・『トップダウンの施策も不発  澤田のトップダウン施策も不発が続いている。 「ユニクロではこうだったぞ――」が口癖の澤田氏はファミマでもパンツやシャツなどアパレルを充実させようと張り切ってきた。 「澤田社長はファミマと提携していた無印良品の品を見て、当然、俺ならもっとできると考えたのでしょう。使い捨てパンツや機能性シャツを開発したり、今も、新しいアパレル販売の実験を繰り返しています。しかしファミマブランドの衣服ニーズなどあるわけもなく、今ではローソンに無印良品を取られたことを、加盟店すら悔やんでいます」(別のファミマ社員) 澤田氏はファミマ製アパレル発売時に、それらを着用しては悦に入り周囲に自慢しているという。パンツに拘泥する社長を見て、「裸の王様だ」と社員は声を潜めささやき合う。 だが、澤田氏の迷走はこれに止まらないという。 「思いたったらすぐに発信、それが基本です」澤田氏は『ファミリーマート 澤田社長「情報は自分で取りに行く」SNS活用経営の現場報告』(流通ニュース2020年1月10日)という記事でこう自らの経営手法を開陳している。 〈加盟店からの情報です!至急、調査をお願いします!!〉 〈友人からのアイデアです!ブレスト準備してください!〉 早朝に自宅でワークアウトすることを好む澤田氏は、そのときに思いついたことを幹部にプライベートのLINEで指示を飛ばす。情報源は友人女性や朝の情報番組、懇意にしている加盟店など。LINEは早朝の5時~6時に矢継ぎ早に送られてくる。 「もちろん幹部と社員スタッフは即レスしないといけないので、早朝から携帯電話の前で待っています。不幸なことにLINEが来てしまったら、急いで出社して、資料作りです。他にも経営企画から、いろいろな報告資料や会議資料を要求されるし、本業の仕事をする時間がまったくありません……」(ファミマ社員)』、「澤田氏はファミマ製アパレル発売時に、それらを着用しては悦に入り周囲に自慢している」、「澤田氏」はプロ経営者の1人といわれてきたが、その実態がここまで酷いとは心底驚かされた。
・『パフォーマンスが目立つ澤田氏の求心力も低下  既に澤田氏の求心力は、社員はおろか、加盟店からも完全に失われている。 ファミマに招聘されて4年、澤田氏は未だにファミマビジネスの軸を固められていないように見える。就任当初は大きな期待感をもって迎えられたものの、社員や加盟店からは「パフォーマンスだけの、小売りのド素人だった」と失望されている。会社の経営は一向に上向かず、上場企業という看板も失った。そのカリスマ性は色あせるばかりだ。 そんな状況下で、澤田氏が繰り出そうとしている新たなパフォーマンスが外部からの大物登用だ。マクドナルドを再建したことで著名な足立光氏が、10月1日からCMOとして着任することが発表されたのだ。足立氏はマーケティングの責任者としてファミマ再生のために手腕を発揮することが期待されている。 しかし、ある有力加盟店オーナーはため息交じりに言う。 「みなフリース(ユニクロ)の次はハンバーガー経営かと苦笑いをしています……。澤田社長には、どうかお願いだから、店舗の末期的状況を直視していただきたい」 今年の2月、ファミマは早期退職者の募集を始め、店員800名に対して多くの応募者が殺到し、結果的に1025名が早期退職制度を利用して会社を去った。その後も、若手社員を中心に人材の流出が続いているという。 こうした苦境の中、唯一の希望となっているのが再生本部の存在だ。 再生本部はファミマ直営店を管轄する部署だ。早期退職者募集時には、肩たたき組に対して「再生本部送りにするぞ!」という殺し文句が使われたように、リストラ部署と見る向きもあった。 「再生本部に送られたのはプロパーの社員ばかり。しかし、彼らは直営店で新しいチャレンジをどんどん始めている。これまでのファミマではあり得なかったような、大胆な野菜売り場を拡充するという仕掛けを始めたのも彼らで、今では一部店舗で定番化している。コロナ減速で厳しい中、プロパー組の意地を感じさせる奮闘ぶりを見せているのです」(冒頭のファミマ社員)』、「「みなフリース(ユニクロ)の次はハンバーガー経営かと苦笑いをしています」、「早期退職者の募集を始め、店員800名に対して多くの応募者が殺到し、結果的に1025名が早期退職制度を利用して会社を去った。その後も、若手社員を中心に人材の流出が続いている」、末期的というよりもはや破綻寸前の状況のようだ。
・『ファミマはどう答えたか  内情について取材を申し込むと、ファミマ広報はこう回答した。 Q 伊藤忠グループへの発注が優先されているのか? A「これまでも伊藤忠グループであることを理由に、発注が推奨されてきた事実はありません」 Q ファミマのシステムにCTCが関わっている。 A「CTCは数あるシステム会社様の一つとして弊社のシステム開発に携わっております。一方、CTCの開発したシステムが、他のコンビニと比較して機能が劣っているとの認識はございません」 Q 廃棄ロスの誤った指示が、売上減に響いていると指摘されている。 A「本部は加盟店に対し、ご指摘のような指示を出す立場になく、商品の発注は加盟店の判断で行われます。食品ロス(廃棄ロス)の削減は社会問題の1つと認識し、加盟店とともに取組んでいますが、本取組が機会ロスに大きく影響しているとの認識はございません」 Q 加盟店が売り上げ増より、最低保証を目指すようになっているのか。 A「コロナウィルスの影響の中、最低保証狙いに走る店舗が増えている事実はございません」 Q ファミマ店舗1万6600店のうち、4分の1近くが日商40万円に満たないという指摘がある。 A「その内容については公表しておりません」 現場の声と本部の認識にはいまだ大きな乖離(かいり)がある。大手商社と外様社長の迷走は、改めてファミマ社員に「コンビニ業とは何か?」という問いを突き付けた。 TOB成立によって、伊藤忠の“草刈り場”となるのか、それとも一念発起して新しいコンビニ像を作り上げるのか。完全子会社化後の彼らには、どのような運命が待ち構えているのだろうか――』、「伊藤忠の“草刈り場”」とはいっても草が枯れかけているようだ。「伊藤忠」は一体、どう考えているのだろう。

第三に、9月26日付けダイヤモンド・オンライン「コンビニ「24時間営業の見直し」議論がコロナで後退の舞台裏」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/249688
・『コロナ禍によって今春以降、コンビニエンスストアの求人に応募が殺到している。業界にとって積年の課題だった人手不足がやや薄らぐ一方で、これまで熱を帯びてきた24時間営業の見直し議論に水を差し始めた』、「コロナ禍」も意外な影響を及ぼしているようだ。
・『外食からコンビニへコロナ禍で求人に応募が殺到  340人――。コンビニエンスストア大手のローソンが今年5月、東京都墨田区の新店開業に伴い求人をかけたときの応募数だ。 新店の求人数は20人程度だったため、倍率は実に17倍にも及ぶ。既存店を含めた自社の求人サイトを通じた応募総数は、4月は前年同月比で約3倍、5月以降も4~7割増という高い水準で推移しているという。 セブン-イレブン・ジャパンやファミリーマートも状況は同じだ。地域や店舗によってかなりばらつきがあるものの、8月は両社とも求人応募数が前年同月比で約2倍に膨らんでいる。 応募急増の背景にあるのが、コロナ禍による飲食店の営業自粛だ。4月以降、アルバイト先の飲食店が営業自粛になり、生活費を稼ぐことがままならなくなった学生などが、コンビニの求人に飛びつくようにして応募しているわけだ』、「アルバイト先の飲食店が営業自粛になり、生活費を稼ぐことがままならなくなった学生などが、コンビニの求人に飛びつくようにして応募」、「コンビニ」にとっては、思わぬ追い風のようだ。
・『コンビニの人手不足は解消するのか  飲食店をめぐっては、閉店ラッシュが10月以降本格化するという見方がある。テナントに出店している場合、貸主への解約通告を半年前に設定しているケースが多いことがその理由だ。 政府の緊急事態宣言発令を受けて、都心部を中心に飲食店の営業自粛が広がったのが、今年4月。もしその時期に閉店を決めていたとしても、半年前予告であれば10月までは家賃が発生するため、泣く泣く営業を続けているという飲食店は少なくない。 今後、飲食店の閉店ラッシュが本格化することになれば、食いぶちを求めてコンビニに人が集まるという状況が、さらに強まりそうだ。 コンビニ業界にとって、人手不足はまさに積年の課題だった。それがやや緩和される見通しになり、胸をなでおろす本部社員は少なくないだろう 一方で、そうした状況に懸念を強めているのが、公正取引委員会や一部の加盟店オーナーたちだ。 特に公取委は、昨秋から大規模な実態調査に踏み切り、コンビニの24時間営業の強制にかかわる独占禁止法の問題点や、人手不足による人件費の上昇が加盟店を苦しめている実情などを指摘し、9月初旬に各社に改善要請をしたばかりだ。 さらに言えば、昨年以降業界を所管する経済産業省と連携して、24時間営業の柔軟な見直しについて、本部側の動きににらみを利かせつつ、実態調査を通じて改善に向けた圧力をこれから強めようとしている矢先だった。 それが、コロナ禍によって状況が一変してしまった。24時間営業の見直しの背景にある「慢性的な人手不足や、それに伴う人件費の上昇については、すでに改善している」という主張を、本部側が展開しやすくなり、公取委として改革を迫る圧力が一部削がれてしまう懸念があるわけだ。 全く別の懸念もある。 「もっとひどい状況かと思っていましたが、たいしたことはなかったですね」。大手コンビニの幹部によると、公取委から改善要請を受けるまでのやり取りの中で、業界におもねるような声掛けをしてきた公取委の職員がいるという。 実態調査の結果に対する受け止め方には、公取委の中でも温度差があるようだが、かつて「ほえない番犬」などとやゆされた及び腰の姿勢が、またぞろ公取委の一部で顔をのぞかせているのだとしたら、何とも心もとない。 「しょせんコロナ以前の実態調査ですから」。コンビニ本部から、そうした挑発的な声も漏れる中で、公取委は業界とどう対峙していくか。見せかけの攻防戦は誰も期待していない』、「今後、飲食店の閉店ラッシュが本格化することになれば、食いぶちを求めてコンビニに人が集まるという状況が、さらに強まりそうだ」、なるほど。「人手不足」問題が解消するとしても、「24時間営業の強制にかかわる独占禁止法の問題点」は残る筈だ。「公取委」には毅然とした姿勢で「業界と対峙」し、「ほえない番犬」の汚名をそそいでもらいたい。
タグ:「澤田氏」はプロ経営者の1人といわれてきたが、その実態がここまで酷いとは心底驚かされた 澤田氏はファミマ製アパレル発売時に、それらを着用しては悦に入り周囲に自慢している トップダウンの施策も不発 ダイヤモンド・オンライン オリジナル商品の強化によって、コンビニに行くことを目的とする消費者を増やしていく 『日本流を広める』というのは幻想。日本のセブンはアメリカ流を排したことで成功したが、(商品を強化するという)日本流をアメリカに植え付けるのはその裏返しで、有効なのか疑問だ コンビニ3強で一人負け状態 「セール&リースバック」で実質的に「120億ドルで手に入れられる」とはいっても、リース料の分EBITDAが縮小する筈 「コンビニ「24時間営業の見直し」議論がコロナで後退の舞台裏」 人手不足」問題が解消するとしても、「24時間営業の強制にかかわる独占禁止法の問題点」は残る筈だ 「伊藤忠の“草刈り場”」とはいっても草が枯れかけているようだ 今後、飲食店の閉店ラッシュが本格化することになれば、食いぶちを求めてコンビニに人が集まるという状況が、さらに強まりそうだ 「公取委」には毅然とした姿勢で「業界と対峙」し、「ほえない番犬」の汚名をそそいでもらいたい コンビニの人手不足は解消するのか アルバイト先の飲食店が営業自粛になり、生活費を稼ぐことがままならなくなった学生などが、コンビニの求人に飛びつくようにして応募 外食からコンビニへコロナ禍で求人に応募が殺到 ファミマはどう答えたか 早期退職者の募集を始め、店員800名に対して多くの応募者が殺到し、結果的に1025名が早期退職制度を利用して会社を去った。その後も、若手社員を中心に人材の流出が続いている 「みなフリース(ユニクロ)の次はハンバーガー経営かと苦笑いをしています 伊藤忠グループ会社が開発に大きく関与したものを使っています。だが、高い開発費や運用費に対して、発注や個店分析などの機能がとにかく使い勝手が悪く、加盟店からは『おんぼろマシン』と呼ばれている パフォーマンスが目立つ澤田氏の求心力も低下 店舗システムは 出資比率を以前の30%(注33.4%)に戻し、親会社への忖度なく目の前の商売に集中させてほしい 伊藤忠支配の弊害は、消費者向けの商品だけにとどまらない ファミマ社内で広がる失望感 もはやファミマは伊藤忠の利益搾取の場所 赤石晋一郎 セブンが狙うのが、ハンバーガーやサンドイッチなど注力中のオリジナル商品の導入や、会員基盤の拡大や宅配サービスの展開拡大などサービス強化、店舗数拡大による購買力向上や配送効率化 日本流は浸透するのか 買収額は210億ドル 当初「約220億ドルで検討していたのが、「210億ドル」では必ずしも「千載一遇の案件」とはいえない気もする コンビニエンスストア併設型ガソリンスタンド「スピードウェイ」部門を買収 ガソリンスタンドでも安定収益 「セブン、米コンビニ「2兆円買収」再挑戦の賭け アメリカで「日本流コンビニ」は浸透するのか」 アメリカは日本とは異なり、コンビニ業界での寡占化が進んでいない 米セブンの営業利益は倍増 米スノコLPから取得した際の31億ドル 東洋経済オンライン (その8)(セブン 米コンビニ「2兆円買収」再挑戦の賭け アメリカで「日本流コンビニ」は浸透するのか、伊藤忠がファミマをTOB 止まらぬ「店舗崩壊」に不安の声、コンビニ「24時間営業の見直し」議論がコロナで後退の舞台裏) コンビニ 約4分の1が日商40万円に満たない店舗・・・約4000もの店舗が、一斉に売り上げを下げ、最低保証を取りに行った時――、ファミマは新たなリスク要因を抱えることになる 本部も何ら加盟店の心をつなぎとめる指針を出せていない。だったら、『もう頑張らずに、発注を止めて、(最低保証の目安ラインである)日商30万円に落としに行こう』という店舗が出てきている 経営を揺るがす最低保証問題とは 店舗側が、日々の通常商品まで商品発注においてリスクを取らないようになってしまったのです。結果、棚に商品がないという欠品状態が続出している 減速の最大要因はフードロス対策 社内ではため息とともに将来を不安視する声が囁かれた 「伊藤忠がファミマをTOB、止まらぬ「店舗崩壊」に不安の声」
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