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民間デジタル化促進策(その1)(日本のITが時代遅れになる根本原因はSIベンダーの言いなり体制 メインフレーム時代以来の強固な縦割り、印鑑さよならで思い出す金融業界の逸話 「押す角度・直径」に文化あり、日本の医療をGAFAに牛耳られない為に必要な策 個別商品・サービスでなくエコシステムがカギ) [経済政策]

一昨日から「デジタル化」関連を取上げているが、今日は、民間デジタル化促進策(その1)(日本のITが時代遅れになる根本原因はSIベンダーの言いなり体制 メインフレーム時代以来の強固な縦割り、印鑑さよならで思い出す金融業界の逸話 「押す角度・直径」に文化あり、日本の医療をGAFAに牛耳られない為に必要な策 個別商品・サービスでなくエコシステムがカギ)である。

先ずは、9月13日付け現代ビジネスが掲載した大蔵省出身で早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「日本のITが時代遅れになる根本原因はSIベンダーの言いなり体制 メインフレーム時代以来の強固な縦割り」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75498?imp=0
・『日本のIT化が信じられないほど遅れていることを、コロナが暴露した。 なぜこうしたことになってしまうのか? その大きな理由として、政府や企業の情報システムが抱えた日本特有の問題がある。 発注側が評価能力をもたないため、SIベンダーのいいなりになり、古いシステムが温存されてしまうのだ』、野口氏の手厳しい指摘をみてみよう。
・『日本ではSIerの役割が重要  日本のITシステムで重要な意味を持つのが、SIer(Systems Integrator)とよばれる業者だ。 この役割を知るには、コンピュータシステムの歴史を知っている必要がある。ごく簡単に要約しておこう。 1980年代までの日本では、メインフレームやオフィスコンピュータが主流だった。メインフレームとは、大組織の基幹業務用などに使用される大型コンピュータ。オフィスコンピュータとは、中小企業の財務会計や給与計算を行うための小型のコンピュータだ。 1990年代にIT革命が起り、PC(パソコン)やワークステーション、サーバなどが使われるようになった。 ここで、ワークステーションは、PCよりも高性能のコンピュータ。サーバとは、ネットワーク上で、他のコンピュータ(クライアント)から要求や指示を受け、情報処理を行なうコンピュータだ。 データベースサーバ、Webサーバ、メールサーバなどがある。このシステムを「オープンシステム」と呼ぶ。 メインフレームの場合には、1社のみのハードウェアおよびソフトウェアで構成されることが多かった。それに対してオープンシステムでは、マルチベンダーとなる場合が多い。「ITベンダー」とは、企業が必要とする情報機器やソフトウェア、システム、サービスなどを販売する企業のことだ。 様々なベンダーのソフトウェアやハードウェアを統合する事業者のことを、システムインテグレーター(SIer)と呼ぶ。有力なSIerとして、富士通、日立製作所、NTTデータ、NTTコミュニケーションズ、NEC、IBM、日鉄ソリューションズなどがある。 ITベンダーとSIベンダーとSIerの違いについて、明確な定義はない。経済産業省の『DXレポート』は、「ベンダー企業」という名称を用いている』、なるほど。
・『日本企業や官庁はSIerに丸投げ  経済産業省『DXレポート』によると、諸外国の場合には、ユーザ組織が社内に IT エンジニアを抱えて、開発を主導している。このため、他のエンジニアへのノウハウの伝播が容易で、ノウハウが組織内に蓄積する。 それに対して日本では、ITエンジニアが、ユーザー組織ではなくSIerやベンダー企業に所属している。 このため、多くの場合、組織と結びついたSIerに丸投げしている。「昔から付き合いがあるから」というだけでずっと同じところに頼み続ける。したがって、関係が固定的になり、いったんシステムを作ると、もう動かせなくなる。 SIerとしては、技術の新しい動向をフォローすることよりも、固定的な顧客を逃がさないことのほうが重要だ。 また、ユーザー組織には、ITシステムに関するノウハウが蓄積しにくい。 SIerは安定した収入が見込めるので、組織とのもたれ合いの関係となる。SIer業界は多重下請け構造(5次下請けのさらに下まであるという)になっている。業者は中間マージンで稼いでおり、末端のエンジニアたちは搾取される構造になっているという。 これが、諸外国とは異なる「日本の特殊なITシステムの構造」だ。 8月30日公開の「日本政府がテレビ会議をできない『理不尽すぎる理由』」において、政府LANの統合問題は、2000年代半ばと10年代半ばの2度浮上したが、「自前の通信ネットワークに手を突っ込まれたくない各省庁の拒否反応と、甘い汁を吸ってきた納入業者の抵抗のために頓挫した」と書いた。 また、9月6日の「厚?労働省のITシステムは、なぜこうも不具合が多いのか?」において、「厚労省はシステムの運営をSlerに任せきり。SIerは維持管理で稼ぐことに執着する」と書いた。 発注側で評価する能力がないから、古いシステム が温存され、コストが嵩み、効率が下がる。そして、SIer は、独自システムの維持に執着するのだ』、「発注側で評価する能力がないから、古いシステム が温存され、コストが嵩み、効率が下がる。そして、SIer は、独自システムの維持に執着するのだ」、日本の非効率の典型だ。
・『縦割り社会の弊害が現れている  日本は縦割り社会と言われる。日本の組織(とくに大企業や官庁)は、あらゆる面で閉鎖的だ。日本の組織はタコ壺なのだ。 そのことが、従来は、人事について言われてきた。終身雇用制で、組織間の人材の移動が少ないという問題だ これまで述べてきたように、同様のことが情報システムについても言える。 企業は独自の閉鎖的な情報システムを持つ。だからシステムも企業ごとにバラバラになる。もともと、中央省庁は縦割り、自治体はバラバラなので、省庁や自治体がバラバラに情報システムを構築する。 大型コンピュータの時代にはこうなっても仕方なかった。しかし、インターネットでは、組織間の繋がりが重要なのだ。 日本政府がテレビ会議を満足にできないのは、省庁ごとのシステムがバラバラだからだ。給付金オンライン申請ができないのは、自治体システムと繋がっていないからだ』、「省庁や自治体がバラバラに情報システムを構築する」、少なくとも「自治体」が統一的な情報システムを構築するだけで、膨大な経費削減につながる筈だ。
・『組織のトップが方向づけの能力を持たない  本来なら、こうした状態を矯正する力が働かなければならない。その役割を果たすべきは、組織のトップだ。 すでに見たように、日本におけるデジタル化の問題とは、単に紙をデジタルにするということだけでない。日本組織のタコ壺構造 をどうするかという問題なのだ。このためには、組織のリーダーが問題を理解している必要がある。 経済産業省『DXレポート』によると、アメリカのCIOは、ベンダー企業を客観的に評価できることが重要な責務であると思っており、役に立つベンダー企業はどこかと常に見ている。世の中の有名なベンダー企業を使うよりも、世に知られていないが、新たな価値を提供できるベンダー企業を使って結果を出すことが自らの評価につながる環境に置かれている。 ところが、日本の組織のトップは、有名なベンダー企業に頼んだから大丈夫という考えに陥りがちだ。 目を覆いたくなる状況は、「日本政府がテレビ会議をできない『理不尽すぎる理由』」で述べたとおりだ。 歴代の経団連会長はパソコンを使っていなかった、サイバーセキュリティ担当大臣もそうだった。これではITシステムの方向づけなど、できるはずがない。 そして、「組織のトップはITの細かいことなど知らなくてよい」と、多くの人が考えている。これでは、日本の現状が変わるはずはない。 日本政府も、自治体システムの標準仕様統一を義務付ける新法を制定する検討に入った。 「自治体にシステムをわかる職員が少なく、ベンダー主導となってきた。そのため、各自治体が独自仕様のシステムを構築し、国や自治体のデータ連携が進まず、新型コロナウイルス対応では給付金の支給遅れなどを招いた。これを改革するのだ」と説明されている(「自治体システム仕様統一 デジタル化へ新法で義務付け」日本経済新聞、8月3日)。 まっくその通りだ。しかし、トップがこのような状態で、果たしてうまく進むのだろうか?』、「日本の組織のトップは、有名なベンダー企業に頼んだから大丈夫という考えに陥りがちだ」、典型的な責任回避スタイルだ。「「組織のトップはITの細かいことなど知らなくてよい」と、多くの人が考えている」、こうしたトップのIT軽視が、部下たちにも伝わる筈だ。
・『台湾は日本の遥か先を行く  日本と対照的なのが台湾だ。 オードリー・タン(唐鳳)デジタル担当相が指揮して作ったマスク供給システムで、マスク不足のパニックを防いだ。 このシステムでは、個人情報保護が要求され、しかも、行政機関や流通の情報も連携させなければならず、難度が高いものだった。タンは市民エンジニアの協力で、わずか3日でこれを作った。 タンは2016年に台湾史上最年少となる35歳で入閣した。この人は天才プログラマーと言われるが、その経歴は、日本の常識から言えば、型破りそのものだ。14歳で中学を退学して15歳で起業。そして、33歳で現場から引退した。 こうした人材を登用し、思うままの活動をさせる蔡英文総統の洞察力と指導力にも敬服せざるを得ない。 そして台湾は、新型コロナウィルスの感染拡大を抑え、被害を最小限に抑え込むことに成功している。 中国は強権によって感染を抑え込んだのだが、台湾は、知恵によって抑え込んでいる。 台湾は日本の遥か先を行っている』、「オードリー・タン」氏を「登用し、思うままの活動をさせる蔡英文総統の洞察力と指導力にも敬服せざるを得ない」、同感である。

次に、10月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「印鑑さよならで思い出す金融業界の逸話、「押す角度・直径」に文化あり」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/251190
・『筆者は約40年間サラリーマンを務め、金融業界に長く身を置いてきた。そのため、直接ないしは間接的に印鑑(ハンコ)に関するさまざまなエピソードを見聞きしてきた。今や、行政やビジネスの手続きから除外されていく運命にあると思われる印鑑だが、その押す角度や判の直径が9ミリか11ミリかといったささいなことに、会社の文化や思いが込められていた。今回はそうした金融業界の印鑑にまつわる逸話をご覧に入れたい』、タイムリーな寄稿、さすがだ。
・『印鑑と共にあったサラリーマン生活前半 金融業界ならではの思い出は数多い  筆者は、ざっと40年間サラリーマンであるが、サラリーマン生活の前半は印鑑と共にあった。ハンコを巡る思い出は数多い。 最初の就職先に入社した日の社内事務の多くに、シャチハタの印鑑を使用した。朝は出勤すると出勤簿にシャチハタを押印するところから一日が始まる。新入社員である筆者の世話役の女性社員(筆者の数歳年上)の押したシャチハタの印影を見て、「シャチハタも使い込むと貫禄が出ますね」と言ったところ、「今年の新人は可愛くない」という評判がチーム内に一斉に広まった。 素朴な感想を述べたのだったが、彼女の年齢を揶揄(やゆ)したように聞こえたのだろう。そういう気持ちが一切なかったわけでもないから、仕方がない。 社内の決裁文書には印鑑が使われた。投資案件を決済する投融資委員会の文書には12?13個の印影が並んだ。決済に意見としては反対だが、形式的に賛成する場合には、逆さまにハンコを押す場合がある、と先輩社員から聞いていたが、実際に逆さまの印影は見たことがなかった気がする。) その代わり、この会社には同じ賛成でも「異議なし」と「やむなし」の2種類の書き方があって、「ホンネ」の表現手段があった。どちらも賛成なのだから、意味のないことなのだが、「やむなし」と書くと社内で感情的な対立が生まれることがあり、覚悟が必要だった。 筆者は財務部員だったので、取引先の銀行員に「うちの会社は決裁文書にこんなにたくさんハンコが並ぶのです」と愚痴を言ったら、「うちの銀行は大抵の書類に30個に近い二十数個はハンコが並びますよ」と言われて、驚いた。 十数年後に、その銀行の子会社である運用会社に転職したところ、本当に20個以上のハンコがきれいに並んでいた。「客先を訪問した報告書」のような決済文書でない書類にも「見た」という印としてハンコを押す。 銀行から出向してきた部下が、「ハンコは、少し左斜めに傾けて押すといいと支店長に教わりました」と言う。左側に上席者のハンコが並ぶので、左に傾けて押すと「礼をしているように見えるから」という理由だった。 ドラマ「半沢直樹」(TBS系)でも、過去の決裁文書にあるハンコが問題になって「法律には時効があるが、銀行員に時効はない」という半沢の台詞が印象的だった。ハンコを押した文書には、「それを見て、同意した」という責任が伴うとされる文化だったので、どこの銀行でも印鑑は厳格に管理するように要求されていたはずだ。銀行員の印鑑に対する思いは特別だ。 合併した銀行では、出身行のハンコ文化の違いが問題になることがあったという。旧A銀行では、一般行員は直径9ミリの印鑑を使うが、課長になると11ミリの少し大きな印鑑を使う風習があった。A行出身の課長Xさんは、11ミリの印鑑を押印していたのだが、旧B行(筆者の勤めた会社の親銀行だ)ではハンコをきっちり並べて整然と押す風習があった。そのため、ある時B行の出身者に「あなたのハンコは大きくてスペースを取るし、しかも押し方が乱暴なので、それでどれだけの人が迷惑していると思っているのですか」と注意されたという。 外資系の銀行に転職したXさんは、「この一件でばかばかしくなって、私はあの銀行を辞めた」と言っていた。それが本当の転職理由ではないにしても、ハンコの使い方は銀行の文化に関わる問題だったのだろう。A行の出身者が「付き合いきれない」と思う気持ちも分かるし、B行の出身者が本気で腹を立てる気持ちも分かる。 ハンコには、あたかも自分の分身であるかのような、何らかの「思い」が込められるケースがあることは確かだ』、「ハンコには、あたかも自分の分身であるかのような、何らかの「思い」が込められるケースがある」、その通りだ。
・『ハンコで「助かった」ある女性の話  投資に興味がある人の集まりで、ある女性の話が記憶に残った。銀行の支店に出向いた際に応接室へ通されて、投資商品のセールスを受けたのだという。最初は担当者と差し向かいであったが、後から支店長も加わって、2人からステレオの音響のように説得を受けたという。その女性は、「今日はハンコを持っていないので、明日また来る」と言ってその場を逃れたという。 実際には印鑑を持っていたとのことなので、その女性の方が銀行員たちよりも一枚上手だったということだ。 他にもハンコのエピソードはあるのだが、意思表示の確認方法が印鑑のシステムであることが役に立ったという事例は、上記の女性のケース以外に思い浮かばない。ただし、このケースはハンコを押すことが役に立ったのではなく、「ハンコがない」という芝居が役に立ったのだから、ハンコ本来の使い方が優れていることの例証にはならない。 意思表示の確認方法がハンコでなくては困るという話は出てきそうにない。 電子的な署名技術もあるし、それ以前にサインで困らない。筆者は、外資系の会社に4社勤めたことがある。いずれの会社もハンコではなくサインを使っていたが、それで困ることは何もなかった。 ただし、ハンコをサインに変えても、本人が紙に対して直接作業を行わなければならない事態は改善しない。「決済のハンコを押すためにだけ出社する管理職」のような不便を解消することにはならない』、「「今日はハンコを持っていないので、明日また来る」と言ってその場を逃れた」ケースでは、「担当者」や「支店長」の営業姿勢の甘さが印象深い。
・『ハンコをなくしただけでは不十分 紙のやりとりを減らせるか  ある種の後進性の象徴である印鑑を、行政やビジネスの手続きから除外していくことについては、合理的な反論はできそうにない。筆者も賛成である。 ただ、ハンコをなくしただけでは「生産性」は十分向上しない。 行政的な手続きや契約書、請求書、領収書といったビジネス上の手続きが全て紙なしで電子的に行うことができて、紙の文書を保存する必要もない、という状況をなるべく早く達成したい。 ことビジネスだけを考えるとしても、紙の文書を作成する手間や郵送等で届けるコスト、さらに保管のスペースなど、仕事に紙が関わることによって発生する時間と金銭の無駄は膨大だ。もちろん、紙の文書に押印やサインするための通勤のコストも含まれる。 一気に行うことができて効果が大きいのは、やはり行政のデジタル化だろう。技術的にできない理由は思い浮かばない。政府の意思決定だけで行うことができるし、行政に関わる手続きがオンラインで行えるようになると、民間への波及効果も大きい。 記録の安全性は全て相対的なものだが、本人の確認や記録の保存などは複数のデジタル技術を組み合わせると、紙と印鑑よりもずっと堅牢なシステムを作ることが可能なはずだ。紙は散逸したり燃えたりすることがあるし、印鑑も(サインも)偽造が可能だ。 各種の役所の窓口に、番号札を持って人が並ぶ事態を数年でなくしたいものだ。 紙による手続きや記録の保存などは、中小規模の事情者などを対象に例外としてしばらく認めておくといい。デジタルな方法の方が便利になってコストが下がると、中小事業者も仕事のやり方を変えない理由はない』、大賛成である。

第三に、10月18日付け東洋経済オンラインが掲載した立教大学ビジネススクール教授の田中 道昭氏による「日本の医療をGAFAに牛耳られない為に必要な策 個別商品・サービスでなくエコシステムがカギ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/381666
・『デジタル庁の創設により加速すると期待される日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)。「日本がデジタル化で遅れる決定的な構造要因国家・産業・企業における競争戦略を考える」(2020年10月3日配信)に続いて、特に「ヘルスケア分野」におけるデジタルトランスフォーメーションに着目して解説します。 なぜヘルスケア分野に注目するのか。医療・介護産業はマクロとミクロが表裏一体であり、規制業種としてマクロの影響を強く受ける点が特徴です。そしてヘルスケア分野に注目する最大の理由は、菅政権の目玉として語られる規制改革(行革)、コロナ対策を含む医療政策(厚生労働)、デジタル庁(IT)の3つを三位一体に結びつけるものこそ、ヘルスケア分野でのDXだからです』、興味深そうだ。
・『テクノロジーの活用で日本を「健康先進国」へ  まず現行の医療政策の方向性を確認しておきます。具体的には地域医療構想、保健医療2035、未来投資会議の3つが示唆を与えてくれます。 地域医療構想は、厚生労働省によると「2025年に向け、病床の機能分化・連携を進めるために、医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要性を推計し、定めるもの」としています。少子高齢化を受け、高齢者医療ニーズも医療費も高まるなか、全国341の「構想区域」ごとに2025年における必要な病床数を高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4つにわけて推計、効率的な医療体制の実現につなげます。 一方、保健医療2035は「2035年、日本は健康先進国へ」という前向きなメッセージを掲げるものです。急激な少子高齢化などさまざまな課題に直面しながらも、国民の健康増進、保健医療システムの持続可能性の確保、保健医療分野における国際的な貢献、地域づくりなどの分野における戦略的な取り組みを検討します。 そして未来投資会議は、国の成長戦略につながる投資活動を政府と民間の有識者が議論する機関として誕生しました。議長は安倍晋三・前首相本人でした。菅新政権発足後、10月9日に「未来投資会議を廃止し、成長戦略会議に衣替えする」との発表がありましたが、今後、会議体自体は進化していくものの、大きな政策には変更はないと考えられます。ここでも「健康・医療・介護」は大きなテーマ。技術革新やデータの利活用による国民の健康維持・増進、医療・介護の質向上、医療従事者の働き方改革などが議論されました。 以上から読み取れるのは、国は医療の「成長産業化」に舵を切った、ということです。従来は、高齢化の進行、生産年齢人口の減少などを背景に、医療費削減をはじめとする「下りのエスカレーター」に乗るかのような医療政策に焦点が置かれました。それをテクノロジーによって「上りのエスカレーター」に乗り換えようとしている。ヘルスケア分野のDXを成功させることで、日本を健康先進国とする。これはすでに重要な国策です。 次に、マクロからミクロへと目を転じましょう。コロナ以前からヘルスケア産業にはさまざまな変化が生じていました。キーワードとしては、個別化医療、デジタル化、サービス化、未病・予防、異業種からの参入、などが挙げられます。 個別化医療とは、遺伝子情報や生活習慣、バイタルデータ等のデータを利活用することで患者個人に最適化された医療サービスを提供するものです。オンライン診療やAI創薬を始め、デジタル化はあらゆる領域に及んでいます。従来どおりの医療ではなく、より広範な「医療サービス」を異業種からの参入組が提供する事例も目立ちます。未病・予防とは、「病気を治す」より「病気を防ぐ」「健康を維持する」ことに重きを置く医療のこと。医療費削減はもちろん国民の健康増進のためにも重要な取り組みです。 なかでも見逃せないのは異業種からの参入です。医療単独で見るなら「下りのエスカレーター」にある産業かもしれませんが、美容産業や健康産業までを含んだ広義のヘルスケア産業として見るならまだまだ成長トレンドにある。そう期待する異業種のプレーヤーが増えているのです。特に目立つのはGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に代表されるテクノロジー企業。アメリカではすでにGAFAの動きが活発であり、こぞってヘルスケアに参入しています。 そしてwithコロナの世界において、こうした変化はさらに加速しました。なかでもDXの加速は特筆すべきものがあります。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは2020年4月の決算発表において「この2カ月で2年分のデジタルトランスフォーメーションが起きた」と語りました。感染拡大防止策として非接触・非対面が推奨されたことで、リモート化、オンライン化、モビリティ化、分散化が一気に進んだのです。 仮にコロナが収束してもこれらの多くは「ニューノーマル」として維持されるはずです。そしてDX化の波にのるかたちで、テクノロジー企業も躍進を遂げました』、「医療費削減をはじめとする「下りのエスカレーター」に乗るかのような医療政策に焦点が置かれました。それをテクノロジーによって「上りのエスカレーター」に乗り換えようとしている」、本当かと思ったら、「医療単独で見るなら「下りのエスカレーター」にある産業かもしれませんが、美容産業や健康産業までを含んだ広義のヘルスケア産業として見るならまだまだ成長トレンドにある。そう期待する異業種のプレーヤーが増えているのです」、と言い訳をしているようだ。
・『デジタルでのエコシステムの構築が戦いの主戦場  テクノロジー企業はあくまで異業種であり、既存のヘルスケア産業に巨大なインパクトを与えることなどできない。そう考える人もいるかもしれません。確かに1つひとつのサービスを見れば、既存のヘルスケア産業に一日の長があるとも言えます。ですが、彼らはそもそも、1つひとつのサービスのシェアを奪おうとはしていません。彼らがターゲットにしているのは、ヘルスケア産業の「エコシステム」そのものです。 ここで紹介したいのはノキアの事例です。かつて「携帯電話といえばノキア」「フィンランドの奇跡」「技術の神童」と称賛されていた同社ですが、アップルのiPhoneの登場により倒産危機に追い込まれました。そこからの劇的な復活劇も興味深いのですが、ここで強調したいのは「グローバルトップ企業が異業種からの参入組により倒産寸前まで追い込まれた」という事実です。 つまりノキアには、日本のヘルスケア産業の「反面教師」としてベンチマークする価値があるのです。iPhoneが登場した当初、ノキア役員会は「iPhoneは競合ではない」とし、警戒しませんでした。ノキアのみならず、NECや東芝、富士通、ソニーなど、日本の携帯電話メーカーも同意見だったと思います。そこに落とし穴がありました。彼らは「新たな競争の脅威を予測しそこなう/甘くみる」という失敗を犯したのです。アップルはスマホというデバイスで勝負をしかけたのではありませんでした。 そのことにノキアが気づいたのは、iPhoneの勝利が決定的になったあとのことでした。そのとき、ノキアのCEOは全社員に向けてこんなメールを送りました。「競合他社のデバイスが私たちの市場シェアを奪っているのではありません。エコシステム全体で市場シェアを奪っているのです」。ここでの競合他社とはアップルであり、グーグルのことです。 ノキアも日本の電機メーカーものちにスマホを発売しましたが、そのときすでにアップルやグーグルはスマホのエコシステム全体を握っていました。つまり、スマホのハードのみならず、スマホのOS、アプリ、サービス等を含めたエコシステム全体を支配していたのです。単なるデバイスメーカーでは、勝ち目はありません』、「日本の電機メーカーものちにスマホを発売しましたが、そのときすでにアップルやグーグルはスマホのエコシステム全体を握っていました。つまり、スマホのハードのみならず、スマホのOS、アプリ、サービス等を含めたエコシステム全体を支配していたのです。単なるデバイスメーカーでは、勝ち目はありません」、「エコシステム全体を支配」が勝敗の鍵を握るようだ。
・『アップルがヘルスケア産業を破壊する  ノキアの事例から得られる示唆は次のようなものです。テクノロジー企業はエコシステム全体で異業種に勝負をしかけてくる。そしてエコシステムを構築したプレーヤーは産業に破壊的なイノベーションをもたらすことになる。現に、ヘルスケア市場においても同じことが起きています。ノキアの例におけるデバイスにあたるものは、医療機関、医療機器、医薬品、診療所、ドクター、看護師、メディカルのスタッフなど。そしてエコシステムとは、それらを包含するハード、OS、アプリ、ソフト、サービス等の全体、あるいはヘルスケア産業のバリューチェーンにおける多階層のレイヤー構造としましょう。 具体例としてアップルを取り上げます。私は自著『GAFA×BATH』(日本経済新聞出版社)において、アップルはかつてiPodで音楽市場を破壊したように、今度は「アップルウォッチでヘルスケア市場を破壊する」「メディカルビジネスのプラットフォーマーになる」と論じました。どういうことでしょうか。アップルウォッチはシリーズ4から心電図機能を搭載しており、もはや「医療機器」といっても差し支えありません。 またiPhoneに標準搭載されているアプリ「ヘルスケア」は通常「歩数」「エクササイズ時間」等が表示されるものですが、アップルウォッチと併用すると「心拍数」「心拍変動」まで表示され、異常が検知されるとリアルタイムでメッセージが届く仕組みになっています。もっとも、ここで論じたいのはこうした高機能なデバイス単独ではありません。より重要なのは、こうしたデバイスを組み込んだアップルのヘルスケア戦略であり、エコシステムのほうです。 上の図は、将来展開されるアップルのヘルスケア戦略を公開情報から筆者が予想したものです(図はリンク先参照)・・・』、確かに「アップルのヘルスケア戦略」は壮大だ。
・『アップルウォッチなどがヘルスキットに?  アップルのヘルスケア戦略を支えるのは、スマートヘルスケアのエコシステムとしての「ヘルスキット」です。ヘルスキットにはアップルウォッチやiPhoneなどのアップル製品から取得された個人の医療・健康データのほか、将来的には病院のカルテ情報などが蓄えられていきます。利用者はiPhoneに標準搭載されている健康管理アプリ「ヘルスケア」で自分のデータをチェックできるほか、将来的には医療機関との間でやりとりできるようになります。 アップルは、このエコシステムを自社商品のみならず、多くの企業が展開するヘルスケア関連のIoT機器製品群にも公開していくと考えられます。今後、アップルウォッチやiPhoneは、スマートヘルスケアのプラットフォームとしても成長し、そこではさまざまなヘルスケア関連の商品・サービス・コンテンツが展開されることになるでしょう。 それだけではありません。私は、アップルは今後、ヘルスキット、アップルウォッチ、iPhoneを基軸とし、「アップルクリニック」を事業展開すると予想しています。つまりリアルな病院やクリニックです。これが突飛な予想だとは思いません。アップルは自社製品を生かした社員用クリニックを展開してもいるのです。社員用クリニックから得られた知見をもとに高速PDCAを回し、一般向けの事業展開へとつなげる可能性は否定できません。 さらに付け加えるなら、ヘルスケアにおいて何よりも問われる信頼性や安心感においても、アップルは定評があります。健康情報はユーザーの個人情報にあたりますが、アップルはかねてから個人のプライバシーを重視し、個人データの利活用をしないことを宣言しており、そもそもできるだけ個人のプライバシー情報は個人のスマホのなかだけにとどめる「データミニマイゼーション」という概念をプライバシーポリシーの中核に据えている企業でもあるのです。かつて音楽産業をiPodで破壊したように、今度のアップルはiPhoneとアップルを起点に、ヘルスケア産業を破壊しようとしているのです。 DXの世界においてはエコシステムを構築したプレーヤーが勝利するのがゲームのルールです。かつてスマホ産業において、日本の電機メーカーはデバイスメーカーとして戦い、敗れました。そしてヘルスケア産業においても、やはりテクノロジー企業はエコシステムでの勝負をしかけてきています。 スマホ産業の二の舞にならないために、日本はどうすればいいのでしょう。ヘルスケア産業を成長産業に転換するためにも、テクノロジー企業にエコシステムの構築を主導されるわけにはいきません。世界をリードするヘルスケアエコシステムを、日本が自前で構築する必要があります。 ここからは私の意見を交えて展開しますが、私が提言したいのが、規制改革(行革)、コロナ対策(厚生労働)、デジタル庁(IT)を三位一体とするDXです。すなわちヘルスケアDXであり、ヘルスケアエコシステムの構築です(図はリンク先参照)。 ここでいう三位一体とは何でしょうか。医療政策においては、コロナ危機や同様の感染症リスク等への対応、医療費抑制、何よりも国民の保健・医療・生活の向上を推進していきます。規制改革は、オンライン診療、遠隔診療、AR/VR診療・医療、遠隔医療、医療分野でのアンビエントコンピューティング等実現のための規制緩和などを指します。デジタル政策においては、後述するシステム(利便性)×セキュリティー(安全性)×プライバシー(個人の尊厳)のバランスを図ることが肝要になります』、「ヘルスケア産業を成長産業に転換するためにも、テクノロジー企業にエコシステムの構築を主導されるわけにはいきません。世界をリードするヘルスケアエコシステムを、日本が自前で構築する必要があります」、急に愛国的なトーンになったことには違和感がある。
・『個人のIDが肝になる  この三位一体と実現するヘルスケアエコシステムとして私が提言するのが下の図です(図はリンク先参照)。 そもそもエコシステムは、複数の階層(レイヤー)が積み重なり、各階層にさまざまなプレーヤーが参画するところに特徴があります。私が提案するヘルスケアエコシステムは、底辺にマイナンバー/PHR(IDレイヤー)を置きます。これがすべての階層を支えるインフラです。PHRとはパーソナル・ヘルス・レコードの略称で、これまで複数の病院や薬局などに散らばっていた個人の健康関連の情報を一箇所に集約する仕組みをいいます。個人が自分のデータにアクセスし、健康管理や治療、予防・未病対策に活用することが狙いです。またPHRはマイナンバーと同じく個人のIDとしての役割を果たすものでもあります。 このIDを起点にすべてのサービスを構築していきます。例えば、医療ポイントによる決済・支払い・入金です(医療ポイントレイヤー)。決済・支払い・入金サービスもエコシステムのなかにビルトインされているのです「医療ポイント」としたのは、今回のドコモ口座など電子決済の不正取引問題を背景に、銀行口座と決済・支払い・入金用アプリを紐付けることに抵抗感を覚える人が一定数存在するためです。そこで決済・支払い・入金などは医療ポイントでまかなえる選択肢を用意し、銀行口座と決済・支払い・入金用アプリを紐付けるかどうかは個人の判断に任せることにします。 医療・健康データ(モバイルデバイスレイヤー)は、前述のアップルのエコシステムの事例でいうと、標準搭載のヘルスケアアプリに歩数などが集積するiPhone、心電図機能に血中酸素濃度センサーまで搭載するに至ったiPhoneなどがあたります。健康データを超えて医療データまでを集積するデバイスを、GAFAに委ねるのではなく、日本独自に、国と企業が一体になって推進していくのが望ましいと私は考えます。 その上に、電子カルテデータ(医療機関レイヤー)があります。現状、多くの医療機関に電子カルテが導入されていますが、問題はそのデータが医療機関ごとに分断されていること。そのバラバラの電子カルテデータを、このレイヤーで統一、連携できるようにします。) 健康サービスデータ(サービスレイヤー)は、さらにその上に乗る医療機関サービス、行政サービス、健康・保健サービス、医薬品・医療機器などのデータが直接的に蓄積されるインフラの役割を果たします。医療機関サービスはその名の通り、病院やクリニックなどで提供されるサービスのこと。行政サービスは保健所を含む、医療や介護に関わる行政サービス全般を指します。健康・保健サービスは、フィットネスジムなど民間のヘルスケアサービス全般。医薬品・医療機器は、医薬品メーカーや医療機器メーカーが提供するサービスであり、それらが集積しているデータのことです。 これら各レイヤーがマイナンバー/PHR(IDレイヤー)の上に構築されると、誰がどのようなヘルスケアサービスを受けているのか把握できるようになるとともに、そこで蓄積されたさまざまなデータが、各サービスの改善、そしてユーザーにとっての利便性向上のために活用できるようになります。 こうしたエコシステムの構築にあたって、最も重要であり、しかし見落とされがちなのは「ユーザー起点」であることです。行政や医療機関の業務効率化にも貢献できるエコシステムであるのは事実ですが、なによりも個人の利便性を向上させるものであることを、忘れてはいけません。アマゾンは「地球上で最も顧客第一主義の会社」になることをミッションとしていますが、これについてジェフ・ベゾスCEOは「顧客をその人の宇宙の中心に置いてあげる」と表現しています』、「エコシステムの構築にあたって、最も重要であり、しかし見落とされがちなのは「ユーザー起点」であること」、なるほど。
・『便利さ、使いやすさを何よりも意識する  つまり個人にとっての便利さ、使いやすさを何よりも意識するということ。PCにしろスマホにしろ、すべてのITサービスにユーザーフレンドリーが厳しく問われる昨今です。私たちがすっかり慣れ親しんでいる「ワンクリックで買い物ができるECサイト」「サクサク動くスマホ」と同等のユーザビリティがなければ、どれだけ高機能でも、そのエコシステムは利用者を集められないのです。 と同時に、前稿でも指摘したシステム(利便性)×プライバシー(個人の尊厳)×セキュリティー(安全性)の三位一体のバランスには、最新の注意が払われなければなりません。システムに蓄積されるデータを利活用されるにしても、それは企業の利益追求より、「個人が自分の健康情報を把握できる」というユーザーの利便性が優先されるべきです。それらデータは個人情報にあたるため、扱いには万全のセキュリティーが求められます。さらに、他人の目にさらされてはいけないという意味で、プライバシー(個人の尊厳)が絶対的に守られなければなりません。良い例に韓国のマイマンバー制度があります。個人情報へのアクセスは、政府機関からのアクセスであってもすべてアクセスログがとられ、アクセス違反があれば違反度合いに応じて厳しく処罰されます。 また個人情報へのアクセスは個人のポータルサイトから確認でき、住民票が発行されるとプッシュ通知が来る仕組みに。こうしてシステム(利便性)×プライバシー(個人の尊厳)×セキュリティー(安全性)の三位一体を構築してこそ、利便性の追求も加速できるのです。大切なのは部分最適ではなく、三位一体の全体最適だと言えます』、「便利さ、使いやすさを何よりも意識する」といっても、「セキュリティー」や「プライバシー」の確保と相反することもある筈だ。
・『医療機関のマインドセットを刷新する  最後に、DXに直面するヘルスケアの現場には「マインドセット」の刷新を求めたいと思います。大きな示唆を与えてくれる本を紹介します。『心をつなぐ医療機関UCLAヘルスケアシステム患者満足度95%へと導いた最強のリーダーシップ』(ジョゼフ・ミケーリ著、月沢李歌子訳、日本経済新聞出版)です。アメリカの医療機関UCLAヘルスシステムは、独自の行動原則やマネジメントにより極めて高い患者満足度を実現したことで知られています。なかでも有名なのは「CICARE」と呼ばれるバリュー(価値観)です。CICAREとは、各バリューの頭文字をとったものです。 ここから読み取れるのは、テクノロジー企業と同様の、徹底的な顧客(=患者)至上主義です。私は、それこそ日本のヘルスケア、特に医療の現場に欠けているものだと痛感した経験があります。アメリカに留学したときのことです。ある日病院を訪れた私は、診察室で「きょうはドクターの〇〇、看護師の〇〇、〇〇のチームで医療サービスを提供します」といった自己紹介を受けました。その挨拶1つで、どれだけの信頼感、安心感が生まれたかわかりません。 いわば、アメリカの医療機関は「サービス従事者」としての意識が高い。もちろん高い専門性を持ったプロフェッショナルとして非常にリスペクトされているのですが、同時に医療をサービス業と考え、患者を第一に考える価値観がありました。残念ながら、こうしたサービス従事者としての意識が、日本の医療現場には希薄です。 医療はサービス業である。DXが進み、異業種からの参入組も増えてくると、そのことに日本の医療機関も直面せざるをえなくなるでしょう。これからコンペティターとなるのは、医療機関ではなく、アップルを始めとするテクノロジー企業であり、彼らほど顧客第一主義を追求しているプレーヤーはいないからです。前回も触れたように、DXの本質は「企業DNAをスタートアップ企業のようなDNAに刷新すること」にあります。テクノロジー企業の侵攻に対抗するためにも、まずはマインドセットを刷新し、「医療もまた顧客を第一に考えるサービス産業である」という原点に立ち返るのが望ましいのです』、総論的には同意するが、一部の医療機関が顧客サービス向上のコンサルティングを受けて、職員が患者をXX様といったように馬鹿丁寧に接しているのには驚かされた。サービスの本質とは関係ない行き過ぎは、微笑ましいが、無駄の骨頂である。はき違えずに本質的改善を期待したい。
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