2020年の回顧(「密」と呼ばれて300日… 屋形船業者が見た悪夢とかすかな光、ヒット商品や流行語で振り返る「コロナで始まり鬼滅で終わった年、「他者の辛さ」おもんぱかる力が衰退した2020年(途中まで)) [社会]
今日は、2020年の回顧(「密」と呼ばれて300日… 屋形船業者が見た悪夢とかすかな光、ヒット商品や流行語で振り返る「コロナで始まり鬼滅で終わった年、「他者の辛さ」おもんぱかる力が衰退した2020年(途中まで))を取上げよう。
先ずは、12月14日付け日経ビジネスオンライン「「密」と呼ばれて300日… 屋形船業者が見た悪夢とかすかな光」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00215/120900001/?P=1
・『今から約1年前の2019年12月31日。いつもと変わらぬ大みそかを迎えていた日本にその外電が伝わった時、事態の深刻さを見抜けた人はいったい何人いただろう。 ■「中国で原因不明の肺炎相次ぐ――武漢で27人発症、政府が調査」(中国湖北省武漢市当局は31日、市内の医療機関で27人がウイルス性肺炎を発症したと発表した。感染源など詳しい原因は不明で、中国政府は感染状況を把握するため、専門チームを現場に派遣。発症の疑いがあれば報告するよう医療機関に求めている。(共同通信) この日の日本の産業界の話題は昼すぎから、会社法違反(特別背任)の罪などに問われていた日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告の「レバノン出国」一色。数カ月後に世界を揺るがすコロナの悪夢の一報に気を留める人は少なかったはずだ。 むしろ新年を前に企業幹部の頭を占めていたのは「日本経済が五輪後どうなるか」だったに違いない。東京への五輪招致に成功してから6年余り。東日本大震災で深い傷を負った日本が小康状態を保ててこられたのは、五輪というカンフル剤への期待があったからだ。五輪が終わる2020年、日本経済は大きな節目を迎える──。これが多くの人の共通認識だった。 だが蓋を開けると、20年は節目どころではなくなった』、確かに「ゴーン被告の「レバノン出国」一色」、だったようだ。これには、「中国側の情報隠し」も大いに影響していた筈だ。
・『GDP29兆円消失、個人消費17兆円減少の衝撃 中国国営中央テレビ(CCTV)が「原因不明の肺炎の患者から新型コロナウイルスが検出された」と報じたのは、20年1月9日。2月には、横浜港のクルーズ船に乗っていた客の罹患(りかん)が確認された。そこから今日に至るまでの大混乱は、多くの人々が体験した通りだ。 緊急事態宣言に伴う外出自粛などをきっかけに、消費は低迷、企業業績は急激に悪化した。五輪もあえなく延期になった。観光・飲食業では倒産が激増し、地方経済は瓦解寸前に追い込まれつつある。 その結果、日本の実質国内総生産(GDP)は5.3%のマイナス(IMF=国際通貨基金の10月時点の予測)となる。19年比で計29兆円が失われる計算だ。とりわけ個人消費は外出自粛下の4~6月に激減、1月からの9カ月で計17兆円減った。多くの企業業績がむしばまれ、ここ数年の賃上げムードにも暗雲が垂れ込めた結果、消費の回復は一段と遠のいた。株価こそ好調に見えるが、その源泉は各国政府の財政出動と中央銀行の金融緩和にあり、実体経済を反映しているとは到底、言い難い。 戦後最大級の経済激変は、多くの人の人生を狂わせた。 「ええ、大丈夫です。またいつか、いつか落ち着いたらお越しください」 新規予約の電話は一向に鳴らない。鳴るのは役所からの問い合わせと、わずかに入っていた予約のキャンセルだけだ。屋形船を運航する東京・東日本橋の舟宿「小松屋」。昭和2年創業の歴史ある船宿は2020年、かつてない逆風にさらされ続けた。 20年初頭から猛威をふるったコロナ禍に対し、政府も地方自治体も「経済活動と感染防止を両立させる」と意気込んだものの、結局、第3波がやってきた。小松屋の主人で屋形船の組合理事長、佐藤勉氏は「コロナ禍がこんなに長引くとは……」と、ため息を漏らす。 2月、都内の屋形船を使った個人タクシーの運転手の感染が確認されて以降、業界はコロナ禍の試練をいきなり受ける形になった。船内の換気や消毒など感染防止対策をいくら徹底していても、メディアだけでなく行政までもから「まるで乗っただけでコロナに感染するかのような乗り物として扱われた」。佐藤氏はこう振り返る。 毎年のかき入れ時である花見シーズンの予約客ゼロ、夕涼みの夏のシーズンの予約客ゼロ、そして3本目の柱である忘年会シーズンも恐らくゼロ。業界にとって20年は「かつてない悪夢」としか形容しようがない。 この1年、花見客も夕涼み客もそして忘年会の客も失った(この11月下旬、そんな佐藤氏の元にまた悲しい知らせが届いた。船の燃料を届けてくれていた近所のガソリンスタンドが年内で店じまいするのだという。コロナ禍で人の移動が制限され、屋形船に限らずガソリンなど燃料需要が減少、廃業を余儀なくされた。「俺らより先にいくなよな」。佐藤氏にはやるせない思いばかりが募る』、「日本の実質国内総生産(GDP)は」の実績は、4-6月期8.3%のマイナス、7-9月期5.3%のプラスとなり、まだ落ち込みをカバーできてない。「屋形船」はコロナ禍の影響を真っ先に受けた。
・『こだわりの旅行会社、売り上げ9割減 コロナ禍の影響をもろに受けた企業はいくらでもある。 JR中野駅から程近い「風の旅行社」もその1つ。こだわりの海外旅行プランを提供してきた会社だ。 「雲上の一軒宿に泊まって絶景とヨガも楽しむネパール9日間」「タイガの森でトナカイ乗りキャラバン、モンゴル8日間」……。同社のパンフや発行誌には、同業各社も舌を巻くそんなプランが並んでいた。だが今、海外渡航は規制され、風の旅行社の売り上げも「9割減を覚悟している」(原優二代表取締役)状況にある。 原氏はコロナ禍で、とにかく「しのぎ・つなぐ経営」にかじを切った。 会社を畳まなくて済むように金融機関に頭を下げ、当座の資金を確保した。雇用調整助成金などのもらえるものはフル活用し、従業員には副業を実施するよう促した。 すずめの涙程度の売り上げだと分かっていたが、物販も始めた。「風の旅行社らしさ」がなくなるからと、敬遠していた国内旅行も充実させた。すべてはしのぎ、来るべき未来につなぐためだ』、海外旅行は「9割減を覚悟」、極めて厳しいようだ。
・『30人の従業員に告げた「その時は許してほしい」 21年夏の東京五輪開催に伴い、渡航規制が解除されるエリアが出てくるかもしれない。確かに、そんな希望は捨ててはいない。だが不安も募る。会社を支えてくれた雇用調整助成金もいずれは縮小される。各種ツアー停止に伴い、これまで長年協力してくれた現地ガイドの安否すらつかみづらくなった。渡航規制が解除されても、弱小旅行会社には航空券が回ってこないのではないか……。心配の種は尽きない。 だから30人いる社員には既にこう伝えている。 「想定外のことが続けば、いったん全員を解雇する事態が来るかもしれない。その時は許してほしい」 こうした“コロナ禍直撃産業”で働く人々はもちろん、多くの人が21年を展望するうえで思うことはもはやひとつしかないに違いない。この悪夢はそろそろ終わるのか、それともまだまだ続くのか、だ。 足元の第3波の状況を見る限り、21年も明るい1年にはならない。こう判断してしまうのは簡単だが早計だ。日本や世界、主要産業を観察するとそこには「一段の状況悪化」の兆しもあるものの、目を凝らせば「底打ち」のサインも見て取れる。 「わずかな光はある」。小松屋の佐藤氏もこう話す。屋形船の利用客はコロナ禍が少しだけ落ち着いていたこの秋、1組だけあった。11月下旬の連休、1組の家族連れが夫婦の結婚記念の祝いで小松屋の屋形船を使ってくれたのだ。 時を同じくして、屋形船の組合事業者総出で、都内4カ所から屋形船の無料試乗会を実施したところ、700人近くが利用した。「すべてが枯れたわけでも、まるっきりそっぽを向かれたわけでもない。希望はゼロでは……ない」(佐藤氏) 予測不能のとんでもない1年となった2020年。果たして2021年は多くの人の希望通り「底打ちの年」となるのか、それとも「奈落の底」に向かうことになるのか。その大きなカギとなるのは、まずは言うまでもなく「コロナがどうなるか」だ』、「ワクチン」の効果がどの程度あるかもカギを握るだろう。
次に、12月22日付け日経ビジネスオンラインが掲載したみずほ証券チーフMエコノミストの上野 泰也氏による「ヒット商品や流行語で振り返る「コロナで始まり鬼滅で終わった年」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00122/00102/?P=1
・『もうすぐ終わる2020年(令和2年)。新型コロナウイルスの感染が拡大して世界経済が大きく落ち込んだり、生活スタイルが大きく変容したりするなど、これまでに例のない、異様とも言える年になった感が強い。ここではこの1年を、ヒット商品や流行語のランキングなどをもと基に振り返ってみたい。 私事になるが、今年の年始早々、筆者はインフルエンザにかかった。予防注射は10年以上にわたり毎年欠かさず秋に受けてきたのだが、流行するウイルスのタイプが違ったり、注射をしてから時間がたって抗体が弱くなっていたりすれば、結局かかってしまうらしい。お正月に実家でゆったりすごせなかったので、相当げんなりした。だがこの時点では、まさか世の中全体が別のウイルスによって大変なことになるとは、想像もできなかった。 「これはまずいな」と筆者が強く思い始めたのが、2月初めにソウルに私用で渡航した際の経験である。「新型肺炎」とその頃呼ばれていた問題は中国に限られた話だという意識がこの時点ではまだ強く、東京の街中でマスクをしている人はせいぜい3割ぐらいだったと記憶している。だが、「水際」の羽田空港国際線ターミナルの職員はマスク装着率100%。そして、見に行ったソウルの音楽ライブ会場では全員が完全にマスクをしていた。苦しくなってマスクを下ろして口を出すと、監視員がすかさず強い口調で注意してきた。その後、日本を含む世界中へと新型コロナウイルスが拡散していった経緯は、ご存じの通りである。 それから4カ月ほどたった6月10日の日経MJ(流通新聞)に、2020年上半期の「ヒット商品番付」が掲載された。東西の横綱は「オンライン生活ツール」と「任天堂『あつまれ どうぶつの森』」。大関は「応援消費」と「おうちごはん」。関脇は「無観客ライブ」と「テークアウト」。これらはすべて、ウイルス感染拡大をうけた「新しい生活様式」の関連である。平幕の顔ぶれを見ても、西前頭5枚目に「手作りマスク」、同12枚目には「アマビエ」が入っていた』、なるほど。
・『ウイルス退散の期待もむなしく…… 上記は、緊急事態宣言が4月7日に発令されて5月25日に全面解除された後の番付なので、新型コロナウイルスが人々の生活にもたらした苦難が反映されているのだが、それでもこの時点ではまだ、「夏になって暑くなればウイルスは退散してくれるのではないか」といった、漠然とした期待感があったように思う。 「もう少しだから頑張ろう」と自分に言い聞かせるようなセリフが、あちこちで言われた時期でもあった。他人とのコミュニケーションができるほのぼのした面もあるゲーム、通称「あつ森」が西横綱になったことには、人々の心にそうは言ってもこの時点ではまだそれなりに余裕めいた部分があったからなのかもしれない。 だが、夏になっても新型コロナウイルスとの「共存」状態が続き、マスクに汗が染みる中で、このウイルスとの闘いは長期戦だということが誰の目にも明らかになっていった。東京五輪・パラリンピックの開催が1年延期されたが、結局は中止されるだろうというのが、世の中で多数意見になっていった。 猛暑日の日中に外でマスクをしていると脱水症状になりかねないという話になり、どこまでマスクをしていればよいのか、筆者も正直分からなくなった。社会的な監視の目があるから、マスクをしないわけにはいかない。そうした文字通り息苦しい日々が、人々の心にストレスをじわじわ蓄積していったように思う。 秋になり、11月3日に日経トレンディと日経クロストレンドから「2020年ヒット商品ベスト30」が発表された。 1位は「鬼滅の刃」。吾峠呼世晴氏原作の、大正時代の日本を舞台にした「血風剣戟冒険譚(けっぷうけんげきぼうけんたん)」である。「週刊少年ジャンプ」への連載は5月に終了したが、コミック本の22巻が10月2日に発売されるとシリーズの累計発行部数(電子版を含む)が1億部を突破。10月16日には映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が公開されて、興行収入の記録を驚異的なスピードで次々と塗り替えていった。 夏を過ぎても新型コロナウイルスが消えない、アマビエのシールをあちこちに貼って念じてもウイルスが消えてくれない中で、鬼を退治する物語に人々の思いが引き寄せられていったのだろうか。そのあたりの機微の解明は社会学者の専門分野であり、新聞などにはこの爆発的流行についての論考もいくつか出てきている』、「アマビエのシールをあちこちに貼って念じてもウイルスが消えてくれない中で、鬼を退治する物語に人々の思いが引き寄せられていったのだろうか」、面白い見方だ。
・『「鬼滅」がヒット番付総なめ このランキングでは、2位が「マスク消費」、3位が「あつまれ どうぶつの森」。以下、「Zoom」「檸檬堂」「Air Pods Pro」「モバイルオーダー」などになった。 11月26日にはSMBCコンサルティングから「2020年ヒット商品番付」が発表された。この番付では、「鬼滅の刃」は東大関。東西の横綱は「オンライン生活」と「感染予防グッズ」で、いずれもコロナ関連である。ちなみに、西大関は「藤井聡太二冠」。筆者の周囲では、藤井君は果たして商品なのか?という感想も出ていたが、この手のランキングで芸能人やスポーツ選手も含めて、特定の人物がランクインすることはよくある。 11月30日には「三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2020』」が発表された。大賞は「ぴえん」。SNSで若い女性を中心に使用頻度がかなり高くなった、泣き顔の顔文字スタンプで示される、軽度の悲しみや落胆などを示すセリフである。2位以下には「○○警察」「密」「リモート」などが選ばれた。 師走に入ると、1日に「2020年 ユーキャン新語・流行語大賞」が発表された。年間大賞で選ばれたのは「3密」。小池百合子東京都知事が繰り返し口にした「密です」のSNS上での注目をきっかけに、このコンセプトが一気に広がることになった。 トップ10に選ばれた残りの9つは、「愛の不時着(韓国ドラマ)」「あつ森(あつまれ どうぶつの森)」「アベノマスク」「アマビエ」「オンライン○○」「鬼滅の刃」「Go To キャンペーン」「ソロキャンプ」「フワちゃん」。やはり新型コロナウイルス感染拡大に直接関連する言葉が、かなりの比率である。 12月2日には、筆者が最も注目しているヒット商品ランキングであるが発表された。東横綱は(筆者が予想していた通り)「鬼滅の刃」である。映画、コミック本に加えてコラボ商品も広く人気を集めており、マスコミ各社が「社会現象」とまで形容する状況になった。 西の横綱は「オンラインツール」。大関は「おうち料理」と「フードデリバリー」。関脇に「任天堂『あつまれ どうぶつの森』」と「アウトドア」。小結に「有料ライブ配信」と「ソニー『プレイステーション5』」がランクインした。 2020年の上半期の番付と通年の番付を比べてみると、「オンラインツール」は横綱のままだが東から西に回り、「鬼滅の刃」がランク外から一気に東横綱に上りつめたことが分かる。また、上半期には幕尻(西前頭12枚目)に入っていた「アマビエ」が、年間の番付では消えた。コロナとの闘いが夏場を含む長期戦になる中で、神頼み的な人気が下半期は続かなくなったということだろうか。 蛇足になるが、この番付を毎年チェックする際に、自分が知らないものがいくつあるかを、筆者は必ず数えている。全然知らないものが多くなるようだと、それは世の中の動きについていけなくなったということであり、もしかすると金融市場の前線から身を引く潮時だということなのかもしれない。 今年のカウントがどうだったかということだが、幸か不幸か、まだかなり少なかった。筆者が知らなかったのは、平幕の「タカラトミー『キャップ革命ボトルマン』」「アース製薬『らくハピ マッハ泡バブルーン 洗面台の排水管』」「コクヨ『しゅくだいやる気ペン』」「味源『SABACHi』」の4つだけだった。周囲の人よりも少なめで、まずは合格点だろう』、私の場合は言うまでもなくはるかに多い。
・『今年の英単語は「pandemic」 12月14日には日本漢字能力検定協会から「今年の漢字」が「密」になったことが発表された。全国から公募した結果、2万8000票以上を集めて第1位になった。これは容易に予想できた結果だろう。発表元は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて多くの人が「密」を意識し、日常生活にも大きな影響があったことなどが理由だと、解説を加えた。 ちなみに、2017年は北朝鮮の「北」、18年は自然災害が多くなった中で「災」、19年は新しい元号に入っている「令」が、「今年の漢字」だった。 この間、米国でメリアム・ウェブスター辞典が選んだ今年の単語は「pandemic(パンデミック)」になった。世界保健機関(WHO)は3月11日に、新型コロナウイルス感染症は世界的な大流行(パンデミック)であるとアナウンスした。ディクショナリー・ドットコムが選んだ今年の単語も同じである。 2020年という年は「コロナで始まり鬼滅で終わった」というのが、筆者の率直な感想であり、整理である。 新型コロナウイルスに有効とされるワクチンの開発が進み、日本でもおそらく来年の春から夏あたりにワクチン接種が進められる中で、どこまで元の生活スタイルを取り戻せるのか。あるいは取り戻せないのか。そうした中からどういうヒット商品や流行語が生まれてくるのか。興味は尽きないわけだが、来年は少しでも明るい方向へと物事が動いていくことを祈りたい』、「来年は少しでも明るい方向へと物事が動いていくことを祈りたい」、同感である。
第三に、12月22日付け日経ビジネスオンラインが掲載した健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏による「「他者の辛さ」おもんぱかる力が衰退した2020年」の無料部分を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00108/?P=1
・『連日「過去最多」という文字がSNS上に、テレビ画面に、新聞紙面に躍る中、コロナだらけだった一年が終わろうとしている。2020年元日の当コラムで「時代が動く。それが2020年ではないか、と。『2020は大きな節目』になる」と予想した通りの一年だった。 もっとも、“予想”していたあの時には、新型コロナウイルスが発生して、それが世界中を巻き込むことになるだなんて考えもしなかったが』、『2020は大きな節目』だけでも当たったのは大したものだ。
・『日常生活が消えていった つくづく、半世紀以上も生きているといろんなことがあるなぁ、と。 阪神大震災、オウム真理教による地下鉄サリン事件、米国同時多発テロ、東日本大震災が起き、「これ以上何かあるとすれば、富士山大噴火か、あるいは関東大震災か」と思っていたのに、まさかまさかのパンデミック。 100年ごとにパンデミックが起きるとされているので、50年以上生きていれば一度は遭遇する出来事だったのかも、などと思ったりもする。 しかし、コロナという目に見えないウイルスがもたらした変化は、生身の人間が耐えられる限界を超えるスピードだった。 個人的にも厳しい1年だった。当たり前だった日常がことごとく消え、クロージングに少しずつ向かおうという願いは一掃された。自分が存在する意味すら分からなくなることもあった。「おかしいことをおかしいと言い続ける」ことを大切にしてきたのに、それがぶれそうになることも度々あった。 ……これは、今まで経験したことのない事態で、自分でもかなり驚いた。 光が見えては消えてを繰り返す日々に、文章をつづるという仕事を通じて自分が培ってきた感受性を失わないように、時に耳をふさぎ目を隠し、再び耳をかっぽじって目を凝らすことを繰り返した。 そんな状況だったので、予期せぬ“サンクスメール”には何度も救われました。 「やりがいの神様からは、まだ見捨てられていないんだ!」と、ギフトをくださった方たちに背中を押していただきました。この場を借りて心より御礼申し上げます。ありがとうございました。 というわけで、今回は2020年最後のコラム。例年通りこの一年にたくさん読まれたコラムとコメントを振り返りつつ、あれこれ考えます(集計は12月15日時点)』、「100年ごとにパンデミックが起きるとされているので、50年以上生きていれば一度は遭遇する出来事だったのかも、などと思ったりもする。 しかし、コロナという目に見えないウイルスがもたらした変化は、生身の人間が耐えられる限界を超えるスピードだった」、なるほど。
・『【2020年 最も読まれたコラムトップ5】※カッコ内はコメント数
1位:希望退職で「やる気なし若手」を量産する素人トップの罪(189) 2位:菅首相、言葉なき「しどろもどろ会見」で広がる絶望(214) 3位:増える「50代おじさん起業」と稼げない現実の過酷さ(118) 4位:働きがい問われる年、シニアのリストラが若者にも悪影響(79)
5位:新型コロナが浮き彫りにした格差社会の危険な先行き(140) みなさんの読まれたコラムは入っていましたか? コメントを書いたコラムは? さて、いかがでしょう。 2020年は途中から有料になったり、有料になっても時折無料になったりと、サイトも変化の一年でしたが、たくさんの方に読んでいただき、たくさんのコメントもいただきました』、確かに「途中から有料になったり、有料になっても時折無料になったりと、サイトも変化の一年」、私も戸惑った。この記事も無料部分は途中までで終わるようだ。
・『自分と違う他者を「想像しない」 前述した通り、自分がぶれないために、耳をふさいだり目を覆ったりもしたけど、コメントも例年通り拝読しております。学ばせていただいたり、笑わせていただいたり、あらあらこの方大丈夫かしら?と要らぬ心配をしたりと、楽しませていただきました。 特に、上記ランク外の10位だった「『人に迷惑をかけるな』という呪いと自助社会の絶望感」にいただいた287件のコメントは、どれも貴重なご意見だった。 介護を経験した方たちがたくさん経験談を書いてくださり、とてもとても勉強になった。コメント欄に書かずに、直接連絡をくださり、その後も情報提供をしてくださった方たちもたくさんいた。心より、感謝いたします。 介護問題の最大の問題点は、「雨に降られた人しか雨の冷たさが分からない」ことで、どんなに想像をめぐらせても、他者には思い及ばないリアルがある。287件のコメントを拝見し、改めてそれを痛感した。 と同時に、この一年は介護問題に限らず、「自分とは違う他者」について想像しない人の存在を、実感することが多かった。「できない」のではない、「しない」のだ。 それがコロナ禍の不安によるものなのか? アフターコロナという言葉が象徴する新しい社会から、どうにかこぼれ落ちないようにあがいているからなのか? あるいは、以前から存在した芽が、より顕在化しただけなのか? 分からない。 ただ確実に、自分と違う他者をあえて「想像しない」という無意識の選択は広がりをみせた。 私は声にならない声を取り上げ、それが決して「不運な人の特別なエピソードではない。社会のひずみが生んだ不運である」ことを書き続けてきた。それは、書くことを生業としてから一貫して私がやってきたことだ。そう、個人の問題ではなく社会の問題なんだ、と。 コロナ前には、そういう声なき声に耳を傾け、自分とは違う他者を認め、彼らを取り巻く環境を知ろうとしていた人たちが、それをしなくなった。声なき声を取り上げることにすらアレルギーを示すコメントや、問題提起を政府批判としか捉えないコメントには、申し訳ないけど違和感を覚えたし、暗たんたる気持ちにもなった。 社会の問題として受け止めるのではなく、「自己責任、自助」という言葉で正義を語り、他者を切り捨てるように変わってしまったのだ』、「声なき声を取り上げることにすらアレルギーを示すコメントや、問題提起を政府批判としか捉えないコメント」、困ったことだ。
・『社会のひずみが拡大 新型コロナウイルス感染拡大に関連する解雇や雇い止めは、見込みを含めて7万6543人(12月11日時点、厚生労働省発表)。前の週よりも1202人増加し、アルバイトなどの非正規労働者がその6割に当たる702人を占めた。 この数字はハローワークに出向く余力がある人の数なので、氷山の一角でしかない。 10月の自殺者は2158人で、男性は前年同月比で21.3%増えたのに対し、女性は前年同月比でなんと82.6%増。人数では男性1306人、女性852人と男性が上回るが、コロナ禍がいかに女性に厳しいものかを物語っている(11月24日付厚生労働省「警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等」)。 さらに、4~9月の失業率は前年同期と比べて、若年者ほど上昇幅が大きく、収入も減少したことが分かっている(労働政策研究・研修機構「若年者に厳しい新型コロナの雇用・収入面への影響――JILPT個人調査の年齢別分析」)。 具体的には、 +15~19歳の失業率が最も高く、25~29歳が2番目に高い。 +企業に雇用されている労働者のうち、「コロナの影響があった」と回答した人は、20~29歳の50%弱が最も多く、30~39歳が次に多かった。 +影響があった内容のトップは「収入の減少」で、「勤務日数や労働時間の減少(休業を含む)」「業務内容の変更」と続いていた。 +20代と30代の3割以上が「収入が減った」と回答した。 非正規、女性、若者という属性で生じる問題は、コロナ前にも存在し、コロナにより顕在化した社会のひずみの一部だ。非正規や女性の問題は、何度も書いているのでご存じであろうが、若者も同様である。) 若い世代ほど、同じ年齢であっても非正規雇用者が多く(総務省「労働力調査」)、年収300万円未満層(推計)は、男性では20代で263万人(雇用者の54.6%、正規雇用者の45.2%、非正規雇用者の79.5%)、30代男性で135万人(同様に20.4%、14.5%、62.4%)、40代男性で88万人(同様に12.1%、7.5%、59.4%)。 つまり、非正規だけではなく正社員でも、20代は半数弱、30代では15%近くが300万円未満しか収入がない(ニッセイ基礎研究所「若年層の経済格差と家族形成格差-増加する非正規雇用者、雇用形態が生む年収と既婚率の違い」)。 「若者の負担を減らそう!」「若者は未来だ!」という美しい言葉とは裏腹に、若い世代を取り巻く環境は年々厳しさを増していたのだ』、その通りだ。
・『自己責任にする大義名分に こういった社会のひずみを生んできたそもそもの原因と、今、起きている出来事に正面から向き合わなければ、問題はなかったことにされ、また繰り返される。 そのときには「私」の問題になっているかもしれないということを伝えたくて書き続けてきたけど、その問題に関心すら持たないという“変化”を、2020年は感じずにはいられなかった。 ついでに、せっかくなので6~10位も紹介しておこう。 6位:新型コロナがとどめ「人生最後の砦」介護現場は崩壊へ(129) 7位:「俺の時代は終わった」新型コロナで揺れる管理職たち(94) 8位:黒人差別問題から省みる日本人の「普通」地獄(209) 9位:新型コロナが引き出した大衆の深層心理の闇(214) 10位:「人に迷惑をかけるな」という呪いと自助社会の絶望感(287) 「コロナってさ、自己責任にできる大義名分になってしまったんだよね」こう話すのはある経営者の方だ。 「社員の雇用を維持したいという気持ちに嘘はないし、社員の能力を引き出そうとやってきた。 でも、世の中にはどうやっても自分から動けない人がいるんですよ。コロナ前はね、そういう社員に頭を悩ませながらも、どうにかやりくりしてきました。 それがコロナで経済が失速して、できなくなってしまったんです。会社を守るには、コストカットと投資の両輪が必要なんです。(これ以下は有料)』、「コロナってさ、自己責任にできる大義名分になってしまったんだよね」、「どうにかやりくりしてきました。 それがコロナで経済が失速して、できなくなってしまったんです。会社を守るには、コストカットと投資の両輪が必要なんです」、との「ある経営者」の述懐は本当に難しい問題だ。
先ずは、12月14日付け日経ビジネスオンライン「「密」と呼ばれて300日… 屋形船業者が見た悪夢とかすかな光」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00215/120900001/?P=1
・『今から約1年前の2019年12月31日。いつもと変わらぬ大みそかを迎えていた日本にその外電が伝わった時、事態の深刻さを見抜けた人はいったい何人いただろう。 ■「中国で原因不明の肺炎相次ぐ――武漢で27人発症、政府が調査」(中国湖北省武漢市当局は31日、市内の医療機関で27人がウイルス性肺炎を発症したと発表した。感染源など詳しい原因は不明で、中国政府は感染状況を把握するため、専門チームを現場に派遣。発症の疑いがあれば報告するよう医療機関に求めている。(共同通信) この日の日本の産業界の話題は昼すぎから、会社法違反(特別背任)の罪などに問われていた日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告の「レバノン出国」一色。数カ月後に世界を揺るがすコロナの悪夢の一報に気を留める人は少なかったはずだ。 むしろ新年を前に企業幹部の頭を占めていたのは「日本経済が五輪後どうなるか」だったに違いない。東京への五輪招致に成功してから6年余り。東日本大震災で深い傷を負った日本が小康状態を保ててこられたのは、五輪というカンフル剤への期待があったからだ。五輪が終わる2020年、日本経済は大きな節目を迎える──。これが多くの人の共通認識だった。 だが蓋を開けると、20年は節目どころではなくなった』、確かに「ゴーン被告の「レバノン出国」一色」、だったようだ。これには、「中国側の情報隠し」も大いに影響していた筈だ。
・『GDP29兆円消失、個人消費17兆円減少の衝撃 中国国営中央テレビ(CCTV)が「原因不明の肺炎の患者から新型コロナウイルスが検出された」と報じたのは、20年1月9日。2月には、横浜港のクルーズ船に乗っていた客の罹患(りかん)が確認された。そこから今日に至るまでの大混乱は、多くの人々が体験した通りだ。 緊急事態宣言に伴う外出自粛などをきっかけに、消費は低迷、企業業績は急激に悪化した。五輪もあえなく延期になった。観光・飲食業では倒産が激増し、地方経済は瓦解寸前に追い込まれつつある。 その結果、日本の実質国内総生産(GDP)は5.3%のマイナス(IMF=国際通貨基金の10月時点の予測)となる。19年比で計29兆円が失われる計算だ。とりわけ個人消費は外出自粛下の4~6月に激減、1月からの9カ月で計17兆円減った。多くの企業業績がむしばまれ、ここ数年の賃上げムードにも暗雲が垂れ込めた結果、消費の回復は一段と遠のいた。株価こそ好調に見えるが、その源泉は各国政府の財政出動と中央銀行の金融緩和にあり、実体経済を反映しているとは到底、言い難い。 戦後最大級の経済激変は、多くの人の人生を狂わせた。 「ええ、大丈夫です。またいつか、いつか落ち着いたらお越しください」 新規予約の電話は一向に鳴らない。鳴るのは役所からの問い合わせと、わずかに入っていた予約のキャンセルだけだ。屋形船を運航する東京・東日本橋の舟宿「小松屋」。昭和2年創業の歴史ある船宿は2020年、かつてない逆風にさらされ続けた。 20年初頭から猛威をふるったコロナ禍に対し、政府も地方自治体も「経済活動と感染防止を両立させる」と意気込んだものの、結局、第3波がやってきた。小松屋の主人で屋形船の組合理事長、佐藤勉氏は「コロナ禍がこんなに長引くとは……」と、ため息を漏らす。 2月、都内の屋形船を使った個人タクシーの運転手の感染が確認されて以降、業界はコロナ禍の試練をいきなり受ける形になった。船内の換気や消毒など感染防止対策をいくら徹底していても、メディアだけでなく行政までもから「まるで乗っただけでコロナに感染するかのような乗り物として扱われた」。佐藤氏はこう振り返る。 毎年のかき入れ時である花見シーズンの予約客ゼロ、夕涼みの夏のシーズンの予約客ゼロ、そして3本目の柱である忘年会シーズンも恐らくゼロ。業界にとって20年は「かつてない悪夢」としか形容しようがない。 この1年、花見客も夕涼み客もそして忘年会の客も失った(この11月下旬、そんな佐藤氏の元にまた悲しい知らせが届いた。船の燃料を届けてくれていた近所のガソリンスタンドが年内で店じまいするのだという。コロナ禍で人の移動が制限され、屋形船に限らずガソリンなど燃料需要が減少、廃業を余儀なくされた。「俺らより先にいくなよな」。佐藤氏にはやるせない思いばかりが募る』、「日本の実質国内総生産(GDP)は」の実績は、4-6月期8.3%のマイナス、7-9月期5.3%のプラスとなり、まだ落ち込みをカバーできてない。「屋形船」はコロナ禍の影響を真っ先に受けた。
・『こだわりの旅行会社、売り上げ9割減 コロナ禍の影響をもろに受けた企業はいくらでもある。 JR中野駅から程近い「風の旅行社」もその1つ。こだわりの海外旅行プランを提供してきた会社だ。 「雲上の一軒宿に泊まって絶景とヨガも楽しむネパール9日間」「タイガの森でトナカイ乗りキャラバン、モンゴル8日間」……。同社のパンフや発行誌には、同業各社も舌を巻くそんなプランが並んでいた。だが今、海外渡航は規制され、風の旅行社の売り上げも「9割減を覚悟している」(原優二代表取締役)状況にある。 原氏はコロナ禍で、とにかく「しのぎ・つなぐ経営」にかじを切った。 会社を畳まなくて済むように金融機関に頭を下げ、当座の資金を確保した。雇用調整助成金などのもらえるものはフル活用し、従業員には副業を実施するよう促した。 すずめの涙程度の売り上げだと分かっていたが、物販も始めた。「風の旅行社らしさ」がなくなるからと、敬遠していた国内旅行も充実させた。すべてはしのぎ、来るべき未来につなぐためだ』、海外旅行は「9割減を覚悟」、極めて厳しいようだ。
・『30人の従業員に告げた「その時は許してほしい」 21年夏の東京五輪開催に伴い、渡航規制が解除されるエリアが出てくるかもしれない。確かに、そんな希望は捨ててはいない。だが不安も募る。会社を支えてくれた雇用調整助成金もいずれは縮小される。各種ツアー停止に伴い、これまで長年協力してくれた現地ガイドの安否すらつかみづらくなった。渡航規制が解除されても、弱小旅行会社には航空券が回ってこないのではないか……。心配の種は尽きない。 だから30人いる社員には既にこう伝えている。 「想定外のことが続けば、いったん全員を解雇する事態が来るかもしれない。その時は許してほしい」 こうした“コロナ禍直撃産業”で働く人々はもちろん、多くの人が21年を展望するうえで思うことはもはやひとつしかないに違いない。この悪夢はそろそろ終わるのか、それともまだまだ続くのか、だ。 足元の第3波の状況を見る限り、21年も明るい1年にはならない。こう判断してしまうのは簡単だが早計だ。日本や世界、主要産業を観察するとそこには「一段の状況悪化」の兆しもあるものの、目を凝らせば「底打ち」のサインも見て取れる。 「わずかな光はある」。小松屋の佐藤氏もこう話す。屋形船の利用客はコロナ禍が少しだけ落ち着いていたこの秋、1組だけあった。11月下旬の連休、1組の家族連れが夫婦の結婚記念の祝いで小松屋の屋形船を使ってくれたのだ。 時を同じくして、屋形船の組合事業者総出で、都内4カ所から屋形船の無料試乗会を実施したところ、700人近くが利用した。「すべてが枯れたわけでも、まるっきりそっぽを向かれたわけでもない。希望はゼロでは……ない」(佐藤氏) 予測不能のとんでもない1年となった2020年。果たして2021年は多くの人の希望通り「底打ちの年」となるのか、それとも「奈落の底」に向かうことになるのか。その大きなカギとなるのは、まずは言うまでもなく「コロナがどうなるか」だ』、「ワクチン」の効果がどの程度あるかもカギを握るだろう。
次に、12月22日付け日経ビジネスオンラインが掲載したみずほ証券チーフMエコノミストの上野 泰也氏による「ヒット商品や流行語で振り返る「コロナで始まり鬼滅で終わった年」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00122/00102/?P=1
・『もうすぐ終わる2020年(令和2年)。新型コロナウイルスの感染が拡大して世界経済が大きく落ち込んだり、生活スタイルが大きく変容したりするなど、これまでに例のない、異様とも言える年になった感が強い。ここではこの1年を、ヒット商品や流行語のランキングなどをもと基に振り返ってみたい。 私事になるが、今年の年始早々、筆者はインフルエンザにかかった。予防注射は10年以上にわたり毎年欠かさず秋に受けてきたのだが、流行するウイルスのタイプが違ったり、注射をしてから時間がたって抗体が弱くなっていたりすれば、結局かかってしまうらしい。お正月に実家でゆったりすごせなかったので、相当げんなりした。だがこの時点では、まさか世の中全体が別のウイルスによって大変なことになるとは、想像もできなかった。 「これはまずいな」と筆者が強く思い始めたのが、2月初めにソウルに私用で渡航した際の経験である。「新型肺炎」とその頃呼ばれていた問題は中国に限られた話だという意識がこの時点ではまだ強く、東京の街中でマスクをしている人はせいぜい3割ぐらいだったと記憶している。だが、「水際」の羽田空港国際線ターミナルの職員はマスク装着率100%。そして、見に行ったソウルの音楽ライブ会場では全員が完全にマスクをしていた。苦しくなってマスクを下ろして口を出すと、監視員がすかさず強い口調で注意してきた。その後、日本を含む世界中へと新型コロナウイルスが拡散していった経緯は、ご存じの通りである。 それから4カ月ほどたった6月10日の日経MJ(流通新聞)に、2020年上半期の「ヒット商品番付」が掲載された。東西の横綱は「オンライン生活ツール」と「任天堂『あつまれ どうぶつの森』」。大関は「応援消費」と「おうちごはん」。関脇は「無観客ライブ」と「テークアウト」。これらはすべて、ウイルス感染拡大をうけた「新しい生活様式」の関連である。平幕の顔ぶれを見ても、西前頭5枚目に「手作りマスク」、同12枚目には「アマビエ」が入っていた』、なるほど。
・『ウイルス退散の期待もむなしく…… 上記は、緊急事態宣言が4月7日に発令されて5月25日に全面解除された後の番付なので、新型コロナウイルスが人々の生活にもたらした苦難が反映されているのだが、それでもこの時点ではまだ、「夏になって暑くなればウイルスは退散してくれるのではないか」といった、漠然とした期待感があったように思う。 「もう少しだから頑張ろう」と自分に言い聞かせるようなセリフが、あちこちで言われた時期でもあった。他人とのコミュニケーションができるほのぼのした面もあるゲーム、通称「あつ森」が西横綱になったことには、人々の心にそうは言ってもこの時点ではまだそれなりに余裕めいた部分があったからなのかもしれない。 だが、夏になっても新型コロナウイルスとの「共存」状態が続き、マスクに汗が染みる中で、このウイルスとの闘いは長期戦だということが誰の目にも明らかになっていった。東京五輪・パラリンピックの開催が1年延期されたが、結局は中止されるだろうというのが、世の中で多数意見になっていった。 猛暑日の日中に外でマスクをしていると脱水症状になりかねないという話になり、どこまでマスクをしていればよいのか、筆者も正直分からなくなった。社会的な監視の目があるから、マスクをしないわけにはいかない。そうした文字通り息苦しい日々が、人々の心にストレスをじわじわ蓄積していったように思う。 秋になり、11月3日に日経トレンディと日経クロストレンドから「2020年ヒット商品ベスト30」が発表された。 1位は「鬼滅の刃」。吾峠呼世晴氏原作の、大正時代の日本を舞台にした「血風剣戟冒険譚(けっぷうけんげきぼうけんたん)」である。「週刊少年ジャンプ」への連載は5月に終了したが、コミック本の22巻が10月2日に発売されるとシリーズの累計発行部数(電子版を含む)が1億部を突破。10月16日には映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が公開されて、興行収入の記録を驚異的なスピードで次々と塗り替えていった。 夏を過ぎても新型コロナウイルスが消えない、アマビエのシールをあちこちに貼って念じてもウイルスが消えてくれない中で、鬼を退治する物語に人々の思いが引き寄せられていったのだろうか。そのあたりの機微の解明は社会学者の専門分野であり、新聞などにはこの爆発的流行についての論考もいくつか出てきている』、「アマビエのシールをあちこちに貼って念じてもウイルスが消えてくれない中で、鬼を退治する物語に人々の思いが引き寄せられていったのだろうか」、面白い見方だ。
・『「鬼滅」がヒット番付総なめ このランキングでは、2位が「マスク消費」、3位が「あつまれ どうぶつの森」。以下、「Zoom」「檸檬堂」「Air Pods Pro」「モバイルオーダー」などになった。 11月26日にはSMBCコンサルティングから「2020年ヒット商品番付」が発表された。この番付では、「鬼滅の刃」は東大関。東西の横綱は「オンライン生活」と「感染予防グッズ」で、いずれもコロナ関連である。ちなみに、西大関は「藤井聡太二冠」。筆者の周囲では、藤井君は果たして商品なのか?という感想も出ていたが、この手のランキングで芸能人やスポーツ選手も含めて、特定の人物がランクインすることはよくある。 11月30日には「三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2020』」が発表された。大賞は「ぴえん」。SNSで若い女性を中心に使用頻度がかなり高くなった、泣き顔の顔文字スタンプで示される、軽度の悲しみや落胆などを示すセリフである。2位以下には「○○警察」「密」「リモート」などが選ばれた。 師走に入ると、1日に「2020年 ユーキャン新語・流行語大賞」が発表された。年間大賞で選ばれたのは「3密」。小池百合子東京都知事が繰り返し口にした「密です」のSNS上での注目をきっかけに、このコンセプトが一気に広がることになった。 トップ10に選ばれた残りの9つは、「愛の不時着(韓国ドラマ)」「あつ森(あつまれ どうぶつの森)」「アベノマスク」「アマビエ」「オンライン○○」「鬼滅の刃」「Go To キャンペーン」「ソロキャンプ」「フワちゃん」。やはり新型コロナウイルス感染拡大に直接関連する言葉が、かなりの比率である。 12月2日には、筆者が最も注目しているヒット商品ランキングであるが発表された。東横綱は(筆者が予想していた通り)「鬼滅の刃」である。映画、コミック本に加えてコラボ商品も広く人気を集めており、マスコミ各社が「社会現象」とまで形容する状況になった。 西の横綱は「オンラインツール」。大関は「おうち料理」と「フードデリバリー」。関脇に「任天堂『あつまれ どうぶつの森』」と「アウトドア」。小結に「有料ライブ配信」と「ソニー『プレイステーション5』」がランクインした。 2020年の上半期の番付と通年の番付を比べてみると、「オンラインツール」は横綱のままだが東から西に回り、「鬼滅の刃」がランク外から一気に東横綱に上りつめたことが分かる。また、上半期には幕尻(西前頭12枚目)に入っていた「アマビエ」が、年間の番付では消えた。コロナとの闘いが夏場を含む長期戦になる中で、神頼み的な人気が下半期は続かなくなったということだろうか。 蛇足になるが、この番付を毎年チェックする際に、自分が知らないものがいくつあるかを、筆者は必ず数えている。全然知らないものが多くなるようだと、それは世の中の動きについていけなくなったということであり、もしかすると金融市場の前線から身を引く潮時だということなのかもしれない。 今年のカウントがどうだったかということだが、幸か不幸か、まだかなり少なかった。筆者が知らなかったのは、平幕の「タカラトミー『キャップ革命ボトルマン』」「アース製薬『らくハピ マッハ泡バブルーン 洗面台の排水管』」「コクヨ『しゅくだいやる気ペン』」「味源『SABACHi』」の4つだけだった。周囲の人よりも少なめで、まずは合格点だろう』、私の場合は言うまでもなくはるかに多い。
・『今年の英単語は「pandemic」 12月14日には日本漢字能力検定協会から「今年の漢字」が「密」になったことが発表された。全国から公募した結果、2万8000票以上を集めて第1位になった。これは容易に予想できた結果だろう。発表元は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて多くの人が「密」を意識し、日常生活にも大きな影響があったことなどが理由だと、解説を加えた。 ちなみに、2017年は北朝鮮の「北」、18年は自然災害が多くなった中で「災」、19年は新しい元号に入っている「令」が、「今年の漢字」だった。 この間、米国でメリアム・ウェブスター辞典が選んだ今年の単語は「pandemic(パンデミック)」になった。世界保健機関(WHO)は3月11日に、新型コロナウイルス感染症は世界的な大流行(パンデミック)であるとアナウンスした。ディクショナリー・ドットコムが選んだ今年の単語も同じである。 2020年という年は「コロナで始まり鬼滅で終わった」というのが、筆者の率直な感想であり、整理である。 新型コロナウイルスに有効とされるワクチンの開発が進み、日本でもおそらく来年の春から夏あたりにワクチン接種が進められる中で、どこまで元の生活スタイルを取り戻せるのか。あるいは取り戻せないのか。そうした中からどういうヒット商品や流行語が生まれてくるのか。興味は尽きないわけだが、来年は少しでも明るい方向へと物事が動いていくことを祈りたい』、「来年は少しでも明るい方向へと物事が動いていくことを祈りたい」、同感である。
第三に、12月22日付け日経ビジネスオンラインが掲載した健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏による「「他者の辛さ」おもんぱかる力が衰退した2020年」の無料部分を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00108/?P=1
・『連日「過去最多」という文字がSNS上に、テレビ画面に、新聞紙面に躍る中、コロナだらけだった一年が終わろうとしている。2020年元日の当コラムで「時代が動く。それが2020年ではないか、と。『2020は大きな節目』になる」と予想した通りの一年だった。 もっとも、“予想”していたあの時には、新型コロナウイルスが発生して、それが世界中を巻き込むことになるだなんて考えもしなかったが』、『2020は大きな節目』だけでも当たったのは大したものだ。
・『日常生活が消えていった つくづく、半世紀以上も生きているといろんなことがあるなぁ、と。 阪神大震災、オウム真理教による地下鉄サリン事件、米国同時多発テロ、東日本大震災が起き、「これ以上何かあるとすれば、富士山大噴火か、あるいは関東大震災か」と思っていたのに、まさかまさかのパンデミック。 100年ごとにパンデミックが起きるとされているので、50年以上生きていれば一度は遭遇する出来事だったのかも、などと思ったりもする。 しかし、コロナという目に見えないウイルスがもたらした変化は、生身の人間が耐えられる限界を超えるスピードだった。 個人的にも厳しい1年だった。当たり前だった日常がことごとく消え、クロージングに少しずつ向かおうという願いは一掃された。自分が存在する意味すら分からなくなることもあった。「おかしいことをおかしいと言い続ける」ことを大切にしてきたのに、それがぶれそうになることも度々あった。 ……これは、今まで経験したことのない事態で、自分でもかなり驚いた。 光が見えては消えてを繰り返す日々に、文章をつづるという仕事を通じて自分が培ってきた感受性を失わないように、時に耳をふさぎ目を隠し、再び耳をかっぽじって目を凝らすことを繰り返した。 そんな状況だったので、予期せぬ“サンクスメール”には何度も救われました。 「やりがいの神様からは、まだ見捨てられていないんだ!」と、ギフトをくださった方たちに背中を押していただきました。この場を借りて心より御礼申し上げます。ありがとうございました。 というわけで、今回は2020年最後のコラム。例年通りこの一年にたくさん読まれたコラムとコメントを振り返りつつ、あれこれ考えます(集計は12月15日時点)』、「100年ごとにパンデミックが起きるとされているので、50年以上生きていれば一度は遭遇する出来事だったのかも、などと思ったりもする。 しかし、コロナという目に見えないウイルスがもたらした変化は、生身の人間が耐えられる限界を超えるスピードだった」、なるほど。
・『【2020年 最も読まれたコラムトップ5】※カッコ内はコメント数
1位:希望退職で「やる気なし若手」を量産する素人トップの罪(189) 2位:菅首相、言葉なき「しどろもどろ会見」で広がる絶望(214) 3位:増える「50代おじさん起業」と稼げない現実の過酷さ(118) 4位:働きがい問われる年、シニアのリストラが若者にも悪影響(79)
5位:新型コロナが浮き彫りにした格差社会の危険な先行き(140) みなさんの読まれたコラムは入っていましたか? コメントを書いたコラムは? さて、いかがでしょう。 2020年は途中から有料になったり、有料になっても時折無料になったりと、サイトも変化の一年でしたが、たくさんの方に読んでいただき、たくさんのコメントもいただきました』、確かに「途中から有料になったり、有料になっても時折無料になったりと、サイトも変化の一年」、私も戸惑った。この記事も無料部分は途中までで終わるようだ。
・『自分と違う他者を「想像しない」 前述した通り、自分がぶれないために、耳をふさいだり目を覆ったりもしたけど、コメントも例年通り拝読しております。学ばせていただいたり、笑わせていただいたり、あらあらこの方大丈夫かしら?と要らぬ心配をしたりと、楽しませていただきました。 特に、上記ランク外の10位だった「『人に迷惑をかけるな』という呪いと自助社会の絶望感」にいただいた287件のコメントは、どれも貴重なご意見だった。 介護を経験した方たちがたくさん経験談を書いてくださり、とてもとても勉強になった。コメント欄に書かずに、直接連絡をくださり、その後も情報提供をしてくださった方たちもたくさんいた。心より、感謝いたします。 介護問題の最大の問題点は、「雨に降られた人しか雨の冷たさが分からない」ことで、どんなに想像をめぐらせても、他者には思い及ばないリアルがある。287件のコメントを拝見し、改めてそれを痛感した。 と同時に、この一年は介護問題に限らず、「自分とは違う他者」について想像しない人の存在を、実感することが多かった。「できない」のではない、「しない」のだ。 それがコロナ禍の不安によるものなのか? アフターコロナという言葉が象徴する新しい社会から、どうにかこぼれ落ちないようにあがいているからなのか? あるいは、以前から存在した芽が、より顕在化しただけなのか? 分からない。 ただ確実に、自分と違う他者をあえて「想像しない」という無意識の選択は広がりをみせた。 私は声にならない声を取り上げ、それが決して「不運な人の特別なエピソードではない。社会のひずみが生んだ不運である」ことを書き続けてきた。それは、書くことを生業としてから一貫して私がやってきたことだ。そう、個人の問題ではなく社会の問題なんだ、と。 コロナ前には、そういう声なき声に耳を傾け、自分とは違う他者を認め、彼らを取り巻く環境を知ろうとしていた人たちが、それをしなくなった。声なき声を取り上げることにすらアレルギーを示すコメントや、問題提起を政府批判としか捉えないコメントには、申し訳ないけど違和感を覚えたし、暗たんたる気持ちにもなった。 社会の問題として受け止めるのではなく、「自己責任、自助」という言葉で正義を語り、他者を切り捨てるように変わってしまったのだ』、「声なき声を取り上げることにすらアレルギーを示すコメントや、問題提起を政府批判としか捉えないコメント」、困ったことだ。
・『社会のひずみが拡大 新型コロナウイルス感染拡大に関連する解雇や雇い止めは、見込みを含めて7万6543人(12月11日時点、厚生労働省発表)。前の週よりも1202人増加し、アルバイトなどの非正規労働者がその6割に当たる702人を占めた。 この数字はハローワークに出向く余力がある人の数なので、氷山の一角でしかない。 10月の自殺者は2158人で、男性は前年同月比で21.3%増えたのに対し、女性は前年同月比でなんと82.6%増。人数では男性1306人、女性852人と男性が上回るが、コロナ禍がいかに女性に厳しいものかを物語っている(11月24日付厚生労働省「警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等」)。 さらに、4~9月の失業率は前年同期と比べて、若年者ほど上昇幅が大きく、収入も減少したことが分かっている(労働政策研究・研修機構「若年者に厳しい新型コロナの雇用・収入面への影響――JILPT個人調査の年齢別分析」)。 具体的には、 +15~19歳の失業率が最も高く、25~29歳が2番目に高い。 +企業に雇用されている労働者のうち、「コロナの影響があった」と回答した人は、20~29歳の50%弱が最も多く、30~39歳が次に多かった。 +影響があった内容のトップは「収入の減少」で、「勤務日数や労働時間の減少(休業を含む)」「業務内容の変更」と続いていた。 +20代と30代の3割以上が「収入が減った」と回答した。 非正規、女性、若者という属性で生じる問題は、コロナ前にも存在し、コロナにより顕在化した社会のひずみの一部だ。非正規や女性の問題は、何度も書いているのでご存じであろうが、若者も同様である。) 若い世代ほど、同じ年齢であっても非正規雇用者が多く(総務省「労働力調査」)、年収300万円未満層(推計)は、男性では20代で263万人(雇用者の54.6%、正規雇用者の45.2%、非正規雇用者の79.5%)、30代男性で135万人(同様に20.4%、14.5%、62.4%)、40代男性で88万人(同様に12.1%、7.5%、59.4%)。 つまり、非正規だけではなく正社員でも、20代は半数弱、30代では15%近くが300万円未満しか収入がない(ニッセイ基礎研究所「若年層の経済格差と家族形成格差-増加する非正規雇用者、雇用形態が生む年収と既婚率の違い」)。 「若者の負担を減らそう!」「若者は未来だ!」という美しい言葉とは裏腹に、若い世代を取り巻く環境は年々厳しさを増していたのだ』、その通りだ。
・『自己責任にする大義名分に こういった社会のひずみを生んできたそもそもの原因と、今、起きている出来事に正面から向き合わなければ、問題はなかったことにされ、また繰り返される。 そのときには「私」の問題になっているかもしれないということを伝えたくて書き続けてきたけど、その問題に関心すら持たないという“変化”を、2020年は感じずにはいられなかった。 ついでに、せっかくなので6~10位も紹介しておこう。 6位:新型コロナがとどめ「人生最後の砦」介護現場は崩壊へ(129) 7位:「俺の時代は終わった」新型コロナで揺れる管理職たち(94) 8位:黒人差別問題から省みる日本人の「普通」地獄(209) 9位:新型コロナが引き出した大衆の深層心理の闇(214) 10位:「人に迷惑をかけるな」という呪いと自助社会の絶望感(287) 「コロナってさ、自己責任にできる大義名分になってしまったんだよね」こう話すのはある経営者の方だ。 「社員の雇用を維持したいという気持ちに嘘はないし、社員の能力を引き出そうとやってきた。 でも、世の中にはどうやっても自分から動けない人がいるんですよ。コロナ前はね、そういう社員に頭を悩ませながらも、どうにかやりくりしてきました。 それがコロナで経済が失速して、できなくなってしまったんです。会社を守るには、コストカットと投資の両輪が必要なんです。(これ以下は有料)』、「コロナってさ、自己責任にできる大義名分になってしまったんだよね」、「どうにかやりくりしてきました。 それがコロナで経済が失速して、できなくなってしまったんです。会社を守るには、コストカットと投資の両輪が必要なんです」、との「ある経営者」の述懐は本当に難しい問題だ。
タグ:河合 薫 来年は少しでも明るい方向へと物事が動いていくことを祈りたい 今年の英単語は「pandemic」 私の場合は言うまでもなくはるかに多い 「鬼滅」がヒット番付総なめ 「アマビエのシールをあちこちに貼って念じてもウイルスが消えてくれない中で、鬼を退治する物語に人々の思いが引き寄せられていったのだろうか」、面白い見方だ ウイルス退散の期待もむなしく… 「ヒット商品や流行語で振り返る「コロナで始まり鬼滅で終わった年」 上野 泰也 「ワクチン」の効果がどの程度あるかもカギを握るだろう 30人の従業員に告げた「その時は許してほしい」 こだわりの旅行会社、売り上げ9割減 「屋形船」はコロナ禍の影響を真っ先に受けた。 「日本の実質国内総生産(GDP)は」の実績は、4-6月期8.3%のマイナス、7-9月期5.3%のプラスとなり、まだ落ち込みをカバーできてない GDP29兆円消失、個人消費17兆円減少の衝撃 「ゴーン被告の「レバノン出国」一色」 「「密」と呼ばれて300日… 屋形船業者が見た悪夢とかすかな光」 日経ビジネスオンライン (「密」と呼ばれて300日… 屋形船業者が見た悪夢とかすかな光、ヒット商品や流行語で振り返る「コロナで始まり鬼滅で終わった年、「他者の辛さ」おもんぱかる力が衰退した2020年(途中まで)) 2020年の回顧 「「他者の辛さ」おもんぱかる力が衰退した2020年」の無料部分 『2020は大きな節目』だけでも当たったのは大したものだ 日常生活が消えていった 100年ごとにパンデミックが起きるとされているので、50年以上生きていれば一度は遭遇する出来事だったのかも、などと思ったりもする。 しかし、コロナという目に見えないウイルスがもたらした変化は、生身の人間が耐えられる限界を超えるスピードだった 【2020年 最も読まれたコラムトップ5】 「途中から有料になったり、有料になっても時折無料になったりと、サイトも変化の一年」、私も戸惑った 自分と違う他者を「想像しない」 声なき声を取り上げることにすらアレルギーを示すコメントや、問題提起を政府批判としか捉えないコメント 社会のひずみが拡大 「若者の負担を減らそう!」「若者は未来だ!」という美しい言葉とは裏腹に、若い世代を取り巻く環境は年々厳しさを増していたのだ 自己責任にする大義名分に コロナってさ、自己責任にできる大義名分になってしまったんだよね どうにかやりくりしてきました。 それがコロナで経済が失速して、できなくなってしまったんです。会社を守るには、コストカットと投資の両輪が必要なんです との「ある経営者」の述懐は本当に難しい問題だ