2021年展望(2)(コロナ禍の世界経済に見える4つの大きな変化 大きな政府 債務とゾンビ企業 K字回復……、展望2021:脱炭素が「隠れた地政学リスク」に=欧州エネ取引所・高井氏) [社会]
昨日に続いて、2021年展望(2)(コロナ禍の世界経済に見える4つの大きな変化 大きな政府 債務とゾンビ企業 K字回復……、展望2021:脱炭素が「隠れた地政学リスク」に=欧州エネ取引所・高井氏)を取上げよう。
先ずは、1月1日付け東洋経済オンラインがブルームバーグ記事を転載した「コロナ禍の世界経済に見える4つの大きな変化 大きな政府、債務とゾンビ企業、K字回復……」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/400538
・『2020年に起きた新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)に匹敵する経済ショックは何世代に一度あるかないかであり、長期的かつ広範囲な変化をもたらすことになる。 世界経済は総人口77億人のほとんどがこれまでの人生で経験したことがなかったような落ち込みから回復へと向かっている。ワクチンは来年の景気持ち直しを加速させると考えられるが、コロナが残す他の遺産は今後数年にわたり世界経済を左右することになる。 既に予兆もある。工場やサービス業でロボットに仕事を奪われる傾向が今後強まる一方、ホワイトカラー労働者の在宅勤務も増える。国家間ならびに国内での格差も広がる。国民の生活における政府の役割も大きくなり、財政支出や債務がさらに膨らむことになる。 以下に進行中の変化を幾つか挙げる』、興味深そうだ。
・『大きな政府 国家と国民の社会契約が臨機応変に書き換えられる中で、大きな政府が戻ってきた。当局が人々の行き先や誰と会ったのかを把握し、賃金の肩代わりをするのも当たり前になった。数十年にわたり自由市場の考え方が浸透していた国では、セーフティーネットの修繕が必要になった。 マッキンゼーによると、こうした費用を賄うために世界各国・地域が計上する今年の財政赤字は最大11兆ドル(約1136兆円)に上る可能性がある。このような大盤振る舞いをいつまで続けることができるのか、納税者がこの負担の支払いをいつ始めなければならないのかを巡り既に議論が交わされている。少なくとも先進国では超低金利が続き、金融市場も平静を保っており、近い将来の危機を示唆しているわけではない。 より長い目で見ると、経済学に大幅な再考が加えられ、公的債務を巡る考え方も変わりつつある。低インフレの世界では支出余力が増し、経済を後押しするためより積極的な財政政策を講じるべきだとする新たなコンセンサスが台頭してきた。現代貨幣理論(MMT)支持派はこうした主張の先駆けだとし、主流派が追い付いてきただけだと訴える』、「財政赤字」の肥大化は通常では国債消化の困難化をもたらすが、後述の金融緩和が国債消化を助けている。
・『さらなる金融緩和 中央銀行は再び金融緩和へとかじを切った。金利は過去最低を更新。量的緩和も強化され、国債だけでなく社債も買い入れることになった。 こうした一連の措置で歴史的にも超緩和的な金融環境が生まれ、投機的な動きに拍車を掛けた。その先にあるモラルハザードに懸念を示すアナリストは多いが、労働市場になお亀裂が入り、企業がコスト節減を続けるのであれば金融政策の転換は難しいだろう』、「企業がコスト節減を続けるのであれば金融政策の転換は難しいだろう」、同感である。
・『債務とゾンビ企業 各国・地域の政府はコロナ感染が拡大する中での命綱として信用を提供。企業もこれを活用した。その帰結として先進国では企業の債務水準が急上昇。国際決済銀行(BIS)は金融を除く企業が今年上期(1-6月)に差し引き3兆3600億ドルを借り入れたと推計した。 あるリポートによると、ロックダウン(都市封鎖)や消費者の慎重姿勢で多くの産業の売り上げが落ち込み、赤字で企業のバランスシートが傷んでおり、「企業の支払い能力を巡る大きな危機」を招きかねない状況になっている。 K字型の回復(経済活動の停止で顧客との対面接触が多いサービス業の低賃金労働がまず消失する傾向にあった。一方、主に富裕層が資産を保有する金融市場は労働市場を大きく上回る勢いで息を吹き返した。 これは「K字型回復」と呼ばれる。コロナ禍によって階層や人種、性別で所得や貧富の格差は広がった。 女性はコロナに苦しむ産業で働く傾向が強く、学校閉鎖で増した子育て負担の多くを担うことを余儀なくされたこともあり、不釣り合いに大きな打撃を受けている』、「コロナ禍」からの「回復」では、格差がさらに広がる「K字型回復」が見込まれているようだ。
・『ロボットの台頭 新型コロナ感染症は人との接触を巡り、小売りやホスピタリティー業界、倉庫業などソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保が難しい産業で新たな懸念をもたらした。1つの是正策はロボットへの置き換えだ。 自動化の動きはリセッション(景気後退)時に進むことが多いことを研究が示唆している。コロナ禍で企業はホテルのチェックインや飲食店でのサラダカット、料金所での徴収を担うことができる機械を使って作業を加速させた。オンラインでのショッピングもさらに浸透した。 こうしたイノベーションは経済の生産性を向上させるが、安全になって職場に戻ってもかつての仕事がそこにはないという事態も意味する。失業が長期化するほど、エコノミストが「ヒステリシス(履歴効果)」と呼ぶスキルの衰えも進み得る』、「ロボットの台頭」は「新型コロナ騒動」前から進んでいたが、「騒動」により「ロボットへの置き換え」がさらに進むことは確かだ。このことは賃金への下押し圧力になるだろう。
次に、1月1日付けロイター「展望2021:脱炭素が「隠れた地政学リスク」に=欧州エネ取引所・高井氏」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/outklook-energy-idJPKBN28Y096
・『 欧州エネルギー取引所グループの高井裕之・上席アドバイザーはロイターとのインタビューで、世界的に加速する脱炭素の潮流について、「隠れた地政学リスク」になるとの見方を示した。原油価格の低迷が続いて産油国の地位と財力が低下するほか、中国がこの新たなエネルギー分野で覇権を狙う可能性があるとした。 原油価格は足元1バレル40ドル前後で、100ドル前後で推移していた2010─2014年から大きく下落している。米国でのシェールガス・オイル増産で低下したが、今は新型コロナウイルスの感染拡大で生産活動や人の移動が抑制されていることが響いている。高井氏も、1日あたり1億バレルとされる世界の原油需要のうち、「600─800万バレルを占めていた航空向け需要が今なくなっているが、早期に回復すると考えいにくい」と語った。 一方で高井氏は、急速に進む脱炭素の流れも市況に影響していると指摘。「(原油)需要の6割が自動車など運輸関係。これが先進国では徐々に電気自動車に置き換わっていくとみられる」と述べた。 原油とは逆に価格が上昇しているのが、リチウムなどの鉱物。脱炭素社会の到来を見越し、電動化や再生可能エネルギー技術に必要な資源の需要が高まっている。高井氏は「電線や電気自動車の部品に使われる銅や、ニッケル、コバルト、リチウムなどの需要が10年、20年単位で伸びる」と語った。 住友商事のワシントン事務所長も務めた高井氏は、産油国が不安定化しかねないこうした流れが国際社会の勢力図に影響を与えると予想。「サウジアラビアなどは政府予算の前提が1バレル80ドルとされており、原油価格の低迷が継続すると産油国の財政に影響する」と述べた。イラクやイラン、ナイジェリア、リビア、ベネズエラやブラジルなど、産油国は経済的に脆弱(ぜいじゃく)な国が多いため「原油安の継続で問題が起こりかねない」と語った。 その一方で、中国は鉱物資源の需要拡大で追い風を受けている。高井氏は「ニッケルやコバルト、リチウムなどのバリューチェーンを抑えているほか、風力発電のブレードや太陽光発電で過半の世界シェアを押さえている」と述べた。さらに、今後は電気自動車の普及でも技術的な覇権を取ろうとしているとの見方を示した。 *インタビューは12月23日に実施しました』、「脱炭素の潮流について、「隠れた地政学リスク」になる」、具体的な説明はなかったが、留意しておくべきだろう。「中国は鉱物資源の需要拡大で追い風を受けている」、習近平主席がますます図に乗ってきそうなのは、うんざりだ。
先ずは、1月1日付け東洋経済オンラインがブルームバーグ記事を転載した「コロナ禍の世界経済に見える4つの大きな変化 大きな政府、債務とゾンビ企業、K字回復……」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/400538
・『2020年に起きた新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)に匹敵する経済ショックは何世代に一度あるかないかであり、長期的かつ広範囲な変化をもたらすことになる。 世界経済は総人口77億人のほとんどがこれまでの人生で経験したことがなかったような落ち込みから回復へと向かっている。ワクチンは来年の景気持ち直しを加速させると考えられるが、コロナが残す他の遺産は今後数年にわたり世界経済を左右することになる。 既に予兆もある。工場やサービス業でロボットに仕事を奪われる傾向が今後強まる一方、ホワイトカラー労働者の在宅勤務も増える。国家間ならびに国内での格差も広がる。国民の生活における政府の役割も大きくなり、財政支出や債務がさらに膨らむことになる。 以下に進行中の変化を幾つか挙げる』、興味深そうだ。
・『大きな政府 国家と国民の社会契約が臨機応変に書き換えられる中で、大きな政府が戻ってきた。当局が人々の行き先や誰と会ったのかを把握し、賃金の肩代わりをするのも当たり前になった。数十年にわたり自由市場の考え方が浸透していた国では、セーフティーネットの修繕が必要になった。 マッキンゼーによると、こうした費用を賄うために世界各国・地域が計上する今年の財政赤字は最大11兆ドル(約1136兆円)に上る可能性がある。このような大盤振る舞いをいつまで続けることができるのか、納税者がこの負担の支払いをいつ始めなければならないのかを巡り既に議論が交わされている。少なくとも先進国では超低金利が続き、金融市場も平静を保っており、近い将来の危機を示唆しているわけではない。 より長い目で見ると、経済学に大幅な再考が加えられ、公的債務を巡る考え方も変わりつつある。低インフレの世界では支出余力が増し、経済を後押しするためより積極的な財政政策を講じるべきだとする新たなコンセンサスが台頭してきた。現代貨幣理論(MMT)支持派はこうした主張の先駆けだとし、主流派が追い付いてきただけだと訴える』、「財政赤字」の肥大化は通常では国債消化の困難化をもたらすが、後述の金融緩和が国債消化を助けている。
・『さらなる金融緩和 中央銀行は再び金融緩和へとかじを切った。金利は過去最低を更新。量的緩和も強化され、国債だけでなく社債も買い入れることになった。 こうした一連の措置で歴史的にも超緩和的な金融環境が生まれ、投機的な動きに拍車を掛けた。その先にあるモラルハザードに懸念を示すアナリストは多いが、労働市場になお亀裂が入り、企業がコスト節減を続けるのであれば金融政策の転換は難しいだろう』、「企業がコスト節減を続けるのであれば金融政策の転換は難しいだろう」、同感である。
・『債務とゾンビ企業 各国・地域の政府はコロナ感染が拡大する中での命綱として信用を提供。企業もこれを活用した。その帰結として先進国では企業の債務水準が急上昇。国際決済銀行(BIS)は金融を除く企業が今年上期(1-6月)に差し引き3兆3600億ドルを借り入れたと推計した。 あるリポートによると、ロックダウン(都市封鎖)や消費者の慎重姿勢で多くの産業の売り上げが落ち込み、赤字で企業のバランスシートが傷んでおり、「企業の支払い能力を巡る大きな危機」を招きかねない状況になっている。 K字型の回復(経済活動の停止で顧客との対面接触が多いサービス業の低賃金労働がまず消失する傾向にあった。一方、主に富裕層が資産を保有する金融市場は労働市場を大きく上回る勢いで息を吹き返した。 これは「K字型回復」と呼ばれる。コロナ禍によって階層や人種、性別で所得や貧富の格差は広がった。 女性はコロナに苦しむ産業で働く傾向が強く、学校閉鎖で増した子育て負担の多くを担うことを余儀なくされたこともあり、不釣り合いに大きな打撃を受けている』、「コロナ禍」からの「回復」では、格差がさらに広がる「K字型回復」が見込まれているようだ。
・『ロボットの台頭 新型コロナ感染症は人との接触を巡り、小売りやホスピタリティー業界、倉庫業などソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保が難しい産業で新たな懸念をもたらした。1つの是正策はロボットへの置き換えだ。 自動化の動きはリセッション(景気後退)時に進むことが多いことを研究が示唆している。コロナ禍で企業はホテルのチェックインや飲食店でのサラダカット、料金所での徴収を担うことができる機械を使って作業を加速させた。オンラインでのショッピングもさらに浸透した。 こうしたイノベーションは経済の生産性を向上させるが、安全になって職場に戻ってもかつての仕事がそこにはないという事態も意味する。失業が長期化するほど、エコノミストが「ヒステリシス(履歴効果)」と呼ぶスキルの衰えも進み得る』、「ロボットの台頭」は「新型コロナ騒動」前から進んでいたが、「騒動」により「ロボットへの置き換え」がさらに進むことは確かだ。このことは賃金への下押し圧力になるだろう。
次に、1月1日付けロイター「展望2021:脱炭素が「隠れた地政学リスク」に=欧州エネ取引所・高井氏」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/outklook-energy-idJPKBN28Y096
・『 欧州エネルギー取引所グループの高井裕之・上席アドバイザーはロイターとのインタビューで、世界的に加速する脱炭素の潮流について、「隠れた地政学リスク」になるとの見方を示した。原油価格の低迷が続いて産油国の地位と財力が低下するほか、中国がこの新たなエネルギー分野で覇権を狙う可能性があるとした。 原油価格は足元1バレル40ドル前後で、100ドル前後で推移していた2010─2014年から大きく下落している。米国でのシェールガス・オイル増産で低下したが、今は新型コロナウイルスの感染拡大で生産活動や人の移動が抑制されていることが響いている。高井氏も、1日あたり1億バレルとされる世界の原油需要のうち、「600─800万バレルを占めていた航空向け需要が今なくなっているが、早期に回復すると考えいにくい」と語った。 一方で高井氏は、急速に進む脱炭素の流れも市況に影響していると指摘。「(原油)需要の6割が自動車など運輸関係。これが先進国では徐々に電気自動車に置き換わっていくとみられる」と述べた。 原油とは逆に価格が上昇しているのが、リチウムなどの鉱物。脱炭素社会の到来を見越し、電動化や再生可能エネルギー技術に必要な資源の需要が高まっている。高井氏は「電線や電気自動車の部品に使われる銅や、ニッケル、コバルト、リチウムなどの需要が10年、20年単位で伸びる」と語った。 住友商事のワシントン事務所長も務めた高井氏は、産油国が不安定化しかねないこうした流れが国際社会の勢力図に影響を与えると予想。「サウジアラビアなどは政府予算の前提が1バレル80ドルとされており、原油価格の低迷が継続すると産油国の財政に影響する」と述べた。イラクやイラン、ナイジェリア、リビア、ベネズエラやブラジルなど、産油国は経済的に脆弱(ぜいじゃく)な国が多いため「原油安の継続で問題が起こりかねない」と語った。 その一方で、中国は鉱物資源の需要拡大で追い風を受けている。高井氏は「ニッケルやコバルト、リチウムなどのバリューチェーンを抑えているほか、風力発電のブレードや太陽光発電で過半の世界シェアを押さえている」と述べた。さらに、今後は電気自動車の普及でも技術的な覇権を取ろうとしているとの見方を示した。 *インタビューは12月23日に実施しました』、「脱炭素の潮流について、「隠れた地政学リスク」になる」、具体的な説明はなかったが、留意しておくべきだろう。「中国は鉱物資源の需要拡大で追い風を受けている」、習近平主席がますます図に乗ってきそうなのは、うんざりだ。
タグ:2021年展望 (2)(コロナ禍の世界経済に見える4つの大きな変化 大きな政府 債務とゾンビ企業 K字回復……、展望2021:脱炭素が「隠れた地政学リスク」に=欧州エネ取引所・高井氏) 東洋経済オンライン ブルームバーグ 「コロナ禍の世界経済に見える4つの大きな変化 大きな政府、債務とゾンビ企業、K字回復……」 進行中の変化 大きな政府 「財政赤字」の肥大化は通常では国債消化の困難化をもたらすが、後述の金融緩和が国債消化を助けている さらなる金融緩和 企業がコスト節減を続けるのであれば金融政策の転換は難しいだろう 債務とゾンビ企業 「コロナ禍」からの「回復」では、格差がさらに広がる「K字型回復」が見込まれているようだ ロボットの台頭 「ロボットの台頭」は「新型コロナ騒動」前から進んでいたが、「騒動」により「ロボットへの置き換え」がさらに進むことは確かだ。このことは賃金への下押し圧力になるだろう ロイター 「展望2021:脱炭素が「隠れた地政学リスク」に=欧州エネ取引所・高井氏」 「脱炭素の潮流について、「隠れた地政学リスク」になる」、具体的な説明はなかったが、留意しておくべきだろう 「中国は鉱物資源の需要拡大で追い風を受けている」、習近平主席がますます図に乗ってきそうなのは、うんざりだ