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パンデミック(経済社会的視点)(その13)(厚労省「PCR拡充にいまだ消極姿勢」にモノ申す あの中国が国内感染を抑え込んだ本質は何か、菅首相は逃げの一手 “8割おじさん”西浦氏の予算委出席拒否、パワハラ調査に揺れる旭川医大「病院長電撃解任」の深層、感染症法改正 「罰金」でも“逮捕”は十分可能 罰則軽減で妥協すべきではない) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、1月11日に取上げた。今日は、(その13)(厚労省「PCR拡充にいまだ消極姿勢」にモノ申す あの中国が国内感染を抑え込んだ本質は何か、菅首相は逃げの一手 “8割おじさん”西浦氏の予算委出席拒否、パワハラ調査に揺れる旭川医大「病院長電撃解任」の深層、感染症法改正 「罰金」でも“逮捕”は十分可能 罰則軽減で妥協すべきではない)である。

先ずは、1月14日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「厚労省「PCR拡充にいまだ消極姿勢」にモノ申す あの中国が国内感染を抑え込んだ本質は何か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/403436
・『1月7日、菅義偉首相は1都3県に2回目となる緊急事態宣言を発令した。飲食店を中心とした営業規制に批判が集中している。一連の議論で抜け落ちていることがある。それはPCR検査体制の強化だ。 日本では、PCR論争が続いている。日本が世界で例を見ないレベルでPCR検査を抑制してきたことは広く知られている。(外部配信先では図表やグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) PCR検査の議論は聞き飽きたと言われる方もおられることだろう。一体、どういうことだろうか。実は、第3波以降、世界ではPCR検査の見直しが進んでいる。本稿でご紹介したい』、安部前首相も検査拡大努力を約束したのに、何故増えないのだろう。
・『なぜ日本でPCR検査が増えないのか  まずは日本の状況だ。なぜ、日本でPCR検査が増えないかといえば、厚生労働省で医療政策を担う医系技官と周囲の専門家たちがPCR検査を増やす必要がないと考えているからだ。この姿勢は流行当初から一貫している。 例えば、政府の新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染症対策分科会のメンバーである押谷仁・東北大学大学院教授は、2020年3月22日に放映されたNHKスペシャル『”パンデミック”との闘い~感染拡大は封じ込められるか~』に出演し、「すべての感染者を見つけなければいけないというウイルスではないんですね。クラスターさえ見つけていれば、ある程度の制御ができる」、「PCRの検査を抑えているということが、日本がこういう状態で踏みとどまっている」と述べている。 今となっては、間違っていたことは明白なのだが、この姿勢は現在も変わらない。11月25日の衆議院予算委員会で枝野幸男・立憲民主党代表から、PCR検査が増えない理由を質問された田村憲久厚生労働大臣は、「『ランセット』に掲載されている論文だが、(感染の)蓋然性が高いところで定期的に検査をやると、当該集団から感染を29~33%減らすことができるが、一般の集団に広く検査をした場合には、接触者調査とこれに基づく隔離以上に感染を減らす可能性は低い」と答弁している。 さらに、そのことを支持する事実として、「アメリカは1億800万回検査しているが、毎日十数万人が感染拡大している」ことを挙げている。 この説明は適切でない。田村大臣が紹介したのは、6月16日に『ランセット感染症版』が掲載した「CMMID COVID-19ワーキンググループ」のモデル研究だ(「Early dynamics of transmission and control of COVID-19: a mathematical modelling study」2020年5月1日)。確かに、この中で、彼らは、一般集団を広く検査しても感染は5%しか減らせないが、発症者を見つけ、家族とともに隔離し、さらに接触者をトレースすれば、感染を64%も減らすことができると推定している。 ただ、その後の研究で、多くの無症状感染者がいることが判明し、彼らは態度を変えた。「CMMID COVID-19ワーキンググループ」は、11月10日に「コロナ感染を検出するためのさまざまな頻度での無症状感染者へのPCR検査の有効性の推定」という論文を発表し、無症状の人へのPCR検査が有効で、積極的に検査を活用すべきと結論している。この論文はイギリスでは大いに話題になったようだが、田村厚労大臣は触れなかった』、海外の事例も日々新たなものが出てくるので、参考にするにはきちんとフォローすべきだ。
・『実は欧米は検査数が足りていない  では、PCR検査を「闇雲」にやっても流行が抑制できない欧米の現状はどう考えればいいのだろう。実は、欧米は検査数が足りていないのだ。表をご覧いただきたい。主要先進国と東アジアにおけるPCR検査と感染状況を示している。 注目すべきはPCR検査数を感染者で除した数字だ。1人の感染者を見つけるために、どの程度のPCR検査を実施したかを示している。中国が1808.7回と突出し、韓国66.6回、カナダ24.3回、イギリス22.2回、ドイツ21.0回、日本19.5回と続く。最下位はアメリカの12.7回だ。中国の142分の1である。 実は、コロナ対策を考えるうえで、中国のように「闇雲」にPCR検査をやることは合理的だった。コロナの特徴は感染しても無症状の人が多いことだ。無症状の人が巷にあふれれば、偶然、症状が出た発症者と濃厚接触者をしらみつぶしに探すだけでは、大部分の無症状感染者を見過ごすことになる。 無症状感染者は、どこにいるかわからないから、彼らを「隔離」(自宅を含む)しようとすれば、網羅的に検査するしかない。仮に住民の0.1%が無症状感染だとすると、1人の感染者を見つけるためには、1000人の検査が必要になる。まさに、中国が採った戦略だ。 1月5日、北京近郊の石家荘で54人の感染者が確認されると、1100万人の検査を実施することを決めたのも、このような戦略に従っただけだ。) コロナ対策が成功した国として、中国以外にはニュージーランド、台湾、ベトナムなどが存在する。このような国と中国は違う。それは、このような国は水際作戦が成功し、国内へのコロナの侵入を食い止めているのに対し、中国はいったん国内で感染が蔓延したのを抑制し、現在にいたるまで、その状態を保っているからだ。 日本では武漢に対して、中国政府が命じた厳しい都市封鎖にばかり関心が集まっているが、注目すべきは再燃を許さなかったことだ。PCR検査を徹底して、感染が小規模なうちに封じ込んだのである。これぞ、合理的なコロナ対策といっていい。世界は、PCR検査数を増やすのに懸命だ。 前述したように、欧米先進国は感染者数に比して、検査数が足りない。多くの無症状感染者を見落とし、彼らが市中で感染を拡大している。中国とは政治体制が異なる欧米先進国は、中国とは異なる方法で検査数を増やそうとしている。注目すべきはアメリカだ。産官学が協同で検査体制を急ピッチで整備している』、「中国のように「闇雲」にPCR検査をやることは合理的だった」、「無症状感染者は、どこにいるかわからないから、彼らを「隔離」(自宅を含む)しようとすれば、網羅的に検査するしかない」、「日本では武漢に対して、中国政府が命じた厳しい都市封鎖にばかり関心が集まっているが、注目すべきは再燃を許さなかったことだ。PCR検査を徹底して、感染が小規模なうちに封じ込んだのである。これぞ、合理的なコロナ対策といっていい」、ズバリ本質を突いた指摘だ。
・『アメリカでは自宅でできる検査キットが広がる  例えば、カリフォルニア大学サンディエゴ校は1月に入り、11台のPCR検査自動販売機をセットした。今後、1~2週間でさらに9台を追加する。同大学の学生はIDカードをスワイプするだけで、無料で検査できる。これまでの2週間に1回から、毎週1回検査を受けるように推奨されるという。 アメリカでは各地で無料あるいは定額で検査が受けられるが、多忙な現役世代はわざわざ検査を受けに行けない。このような人たちへの商品開発も進んでいる。 11月17日に、自宅で利用できる検査キット(Lucira COVID-19 All-In-One Test Kit)に緊急使用許可が与えられた。30分程度で結果が出る。ただ、このキットを入手するには医師の処方箋が必要だ。12月15日には処方箋不要の抗原検査(Ellume COVID-19 Home Test)に対して緊急使用許可が与えられた。そして、1月6日には、アマゾンがデクステリティ社の検査キットのオンライン販売を開始した。1パック約1万1300円だ。 企業も検査体制強化に協力している。ネットフリックスやゴールドマンサックスなどの一部の企業は、無症状の感染者を判別するために、企業が費用を負担し、検査を提供しはじめている。グーグルは9万人の社員に対して、毎週検査を実施する。) アメリカが本気になると、体制整備は一気に進む。このことを象徴するのが複数の検査をまとめられる「プール検査」の確立だ。昨年11月、デューク大学の医師たちが、プール検査の研究成果を発表した。この研究では、5つのサンプルをまとめて検査し、もし、陽性が出た場合に、個別に検査するという方法を用いても、感度は損なわれず、80%試薬を節約でき、さらに再検査の場合でも18~30時間程度の遅れで済んだ。 この研究成果は、アメリカの疾病対策センター(CDC)が発行する週報「MMWR」が掲載し、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』を発行するマサチューセッツ医師会も、この論文を『ジャーナル・ウォッチ』というニュース・レターの中で紹介した。そして、「プール検査の有効性は明白」と評している。一気にコンセンサスを確立したことになる。 プール検査の有効性については、昨年10月にルワンダの研究者が『ネイチャー』に報告しており、遅きに失した感があるが、アメリカが巻き返しに必死なのがわかる』、「アメリカ」では検査キットなどの開発競争が本格化してきたようだ。
・『日本は本気でPCR検査を増やすつもりがない?  日本は対照的だ。11月20日の衆議院経済産業委員会で、佐原康之・厚労省危機管理医療技術総括審議官は「現在、国立感染症研究所において、その検査性能および再検査を含む総コスト、時間等について研究を実施している」「非常に手間がかかるなど、実用化に向けても課題がある」と答弁し、いまだに臨床応用されていない。本気でPCR検査を増やすつもりがないことがわかる。 厚労省は流行当初から、PCR検査を懸命に抑制してきた。シンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ」(船橋洋一理事長)の調査により、政府中枢に対して「PCR検査は誤判定がある。検査しすぎると陰性なのに入院する人が増え、医療が崩壊する」と説明に回っていたことがわかっているし、7月16日には、コロナ感染症対策分科会は「無症状の人を公費で検査しない」と取りまとめている。 これは翌日に、塩崎恭久・元厚労大臣などが主導して、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を閣議決定することへの対応だ。この中にPCRの拡大、感染症法の改正などが入っていた。 結局、日本におけるPCR検査の増加は、民間の動きを待つしかなかった。その嚆矢は12月4日に新橋駅前で操業を開始した「新型コロナPCR検査センター」だ。ウェブで予約すれば、検査センターを訪問して唾液を採取するだけで、翌日にはメールで結果が届く。1回の費用は3190円だ。同様の検査センターは続々と立ち上がっている。どこも希望者が殺到している。 ところが、このような動きを厚労省は快く思っていない。12月16日、朝日新聞は『民間PCR施設、都心に続々ばらつく精度、陽性なのに「陰性」も厚労省が注意喚起』という見出しの記事を掲載している。 私は、この記事を読んで、どのような根拠に基づき精度に問題があると主張しているのかわからなかった。根拠を示さなければ、単なる営業妨害だ。厚労省も、その意向をそのまま報じるメディアもいただけない。国家をあげて検査体制を強化しようとする世界とは対照的だ』、「アジア・パシフィック・イニシアティブ」の提言は厚労省の意向を踏まえたものの可能性がある。「理事長」の「船橋洋一」氏もとんだ食わせ者のようだ。
・『厚労省が方針転換しなければ迷走は続く  最近、政府は不特定多数の無症状者を対象とした無料のPCR検査を、都市部の繁華街や空港など多くの人が集まるところではじめる方針を打ち出した。 ただ、これは期待できないだろう。私はアリバイ作りと考えている。なぜなら、このような検査施設を立ち上げるのは3月とされているからだ。政府が本気でPCR検査を増やしたければ、民間検査センターを支援すればいい。検査サービスは多様化し、アメリカのように大学などさまざまな場所で検査を提供するようになるだろう。薬局で検査キットを販売し、通信販売を認めれば、さらに検査数が増える。 このような体制をとることは、厚労省が自らの過ちを認めることになる。これまでの彼らのやり方をみていると、そんなことは期待できない。現在、日本が適切な対応をとれない最大の障壁は厚労省医系技官と周辺の専門家の存在にあると私は思っている。彼らが責任を認め、人事を一新しなければ、このまま迷走が続くのは避けられない。菅首相のリーダーシップが問われている』、「現在、日本が適切な対応をとれない最大の障壁は厚労省医系技官と周辺の専門家の存在にある」、ここにメスを入れるには「菅首相のリーダーシップ」は頼りなさそうだ。

次に、1月26日付け日刊ゲンダイ「菅首相は逃げの一手 “8割おじさん”西浦氏の予算委出席拒否」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/284372
・『25日開かれた衆院予算委員会で、立憲民主党の長妻昭議員が、菅首相と自民党に対して抗議する場面があった。政府の新型コロナウイルス対策をめぐって、予算委に京都大教授の西浦博氏(理論疫学)の出席を求めたのに、自民党が「ブロック」したというのだ。 「民間人は呼ばない」というのが理由。しかし、コロナ第1波の際に人との接触を8割減らすことを求め、「8割おじさん」として名を馳せた西浦氏は現在も厚労省のアドバイザリーボードの指名委員を務めている。純粋な「民間人」にはあたらず、拒否の理由は通らない。 長妻議員は「都合の悪い方は呼ばないというのはあってはならない」「科学的に議論する姿勢が感じられない」と非難していたが、一体、どういう事情なのか。長妻議員にあらためて聞いた。 「西浦氏が今月13日のアドバイザリーボードに提出した資料について、予算委で議論しようと思っていました。緊急事態宣言の解除基準について、西村大臣は『東京で新規感染者が1日に500人を下回ることが目安になる』としましたが、西浦氏は『(2月に)500人で解除したら、4月14日には感染が元のレベルに戻ってしまう』と試算しています。資料は厚労省からもらったものなのに、なぜ拒否するのか」) 昨年春の緊急事態宣言時には、安倍前首相が「専門家の試算では、人と人との接触機会を『最低7割、極力8割』削減することができれば、2週間後には感染者を減少に転じさせることができる」と幾度も訴え、西浦氏の試算に乗っかっていた。だが、いまや菅政権にとって西浦氏は“煙たい存在”らしい』、「西浦氏の試算」は「緊急事態宣言の解除基準」に関わるので「予算委」の「出席」を「ブロック」されたのだろう。
・『実際、西浦氏は週刊文春(1月14日号)で、<緊急事態宣言の判断が遅かった><(変異種対策について)ビジネス往来を継続したのは生ぬるい>と批判。<安倍政権の頃と比較しても、感染症対策に関する専門家の意見が総理へと簡単には通らなくなっているかも知れません>ともこぼしている。前出の長妻議員が言う。 「普通なら西浦氏を拒否しませんよ。呼ばなければ、あること、ないこと言われますから。スキャンダルでもないのに。今の自民党には、そういう判断すらできる人がいないのでしょうか」 26日の予算委にも野党議員が西浦氏を呼ぼうとしたが、自民党が拒否したという。内閣支持率下落が止まらない菅政権には、逃げの一手しかないのか』、自民党の言論統制もここまで来たか、と溜め息しか出ない。

第三に、1月25日付けYahooニュースが転載したFRIDAY「パワハラ調査に揺れる旭川医大「病院長電撃解任」の深層」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0a7066f58970241f9404ed015d171231aee19bde
・『1月25日付で、旭川医科大学病院の病院長が電撃解任された。昨年来問題が指摘されてきた「学長」が、ではない。学長から「(コロナ患者を)受け入れるなら、代わりにお前が辞めろ」と言われた「病院長」の古川博之氏が解任されたのだ。 「こんな暴挙がまかり通るとは…学内は驚き、呆れています」(旭川医科大病院の職員のひとり)』、コロナ禍の乗り切りで皆、必死なのに、お家騒動とは。
・『突然の、一方的な「説明会」の果てに  昨年12月に発売された「週刊文春」(12月24日号)で「学長の暴言」が報じられたことが発端となった「旭川医大パワハラ疑惑」問題。簡単に経緯を説明すると、旭川市内の民間病院・吉田病院から新型コロナの患者受け入れ要請を受けた旭川医科大病院長の古川氏が、吉田晃敏学長に受け入れを提案したところ「(吉田病院が)コロナをぐじゅぐじゅと撒き散らして」と問題発言したうえに、患者を受け入れるなら「代わりにお前が辞めろ」と暴言を吐かれた。 吉田学長の一連の言動に対して、文部科学省が「パワハラの疑いがある」として、異例の調査に入ってた。その騒動の渦中での「解任」であるから、普通は、調査の対象となっている吉田学長が解任されたと思うところ。 しかし、実際に解任されたのは、「被害者」の立場にある病院長。驚きが広がるのも当然だ。 関係者によると、1月25日昼前、学内一斉メールで「一連の報道に関する、職員への説明の会」を開催するという連絡があったという。なにごとかとかけつけたおよそ400人の医師や職員の前で、大学役員会のメンバーからあった「説明」は「学内の情報を外部に流し、病院を混乱させた古川病院長を解任する」というものだった。 「役員会からは、吉田学長が病院長に『辞めろ』と言ったのは『その時点でコロナ受け入れの体制が整っておらず、職員を守るための選択だった』という旨の説明がありました。だから『パワハラにはあたらない、と役員会議が判断した』と。 こんな説明で納得できるわけがありません。問題のすり替えだし、ハラスメントかどうかは、受けた側が判断することでしょう」(病院関係者)』、「文部科学省が「パワハラの疑いがある」として、異例の調査に入ってた。その騒動の渦中での「解任」、よほど図太い神経のようだ。
・『いくらなんでも…  説明会では「院長解任」の発表に、驚きと同時に諦めの空気もあったという。そんななか、ひとりの教授が質問に手をあげた。 「『この解任は納得できません。決定の経緯が不透明すぎるのでは』という質問でした。みんなが諦めかけていた中で、この質問をするのは勇気がいったと思います」(出席者) この問いに対し、役員会は「4時間にわたって話し合った、その結果である」とあっさり返答。しかし、「病院長の解任という重大事案について、たった4時間の会合で決めること自体おかしい」という声も聞こえてくる。 病院長「だった」古川氏は、昨年からの新型コロナ対策の先頭に立ち、スタッフの信頼も厚かった。年頭の挨拶で、 「我々は地域の病院として、患者さんたちを守っていかなきゃならない。ここまで職員みなさんほんとうに頑張ってきた。あと一歩、頑張りましょう」 と話し、これを聞いた職員は「涙が出た」という。 現場のスタッフは「古川先生の働きを知っています。土日も出てきて、病院を支えてました。古川先生だから、私たちも踏ん張ってこられたんです」と悔しさをにじませながら語った。別の医師は、 「今は病院にとってだけでなく、旭川、北海道にとって『有事』のときです。こんな内部事情で混乱している場合じゃない。これまでもこの組織でやりづらさを感じていましたが、今回は本当に『辞めたい』と思いました」と本音を明かしたうえで、 「目の前に患者さんがいる。だから、手を抜くことも辞めることもできないんです。私たち医療者はそうやって仕事をしています。組織としてダメだからといって、質を落としたり量を落としたりすることはできませんから…。 役員会はさまざまな『理由』をつけて説明をしている。しかし、医療は、ルールの前に倫理。なんだったら、仮にルールにそえなくても、倫理を優先する。それが私たちの仕事なんです」と苦悩を漏らした。 説明会では「当事者なので今回の決定には関与していない」と繰り返しアナウンスされ、壇上に座っていた吉田学長。しかし、最後にはマイクをもって「職員を守る。みなさんはファミリーですから」と発言したという。 「今、この切迫した時期にこんなことをして…そのうえで『家族』と言われてぞっとしました」(出席した関係者) 同大学は26日に記者会見を開き、解任に至る経緯を外部に向けても説明。古川氏が内部の情報を外部に漏らしたと結論づけたことや、マスコミの取材を受け学内を混乱させたことなどを解任の理由として挙げた。 旭川医科大病院は、日本最北の医療の砦といわれる。今日も、多くの患者がここを頼り、命をつないでいる。そんな旭川医科大病院の院長室は今、無人になっている。混乱が収束し、大学と病院が正常に機能し続けることを願うばかりだ』、「役員会」は「学長」の支配下にあるようだ。文科省の調査はどうなるのだろう。一刻も古川氏の復職を含め早く正常化してもらいたいものだ。

第四に、1月27日付けYahooニュースが掲載した郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士の郷原信郎氏による「感染症法改正、「罰金」でも“逮捕”は十分可能、罰則軽減で妥協すべきではない」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20210127-00219612/
・『22日に閣議決定された感染症法改正案で、入院拒否や入院先から逃亡した場合に「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」とする罰則導入の規定が設けられていることに対して、野党やマスコミから批判が高まり、日弁連、保健師協会、ハンセン病患者団体等側も反対を表明していることを受けて、26日に与野党の修正協議が開かれ、入院拒否に対する「懲役刑の削除」罰金の「100万円以下」から「50万円以下」への引き下げが検討されていると報じられている(【感染者の入院拒否に懲役、削除へ調整 野党の反対受け】)。 しかし、この感染症法改正による罰則導入については、罰則を導入することで、検査や感染報告を躊躇させることになり、かえって感染拡大につながりかねないという実質的面からの指摘がある。 それに加え、【感染症法改正「入院拒否罰則導入」への重大な疑問】でも述べたように、現行法で、「入院勧告」に従わない場合に、本人の意思によらない「強制的な入院措置」をとることを認めているのに、「入院拒否」に対する罰則を適用することの意味がわからないという問題がある(厚労省は、「入院措置」は、本人の意思にかかわりなく入院させることができる「即時強制」と説明しているが、実際には使われていない)。 罰則導入自体をやめるべきであり、懲役刑の削除とか罰金刑の引下げ等による「妥協」は行うべきではない。 懲役刑を削除し、罰金刑を「50万円以下」に引き下げても、実際に罰則が適用される場合の「刑罰による人権侵害」は質的に変わるものではなく、決して小さなものとはいえない。 当然のことだが、罰金も刑罰であり、その執行の手続きは、基本的に懲役刑と変わらない。 もし、罰則が導入され実際に、「入院拒否」「入院者逃亡」に対して罰則が適用されるのはどのような場面であろうか。 所定の期日までに入院をせず、或いは入院先から逃亡して、別の場所に所在しているということであり、入院を強く拒んでいるからこそ刑罰が適用されるのであり、その執行の手段は「逮捕」しかない。感染防護措置をとった警察官が逮捕状により逮捕した上、釈放して、入院させることになるだろう。 「罰金50万円以下の罪で逮捕などされるのか」と疑問に思う人もいるだろう。 しかし、罰金は、科料とは異なり、財産刑としては最も重い刑罰であり、逮捕、勾留については、懲役刑と基本的に変わるところはない。 被疑者の逮捕の要件を定める刑訴法199条は、「軽微な犯罪」については、「住居不定か出頭拒否の場合」に限って逮捕を認めている。この「軽微な犯罪」の範囲は、刑法犯、暴力行為処罰法などでは「30万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪」とされ、それ以外の特別法犯については、「罰金2万円以下」とされている。 つまり、特別法犯である感染症法違反の犯罪については、「罰金50万円以下」でも逮捕が可能なのである。 実際に、「郵便不正事件」では、2009年4月、障害者団体向け郵便料金割引制度を悪用したとされる郵便法違反事件で、大阪地検特捜部が、ダイレクトメール(DM)の不正送付に関与したとして、障害者団体、大手家電量販店会社、広告代理店、大手通販・印刷会社などの10名の関係者を逮捕した。これは、「不法に郵便に関する料金を免れ、又は他人にこれを免れさせた者は、これを三十万円以下の罰金に処する。」という郵便法84条の規定に違反したというもので、「罰金30万円以下」の法定刑の罪だった。 この事件の背景には、郵政民営化には凡そ似つかわしくない古色蒼然たる規定が並ぶ「郵便法」の中に、「第三種郵便」について法律の体系の矛盾を抱えたまま、「郵便料金を不正に免れさせる行為」に対して罰金30万円以下の罰則が残っていたということがあった。そこに目を付けた大阪地検特捜部が、政界、官界をめぐる事件の摘発を狙って、多数の関係者の逮捕を行い、それが、後に、村木厚子氏の逮捕・起訴が無罪判決、証拠改ざんの発覚という、検察の大不祥事に発展した。その根本にあったのが、体系に問題がある法律に「罰金だけの罰則」が残されていたことだった。 今回の感染症法改正では、「入院勧告」「入院措置」の関係すら明確ではないという法律の体系的な不備があるのに、それに目を背けたまま、政府の感染症対策の失敗の連続を糊塗する目的で、入院拒否等への罰則の導入が行われようとしている。「罰金だけの罰則」であっても、絶対に許してはならない。 今、行うべきことは、実質的な必要性もなく、法律上も重大な問題がある罰則導入ではない。現行の感染法は、精神障害者を強制的に精神科の病院に入院させる「措置入院」と同様の規定で、感染者に対する「入院措置」を認めている。それを、感染症法の前文に書かれている「過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすこと」「感染症の患者等の人権を尊重し」という理念に沿うよう、実施の手続・判断基準等を明確化し、「感染者の人権への最大限の配慮」と「感染防止対策の実効性の確保」の両立を図ることが、国会での議論の対象とされるべきである』、「罰則導入自体をやめるべきであり、懲役刑の削除とか罰金刑の引下げ等による「妥協」は行うべきではない」、「今回の感染症法改正では、「入院勧告」「入院措置」の関係すら明確ではないという法律の体系的な不備があるのに、それに目を背けたまま、政府の感染症対策の失敗の連続を糊塗する目的で、入院拒否等への罰則の導入が行われようとしている。「罰金だけの罰則」であっても、絶対に許してはならない」、「感染症法の前文に書かれている「過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすこと」「感染症の患者等の人権を尊重し」という理念に沿うよう、実施の手続・判断基準等を明確化し、「感染者の人権への最大限の配慮」と「感染防止対策の実効性の確保」の両立を図ることが、国会での議論の対象とされるべきである」、なるほど、やはり今回のドタバタの法律改正には、かない無理があるようだ。
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