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暗号資産(仮想通貨)(その17)(ビットコイン暴落 投資家は「全てを失う覚悟を」(英規制当局)、ビットコイン爆騰 それはバブルの再来なのか イーロン・マスクの「支持表明」から再上昇、JPモルガン ビットコインでのヘッジを提案-ポートフォリオの1%、ビットコインはやはりバブルか?怪しい高騰の背景に「従来とは異なる事情」) [金融]

暗号資産(仮想通貨)については、昨年12月1日に取上げた。今日は、(その17)(ビットコイン暴落 投資家は「全てを失う覚悟を」(英規制当局)、ビットコイン爆騰 それはバブルの再来なのか イーロン・マスクの「支持表明」から再上昇、JPモルガン ビットコインでのヘッジを提案-ポートフォリオの1%、ビットコインはやはりバブルか?怪しい高騰の背景に「従来とは異なる事情」)である。

先ずは、本年1月12日付けNewsweek日本版が掲載した「ビットコイン暴落、投資家は「全てを失う覚悟を」(英規制当局)」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/01/post-95378_1.php
・『一部の事業者がリスクを軽視し、巨額の利益を謳って小口投資家をカモにしている、とも警告> ビットコインなどの暗号通貨(仮想通貨)に投資している人は、全てを失う覚悟をしておくべきだ――イギリスの金融規制当局は1月11日、こう警告した。 英金融行動監督機構(FCA)は、過去数カ月にわたって急騰していた暗号通貨の価格が、週末にかけて急落したことを受けて、11日に警告を発信。「暗号資産への投資、ないし暗号通貨関連の投資や融資は一般に、きわめて高いリスクを伴う」と声明で指摘。「消費者がこの種の金融商品に投資を行う場合には、全てを失う覚悟をしておくべきだ」と述べた。 しかしロンドン在住のアナリストは、ビットコインのファンダメンタルズ(基礎的条件)は依然として強く、機関投資家は今後も暗号通貨を保有し続けるだろうと考えている。 ロンドンにある外国為替・暗号資産調査会社「クオンタム・エコノミクス」のビットコイン・アナリスト、ジェイソン・ディーンは本誌に宛てたコメントで、「強気相場における調整局面は一般に健全なものと考えられている。トレーダーはここでポートフォリオのリバランスを行い、次の段階に備えることができる」と説明。「登山家が次のポイントを目指す前にひと休みするようなものだ」と述べた』、「調整局面」を「「登山家が次のポイントを目指す前にひと休みするようなものだ」、とは強気筋らしい見方だ。
・『FCA「換金できる保証なし」  さらに彼は、週末の価格急落は、小口投資家と機関投資家の相場観の違いによるものだと指摘した。 「手持ち資金の少ない個人投資家や、暗号資産について十分に理解していない投資家は、こういう状況になると売る傾向がある」と彼は説明。「だがこの価格下落を利用して、ビットコインの買い増しをする投資家もかなりの数にのぼるだろう」 英FCAは、暗号通貨には投資の原則が通用しない可能性があると指摘。「換金できるかどうかは市場の動向次第」であり、個人投資家が「暗号通貨を換金できる保証はない」と警告した。 JPモルガンは1月4日のリポートで、ビットコイン価格が14万6000ドルまで高騰する可能性があると予想していた。だが8日に4万1962.36ドルをつけて過去最高値を更新したビットコイン価格は、週末の取引では3万1045.70ドルへと約26%急落した。 バンク・オブ・アメリカは、ビットコインは「全てのバブルの母」の可能性があると警告。1990年代後半に始まったドットコム・バブルとその崩壊、約12年前の米住宅バブル崩壊やそれに続くサブプライムローン危機を引き合いに出し、警戒を呼び掛けた。) 英FCAは暗号通貨への規制や監督を強化しており、6日から暗号通貨を基に組成されるデリバティブ(金融派生商品)の個人向け販売を禁止。暗号通貨を扱う事業者はFCAへの登録を必須とし、登録していない事業者が投資を勧めれば「犯罪行為」になると警告している。 またFCAは、一部の事業者がリスクを軽視し、巨額の利益を謳って小口投資家をカモにしているとも警告した。 「高リスクで投機的な投資を行うにあたって、消費者は自分が何に投資をするのか、どのようなリスクがあるのか、規制当局によるどのような保護が適用されるのかをきちんと理解しておかなければならない」とFCAは述べ、「すぐに投資をとプレッシャーをかけられたり、話がうますぎたりする場合には用心すべきだ」と呼びかけた。 しかしクオンタム・エコノミクスのディーンは、市場の調整は健全なものだと主張。抜け目ない投資家がここで買い増しを行うことで、ビットコイン市場はさらに堅調になるだろうとの考えを示した。価格は下落したもののビットコインのファンダメンタルズは強いままで、「主に機関投資家からの需要があり、個人投資家もその後に続きつつある」と彼は指摘した』、「バンク・オブ・アメリカ」による「ビットコインは「全てのバブルの母」の可能性がある」との警告は出色だ。
・『供給量の約8割が流動性なし  ディーンはさらに、ビットコインは今や機関投資家の運用資産の一部になっているとも述べた。「聞くところによれば、多くの機関投資家はビットコインを恒久的に保有し続けるつもりだと言っている。暗号資産データ提供企業のグラスノードは最近の報告書で、ビットコイン資産全体の78%が『非流動的』だと指摘した。つまり価格にかかわらず、すぐに売買される可能性は低いということだ」 「テクニカル分析と投資家心理の両方に照らして、市場の調整局面入りはしばらく前から想定の範囲内だった」とディーンは述べ、「だが我々としては、調整局面はこれまでに比べて価格の下落幅が小さく、短期間で済む可能性が高いと考えている」とつけ加えた。 ディーンはまた、今回の価格下落を受けて、ビットコインを「単なる投機対象」で「通貨ではない」と結論づけるのは誤りだとも述べた。「ビットコインは支払い方法と支払いメカニズムがひとつになったものだ」と彼は指摘。「従来の通貨の定義には当てはまらない」前例のないものだから「規則もないし、評価する上での比較対象もない」と述べた』、「供給量の約8割が流動性なし」とは、まるで持ち合い株式のようだ。「ディーンの見方はやはり強気一辺倒なようだ。

次に、2月7日付け東洋経済プラス「ビットコイン爆騰、それはバブルの再来なのか イーロン・マスクの「支持表明」から再上昇」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26126
・『「デレマスの輿水幸子」の次に“推した”のはビットコインだった――。電気自動車メーカーのテスラCEOで世界的大富豪でもあるイーロン・マスク氏の発言がSNS上をざわつかせている。 アイドル育成ゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ」(デレマス)のキャラクター画像をマスク氏がツイートしたのは1月中旬のこと。ツイートをめぐってはその真意を探ろうと臆測が飛び交い、ゲームを制作しているバンダイナムコホールディングスの株価を上げた、との見方まで出た。 そのマスク氏が2月1日、音声版ツイッターといわれる「クラブハウス」でビットコインについて言及。「私はビットコインのサポーターだ」「ビットコインは金融界の人々からも受け入れられる直前にある」と述べた。この発言を受けて、ビットコイン価格は一時跳ね上がった』、日経新聞によればこの他にも「販売代金をビットコインで受け入れる」と言明したようだ。
・『金融界の投資マネーが主役に  暗号資産情報サイトの「コインマーケットキャップ」によると、ビットコイン価格は2021年1月8日に440万円台の史上最高値をつけた。その後は調整が入り300万台に下がったが、足元では再び400万円に迫っている。ビットコイン価格が初めて200万円を突破した2017年の相場は「仮想通貨バブル」と呼ばれる(2020年の資金決済法の改正で、法令上の呼称が「仮想通貨」から「暗号資産」になった)。価格上昇を牽引したのは日本や韓国の個人投資家だった。 暗号資産を簡単に言うと、ネット上でやりとりできる「財産的価値」。ドルや円などの法定通貨と交換できるが、暗号資産そのものに価値が保証されているわけではない。従って、需給で価格が上下に大きく動く。 急騰を呼んだ2017年当時との大きな違いは、マスク氏の発言にあるようにアメリカを中心とした金融界からの投資マネーが相場の主役になりつつあることだ。暗号資産情報サイトによると、直近のビットコインの取引に占めるドルの割合は全体の約7割を占める。 投資マネーの代表例が「グレイスケール」というアメリカのファンドだ。同ファンドを通じて機関投資家の資金が暗号資産に流入している。その額は2020年の1年間で57億ドル(6000億円)に上り、ビットコインで運用するファンドの運用資産残高は直近で230億ドル(2.4兆円)に達した。 また、海外の報道によれば、生命保険のマスミューチュアルなど伝統的な機関投資家もビットコインの保有に乗り出している。これらの機関投資家は、中長期のスパンで資金を投じていると考えられるため、容易には売りに回らず相場を下支えする保有者とみられている。 事業会社も動きつつある。データ分析を手がけるナスダック上場企業のマイクロストラテジーは、2020年に入ってからビットコインに2000万ドル(21億円)を投じた。過去に投資した分も合わせて2800億円分を所有している。同社CEOのマイケル・セイラー氏は、「株主に1000億ドルの利益を提供したければ、テスラのバランスシートをドルからビットコインに転換してみて」とツイッターでマスク氏に呼びかけた人物だ。 クジラと名付けられた大口投資家たち(これら大口投資家の動向は、ビットコインアドレス(口座番号のようなもの)からもわかる。顧客口座数でアメリカでトップクラスの暗号資産交換所「クラーケン」は、100ビットコイン(約4億円)以上を持つアドレスをその存在感の大きさから「クジラ」と定義。グループ内の調査組織でアドレス数とそのアドレスが保有しているビットコインの量を調べている。 データによると、2017年相場と比べてクジラの数は約1割少ない反面、そのビットコイン保有量は当時を上回っている。保有量は現在のビットコインの発行量の約6割を占める。2020年の1年間での保有量の増加幅は2%。わずか2%増とはいえ、「ビットコイン価格がこの間上がっているので投下している資金額は相当な額になるはず」と、クラーケン・ジャパンの代表である千野剛司氏は話す。 機関投資家を中心にビットコイン投資に動くのは、インフレ懸念の高まりが背景にある。新型コロナ感染拡大を受けてアメリカでも景気対策として巨額の金融緩和と財政出動を行った。その結果、ドル安が進み、金(ゴールド)などとともにインフレ回避に有効な資産としてビットコインに注目が集まった』、「ビットコインで運用するファンドの運用資産残高は直近で230億ドル(2.4兆円)に達した」、「ビットコイン」価格が金融資産価格とは無関係に動くため、代替投資(オールタナティブ投資)として、資産の一定量を投資することになったようだ。
・『一方、日本では以前のような過熱感がない。暗号資産の国内交換業大手・コインチェック社長の蓮尾聡氏によると、「取引量は2倍、3倍と増えているが、そこまでの盛り上がりはない」という。仮想通貨バブル崩壊後、200万円を超えたビットコイン価格が30万円台まで下がったことで憂き目をみた人も多かったため、慎重姿勢のようだ。だが、裏返すと「個人の買い余力はまだまだある」(蓮尾氏)。 では、今回は「かつてのバブル相場と違う」と言えるのか。蓮尾氏は、「ビットコインは根源的価値がはっきりせず、主に市場での需給で価格が決まるために(今がバブルかどうかは)わからない」と話す。ただ、440万円まで上がった後に調整に入ったので「まだ安心できる」と、市場が冷静さを保っていることに期待する。 国内交換業大手・ビットバンク社長の廣末紀之氏はさらなる価格上昇を見込む。着目するのがビットコインの「半減期」だ。これはビットコイン特有の仕組みで、一定期間(半減期)ごとにネット上で新規に供給されるビットコインの量が減っていくことを意味する。半減期を経るたびに希少性が高まり、市場価格は上がるという理屈が成り立つ。 「過去の半減期では17~18カ月、強気相場が続いた」(廣末氏)。2012年11月の半減期では暗号資産マニアが買いの主体となり、その後の17カ月でビットコイン価格が50倍になった。2016年7月の半減期ではその後の18カ月で価格が30倍になった。時期は仮想通貨バブルと重なる』、なるほど。
・『「上昇相場」はいつまで続くか  直近の半減期は2020年5月。廣末氏は過去よりも上昇率は下がるものの、「強気相場」は18カ月程度続くとみる。強気予想は既存の金融界の中にもある。報道によると、アメリカのシティバンクの幹部はビットコイン相場のチャート分析に基づき、2021年末までに価格が30万ドル(3150万円)を超える可能性があるとした。 ただ、金融当局は警鐘を鳴らす。イギリスの金融規制当局(金融行動監督機構)は、「暗号資産の価格の大幅な変動は、暗号資産の価値を評価する難しさと相まって、消費者を高いリスクにさらす」と指摘。「消費者が投資を行う場合にはすべてを失う覚悟をしておくべきだ」と警告している。暗号資産はその価値を信じる人たちの取引から価格が成立しているため、極論するならば、「気づいたら無価値になっていた」というリスクがあることには注意すべきだろう。 他方、情報に限らず金銭的な価値までネット上でやり取りする「価値のインターネット化」が進んでいくことを見越すと、ビットバンクの廣末氏は、アメリカにビットコインが集まりつつあることを懸念している。こうして集まったビットコインを基に新たな金融サービスも出てくるからだ。対する日本では暗号資産の交換業以外の事業がほぼ育っていない。それだけに、ドルベースのビットコイン取引拡大が今後も続くのかが、暗号資産価格や市場としての将来性を占う大きなカギとなりそうだ』、「ビットバンクの廣末氏は、アメリカにビットコインが集まりつつあることを懸念している」、どこに集まろうが、交換通貨が何になろうが、投資家にとってはどうでもいい筈である。投資の世界で国粋的になるのは間違っている。

第三に、2月26日付けBloomberg「JPモルガン、ビットコインでのヘッジを提案-ポートフォリオの1%」を紹介しよう。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-02-25/QP3BJ1DWLU6Z01
・『ポートフォリオ多様化の手段としてビットコインの活用を提案するウォール街の企業に、JPモルガン・チェースが加わった。 ジョイス・チャン氏、エイミー・ホー氏らJPモルガンのストラテジストは24日付けのリポートで、「マルチアセットのポートフォリオでは全体的なリスク調整後リターンを効率的に上昇させるために、最大1%を仮想通貨に配分することは可能だろう」とした。 仮想通貨は比較的新しく値動きも激しいが、他資産との相関性があまりなく、良好なヘッジになり得る。元米連邦準備制度のスタッフで、現在はコーナーストーン・マクロで政策分析を率いるロベルト・ペルリ、ベンソン・ダラムの両氏はデジタル資産を一部加えることで株式ポートフォリオのボラティリティーは大抵抑えることができるとの結論に至った。 一方で、仮想通貨の有用性には限界もあるとJPモルガンのストラテジストは指摘した。 「仮想通貨は投資対象であり、調達通貨ではない」とし、「従って通貨でマクロイベントをヘッジしようと考えるなら、仮想通貨でなく円やドルなどの調達通貨を通じたヘッジを推奨する」と論じた』、あの「JPモルガン・チェース」が「ビットコインの活用を提案」したとは驚いた。やはり代替資産としての運用を推奨しているようだ。 

第四に、2月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「ビットコインはやはりバブルか?怪しい高騰の背景に「従来とは異なる事情」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/263884
・『いつの間にか再び高騰 ビットコインはバブルなのか  ビットコインの価格がいつのまにか高騰していることが、話題になっています。 2017年12月にビットコイン価格が1ビットコイン=200万円を超え、いわゆる「億り人」がたくさん誕生し、「ビットコインバブルだ」と話題になったことがありました。その後の相場はわずか3カ月で100万円を割り込み、1年後の2018年12月には40万円近辺まで暴落しました。 仮想通貨には、政府の発行する通貨のような裏付けがありません。その経済的実体がない仮想通貨が、投資先として人気になる状況自体を「バブルだ」と人々は感じ、高騰した価格があっという間に5分の1に暴落すると、「それは当然のことだ」と口にしたものです。 ただ興味深いことに、ビットコインの暴落はそれが底であり、その後相場は100万円近辺に戻り、安定の様子を見せていました。仮想通貨があくまで仮想的な存在であれば、暴落の時点で無価値になってしまってもおかしくはないはずですが、実際にはそうはならなかった。つまりビットコインには、一定の価値があったようです。 その価値が何なのかは後述するとして、先に最近のビットコイン相場の話をしておきます。日本のビットコイン大手取り扱い業者であるビットフライヤーのチャートを見ると、その後ビットコイン価格は反転して、2019年6月には一時100万円を超えます。そこからまた上下して、新型コロナ禍が始まる直前の2020年1月には、ちょうど100万円の水準に戻っています。 さて、コロナではビットコインは株価と同じような動きを見せます。パンデミック当初はビットコイン価格も一時急落しますが、その後価格は安定します。4月から10月までのチャートを見ると、ビットコイン価格は95万円から120万円の間でゆっくりと上昇していました。 そしてその後、2020年11月からビットコインは急騰を始めます。12月頭に200万円に到達したかと思ったら、2021年1月頭に390万円台まで上がります。そこから緩やかに価格が下がっていったので、「ああ、ここが頂点だったみたいだな」と感じていたところ、2月に再び急上昇を始めます。 2月22日には、614万円の市場最高値に到達したところで調整が入り、本稿を執筆している2月24日時点では、540万円前後で取引が行われている最中です。 なぜ、ビットコインは再びバブルのように高騰しているのでしょうか。 実は2017年の価格高騰の際、私はダイヤモンド・オンラインに「ビットコインバブルが『危険』とは言い切れない3つの根拠」という記事を寄稿しました。実体のない仮想通貨といわれるビットコインには、実はその価格が幻ではない理由があると主張したのです。 そして興味深いことに、今回の価格高騰はそれらの理由とはまた事情が違うのです。その一連のポイントをまとめてみたいと思います』、興味深そうだ。
・『実態のない仮想通貨に価値がないとはいえない3つの理由  政府の裏付けのない仮想通貨に、なぜ実体価値があるのか。以前私が指摘した1つ目の理由は、実需があることでした。日本で暮らしているとイメージがわきづらいかもしれませんが、世界には「政府が発行する紙幣は信用できない」と考える人が多いのです。実際多くの国で、自国通貨よりも米ドルの価値が高かったりします。 そのような国では、海外に隠し口座が持てるような一部の特権階級を除いて、一般の国民は米ドルのタンス預金で資産を貯め込みます。しかし、高額の米ドル紙幣を大量に隠し持つことには盗難リスクがある。そこで、ビットコインが資産として実需を持つことになったのです。つまり、新興国や途上国でビットコイン投資をしていた人たちには、実需が存在していたわけです。これが1つ目の理由です。 2つ目の理由は、そのような場合に数多ある他の仮想通貨よりも、より多くの人が売り買いするビットコインに信用が一極集中するということでした。この状況はいまだに変わっておらず、毎年新しい暗号通貨が登場しても、依然として世の中で圧倒的に売買されているのはビットコインなのです。 ちょうどこの本稿執筆の途中で、ビットコインの時価総額がほぼ100兆円になっていますが、世界の仮想通貨全体の時価総額が163兆円なので、ビットコインは全体の6割を超えています。ちなみに仮想通貨ランキングを見ると、2位のイーサリアムまでは人気があって時価総額がほぼ20兆円なのですが、3位以下の仮想通貨は取引規模がぱっとしないというのが実情です。つまり世の中の信用としては、ビットコインは別格なのです。 そして3番目の理由は、2017年当時のバブル価格でもまだ、ビットコインの時価総額は現実通貨と比べて1桁以上少なかったという根拠でした。仮に世界の中央銀行が発行量を決めるこれまでの通貨に対して、そのような恣意性が存在せず、市場の「神の手」で価値が決まる仮想通貨が未来の通貨の座を奪い取る日がやってくるとしたら、現在のビットコイン価格ですらまだそこに至る通過点かもしれない。これが私が3番目に指摘したことでした。 この3つの理由から、「必ずしもビットコインの価格高騰には経済的な裏付けがないわけではない」という話をしたのです。少なくとも、企業の株価が数十兆円から100兆円を超えているのと同じくらいには、ビットコインの価値を信用している一定数の人たちがいて、そのことでビットコインには高い流通価値があるのだ、という話をしたのです』、「ビットコインには高い流通価値がある」、その通りだ。
・『足もとのビットコイン急騰はこれまでとは事情が異なる  さて、この説明と比較すると、2020年の終盤から2021年初頭にかけてビットコインが急騰した理由は、少し背景が異なるようです。 今回の価格高騰の1つ目の特徴として、北米市場でビットコインが活発に買われているという事実があります。 それまでビットコインの中心だったアジア市場では、自国通貨への不信感が投資の根拠であったと述べましたが、なぜ北米大陸の投資家がビットコインに目を向けたのでしょうか。その理由として、コロナ禍での資産逃避が挙げられます。これが2つ目の特徴につながります。 コロナ禍で世界経済が停滞しているにもかかわらず、2020年4月以降、株価が堅調に上昇する現象が起きています。その理由は、主要国政府がコロナ危機と経済危機が重ならないように、金融緩和政策をとっているからです。そして投資家は、この金融緩和を「通貨の価値を下げている」と捉えます。) FRBがコロナ禍を受けてゼロ金利まで政策金利を下げたことは、市中にドル紙幣がばらまかれたことと同じだと投資家は考えます。一方でビットコインは、マイニングでその量が若干は増えていきますが、基本的には総量はルールで決まっています。ですから投資家から見れば、ドルと比較してビットコインは価値が棄損しない通貨だといえるのです。 そして3番目に、新規参入組が増えているという事実です。それも、これまでのビットコイン相場を支えた個人投資家ではなく、機関投資家が動き出している。そしてその参入規模が、この先増えていきそうな気配があるのです。 アメリカでビットコインに大口の投資をするといえば、これまでヘッジファンドが巨額の運用資産の中で少しだけ投資をしているくらいのイメージでした。ところが最近、それらのファンドの顧客でもある機関投資家が、ビットコインへの投資を代替的な投資先の1つとして容認し始めたといいます。 同様に、カナダの株式市場でビットコインの上場投資信託(ETF)の売買が始まりました。これまでよりもビットコインが金融商品として認知されることになり、ビットコインに投資する人の顔触れも大きく広がったのです。そして、直近のビットコイン高騰の最大要因として挙げられるのが、イーロン・マスク氏率いるテスラモータースが1500億円をビットコインに投資したと報じられたことでした。 このように、新しい事情で北米でのビットコインの需要が増えた一方で、ビットコインの供給、つまりもともとの総量は増えないという状況になっています。当然ながら価格が上がることになるというのが、現状に関する説明です』、明快な説明だ。
・『ビットコイン急落の兆候を見極めるポイントはあるのか  さて、私は先週「日経平均3万円超え、『攻め時』と『引き時』を真剣に考える」という記事を寄稿した際にも、「相場については未来予測が難しい」という話をしました。状況的にビットコインがなぜ高騰しているのかは、その記事で説明した状況と同じ要素が関係しているわけです。しかしこの先、ビットコイン価格がさらに上昇するのかというと、それは「わからない」としか言いようがありません。 ただ、今回の価格急騰のメカニズムを考えると、今後注目すべきポイントは「本当に機関投資家がこの先、次々とビットコイン投資に参入するのかどうか」が、相場の大きな鍵であることだけは間違いないようです。 【著者からのお知らせ】新型コロナが日本経済に与える影響についての最新の未来予測を、noteで公開しました。緊急事態宣言下の社会の先行きについて、不安な方も多いと思います。未来予測の専門家として、皆様の今後を考える参考にしていただきたいと思っています。ぜひご覧くださいhttps://note.com/suzukhei/n/n23c0679e03d2 』、「この先、ビットコイン価格がさらに上昇するのかというと、それは「わからない」としか言いようがありません」、正直で信頼に値する見方で、同感である。
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