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スガノミクス(その5)(菅首相の長男が接待した美人内閣広報官の裏の顔 更迭された総務省幹部の後任は夫、菅首相の長男が接待した古賀茂明「菅総理長男の接待官僚の行く末」、政治史の中でも悪質 菅首相長男をめぐる「東北新社疑惑」、総務省「旧郵政省系官僚」違法接待の背景~不祥事防止のための「コンプライアンス顧問」の重要性〉 [国内政治]

スガノミクスについては、本年2月3日に取上げた。今日は、(その5)(菅首相の長男が接待した美人内閣広報官の裏の顔 更迭された総務省幹部の後任は夫、菅首相の長男が接待した古賀茂明「菅総理長男の接待官僚の行く末」、政治史の中でも悪質 菅首相長男をめぐる「東北新社疑惑」、総務省「旧郵政省系官僚」違法接待の背景~不祥事防止のための「コンプライアンス顧問」の重要性〉である。

先ずは、2月23日付けAERAdot「菅首相の長男が接待した美人内閣広報官の裏の顔 更迭された総務省幹部の後任は夫〈週刊朝日〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2021022300013.html?page=1
・『義偉首相の長男、菅正剛氏が務める放送関連会社「東北新社」から総務省幹部が接待を受けていた問題が、底なし沼のようになってきた。 発覚した接待は計38件、接待された幹部、職員らは13人に上った。 菅首相は連日、国会で追及を受け、「長男は別人格」と防戦一方だが、総務省は接待を受けた職員、元職員13人のうち、11人が国家公務員倫理規程に違反する可能性があると認めている。 中でも「本当に驚いた」とされるのが、首相の懐刀とされる山田真貴子内閣広報官も接待を受けていたことだ。 総務省が公表した資料では山田氏が接待を受けたのは2019年11月、一人74203円で超豪華な会食だったことがわかっている。その席には東北新社社長らとともに、首相の長男、正剛氏が参加していた。 山田氏は早大法学部卒業後、1984年に旧郵政省に入省。安倍政権時代の2013年まで、女性初の首相秘書官に起用され、広報などを2年間、担当した。17年には、総務省で放送行政を所管する情報流通行政局長に就任。19年まで務めた後、省内で次官に次ぐポストである総務審議官を務めた。正剛氏らと会食した当時は総務審議官在任中だ。 山田氏は昨年7月に総務省を退官。国会や議員会館で挨拶に回っていた姿を目撃したこともある。官房長官時代から菅首相の信頼は厚く、菅政権発足後、女性初の内閣広報官に抜擢された。山田氏は官邸で行われる首相会見の司会、仕切り役を務め、菅首相へ厳しい質問が飛ぶと「次の日程」などを理由に、会見を強引に打ち切っていた。 山田氏と仕事をしたこともある総務省OBはこう話す。 「山田氏はさばけた感じで仕事は的確で抜群にできますよ。表の顔はとても好感がもてます。一方、政治家のいうことも忠実に聞きますね。だから、NHKなどテレビ局に電話をかけたりして、圧力めいた話もするんでしょう。今回のように7万円の接待も受ける裏の顔がある。表裏をうまく使いわける、ザ・官僚という人」』、「ザ・官僚という人」とは言い得て妙なようだ。
・『今回の疑惑で、更迭された秋本芳徳情報流通行政局長の後任となった吉田博史総括審議官は、皮肉にも山田氏の夫だという。 「秋本氏も将来は次官候補と嘱望されていた。突然の文春砲での疑惑に涙を浮かべ釈明、謝罪に追われていました」(総務省関係者) 当初、総務省は東北新社、菅正剛氏から接待を受けた職員は4人と発表していた。だが、22日になって山田氏ら9人を追加して認めた。 2018年に総務省が認可した囲碁将棋チャンネルは東北新社のグループ会社で菅正剛氏が取締役も兼ねている。利害関係者であることはわかっているはず。しかし、山田氏のような高額の会食や手土産、タクシー券など、接待の金額や範囲は無分別に広がっていた。 その理由について現役の総務省の官僚はこう語る。 「菅首相は政治家として、人事権を使って官僚を意のままに動かすと公言しています。要するに、官僚人生で最も大事な人事。菅首相はそれを握り、自在に使いこなすと言っている、最強の人ですよ。その長男、菅正剛氏が参加するという会合があれば、そりゃ、断れません。問題になっている13人のうちの1人と話したが、『総理の長男が来るのに、断るなんてできるわけない』と明確に言っていた。それが本音です」 第1次安倍政権時代は総務相だった菅首相。就任早々に、総務省の所管となる携帯電話業界に対して値下げをぶち上げた。 「菅首相は総務省の族議員ですよ。だから、首相になってすぐに携帯電話の料金を下げろとか、恫喝のようなことが言えた。総務省も従わざるを得なかった。そんな中、長男の総務省接待疑惑が浮上。接待を受けた官僚が増え、金額も大きくなり、贈収賄事件にも発展しかねない。長男は別人格だと国会で言い続ける限り、支持率はより低下していく。非常に厳しい政権運営を迫られる」(自民党幹部)』、泥沼の様相を呈してきたようだ。

次に、2月23日付けAERAdot「菅首相の長男が接待した古賀茂明「菅総理長男の接待官僚の行く末」〈週刊朝日〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2021022300013.html?page=1
・『国会では菅義偉総理の長男菅正剛氏による総務省幹部接待疑惑の追及が続いている。長男が勤める東北新社の関連会社が放送法の許認可事業を行っているにもかかわらず、その所管省である総務省の幹部が何回も長男の接待を受けていたというのだから、疑われて当然。霞が関の官僚たちも「これは相当ヤバい」と見ているだろう。私がこの話を聞いた時の感想も、「まるで昭和の接待」だ。 当時は、盆暮れの付け届けやゴルフ接待、さらには視察と称した温泉旅行まであった。平成に入ってもノーパンしゃぶしゃぶ事件などの官僚の接待不祥事が続いたが、それががらりと変わったのが、2000年頃。国家公務員倫理法施行もあり、企業訪問の際に出されたお茶を飲んでいいのかと議論されるほど、一時は官僚たちも襟を正した。 ところが、徐々に官僚や企業の意識も緩み、とりわけ、安倍晋三政権になると官僚の倫理観は極端に劣化した。国家戦略特区の規制緩和で獣医学部を新設しようとする加計学園のトップと直接の責任大臣である安倍総理自身が一緒にゴルフや宴会を繰り返し、官邸官僚のトップである総理秘書官までお相伴にあずかっていたのに、安倍総理が「問題なし」と言い張ったのである。官僚たちは、「へえ、そうなんだ」と思ったのだろう。 今回の接待ではお互いに贈収賄の意図があったと見るのが自然だが、一方で、この程度のことで贈収賄の立件をするのは極めて難しい。世論の手前、無罪放免とはいかないので、新事実が出てこない限り、立件のハードルが低く罰則もはるかに軽い国家公務員倫理規程違反で処分して終わりという可能性が高い。 それにしても、彼らがこんなに危ないとわかり切った接待を受けたのはなぜだろう。菅氏は、意に沿わない官僚を左遷すると公言した。その怖さを一番よくわかっているのが総務官僚だ。菅氏が何の実績もない長男を大臣秘書官にするほど溺愛していることも知っている。菅氏の長男の機嫌を損ねると大変だし、逆に覚えめでたくなれば引き立ててもらえるという心理が働いた可能性は高い』、「安倍晋三政権になると官僚の倫理観は極端に劣化した」、その通りだ。「菅氏」の強烈な官僚操縦術の犠牲者とも言えるのかも知れない。「菅氏」の古巣「総務省」が舞台になったのも因縁めく。
・『彼ら忖度官僚は菅派だということも知られている。彼らの背後に菅氏の影を感じる総務省は厳しい処分を下せないとの懸念もあるが、私はむしろ、菅氏は厳正な処分を望むと見ている。支持率が大きく下がり、菅降ろしの声も聞かれる中、官僚たちのことを考えるゆとりはないはずだ。次官級の総務審議官などは、夏の人事で次官になれず退官という可能性もある。 しかしそこで終わりというわけではない。ちょうど、安倍総理元秘書官だった柳瀬唯夫氏が加計学園問題で事実上嘘をついて大きな問題となった後、経産省で次官目前だったのに退官させられたケースがある。柳瀬氏は、退官後複数企業の社外取締役などを務め、ほとぼりが冷めてからNTT本社執行役員とNTT直下のグローバル持株会社副社長に就任した。社会的地位も高く高額の報酬を得て悠々自適の生活を楽しんでいるわけだ。 今回問題となった総務官僚たちも、この夏の人事で退官したり、出世が遅れるという不利益を受ける可能性が高いが、時間が経てば、必ずそれを補うに余りある破格の処遇が用意されるだろう。我々はしっかり監視していかなければならない。 ※週刊朝日  2021年3月5日号 (古賀氏の略歴は省略)』、「今回問題となった総務官僚たちも、この夏の人事で退官したり、出世が遅れるという不利益を受ける可能性が高いが、時間が経てば、必ずそれを補うに余りある破格の処遇が用意されるだろう。我々はしっかり監視していかなければならない」、その通りだ。

第三に、2月26日付け日刊ゲンダイが掲載した元外交官で外交評論家の孫崎享氏による「政治史の中でも悪質 菅首相長男をめぐる「東北新社疑惑」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/2856
・『安部政権下では、森友学園や加計学園の問題で、公的資産の不当廉売や、恣意的に基準を歪め、悪用された事例が相次いだ。当然、世論は怒ったが、一連の経過で安倍前首相側に資金が流れていたという話は聞かない。 しかし現在、明らかになっている菅首相の長男をめぐる「東北新社疑惑」は、菅氏側が金銭的利益を得ている。その意味では日本の政治史の中でも悪質な事件だろう。 総務省の高級幹部が東北新社側から複数回に上る接待を受け、この席にはほぼ常に菅首相の長男がいた。 この事件の本質については、毎日新聞社説がこう報じている。 <見過ごせないのは、昨年12月の会食時期だ。東北新社の別の子会社が手がける衛星放送の認定を、同省が更新する直前だった。また、長男が役員を務める子会社の「囲碁・将棋チャンネル」は約3年前にCS放送業務の認定を受けている。この時認定された12社16番組のうち、ハイビジョンでない放送はほかになかった。審査基準はハイビジョン化を進めるために改正されたばかりだった。しかし、ハイビジョンであるにもかかわらず認められなかった番組もあった>) つまり、総務省から東北新社が得た認可は、通常の基準では認可されない類いの性格を持っていたのである。別の報道によれば、<東北新社はグループの650億円の売り上げの内、衛星放送事業の売り上げは150億円、総務省の認定を受ける事業である>とある。だからこそ、社長自らが接待に出向き、対総務省工作を行ったのである。 こうした事業認可が特段の配慮によって実施されることは、これまでもあろう。しかし、菅首相は東北新社から特別の金銭的利益を得ている。長男の正剛氏の入社後、東北新社の植村伴次郎氏らは6年間で、菅氏が代表を務める自民党神奈川県第2支部に計500万円の寄付をしていると報じられている。 認可を与えたのは総務省である。しかし菅首相はここにも「クモの網」を張っている。昨年9月13日のフジテレビ系番組でも、政権の決めた政策の方向性に反対する幹部は「異動してもらう」と強調していた。 今回の問題で、総務省官僚の判断としては、①菅首相の意向を忖度して規制を曲げる②閑職に異動し退職する――のいずれかだったろう。 日本の官僚機構は今、こういう選択を突き付けられている』、「森友学園や加計学園の問題」と違って
「菅首相」側に「500万円の寄付」など利益が流れており、「日本の政治史の中でも悪質な事件」、というのは確かだ。

第四に、2月19日付けYahooニュースが掲載した元東京地検特捜部検事で郷原総合コンプライアンス法律事務所代表弁護士の郷原信郎氏による「総務省「旧郵政省系官僚」違法接待の背景~不祥事防止のための「コンプライアンス顧問」の重要性」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20210219-00223398/
・『放送事業会社に勤める菅首相の長男の菅正剛氏が、許認可権を握る総務省の幹部4人に違法な接待を重ねていた疑惑が週刊文春で報じられ、国会で厳しく追及されている。中央省庁の中核を担う存在であるはずの総務省の局長級の幹部が、利害関係者から度重なる高額接待を受け、贈答品、タクシーチケットまで受領していたという「モラルの崩壊」に、多くの国民は呆れ果てている。 私は、民主党政権時代の2009年12月~2012年11月、原口一博氏、片山善博氏ら4人の大臣の下で総務省顧問・コンプライアンス室長を務めた。この時、関わったコンプライアンス案件の多くが、今回違法接待が問題となっている「旧郵政省系」の部署の問題であった。今回、違法接待の疑惑で出てくる総務省幹部の中には、コンプライアンス室の調査対象の案件の担当課長も含まれている。 総務省でこのような問題が発生した背景について、コンプライアンスを徹底するための効果的な対策を、総務省顧問時代の経験も踏まえて考えてみたい。そして、この問題が、贈収賄等の刑事事件に発展する可能性についても考えてみたい』、「郷原氏」が「民主党政権時代」「総務省顧問・コンプライアンス室長を務めた」とは初めて知った。
・『菅首相長男らとの接待に関する秋本局長の「虚偽答弁」  週刊文春の記事で違法接待が報じられた後、秋本芳徳情報流通行政局長は、衆議院予算委員会で、菅義偉首相の長男との昨年12月10日の会食の際、同局が所管する放送業界の話題が出たかどうかを質問され、「記憶はない」と答弁した。ところが、昨日(2月18日)発売の週刊文春で、会食時のやりとりとされる音声が報じられ、所管業務が話題になっていたことが否定できない状況に追い込まれた。秋本氏は、その音声が自分だと認めていながら、現在も「記憶にない」と述べているようだ。 文春記事で報じられている会食の会話内容からすれば、BS放送の新規参入は、その会食のメインの話題であり、まだ2か月も経っていないのに、会食時のことについて全く記憶がなくなることはあり得ない。それを総務省局長としての国会答弁で、「記憶にない」などと堂々と虚偽答弁することは、中央省庁の局長としてあり得ないと言わざるを得ない。 どうして、このような官僚のモラルの崩壊が起こるのか。 そこには、安倍政権が長期化しそれを継承する菅政権が続く中で、行政の長たる総理大臣として安倍首相が行った答弁の姿勢が影響していると考えざるを得ない。安倍首相は、「桜を見る会」前夜祭問題に関して、「虚偽答弁」を繰り返し、検察捜査で虚偽が明らかになるや、国会で、「説明にもならない説明」をしただけであり、いまだに合理的な説明をしていない(【「桜・前夜祭問題」一層巧妙化する安倍前首相のウソ】)。 行政の長たる総理大臣が、まず「自分に都合の良いこと」を答弁し、後日、それが虚偽答弁であることが判明したら、その時点で辻褄合わせの説明をするという姿勢なのである。その配下にある官僚に、「自己に都合の悪いことでも真実を答弁しろ」と言っても無理であろう。日本政府は、丸ごと「ウソ答弁」に汚染されているということだ』、「日本政府は、丸ごと「ウソ答弁」に汚染されているということだ」、困ったことだが、そのツケを払わされているのだろう。
・『総務省でのICT補助金事業をめぐる不適切予算執行の問題  私が、総務省顧問・コンプライアンス室長として対応した案件の中に、ICT関係補助金等事業の不適切な予算執行の問題があった。「ICTふるさと元気事業」に関するコンプライアンス室への通報をきっかけにコンプライアンス室で調査を開始し、弁護士、ICTシステム専門家、公認会計士等の外部有識者で構成する「ICT補助金等調査・検討プロジェクトチーム」を組織して不適切な予算執行の実態・問題を解明し、概算払いされていた補助金についても大幅減額を行った。そして、調査結果に基づいて、制度・運営に係る改善及び職員の意識改革を提言した(総務省HP https://www.soumu.go.jp/main_content/000169927.pdf )。 この時の補助金の不適切予算執行を行った担当部局が「旧郵政省系」であり、所管課が総務省情報流通行政局地域通信振興課、その課長だったのが、今回の接待疑惑の当事者の秋本氏、現在の情報流通行政局長だ。 そして、調査の途中、人事異動で担当課長が交代し、後任となったのが、現在、内閣広報官として、総理大臣記者会見を仕切っている山田真貴子氏だった。 上記の「ICT補助金等調査・検討プロジェクトチーム」で調査したのが、民主党政権発足直後、急遽、第2次補正予算で実施した「ICTふるさと元気事業」だった。年度末までの僅かな期間に、組織の実態を把握することすら容易ではないNPO法人に、60億円もの補助金交付を適正に行うことなど土台無理だったはずだ。 しかし、当時、「官から民へ」というスローガンを掲げた民主党が、総選挙で圧勝し民主党中心の連立政権が発足したばかりだった。その最初の総務大臣の肝いりで予算化された補助金事業ということで、大臣の意向を過剰に忖度し、年度内の補正予算執行に異を唱えることなく、形だけの審査で、杜撰極まりない補助金の採択をした。 政治権力に脆弱な「旧郵政省系官僚」は、当時は、民主党連立政権の政治権力に対しておもねっていたが、その後、再び自民党政権に戻り、安倍政権が長期化し、総務省内での菅義偉官房長官の存在が一層大きなものとなっていく中で、「政治権力への脆弱さ」がさらに極端化していったということであろう』、「ICTふるさと元気事業」については、「民主党連立政権」に一端の責任があるとしても、責任の大半は「大臣の意向を過剰に忖度し、年度内の補正予算執行に異を唱えることなく、形だけの審査で、杜撰極まりない補助金の採択をした」官僚にある。「秋本氏」や「山田真貴子氏」の名前が出てくるのは偶然とは思えない。
・『旧郵政省系官僚の「政治権力への脆弱さ」  このような「旧郵政省系官僚」と政治権力との関係には、歴史的背景がある。 総務省は、2001年の省庁再編で、「自治省」「郵政省」「総務庁」の3省庁が統合されてできた。そのうちの郵政省は、もともとは、三公社五現業のひとつである郵政三事業を取扱う「現業官庁」であった。設置当初の本庁舎は、現在の港区麻布台に所在し、他の省庁が集まる霞が関へ行くのにバスを使わなければならなかったこともあって、「三流(もしくは四流)官庁」と揶揄され、中央省庁の中でも格下に見られていた。 その郵政省を、本庁舎を霞が関に移転させるなど、郵政省の地位向上に大きな役割を果たしたのが1964年に郵政大臣となった田中角栄氏であった。その後、1984年7月、通信政策局・電気通信局・放送行政局のテレコム三局に拡充され、電気通信・電波放送行政を担う省庁として、「現業官庁」から「政策官庁」へ脱皮してきたのも、「政治の後ろ盾」によるものだった。 そして、総務省に統合された後も、「旧郵政省系官僚」は、小泉純一郎内閣で一気に進められた郵政民営化がその後政治情勢の変化によって紆余曲折を繰り返すという、激しい環境変化にさらされた。 私は、総務省顧問就任の直後、「かんぽの宿」問題等の日本郵政をめぐる不祥事に関して設置された「日本郵政ガバナンス検証委員会」の委員長を務めた。その【報告書】でも、「西川社長時代の日本郵政は、政治情勢の激変の中、「郵政民営化を後戻りさせないように」との意図が背景あるいは誘因となって、拙速に業務執行が行われたこと」を問題発生の原因として指摘した。政治の影響をとりわけ強く受けるのは、日本郵政だけではなく、それを監督する「旧郵政省系」の部局も同様である。 このように政治情勢の変化に翻弄されてきた郵政省の歴史の中で、電波、通信、ICTなどの旧郵政省の担当分野は急拡大し、社会的重要性が増大し、所管業務に関する巨大な利権も生じるようになった。それらを適正に、公正に行っていくためには、相応の能力と、官僚としての倫理観が必要とされる。しかし、かつて「三流・四流官庁」と言われた郵政省を起源とする組織には、それらは十分ではなかった。その能力と権限のアンバランスが、「旧郵政省系官僚」が政治権力に依存し、脆弱化する傾向を一層強めることにつながり、「旧郵政省系官僚」は、政治の流れの中で「波乗り」をするような存在となっていった。 そして、安倍長期政権の下では、総務省にとっての最大の実力者の菅義偉官房長官の意向を強く意識するようになり、それが、かつて菅総務大臣秘書官を務めていた菅氏の長男との「癒着」につながっていったのであろう』、「かつて「三流・四流官庁」と言われた郵政省を起源とする組織には、それらは十分ではなかった。その能力と権限のアンバランスが、「旧郵政省系官僚」が政治権力に依存し、脆弱化する傾向を一層強めることにつながり、「旧郵政省系官僚」は、政治の流れの中で「波乗り」をするような存在となっていった」、背景の説明がさすがに深いことに驚かされる。
・『刑事事件に発展する可能性  では、今回の違法接待疑惑が、刑事事件に発展する可能性があるのか否か。 日本の刑法の贈収賄は、請託・便宜供与のない「単純収賄」も処罰の対象としているので、接待が「職務との関連性」があり、「社交的な儀礼の範囲内」と言えない限り、「賄賂」と認められ、贈収賄罪が成立することになる。 週刊文春の記事によると、菅首相の長男正剛氏が勤める東北新社は、総務省の許認可を受けて衛星放送を運営する会社であり、正剛氏と秋本局長の会話の中には、 「BSの。スター(チャンネル)がスロット(を)返して」 というようなやり取りがある。 2019年9月、総務省はBS放送の新規参入に関し、電波監理審議会へ諮問し、その結果、吉本興業等3事業者の認定を適当とする旨の答申が下り、同年11月に認定された3つのチャンネルは今年末にBSで放送開始予定となっている。それに伴いBS帯域の再編が急ピッチで進められ、昨年11月30日以降、東北新社子会社が運営する『スターチャンネル』など既存のチャンネルは『スロットを返す』、すなわちスロットの縮減が順次実施されている。 上記発言の趣旨が総務省の電波行政に関連していることは明らかであり、会食の場での会話が、総務省の所管業務に関連する話題に及んでいることは否定できないように思える。 接待の賄賂性が否定されるのは「社交的な儀礼の範囲内」のものである場合だが、その範囲内と言えるかどうかは、公務員倫理法上の報告対象の「5000円」というのが、一つの基準となるであろう。 もちろん、贈収賄罪の成立が否定できないとしても、検察が、実際に起訴するレベルの犯罪かどうかは話が別である。週刊文春の取材で詳細が明らかになっているのは12月10日の接待だけであり、他の接待の「賄賂性」は不明だ。これまで、数万円程度の1回の接待で、贈収賄罪に問われた事例は聞いたことがない。しかし、この記事に基づいて告発が行われた場合、検察捜査では、それまでも繰り返されていた接待も問題にされるであろうし、接待による賄賂の金額が増える可能性がある。また、検察実務で従来起訴の対象とならないような事例であっても、不起訴処分となれば、検察審査会に申し立てが行われ、黒川元検事長の賭け麻雀賭博事件のように、起訴猶予処分に対して「起訴相当」の議決が出ることも考えられる。 「旧郵政省系官僚」が引き起こした今回の事件では、検察の対応も、注目されることになるであろう』、「検察」がどのように「対応」するかは、確かに注目点だ。
・『中央省庁における「コンプライアンス顧問」の重要性  「政治権力への脆弱さ」が、今回のような官僚や公務員のコンプライアンス問題を生じさせる構図は、「旧郵政省系官僚」だけに限ったことではない。安倍政権の長期化、官僚人事の内閣人事局への一元化によって、官僚の世界全体が、政治に対して無力化しつつある中で、もともと政治に対して脆弱であった「旧郵政省系官僚」のところに極端な形でコンプライアンス問題が表面化したとみるべきであろう。 総務省顧問時代のことを振り返ってみると、そのような「官僚が政治に追従・迎合していく構図」の中で、コンプライアンスを守っていくためには、相応の位置づけを持つ中立的な立場の「コンプラアインス顧問」の存在が重要であったと思う。 当時の総務省での「顧問・コンプライアンス室長」という地位は、大臣から直接任命され、省内で相応の位置づけが与えられ(会議スペース付の個室も与えられていた)、大臣に対しても物が言える立場だった。コンプライアンス室には、もともと、行政監察、行政評価等の「中央省庁のコンプライアンス」を担ってきた「旧総務庁系」の職員が配置され、コンプライアンス問題への対応業務を支えてくれていた。だからこそ、当時の「顧問・コンプライアンス室長」が、コンプライアンス違反に対する中立的・客観的な監視機能を果たす「重し」としての役割を担うことができたのである。 もとより、原口総務大臣も、不適切な予算執行をしてまで年度内に「ICTふるさと元気事業」を行うことなど考えていなかった。しかし、政治権力に極めて脆弱な役人気質が、過剰に忖度して、補助金事業を拙速に執行しようとしたことが不適切執行につながった。政治に「波乗り」をする秋本氏ら「旧郵政系官僚」にとっては、原口大臣に任命された総務省顧問・コンプライアンス室長の私が、その大臣の肝いりで実施された事業に水を差すような徹底調査を行うことは想定外だったのかもしれない。しかし、組織のコンプライアンス対応というのは、組織のトップのためのものではない。あくまで中立的・客観的な立場から「コンプライアンスに忠実に」対応するのが当然である』、主要企業に「コンプライアンス」部署が広がったように、中央官庁にも設置すべきなのだろう。
・『地方自治体における「コンプライアンス顧問」  私は、2017年から、横浜市の「コンプライアンス顧問」を務めている。それも、総務省での顧問・コンプライアンス室長と同様に、市長から直接任命され、「コンプライアンスの重し」としての役割を果たす立場である。 横浜市は、2007年、市職員が起こした重大な不祥事の発生を契機に、「コンプライアンス委員会」を設置し、私は外部評価委員として関わってきた。その活動は、設置当初は活発だったが、その後、次第に形骸化し、外部評価委員が参加する委員会の開催も、具体的な事案への関与も、ほとんどないという状態になっていた。 2017年7月、横浜市は資源循環局で発生した「産業廃棄物処理に係る通報に対する不適切な取扱い」について公表したが、この件についての横浜市の対応には、「通報者の保護」という視点が欠落しており、「法令規則上正しい対応をすること」に偏り、「社会の要請」に目を向けないコンプライアンスの典型だった。 林文子市長に、この「不祥事」への対応について問題点を指摘し、コンプライアンス委員会の活動を抜本的に改善するよう求めたところ、市長は、コンプライアンスへの取組みを抜本的に改め、強化する方針を打ち出した。私と、共に外部委員を務めていた公認会計士の大久保和孝氏の2人がコンプライアンス顧問を委嘱され、具体的なコンプライアンス問題にも直接関わることになった。 それ以降、毎年度、特定の部局ごとに、管理職に対する講義やディスカッション形式の研修を行う一方、時折発生するコンプライアンス問題についても、直接相談を受け、対応について助言している。「コンプライアンス室」も、年々、体制が強化され、コンプライアンス顧問とともに、その役割を果たしており、もともと、意識も能力も高い職員が揃っている日本最大の政令指定都市の横浜市におけるコンプライアンスへの取組みは、着実に効果を上げつつある。 ▽政治権力と「コンプライアンス顧問」の重要性(今回の「旧郵政省系官僚」の問題がまさにそうであるように、中央省庁においては、「政治権力への脆弱さ」がコンプライアンス問題に発展する重大リスクとなる。それと同様に、地方自治体においては、首長の政治的な方針・指示が、コンプライアンスからの逸脱を生じさせることがある。それは、首長が大統領的な強大な権限を持つ日本の地方自治制度において、コンプライアンス意識の高い自治体職員にとっても不可避のコンプライアンス・リスクだと言える。 そういう面から、市長から委嘱を受けた「コンプライアンス顧問」が、コンプライアンスの「重し」になり、時には「盾」となることが、自治体をめぐる重大なコンプライアンス問題の発生や深刻化を防止する上で重要だと言えよう。 中央省庁の多くに、「コンプライアンス室」が設置され、外部弁護士が室長に委嘱されているところもある。しかし、ほとんどが、単なる内部通報窓口であって、顧問がコンプライアンスを担当している省庁というのは、聞いたことがない。 地方自治体でも、公益通報者保護法との関係で、内部通報窓口が設置されているが、首長から直接委嘱を受ける「コンプライアンス顧問」を置いている自治体というのは、あまり聞かない。 中央省庁、地方自治体における「コンプライアンス顧問」の存在に着目する必要があるのではなかろうか』、「郷原氏」が「横浜市の「コンプライアンス顧問」を務めている」、のは初めて知った。私は「林文子市長」は嫌いだが、郷原氏をそうしたポストに就けているのはいいことだ。「コンプライアンス顧問」が「中央省庁、地方自治体」で広がってほしいものだ。
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