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半導体産業(その2)(世界の半導体供給に地殻変動の兆し 日・米・台の連携に取り残される韓国、加速する半導体ウォーズ 供給不安が「ウィンテル」の復活呼ぶ、韓国にも敗れた「日の丸半導体」が これから世界一に返り咲く意外なシナリオ 米中の覇権争いが日本の好機になる) [産業動向]

半導体産業については、2016年7月14日に取上げた。久しぶりの今日は、(その2)(世界の半導体供給に地殻変動の兆し 日・米・台の連携に取り残される韓国、加速する半導体ウォーズ 供給不安が「ウィンテル」の復活呼ぶ、韓国にも敗れた「日の丸半導体」が これから世界一に返り咲く意外なシナリオ 米中の覇権争いが日本の好機になる)である。

先ずは、本年2月23日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した法政大学大学院教授の真壁昭夫氏による「世界の半導体供給に地殻変動の兆し、日・米・台の連携に取り残される韓国」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/263576
・『昨年秋頃から、世界経済全体で半導体の需給がひっ迫している。コロナ禍によって世界経済のデジタル・トランスフォーメーションが加速し、スマートフォンや高性能コンピューター向けの最先端の半導体需要が高まった。そこに車載半導体の需要回復も加わったのである。TSMCの生産ラインを各国企業が取り合うというべき状況となっている。今後、日・米・台を軸に、世界の半導体サプライチェーンは変化する可能性がある』、興味深そうだ。
・『台湾のTSMCとの関係強化に動き始めたバイデン政権  米国のバイデン政権は、自国の企業が必要とする半導体の確保に現在、注力している。 そのためバイデン政権は、台湾当局や半導体ファウンドリー(受託製造企業)最大手であるTSMC(台湾積体電路製造)との関係強化に動き始めた。また、同政権はわが国の半導体産業へも秋波を送っているという。 米国にとって、日本と台湾との連携強化は半導体の調達や安全保障体制の強化に欠かせないとの図式なのだろう。 世界のファウンドリー業界では、TSMCが54%、韓国のサムスン電子が17%程度のシェアを持つ。本来であれば米国は同盟国である韓国にも連携を求めたいだろう。しかし、現時点でバイデン政権は、日台との関係を優先しているようだ。 その要因の一つに、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の政策への不安がある』、「経済面では中国を優先し、外交面では北朝鮮との宥和」政策を推進しているので、「米国」が不信感を抱くのは当然だ。
・『半導体確保に必死のバイデン政権 TSMCの生産ラインを取り合う各国企業  文氏は安全保障面で米国を重視する一方で、経済面では中国を優先し、外交面では北朝鮮との宥和(ゆうわ)と反日の考えを重視してきた。ここへ来て文大統領は、中国の習近平氏と電話会談を行うなど、中国との関係強化を一段と強めているようだ。 バイデン政権は、韓国に対して対北朝鮮政策について日米と歩調を合わせるよう求めているが、今までのところ文政権は立場を明確にしていない。むしろ、北朝鮮の金正恩氏の発言に合わせて、政府内の人事を修正するなどしている。文氏の「北朝鮮優先主義」に大きな変化はないようだ。専門家の中には「文大統領がバイデン政権の信頼を確保できるか否か難しい」との見方もある。 昨年(2020年)の秋頃から、世界経済全体で半導体の需給ひっ迫が鮮明となっている。 その一因として、世界経済のデジタル・トランスフォーメーションが加速し、スマートフォンや高性能コンピューター向けの最先端の半導体需要が高まった。そこに車載半導体の需要回復も加わったのである。TSMCの生産ラインを各国企業が取り合うというべき状況となっている。 米中の対立が半導体不足に与えた影響も軽視できない。 米国のトランプ前政権は、中国のファウンドリーであるSMIC(中芯国際集成電路製造)へ制裁を科した。車載半導体メーカーは委託先をSMICからTSMCへ切り替え、TSMCは供給能力を上回る需要に直面している。車載半導体が不足し、米国ではフォードとGMが減産を決定した。労働組合を主な支持基盤としてきた民主党のバイデン政権にとって、半導体確保は経済運営上の重要課題なのである。 事態の打開に向けて、バイデン政権は台湾当局との連携を強めている。その背景には、目先の半導体確保だけでなく、中長期的な視点で最先端分野を中心とする半導体関連技術を自国に集積させ、中国との覇権争いを有利に進める狙いがあるはずだ。 米国の制裁によってSMICは、思うように半導体製造装置を調達することができていない。製造技術に関しても中国の実力は十分ではなく、「中国製造2025」の進捗は遅れるだろう。その状況は、米国がIT先端分野での優位性を維持し、基軸国家としての地位を守るために重要だ。 そのためにバイデン政権は、TSMCに米国内でのいち早い生産開始や生産能力の増強を求める可能性がある。それに加えて、バイデン政権が垂直統合を重視する、インテルなど自国の半導体企業に補助金を支給し、事業運営をサポートすることも考えられる』、「米国のトランプ前政権は、中国のSMIC・・・へ制裁・・・車載半導体メーカーは委託先をSMICからTSMCへ切り替え、TSMCは供給能力を上回る需要に直面」、こんな特需まで乗っかったのであれば、「車載半導体が不足」も当然だ。
・『米国が不安視する文大統領の政策運営  半導体の確保に向けてバイデン政権が、ファウンドリー事業の強化に取り組む韓国のサムスン電子よりも台湾のTSMCを重視する背景には、北朝鮮などに関する文氏の政策への不安がある。 米国務省は、同盟国が連携して北朝鮮に毅然とした立場で臨むことが重要との立場だ。わが国もその考えに賛同し、米国はわが国との連携を重視している。 その一方で、文大統領は「米韓の合同軍事演習を北朝鮮と協議できる」と発言するなど、北朝鮮との宥和を重視している。2018年に文政権が北朝鮮での原子力発電所建設を検討していたことも見逃せない。 日韓関係も不透明だ。一時、文氏はわが国に対して秋波を送る発言を行った。しかし、今年2月に入って韓国の大田地裁は、元挺身(ていしん)隊員らへの賠償問題を巡って、わが国の三菱重工が行った即時抗告の一部を棄却した。文氏の対日政策が変わったとはいえない。 ある意味、バイデン政権にとって文政権は困ったパートナーに映っているだろう。米国が安全保障にかかわる半導体分野で韓国との関係強化に取り組むことは難しい。 しかし韓国にとっては、米国との安全保障面での関係強化は、海外からの技術移転を進め、その上で外需を取り込むために不可欠な要素だ。日米の半導体関連の技術や部材を必要とするサムスン電子などが世界的な半導体の需給ひっ迫に対応し、収益拡大を目指すためには、文政権が日米との連携を重視するという立場を明確に示すことが重要だ。だが、現実にはそうなっていない。 文政権は北朝鮮との宥和政策などを重視することによって、目先の政権基盤の安定につなげたいようだ。それは中長期的な社会と経済の安定を目指す政策とは異なる』、「文大統領の政策運営」は「米国が不安視する」のも当然だ。
・『日米台を軸とする半導体サプライチェーン構築の可能性  今後、世界の半導体サプライチェーンは変化する可能性がある。一つのシナリオは、日・米・台を軸に、世界の半導体供給網が再整備される展開だ。 半導体の設計・開発と生産の分離が進む中、米国は、最先端の製造技術や設計・開発に関するソフトウエア(知的財産)の強化に取り組む。米国が中国の人権弾圧にIT先端技術が使われていることを問題視し、半導体製造技術などの流出を食い止めるために制裁を強化する可能性もある。 台湾では、TSMCが微細化や後工程への取り組みを強化している。 また、わが国は旧世代の生産ラインを用いた半導体の供給や、高付加価値の関連部材、製造装置などの供給者としての役割を発揮しつつある。 それは半導体産業を強化したいEUにとっても重要だ。車載半導体を手掛ける欧州の半導体企業は、生産をTSMCなどに委託している。最先端の半導体生産に用いられる極紫外線(EUV)露光装置に関して、唯一の供給者であるオランダのASMLは米国の知的財産などに頼っている。 半導体業界における日米台の連携は、EU各国企業にも大きく影響するのである。国際社会と世界経済の安定に、半導体サプライチェーンが与える影響は増すだろう。 このように考えたとき、韓国政府とサムスン電子などの企業が、半導体業界の変化にどう対応するかが不透明だ。 TSMCは2021年内に回路線幅3ナノメートルの半導体の生産を開始すると、見込まれている。ファウンドリー分野でTSMCとサムスン電子とのシェアや技術面での格差は、今後拡大していく可能性が高い。 他方で、メモリ半導体や家電などの分野において、韓国の企業は、中国企業に追い上げられている。文政権の政策は、国際社会における韓国の立場と、韓国企業の変化への対応力にマイナスの影響を与える恐れがある』、「日・米・台を軸に、世界の半導体供給網が再整備」されるなかで、「サムスン電子」などの「韓国企業」がどのような地位を占めるのか注目される。

次に、3月31日付け日経ビジネスオンライン「加速する半導体ウォーズ 供給不安が「ウィンテル」の復活呼ぶ」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00991/
・『半導体の受託製造事業への再参入を宣言した米インテルに米IT(情報技術)大手がそろって賛同の声を寄せた。米中の主導権争いに、米テキサス州の停電による工場停止、ルネサスエレクトロニクスの主力工場の火災……。供給不安の半導体をめぐり各国政府が異例の対応を進める中、ようやく日本政府も動き出した』、「ルネサス」の那珂工場は2011年の東日本大震災で被災し、トヨタ自動車などからの応援を受けて当初半年かかると言われた復旧を3カ月で成し遂げた経緯がある工場で、よりによってこんな時に「火災」とはと、自動車各社も頭にきていることだろう。
・『オレゴン州にあるインテルの半導体工場  インテルが3月23日(米国時間)に開いた説明会。半導体の受託製造(ファウンドリー)事業への再参入を発表したパット・ゲルシンガーCEO(最高経営責任者)が「特別な顧客であり、友人で、長期にわたるパートナー」と真っ先に紹介したのは米マイクロソフトのサティア・ナデラCEOだった。 ナデラCEOは「米国での半導体の製造という新しい選択肢を加える投資に賛同する」と、最大200億ドル(約2.2兆円)を投じてアリゾナ州に2工場を設置する計画を示したインテルを持ち上げた。「ウィンテル」連合でパソコン市場を支配した2社が、半導体の設計者と製造者として手を組む。 2014年にファウンドリー事業に進出したが事実上撤退していたインテルがあらためてファウンドリー事業に乗り出す背景には、米国政府の強力な後押しがある。バイデン米大統領は2月、半導体などの供給網を見直す大統領令に署名。自ら半導体を片手に持って熱弁をふるい、国内製造の支援に370億ドル(約4兆円)を投じる方針を示した。 半導体の供給網をめぐる米国と中国の争いは激しくなるばかりだ。米国は中国の半導体メーカーに対する輸出規制で圧力をかける。一方の中国は、半導体製造装置世界首位の米アプライドマテリアルズによるKOKUSAI ELECTRIC(東京・千代田)の買収を独禁法当局が認めず、買収断念に追い込んだ。米国は先端半導体の製造を台湾や韓国に依存してきた。「米国は半導体市場でのシェアは高いがファブレス企業が多く製造シェアが低い。中国との争いで半導体の調達が難しくなるリスクが大きくなっていた」と英調査会社オムディアの南川明氏は指摘する』、「米国企業」が一旦は「ファウンドリー」に委ねた「生産」に、再び乗り出すとはいっても、果たして上手くいくのだろうか。
・『数世代前の技術のままの日本  欧州連合(EU)も域内で製造する半導体の世界シェアを2割にする目標を打ち出すなど各国・地域が異例の対応を打ち出す。そんな中でようやく日本政府も動き出した。経済産業省は半導体やデジタル産業の戦略を議論する会議を3月24日に開き、梶山弘志経産相は「大きな戦略を描いて大胆な政策に打って出たい」と語った。 経産省の危機感は強い。日本の半導体産業は数十年にわたり足踏みを続け、国内にある半導体工場はいずれも数世代前の技術のままだ。西川和見情報産業課長は「これまでの支援策のままでは状況は変わらない。半導体産業により大きな政治的・資金的リソースを投入するために公の場で議論してコンセンサスを得ていく」と話す。会議では出席者から「海外のファウンドリーを誘致する米欧のような政策を進めるべき」といった意見も出た。 ただし、米国や欧州、中国に比べて小粒の戦略にとどまる可能性は否めない。経産省が水面下で誘致した台湾積体電路製造(TSMC)も、パッケージング(シリコンチップを端子付きのパッケージに収める工程)の開発拠点の設置を決めるにとどまった。問題は今の供給不足ではなく、あらゆる産業の基盤となった半導体を将来にわたって安定的に調達できるかどうかだ。国の未来の競争力を左右しかねない岐路に立っている』、「日本の半導体産業は数十年にわたり足踏みを続け、国内にある半導体工場はいずれも数世代前の技術のまま」、日米半導体協議は予想以上に深刻な影響を及ぼしたようだ。「梶山経産相」が勇ましいことを言っても、むなしい感じを受ける。

第三に、4月6日付けPRESIDENT Onlineが掲載した作家・ジャーナリスト、KDDI総合研究所リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学客員准教授の小林 雅一氏による「韓国にも敗れた「日の丸半導体」が、これから世界一に返り咲く意外なシナリオ 米中の覇権争いが日本の好機になる」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/44686
・『30年前、日本の半導体は世界シェア51%で世界一だった。しかし現在の市場シェアは6%にまで低下している。KDDI総合研究所リサーチフェローの小林雅一さんは「86年の日米半導体協定で、韓国企業が伸長し、日本企業は存在感を失った。しかしスパコン富岳が世界一になったように、ハイテク・ジャパンには復活の兆しがある」という――。 ※本稿は、小林雅一『「スパコン富岳」後の日本 科学技術立国は復活できるのか』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです』、歴史的な経緯も踏まえた分析は、興味深そうだ。
・『ハイテク分野でも始まった米中の覇権争い  近年のトランプ政権下で始まった米中貿易戦争は、やがて中国のIT企業「ファーウェイ」や動画サービス「ティックトック」などをめぐるハイテク覇権争いへと発展し、2021年に発足したバイデン政権へと引き継がれた。 それは両国の狭間で身を屈めてチャンスを窺う巨大経済圏EUや日本を巻き込み、国際政治と先端技術が複雑に絡み合う「テクノ・ポリティクス」時代の幕開けを告げている。 これを象徴するのがスーパーコンピュータの開発競争だ。スパコンが次なる「エクサ・スケール(1000ペタ級)」に向けて世代交代の時期を迎える中、「富岳の世界ナンバーワンは短期間に終わる」との見通しも当初囁かれたが、間もなく相反する見方も出てきた。 米中のハイテク覇権争いの影響などから、両国による次世代スパコンの開発プロジェクトが滞る気配があるのだ。これらエクサ級のスパコンが実現されない限り、優に440ペタ以上の性能を誇る富岳の世界王座は当面揺るがない』、「富岳の世界王座は当面揺るがない」のは確かなのだろうが、競争の場は「スパコン」から量子コンピュータに移った可能性もあるのではなかろうか。
・『日米ハイテク覇権争いとの類似点と相違点  スパコンや半導体技術をめぐる米中間の激しい争いは、1980~90年代における日米間のハイテク覇権争いをある意味で彷彿させる。 当時、世界市場を席巻した便利で廉価な家電商品など日本のエレクトロニクス産業に対抗するため、米国政府はそのベースとなる日本の半導体産業を弱体化する戦略をとった。それが端的に現れたのが86年の日米半導体協定であり、(もちろんこれだけが原因ではないが)これらを契機に日本の半導体、ひいてはエレクトロニクス産業は衰退の道を辿った。 ちょっと言葉は悪いが、当時、そこから「漁夫の利」を得たのはサムスン電子など韓国を代表する巨大メーカーであった。 それから30年以上の歳月が流れた今日、米国政府は今度はファーウェイやティックトックなど進境著しい中国のIT企業をハイテク覇権争いのターゲットに選んだ。今回もそのカギを握るのは、スパコンやAI、5GなどIT産業のベースとなる先進の半導体技術である。 かつての日米半導体協定では、「日本の半導体市場を外国の半導体メーカーに開放すること」を日本側に義務付け、ついには日本メーカーが顧客企業に韓国製品を推奨するなど常識ではあり得ないような事態へとつながった。 筆者は国際政治が専門ではないが、それでも素人なりにあえて言わせてもらえば、要するに米国による「核の傘」など安全保障上の同盟関係にある日本は結局、理不尽な協定でも受け入れざるを得ない、という読みが米国政府側にあったのではないか。 これに対し、21世紀の今日、米国がハイテク覇権争いの相手とする中国は同盟国ではなく、ロシアなども含めた対立陣営に位置付けられる。これには80年代の日本に対してとったようなやり方は通用しない。 しかも中国はAIや5G、さらにはスパコンや宇宙開発などさまざまな分野で米国に接近、ないしは追い着くほどの技術力を蓄えてきている。が、それらのベースとなる半導体、特にその製造技術では少なくとも4~5年、米国や台湾、日本などに遅れていると見られる』、「米国」にとって「中国」は、確かに「日本」とは比べものにならないほど、扱い難い相手もようだ。
・『米中の覇権争いで「漁夫の利」を得る国  となると米国にとって中国への対抗策はある意味単純だ。米国製の半導体技術に禁輸措置をかけ「て、中国企業が使えないようにすればいいだけだ。実際、米国政府はそれを実行に移して、既にかなりの効果が現れ始めている。 では今回、ここから漁夫の利を得るのは、どの国になるだろうか? それはおそらく日本である。 2期連続で世界ランキング4冠を達成したスパコン富岳が、まさにそれを示している。富岳の開発プロジェクトが正式に始まって以来、理研をはじめ富岳の関係者は「ベンチマーク・テストで1位になることが目標ではない。社会の役に立つスパコンを作ることが本来の目標だ」と言い続けてきた。 とはいえ、世界1位が獲れるなら、それに越したことはない。 この業界では日米中など競合する国の間で「腹の探り合い」というか、要するに相手の技術力が今、どのレベルにあって、いつごろ次世代機が完成しそうかなどのインサイダー情報を互いによく調べている。 おそらく理研・富士通など富岳関係者は、2017年にトランプ政権が誕生し、やがて米中間の貿易摩擦がハイテク覇権争いへと発展する19年頃には、その影響で両国の次世代スパコン開発が予定よりも遅れそうだ、という情報を掴んでいたはずだ。 当初の計画では富岳は21年に稼働を開始する予定だった。しかし米中のエクサ級スパコンの完成が遅れるという情報を握ったことで、富岳関係者は「今がチャンスだ!」とばかりにあえて前倒しで20年に稼働させて、ずっと「目標ではない」と言い続けてきた1位を獲りにいったのではないか』、「今回、ここから漁夫の利を得るのは、どの国になるだろうか? それはおそらく日本である。 2期連続で世界ランキング4冠を達成したスパコン富岳が、まさにそれを示している」、いささか大げさな印象だ。
・『「世界一」の大きな意味  仮にそうだとすれば、その策は見事に功を奏し、富岳は2期連続でスパコン世界一となったわけだが、この王座はもうしばらく続きそうだ。米中どちらが先にエクサ級マシンを完成させるにせよ、それは早くて22年、下手をすれば23年にずれこむとの見方もある。となると、富岳は最長3年間も世界王座に君臨し続ける可能性があるのだ。 もちろん「スパコンのベンチマーク・テストで1位になることに実質的な意味がどれほどあるのか?」という冷めた意見も聞かれるだろう。しかし、それでも富岳の世界ナンバーワンは高く評価されるべきだと筆者は思う。ここ数年、米国のGAFAや勃興する中国の巨大IT企業などに押され、日本のハイテク産業は一種の自信喪失に近い状態にあった。特にAIや5Gなど先端的な技術分野では、日本企業はすっかり存在感を失ってしまった。 こうした状況下で「国力を反映する」スパコンの性能で世界一に返り咲いたことは、日本の科学技術力の底力を証明し、失いかけていた自信を取り戻す上で大きな意味があったと言えるのではないか。 しかも、この流れはスパコン開発だけに止まらない。『「スパコン富岳」後の日本 科学技術立国は復活できるのか』の第2章でも紹介しているように、富岳のCPUに採用されたSIMDなど日本の伝統的な半導体テクノロジーが蘇りつつある。 今後はこうした基礎的な高度技術を、爆発的な需要増加が期待されるクラウド・サーバー、さらにはIoT端末や自動運転車など次世代製品に広げていくことで、ハイテク・ジャパンの復活は単なる希望的観測ではなくなってきた』、この流れはスパコン開発だけに止まらない」、事実であれば喜ばしいことだ。
・『日本の存在感を高めるチャンスだ  こうした中で海外に目を転じると、米国では司法省やFTC(連邦取引委員会)、各州政府などが20年10月以降、反トラスト法(米国の独占禁止法)に抵触した疑いでグーグルやフェイスブックを提訴。今後はアップルやアマゾンなども含め、これら巨大IT企業の事業を分割するなどして絶大な市場独占力を奪い、代わって未来を担う新しい企業が勃興する環境を整えることが狙いと見られている。 かつて1998年に始まるマイクロソフトの反トラスト法訴訟を経て同社が力を落とし、これに代わってアマゾンやグーグルなど当時の新興企業が台頭してきたのと同様、現在もまたきわめて大きなスケールで主力企業の世代交代が迫っているのかもしれない。 一方、中国では20年11月、アリババ集団創業者ジャック・マー氏の政府批判が共産党指導者の逆鱗に触れ、傘下の金融会社アントグループが上海・香港市場で上場停止となった。 同社に対しては、取引先の企業にライバル企業と取り引きしないよう求める行為が独占禁止法違反の疑いがあるとして、中国当局による捜査も進んでいる。 今後、テンセントや百度など他のインターネット企業にも、規制当局による統制が及ぶとの見方もある。米国同様、中国でも巨大IT企業に激しい逆風が吹き始めているようだ。 もちろんGAFAやファーウェイ、アリババなど、外国企業のトラブルを歓迎するのは決して褒められた姿勢ではないし、ここで強調したいのはそういうことではない。あくまで一般論として、どこかの国の企業が国際競争力を落とせば、他の国の企業は相対的な優位性を確保できるということだ。バブル崩壊後の90年代とは逆に、今度は日本企業が世界のハイテク市場で存在感を高めるチャンスがめぐってきたと言えそうだ』、これまで力があった米中の「巨大IT企業」に「逆風が吹き始めている」のは事実だが、筆者の見方はやはり希望的観測といった印象が拭えない。
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