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東芝問題(その40)(東芝従業員が 社外の人々に握られた会社の「オール」を取り戻すには、車谷前社長が引き寄せた東芝「解体」「身売り」のXデー お粗末過ぎる辞任のウラ側、東芝社長をクビにした「社内アンケート」 幹部の5割以上が信任せず) [企業経営]

東芝問題については、昨年4月21日に取上げた。今日は、(その40)(東芝従業員が 社外の人々に握られた会社の「オール」を取り戻すには、車谷前社長が引き寄せた東芝「解体」「身売り」のXデー お粗末過ぎる辞任のウラ側、東芝社長をクビにした「社内アンケート」 幹部の5割以上が信任せず)である。

先ずは、4月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「東芝従業員が、社外の人々に握られた会社の「オール」を取り戻すには」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/268613
・『経営陣や株主ではなく東芝従業員が迎えている「本当の危機」  この記事は、東芝の全従業員に読んでいただきたいと思っています。 東芝の従業員が、2015年の不正会計発覚以来の危機を迎えています。「東芝が」ではなく、「東芝の従業員が」危機を迎えているとしている点に注意してお読みください。少なくとも経営陣や株主から見れば、東芝は危機を迎えているわけではありません。 4月14日、東芝の車谷暢昭社長兼CEOが辞任しました。報道によれば、車谷前社長は株主との関係が悪化していたことに加え、イギリスの投資ファンドからの買収提案に関連して経営陣との対立が起きていたとされています。前日段階で「14日の臨時取締役会で社長の進退問題を協議する」と報道されていましたが、結局本人が辞任を申し出たようです。 さて、当事者からは批判されることを覚悟のうえで、事の成り行きを事実に沿って違う文脈に書き替え、整理してみます。 三井住友銀行の元副頭取で、イギリスの投資ファンド・CVCキャピタル・パートナーズの日本法人の前会長だった車谷前社長は、中外製薬出身の永山取締役会議長をはじめ12人中11人が社外出身者で構成される取締役会と、CVCからの買収提案に関連して対立し、外堀を埋められた結果、解任動議が出る前に辞任しました。 車谷前社長は、旧村上ファンド出身者らが運営するシンガポールのファンドとも対立していたことで知られています。2020年の「モノいうファンド」からの株主提案では、ファンドからの取締役選任案については退けることができましたが、その株主総会での車谷氏の取締役再任議案の賛成も57%台にとどまっていました。 一連の報道を確認していただくとわかる通り、今回の騒動の渦中に純粋な東芝出身者は綱川智新社長以外、1人も登場しません。 これが最先端の大企業のガバナンスというものなのですが、こうした状況を見ると、さすがに私のような部外者としても、違和感を覚えずにいられません。「会社はいったい誰のものなのか?」と思ってしまいます。) 綱川新社長以外の東芝の取締役会メンバーのバックグラウンドを並べると、三井住友銀行、中外製薬(長銀)、検察庁、新日本製鐵、三井物産、CVC最高顧問(日商岩井、GE、LIXIL他を歴任)、欧米の金融機関が複数、そして会計事務所出身が4名となります。このメンバーが、歴史ある日本の大企業・東芝の運命の決定権を握っています。 東芝の選択肢の中では、CVCキャピタル・パートナーズからの買収案を受け入れる可能性は、この社長交代劇で少なくなったと考えられます。一方、今回の騒動を受けて他の欧米の巨大ファンドも東芝の買収提案に向けて動き出したといいます。そして、東芝がどの未来へ進むべきかは、株主が選んだ11名の社外出身役員の意思決定に委ねられているわけです。 「いや、1人社内出身がいるじゃないか」とはいっても、1対11ですから多勢に無勢です、念のため』、「車谷前社長」が出身元の「CVCキャピタル・パートナーズ」と仕組んだ、延命のための買収工作が失敗したとは、お粗末だ。
・『「切り売り」で消えてしまった東芝関係者  このような状況になってしまったのは、もともとは東芝の自己責任だったと思います。2006年に東芝の当時の経営陣が、アメリカの原子力大手(株主はイギリス)であるウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー(WEC)を買収します。当時は地球温暖化対策として、原子力事業は成長領域だと認識されていていたので、買収当時からいろいろと課題は指摘されていたものの、必ずしも間違った投資だったとはいえない経営判断だったかもしれません。 しかし現実には、2011年の東日本大震災で福島の原発事故が起き、その後原子力事業は世界的に低迷します。そして2015年にWECの巨額減損処理が発生して、東芝は債務超過状態に陥ります。 そこで、東芝を存続させるために「会社の切り売り」が始まります。経営の柱だった半導体メモリ事業はファンドに売却されてキオクシアホールディングスと名前を変え、黒字の優良企業だった東芝メディカルもキヤノンに売却されます。それ以外にもノートPCの『ダイナブック』や薄型テレビの『REGZA』もグループを去りました。 さらに東芝が失ったものとして、日本を代表するエンタテインメント会社だった東芝EMIや独占スポンサーだったテレビアニメ『サザエさん』も忘れてはいけないと思います。) 会社の生き残り策としては仕方のないことだったとしても、東芝の生き残りには大問題が伴います。会社の所有者が入れ替わってしまったのです。 東芝を救済するために優良部門を売却する資金だけでは足りず、結局は新しい資本を入れることになった。新しい資本にとっては、不正会計に手を染めた旧経営陣は信用できないので、現代的なガバナンス体制が組まれる。ことが回りまわって、東芝出身者ではない経営陣が東芝出身者ではない「モノいう株主たち」と対立するという、現在の状況につながっているのです』、「東芝出身者ではない経営陣が東芝出身者ではない「モノいう株主たち」と対立する」、皮肉なことだが、ファンドに依存した宿命なのだろう。
・『会社はいったい誰のものか 東芝従業員はこのままでいいのか  「会社は誰のものなのか?」というと、「それは究極的には株主のものだよ」と答える人が結構、多数派です。ただしそれは、欧米流の資本主義の論理に基づいた話です。 現実社会での影響力は小さい理論かもしれませんが、より広い経済学的には、会社はもっと多くの利害関係者の共有物であるべきだと考えます。株主や金融機関だけではなく、社員や従業員、取引先、顧客、そして社会も、会社の持ち主の重要な一部であるべきだと考えます。 これは、昭和の時代の古い会社観に近い概念かもしれません。昔は、会社は従業員のものであって、短期の利益よりも長期的な存続こそを優先させるべきだと説かれていました。実際その考え方で、日本経済は発展してきました。その頃と比較すれば、今の東芝は極端に従業員の権利と長期的な存続を脇に置いてしまっているのではないでしょうか。 そしてこの点を一番考えていただきたいのですが、東芝の従業員はそれでいいのでしょうか。 わたしはTOKIOの『宙船』という歌が大好きです。中でも「おまえが消えて喜ぶ者におまえのオールをまかせるな」という歌詞は、人生においてその通りだと思っています。そして私が理解できないことは、なぜ東芝の従業員や執行役員は、東芝が消えて喜ぶ人たちに会社のオールを手渡したままなのか、ということです。 誤解しないでいただきたいのですが、東芝の社外役員が「東芝に消えてほしい」と思っていると言っているのではありません。もちろん今回の騒動を見ると、1人や2人は東芝に消えてほしいと思っている人がいたと思える節はありますが、それを防いだのは取締役会でした。 しかしその取締役会も、基本的なスタンスとしては株主に対する責任に目が向いています。あくまでスタンスは株主寄りであって、もし仮に今回の提案よりもずっと儲かる東芝買収・分割提案が持ち込まれたら、それを冷徹に評価し判断を下すであろう、プロの経営者たちです。 資本主義の原則としては、現経営陣はそのように動かざるを得ません。だったら、従業員の代表である執行役員たちは、「東芝という船を漕ぐオールを取り返す」対抗策を考える時期に来ているのではないでしょうか。東芝の企業価値が2兆円しかないことを意識すれば、1つの方法として、従業員による東芝買収を考えるタイミングなのかもしれないと私は思います』、「株主や金融機関だけではなく、社員や従業員、取引先、顧客、そして社会も、会社の持ち主の重要な一部であるべきだと考えます」、いわゆるステークホルダー主権論で、私も賛成だ。「従業員による東芝買収を考えるタイミングなのかもしれない」、いわゆるEBO(従業員中心による買収)だ。
・『「お前のオールを任せるな」 従業員による東芝買収の選択肢も  従業員による大企業買収というのは、あまり耳慣れない言葉かもしれません。有名な事例としては、1993年にユナイテッド航空の従業員が親会社を買い取り、世界最大の従業員所有会社になったケースがあります。ただこの買収事例は、利用者へのサービスが悪くなったなど、経営学の世界ではどちらかというと失敗事例として評価されています。 いずれにしても資本主義が進化したことで、企業買収の手法は非常に多様化してきています。ですから海外のファンドだけでなく、東芝の従業員が東芝を買収する現実的な手法もあるわけです。 さらに言えば、旧東芝メモリであるキオクシアは、近々3兆円規模で再上場ないしは売却されることが想定されますが、それだけの価値があるならば官民ファンドがキオクシアを買い取り、その子会社として東芝を買収してグループを再統合させるといった荒業だって、手法としては可能なのです。 そして、こういったことを考えなければ、いつか東芝が完全に消えてしまう日がやってくると私は危惧しています。東芝従業員の皆さんは、どうお考えでしょうか』、「それだけの価値があるならば」、「官民ファンドがキオクシアを買い取り」、とあるが、「官民ファンド」が乗り出す必要もない筈だ。無論、「その子会社として東芝を買収してグループを再統合させる」ためには、「官民ファンド」の方がやり易いのだろうが、そういう安易な「官民ファンド」の使い方には私は反対である。

次に、4月20日付けデイリー新潮「車谷前社長が引き寄せた東芝「解体」「身売り」のXデー、お粗末過ぎる辞任のウラ側」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/04200603/?all=1&page=1
・『「救済色」が露骨  東芝の代表執行役社長兼最高経営責任者(CEO)の車谷暢昭氏(63)が4月14日、突如辞任した。東芝が開催した緊急記者会見には本人は出席せず、「東芝再生ミッションが全て完了し、現在かなり達成感を感じている。3年の激務から離れて心身共に充電したい」というコメントだけが代読された。 しかし、この言葉を文字通り受け止める人はまずいないだろう。それは、4月7日に表面化した英投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」による東芝買収計画に、「水面下で協力していたのが、CVC日本法人会長から東芝に転じた車谷氏本人だった」と、金融界や霞が関は見ているからだ。 そもそも、CVC買収が発覚した時期、車谷氏は東芝に出資する多数の「アクティビスト(物言う株主)ファンド」との調整に行き詰まり、東芝社内での信用も急激に失っていった。そのため、次の株主総会では取締役人事承認を得られず、退任に追い込まれるだろうと、周囲の誰もが思っていた。 金融機関の幹部は、こう断言する。 「古巣のCVCによる買収で東芝が上場廃止となり、アクティビストを追い出せれば、車谷氏は留任される可能性もありました。つまり、CVCとともに起死回生の一手を打ったということでしょう」 だが、あまりにも「車谷救済色」が強いCVCの提案は、東芝取締役会の永山治議長らの不信を買うことになった。多数の取締役が車谷氏解任の準備に動いたことで、車谷氏は辞任に追い込まれた。そして、「車谷氏が保身のために、CVCの買収案を呼び込んだことで、パンドラの箱が開いてしまった」(前出金融機関幹部)という。結果、東芝は今後、多数のファンドからの買収攻勢にさらされることになるというのだ』、「あまりにも「車谷救済色」が強いCVCの提案は、東芝取締役会の永山治議長らの不信を買うことになった。多数の取締役が車谷氏解任の準備に動いたことで、車谷氏は辞任に追い込まれた」、「車谷氏が保身のために、CVCの買収案を呼び込んだことで、パンドラの箱が開いてしまった」、お粗末さの極みだ。
・『抱え込んだ“重荷”  今回の混乱を理解するために、まずは東芝とアクティビストの関係を振り返ってみたい。 東芝は2016年、米国での原子力事業を頓挫させ、米原子力子会社「ウエスチングハウス(WH)」に巨額の損失を発生させた。そのままWHを破綻処理したものの、17年12月には、2年連続の債務超過で上場廃止となる事態を免れようと、海外のヘッジファンドによる増資を行って6000億円を調達した。 この増資で上場を維持できたが、“重荷”も抱え込んだ。ファンドの中には、シンガポールの「エフィッシモ・キャピタル・マネジメント」をはじめとするアクティビストが含まれており、東芝は彼らの厳しい要求への対応を迫られることになったのである。ちなみに、エフィッシモは、旧村上ファンド出身者が設立した投資ファンドだ。 このとき、アクティビストからの攻勢をしのぐため、東芝が助けを求めたのが車谷氏だった。旧三井銀行出身の車谷氏は、三井住友銀行の副頭取などを歴任している。11年の東京電力福島第1原発事故に際しては、東電の実質国有化の計画案をまとめ上げ、経済産業省から厚い信頼を得た「金融のプロ」と見られていた。経産省のお墨付きを得て、18年、CVC日本法人会長から東芝のCEOに転じたのだ。 しかし結論を先に言えば、 「東芝再建やアクティビスト対応という点で、車谷氏は力不足でした」(東芝関係者) 連結最終損益は、車谷氏就任後の19年3月期に1兆円の黒字をはじき出したものの、20年3月期には1146億円の赤字に転落した。19年の黒字も、東芝メモリの売却益を織り込んだもので、もの言う株主ファンドたちの不満は強まる一方だった』、「車谷氏」が「東電の実質国有化の計画案をまとめ上げ、経済産業省から厚い信頼を得た」、初めて知った。
・『法的根拠の薄い“圧力”  さらに話を複雑にしたのが、政府主導のアクティビスト対策だ。 東芝は東京電力福島第1原発の廃炉作業や先端情報処理、機微軍事技術(武器や軍事転用可能な技術)にも関わっており、日本の安全保障にとって重要な企業といえる。20年5月に政府は、外国資本による重要企業への投資を厳格に監視する改正外為法を施行したが、これが東芝を守る「アクティビスト対策」だったと言われる。霞が関関係者が語る。 「改正法には、企業経営に口を出すアクティビストをけん制するような措置が盛り込まれました。安全保障に関わるような指定業種の企業に、海外企業が1%以上の出資をする場合、届出を行うことを義務付けました。ですが、経営に口を出さなければ、届出は必要ありません。まさに、アクティビストにつき上げられている東芝を守るために整備されたと言えます。車谷氏やその周辺が経産省や首相官邸に泣きつき、実現したと見られています」 そして同時期、英「フィナンシャルタイムズ」や「ロイター」などは、「20年7月の株主総会直前に、経産省に近い金融関係者が、東芝の株主である米ハーバード大学が運用するファンドに対し、(エフィッシモなどのアクティビストによる)東芝に敵対するような提案に賛同すれば、改正外為法に基づく調査対象になる恐れがあると圧力を掛けていた」と報道した。大手紙の経済記者が説明する。 「記事に出てくる“経産省に近い金融関係者”は、車谷氏が経産省や官邸に相談し、アドバイザーとして紹介された人物です。金融関係者は車谷氏の意向を受けて、ハーバード大に働きかけたのですが、そもそも改正外為法は、すでに株を持っている出資者ではなく、施行後に出資した企業やファンドが対象ですから、改正外為法に抵触する可能性は低い。法的根拠の薄い“圧力”でした」 エフィッシモは昨年の株主総会でこうした件などについて第3者による調査を求め、今年3月18日の臨時株主総会では、エフィッシモの提案が賛成多数で認められた。 この改正外為法の影響で、アクティビストと東芝の関係はより険悪になっていく。そして、それを制御できない車谷氏への風当たりも強まっていった。CVCが東芝に「現経営体制の維持」を明記した買収提案を送り付けたのは、その最中だった。 「車谷さんが自身の地位を守るため、CVCを呼び込んだとしか思えません」 と、東芝社員も語る。社内外でこうした憶測が広がり、永山取締役会議長らは車谷氏へ解任もちらつかせざるを得ず、冒頭のような辞任劇となったのだ。 ▽「買収合戦」になるか(だが、車谷氏が東芝社長の座を降りても、CVCの動きがすぐに止まることはなさそうだ。 グローバル投資ファンドにとって車谷氏は「東芝に近寄るための船頭」にすぎず、彼がいなくても、東芝自体には投資する価値がある。M&Aに詳しい金融機関幹部は、こう話す。 「むしろ、ここでCVCが退けば、車谷氏と連携していたことを認める形になってしまいます」 さらに、CVCが東芝買収の可能性を明示したことで、東芝の株主達は「東芝買収合戦」への期待を脹らませ始めた。CVCに対抗する買収者が続出すれば、最終的に高値での買収となり得るからだ。東芝に出資する香港のファンド「オアシス・マネジメント」はすでに、CVCが最初に示した買収提案をめぐり、「1株5000円では安すぎる。6200円以上が適切だ」との声明を発表した。米国の有力投資ファンド「KKR」やカナダのファンド「ブルックフィールド・アセット・マネジメント」も、CVCに対抗するような東芝買収策を検討していることが報じられている。 「買収を得意とする米欧の巨大ファンドは、ほぼすべてと言っていいほど、東芝買収の可否を調べ始めているはずです」(前出のM&Aに詳しい金融機関幹部) 多くの買収提案は東芝の全株式を買収した後、非公開化したうえで経営改善し、再上場を目指すものになるはずだ。買収合戦勃発を目前に、東芝取締役会は「上場を維持したい」という意向を取引銀行などにも説明している。だが、 「買収提案が水面下で続き、買取額が上がっていけば、株主への責任を果たすため、早々に東芝は身売りを検討せざるを得ない局面が来るかもしれません」(大手投資会社) これまでの経営危機で東芝は家電やパソコン、メディカル事業なども手放し、事業同士の関連が乏しいコングロマリット企業になってしまった。東芝に関わってきた銀行幹部は、こう嘆いた。 「東芝は本業に成長の芽がない企業になってしまい、厳しい金融の世界の餌食にされ、分割、再編される可能性が高まってきました。グローバルな金融資本市場に触れる機会がなかった、日本のものづくり産業の末路を見るようです」』、「外国資本による重要企業への投資を厳格に監視する改正外為法」は、「アクティビストにつき上げられている東芝を守るために整備されたと言えます。車谷氏やその周辺が経産省や首相官邸に泣きつき、実現したと見られています」、とは初めて知った。

第三に、4月29日付けデイリー新潮「東芝社長をクビにした「社内アンケート」 幹部の5割以上が信任せず」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/05040556/?all=1
・『く再生ミッションを成し遂げ、天命は果たせました〉 4月14日、社長辞任にあたって車谷暢昭(くるまたにのぶあき)氏(63)が出したコメントを東芝社員はどんな思いで受け止めたか。同氏をトップに戴いた3年間、東芝がずっと苦慮してきたのが株主との関係だ。 東芝の関係者が言う。 「2017年、当社は約6千億円の増資に踏み切り、60社の投資ファンドが株主になりました。彼らの要求は厳しく、株主総会を乗り切るのが大変だったのです」 そのことを象徴するのが昨年、経産省の参与(当時)が大株主(ハーバード大基金)に議決権を行使しないよう圧力をかけたと報じられた件だ。これを問題視したエフィッシモ・キャピタル・マネージメント(筆頭株主)が調査委員会の設置を求め、臨時株主総会が開かれた。 「エフィッシモは旧村上ファンド系で、スタンドプレーが多い。ところが、3月の臨時総会では彼らの提案が可決された。株主の大半が車谷さんにNGを出したということです」(同) だが、そも車谷氏の手法に、もっとも否定的だったのは部下たちである。 「東芝では16年から社長に対する信任調査を実施しています。事業部長や関連会社の社長らが回答するアンケートですが、かつて“チャレンジ”と称して社員らに無茶な利益目標を強いるパワハラが横行し不正会計を止められなかった反省から、現場の役職者がトップを評価する制度を導入したのです」(同) 意外な結果が出たのは1月のこと。約120名を対象に行われた信任調査で、車谷氏に2割を超える「×」がつけられたのだ。 「そこで念のため執行役や事業部長クラスを対象に、2月にもアンケートを行った。すると『×』が5割以上も。この結果を受けて東芝の指名委員会(社外取締役で構成)が、車谷氏に“次の社長指名はない”と伝えたのが3月25日。そこで4月19日に取締役会で社長交代を正式決定する予定が組まれたのです」(同) ところが、その矢先にCVCキャピタルから買収の提案である。車谷氏は同ファンドの元日本法人代表だ。 「車谷氏が東芝に残るための画策だったのは明白。社内外の反発は必至でした」(同) もはや、車谷氏が株主からも社内からも見放されていたのは間違いない』、「執行役や事業部長クラスを対象に、2月にもアンケートを行った。すると『×』が5割以上も。この結果を受けて東芝の指名委員会・・・が、車谷氏に“次の社長指名はない”と伝えたのが3月25日。そこで4月19日に取締役会で社長交代を正式決定する予定が組まれたのです」、「その矢先にCVCキャピタルから買収の提案」、ここまで見え見えの「留任工作」だったとは、改めて驚かされた。
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