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生活保護(その5)(「生活保護費の減額はデタラメ」と厚労省を一蹴した 大阪地裁判決の意義、生活保護費の不当な返還要求を非職員に行わせる 中野区の非常識、生活保護申請者を「無低」に丸投げ 福祉事務所と貧困ビジネスが癒着する“ウラ事情”)

生活保護については、2019年10月10日に取上げた。久しぶりの今日は、(その5)(「生活保護費の減額はデタラメ」と厚労省を一蹴した 大阪地裁判決の意義、生活保護費の不当な返還要求を非職員に行わせる 中野区の非常識、生活保護申請者を「無低」に丸投げ 福祉事務所と貧困ビジネスが癒着する“ウラ事情”)である。

先ずは、本年2月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーランス・ライターのみわよしこ氏による「「生活保護費の減額はデタラメ」と厚労省を一蹴した、大阪地裁判決の意義」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/263877
・『デタラメな「裁量」は認めない 大阪地裁の明快な判断  2月22日、大阪地裁において、2013年に行われた生活保護基準引き下げの撤回を求める訴訟の判決が言い渡された。判決内容は、原告であり生活保護のもとで暮らす人々の主張を、ほぼ全面的に認めたものであった。以下、判決骨子の全文を紹介したい。 「厚生労働大臣が平成25年から平成27年にかけて生活保護基準を減額改定した判断には、特異な物価上昇が起こった平成20年を起点に取り上げて物価の下落を考慮した点、生活扶助相当CPIという独自の指数に着目し、消費者物価指数の下落率よりも著しく大きい下落率を基に改定率を設定した点において、当系統の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠き、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続きに過誤、欠落があるといわざるを得ず、裁量権の範囲の逸脱またはその濫用があるというべきであるから、上記改定は生活保護法3条、8条2項の規定に違反し、違法である」 2013年の生活保護基準引き下げに際して理由とされたのは、大幅な物価下落であった。その物価下落は、厚労省が独自に開発した物価指数「生活扶助相当CPI」によって導き出されたのだが、内実は「物価偽装」と呼ぶべきものであることが徐々に明らかにされてきた。 判決は、「生活保護費は厚労大臣が裁量によって決めてよいことになっているけれど、そんなデタラメな根拠で勝手に決めるのは『裁量権』の正当な使い方とは言えません。違法です」と明確に判断した。 この判決が確定すると、厚労大臣は2013年に遡って、減額した保護費を返還しなくてはならない。2013年に減額された保護費は、1年あたり約670億円であった。2013年8月から2021年3月までの7年8カ月分として計算すると、総額は約4670億円となる。通常、大臣とはいえ、独断でそれほど巨額の国費を動かすことには無理がある。しかし生活保護においては、可能なのだ。なぜなら、生活保護法8条がそのように規定しているからだ。相田みつを風に言えば、「生活保護費は厚労大臣のこころが決める」ということである』、「物価下落は、厚労省が独自に開発した物価指数「生活扶助相当CPI」によって導き出された」、わざわざ都合のいい数字を「独自に開発した物価指数」で算出したとは驚くほど念入りだ。
「「生活保護費は厚労大臣が裁量によって決めてよいことになっているけれど、そんなデタラメな根拠で勝手に決めるのは『裁量権』の正当な使い方とは言えません。違法です」、との判決は妥当だろう。
・『厚労大臣に委ねられた「重い責任」の中身  2013年8月から2015年にかけて、当時の厚労大臣だった田村憲久氏の裁量によって、生活保護費の生活費分(生活扶助)の引き下げが3段階に分けて実施された。引き下げ幅は平均6.5%、最大10%に及び、多人数世帯や子どものいる世帯で大きくなる傾向があった。 現在の厚労大臣は奇しくも、当時と同じ田村氏である。水面下で「コロナ禍で深刻化する子どもの貧困に真摯な関心を寄せ、何とかしなくてはならないと考えている」と伝えられる田村厚労相は、2013年に自らが引き下げた生活保護基準の影響、特に生活保護世帯の子どもたちに及ぼした影響を、おそらく充分に承知しているはずだ。 そして田村厚労相は、自らの責任において、2021年度の生活保護基準を2013年度初めと同レベルに戻すことができる。 生活保護においては、保護費を若干増額したり、制度を利用しやすくしたりするための若干の改定を行うことが、数百億円から数千億円単位の国庫支出増加につながり得る。1人や1世帯に対しては若干の改善であっても、制度利用者が100万人単位で存在するからだ。 しかし厚労大臣は、そのような重大な判断を、国会での審査や可決を受けずに行うことができる。国民の生命や生活を守るために必要であれば、実施するしかないからだ。 たとえば1973年は、石油危機による激しいインフレが持続し、「狂乱物価」と呼ばれた。この年、生活保護基準は2回にわたって増額改定された。そうしなくては、生活保護で暮らす人々の生命や生活を守ることができないため、厚労大臣の責任において改定が告示され、実施されたのである。2013年8月から実施された生活保護基準引き下げとは、対照的である。 もしも田村厚労相が、保護費を2013年度初めと同等に戻し、減額された保護費7年8カ月分を当事者らに返還すれば、生活保護で暮らす直接の当事者たち200万人以上の多くは、将来にわたって田村氏に悪い感情を抱かないのではないだろうか。その決断を自民党が支えれば、自民党に対する“国民感情“が大きく変わる可能性もある。もちろん、生活保護世帯の暮らしは、子どもを含めて向上する。 そのためには、2月22日の大阪地裁判決は確定判決となる必要がある。直接の被告とされた大阪府内の12自治体が控訴を断念すれば、確定する。といっても、その判断を実際に行うのは厚労省である』、3月5日付けNHK News Webによれば、大阪府内の全自治体が控訴したようだ。
・『厚労省職員に先輩の「愛のムチ」は響くか  2013年に行われた生活保護基準引き下げの撤回を求める集団訴訟「いのちのとりで裁判」は、2014年より開始された。現在も約900人の原告によって、全国の29都道府県で継続中だ。 愛知県では、2020年6月に「2012年に自民党が引き下げると決めて、国民が支持したのだから、しかたない」という内容の名古屋地裁判決があった。判決を不服とした原告が控訴したため、現在は高裁で控訴審が行われている。2月22日の大阪地裁判決は、2つ目の地裁判決であった。名古屋地裁判決と合わせると、「当時、自民党と国民感情が支持していたからといって、デタラメな根拠で引き下げたことは許されない」という内容となる。 大阪地裁判決から2日後の2月24日、大阪地裁で勝訴した原告ら、「いのちのとりで裁判」弁護団の弁護士ら、および支援者らは、厚労省に保護課職員に申し入れを行った。東京・霞が関の厚労省を直接訪れた人々も、ネット中継で参加した人々もいた。 霞が関を訪れた原告のSさん(68歳・男性)は、申し入れの様子を次のように語った。 「今日は、厚労省からは保護課の課長補佐の方が出てました。上の人に『お前ら、行って来いよ。話聞くだけ聞いてきて、何も答えるな』と言われて来た感じでした。もともと厚生省職員だった弁護士の尾藤先生が怒ってました」(Sさん) 弁護士の尾藤廣喜さんは、京都大学法学部を卒業後、厚生省に入省した。1970年から1973年にかけて、厚生省職員として生活保護をはじめとする制度の充実に取り組み、健保の高額医療費制度の創設にも関わった。しかし限界を感じ、転身して弁護士となった経歴を持つ。Sさんによれば、尾藤さんはこのように怒ったという。 「尾藤先生は本当に厳しく、『お前ら、ホンマに仕事しとんのか。昔は、骨のある役所の人間がおったんや。今はみんな忖度主義者や』みたいな」(Sさん)) 厚労省職員の対応は、次のようなものだったという。 「もそもそと言って、『お答えは控える』と……こんなもんでしょ」(Sさん) 尾藤さんは苦笑していた。強い口調の関西弁は、おそらく実際と異なると思われる。しかし、同席していた弁護士の小久保哲郎さんも、「厚労省の職員は、ビビってました」という。 当の尾藤さんは、「優しく言いました」という。尾藤さんは厚労省職員に対し、自分自身も厚生省職員だったこと、そして生活保護法を1950年に作った厚生官僚の小山進次郎氏に会ったことがあることを語ったそうだ。 「小山進次郎さんが、どういう思いでこの法律をつくったのか。なぜ保護基準が、国会ではなく厚生大臣権限で決定できるようになっているか。そこを考えたことがありますか? とお話ししました」(尾藤さん)』、「弁護士の尾藤廣喜さんは・・・厚生省に入省・・・1970年から1973年にかけて、厚生省職員」、これでは「厚労省職員」もさぞかしやり難いだろう。
・『原告が勝訴し、厚労省が敗訴した場合の「対策」も  厚労省保護課の職員なら、小山進次郎氏が遺した社会保障のバイブル『生活保護法の解釈と運用』を読んでいるはずだ。「『解釈と運用』には、こう書いてあります」と答える程度なら、何ら差し障りはないであろう。しかし、そういう応答はなかったようだ。尾藤さんは続ける。 大臣の裁量権には、大臣が速やかに国民生活を反映して基準をつくるという意義があります。あなた方厚労省職員も、そういう責務を負っているのではないかと申し上げました」(尾藤さん) そもそも、一連の訴訟は2014年から継続しており、現在は8年目となっている。厚労省職員も、被告側証人として証言を行っている。この重要な訴訟の判決がいずれ明らかになった折の対応について、判決のいくつかのパターンを予測し、「傾向と対策」を練り上げていたはずだ。もちろん、原告が勝訴して厚労省が敗訴した場合の「対策」もあったはずである。 「各省庁の官僚が当然行うはずの判決予測について、『しましたか?』と尋ねると、厚労省職員は、渋々『しました』と認めました。しかし、結果に対してどうするか決めていたかどうかを聞くと、きちんと答えてくれませんでした。『判決に対応するのは、役人の仕事ではありませんか?』と、先輩として厚かましいけれども一言申しました」(尾藤さん) 国側の敗訴を想定していなかったのか。想定していたけれども検討内容は言えないのか。真相は不明である』、なるほど。
・『60年ぶりの画期的な判決は確定するか  ともあれ、2月22日の大阪地裁判決は、「生活保護基準の低さは異常で違法」ということを認めた判決としては、60年ぶりのものであった。60年前の判決は、朝日訴訟東京地裁判決であった。当時なら、「敗戦からまだ15年、とにかく国にお金がない」という財政上の理由が認められる余地もあった。しかし現在の日本では、そういう主張は無理筋であろう。しかも生活保護基準引き下げの根拠は、厚労省内部で行われた「物価偽装」なのである。 元厚生官僚として、尾藤さんは語る。「厚労省の担当者が、意図的に数字を操作したり捻じ曲げたりするのは、恥ずべきことです。今回の大阪地裁判決には、その違法性が明記されています。厚労省としては、真剣に受け止めなくてはならないのではないでしょうか。関係省庁と協議は必要でしょうけれど、その上で、判決を確定させるべきではないでしょうか。そういう当然のことを申し上げましたが、暖簾に腕押しで。厚労行政のプライドが感じられませんでした」(尾藤さん) 尾藤さんの語り口は穏やかだが、声と雰囲気には迫力がある。厚労省職員は、さぞ怖かったであろう。 「でも、コロナ禍での厚労省保護課の対応は、評価しています。菅首相も『最終的には生活保護』と、生活保護の意義を認めています。ですから、期待を込めて、優しく言いました」(尾藤さん) ・・・』、今後、控訴審がどう展開するか注目したい。

次に、3月5日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーランス・ライターのみわよしこ氏による「生活保護費の不当な返還要求を非職員に行わせる、中野区の非常識」を紹介しよう。
・『違法委託「ケースワーカー」による違法な返還要求の実態  生活保護は国の制度であり、実施は各自治体が行うこととなっている。実施にあたるのは、各自治体が設置した福祉事務所の職員たち、つまり公務員でなくてはならない。その理由のうち重大なものは、人間の生命と生存に直結する重大な業務であることと、多額の現金を取り扱う業務であることの2点に加え、国に代わってそれらの業務を行うことである。 しかし、生活保護ケースワーク業務を外部委託化しようとする政府の動きが、2019年後半から活発化している。そして一部自治体では、政権の意向を先取りするかのように、ケースワーク業務の実質的な外部委託が行われている。現在、この問題で関心の中心となっているのは、庶民的で暮らしやすいイメージと利便性を兼ね備えた地域として知られる、東京都中野区だ。 中野区が実質的にケースワーク業務を外部委託していることは、「生活保護で暮らす中野区の70歳代の男性が、担当者から保護費の違法な返還を指示されて困り果てた」という成り行きから、偶然、明らかになった。 路上生活の経験が長かった70歳代の男性・Aさんは、現在は中野区のアパートで単身生活を続けている。路上生活時代の節約の習慣が残っているAさんは、月々の保護費から少額ながら貯金を続けている。70歳以上の高齢者に対する保護費は、2004年から2006年にかけて、「老齢加算」の廃止という形で大幅に減額されている。 以後、生活保護費を削減するために政府が検討を重ねるたびに、高齢者に対しては、「もう、下げしろがない」という結果となっている。それほど少ない保護費から貯金するとは、驚くべきことだ。) 2020年、Aさんはアパートの更新時期を迎えた。もちろん、更新料は生活保護制度から給付される。中野区も、更新料をAさんに給付した。ところがその後、中野区の「担当者」は、Aさんに「貯金があるのなら更新料の返還を」と述べ、返還するための納付書まで送付したのだった。保護費から貯金すること自体は禁止されていないし、用途も自由である。貯金残高は、毎年の資産申告によって確認されている。貯金から更新料を支払うように求めるのは、違法である。 Aさんは、アパートに入居するにあたり、支援団体のサポートを受けていた。支援団体はその後も、Aさんとの信頼関係を維持していた。Aさんが精神的に追い詰められていたことから、支援団体は、Aさんが中野区から更新料の返還を求められていることを知ることとなった。 問題は、保護費の違法な返還要求だけではない。Aさんの「担当者」は中野区職員ではなく、中野区が業務委託を行っていた新宿区のNPOの職員であった。Aさんのもとに届いた中野区役所の封筒には、NPO職員の名があった。NPO職員は堂々と、中野区職員でなくてはならないはずの業務を、自らの名で行っていたわけである』、「中野区」でこんな問題が起きているのは初めて知った。「中野区長」は2018年6月の選挙で革新系の酒井氏が自公推薦の現職を破ったのに、実際は保守系も顔負けの政策をしていたとは・・・。
・『高齢者への専門的支援が名目 華麗すぎる中野区の「丸投げ」  中野区の見解では、NPOに生活保護業務そのものを委託しているわけではない。名目は「高齢者居宅介護支援事業」である。高齢者福祉は、難解で手続きが煩雑な上、細かな変更がしばしば行われる。高齢の当事者に利用を勧めたいケースワーカーの立場としても、高齢者福祉の専門家による支援を受けたいところであろう。 この事業の内容は、「高齢世帯へ各種福祉サービスを活用して安定した居宅生活が送れるよう支援する」となっている。業務内容は、仕様書によれば「65歳以上の生活保護受給者の福祉サービスの利用に係る相談援助など」「高齢者特有の課題に対する支援、調査」「対象者に生活保護の適正な実施を図る」というものである。「生活保護の適正な実施」は、区の職員であるケースワーカーの補助に留まる限り、違法性があるとは言い切れない。仕様書にも、「保護の決定を伴うもの」は除くことが明記されている。 ところがAさんの事例では、NPO職員が貯金の金額を知り、いったん給付したアパートの更新料の返還を求め、納付書を作成して送付している。生活保護業務の中心にある「保護費の給付」に関する判断、しかも不利益変更の判断を行っているのである。もしも区職員であっても、「貯金があるのなら返還すべき」と判断して返還を求めることは、違法である。 Aさんの事例が発覚したことから、中野区議会での質疑などで、実態が明らかになってきた。生活保護受給者に対しては、区職員であるケースワーカーが、少なくとも年に2回の訪問調査を行なう必要がある。しかし実際には、他業務を委託されたはずのNPO職員が訪問調査を行い、手続きに必要な書類を提出させ、費用の支給や返還にかかわる決定を行っていた。 最終的な決定は、区のケースワーカーが行ったことになっているが、会ったこともない生活保護受給者の書類に印鑑を押しただけであった。区のケースワーカーは、高齢世帯に対しては、ほとんど訪問を行わなくなっていた。 中野区は議会答弁などで、NPOが行っているのは「あくまでも補助業務であり、決定は区職員が行っている」としている。しかし実のところ、訪問調査を行い、ケース記録を作成し、援助方針を立てるケースワーク業務は、ほぼ全面的にNPO職員が行っていた。もはや、ケースワーク業務そのものの「丸投げ」であろう。偽装請負として、労働基準法上の問題となる可能性もある』、「ケースワーク業務そのものの「丸投げ」」は、「偽装請負として、労働基準法上の問題となる可能性もある」、とんでもないことだが、「区職員」がやれるほどの人員がいないのだろう。
・『管製ワーキングプアから憎しみを向けられる生活保護受給者  中野区の華麗すぎる「丸投げ」の背景は、人件費削減への圧力であった。「公務員減らし」は、1980年代からの流れである。問題となっている「高齢者居宅介護支援事業」は、2010年から開始され、現在は11年目となっている。いわゆる「民間活力の導入」だ。しかし、いったん業務委託が行われると、とめどなく人件費を削減する流れに傾くことが少なくない。 この問題を追及し続けている中野区議の浦野さとみ氏は、区の人件費見積もりとNPOの事業報告書による人件費との乖離にも注目している。本事業で雇用されている14人の職員の人件費は、手取りでは生活保護費と同等になっている可能性もあるという。 14人のうち9人は、社会福祉士やケアマネージャーなどの資格を持っている。「簡単に取得できるわけではない資格を持ちながら、生活保護並みの給料しか受け取っていない」という憤懣が、生活保護で暮らす人々に向けられたら、何が起こるであろうか。Aさんが受けた理不尽な仕打ちの背景に、「官製ワーキングプアによる生活保護への憎しみ」という感情がある可能性は、考えずにいられない』、「本事業で雇用されている14人の職員の人件費は、手取りでは生活保護費と同等になっている可能性もあるという。 14人のうち9人は、社会福祉士やケアマネージャーなどの資格を持っている。「簡単に取得できるわけではない資格を持ちながら、生活保護並みの給料しか受け取っていない」という憤懣が、生活保護で暮らす人々に向けられたら、何が起こるであろうか。Aさんが受けた理不尽な仕打ちの背景に、「官製ワーキングプアによる生活保護への憎しみ」という感情がある可能性は、考えずにいられない」、公的資格を持っていながら「生活保護並みの給料しか受け取っていない」、「官製ワーキングプアによる生活保護への憎しみ」、深刻な問題で、他の自治体も同様な筈だ。
・『中野区は氷山の一角 税金が勝手に「委託」に使われる?  そして、中野区の事例は氷山の一角であった。支援者や法律家や研究者たちが協力し、全国で事例を収集し、多数の類似事例が明らかになりつつある。最大の問題は、納税者のほとんどが何も知らないうちに、これらの「委託」が行われていることである。 生活保護にかかわるコストは、削減を歓迎する人々もいるだろう。しかし、住民の誰かの住み心地がジワジワと侵食されていくとき、中長期的にはあらゆる住民に対して、何らかのデメリットが発生するものである。 「中野区には、自浄作用を働かせてほしいです。こういう問題が起きたとき、隠したり誤魔化したりしないで、反省すべきところは反省してほしいです」(中野区・浦野さとみ区議) あなたの街は、大丈夫だろうか。納税者として、「私たちの税金」の使われ方を注視し、怒ってよいはずだ』、プロパーの「職員」を雇うよりも、「委託」した方が低コストなので「委託」しているのだろうが、きちんと「検証」する必要があるだろう。「浦野さとみ氏」は共産党の「区議」だが、立憲民主党の「区議」は何をいているのだろう。

第三に、3月29日付けYahooニュースが転載した週刊女性PRIME「生活保護申請者を「無低」に丸投げ、福祉事務所と貧困ビジネスが癒着する“ウラ事情”」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4e4924cc7c3604962db68151dc5f9ed0e67e0f83?page=1
・『生活困窮者を食い物にする悪質な「無料低額宿泊所」の実態とは──。フリーライターの林美保子さんがリポートする。《シリーズ第3回・最終回》 ※第2回→《1.5畳の部屋に15年入居、生活保護費をピンハネする「貧困ビジネス」悪徳スカウトの手口》 第3回福祉事務所が無低に丸投げ。実は、持ちつ持たれつの関係  本来は、生計困難者のために住む場所を提供する福祉施設という位置づけになっているはずの無料低額宿泊所が貧困ビジネスの温床になっている。相部屋などに生活困窮者を押し込み、粗末な食事を与え、生活保護費をピンハネする。劣悪な環境に耐えられずに、「路上のほうがマシ」と、逃げ出す入所者が後を絶たない。 無料低額宿泊所には、憲法25条が定める「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という条文からは程遠い環境がある』、「生活困窮者を食い物にする悪質な「無料低額宿泊所」、「福祉事務所が無低に丸投げ」、酷い話だ。
・『困窮者を支援するNPOを装う  しかし、無料低額宿泊所すべてが悪質というわけではない。使命感を持って取り組んでいる良心的な事業者もいる。施設によっては短期間でアパートに転居できる。 一方で、たった1.5畳の、薄いベニヤ板の仕切りと、アコーディオンカーテンがドア代わりという名ばかりの個室に15年も生活してきたという事例もある。2段ベッドを入れた相部屋も少なくなく、都内には20人収容の大部屋もあるという。一口に無料低額宿泊所と言っても、玉石混交なのだ。 「しかも、ひとつの事業者の中でも、異なった形態で運営していたりします。大手事業者Aはまっとうな賃貸アパートを運営する一方で、古い建物の中に生活困窮者を押し込んで食い物にしているので、なかなか一筋縄ではいかないですね」と、生活困窮者支援団体であるNPO法人『ほっとプラス』(さいたま市)の高野昭博生活相談員は語る。 事業者はNPO法人が多く、企業や個人もある。 「特にNPOなどと書かれていると信用するじゃないですか。でも、実態は違っていたりします」 大手事業者AもNPO団体であり、ホームページには、「“日本一の社会的企業”になることを目標にしている」とか、DV被害者などの女性支援も行っているようなことも書かれている。伝え聞く悪評とのギャップに目がくらむほどだ。 「社会的企業」とうたっている割には、取材や視察依頼はほとんど門前払いだそうだ。筆者が無料低額宿泊所の外観を撮影しようとしたところ、「彼らは警戒していますから、気づかれないように気をつけてください。気づかれたら暴力を受けるかもしれませんから」と、高野さんが心配する。 「女性入所者の場合には、大人数を押し込むのではなく、一軒家を借りてシェアハウスみたいな形にしているので、まだマシなほうだと言えるでしょう。でも、ピンハネするやり方は変わらない。だから、施設から逃げてくる女性もいます」 Aのホームページには、生活困窮者が施設を利用するようになったきっかけとして、「役所紹介が96%」と書かれてある。藁をも掴む思いでこのサイトにたどり着いた人は、なおさら信用するに違いない』、「役所紹介が96%」、少なくとも「役所」が「紹介」する以上は「紹介に値する業務をやっているかどうかをチェックすべきだ。
・『住居を持たない人が生活保護申請に行くと…  無料低額宿泊所に入所するきっかけとして、ひとつはスカウトマンによる勧誘があるが、もうひとつが福祉事務所経由である。ネットカフェ利用者や路上生活者といった住居を持たない人が生活保護申請に行くと、無料低額宿泊所を紹介されるという道筋が常態化しているのだ。 「“無低に行くのなら生活保護申請を受けつける”と堂々と言う職員もいます」と、高野さんは語る。 「無料低額宿泊所の一覧表を見せて、“この中から選べ”と言うんですね。でも、一般の人にはどの施設が良心的で、どの施設が悪質なのかということは、まずわからない」 稲葉剛・小林美穂子・和田靜香編『コロナ禍の東京を駆ける 緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(岩波書店)中にはこんなくだりがある。 《対応したケースワーカーは、「時間がないから」と、その日から泊まる宿の説明もせず、「行けば分かる」と言って、迎えに来た車に彼を乗せた。着いた先は無料低額宿泊所。(中略)マスクもしていない老人たちがゲホゲホ咳をしている環境で、一睡もできず…》 福祉事務所が生活保護の申請者を無料低額宿泊所に行くように働きかけることについて、実は構造的な問題がある。 福祉事務所は1人で100人前後の生活保護者を担当するなど多忙を極める部署として知られている。にもかかわらず、経験豊富な専門職は少なく、人事異動の一環として行政職や事務職がケースワーカーとして配置されるのが通例になっている。業務が多岐にわたっているため負担が重く、職員にとってはできれば配属されたくない、不人気の部署だという。 多くは数年経てばほかの部署に移っていくため、個々のケースに応じて適切な判断をするための知識や経験が蓄積されない。 「経験が少ないこともあって、通りいっぺんの対応をするしかないということもあると思います」と、高野さんは語る。 そんな中、ケースワーカーはいくつも生活保護申請を新たに受理すれば、居宅への準備などの手続きに追われ、担当する生活保護者の訪問活動などに手が回らなくなってしまう。その点、無料低額宿泊所に丸投げすれば、手間がかからない。こうして福祉事務所と施設側は持ちつ持たれつの関係ができあがっているのだ』、両者は「持ちつ持たれつの関係ができあがっている」のはやむを得ないとしても、前述のように、「福祉事務所」が「施設側」の内容をチェックすべきだ。
・『施設を細分化した後、名前を変えて暗躍  筆者は以前、『反貧困ネットワーク埼玉』のスタッフから、「埼玉県は、“無低天国”と揶揄(やゆ)されるほど、悪質な施設が多い」という話を聞いた。 「それは、いまでも変わりません」と、高野さんは語る。 東京都では新規の無料低額宿泊所を作る際には完全個室にすることを義務づけるなどガイドラインで規制を強化したため、悪質な業者は埼玉県など周辺部を拠点にするようになったという。 埼玉県における無料低額宿泊所の数は、5年前の55から73に増えた(2021年1月1日現在)。 「無料低額宿泊所のスタッフだった人たちが似たような施設を作っている例が少なくありません。さいたま市などでも独自に条例を作成して規制を強化していますから、悪質な事業者は一見、縮小しているようにも見えます。しかし、実際には小分けされて名前を変えて運営しているのが実状です」と、高野さんは語る。 「無届け施設が増えており、首都圏でわかっているだけでも1000以上あります。一軒家を借りて、こぢんまりと運営していたりします」 厚生労働省では、2020年度から原則7.43平方メートル(約4.5畳)の個室化などを省令で規制した。ただし、既存の建物に関しては3年の猶予があり、今年2月の時点では、「相談者の話を聞く限りでは状況は全然変わっていない」と語っていた高野さん。しかし、ここに来て少しばかり動きが見えてきたという。 「川口市にある無低が、1人あたりの住居スペースが規定に満たないために閉所することになり、入所者は他市に移ることになったようです。この機会にアパート転居を希望している入所者もいて、福祉事務所もそれを認めたと聞きます」 行政には、さらなる規制強化を図ってもらいたいところだ』、「厚生労働省」が「2020年度から原則7.43平方メートル(約4.5畳)の個室化などを省令で規制」、「ただし、既存の建物に関しては3年の猶予」、となっているのであれば、自治体としては、「猶予」期間を短縮するのも一考に値しよう。
タグ:生活保護 (その5)(「生活保護費の減額はデタラメ」と厚労省を一蹴した 大阪地裁判決の意義、生活保護費の不当な返還要求を非職員に行わせる 中野区の非常識、生活保護申請者を「無低」に丸投げ 福祉事務所と貧困ビジネスが癒着する“ウラ事情”) ダイヤモンド・オンライン みわよしこ 「「生活保護費の減額はデタラメ」と厚労省を一蹴した、大阪地裁判決の意義」 「物価下落は、厚労省が独自に開発した物価指数「生活扶助相当CPI」によって導き出された」、わざわざ都合のいい数字を「独自に開発した物価指数」で算出したとは驚くほど念入りだ。 「「生活保護費は厚労大臣が裁量によって決めてよいことになっているけれど、そんなデタラメな根拠で勝手に決めるのは『裁量権』の正当な使い方とは言えません。違法です」、との判決は妥当だろう。 3月5日付けNHK News Webによれば、大阪府内の全自治体が控訴したようだ。 「弁護士の尾藤廣喜さんは・・・厚生省に入省・・・1970年から1973年にかけて、厚生省職員」、これでは「厚労省職員」もさぞかしやり難いだろう。 今後、控訴審がどう展開するか注目したい。 「生活保護費の不当な返還要求を非職員に行わせる、中野区の非常識」 「中野区」でこんな問題が起きているのは初めて知った。「中野区長」は2018年6月の選挙で革新系の酒井氏が自公推薦の現職を破ったのに、実際は保守系も顔負けの政策をしていたとは・・・ 「ケースワーク業務そのものの「丸投げ」」は、「偽装請負として、労働基準法上の問題となる可能性もある」、とんでもないことだが、「区職員」がやれるほどの人員がいないのだろう。 「本事業で雇用されている14人の職員の人件費は、手取りでは生活保護費と同等になっている可能性もあるという。 14人のうち9人は、社会福祉士やケアマネージャーなどの資格を持っている。「簡単に取得できるわけではない資格を持ちながら、生活保護並みの給料しか受け取っていない」という憤懣が、生活保護で暮らす人々に向けられたら、何が起こるであろうか。Aさんが受けた理不尽な仕打ちの背景に、「官製ワーキングプアによる生活保護への憎しみ」という感情がある可能性は、考えずにいられない」、公的資格を持っていながら「生活保護並み プロパーの「職員」を雇うよりも、「委託」した方が低コストなので「委託」しているのだろうが、きちんと「検証」する必要があるだろう。「浦野さとみ氏」は共産党の「区議」だが、立憲民主党の「区議」は何をいているのだろう。 yahooニュース 週刊女性PRIME 「生活保護申請者を「無低」に丸投げ、福祉事務所と貧困ビジネスが癒着する“ウラ事情”」 「生活困窮者を食い物にする悪質な「無料低額宿泊所」、「福祉事務所が無低に丸投げ」、酷い話だ。 「役所紹介が96%」、少なくとも「役所」が「紹介」する以上は「紹介に値する業務をやっているかどうかをチェックすべきだ。 両者は「持ちつ持たれつの関係ができあがっている」のはやむを得ないとしても、前述のように、「福祉事務所」が「施設側」の内容をチェックすべきだ 「厚生労働省」が「2020年度から原則7.43平方メートル(約4.5畳)の個室化などを省令で規制」、「ただし、既存の建物に関しては3年の猶予」、となっているのであれば、自治体としては、「猶予」期間を短縮するのも一考に値しよう。
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