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バイデン政権(その2)(リベラル系学派の経済学者/マサチューセッツ大学 ジェラルド・A・エプシュタイン教授 「米国製造業再興への第一歩 税制度の公平化にも期待」、景気支援か バブル警戒か 板挟みの米FRB議長 潜在的な危険に若干警戒を強めている発言も、米国の「ミドルクラスのための外交」って何だろう これからの日本も見習ったほうがいいのかも?) [世界情勢]

バイデン政権については、3月28日に取上げた。今日は、(その2)(リベラル系学派の経済学者/マサチューセッツ大学 ジェラルド・A・エプシュタイン教授 「米国製造業再興への第一歩 税制度の公平化にも期待」、景気支援か バブル警戒か 板挟みの米FRB議長 潜在的な危険に若干警戒を強めている発言も、米国の「ミドルクラスのための外交」って何だろう これからの日本も見習ったほうがいいのかも?)である。

先ずは、5月7日付け東洋経済Plus「リベラル系学派の経済学者/マサチューセッツ大学 ジェラルド・A・エプシュタイン教授 「米国製造業再興への第一歩 税制度の公平化にも期待」」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26883/?utm_campaign=EDtkprem_2105&utm_source=edTKO&utm_medium=article&utm_content=210509&_ga=2.145089844.1680389212.1618707326-1011151403.1569803743#tkol-cont
・『バイデン政権の経済政策は米国や世界の流れをどう変えるのか。米民主党左派と近いポストケインジアンの重鎮のジェラルド・エプシュタイン教授(米マサチューセッツ大学)に話を聞いた(Qは聞き手の質問、Aはエプシュタイン教授の回答)。 Q:「米国雇用計画」をどのように評価しますか。 A:非常にいい計画だと思う。化石燃料からの脱却を図るグリーンインフラや道路などの従来型インフラ、育児・教育、高齢者介護など人間のインフラへの投資や、人種・民族間の格差を減らす社会インフラへの投資も非常に評価できる。 8年間で総額2.3兆ドルという規模には、オカシオコルテス下院議員など民主党左派からは「足りない」との批判もある。しかし、民主党は上院でギリギリの過半数であり法案可決は容易ではない。よいスタートを切れるような現実的な計画を出してきたと思う。 Q:大型支出によるインフレが懸念されています。 A:3月に可決した「米国救済計画」(総額1.9兆ドル)の効果もあって失業率や設備稼働率は改善され、経済拡大が起こるだろう。結果、一時的な物価上昇は生じると思う。忘れてはならないのは、米国では過去10年間、低インフレこそが問題だったことだ。インフレの兆候が少し見えただけで慌てるのは軽率ではないか』、「民主党」中道派的な主張のようだ。
・『深刻なインフレはない  米国にはパンデミック(感染症の世界的流行)前から所望時間未満しか働けない大量の低所得者層が存在する。昨年8月にFRB(米連邦準備制度理事会)は戦略を転換し、これらの層の雇用を後押しするため、2%のインフレ目標からの一時的なオーバーシュートを許容することを決めた。 問題は、制御が利かない深刻なインフレがあるかどうかだが、石油危機のあった1973年と79年に起きたくらいだ。その要因の1つは、80年代以降、労働法制の変更もあって労働組合が弱体化したことにある。最近もアラバマ州でアマゾンの倉庫作業従事者が労組を結成しようとしたが頓挫した。労働者心理は温まらず、インフレ期待は生じにくい。また中国やメキシコなどとの国際競争が激しく、これもインフレが起きにくい要因だ。 Q:米国雇用計画が米国の製造業や中間層を本当に再興させるのかについては疑問の声があります。 A:製造業と中間層の没落は非常に深刻な状況だ。今回の計画は長距離走における第一歩にすぎない。われわれはプロセスの蓄積が重要だと学んだ。まずは製造業やグリーン経済への政府支出を拡大させて勢いをつくる。そこへ民間資金が合流していけば実体経済は活性化されるだろう。高リターンを求める民間資金はあふれているが、残念ながら現在その一部はデジタル資産のNFT(非代替性トークン)や仮想通貨など筋違いの投資先に向かっている。 Q:米国雇用計画は半導体などの投資で「対中国競争に勝つ」とうたっています。 A:中国からの脅威は経済や外交、軍事など多方面で高まり、バイデン政権は対応を迫られる一方で、気候変動問題では協調態勢を取るなど状況は複雑だ。半導体などの「対中国戦略」は一種のプロパガンダであると同時に、こうした流れを利用する特定企業のロビー活動をも反映している。 Q:財源確保策の法人増税をどう評価しますか。 A:バイデン政権は法人税率を21%から28%に引き上げようとしているが、トランプ政権の大減税前の税率は35%だった。今回の税率引き上げは控えめだ。米国人の多くは自国の税制度が公平ではないと理解している。所得税率は富裕層や企業のほうが低中所得の労働者よりはるかに低い。合法的な租税回避により、法人税がゼロの大企業も少なくない。法人増税は公平性を取り戻すものだ。 また米UCLAのキンバリー・クラウジング教授の研究では、トランプ政権の法人減税はその目的だった国内投資回帰を実現できず全体として税収を大きく減らした。今回の法人増税は、税収を増やし、かつ政府支出を拡大させるため、国内投資に水を差さない』、「トランプ政権の法人減税はその目的だった国内投資回帰を実現できず全体として税収を大きく減らした。今回の法人増税は、税収を増やし、かつ政府支出を拡大させるため、国内投資に水を差さない」、世界的な「法人減税」競争を終わらせる可能性がある画期的な意味がある。事実、後述のように、「イエレン財務長官は法人税の国際ミニマム税率の導入を主要国へ提言」したようだ。
・『法人減税の反転が始動  Q:この計画の公表と同時にイエレン財務長官は法人税の国際ミニマム税率の導入を主要国へ提言しました。 A:資本は一国から容易に逃げられるが、市民は違う。そんな市民から税金を取る一方で、法律家や銀行家、会計士らのタックスヘイブン産業が軽課税国政府とともに富裕層や企業の租税回避を手助けするのは、公平さの点で問題だ。バイデン政権は世界の法人税率引き下げ競争を反転させるだろう。 Q:コロナ禍対策で膨れ上がった世界の公的債務にはどう対処すべきでしょうか。 A:第2次世界大戦後の世界も巨大な公的債務を抱えていたが、債務の対GDP(国内総生産)比はその後低下していった。それは増税や債務返済が行われたというより、分母となる経済規模が拡大したからだ。加えて、インフレによる債務の実質負担軽減もあった。 今回はちょうどグリーン経済への移行が始まるところだ。巨額の投資が行われ、経済成長と低金利が持続すれば、公的債務はよりよく管理できるだろう。逆に急速な増税や歳出削減によって経済成長を損ねたりすれば、公的債務の管理は難しくなるだろう。 Q:その主張は「インフレリスクを除けば、自国通貨建ての公的債務の拡大は恐れる必要がない」というMMT(現代貨幣理論)と似ています。 A:私は雇用重視など政策面でMMTと共通する部分があるがMMTには批判的だ。私の主張は現在の米国という特定の時間と空間に関していえることであり、MMTのように「主権(自国)通貨増発がいつでも最善の政策だ」とはしていない。 例えば、何らかの構造問題が高金利を継続させればスパイラル的な債務増加のため借金をすることは難しくなる。また政治経済の安定を基に信用力の高いハードカレンシーを持つ米国や日本と異なり、新興国では自国通貨建ての債務に限界がある。ワクチンや必需品の輸入、外国通貨建て債務の元利払いのために、新興国の通貨はハードカレンシーに従属せざるをえない。MMTの主張と異なるが、IMF(国際通貨基金)のSDR(特別引き出し権)増強などを行い、新興国の外貨準備支援や流動性供給を行う必要がある。 Q:今年2月、トマ・ピケティ教授(仏パリ経済学院)ら欧州の有識者が「欧州中央銀行(ECB)が保有する国債を帳消しにすべきだ」と提言しました。 A:それは過去幾度も議論されたヘリコプターマネー(空からお札をまく)政策とほとんど同じだ。債務帳消しは債務者の得になるが、社会に悪いインセンティブを与え、公平性の観点からも問題がある。例えば米国では、民主党左派が選挙で学生ローン債務の帳消しを主張したが、学生ローンを返済した人とそうでない人の間の公平性が大問題になった。債務帳消しがよい方法かは不明だ。 A:リベラル色の強い政策が世界に広がっています。米国の経済学界の勢力図にも影響は出ていますか。 A:ポストケインジアンやマルクス経済学など非主流派は依然としてトップ大学から締め出されている。非主流派の拠点は、私が教えるマサチューセッツ大学を筆頭としてニュースクール大学やミズーリ大学カンザスシティー校などがある。 政府と関係する政策サークルでは、昔から非主流派も影響力を持ちやすかった。バイデン政権では環境や格差問題に注力する経済学者が重用されているが、残念ながらポストケインジアンより、コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授のような、もっと(主流派に近い)実際的な急進的経済学者が力を持っている』、「債務帳消しは債務者の得になるが、社会に悪いインセンティブを与え、公平性の観点からも問題がある」、健全な考え方だ。「バイデン政権では・・・残念ながらポストケインジアンより、コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授のような、もっと(主流派に近い)実際的な急進的経済学者が力を持っている」、なるほど。

次に、5月9日付け東洋経済オンラインが転載したブルームバーグ「景気支援か、バブル警戒か、板挟みの米FRB議長 潜在的な危険に若干警戒を強めている発言も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/427124
・『パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、「フロシー(泡立っている)」と見受けられる株価や金融市場の潜在的な不均衡から生じるリスクについて、「対処は可能」だとの考えを示した。しかし、金融当局関係者の一部はそれほど確信を持てずにいる。 そうした疑念の背景には、米金融当局の超低金利政策や多額の債券購入が資産価格のバブルに加え、リスクテークやレバレッジの行き過ぎにつながり、やがて経済に大きなダメージをもたらしかねないという懸念がある。 パウエル議長としても、新型コロナウイルス禍からの米経済と労働市場の回復を支援するため緩和的な金融環境を望む一方、2001年のハイテクバブルや07年の住宅バブルの崩壊時のようなリセッション(景気後退)の危険性も認識しており、金融市場を巡って板挟みの状態に置かれている。 ダラス連銀のカプラン総裁は4月30日、「金融市場で行き過ぎや不均衡が見られる段階になった」と述べるとともに、「それに対して私は非常に注意を払っており、だからこそできるだけ早期に資産購入の調整について話し始めることが適切になると考えている」と語った。 また、ボストン連銀のローゼングレン総裁は5日のウェビナーで、資産価格にはまだ「異常な上昇傾向」は見られないとしつつも、刺激策縮小に極めて辛抱強く臨む米金融当局の姿勢によって、そうした状況になる可能性はあるとの見方を示唆し、「まだ超低金利のままで来年末までに完全雇用状態となれば、金融市場の動向を注視することなる」と話した。 パウエル議長自身は、回復途上の米経済への支援策を縮小する構えは一切示していない。だが、このところの発言からは、金融安定性に対する潜在的な危険に若干警戒を強めている様子もうかがわれる。 先月28日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でパウエル議長は、「資本市場ではややフロシーな状態が見られる」とし、「資産価格の幾つかは高い」との認識を示した。今年早い段階では資産価格が高水準にあると表現するのを避けていただけに、議長の発言を受けて投資家の間には驚きが広がった。 元FRB理事で現在はハーバード大学教授のジェレミー・スタイン氏は「投機的な市場は扱いにくく、対処は難しい」と語り、投資家がインフレ高進のリスクにとらわれている場合は特にそうだと強調した』、「パウエル議長は、「資本市場ではややフロシーな状態が見られる」とし、「資産価格の幾つかは高い」との認識を示した」、警戒色をやや強めたようだ。

第三に、5月15日付け東洋経済オンラインが掲載した双日総合研究所チーフエコノミストのかんべえ(吉崎 達彦)氏による「米国の「ミドルクラスのための外交」って何だろう これからの日本も見習ったほうがいいのかも?」の4頁目までを紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/428394
・『アメリカのジョー・バイデン大統領はつくづく運が強い。「最初の100日以内にワクチン接種2億回」という公約を、予定より1週間早く達成した。同国の成人人口において、「ワクチンを1回以上接種した比率」は本稿執筆時点ですでに58.7%に達している 。 残っているのはワクチン接種に消極的な人が多いので、今後の伸びは緩やかなものになりそうだが、「独立記念日(7月4日)までに集団免疫の獲得」という目標は、十分に視野に入ってきた。 それに比べて、わが国のワクチン接種状況の情けないことよ。筆者はつい先ほど、アメリカの知人から「東京五輪を楽しみにしているからね」というメールをもらい、どう返事を書いたものかと悩んでいるところだ』、「アメリカ」に比べ「わが国のワクチン接種状況の情けないことよ」、同感だ。
・『なぜ「ミドルクラス」と「外交」なのか  さて、今回はバイデン外交についてご紹介したい。いろいろな場所で「America is back!(アメリカは帰ってきたぞ!)」と広言し、世界的な指導力回復に意欲を見せるバイデン氏だが、外交演説の際にかならず発信するフレーズがある。それは「ミドルクラスのための外交政策」(A Foreign Policy for the Middle Class)だ。 えっ?「ミドルクラスのための経済政策」というのならわかるが、なんで外交なんだ?と思ったあなたはたぶん間違っていない。このフレーズをどう理解すべきなのか、正直、世界の外交・安全保障の専門家たちが悩ましく感じているところなのだ。もっともこういう目標を掲げなければならない今のアメリカの現状も理解できるので、それは経済学や社会学的に見ても興味深い現象だと思うのだ。 バイデン大統領が、この問題を重く受け止めていることは間違いない。というのは、「ミドルクラスのための外交政策」にはネタ本がある。2020年9月にシンクタンク、カーネギー国際平和財団がまとめた”Making U.S. Foreign Policy Work Better for the Middle Class”(アメリカ外交を中間層のために働かせる)という報告書がそれだ 。 執筆メンバーの中にはジェイク・サリバンの名がある。彼は副大統領時代のバイデン氏の補佐官を務め、現政権では国家安全保障担当補佐官に起用されている。他のメンバーではサルマン・アーメッドが、国務省の政策企画室長に任命されている。つまりバイデン政権はこのアイデアを丸ごと買い取って、自分の外交スタッフに登用しているのである』、「ミドルクラスのための外交政策」の「ネタ本」を見つけるとはさすがだ。
・『アメリカのミドルクラスとは?  この研究が始まったのは2017年のこと。察するにトランプ政権が誕生したことで、外交専門家たちが危機感を抱いたのであろう。彼らは「国民の多数(ミドルクラス)に支持されていない外交は持続不可能だ」ということが身に染みた。 そこで国民の意識調査を始めるわけだが、民主党支持が多いコロラド州、共和党支持が多いネブラスカ州、接戦州であるオハイオ州という3カ所でヒアリングを行った。つまりこの研究はもともと超党派であり、最初からバイデン政権に向けた政策提言ではなかったことがわかる。 それでは今のアメリカにおいて、ミドルクラスとはどの程度の所得層を意味するのだろうか。報告書はキチンと定義していて、「世帯収入の中央値の3分の2から2倍まで」ということになっている。 2018年時点で世帯中央値は7万4600ドルなので、下は4万8505ドルから上は14万5516ドルということになる。円換算してボトムが約500万円と考えると、「意外と高いな」という印象を受けるところだ。これはアメリカで物価が上昇しているためなのか、それとも為替レートが円安になっているからなのか。 同じことを日本で考えてみると、世帯年収の平均値が約550万円なので、ざっくり年間336万円から1100万円の世帯がミドルクラスという定義になる。まあ、妥当な線であろう。 ちなみにこの手の統計で、なぜアメリカは中央値で日本は平均値を使うかと言うと、アメリカには途方もないお金持ちがいるので、平均値が吊り上げられてしまうのだ。余談ながらマイクロソフト社の創業者ビル・ゲイツ氏やアマゾン・ドット・コム社の最高経営責任者であるジェフ・ベゾス氏は「お金があるのに離婚する」のではなく「財産がありすぎるから離婚してしまう」と考えるほうが自然であろう。 それではこれまでのアメリカ外交は、ミドルクラスにとってどうだっただろうか。報告書は過去のいろんなタイプの外交方針を取り上げ、そのいずれもが彼らに利益をもたらしてこなかったと断じている。 ここでトランプ流の「アメリカファースト」外交や、急進左派が掲げる「気候変動・超重視」外交が否定されているのは、まあ理解できる。関税を引き上げて他国に貿易戦争を仕掛けると、国民負担が増加してミドルクラスにはマイナスだろう。また、「化石燃料をゼロにせよ!」と徹底すると、じゃあ石油や石炭産業に勤めるミドルクラスはどうなってもいいのか、ということになってしまう』、「ミドルクラスのための外交政策」に当初は違和感を感じたが、確かに意味ある政策のようだ。
・『どうやったら外交で個人を助けられるのか?  筆者にとって興味深かったのは、ここで「プロビジネス外交」や「プログローバル化外交」が否定されていることだ。つまりグローバル化を促進し、大企業を利するような外交をやっていると、ミドルクラスのためにならない、というのである。 かつて「GMにとって良いことは、アメリカにとって良いことである」と自動車会社の経営者が豪語した時代があった。企業の繁栄が国家に富をもたらし、それがそのまま個人の幸福につながった古き良き時代のことである。が、今やそんなセリフはまったくリアリティーがない(そもそもGMはリーマンショック時に経営破綻して、政府に救済されている)。 GAFAなどのグローバル企業がいかに業績を拡大しても、収益はどこかへ行ってしまい、税収はさほど上がらない。彼らは製造や研究の拠点を海外に移転し、国内の雇用や賃金を上げることに関心が薄い。つまり企業と国家と個人の利益が、今では昔ほど重ならなくなってしまった。 しかし国家としては、ここは悩ましいところだ。外交政策によって、自国企業を支援することはできるけれども、個人を助けるにはどうしたらいいのだろう?例えば、自由貿易協定で利益を得るのは企業であって、ミドルクラスではないだろう。だとすれば、アメリカのTPP(環太平洋パートナーシップ協定)復帰はもはや不可能、ということになってしまう。 あるいは、「これから先のアメリカ外交が目指すのは、ミドルクラスの雇用や賃金を上げることであります」と言われると、やはりそこには異和感がある。それでは結局、「アメリカファースト」主義や「バイアメリカン」(アメリカ製品愛用)政策など、トランプ路線と大差がないことになってしまわないだろうか。 さらにエコノミスト的にマジレスさせてもらうと、コロナ前までのアメリカ経済はずっと成長が続いていた。ということは、経済政策は成功していたのであろう。ところが社会的には格差が拡大し、政治的にも分断が広がっている。それはおそらく分配政策の失敗であろう。だったら、そこは所得の再分配などでミドルクラスを救済すべきであって、外交政策に罪をかぶせてはいかんのではないだろうか。 などとツッコミどころはいろいろあるのだが、海外の外交・安全保障の専門家からは「ミドルクラス外交」を支持する声もある。今の不安定な国際秩序の中では、やはり「強いアメリカ」に戻ってきてもらいたい。そのためにはなるべく多くのアメリカ国民の支持が必要なので、むしろ同盟国として応援すべきではないか、というのである。日本の立ち位置を考えれば、確かにそういう考え方もアリだろう。 ところで外交と経済が交差する分野に「対外援助」がある。この政策は、評判が悪いことが多い。国内にも困っている人が居るのに、なぜ税金を使って他国を助けるのか、という批判はつねに存在する。ただし「情けは人のためならず」なので、長い目で見れば援助は報われるし、いずれは国益に結びつく。実はカーネギー財団が行ったヒアリングでも、アメリカのミドルクラス層は対外援助の必要性に対して一定の理解を示している』、「アメリカ」では、「カーネギー財団」が外交向けの「報告書」を出すなど、外交政策の厚みもかなりのものだ。
・『「ミドル」の再生は本当に可能なのか?  ただしそのためには、「アメリカ外交は自分たちに利益をもたらしてくれる」という信認が必要である。「外交はエリートたちが勝手にやっていることで、お陰で自分たちの暮らしは酷くなるばかりだ」と思われていると、またまたトランプ大統領のような人が出てきて、外交官や専門家の努力を全否定する恐れがある。あるいは「Qanon」(キューアノン)などというグループが登場して、面妖な陰謀論になびく人が増えるかもしれない。 あらためて外交の世界でなぜミドルクラスが重視されるかというと、ひとつの国の中で収入が近い「中間層」の意見は、ある程度一致していると考えられるからであろう。民主主義国においては、「世論」(せろん=Popular sentiment)ならぬ「輿論」(よろん=Public opinion)が重要であり、それはミドルクラスによって形成されることが多い。 ところが今のアメリカでは、教育水準や住んでいる場所、世代や主義主張などで大きく意見が割れてしまっている。バイデン政権にとって重要なのは、国民の収入を上げるのもさることながら、アメリカにおける思考の「ミドル」を再生することであろう。それなしには外交もやりにくいのだが、はたしてそんなことが可能なのだろうか?(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)』、「バイデン政権にとって重要なのは、国民の収入を上げるのもさることながら、アメリカにおける思考の「ミドル」を再生すること」、「再生」できればいいが、トランプによ分断の傷が深いだけに、難航しそうだ。ただ、イスラエルのガザ地区への攻撃を、国連が取上げようとしても、バイデン政権の反対で、国連は何も出来なくなっており、バイデン政権が余りにイスラエル寄りだとして、国際社会の風当たりも強まってきたようだ。
タグ:「ミドルクラスのための外交政策」の「ネタ本」を見つけるとはさすがだ。 「パウエル議長は、「資本市場ではややフロシーな状態が見られる」とし、「資産価格の幾つかは高い」との認識を示した」、警戒色をやや強めたようだ。 かんべえ(吉崎 達彦) 「景気支援か、バブル警戒か、板挟みの米FRB議長 潜在的な危険に若干警戒を強めている発言も」 「アメリカ」に比べ「わが国のワクチン接種状況の情けないことよ」、同感だ。 「バイデン政権にとって重要なのは、国民の収入を上げるのもさることながら、アメリカにおける思考の「ミドル」を再生すること」、「再生」できればいいが、トランプによ分断の傷が深いだけに、難航しそうだ。 「米国の「ミドルクラスのための外交」って何だろう これからの日本も見習ったほうがいいのかも?」 「ミドルクラスのための外交政策」に当初は違和感を感じたが、確かに意味ある政策のようだ。 「アメリカ」では、「カーネギー財団」が外交向けの「報告書」を出すなど、外交政策の厚みもかなりのものだ ブルームバーグ 「リベラル系学派の経済学者/マサチューセッツ大学 ジェラルド・A・エプシュタイン教授 「米国製造業再興への第一歩 税制度の公平化にも期待」」 東洋経済Plus (その2)(リベラル系学派の経済学者/マサチューセッツ大学 ジェラルド・A・エプシュタイン教授 「米国製造業再興への第一歩 税制度の公平化にも期待」、景気支援か バブル警戒か 板挟みの米FRB議長 潜在的な危険に若干警戒を強めている発言も、米国の「ミドルクラスのための外交」って何だろう これからの日本も見習ったほうがいいのかも?) バイデン政権 東洋経済オンライン 「債務帳消しは債務者の得になるが、社会に悪いインセンティブを与え、公平性の観点からも問題がある」、健全な考え方だ。「バイデン政権では・・・残念ながらポストケインジアンより、コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授のような、もっと(主流派に近い)実際的な急進的経済学者が力を持っている」、なるほど。 「トランプ政権の法人減税はその目的だった国内投資回帰を実現できず全体として税収を大きく減らした。今回の法人増税は、税収を増やし、かつ政府支出を拡大させるため、国内投資に水を差さない」、世界的な「法人減税」競争を終わらせる可能性がある画期的な意味がある。事実、後述のように、「イエレン財務長官は法人税の国際ミニマム税率の導入を主要国へ提言」したようだ。 「民主党」中道派的な主張のようだ。 ただ、イスラエルのガザ地区への攻撃を、国連が取上げようとしても、バイデン政権の反対で、国連は何も出来なくなっており、バイデン政権が余りにイスラエル寄りだとして、国際社会の風当たりも強まってきたようだ。
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