不動産(その7)(「日本の水が外国から狙われている」のは本当か 土地の所有者が、その地下水も所有できる実態、野村不動産 「超高級タワマン」のトラブルに購入者が大激怒、マンションはついに「売り時」 不動産バブルが潮時といえる理由) [産業動向]
不動産については、昨年10月18日に取上げた。今日は、(その7)(「日本の水が外国から狙われている」のは本当か 土地の所有者が、その地下水も所有できる実態、野村不動産 「超高級タワマン」のトラブルに購入者が大激怒、マンションはついに「売り時」 不動産バブルが潮時といえる理由)である。
先ずは、本年5月25日付け東洋経済オンラインが掲載した 水ジャーナリストの橋本 淳司氏による「「日本の水が外国から狙われている」のは本当か 土地の所有者が、その地下水も所有できる実態」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/429632
・『日本の水資源が外国から狙われている――。こんな話を聞いたことがある人は少なくないだろう。実際、世界中で水不足が発生する中、世界各地で水争奪戦は激化している。 「自分が住んでいる地域は関係ない」と思うことなかれ。例えば、あなたが所有する土地の近くに誰かが土地を取得し、その誰かが外国資本だった場合、あなたが使う水にどんな影響があるだろうか』、興味深そうだ。
・『北海道の森林を買う外国勢 「都市伝説でしょ?」と言われていた、外国資本の土地買収が明らかになったのは、いまから10年以上も前のことだ。 2010年、北海道が外国資本による森林の売買状況の調査を行った。すると、道内の私有林7か所、計406ヘクタールがすでに外国資本に買われていた。1ヘクタールは100メートル×100メートルだから野球グラウンドくらいの大きさ。それが406個分買われていたのだ。 場所は、倶知安町とニセコ町が各2件、砂川市、蘭越町、日高町が各1件。購入者の内訳は、企業が4件(中国企業3件、英国企業1件)、個人が3件(オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールの3カ国)だった。 利用目的は、資産保有、牧草地用で、水目的とはされていなかったのだが、この時、北海道議会が政府に提出した意見書には、こう書かれていた。「我が国における現行の土地制度は、近年急速に進行している世界規模での国土や水資源の争奪に対して無力であると言わざるをえない」。 なぜ北海道議会は「土地を買われた」ことを「水資源の争奪」と解釈したのか。実は、森林を取得した場合、保安林等の法的規制がかかっていなければ、所有者は比較的自由に開発できる。木を伐採してもよいし、温泉を掘っても、地下水を汲み上げてもいいと考えられる。 日本の土地取引は所有者と購入希望者の合意で成立し、取得後の所有権は非常に強い。そして、民法第207条には、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と規定されている。法的には、土地の所有者に、その地下にある水の利用権があると解釈されている。 北海道議会の動きは、国や地方自治体に大きなインパクトを与えた。各地の市町村議会では「うちは大丈夫か?」といった行政への質問が相次いだ。議員は、「水源林が予想外の地権者に渡り、乱開発や過度の取水で住民の生活が脅かされるようになっては手遅れ。いますぐ手を打つ必要がある」と口を揃えた。 これに対して行政側は「現時点で外国資本による大規模な森林買収の動きは確認していない」とし、「事態に適切に対応するため組織を設置する」などと回答した』、「行政側」がこんな寝ぼけた対応をしているようでは心配だ。
・『外国人による土地取得の規制がない日本 日本には現状、安全保障上の懸念がある地域でも外国資本による土地取得の規制はなく、外国人であっても自由に所有可能だ。外国人が土地を所有できる国はアジアでは珍しい。共産圏である中国、ベトナムなどは外国人の土地所有を認めていないし、韓国、インド、シンガポールなどでは土地の所有は可能だが、いずれも条件つきとなる。 農水省が2010年から公表し始めた外資による山林買収状況によると(累計値)、2010年は43件、831ヘクタールだったのが、2020年には465件、7560ヘクタールと10年間で面積は9倍に拡大。農地は2018年から公表され、2020年は3件、47ヘクタールだ。 一見少ないが、日本人や日本法人をダミー的に登記名義人にしたケースや未届出のケースはカウントされていない。 また、太陽光発電、風力発電の用地(推定20万ヘクタール)の中にも外資分が相当あるが、こちらも詳細は不明だ。政府のこれまでの調査では、中国系資本が太陽光発電などのエネルギー事業者として買収にかかわったとみられる土地は、全国で約1700カ所に上る。リゾート開発なども含めた中国系資本が自衛隊施設などの周辺で土地買収にかかわったとみられる事例も約80カ所確認されている。 こうした中で、重要なのは「水は誰のものか」という問題だ。日本では、水は長らく「私のもの」と解釈されてきた。1896年の大審院の判決では、「地下水の使用権は土地所有者に付従するものであるから、土地所有者は自由に使用し得る」とされた。 1938年の大審院判決はさらに強く、「土地所有者はその所有権の効力として、その所有地を掘削して地下水を湧出させて使用することができ、たとえそのために水脈を同じくするほかの土地の湧水に影響を及ぼしても、その土地の所有者は、前者は地下水の使用を妨げることはできない」とされた』、「大審院判決」とは時代があまりに違い過ぎる。
・『法律が実態に即していない現状 だが、これは手掘り井戸で小規模な取水しかできなかった時代の話であり、揚水技術の発達した現代は明らかに状況が違う。 また、土地は動かないが、水は動いている。地下水は地面の下にじっと止まっているものではなく、所有外の土地から流れて、所有する土地を通過し、所有外の土地へと流れていく。だから土地所有者のものであるという考え方は、そもそも実態と異なっているのだ。 例えば、飲料水メーカーの取水口があるとしよう。このメーカーは自分の土地の下にある自分の水を汲み上げているわけではなく、自分の土地の下を流れる地域の共有財産を汲み上げていることになる。 こうした中、日本でも戦後になると、「私水論」を前提としながらも、公の立場から地下水の汲み上げや汚染を制限する考え方が登場した。1960年代には、地盤沈下問題を受け、「工業用水法」や「ビル用水法(建築物地下水の採取の規制に関する法律)」が、1970年代には「水質汚濁防止法」が制定された。ただし、これらは地盤沈下や水質汚染などを防止するもので、直接的に地下水を管理する法律ではない。 1970年代半ばには「地下水法案」も公水論をベースに提案されたが、地下水を利用する企業の反対、地下水を管理したい省庁間の綱引きなどから成立しなかった。 2014年に成立した水循環基本法では「水は国民共有の財産」と定められている。ただ、あくまで理念法であり、具体的に地下水の保全や活用について触れたものではない。 対策として独自に条例を設けている自治体もある。条例は2タイプに分けられる。1つは土地取引のルール、もう1つは地下水の保全や活用に関するルールだ。 土地取引のルールの代表は、北海道の「水資源の保全に関する条例」だろう。内容は、①水資源保全地域を指定、②指定された区域内の土地の権利を移転する場合には、土地所有者は契約の3カ月前までに届出を行わなくてはならない、というものだ。 地下水の保全や活用に関するルールの代表は、熊本県の「地下水保全条例」だろう。地下水を大口取水する事業者は知事の許可が必要としている。この条例は地下水を「私の水」ではなく「公共の水」であるとしていることが特徴で、地下水は水循環の一部であり、県民の生活、地域経済の共通の基盤である公共水であると明記されている』、「地下水法案」の復活も真剣に検討すべきだろう。
・『条例制定も容易ではない だが、条例制定に二の足を踏む自治体も多い。 問題は3つある。1つ目は、条例が適切かどうか。自治体としては、不適切な条例を作って、行政訴訟などのトラブルが起きるのは避けたい。2つ目は、自治体内が必ずしも一枚岩ではないこと。地下水保全を考えるグループがある一方で、地下水を資源として販売するなど積極的に活用したいグループがある。3つ目は、自治体間の調整。地下水の流れは自治体の垣根を超えるケースがあり、近隣自治体と考え方が違う場合にどう調整をつけるかなどに頭を悩ませている。 なかでも1つ目の「条例が適正かどうか」は大きな問題だ。「国に地下水に関する法律がないのに独自の規制をつくるのは不安」「行きすぎた規制をつくって行政訴訟になるのが怖い」というのが悩みだ。 土地取引ルールについて捕捉すると、前述の通り、日本には現在、土地取得に関して外資規制がなく、これを問題視する向きから「重要土地等調査法案」の審議が始まっている。自衛隊基地や国境離島など安全保障上重要な土地の利用を規制するというものだ。 法案は、防衛関係施設や原子力発電所、空港など重要インフラの周囲約1キロと国境離島を「注視区域」に指定。また、自衛隊の司令部や無人の国境離島など、特に重要な場所は「特別注視区域」と位置づけ、一定面積以上の土地取引について、当事者に氏名、国籍、利用目的の事前届け出を義務付ける。 現在、淡水は世界的に不足し、外国資本による地下水独占が住民の生活を脅かすケースが各地でおきている。今後は一層の水不足が懸念されており、同じ事態が日本で起こらない保証はまったくない。だから「外国資本が水を狙っている」という主張は理解できる』、なるほど。
・『地下水に関する一定のルールが必要 しかし、注意しなくてはならないのは、地下水を汲み上げ過ぎ、周辺に迷惑をかけるのは外国資本だけではない、ということだ。あらゆる利用者に、その可能性がある。 また、地下水があるのは森林などの水源地だけではない。地下水が大量にあるのはむしろ盆地や平野部だ。平野部では土地取引は活発に行われており、規制をかけるのも難しい。 外国資本に限らず、土地取得者による地下水濫用を避けるには、地下水に関する一定のルールが必要だろう。さまざまな議論があるなかで、今年3月、有識者で構成される水循環基本法フォローアップ委員会は「水循環基本法への地下水関連規定の追加に関する報告書」を、水制度改革議員連盟石原伸晃代表へ提出している。報告書では、地下水採取の制限を条例で定めることができる規定を条文に追加することについて提案している。 地下水の状況は地域ごとに異なるため、国が平均的なルールを作るより、自治体が主導して地元の状況にあったルール作りをすることが望ましい。そして、国はそれを後ろから支えるべきである。 たとえば、「地下水の見える化」だ。表流水と地表水の最大の違いは、目に見えるか、見えないか。地表水は人の目に触れるから実態把握が容易であり、課題がわかりやすい。一方で、地下水は実態把握が難しい。現状把握の調査について、国は支援すべきであろう。 さらに言えば、ゴールはルールをつくることではない。ルールができたあとの運用が大事だ。地域の地下水利用者が、それぞれ状況に応じて、保全しながら活用することだ』、「地下水の状況は地域ごとに異なるため、国が平均的なルールを作るより、自治体が主導して地元の状況にあったルール作りをすることが望ましい。そして、国はそれを後ろから支えるべきである」、その通りなのだろう。
次に、6月14日付けFRIDAY「野村不動産 「超高級タワマン」のトラブルに購入者が大激怒」を紹介しよう。
https://friday.kodansha.co.jp/article/185690
・『施工は清水建設、総戸数716戸で商業施設直結 ファミリー層に人気の再開発エリアに完成した「億ション」で大トラブル 設計図と違う! 耐火、耐水、防音設備に重大な欠陥があることが次々に判明 「私はサラリーマンとして働いて、30年以上かけて貯めてきたお金と退職金をつぎ込んで、8000万円以上のこのマンションを買いました。私も妻も60代後半なので、余生は都心から離れた場所に住みたいと思っていたんです。あの有名な不動産会社と建設会社が手掛けているから、間違いない物件だと安心していました。でも、それは大きな間違いでした。苦労して手に入れたタワマンは欠陥だらけだったんです……」 本誌の取材に答えた購入者のTさんはそう声を震わせた。 今、大規模な再開発が行われている東京都小金井市に聳(そび)える駅直結の超高級ツインタワーマンション『プラウドタワー武蔵小金井クロス』をめぐって大騒動が起きている。スーパーゼネコンの清水建設が施工を担当し、売り主は大手デベロッパーの野村不動産。総戸数は716戸で、価格は4LDKで最高1億9000万円だ。Tさんが言う。 「欠陥が明らかになったのは今年2月下旬でした。上階の足音がうるさいということで、管理組合の一人が民間検査会社の『日本建築検査研究所』に調査を依頼したんです。最初は防音設備にだけ問題があると思っていたのですが、調査で次々に他の欠陥も見つかったんです」 Tさんが本誌に提供した『建物調査報告書』は、全44ページにわたって重大な「施工不良」の実態を明らかにしていた。 本誌は調査を担当した建築検査士の岩山健一氏に取材を申し込み、話を聞いた。 「私が調査して見つかった欠陥は①防音設備 ②耐火設備 ③耐水設備の主に三つです。①については上下階の間にある二重床の支持脚(階を持ち上げるための脚)に遮音性のゴムが使われていない箇所が発見されました。その結果、音が響いてしまっていたんです。②は全戸に付いているメーターボックス内に使う石膏ボードの貼り方に問題がありました。石膏ボードを貼り付ける際に打つタッカー(留め金)の間隔が、国土交通大臣が定める基準を満たしていませんでした。 ここにはガスの配管などが入っています。ボードの固定が甘いと、発火した際に延焼が起きやすくなります。③はトイレ内の手洗い付近の壁には耐水石膏ボードを使用しなければいけないのに、普通の石膏ボードを使用していたんです。当然、湿気に弱くなり、腐食の原因になります」 3月27日には野村不動産と清水建設の責任者が同席して、説明会が開かれたが、Tさんの不信感は深まるばかりだったという。 「両社の責任者は、専門用語ばかりを並べた説明で購入者を困惑させたり、 『手元が暗くて確認が不十分だった』 『チェック項目から抜けていた』などと、呆(あき)れた言い訳を繰り返すばかりでした。補償についても、うやむやなままで、 『資産価値を守るため』と言って購入者に口止めもしました」 1週間後、両社はマンションの理事会で「施工不良」を認めて、購入者に謝罪したものの、住民の疑念は晴れていない』、「野村不動産」、「清水建設」と超一流の組み合わせなのに、信じられないような工事ミスだ。
・『「両社は『設計図通りに変更する』と言い、補償はこれから協議をしていく予定です。しかし、一度の調査でこれだけ問題が出てきたので、他にも重大な欠陥があるんじゃないかと不安が募(つの)るばかりです」(Tさん) 前出の岩山氏もこう指摘する。 「そもそも購入前に見せられていた設計図通りに工事が行われていなかったことが大問題です。手抜き工事も甚(はなは)だしいと言っていいと思います。欠陥が見つかった場所だけを調べて、問題を解決したというのは無理があるでしょう。とくに法令基準を満たしていない耐火設備に関しては、目視で確認できない部分があります。一度販売を中止して、他に欠陥がないか、未入居の部屋も解体するなどして、大規模な検査が行われるべきです」 しかし、驚くことに問題が解決していないにもかかわらず、野村不動産は物件の販売を続けているという。 一連の問題について野村不動産と清水建設に質問状を送付したところ、双方から次のような回答があった。 「個人資産に係ることであるため、コメントは差し控えさせていただきます」 購入者は日々の暮らしを脅(おびや)かされている。一刻も早い誠実な対応が求められる』、「法令基準を満たしていない耐火設備に関しては、目視で確認できない部分があります」、「問題が解決しいないにもかかわらず、野村不動産は物件の販売を続けているという」、コンプライアンスにはうるさい筈の「野村不動産」は、一体、どうなってしまったのだろう。
第三に、7月2日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したスタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタントの沖有人氏による「マンションはついに「売り時」、不動産バブルが潮時といえる理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/275468
・『マンションの「売り時」「買い時」というテーマはいつも、悩ましい。だが、日本銀行による金融緩和が長期化するも、物価目標が達成されない中、コロナ禍で都心の家賃相場が低迷している。となれば、不動産価格急落の「Xデー」に備えるべき状況が近づいていると考えるべきではないだろうか』、興味深そうだ。
・『今、売却した人は割高で大成功 戸建ても竣工前に売れてしまう コロナショックで経済的な大打撃はあったものの、不動産価格は大幅に高騰している。こうした不動産インフレが起こると、「今は買い時か?」「今は売り時か?」の議論が盛んになる。高騰はいつまでも続かない。だからこそ、潮目の変わるタイミングはとても重要になってくる。 先日、相談を受けていた方が、新築マンションの契約申し込みをし、現在の自宅を相場よりも高く売ることに成功した。相場が高騰している中、割安な価格で販売中だった新築マンションの申し込みが急増していることや、中古マンションが高値で飛ぶように売れていく様を見て決断したということだ。今でも絶妙なタイミングでの英断だったと思う。相場は高いが、買うときは割安に、売るときは割高に取引することはいつでもできるものだ。 マンション価格の高騰は、中古価格の値上がりが顕著で、1年前と比較して1~2割上がっている。その主たる要因は金融緩和だが、それは後述する。加えて、巣ごもり時間が長く、リモートワークとリモート授業が多いために、「もう1部屋需要」が明確であることで家を探している人が増えている。需要が急増しても供給は急には増やせないため、在庫が急速に減少しているのだ。 その結果、新築マンションは期を追うごとに値上がりするという、これまでにないことが起きている。通常、1期目に売り出されるものが人気住戸で、期が進むほど不人気住戸が残り、最後は値引きを行うのが常であったことを考えると、今の需要過多ぶりがよく分かる。 戸建てでも同じことが起きている。新築分譲戸建ては売れ行きが良過ぎて、値下げ幅が大幅に縮小し、着工直後に売り出されるものの、竣工するまでに売れてしまうことが多い』、「新築マンションは期を追うごとに値上がりするという、これまでにないことが起きている」、「新築分譲戸建ては売れ行きが良過ぎて、値下げ幅が大幅に縮小し・・・竣工するまでに売れてしまうことが多い」、ともに絶好調のようだ。
・『コロナ禍で悪化しているのは賃貸市場 日銀が家賃下落を憂慮する理由 住宅の中でも、持ち家市場は価格が高騰しているが、賃貸市場は需給が大幅に緩んでいる。都市圏を中心に供給される賃貸住宅は、都市圏への人口流入が急減したために需要が増えなくなっている。人口密度の高い都市圏では新型コロナウイルスの感染者が多く、新たに流入してくる人が減ったのだ。 稼働率は急減し、高稼働率ゆえの賃料の値上げという従来の手法は、単身者向けを中心に終焉を迎えつつある。回復見込みは立っておらず、ワクチン接種が一定以上進まないと情勢は変わりそうにない。家賃が下がると不都合な人は賃貸オーナーだけではない。最もこれを憂慮するのは、日本銀行だったりする。 家賃は需給バランス、つまり稼働率や空室率と連動して決まる。しかし、不動産価格において需給バランスは限定的にしか影響しない。影響する場合は、在庫が少なくて、値上がりするときだけだ。 需給が緩いので価格が下がるという事態は、ほぼ起きたことない。それは、販売が長期化しても売る側が価格を下げずに我慢する体力があるからである。誰も好んで価格を下げる人はいない。 では、不動産価格はどうやって決まるか。それは、資金の流れで決まる。不動産を現金で買う人はほぼいない。大多数はローンを借りて購入している。会計が分かる人からすると、貸借対照表(バランスシート)の資産とほぼ同額の負債が乗ってくるものだ。 このローンが借りやすい状態であれば、不動産の取引が成立しやすい。だから、金融緩和をすると、不動産価格はインフレする。それが、アベノミクス以降、8年以上続いている。金融緩和している日銀は、そんなことは百も承知で異次元の金融緩和を続けているのである。 コロナショック後の不動産価格の高騰は、金融緩和されているところに需給バランスがひっ迫したので生じたといえる。そして日銀は、金融緩和による資産インフレは容認している。それ自体を狙っているわけではないが、遠回しに、この国にとっては悪くないと思っている。 資産を持っているのはその多くが高齢者で、膨れる資産が国の借金返済に寄与するからだ。しかし、それを目的に金融緩和をしているのではなく、あくまでも副作用のようなものでしかない。 日銀は、物価が上がり、インフレターゲット2%に届くことを目標にしていると何度となく明言している。だが、黒田東彦総裁の任期があと2年となり、8年も続けてきた金融緩和で目標達成をできそうにない。 そんな折に、住宅価格が値上がりして、買える人がかなり限定されるほど高くなった。その一方で、家賃は値下がりが始まっている。消費者物価指数には家賃が含まれているため、物価を押し下げ始めている。 ワクチン接種が済むまでは都市圏への人の流入は最小限に抑えられ、賃貸の需給は悪化を続けるだろう。2020年度の都区部の人口は流出超過で、出ていく人の方が多かった。こうなると、新築の供給戸数分だけ空室が発生する事態になる。家賃が需給バランスの悪化で安くなることは容易に予想される』、「都区部の人口は流出超過で、出ていく人の方が多かった・・・新築の供給戸数分だけ空室が発生する事態になる。家賃が需給バランスの悪化で安くなることは容易に予想」、その通りなのだろう。
・『「総量規制」を断行した日銀の過去を思う 欲を張らずに「頭と尻尾はくれてやれ」 異次元の金融緩和を続けてきたので、その逆である金融引き締めは容易ではない。特に、コロナ禍の不景気の中でそんなことをしたら、経済的に何が起きるか想像もできない。しかし日銀は過去にバブル景気を崩壊させるため、総量規制という不動産へのお金の流れを止めた過去を持つ。今回も不動産インフレを容認せず、賃貸市場の需給を緩めないようにするために金融引き締めをすることは考えられないだろうか。 例えば、都市圏で賃貸需要が減退している中、供給を抑制させて需給悪化を抑えることは、できなくはない。実際、スルガ銀行の不正融資前後から個人投資家への不動産投資資金はかなり厳しくなっている。その際は、日銀ではなく、金融庁が指図をしている。 今回も、主体的に金融を引き締めるのは金融庁である可能性が高い。その場合、何が都合が悪いのかというと、賃貸マンションを供給しているデベロッパーは分譲と賃貸が一体であり、お金の流れを賃貸だけ抑えるということが実行できるのか、注目しておかなければならない。 不動産へのお金の流れが潤沢になって8年がたつ。いつか終わるならば、そろそろそのリスクに備える必要がある。しかし悲しいかな、デベロッパーという業種は方向転換するのに2年はかかる。それは、用地仕入れから竣工まで、少なくともその程度の期間を要するからだ。 つまり、賃貸市場が崩れて、分譲市場が値上がりすると分かっても、2年後でないと対応できない。そこで考えるべきことは、売り手に有利な「売り時」は今から2年間の中でピークを迎える可能性があるということだ。 販売期間は約3カ月かかることを考えると、売却を決断するには、明らかにいい時期を迎えているといえる。不動産の価格が下落するときは、バブル崩壊の時もリーマンショックの時もそうだったが、ある日突然、「サドンデス」となり急落するものだ。 そんな不動産価格の特性を考えると、株式取引の格言である次の言葉を思い出す。 「頭と尻尾はくれてやれ」(注) 自宅で不労所得を得た金額は、「住まいサーフィン」の査定結果では平均2000万円を超えている。あまり欲張らずに利益確定して、賃貸に引っ越すのも悪くない。その時期は、すでに到来している』、なるほど。
(注)「頭と尻尾はくれてやれ」:「頭と尻尾はそれぞれ天井、底値を確認するためのコストと考え、買い逃がし、売り逃しをしないために積極的に無視しましょう(トレダビ)。
先ずは、本年5月25日付け東洋経済オンラインが掲載した 水ジャーナリストの橋本 淳司氏による「「日本の水が外国から狙われている」のは本当か 土地の所有者が、その地下水も所有できる実態」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/429632
・『日本の水資源が外国から狙われている――。こんな話を聞いたことがある人は少なくないだろう。実際、世界中で水不足が発生する中、世界各地で水争奪戦は激化している。 「自分が住んでいる地域は関係ない」と思うことなかれ。例えば、あなたが所有する土地の近くに誰かが土地を取得し、その誰かが外国資本だった場合、あなたが使う水にどんな影響があるだろうか』、興味深そうだ。
・『北海道の森林を買う外国勢 「都市伝説でしょ?」と言われていた、外国資本の土地買収が明らかになったのは、いまから10年以上も前のことだ。 2010年、北海道が外国資本による森林の売買状況の調査を行った。すると、道内の私有林7か所、計406ヘクタールがすでに外国資本に買われていた。1ヘクタールは100メートル×100メートルだから野球グラウンドくらいの大きさ。それが406個分買われていたのだ。 場所は、倶知安町とニセコ町が各2件、砂川市、蘭越町、日高町が各1件。購入者の内訳は、企業が4件(中国企業3件、英国企業1件)、個人が3件(オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールの3カ国)だった。 利用目的は、資産保有、牧草地用で、水目的とはされていなかったのだが、この時、北海道議会が政府に提出した意見書には、こう書かれていた。「我が国における現行の土地制度は、近年急速に進行している世界規模での国土や水資源の争奪に対して無力であると言わざるをえない」。 なぜ北海道議会は「土地を買われた」ことを「水資源の争奪」と解釈したのか。実は、森林を取得した場合、保安林等の法的規制がかかっていなければ、所有者は比較的自由に開発できる。木を伐採してもよいし、温泉を掘っても、地下水を汲み上げてもいいと考えられる。 日本の土地取引は所有者と購入希望者の合意で成立し、取得後の所有権は非常に強い。そして、民法第207条には、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と規定されている。法的には、土地の所有者に、その地下にある水の利用権があると解釈されている。 北海道議会の動きは、国や地方自治体に大きなインパクトを与えた。各地の市町村議会では「うちは大丈夫か?」といった行政への質問が相次いだ。議員は、「水源林が予想外の地権者に渡り、乱開発や過度の取水で住民の生活が脅かされるようになっては手遅れ。いますぐ手を打つ必要がある」と口を揃えた。 これに対して行政側は「現時点で外国資本による大規模な森林買収の動きは確認していない」とし、「事態に適切に対応するため組織を設置する」などと回答した』、「行政側」がこんな寝ぼけた対応をしているようでは心配だ。
・『外国人による土地取得の規制がない日本 日本には現状、安全保障上の懸念がある地域でも外国資本による土地取得の規制はなく、外国人であっても自由に所有可能だ。外国人が土地を所有できる国はアジアでは珍しい。共産圏である中国、ベトナムなどは外国人の土地所有を認めていないし、韓国、インド、シンガポールなどでは土地の所有は可能だが、いずれも条件つきとなる。 農水省が2010年から公表し始めた外資による山林買収状況によると(累計値)、2010年は43件、831ヘクタールだったのが、2020年には465件、7560ヘクタールと10年間で面積は9倍に拡大。農地は2018年から公表され、2020年は3件、47ヘクタールだ。 一見少ないが、日本人や日本法人をダミー的に登記名義人にしたケースや未届出のケースはカウントされていない。 また、太陽光発電、風力発電の用地(推定20万ヘクタール)の中にも外資分が相当あるが、こちらも詳細は不明だ。政府のこれまでの調査では、中国系資本が太陽光発電などのエネルギー事業者として買収にかかわったとみられる土地は、全国で約1700カ所に上る。リゾート開発なども含めた中国系資本が自衛隊施設などの周辺で土地買収にかかわったとみられる事例も約80カ所確認されている。 こうした中で、重要なのは「水は誰のものか」という問題だ。日本では、水は長らく「私のもの」と解釈されてきた。1896年の大審院の判決では、「地下水の使用権は土地所有者に付従するものであるから、土地所有者は自由に使用し得る」とされた。 1938年の大審院判決はさらに強く、「土地所有者はその所有権の効力として、その所有地を掘削して地下水を湧出させて使用することができ、たとえそのために水脈を同じくするほかの土地の湧水に影響を及ぼしても、その土地の所有者は、前者は地下水の使用を妨げることはできない」とされた』、「大審院判決」とは時代があまりに違い過ぎる。
・『法律が実態に即していない現状 だが、これは手掘り井戸で小規模な取水しかできなかった時代の話であり、揚水技術の発達した現代は明らかに状況が違う。 また、土地は動かないが、水は動いている。地下水は地面の下にじっと止まっているものではなく、所有外の土地から流れて、所有する土地を通過し、所有外の土地へと流れていく。だから土地所有者のものであるという考え方は、そもそも実態と異なっているのだ。 例えば、飲料水メーカーの取水口があるとしよう。このメーカーは自分の土地の下にある自分の水を汲み上げているわけではなく、自分の土地の下を流れる地域の共有財産を汲み上げていることになる。 こうした中、日本でも戦後になると、「私水論」を前提としながらも、公の立場から地下水の汲み上げや汚染を制限する考え方が登場した。1960年代には、地盤沈下問題を受け、「工業用水法」や「ビル用水法(建築物地下水の採取の規制に関する法律)」が、1970年代には「水質汚濁防止法」が制定された。ただし、これらは地盤沈下や水質汚染などを防止するもので、直接的に地下水を管理する法律ではない。 1970年代半ばには「地下水法案」も公水論をベースに提案されたが、地下水を利用する企業の反対、地下水を管理したい省庁間の綱引きなどから成立しなかった。 2014年に成立した水循環基本法では「水は国民共有の財産」と定められている。ただ、あくまで理念法であり、具体的に地下水の保全や活用について触れたものではない。 対策として独自に条例を設けている自治体もある。条例は2タイプに分けられる。1つは土地取引のルール、もう1つは地下水の保全や活用に関するルールだ。 土地取引のルールの代表は、北海道の「水資源の保全に関する条例」だろう。内容は、①水資源保全地域を指定、②指定された区域内の土地の権利を移転する場合には、土地所有者は契約の3カ月前までに届出を行わなくてはならない、というものだ。 地下水の保全や活用に関するルールの代表は、熊本県の「地下水保全条例」だろう。地下水を大口取水する事業者は知事の許可が必要としている。この条例は地下水を「私の水」ではなく「公共の水」であるとしていることが特徴で、地下水は水循環の一部であり、県民の生活、地域経済の共通の基盤である公共水であると明記されている』、「地下水法案」の復活も真剣に検討すべきだろう。
・『条例制定も容易ではない だが、条例制定に二の足を踏む自治体も多い。 問題は3つある。1つ目は、条例が適切かどうか。自治体としては、不適切な条例を作って、行政訴訟などのトラブルが起きるのは避けたい。2つ目は、自治体内が必ずしも一枚岩ではないこと。地下水保全を考えるグループがある一方で、地下水を資源として販売するなど積極的に活用したいグループがある。3つ目は、自治体間の調整。地下水の流れは自治体の垣根を超えるケースがあり、近隣自治体と考え方が違う場合にどう調整をつけるかなどに頭を悩ませている。 なかでも1つ目の「条例が適正かどうか」は大きな問題だ。「国に地下水に関する法律がないのに独自の規制をつくるのは不安」「行きすぎた規制をつくって行政訴訟になるのが怖い」というのが悩みだ。 土地取引ルールについて捕捉すると、前述の通り、日本には現在、土地取得に関して外資規制がなく、これを問題視する向きから「重要土地等調査法案」の審議が始まっている。自衛隊基地や国境離島など安全保障上重要な土地の利用を規制するというものだ。 法案は、防衛関係施設や原子力発電所、空港など重要インフラの周囲約1キロと国境離島を「注視区域」に指定。また、自衛隊の司令部や無人の国境離島など、特に重要な場所は「特別注視区域」と位置づけ、一定面積以上の土地取引について、当事者に氏名、国籍、利用目的の事前届け出を義務付ける。 現在、淡水は世界的に不足し、外国資本による地下水独占が住民の生活を脅かすケースが各地でおきている。今後は一層の水不足が懸念されており、同じ事態が日本で起こらない保証はまったくない。だから「外国資本が水を狙っている」という主張は理解できる』、なるほど。
・『地下水に関する一定のルールが必要 しかし、注意しなくてはならないのは、地下水を汲み上げ過ぎ、周辺に迷惑をかけるのは外国資本だけではない、ということだ。あらゆる利用者に、その可能性がある。 また、地下水があるのは森林などの水源地だけではない。地下水が大量にあるのはむしろ盆地や平野部だ。平野部では土地取引は活発に行われており、規制をかけるのも難しい。 外国資本に限らず、土地取得者による地下水濫用を避けるには、地下水に関する一定のルールが必要だろう。さまざまな議論があるなかで、今年3月、有識者で構成される水循環基本法フォローアップ委員会は「水循環基本法への地下水関連規定の追加に関する報告書」を、水制度改革議員連盟石原伸晃代表へ提出している。報告書では、地下水採取の制限を条例で定めることができる規定を条文に追加することについて提案している。 地下水の状況は地域ごとに異なるため、国が平均的なルールを作るより、自治体が主導して地元の状況にあったルール作りをすることが望ましい。そして、国はそれを後ろから支えるべきである。 たとえば、「地下水の見える化」だ。表流水と地表水の最大の違いは、目に見えるか、見えないか。地表水は人の目に触れるから実態把握が容易であり、課題がわかりやすい。一方で、地下水は実態把握が難しい。現状把握の調査について、国は支援すべきであろう。 さらに言えば、ゴールはルールをつくることではない。ルールができたあとの運用が大事だ。地域の地下水利用者が、それぞれ状況に応じて、保全しながら活用することだ』、「地下水の状況は地域ごとに異なるため、国が平均的なルールを作るより、自治体が主導して地元の状況にあったルール作りをすることが望ましい。そして、国はそれを後ろから支えるべきである」、その通りなのだろう。
次に、6月14日付けFRIDAY「野村不動産 「超高級タワマン」のトラブルに購入者が大激怒」を紹介しよう。
https://friday.kodansha.co.jp/article/185690
・『施工は清水建設、総戸数716戸で商業施設直結 ファミリー層に人気の再開発エリアに完成した「億ション」で大トラブル 設計図と違う! 耐火、耐水、防音設備に重大な欠陥があることが次々に判明 「私はサラリーマンとして働いて、30年以上かけて貯めてきたお金と退職金をつぎ込んで、8000万円以上のこのマンションを買いました。私も妻も60代後半なので、余生は都心から離れた場所に住みたいと思っていたんです。あの有名な不動産会社と建設会社が手掛けているから、間違いない物件だと安心していました。でも、それは大きな間違いでした。苦労して手に入れたタワマンは欠陥だらけだったんです……」 本誌の取材に答えた購入者のTさんはそう声を震わせた。 今、大規模な再開発が行われている東京都小金井市に聳(そび)える駅直結の超高級ツインタワーマンション『プラウドタワー武蔵小金井クロス』をめぐって大騒動が起きている。スーパーゼネコンの清水建設が施工を担当し、売り主は大手デベロッパーの野村不動産。総戸数は716戸で、価格は4LDKで最高1億9000万円だ。Tさんが言う。 「欠陥が明らかになったのは今年2月下旬でした。上階の足音がうるさいということで、管理組合の一人が民間検査会社の『日本建築検査研究所』に調査を依頼したんです。最初は防音設備にだけ問題があると思っていたのですが、調査で次々に他の欠陥も見つかったんです」 Tさんが本誌に提供した『建物調査報告書』は、全44ページにわたって重大な「施工不良」の実態を明らかにしていた。 本誌は調査を担当した建築検査士の岩山健一氏に取材を申し込み、話を聞いた。 「私が調査して見つかった欠陥は①防音設備 ②耐火設備 ③耐水設備の主に三つです。①については上下階の間にある二重床の支持脚(階を持ち上げるための脚)に遮音性のゴムが使われていない箇所が発見されました。その結果、音が響いてしまっていたんです。②は全戸に付いているメーターボックス内に使う石膏ボードの貼り方に問題がありました。石膏ボードを貼り付ける際に打つタッカー(留め金)の間隔が、国土交通大臣が定める基準を満たしていませんでした。 ここにはガスの配管などが入っています。ボードの固定が甘いと、発火した際に延焼が起きやすくなります。③はトイレ内の手洗い付近の壁には耐水石膏ボードを使用しなければいけないのに、普通の石膏ボードを使用していたんです。当然、湿気に弱くなり、腐食の原因になります」 3月27日には野村不動産と清水建設の責任者が同席して、説明会が開かれたが、Tさんの不信感は深まるばかりだったという。 「両社の責任者は、専門用語ばかりを並べた説明で購入者を困惑させたり、 『手元が暗くて確認が不十分だった』 『チェック項目から抜けていた』などと、呆(あき)れた言い訳を繰り返すばかりでした。補償についても、うやむやなままで、 『資産価値を守るため』と言って購入者に口止めもしました」 1週間後、両社はマンションの理事会で「施工不良」を認めて、購入者に謝罪したものの、住民の疑念は晴れていない』、「野村不動産」、「清水建設」と超一流の組み合わせなのに、信じられないような工事ミスだ。
・『「両社は『設計図通りに変更する』と言い、補償はこれから協議をしていく予定です。しかし、一度の調査でこれだけ問題が出てきたので、他にも重大な欠陥があるんじゃないかと不安が募(つの)るばかりです」(Tさん) 前出の岩山氏もこう指摘する。 「そもそも購入前に見せられていた設計図通りに工事が行われていなかったことが大問題です。手抜き工事も甚(はなは)だしいと言っていいと思います。欠陥が見つかった場所だけを調べて、問題を解決したというのは無理があるでしょう。とくに法令基準を満たしていない耐火設備に関しては、目視で確認できない部分があります。一度販売を中止して、他に欠陥がないか、未入居の部屋も解体するなどして、大規模な検査が行われるべきです」 しかし、驚くことに問題が解決していないにもかかわらず、野村不動産は物件の販売を続けているという。 一連の問題について野村不動産と清水建設に質問状を送付したところ、双方から次のような回答があった。 「個人資産に係ることであるため、コメントは差し控えさせていただきます」 購入者は日々の暮らしを脅(おびや)かされている。一刻も早い誠実な対応が求められる』、「法令基準を満たしていない耐火設備に関しては、目視で確認できない部分があります」、「問題が解決しいないにもかかわらず、野村不動産は物件の販売を続けているという」、コンプライアンスにはうるさい筈の「野村不動産」は、一体、どうなってしまったのだろう。
第三に、7月2日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したスタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタントの沖有人氏による「マンションはついに「売り時」、不動産バブルが潮時といえる理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/275468
・『マンションの「売り時」「買い時」というテーマはいつも、悩ましい。だが、日本銀行による金融緩和が長期化するも、物価目標が達成されない中、コロナ禍で都心の家賃相場が低迷している。となれば、不動産価格急落の「Xデー」に備えるべき状況が近づいていると考えるべきではないだろうか』、興味深そうだ。
・『今、売却した人は割高で大成功 戸建ても竣工前に売れてしまう コロナショックで経済的な大打撃はあったものの、不動産価格は大幅に高騰している。こうした不動産インフレが起こると、「今は買い時か?」「今は売り時か?」の議論が盛んになる。高騰はいつまでも続かない。だからこそ、潮目の変わるタイミングはとても重要になってくる。 先日、相談を受けていた方が、新築マンションの契約申し込みをし、現在の自宅を相場よりも高く売ることに成功した。相場が高騰している中、割安な価格で販売中だった新築マンションの申し込みが急増していることや、中古マンションが高値で飛ぶように売れていく様を見て決断したということだ。今でも絶妙なタイミングでの英断だったと思う。相場は高いが、買うときは割安に、売るときは割高に取引することはいつでもできるものだ。 マンション価格の高騰は、中古価格の値上がりが顕著で、1年前と比較して1~2割上がっている。その主たる要因は金融緩和だが、それは後述する。加えて、巣ごもり時間が長く、リモートワークとリモート授業が多いために、「もう1部屋需要」が明確であることで家を探している人が増えている。需要が急増しても供給は急には増やせないため、在庫が急速に減少しているのだ。 その結果、新築マンションは期を追うごとに値上がりするという、これまでにないことが起きている。通常、1期目に売り出されるものが人気住戸で、期が進むほど不人気住戸が残り、最後は値引きを行うのが常であったことを考えると、今の需要過多ぶりがよく分かる。 戸建てでも同じことが起きている。新築分譲戸建ては売れ行きが良過ぎて、値下げ幅が大幅に縮小し、着工直後に売り出されるものの、竣工するまでに売れてしまうことが多い』、「新築マンションは期を追うごとに値上がりするという、これまでにないことが起きている」、「新築分譲戸建ては売れ行きが良過ぎて、値下げ幅が大幅に縮小し・・・竣工するまでに売れてしまうことが多い」、ともに絶好調のようだ。
・『コロナ禍で悪化しているのは賃貸市場 日銀が家賃下落を憂慮する理由 住宅の中でも、持ち家市場は価格が高騰しているが、賃貸市場は需給が大幅に緩んでいる。都市圏を中心に供給される賃貸住宅は、都市圏への人口流入が急減したために需要が増えなくなっている。人口密度の高い都市圏では新型コロナウイルスの感染者が多く、新たに流入してくる人が減ったのだ。 稼働率は急減し、高稼働率ゆえの賃料の値上げという従来の手法は、単身者向けを中心に終焉を迎えつつある。回復見込みは立っておらず、ワクチン接種が一定以上進まないと情勢は変わりそうにない。家賃が下がると不都合な人は賃貸オーナーだけではない。最もこれを憂慮するのは、日本銀行だったりする。 家賃は需給バランス、つまり稼働率や空室率と連動して決まる。しかし、不動産価格において需給バランスは限定的にしか影響しない。影響する場合は、在庫が少なくて、値上がりするときだけだ。 需給が緩いので価格が下がるという事態は、ほぼ起きたことない。それは、販売が長期化しても売る側が価格を下げずに我慢する体力があるからである。誰も好んで価格を下げる人はいない。 では、不動産価格はどうやって決まるか。それは、資金の流れで決まる。不動産を現金で買う人はほぼいない。大多数はローンを借りて購入している。会計が分かる人からすると、貸借対照表(バランスシート)の資産とほぼ同額の負債が乗ってくるものだ。 このローンが借りやすい状態であれば、不動産の取引が成立しやすい。だから、金融緩和をすると、不動産価格はインフレする。それが、アベノミクス以降、8年以上続いている。金融緩和している日銀は、そんなことは百も承知で異次元の金融緩和を続けているのである。 コロナショック後の不動産価格の高騰は、金融緩和されているところに需給バランスがひっ迫したので生じたといえる。そして日銀は、金融緩和による資産インフレは容認している。それ自体を狙っているわけではないが、遠回しに、この国にとっては悪くないと思っている。 資産を持っているのはその多くが高齢者で、膨れる資産が国の借金返済に寄与するからだ。しかし、それを目的に金融緩和をしているのではなく、あくまでも副作用のようなものでしかない。 日銀は、物価が上がり、インフレターゲット2%に届くことを目標にしていると何度となく明言している。だが、黒田東彦総裁の任期があと2年となり、8年も続けてきた金融緩和で目標達成をできそうにない。 そんな折に、住宅価格が値上がりして、買える人がかなり限定されるほど高くなった。その一方で、家賃は値下がりが始まっている。消費者物価指数には家賃が含まれているため、物価を押し下げ始めている。 ワクチン接種が済むまでは都市圏への人の流入は最小限に抑えられ、賃貸の需給は悪化を続けるだろう。2020年度の都区部の人口は流出超過で、出ていく人の方が多かった。こうなると、新築の供給戸数分だけ空室が発生する事態になる。家賃が需給バランスの悪化で安くなることは容易に予想される』、「都区部の人口は流出超過で、出ていく人の方が多かった・・・新築の供給戸数分だけ空室が発生する事態になる。家賃が需給バランスの悪化で安くなることは容易に予想」、その通りなのだろう。
・『「総量規制」を断行した日銀の過去を思う 欲を張らずに「頭と尻尾はくれてやれ」 異次元の金融緩和を続けてきたので、その逆である金融引き締めは容易ではない。特に、コロナ禍の不景気の中でそんなことをしたら、経済的に何が起きるか想像もできない。しかし日銀は過去にバブル景気を崩壊させるため、総量規制という不動産へのお金の流れを止めた過去を持つ。今回も不動産インフレを容認せず、賃貸市場の需給を緩めないようにするために金融引き締めをすることは考えられないだろうか。 例えば、都市圏で賃貸需要が減退している中、供給を抑制させて需給悪化を抑えることは、できなくはない。実際、スルガ銀行の不正融資前後から個人投資家への不動産投資資金はかなり厳しくなっている。その際は、日銀ではなく、金融庁が指図をしている。 今回も、主体的に金融を引き締めるのは金融庁である可能性が高い。その場合、何が都合が悪いのかというと、賃貸マンションを供給しているデベロッパーは分譲と賃貸が一体であり、お金の流れを賃貸だけ抑えるということが実行できるのか、注目しておかなければならない。 不動産へのお金の流れが潤沢になって8年がたつ。いつか終わるならば、そろそろそのリスクに備える必要がある。しかし悲しいかな、デベロッパーという業種は方向転換するのに2年はかかる。それは、用地仕入れから竣工まで、少なくともその程度の期間を要するからだ。 つまり、賃貸市場が崩れて、分譲市場が値上がりすると分かっても、2年後でないと対応できない。そこで考えるべきことは、売り手に有利な「売り時」は今から2年間の中でピークを迎える可能性があるということだ。 販売期間は約3カ月かかることを考えると、売却を決断するには、明らかにいい時期を迎えているといえる。不動産の価格が下落するときは、バブル崩壊の時もリーマンショックの時もそうだったが、ある日突然、「サドンデス」となり急落するものだ。 そんな不動産価格の特性を考えると、株式取引の格言である次の言葉を思い出す。 「頭と尻尾はくれてやれ」(注) 自宅で不労所得を得た金額は、「住まいサーフィン」の査定結果では平均2000万円を超えている。あまり欲張らずに利益確定して、賃貸に引っ越すのも悪くない。その時期は、すでに到来している』、なるほど。
(注)「頭と尻尾はくれてやれ」:「頭と尻尾はそれぞれ天井、底値を確認するためのコストと考え、買い逃がし、売り逃しをしないために積極的に無視しましょう(トレダビ)。
タグ:「地下水の状況は地域ごとに異なるため、国が平均的なルールを作るより、自治体が主導して地元の状況にあったルール作りをすることが望ましい。そして、国はそれを後ろから支えるべきである」、その通りなのだろう。 「問題が解決しいないにもかかわらず、野村不動産は物件の販売を続けているという」、コンプライアンスにはうるさい筈の「野村不動産」は、一体、どうなってしまったのだろう。 (その7)(「日本の水が外国から狙われている」のは本当か 土地の所有者が、その地下水も所有できる実態、野村不動産 「超高級タワマン」のトラブルに購入者が大激怒、マンションはついに「売り時」 不動産バブルが潮時といえる理由) 「行政側」がこんな寝ぼけた対応をしているようでは心配だ。 「「日本の水が外国から狙われている」のは本当か 土地の所有者が、その地下水も所有できる実態」 不動産 あまり欲張らずに利益確定して、賃貸に引っ越すのも悪くない。その時期は、すでに到来している ダイヤモンド・オンライン 橋本 淳司 「地下水法案」の復活も真剣に検討すべきだろう。 (注)「頭と尻尾はくれてやれ」:「頭と尻尾はそれぞれ天井、底値を確認するためのコストと考え、買い逃がし、売り逃しをしないために積極的に無視しましょう(トレダビ)。 「野村不動産 「超高級タワマン」のトラブルに購入者が大激怒」 FRIDAY 「野村不動産」、「清水建設」と超一流の組み合わせなのに、信じられないような工事ミスだ。 「マンションはついに「売り時」、不動産バブルが潮時といえる理由」 東洋経済オンライン 「都区部の人口は流出超過で、出ていく人の方が多かった・・・新築の供給戸数分だけ空室が発生する事態になる。家賃が需給バランスの悪化で安くなることは容易に予想」、その通りなのだろう。 「新築マンションは期を追うごとに値上がりするという、これまでにないことが起きている」、「新築分譲戸建ては売れ行きが良過ぎて、値下げ幅が大幅に縮小し・・・竣工するまでに売れてしまうことが多い」、ともに絶好調のようだ。 沖有人 「大審院判決」とは時代があまりに違い過ぎる。