コンビニ(その9)(コンビニの年始フル営業支える「助っ人」の正体 コロナ禍で24時間営業問題の弱点はかなり改善、「か・け・ふ」でファミマはどこまで強くなれるか 伊藤忠の「大エース」が担う改革の重責、セブン&アイ、井阪体制6年目でみえた「大変化」 当初予定から1年遅れで中期経営計画が発表に) [産業動向]
コンビニについては、昨年9月30日に取上げた。今日は、(その9)(コンビニの年始フル営業支える「助っ人」の正体 コロナ禍で24時間営業問題の弱点はかなり改善、「か・け・ふ」でファミマはどこまで強くなれるか 伊藤忠の「大エース」が担う改革の重責、セブン&アイ、井阪体制6年目でみえた「大変化」 当初予定から1年遅れで中期経営計画が発表に)である。
先ずは、昨年12月29日付け東洋経済オンラインが掲載した ツナグ働き方研究所 所長の平賀 充記氏による「コンビニの年始フル営業支える「助っ人」の正体 コロナ禍で24時間営業問題の弱点はかなり改善」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/399864
・『「コロナ禍のなか、一生懸命働いてくれた従業員をねぎらいたい」 首都圏で展開するスーパーのサミットは、正月三が日を休業とすることを決めました。サミットの三が日休業は33年ぶりです。1都3県で132店を展開するいなげやも、商業施設や郊外立地店舗など17店を除き、三が日は休む方針。元日休業する大手で目立つのはイオンぐらいです。 スーパーマーケット業界では、年末年始を休業や時短営業に切り替える動きが広がっています。中小スーパーの業界団体が加盟約1500店舗を対象に実施した正月の休業計画の調査によると、元日休業が77%、元日と2日の休業は42%、例年ほとんど見られなかった元日から3日までの休業は23%にのぼっています。業界団体幹部はよると「例年だと三が日休業の企業は1割にも満たなかった」とのこと』、「三が日休業の企業」が23%と、例年比倍増したのはいいことだ。
・『コンビニは正月も休まない これまで、スーパーは年中無休のコンビニに対抗するため元日のみ休業が大半でした。ここ数年は、空前の人出不足と働き方改革の流れから休業が増えていましたが、この年末年始は、コロナ禍というまったく違う理由ながら、さらに休業が加速することとなりました。 一方で、コンビニ各社の動向は逆です。なんと昨年より通常営業に近いかたちとなりそうなのです。今年の年始に50店で休業、時短営業を実施したセブン-イレブン・ジャパンは今回は原則として通常通りに営業する予定です。 ファミリーマートも、休暇を希望した店舗には本部社員がオーナーの業務を代行し負担を軽減する措置をとりつつ、通常営業を続ける方針です。ローソンでは、昨年から今年にかけての年末年始に、全国102のフランチャイズ店で休業実験を行っていました。今年も本部に相談があったフランチャイズ加盟店を対象に、全国の85店舗ほどで年末年始に時短営業や休業を実施します。ただ昨年より実施店舗は少なく、全店舗の1%未満です。) 思い起こせば、感染が拡大する直前の今年2月頃までは「24時間営業問題」といわれるくらい、その是非について議論されていましたが、新型コロナウイルス騒ぎですっかり話題から消えました。4月以降、アルバイト先の飲食店が営業自粛になり、生活費を稼ぐことがままならなくなった学生などが、コンビニの求人に飛びつくようにして応募しているのです。 ローソンが今年5月、東京都墨田区の新店開業で求人募集を行ったときの応募数は、なんと340人。募集予定数は20人程度だったため、倍率は実に17倍にも及びます。既存店を含めた自社の求人サイトを通じた応募総数は、4月は前年同月比で約3倍、5月以降も4~7割増という高い水準で推移しているとのこと。セブンやファミマも状況は同じで、8月は両社とも求人応募数が前年同月比で約2倍に膨らんでいるのです。 今年10月の有効求人倍率をみるとコンビニ業界は1.38倍。昨年同時期の2.54倍から大きく低下しています。働きたい人ひとりあたりにいくつの仕事があるかを示すこの指標からも、確かにコンビニ業界の慢性的な人出不足が解消されつつあるように見えます。コロナ第3波によって、飲食店などの閉店ラッシュが進むことになれば、仕事を求めてコンビニに人が集まるという状況がさらに強まるでしょう。コンビニ各社が、年末年始を休まず営業するという強気の決断をできた背景もそこにあります』、「4月以降、アルバイト先の飲食店が営業自粛になり、生活費を稼ぐことがままならなくなった学生などが、コンビニの求人に飛びつくようにして応募している」、「コンビニ各社が、年末年始を休まず営業するという強気の決断をできた背景」、なるほど。
・『全体的な数字は改善だが局所的に問題は残る ただ、こうしたデータは、あくまでも全体的な概観を示すものです。言ってみれば大手コンビニ3社の本部サイドからみた景色です。 そもそも過疎地域では、構造的な採用難に喘ぎ続けています。繁華街にある店舗は、コロナ禍によって都心に通うリスクが生じたことから採用に大苦戦しています。外国人留学生にも頼りづらい状況で、特に深夜のシフトを埋める人材が枯渇しがちです。 人が集まる地域集まらない地域、人が集まる時間帯集まらない時間帯といった“格差”は、採用環境がある程度改善されたとしても消えずに残っています。いまだ埋まらないシフトは日本全国のいたるところに存在するわけです。一店舗一店舗を経営するFCオーナーには、人によってまったく違う景色が見えているはず。 それだけではありません。従業員の勤務時間を調整する際に発覚する「シフトの穴問題」もあります。急に欠勤する従業員もいます。こうした突発的に発生する人出不足への対応は、依然として悩ましい問題なのです。 採用難店舗、採用難時間、突発的なシフトの穴――。こうした突発的に発生する人手不足を埋めている働き手が、実はいまコンビニ業界を席巻しています。 それがコンビニジョブホッパーです。コンビニ経験者が、ひとつの店舗に雇われるのではなく、いろいろな店舗を渡り歩きながら働くというワークスタイル。自分の都合に合わせ稼ぐウーバーイーツなどと似ていることもあり、コンビニ業界版ギグワーカーというほうがわかりやすいかもしれません』、「コンビニジョブホッパー」が、「突発的に発生する人手不足を埋めている働き手」として新たに登場したとはたくましいものだ。
・『面接なしで採用、いつでもどこでも働ける 「コンビ二ってどこにでもありますよね。経験があると面接なしで採用してもらえるのでラクです。しばらくは、こういう生き方もありかなぁと」 「人間関係が苦手なんで雇われないほうが気楽です。働きたい時にすぐ働けるし」 「コロナで給料減った分、学生時代の経験を生かしてコンビニで副業やってます。本業じゃないから、ある程度家から近いならどの店でもいいし」 「この働き方だと、日本全国のコンビニで働きながら旅できるな、とか妄想したこともあります(笑)」 彼らに取材すると、こうした声がズラリと返ってきました。 なぜ、このような働き方がコンビニ業界で広まってきたのか。 その背景には業界の特性が大きく影響しています。コンビニは日本全国に約5万5000店舗もあり、そもそも雇用の受け皿が大きい。しかも3大チェーンで寡占しているマーケットで、業務内容がある程度共通化されています。もちろんレジなどの基幹システムは違いますし、個々のFCオーナーが独自ルールを定めていたりもします。しかし相対的にはポータブルスキル(=他の職場でも生かせるスキル)が発揮しやすい業容なのです。 セブンで働いた経験者ならセブンですぐに働けるし、セブンで働いた経験者がローソンで働くという他社店舗への鞍替えも比較的容易なのです。 これは裏を返すと雇う側の利点につながっています。コンビニ経験者であれば(もし他社店舗経験者であっても)、ある程度戦力として計算できます。面接をすっ飛ばして採用できるので、急に空いたシフトをタイムリーに埋めてもらうことができます。24時間365日のシフトを担保しなければならないコンビニ店舗にとっては、採用までのシンプルさとスピード感は極めて貴重です』、「コンビニ経験者であれば(もし他社店舗経験者であっても)、ある程度戦力として計算できます。面接をすっ飛ばして採用できるので、急に空いたシフトをタイムリーに埋めてもらうことができます」、確かに「コンビニ店舗にとっては」ありがたい存在だ。
・『細切れかつオンデマンドな働き方に対応進む こうしたコンビニ店舗の思惑をサポートするテクノロジーも進化しています。テレビCMでも知名度をあげたタイミーやショットワークスといったメディアの台頭によって、スキマ時間のマッチングが一般化してきました。電子雇用契約や給与支払いシステムが広まっていったことも、“細切れ”かつ“オンデマンド”な働き方の普及に一役買っています。 コンビニに人が集まりやすくなって、店舗のレギュラーメンバーに不足はなくなったとしても、主戦力である主婦やシニアのなかには、年末年始に働くことを躊躇する人も少なくありません。結局のところ、そうした人たちが休むシフトの穴を埋めてくれる人が必須なのです。そういった意味では、コンビニ各社が年末年始に営業できるのは、コンビニ版ギグワーカーという“助っ人”がいるからなのです。 この年末年始、スーパーが軒並み休業するなかで、コンビニ業界がフル稼働してくれるのは、生活インフラの観点からすればありがたい話です。大袈裟ではなく、“助っ人”ギグワーカーがウイズコロナの正月三が日を支えます』、「タイミーやショットワークスといったメディアの台頭によって、スキマ時間のマッチングが一般化してきました。電子雇用契約や給与支払いシステムが広まっていったことも、“細切れ”かつ“オンデマンド”な働き方の普及に一役買っています」、こんなイノベーションも「コンビニ版ギグワーカー」を支えているようだ。
次に、1月23日付け東洋経済Plus「「か・け・ふ」でファミマはどこまで強くなれるか 伊藤忠の「大エース」が担う改革の重責」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/25994
・『2016年9月にサークルKサンクスと合併したファミリーマート。伊藤忠商事によるTOB後に社長交代が決まり、いよいよ改革が本格化する。合併後にファミマはどう変わってきたのか。過去の社長インタビューや記事も交えて改革の行方を探る。「2021年はファミリーマート40周年という重要な節目の年。新たな体制でよりよい会社にしていくため、社長交代を決めた」。1月18日の会見で、ファミリーマートの澤田貴司社長はそう語った。 今年3月から社長に就くのが、「(伊藤忠商事の)大エース」(澤田社長)である細見研介氏(58)だ。細見氏は伊藤忠入社後、約30年間にわたり繊維部門を歩んだ。過去にはアメリカのバッグブランド「レスポートサック」の全世界の商標権使用について競合に決まりかけていた中、3年越しの交渉で獲得した功績がある。 その後、細見氏は食品流通部門長を経て、新たなビジネス創出を目的として2019年に新設された「第8カンパニー」のプレジデントに就任。この新組織に課されていたのが、伊藤忠傘下のファミマ改革だった。岡藤正広会長CEOの「懐刀」とされる細見氏は、王者セブン-イレブンに水をあけられているファミマの改革加速に向けて送り込まれた格好だ。 社長交代会見で細見新社長は「eコマースをはじめとする他業態との競争の激化に加え、デジタル化とコロナ禍の深刻化で人々のライフスタイルが急速に変化している。まさに嵐の中の船出だが、次の40年の持続的な成長に向けて確実に一歩を踏み出し、礎を築くのが私の使命」と語った。 今回の社長交代に合わせて役員も大幅に入れ替わる。4人の社外取締役は2月28日付けですべて退任する。そして、8人の社内取締役のうち、コンビニ業界出身の2人に代わって伊藤忠から2人が加わり、4月からは髙柳浩二会長、細見氏など6人が伊藤忠出身者となる。 では、細見氏はどのようにファミマを舵取りしていくのか。 細見氏は伊藤忠商事の「か・け・ふ」という商売の三原則を引き合いに、「『稼ぐ・削る・防ぐ』の3つに分けて課題を早急に明確化していく」と説明。中でも「1丁目1番地」として挙げたのが、デジタル技術を駆使したコスト削減で、サプライチェーンの再構築に着手しているという。 国内で1.6万店を構えるファミマの商品の粗利益率は30.4%である一方、2.1万店のセブン(32%)、1.4万店と店舗数ではファミマの後塵を拝するローソン(31.1%)にも劣る(いずれも2020年3月~11月期)。 伊藤忠は昨年のTOB(株式公開買い付け)でファミマを取り込んだことで、一体化が加速する。例えば、ファミマの物流は伊藤忠商事の完全子会社である日本アクセスが多くを担うが、ここでの効率化(削る)があるだろう。それだけでなく、ファミマ向けの弁当などを作る製造業者との関係も改めて強化し、ライバルに劣るとされる商品開発力をいかに高めるかも重要だ。 1日の来店客数1500万を基盤としたデータの活用もカギを握る。細見氏は「デジタル化の進展で購買情報が大きく蓄積されてくる。それを利用し、さまざまなパートナーと組みながら新しい事業を創出していく」としている』、「伊藤忠」色を前面に出した「細見」新体制の課題も多そうだ。
・『「2021年問題」という難所 もっとも、「か・け・ふ」を推し進めるに当たり、難所が待ち構えている。一部のファミマ加盟店オーナーが「2021年問題」と名付けて懸念する課題だ。 2016年9月にサークルKサンクスと合併したファミマは、サークルKサンクス約5000店をブランド転換してきた。転換時に元サークルKサンクスの加盟店オーナーの多くはファミマと5年間の契約を結んでおり、初回の契約更新が2021年秋から始まる。 サークルKサンクスから転換したファミマのある加盟店オーナーは、「サークルKサンクスは加盟店と本部が一緒に伸びていこうという共存共栄の姿勢だったが、ファミマではその姿勢が感じられず残念」と不満を口にする。十分な利益を得られないなど、本部が加盟店の不満を解消できなければ、21年以降の契約を更新しない加盟店オーナーが大量に現れかねない。 この点について澤田社長は、「(2020年3月に新設した)店舗再生本部でいったん直営化してから(別のオーナーの加盟店とすることで)加盟店に戻すパターンもあるし、複数店に対する支援も行うよう契約を見直している。十分準備は整っており実行段階にある」と1月18日の会見で説明した。 別の加盟店オーナーは、「大量の契約更新が迫っているだけに、(社長に就く細見氏は)最初の1年が最も重要」と指摘する。伊藤忠から送り込まれた大エースは、加盟店との信頼関係を維持し、現在の1.6万店という規模のまま「強いファミマ」へ変えられるのか。社長就任早々、その経営手腕が試されそうだ』、「2021年問題」では「サークルKサンクスから転換したファミマのある加盟店」が契約を更新しないリスクをどの程度抑えられるか、新社長の腕が試されそうだ。
第三に、7月7日付け東洋経済オンライン「セブン&アイ、井阪体制6年目でみえた「大変化」 当初予定から1年遅れで中期経営計画が発表に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/439190
・『「(目標を)達成すべく必死になって進めていきたい」。2021~2025年度の中期経営計画を7月1日に発表したセブン&アイ・ホールディングス(HD)。井阪隆一社長は強い覚悟でそう語った。 新たな計画の最大の特徴は、北米を成長の源と位置付けた点だ。営業キャッシュフロー(金融事業を除く)の計画数値からは、それが鮮明に見える。2019年度のセブン&アイ・HDの営業キャッシュフローは4774億円。そのうち、北米コンビニ事業の占める比率は約3割だった。2025年度には同キャッシュフローを8000億円に拡大させ、その半分の4000億円を海外で稼ぎ出す計画だ。 なお利益指標については、会社全体のEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)のみを示した。2020年度の6268億円から2025年度には1兆円以上に伸ばすとしている』、「営業キャッシュフロー」の「半分の4000億円を海外で稼ぎ出す計画」、買収した米国の子会社にそんな力があるのだろうか。
・『「千載一遇のチャンス」が到来 海外コンビニ事業の牽引役は、アメリカのセブン-イレブンとなる。今年5月には、現地の石油精製会社であるマラソン・ペトロリアムから、「スピードウェイ」を中心とするコンビニ事業を210億ドル(約2.3兆円)で買収。北米におけるセブンの店舗は買収前の9500店から1万3000店になる。スピードウェイはアメリカで店舗数3位。同1位だった米セブンの地位は強固なものになる。 ホットドッグなど好採算商品の販売拡大で、収益性の向上も狙う。弁当など中食の販売で成長してきた日本での成功モデルを輸入する格好だ。買収3年目で見込めるシナジーはEBITDAベースで、5.25億ドル~6.25億ドル(約570億~680億円)。「スピードウェイとの統合は千載一遇のチャンス」と、井阪社長が大きな期待を寄せるのもうなずける。 一方の国内事業についても、新たな計画ではこれまでとの変化が見て取れる。グループの総合力強化を打ち出した点だ。その方針は「グループ食品戦略」に表れている。 セブン&アイ・HDの2020年度の国内売上高7兆4600億円のうち、食品は6割以上を占める重要分野だ。そこで今後は、グループ全体でミールキット(食材セット)などの商 品強化に取り組む。イトーヨーカ堂や国内セブンなどの各社で共同利用するセントラルキッチンや物流センターなどを開設し、効率化を図る。 セブン&アイ・HDは傘下にコンビニから総合スーパーまで多様な業態を持つ。その強みと規模のメリットを生かす考えだ。) 前回の2017~2019年度の中期経営計画は、国内事業の「止血」に軸足を置いたものだった。特にイトーヨーカ堂や百貨店のそごう・西武は、投資効率の低さが問題視され、前中期計画以降に閉店が進んだ。 イトーヨーカ堂の店舗は、2016年度初めの182店から2020年度末には132店へと減った。減少分には、同じセブン&アイグループのヨークに移管した「食品館」などの20店も含むが、イトーヨーカ堂の三枝富博社長は、今年2月の東洋経済の取材で「止血としての閉店は8割方できた」と話した。2016年度初めに23店あったそごう・西武も、店舗譲渡や閉店を経て、直近では10店まで減少した』、「止血としての閉店は8割方できた」ということは、まだ「2割方」の「閉店」はありそうだ。
・『見えにくい「成長の方程式」 国内事業の止血にメドがついたことで、新たな中期経営計画では成長戦略を前面に押し出した形だ。しかし、「アメリカのコンビニで中食を伸ばす」と目標が明快な海外事業と異なり、国内の各事業は「成長の方程式」が見えにくい。 そうなったのは、やはり国内事業が成長の決め手に欠けているからだろう。2010年代の大半の時期は、コンビニを多く出店することで国内でも成長できた。今でも国内コンビニ事業が稼ぎ頭であることに変わりはないが、出店拡大による成長余地は限られている。新たな中期経営計画でも、国内の出店についてはほぼ言及していない。 加えてコロナ禍で事業環境が激変。「個々の事業では十分な変化対応ができない」(井阪社長)とわかり、「横の連携やシナジーを上げる仕組みが足りなかった」(同)との反省にたった。 そこで新たな中期経営計画ではグループの総合力強化という全体最適策を採ることにした。個の力で成長を描くのは困難なため、各社の連携で弱みをカバーしようというわけだ。 だが、成長期待のまだ残るコンビニ事業に経営資源を集中すべきだと主張する声は依然根強い。アメリカのも「であるバリューアクトも今年5月、セブン&アイ・HDは事業を選別すべきだと示唆するコメントを発表した。 北米など海外だけでなく、国内事業でも成長する未来を示せるか。それができなければ、株主から注がれる視線は一段と厳しくなるだろう』、「国内事業でも成長する未来を示せるか」、これまで示せていないだけに、今後「物言う株主」からの要求は一段と厳しくなる可能性がありそうだ。
先ずは、昨年12月29日付け東洋経済オンラインが掲載した ツナグ働き方研究所 所長の平賀 充記氏による「コンビニの年始フル営業支える「助っ人」の正体 コロナ禍で24時間営業問題の弱点はかなり改善」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/399864
・『「コロナ禍のなか、一生懸命働いてくれた従業員をねぎらいたい」 首都圏で展開するスーパーのサミットは、正月三が日を休業とすることを決めました。サミットの三が日休業は33年ぶりです。1都3県で132店を展開するいなげやも、商業施設や郊外立地店舗など17店を除き、三が日は休む方針。元日休業する大手で目立つのはイオンぐらいです。 スーパーマーケット業界では、年末年始を休業や時短営業に切り替える動きが広がっています。中小スーパーの業界団体が加盟約1500店舗を対象に実施した正月の休業計画の調査によると、元日休業が77%、元日と2日の休業は42%、例年ほとんど見られなかった元日から3日までの休業は23%にのぼっています。業界団体幹部はよると「例年だと三が日休業の企業は1割にも満たなかった」とのこと』、「三が日休業の企業」が23%と、例年比倍増したのはいいことだ。
・『コンビニは正月も休まない これまで、スーパーは年中無休のコンビニに対抗するため元日のみ休業が大半でした。ここ数年は、空前の人出不足と働き方改革の流れから休業が増えていましたが、この年末年始は、コロナ禍というまったく違う理由ながら、さらに休業が加速することとなりました。 一方で、コンビニ各社の動向は逆です。なんと昨年より通常営業に近いかたちとなりそうなのです。今年の年始に50店で休業、時短営業を実施したセブン-イレブン・ジャパンは今回は原則として通常通りに営業する予定です。 ファミリーマートも、休暇を希望した店舗には本部社員がオーナーの業務を代行し負担を軽減する措置をとりつつ、通常営業を続ける方針です。ローソンでは、昨年から今年にかけての年末年始に、全国102のフランチャイズ店で休業実験を行っていました。今年も本部に相談があったフランチャイズ加盟店を対象に、全国の85店舗ほどで年末年始に時短営業や休業を実施します。ただ昨年より実施店舗は少なく、全店舗の1%未満です。) 思い起こせば、感染が拡大する直前の今年2月頃までは「24時間営業問題」といわれるくらい、その是非について議論されていましたが、新型コロナウイルス騒ぎですっかり話題から消えました。4月以降、アルバイト先の飲食店が営業自粛になり、生活費を稼ぐことがままならなくなった学生などが、コンビニの求人に飛びつくようにして応募しているのです。 ローソンが今年5月、東京都墨田区の新店開業で求人募集を行ったときの応募数は、なんと340人。募集予定数は20人程度だったため、倍率は実に17倍にも及びます。既存店を含めた自社の求人サイトを通じた応募総数は、4月は前年同月比で約3倍、5月以降も4~7割増という高い水準で推移しているとのこと。セブンやファミマも状況は同じで、8月は両社とも求人応募数が前年同月比で約2倍に膨らんでいるのです。 今年10月の有効求人倍率をみるとコンビニ業界は1.38倍。昨年同時期の2.54倍から大きく低下しています。働きたい人ひとりあたりにいくつの仕事があるかを示すこの指標からも、確かにコンビニ業界の慢性的な人出不足が解消されつつあるように見えます。コロナ第3波によって、飲食店などの閉店ラッシュが進むことになれば、仕事を求めてコンビニに人が集まるという状況がさらに強まるでしょう。コンビニ各社が、年末年始を休まず営業するという強気の決断をできた背景もそこにあります』、「4月以降、アルバイト先の飲食店が営業自粛になり、生活費を稼ぐことがままならなくなった学生などが、コンビニの求人に飛びつくようにして応募している」、「コンビニ各社が、年末年始を休まず営業するという強気の決断をできた背景」、なるほど。
・『全体的な数字は改善だが局所的に問題は残る ただ、こうしたデータは、あくまでも全体的な概観を示すものです。言ってみれば大手コンビニ3社の本部サイドからみた景色です。 そもそも過疎地域では、構造的な採用難に喘ぎ続けています。繁華街にある店舗は、コロナ禍によって都心に通うリスクが生じたことから採用に大苦戦しています。外国人留学生にも頼りづらい状況で、特に深夜のシフトを埋める人材が枯渇しがちです。 人が集まる地域集まらない地域、人が集まる時間帯集まらない時間帯といった“格差”は、採用環境がある程度改善されたとしても消えずに残っています。いまだ埋まらないシフトは日本全国のいたるところに存在するわけです。一店舗一店舗を経営するFCオーナーには、人によってまったく違う景色が見えているはず。 それだけではありません。従業員の勤務時間を調整する際に発覚する「シフトの穴問題」もあります。急に欠勤する従業員もいます。こうした突発的に発生する人出不足への対応は、依然として悩ましい問題なのです。 採用難店舗、採用難時間、突発的なシフトの穴――。こうした突発的に発生する人手不足を埋めている働き手が、実はいまコンビニ業界を席巻しています。 それがコンビニジョブホッパーです。コンビニ経験者が、ひとつの店舗に雇われるのではなく、いろいろな店舗を渡り歩きながら働くというワークスタイル。自分の都合に合わせ稼ぐウーバーイーツなどと似ていることもあり、コンビニ業界版ギグワーカーというほうがわかりやすいかもしれません』、「コンビニジョブホッパー」が、「突発的に発生する人手不足を埋めている働き手」として新たに登場したとはたくましいものだ。
・『面接なしで採用、いつでもどこでも働ける 「コンビ二ってどこにでもありますよね。経験があると面接なしで採用してもらえるのでラクです。しばらくは、こういう生き方もありかなぁと」 「人間関係が苦手なんで雇われないほうが気楽です。働きたい時にすぐ働けるし」 「コロナで給料減った分、学生時代の経験を生かしてコンビニで副業やってます。本業じゃないから、ある程度家から近いならどの店でもいいし」 「この働き方だと、日本全国のコンビニで働きながら旅できるな、とか妄想したこともあります(笑)」 彼らに取材すると、こうした声がズラリと返ってきました。 なぜ、このような働き方がコンビニ業界で広まってきたのか。 その背景には業界の特性が大きく影響しています。コンビニは日本全国に約5万5000店舗もあり、そもそも雇用の受け皿が大きい。しかも3大チェーンで寡占しているマーケットで、業務内容がある程度共通化されています。もちろんレジなどの基幹システムは違いますし、個々のFCオーナーが独自ルールを定めていたりもします。しかし相対的にはポータブルスキル(=他の職場でも生かせるスキル)が発揮しやすい業容なのです。 セブンで働いた経験者ならセブンですぐに働けるし、セブンで働いた経験者がローソンで働くという他社店舗への鞍替えも比較的容易なのです。 これは裏を返すと雇う側の利点につながっています。コンビニ経験者であれば(もし他社店舗経験者であっても)、ある程度戦力として計算できます。面接をすっ飛ばして採用できるので、急に空いたシフトをタイムリーに埋めてもらうことができます。24時間365日のシフトを担保しなければならないコンビニ店舗にとっては、採用までのシンプルさとスピード感は極めて貴重です』、「コンビニ経験者であれば(もし他社店舗経験者であっても)、ある程度戦力として計算できます。面接をすっ飛ばして採用できるので、急に空いたシフトをタイムリーに埋めてもらうことができます」、確かに「コンビニ店舗にとっては」ありがたい存在だ。
・『細切れかつオンデマンドな働き方に対応進む こうしたコンビニ店舗の思惑をサポートするテクノロジーも進化しています。テレビCMでも知名度をあげたタイミーやショットワークスといったメディアの台頭によって、スキマ時間のマッチングが一般化してきました。電子雇用契約や給与支払いシステムが広まっていったことも、“細切れ”かつ“オンデマンド”な働き方の普及に一役買っています。 コンビニに人が集まりやすくなって、店舗のレギュラーメンバーに不足はなくなったとしても、主戦力である主婦やシニアのなかには、年末年始に働くことを躊躇する人も少なくありません。結局のところ、そうした人たちが休むシフトの穴を埋めてくれる人が必須なのです。そういった意味では、コンビニ各社が年末年始に営業できるのは、コンビニ版ギグワーカーという“助っ人”がいるからなのです。 この年末年始、スーパーが軒並み休業するなかで、コンビニ業界がフル稼働してくれるのは、生活インフラの観点からすればありがたい話です。大袈裟ではなく、“助っ人”ギグワーカーがウイズコロナの正月三が日を支えます』、「タイミーやショットワークスといったメディアの台頭によって、スキマ時間のマッチングが一般化してきました。電子雇用契約や給与支払いシステムが広まっていったことも、“細切れ”かつ“オンデマンド”な働き方の普及に一役買っています」、こんなイノベーションも「コンビニ版ギグワーカー」を支えているようだ。
次に、1月23日付け東洋経済Plus「「か・け・ふ」でファミマはどこまで強くなれるか 伊藤忠の「大エース」が担う改革の重責」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/25994
・『2016年9月にサークルKサンクスと合併したファミリーマート。伊藤忠商事によるTOB後に社長交代が決まり、いよいよ改革が本格化する。合併後にファミマはどう変わってきたのか。過去の社長インタビューや記事も交えて改革の行方を探る。「2021年はファミリーマート40周年という重要な節目の年。新たな体制でよりよい会社にしていくため、社長交代を決めた」。1月18日の会見で、ファミリーマートの澤田貴司社長はそう語った。 今年3月から社長に就くのが、「(伊藤忠商事の)大エース」(澤田社長)である細見研介氏(58)だ。細見氏は伊藤忠入社後、約30年間にわたり繊維部門を歩んだ。過去にはアメリカのバッグブランド「レスポートサック」の全世界の商標権使用について競合に決まりかけていた中、3年越しの交渉で獲得した功績がある。 その後、細見氏は食品流通部門長を経て、新たなビジネス創出を目的として2019年に新設された「第8カンパニー」のプレジデントに就任。この新組織に課されていたのが、伊藤忠傘下のファミマ改革だった。岡藤正広会長CEOの「懐刀」とされる細見氏は、王者セブン-イレブンに水をあけられているファミマの改革加速に向けて送り込まれた格好だ。 社長交代会見で細見新社長は「eコマースをはじめとする他業態との競争の激化に加え、デジタル化とコロナ禍の深刻化で人々のライフスタイルが急速に変化している。まさに嵐の中の船出だが、次の40年の持続的な成長に向けて確実に一歩を踏み出し、礎を築くのが私の使命」と語った。 今回の社長交代に合わせて役員も大幅に入れ替わる。4人の社外取締役は2月28日付けですべて退任する。そして、8人の社内取締役のうち、コンビニ業界出身の2人に代わって伊藤忠から2人が加わり、4月からは髙柳浩二会長、細見氏など6人が伊藤忠出身者となる。 では、細見氏はどのようにファミマを舵取りしていくのか。 細見氏は伊藤忠商事の「か・け・ふ」という商売の三原則を引き合いに、「『稼ぐ・削る・防ぐ』の3つに分けて課題を早急に明確化していく」と説明。中でも「1丁目1番地」として挙げたのが、デジタル技術を駆使したコスト削減で、サプライチェーンの再構築に着手しているという。 国内で1.6万店を構えるファミマの商品の粗利益率は30.4%である一方、2.1万店のセブン(32%)、1.4万店と店舗数ではファミマの後塵を拝するローソン(31.1%)にも劣る(いずれも2020年3月~11月期)。 伊藤忠は昨年のTOB(株式公開買い付け)でファミマを取り込んだことで、一体化が加速する。例えば、ファミマの物流は伊藤忠商事の完全子会社である日本アクセスが多くを担うが、ここでの効率化(削る)があるだろう。それだけでなく、ファミマ向けの弁当などを作る製造業者との関係も改めて強化し、ライバルに劣るとされる商品開発力をいかに高めるかも重要だ。 1日の来店客数1500万を基盤としたデータの活用もカギを握る。細見氏は「デジタル化の進展で購買情報が大きく蓄積されてくる。それを利用し、さまざまなパートナーと組みながら新しい事業を創出していく」としている』、「伊藤忠」色を前面に出した「細見」新体制の課題も多そうだ。
・『「2021年問題」という難所 もっとも、「か・け・ふ」を推し進めるに当たり、難所が待ち構えている。一部のファミマ加盟店オーナーが「2021年問題」と名付けて懸念する課題だ。 2016年9月にサークルKサンクスと合併したファミマは、サークルKサンクス約5000店をブランド転換してきた。転換時に元サークルKサンクスの加盟店オーナーの多くはファミマと5年間の契約を結んでおり、初回の契約更新が2021年秋から始まる。 サークルKサンクスから転換したファミマのある加盟店オーナーは、「サークルKサンクスは加盟店と本部が一緒に伸びていこうという共存共栄の姿勢だったが、ファミマではその姿勢が感じられず残念」と不満を口にする。十分な利益を得られないなど、本部が加盟店の不満を解消できなければ、21年以降の契約を更新しない加盟店オーナーが大量に現れかねない。 この点について澤田社長は、「(2020年3月に新設した)店舗再生本部でいったん直営化してから(別のオーナーの加盟店とすることで)加盟店に戻すパターンもあるし、複数店に対する支援も行うよう契約を見直している。十分準備は整っており実行段階にある」と1月18日の会見で説明した。 別の加盟店オーナーは、「大量の契約更新が迫っているだけに、(社長に就く細見氏は)最初の1年が最も重要」と指摘する。伊藤忠から送り込まれた大エースは、加盟店との信頼関係を維持し、現在の1.6万店という規模のまま「強いファミマ」へ変えられるのか。社長就任早々、その経営手腕が試されそうだ』、「2021年問題」では「サークルKサンクスから転換したファミマのある加盟店」が契約を更新しないリスクをどの程度抑えられるか、新社長の腕が試されそうだ。
第三に、7月7日付け東洋経済オンライン「セブン&アイ、井阪体制6年目でみえた「大変化」 当初予定から1年遅れで中期経営計画が発表に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/439190
・『「(目標を)達成すべく必死になって進めていきたい」。2021~2025年度の中期経営計画を7月1日に発表したセブン&アイ・ホールディングス(HD)。井阪隆一社長は強い覚悟でそう語った。 新たな計画の最大の特徴は、北米を成長の源と位置付けた点だ。営業キャッシュフロー(金融事業を除く)の計画数値からは、それが鮮明に見える。2019年度のセブン&アイ・HDの営業キャッシュフローは4774億円。そのうち、北米コンビニ事業の占める比率は約3割だった。2025年度には同キャッシュフローを8000億円に拡大させ、その半分の4000億円を海外で稼ぎ出す計画だ。 なお利益指標については、会社全体のEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)のみを示した。2020年度の6268億円から2025年度には1兆円以上に伸ばすとしている』、「営業キャッシュフロー」の「半分の4000億円を海外で稼ぎ出す計画」、買収した米国の子会社にそんな力があるのだろうか。
・『「千載一遇のチャンス」が到来 海外コンビニ事業の牽引役は、アメリカのセブン-イレブンとなる。今年5月には、現地の石油精製会社であるマラソン・ペトロリアムから、「スピードウェイ」を中心とするコンビニ事業を210億ドル(約2.3兆円)で買収。北米におけるセブンの店舗は買収前の9500店から1万3000店になる。スピードウェイはアメリカで店舗数3位。同1位だった米セブンの地位は強固なものになる。 ホットドッグなど好採算商品の販売拡大で、収益性の向上も狙う。弁当など中食の販売で成長してきた日本での成功モデルを輸入する格好だ。買収3年目で見込めるシナジーはEBITDAベースで、5.25億ドル~6.25億ドル(約570億~680億円)。「スピードウェイとの統合は千載一遇のチャンス」と、井阪社長が大きな期待を寄せるのもうなずける。 一方の国内事業についても、新たな計画ではこれまでとの変化が見て取れる。グループの総合力強化を打ち出した点だ。その方針は「グループ食品戦略」に表れている。 セブン&アイ・HDの2020年度の国内売上高7兆4600億円のうち、食品は6割以上を占める重要分野だ。そこで今後は、グループ全体でミールキット(食材セット)などの商 品強化に取り組む。イトーヨーカ堂や国内セブンなどの各社で共同利用するセントラルキッチンや物流センターなどを開設し、効率化を図る。 セブン&アイ・HDは傘下にコンビニから総合スーパーまで多様な業態を持つ。その強みと規模のメリットを生かす考えだ。) 前回の2017~2019年度の中期経営計画は、国内事業の「止血」に軸足を置いたものだった。特にイトーヨーカ堂や百貨店のそごう・西武は、投資効率の低さが問題視され、前中期計画以降に閉店が進んだ。 イトーヨーカ堂の店舗は、2016年度初めの182店から2020年度末には132店へと減った。減少分には、同じセブン&アイグループのヨークに移管した「食品館」などの20店も含むが、イトーヨーカ堂の三枝富博社長は、今年2月の東洋経済の取材で「止血としての閉店は8割方できた」と話した。2016年度初めに23店あったそごう・西武も、店舗譲渡や閉店を経て、直近では10店まで減少した』、「止血としての閉店は8割方できた」ということは、まだ「2割方」の「閉店」はありそうだ。
・『見えにくい「成長の方程式」 国内事業の止血にメドがついたことで、新たな中期経営計画では成長戦略を前面に押し出した形だ。しかし、「アメリカのコンビニで中食を伸ばす」と目標が明快な海外事業と異なり、国内の各事業は「成長の方程式」が見えにくい。 そうなったのは、やはり国内事業が成長の決め手に欠けているからだろう。2010年代の大半の時期は、コンビニを多く出店することで国内でも成長できた。今でも国内コンビニ事業が稼ぎ頭であることに変わりはないが、出店拡大による成長余地は限られている。新たな中期経営計画でも、国内の出店についてはほぼ言及していない。 加えてコロナ禍で事業環境が激変。「個々の事業では十分な変化対応ができない」(井阪社長)とわかり、「横の連携やシナジーを上げる仕組みが足りなかった」(同)との反省にたった。 そこで新たな中期経営計画ではグループの総合力強化という全体最適策を採ることにした。個の力で成長を描くのは困難なため、各社の連携で弱みをカバーしようというわけだ。 だが、成長期待のまだ残るコンビニ事業に経営資源を集中すべきだと主張する声は依然根強い。アメリカのも「であるバリューアクトも今年5月、セブン&アイ・HDは事業を選別すべきだと示唆するコメントを発表した。 北米など海外だけでなく、国内事業でも成長する未来を示せるか。それができなければ、株主から注がれる視線は一段と厳しくなるだろう』、「国内事業でも成長する未来を示せるか」、これまで示せていないだけに、今後「物言う株主」からの要求は一段と厳しくなる可能性がありそうだ。
タグ:「営業キャッシュフロー」の「半分の4000億円を海外で稼ぎ出す計画」、買収した米国の子会社にそんな力があるのだろうか。 (その9)(コンビニの年始フル営業支える「助っ人」の正体 コロナ禍で24時間営業問題の弱点はかなり改善、「か・け・ふ」でファミマはどこまで強くなれるか 伊藤忠の「大エース」が担う改革の重責、セブン&アイ、井阪体制6年目でみえた「大変化」 当初予定から1年遅れで中期経営計画が発表に) コンビニ 「コンビニの年始フル営業支える「助っ人」の正体 コロナ禍で24時間営業問題の弱点はかなり改善」 「4月以降、アルバイト先の飲食店が営業自粛になり、生活費を稼ぐことがままならなくなった学生などが、コンビニの求人に飛びつくようにして応募している」、「コンビニ各社が、年末年始を休まず営業するという強気の決断をできた背景」、なるほど。 「コンビニジョブホッパー」が、「突発的に発生する人手不足を埋めている働き手」として新たに登場したとはたくましいものだ。 「コンビニ経験者であれば(もし他社店舗経験者であっても)、ある程度戦力として計算できます。面接をすっ飛ばして採用できるので、急に空いたシフトをタイムリーに埋めてもらうことができます」、確かに「コンビニ店舗にとっては」ありがたい存在だ。 東洋経済オンライン 「タイミーやショットワークスといったメディアの台頭によって、スキマ時間のマッチングが一般化してきました。電子雇用契約や給与支払いシステムが広まっていったことも、“細切れ”かつ“オンデマンド”な働き方の普及に一役買っています」、こんなイノベーションも「コンビニ版ギグワーカー」を支えているようだ。 東洋経済Plus 「「か・け・ふ」でファミマはどこまで強くなれるか 伊藤忠の「大エース」が担う改革の重責」 平賀 充記 「伊藤忠」色を前面に出した「細見」新体制の課題も多そうだ。 「2021年問題」では「サークルKサンクスから転換したファミマのある加盟店」が契約を更新しないリスクをどの程度抑えられるか、新社長の腕が試されそうだ。 「止血としての閉店は8割方できた」ということは、まだ「2割方」の「閉店」はありそうだ。 「国内事業でも成長する未来を示せるか」、これまで示せていないだけに、今後「物言う株主」からの要求は一段と厳しくなる可能性がありそうだ。 「セブン&アイ、井阪体制6年目でみえた「大変化」 当初予定から1年遅れで中期経営計画が発表に」