SSブログ

中国国内政治(その12)(「共産党100周年」中国の若者達が語る党への本音 20代が考える入党のメリットとデメリット、中山服をトップのみが着るのは中国政治の基本) [世界情勢]

中国国内政治については、5月18日に取上げた。今日は、(その12)(「共産党100周年」中国の若者達が語る党への本音 20代が考える入党のメリットとデメリット、中山服をトップのみが着るのは中国政治の基本)である。

先ずは、7月2日付け東洋経済オンラインが掲載した経済ジャーナリストの浦上 早苗氏による「「共産党100周年」中国の若者達が語る党への本音 20代が考える入党のメリットとデメリット」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/438115
・『中国共産党が7月に結党100周年を迎え、中国は祝賀ムードが高まっている。アメリカに対抗しうる国力を得て、コロナ禍から早期に抜け出したことは、中国人の愛国心や自信を揺るぎなくしているように見える。 では、今の若者は自国や共産党をどう思っているのか。何気なく北京在住の20代女性に聞くと、意外な答えが返ってきた。 「私は愛国者ですけど、共産党は支持していません。党員の私がそうなんだから、党員じゃなければもっと支持してないですよ」』、興味深そうだ。
・『就職に有利、親も喜ぶ  その女性、王甜甜(仮名、25歳)さんは、「共産党を嫌いというわけではないが、特段の感情がない。党員であるメリットも感じない」と付け加えた。 王さんが党員になったのは6年前、大学3年生のときだ。「1年生のとき、学生幹部から推薦されて党の研修を受け始めた。私はクラスで成績が1番だったから選ばれたのではないか。うちのクラスからは3人が選ばれた。残り2人は学生会の幹部とか、教員と関係がいいとかそんな基準じゃないかな」 1年以上かけて党の思想やマルクス主義などの座学を受け、予備党員になった。ここからさらに半年ほど「教育」が続き、優秀だと認められたら正式な党員になる。かなりの時間が取られるため、予備党員止まりの人も多いという。 王さんは「就職に有利と言われていたし、親も『大きなチャンスをもらえた』と喜んだので、党員になった。でも実際には何も有利なことはなかった。年間100元(約1700円)くらい党費を払っているけど、それ以上の関わりはなく、(党員になるのに費やした)時間がもったいなかった」と話した。 大学時代に王さんと同級生だった趙心さん(仮名、26歳)は、「王さんはSaaSを手掛ける北京のIT企業で働いている。グローバルな実力主義の会社だと、党員の恩恵は感じにくいけど、公務員や教師にとっては、共産党はやっぱり箔ですよ」と強調した。 昨年重点大学の大学院を修了した趙さんは、地元に帰って中学校教師になった。今は結党100周年に伴う学内活動の運営や広報を担当している。 趙さんは共産党員ではない。高校や大学で、共産党員になりたい人はとても多かったが、推薦されるのはクラスで数人。エンターテインメント企業に就職して、30歳で喫茶店を開く夢を描いていた趙さんは「党員を目指すと品行方正が求められるし、競争も激しいし、学生時代はあまり興味がなかった」という。 気持ちが変わったのはこの1~2年だ。 著名企業に入りかった趙さんは、「自分の大学はそれほど有名ではなく、競争に勝てない」と考え、海外に1年留学し、さらに中国の大学院に進学した。そのため就職活動が大学の同級生より2~3年遅れ、先に働き始めた友人からリアルな現実をたくさん聞くことになった。 「友達のほとんどはすでに1回転職して、北京や深圳で働いている。王さんは学生時代とても優秀で、今は給料の高いIT企業に勤めている。私が学生時代に憧れてた生活を送っているのに、『もっと頑張らないと淘汰される』と危機感が強くて、幸せそうじゃない」』、「党員」になるのは狭き門だが、「IT企業」では「党員」の肩書は重要ではなく、社内の競争は激烈なようだ。
・『年内に共産党に入党予定  趙さんは就職をすっ飛ばしてコーヒーショップを開こうと考え、カフェオーナーのコミュニティーに入ってもみたが、オーナーの大半も生存競争にさらされていた。 半年ほどの就職活動を経て、趙さんは地元に戻って教師になることを決めた。海外留学、大学院修了の経歴は、小さな街の学校で歓迎された。 年内には共産党入党の申請もするつもりだ。 「学生の頃は、党員になるのは競争が激しいと思っていたけど、民間企業で働いたり、起業するほうが競争は熾烈だった。安定路線を選んだからには、党員になっておくべきと思う」。 中国の若い世代と話していると、彼らは「愛国」ではあるものの、それが「愛党」と直結していないと感じる。共産党員になることへの20代の共通見解は、「就職や昇進に有利」「希望者は大勢いて競争が激しい」「親が喜ぶ」だ。 中国西部の省で銀行に勤める20代女性は、「昨年のコロナ禍のとき、党員がボランティアで感染者を輸送したり、住民を統率しているのを見て、共産党が社会の安定に貢献していると実感した」と愛党精神を口にしたが、同時に「私は予備党員だけど、早く党員になりたい。昇進にも有利ですし」と、やはり「昇進」という言葉が出てきた。 日本の大学院に留学し、日本企業に就職した李強国さん(仮名、26歳)は、日本社会と比較しながら説明してくれた。 僕は愛国ですが愛党ではありません。日本人だって母国を愛していることと政府を支持するのは同じことではないでしょう」 中国人は総じて、地縁血縁を重視する傾向があり、その延長に愛国がある。最近は、アメリカとの対立によって「中国が理不尽にいじめられている」という認識が広がっていることや、「党と国民が一致団結してコロナを早期に封じ込めた」という自信も、愛国心を高めているように見える。 李さんは、「愛国と愛党は別次元です。僕たち庶民にとって、共産党員になるのは『上級国民』になるという感覚です」という』、「僕たち庶民にとって、共産党員になるのは『上級国民』になるという感覚です」、さすが「日本の大学院に留学し、日本企業に就職した」だけある。
・『入党できなかった父の影響  大学時代に成績優秀だった李さんは、党員になる研修を受けられたが、思うところあって距離を置いた。 「僕は高校の頃から、大人になったら海外で暮らしたい、できれば国籍も取得したいと思っていました。海外で中国の共産党がどう見られているか、大学に入る頃には知っていたし、海外就職で不利になりたくなかった」 ただ、李さんは「中国人は義務教育で愛国、愛党教育を受けるので、世の中のことが分からないうちは愛党精神が強いのが普通。僕は特殊なパターン」とも言った。 李さんの父方の祖父は、共産党と対立して台湾に逃れた国民党のメンバーだった。李さんの父は身内に国民党関係者がいたため、共産党に入党できず、社会のさまざまな場面で不利な扱いを受け、望む道を歩めなかったという。 李さんは父から、「共産党は社会の基盤だから、お前は党員になってほしい」と言われて育った。だが、党員になれないコンプレックスを引きずり続けた父を重く感じ、むしろ党の支配の及ばない場所に行きたいとの思いを強めた。 選挙がない国で、国民が政治を変えることは現実的ではない。自分の力で変えられないものに、愛情や関心を保ち続けるのも容易ではない。だから中国政府は愛国・愛党教育に力を入れざるをえない。 都市部の若者は競争と変化の中で「自分で変えられるもの」、つまり学歴やスキルアップに投資する。党員になるかどうかも、キャリアの一環として判断する。 安定を望む人は、共産党の傘に入ることを選び、自身の安定の基盤である党を支持する。親が「共産党員になってほしい」と望むのは、日本人の親の一定数が子どもに公務員になってほしいと考えるのと似たような感覚だろう』、「都市部の若者は競争と変化の中で「自分で変えられるもの」、つまり学歴やスキルアップに投資する。党員になるかどうかも、キャリアの一環として判断する」、なるほど。
・『共産党機関紙は寝そべり族を批判  最近、寝そべるという意味の「躺平」という言葉が中国で大流行している。仕事も消費も最低限にとどめ、低燃費で生きる若者の生態を指し、中国青年報や南方日報など共産党機関紙は「快適な環境に隠れていても、成功は決して天から降ってこない」「奮闘する人生こそ幸福な人生だ」と躺平を非難する記事を掲載した。 「奮闘より安定を選んだ上級国民の集団」、それが若者から見た共産党の姿だ。 「上級国民に叱咤激励されてもね。格差の上にいる人たちは、自分たちが若者を躺平にしていると思わないんですかね」。李さんは皮肉を交えて語った』、「格差の上にいる人たちは、自分たちが若者を躺平にしていると思わないんですかね」」、本当に痛烈な皮肉だ。

次に、7月3日付けNewsweek日本版が掲載した中国問題グローバル研究所所長の遠藤誉氏による「中山服をトップのみが着るのは中国政治の基本」を紹介しよう。
・『建党100周年大会の構成と習近平演説を解剖:7月1日の建党100周年祝賀大会の構成と習近平の演説は強いシグナルを発していた。参加者が歓声を上げた個所は「人民の心」の表れだ。習近平だけが中山服を着ているのは中国の現役最高指導者のルールに過ぎない』、「習近平だけが中山服を着ているのは中国の現役最高指導者のルールに過ぎない」、初めて知った。
・『一、建党100周年祝賀大会の構成から見えるもの  大会冒頭の挨拶は民主党派の一つ「中国国民党革命員会」主席  何よりも驚くべきは、「中国共産党」の建党100周年祝賀大会だというのに、大会の冒頭の演説が習近平・中国共産党中央委員会(中共中央)総書記ではなく、中国国民党革命委員会の万鄂湘主席(全国人民代表大会常務委員会副委員長兼任)だったということだ。 この党は、いま中国にある「八大民主党派&中国工商業連合会&無党派人士」という「非中国共産党の党派」の一つで、1948年に孫中山(孫文)の妻・宋慶齢等を中心に結成された。 万氏は、「非中国共産党の党派」を代表して、中国共産党に祝辞を述べた。 拙著『裏切りと陰謀の中国共産党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』のp.88~p.90に書いたように、毛沢東は建国当初は「新民主主義体制」により国家運営を始めていたので、「新中国」の「中国人民政府」の指導層には、宋慶齢など多くの民主党派が入っている。 毛沢東が建国した当時の、この「新中国」と同じ形式を演出したわけである。 と同時に、中国には中国共産党以外に、「八大民主党派&中国工商業連合会&無党派人士」の代表が全国政治協商会議や全人代(全国人民代表大会)の代表を構成しているということを世界に示そうとしたものとみなすことができる。 6月25日には『中国新型政党制度』白書が出版され、民主党派等の存在をアピールしたばかりだ』、「中国には中国共産党以外に、「八大民主党派&中国工商業連合会&無党派人士」の代表が全国政治協商会議や全人代(全国人民代表大会)の代表を構成している」、のを改めて示す意味はあるのだろう。
・『式典は青少年に重心  天安門広場を埋めた7万人に及ぶ参加者の中に、青少年の示す割合が多く、習近平の演説の前に少年先鋒隊(紅いリボンを締めたピオネール。6歳~14歳)と共青団(中国共産主義青年団。14歳~28歳)の代表たちが「私たちは共産主義の後継者」などという歌を歌い、また4人の代表が舞台の演出のように、中国共産党を讃える言葉を唱えて青少年全員で重ねて唱えるという演出場面があった。 事実、6月30日に新華網が発表した中国共産党員に関する統計によれば、35歳以下の党員は全体の約25%を占め、かつ2020年1月から2021年6月5日の間に新しく入党した党員数は473.9万人で、2020年は242.7万人、2021年6月5日までに231.2万人が入党しているので、2021年で急増していることになる。その中の35歳以下が80.7%を占めるので、「中国共産党の後継者」として若い世代が重要視されていることが分かる。 一人っ子政策で若者が激減し人口構成が危険な領域に入っている中、習近平がいかに若者党員を増やそうとしているかが見て取れる。ハイテクを進めていくためにも、大学生などの学生党員が求められており、習近平政権になってからは、党員構成として「学生党員」の統計を取るようになり、おおむね35~40%を継続している』、「学生党員」は「おおむね35~40%を継続」、なるほど。
・『二、中山服と習近平の演説から見えてくるシグナル  中山服は特別ではない  なんだか日本のメディアでは盛んに習近平が 中山服を着ているので、「毛沢東を模倣した」とか「一人だけ権威付けを行っている」といった分析が見られるが、短絡的としか言いようがない。もっと言うならば、中国の政治を何も知らない者の分析とさえ断言することができる。 中山服は孫中山が考案したとされることからこの名が付いているが、これは毛沢東も蒋介石も着ていた服だ。新中国になってからは「人民服」とも呼ばれていた。 2012年12月に習近平が広州戦区を考察した時も、中山服を着ている。 そもそも1998年11月に訪日した江沢民が宮中晩餐会に招かれた時に着ていたのも中山服で、中国としては最もフォーマルな服をまとったという意識でしかなかっただろう。 習近平も2018年11月にスペインを国賓として訪問し国王と面会しているが、その時も最もフォーマルな中山服を着ている』、「中山服」は「中国としては最もフォーマルな服」、なるほど。
・『現役最高指導者は常に一人だけ中山服  一歩進んで言うならば、江沢民政権以降の中国には「現役の最高指導者だけが中山服を着て、他の人は背広を着るというルール」がある。 まず、江沢民が国家主席だった時の写真をご覧に入れよう。 これは建国50周年記念(1999年)の時の天安門楼上における江沢民と他の指導者の写真である。 古いのでCCTVの映像は探し出せず、動画サイトbilibiliの動画からキャプチャーしたものである。江沢民(国家主席)だけが中山服を着ていて、他の指導者はみな背広であることが一目瞭然だ。 しかも深圳商報を見ればもっと鮮明に分かるが、江沢民は毛沢東が着ていた同じ灰色の中山服を着ているのが分かるだろう。 胡錦涛の時はどうだろうか。 映像が不鮮明だが、2009年の建国60周年記念の時に、やはり胡錦涛だけが中山服を着ている。 真ん中にいるのが胡錦涛で、胡錦涛だけが白いワイシャツが見えてないので、中山服を着ていることが見て取れる。念のため江沢民と胡錦涛だけの写真を貼り付ける。 2015年9月3日、抗日戦争勝利記念日において、習近平国家主席は中山服を着て、江沢民と胡錦涛は背広であるという写真もある。 江沢民や胡錦涛以外の、天安門楼上に並ぶ他の指導層もみな背広だ。写真が多くなりすぎるので省略する。 そして最後に今般の習近平の中山服姿。 このように習近平だけが中山服を着ているが、これは「トップの最高指導者のみが中国伝統のフォーマルな中山服を着る」という、中国政治の基本ルールがあるからだ。 これを「習近平だけが権威付けをしようとしている」などと解説した全ての中国研究者には猛省を求めたい。もっと中国政治の基本を勉強なさった方がいいだろう。さもないと日本の視聴者や読者に、正しい中国分析を提供することができない。それは国益にも国民の利益にも反することにつながるので、注意を喚起したい』、「「トップの最高指導者のみが中国伝統のフォーマルな中山服を着る」という、中国政治の基本ルールがある」、初めてきちんと知ることが出来た。
・『新時代とは何かを明確にした  習近平の演説内容は共産党員網が正確に文字化して報道しているので、そちらを参照した。動画に関しては接続が不安定なので省く。この文章を見る限り「新しい道のり(新的征程)」が10回使われている、「新時代」が8回出てくる。 その言葉の周辺にある文章から読み取ると、これまで何度もコラム(たとえば6月25日のコラム<建党100年、習近平の狙い――毛沢東の「新中国」と習近平の「新時代」>など)で書いてきたように、「新時代」とは「アメリカと拮抗するところまで中国が力を持つようになった時代(中華民族が偉大な復興を成し遂げつつある時代)」のことで、「新段階に入った」という言葉は、式典における青少年たちの合唱のような讃歌の中でも語られている。長くなりすぎるので、ここでは省く』、「「新時代」とは「アメリカと拮抗するところまで中国が力を持つようになった時代」、なるほど。
・『習近平の鄧小平への復讐  演説の中で習近平の鄧小平への復讐が透けて見える個所がいくつかある。たとえば「以史為鑑」(歴史を以て鑑とする)を 10回も言っており、「初心」も 5回ほど言っているが、建党100年なので、100年の歴史を鑑とするのは当然で、「党の初心を忘れるな」と言うのも当然だろうと切り捨てるわけにはいかない。 拙著『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』で詳述したように、習近平の父・習仲勲は毛沢東の革命根拠地となる「延安」を築いた英雄の一人だ。鄧小平は、毛沢東が習仲勲を高く評価していることを警戒して、冤罪により習仲勲を陥れ、16年間もの長きにわたって投獄・軟禁の月日を強いた。 その間、鄧小平は革命根拠地「延安」の重要性をかき消し、革命の初心を薄めていった。 だから習近平は今、その欠落を埋めるために「初心忘るべからず」を党のスローガンにして、鄧小平を乗り越えようとしているのである』、「鄧小平は、毛沢東が習仲勲を高く評価していることを警戒して、冤罪により習仲勲を陥れ、16年間もの長きにわたって投獄・軟禁の月日を強いた」、「習近平」が「鄧小平を乗り越えようとしている」のもよく理解できた。
・『三、習近平の演説を遮るほどの歓声と拍手喝采に見る「人民の心」  演説の後半になると、習近平の言葉を遮るほどの歓声と拍手喝采が起きた場所が2回もあった。一ヵ所は以下の件である。 ――中国人民は正義を敬い、強暴を恐れない民族で、中華民族は強烈な民族の誇りと自信を持っている。中国人民は、一度も他国の人民を虐めたり圧迫したり奴隷のように扱ったりしたことがない。過去も現在も、そして将来もそういうことはしないだろう。同時に・・・ と言った時だ。普通なら演説の段落となる区切りがあるときに拍手をするという暗黙の了解があるのだが、まだ言葉が終わってないのに拍手が起きてしまって、習近平の言葉が遮られてしまった。ようやく静まったので、習近平は「同時に」を二度言って言葉をつないだ。 ――同時に、中国人民はいかなる外来勢力がわれわれを虐め、圧迫し、奴隷のように扱うことに対しても絶対に許さない・・・ 習近平が息を継いで、次の言葉を言おうとしたときだ。ここでまた歓声と拍手の嵐が巻き起こり、習近平は言葉を中断して、喝采が終わるのを待たなければならなかった。そして次のようにこの段落の言葉を続けた。 ――このような妄想を抱く者は、必ず14億の人民の血と肉を以て築いた鉄の長城によって木っ端微塵にやられるだろう! この最後の「木っ端微塵にやられるだろう」の中国語は「頭破流血」という、『西遊記』に出てくる言葉だが、直訳すれば「頭が破裂し血を流すだろう」となる激しい中国語だ。散々な目に遭うという意味でもある。 この一連の言葉は、中国の国歌の冒頭の歌詞「立て!奴隷となることを望まない者よ!私たちの血と肉を以て私たちの新しい長城を築け!」をもじったものであることは、中国人なら分かるはずだ。 この段落が終わると、天地を揺らさんばかりの拍手喝采が起こり、「いいぞ―!」という意味の「好(ハオ)―!」という歓声がしばらく鳴り響いて、習近平は一時演説を続けるのを止めてしまったほどだ。 これは演説を聞くときのルールを逸脱した行為で、拍手喝采がいかに聴衆側から自発的に発せられたものであるかが窺(うかが)われる。 つまり、これは「人民の声」であることを示唆しており、多くの中国人民、特に若者はアメリカから中国が「虐められている」と感じており、アメリカが対中包囲網を叫べば叫ぶほど若者の愛国心が強化され、中国共産党への声援を強くしていくということを示しているのである。 しかも、あまり効力の高くない対中包囲網だとすると、アメリカは結局、中国人民の党への忠誠心を増強させる結果を招くだけになる。一党支配体制強化につながるのだ。 だから私は日頃から、バイデン政権の「実際には効力のない、表面上の対中包囲網」に対して警鐘を鳴らし続けているのである。 若者の心理を心得ている習近平は、さらに以下のように演説している。 ――中国共産党と中国人民を分裂させようとする如何なる外国の企ても、絶対に成功しない。9500万人の中国共産党は絶対にそれを許さない!14億以上の中国人民も絶対に許さない! これはポンペオ(元国務長官)が言った「中国共産党と中国人民を分離させろ」という言葉に対する抗議で、拍手の度合いが、その非現実性を表していると言っていいだろう。  文字数が良識の程度を超えてしまったようだ。 今回の分析は、ここまでにしておこう』、「若者はアメリカから中国が「虐められている」と感じており、アメリカが対中包囲網を叫べば叫ぶほど若者の愛国心が強化され、中国共産党への声援を強くしていくということを示している」、実に困ったことだ。これでは、米中の溝は深まるだけだろう。
タグ:中国国内政治 (その12)(「共産党100周年」中国の若者達が語る党への本音 20代が考える入党のメリットとデメリット、中山服をトップのみが着るのは中国政治の基本) 東洋経済オンライン 浦上 早苗 「「共産党100周年」中国の若者達が語る党への本音 20代が考える入党のメリットとデメリット」 「党員」になるのは狭き門だが、「IT企業」では「党員」の肩書は重要ではなく、社内の競争は激烈なようだ。 「僕たち庶民にとって、共産党員になるのは『上級国民』になるという感覚です」、さすが「日本の大学院に留学し、日本企業に就職した」だけある。 「都市部の若者は競争と変化の中で「自分で変えられるもの」、つまり学歴やスキルアップに投資する。党員になるかどうかも、キャリアの一環として判断する」、なるほど。 「格差の上にいる人たちは、自分たちが若者を躺平にしていると思わないんですかね」」、本当に痛烈な皮肉だ。 Newsweek日本版 遠藤誉 「中山服をトップのみが着るのは中国政治の基本」 「習近平だけが中山服を着ているのは中国の現役最高指導者のルールに過ぎない」、初めて知った。 「中国には中国共産党以外に、「八大民主党派&中国工商業連合会&無党派人士」の代表が全国政治協商会議や全人代(全国人民代表大会)の代表を構成している」、のを改めて示す意味はあるのだろう。 「学生党員」は「おおむね35~40%を継続」、なるほど。 「中山服」は「中国としては最もフォーマルな服」、なるほど。 「「トップの最高指導者のみが中国伝統のフォーマルな中山服を着る」という、中国政治の基本ルールがある」、初めてきちんと知ることが出来た。 「「新時代」とは「アメリカと拮抗するところまで中国が力を持つようになった時代」、なるほど。 「鄧小平は、毛沢東が習仲勲を高く評価していることを警戒して、冤罪により習仲勲を陥れ、16年間もの長きにわたって投獄・軟禁の月日を強いた」、「習近平」が「鄧小平を乗り越えようとしている」のもよく理解できた。 「若者はアメリカから中国が「虐められている」と感じており、アメリカが対中包囲網を叫べば叫ぶほど若者の愛国心が強化され、中国共産党への声援を強くしていくということを示している」、実に困ったことだ。これでは、米中の溝は深まるだけだろう。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感