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その他不正検査(その1)(三菱電機不正3題:東芝と三菱電機 同じ「不祥事企業」でも投資判断の評価は全く異なる理由、「言ったもん負け」の文化を指摘する社員も 三菱電機 調査報告書があぶり出した「特殊体質」、100点中30点 企業不正問題の専門家が一刀両断 三菱電機 291ページの調査報告書が残した「宿題」) [社会]

今日は、その他不正検査(その1)(三菱電機不正3題:東芝と三菱電機 同じ「不祥事企業」でも投資判断の評価は全く異なる理由、「言ったもん負け」の文化を指摘する社員も 三菱電機 調査報告書があぶり出した「特殊体質」、100点中30点 企業不正問題の専門家が一刀両断 三菱電機 291ページの調査報告書が残した「宿題」)を取上げよう。

先ずは、7月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「東芝と三菱電機、同じ「不祥事企業」でも投資判断の評価は全く異なる理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/276035
・『東芝の後を追うように、三菱電機でも品質検査の不正という深刻な不祥事が発覚した。両社は共に「重電企業」と呼ばれ、どちらの不祥事も相当に「悪い」。しかし、投資判断においては、同じ不祥事企業でも評価が全く異なってくる。その理由をお伝えしよう』、興味深そうだ。
・『東芝に負けない「悪さ」 三菱電機が品質不正の不祥事  先週の拙稿『「底なしに悪い会社」東芝から得る7つの教訓、山崎元が解説』で、東芝のことを「底なしに悪い」と書いた。どのぐらい悪いかの基準があるわけではないのだが、何度も不祥事を起こし、この度は経済産業省とも擦り合わせた上で特定の株主に圧力を掛けた嫌疑が濃厚なので、「悪い」と言って問題はなかろうと判断した。 さて、ライバル会社の「悪さ」に刺激されたわけでもないだろうが、「俺の方がもっと悪いぞ!」と言いかねない勢いで、三菱電機が鉄道車両向けの空調装置と空気圧縮機ユニットの検査に長年かつ意図的な不正があったことを発表した。 ただし、経営陣はその事実を把握し、経産省に報告を済ませていたにもかかわらず、株主総会の前に発表するのではなく、株主総会後の発表となった。報道によると、問題の把握が6月14日、経産省への報告が6月25日、株主総会が6月29日で、検査不正の発表は6月30日だ。この経緯にも問題がある』、「経営陣はその事実を把握し、経産省に報告を済ませていたにもかかわらず、株主総会の前に発表するのではなく、株主総会後の発表となった」、株主軽視の典型だ。
・『辞意を表明した三菱電機社長だが「かなり情けないオチ」が付いた  東芝に関する拙稿では、不祥事企業のトップに対して「問題の解決に当たることが私の責任だ」という言い逃れの下に留任することが世間から許されなくなっていると書いた。そしてその言葉通り三菱電機は、杉山武史社長が問題公表の2日後である7月2日に記者会見を開いて、謝罪と共に辞意を表明した。 しかし、記者会見では29日の定時株主総会で不正を公表しなかったのは取締役会に諮った結果だとの説明が杉山社長からされたのだが、実際には取締役会が開かれておらず、説明に問題があったとの訂正が会社側から行われるという、かなり情けないオチが付いた。 社長を辞めると決めたのだから、他の取締役を巻き込むような説明をせずに「私の判断だ」とこの問題を背負い込めば良かったのに、自分の責任を少しでも軽くしたいと思う組織人の癖が出たのだろうか。杉山氏は、もともと社長の器でなかったとの印象を持つ。一般に、この種の辞め方をする社長が後任選びに関わるとろくなことはないが、彼は潔く手を引くのだろうか。 後任の社長には、社内からの昇格を検討しているようだ。三菱電機は年間の報酬が1億円を超える「億り人役員」の数が多いことで有名な会社だ。彼らの中から後任社長が選ばれるのだろうか。 しかし、長年にわたる深刻な不正が抑えられなかった上、さらに株主に対する情報開示の不誠実があった後に、後任社長が「三菱電機の人」で大丈夫なのか。果たして株主は納得するのだろうか。 なお、三菱電機も東芝と同様に委員会等設置会社で、それなりの経歴を持つ社外取締役を複数取りそろえているが、こうした「先進的なガバナンス」は十分機能しなかったと評価せざるを得ない』、「東芝」「三菱電機」とも「先進的なガバナンス」は、絵に描いた餅に終わったようだ。
・『東芝と三菱電機の不祥事 「不毛な悪さ比べ」だがどちらが悪い?  さて、「悪い」という判断は主観的なものだが、読者は東芝と三菱電機とを比較して、どちらをより悪いと判断されるだろうか。 かつての「不適切会計」問題に、昨年の株主総会における株主への不当な働きかけの嫌疑など、東芝は確かに悪い。 一方、株主に明らかに必要な情報開示をしなかった点で、三菱電機は株主に対して十分悪い。その扱いを了承していたなら経産省も大いに悪いし、単に適切な情報の開示を指導しなかったというのなら官庁として無能だ。彼らに日本企業のコーポレートガバナンス(企業統治)の改革を主導することを期待するのは、泥水で床を掃除するくらい虚しいことだ。 ところが三菱電機の場合は、「悪さ」の相手が株主や投資家だけではなく、顧客や、さらにその先にいる顧客の顧客であることが深刻だ。 筆者はこの不毛な悪さ比べにあって、三菱電機の方に軍配を上げる。顧客をあざむいて製品を販売していたのだし、その先の利用者に対しては安全上の問題が生じる可能性さえあったのだ。この先しばらくの間、訪ねたビルで三菱電機製のエレベーターに乗ると不安を覚えそうだ。不正が、他の製品に及んでいる可能性はないか』、「三菱電機」は「顧客をあざむいて製品を販売していた」、「その先の利用者に対しては安全上の問題が生じる可能性さえあった」、より悪質なようだ。
・『「東芝型」と「三菱電機型」 同じ不祥事でも異なる投資評価  さて、悪い、悪い、と怒ってばかりいても仕方がない。筆者は(おそらくは読者も)、東芝や三菱電機の親でも先生でもない(幸いなことだ)。彼らのしつけや矯正に責任を負っているわけではない。 そこで、両社を投資の観点から眺めることにしよう。) 先週の拙稿で、経産省筋から働きかけがあったかもしれない米ハーバード大学の基金が、東芝株への投資でおそらくかなりもうけたらしいことに触れた。一般論として、不祥事を含む悪材料で株価が下落した状態は投資のチャンスになり得る(もちろん、ならない場合もある)。 さて、あらかじめお断りしておくが、筆者は東芝と三菱電機の株式に関して、どちらについても、「売れ」とも「買え」とも言いたいわけではない。 ただ、投資判断の対象として考えた場合、東芝と三菱電機では評価の視点が異なるので、そこを説明したい。 何度も「悪い」と書いて東芝の関係者には恐縮だが、東芝の悪さは、直接的には株主に対して、あるいは最大限範囲を広げても投資家に対するものだ。 不祥事は、投資家の間での「評判」には影響するが、「業績」に対して直接的に影響する性質のものではない。 思い切って言ってしまうと、評判の悪化で株価が大きく下がるのなら、その状況は投資のチャンスである可能性が大きい。株式投資の判断は、対象企業への好意や、逆に処罰感情で行うべきものではない。 「不適切会計」問題の後の東芝は、その問題が企業価値に与えていた影響を評価して調整してしまえば、普通の投資評価ができたはずだ。なので、株価の下落局面で「買い」という判断を下せた投資家がいた可能性がある(ハーバード大学の基金がまさにそうだった可能性がある)』、「ハーバード大学の基金」はさすがプロフェッショナルだ。
・『三菱電機の不祥事が投資上「厄介」な理由  一方、今回の三菱電機の問題で投資上厄介なのは、問題が同社のビジネスに与えるマイナスのインパクトについて、規模の評価が難しいことだ。 端的に言って販売した製品の品質をごまかしていたのだから、製品の差し替えが必要だろうし、損害賠償が発生するかもしれない。また、正しい検査体制の構築に費用が掛かるだろうし、正しい品質で作るとコストが上昇するかもしれない。さらには同社の製品やサービスに対する、ユーザーの拒否反応による追加的な損失もあるかもしれない。 また、三菱電機の企業体質を考えた場合に、製品検査の意図的不正に類する問題が、鉄道関連の機器にとどまるのかどうかが外部からは分からない。 「東芝型」の不祥事だと、「株価が〇〇〇〇円以下に下がれば投資チャンスではないか」と判断しやすい面があるが、顧客に対する背信を伴う「三菱電機型」の不祥事の場合「××××円まで下がれば買いだろう」という判断が下しにくいのだ』、「顧客に対する背信を伴う「三菱電機型」の不祥事の場合「××××円まで下がれば買いだろう」という判断が下しにくい」のは確かだ。
・『新格言「株は悪材料こそが買い」を提案したいとはいうものの…  株式投資にあっては、不祥事や不測の大型損失、事故などの「悪材料」の発生が、実は投資の好機になる場合が少なくない。株式投資の新しい格言として、「株は悪材料こそが買い」を提案したいくらいのものだ。 投資家にとって「悪材料」のいいところは、しばしばそのスケールを評価することが容易な点だ。「工場が被災」とか「投資の巨額損失」「会計のごまかし」のような悪材料は、「企業価値にとって最大この程度の下方修正要因だ」ということを把握しやすい場合がある。そのスケールをはるかに超えて株価が下がった場合、投資家はひっそりと仕込む(株式を買う)といい。 他方、「新製品の売り上げが好調」のような好材料では、今後どの程度の売り上げが期待できるのかはスケールを評価しにくいので、実は投資評価が難しい。 さて、今回の三菱電機の場合はどうなのだろうか。 実は、今回のケースでは、三菱電機が今後負担しなければならない不正のコストがはっきりしない。その点で、典型的な「株は悪材料が買い」の手法で「株価が××××円以下ならチャンスではないか」という判断を下しにくい。 では、三菱電機に投資するのはダメなのかというと、そうでもない点が難しい。株式市場の参加者は、その時々の情報を加味しながら三菱電機の株式の価値を評価しているはずであり、それが過小とも過大とも決めつけにくい』、筆者の正直な判断はさすがだ。
・『ESG投資を標榜する運用会社は東芝と三菱電機の株式をどうする?  ところで、昨今熱心にセールスされている、「ESG(環境、社会、ガバナンス)」に配慮している企業への投資を提唱する「ESG投資」では、東芝や三菱電機の株式に対してどう対処するのだろうか。 「ESG」の「G」は、ガバナンスの「G」なので、株主に対する背信行為があった両社の株式を、ESG投資を標榜する運用会社が持ち続けるのだとすると、「ESG投資」はほとんどお笑い草だ。 しかし、東芝も三菱電機も企業倫理的に「悪い」のだとしても(再々、申し訳ない)、その株式が現在の株価で投資対象としていいのか悪いのかは判然としない。 こうした具体的な対象に対する投資行動を考えると、資産運用手法としての「ESG投資」のばかばかしさがよく分かる』、その通りだ。
・『日立・東芝・三菱電機の重電3社 さてどれに投資する?  東芝と三菱電機に日立製作所を加えて、重電3社と呼ぶことがある。証券取引コードでは、6501(日立)、6502(東芝)、6503(三菱電機)だ。各社いずれも、インフラなどに関わる「重電」だけをビジネスとしていたわけではないが、比較の対象になりやすいライバル会社3社だ。 最後に、筆者の新米ファンドマネージャー時代の思い出話を紹介しよう。 ある運用会社で、アナリスト部門の役員が、若手ファンドマネージャー数人に、「重電大手の銘柄には、日立、東芝、三菱電機の三つがあるけれど、君たちは、それぞれどんな根拠でどの銘柄を買いたい(=保有したい)と思う?」と問いかけた。 読者なら、どのように考えるだろうか。 ちなみに、過去10年くらいの株価の推移を見ると、日立は相当に上昇していて現状は最高値圏、東芝は上下の動きの幅が大きいが過去10年では高値圏。一方、三菱電機は2018年が高値で現在の株価はそれよりもかなり低い。 問いかけられた若手ファンドマネージャーたちは、それぞれの企業のビジネスや株価に対する評価を述べて、自分が最も買いたいと思う銘柄を述べた。一方、生意気な若手だった筆者は次のように答えた。「私にも、あなた(調査担当の役員のことだ)にも、企業の評価なんてできないし、われわれに特別な情報はないのだから、3銘柄全部に分散投資するといいのではないですか」。 金融論的には今でも「群を抜いた正解!」だと思うのだが、サラリーマンとしてはダメな答えだった。 以上、何を教訓とするかは、読者にお任せする』、「金融論的には」「3銘柄全部に分散投資するといい」、しかし、「サラリーマンとしては」、もっともらしい屁理屈を並べて、適当な答えを出しておく方がいいのだろう。

次に、10月5日付け東洋経済Plus「「言ったもん負け」の文化を指摘する社員も 三菱電機、調査報告書があぶり出した「特殊体質」」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28382#contd
・『三菱電機の全国の事業所で相次ぎ発覚した品質不正問題。創立100年を迎えた名門メーカーに何が起きているのか。 品質不正問題の解決に向けた最初の一歩がようやく踏み出された。 三菱電機は10月1日、社外の弁護士らによる調査委員会がまとめた291ページに及ぶ報告書を公表した。 報告書は一連の品質不正問題の背景に、独立性の高い事業本部制の弊害があったと指摘。問題を解決するための経営陣の「本気度」にも課題があったなど、会社側を厳しく指弾した。 報告を受けて、三菱電機は対応策を同日に発表。柵山正樹会長が引責辞任し、経団連副会長など兼任していたすべての役職から退いた。空席となった取締役議長には社外取締役である薮中三十二・元外務事務次官が就く』、なるほど。
・『製作所の調査は始まったばかり  今回の報告は、名古屋製作所可児工場(岐阜県可児市)と長崎製作所(長崎県時津町)の2カ所で発覚した検査不正が対象だ。 三菱電機ではこれ以外に、受配電システム製作所(香川県丸亀市)や福山製作所(広島県福山市)など、複数の拠点で検査不正や不備が見つかっている。調査委はこれらを含めた三菱電機の22製作所すべてを調査する予定で、2022年4月の調査完了を目指す。 2つの製作所に関する報告からすでに浮かび上がったのは、問題を矮小化し、なかったことにしようとする社内の「事なかれ主義」だ。 工場などの産業用施設で過電流や漏電が起きた際に電流を遮断する「電磁開閉器」を製造する可児工場では、6件の不正が認定された。 古いものでは1994年ごろから認証規格と違う材料を使った製品を製造しており、原因は不明だという。2012年の後継機種の製品開発時にも、開発が遅れていたことを理由に再び規格と異なる材料を採用する不正が起こった。このときは、当時の工場長が虚偽の認証申請をしていた。 291ページに及ぶ報告書には、「『言ったもん負け』の文化がある」などと特殊な社風を指摘する従業員の声も載っている。傍線は編集部(編集部撮影) 鉄道車両用装置を作る長崎製作所では、12件の不正を認定した。 空調装置では、本来行わなければいけなかった量産時の試験を行わず、開発時の試験データを流用していた。不正流用は遅くとも1985年から行われ、1990年ごろには品質管理課の担当者が架空のデータで検査成績書を自動生成するプログラムまで作成していた。いずれの不正でも、製品自体の安全性には問題がないことを確認したという』。「製品自体の安全性には問題がない」、本当だろうか。
・『口をそろえて「品質に問題なし」  報告書は、調査を受けた従業員たちが口をそろえて「品質に問題はなかった」と述べていたことを問題視する。「一部の従業員が、本件品質不正を『悪いこと』、『許されないこと』と受け止め切れていない様子もうかがわれた」(報告書)。 例えば長崎製作所では、測定された製品の冷房能力が規定に達していないのに合格としていた。この件について従業員は「5%程度の(測定数値の)差は、体感できるものではないと判断していた」と証言した。 長崎製作所ではそもそも、製造ラインに冷房能力試験や防水試験を行う設備がなかった。現場の従業員がこの設備を導入するためのコスト増を恐れ、不正が放置された側面もある。 ある従業員は調査委のヒアリングに対し「『言ったもん負け』の文化がある。改善を提案すると、言い出した者が取りまとめになり、業務量の調整もしてもらえないので、単純に仕事が増える」と証言するなど、問題解決に及び腰になっていた事情が明らかになっている。 調査委の木目田裕委員長は「収益などへのプレッシャーはどの会社でもあるが、それに対して安易に不正に走ってしまうところは(三菱電機のどの現場も)共通している」と苦言を呈した』、「長崎製作所ではそもそも、製造ラインに冷房能力試験や防水試験を行う設備がなかった。現場の従業員がこの設備を導入するためのコスト増を恐れ、不正が放置された側面もある」、信じられないようなズサンさだ。
・『「製作所・工場あって会社なし」  こうした問題が長年にわたって見逃されてきた三菱電機特有の事情として、現場と東京にある本社との間の距離感がある。 調査報告では、事業部が本社を頼ろうとせず、自らの組織内だけで問題を解決しようとする姿勢が、長年不正を放置する結果につながったと指摘。調査委はこの状況を「製作所・工場あって会社なし」と批判する。 実際、三菱電機では各部署間での異動は少ない。入社時に配属される事業所に長く配属され、事業所をまたいだ異動は部長級に昇格してからというのが当たり前になっていた。その結果、ひとつの会社としての一体感は醸成されず、所属する事業部を防衛することに視線が向いていた。 「現場のかたが『本社に声を上げて助けを求めても、結局助けてくれない』と言う。これは非常に重要な問題であって、解決しなければならない」。調査委の木目田委員長は、現場の本社に対する不信感についてそう指摘した』、「本社」と「現場」にこれほど溝がある企業も珍しい。これを放置してきた経営者もそれだけで失格だ。
・『くすぶる経営陣の責任問題  責任の追及は今後の課題として残る。7月に辞任した杉山武史社長に続き、柵山会長もこの日に辞任を発表した。 柵山氏は会見で、「社長時代に頻繁に現場に出向き、現場の方から意見を聞いたつもりでいた。だが、そういう場で声を上げてくれる人は私に対してポジティブな(印象を持っている)人だけ。そのことに早く気づけばよかった」と悔やんだ。 杉山氏の後を継いだ漆間啓社長は、不正の舞台となった長崎事業所を所管する社会システム事業部長を歴任し、2018年の社内調査時には不正の疑いを報告されていた。だがそのときは事業所から「不正ではない」との報告を受け、そのまま鵜呑みにし、放置してしまった。漆間氏は会見で「技術スタッフが相当議論をしたと言うので認めてしまった。真摯に(当時の責任を)受け止めている」と述べた。 今回調査委が聞き取りをした歴代社長は柵山、杉山、漆間の3氏にとどまる。木目田委員長は、それ以前の社長への聞き取りについても「可能性はある」と言及。また、ほかの幹部も含めた経営陣の責任をどう明確化するかは、今年の12月までに検討するという。 ガバナンス体制の再構築も急務だ。2022年4月までに外部から執行役を3人招く予定で、人選を急ぐ。漆間社長は「3人いればいろんな意見が出てくる。外部の声を取り入れたい」と語る。 一連の不正の根因とも言える組織風土の問題は、一朝一夕に変えられるものではない。 会社は縦割りを打破するために、全社変革プロジェクト「チーム創生」を10月中に立ち上げる。社内公募したメンバーで改革に向けた提言をまとめ、「上に声を上げやすい」「失敗を許容する」「情報を共有し、ともに課題を解決する」風土を目指すという。社内からは「まずは反省することが大切なのに、こんな前向きなことを言って大丈夫なのか」という疑問の声も上がるが、まずはこれまで手をつけてこなかった仕組み作りからスタートさせる狙いだ。 事なかれ主義、事業部ごとの縦割り、経営陣と現場との断絶――。これらは多くの日本企業に存在する共通の課題でもある。始まったばかりの三菱電機の改革は、日本企業の陥りがちな問題に向き合うことができるかも問われている』、「始まったばかりの三菱電機の改革は、日本企業の陥りがちな問題に向き合うことができるかも問われている」、確かにその通りだ。

第三に、10月25日付け東洋経済Plus「100点中30点、企業不正問題の専門家が一刀両断 三菱電機、291ページの調査報告書が残した「宿題」」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28547
・『経過報告として公開された三菱電機の調査報告書は291ページにも及ぶ。膨大な調査結果に不足点はないのか。企業の不正問題に詳しい専門家に聞いた。 相次ぐ検査不正問題に揺れる三菱電機。社外の弁護士らによる調査委員会が10月1日に公表した報告書は「経過報告」との位置づけで、最終的な調査報告は2022年4月をメドに行われる。 不正の原因を分析し、有効な再発防止策を作ることが急務だ。会社側は最終報告を待たずして、品質、風土、ガバナンスの3つの分野に関して改革を進めると発表した。 ここまでの調査のあり方に問題はないのか。企業不正の分析に詳しい元芝浦工業大学教授の安岡孝司氏に、今後発表される最終版へのリクエストを含めて、今回の調査報告書の内容を分析してもらった。 (安岡氏の略歴はリンク先参照) 調査報告書の目的は株主や投資家、取引先などからの信頼回復であり、私はそういう観点から、各社の報告書が信頼回復に役立つのかをチェックしている。 私が開発したチェックリストで、三菱電機の調査報告書を採点したところ、100点満点中30点だった。ほかの企業の報告書は経験的に45~75点程度なので、この点数は低いほうだ。 50点以下の報告書では信頼回復が困難だと思う。今後最終報告が出る予定なので、そこに以下で述べる点が改善されれば、もう少し点数は上がるはずだ』、「ほかの企業の報告書は経験的に45~75点程度」なのに、「三菱電機」のは「30点」とはずいぶん低いようだ。
・『調査委員会の構成が不透明  まずは形式的な面から。気になるのは調査委員会のメンバー構成が記載されていないこと。これでは誰が報告書を書いたのかわからない。 会社から発表された別の資料を見ると、3人の委員の名前が出ているが、報告書自体には書かれていない。そういう意味では非常に不透明な報告書だと言える。 もう1つ気になるのは、調査委員会に入っている法律事務所が西村あさひ法律事務所だけとみられる点。西村あさひ法律事務所が独占受注しているようだが、そもそも報告書にはっきり書かれていないから検証できない。 私は調査委員会には法律事務所が複数入るべきだと考えている。1つの法律事務所だけの場合、そこが仮に(不正を行った会社の)経営陣と手を握っていると、第三者の監視が効かず、経営陣に都合の悪いことをさらっと流してしまう可能性があるからだ。 西村あさひ法律事務所による単独調査は、2017年の日産自動車の無資格検査でも行われたことだ。日産のときは報告書の文章(社員の証言など)に(まるでコピーしたかのような)同じ言い回しが多く、調査の信頼性に疑問符がついた。 三菱電機の報告書でも、会社側の担当者が書いたとみられる文言が見られる。 例えば73ページには「グループ全体に対する点検活動を行うこととした」と書いてある。これは社内の人間が自分たちの自主点検をするときの書き方で、主語が「本社は」「わが社は」になっている。外部の人間だったら、こういうときは「点検活動を行っている」と書くはずだ。 ほかにも、282ページには「品質不正の防止・発見に向けた十分な体制を整備している」と書いてある。ここも第三者なら「十分な」というような修飾語はつけないはずだ。 こうした文体がとても多く、まるで会社の企画本部の人間が書いたかのようだ』、「三菱電機の報告書でも、会社側の担当者が書いたとみられる文言が見られる」、ずいぶん手抜きが多いようだ。
・『原因分析が乏しい  内容については、原因分析で踏み込んだ記載がないことがいちばんの問題だ。 起こった事象については詳しく書いてあるが、その原因分析には言及が乏しい。普通なら、そこが調査の頑張りどころのはず。ステークホルダーからの信用を回復するためには的確な原因分析と、それに対する実効的な再発防止策が必要だ。 不正の背景については、「製作所・工場あって会社なし」とか「ミドルマネジメントの不足」といった指摘をしている。これらはなんとなく世間的には伝えやすい表現だと思うものの、結局は現場の責任にしている。単に「(現場と本社に)距離がありました。われわれは知りません」と、そんなふうに読める。 社内アンケートの結果や不正発覚の経緯、実行者の特定などもきちんと書かれていない。漠然とこういうことが起きたということが書かれていて、どこの部署のどのレベルの人が何をしたかについては書いていない。 もちろん指示者や、圧力があったかどうかも特定していない。さらに上位にさかのぼって、役員の責任を検証するべきだ。私は「調査発注者免責の法則」と呼んでいるが、調査発注者である経営側の責任を調査しない、免責した報告といった印象が強い。 三菱電機は過去にパワハラの問題を指摘されている。企業不正の背景には、経営陣から現場への圧力がつきものだ。経営陣から工場長、現場の部長、課長へと圧力がつながっていくときにどうしても無理が出て、不正につながる。 ハラスメントが指摘されているということは、社員が問題を感じても通報しにくい環境だということ。そうした点に踏み込まないと、真の原因分析にならない。 報告書の公開と同じタイミングで会社側が再発防止策を出しているが、できればこれについても報告書の中で書くべきだ。そうして初めて、起きた事実と原因分析との関連性がきちんと確保できているかチェックできる。会社側が策定した再発防止策が十分なのか、そこは今後の最終報告で調査委員会による的確な検証が必要だ』、「原因分析が乏しい」、「社内アンケートの結果や不正発覚の経緯、実行者の特定などもきちんと書かれていない。漠然とこういうことが起きたということが書かれていて、どこの部署のどのレベルの人が何をしたかについては書いていない」、「調査発注者である経営側の責任を調査しない、免責した報告といった印象が強い」、確かに問題が多い「報告書」のようだ。
・『品質部門に関する指摘は有用  今回の調査報告書には、いい点もある。不正防止にあたって必要な、品質保証部門についての記述だ。 長崎製作所では、製造部門にあった品質管理課を、独立させて品質保証推進部にしていた。これは私もずっとやるべきだと言ってきた体制だ。ただ、場所が(長崎製作所内にあり)製造部門と一緒なので、なかなか本社に帰属意識を持てなかったということを報告書は指摘している。 こうした問題提起は非常に大事なものだ。現場と独立したリスクマネジメント体制は、いろんな会社の人がどうしようか悩んでいるはずだ。三菱電機はこれを受けて、品質保証部門を社長直轄にするという。これまでより一歩踏み込んだ取り組みを始めた。 現場と独立したリスクマネジメント体制は、いろんな会社の人がどうしようか悩んでいるはずだ。そうした企業にとって、この指摘は価値のあるものだ。 ステークホルダーの信頼回復はもとより、調査報告書とは、よその会社が「わが社は大丈夫か」とチェックをするときに、公共性の高い重要なものさしになる。そういう意味で企業不正の調査報告書は社会的な財産である』、「品質部門に関する指摘は有用」、一般的に「調査報告書とは、よその会社が「わが社は大丈夫か」とチェックをするときに、公共性の高い重要なものさしになる」、しかし、「三菱電機」の「報告書」は「公共性の高い重要なものさし」たり得るのだろうか。私は筆者の楽観的見方には疑問を感じる。
タグ:その他不正検査 (その1)(三菱電機不正3題:東芝と三菱電機 同じ「不祥事企業」でも投資判断の評価は全く異なる理由、「言ったもん負け」の文化を指摘する社員も 三菱電機 調査報告書があぶり出した「特殊体質」、100点中30点 企業不正問題の専門家が一刀両断 三菱電機 291ページの調査報告書が残した「宿題」) ダイヤモンド・オンライン 山崎 元 「東芝と三菱電機、同じ「不祥事企業」でも投資判断の評価は全く異なる理由」 「経営陣はその事実を把握し、経産省に報告を済ませていたにもかかわらず、株主総会の前に発表するのではなく、株主総会後の発表となった」、株主軽視の典型だ。 「東芝」「三菱電機」とも「先進的なガバナンス」は、絵に描いた餅に終わったようだ。 「三菱電機」は「顧客をあざむいて製品を販売していた」、「その先の利用者に対しては安全上の問題が生じる可能性さえあった」、より悪質なようだ。 「ハーバード大学の基金」はさすがプロフェッショナルだ。 「顧客に対する背信を伴う「三菱電機型」の不祥事の場合「××××円まで下がれば買いだろう」という判断が下しにくい」のは確かだ。 筆者の正直な判断はさすがだ。 「金融論的には」「3銘柄全部に分散投資するといい」、しかし、「サラリーマンとしては」、もっともらしい屁理屈を並べて、適当な答えを出しておく方がいいのだろう。 東洋経済Plus 「「言ったもん負け」の文化を指摘する社員も 三菱電機、調査報告書があぶり出した「特殊体質」」 「製品自体の安全性には問題がない」、本当だろうか。 「長崎製作所ではそもそも、製造ラインに冷房能力試験や防水試験を行う設備がなかった。現場の従業員がこの設備を導入するためのコスト増を恐れ、不正が放置された側面もある」、信じられないようなズサンさだ。 「本社」と「現場」にこれほど溝がある企業も珍しい。これを放置してきた経営者もそれだけで失格だ。 「始まったばかりの三菱電機の改革は、日本企業の陥りがちな問題に向き合うことができるかも問われている」、確かにその通りだ。 「100点中30点、企業不正問題の専門家が一刀両断 三菱電機、291ページの調査報告書が残した「宿題」」 「ほかの企業の報告書は経験的に45~75点程度」なのに、「三菱電機」のは「30点」とはずいぶん低いようだ。 「三菱電機の報告書でも、会社側の担当者が書いたとみられる文言が見られる」、ずいぶん手抜きが多いようだ。 「原因分析が乏しい」、「社内アンケートの結果や不正発覚の経緯、実行者の特定などもきちんと書かれていない。漠然とこういうことが起きたということが書かれていて、どこの部署のどのレベルの人が何をしたかについては書いていない」、「調査発注者である経営側の責任を調査しない、免責した報告といった印象が強い」、確かに問題が多い「報告書」のようだ。 「品質部門に関する指摘は有用」、一般的に「調査報告書とは、よその会社が「わが社は大丈夫か」とチェックをするときに、公共性の高い重要なものさしになる」、しかし、「三菱電機」の「報告書」は「公共性の高い重要なものさし」たり得るのだろうか。私は筆者の楽観的見方には疑問を感じる。
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