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アフガニスタン問題(その2)(カブール救出作戦 日本はなぜ韓国にも“大負け”したのか アフガン人協力者らを置き去りに、風を読む:やっぱり奥大使は泣いている、中国がタリバンに見せる「友好姿勢」に透ける意図 中国のアフガン関与は日本にどんな意味があるか) [外交]

アフガニスタン問題については、9月4日に取上げた。今日は、(その2)(カブール救出作戦 日本はなぜ韓国にも“大負け”したのか アフガン人協力者らを置き去りに、風を読む:やっぱり奥大使は泣いている、中国がタリバンに見せる「友好姿勢」に透ける意図 中国のアフガン関与は日本にどんな意味があるか)である。

先ずは、9月9日付けデイリー新潮「カブール救出作戦、日本はなぜ韓国にも“大負け”したのか アフガン人協力者らを置き去りに」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/09090558/?all=1
・『アフガンから怒りの声を上げるのは、現地で日本人の活動を支えながらも見捨てられたアフガン人たち。盟友を保護すべく「カブール救出作戦」で結果を出した韓国と比較すれば、我々とて日本政府の体たらくには憤りを覚える。いったい何が明暗を分けたのか。 〈日本、カブールの恥辱〉との見出しで〈アフガニスタン退避計画は失敗に終わった〉と報じたのは、8月28日付の韓国紙・中央日報だ。東亜日報など他の大手メディアも横並びで日本政府の対応を取り上げると共に、中国メディアまでもが〈韓国紙が日本を嘲笑〉と報じるなど、中韓がここぞとばかりに“日本叩き”に熱をあげている。 情けない話だが、かの国々が喧伝するように日本が大負けしたのは否めない事実だ。振り返れば、米国が今年4月にアフガンからの撤退を表明して以降、イスラム原理主義組織タリバンは攻勢を強め、米軍の後ろ盾を失ったアフガニスタン政府は壊滅状態に陥った。8月15日にはタリバンが首都カブールを掌握。以降、31日の米軍完全撤退に間に合わせるべく、タリバンの制圧下で唯一の脱出口となったカブール国際空港には、世界各国から航空機が殺到したのだった。その目的は残留する自国民と、協力者として通訳や警備業務などに従事したアフガン人とその家族の救出である。 実際、韓国政府はアフガン人協力者390人を3機の輸送機にわけて移送。25日にカブールを発ち、パキスタンを経由して無事に韓国まで送り届けている。冒頭の韓国紙は文在寅大統領が陣頭指揮を執った脱出劇を〈ミラクル作戦〉と呼び、〈カブールのミラクルが成し遂げられた〉と褒め称えた。 片や日本はといえば、韓国軍機がアフガンを飛び立った翌日の26日、ようやく自衛隊の輸送機がカブールに到着。現地で飲食店などを営みながら共同通信のカブール通信員を務めていた安井浩美さん(57)ただ一人を救出できたが、日本大使館や国際協力機構(JICA)の現地事務所に雇われて、日本人と共に汗を流してきたアフガン人協力者の退避希望者約500人は置き去りにされた。 タリバンは外国勢力に協力したアフガン人の身柄を次々に拘束し、場合によっては殺害しているともいわれており、彼らは命の危険に晒されている』、「〈日本、カブールの恥辱〉との見出しで〈アフガニスタン退避計画は失敗に終わった〉と報じたのは・・・韓国紙・中央日報だ。東亜日報など他の大手メディアも横並びで日本政府の対応を取り上げると共に、中国メディアまでもが〈韓国紙が日本を嘲笑〉と報じるなど、中韓がここぞとばかりに“日本叩き”に熱をあげている」、全く国辱ものの不手際だ。何度読んでも、腹が立つ。
・『全国紙の外報部記者曰く、「日本政府は、カブール市内に集まった脱出希望者をバスに乗せるところまではこぎ着けたのですが、折悪しく26日に空港周辺で米兵を含む140名もの死傷者が出た自爆テロが発生し、自衛隊機まで運ぶことができなかったのです。あと1日早ければという声もありますが、そもそも日本政府が自衛隊機の出動を決めたのは23日になってからでした。カブール陥落後、すぐ軍用機を出して救援活動に乗り出した欧米各国と比べれば、1週間ほど遅かったと思います」。 結論からいえば、日本政府の初動が遅れた理由は二つ。一つ目は現地事情に最も精通しているはずの外務省の対応にある。 「救出作戦の明暗を分けた背景には、日韓の“外交官格差”があると思います」 とは、元時事通信外信部長で拓殖大学海外事情研究所教授の名越健郎氏だ。 「韓国の報道によれば、カブールが陥落してから韓国の大使館員も国外へ一旦避難してはいますが、救出作戦を遂行するために4人が現地に戻り、大混乱の中でも、米軍が契約するバスを素早くチャーターして空港まで脱出希望者を送り届けることに成功しています。外交官の日頃の人脈や行動力、機転が成功につながったのだと思いますが、これに対して日本大使館の日本人職員12人は、カブール陥落2日後の17日、全員が英国軍の輸送機に便乗してドバイへと脱出してしまっているのです」 ちなみに日本大使館ご一行様が脱出時に頼ったイギリスは、米軍が撤退するギリギリのタイミングまで大使自らが残留し、ビザ発給業務などを続けたという。結果、取り残された人々がいるものの、英国は8千人超、ドイツは4千人超のアフガン人を退避させることに成功した』、「韓国の大使館員も・・・救出作戦を遂行するために4人が現地に戻り、大混乱の中でも、米軍が契約するバスを素早くチャーターして空港まで脱出希望者を送り届けることに成功」、他方「日本大使館の日本人職員12人は、カブール陥落2日後の17日、全員が英国軍の輸送機に便乗してドバイへと脱出」、「イギリスは、米軍が撤退するギリギリのタイミングまで大使自らが残留し、ビザ発給業務などを続けた」、「日本人職員」は本当に腰抜けだ。
・『頼りにならない国  一方、現場の“最高責任者”である岡田隆・アフガン大使の姿が、カブール空港で見られることはなかった。日本の名誉のため付言すれば、自衛隊の先遣隊が派遣された22日以降、一部の日本大使館員がカブールに戻って救援業務にあたったとの報道もある。とはいえ、刻一刻と治安状況が悪化するにもかかわらず、米軍やタリバンとの折衝などにおいて空白期間があったことは否めない。 名越氏はこうも指摘する。「日本政府は過去20年で約7700億円もの援助をアフガンに行い、欧米諸国と違って自衛隊を派遣してタリバンと戦ってはいません。日本人外交官が危害を加えられることは考えられない。現地に踏みとどまる気概はなかったのでしょうか」 時代や状況は異なれど、ナチスに迫害されたユダヤ人を救うために「命のビザ」を発給し続けた杉原千畝のような外交官はいなかったのか。 そして、もう一つの理由は法律上の限界である。当初は民間機をチャーターして救援に向かう計画だったが、想定よりカブール陥落が早く急遽自衛隊に要請が下った。本来の自衛隊は、騒乱の現場で邦人を保護して空港へ運び、日本まで退避させる訓練を積んでいるというが、現状ではその能力をフルに発揮できないというのだ。 防衛大学校名誉教授の佐瀬昌盛氏によれば、 「自衛隊法84条の4では、海外で邦人輸送できるのは〈安全に実施することができると認めるとき〉との要件が定められ、今回は米軍のコントロール下にあるカブール空港の中でしか活動できなかった。もともと自国民が危険に晒されているから自衛隊を派遣するのに、安全な場所でしか行動できないというのは矛盾しています。政治家はこのような現実を直視して法改正を検討すべきですが、今の菅首相や政権与党は喉元過ぎれば熱さを忘れる。そうした危機意識の欠如が、救出作戦が難航した理由だと思います」 米軍が完全にアフガンを去った今、日本政府は出国を希望する協力者の救出を求めてタリバンと交渉するとは明言しているが、タリバンは9月上旬にも新政府を樹立すると意気込む。いざという時に頼りにならない国だとの烙印を押されないよう、救出作戦を完遂する必要がある。残された時間は限りなく少ない』、「もともと自国民が危険に晒されているから自衛隊を派遣するのに、安全な場所でしか行動できないというのは矛盾しています。政治家はこのような現実を直視して法改正を検討すべきですが、今の菅首相や政権与党は喉元過ぎれば熱さを忘れる。そうした危機意識の欠如が、救出作戦が難航した理由」、「いざという時に頼りにならない国だとの烙印を押されないよう、救出作戦を完遂する必要」、その通りだ。

次に、9月14日付け産経新聞「風を読む」欄を紹介しよう。
https://www.sankei.com/article/20210914-YZY7SEGLMFO4DMOFXCHUPQ333M/
・『「9・11」から20年の歳月が流れた。だが、その後の国際情勢の激変に日本は対応できていない。いや、日本人そのものの劣化が進行したのではないか、とさえ感じる「事件」があった。 在アフガニスタン大使館での現地職員「置き去り事件」である。タリバンの攻勢で首都・カブールが陥落した8月15日の2日後、12人の日本人外交官は、英国軍機で逃げ出した。 米軍から「日本大使館を警護できない」と通告され、空港のパニック状況を考慮すれば情状酌量の余地はあるが、完全なミスである。恐怖政治でしられるタリバンとて今後の外交を考慮すれば、むやみに大使館員の身柄を拘束するとは考えにくい。英国大使は、ギリギリまで現地に残り、協力者にビザを出し続けた。第一、司令官たる岡田隆大使が、カブールに不在だったのは、更迭に値する。 外務省では、厳しい環境で勤務する外交官をケアするためローテーションを組んで年に何回か任地を離れて英気を養うことを認めている。この制度を利用して大使は、日本に帰国しており、慌てて現地に戻ろうとしたが、イスタンブールから先へは行けなかった。 大使館の情報収集力は、ゼロといっていい。米軍撤収の1カ月前には、「ごく近いうちにカブールは陥落する」との情報が出回っており、東京にいる私の耳にも入っていた。現地職員も早くから退避を進言していたとの報道もある。 外務省も何もしなかったわけではない。18日に民間機をチャーターして脱出させようとしたが、失敗。ここで即、自衛隊機の派遣を要請すればよかったのに、派遣が決まったのは、陥落から8日後で、間に合わなかった。 外務省出身の評論家、宮家邦彦氏は「『置き去りにして逃げる』などあり得ない」と本紙に寄稿した(9日付オピニオン面)が、政治も外交も結果がすべてである。 18年前、イラクで凶弾に倒れた奥克彦大使は、その3カ月前、バグダッドの国連事務所が爆破された跡地で、犠牲になった友人の血染めの名刺を見つけた。 「わが日本の友人よ、まっすぐ前に向かって行け!」「何を躊躇(ためら)っているんだ。やることがあるじゃないか」と感じた彼は、イラク復興に文字通り命を捧(ささ)げた。 今の外務省に「奥克彦」はいないのか。産経抄(8月30日付)の通り、やっぱり彼は泣いている』、産経新聞にしては、珍しい政府批判で、同感である。通常、このブログでは新聞記事は扱わないのを原則としているが、この記事はコンパクトにまとまっていたので、紹介した次第である。

第三に、9月27日付け東洋経済オンラインが掲載したAPI地経学ブリーフィング(山口信治/防衛研究所主任研究官)による「中国がタリバンに見せる「友好姿勢」に透ける意図 中国のアフガン関与は日本にどんな意味があるか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/457773
・『米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。 コロナウイルス危機で先が見えない霧の中にいる今、独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく』、興味深そうだ。
・『中国にとってのアフガン問題  中国は、タリバンについてポジティブイメージを前面に出すような報道を繰り返している。8月15日のカブール陥落に合わせて「人民日報」の微博(ウェイボー)アカウントは、「60秒でわかるタリバン」という動画を投稿した。これはテロ活動についてまったく触れずに、タリバンを民族主義的勢力として紹介する内容で、国内で批判が相次ぎ、4時間余りで削除された。しかしその後も中国の対外宣伝メディアであるCGTNは、タリバンが秩序回復のために努力する姿を強調して報道している。 中国のタリバンに対する友好的な姿勢は、こうした宣伝にとどまらず、建設的な関係構築に向けて動いているように見える。9月8日、中国はアフガニスタンに対する人道支援として、ワクチンや食糧など2億元(約34億円)相当の提供を発表した。 さらに同日、中国は、欧米の主催するアフガニスタンに関する会議には出席せず、パキスタンやイラン、中央アジア諸国との間で周辺国によるアフガン問題外相会議を開催した。9月17日には上海協力機構(SCO)サミットとSCOとロシアを中心とする集団安全保障条約(CSTO)の合同サミットが開催されるなど、アフガニスタンをめぐる中国外交が活発となっている。 中国は、アメリカ軍撤退後のアフガニスタン情勢にどのように関わろうとしているのだろうか。この地域の秩序をリーダーとして牽引し、中国中心の秩序を作ろうとしているのだろうか。中国の対アフガニスタン政策の根底にあるロジックを探ってみたい。 中国の国内安全保障問題が、アフガニスタン問題に対する中国の中心的関心となっている。これは、アフガニスタンの安定は、新疆ウイグル自治区の安定と関わると中国が考えているためである。中国は、新疆ウイグル自治区の分離を目指す東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)などの分離独立勢力やテロリズムが外国勢力とつながるという警戒を、一貫して抱いてきた。とくにこれらと中央アジアやアフガニスタンのテロリズムとのつながりを警戒している。) アフガニスタンがこうしたテロリストや分離独立運動の温床となるのが、中国にとって最大の懸念である。中国は分離独立運動に対して過剰とも思えるほどの懸念を抱き、国内ではウイグル族やカザフ族に対する抑圧を強化している。アフガンが不安定化し、テロリストの活動が活発化することは、中国の恐怖を増大させるだろう。こうした意味で、アフガニスタンの安定は中国の国益につながる重要な問題である。 またアフガニスタンの国内が安定することで、その鉱物資源などの資源採掘や、一帯一路協力などの経済的協力が可能になるかもしれない。しばしば中国は鉱物資源を狙ってアフガン進出を強化するという予測がみられるが、事はそれほど単純ではない。 中国はアフガンにおける銅山採掘の契約を締結するなど、これまでもある程度の経済進出を試みてきたものの、安全への懸念やインフラの不備などから、プロジェクトはほとんど進んでこなかった。よって、中国にとってアフガンは、経済的利益は潜在的にあるものの、国内の安定なくして、それを得ることはできない、というのが実情である』、「中国は分離独立運動に対して過剰とも思えるほどの懸念を抱き・・・アフガンが不安定化し、テロリストの活動が活発化することは、中国の恐怖を増大させるだろう・・・経済的利益は潜在的にあるものの、国内の安定なくして、それを得ることはできない」、なるほど。
・『中国外交の試金石  アフガニスタンの安定に中国がどのように関与していくかが、中国がどのようにリーダーシップを発揮し、自国中心の秩序をどの程度積極的に構築していくかを図る試金石になる。中国は従来、リーダーシップを発揮して秩序を担うことには消極的だった。習近平政権までに、より積極的に国際秩序を主導することをうたうようになったが、あくまで理念的レベルにとどまっており、実際にリーダーシップを発揮することは少なかった。 中国は従来、国際秩序を支える原則として、国連憲章や平和五原則の主権平等、内政不干渉が重要との立場を取っており、これを外交の原則として掲げてきた。欧米が民主や人権をかざして他国の内政に介入することに中国は批判的立場を取り続け、中国は相手国の政治体制がどのように抑圧的な体制であろうとも、プラグマティックに外交を行うことができるとアピールしてきた。 アメリカ軍撤退とそれに続くカブール陥落の劇的な展開は、中国にはアメリカの失敗と衰退を象徴しているように映っているだろう。またアメリカの掲げてきた介入による民主主義国家建設は失敗し、人権を信奉するアメリカが多くのアフガニスタン住民を見捨てて逃げざるをえなかったことは、その大義の失敗を示していると中国は捉えている。その意味では、タリバンの勝利は中国にとって喜ぶべき展開なのかもしれない。) しかし従来、中国はアフガンの安定化を丸投げに近いかたちでアメリカにほぼ依存してきた。アメリカ軍が全面的に撤退し、力の空白が生まれたことで、アフガンの安定化という役割を誰が担うのかが大きな課題となっていることも事実だ。 これは中国外交の大きなトレンドとしての、他国への介入の必要性の増大と関わる。中国の台頭に伴って海外における利益が拡大し、それを守る必要が増大していること、そして過剰なまでの国内安全保障への不安感が高まっていることから、中国外交において以前よりも積極的に他国に関与したり、介入したりするインセンティブが高まりつつある。 中国では、従来の内政不干渉という建前を守りつつ、自国の影響力を他国に及ぼしていくために、「中国の特色ある建設的介入」(王毅外相)を行うべきという議論が行われている』、「中国の特色ある建設的介入」といっても、「アフガンの安定化という役割」、まで負うかどうかは不透明だ。
・『中国のアプローチと不安  では、中国はどのようにアフガニスタン問題に関わろうとしているのだろうか。現在のところ、中国にとっては、タリバンを中心とした政権が、外国におけるテロ活動を支援せず、原理主義的な立場を改めて穏健化したうえで、これを中心とした安定政権を築くことが最善となっている。経済協力や外交的承認を誘因にして、タリバンの穏健化を促すのが、中国が使える手段となるだろう。 中国がタリバンのポジティブイメージを宣伝しているのは、国内に向けてタリバン政権と友好的関係を作ることを説得するのと同時に、ある意味でタリバンに向けたメッセージであるともいえるかもしれない。 中国にとって重要なのは、多国間の協力であり、とくにパキスタン、ロシア、イラン、中央アジア諸国との協力を重視している。9月8日、パキスタンの主催で、中国、パキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、イランによる周辺諸国外相会議が開催された。また、9月17日にはSCOサミットとSCO-CSTOの合同サミットが開催され、その中でアフガニスタン問題が取り上げられている。 これに併せて、前日には中国、ロシア、パキスタン、イランによるアフガニスタン問題に関する非公式外相会談が開催された。これら会議では、アフガニスタン問題についてこれら周辺国が協力して対処することを確認し、タリバンに対して包括的政治枠組みを作り、穏健な政策を取ることを促すとともに、反テロ協力を進めることがうたわれた。中国がパキスタンなどとの協力の下で、アメリカ撤退後の地域秩序をうまく安定させることができれば、それは中国主導の地域秩序への第一歩となるかもしれない。 だが、中国の思い描くような展開とならない可能性は十分にある。タリバン政権が内政を安定化させることができるかどうか未知数であるし、タリバンが穏健化する保証はどこにもない。さらに、タリバンが末端組織を統制できるとも限らない。 タリバンの政権奪取に伴うテロ活動の活発化はすでに懸念されるところとなっている。王毅外相は、「アフガニスタンに拠点を置く国際テロ組織が周辺国に侵入しようとしている」と警告している』、「中国がパキスタンなどとの協力の下で、アメリカ撤退後の地域秩序をうまく安定させることができれば、それは中国主導の地域秩序への第一歩となるかもしれない。 だが・・・「タリバン政権が内政を安定化させることができるかどうか未知数」、「タリバンが穏健化する保証はどこにもない」、「タリバンが末端組織を統制できるとも限らない」、まだまだなんとも言えないようだ。
・『中国のタリバンに対する不安感と不信感  中国は再三にわたってタリバンに対して、過激派との関係を完全に断ち、これらに対して強硬な態度を保つよう要請している。このことが示すのは、中国のタリバンに対する不安感や不信感であるように見える。 実際に、7月から8月にかけてパキスタンの自爆テロで中国人が殺害される事件が起きるなど、地域全体の不安定化の傾向がみられる。王毅外相は、周辺国外相会議において、インテリジェンス協力や国境管理を強化し、アフガニスタンからテロ集団が流入することを共同で防ぐことを提案している。 問題は、仮にタリバンの穏健化というシナリオがうまくいかなかった場合、中国はどうするのかということである。自国内に過激派や分離独立勢力が侵入し、新疆の不安定をもたらす可能性が高まれば、中国がアフガン内政により介入する誘因が高まるかもしれない。 しかし、しばしば「帝国の墓場」と呼ばれるアフガンに過度に介入することは、ソ連やアメリカの二の舞いになる危険性もあるため、中国としては避けたいところであろう。中国にとってここでも重要となるのは、ロシアや中央アジア諸国との共同歩調ということになるだろう。 日本から見れば、中国のアフガニスタンへの関与の増大は、いい面と悪い面の入り交じったものである。中国がアフガニスタンの安定化に積極的に乗り出すならば、それは地域における中国の影響力増大につながるかもしれない。 しかし中国がそれまで地域秩序の維持にほとんど貢献してこなかったことを考えれば、地域の安定に責任を負うこと自体を否定すべきではないだろう。また中国の関心が海洋よりも西側の内陸に向けられることは、海洋で紛争を抱える国々にとって、圧力の軽減にもつながりうるかもしれない』、「中国の関心が海洋よりも西側の内陸に向けられることは・・・」、はいささか虫が良すぎるが、「中国が・・・地域の安定に責任を負うこと自体を否定すべきではないだろう」、その通りだ。実際には、どのように展開していくか、大いに注目される。 
タグ:「〈日本、カブールの恥辱〉との見出しで〈アフガニスタン退避計画は失敗に終わった〉と報じたのは・・・韓国紙・中央日報だ。東亜日報など他の大手メディアも横並びで日本政府の対応を取り上げると共に、中国メディアまでもが〈韓国紙が日本を嘲笑〉と報じるなど、中韓がここぞとばかりに“日本叩き”に熱をあげている」、全く国辱ものの不手際だ。何度読んでも、腹が立つ。 「カブール救出作戦、日本はなぜ韓国にも“大負け”したのか アフガン人協力者らを置き去りに」 デイリー新潮 アフガニスタン問題 (その2)(カブール救出作戦 日本はなぜ韓国にも“大負け”したのか アフガン人協力者らを置き去りに、風を読む:やっぱり奥大使は泣いている、中国がタリバンに見せる「友好姿勢」に透ける意図 中国のアフガン関与は日本にどんな意味があるか) 「韓国の大使館員も・・・救出作戦を遂行するために4人が現地に戻り、大混乱の中でも、米軍が契約するバスを素早くチャーターして空港まで脱出希望者を送り届けることに成功」、他方「日本大使館の日本人職員12人は、カブール陥落2日後の17日、全員が英国軍の輸送機に便乗してドバイへと脱出」、「イギリスは、米軍が撤退するギリギリのタイミングまで大使自らが残留し、ビザ発給業務などを続けた」、「日本人職員」は本当に腰抜けだ。 「もともと自国民が危険に晒されているから自衛隊を派遣するのに、安全な場所でしか行動できないというのは矛盾しています。政治家はこのような現実を直視して法改正を検討すべきですが、今の菅首相や政権与党は喉元過ぎれば熱さを忘れる。そうした危機意識の欠如が、救出作戦が難航した理由」、「いざという時に頼りにならない国だとの烙印を押されないよう、救出作戦を完遂する必要」、その通りだ。 産経新聞「風を読む」欄 「やっぱり奥大使は泣いている 論説委員長・乾正人」 産経新聞にしては、珍しい政府批判で、同感である。通常、このブログでは新聞記事は扱わないのを原則としているが、この記事はコンパクトにまとまっていたので、紹介した次第である。 東洋経済オンライン API地経学ブリーフィング 「中国がタリバンに見せる「友好姿勢」に透ける意図 中国のアフガン関与は日本にどんな意味があるか」 「中国は分離独立運動に対して過剰とも思えるほどの懸念を抱き・・・アフガンが不安定化し、テロリストの活動が活発化することは、中国の恐怖を増大させるだろう・・・経済的利益は潜在的にあるものの、国内の安定なくして、それを得ることはできない」、なるほど。 「中国の特色ある建設的介入」といっても、「アフガンの安定化という役割」、まで負うかどうかは不透明だ。 「中国がパキスタンなどとの協力の下で、アメリカ撤退後の地域秩序をうまく安定させることができれば、それは中国主導の地域秩序への第一歩となるかもしれない。 だが・・・「タリバン政権が内政を安定化させることができるかどうか未知数」、「タリバンが穏健化する保証はどこにもない」、「タリバンが末端組織を統制できるとも限らない」、まだまだなんとも言えないようだ。 「中国の関心が海洋よりも西側の内陸に向けられることは・・・」、はいささか虫が良すぎるが、「中国が・・・地域の安定に責任を負うこと自体を否定すべきではないだろう」、その通りだ。実際には、どのように展開していくか、大いに注目される。
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