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電気自動車(EV)(その11)(EV電池の中国CATLを見て 日本の自動車産業の将来に危機感 沸騰・欧州EV(15)、課題山積でも「日本でEV普及が急加速できる」根拠電 力不足や充電渋滞は工夫すれば回避できる、いすゞのEVトラックが自動車産業と日本経済に与える 侮れないインパクト) [イノベーション]

電気自動車(EV)については、8月18日に取上げた。今日は(その11)(EV電池の中国CATLを見て 日本の自動車産業の将来に危機感 沸騰・欧州EV(15)、課題山積でも「日本でEV普及が急加速できる」根拠電 力不足や充電渋滞は工夫すれば回避できる、いすゞのEVトラックが自動車産業と日本経済に与える 侮れないインパクト)である。

先ずは、9月15日付け日経ビジネスオンライン「EV電池の中国CATLを見て、日本の自動車産業の将来に危機感 沸騰・欧州EV(15)」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00122/091400093/
・『欧州委員会が電池産業の育成を明確にし、欧州各社が巨大な電池工場の建設計画を打ち出しています。官民一体で自動車の電動化に突き進む欧州の動向をどのように捉えるべきでしょうか。日経ビジネスは、専門家が解説する日経ビジネスLIVE(オンラインセミナー)「電気自動車で日本は勝てるのか~欧州の野望を読み解く」を9月15日(水)16:00~17:00に開催します(事前登録制、日経ビジネス電子版有料読者は受講料無料です)。詳細についてはこちらをご覧ください。今回は登壇するZFジャパン社長の多田直純氏のインタビューの一部をお届けします(Qは聞き手の質問)。 多田さんはドイツのボッシュや中国の寧徳時代新能源科技(CATL)でマネジメント経験があり、現在はZFジャパン社長として自動車サプライヤーに精通しています。Q:今のEV市場の状況をどのように見ていますか。 ZFジャパン社長の多田直純氏(以下、多田氏):中国では、今年から来年にかけて電池の生産量が急激に伸びていきそうな勢いです。それから考えると市場にEVが出始めるのが、2022年や23年ぐらいになりそうです。おそらく3〜4年前の17年や18年ぐらいに生産設備への投資計画を考え始めたと思います。 その頃の17年に私はCATLに入りました。そのときは欧州や日本の自動車メーカーが、CATLに何度も足を運んでいたときです。CATLの本社がある寧徳(ニンドゥ)にあるワンダプラザホテルにいつも泊まっていたんですけど、そこには欧州の自動車メーカーの人たちが毎日いましたね。 Q:そのときには実際、自動車メーカーとCATLはどのような交渉をしていたのですか。 多田氏:日本の自動車メーカーは、電池の供給量の約束をしてほしかった。生産量の確保のために動いていましたね。当時、日本の自動車メーカーは日本の電池メーカーと距離を取り始めていました。 (多田 直純氏の略歴はリンク先参照」 Q:その頃には技術面や品質面の課題はクリアになっていたのですか。 多田氏:当時、日本の自動車メーカーは自分たちの基準を製品に反映しようとしていました。プラットホーム(車台)の開発に5年以上かかるような話を持ってくるのに対し、中国は非常に短い開発期間で対応するという話をしました。逆にCATLの方に日本の自動車メーカーの品質の高さやノウハウを植え付けるような話をしながら、ウイン・ウインの関係を築くようにしました。 Q:欧州勢と日本勢のアプローチの仕方は違ったのですか。 多田氏:違いますね。欧州の顧客たちは切り替えが早かったです。というのは、欧州顧客の最初の新エネルギー車(NEV)は、中国限定だったのですよ。スペックも中国限定とし、そのときに欧州の顧客が開発プロセスや品質プロセスをCATLに教えて、CATLはそれを勉強していきました。その後、中国のスペックからグローバルのスペックに持っていく過程には時間をかけていました』、「欧州顧客の最初の新エネルギー車(NEV)は、中国限定だったのですよ。スペックも中国限定とし、そのときに欧州の顧客が開発プロセスや品質プロセスをCATLに教えて、CATLはそれを勉強」、「その後、中国のスペックからグローバルのスペックに持っていく過程には時間をかけていました」、「中国限定」でやるとは急いでやるのは上手いやり方だ。
・『日本と欧州の自動車メーカーで2年ぐらいのギャップがあった  ドイツ勢はいち早くEVを商品化することを目的とし、CATLと付き合っていたのでしょうか。 多田氏:日本の顧客は、中国における電池の開発能力の高さや開発者の質、開発スピードの速さなどを見て、CATLと組まないと自分たちは中国で成功しないということに気付いたんだと思います。欧州の自動車メーカーは、もっと早いうちにそれが分かっていたのかもしれません。欧州の自動車メーカーと日本の自動車メーカーでは電池の使いこなしという点で、当時は2年ぐらいのギャップがあったように感じていました。 Q:そもそも多田さんはどのような経緯で、CATLの日本法人トップになったのですか。 多田氏:前の会社を辞めた後にヘッドハンターから電話がかかってきて、それで「来いひんか」という話があり、何回かCATLの幹部の人と電話でやりとりした後に本社に行きました。 今はCATL本社としてすごい立派なビルがあるんですけど、それもできていない頃です。小さなオフィスを借りてみんなが頑張ってやってはったときだったんですよ。まあ、こんなにみんな一生懸命やってエネルギーに満ちた会社を久しぶりに見たなと思って。 ロビンという創業者兼CEO(最高経営責任者)とも話をしたら、本当にどうやって日本のお客さんと仕事ができるやろう、どうやって教えてもらえるやろうとか言ってくれて、エネルギーに満ちた会社と幹部の人たちの気持ちとか熱意とかに感動して、入社を決めました。 Q:それがCATLの成長の原動力だったのですね。 多田氏:そうです。僕は中国の若いエンジニアたちのすごいエネルギーと向上心、まじめな勤務態度とか、それから多大な資本というのを見たときに、日本は負けると思いました。だからCATLにいたとき頭の中にずっとあったのは、このCATLと日本の自動車メーカーをつながないと、将来日本の自動車メーカーはえらいことになるんじゃないかということなんですよ』、「中国の若いエンジニアたちのすごいエネルギーと向上心、まじめな勤務態度とか、それから多大な資本というのを見たときに、日本は負けると思いました。だからCATLにいたとき頭の中にずっとあったのは、このCATLと日本の自動車メーカーをつながないと、将来日本の自動車メーカーはえらいことになるんじゃないかということなんですよ」、なるほど。
・『欧州と中国は似ている面がある  欧州はムービングゴールポストというか、勝手にゴールポストをつくるとか、ルールづくりで勝つ意識が強いように感じます。多田さんは欧州のルールづくりの在り方とか目標設定をどう受け止めていますか。 多田氏:あまり僕も詳しいことは分からないんですけど、最近の報道なんかを見ていたり、読んだりしていると、以前の中国と似ているなと思いました。以前、中国では自動車に関していろいろな規制を発表したり、優遇措置を出したりなど、本当に1週間ごとぐらいに新しいニュースが入ってくるような時期がありました。今は欧州がそんな感じがしますよね。ですので、印象としては欧州も中国と同じようになってきたというイメージを持っています。 欧州と中国は人権意識などで大きな違いがある一方で、意外に共通点があると感じます。米国はどちらかというと民間がイノベーションの主体になりますが、欧州はむしろ規制ベースで枠をはめてイノベーションを起こすという仕組みがあるように感じます。 多田氏:まさにそんな感じですね。あるいは逆に中国の市場を見据えた欧州自動車メーカーの電動化への動きということから考えると、欧州の政府と自動車メーカーは一緒に考えている印象も受けます。独ミュンヘン国際自動車ショーでもメルケル独首相が、ZFのブースを訪問し、弊社CEOのシャイダーと次世代のモビリティのソリューションについて議論されていました。(続きは、9月15日の日経ビジネスLIVE「電気自動車で日本は勝てるのか〜欧州の野望を読み解く」をご視聴ください)』、「電気自動車で日本は勝てるのか〜欧州の野望を読み解く」は、セミナーのPRなので紹介は省略。「欧州はむしろ規制ベースで枠をはめてイノベーションを起こすという仕組みがあるように感じます」、というのは「中国」のやり方に近い。このままでは、「CATL」と日本の自動車メーカーの格差は開く一方だ。

次に、10月10日付け東洋経済オンライン「課題山積でも「日本でEV普及が急加速できる」根拠電 力不足や充電渋滞は工夫すれば回避できる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/461216
・『2050年のカーボンニュートラル  二酸化炭素排出量の実質ゼロ)に向けて、自動車業界も対応を迫られている。その主役と目されるのはEV(電気自動車)だが、普及に向けた課題もある。『週刊東洋経済』10月9日号は「EV産業革命」を特集。欧州を震源に巻き起こるカーボンニュートラルの動きに、トヨタ自動車を筆頭とした日本の自動車産業はどう対応していくのか。EMS(電子機器の受託製造サービス会社)世界最大手の台湾・鴻海精密工業や中国・ファーウェイといった異業種の参入により、車づくりはどう変わっていくのか。激動の自動車産業に迫る。 EVの価格の高さや品ぞろえの少なさ、充電インフラの不足などから日本でのEV普及は遅れている。また、日本は7割を火力発電に依存しているため、EVによるCO2削減効果への疑問やEV普及によって増える電力量を心配する声もある。こうしたEVに対する疑問や、普及に伴うさまざまな課題をどう解消していけばよいのだろうか。 脱炭素化を研究する櫻井啓一郎氏に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは櫻井氏の回答)』、興味深そうだ。
・『電力不足に対応する時間は十分にある  Q:EVが普及すれば、電力不足になると心配する声があります。日本自動車工業会の会見で、豊田章男会長(トヨタ自動車社長)が「国内の乗用車がすべてEV化したら、夏の電力使用のピーク時に電力不足になる。解消には発電能力を10~15%増強しないといけない。これは原子力発電で10基、火力発電なら20基に相当する」と述べています。 A:国内の乗用車総保有台数約6200万台が全部EVに置き換わったとして、1年間に必要な電力を試算すると現在の日本の年間総発電量の約1割となる。 だが、問題はEVの普及によって増える電力量よりも、充電するタイミングが重なることだ。豊田会長の試算は、それを念頭に置いているのではないかと思う。 Q:約1割増える電力はまかなうことができる、と。 A:今すぐに新車販売をすべてEVに切り替えたとしても、約6200万台の乗用車をすべてEVに置き換えるのに15年かかる。その前に新車販売をすべてEVにするにも何年もかかる。対処する時間は十分にあるはずだ。 Q:そもそも日本は電力の約7割が火力発電由来です。EVに切り替えてCO2排出量は減るのでしょうか。 A:今の日本の電力構成を前提に見積もると、送電と充電のロスを考慮しても、EVのライフサイクル(製造時から廃棄時まで)全体でのCO2排出量はハイブリッド車(HV)と同程度になる。 ただ、日本が今後(再生エネルギーの比率を増やすなど)電力の(CO2の)低排出化を進めていけば、販売済みのEVのCO2排出量も減少していく。欧州やアメリカのカリフォルニアのようにすでに電力の低排出化が進んでいる地域では、現時点でもHVよりEVのほうが何割も低排出になっている。) Q:再エネは太陽光にしろ、風力にしろ、稼働が不安定という問題があります。 櫻井氏の略歴はリンク先参照) A:EVの蓄電能力を利用することで太陽光や風力を有効に活用できる。現時点でも太陽光による電力が余ることがある。今はその余った電力を捨てている。 一方、EVは大容量の電池を積んでいるが、どの時間帯でも約9割の車両は駐車されている。電力が余る時間帯に安くEVを充電し、電力需要が高いときにEVにためておいた電気を使うことで、捨てられるはずだった再エネ電力を有効活用できる。 そうすれば再エネ事業者の採算性が改善して需要ピーク時の電力コストを抑えられるため、EVを持たないユーザーにとってもプラスになる。何より国全体で再エネ電力を増やし、カーボンニュートラルへと近づくことができる。 EVと家とで電力を融通し合うV2H(ビークル・トゥー・ホーム)や、EVを電力系統全体で有効活用するV2G(ビークル・トゥー・グリッド)と呼ばれるシステムも期待できる。現在は高価だが、EV用の車載インバーター(モーターの回転速度を制御する装置)の活用で安価にできる余地がある』、「どの時間帯でも約9割の車両は駐車されている。電力が余る時間帯に安くEVを充電し、電力需要が高いときにEVにためておいた電気を使うことで、捨てられるはずだった再エネ電力を有効活用できる」、「国全体で再エネ電力を増やし、カーボンニュートラルへと近づくことができる」、なるほど。
・『カギは充電タイミングの分散  Q:充電のタイミングが集中する問題に対応できますか。電力逼迫時に一斉にEVが充電をすれば、停電が起きる懸念もあります。 A:ユーザーがEVを充電するタイミングについて何も対策をしないと、電力需要のピーク時に充電も集中し、必要な発電容量が増えてしまう。だが、EVの機能をフルに活用すれば、ピーク時の電力需要を下げることが可能だ。 例えば、夕方帰宅してすぐに自宅でEVを充電しようとすれば、住宅での電力需要が増えるタイミングと重なるのでよくない。帰宅してEVをコンセントにつないでもすぐに充電が開始されるのではなく、夜中に電力需要が下がってから自動的に充電を始められるようにしなくてはいけない。 実は、EVの多くには充電のタイミングをコントロールする機能が搭載されている。朝の7時に充電を終えるようにセットしておけば、残量から逆算して(電力需要の少ない)夜中に自動で充電を開始してくれる。こうした機能があることは、EVの保有者にもあまり知られていない。販売時点でこの機能をオンにしておくようにすると、充電の需要が集中するリスクの回避に有効だろう。 Q:消費者がEVの購入に消極的な理由として、充電インフラの不足もあります。 A:自宅での基礎充電と外出先での急速充電――この2つのインフラを整えなくてはいけない。ただし国全体の電力需給の観点からは、日常では基礎充電を使うようにして急速充電の利用は遠出をする際に絞るなど、補完的な位置づけにすべきだ。 基礎充電は先ほど述べたV2Hでメリットを出していく。職場には充電できる環境がまだ少ないので、その整備も必要になる。) Q:急速充電は補完的な位置づけだとしても、国内の急速充電器はまだ少なく、ガソリンの給油に比べると時間がかかります。EVが普及すれば、充電待ちの行列ができるのではないでしょうか。 A:海外では150~400キロワットと高出力な充電器を多数設置するインフラ整備が進められており、休憩時間中に充電するだけで遠出が可能になりつつある。対して、日本の高速道路には出力が最大90キロワットまでの充電器しか設置されていない。基数も少なく、充電待ちも長くなりがちだ。 ただ、EVの充電はガソリン車の給油よりも便利な点がある。EVならコンセントにつないでから、その場を離れて用事を済ませることができる。トイレに行ってもいいし、食事をしてもいい。タバコだって吸える。夏場ならエアコンをかけて車内で待っていてもいい。ガソリン車は給油中に車を離れにくいので、用事を済ませてから給油しないといけない。 また、急速充電器そのものが進化しているため充電時間は短くなっている。ガソリンなら給油にかかるのが約3分としても、代金を払ったりしていればトータルでは5分くらいはかかるものだ。EVの充電なら充電の終了と同時に支払いまで自動でできる。さらに急速充電が進化すれば、充電時間の長さはそこまで気にならなくなるのではないか。 業務用の車両などでは無線充電の利用も考えられており、すでに規格化も済んでいる。) Q:こうしたインフラ整備には多額のコストがかかり、一方で収入は限られます。民間企業がきちんとしたビジネスモデルを描けるのでしょうか。 A:EVは猛烈な勢いで価格低下が進んでいるため、車単体で儲けるのは難しくなるかもしれない。安くなったEVを活用してどんなビジネスを展開するかが重要になるのではないか。 EVと自動運転を組み合わせた運送業、家の電力とEVを組み合わせたV2Hのサービスなど、EVを活用して業界の垣根を超えたサービスを考えていくことになる。 急速充電器はこうした新しいビジネス候補の1つになるだろう。実際、テスラは自前で急速充電器「スーパーチャージャー」を整備して顧客サービスの強みにしている。最近は他メーカーに充電網を開放するという話もあるが、その場合はテスラに巨額の収入をもたらすとも言われている』、「EVの多くには充電のタイミングをコントロールする機能が搭載されている。朝の7時に充電を終えるようにセットしておけば、残量から逆算して(電力需要の少ない)夜中に自動で充電を開始してくれる」、便利になったものだ。「海外では150~400キロワットと高出力な充電器を多数設置するインフラ整備が進められており、休憩時間中に充電するだけで遠出が可能になりつつある。対して、日本の高速道路には出力が最大90キロワットまでの充電器しか設置」、日本でも「高出力な充電器」を設置すべきだ。
・『欧州は充電網に対する民間投資を呼び込めている  欧州では先を争うように事業者が急速充電器を整備している。ユーザーは契約している事業者なら安く充電できるが、契約外の事業者だと高い。事業者は携帯電話のローミングにも似たこの商売で競っており、よい充電器の設置場所は取り合いになっている。充電網に対する民間投資を呼び込めているといえる。 EVの電力が余っているときに系統につないで電力会社に売るといった商売もあるかもしれない。周辺サービスを含めて今から取り組んでいくことが大事ではないか。 Q:EVシフトが進むと、雇用への打撃は避けられません。 A:今後EVの価格が安くなって充電環境も整うと、EVがメジャーになると見られている。すでに、ノルウェーなどの国では実証されていることだ。 ただ、EVは部品点数が少ないうえに車両価格も下がっていくため、生産台数あたりの雇用も減ると見られている。 しかも、各国が巨額の支援を行い、コスト・規模・技術のすべてにおいて激しく競い合っている。欧州は中国などへの対抗を念頭に、域内での生産・雇用を確保するように動いている。アメリカも同じ。EVをあきらめることは、自動車産業をあきらめると同義だと捉えられている。 EVが普及すると、どのみち産業構造も変わらざるをえず、その変化の規模も大きくなるはずだ。それが日本も含め、各国の自動車業界が政府への支援を求める理由になっている。国全体でこの課題を認識しておく必要があるのではないか』、「政府の支援」は何らかの形で必要なのだろうが、「支援」は最小限に留めるべきだろう。
・『課題を解決することがビジネスチャンスになる  Q:急速充電が進化すれば、短時間に大量の電力が必要です。電力システムへの負荷が大きく、対応するには多額の設備投資が必要になります。 A:そのとおり。例えば、東名高速道路の海老名サービスエリアには現在、上り下りのそれぞれにガソリンの給油機が9台ある。そこで1時間に給油する台数や給油量と同じだけEVを急速充電しようとすれば、おそらく鉄塔を使うような送電線を追加しないといけない。高速道路事業者がそこまで投資をするのは難しいだろう。 サービスエリアでも電力需給が逼迫する時間、急速充電が混雑する時間などで充電料金を高くすることが考えられる。ただ、サービスエリアに太陽光発電や蓄電池を設置すれば、送電線の容量を減らすことができる。投資額は増えるが非常用の電源にもなり、災害対策としても意味がある。いずれにしろ課題があれば、それを解決することがビジネスチャンスになる』、「東名高速道路の海老名サービスエリアには現在、上り下りのそれぞれにガソリンの給油機が9台ある。そこで1時間に給油する台数や給油量と同じだけEVを急速充電しようとすれば、おそらく鉄塔を使うような送電線を追加しないといけない」、「太陽光発電や蓄電池を設置すれば、送電線の容量を減らすことができる」、充電ネットワークの設計も重要なようだ。

第三に、11月23日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した法政大学大学院教授の真壁昭夫氏による「いすゞのEVトラックが自動車産業と日本経済に与える、侮れないインパクト」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/288400
・『いす電動ゞが化関連技術の開発に加え、販売戦略を強化して、よりスピーディーに電気自動車(EV)トラックの創出に取り組むことを期待したい。口で言うほど容易なことではないが、いすゞが進めるEVトラック戦略がわが国の自動車産業と経済に与える潜在的なインパクトは大きいはずだ』、「EVトラック」とは興味深そうだ。
・『いすゞのEVトラックが自動車産業の巻き返しにつながる  現在、トラック・バスメーカーのいすゞ自動車は、電気自動車(EV)のトラックの量産を目指している。いすゞは、航続距離の短さというEVトラックの課題を克服する技術的なブレークスルーの実現にめどをつけたようだ。それは、ハイブリッド車(HV)技術を重視し、結果としてEVシフトへの対応が遅れたわが国自動車産業の巻き返しにつながる可能性を秘めている。 わが国にとって、自動車産業は経済成長を支える最重要の産業だ。言い換えれば、日本経済の自動車依存度は高い。今夏に東南アジアで新型コロナウイルス感染が再拡大したことで、車載半導体の生産が減少した。その結果、9~10月にかけてわが国の自動車生産と販売は大きく減少した。それは7~9月期のわが国GDP(国内総生産)がマイナス成長に陥った主たる要因だ。 世界全体で今後、商用車と乗用車の両分野でEV化は加速するだろう。わが国の自動車産業は、EVシフトの加速という世界経済の環境変化に、より高い集中力を持って対応しなければならない。EVトラック分野でのいすゞの新しい取り組みは、わが国自動車産業、さらに経済の成長を支える重要な要素といえる』、その通りだ。
・『EVトラック製造技術のブレークスルーへの期待  2022年からいすゞはEVトラックの量産を開始する模様だ。背景には、航続距離や積載量を向上させる技術的なブレークスルーを実現したことがあるはずだ。 EVトラックには、航続距離が短いという致命的な欠点がある。今年に入って物流業界では、国内のスタートアップ企業が設計と開発を行い、中国のEVメーカーが受託生産を行う小型トラックの導入が発表された。それらは1回の充電で200~300キロメートル走行する。積載量も小さい。 つまり、物流の集配拠点から最終配達先までの「ラストワンマイル」を埋めるための、近距離移動を念頭に開発されている。逆に言えば、EVトラック分野で低価格と、航続距離や積載量を引き上げる「両立」が難しい。 EVトラックの課題を克服するために、各国自動車メーカーは事業運営体制の強化を一段と重視し始めた。独ダイムラーはトラック部門(ダイムラー・トラック)を分離して上場させる予定だ。ダイムラー・トラックは経営体力を強化して、より効率的にEVトラック関連技術の開発と向上に集中する意向だ。 米国では11月10日、EVピックアップトラックを生産するリヴィアンが米ナスダック市場に上場し、当日の終値ベースの時価総額はGMと肩を並べた。 競争が激化する中でいすゞは2~3トンクラスのEVトラック量産を目指す。物流に加えて引っ越しでの利用も想定しているという。 引っ越しは短距離移動ばかりとは限らない。詳細は今後の展開を確認する必要があるが、いすゞは中国メーカーが手掛ける低価格、近距離での利用目的とは異なり、ある程度の長い距離を相応の量のモノを積んで走ることのできるEVトラック技術の実用化にめどをつけた可能性が高い。 さらに、報道によると、1500種類の用途に対応できるプラットフォーム(車体)も開発された。かなりのスピード感を持って、いすゞはこれまでになかったEVトラックの量産体制を確立しつつあるとみてよいだろう』、「ある程度の長い距離を相応の量のモノを積んで走ることのできるEVトラック技術の実用化にめどをつけた可能性が高い・・・1500種類の用途に対応できるプラットフォーム(車体)も開発」、かなり本格的な「トラック」のようだ。
・『EVで後塵を拝す状況が続けば自動車産業の国際競争力は低下  いすゞのEVトラック生産は、わが国経済にとって重要だ。産業構造面から見た場合、わが国の経済は「自動車一本足打法」とやゆされるほど自動車に依存している。 1990年代初頭の資産バブル崩壊後、わが国経済は長期停滞に陥った。その中で経済を下支えしたのが自動車産業だった。特に、ハイブリッド自動車(HV)のイノベーションはわが国自動車産業を世界トップの地位に押し上げる原動力だった。 しかし、HVに続く新しい商品が創出できなかった。自動車産業への経済的依存度は高まった。2021年7~9月期、米国とユーロ圏の実質GDP成長率がプラスだったのに対して、わが国の成長率は前期比年率で3.0%のマイナスだった。国内の感染再拡大に加え、東南アジアでの感染再拡大が自動車部品の供給を制約し、自動車生産と販売が減少した影響は大きい。 また、わが国自動車産業のEVシフトへの対応は遅れている。企業が本拠地を置く国ごとにEV販売シェアを見ると、ドイツが28%、中国が27%、米国が20%程度であるのに対して、わが国は約5%にとどまる。企業別に見ると、EV販売トップはテスラであり、わが国の自動車メーカーはトップ10にランクインしていない。本邦自動車メーカーのHV重視姿勢は強い。 中長期で考えると、EVで後塵を拝す状況が続けば自動車産業の国際競争力は低下し、経済にも打撃だ。わが国自動車メーカーが高いシェアを維持してきたインドネシアなどの東南アジア新興国地域では、脱炭素と経済成長の加速のために国策としてEV生産の強化が重視され、韓国、台湾、中国、ドイツなどの企業が直接投資を増やしている。東南アジアの自動車市場で日系自動車メーカーのシェアが低下する可能性は軽視できない。 わが国では自動車に続く移動手段として、国を挙げて取り組んだ旅客航空機の開発も凍結された。米国などでは航空機技術と自動車技術を結合して新しいモビリティーの創造を目指している。いすゞのEVトラック技術は、わが国経済の成長力強化に欠かせない』、「EV販売シェアを見ると、ドイツが28%、中国が27%、米国が20%程度であるのに対して、わが国は約5%にとどまる」、確かに「日本」の低さが目立つ。
・『潜在的なインパクトは大きい! いすゞ、フロントランナーへの期待  今後、いすゞには世界のEVトラック、バス市場のフロントランナーになってもらいたい。いすゞが競合相手に先駆けてより航続距離の長いEVトラック、バスなどの製造技術を創出することは、わが国自動車産業がEV分野での出遅れを取り戻すために不可欠な要素だ。 いすゞはトヨタを中心とする商用車のコンソーシアムに加わっている。その中で、よりオープンな姿勢でいすゞが新しい取り組みを増やすことは、わが国自動車産業全体の成長に寄与するだろう。 例えば、いすゞのEVトラック技術がコンソーシアム内の企業が持つ技術と新たに結合して、より航続距離の長いEV開発につながる可能性がある。航続距離の長いEVトラックやトレーラーの開発が加速すれば、商用車分野での自動運転技術などCASEへの取り組みも加速するはずだ。 それは自動車メーカーとITや高速通信、半導体など成長期待の先端分野の企業との連携の強化、それによる新しい需要創出につながる可能性を秘める。他方で、世界経済全体で脱炭素への取り組みは加速し、EVの生産工程で排出される温室効果ガスの削減や部品の再利用を支える技術の重要性も格段に高まる。 このように中長期的な展開を考えると、EVシフトが世界経済にもたらす波及需要創出への期待は高い。いすゞのEVトラック量産は、そうした需要をわが国の自動車産業が取り込む重要なステップになり得る。自動車という完成品レベルでの新しい取り組みは、わが国の素材や機械産業などにも新しい製造技術の実現をより強く促す。それは経済全体での新陳代謝の向上に欠かせない。 それくらいの展望を描きつつ、いすゞが電動化関連技術の開発に加え、販売戦略を強化して、よりスピーディーに新しいトラックの創出に取り組むことを期待したい。口で言うほど容易なことではないが、いすゞが進めるEVトラック戦略がわが国の自動車産業と経済に与える潜在的なインパクトは大きいはずだ』、私も「いすず」の「EVトラック戦略」に大いに期待したい。
タグ:電気自動車(EV) (その11)(EV電池の中国CATLを見て 日本の自動車産業の将来に危機感 沸騰・欧州EV(15)、課題山積でも「日本でEV普及が急加速できる」根拠電 力不足や充電渋滞は工夫すれば回避できる、いすゞのEVトラックが自動車産業と日本経済に与える 侮れないインパクト) 日経ビジネスオンライン 「EV電池の中国CATLを見て、日本の自動車産業の将来に危機感 沸騰・欧州EV(15)」 「欧州顧客の最初の新エネルギー車(NEV)は、中国限定だったのですよ。スペックも中国限定とし、そのときに欧州の顧客が開発プロセスや品質プロセスをCATLに教えて、CATLはそれを勉強」、「その後、中国のスペックからグローバルのスペックに持っていく過程には時間をかけていました」、「中国限定」でやるとは急いでやるのは上手いやり方だ。 「中国の若いエンジニアたちのすごいエネルギーと向上心、まじめな勤務態度とか、それから多大な資本というのを見たときに、日本は負けると思いました。だからCATLにいたとき頭の中にずっとあったのは、このCATLと日本の自動車メーカーをつながないと、将来日本の自動車メーカーはえらいことになるんじゃないかということなんですよ」、なるほど。 「電気自動車で日本は勝てるのか〜欧州の野望を読み解く」は、セミナーのPRなので紹介は省略。「欧州はむしろ規制ベースで枠をはめてイノベーションを起こすという仕組みがあるように感じます」、というのは「中国」のやり方に近い。このままでは、「CATL」と日本の自動車メーカーの格差は開く一方だ。 東洋経済オンライン「課題山積でも「日本でEV普及が急加速できる」根拠電 力不足や充電渋滞は工夫すれば回避できる」 「どの時間帯でも約9割の車両は駐車されている。電力が余る時間帯に安くEVを充電し、電力需要が高いときにEVにためておいた電気を使うことで、捨てられるはずだった再エネ電力を有効活用できる」、「国全体で再エネ電力を増やし、カーボンニュートラルへと近づくことができる」、なるほど。 「EVの多くには充電のタイミングをコントロールする機能が搭載されている。朝の7時に充電を終えるようにセットしておけば、残量から逆算して(電力需要の少ない)夜中に自動で充電を開始してくれる」、便利になったものだ。「海外では150~400キロワットと高出力な充電器を多数設置するインフラ整備が進められており、休憩時間中に充電するだけで遠出が可能になりつつある。対して、日本の高速道路には出力が最大90キロワットまでの充電器しか設置」、日本でも「高出力な充電器」を設置すべきだ。 「政府の支援」は何らかの形で必要なのだろうが、「支援」は最小限に留めるべきだろう。 「東名高速道路の海老名サービスエリアには現在、上り下りのそれぞれにガソリンの給油機が9台ある。そこで1時間に給油する台数や給油量と同じだけEVを急速充電しようとすれば、おそらく鉄塔を使うような送電線を追加しないといけない」、「太陽光発電や蓄電池を設置すれば、送電線の容量を減らすことができる」、充電ネットワークの設計も重要なようだ。 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 「いすゞのEVトラックが自動車産業と日本経済に与える、侮れないインパクト」 「EVトラック」とは興味深そうだ。 「ある程度の長い距離を相応の量のモノを積んで走ることのできるEVトラック技術の実用化にめどをつけた可能性が高い・・・1500種類の用途に対応できるプラットフォーム(車体)も開発」、かなり本格的な「トラック」のようだ。 「EV販売シェアを見ると、ドイツが28%、中国が27%、米国が20%程度であるのに対して、わが国は約5%にとどまる」、確かに「日本」の低さが目立つ。 私も「いすず」の「EVトラック戦略」に大いに期待したい。
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