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天皇制度(その3)(海外メディアが報じた「女性皇族」の過酷な現実 日本では女性はいまだに「二級市民」なのか、「世間」の名の下に小室批判続けるメディアの罪 緊急連載・社会学的皇室ウォッチング!/11=成城大教授・森暢平〈サンデー毎日〉、皇室の安定的な存続に必要な発想とは?王位継承者5000人超の英国に学べ) [国内政治]

天皇制度については、10月11日に取上げた。今日は、(その3)(海外メディアが報じた「女性皇族」の過酷な現実 日本では女性はいまだに「二級市民」なのか、「世間」の名の下に小室批判続けるメディアの罪 緊急連載・社会学的皇室ウォッチング!/11、皇室の安定的な存続に必要な発想とは?王位継承者5000人超の英国に学べ)である。

先ずは、10月27日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「海外メディアが報じた「女性皇族」の過酷な現実 日本では女性はいまだに「二級市民」なのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/464681
・『日本で女性にとって最も厳しい場所は皇室である。 30年近く前、皇后美智子さま(当時)は明仁天皇(当時)の妻として至らないという世間からの批判を受け、話すことができなくなった。それから10年後、皇太子妃雅子さま(当時)は、跡継ぎとなる男子を生めないことをメディアに非難され、うつ病の治療に専念するために公務を休むことになった』、これまで「女性皇族」が受けてきた精神的重圧は、以下にもあるように本当に酷いものだ。
・『「自分は価値のない人間だと考えている」  今月初め、宮内庁は美智子上皇后の孫娘である眞子さんが、フォーダム大学ロースクール卒業生で26日に結婚した小室圭さんとの婚約について世間から厳しく反論されたことから、心的外傷後ストレス障害と診断されていたことを明らかにした。 会見で眞子さんを担当した精神科医は、「彼女は人としての尊厳が踏みにじられたと感じていた」とし、さらに「自分は価値のない人間だと考えている」と話した。 皇室に入った理由が結婚であれ出生であれ、日本の皇族の女性はメディアや世間だけでなく、彼らの日常生活を管理する宮内庁からも厳しいものさしで測られる。天皇と皇族が伝統的な日本の象徴であるなかで、今でも女性を型にはめるという保守的な風潮のある、日本国内に広がる男女格差を凝縮したものが皇族の女性にふりかかる。 皇族の女性は皇位につく資格を与えられないものの、彼女たちが受ける批判は、相続順位に近いことで守られている男性たちのそれよりも厳しいことがある。 「皇族としての任務を果たすだけでなく、美しさも保ち、結婚後は出産という目的を与えらえるのです」と立教大学の教授であり精神科医の香山リカ氏は話す。 また、「『いい母でいられていますか』とか、『義理のお母さまとの関係は良好ですか』『どのようにしてご主人を支えていますか』などと聞かれます。多くの仕事を抱え、それらを完璧にこなさなければならない。皇族の男性がこれほど見張られているとは思えません」と香山氏は付け加える。 直近の自民党総裁選で、2人の女性が首相の座を目指すなど、日本も少しずつ変わってきてはいる。また、一部の企業は女性の登用に会社全体で取り組んでいる。 だが、日本社会はまだ多くの意味で女性を二級市民として扱っている。夫婦別姓は法律で認められておらず、実際に多くの女性が夫の姓を名乗ることしかできない。そして企業の経営陣、国会、名門大学では、いまだに女性は少数派だ。 不平等な扱いに抵抗したり、男女平等の権利を訴える女性は、出しゃばり過ぎだと非難されることも多い。ソーシャルメディアで眞子さんが浴びた批判は、性的暴力や、職場でハイヒールを履かなくてはいけないという職場の決まりについて声を上げた女性たちに対するメディアの扱いを彷彿させる』、テレビのワイドショーもここぞとばかりに大問題であるかのように取上げた。
・『皇族は「時代を超越した存在」との見方  皇室の中で、女性は昔の価値観に従うことを期待される。 「皇族は時代を超越した存在であり、現代社会に属さないというような考えがあります」と話すのは、マイアミ大学の人文科学センター創始者兼ディレクターであり、君主制における女性に関する本を執筆してきた鈴木美穂子氏だ。伝統主義者というのは、「古くて馴染みのある、長く続く男女の役割を皇族に映したがるものだ」と彼女は指摘する。 第二次世界大戦後、アメリカに押し付けられた新憲法の下、天皇は神のような地位を失った。そして多くの意味で3代にわたる皇族の女性がそれから何十年における日本の進化を反映している。 戦争の歴史から日本が解き放たれ、美智子さまが過去何世紀のなかで初めて一般人として皇族と結婚した。子どもたちを皇室の侍従に預けず、自ら育てた。夫である明仁天皇とともに国内外を回り、災害の被害者や障害を持った人々には膝をついて話すなど、それまで遠い存在だった皇族に人間らしさをもたらした。 だが、皇居を改築したり、色々な洋服を着ると、メディアは批判した。宮内庁や美智子さまの義理の母親は、彼女には敬意が足りないと考えていたという噂も広がった。 1963年、結婚して4年目に胞状奇胎で人口流産をし、御用邸で2カ月以上過ごした美智子さまがノイローゼになったという憶測が広まった。それから30年後、極度のストレスにより声を失い、回復には数カ月を要した。 雅子さまは、ハーバード大学を卒業し、外交官として将来を期待されていた1993年に、徳仁皇太子(当時)と結婚。多くの論評者は、彼女が古臭い皇室の近代化を手助けし、日本の若いキャリアウーマンにとっての手本となることを期待した。 ところが、雅子さまの行動はすべて、子どもを授かることができるかどうかという視点で分析された。流産を経験した後、愛子さまを生んだが、男子の後継者を望む者たちはがっかりした。彼女の子宮を守りたい宮内庁は旅行に制限をかけ、結局公務も休むことになった。雅子さまは、「積み重なった心身の疲労」に苦しんでいるという声明を発表した』、「雅子さま」に対し、「宮内庁は旅行に制限をかけ、結局公務も休むことになった」、気晴らしの海外旅行まで禁止され、事実上の蟄居を強いられたのでは快方に向かうチャンスも奪われたようだ。
・『誰もが結婚について発言したがる奇妙さ  眞子さんに関する直近のケースでは、眞子さんが結婚とともに家族から離れることを余儀なくされるにもかかわらず、皇室の期待に応えて欲しいという世論の一部が見える。 世間は小室さんとの結婚という彼女の選択を残酷に非難し、小室さんの母親の経済状況を攻め(さらに彼に逆玉狙いというレッテルを貼り)、皇族の娘の結婚相手として相応しくないとした。それなのに、法律の下で眞子さんは入籍と同時に皇族の地位を失うことになるのだ。 眞子さんのほかにこれまで8人の女性皇族が結婚をして、皇室を離れているが、その中の誰も眞子さんほど攻撃は受けていない。 「日本人が、眞子さんが誰と結婚すべきかということについてどんな形であれ発言すべきだと信じていることは非常に奇妙だ」日本の皇族が専門分野の歴史家であるケネス・ルオフ氏は話す。 眞子さんの父である秋篠宮さまは、2017年に2人が婚約を発表した当初、自分よりも前に世間に2人を認めて欲しいとして、承諾を控えた。 秋篠宮さまの言葉を真に受けた人もいたようだ。 (秋篠宮さまは)「2人が人々の祝福を受けるべきだとおっしゃっています。つまり、私たちが意見を言ってもいいということです」と皇居の庭園で散歩していた西村ようこさん(55)は話す。「皇族はある意味日本人の象徴ですから、私たちも意見を言う権利があると考えています」と。 秋篠宮さまは結局許したが、マスコミやソーシャルメディアからの絶え間ない批判は犠牲を生んだ。 2人は皇室の華やかさなしで、ひっそりと私人として婚姻届けを準備していたが、攻撃は止まなかった。ここ数週間は銀座で「呪われた結婚で皇室家を汚すな」「結婚前に責任を果たせ」と書かれたプラカードを掲げた抗議者たちが行進している。 週刊誌『現代ビジネス』に執筆するある作家は、眞子さんは「日本をさらし者にして国際的に恥かしめた」と主張し、その選択を激しく非難した。 ツイッターでは、約1.4億円の皇室持参金を放棄する旨決定したにもかかわらず、眞子さんを「税金泥棒」と呼ぶ者もいる。心的外傷後ストレスは偽りだと非難する者もいる。「数カ月後によくなったと発表すれば、大衆はあなたを疑う」とあるツイッターユーザーは書き込んでいる』、「ツイッターユーザー」もさることながら、かれらを煽るワイドショーの出演者の責任も大きい。
・『王族や皇族がメンタル問題を話す意味  イギリス王室との比較は必然と言えるだろう。ハリー王子との結婚前、メーガン妃は自身の素性を理由に何か月も攻撃の的となった。メーガン妃とハリー王子同様、眞子さん、そしてフォーダム大学のロースクールを卒業した小室さんも、彼がニューヨークの法律事務所で働くためアメリカに逃げるのだ。 ハリー王子もメーガン妃も、自身らのメンタルヘルスの代償について率直に話している。うつ病と摂食障害に苦しんだ母、ダイアナ妃の死で経験したうつ病について話すハリー王子の正直さは、イギリスにおけるメンタルヘルスに関する話し合いを広げるのに役立った。 日本の皇室の女性たちも同じく、いまだにメンタルヘルスがデリケートなトピックである日本において、議論を始めるきっかけになるかもしれない。 「皇族の女性たちは、メンタルヘルスの問題について公言し、対話を始めようとしてきたとは思えない」と、兵庫県立大学国際商経学部の田中キャサリン准教授は話す。「もっとも問題があると認めただけでも勇気のあることだ」、その通りだ。

次に、11月21日付けエコノミストOnline「「世間」の名の下に小室批判続けるメディアの罪 緊急連載・社会学的皇室ウォッチング!/11=成城大教授・森暢平〈サンデー毎日〉」を紹介しよう。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20211121/se1/00m/020/001000d
・『眞子さん(30)と小室圭さん(30)はニューヨークで新生活を開始した。11月14日の米国到着後もワイドショーや週刊誌の一部は小室さんに否定的な報道を続けている。世間の掟(おきて)に背いた小室さんに対するマスメディアの集団主義的圧力はさすがに行き過ぎを感じる。 小室さんは、母親の元婚約者Aさんと11月12日夜に面会し、金銭トラブルを解決するための合意文書を取り交わした。約400万円の解決金を渡す形での和解が成立したのである。翌朝、Aさんは手記を公表し、そのなかには「私はおカネを貸したほうの立場です(略)交渉を通じて向こう(小室さん)から謝罪の言葉のようなものはありませんでした」との一節があった(FRIDAYデジタル11月13日)。 「謝罪」という言葉に飛びついたのは、デイリー新潮(11月16日)であった。「担当記者」の話として、「普通なら必要以上に世論を刺激しない戦略を採るはずです。とりあえずは、元婚約者に最大限の礼を尽くす。何よりも、これまでのことを真摯(しんし)に謝罪する。そうすれば、少しは世論も軟化したかもしれません」と伝えた。 この「謝罪」という言葉には引っ掛かりを感じる。小室さん母子は、Aさんから金銭的援助を受けていた。婚約期間中のことなので小室さん側は貸借だとは認識していなかったが、Aさんは「返してほしい」と思っていた。認識の違いがトラブルになった。 過去の援助について感謝の意を示すべきだという主張なら分かる。ただ、母親を含め、何を謝罪すべきなのだろうか』、何故「謝罪」しなければならないのだろう。
・『国民の名で小室さん否定  金銭トラブルは解決した。しかし、小室さんの姿勢を、なお悪(あ)しざまに言うコメンテーターは少なくない。 フジテレビ系の「バイキングMORE」(11月15日)に出演したモデルのアンミカさんは、今年4月に発表された小室文書について、「(小室さんがもっと)相手に寄り添っていたら、もうちょっと譲歩するんじゃない。(略)勝ちとか、負けとか、不利とか。そういう言葉が前に進んで……」と小室さんには「心」が欠けていると批判した。 同じ番組で、司会の坂上忍さんも「国民感情とか、世論っていうのに、もうちょっと寄り添っていたら、こういうことにはなっていなかった」と、素直に解決を喜べない気持ちを述べている。 この番組には盛んに「国民」「世論」というキーワードが出てくる。皇室ジャーナリストの近重幸哉さんは、「国民が気にするような問題がなければ、すんなりと認められた結婚だった」と国民を引き合いに出し、トラブルに迅速に対応できなかった小室さんを批判した。 「バイキング」の出演者たちが繰り返す国民、世論とは、すなわち「世間」のことだろうと思う。 歴史家の故阿部謹也氏が明らかにしたように、世間は、西欧的な個人を前提とした「社会」とは概念を異にする。世間は、集団による文化的圧力として機能するのである。異質なものは排除され、嫉妬が個人への足の引っ張りにつながる。贈与・互酬性が重要であり、相手から何かをしてもったら、それへの返礼は事実上の義務である。 小室さん母子が「ありがとう」と言わないと批判する人は、社会でなく、世間に軸足を置いていると言える。 TBS系の「ゴゴスマ GO GO! Smile!」(CBCテレビ制作、11月15日)では、司会の石井亮次さん(フリーアナウンサー)が、「ウソでも『すんません、ありがとう』。舌を出してね、こっちで舌を出しながら。僕が小室さんなら、『すんません。ありがとう』……」と頭を何度も下げるおどけたジェスチャーを演じてみせた。これを受けた元宮崎県知事の東国原英夫さんも「言いたいことはいっぱいあ」ったとしても、謝って早く金を払うべきだったと主張した。 こうした人びとにとって、和解自体は重要ではない。小室さんが世間の掟に反したことが永遠に糾弾すべき対象なのである。 「ゴゴスマ」にも出演した近重さんは「お互いが理解し合えて、納得できる状態で終わることを秋篠宮殿下は願われていた」とした。そのうえで、そういう解決ではなかった今回の和解は残念であり、「早い時点でお互いが和解する気持ちを持って解決できるような方と(眞子さんは)結婚してほしかったというのが国民の気持ちではないか」と主張した。新婚生活をすでに始めている小室さん夫妻を、国民の名のもとで否定したコメントに聞こえた。 ワイドショーや週刊誌なんて所詮、世間に迎合するメディアであると安易に批判しているわけではない。国民や世論を持ち出すとき、それが個人を抑圧する集団主義を背景にしていないかどうか、コメンテーターや司会者は常に胸に問うべきだということを言いたいのである』、「世間は、西欧的な個人を前提とした「社会」とは概念を異にする。世間は、集団による文化的圧力として機能するのである。異質なものは排除され、嫉妬が個人への足の引っ張りにつながる」、「国民や世論を持ち出すとき、それが個人を抑圧する集団主義を背景にしていないかどうか、コメンテーターや司会者は常に胸に問うべきだということを言いたい」、その通りだ。
・『行き過ぎた推測  解決金の原資についても行き過ぎた推測があった。「バイキング」で近重さんは、「400万円には眞子さんのお気持ち(フリップボードの表記は「眞子さんからの援助」)が入っているんじゃないかってことを国民が感じても仕方ない」と指摘した。 トラブルの当事者は、小室さんの母親である。解決金を払うべき主体は母親であって、小室さんでも、眞子さんでもない。それを、「眞子さんからの援助」があると国民が考えても仕方がないという批評には何の根拠もない。このような推測が許されるなら、どのようなことも疑惑に仕立てることが出来てしまう。 ここでもやはり国民、すなわち世間が立ち上がっている。そして、解決金の原資を明らかにしないこと自体が「疑惑」にすり替わり、「解決金400万円出所は黙秘(ダンマリ)」というタイトルの記事ともなる(『女性自身』11月30日・12月7日合併号)。 小室さんは帰国時にはポニーテールの長髪が話題になり、出国時には、ダースベイダーのTシャツが注目された。世間は、外見の逸脱を問題にしがちである。 米国での新生活によって、世間の目から逃れたはずの小室さん夫妻だが、到着当日、海外メディアによって、マンハッタンのマンションが特定され、入居する様子がパパラッチされた。 二人が自由に生活を楽しめる日がいつ来るのかと心配になる。 (森暢平氏の略歴はリンク先参照)、もう「マンハッタン」では「二人」の好きにさせるべきと思う』、「もう「マンハッタン」では「二人」の好きにさせるべきと思う」、その通りだ。

第三に、12月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「皇室の安定的な存続に必要な発想とは?王位継承者5000人超の英国に学べ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/291748
・『12月22日、安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議が、皇族数の減少への対応策の最終報告書をまとめた。その中では「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」と「旧皇族の男系男子を養子に迎える案」の二つが示されているが、現実的にはハードルがいくつもある。そこで私は英国王室の徹底した維持の備えも参考にすべきだと考える』、興味深そうだ。
・『世界と比較しても日本の皇室維持は不安  2021年3月から、複数回にわたって、安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議が開かれてきた。その最終報告書には、皇族数確保のため「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」と「旧皇族の男系男子を養子に迎える案」の、2案がまとめられた。 現在、皇位継承権を持つのは、秋篠宮さま、秋篠宮さまの長男の悠仁さま、常陸宮さまの3人だ。しかし、常陸宮さまは現在86歳である。実質的に皇位継承権者は、秋篠宮家の2人だけで、皇統の維持は、きわめて不安定な状況にあるのは間違いない。 世界中のさまざまな王室にとっても、王位継承のための血統維持は最重要事項であり、さまざまな王位継承の方法が取られてきた。それら諸外国と比較しても、日本の皇統は、不安定な状況にあるといえる。 諸外国の中でも特筆すべき王位継承の方法として参考になるのは、日本とある意味、正反対といっていい王族の血統維持の方法を取ってきた英国である』、「日本とある意味、正反対といっていい」「英国」の方法とは、どんなものなのだろう。
・『英国の王位継承権者は5000人以上!?ドイツの一般人まで…  英国の王位継承権者の数は、実は正確に分からない。さまざまな学者などが調査しているが、2011年時点で4973人いるというのが定説となっていた(Reitwiesner, W. A “Persons eligible to success to the British Throne as of 1 Jan 2001” )。その後、元々王室から排除されていたカトリック教徒に王位継承権が認められて、5753人だという説もある(David Lewis “Persons eligible to success to the British Throne as of 1 Jan 2011”)。 英国の王位継承順位は、国王の直系子孫で、2011年10月28日以降に誕生したものは、男女の性別を問わずに長子先継(第一子→第一子の子孫→第二子→第二子の子孫)で、2011年10月27日以前誕生の者については、兄弟姉妹間男子優先となっている。 要は、エリザベス2世のような「女王」が存在し、女王の第一子・チャールズ皇太子が皇位継承第1位という「女系継承」も行われる。  「女系継承」も可能であることで、諸外国の王室・名家と歴代英国王・女王の子孫が婚姻関係を結んだことで、それらの王室・名家にも英国の王位継承者が存在している。 例えば、ノルウェー国王ハーラル5世、スウェーデン国王カール16世グスタフ、デンマーク女王マルグレーテ2世、ギリシャ王妃アンナ・マリア、ギリシャ国王コンスタンティノス2世、オランダのベアトリクス前女王とウィレム・アレクサンダー国王などが含まれる。 その他、ルーマニア、セルビア、ロシア、ジョージア、ブルガリアなどの旧王家・名家にも英国の王位継承権保持者が存在する。ただし、各国の王室・名家は現在の英国王室とはかなりの遠縁であるため、彼らが英国王を継承する可能性は限りなく低い。 一方、英国の王位継承者には、一般人として暮らす多くの人も含まれている。現在、最下位とされているのは、ドイツの一般人の女性である(WSJ日本版「ライフスタイル/英王位継承権4973位―最下位はドイツの女性」)』、「英国の王位継承者には、一般人として暮らす多くの人も含まれている。現在、最下位とされているのは、ドイツの一般人の女性である」、なるほど。
・『パンデミックにも対応できる英国王室の徹底した備え   私は、英国在住時にBBCで、英国の地方都市の小さなアパートに一般人として暮らす、王位継承権を持つ老人を取材したテレビ番組を見たことがある。気さくな笑顔で質素な家の中を案内する老人が、年に一度エリザベス女王の主催するパーティーに招かれて、正装で女王とツーショットに収まる写真をうれしそうに見せていたのを覚えている。 また、ビジネス界やファッション界など多彩な活躍をしている若い王位継承権者が頻繁にメディアに登場したりもしている(COSMOPOLITAN「あなたが知らない若き英ロイヤル12人、王位継承順位とともにチェック!」)。 これら王位継承権者は経済的に自立し、自由に活動していて、相続税の減免などはあるようだが、特に国費が投入されることもない。 また、英国では、日本のような「宮家」があるわけではない。あくまで、「個人」が王位継承者に認定されているだけである。 これを王室側から見れば、約5000人の王位継承権者が存在するが、特にコストはかからない。実質的に英国王室以外の人に王位を回すことはないので、特に気を使う必要はない。国内の王位継承権者に特権を与えているわけでもないからだ。 一方、もしも強毒性の感染症のパンデミックで人類の多数が死亡したり、核戦争が起こったりして、王室が滅ぶようなことがあっても、王位継承権者が約5000人もいて、外国にもいるので、誰かが生き残っていれば王位を継承できる。英国王室は、存続のために徹底した備えをしているとはいえるだろう』、「約5000人の王位継承権者が存在するが、特にコストはかからない」、「もしも強毒性の感染症のパンデミックで人類の多数が死亡したり、核戦争が起こったりして、王室が滅ぶようなことがあっても、王位継承権者が約5000人もいて、外国にもいるので、誰かが生き残っていれば王位を継承できる」、日本よりはるかに盤石だ。
・『皇室存続のための有識者会議の2案は現実的に問題だらけ  私は、皇室の存続のために、「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」「旧皇族の男系男子を養子に迎える案」という有識者会議の「二つの案」に加えて、英国的な皇位継承権者認定のシステムを一部取り入れてはどうかと考える(これについては後述する)。 なぜなら、「二つの案」を実行するには、現実的にさまざまな問題があるからだ。 まず、「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」を考えてみよう。有識者会議では、内親王、女王の配偶者たる夫が有力となって、権力を持ってしまう事態があり得ることが指摘されている。 特に、女性皇族と結婚する一般国民たる配偶者に皇族の身分を認めると、一般人が皇族となる唯一の機会が婚姻ということになる。その結果、女性皇族の婚姻というものにさまざまな思惑が入り込む事態になり、いろいろないさかいが生じるという懸念がある(第6回「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議・ 議事録)。 次に、「旧皇族の男系男子を念頭に、皇族と養子縁組や、旧宮家そのものの復活を行うとする案」についてだ。 現在、「旧皇族の男系男子」とされる人の人数は、正確に捉えづらい。識者によって見解が異なり、その人数に幅があるのだ。現実的に皇統の維持のために必要と考えられる「独身の男系男子」に絞ると、久邇宮家、賀陽宮家、東久邇宮家、竹田宮家の旧4宮家に7人~9人いらっしゃるという見解もあった(「旧宮家は現在いくつある? 旧皇族の独身男系男子は何人?」)。 ただし、その多くの方が未成年とみられ、「子どもの人権」に配慮が必要だ。未成年の男子だけを直接養子にするという無理なことはできず、その父親を養子とすることが、有識者会議でも想定されている。 しかし、両親とともに子どもも皇室入りすれば、人権上問題がないのかといえば、そうとはいえない。子どもがある日突然、自らの意思にかかわらず皇室に入らされ、人権を制限されるということになるからだ。 そのため、有識者会議では「養子縁組は、十分な判断能力を有する成人が自らの意思により皇族の養子となり皇族となること」を想定し、「未成年が養子となる場合」は、「一定の年齢に達した後はその意思のみで離縁・皇籍離脱することができる」としている(第11回「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する付帯決議」に関する有識者会議・資料2)。 だが、離縁・皇籍離脱の自由を与えても、人権上の問題は万事解決とはいかない。例えば、皇族として教育を受けた子どもが、成人して皇籍離脱した場合、国民の税金で最高の教育を受けさせるため皇室を利用したなどと批判を受けかねない。「国民の血税の無駄遣い」という国民の皇室に対する不満が広がる懸念があるのだ。 さらに、「門地による差別」という問題もある。旧宮家の男系男子を現在の皇室とは別に、新たに皇族とすることは、一般国民の間における平等原則に対して「門地」などに基づく例外を設けて、「皇族」という継続的な特例的地位を認めることになる。 いわば、一般人の中から「新たな貴族階級」を作ることになり、それは憲法上疑義があるということだ(第4回「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議・ 議事録)。 要するに、有識者会議の二つの案を実行するには、さまざまな問題を慎重に検討し、乗り越えなければならないということだ。何よりも問題なのは、男系男子を有する旧4宮家の男系男子自身がこれらさまざまな問題を嫌い、皇族入りを拒んでしまうことだろう』、「有識者会議の二つの案」はもっと確固としたものと思っていたが、どうも単なるたたき台に近いようだ。
・『英国式システムを取り入れた場合の日本の皇室とは  そこで、英国式の王位継承を一部応用することを考えたい。それは、男系男子継承の伝統を前提にしながら、皇位継承権者の範囲を大きく広げることである。 実際に皇族の血を引く男系男子が何人いるのか、できる限り歴史をさかのぼって調査してみることは意味がある。実際、桓武平氏、清和源氏、足利氏など、天皇家を起源として血統が広がり、系図も比較的明確に残っている武家や貴族の末裔(まつえい)は全国に存在するだろう。 その上で、皇統の男系男子を「皇位継承の権利を持つ男子」として認定して本人に伝える。宮内庁がそれを記録しておくが、その記録は個人情報に配慮して、原則的には非公開とする。 「皇位継承の権利を持つ男子」には、公的な支援はなく、新たな宮家の創設などは行われない。あくまで、権利を持つ「個人」が認定されるだけにとどめることとする。 ただし、現在の宮家が断絶の危機に陥ったり、公務を行う皇族数が不足したりする場合、この「皇位継承の権利を持つ男子」から、皇族側と本人の合意で、養子縁組が結ばれることとする。女性皇族との結婚を前提とした「見合い」の相手ともなりえるだろう。 皇位継承の権利を持つ人を「個人」として認定するだけならば、「門地による差別」という憲法上の疑義を乗り越えられるのではないか。例えば「徳川家」や「細川家」など名門とされる家柄・血統が特権を受けることなく存在しているからだ。養子縁組や婿入り自体も、国民の自由意思に基づくものならば問題はない。 「旧皇族の男系男子」の数が増えることで、たとえ人権の制限がありえる環境でも、皇室の危機を救う覚悟を持つ人が出現する可能性が高まる。皇統消滅のリスクが減る上に、女性皇族の婚姻を巡る思惑が入り込む余地も減じることもできるだろう。 これまで私は、保守派の「日本の伝統」とされるものに固執する主張は、日本を衰退させる一方ではないかと指摘してきた(本連載第144回)。皇位継承のあり方の議論でも、伝統を重んじる保守派の意見が強すぎては、議論を進めることができず、本質的な問題の解決は先送りされてしまう。 「皇室」「宮家」という「家」を重んじることなど、伝統は大事だ。しかし、「個人」に皇位継承の権利を与えるという伝統から離れた新たな発想を取り入れることも、将来の持続可能な制度を作るためには重要なのではないかと考える。<参考資料>等は省略』、「「個人」に皇位継承の権利を与えるという伝統から離れた新たな発想を取り入れることも、将来の持続可能な制度を作るためには重要なのではないかと考える」、前向きに検討する価値がありそうだ。
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