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英語(その3)(外国人が心底残念に思う日本の偏った英語教育 このままではプログラミング教育も微妙に、「恥をかかないビジネス英語」 認知科学者が教える正しい独学方法とは、英語力「112カ国中78位」の日本で広がる外国嫌い 「そして外国人は日本を見捨てる」でいいのか) [生活]

英語については、2018年7月18日に取上げたままだった。今日は、(その3)(外国人が心底残念に思う日本の偏った英語教育 このままではプログラミング教育も微妙に、「恥をかかないビジネス英語」 認知科学者が教える正しい独学方法とは、英語力「112カ国中78位」の日本で広がる外国嫌い 「そして外国人は日本を見捨てる」でいいのか)である。

先ずは、2019年7月12日付け東洋経済オンラインが掲載したレノボ・ジャパン社長のデビット・ベネット氏による「外国人が心底残念に思う日本の偏った英語教育 このままではプログラミング教育も微妙に」を紹介しよう。
・『このコラムにはコメント欄が付いていて、毎回読ませてもらっています。貴重なご意見ありがとうございます。その中で、たびたび指摘があるのが、日本の英語教育制度についてです。そこで今回はいつもとは少しコラムのテーマを変えて日本と海外の外国語教育の違いについて、私の意見も述べながら書いてみたいと思います。 私の祖国カナダでは、公用語が英語とフランス語です。まず、公用語が複数あると聞くと、日本の方には特殊なように聞こえるかと思いますが、世界の多くの国は複数の公用語を使っています。例えばスイスでは4つ、インドでは州の公用語も含めるとなんと22の公用語があります。こうした複数の公用語を持つ国では、当然子供のころから複数の言語に触れて育ちます』、「複数の公用語」とは聞いただけでゾッとする。
・『「イマージョン教育」でフランス語を習得  カナダの場合、すべての地域で製品のラベルや標識、ウェブサイトも英語フランス語併記が原則です。私が大学のときに住んでいたカナダのトロント(オンタリオ州)をはじめ大体の地域は英語圏で、住民は基本的に英語を使います。小学校2年生からフランス語の授業が義務づけられており、ほとんどはある程度のフランス語の読み書き、会話が問題なくできます。 一方ケベック州だけはこの逆で、市民は基本的にフランス語を話し、2年生から英語の授業が義務化されており、日常に困らない程度の英語を身に付けています。 カナダでわれわれが受けてきたフランス語の授業は、文法という概念を教えることはほとんどなく、「イマージョン(注)」といわれる方法で語学以外のすべての授業がフランス語で行われ、外国語の洪水の中で自然にコミュニケーションが取れるレベルになります。 日本でも来年から小学校で英語の授業が義務化されます。実は私はIT業界の仕事をする前、香川県で文科省の国際交流員の仕事をしていました。そのとき地方都市での英語学習の実態を見てきた経験からみて、英語教育について2つの課題を感じています。) 1つは英語ネイティブの「ALT(Assistant Language Teacher)」の偏在です。私が勤務していた地域では、1人のALTが20校もの学校を巡回しなければならず、ネイティブな先生の英語に触れられる機会は月に1回という学校もありました。こうなるとカナダの例のようにイマージョンというレベルの授業には程遠く、授業の進め方には相当な工夫が必要でしょう。 もう1つはまさにその授業の進め方です。私が教育の仕事に関わっていたのは10年以上前なので、その頃よりは会話重視の授業に変わってきているようですが、どうしても暗記と文法主体の英語学習に偏りがちです。 英語授業の本来の目的はコミュニケーションがとれるようになることです。文法は不要とは思いませんが、現在平均的な日本人が持っている非常に高い英文法の知識までは必要ないかと思います。英語学習において「知識を得ること」「間違えることはよくないこと」という感覚は他の教科以上に排除すべきです』、「「英語学習において「知識を得ること」「間違えることはよくないこと」という感覚は他の教科以上に排除すべきです」、大賛成だ。
(注)イマージョン(教育):外国語を教科としてではなく、手段としてその他の教科を学習する教育方法のこと(Education Career)。
・『語学は音楽やスポーツと同じ  例えば体育の授業でサッカーのパスができない子がいた場合、どう教えるでしょうか。何度も失敗して、そこから感覚を徐々に身に付けてできるようになります。「パスの方法をカードに書いて丸暗記しよう」「パスの練習は恥ずかしい」というアプローチでは、上達は期待できないはずです。 英語は学問でなくコミュニケーションなので、スポーツ、あるいは音楽と同じように感覚として身に付けるべきなのですが、それだけの経験を積む機会が作れないということが課題なのだと思います。 こうした課題は指摘されて久しいと思いますが、結局のところ教育にかける予算やリソースが追いついていないという問題が立ちはだかります。とくに私が勤務していたような地方都市になればそれは深刻です。しかもこの問題は英語だけではありません。やや脱線しますが、2020年から小学校で義務化されるプログラミング教育も、同じような課題を抱えています。 この2つがいかにつながっているのか説明します。 東洋経済オンラインをお読みになっているビジネスパーソンならご存じの通り、現在あらゆるものがインターネットにつながってインテリジェントになる、インテリジェント・トランスフォーメーションの節目にわれわれは立っているといえます。AIによって仕事がなくなるという人もいますが、一方でデータサイエンティストのような仕事が世界的に花形の職業となる可能性もあり、子どもの頃から英語とともにプログラミングを学習させることは、これからの時代にあったすばらしい政策といえます。 しかも、プログラミング授業ではパソコンやタブレットが使われます。このITデバイスをうまく英語教育にも使えばこれぞまさに一石二鳥(ちなみにこの四字熟語はもともと英語です)で、ネイティブな先生と1日1時間ビデオチャットで(あるいはVRならさらにすばらしいかもしれません)英語を話す経験ができれば、先に指摘したコミュニケーションの機会は飛躍的に増える可能性があります。 ところが現実には、プログラミング教育に必要なパソコンすら満足に学校で用意できないという課題があります。つい最近、文科省がまとめた資料によると、プログラミング授業の導入状況について、大規模な自治体ではすでに約7割が授業を実施しているにもかかわらず、小規模な自治体では30%を少し上回っただけということで、自治体の格差が懸念されています。 本来地域に関係なく、個人の才能を世界につなげるはずのITが、逆に格差を生むようなことになってはいけないと、大いに懸念を持っています。この問題は行政だけに任せず、われわれIT業界に取り組んでいかなければならないと考えています』、「プログラミング授業ではパソコンやタブレットが使われます。このITデバイスをうまく英語教育にも使えばこれぞまさに一石二鳥・・・で、ネイティブな先生と1日1時間ビデオチャットで・・・英語を話す経験ができれば、先に指摘したコミュニケーションの機会は飛躍的に増える可能性があります」、その通りだ。
・『母国語の違いがハンデになる可能性も  と、たまにはIT企業の経営者らしいことを言ってみました(笑)。語学とテクノロジーについてもう1つ、経営的な視点のお話をします。 私の知る限りニュートン物理学というものは世界のどこにいっても同じ実験結果を示し、母国語がなんであれ数学をかじった人であればフェルマーの最終定理が究極の難問であることはわかります。 STEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)の素養は国境や言語に関係なく公平に評価されるスキルなのです。だからこそ、世界に出ていくためのハンデはコミュニケーションにあることは明白で、私の会社でもとくに技術職には語学の習得を頑張ってもらい、いつでも世界デビューしてもらえるよう応援しています。 このことを、視点を変えて捉えると日本など非英語圏には、母国語の違いがハンデとなって世界に出てきていない優れた人材が多数眠っているということにもなります。昨今グローバル企業がダイバーシティーを進めているのも、人材の多様性にあるこうした可能性に注目しているためです。 今回は、私自身が教育というものをライフワークとして捉えているので、つい熱が入ってしまいました。AIなどの発展で、これから物事の基準が大きく変わっていくことは間違いなく、英語のスキルが不要になる時代が訪れるかもしれません。しかし、その時代に求められる教育について議論することは意味のあることです。そして、日本で本当によい英語教育が行われるかどうかの節目のタイミングは今なのです』、「日本など非英語圏には、母国語の違いがハンデとなって世界に出てきていない優れた人材が多数眠っているということにもなります」、言われてみればそうかも知れないが、優秀な人材であれば、「母国語の違い」も乗り越えられる筈だ。やはり、「母国語の違いがハンデとなって世界に出てきていない優れた人材が多数眠っている」、というのは夢物語に近いのではなかろうか。

次に、9月19日付けダイヤモンド・オンライン「「恥をかかないビジネス英語」、認知科学者が教える正しい独学方法とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/280515
・『『英語独習法』(岩波新書)が売れている。本書は認知科学の概念である「スキーマ」と呼ばれているものをカギに英語力向上を書いたもので、日本語と英語の認知的な違いを理解することに重点を置く。その独自メソッドを、著者であり慶應義塾大学環境情報学部教授の今井むつみ氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)』、興味深そうだ。
・『言語感覚をつかさどる概念 スキーマとは  ビジネスにおける英語の必要性は耳にタコができるほど聞いている人が多いだろう。それに伴うように、昨今は教材も学習法も無数にあふれているが、そのなかで11万部という売り上げを記録しているのが『英語独習法』である。 著者の今井むつみ氏はみずから「英語学や英語教育学の専門家ではない」と話すように、認知科学の研究者。そんな今井氏は日本の英語学習についてこう話す。) 「多くの人にとって英語は何かを達成するための道具であり、目的ではないはずです。しかし、日本の英語学習はその点が曖昧。まず自分が何において熟達したいのかを明確にし、そのなかで英語はどういう役割を果たすのかを考えるべきです。それによって訓練も変わってきます。試験に合格するためにはそれに最適化された教材で試験対策をすることはある程度効果的だとは思いますが、ビジネスなどでのコミュニケーション力を上げるのが目的であれば、試験と同じ手法で勉強しても効果は薄いでしょう。にもかかわらず、日本には認知プロセスの観点からすると、不合理な学習法が多くあります」 今井氏は言語と思考の関係、子どもの母語習得のしくみなどを長年研究してきた。同氏は「合理的な学習法の提案」と「その理由としくみを解説する」ことに本書では主眼を置いている。 カギとなるのは「スキーマ」という概念だ。 「スキーマは『知識のシステム』というべきものですが、多くの場合、持っている意識はありません。例えば、子どもや外国人が話す日本語に違和感を抱くのはスキーマによるものです。しかし、その違和感をすべて言語化することはできない。このように言語のスキーマは、ほとんど言語化できませんが、無意識にみなさんアクセスしています。英語にも同様のスキーマがありますが、日本語スキーマとの間に多くのずれが存在している。このずれを理解し、英語スキーマを獲得することが英語上達のカギとなるのです」 可算名詞と不可算名詞、aとtheの運用なども英語スキーマを獲得している人は無意識に使い分けられるが、日本語スキーマから切り替えができないと、非常に苦心するのだ』、「ビジネスなどでのコミュニケーション力を上げるのが目的であれば、試験と同じ手法で勉強しても効果は薄いでしょう。にもかかわらず、日本には認知プロセスの観点からすると、不合理な学習法が多くあります」、早く合理的な「学習法」に移行してほしいものだ。
・『英語記事を熟読し著者の意図を深掘りする  ビジネスにおいて、英語でメールやレポートを書き、ミーティングなどを行う人も多いだろう。英語スキーマを身につければ、当然、その質は向上する。 そのためにどうすればいいのか。 今井氏は「ライティングに重点を置くべき」とし、次のように話す。 「まずは、日本語の単語を英語の単語に置き換えて文を作るという発想を変えます。日本語の文は漢語名詞が中心となり、動詞に重点をおきません。一方、英語は動詞と前置詞を中心に文を作る言語です。そのため、『○○する』をそのまま英語に置き換えると変な文章になります。例えば『瓶がプカプカ浮かんだまま洞窟に入っていった』という文章は、ついA bottle entered the cave, slowly floating. と書きたくなりますが、英語母語話者はA bottle floated into the cave.と表現するでしょう。日本語では『入る』という動きの様子を擬態語の『ぷかぷか』で表しますが、英語はfloatのような様態動詞に方向を表す前置詞を組み合わせます」 日本語の「歩く」にあたる動作でも、英語にはさまざまな歩き方を一語で表す様態動詞がある。ぶらぶら散歩する(amble)、よちよち歩く(toddle)、重い足取りで歩く(trudge)などだ。英語スキーマを獲得している人ならば、様態動詞を自分の語彙に取り込みやすく、この使い分けができるのだが、日本語スキーマしかないと、walkプラス修飾語で表現しがちだ。それではスキーマを獲得するには何をすればいいのか。 「スキーマは教わって身につくものではなく、自分で独習すべきで、そのためには単語の意味を探求する必要があります。このとき、日本語と英語の一対一の意味を知るだけではなく、一緒に使われる単語や、単語が使われる文脈、頻度、フォーマルな場面で使えるか否かなどを探っていくことが重要です。例えば、『追いかける』と訳されるpursueとchaseという2つの動詞があります。pursueはcareer, goal など、chaseはcat, ballなどと一緒に使われます」 つまり前者は抽象的概念、後者は物理的に動くものが「追いかける」対象になるのだ。 「いくら珍しい単語を使っていても文脈的に間違って使われていれば、その人の英語力は低いとビジネスパートナーに判断されるでしょう。また、近年の英語は国際語にもなっているので、非母語話者にとってわかりやすい英語が求められています。したがって、多くの学習者の現実的な目標は、珍しい単語を幅広く知ることではなく、基本的な単語を適切な文脈で使えることでしょう」 より“深く”単語の意味を知ることがスキーマ獲得につながる。獲得に役立つのはネットからアクセスできるコーパス(言語資料のデータベース)だ。サービスには『SkELL』『WordNet』などがあり、ここで単語を検索すれば多くの文例や類義語を見ることができる。 「自分がよく読むジャンルの英語記事や情報誌などをただ読むだけではなく、『なぜこの単語をこの文章で使ったのか』とコーパスなどを使って著者の単語選択の意図を深掘りするのはスキーマを作る上で有効です。そのように1ページでもいいので熟読し、まねをして書けば英語力は向上します」』、「コーパス」などは初めて知ったが、便利そうだ。ヒマな時に使ってみよう。
・『端的でわかりやすい「007」の英語  ライティング学習を進めていく上で重要なのはアウトプットとフィードバックだ。 「英文を書いてみたら自分なりに見返し、伝えたいことが伝わっているか、より良い表現はないか、冠詞などの間違いはないかをチェックしましょう。その後、できれば英語話者に確認してもらいフィードバックを受けられるとなお良いですね。文章を書けないようでは、話しても内容が薄く、聞き手が理解しづらいでしょう。まずはライティングを鍛えることを意識しましょう」 また、今井氏は、リスニングもスキーマの獲得に寄与するとして、TEDや映画の視聴を勧める。 「話の展開がある程度予想できて、そのジャンルの語彙力があれば理解ができるようになります。TEDで興味のあるスピーチや好きなジャンルの映画の英語を聞き取り、文脈や用法を探求するのも良いでしょう。映画に関して言えば、セリフが短く、世界中の観客に伝わるようなわかりやすい単語が使われていることが多いアクションはよい題材かもしれません。特に人気映画『007』シリーズの『007スペクター』の脚本は素晴らしく、端的でわかりやすい文章なので参考になります」 ちなみに試験対策用の録音教材は背景情報がほとんどなく、話の展開も予想しづらいので、試験勉強以外の目的のためには最も不適切で、リスニング力の強化には向かないそう。 コロナによって自粛生活が続くなか、『独学大全』が大ヒットし、にわかに独学、独習ブームが起こっている。今井氏も「みずから学ぶ力は大事」だと語る。 「どんな技能でも、熟達者になるには知識をみずから探求し、発見する過程で『生きた知識を生み出すサイクル』を作ることが必要です。今回のスキーマを意識した独習法はほかの言語学習においても役立ちます。もちろん、アウトプットをせず、他言語で書かれた情報のみ知りたい人は、ここまでする必要はありません。ただ、高校生より高いレベルの英語でのアウトプットを求める人にとっては、実践してほしい学習法です」 長らく続く自粛生活。そのなかで英語スキーマの獲得を目指してみてはいかがだろうか』、もっと早く知りたかった。

第三に、1月20日付け東洋経済オンラインが掲載した『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員のレジス・アルノー氏による「英語力「112カ国中78位」の日本で広がる外国嫌い 「そして外国人は日本を見捨てる」でいいのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/475201
・『日本は112カ国中78位――。近年、さまざまな指標における世界での日本のランキングの低さが話題になるが、ついに「英語力」も下から数えたほうが早くなってしまった。11月16日に発表された、EF英語能力指数(EF EPI)において日本の順位は2020年の55位から大幅にランクダウン。2011年の14位からは急落している。ちなみに、隣国の韓国は34位と日本から背中すら見えない状態だ。 これは単に日本人が、英語が苦手である、ということを意味しているのではない。このランキングが示しているのは、日本の外国人嫌いが加速し、国全体が急ピッチで孤立主義の姿勢を強めつつあることだ』、「日本の外国人嫌いが加速し、国全体が急ピッチで孤立主義の姿勢を強めつつある」、とは極めて危険な兆候だ。
・『楽しかった雰囲気が成田空港で一変  外国人にとっても日本はかつてより住みにくい国になっている。特にコロナ禍でその状況は「悪化」している。2021年8月17日、パリ発東京行きのエールフランス航空AF275便に乗っていた人たちもそう強く感じる場面があった。 パリから日本へ向かう機内には、楽しげな雰囲気がただよっていた。これはどこにでもあるフライトではない。フランスのビジネス界では「エア・エクスパット」と呼ばれているこのフライトには、夏休みを利用して帰国していたフランス企業のトップたちが大勢乗っていた。 彼らがこのフライトを選んだのは、学校が始まる前日の9月1日に、子どもたちの隔離期間が終わるのにあわせて入国するためだった。彼らは日本でも定期的に会っており気心知れた間柄だったうえ、夏休み明けで気分も高揚していた。 ところが、成田空港の入国審査でその雰囲気は一変した。 12時間のフライトの後、何日間にもわたって、新型コロナウイルス流行時に導入された特別な手続きをしなければならなかったからである。フランス企業のトップたちは、すべての入国希望者に課せられた手続きなどをしないといけないことは理解していた。グローバル企業の幹部である彼らがうんざりしたのは、手続きのあまりにひどい非効率さである。 彼らには、官僚主義の狂気を描いた、フランツ・カフカの小説の主人公が今や成田空港における手続きを担当しているようにすら見えた。審査官らは英語が苦手で、ほとんどの手続きを外国人スタッフに頼っていた。 その中でも特に印象的だったのは、手続きの最終段階で、日本人職員が何度も書類をチェックした後、「再確認!」と言って、別の職員に渡し、同じ作業を繰り返したことだ。「今の日本に本社の役員を招くことはとてもできない。こんなプロセスを経させたら会社はすぐさま日本への投資をやめるだろう」と、このフライトに乗っていたあるフランス人は嘆く。 それ以来、事態はさらに悪化している。いまだに時間のかかる紙の手続きに頼っているため、多くの人の時間を無駄にしている。旅行者(時には子どもも含めた家族全員)が、成田空港で8時間も待たされることが日常茶飯事で、中には、3日間の隔離のために名古屋まで飛行機で運ばれる人もいる。成田の職員が旅行者に渡す、下線や太字の入った大量の紙は、ツイッターを介して世界中で揶揄されている』、「エア・エクスパット」は「学校が始まる前日の9月1日に、子どもたちの隔離期間が終わるのにあわせて入国する」、なかなかよく出来たフライトプランだ。しかし、入国手続きで「今の日本に本社の役員を招くことはとてもできない。こんなプロセスを経させたら会社はすぐさま日本への投資をやめるだろう」と、このフライトに乗っていたあるフランス人は嘆く」、これは確かに酷い。
・『外国人居住者の入国を拒否する日本  日本における感染者数と死亡者数を見る限り、日本のコロナウイルスへの対応は極めて良好である。本稿の執筆時点では、日本でコロナウイルスに感染して死亡する可能性はほとんどない。 しかし日本は、ほかの民主主義国があえて実施しようとはしないような不作法で無頓着な方法で自国を封鎖している。パンデミックが始まって以来、日本の政治家は、外国人の日本への入国を拒否することで、日本に将来を託そうとしていた外国人学生、労働者、投資家などの計画を壊してきた。 しかも、ここへきてオミクロン株の侵入を防ぐという理由で当面、外国人の新規入国を原則停止したのである。最も衝撃的だったのは、オミクロンと関係のあるアフリカの10カ国からの日本国籍者を認める一方、永住者など一部を除く外国人居住者の入国を禁止するというものだった。 日本が自国民と外国人居住者を「区別」するという措置に対して、ヨーロッパ系航空会社の幹部は、「これは非常に不快な話だ」と怒りを露わにする。「これは、日本に住む外国人が、当面日本の自宅に帰宅できないことを意味している」。 岸田文雄首相はこの政策を勇気あるものと偽っていたが、世界保健機関(WHO)の健康危機管理プログラム責任者であるマイケル・ライアンは、日本人記者の質問を受け、日本の外国人の新規入国禁止をこう説明した。 「疫学的には、(自国民以外のフライトを禁止するという)原理を理解するのは難しい。ウイルスがパスポートを読み、(中略)国籍や法律上の居住地を知るというのだろうか(中略)ほとんどの国を封殺できるという日本政府の考えは、正直なところ、不可能だ」 日本の「外国離れ」はあらゆる場面で見られる。 例えば、政治家たちはかつてより外国人を軽視している。筆者が来日した1995年当時、有力な国会議員のスタッフには、若い外国人研修生がおり、外国からの情報を議員に提供するなどしていた。それは政治家たちが自らを世界に開かれた存在であると示す手段でもあった。そんな政治家たちは「国際派」と冗談で呼ばれていた。 「しかし、今では外国人研修生はいなくなってしまった。そんなことをしたら、その議員は日本人よりも外国人を優遇しているというシグナルを送ることになってしまうからだ」と、あるアメリカ人ロビイストは語る。 今や岸田首相は、野党からも、外国人を日本から締め出すためにより一層の努力をするように迫られている。そして日本国民は90%の確率で彼の施策を支持している。私自身、国境をもっと開くことを支持するこのような記事を書くことで、多くの批判を受けるだろう。しかしこうした政策をとることによって日本が強くなるとは到底思えない。 金融業界でも「孤立主義」が炸裂している。東京や福岡、そして大阪も「金融ハブ」を標榜しているが、上述の通り日本には英語を話せる人材が不足しているうえ、不透明な規制があり、新しい考えの受け入れに消極的で、キャピタルゲインへの厳しい課税があるにもかかわらず、こうした問題を解決するための具体的な努力をしていない。こうした中、海外の金融機関は東京を去り、シンガポールや韓国に拠点を置き始めている』、
・『オフィスの新設場所に日本は選ばない  こうした日本の状況に呼応してか、海外からの日本への関心も低下している。2006年、当時の小泉純一郎首相は、2011年までにFDI(海外直接投資)をGDP(国内総生産)の5%に引き上げることを公約した。その15年後、FDIは4.7%とOECD加盟国の中で最低となっている。2番目に低い韓国は、日本の3倍である。3位の欧州連合(EU)は75%で日本の15倍だ。767%のルクセンブルグは日本の163倍である。 日本企業の買収に、いまだに興味を持つ外国企業もある。後継者がいない企業においては、これは一生に一度のチャンスとも言える。「しかし日本企業は、外国企業に買収される位なら死ぬほうを好みがちだ」と、フランスの監査法人の支社長は嘆く。 今や外国企業は工場やオフィスの設立場所を決める際に、日本を迂回するようになっている。中には北東アジアの本部を日本から韓国に移した企業もある。日本はコストが高く、労働力が減少しているため、外国企業はますます日本に生産拠点を置く意味がなくなってきているのだ。 かつて国際企業の若い幹部候補たちは、キャリアアップの足がかりとして日本でのポジションを切望していた。が、今はもう違う。日本におけるほとんどの市場が縮小しているため、日本は高齢の幹部が優雅にキャリアを終えるために定年前に甘い汁を吸える赴任地となっている。 中にはこうした駐在員の赴任期間後に後任がこず、報酬の安い現地幹部(もちろん日本人である)に仕事を任せてしまう場合もある。こうした状態が続けば、日本人の現地スタッフは外国人とかかわる意欲や能力を失ってしまう。実際、「ソウルの韓国人社員はみな私より英語ができる」とあるフランス大手企業の日本支社長は打ち明ける。 「日本離れ」は外交面でも顕著である。フランス外務省は、かつて最高の外交官を派遣していた。 私が来日した1995年以降、外務省のトップ官僚である「事務局長」の9人中4人が元駐日大使だった』、「かつて国際企業の若い幹部候補たちは、キャリアアップの足がかりとして日本でのポジションを切望していた。が、今はもう違う・・・日本は高齢の幹部が優雅にキャリアを終えるために定年前に甘い汁を吸える赴任地となっている」、寂しい限りだ。
・『マクロン大統領の悲観的な見方  しかし、フランスにとって日本は今や、二流の国になっている。真の意味での国賓訪問は、8年前の2013年に当時のフランソワ・オランド仏大統領が訪日したのが最後だ。 エマニュエル・マクロン大統領は、フランスが開催する2024年パリ大会を見据えて、8月に東京オリンピックの開会式のために訪日したが、ある関係者によると、菅政権の硬直性とどんなテーマでも妥協する意思のないことに愕然としたという。マクロン大統領はすぐには再訪日しないだろう。 日本は、東京オリンピックを開催したことで、世界の中心にい続けられると思っているかもしれない。しかし、1964年に東京で開催された壮大で革新的な大会のような重要性は、オリンピックにはない。むしろ、日本政府がオリンピックを重要視していることは、日本が現在の世界を誤解していることの表れでもある。 日本政府はまた、2025年に大阪で開催される万博も桁外れに重要視している。岸田政権では、この問題を担当する国際博覧会担当相がいるほどだ。しかし、世界的な博覧会は、今や開催国以外では誰も気にとめないローカルなイベントとなっている。日本人で誰が、現在ドバイが万博を開催していることを知っているというだろうか』、「マクロン大統領」は「菅政権の硬直性とどんなテーマでも妥協する意思のないことに愕然とした」、「日本政府がオリンピックを重要視していることは、日本が現在の世界を誤解していることの表れ」、「大阪で開催される万博も桁外れに重要視」、問題は英語だけでなく、国際感覚の鈍さ、ズレにある。こんな調子では、主要国からますます馬鹿にされ、孤立していくだけだ。外務省は何をしているのだろう。 
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