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電機産業(その5)(「不戦敗」日の丸電機がアップルやサムスンに再び挑むための絶対条件、ガバナンスにも厳しい目線が向けられている スマホ出荷停止「バルミューダ」に問われる成長力、伊藤忠と投資ファンドに日立建機株を売却へ 日立、グループ再編「最終章」に待ち受ける課題) [産業動向]

電機産業については、昨年10月2日に取上げた。今日は、(その5)(「不戦敗」日の丸電機がアップルやサムスンに再び挑むための絶対条件、ガバナンスにも厳しい目線が向けられている スマホ出荷停止「バルミューダ」に問われる成長力、伊藤忠と投資ファンドに日立建機株を売却へ 日立、グループ再編「最終章」に待ち受ける課題)である。

先ずは、本年3月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した早稲田大学大学院経営管理研究科教授の長内 厚氏による「「不戦敗」日の丸電機がアップルやサムスンに再び挑むための絶対条件」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/265923
・『垂直統合的な巨大開発組織が重荷となった総合電機メーカー  3月2日の日本経済新聞朝刊『経済教室』欄に「規模に合う複数の収益源を 電機業界生き残りの条件」という論考を寄稿した。この寄稿では、日本の規模の大きな電機メーカーは、その規模を支えるために必要な事業が求められるので、開始時点では小規模なビジネスでしかない新規事業だけでは、会社が支えられないという話をした。 前世紀、日本の総合電機メーカーはその規模を生かして、垂直統合的な巨大開発組織を使い、新たな技術と製品を世の中に送り出すことで、成功のパターンをつくり上げてきた。しかし、国際的に分業が進む中で、垂直統合的な製品開発組織や企業の規模がなくても主要なコンポーネントを外部から調達したり、製造を外部に委託したりすることで、会社の規模以上の製品開発が行えるようになった。 そうなると、巨大な総合電機メーカーはスピードの遅さや冗長性といったマイナス面が目立つようになり、むしろ小規模の専業メーカーの方が小回りが利き、変化の速い技術や市場の環境に適合できるようになった。 ダイソン、ボーズといった専業メーカーは、高付加価値な製品を発売し、規模を追求しなくても十分に利益を出せる程度の規模感の企業であり、組織と事業範囲の小ささがメリットになっている。アップルはもはや小規模な企業ではないが、PC、スマホ、タブレットといった特定の事業に集中し、詳細な設計や製造も外部に委託することで、ひとつひとつの製品のつくりこみに集中し、付加価値の高い製品を世の中に送り出してきた。 また、事業領域が広がり過ぎないことから、アップルのブランドや世界観をわかりやすく的確に消費者に伝えることができ、いたずらに規模を追わない事業を行うことができている。 いたずらに規模を追わないという言葉は、日本の大手電機メーカーの経営者からもよく語られることであるが、日本の大手企業の場合、垂直統合的な開発組織を自前で構築した結果、相対的に組織の規模が大きく、小さい事業の規模では自社の固定費をカバーできるだけの利益を確保することが難しい』、「日本の大手企業の場合、垂直統合的な開発組織を自前で構築した結果、相対的に組織の規模が大きく、小さい事業の規模では自社の固定費をカバーできるだけの利益を確保することが難しい」、その通りだ。
・『パナソニックもオンキョーも規模の大きさが経営を苦しめている  経営状況が苦しいパナソニックも、個々のビジネスや製品を見るとユニークで将来性を感じさせるものが多く見受けられる。かつて「マネシタ電器」とか「二番手商法」と呼ばれていた同社を考えると、今日のパナソニックの方が先進的で野心的な新製品が多く見られる。しかしそのどれもが、28万人の従業員、8兆円の売り上げの規模の総合電機メーカーの規模感という意味では、物足りなさを感じる。 同じ大阪企業のオンキヨーも、規模感が経営を苦しめていると言える。オンキヨーはオーディオ専業メーカーであり、総合メーカーより規模は小さいものの、パイオニアのホームエンタテインメント事業も吸収し、オーディオ専業メーカーとしては企業の規模が大きい。その規模感に見合う売り上げを求めようとすると、必然的に製品ラインナップが膨らみ、自社製品間での競合も起き、収益性は悪くなる。 日本はまだまだ終身雇用が雇用形態のベースにあるので、なかなかドラスティックに組織の規模を変えることはできない。また、日本にメーカーというエンジニア集団が残ることにも意味があるだろう。日本企業がリストラや倒産によって、日本のエンジニアの雇用が継続できなくなり、ちりぢりに世界中に散らばってしまうと、日本の雇用が守れないだけでなく、日本の技術蓄積が弱くなる。 これまで筆者が当連載において、「日本のダメな経営者の下で雇用が守られないのであれば、外資の優れた経営者の下で日本の雇用を守る方がマシだ」と述べてきたのは、そうした理由からである。 かつて日本の総合電機メーカーは、いずれも家電部門を持ち、1990年代頃までは日本国内にはおよそ10ブランドほどの家電ブランドが存在していた。これだけ多くのブランドが同じ家電製品でしのぎを削った結果、日本市場の消費者は非常に目の肥えた感度の高いユーザーに成長し、ダイソンなどの多くの海外家電メーカーは日本を格好のテストマーケティングの市場として、自社製品の価値向上に努めている。) 一方で、あまりに数多くの家電ブランドが併存することで、各社の競争は激しく、収益性を悪化させた面もある。現在のように、それぞれのメーカーがそれぞれの得意分野で戦うような個性を出し始めたのは、よい傾向と言える。 しかし、パナソニックやシャープといった、総合家電メーカーが全く不必要になったわけではない。グローバルな市場を見れば、LGやサムスンといった総合家電ブランドを全世界に展開している企業もあるし、中国の美的集団などはそれに追いつこうとしている。また、洗濯機のハイアール、テレビのTCLといった、得意な家電製品に特化した中国企業の伸長も著しい』、「総合家電」、「得意な家電製品に特化」、それぞれに存立基盤があるようだ。
・『パナソニックの「二番手商法」を韓国企業が真似て気炎を上げている  こうした世界の家電市場の中で、総合家電ブランドとしての日本メーカーは不戦敗を続けている。商品力がない、ということではないと思う。そもそも、総合家電メーカーとしてのラインナップをほとんど海外で展開していないことが問題である。 パナソニックであれば、同社が注力している中国やインドでは、総合メーカーとしての商品ラインナップを日本国内同様に揃えているが、日本市場同様に高付加価値製品に感度の高い欧米市場での存在感は薄い。何より残念なのは、かつてパナソニックが「二番手商法」と言われていたやり方を、規模を大きくしてサムスンやLGが行っていることだ。 パナソニックは、創業者の松下幸之助氏が健在のときに、「うち(松下電器)は東京にソニーという研究所がある」と言って、ソニーが初めて商品化した製品を後追いで発売し、より大きな市場を取るという戦略を示していた。 経営学で言うところの「2nd mover advantage」である。これは単なるものまねではなく、先行者が開発した製品を徹底的に研究し、先行者が先行者であるが故に見逃した製品の問題点や消費者の不満な点を満を持して解決し、より満足度の高い製品を上市するというやり方であり、製品開発力に自信がなければ二番手商法はできない。 その二番手商法が得意だったパナソニックが、今日ではかつてのソニーのようにアイデアを提供する側に回り、韓国メーカーが全世界に規模を拡大して、市場を席巻する構図が続いているのが現状である。 昨今、家庭内の家電をスマホやスマートスピーカーで操作するスマート家電がIoTブームの中で普及してきている。このコンセプトはかなり早くからパナソニックが提唱してきたものだ。しかし欧米のマーケットでは、スマート家電の元祖はサムスンやLGだと思われている。 サムスンやLGはパナソニックよりも後からスマート家電を製品化したのだが、欧米市場にパナソニックの冷蔵庫やエアコン、洗濯機は存在しておらず、多くの消費者は初めてサムスンやLGでスマート家電を知ることになった。 せっかく研究開発投資を行っても、主に日本市場からしか投資が回収できていないのが、日本の総合家電メーカーの実態である』、「日本の総合家電メーカー」が欧米市場だけでなく、アジア市場でも存在感を示せてない理由は何なのだろう。
・『足もとで日本メーカーに追い風が吹き始めた理由  しかし、昨今の状況は日本メーカーにチャンスが来たことを示している。韓国では4年にわたる文在寅政権の反財閥的経済政策によって、サムスンなどの大企業の経営が国内政治に足を引っ張られた格好になっている。 サムスン電子のグローバル戦略は、独立した事業部を多く抱える総合メーカーでありながら、社長直轄の未来戦略室という戦略部門が、事業部ごとの個別最適ではなく総合メーカーとしてのサムスンブランドのブランド力向上という全社的な視点から、世界各地域の商品戦略を担ってきた。しかし、この未来戦略室は2017年に廃止に追い込まれ、戦略室の経営幹部は辞任している。 また、韓国の財閥企業は、度々不祥事を起こすなど問題点も存在しているが、ファミリービジネス特有の長期的で力強いリーダーシップによって、首尾一貫した戦略的行動が採れるメリットがあり、こうしたトップダウンの軍隊式経営が韓国企業の成長を支えてきた。しかし、ここにきてサムスンのトップ・李在鎔副会長が逮捕起訴され、実刑判決を受けている。この逮捕が妥当かどうかはここでは議論しないが、司令塔をもぎ取られたサムスンと戦うとしたら、今が絶好のタイミングと言えよう。 また、スマート家電の進化は、家電の新たな価値の次元をつくろうとしている。これまで家電の価値は、製品の機能・性能が優れているか、価格が安いか、あるいはデザインや使い勝手が良いかによって評価されてきた。しかし、携帯電話の基地局やスマートフォンで、ファーウエイ製品に対してプライバシーや安全保障上の懸念が示されるようになると、通信機器の安全性がにわかにクローズアップされてきた。 スマート家電は全てがインターネットに接続され、多くの製品の場合、メーカーのサーバーで使用環境が把握され、通信回線を通じて家電のモニターや操作が行われている。つまり、スマート家電を導入するということは、家庭内のプライベートな空間の情報をメーカーのサーバーに預けるということに他ならない。 そうなれば、その家電が使いやすいか、機能性があるかとは別に、自分のプライバシーを預けるだけの信頼がある企業かどうか、という点が重要になってくる』、「スマート家電を導入するということは、家庭内のプライベートな空間の情報をメーカーのサーバーに預けるということに他ならない」、「その家電が使いやすいか、機能性があるかとは別に、自分のプライバシーを預けるだけの信頼がある企業かどうか、という点が重要になってくる」、日本の「家電メーカ」反撃のチャンスだ。
・『「安心」「信頼」こそが市場で生き残るための価値となる  企業に対する安心感や信頼感も、製品の価値を構成する要素である。長年、自由主義経済圏で実績のある日本ブランドの価値を示すことができる、格好の状況とも言える。欧州の携帯電話基地局整備は、一時は費用対効果の高さから中国製機器の導入が検討されてきたが、多くの国で安心、信頼の観点から見直しがかかり、NECや富士通など信頼性という価値が評価されたメーカーに、出番が回ってきている。 しかし、いくら携帯電話のセキュリティだけを高めても、家中のスマート家電が抜け穴になっていれば意味がない。これからのスマート家電は、便利なだけでなく、安心で信頼のある製品でなければならないし、そういうムーブメントを日本メーカーが積極的に欧米市場でつくっていくことも、新たな戦略の1つとなるだろう』、「日本メーカー」は既にそうした方向に舵を切っているのだろうか。

次に、1月15日付け東洋経済Plus「ガバナンスにも厳しい目線が向けられている スマホ出荷停止「バルミューダ」に問われる成長力」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/29416/?utm_campaign=EDtkprem_2201&utm_source=edTKO&utm_medium=article&utm_content=502114&login=Y&_ga=2.78672788.1051327066.1643071219-441898887.1641535678#tkol-cont
・『上場から1年が経った、中堅家電メーカーのバルミューダ。ここにきて、さまざまな問題が噴出している。 スマホ発売で話題を呼んだ、中堅家電メーカーのバルミューダ。だが、発売から約1カ月後の1月10日、同社はスマホの新規出荷の一時停止を発表した。 バルミューダは2021年5月にスマホ市場への参入を表明。11月16日に同社として初めてのスマートフォンを発表し、同月26日から発売した。 同社の寺尾玄社長は「世の中にあるスマートフォンは画一的になってしまっている」、「何かを買おうとするときにいくつかの選択肢から選べるが、スマートフォンの世界にはそれがない」と違いを出すことに熱を入れた。 4.9インチの小型画面で、曲線を基調とした丸みを帯びた「芸術」により他社との差別化を狙ったほか、寺尾社長は元ミュージシャンとしてアラーム音にもこだわり、メモやスケジュール管理などで高い体験価値を提供できるとするオリジナルアプリも入った。その一方で価格はSIMフリー版で10万4800円とハイエンド機種を彷彿させるものの、スペックはミドルレンジにとどまった。競合する国内メーカーからは「全く脅威にならない」との声まで出る。 それから約1カ月後の2022年1月10日、バルミューダはスマホの新規出荷停止を発表した。製造委託先の京セラから日本の通信規格に適合していることを示す「技術適合証明の認証に確認すべき事項が発生した」との連絡を受けたためだ。7日から新規出荷を見合わせていたが、14日には販売を再開し、既存利用者のソフトウェアのアップデートも行う。それでも短期間での出荷停止はブランドイメージの悪化につながる可能性もある。 スマホのみならず、経営体制にも厳しい視線が向けられている。スマホ発表から2日後の2021年11月18日に社外取締役の田中仁ジンズホールディングスCEOが内部者取引に関する社内規定を5月に違反していたと発表。 田中氏とともに「取引発覚時点で適切に対応しなかった」として寺尾社長など経営陣の報酬減額など処分を行った。バルミューダはガバナンス強化のため12月に新たに社外取締役を1人選任したが、その後田中氏は社外取締役を辞任した。 バルミューダは2020年12月16日に上場した。「そよ風のような扇風機」「窯から出したばかりのパンの味を再現するトースター」など、創業者の寺尾社長が追求する「芸術性」を極めた家電を高単価で販売する経営を強みとしている。 上場時の同社の株価は公開価格を63%上回る3150円で初値を付け、翌月には1万0610円まで上昇した。その後株価の値動きは落ち着き、2021年3月から11月までは6000円前後での安定した値動きが続いた』、「バルミューダ」の株価は、足元では上場「初値」をも下回る3005円と低迷している。
・『決算を受けて株価は下降線をたどる  ところが11月半ば以降、株価は下降線をたどる。株価の下落基調への転機となったのは、2021年11月9日に発表された2021年1~9月期決算だった。スチームトースターなどの販売が好調だったことから、売上高は前年同期比36.9%増の110億円で着地。だが、営業利益は同52.7%減の4.34億円にとどまり、営業利益率は3.9%になった。部品の需給逼迫による原価率上昇や、新規事業への投資にともなう人件費や研究開発費の増加が響いたためだ。 バルミューダは自社工場を持たず国内外の工場に製造委託して、自社では企画開発と販売に注力するファブレス経営をとりつつ、相場にとらわれない高単価で製品を販売する。ゆえに営業利益率は10%以上と高収益だったが、今回の決算を受けて市場は敏感に反応した。 12月15日に株価は4000円を割り込むようになった。12月20日にバルミューダのオンラインストアで使える株主優待割引クーポンの導入が発表されたことを受け、一時的に株価は持ち直した。しかしスマホの出荷一時停止を受け、1月11日は一時、年初来安値となる3575円まで値を下げた』、株価推移は次のグラフの通りで、もはや下げを止める材料はなさそうだ。
https://finance.yahoo.co.jp/quote/6612.T/chart?styl=cndl&frm=wkly&scl=stndrd&trm=2y&evnts=volume&ovrIndctr=sma%2Cmma%2Clma&addIndctr=
・『差別化戦略を維持することができるか  寺尾社長は上場時に行った1年前の東洋経済のインタビューに対して「(上場は)目的ではなく手段だ」と語っていた。上場前のバルミューダは品質管理がアキレス腱だった。2017年に扇風機、2018年にトースター、2019年には家庭用オーブンレンジのリコールをそれぞれ発表したこともある。 「一般的な会社としての管理能力を身につけないと成長できない」(寺尾社長)ことからIPO(新規株式公開)を目指して、品質やコストなどの管理体制を「上場企業品質」へ向上させることを狙った。寺尾社長は「以前と比べものにならないくらいいい会社になったと自負している」と話していた。 ただ製品面やガバナンス面が問われるなど、上場企業としての責任が重くのしかかっている。またマス層に簡単に理解される製品でないと評価されづらいなど、上場前よりも窮屈な環境が、本来のバルミューダの強みを奪っている可能性もある。 これまでもバルミューダの製品は初動の売上が低いものの、口コミなどで消費者の理解を得ていき、一度発売したら同じ型の製品を何年もかけて売り続けて拡大することが強みだった。2020年末に投入した掃除機も「当初の想定計画より初動は遅い」(バルミューダ関係者)ほか、スマホも今回投入した台数がすべて売れても国内シェアでは1%に遠く及ばず、ニッチ層にアプローチしている戦略が明らかだ。 2021年11月には初の旗艦店となる「バルミューダ ザ・ストア青山」を東京・港区に開店。バルミューダ製品やコンセプトをより理解してもらうことに注力している。12月に導入したオンラインストアで使用できる割引クーポンの株主優待も製品への理解を深めてもらうのが狙いだ。 寺尾社長のこだわりに基づく製品群による差別化戦略という強みを上場企業としても継続できるのか。話題の新興家電メーカーとしてだけでなく、「芸術性」という核をもつ企業として理解され、多くの支持を得られるかが上場2年目となる2022年の焦点となる』、「寺尾社長のこだわりに基づく製品群による差別化戦略という強みを上場企業としても継続できるのか」、最近の株価低迷を見る限り、期待薄のようだ。

第三に、1月20日付け東洋経済Plus「伊藤忠と投資ファンドに日立建機株を売却へ 日立、グループ再編「最終章」に待ち受ける課題」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/29501
・『最後の上場子会社、日立建機の株をついに放出。伊藤忠とのシナジーは。 2009年に22社もあった日立製作所の上場子会社の整理がついに完了する。 日立は1月14日、建設機械大手の日立建機の株式26%を1824億円で売却すると発表した。伊藤忠商事と投資ファンドの日本産業パートナーズが出資する特別目的会社が取得する。51.5%だった持ち分は25.4%となる。日立建機は日立の連結から外れ、持ち分法適用会社になる。 当局の審査を経て、6月には売却が完了する見通し。日立は2023年3月期に売却益770億円を計上する。 リーマンショック直後の2009年3月期に国内製造業で最悪の赤字を計上した日立は、モノ売りからITを活用する社会インフラ事業へと事業再編を進めてきた。日立化成、日立金属といった上場子会社を売却する一方、米国のIT企業グローバルロジックの1兆円買収などの手を打ってきた。 日立建機株の一部売却で、事業再編はひとまず完成する。日立の小島啓二社長は一連の再編を「基礎工事」と語り、2022年度から始まる新たな中期経営計画を「社会イノベーションというビジョンを実現する中計にしたい」と話していた。 ただ売却をめぐっては、曲折もあった。販売した建機の稼働率を監視してメンテナンスに生かすといったビジネスは日立のIoT基盤「ルマーダ」との親和性が高い。「(全株売却となった)化成や金属とは違う」(日立幹部)という意見もあった。 一方、リース資産を多く抱える日立建機は総資産が大きく、資本効率がよくない。加えて単体でも事業を展開できるという独立心が強く、完全子会社化にはハードルがあった。 こうした事情もあって、株式の一部売却という結論に落ち着いた。伊藤忠などによる出資の話が具体化したのは2021年末から。伊藤忠側も中長期で日立建機株を保有する意向があったことから早期決着になった。 日立の上場子会社再編では、日立物流や日立キャピタル(現三菱HCキャピタル)も持ち分を残したまま一部売却という手段を取った。この2社に関しては残った持ち分も徐々に売却しており、日立建機についても同じように今後売却していくかが注目される。 ただ、部品取引や技術連携のほか、日立ブランドの継続利用といったグループとの関係も維持する。そのため早期に売却することはないとみられる』、「販売した建機の稼働率を監視してメンテナンスに生かすといったビジネスは日立のIoT基盤「ルマーダ」との親和性が高い」、のであれば、「日立ブランドの継続利用といったグループとの関係も維持」されるのは当然だ。
・『浮沈を握る米州攻略  今回の売却は日立本体よりも日立建機にとって、大きな意味がある。「物流とファイナンスにおいて、伊藤忠の持つネットワークを最大限活用できないか考えている」。日立建機の平野耕太郎社長は14日の会見で、新たに大株主に加わる伊藤忠への期待を語った。日立との協業関係も変わらないと強調し、「この結果を非常にポジティブに捉えている」と笑顔を見せた。 建機業界でアメリカのキャタピラーや日本のコマツを追いかける日立建機にとって、目下の経営課題は世界市場の4割を占める米州市場の攻略だ。上位2社はこの市場で高い売り上げ規模を誇る一方、日立建機は全社売り上げの14%しかない。平野社長は2021年10月の東洋経済のインタビューで「今後の事業拡大には米州戦略が最重要」と語っていた。 日立建機は2021年8月、米州事業に関して大きな決断をしている。2001年以来続けてきたアメリカの農機大手、ディアとの合弁を2022年2月末で解消することを決めたのだ。当初は米州に販売網がなかったために現地企業と手を組んだが、近年はレンタルや部品販売・メンテナンスといったサービス事業を拡大する際に、どちらのプラットフォームを使うのかで隙間風が吹いていた。 近年、建機業界でも遠隔管理や電動化、自動運転化の流れが急速に進んでいる。日立建機はルマーダを生かした遠隔管理サービス「コンサイト」を展開しているが、米州だけ非搭載の製品を販売せざるをえなかった。合弁を解消すると、コンサイトを米州で展開できる一方、ディアに頼ってきた販売・物流体制は改めてつくらなくてはいけない。 伊藤忠は北米で小型建機を販売する子会社を持っており、オンライン建機レンタルの会社にも出資している。これらを生かすとともに、総合商社の持つ海上物流やファイナンスのノウハウも吸収したいところだ。そうした意味で伊藤忠はうってつけのパートナーだと日立建機は強調する。 ただ、市場関係者の目は厳しい。会見では「伊藤忠にサヤを抜かれるのではないか」という指摘も出た。平野社長は「使えるものは何でも使う」と応じたが、14日の日立建機の株価(終値)は前日比17%の大幅な下落となった。日立、日立建機、伊藤忠の3社で「三方よし」を達成できるか。結果で示すしかない』、「日立建機」の「株価」は次のように、年初来、暴落して、27日現在、2845円となった。市場は、「日立建機」の決断に疑問を持っているようだ。
https://finance.yahoo.co.jp/quote/6305.T/chart
タグ:電機産業 (その5)(「不戦敗」日の丸電機がアップルやサムスンに再び挑むための絶対条件、ガバナンスにも厳しい目線が向けられている スマホ出荷停止「バルミューダ」に問われる成長力、伊藤忠と投資ファンドに日立建機株を売却へ 日立、グループ再編「最終章」に待ち受ける課題) ダイヤモンド・オンライン 長内 厚氏による「「不戦敗」日の丸電機がアップルやサムスンに再び挑むための絶対条件」 「日本の大手企業の場合、垂直統合的な開発組織を自前で構築した結果、相対的に組織の規模が大きく、小さい事業の規模では自社の固定費をカバーできるだけの利益を確保することが難しい」、その通りだ。 「総合家電」、「得意な家電製品に特化」、それぞれに存立基盤があるようだ。 「日本の総合家電メーカー」が欧米市場だけでなく、アジア市場でも存在感を示せてない理由は何なのだろう。 「スマート家電を導入するということは、家庭内のプライベートな空間の情報をメーカーのサーバーに預けるということに他ならない」、「その家電が使いやすいか、機能性があるかとは別に、自分のプライバシーを預けるだけの信頼がある企業かどうか、という点が重要になってくる」、日本の「家電メーカ」反撃のチャンスだ。 「日本メーカー」は既にそうした方向に舵を切っているのだろうか。 東洋経済Plus 「ガバナンスにも厳しい目線が向けられている スマホ出荷停止「バルミューダ」に問われる成長力」 「バルミューダ」の株価は、足元では上場「初値」をも下回る3005円と低迷している。 株価推移は次のグラフの通りで、もはや下げを止める材料はなさそうだ。 「寺尾社長のこだわりに基づく製品群による差別化戦略という強みを上場企業としても継続できるのか」、最近の株価低迷を見る限り、期待薄のようだ。 東洋経済Plus「伊藤忠と投資ファンドに日立建機株を売却へ 日立、グループ再編「最終章」に待ち受ける課題」 「販売した建機の稼働率を監視してメンテナンスに生かすといったビジネスは日立のIoT基盤「ルマーダ」との親和性が高い」、のであれば、「日立ブランドの継続利用といったグループとの関係も維持」されるのは当然だ。 「日立建機」の「株価」は次のように、年初来、暴落して、27日現在、2845円となった。市場は、「日立建機」の決断に疑問を持っているようだ。
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