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半導体産業(その7)(半導体への巨額支援は失敗する、補助で衰退した日本の半導体産業をTSMC誘致で救うことはできない 周回遅れの技術 得するのはソニーだけ、かつて世界一だった日本の半導体業界が、いま世界一の台湾のTSMCから学ぶべきこと 生き残るための「本気度」が違う) [産業動向]

半導体産業については、昨年12月29日に取上げた。今日は、(その7)(半導体への巨額支援は失敗する、補助で衰退した日本の半導体産業をTSMC誘致で救うことはできない 周回遅れの技術 得するのはソニーだけ、かつて世界一だった日本の半導体業界が、いま世界一の台湾のTSMCから学ぶべきこと 生き残るための「本気度」が違う)である。

先ずは、本年1月11日付けNewsweek日本版が掲載した東大教授の丸川知雄氏による「半導体への巨額支援は失敗する」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/marukawa/2022/01/post-76_1.php
・『<台湾のTSMCとソニーが熊本に作る半導体工場に日本政府は日の丸半導体復活の夢を懸けるが、4000億円の補助金は無駄になる可能性が高い。世界の半導体産業を見渡すと、補助金は輸出の際に相殺関税を課されかねず、国内供給に限れば成功は見込めないからだ> 2021年12月に日本の国会で、日本国内での半導体工場の建設に対して政府から設備投資の半分までを補助する法案が可決された。これに先立ち、台湾積体電路製造(TSMC)がソニーと共同で熊本県に大型の半導体工場を建設する計画を発表しており、この法律が成立したことで、日本政府はこの新工場に4000億円程度を補助するとみられている。 この補助計画に対しては、半導体産業の専門家から「TSMCの熊本工場で作られるのは、デザインルール(回路線幅)が28ナノメートルという10年前の技術のものにすぎない。5ナノメートルの半導体の量産が始まっている現状では、これで日本の半導体産業が復活するはずもない」との批判の声が上がっていた。 私もその通りだと思う。この補助金によって、韓国、台湾、アメリカに大きく差をつけられた日本の半導体産業の局面を打開できるはずもなく、せいぜい現状維持できる程度であろうし、これが日本の経済安全保障に資するかというと、そもそもそのロジックが不明なのである』、「5ナノメートルの半導体の量産が始まっている現状では、これで日本の半導体産業が復活するはずもない」、「日本の経済安全保障に資するかというと、そもそもそのロジックが不明」、厳しい批判だ。
・『経済安全保障と競争力回復は両立しない  この補助金をめぐる議論が混乱しているのは、「経済安全保障」と「半導体産業の競争力回復」という二つの異なる目標がごっちゃになって論じられているからだ。二つの目標のどちらを目指すかによってとるべき戦略は全く異なる。日本の半導体産業の現状を考えると両方を同時に追求できる手立てはない。 中国政府も半導体産業に対する巨額支援を行っているが、はかばかしい成果は得られておらず、すでにかなりの金を無駄にしている。 中国が半導体を国産化する決意を固めたのは1990年の湾岸戦争がきっかけだった。アメリカのハイテク兵器の威力を目にして、電子技術を強化する必要性を痛感したのだ。国家プロジェクトとして進められた半導体産業の育成には日本のNECが技術供与や出資の面でかなり協力した。しかし、NECも出資した上海の工場でDRAMを量産し始めたものの、2001年のドットコム・バブル崩壊のあおりを受けて事業は失敗した。 その後の10数年間、中国の半導体産業は主に民間主導で発展した。例えば、国内の携帯電話やスマホのメーカーが成長すると、それらに対する販売を見込んで、携帯電話・スマホ用ICの設計を専門とするファブレス(=工場を持たない)・メーカーが成長した。なかでも通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の子会社のハイシリコン(海思)や、ユニソック(紫光展鋭)は2020年第2四半期の時点では世界シェアがそれぞれ3位(シェア16%)、6位(シェア4%)と、そこそこの位置につけていた。 中国のファブレス・メーカーの成長を裏方として支えていたのは、台湾のTSMCや中国の中芯国際(SMIC)といった半導体受託メーカー(ファウンドリー)であった。ファブレスとファウンドリーを各々独立した企業が担って分業する台湾型の半導体産業が中国でも盛んになっている。 しかし、中国政府はこうした民間主導の半導体産業の発展には飽き足らず、2014年から再び介入を強めた。同年「国家IC産業発展促進政策」を制定し、それに基づいて国家IC投資ファンドを立ち上げた。政府や中国煙草などの国有企業からの出資金を総額1387億元(約2兆4000億円)集めて、これまでに85社の半導体関連企業に出資した。 その投資先を見ると、SMICなどのファウンドリーに全体の65%の資金を投じているが、半導体の製造装置、半導体材料、半導体のパッケージングとテスト、そしてファブレス・メーカー、さらには他のIC産業投資ファンドにも出資している。半導体産業の上流から下流までをカバーしており、その狙いは中国の弱点を克服し、半導体産業全体の国産化を進めていくことにあるとみられる』、「2014年から再び介入を強めた。同年「国家IC産業発展促進政策」を制定し、それに基づいて国家IC投資ファンドを立ち上げた。政府や中国煙草などの国有企業からの出資金を総額1387億元(約2兆4000億円)集めて、これまでに85社の半導体関連企業に出資した」、なるほど。
・『目標は2030年の国産化率75%  この政策は、翌年にはハイテク産業全般にわたる国産化政策である「中国製造2025」にもつながっていく。その具体的な目標を産業ごとに示した「技術ロードマップ」のなかでは、ICの国産化率を2020年には49%、2030年には75%とするという目標が提示された。 なお、『日本経済新聞』など日本のマスコミでは、中国は「中国製造2025」で半導体の「自給率を2020年に40%、25年に70%まで高める目標を打ち出した」(『日本経済新聞』2021年10月13日)との誤報を繰り返している。これは「中国製造2025」のなかで「重要部品と重要材料」全般に関して掲げられた目標を半導体に関する目標だと誤解したものであろう。 皮肉なことに、こうした中国の野心的な政策がアメリカの警戒心を呼び起こすことになった。それまで中国のスーパーコンピュータはインテルなどアメリカ企業のICを使って、計算速度でアメリカや日本とトップ争いを繰り広げてきたが、2015年からアメリカ政府は中国のスーパーコンピュータ向けにアメリカ企業がICを輸出することを禁じた。そこで中国はスーパーコンピュータ用のCPU「申威(Sunway)」を開発した。 軍事への応用も想定されるスーパーコンピュータへのIC供給を制限するのは理解できるが、トランプ政権になると、民生品を作る企業であっても中国のハイテク企業の力を削ごうとする政策が乱発されるようになった。 特にターゲットになっているのはファーウェイで、2019年からは同社に対してアメリカ産のICやソフトを輸出するには商務省の許可が必要となった。この規制の結果、ファーウェイは米クアルコムのスマホ用ICや、グーグルのスマホ用OS「アンドロイド」に関連する各種アプリが入手できなくなり、大きな痛手をこうむるかに見えた。しかし、ファーウェイは子会社のハイシリコンで設計したスマホ用ICを使うことで難局を乗り越え、むしろ2020年第2四半期にはスマホにおける世界シェアを20%に伸ばして、世界トップのサムスンと肩を並べた。 するとアメリカは2020年5月にアメリカの技術やソフトを使ったICは他国製のものであってもファーウェイに輸出する際には米商務省の許可を必要とすると決めた。日本や韓国が作るICであってもファーウェイに輸出する際にはアメリカ様の許可が必要という無茶な要求であるが、これによって、ファーウェイはハイシリコンが設計して台湾TSMCに製造を委託していた5Gスマホ用ICを入手できなくなった。中国国内にもSMICなどICの製造受託会社は存在するのだが、中国最先端のSMICでさえ、ようやく14ナノメートルのレベルのICを始めようかという段階にあり、5Gスマホに必要な線幅7ナノメートルのICは作れないのである。それはアメリカ政府の圧力のために、SMICがEUV(極端紫外線)露光装置を輸入できないからである』、「中国の野心的な政策がアメリカの警戒心を呼び起こすことになった」、「2020年5月にアメリカの技術やソフトを使ったICは他国製のものであってもファーウェイに輸出する際には米商務省の許可を必要とすると決めた」、「アメリカ政府」の「ファーウェイ」包囲網は露骨だ。
・『ファーウェイで顕在化した供給リスク  ファーウェイは事業の一部を売却するなどスマホ事業の大幅な縮小を余儀なくされた。こうして、半導体および半導体製造装置の供給リスクが顕在化したことで、中国政府の半導体国産化へ向けた決意がますます高まった。2019年には国家IC投資ファンドの第2期が始まり、2000億元(3兆4000億円)の資金を集めて再びICメーカーへの投資を始めた。 ところが、2021年に入ると、中国の半導体国産化戦略に失敗の空気が漂うようになった。2014年以降の膨大な投資にもかかわらず、2020年の半導体の国産化率は私の計算では24%にとどまった。半導体産業専門家のハンデル・ジョーンズ氏の推計では国産化率は16.6%にすぎないという。但し、彼の推計では中国国内で半導体を生産している外資系メーカーは国産化率にカウントされていない。いずれにせよ、「2020年に49%」という「中国製造2025技術ロードマップ」の目標を大幅に下回っている。 さらに、2021年7月には、これまで中国の半導体戦略の先兵として活動してきた紫光集団が破産した。紫光集団は、もともと清華大学の研究成果の産業化を目指す目立たない国有企業にすぎなかったが、2009年に、清華大学出身で新疆での不動産事業で当てた趙偉国がその資本の49%を取得して経営を掌握してから半導体事業に力を注ぐようになった。) 紫光集団は2013年に携帯電話用ICのファブレス・メーカー、展訊(Spreadtrum)と鋭迪科(RDA)の2社を買収し、この2社を統合してユニソック(紫光展鋭)とすることで、半導体産業への参入を果たした。 その後、NANDフラッシュメモリを作る長江メモリ、同じくメモリを作る武漢新芯、成都紫光、南京紫光といった大型の工場を次々と立ち上げた。これらの事業の資金は銀行からの借り入れや社債の発行で調達したほか、国家IC投資ファンドからも総額286億元(約4900億円)の出資を引き出している。 しかし、紫光集団の半導体事業は、最初に買収したユニソックだけはスマホ用ICの世界でそこそこの業績を上げているものの、大金を投じたメモリはあまり売れていないようである。紫光集団は投資した資金を売り上げによって回収できず、資金繰りが行き詰った。同社は日本でいえば会社更生の途上にあるため、国家IC投資ファンドが投じた資金が完全に無駄になると確定したわけではないものの、現状では大きな損失を被っている状況にある。 紫光集団が失敗したのは、端的に言って、半導体産業に「国産化」という発想が馴染まないためである。半導体は、研究開発や設備投資に膨大なコストがかかる一方、生産量を拡大するコストは小さいため、規模の経済性が顕著である。半導体の輸送コストも小さいため、販売先に近接した場所で生産するより、特定の場所に生産拠点を集中し、そこから世界へ運んだ方が経済的である。つまり、この産業は少数の企業が少数の生産拠点で集中的に生産する傾向があり、各国で国内需要のために生産するのは割に合わないのである』、「半導体産業」は「規模の経済性が顕著」で、「少数の企業が少数の生産拠点で集中的に生産する傾向があり、各国で国内需要のために生産するのは割に合わない」、つまり「「国産化」という発想が馴染まない」、なるほど。
・『国産化の動機はアメリカの圧力  ただ、もし海外の生産拠点からの半導体供給が阻害される事態が生じるとすれば、それは半導体の国産化を進める理由にもなるし、またその機会が生まれることになる。実際、アメリカ政府が自国産の半導体ばかりか、他国産の半導体を中国へ輸出することにさえ制限を加えはじめたことは、中国にとっては半導体の国産化を進める重要な動機となった。 ところが、フタを開けてみたら、アメリカの半導体輸出制限は実は大したことがなかった。トランプ政権のもとでアメリカから中国への半導体輸出は減少するどころか、むしろ2017年の53億ドルから2020年の102億ドルへ急増しているのである。バイデン大統領が就任した2021年はさらに前年を上回る勢いで、1~10月の輸出額は104億ドルと、年末まで2か月を残してすでに前年の実績を上回っている。 たしかにアメリカ政府の制限によってファーウェイは5Gスマホ用のICを入手できなくなったが、ファーウェイのそれ以外の製品に必要なICは輸入できている。まして、シャオミやオッポなど他のスマホメーカーの場合は、最先端の5Gスマホ用のICも問題なく輸入しているのである。) 海外のICが従来通り輸入できるのであれば、中国国内のICユーザーとしてはわざわざ品質が未知数の国産品に切り替える理由はない。勇んで半導体国産化に取り組んでいた紫光集団も、輸入に制限がない状況であれば、価格と品質で輸入品に対抗せざるを得ない。しかし、短期間にそんな実力を身に着けることはできなかったのだ。 さて、日本政府がTSMC熊本工場に巨額の補助金を出そうとしている件に話題を戻すと、このプロジェクトが商業的に成功する可能性は高いと思う。熊本工場ではソニーのイメージセンサーや画像処理プロセッサ(ISP)を受託生産する計画だというが、ソニーは世界のイメージセンサー市場で5割前後のシェアを持つトップメーカーであり、成功が持続する可能性は高い。 但し、ここで一言を注釈を差しはさんでおくと、TSMCは中国・南京ですでに28ナノメートルのICを製造するファウンドリーを運営しており、そこではソニーを追い上げている米オムニビジョンのイメージセンサーの受託生産をしている。自民党などには、この熊本工場を機縁に半導体の日台連合を期待する向きもあるようだが(『日本経済新聞』2021年12月25日)、TSMCの日本とソニーへの協力は、同社の中国とオムニビジョンへの協力より後回しであったのである。 さて、TSMC熊本工場でのソニー製品の受託生産が成功して海外にも輸出される場合、日本政府の補助金がかえって仇となる可能性がある。つまり、補助金によって輸出競争力を高めたとなると、海外で補助金相殺関税を課される可能性があるのだ。特に、自国にイメージセンサーのメーカーを持つ韓国、アメリカ、中国は相殺関税を課す動機がある。つまり、政府の補助金のせいで、かえって輸出が難しくなる恐れがある』、「補助金によって輸出競争力を高めたとなると、海外で補助金相殺関税を課される可能性がある」、「特に、・・・韓国、アメリカ、中国は相殺関税を課す動機がある」、そうであれば「補助金」を出した意味は何なのだろう。
・『どちらを向いても成功は難しい  この点、中国の国家IC投資ファンドからの資金の場合は出資という形をとるので、投資先の企業が成功したらファンドの保有する株を民間人に売却できる。そうすれば輸出先で補助金相殺関税を食らうこともない。一方、TSMC熊本工場に日本政府が出す資金は補助金なので、持ち株を売るというわけにはいかない。 もし熊本工場のICが日本国内にのみ販売されるのであれば、相殺関税を課される心配はないが、それでは日本の半導体産業の復活ということにはつながらないだろう。それでも、海外からのIC供給途絶という事態に備えた経済安全保障になるので、政府の補助金を出す意義はある、という主張は可能である。ただ、それは競争力回復という目標を捨てることを意味する。 しかし、中国と違って、日本が海外から半導体を輸入できなくなる可能性は小さい。2020年の日本の半導体の輸入先をみると、台湾が57%を占めて圧倒的に多く、次いでアメリカ(11%)、中国(9%)、韓国(5%)、シンガポール(3%)、マレーシア(3%)となっている。このなかで日本への半導体輸出を止めると脅している国があるだろうか。日中関係が悪化して、中国からのIC輸入が難しくなることが絶対にないとは言い切れないが、それは代替的な輸入先を確保することで対処できる範囲のリスクであり、国内の工場への巨額の補助金投下を正当化しうるものではない』、確かに「経済安全保障」の観点で、「国内の工場への巨額の補助金投下を正当化」には無理がある。

次に、1月30日付け現代ビジネスが掲載した大蔵省出身で一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「補助で衰退した日本の半導体産業をTSMC誘致で救うことはできない 周回遅れの技術、得するのはソニーだけ」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/91809?imp=0
・『台湾の最先端半導体企業TSMCの工場を熊本に誘致するため、巨額の補助金が支出される。しかし、TSMCが日本に持ってくるのは古い技術であり、日本の半導体産業を復活させることにはならない。 日本の半導体産業が衰退したのは、ビジネスモデルを誤ったからだ。そして、補助づけになって衰退が加速した』、野口氏の辛口のコメントは小気味いい。
・『TSMCが日本に持ってくるのは、10年前の技術  日本政府は、台湾の最先端半導体ファウンドリTSMCの工場を熊本に誘致する。建設費8000億円のうち半分の4000億円を日本政府が補助する。これをテコにして、衰退した日本の半導体産業を復活させるのだと言う。 果たしてそうなるだろうか? ならないだろう。なぜなら、TSMCが日本に持ってくるのは、だいぶ昔の技術だからだ。 熊本工場で製造するのは、ロジック半導体だが、22~28nmプロセスのものだ(これがどういう意味かは、後述)。 TSMCが28nmの量産を開始したのは、2011年のことである。つまり、これは、10年くらい前には最先端技術だったが、いまでは他の企業でも生産できる「レガシー」と呼ばれるものだ。 そうした古い技術の工場に国が補助金を支出して誘致しても、日本の半導体産業が復活することはないだろう。 アメリカ政府も、TSMCの工場を誘致するため補助金を支出する。また、インテルがオハイオ州に建設する新工場にも、補助金を支出する計画だ。しかし、これは、5nmの最先端プロセスだ。補助金の支出が必要かどうか疑問に思うが、理解できなくもない。 これらと日本の誘致計画とは、まったく異質のものだ』、「古い技術の工場に国が補助金を支出して誘致しても、日本の半導体産業が復活することはないだろう」、すると何が誘致の狙いなのだろう。
・『ソニーに対する補助?  では、なぜ4000億円もの補助金を出すのか? その疑問を解く鍵は、隣にあるソニーの工場にある。ここでソニーは、イメージセンサーを生産している。これは、ロジック半導体と組になって作動する。 ところが、ロジック半導体をソニーは外部から調達している。そして、後述する最近の半導体不足によって。この供給が不安定になっている。ソニーが自社でロジック半導体の工場を作ると、コストがかかる。国が支援してくれれば、助かる。 すると、結局のところ、国が支出する補助金は、ソニーに対する補助ということにならないだろうか?』、「結局のところ、国が支出する補助金は、ソニーに対する補助」、ただ、業績好調な「ソニー」が「補助金」を何が何でも必要としているとは考え難い。
・『高性能半導体とは?  半導体の問題はやや複雑だ。ここで簡単に説明しておこう。 現在、最先端の製造技術が要求されているのは、「ロジック半導体」と呼ばれるものだ。これは、計算や制御を担当する半導体だ。PCやスマートフォンなどの頭脳部分になっている。 アップル、NVIDIA、AMDなどのアメリカIT企業は、回路の設計を行ない、製造を「ファウンドリ」(受託製造)と呼ばれる企業に委託する。 ロジック半導体の電力消費を下げ、性能を向上させるために、回路の微細化が進められてきた。これを表すのが、回路の最小線幅だ。それが5nmにまで来ているのである(nmは、10億分の1メートル)。 現在のところ、TSMCとサムスンだけが、5nmのロジック半導体を量産することができる。そして、サムスンは、TSMCに先駆けて、3nmプロセスの半導体を製造する計画を立てている。 世界最先端の半導体競争は、このレベルで展開されているのだ』、「TSMCとサムスンだけが、5nmのロジック半導体を量産することができる。そして、サムスンは、TSMCに先駆けて、3nmプロセスの半導体を製造する計画を立てている」、そんななかで、「10年前の技術」に政府資金を使う意味は何なのだろう。
・『半導体不足とは?  いま、半導体不足が世界的に深刻な問題になっている。ただし、足りないのは、先端ロジック半導体ではない。不足しているのは、自動車積載用や、PCやルーターなどのネットワーク機器に用いるもので、40nmプロセス程度のものだ。 これらに用いる半導体不足のきっかけは、米中対立の中で、アメリカが、中国のファウンドリーSMICを制裁リストに追加したことだ。このため、アメリカの自動車メーカーは同社からの車載用半導体の調達ができなくなり、その分がTSMCを始めとする台湾のファウンドリに向かった。 ところが、TSMCとしては、先端半導体のほうが利益率が高いため、車載半導体への需要に応えることができない。 それに加え、日本の車載用半導体の大手メーカーであるルネサスエレクトロニクスの工場で火災が発生した。そして、サプライチェーンが、コロナの感染拡大で混乱した。こうしたことの結果、委託企業が実需以上の発注をするようになり、不足に拍車をかけたのだ』、「半導体不足」は多くの要因が重なったためのようだ。
・『かつて日本が強かったのはメモリー半導体  日本の半導体が、1970年代から80年代に世界を制したと言われる。しかし、半導体の全般について日本が強かったわけではない。日本が制したのは、DRAMというメモリー半導体に限ってのことである。 演算用の半導体CPUは、インテルが支配した。計算回路の設計はソフトウェアであり、日本のモノづくり技術では、歯が立たなかった。現在のロジック半導体は、これが進歩したものだ。 付加価値が高いのは、DRAMではなくCPUだ。日本の半導体産業の問題は、CPUのような高度な技術を必要とされる製品を生産できなかったことだ。 インテルは、技術力によってCPUの生産を独占した。そして、マイクロソフトのOSウィンドウズとの組み合わせによって、後に「ウインテル体制」と呼ばれるようになったものを築いて、PC産業を制覇した。 日本は、この流れに対応することができなかった』、「日本の半導体産業の問題は、CPUのような高度な技術を必要とされる製品を生産できなかったこと」、同感である。
・『ビジネスモデルを間違え、補助で衰退した  その後、日本の半導体産業は、得意だったメモリーも含めて衰退していった。それは、韓国企業などの追い上げに対して、経営者がビジョンを持たず、適切なビジネスモデルを構築する能力を持たなかったからだ。 国の支援によって日本の半導体産業の立て直しを図るべく、NEC、日立のDRAM事業を統合したエルピーダメモリが1999年に発足した(後に、三菱電機のDRAM事業を譲り受ける)。 しかし、経営に行き詰まり、改正産業活力再生特別措置法の適用第1号となって、公的資金活用による300億円の出資を受けた。だが、事態は好転せず、2012年2月に、製造業として歴史上最大の負債総額4480億円で破綻した。 日本の半導体産業が弱体化したのは、補助金が少なかったからではない。補助漬けになったからだ。「補助して企業を助ければよい」という考えが基本にある限り、日本の半導体産業が復活することはないだろう』、「「補助して企業を助ければよい」という考えが基本にある限り、日本の半導体産業が復活することはないだろう」、言い得て妙だ。

第三に、2月6日付けPRESIDENT Onlineが掲載したアジア市場開発・富吉国際企業顧問有限公司 代表の藤 重太氏による「かつて世界一だった日本の半導体業界が、いま世界一の台湾のTSMCから学ぶべきこと 生き残るための「本気度」が違う」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/54325
・『台湾政府系シンクタンクでの顧問経験  筆者は台湾政府経済部(日本の経済産業省に相当)系のシンクタンク「財団法人 資訊工業策進会(Institute for Information Industry、略称III)」で8年ほど顧問を務めた。その間、台湾が国策としていかに経済力を強め国際的地位を築いてきたか、国と産官学がどのように連携し、産業や企業を育成していったのかを台湾側から垣間見てきた。その経験を踏まえながら、今日の日本と台湾の差をもたらした要因はどこにあったのかを考えてみたい。 1980年代、日本は半導体の母国であるアメリカをも凌駕し、日本製の「日の丸半導体」が世界をリードしていた。当時の中核製品であったDynamic RAM(DRAM)メモリにおいて、世界シェアの上位5社はすべて日本企業だった(NEC、日立、東芝、富士通、三菱電機)。日本が技術大国、製造立国として世界から認知されていた、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(エズラ・ヴォーゲル)という時代だった』、興味深そうだ。
・『「最終消費財」にばかり目が向いていた日本メーカー  しかし、日本は80年代の半導体技術での優位性を活かせず、「ものづくり大国」としての地位はすっかり過去のものとなってしまった。なぜごく短期間に、日本の半導体業界はこのように落ちぶれてしまったのか。 第一の要因は、各社が「最終消費財」の生産ばかりを重視し、半導体を軽視したことだ。当時の日本企業は、パソコン、通信機器、テレビなどの家電といった最終消費財を製造販売することに固執し、半導体はその部品の一つぐらいに認識していた。そこで安い外国産半導体に頼ることにした結果、国内での半導体製造は縮小し、後にライバルとなる韓国のサムスンや台湾のファブレス企業が日本企業のお金で育つことになった』、「韓国のサムスンや台湾のファブレス企業が日本企業のお金で育つことになった」、歴史の皮肉だ。
・『垂直統合型ビジネスにこだわった結果  第二に、半導体産業の可能性を見誤り、変化への対応に出遅れ、そして頑固だったことだ。 技術の優位性で油断していた日本は、サムスンや台湾メーカーのような半導体ビジネスへの大規模投資に10年ほど後れを取る。1999年にようやくNEC日立メモリ(後のエルピーダメモリ)、2003年に日立と三菱の半導体部門の統合によるルネサス テクノロジ(現ルネサス エレクトロニクス)が設立された。 しかし、両社を含む日本企業の多くは、設計から生産までを一貫して手掛ける、以前からの垂直統合型ビジネスをかたくなに守った。その結果、設計と生産の分業という世界的潮流に乗り遅れ、その後のDRAM価格の暴落や円高によって業績を大きく悪化させる。エルピーダメモリは2012年2月に会社更生法の適用を申請。負債総額4480億円余りと、国内製造業としては戦後最大の倒産劇を演じ、最終的には米マイクロン・テクノロジに買収されることになる。 この間の秩序無き統廃合や技術の切り売り、リストラ、売却劇などは、あまりにも無残だった。優秀なエンジニアの海外企業への転職、頭脳流出などもずいぶん進んでしまった』、「日本企業の多くは、設計から生産までを一貫して手掛ける、以前からの垂直統合型ビジネスをかたくなに守った。その結果、設計と生産の分業という世界的潮流に乗り遅れ、その後のDRAM価格の暴落や円高によって業績を大きく悪化させる」、「この間の秩序無き統廃合や技術の切り売り、リストラ、売却劇などは、あまりにも無残だった。優秀なエンジニアの海外企業への転職、頭脳流出などもずいぶん進んでしまった」、「日本」の経営者の無能ぶりが、経済に甚大な影響を与えてしまったようだ。
・『効率最優先と引き換えに失われたもの  第三にバブル崩壊以降、「会社は株主のもの、株主を重視せよ」という考え方が強まったことの影響も指摘せざるを得ない。「物言う株主・アクティビスト」が増えた結果、各企業は「利益最優先」「効率主義」を強く求められるようになった。コスト削減圧力が高まる一方、モノ作りへのこだわりや品質重視といった姿勢は軽んじられ、企業は財務健全化のために内部留保を増やし、研究開発費や設備投資を抑制した。 日本企業はコストを削減するため生産拠点を海外に移し、下請け企業にも国際調達や海外進出を促すようになる。当時、筆者は京都の中小サプライヤーに対し、中国大陸での調達のサポート、通訳、事業アドバイスを提供していたが、彼らは元請け企業から海外調達比率やコスト削減の目標を言い渡され、未達成の場合は取引を継続しない可能性をちらつかされていた。このように大手企業の方針によって中小企業までが海外進出させられた結果、日本の産業の空洞化が進むことになる』、なるほど。
・『目先の利益ばかりを追求した報い  この頃から、勝つためには手段を選ばない日本企業の蛮行も増えてくる。90年代中頃、台湾で多くのメーカーと交流していた私は、「日本企業は相見積もりばかりする」「見積もりだけ取って、その後は音沙汰無し、値引きの交渉材料に使われるだけだ。俺たちをバカにしている」という不評や不満をよく耳にした。 日本の家電や電子製品づくりは、次第に顧客本位ではなくなっていく。価格をつり上げるために過剰な機能を増やしたり、無理なコストダウンのために品質を落としたりするケースが目につくようになった。日本国内での売り上げが伸び悩む中、進出先の国でのマーケット開拓も試みたが、地場の後発メーカーのシンプルで安い商品に負け続けた。 ものづくりができなくなった日本のメーカーが、海外で生産した商品をブランド販売する商社のようになっていく一方、力をつけた海外企業が日本市場を席巻するようになる。日本が育てたサムスン、日本の下請け工場だった鴻海科技集団(フォックスコン・テクノロジーグループ)、そして半導体の発注先だったTSMCが、その後日本企業を凌駕し、世界的な地位を築くとは、日本の誰もが想像していなかったかもしれない。 日本の半導体ビジネスの失敗は、目先の利益だけを追求し、技術革新、設備投資を怠り、長期的戦略の無いまま日本の産業と雇用を守ってこなかった結果だと言わざるを得ない』、「日本の半導体ビジネスの失敗は、目先の利益だけを追求し、技術革新、設備投資を怠り、長期的戦略の無いまま日本の産業と雇用を守ってこなかった結果だ」、同感である。
・『台湾の国策企業の一つだったTSMC  一方、台湾は、50年程前の1970年代から半導体産業の勃興を予測し、国家プロジェクトとして電子産業の検討を始めた。73年にそのためのシンクタンク「工業技術研究院(以下、ITRI)」が設立され、76年にはアメリカのRCA社と技術移転契約を締結。これをもとに77年には3インチ(75mm)ウエハー工場がITRIの中に建設され、半導体製造に成功する。この工場をITRIからスピンオフさせて、1980年5月に企業として独立したのが、現在世界第3位の半導体メーカーである聯華電子股份有限公司(UMC)だ。 TSMCの設立にもまた、台湾当局が深く関与している。UMCの成功を受けて、83年には経済部で「電子工業研究開発第3期計画」がスタート。1985年にITRIの新院長に抜擢されたのが、1948年に渡米してハーバード大学やマサチューセッツ工科大学で学び、米半導体大手テキサス・インスツルメンツやジェネラル・インストゥルメントで経験を積んだモリス・チャン(張忠謀)氏だ。チャン氏は1987年2月にTSMCを設立したが、創業時の資本額55億台湾元(約231億円)のうち48.3%は、台湾政府の行政院開発基金が出資した。つまりTSMCも、台湾政府が創った国策企業なのだ』、「UMC」、「TSMC」とも、もともと「台湾政府」関連企業だったようだ。
・『在米の華人エンジニアを国が地道にヘッドハント  その間にも台湾政府は、新竹サイエンスパークの整備、雇用政策、規制撤廃や法整備、投資環境の整備、技術者のための住居の整備、技術者子女の教育環境の整備などを国家事業として進めていった。1980年代、新竹サイエンスパークの周りには大きな別荘が数多く建築され、「帰国組」の住居として提供されていたことは有名な話だ。台湾政府の要人が足しげくアメリカに渡り、優秀な華人をヘッドハンティングして台湾に招聘しょうへいするという、涙ぐましい努力があったのである。 2010年ごろ、黃重球経済副大臣(当時)が訪日した際、筆者はプレジデント誌のために彼にインタビューを行った。「私は台湾を売り込むためのセールスマンです」と語る副大臣の姿を見て、台湾政治家の使命感と台湾経済の強さを実感したものだ。 また、こんなこともあった。当時、経済部は電子コンテンツ産業の育成を決定し、日本の電子書籍ビジネスに着目した。そこで筆者に日本の出版社の台湾招聘に関する依頼があり、実際に日本を代表する出版界の経営者数名に台湾を訪問していただいた。その際、総統府で馬英九総統(当時)との謁見えっけんが組み込まれていたのには、大変驚いた。 しかも、台湾の当時の元首である馬英九総統の口から、「日本の電子書籍・コンテンツビジネスの経験を台湾にも共有してほしい」と言われれば、訪問した日本企業側も安心し、心が動かされるもの当然だ。目の前で、台湾政府がどのように産業を産み、経済で国家を強くするのか。政治によって新しい産業が生まれるかもしれない瞬間を垣間見た貴重な経験だった』、「台湾政府の要人が足しげくアメリカに渡り、優秀な華人をヘッドハンティングして台湾に招聘しょうへいするという、涙ぐましい努力があった」、ここまで「台湾政府」が努力していたとは初めて知った。
・『なぜ台湾にできることが日本ではできないのか  筆者は2020年4月に「台湾のコロナ対策が爆速である根本理由『閣僚に素人がいない』」という記事をプレジデントオンラインで書いた。台湾では閣僚だけではなく、官僚も研究者も経営者も皆がそれぞれプロとしての仕事をし、一丸となって国家の景気を支え、発展成長を続けているのである。経済力は国力であり国防力なのだ。経済力強化こそ、国際社会の中で立場の弱い台湾がさまざまな脅威や危機から自身を守り、生き残っていく唯一の方法であることを知っているのである。 台湾がまだ戒厳令下だった1986年、発展途上中の台湾に留学した筆者は「なぜ日本にできることが台湾ではできないのか」と思うことが多かった。しかし、近年では、半導体などの経済政策でもワクチン開発でも、そしてコロナ対応でも「なぜ台湾にできることが日本ではできないのか」と感じることが増えてしまった。 同じ島国、同じ自由民主主義国家、同じ法治国家、歴史的にも関係の深い台湾。お互いの長所も短所も、善しあしも共有し、学び合い、成長し、助け合えるより良い関係を、日本と台湾の間で作り上げていくことを願うばかりだ』、「台湾では閣僚だけではなく、官僚も研究者も経営者も皆がそれぞれプロとしての仕事をし」、日本はアマチュアリズムが強すぎるのかも知れない。
タグ:「5ナノメートルの半導体の量産が始まっている現状では、これで日本の半導体産業が復活するはずもない」、「日本の経済安全保障に資するかというと、そもそもそのロジックが不明」、厳しい批判だ。 (その7)(半導体への巨額支援は失敗する、補助で衰退した日本の半導体産業をTSMC誘致で救うことはできない 周回遅れの技術 得するのはソニーだけ、かつて世界一だった日本の半導体業界が、いま世界一の台湾のTSMCから学ぶべきこと 生き残るための「本気度」が違う) 半導体産業 丸川知雄氏による「半導体への巨額支援は失敗する」 Newsweek日本版 「2014年から再び介入を強めた。同年「国家IC産業発展促進政策」を制定し、それに基づいて国家IC投資ファンドを立ち上げた。政府や中国煙草などの国有企業からの出資金を総額1387億元(約2兆4000億円)集めて、これまでに85社の半導体関連企業に出資した」、なるほど。 「中国の野心的な政策がアメリカの警戒心を呼び起こすことになった」、「2020年5月にアメリカの技術やソフトを使ったICは他国製のものであってもファーウェイに輸出する際には米商務省の許可を必要とすると決めた」、「アメリカ政府」の「ファーウェイ」包囲網は露骨だ。 「半導体産業」は「規模の経済性が顕著」で、「少数の企業が少数の生産拠点で集中的に生産する傾向があり、各国で国内需要のために生産するのは割に合わない」、つまり「「国産化」という発想が馴染まない」、なるほど。 「補助金によって輸出競争力を高めたとなると、海外で補助金相殺関税を課される可能性がある」、「特に、・・・韓国、アメリカ、中国は相殺関税を課す動機がある」、そうであれば「補助金」を出した意味は何なのだろう。 確かに「経済安全保障」の観点で、「国内の工場への巨額の補助金投下を正当化」には無理がある。 現代ビジネス 野口 悠紀雄氏による「補助で衰退した日本の半導体産業をTSMC誘致で救うことはできない 周回遅れの技術、得するのはソニーだけ」 野口氏の辛口のコメントは小気味いい。 「古い技術の工場に国が補助金を支出して誘致しても、日本の半導体産業が復活することはないだろう」、すると何が誘致の狙いなのだろう。 「結局のところ、国が支出する補助金は、ソニーに対する補助」、ただ、業績好調な「ソニー」が「補助金」を何が何でも必要としているとは考え難い。 「TSMCとサムスンだけが、5nmのロジック半導体を量産することができる。そして、サムスンは、TSMCに先駆けて、3nmプロセスの半導体を製造する計画を立てている」、そんななかで、「10年前の技術」に政府資金を使う意味は何なのだろう。 「半導体不足」は多くの要因が重なったためのようだ。 「日本の半導体産業の問題は、CPUのような高度な技術を必要とされる製品を生産できなかったこと」、同感である。 「「補助して企業を助ければよい」という考えが基本にある限り、日本の半導体産業が復活することはないだろう」、言い得て妙だ。 PRESIDENT ONLINE 藤 重太氏による「かつて世界一だった日本の半導体業界が、いま世界一の台湾のTSMCから学ぶべきこと 生き残るための「本気度」が違う」 「韓国のサムスンや台湾のファブレス企業が日本企業のお金で育つことになった」、歴史の皮肉だ。 「日本企業の多くは、設計から生産までを一貫して手掛ける、以前からの垂直統合型ビジネスをかたくなに守った。その結果、設計と生産の分業という世界的潮流に乗り遅れ、その後のDRAM価格の暴落や円高によって業績を大きく悪化させる」、「この間の秩序無き統廃合や技術の切り売り、リストラ、売却劇などは、あまりにも無残だった。優秀なエンジニアの海外企業への転職、頭脳流出などもずいぶん進んでしまった」、「日本」の経営者の無能ぶりが、経済に甚大な影響を与えてしまったようだ。 「日本の半導体ビジネスの失敗は、目先の利益だけを追求し、技術革新、設備投資を怠り、長期的戦略の無いまま日本の産業と雇用を守ってこなかった結果だ」、同感である。 「UMC」、「TSMC」とも、もともと「台湾政府」関連企業だったようだ。 「台湾政府の要人が足しげくアメリカに渡り、優秀な華人をヘッドハンティングして台湾に招聘しょうへいするという、涙ぐましい努力があった」、ここまで「台湾政府」が努力していたとは初めて知った。 「台湾では閣僚だけではなく、官僚も研究者も経営者も皆がそれぞれプロとしての仕事をし」、日本はアマチュアリズムが強すぎるのかも知れない。
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